JP2024070235A - 閉断面リブ鋼床版 - Google Patents

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ティーフィン ドアン
Thi Huyen DOAN
康行 栗原
Yasuyuki Kurihara
義仁 坂本
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Abstract

【課題】閉断面リブ鋼床版のデッキ貫通き裂を的確に抑制できる鋼床版を提供する。【解決手段】略板状に形成されたデッキプレート(11)と、デッキプレート(11)の裏面側に溶接されて橋軸方向に延びる閉断面リブ(12)と、を備え、閉断面リブ(12)は、橋軸直交方向で閉断面形状に形成される閉空間(9)と、溶接金属(15)を溶融することでデッキプレート(11)の裏面側に取り付けられる端面(13)と、を有し、閉断面リブ(12)の端面(13)の一長辺が面取りされた平面(13a)を持ち、面取りされた平面(13a)をデッキプレート(11)の裏面に略平行に接触させ、前記接触している平面の一部または全部に未溶着部を有し、閉断面リブ(12)の端面(13)とデッキプレート(11)の裏面とが開先溶接されている、閉断面リブ鋼床版(1)である。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼製の橋梁に用いられ、デッキプレートの下面にリブを溶接してなる閉断面リブ鋼床版に関するものである。
橋梁には数多くの種類が知られているが、その分類の仕方によって挙げられる種類は異なる。例えば、橋梁の用途別に分類すると、道路橋、鉄道橋、管路橋などが挙げられる。越えるものに着目すると、河川橋、跨道橋、跨線橋などが挙げられる。構造形式別に分類すると、桁橋、トラス橋、アーチ橋、吊り橋などが挙げられる。また、床版形式で分類されることもあり、この場合、コンクリート系床版橋、鋼・コンクリート合成床版橋、鋼床版橋に大別される。
鋼床版橋は、図6に示すように主に鋼床版1と主桁2によって構成され、鋼床版1の上に直接アスファルト等の舗装6が敷設される。また、鋼床版1は、デッキプレート3(例えば、鋼板)と、このデッキプレート3を補剛する縦リブ4、横リブ5によって形成され、さらに、主桁2には主桁2のウェブを補剛する垂直補剛材が溶接されることもある。
鋼床版1は一般的にデッキプレート3の下面に縦リブ4や横リブ5を溶接して取り付ける構造となる。縦リブ4が閉断面となる閉断面リブ鋼床版は比較的に剛性が高く、塗装の施工性が良いため、主流となっている。しかし、近年、上記のような閉断面リブ鋼床版において、デッキプレートとリブとの間の溶接ルート部を起点とした疲労き裂が発生してデッキプレートを貫通するデッキ貫通き裂が多数発見されている。このデッキ貫通き裂は発見しにくいため、路面陥没による通行車両のトラブルの懸念があることから、対策技術の確立が必要とされている。そこで、このような鋼床版1のデッキ貫通き裂発生課題に対しては、様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1に開示された鋼床版は、デッキプレートとリブで形成される閉断面空間の内側に、デッキプレートとリブを連結する板状の内側補強材が配置された構造である。
また、特許文献2に開示された鋼床版は、デッキプレートと、デッキプレートの裏面側に溶接されて橋軸方向に延びるリブと、デッキプレートの裏面側に形成される溝部とを備える。
特開2017-133320号公報 特開2016-205024号公報
伊木 聡、他:「造船用高機能鋼―JFEスチールのライフサイクルコスト低減技術」、JFE技報、No.5、2004年8月、p.13-18 伊木 聡、他:「疲労亀裂伝播速度に及ぼすミクロ組織の影響」、JFE技報、No.33、2014年2月、p.55-61
しかしながら、従来技術では、以下のような課題があった。
特許文献1に開示された鋼床版は、デッキプレートとリブだけではなく、さらに別の補強部材を取り付ける必要がある。補強部材を加えることによって全体重量が増加し、鋼床版の優位性の一つである軽量性が損なわれる。
特許文献2に開示された鋼床版は、デッキプレートの裏側に溝を設ける必要があるため、施工性が低下する。また、デッキプレートの裏側に設ける溝が新たな応力集中箇所となり、溝から疲労き裂が発生することが懸念される。
このように、閉断面リブ鋼床版が一般的に採用されているものの、デッキプレートとリブとの間の溶接ルート部から発生するデッキ貫通き裂を抑制できる技術は現状まだ確立されていない。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであって、デッキプレートの下面にリブを溶接してなる閉断面リブ鋼床版において、デッキプレートとリブとの間の溶接ルート部から発生するデッキ貫通き裂を的確に抑制できる鋼床版を提供することを目的とするものである。
上記課題を有利に解決する本発明にかかる閉断面リブ鋼床版は、略板状に形成されたデッキプレートと、前記デッキプレートの裏面側に溶接されて橋軸方向に延びる閉断面リブと、を備え、前記閉断面リブは、橋軸直交方向で閉断面形状に形成される閉空間と、溶接金属を溶融することで前記デッキプレートの裏面側に取り付けられる端面と、を有し、前記閉断面リブの端面の一長辺が面取りされた平面を持ち、面取りされた前記平面を前記デッキプレートの裏面に略平行に接触させ、接触している前記平面の一部または全部に未溶着部を有し、前記閉断面リブの端面と前記デッキプレートの裏面とが開先溶接されていることを特徴とする。
なお、本発明にかかる閉断面リブ鋼床版は、
(a)前記閉断面リブの端面が前記デッキプレートの裏面とのなす角度の異なる2段以上の開先形状をなし、面取りされた前記平面に最も近い段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度が、他の段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度より小さく、前記閉断面リブの端面と前記デッキプレートとが開先溶接されていること、
(b)さらに、前記閉断面リブの端面では、隣り合う2段のうち、面取りされた前記平面に近い一の段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度が、他の段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度より小さいこと、
(c)前記デッキプレートに耐疲労鋼を用いていること、
などがより好ましい解決手段になり得る。
本発明によれば、デッキプレートを貫通するデッキ貫通き裂の発生を的確に抑制することができる。その結果、従来の構造と比べて長寿命の閉断面リブ鋼床版を提供することで、補修工事を低減できるとともに、交通障害等のトラブルを抑制することができる。
本発明にかかる閉断面リブ鋼床版の製作工程を示す模式断面図であって、(a1)および(a2)は、一実施形態の溶接前および溶接施工後の状態をそれぞれ示し、(b1)および(b2)は、他の実施形態の溶接前および溶接施工後の状態をそれぞれ示す。 上記実施形態にかかる溶接方法において、デッキプレートとリブとの接触長さを同一にした場合の製作工程を示す模式断面図であって、(a1)および(a2)は、上記一実施形態の溶接前および溶接施工後の状態をそれぞれ示し、(b1)および(b2)は、上記他の実施形態の溶接前および溶接施工後の状態をそれぞれ示す。 上記他の実施形態において、溶接パス数の違いを示す模式断面図であって、(a1)および(a2)は、溶接パス数が1の場合およびその拡大断面図をそれぞれ表し、(b1)および(b2)は、溶接パス数が2以上の場合およびその拡大断面図をそれぞれ表す。 従来法によって製作された閉断面リブ鋼床版のデッキ貫通亀裂の概念を表す模式断面図である。 従来法による閉断面リブ鋼床版の製作工程を示す断面模式図であって、(a1)は溶接前の状態を示し、(a2)は溶接施工後の状態を示す。 鋼床版の構造を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための設備や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
[鋼床版]
本発明は、鋼床版に関する技術であることから、まずは一般的な鋼床版の構造について
説明する。鋼床版は、図6に示すように鋼床版1と主桁2を備えており、さらに、鋼床版1は、少なくともデッキプレート3(例えば、鋼板)、縦リブ4を有している。このほかに横リブ5や、主桁2を補剛する垂直補剛材、横桁、ダイヤフラムなどを設けることもある。以下、鋼床版を構成する主部材について説明する。
[主桁]
橋台や橋脚の間に架け渡され、支間の曲げモーメントやせん断力を負担するのが主桁2である。主桁2は、I形断面とされるのが一般的で、ウェブと上下のフランジで構成されるが、既述のとおり上フランジはデッキプレート3がこれを兼ねる。図6に示すように、I形断面を所定の間隔に配置した開断面の主桁2とする場合もあるが、閉断面の箱桁形式とする場合もある。
[デッキプレート]
デッキプレート3は、舗装を介して輪荷重を直接支持するものであり、床版として主桁2間の曲げモーメントやせん断力を負担し、さらに、主桁2の上フランジとしても機能する部材である。これまでデッキプレート3の板厚は12mmとされることが多かったが、近年では疲労耐久性向上のため16mmが採用されている。また、合理化鋼床版とする場合は18mmが採用されることもある。通常は複数枚のデッキプレート3が主桁2の上に平面配置され、その継手部は溶接又は高力ボルトで接合される。道路橋の場合であれば、デッキプレート3の上にアスファルト等の舗装6が敷設され、その両側には地覆7が設けられる。
さらに、デッキプレート3に耐疲労鋼を用いることが好ましい。耐疲労鋼とは、母材の耐疲労き裂進展特性を向上させ、あるいは溶接継手の耐疲労き裂発生特性を向上させ、あるいは両特性を向上させて、溶接鋼構造物の疲労寿命を延伸させる鋼材である。一般に、適切な化学成分を有するスラブを、最適な冷却・圧延プロセスを経て製造される。たとえば、非特許文献1や非特許文献2などに記載の、疲労き裂伝播速度が従来材の1/2程度の鋼材を用いることができる。
[縦リブ]
縦リブ4はデッキプレート3を補剛する部材であり、図6に示すように、通常は橋軸方向に配置されて(支点部周りや拡幅部などでは橋軸方向に一致しない場合もある)、デッキプレート3の下面に溶接固定される。縦リブ4は開断面リブと閉断面リブの2種類に大別され、本実施形態では橋軸直角方向に閉断面空間9を有する閉断面リブを対象とする。閉断面リブとしては、Y形断面リブ、V形断面リブ、丸形断面リブ、トラフリブ(Uリブ)などが挙げられる。このうち、道路橋の場合ではトラフリブの採用が主流となっている。
開断面リブは曲げ剛性のみが期待でき、一方の閉断面リブは曲げ剛性のほかにねじり剛性も期待できるので、大支間の橋梁で多用される。本願発明は、閉断面リブで多発する疲労亀裂の対策として開発されたものであるから、以下は閉断面の縦リブ4の場合で説明する。縦リブ4の板厚は、腐食等も考慮することから8mmを最少厚として設計されるのが一般的であるが、閉断面の場合は最少板厚を6mmとして設計する場合もある。また、縦リブ4の配置間隔(橋軸直角方向の間隔)は通常30cm程度とされ、最も使用されているトラフリブはリブ高さが240mmである。
[デッキ貫通き裂のメカニズム]
発明者らは、閉断面リブ鋼床版において、デッキプレート3と縦リブ4の間の溶接ルート部から発生するデッキ貫通き裂を抑制するためには、疲労き裂の発生と疲労き裂の伝播の両方を抑制することが重要であると考えた。
まず、疲労き裂が発生するメカニズムの検討を行なった。その結果、疲労き裂は以下のようなメカニズムで発生することを解明した。閉断面リブ鋼床版の製作工程では、デッキプレート3と縦リブ4で形成される閉断面空間9の外側からデッキプレート3に縦リブ4を溶接する方法が一般的である。その際、道路橋示方書に従って設計する場合、デッキプレート3と縦リブ4の間の溶接部は、リブ板厚の75%以上の溶け込みを確保して溶接を行なう。そのため、数mm~数十mm程度の未溶着部が残る。車両が通過する際、溶接ルート部に応力集中が生じ、図4のように溶接ルート部から疲労き裂が発生する。
次に、疲労き裂の伝播について検討を行った。疲労き裂が短いとき、応力拡大係数範囲(ΔK)が小さく、き裂伝播速度が比較的に遅い。そのため、疲労き裂が短い段階で疲労き裂伝播を抑制されると疲労寿命延長効果が大きい。実橋で発見されたデッキ貫通き裂は、溶接ルート部から発生した後、溶接金属、熱影響部(Heat-Affected Zone,HAZ)、そして母材へ伝播している。
上記の疲労き裂発生と疲労き裂伝播のメカニズムに基づいて、閉断面リブ鋼床版におけるデッキ貫通き裂を抑制する方法についてさらに検討を行なった。
まず、疲労き裂の発生を抑制する方法について述べる。疲労き裂の発生を抑制するには、溶接ルート部に作用する応力を低減する必要がある。溶接ルート部に作用する応力(σ)は、車両重量による公称応力(σn)、未溶着部の形状による応力集中係数(Kt)、そして溶接による引張残留応力(σr)により決まる。そこで、デッキプレートに溶接されるリブの端面の一長辺に面取りされた平面を設け、面取りされた平面をデッキプレートの裏面に略平行に接触させ、接触している平面の一部または全部に未溶着部を有し、閉断面リブの端面とデッキプレートの裏面とを開先溶接する。面取りされた平面がデッキプレートの裏面と略平行であることにより、デッキプレートにリブを溶接した後の収縮によって未溶着部でもデッキプレートとリブが密着する。その結果、未溶着部でもデッキプレート上面から応力が伝達して、溶接ルート部に作用する公称応力(σn)が小さくなる。
従来法のU字形への板曲加工に伴ってU字外側に形成される自然開先の場合、デッキプレートにリブを溶接した後の収縮によって未溶着部でもデッキプレートとリブとが部分的に接触することがある。対して本実施形態では、デッキ裏面と平行に面取りされた部分を設けることによって、広い面積で確実にデッキプレートとリブを密着させることができ、密着している面で応力をより小さくかつ均等に伝達させることができる。
また、未溶着部でデッキプレートとリブが密着することで、端面上の見かけ上の未溶着部の範囲が小さくなり、溶接ルート部への応力集中係数(Kt)を低減できる。それによって、デッキプレートとリブとの間の溶接ルート部を起点とした疲労き裂の発生を抑制することができる。
次に、疲労き裂伝播を抑制する方法について述べる。前述のとおり、デッキ貫通き裂は、溶接ルート部から発生した後、溶接金属、HAZ、そして母材へ伝播する。HAZにおけるき裂の伝播速度は、溶接によるHAZ軟化が大きいほど速い。デッキプレートにリブを溶接する際、入熱が大きいと、一般的にHAZ軟化が大きくなるため、HAZにおけるき裂伝播速度を低減させるのに溶接の入熱を必要最低限に抑えることが効果的である。そこで、面取りに隣接する開先に渡らず部分的に溶け込ませて溶接することによって、それ以降の開先部の溶接入熱を抑え、HAZ軟化量を抑えることができるので好ましい。また、溶接入熱を必要最低限に抑えることによって、デッキプレートでのHAZの範囲を小さくすることができるので好ましい。その上で、デッキプレートに耐疲労鋼を用いるようにすれば、万一疲労き裂が発生した場合でも、HAZ部を通過した後の疲労き裂伝播を抑えて、疲労き裂がデッキプレートを貫通することを防止できるので好ましい。
[第一実施形態]
図1(a1)および(a2)に本発明の第一実施形態にかかる、それぞれ溶接前および溶接施工後の状態を模式断面図で示す。ここでは、デッキプレート11として、疲労き裂伝播速度の低い鋼材(耐疲労鋼)を使用したデッキプレート11を用いている。デッキプレート11に溶接されるリブ12の一長辺に面取りされた平面13aを設ける。面取りするリブ12の長辺は、一般にリブ12がデッキプレート11の法線から閉断面空間9側に傾斜して接合されることから、リブ12の端面13の2つの長辺のうち、デッキプレート11に接触する側の長辺とする。そして、デッキプレート11の裏面と面取りされた平面13aとは略平行に接触させる。ここで、略平行とは、後述する溶接後の溶接部の収縮によって圧縮応力を受けたときに、デッキプレート11の裏面と面取りされた平面とが面接触できる程度の傾きは許されることを意味する。デッキプレート11とリブ12で形成される閉断面空間9の外側から溶接機14によってデッキプレート11にリブ12を開先溶接する。開先溶接は、図1(a1)および(a2)に示すように、デッキプレート11の裏面とリブの端面13のなす空間をV形開先とみなして溶け込み溶接する。このとき、溶け込みが面取りした平面13aに及ばないようにする。図1(a2)に示すように、溶接施工後、溶接凝縮によりリブ12に面取りされた平面13aとデッキプレート11の裏面が面接触しているだけでなく、圧着により圧縮応力PSが付与される。
[第二実施形態]
図1(b1)および(b2)に本発明の第二実施形態にかかる、それぞれ溶接前および溶接施工後の状態を模式断面図で示す。ここでは、デッキプレート11として、疲労き裂伝播速度の低い鋼材(耐疲労鋼)を使用したデッキプレート11を用いている。デッキプレート11に溶接されるリブ12の一長辺に面取りされた平面13aを設けるとともに、リブ12の端面にデッキプレート11の裏面とのなす角度の異なる2段以上の開先形状13b、13cを形成する。第一実施形態と同様、デッキプレート11の裏面と面取りされた平面13aとは略平行に接触させる。このとき、面取りされた平面13aに隣接する開先の1段目13bがデッキプレート11の裏面となす角は、開先の2段目以降13cがなす角より小さくして開先溶接する。開先溶接は、図1(b1)および(b2)に示すように、デッキプレート11の裏面と開先13b、13cのなす空間を擬V形開先とみなして溶け込み溶接する。このとき、溶け込みが面取りした平面13aに及ばないように、開先の1段目13bの一部、とくに、面取りした平面13a側が溶け込まないようにする。図1(b2)に示すように、溶接施工後、溶接凝縮によりリブ12に面取りされた平面13aとデッキプレート11の裏面が面接触しているだけでなく、圧着により圧縮応力PSが付与される。
本実施形態では、リブ12の端面に形成された隣り合う2段のうち、面取りされた平面13aに近い側の段の開先とデッキプレート11の裏面とのなす角度が、面取りされた平面13aから遠い側の段の開先とデッキプレート11の裏面とのなす角度より小さいことが好ましい。こうすることで、開先形状がリブ12の板厚方向に一様に広がっていくこととなる。したがって、溶接ビードをより小さくして、必要な溶接入熱を抑えることができる。
上記第一実施形態および第二実施形態では、いずれも面取りした平面13aがデッキプレート11の裏面に面接触で圧着し、従来と比べて、荷重伝達の面積が大きくなるので、車両重量による公称応力(σn)を低減できる。加えて、未溶着部を予き裂とみなしても、見かけ上のき裂長さが短くなり、応力集中係数(Kt)を小さくすることができる。その結果、溶接ルート部に作用する応力σが小さくなり、溶接ルート部からの疲労き裂発生を的確に抑制することができる。
図2は、上記第一実施形態および第二実施形態で、デッキプレート11と面取りした平面13aの接触長さ、つまり、橋軸直角方向の長さaを同一とし、リブ12の板厚を同じとして、それぞれ、リブ12の端面を開先溶接した状態を示す。第二実施形態では、面取りした平面13aに隣接する開先の1段目13bが、2段目以降13cや、リブ12の端面13より狭い開先となる。したがって、図2(a2)と(b2)とを比較してわかるように、第二実施形態の溶接ビードは第一実施形態より小さくなる。つまり、第二実施形態は第一実施形態より溶接入熱を小さくすることができる。そして、溶接の残留応力(σr)を低減できる。その結果、第二実施形態は第一実施形態よりデッキ貫通き裂の発生起点となる溶接ルート部に作用する応力σ(σ=σn×Kt+σr)が小さくなる。
[第三実施形態]
図3は上記第二実施形態のデッキプレート11とリブ端面形状とを用いて、溶接のパス数を変えて開先溶接した状態をしめす模式断面図である。図3(a1)および(b1)は、1パスで溶接する場合の、それぞれ溶接施工後の状態および溶接ルート部の拡大図を示す。この場合ひとつながりの溶接金属15が形成される。図3(a1)および(b1)は、第三実施形態にかかる、2パス以上で溶接する場合の、それぞれ溶接施工後の状態および溶接ルート部の拡大図を示す。この場合、溶接金属16は初層16aと2層目以降16bとからなる。複数パスで溶接する第三実施形態は、1回あたりの溶接入熱が小さくなり、デッキプレート11の溶融深さやHAZ深さが低減できる可能性がある。
上記第一~第三実施形態を適用した鋼床版1は、いずれも溶接ルート部から発生するデッキ貫通き裂を的確に抑制することができる。
上記実施形態では、面取りされた平面13aの寸法を特に規定しない。道路橋示方書に従って設計する場合、デッキプレート11とリブ12の間の溶接部は、リブ12の板厚の75%以上の溶け込みを確保して溶接を行なう必要がある。その場合、面取りされた平面13aの幅aがリブの板厚の25%以下、好ましくはリブの板厚の5%以上20%以下とする。
また、第二実施形態では、開先の1段目13bおよび開先の2段目以降13cの寸法と角度について、特に規定しない。溶接性の向上を意図する場合、開先の1段目13bとデッキプレート11の裏面とのなす角度は45°以下が好ましい。開先の1段目13bとデッキプレート11の裏面とのなす角度の下限は0°超えであり、15°程度が好ましい。開先の2段目13c以降とデッキプレート11の裏面とのなす角度は60°以下が好ましい。さらに、溶接ビードを第一実施形態よりも小さくして必要な溶接入熱をおさえるためには、開先の1段目13bのリブ板厚方向の長さが長いほど必要な溶接入熱抑制効果が大きい。開先の1段目13bのリブ板厚方向の長さはリブ板厚の20%以上が好ましく、リブ板厚の30%以上がより好ましい。一方、開先の1段目13bのリブ板厚方向の長さの上限を限定するものではないが、面取りされた平面13aの寸法を考慮し、リブ板厚の60%程度とすることが他の段の効果を発揮するうえでより好ましい。
上記の実施形態では、リブの端面の加工方法について指定しない。レーザー加工、機械加工など、リブ端面の面取りや開先の形状不良が少ない加工方法を採用することで、より一層疲労き裂の発生が抑制される。
上記実施形態では、溶接方法について特に指定しないが、TIG溶接やフラックスコードワイヤーを用いたMAG溶接など、ビード欠陥が少ない溶接方法を採用することで、より一層疲労き裂の発生が抑制される。
本発明の鋼床版によれば、デッキプレートとリブとの間の溶接ルート部から発生するデッキ貫通き裂を的確に抑制できるので、道路としての鋼橋の運用安全性が向上し、産業上有用である。
1 鋼床版
2 主桁
3 デッキプレート
4 縦リブ
5 横リブ(閉断面リブ)
6 舗装
7 地覆
8 橋軸方向
9 閉断面空間
11 デッキプレート(耐疲労鋼)
11a デッキプレート(従来鋼)
12 (閉断面)リブ
13 (リブの)端面
13a 面取りされた平面
13b 開先の1段目
13c 開先の2段目以降
14 溶接機
15 溶接金属
15a 溶接金属
15b 溶接金属
16 溶接金属
16a 初層
16b 2層目以降
17 溶接ルート部
18 デッキ貫通き裂
PS 圧縮応力

Claims (4)

  1. 略板状に形成されたデッキプレートと、
    前記デッキプレートの裏面側に溶接されて橋軸方向に延びる閉断面リブと、を備え、
    前記閉断面リブは、橋軸直交方向で閉断面形状に形成される閉空間と、溶接金属を溶融することで前記デッキプレートの裏面側に取り付けられる端面と、を有し、
    前記閉断面リブの端面の一長辺が面取りされた平面を持ち、
    面取りされた前記平面を前記デッキプレートの裏面に略平行に接触させ、接触している前記平面の一部または全部に未溶着部を有し、前記閉断面リブの端面と前記デッキプレートの裏面とが開先溶接されている、閉断面リブ鋼床版。
  2. 前記閉断面リブの端面が前記デッキプレートの裏面とのなす角度の異なる2段以上の開先形状をなし、
    面取りされた前記平面に最も近い段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度が、他の段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度より小さく、
    前記閉断面リブの端面と前記デッキプレートとが開先溶接されている、請求項1に記載の閉断面リブ鋼床版。
  3. さらに、前記閉断面リブの端面では、隣り合う2段のうち、面取りされた前記平面に近い一の段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度が、他の段の開先と前記デッキプレートの裏面とのなす角度より小さい、請求項2に記載の閉断面リブ鋼床版。
  4. 前記デッキプレートに耐疲労鋼を用いている、請求項1~3のいずれか1項に記載の閉断面リブ鋼床版。
JP2023185495A 2022-11-10 2023-10-30 閉断面リブ鋼床版 Pending JP2024070235A (ja)

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