JP2024070203A - 接着性樹脂組成物、該組成物を用いたシート、蓋材、及び部材セット - Google Patents

接着性樹脂組成物、該組成物を用いたシート、蓋材、及び部材セット Download PDF

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、プラスチック、紙、プラスチックと紙の積層体、及びコート層を有する紙、のいずれかの基材からなる容器に安定した接着性と適度な剥離性を有し、さらに加熱処理に適応した接着性樹脂組成物、接着性樹脂組成物を基材に積層した積層シート、並びに密封容器を提供することである。【解決手段】前記課題は特定のポリマー(A)及びスチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)を含む接着性樹脂組成物であって、ワックス(B)の140℃における粘度が10~3000mPa・sであり、下記いずれかの組成を満足することを特徴とする、接着性樹脂組成物によって解決される。(1)接着性樹脂組成物100質量%中、ポリマー(A)の含有率が70~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%(2)接着性樹脂組成物100質量%中、ポリマー(A)の含有率が50~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%、無機フィラー(C)の含有率が1~40質量%【選択図】なし

Description

本発明は、接着性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、プラスチック、プラスチックと紙の積層体、及びコート層を有する紙のいずれかの基材からなる容器に対し、安定した適度な接着性を有し、さらに加熱処理に適応した接着性樹脂組成物に関する。また、該組成物を用いたシート、蓋材、及び開封可能な密封容器用部材セットに関する。
従来から、カップ麺やカップスープ、スナック菓子、ヨーグルトやゼリー等の冷菓などの包装容器として、ポリエチレン製容器、ポリプロピレン製容器、ポリエステル製容器などのプラスチック製容器、ポリエチレン系樹脂で被覆された紙製容器、コート層を有する紙製容器などが使用されている。これらの容器の蓋材には、通常、容器本体の開口部(フランジともいう)と接着する面にヒートシールにより接着性が発現する接着性樹脂組成物を用いた積層体が使用されている。接着性樹脂組成物には安定した適度な接着性が求められるが、容器の材質によって接着性が異なるため、各種容器専用の接着性樹脂組成物を設定する必要があった。
一方、食品衛生性の観点で、特に弁当やグラタンなどは容器のままレンジやオーブンに入れて加熱処理するため、加熱された食品の水分や油脂などが接着性樹脂組成物の成分を溶出させる懸念があった。そのため、加熱処理する用途においては蓋材ではなく、容器にはめ込むプラスチック製のかぶせ蓋が主に使用されている。しかし、かぶせ蓋は蓋材に比べプラスチックの使用量が多く成型加工の生産性が悪いため、環境面や生産性に課題があった。
近年では、さまざまな材質の容器に対して接着性を両立した検討が成されている。特許文献1は、エチレン-酢酸ビニル共重合体と粘着付与樹脂を含む樹脂組成物が提案されている。この樹脂組成物はさまざまな種類のプラスチック容器に対し接着性に優れているが、粘着付与樹脂は耐油性がない(食品の油脂により溶出する)ため加熱処理する用途に適さず、常温、冷蔵、冷凍などの環境下の使用に制限される。
特許文献2は、エチレン-不飽和エステル共重合体、スチレンモノマーがグラフトされたポリエチレンワックス、融点が40℃以上80℃未満、120℃ におけるセイボルトユニバーサル粘度が20~300秒であるワックスを含むホットメルト接着剤が提案されている。このホットメルト接着剤は耐油性に優れるが、融点が40℃以上80℃未満のワックスを多量に含むため、加熱処理時の溶融により食品への混入や蓋材としての機能を失う恐れがあった。
特許文献3は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、低分子量ポリエチレンワックスからなるポリエチレン用易剥離性接着剤が提案されている。このポリエチレン用易剥離性接着剤は耐油性、耐熱性があり、かつ、ポリエチレン製容器、またはポリエチレン系樹脂で被覆された紙製容器に接着性と剥離性に優れるが、ポリエステル製容器やコート紙には接着性しなかった。
特開2020-158763号公報 特開2017-149850号公報 特開2007-112955号公報
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、プラスチック、プラスチックと紙の積層体、及びコート層を有する紙のいずれかの基材からなる容器に安定した適度な接着性を有し、さらに加熱処理に適応した接着性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、該組成物を用いたシート、蓋材、及び開封可能な密封容器用部材セットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、
DSC融点が80~155℃のポリマー(A)及びスチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)を含む接着性樹脂組成物であって、
ポリマー(A)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
ワックス(B)の140℃における粘度が10~3000mPa・sであり、
下記いずれかの組成を満足することを特徴とする、接着性樹脂組成物とすることで上記課題を解決することを見出した。
(1)接着性樹脂組成物100質量%中、ポリマー(A)の含有率が70~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%
(2)接着性樹脂組成物100質量%中、ポリマー(A)の含有率が50~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%、無機フィラー(C)の含有率が1~40質量%
また、本発明はスチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)が、ワックス(B)100質量%中のスチレンモノマー含有率が10~80質量%のものであることを特徴とした前記接着性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、JIS.K7210に準ずる190℃、21.168Nにおけるメルトマスフローレートが1~100g/10分である前記接着性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、基材上に前記接着性樹脂組成物の膜が積層されたシートに関する。
また、本発明は、前記積層シートから形成されてなる蓋材に関する。
また、本発明は、プラスチック、プラスチックと紙の積層体、及びコート層を有する紙のいずれかの基材からなる容器本体と、前記蓋材とからなる開封可能な密封容器用部材セットに関する。
本発明により、プラスチック、プラスチックと紙の積層体、及びコート層を有する紙のいずれかの基材からなる容器に安定した適度な接着性を有し、さらに加熱処理に適応した接着性樹脂組成物、該組成物を用いたシート、蓋材、及び開封可能な密封容器用部材セットを得ることができる。
以下に、本発明の接着性樹脂組成物、これを積層した積層シート、該積層シートから製造される蓋材、この蓋材と容器をヒートシールにより接着させた密封容器について、更に詳細に説明する。
本明細書において、特に記載がない限り、「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
なお、本発明においてメルトマスフローレート(MFR)とは、JIS.K7210に準拠して測定を行い、ヒーターで加熱された円筒容器内で一定量の樹脂などを温度190℃、荷重21.18Nで加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂などの量を測定した値を示し、「g/10分」で表示する。
<ポリマー(A)>
ポリマー(A)は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。その中でも、スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)との相溶性からポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル、及びエチレンとプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、又はそれ以上の炭素鎖のアルケンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とを任意の比率で混合した単量体からなる共重合体を用いることができる。なお、エチレンとプロピレン、及びエチレンとブテンの共重合体については、単量体の合計100質量%中のエチレンの含有量が50質量%以上のものはポリエチレン系樹脂に含まれるものとする。その中でも押出ラミネート加工性の面から低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。特に高圧法で製造される低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合、またはプロピレンとエチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、又はそれ以上の炭素鎖のアルケンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とを混合した単量体からなる共重合体を用いることができる。なお、エチレンとプロピレン、及びプロピレンとブテンの共重合体については、単量体の合計100質量%中のプロピレンの含有量が50質量%以上のものはポリプロピレン系樹脂に含まれるものとする。その中でも押出ラミネートによる塗工性からポリプロピレン-エチレン共重合体が好ましい。
ポリブテン系樹脂は、1-ブテン、2-ブテン、イソブチレン(これらを総称してブテンと記載することがある)の単独重合または共重合により得られる重合体が挙げられる。加えて、これらの単量体とエチレン、プロピレン、ペンテン、ヘキセン、又はそれ以上の炭素鎖のアルケンの中からなる群より選ばれる少なくとも1種とを任意の比率で混合した単量体からなる共重合体を用いることができる。なお、ブテンとエチレン、及びブテンとプロピレンの共重合体については、単量体の合計100質量%中のブテンの含有量が50質量%以上のものはポリブテン系樹脂に含まれるものとする。その中でも押出ラミネートによる塗工性から1-ブテン-エチレン共重合体が好ましい。
ポリマー(A)のDSC融点は、80~155℃であり、85~153℃が好ましく、90~150℃がより好ましい。上記範囲内であると、ヒートシールする際は十分溶融することにより接着性を発現し、加熱処理する際は接着性を維持させることができる。
なお、DSC融点はDSC―60A plus(島津製作所社製示差走査型熱量計)を用
いて、アルミパン上に約5mg秤量した試料を窒素気流下で0℃~200℃の温度範囲を10℃/分の昇温速度で測定された吸熱曲線の最大値の値である。
ポリエチレン系樹脂の190℃におけるメルトマスフローレート(以下、MFR)は、0.1~50g/10分が好ましく、0.5~40g/10分がより好ましく、1~30g/10分がさらに好ましい。上記範囲内であると、押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。
ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂の230℃におけるMFRは0.1~50g/10分が好ましく、0.5~40g/10分がより好ましく、1~30g/10分がさらに好ましい。上記の範囲内であると、押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。
無機フィラー(C)を含有しない接着性樹脂組成物におけるポリマー(A)の含有率は、接着性樹脂組成物100質量%中70~95質量%であり、73~92質量%が好ましく、75~90質量%がより好ましい。上記範囲内であると、塗工の安定化と、さまざまな容器への接着性を両立することができる。
無機フィラー(C)を含有する接着性樹脂組成物におけるポリマー(A)の含有率は、接着性樹脂組成物100質量%中50~95質量%であり、55~90質量%が好ましく、60~85質量%がより好ましい。上記範囲内であると、塗工の安定化と、さまざまな容器への接着性を両立することができる。
ポリマー(A)として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂は単独でも2種類以上含有しても良いが、剥離する際の剥離形態が異なる。単独の場合は容器と接着性樹脂組成物との間で剥離する界面剥離、2種類以上含有する場合は各樹脂が非相溶あるいは部分相溶で混ざらないため接着性樹脂組成物の層内で剥離する凝集破壊になる。そのため、用途によって界面剥離タイプと凝集破壊タイプで使い分けされる。2種類以上含有する場合、含有量が最も多いポリマーを1種類目、それ以外を2種類目以降とし、2種類目以降の合計含有量は、接着性樹脂組成物100質量%中30%質量%以下が好ましい。2種類目以降の合計含有量が30質量%以下であることにより押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。また、無機フィラー(C)もポリマー(A)に非相溶で混ざらないため凝集破壊になる。ポリマー(A)は1種単独で無機フィラー(C)を含有する場合、無機フィラーの含有量は、接着性樹脂組成物100質量%中40質量%以下が好ましい。ポリマー(A)は1種単独で無機フィラー(C)の含有量が40質量%以下であることにより押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。ポリマー(A)を2種類以上含有しかつ無機フィラー(C)を含有する場合、ポリマー(A)の2種類目以降と無機フィラー(C)の合計含有量は、接着性樹脂組成物100質量%中40%質量%以下が好ましい。ポリマー(A)の2種類以降と無機フィラー(C)の含有量が40質量%以下であることにより押出ラミネートによる塗工をより安定化できる。
<スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)>
スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)は、接着性を向上する目的で使用される。ポリマー(A)はポリエチレン製容器、ポリプロピレン製容器、及びポリエチレン系樹脂で被覆された紙製容器に対して接着性が高すぎるため、蓋材の破断や容器の変形を引き起こすが、スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)を含有することにより、スチレンが適度な接着阻害となり良好な接着性が得られる。
また、ポリマー(A)はポリエステル製容器、コート層(特にスチレン系やアクリル系のコート剤)を有する紙製容器に対して接着しないが、スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)を含有することにより、ワックスの溶融時の濡れ性とスチレンのポリエステルまたはコート層への投錨性により良好な接着性が得られる。
スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)は、B型粘度計で測定した140℃における粘度が10~3000mPa・sであって、スチレンモノマーがグラフトされていれば制限はなく、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン-プロピレン共重合体ワックス、エチレン-酢酸ビニル共重合体ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。その中でもヒートシール性と耐熱性の両立からポリエチレンワックス、エチレン-プロピレン共重合体ワックスが好ましい。
これらは単独または2種類以上使用できる。
スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)は、ワックス(B)100質量%中のスチレンモノマー含有率が10~80質量%のものであることが好ましい。
ワックス(B)100質量%中のスチレンモノマーの含有率は、15~70質量%がより好ましく、20~60質量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、さまざまな容器に対し適度な接着性を発現できる。
スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)の140℃におけるB型粘度計による粘度は、10~2000mPa・sがより好ましく、10~1500mPa・sがさらに好ましい。上記範囲内であると、濡れ性と投錨性によりさまざまな容器に対し適度な接着性を発現できる。
なお、粘度はJIS.K6862に準じて行い、B型粘度計(測定条件:140℃、ローターNo.3、30rpm、30秒間)で測定した値である。
スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)の融点は特に制限されないが、60~150℃が好ましく、70~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。上記範囲内であると、ヒートシール時の溶解性と加熱処理時の接着性のバランスをとることができる。
なお、融点はDSC―60A plus(島津製作所社製示差走査型熱量計)を用いて、アルミパン上に約5mg秤量した試料を窒素気流下で0℃~200℃の温度範囲を10℃/分の昇温速度で測定された吸熱曲線の最大値の値である。
スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)の含有率は、接着性樹脂組成物100質量%中5~30質量%であり、8~27質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましい。上記範囲内であると、さまざまな容器に対し適度な接着性の発現と塗工の安定化を両立できる。
<無機フィラー(C)>
無機フィラーは、例えばシリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ、チタニア、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。平均粒子径は接着性樹脂組成物の厚みより薄ければ特に制限されないが、0.1~20μmが好ましい。また、粒子の形状としては層状、球状、立方体状等が挙げられ、分散性から層状が好ましい。
これらは単独または2種以上使用できる。
無機フィラー(C)の含有率は、接着性樹脂組成物100質量%中、1~40質量%である。5~30質量%がより好ましい。配合量が1~40質量%であると、剥離を滑らかにすることができる。
≪接着性樹脂組成物≫
本発明の接着性樹脂組成物は、下記いずれかの組成を満足する。
(1)接着性樹脂組成物100質量%中、ポリマー(A)の含有率が70~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%
(2)ポリマー(A)の含有率が50~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%、無機フィラー(C)の含有率が1~40質量%
さらに、任意成分として酸化防止剤、ブロッキング防止剤などを含有できる。
酸化防止剤は、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましく、リン系酸化防止剤は、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル) フォスファイトが好ましい。
これらは単独または2種以上使用できる。
ブロッキング防止剤は、例えば滑剤、無機質微粉末及び有機質微粉末を用いることができる。
滑剤としては、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
無機質微粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、ケイ酸微粉末、合成ケイ酸塩、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
有機質微粉末としては、耐熱性を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン、アクリル、ナイロン、尿素系樹脂等からなるフィラー、スチレン架橋フィラー、ベンゾグアナミン架橋フィラー等が挙げられる。
これらは単独または2種以上使用できる。
上記の任意成分の含有率は、物性との関係で様々であるため下限値は限定できない。しかし、その上限値は、接着性樹脂組成物100質量%中、10質量%以下が好ましく、8質量% 以下がより好ましい。配合量が10質量%以下であると、任意成分の接着性、耐油性、耐熱性への影響を抑えることができる。
本発明の接着性樹脂組成物は従来公知の方法で製造することができる。ポリマー(A)、スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)または、ポリマー(A)、スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)及び無機フィラー(C)と、必要に応じ用いられる添加剤とを、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの混合装置に投入し、ブレンド時間5~20分間で混合した後、押出機に入れ、加熱混練した後押し出すことにより接着性樹脂組成物が得られる。接着性樹脂組成物は通常ペレット形状に加工し、後の工程で利用される。押出機としては、例えば二軸押出機などが好ましいものとして挙げられるが、これに限られるものではない。また、押出は、通常140~200℃で行われる。
本発明の接着性樹脂組成物は、JIS.K7210に準ずる190℃、21.168Nのメルトマスフローレートが1~100g/10分であることが好ましく、3~50g/10分がより好ましく、5~40g/10分が更に好ましい。上記範囲内であると、押出ラミネーターによる塗工が安定する。
≪積層シート≫
本発明の積層シートは、基材上に前記接着性樹脂組成物の膜が積層されたシートである。
使用される基材としては、紙、アルミニウム、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アルミ蒸着ポリエステル、アルミ蒸着ポリプロピレン、シリカ蒸着ポリエステルなどを挙げることができる。基材は、単層である必要はなく、二層以上の積層体であっても良い。基材の厚みには特に制限はないが、1~300μmが好ましい。
接着性樹脂組成物の基材への積層方法としては、例えば、前記のごとくペレット化された接着性樹脂組成物を用い、インフレーション法あるいはキャスト法などにより単層フィルム化し、このフィルムを基材と(必要であれば接着剤層を介して)、積層する方法が挙げられる。あるいは、混練された組成物を直接基材に被覆してもよいし、更に他の方法がとられてもよい。
基材と接着性樹脂組成物の接着性を改善するために、基材面に火炎処理、オゾン処理、コロナ放電処理、アンカーコート剤による処理が行われてもよい。ポリエチレン系樹脂を予めラミネートしてある基材に対しては、ダイレクトに押出しラミネートすることも可能である。また、ポリエチレンやポリプロピレン等との共押出しで多層フィルム化しておき、ドライラミネーション又はサンドラミネーションにより、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムと積層することにより、積層シートを得ることもできる。この場合にも、基材と接着性樹脂組成物の接着性を改善するために、必要であれば、基材面に対し、火炎処理、オゾン処理、コロナ放電処理、アンカーコート剤による処理などが行われてもよい。また、積層シートにおける接着性樹脂組成物の膜の厚みは、通常5μm以上であり、10μm以上が好ましい。
なお、本発明における積層シートは、長尺及びカットされた短尺のフィルム、シートを包含するものである。また、基材は単層のもの及び複数の層からなる積層物をも包含するものである。
≪蓋材≫
本発明の積層シートは、密封対象である容器本体の開口形状に合わせて裁断され蓋材として好適に用いられる。
≪開封可能な密封容器用部材セット≫
本発明の開封可能な密封容器用部材セットは、蓋材と容器のフランジとを接触させ加熱
する(ヒートシールする)ことによって両者を接着して密封容器として好適に用いられる。
ヒートシールする条件は、基材の素材や厚み、容器の素材やフランジの形状、幅、硬さにより異なるため一義的に決められないが、温度は130~220℃、圧力は0.2~3MPa、時間は0.2~3秒であることが好ましい。常温での開封強度は5~20Nの範囲であることが好ましく、この範囲であれば良好な接着性と言える。本発明の開封可能な密封容器は、例えば弁当、グラタン、ゼリー、プリン、冷菓、乾燥菓子、カップ麺などを包装することができる。
容器本体の基材は、プラスチック、プラスチックと紙の積層体、及びコート層を有する紙のいずれかであることが好ましい。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。紙としては、植物繊維(パルプ)をシート状にしたものであれば制限はなく、クラフト紙、洋紙(上質紙、中質紙、板紙など)、和紙などが挙げられる。
プラスチックと紙の積層体としては、紙/ポリエチレン、紙/ポリプロピレン、紙/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
また、コート層を有する紙のコート層を形成するためのコート剤としては、耐油性、耐水性の高いアクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル-スチレン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ表すものとする。
MFR、粘度、DSC融点は次の方法で測定した。
[MFR]
JIS.K7210に準拠し、メルトインデクサーL244(宝工業株式会社製メルトインデクサー)を用いて、内径9.55mm、長さ162mmのシリンダにサンプルを充填し、190℃または230℃で6分間溶融、温調した後、重さ21.18N、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに押出された樹脂量(g/10分)を測定した。6分間溶融、温調している間に、熱可塑性樹脂組成物が流れ出て測定ができない場合、MFRを>200とした。
[粘度]
VISCOMETER TVB-10(TOKI SANGYO社製B型粘度計)を用いて、温度140℃にて、ローターNo.3、30rpm、30秒で測定した。
[DSC融点]
DSC―60A plus(島津製作所社製示差走査型熱量計)を用いて、アルミパン上に約5mg秤量した試料を窒素気流下で0℃~200℃の温度範囲を10℃/分の昇温速度で測定された吸熱曲線の最小値を求めた。
[実施例1]
<接着性樹脂組成物の製造>
ポリマー(A)としてA1を90部、スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)としてB1を10部、ブロッキング防止剤として、インクロスリップC(クローダ社製、エルカ酸アミド)を0.1部、及び酸化防止剤として、IRGANOX 1010(BASF社製、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.1部をはかり取り、ヘンシェルミキサーで5分間プリブレンドした。ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダーを用いて下記押出機に供給し、実施例1の接着性樹脂組成物を得た。
≪押出機条件≫
押出機:アイ・ケー・ジー社製同方向回転二軸押出機PMT32-40.5
バレル温度:130~180℃
スクリュー回転速度:80rpm
供給速度:15kg/hr
<接着性樹脂組成物の評価>
得られた接着性樹脂組成物のMFRを測定した。また、下記に従って積層シート(蓋材)を作製し、該積層シートを用いて、各素材の密封容器(紙/PE、PP、PET)、並びにコート紙シール物(紙/アクリル)の接着強度、耐油性及び耐熱性を以下の方法及び基準に基づいて評価した。
<積層シート(蓋材)の製造>
得られた接着性樹脂組成物を、押出ラミネーターを用いて、PET12μm/PE25μmの基材シートのPE面(下地材)に厚さ20μmで積層して積層シートを作製した。以下に塗工条件を示す。
押出ラミネーター:ムサシノキカイ製400M/MテストEXTラミネーター
ダイ直下樹脂温度:180℃~320℃
加工速度:30m/分
Tダイ幅:400mm
冷却ロール表面温度:20℃
<紙/PE密封容器の製造>
ポリエチレンフィルムが内側に積層された円筒状の紙容器(外径:95mmφ)の開口部周辺のフランジ部(幅約4mm)に実施例1で得られた積層体の熱可塑性樹脂組成物面を重ね合わせ、MODEL2005(トーワテクノ社製)を用い、シール温度:150℃、シール圧力:0.1MPa/カップ、シール時間:1秒の条件にてヒートシールし、紙/PE密封容器を得た。
<PP密封容器の製造>
円筒状のPP容器(外径:95mmφ)の開口部周辺のフランジ部(幅約4mm)に実施例1で得られた積層体の熱可塑性樹脂組成物面を重ね合わせ、MODEL2005(トーワテクノ社製)を用い、シール温度:180℃、シール圧力:0.2MPa/カップ、シール時間:1秒の条件にてヒートシールし、PP密封容器を得た。
<PET密封容器の製造>
円筒状のPET容器(外径:95mmφ)の開口部周辺のフランジ部(幅約4mm)に実施例1で得られた積層体の熱可塑性樹脂組成物面を重ね合わせ、MODEL2005(トーワテクノ社製)を用い、シール温度180℃、シール圧力:0.2MPa/カップ、シール時間:1秒の条件にてヒートシールし、PET密封容器を得た。
<コート紙のコート剤となる樹脂の製造>
攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール60.7部を仕込み、攪拌しながら、窒素還流下で温度80℃まで昇温した。次に、一方の滴下ロートに、スチレン35.0、α-メチルスチレン35.0部、アクリル酸30.0部を仕込み3時間かけて滴下した。他方の滴下ロートに、重合開始剤としてジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート4.0部をイソプロピルアルコール6.0部に溶解させて仕込み、4時間かけて滴下した。滴下完了後、還流温度で10時間反応を継続した後反応を終了した。さらにイソプロピルアルコールで不揮発分を45%に調整することで樹脂溶液を得た。樹脂溶液を減圧乾燥して、重量平均分子量8600の樹脂を得た。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の値。乾燥させた樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、0.1%溶液を調製し、以下の装置ならびに測定条件により重量平均分子量を測定した。
装置:HLC-8320-GPCシステム(東ソー社製)
カラム;TSKgel-SuperMultiporeHZ-M0021488
4.6mmI.D.×15cm×3本(分子量測定範囲 約2千~約200万)
溶出溶媒;テトラヒドロフラン
標準物質;ポリスチレン(東ソー社製)
流速;0.6mL/分、試料溶液使用量;10μL、カラム温度;40℃。
<コート紙のコート剤となるエマルジョンの製造>
攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、減圧乾燥で溶剤を除
いて得られた前記樹脂100部、濃度25%のアンモニア水23.3部、イオン交換水336.7部を仕込んだ。撹拌しながら70℃まで昇温させて樹脂を溶解した。溶解後、窒素還流下で温度80℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートを準備し、一方の滴下ロートに、不飽和単量体としてエチレングリコールジメタクリレート1.6部、不飽和単量体としてメチルメタクリレート47.0部、及びn-ブチルアクリレート51.4部を仕込み2 時間かけて滴下した。他方の滴下ロートに、重合開始剤として濃度20%の過硫酸アンモニウム水溶液1部を仕込み2時間かけて滴下した。滴下完了後、1時間攪拌を継続した後反応を終了した。次いでイオン交換水で溶液の不揮発分を40質量% に調整してコアシェル型ポリマーを含有するエマルジョンを得た。
<コート剤の製造>
上記エマルジョンとワックスとしてS-483(ポリエチレン粉末、ワックスの融点113℃、ShamrockTechnologies社製)とを不揮発分で換算してコアシェル型ポリマーとワックスの重量比が100:7となるように配合し、次いでディスパーで目視にて均一となるまで攪拌した。次いで酸化亜鉛をコアシェル型ポリマーのコア部とシェル部の合計100重量部に対して、0.3重量部添加しディスパーで目視にて均一となるまで攪拌してコート剤を得た。
<コート紙の製造>
得られたコート剤をバーコーター#6使用して、乾燥後の重量が5g/mになるように市販の衛生紙(坪量30g/m、片面光沢処理済)の光沢面に塗工した。塗工後、熱風オーブンで70℃・30秒乾燥することでコート紙を得た。
<コート紙シール物の製造>
上記コート紙と実施例1で得られた積層体を15mm幅の短冊状に断裁し、積層体の熱可塑性樹脂組成物面とコート紙のコート面を重ね合わせ、シール温度:180℃、シール圧力:0.2MPa、シール時間:1秒の条件にてヒートシールし、コート紙シール物を得た。
(1)接着強度
実施例1の積層体を用いて紙/PE密封容器、コート紙シール物、PP密封容器、PET密封容器を作製し1日静置した後、23℃、相対湿度65%(65%RH)の環境下で、引張試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所社製)を用い、開封角度90度角、開封速度200mm/分にて、蓋材を約50%剥がす際の接着強度を測定し、最大値を読み取った。
◎:7N以上15N未満:非常に良好
○:5N以上7N未満、または15N以上20N未満:良好
△:3N以上5N未満、または20N以上で基材破断かつ容器変形なし:使用可
×:3N未満、または20N以上で基材破断かつ容器変形あり:使用不可
(2)耐油性
10cm×10cmに断裁した実施例1で得られた積層シートとn-ヘプタン溶液200mLをあらかじめ重量を測定したナス型フラスコに投入し、25℃1時間浸漬させた。その後、積層体を取り除きn-ヘプタン溶液を105℃で蒸留、乾燥させた。再度ナス型フラスコの重量を測定し、あらかじめ測定した重量の差を算出した。これは厚生労働省告示370号における合成樹脂製の器具又は容器包装の規格に則った方法であり、合格基準は30μg/mLである。
○:重量差が30μg/mL以下だった:良好
×:重量差が30μg/mLを超えた:使用不可
(3)耐熱性
円筒状のPP容器(外径:95mmφ)の開口部周辺のフランジ部(幅約4mm)に実施例1で得られた積層シートの熱可塑性樹脂組成物面を重ね合わせ、MODEL2005(トーワテクノ社製)を用い、シール温度:100℃、シール圧力:0.1MPa/カップ、シール時間:10秒の条件にてヒートシールし、PP密封容器を得た。2時間静置後、引張試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所社製)を用い、開封角度90度角、開封速度200mm/分にて、蓋材を約50%剥がす際の接着強度を測定し、最大値を読み取った。
○:0.2N未満:熱可塑性樹脂組成物が溶解しないため良好
△:0.2以上1N未満:熱可塑性樹脂組成物がわずかに溶解するが実用上問題ないため使用可
×:1N以上:熱可塑性樹脂組成物が溶解しているため使用不可
[実施例2~10、12~23及び比較例1~7]
表1、表2の組成にしたがって、実施例1と同様の方法で実施例2~10、実施例12~23、比較例1~7の接着性樹脂組成物、積層シート及び密封容器並びにシール物を作製し評価した。
[実施例11及び比較例8]
表1、表2の組成にしたがって、実施例1と同様の方法で実施例11及び比較例8の接着性樹脂組成物を作製した。
得られた接着性樹脂組成物を、押出ラミネーターを用いて、PET12μm/PE25μmの基材シートのPE面にAC剤を0.5g/mで塗工し乾燥させた後、厚さ20μmで積層して積層シートを作製し、密封容器並びにシール物を作製し評価した。塗工は実施例1と同じ条件で実施した。
AC剤:オリバインEL-720(東洋モートン社製/ポリオレフィン系)
粘度:200mPa・s(25℃)
不揮発分:約2.5%
塗工:バーコーター#10を用いてハンド塗工により塗工した
乾燥:80℃オーブンで30秒間
[比較例9]
表2に示した材料と配合量で、ワックス(B)及びワックス2を攪拌機の備えられたステンレスビーカーに加え、150℃に加熱溶融後、撹拌を開始し、ポリマー(A)と添加剤を添加し、完全に混合するまで撹拌して比較例9の接着性樹脂組成物を得た。
得られた接着性樹脂組成物を、PET12μm/PE25μmの基材シートのPE面上に、グラビアコーターを使用して、塗布量20g/mで塗工により積層シートを作製し、密封容器並びにシール物を作製し評価した。
[比較例10及び比較例11]
表3の組成にしたがって、実施例1と同様の方法で比較例10及び比較例11の接着性樹脂組成物を作製した。しかしながら、得られた接着性樹脂組成物は塗工不可(押出ラミネーターを用いて塗工する際、樹脂組成物がちぎれてしまう)のため、積層シートおよび密封容器並びにシール物の作製、評価ができなかった。



なお、表1~3中の各成分は以下のものを示す。
<ポリマー(A)>
A1:ペトロセン213 (東ソー社製、低密度ポリエチレン、MFR(190℃):8g/10min、DSC融点:103℃)
A2:ペトロセン170 (東ソー社製、低密度ポリエチレン、MFR(190℃):1g/10min、DSC融点:107℃)
A3:ペトロセン209 (東ソー社製、低密度ポリエチレン、MFR(190℃):45g/10min、DSC融点:100℃)
A4:ルミタック43-1 (東ソー社製、直鎖状超低密度ポリエチレン(エチレン-ブテン共重合体)、MFR(190℃):8g/10min、DSC融点:113℃)
A5:ウルトラセン526 (東ソー社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有率:7%、MFR(190℃):25g/10min、DSC融点:95℃)
A6:アクリフトWH401-F (住友化学社製、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル含有率:20%、MFR(190℃):20g/10min、DSC融点:86℃)
A7:SB-550 (LOTTE社製、ポリプロピレン-ポリエチレン共重合体、MFR(230℃):8g/10min、DSC融点:143℃)
A8:SB-520 (LOTTE社製、ポリプロピレン-ポリエチレン共重合体、MFR(230℃):1.8g/10min、DSC融点:150℃)
A9:タフマーBL-3110(三井化学社製、ブテン-エチレン共重合体、MFR(230℃):3g/10min、DSC融点:112℃)
<その他ポリマー>
A’-1:ウルトラセン640(東ソー社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有率:25%、MFR(190℃):3g/10min、DSC融点:75℃)
A’-2:FO-135 (LOTTE社製、ポリプロピレン共重合体、MFR(230℃):3g/10min、DSC融点:160℃)
なお、上記MFRの荷重は21.168Nで行った。
<ワックス(B)>
B1:ハイワックス1120H(三井化学社製、スチレンモノマーが20質量%グラフトされたエチレン-プロピレン共重合体(スチレンモノマー含有率20質量%)、140℃における粘度:40mPa・s、DSC融点:107℃)
B2:ハイワックス1140H(三井化学社製、スチレンモノマーが40質量%グラフトされたエチレン-プロピレン共重合体(スチレンモノマー含有率40質量%)、140℃における粘度:300mPa・s、DSC融点:102℃)
B3:ハイワックス1160H(三井化学社製、スチレンモノマーが60質量%グラフトされたエチレン-プロピレン共重合体(スチレンモノマー含有率60質量%)、140℃における粘度:1100mPa・s、DSC融点:104℃)
<無機フィラー(C)>
C1:MS-P(日本タルク社製、含水ケイ酸マグネシウム、層状、平均粒子径14μm)
C2:SG95(日本タルク社製、含水ケイ酸マグネシウム、層状、平均粒子径2μm)
C3:NS100(日東粉化工業社製、炭酸カルシウム、粒状、平均粒子径2μm)
<その他>
ワックス1:ハイワックス220P(三井化学社製、エチレン-プロピレン共重合体、140℃における粘度:80mPa・s、DSC融点:110℃)
ワックス2:パーバン1353(TWC社製、パラフィンワックス、DSC融点:62℃、セイボルトユニバーサル粘度(120℃):37秒)
粘着付与樹脂:アルコンP-100(荒川化学工業社製、脂環族飽和炭化水素樹脂、DSC融点:54℃)
表1~3の結果から明らかなように、比較例では結果は不十分であったのに対し、実施例では良好な結果を示している。

Claims (6)

  1. DSC融点が80~155℃のポリマー(A)及びスチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)を含む接着性樹脂組成物であって、
    ポリマー(A)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
    ワックス(B)の140℃における粘度が10~3000mPa・sであり、
    下記いずれかの組成を満足することを特徴とする、接着性樹脂組成物。
    (1)接着性樹脂組成物100質量%中、ポリマー(A)の含有率が70~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%
    (2)接着性樹脂組成物100質量%中、ポリマー(A)の含有率が50~95質量%、ワックス(B)の含有率が5~30質量%、無機フィラー(C)の含有率が1~40質量%
  2. スチレンモノマーがグラフトされたワックス(B)が、ワックス(B)100質量%中のスチレンモノマー含有率が10~80質量%のものであることを特徴とした、請求項1記載の接着性樹脂組成物。
  3. JIS.K7210に準ずる190℃、21.168Nにおけるメルトマスフローレートが1~100g/10分である、請求項1記載の接着性樹脂組成物。
  4. 基材上に、請求項1~3いずれか1項記載の接着性樹脂組成物の膜が積層された積層シート。
  5. 請求項4記載の積層シートから形成されてなる蓋材。
  6. プラスチック、プラスチックと紙の積層体、及びコート層を有する紙のいずれかの基材からなる容器本体と、請求項5記載の蓋材とからなる、開封可能な密封容器用部材セット。


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