JP2024068738A - 建築用パネルの取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】建築物を遠くからみたときに壁面の凹凸デザインを認識できるようにすることで壁面のデザイン性を向上させることができる建築用パネルの取付構造を提供する。【解決手段】押出成形セメント板26、27、28が縦横に配設され壁面Gとして建築物へ取り付けられた建築用パネルの取付構造1である。複数の押出成形セメント板のうち、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの押出成形セメント板2、2の厚みtを異なるものとして、厚み方向における各表面位置10を互いに異ならせるように取り付け、隣り合う押出成形セメント板の表面2h、2h間に高低差8を設け、壁面の凹凸を遠くからでも認識できるようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の内外壁等に用いる建築用パネルの取付構造であり、特に厚みの異なる表面が平滑な建築用パネルを縦横に組み合わせることで壁面を構成するデザイン性に優れた取付構造である。
押出成形セメント板や軽量気泡コンクリート(ALC)等の建築用パネルにおいては、表面が平滑なフラットパネル以外に、表面にリブやエンボスによる凹凸模様を付与して壁面のデザイン性を高めるデザインパネルが存在する。このようなデザインパネルとしては、パネル表面に均等幅のリブを形成したデザインパネル、複数の異なる幅のリブを組み合わせて形成したデザインパネルが知られている。更に、パネル表面にグリッド状の模様を設けたグリッドデザインパネル、パネル表面にランダムな凹凸を設けたエンボスデザインパネル等も知られている。
非特許文献1には、多様なリブ形状を有する7種類のデザインパネルを建物外壁にランダムに配置することで、一日の時間経過と共に壁面の表情が変化する特徴的な建物になるといったことが記載されている。このように様々なリブ形状のデザインパネルをランダムに組み合わせることで、同色塗装であっても豊かな表情を付与できることが記載されている。
特許文献1には、定寸の矩形状基材に、厚み寸法及び横寸法は任意で、縦寸法は一定に設定した直方体のブロックを、方向を揃えて多数が配列するように接着したパネルが記載されている。
特許文献2には 、所定の厚みを有する複数の吸音材を壁材に接着して形成する吸音壁であって、複数の吸音材を互いに所定の間隔で壁材上に複数配置し、吸音材の露出した側面の面積が少なくとも所定の間隔の面積よりも大きくなるようにした吸音壁が記載されている。
株式会社ノザワ NOZAWA NEWS Vol.38(2016年)
特開2011-256560号公報 特開2010-031509号公報
従来のデザインパネルはいずれもパネル単体の表面に多様なデザインが施されたものであり1枚パネルのみでデザインが完結されたものとなっている。このデザインパネルを遠くから見た場合には、パネル表面に形成された多数のリブが単にストライプ状に見えたり、パネル表面の模様等が判別できず単なるフラットパネルに見えてしまう。そのため、立体的なデザインを判別しにくくなり、単調なフラットな壁面デザインに見えてしまう可能性がある。
非特許文献1のようにデザインパネルを組み合わせて壁面を構成した場合も同様であり、遠方から見たとき、リブが判別できず、リブの陰影によって単に色の異なるパネルに見え、フラットな壁面に色の異なるパネルが取り付けられていると認識されてしまう可能性がある。
特許文献1の場合であっても、立体的とはいえパネル表面に細かなブロックが取り付けられたものであり、遠目に見たとき各々のブロックを認識できず、同一色の壁面に見えてしまう。特許文献2では、吸音材を壁材に固定することで表面を凹凸状としているが、吸音材は500mm角の大きさであり、遠くから認識可能なスケールのものではなく、壁面デザインを考慮したものではない。
そこで本発明は従来技術の問題点に鑑み、建築物を遠くからみたときに壁面の凹凸デザインを認識できるようにすることで、壁面のデザイン性を向上させることができる建築用パネルの取付構造を提供することを目的とする。
本発明の建築用パネルの取付構造は、平面視矩形状に形成された複数の建築用パネルが縦横に配設され壁面として建築物へ取り付けられた建築用パネルの取付構造であって、前記複数の建築用パネルのうち、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの建築用パネルが、厚み方向における各表面位置を互いに異ならせるように取り付けられていることで、当該両建築用パネルの表面間に高低差が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の建築用パネルの取付構造によれば、複数の建築用パネルのうち、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの建築用パネルの厚み方向における各表面位置が異なっていることで、両建築用パネルの表面間に高低差が設けられている。ここで任意の2つの建築用パネルとは、複数の建築用パネルのいずれを選択しても適用されるということであり、即ち複数の建築用パネルの全部が、高低差が設けられた隣り合う2つの建築用パネルで構成されているということである。建築用パネルは一般に、壁面の一部となる表面の面積が大きいものであり、本発明は、ある1つの建築用パネルの表面位置に対して、その隣の建築用パネルの表面位置が異なっているため、遠くからでもそれらの高低差をはっきり認識することができるというものである。これにより、建築物を遠くからみたときに壁面の凹凸デザインが認識可能となり、これまでにないようなデザインを実現することで、壁面のデザイン性を格段に向上させることができる。
前記2つの建築用パネルの厚みが互いに異なっていると共に、当該両建築用パネルの各々の裏面が同一面に合わせられていることで、当該両建築用パネルの表面間に高低差が設けられており、厚みの異なる少なくとも2種以上の前記建築用パネルが縦横に配設されて前記壁面が構成されていることが好ましい。
前記2つの建築用パネルを互いに厚みの異なる異種の建築用パネルとし、それらの各々の裏面を同一面に合わせることで、壁面全体の裏面が面一となり、従来と変わらない方法で複数の建築用パネルの取付作業を行うことができる。それと共に、厚みの異なる少なくとも2種以上の建築用パネルを縦横に配設して壁面を構成することにより、壁面のデザイン性を向上させることができる。
前記複数の建築用パネルのうち、任意に選択された建築用パネルを基準パネルとし、この基準パネルの上側で隣り合う建築用パネルを第1パネルとし、当該基準パネルの右側で隣り合う建築用パネルを第2パネルとし、当該基準パネルの下側で隣り合う建築用パネルを第3パネルとし、当該基準パネルの左側で隣り合う建築用パネルを第4パネルとした場合、前記第1パネル~第4パネルのうち少なくとも2つ以上の表面間に高低差が設けられていることが好ましい。
任意に選択された基準パネルの周りで隣り合う4つの第1~第4パネル間で、高低差を設ければ多様なデザインが生じ、デザイン性を更に向上させることができる。例えば第1パネルと第3パネルとの表面間に高低差を設けることや、第2パネルと第3パネルと第4パネルとの表面間に高低差を設けること等、数々のパターンのデザインを得ることができる。
前記2つの建築用パネルの表面間の高低差がランダムとなるように、前記複数の建築用パネルが縦横に配設されていることが好ましい。前記2つの建築用パネルの表面間の高低差がランダムになっていることで、多様な表情を有する建築物とすることができる。
前記複数の建築用パネルを、例えば複数の中空部が一方向に並設された複数の押出成形セメント板とすることができる。建築用パネルを押出成形セメント板とすることで、厚みを変えたパネルを容易に準備でき、効率よく壁面を構築することができる。
前記複数の押出成形セメント板の全ての中空部の厚み方向位置が、最も厚みの小さい押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置に対応していることが好ましい。この場合、複数の押出成形セメント板のうち、最も厚みの小さい押出成形セメント板以外の押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置が、当該最も厚みの小さい押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置に対応することになる。防水等のために、隣り合う押出成形セメント板間の目地部にシーリングを打設する必要がある。最も厚みの小さい押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置に、それ以外の押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置を対応させることで、最も厚みの小さい押出成形セメント板と、それ以外の押出成形セメント板との段差部分の小口部に中空部の端部が出現しない。シーリングを打設する際に、打設ラインを予め決めておく必要があり、小口部に中空部の端部が出現しないことで、シーリングの打設ラインを確保することができる。
前記複数の押出成形セメント板のうち、厚みの小さい方の押出成形セメント板の表面側厚み位置を表す基準線が、それに隣り合う厚みの大きい方の押出成形セメント板の小口部に設けられていることが好ましい。この場合、シーリングの打設を確実に行うことができ作業効率が向上する。
本発明によれば、複数の建築用パネルのうち、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの建築用パネルの厚み方向における各表面位置が異なっていることで、両建築用パネルの表面間に高低差が設けられているため、遠くからでもそれらの高低差をはっきり認識することができる。これにより、建築物を遠くからみたときに壁面の凹凸デザインが認識可能となり、これまでにないようなデザインを実現することで、壁面のデザイン性を格段に向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る建築用パネルの取付構造を示す斜視図である。 図1の建築用パネルの取付構造を裏側から見た斜視図である。 (a)は厚み60mmの押出成形セメント板の断面図であり、(b)は厚み70mmの押出成形セメント板の断面図であり、(c)は厚み80mmの押出成形セメント板の断面図である。 図1のA-A線断面図の押出成形セメント板を表した図である。 縦張りの押出成形セメント板の取付構造において下側を厚み60mmの押出成形セメント板とし、上側を厚み70mmの押出成形セメント板とした場合の縦断面図である。 縦張りの押出成形セメント板の取付構造において下側を厚み60mmの押出成形セメント板とし、上側を厚み80mmの押出成形セメント板とした場合の縦断面図である。 縦張りの押出成形セメント板の取付構造において図面中央の押出成形セメント板を厚み60mmとし、図面右側の押出成形セメント板を厚み70mmとし、図面左側の押出成形セメント板を厚み80mmとした場合の横断面図である。 厚み70mm又は厚み80mmの押出成形セメント板の小口部に打設ラインを設ける方法を表す図である。 押出成形セメント板を横張りとした建築用パネルの取付構造を示す斜視図である。 押出成形セメント板の他の例を表す断面図である。 図10に示す押出成形セメント板を用いた建築用パネルの取付構造を示す断面図である。 厚み60mm、厚み70mm、厚み80mmの押出成形セメント板のシーリングの打設位置を表した図である。 3種の押出成形セメント板を用いた建築用パネルの取付構造の一例を示す断面図である。 2種の押出成形セメント板を交互に配設した建築用パネルの取付構造の一例を示す縦断面図である。 建築用パネルの取付構造の建築用パネルの配置例を説明するための図である。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明は、従来の建築用パネルとしての各種のデザインパネルのように、パネル1枚でデザインを完結させるものではなく、複数の厚みの異なる建築用パネルを用いることによって、壁面全体で優れたデザインを構築するものである。従って本発明の複数の厚みの異なる建築用パネルを構成する個々の建築用パネルとは、1枚のパネルを区切って得られた1つの平面領域のことではなく、個別に取り扱われる1枚毎のパネルをいう。
図1は本発明の一実施形態に係る建築用パネルの取付構造1を示す斜視図であり、図2は図1の建築用パネルの取付構造1を裏側から見た斜視図である。図1は、説明のために建築物に構築される壁面の一部を切り取って表したものである。本実施形態では、縦横に張られた建築用パネルとして押出成形セメント板2を縦張りで用いた例で説明する。図1及び図2に示す縦横に張られた押出成形セメント板2によって、建物の壁面Gが構成されている。以下の説明では、縦張りの図1の上下方向を縦方向とし、左右方向を横方向とする。
押出成形セメント板2は、縦張り工法又は横張り工法で建物の躯体に取り付けられる外装材であり、水、セメント、骨材、繊維などを混練した混合物を押出成形機で押し出し、養生硬化後、所定寸法に切断して製作される。押出成形セメント板2には、断面矩形状に形成された複数の中空部3が押出方向である長手方向に向けて互いに平行して構成されている。
複数の中空部3が構成されていることで、押出成形セメント板2の表面側基材4と背面側基材5を繋ぐ複数の隔壁が形成されている。縦横に張られた押出成形セメント板2で壁面Gが構成され、隣り合う押出成形セメント板2の間が水平方向及び垂直方向に連続する、横目地部6及び縦目地部7となっている。
本実施形態の建築用パネルの取付構造1は、平面視矩形状に形成された複数の押出成形セメント板2が縦横に配設され壁面Gとして構成されるものである。複数の押出成形セメント板2のうち、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの押出成形セメント板2、2が、厚み方向における各表面位置10を互いに異ならせるように取り付けられていることで、当該両押出成形セメント板の表面2h、2h間に高低差8が設けられている。任意の2つの押出成形セメント板2、2とは、複数の押出成形セメント板2のいずれを選択しても適用されるということであり、即ち複数の押出成形セメント板2の全部が、高低差8が設けられた隣り合う2つの押出成形セメント板2、2で構成されているということである。
縦方向又は横方向で隣り合う2つの押出成形セメント板2、2は互いに厚みが異なっている。ここで隣り合うとは、縦方向又は横方向で目地部6、7を境として隣接していることをいい、斜め方向に位置するものではない。それと共に2つの押出成形セメント板2、2の各々の裏面2rが、同一面に合わせられている。縦方向又は横方向で隣り合う2つの押出成形セメント板2、2の厚みが互いに異なり、かつ裏面2rが同一面に合わせられていることで、厚み方向における各表面位置10が互いに異なり、当該両押出成形セメント板の表面2h、2h間に高低差8が設けられている。
建築用パネルの取付構造1を構築するには、厚みの異なる少なくとも2種以上の押出成形セメント板2を用いればよく、本実施形態では厚みtが60mm、70mm、80mmの3種の押出成形セメント板26、27、28を用いている。図3(a)は厚みt:60mmの押出成形セメント板26の断面図であり、(b)は厚みt:70mmの押出成形セメント板27の断面図であり、(c)は厚みt:80mmの押出成形セメント板28の断面図である。
図1では上段の3種の押出成形セメント板2の配置は、左側から厚みtが60mm、80mm、70mm、80mm、中段の3種の押出成形セメント板2の配置は、左側から厚みtが70mm、60mm、80mm、60mm、下段の3種の押出成形セメント板2の配置は、左側から厚みtが60mm、80mm、60mm、70mmとなっている。実際にはこれらの構成単位が縦横にいくつか組付けられて壁面Gが構成される。
図4は図1のA-A線断面図の押出成形セメント板2を表した図である。図1の上段では、上記のとおり左側から厚み60mm、80mm、70mm、80mmの押出成形セメント板26、28、27、28が配設されている。図4に示すように、各押出成形セメント板間に高低差8が設けられ、表面位置10が左側から右側にかけてランダムに変化するという配設パターンとなっている。
図1の上段、左から2列目の厚み60mmの押出成形セメント板26に着目すると、上側に厚み80mmの押出成形セメント板28があり、それらの高低差8が20mmとなり、下側に厚み80mmの押出成形セメント板28があり、それらの高低差8が20mmとなり、左側に厚み70mmの押出成形セメント板27があり、それらの高低差8が10mmとなり、右側に厚み80mmの押出成形セメント板があり、それらの高低差8が20mmとなっている。図1及び図4に示すように、縦横で隣り合う2つの押出成形セメント板2、2同士で、表面2h、2hが面一となっている箇所はなく、必ず縦目地部7又は横目地部6を境にして段差が生じ、隣り合う2つの押出成形セメント板の表面2h、2h間に高低差8が存在している。
縦方向又は横方向で隣り合う2つの押出成形セメント板2、2同士は、厚み方向における各表面位置10を互いに異ならせるように取り付けられ、それら2つの押出成形セメント板の表面2h、2h間に必ず高低差8が生じている。例えば上記で着目した厚み60mmの押出成形セメント板26の他、図1の中段、左から3列目の厚み80mmの押出成形セメント板28に着目すると、上側に厚み70mmの押出成形セメント板27があり、それらの高低差8が10mmとなり、下側に厚み60mmの押出成形セメント板26があり、それらの高低差8が20mmとなり、左側に厚み60mmの押出成形セメント板26があり、それらの高低差8が20mmとなり、右側に厚み60mmの押出成形セメント板26があり、それらの高低差8が20mmとなっている。このように、いずれの押出成形セメント板2を基準とした場合でも、基準とした押出成形セメント板2に対して、厚みの異なる押出成形セメント板2が縦横で隣り合うように配設されている。
図1に示した建築用パネルの取付構造1では、2つの建築用パネルの表面間の高低差8がランダムとなるように、複数の押出成形セメント板2が縦横に配設されている。これにより、壁面G全体としてランダムな模様を作り出すことができ、多様な表情を有する建築物とすることができる。
押出成形セメント板2には、標準品である厚みt:60mm、幅n:600mmのものを基準として(図3(a)参照)、この標準品の表面側基材4の厚みk1(肉厚)を変えたものを用いることができる。厚み70mmの押出成形セメント板27として、標準品の表面側基材4の厚みk1を+10mmとしたもの(図3(b)参照)、厚み80mmの押出成形セメント板28として、標準品の表面側基材4の厚みk1を+20mmとしたもの(図3(c)参照)を用いている。なお標準品から厚みを変えた押出成形セメント板2として、本実施形態のように表面側基材4の厚みk1を増やすだけでなく、押出成形セメント板2の全体の厚みtを増すようにしてもよい。
建築用パネルの取付構造1を構築するために用いる厚みの異なる複数の押出成形セメント板2は、2種以上の厚みのものであれば、4種、5種或いはそれ以上の種類の厚みの押出成形セメント板2であってもよい。製造及び施工コスト面から、本実施形態のように厚みtが異なる3種の押出成形セメント板26、27、28を用いることが好ましい。
建築用パネルの取付構造1を構築するために用いる平面視矩形状の建築用パネルの平面寸法(表面寸法)に関し、縦寸法(長手寸法)は500~5000mm、好ましくは1000~5000mm、横寸法(短手寸法)は150~1200mm、好ましくは450~1200mmである。ここで縦寸法、横寸法としたが平面視正方形であってもよい。これらの寸法範囲に加え、建築用パネルの平面部分(表面部分)の面積は0.075~6m、好ましくは0.45~6mである。ここでいう建築用パネルの平面部分の面積について、表面にリブ、溝、曲面等が存在している場合、リブ側面や溝側面等を除外した投影面積をいう。また縦寸法と横寸法の比率は5:6~100:9が好ましい。
本実施形態において建築用パネルの平面部分が小さいと、遠くからみたときに壁面の凹凸デザインが十分に認識できず、デザイン効果が得られない。建築用パネルの平面部分が大きすぎても、全体に単調となりデザイン性が低下する。上記範囲の大きさの建築用パネルを用いることで、遠くから見たときに高低差を認識することができ、壁面全体で優れたデザインを構築できる。
押出成形セメント板2を用いた場合、代表的なものとして縦寸法(長さ)が最大5000mm、横寸法(幅)が最大1200mmのものが用いられ、製造及び施工コスト面から縦寸法は1000~5000mm、横寸法は450~1200mmが好ましい。押出成形セメント板の平面部分の面積は0.45~6.0mが好ましい。縦寸法と横寸法の比率は5:6~100:9が好ましい。
押出成形セメント板2では、表面側基材4の厚みk1を増やした場合、既存のリブデザインパネルと比較すると、断面積が増加して素材量が多くなりコストアップとなる。しかし断面積の増加分のない標準品との組み合わせで使用することによって、実際には厚みの異なる数種類、例えば2種類、3種類の組み合わせの平均となり、既存のリブデザインパネルと同程度のコストとすることができる。
押出成形セメント板(建築用パネル)2の厚みは限定されないが、建築用パネルの取付構造1を構築する複数の押出成形セメント板2のうち最も厚みが小さい最薄の押出成形セメント板2に対して、厚みを+5mm~+40mmの範囲で変化させることが好ましい。なおコスト面から、中空部3を大きくして押出成形セメント板2の全体としての厚みを変えるより、表面側基材4のみの厚みk1を変えることが好ましい。つまり標準品に対して、表面側基材4の厚みk1を+5mm~+40mmの範囲で変化させればよい。
押出成形セメント板2の厚みtの差が5mmより小さいと、厚みtの差による凹凸の認識が得にくく、デザイン性を高めるための効果が薄れる。厚みtの差が40mmを超えると、押出成形セメント板2の自重が増加することに加え、押出成形セメント板2の重心が表面側に寄ることで下地材にかかるモーメント力が増加する。例えば、標準品を基準のパネル(最も薄いパネル)として設定した場合には、標準品用として適用されている下地鋼材等の強度を上げて、その規格を大きくしなければならず、コストが上昇する。デザイン性及びコストを考慮した最も好ましい厚みtの差の範囲は10mm~20mmである。
隣り合う2つの押出成形セメント板の表面2h、2h間に高低差8を設けることで、遠くからでもそれらの高低差8をはっきり認識することができる。これにより、建築物を遠くからみたときに壁面の凹凸デザインの認識が可能となり、建築物の壁面全体の良好なデザインを構築することができる。本実施形態のように縦横で隣り合う押出成形セメント板2を、厚みが2種以上の押出成形セメント板2の組み合わせとすることで、壁面の凹凸の陰影がはっきりとし、デザイン性を高めることができる。
図5は縦張りの押出成形セメント板の取付構造1において下側を厚み60mmの押出成形セメント板26とし、上側を厚み70mmの押出成形セメント板27とした場合の縦断面図である。図6は縦張りの押出成形セメント板の取付構造1において下側を厚み60mmの押出成形セメント板26とし、上側を厚み80mmの押出成形セメント板28とした場合の縦断面図である。図7は縦張りの押出成形セメント板の取付構造1において図面中央の押出成形セメント板26を厚み60mmとし、図面右側の押出成形セメント板27を厚み70mmとし、図面左側の押出成形セメント板28を厚み80mmとした場合の横断面図である。
デザイン性を向上させるために表面側に高低差8を設けて凹凸を形成する一方で、裏面側では複数の押出成形セメント板2の裏面2rを合わせて面一とすることで、通常の押出成形セメント板の取付方法を用いることができる。押出成形セメント板を用いる取付構造では、一般に建物の躯体に下地材となるアングルを固定し、押出成形セメント板の背面に留め付けられたZクリップなどをアングルに係止させて、押出成形セメント板を取り付ける。
図5及び図6に示すように、下側の厚み60mmの押出成形セメント板26の取付に関し、躯体となるH型鋼材15に水平方向に長く延びる下地材16が固定されている。押出成形セメント板2の留付手段は、中空部3内に設けられて背面側基材5に当接しているナット17と、背面側基材5の外面に当接しているクリップ18と、クリップ18に貫通し、ナット17と螺合している取付ボルト19とで構成されている。下地材16に、押出成形セメント板2に留め付けられた複数のクリップ18が係合すると共に、取付ボルト19が締め付けられて、押出成形セメント板2が下地材16に固定されている。
上側の厚み70mm及び80mmの押出成形セメント板27、28の取付に関し、躯体となるH型鋼材15にL型アングル20が固定されており、このL型アングル20に水平方向に長く延びる下地材16が固定されている。下地材16に、押出成形セメント板2に留め付けられた複数のクリップ18が係合すると共に、取付ボルト19が締め付けられて、押出成形セメント板2が下地材16に固定されている。
例えば次のようにして押出成形セメント板2が取り付けられる。押出成形セメント板2の所定箇所の中空部3内にナット17を配置し、クリップ18及び背面側基材5に取付ボルト19を貫通させ、取付ボルト19とナット17とで背面側基材5を挟持すると同時にクリップ18を仮固定する。躯体側に固定された下地材16に仮固定したクリップ18を係止して取付ボルト19を締め付け、押出成形セメント板2の背面側基材5をパッキン等と共に挟持することで、下地材16に押出成形セメント板2を取り付ける。
縦目地部7及び横目地部6にシーリング材21を充填して防水機能を維持することが行われている。このような目地部構造では、図7のように縦目地部7の裏側にも防水用のガスケット等22を挟み込み、図5及び図6のように横目地部6には、バックアップ材12、及び透水材13の付いた水切り材14を設けて外壁の防水機能を高めている。
図5~図7の目地部の拡大図にも示すように、隣り合う押出成形セメント板2、2間には段差部分23が存在し、縦目地部7及び横目地部6における段差部分23の底位置にシーリング材21が充填されている。厚みを増した押出成形セメント板2を用いて組み付ける際に、目地部をシーリングする際のシーリング仕上がりライン(打設ライン)が分かりにくく、同じ厚みでシーリング材21を打設することや、シーリング材21を押さえることが難しいという問題がある。
そのような問題点を解決するために、厚みの小さい方の押出成形セメント板26の表面側厚み位置を表す基準線25を、予めシーリングの打設ラインに合わせて、それに隣り合う厚みの大きい方の押出成形セメント板27、28の小口部30に設ける。具体的には厚み70mmの押出成形セメント板27の小口部30に、シーリング材の打設ラインである、厚み60mmの押出成形セメント板26の表面側厚み位置を表す基準線25を設ける。厚み80mmの押出成形セメント板28の小口部30に、シーリング材の打設ラインである、厚み70mm又は厚み60mmの押出成形セメント板27、26の表面側厚み位置を表す基準線25を設ける。
図8は厚み70mm、80mmの押出成形セメント板27、28の小口部30に打設ラインとしての基準線25を設ける方法を表す図である。図8の左側の図に示す方法は、基準線25を切削による溝31で形成するものであり、中央の図に示す方法は、側面研削時の研削ペーパーの番手を変えることで、基準線25の位置で表面側基材の厚みを増やした部分に色の差をつけ、色の差の境目が打設ラインとなるようにするものである。右側の図に示す方法は、基準線25の位置で段差を設け、段差が打設ラインとなるようにしている。その他、けがきによって基準線位置に線を設けること等が挙げられる。
これにより、シーリング材21の打設を行う際のマスキングテープ張り付け位置が明確になり、適切なシーリング打設深さが確保されて、水密性能の信頼性が向上する。なお、これらの基準線25は予め工場で施すこともできるが、押出成形セメント板2の施工時に施すこともできる。
上記実施形態の建築用パネルの取付構造1によれば、複数の建築用パネルのうち、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの押出成形セメント板2、2(建築用パネル)の厚み方向における各表面位置10が異なっていることで、両押出成形セメント板の表面2h、2h間に高低差8が設けられている。押出成形セメント板は一般に壁面の一部となる表面部分の面積が大きいものであり、本実施形態では、ある1つの押出成形セメント板2の表面位置10に対して、その隣の押出成形セメント板2の表面位置10が異なっているため、遠くからでもそれらの高低差8をはっきり認識することができる。これにより、建築物を遠くからみたときに壁面の凹凸デザインが認識可能となり、これまでにないようなデザインを実現することで、壁面のデザイン性を格段に向上させることができる。
隣り合う2つの押出成形セメント板2、2を互いに厚みの異なる異種の押出成形セメント板とし、それらの各々の裏面2rを同一面に合わせることで、壁面G全体の裏面が面一となり、従来と変わらない方法で複数の押出成形セメント板2の取付作業を行うことができる。また、厚みの異なる少なくとも2種以上の押出成形セメント板2を縦横に配設して壁面Gを構成することにより、壁面のデザイン性を向上させることができる。
建築用パネルを押出成形セメント板2とすることで、厚みを変えたパネルを容易に準備できることから、効率よく壁面Gを構築することができる。厚みの大きい方の押出成形セメント板の小口部30に、厚みの小さい方の押出成形セメント板2の表面側厚み位置を表す基準線25を設けることで、シーリング材21の打設を確実に行うことができ、作業効率が向上する。
図9は押出成形セメント板2を横張りとした建築用パネルの取付構造1を示す斜視図である。この例では、上記実施形態と同様に厚みが60mm、70mm、80mmの3種類の押出成形セメント板26、27、28を用いている。図9の1段目の2種の押出成形セメント板28、26、28は、左側から厚みが80mm、60mm、80mm、2段目の3種の押出成形セメント板27、28、26は、左側から厚みが70mm、80mm、60mm、3段目の2種の押出成形セメント板28、26、28は、左側から厚みが80mm、60mm、80mm、4段目の2種の押出成形セメント板26、27、26は、左側から厚みが60mm、70mm、60mmとなっている。実際にはこれらの構成単位が縦横にいくつか組付けられて壁面が構成される。
図9の2段目、左から2列目の厚み80mmの押出成形セメント板28に着目すると、上側に厚み60mmの押出成形セメント板26があり、それらの高低差8が20mmとなり、下側に厚み60mmの押出成形セメント板26があり、それらの高低差8が20mmとなり、左側に厚み70mmの押出成形セメント板27があり、それらの高低差8が10mmとなり、右側に厚み60mmの押出成形セメント板26があり、それらの高低差8が20mmとなっている。このように、縦横で隣り合う押出成形セメント板2同士で、表面2hが面一となっている箇所はなく、必ず縦目地部7又は横目地部6を境にして段差が生じ、隣り合う押出成形セメント板の表面2h、2h間に高低差8が存在している。
縦方向又は横方向で隣り合う2つの押出成形セメント板2、2同士は、厚み方向における各表面位置10を互いに異ならせるように取り付けられ、それら2つの押出成形セメント板の表面2h、2h間に必ず高低差8が生じている。例えば上記で着目した厚み80mmの押出成形セメント板28の他、図9の3段目、左から2列目の厚み60mmの押出成形セメント板26に着目すると、上側に厚み80mmの押出成形セメント板28があり、それらの高低差8が20mmとなり、下側に厚み70mmの押出成形セメント板27があり、それらの高低差8が10mmとなり、左側に厚み80mmの押出成形セメント板28があり、それらの高低差8が20mmとなり、右側に厚み80mmの押出成形セメント板28があり、それらの高低差8が20mmとなっている。このように、いずれの押出成形セメント板2を基準とした場合でも、基準とした押出成形セメント板2に対して、厚みの異なる押出成形セメント板2が縦横で隣り合うように配設されている。
図9に示した建築用パネルの取付構造1では、2つの押出成形セメント板の表面2h、2h間の高低差8がランダムとなるように、複数の押出成形セメント板2が縦横に配設されている。これにより、壁面G全体としてランダムな模様を作り出すことができ、多様な表情を有する建築物とすることができる。
図10は押出成形セメント板の他の例を表す断面図である。図10に示す押出成形セメント板33は標準品よりも20mm厚く形成したものであり、厚みtが80mmとなっている。この押出成形セメント板33には、第1の中空部3とその表面側に第2の中空部34が形成されている。図3(c)の押出成形セメント板28の肉厚部分に更に中空部を形成したものである。第1の中空部3の形態は標準品に形成されたものと同じであり、肉厚部分35に形成された第2の中空部34は、第1の中空部3よりも厚み方向寸法が小さくなっている。
第2の中空部34は、肉厚部分35の厚みに応じて形成すればよい。第2の中空部34が存在する肉厚部分35以外の形状は、例えば図3(a)に示す標準品と同じであり、押出成形セメント板2の厚みが異なっていても、左右端の凹凸嵌合部36、36が嵌合できるように設定されていればよい。この例の第2の中空部34の幅方向位置は第1の中空部3と同じであり、その他、第2の中空部34の幅方向位置を第1の中空部3の位置とずらしてもよい。
肉厚部分35を中空にした場合、重量が軽減されてコストアップを抑えることができる。この場合、厚みの小さい他の押出成形セメント板2との段差部分23に第2の中空部34の開口端が出現してしまう。開口端は開口したままでもよいが、外壁での縦張りでは第2の中空部34からの雨だれ跡が下側の押出成形セメント板の表面にできてしまうため、塞いでおくことが好ましい。
図11は図10に示す押出成形セメント板33を用いた建築用パネルの取付構造1を示す断面図である。左側から第2の中空部34を形成した厚み80mmの押出成形セメント板33、厚み60mmの押出成形セメント板26、厚み70mmの押出成形セメント板27、厚み80mmの押出成形セメント板28が配設されている。実際にはこれらの構成単位が縦横にいくつか組み付けられて壁面Gが構成される。この例では、最も左側の押出成形セメント板33によって壁面が軽量化し、左側から右側の3種の第2の中空部を設けない押出成形セメント板26、27、28によって徐々に厚みが増えていくようなデザインが得られる。
上記の例では肉厚部分35に個別の第2の中空部34を形成したが、第1の中空部3を肉厚部分35の大きさに合わせて大きくしてもよい。この場合、大きくした中空部の一部分が、厚みの小さい他の押出成形セメント板2との段差部分23で露出してしまうが、大きくした中空部3の開口端の一部又は全部を塞ぐことで水密性能を確保できる。また、肉厚部分35に個別の第2の中空部34を形成した厚みの異なるパネルを複数組み合わせて構成しても良い。このようにすれば、表面側基材の厚みを増やした部分が軽量化されるので、下地鋼材にかかるモーメント力が増加するのを軽減することができる。
図12は厚み60mm、70mm、80mmの押出成形セメント板26、27、28の、シーリング材21の打設位置40を表した図である。打設位置40を破線で示す。厚み60mmの押出成形セメント板26は標準品であり、厚み70mm、80mmの押出成形セメント板27、28は、肉厚部分35に合わせて中空部38、39を大きくしたものである。
厚み60mmの押出成形セメント板26の打設位置40は表面側基材4の厚み分の範囲であり、厚み70mmの押出成形セメント板27の打設位置40は中空部38に少し重なった範囲であり、厚み80mmの押出成形セメント板28の打設位置40は中空部39に全て重なった範囲である。厚み70mm、80mmの押出成形セメント板27、28の中空部38、39の開口端は、押出成形セメント板を組み付けた状態の段差部分23で露出してしまう。そのため、開口端の露出範囲である、図12の斜線部分を予め塞いででおけばよい。中空部38、39を塞ぐ場合は、押出成形セメント板26、27、28と同質の素材で塞ぐ部分の形状に成形した塞ぎ材をエポキシ系樹脂接着剤で張り付けることにより行うことができる。これに限らず、中空部38、39を水密性能が確保できるように適切に塞ぐことができるのであれば、樹脂等、他の素材を用いても良い。また、中空部38、39は斜線部分だけでなく全て塞いでも良いが、水が室外側より侵入した場合に中空部を介して下部に排出できるよう、基準となる押出成形セメント板の開口端の露出範囲と同じ範囲を残したうえで塞ぐのが望ましい。
図13及び図14は厚みが60mm、70mm、80mmの2種又は3種の押出成形セメント板26、27、28を用いた建築用パネルの取付構造の例を示す断面図である。これらは配設パターンを表したものであり、実際にはこれらの構成単位が縦横にいくつか組付けられて壁面が構成される。
図13の例では、左側から厚み60mm、70mm、80mm、70mmの押出成形セメント板26、27、28、27が配設されている。同図に示すように、表面位置が左側から徐々に高くなり下がるような波打つ配設パターンとなっている。
図14の例では、左側から厚み60mm、80mm、60mm、80mmの押出成形セメント板26、28、26、28が配設されている。同図に示すように、表面位置が左側から交互に変化するという配設パターンとなっている。
このように隣り合う任意の2つの建築用パネルが厚み方向における各表面位置10を互いに異ならせるように取り付けられていることで、当該両建築用パネルの表面2h、2h間に高低差8が設けられ、多様な配設パターンを実現でき、遠くからでもそれらの高低差8をはっきり認識することができる。これにより、建築物を遠くからみたときに壁面の凹凸デザインが認識可能となり、これまでにないようなデザインを実現することで、壁面のデザイン性を格段に向上させることができる。
図13及び図14で例示した形態では、複数の押出成形セメント板2の全ての中空部3の厚み方向位置が、最も厚みの小さい押出成形セメント板26の中空部3の厚み方向位置に対応している。複数の押出成形セメント板2のうち、最も厚みの小さい押出成形セメント板26以外の押出成形セメント板27、28の中空部3の厚み方向位置等が、当該最も厚みの小さい押出成形セメント板26の中空部3の厚み方向位置等と同一となっている。具体的には、厚み70mm、80mmの押出成形セメント板27、28に形成された中空部3の厚み方向位置、断面形状及び大きさが、厚み60mmの押出成形セメント板26に形成された中空部3の厚み方向位置、断面形状及び大きさと同じとなっている。
防水等のために、隣り合う押出成形セメント板2、2間の目地部にシーリング材21を打設する必要がある。最も厚みの小さい押出成形セメント板26の中空部3の厚み方向位置に、それ以外の押出成形セメント板27、28の中空部3の厚み方向位置を対応させることで、最も厚みの小さい押出成形セメント板26と、それ以外の押出成形セメント板27、28との段差部分23の小口部30に中空部3の端部が出現しない。シーリング材21を打設する際に、打設ラインを予め決めておく必要があり、小口部30に中空部3の端部が出現しないことで、シーリング材21の打設ラインを確保することができる。
なお、本例では全ての中空部3の厚み方向位置、断面形状及び大きさを同一としているが、各押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置が互いに対応していれば、断面形状や大きさが異なっていてもよい。例えば互いに異なる数の中空部を有する押出成形セメント板同士を組み合わせる場合などでは、それぞれの押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置が対応していればよく、それぞれの中空部の断面形状、大きさが異なっていてもよい。2つの押出成形セメント板を組み合わせたときの目地部に、厚みが大きい方の押出成形セメント板の中空部が小口部に出現しないように形成されていればよい。図13及び図14のように、厚みを増した押出成形セメント板27、28の中空部3が、最も厚みの小さい押出成形セメント板26の厚み範囲内に形成されていればよい。
図15は建築用パネルの取付構造1の建築用パネルの配置例を説明するための図である。隣り合う2つの建築用パネルの表面間に高低差のある建築用パネルの取付構造として多くの配置例がある。例えば複数の建築用パネルのうち、任意に選択された建築用パネルを基準パネル45とし、この基準パネル45の上側で隣り合う建築用パネルを第1パネル46とし、基準パネル45の右側で隣り合う建築用パネルを第2パネル47とし、基準パネル45の下側で隣り合う建築用パネルを第3パネル48とし、基準パネル45の左側で隣り合う建築用パネルを第4パネル49とした場合、第1パネル~第4パネル46、47、48、49のうち少なくとも2つ以上の表面h間に高低差が設けられているようにしてもよい。
任意に選択された基準パネル45の周りで隣り合う4つの第1~第4パネル46~49で高低差を設ければ、多様なデザインが生じ、デザイン性を向上させることができる。例えば第1パネル46と第3パネル48との表面h、h間に高低差を設けることや、第2パネル47と第3パネル48と第4パネル49との表面h、h、h間に高低差を設けること等、数々のパターンのデザインを得ることができる。
本発明は上記実施形態及び例に限定するものではない。開示した実施形態及び例は、本発明に係る建築用パネルの取付構造は例示であり制限的なものではない。建築用パネルを躯体に取り付ける形態、押出成形セメント板に適用した場合の縦張り取付構造及び横張り取付構造の形態は限定されない。
建築用パネルの取付構造に適用される建築用パネルは、押出成形セメント板に限定されず、ALC、その他のコンクリート板、建築用として用いられるあらゆるパネルが含まれる。上記実施形態等では、厚みの異なる複数の押出成形セメント板を用いたが、厚みが同じ複数の建築用パネルを用いて建築用パネルの取付構造を構築してもよい。厚みが同じであっても、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの建築用パネルが、厚み方向における各表面位置を互いに異ならせるように取り付けられていればよい。例えば押出成形セメント板の留付手段に、アタッチメント等を付与して表面位置が互いに異なるようにして高低差を設ければよい。
上記実施形態では押出成形セメント板の厚みが60mm、70mm、80mmの3種類のものとしたが、他の厚みの押出成形セメント板を用いてもよい。建築用パネルとしての他のパネルの標準品が例えば厚み40mmであれば、厚み50mm、60mm、70mm等のパネルが挙げられる。
建築用パネルの取付構造を構築する建築用パネルの異なる表面位置の数に関し、上記実施形態等では押出成形セメント板の厚みが60mm、70mm、80mmの3種を使用したため、異なる表面位置の数を3つとしているが、異なる表面位置の数はいくつであってもよい。例えば図15に示す基準パネル及び第1~第4パネルとした例では、これらの全てのパネルの厚みを変えて、異なる5つの表面位置を形成するようにしてもよい。更に、異なる厚みの10種類の建築用パネルを用い、隣り合う建築用パネルの表面間に高低差を設けて異なる10つの表面位置を形成してもよい。複数の建築用パネルを構成する個々の建築用パネルの表面にリブ、溝、その他の形が施されていてもよく、その場合の表面位置は最も外側の面となる。
本発明は建築物の外壁だけではなく内壁にも用いられる。建築用パネルの取付構造を構築するために用いる建築用パネル、パネル留付手段、及び必要に応じて設けられる他の部材は本発明の効果を損なわない限りにおいてどのような形態のものであってもよい。
1 建築用パネルの取付構造
2、26、27、28、33 押出成形セメント板
3、34、38、39 中空部
4 表面側基材
5 背面側基材
6 横目地部
7 縦目地部
8 高低差
10 表面位置
12 バックアップ材
13 透水材
14 水切り材
15 H型鋼材
16 下地材
17 ナット
18 クリップ
19 取付けボルト
20 L型アングル
21 シーリング材
23 段差部分
25 基準線
30 小口部
31 溝
35 肉厚部
36 凹凸嵌合部
40 打設位置
G 壁面
t 押出成形セメント板の厚み
k1 表面側基材の厚み

Claims (7)

  1. 平面視矩形状に形成された複数の建築用パネルが縦横に配設され壁面として建築物へ取り付けられた建築用パネルの取付構造であって、
    前記複数の建築用パネルのうち、縦方向又は横方向で隣り合う任意の2つの建築用パネルが、厚み方向における各表面位置を互いに異ならせるように取り付けられていることで、当該両建築用パネルの表面間に高低差が設けられていることを特徴とする建築用パネルの取付構造。
  2. 前記2つの建築用パネルの厚みが互いに異なっていると共に、当該両建築用パネルの各々の裏面が同一面に合わせられていることで、当該両建築用パネルの表面間に高低差が設けられており、
    厚みの異なる少なくとも2種以上の前記建築用パネルが縦横に配設されて前記壁面が構成されている請求項1に記載の建築用パネルの取付構造。
  3. 前記複数の建築用パネルのうち、任意に選択された建築用パネルを基準パネルとし、
    この基準パネルの上側で隣り合う建築用パネルを第1パネルとし、
    当該基準パネルの右側で隣り合う建築用パネルを第2パネルとし、
    当該基準パネルの下側で隣り合う建築用パネルを第3パネルとし、
    当該基準パネルの左側で隣り合う建築用パネルを第4パネルとした場合、
    前記第1パネル~第4パネルのうち少なくとも2つ以上の表面間に高低差が設けられている請求項1又は2に記載の建築用パネルの取付構造。
  4. 前記2つの建築用パネルの表面間の高低差がランダムとなるように、前記複数の建築用パネルが縦横に配設されている請求項1又は2に記載の建築用パネルの取付構造。
  5. 前記複数の建築用パネルは、複数の中空部が一方向に並設された複数の押出成形セメント板である請求項2に記載の建築用パネルの取付構造。
  6. 前記複数の押出成形セメント板の全ての中空部の厚み方向位置が、最も厚みの小さい押出成形セメント板の中空部の厚み方向位置に対応している請求項5に記載の建築用パネルの取付構造。
  7. 前記複数の押出成形セメント板のうち、厚みの小さい方の押出成形セメント板の表面側厚み位置を表す基準線が、それに隣り合う厚みの大きい方の押出成形セメント板の小口部に設けられている請求項5又は6に記載の建築用パネルの取付構造。
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