JP2024067851A - 洗浄剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶剤を用いなくても同等の洗浄効果を発揮するとともに、洗浄後の汚れ移りを防止する効果の高い洗浄剤を提供する。【解決手段】植物性界面活性剤と、精油をアルカリ電解水に添加し、さらに再付着防止剤を添加する。界面活性剤の配合量は0.301~26wt%、好ましくは7.31~15.6wt%であり、精油の配合量は0.1~5wt%、好ましくは1~3wt%であり、再付着防止剤の配合量は、0.01~1wt%、好ましくは0.1~5wt%である。用途に応じて、アルカリ電解水を希釈し、弱アルカリ性あるいは中性にして使用する。【選択図】図1

Description

有機溶剤を用いなくても同等の洗浄効果を発揮するとともに、洗浄後の汚れ移りを防止する効果の高い洗浄剤に関する。
有機溶剤系の洗浄剤は、主に工業分野で使用されてきたが、 毒性があるため、人体や自然環境に悪影響を及ぼすという問題があった。そこで、トルエンなどの溶剤系の成分を含まなくても洗浄力が劣ることのない洗浄剤に関する発明は多数特許出願されてきた。
例えば、特許文献1には、特殊アルカリイオン水に界面活性剤を混合させた洗浄液が開示されている。特許文献2には、強アルカリ電解水と柑橘類の種子から抽出した成分を含む洗浄並びに除菌用組成物が開示されている。特許文献3には、界面活性剤とサトウキビ抽出物と水とを組み合わせることを基本とし、必要に応じてアルカリ成分や精油などを組合せて、洗浄後に消臭効果を発揮する洗浄剤組成物が開示されている。
特開2016-175977号公報 特開2007-31608号公報 特開2010-248452号公報
洗浄剤にとって洗浄効果が高いのは当然のことであって、洗浄後に剥離した汚れの残渣が除去されるかどうかも重要である。ところが、上記のいずれの特許文献も、洗浄後の残渣の処理まで考慮していない。せっかく洗浄しても、汚れ移りが有ったのでは、洗浄の意味がない。
また、環境への配慮の観点から、洗浄後の廃液の取り扱いが大きな課題となっている。例えば、油汚れを洗浄した後の白濁した液体を下水管にそのまま流してよいわけがない。白濁しているのは、汚れの残渣が光を乱反射できるほどの大きさであることを意味し、これでは自然環境において バクテリアなどの微生物による分解を難しくする。本発明は、高い洗浄力と、剥離した汚れの処理との両者を同時に実現する、環境に優しい洗浄剤を提供することを課題とする。
また、石油系界面活性剤が広く用いられているのが現状であるが、環境への負荷を考慮すると、石油系界面活性剤を植物性界面活性剤で代替することが望ましい。しかし、大量生産に適した石油系界面活性剤に比べ植物性の製品は価格面で不利となる。そのため、本発明では、界面活性剤の配合量が少なくても洗浄力を維持することを課題とする。しかし、界面活性剤の配合量を少なくすると再付着防止効果が低下してしまう。そこで、本発明は、界面活性剤が従来製品よりも少なくても再付着防止効果を低下させないことも課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明の洗浄剤は、
植物性界面活性剤と、
精油をアルカリ電解水に添加し、
さらに再付着防止剤を添加したことを特徴とする。
石油由来ではなく植物由来の界面活性剤を用いているので、環境への悪影響が少ない。
精油(エッセンシャルオイル)は、汚れの主原因である油の粒子を微細化し、洗浄液の白濁を防止できる。精油を混入させたことによって、界面活性剤単独の場合よりも洗浄効果が高まるため、界面活性剤の配合量を減らすことができる。界面活性剤の分量が少なくなれば、泡の発生が少なくなり、かつ発生した泡は細かくなる。これにより、加水量が大幅に軽減され、消泡剤も不要となるのでコストを削減できる。
ただし、界面活性剤が少量ならば再付着防止効果が落ちるという問題が生ずる。しかし、本発明の洗浄剤では、再付着防止剤を添加しているので、再付着防止効果が減じることはない。
また、本発明の洗浄剤は、
界面活性剤の配合量は0.301~26wt%、好ましくは7.31~15.6wt%であり、
精油の配合量は0.1~5wt%、好ましくは1~3wt%であり、
再付着防止剤の配合量は、0.01~1wt%、好ましくは0.1~5wt%であり、
残余は前記アルカリ電解水、精製水、洗浄助剤を配合することを特徴とする。
さらに、本発明の洗浄剤は、前記アルカリ電解水を希釈し、弱アルカリ性あるいは中性にして使用してもよい。
これにより、作業者の健康にも、環境にも配慮した本洗浄剤の用途が工業用から家庭用にまで拡がる。
汚れを溶かし微細化する効果のある精油を、界面活性剤に付加したので、界面活性剤が少量であっても高い洗浄力を発揮する。
主たる配合成分が、植物性界面活性剤、揮発性のある精油、そしてアルカリ電解水なので、殆ど水と炭酸ガスに分解可能である。
精油が微細化した汚れの残渣を、配合された再付着防止剤と加えられた水によってさらに微細化できる。そのため、汚れ移りを防止できるとともに、微生物などによる分解が容易となる。
このように、石油系界面活性剤を使用しないこと、洗浄剤の量を少なくすること、及び容易かつ速やかに生分解することの3つが実現できるので、環境への負荷が少なくなるのである。
実施例による試験結果を示す図である。 比較例(A)による試験結果を示す図である。 比較例(B)による試験結果を示す図である。
本発明の一実施形態の洗浄剤(以下、「本洗浄剤」という)について、詳しく説明する。
〔1.本洗浄剤の成分〕
本洗浄剤の成分と標準的な配合量を、以下に例示する。これらの配合量は、後述するさまざまな用途によって若干の変更がある。
〈1〉アルカリ電解水 ・・・ 87.54wt%
〈2〉界面活性剤
(a)界面活性剤1
ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド・・4.7wt%
(b)界面活性剤2
ポリアルキレングリコールアルキルエーテル ・・・4.7wt%
(c)界面活性剤3
ポリオキシエチレンラウリルエーテル ・・・0.7wt%
(d)界面活性剤4
デシルグルコシド ・・・0.01wt%
〈3〉精油
1,4―p―メンタジエン ・・・1.5wt%
〈4〉再付着防止剤
ポリエチレングリコール(分子量20000) ・・・0.2wt%
〈5〉その他
キサンタンガム ・・・0.25wt%
キレート剤などの洗浄助剤 ・・・0.2wt%
精製水 ・・・0.2wt%

以下、これらの各成分について説明する。
〔1-1.界面活性剤〕
本洗浄剤で用いる界面活性剤は非イオン界面活性剤が望ましい。
イオン化しないので、他の物質に影響を与えず、また影響を受けにくいからである。そのため、他の界面活性剤と併用可能であって、本洗浄剤では複数の非イオン界面活性剤が配合されている。
界面活性剤として、複数の組合せで使用されることが通常であるが、本洗浄剤では次の(a)-(d)の4種類を混ぜて使用する。
(a)ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド
配合量は用途によって若干異なるが、許容範囲は0.1~10wt%であり、推奨範囲は3.5~7wt%である。
この第1の界面活性剤は、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド等で代替可能である。

(b)ポリアルキレングリコールアルキルエーテル
配合量は用途によって若干異なるが、許容範囲は0.1~10wt%であり、推奨範囲は3.5~7wt%である。

この第2の界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等で代替可能である。

(c)ポリオキシエチレンラウリルエーテル
配合量は用途によって若干異なるが、許容範囲は0.1~5wt%であり、推奨範囲は0.3~1.5wt%である。
この第3の界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等で代替可能である。

(d)デシルグルコシド
配合量は用途によって若干異なるが、許容範囲は0.001~1wt%であり、推奨範囲は0.01~0.1wt%である。
この第4の界面活性剤は、ラウリルグルコシド、アルキルマルトシド、ショ糖脂肪酸エステル、グルコシド脂肪酸エステル等で代替可能である。
上記の界面活性剤はいずれも許容範囲の下限より少ないと洗浄力が不十分であり、上限を超えると生分解性が悪くなる。したがって、界面活性剤の量は洗浄力と生分解性の両者を勘案して設定することが望ましい。
ところで、環境に負荷をかけない洗浄剤を選ぶポイントとして、「界面活性剤の種類」と「生分解性」がある。
「界面活性剤の種類」としては、本洗浄剤では植物由来のみを使用する。
「生分解性」とは、洗浄後の廃液(洗浄剤成分及び汚れの残渣を含む)が、自然界でどのくらいで分解されるのかを表している。速やかに生分解されるならば、環境への負荷は殆どない。この点で本洗浄剤で使用する高級アルコール系(非イオン)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド等は、生分解性の高い界面活性剤である。
〔1-2.精油(エッセンシャルオイル)〕
精油は、植物の花・葉・果実などから得られる揮発性があり芳香のある油であって、下記の実施例及び比較例では、 1,4―p―メンタジエンを用いているが、リモネン、ライム、酢酸リナリルなどで代用してもよい。種類によっては芳香が優れていたり、抗菌効果があったりするので、用途によって適宜選択すればよい。
本洗浄剤に占める精油の配合量は用途によって若干異なるが、許容範囲は0.1~5wt%であり、推奨範囲は1~3wt%である。許容範囲の下限の0.1wt%より少ないと洗浄効果が弱まり、上限の5wt%を超えるとアルカリ電解水(あるいは水)に溶解しきれずに白濁してしまう。
上述した界面活性剤として含ませる成分とその配合量は、次の観点からも決定される。すなわち、精油をアルカリ電解水(あるいは水)に溶解させることができるかどうか、という点である。本洗浄剤の用途はさまざまなので、用途毎に精油の適切な配合量も異なってくる。
精油は、油分の粒子が細かいという特徴がある。その細かい粒子が油や汚れの隙間に入り込み、油汚れを溶解する効果がある。この精油を界面活性剤及びアルカリ電解水に混ぜ合わせることによって、本洗浄剤は汚れをきめ細かくし汚れに浸透して剥離力を発揮し、強力な洗浄力を実現できたのである。このように精油を配合したことにより、本洗浄剤は、界面活性剤の量を少なくできることになった。その結果、起泡を少なく抑えられるという効果も生じた。
〔1-3.アルカリ電解水〕
本洗浄剤は、電解質として主に炭酸カリウムを使用した電気分解によって生成するアルカリ電解水を用いる。水酸化ナトリウムのようなアルカリ剤は用いない。
配合量は用途によって若干異なるが、87.54wt%前後である。つまり、界面活性剤、精油、及び再付着防止剤の残余の大部分である。
pHは13.1前後であり、使用時は、最大10倍まで薄めてpH12.1以上とすることが多い。ただし、用途によっては弱アルカリ性さらに中性になるまで希釈する。もし中性にして使用することを想定しているならば、アルカリ電解水の代わりに水を溶媒としても差支えない。
なお、アルカリ電解水は、ヒドロキシルイオンが過剰に含まれるだけで自然に戻すと通常の水となる。そのため、洗浄後の廃液は、そのまま或いは濾過装置を通せば、外部に廃棄しても環境への悪影響のおそれはない。
アルカリ電解水は、 酸との中和時間を短縮する能力にすぐれており、単独で用いても洗浄効果を発揮する。
ただし、本洗浄剤は洗濯や食器洗いにも使用できるように、水で希釈する場合も想定されている。希釈によって、弱アルカリ性さらに中性になることもある。したがって、本洗浄剤では、洗浄効果の向上よりも各種配合成分を溶解し、それらの成分をつなぐ役割を期待してアルカリ電解水を配合することとしたのである。異なる配合成分のそれぞれを溶かす溶媒という点では、アルカリ電解水に限らず、ふつうの水でもよい。
〔1-4.再付着防止剤〕
再付着防止剤として、細かい孔が多数開いていることを特徴とする多孔質構造物質を用いる。多孔質構造物質は、これら多数の孔の内部に汚れの残渣を蓄えたり、孔の表面に残渣を吸着したりする。本洗浄剤では、多孔質構造物質として、ポリエチレングリコール(分子量20000)が使用される。
配合量は、本洗浄剤の用途によって若干異なるが、許容範囲は0.01~1wt%であり、推奨範囲は0.1~0.5wt%である。許容範囲下限の0.01wt%より少ないと再付着防止効果が発揮できず、上限の1wt%を超えるとその効果に変化がなくなり、価格が高くなるだけである。
なお、再付着防止剤(多孔質構造物質) は、洗浄プロセスにおいては顕著な洗浄効果を発揮するものではなく、洗浄後のプロセスにおいて汚れの残渣を微細化する効果が顕著なのである。
〔1-5.その他の成分〕
本洗浄剤には他に、金属イオン封鎖剤(キレート剤)、pH安定剤、除菌消臭剤、雑菌繁殖抑制剤等を含ませる。これらの成分が、請求項2にいう「洗浄助剤」に相当する。
また、不純物を徹底的に取り除いた精製水も配合しているが、これは各成分の調合を安定させ、洗浄剤の能力を引き出すためである。
さらに、本洗浄剤の用途によっては、キサンタンガム(増粘剤)を付加するものとする。たとえば、トンネル壁のカーボン汚れを除去するときなど、液体状の洗浄剤の垂れ下がりを防止できるからである。
〔2.本洗浄剤の製造〕
本洗浄剤は、上記の各成分を、アルカリ電解水に添加し、攪拌溶解して製造する。これらの成分は、どのような順序で添加してもよい。4種類の界面活性剤(a)~(d)の添加順序も問わない。ただし、用途によって増粘剤を添加する場合は、溶解時間の問題があるので、増粘剤は最初にアルカリ電解水に添加しなくてはならない。
アルカリ電解水に上記の成分を適切な配合比で添加することで、精油を溶解することができる。本洗浄剤は、界面活性剤と精油とキレート剤などの他の成分が、溶媒であるアルカリ電解水(或いは水)に溶けて融合されるので、製造から長期間が経過しても精油は安定した状態で溶け込んでいる。
なお、特許文献2を参考にして、本出願人もアルカリ電解水に柑橘類種子抽出物(エキス)を混入した試験を行ったところ、エキスはアルカリ電解水に1-2週間は溶け込んでいるが、その後エキスは分離して浮遊物状態となった。この結果を受けて、本洗浄剤では、エキスではなく精油そのものを使用することとしたのである。
製造された本洗浄剤は、キャップや蓋付きの容器や噴霧器付きの容器等に充填されて供給されるのが通常である。
〔3.洗浄の処理から洗浄後の廃水の処理まで〕
〔3-1.洗浄の処理〕
本洗浄剤を適宜希釈し、布などに含浸させて洗浄対象物に使用したり、洗浄対象物に直接噴霧して使用したり、液体状の本洗浄剤を容器に入れて洗浄対象物を浸して使用したりする。これらの使用方法は、通常の洗浄剤の場合と相違はない。
本洗浄剤は、アセトン、トルエンなどの有機溶剤を使用していないため、低臭・低毒性で、人や環境に配慮した洗浄剤である。溶剤系を含む洗剤は、作業者の健康や環境への悪影響が懸念されるとはいえ、汚れを溶かすときの即効性があることから使用され続けているのが現状である。しかし、本洗浄剤は、これらと同様の洗浄力を発揮し、且つ健康や環境へ害を与えないという優れた特徴がある。また、危険物・毒物に該当しないため保管場所を選ばない。
〔3-2.洗浄後の排水の処理〕
洗浄プロセスにおいて、油をはじめとする汚れを取り除くことはできても、その物性を変えることまではできないので、汚れの残渣が再凝集して洗浄対象物に再度付着したりしてしまう。
そこで、本洗浄剤では、精油を配合して汚れの残渣の粒子をきわめて小さくする微細化現象を発生させるようにした。
主に精油配合の効果によって微細化した状態に水が加わると、微細な粒子間に水が流入し粒子間距離が広がり分散され、粒子が一層微細化される。こうして浮き上がった汚れの残渣はプラスに帯電しており、この浮き上がった残渣が、マイナスに帯電した多孔質構造物質の隙間に吸い寄せられ取り込まれる。汚れの残渣はプラスに帯電しているとはいえ、マイナスに帯電した多孔質構造物質に取り囲まれたことによって、マイナスに帯電した繊維などの洗浄対象物に再付着しなくなる。この再付着防止効果が、洗浄プロセス全体の作業効率向上にもつながるのである。なお、界面活性剤自体にも再付着防止効果はある。しかし、十分な再付着防止のためには界面活性剤の配合量を多くしなければならないが、本洗浄剤は石油系に比べて高価な植物性界面活性剤を配合するので、コスト面で不利となる。この問題点を補うために本洗浄剤は、多孔質構造物質を混合することによって界面活性剤の分量を低く抑えることとしたのである。
ところで、従来の洗浄剤は、精油のように油分の微細化を促進する成分を含んでいなかった。この点、本洗浄剤は精油を配合したことにより残渣の微細化が進み、これに多孔質構造物質と、加えられた水とが作用することで残渣の一層の微細化が実現できたのである。もし精油を配合せず、再付着防止剤だけで微細化しようとしても、その効果には限界がある。つまり、本洗浄剤は、界面活性剤に精油と再付着防止剤の両者を添加することで、相乗効果を発揮するのである。
汚れの残渣が微細化すると、バクテリアなどの微生物による洗浄後廃液の「水」と「炭酸ガス」への分解が容易になる。この働きが自然の浄化作用となり、さらに微生物にとって活発に行動しやすい環境が作られることになる。
〔4.本洗浄剤の用途〕
本洗浄剤は、トンネル壁のカーボン汚れやガードレールの汚れ、飲食店厨房の油関連の機器の洗浄や油化分解装置のグリストラップの洗浄、また金属加工部材の脱脂、家庭のキッチン周りの油汚れ洗浄など、こびりついた油汚れの除去が必要となるさまざまな分野で使用されうる。
油溶性物質への反応が早いことから、用途はさらに拡がり、流出した油による汚染が懸念されるタンクローリー事故の処理や、ジェットエンジンのカーボン除去・船舶船体の油分除去・高速鉄道車両の汚染物質除去等に用いて燃費効率を向上させることにも寄与できる。
このように、本洗浄剤が想定している汚れは主として油汚れのような有機系汚れであって、酸性である。しかし、無機系汚れ、カビ汚れも除去できることは言うまでもない。
また、エアコン内の洗浄などにも利用できる。エアコンは、温暖化によって住環境での設置比率の伸びが高いので、少量かつ安全に洗浄力を発揮しうる本洗浄剤の活用が期待される。
さらに、窓ガラスの洗浄、ビルメンテナンスにおける床洗浄・絨毯洗浄・壁面洗浄などにも利用可能であって、応用範囲が広い。
本洗浄剤が使用を期待される用途のひとつとしてトンネル内部の壁の洗浄があるので、これについて付言したい。
本出願人は、高速道路の管理運営会社の協力を得て、本洗浄剤の実証実験を行った。その結果、トンネル内の壁のカーボン除去にきわめてすぐれた効果を有することが判明した。
日本は山国なのでトンネルが多い。また、地域環境などを考慮した地下トンネルも多く、道路のトンネルとして最長(2022年現在)の山手トンネルは18.2kmもある。長大なトンネルの内壁の洗浄には、多量の洗浄剤を必要とする。そのためには、少ない分量でも洗浄力を発揮する本洗浄剤は有利である。しかも、本洗浄剤は界面活性剤の分量が少ないので、泡の発生が少なく、発生した泡は細かい。このように泡が少なければ、拭き取り作業に長時間を要さず、消泡剤が不要である。これによるコスト削減効果は大である。
一方、すすぎのために高圧水を吹き付けるので大量の水が必要となる。しかし、本洗浄剤を使うと汚れの残渣を超微細化できるので、透明になった上澄みの水を再利用できる。これだけで、水量をかなり減らせる。
なお、すす(カーボン)は粉体なので微粒子に分解できず、洗浄後の水の底に沈殿するが、これはフィルタで簡単に除去できる。そして、除去されたカーボンは、カーボン製品の製造などに利用可能である。
〔5.洗浄試験〕
次の実施例、及び比較例(A)と比較例(B)について、洗浄試験を行った。
配合成分と配合率は次のとおりである。

《 実施例 》
・アルカリ電解水: pH13.1
・界面活性剤: 10wt%(4種類の界面活性剤の合計)
・精油: 1.5wt%
・再付着防止剤: 0.3wt%
《 比較例(A) 》
・アルカリ電解水: pH13.1
・界面活性剤: 10wt%(4種類の界面活性剤の合計)
・精油: 1.5wt%
《 比較例(B) 》
・アルカリ電解水: pH13.1
・界面活性剤: 10wt%(4種類の界面活性剤の合計)
〔5-1.試験方法〕
油性インクを3個のシャーレのそれぞれの底に1cm角に塗布し、10分間自然乾燥させる。
実施例、比較例(A)および比較例(B)の洗浄剤0.3ml(スポイト1滴相当)を、油性インクに垂らす。
5分後の様子を観察する(図1(1)、図2(1)、図3(1)を参照)。
各シャーレに水5mlを加水し観察する(図1(2)、図2(2)、図3(2)を参照)。
〔5-2.試験結果〕
《 実施例の試験結果 》
実施例の洗浄剤0.3mlを、油性インクに垂らして5分経過すると、図1(1)に示すように、油性インクはシャーレの底から剥がれ、溶解していることが認められる。
この状態で水5mlを加えると、図1(2)に示すように、汚れの残渣は微細化している。
時間の経過とともに微細化が進み、洗浄後の液体は澄明となる。
《 比較例(A)の試験結果 》
比較例(A)の洗浄剤0.3mlを、油性インクに垂らして5分経過すると、図2(1)に示すように、油性インクはシャーレの底から剥がれ、溶解していることが認められる。
汚れの剥離と溶解は、アルカリ電解水と界面活性剤と精油を配合した効果であって、この点では実施例と比較例(A)とは差異がない。

図2(1)の状態で水5mlを加えると、図2(2)に示すように、汚れの残渣は微細化している。ただし、実施例(図1(2)を参照)と比較すると、微細化の程度が劣る。これは、比較例(A)が再付着防止剤を配合していない点で実施例と相違するからである。
《 比較例(B)の試験結果 》
比較例(B)の洗浄剤0.3mlを、油性インクに垂らして5分経過すると、図3(1)に示すように、油性インクはシャーレの底から剥がれている。しかし、油性インクの1cm角の形状の変化は、実施例および比較例(A)のようには目立たず、溶解が進んでいないことが認められる。これは、精油が配合されていないからであると考えられる。

図3(1)の状態で水5mlを加えても、図3(2)に示すように、汚れの残渣はほとんど微細化していない。
《 試験結果のまとめ 》
この比較例(A)と比較例(B)の結果を比較し、かつ実施例と比較例(A)の結果を比較すると、アルカリ電解水と界面活性剤に、精油と再付着防止剤を添加した本洗浄剤は、明らかに洗浄剤としての効果が高いことがわかる。
高い洗浄効果を発揮する安全性にすぐれた洗浄剤であり、しかも洗浄後の汚れの残渣が超微細化されて洗浄対象物に再付着しないので、各種の用途に使用されることが期待される。

Claims (4)

  1. 植物性界面活性剤と、
    精油をアルカリ電解水に添加し、
    さらに再付着防止剤を添加したことを特徴とする洗浄剤。
  2. 界面活性剤の配合量は0.301~26wt%、好ましくは7.31~15.6wt%であり、
    精油の配合量は0.1~5wt%、好ましくは1~3wt%であり、
    再付着防止剤の配合量は、0.01~1wt%、好ましくは0.1~5wt%であり、
    残余は前記アルカリ電解水、精製水、洗浄助剤を配合することを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤。
  3. 前記アルカリ電解水を希釈し、弱アルカリ性あるいは中性にして使用することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1に記載の洗浄剤。
  4. 植物性界面活性剤と、精油をアルカリ電解水に添加し、さらに再付着防止剤を添加した洗浄剤を用いる洗浄方法であって、
    洗浄対象物から汚れを剥離し、剥離した汚れの残渣を溶解・微細化した後、
    水を加えて汚れの残渣をさらに微細化することを特徴とする洗浄方法。
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