JP2024066524A - メラノソーム輸送阻害剤及び該輸送阻害剤を含有する皮膚外用剤 - Google Patents

メラノソーム輸送阻害剤及び該輸送阻害剤を含有する皮膚外用剤 Download PDF

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Takahisa Nakajo
健史 片吉
Takeshi Katayoshi
健太郎 内藤
Kentaro Naito
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Abstract

【課題】高い美白効果を備えたメラノソーム輸送阻害剤及びこれを含有する皮膚外用剤を提供する。【解決手段】以下の化学式(I)で表されるラムナジンを有効成分として含有するメラノソーム輸送阻害剤とした。TIFF2024066524000004.tif50170【選択図】なし

Description

本発明は、メラノソーム輸送阻害剤及び該輸送阻害剤を含有する皮膚外用剤に関する。
皮膚のシミ及びソバカスは、紫外線等の刺激、ホルモンの異常又は遺伝的要素等の原因
により表皮の基底膜に局在するメラノサイトが異常活性化して過剰なメラニン色素を合成
し、そのメラニン色素が皮膚内に異常沈着することにより生じる(非特許文献1)。その
ため、メラノサイト内におけるメラニン合成を阻害することに主眼を置いた研究、治療等
が従来から行われている。
メラニンは、メラノサイトの細胞内のメラノソームと呼ばれる細胞内小器官で生成され
る。生成されたメラニンが蓄積することで黒色化したメラノソームは、種々の輸送関連タ
ンパク質によりメラノサイトの核周辺から樹状突起の末端へと輸送され、周りの表皮細胞
へ受け渡される。通常、受け渡されたメラノソームは表皮細胞のターンオーバーとともに
体外へ排出される。一方、紫外線等の強い刺激はメラノソームへ表皮細胞への過剰蓄積を
誘発し、シミと呼ばれる色素沈着を生じさせる。
近年、メラノソームの細胞内輸送は、様々なタンパク質により制御されることが報告さ
れている(非特許文献2)。
また、そうしたメラノソームの細胞内輸送に関わるタンパク質の特定が進む中、それら
のタンパク質を量的に低減させる化合物がメラノソームの表皮細胞への過剰蓄積を抑制す
ることから皮膚に対する美白効果に役立つことが報告されている。例えば、低分子量Gタ
ンパク質であるRab27aの不活性化剤(特許文献1)、Rab27aのエフェクター
と呼ばれる結合分子であるSlp-2a(特許文献2)及びsynaptotagmin
-like protein homologue lacking C2 domains-
a(Slac2-a、別名:Melanophilin、Mlph)(特許文献3)に対
するタンパク質量低減剤等が挙げられる。
本発明者らは、前記した先行する研究成果を踏まえ、皮膚に対する美白効果を備える活
性化合物について鋭意検討を行って来た。
特開2007-137821号公報 特開2010-229043号公報 特開2011-132195号公報
Prota, G. J., Invest. Dermatol. (1980), 75: 122-127. Kuroda, T. S et al., Nat. Cell Biol. (2004), 6: 1195-1203. Goda, Y et al., Biol.Pherm.Bull. (1999), 12:1319-1326.
本発明は、高い美白効果を備えたメラノソーム輸送阻害剤及びこれを含有する皮膚外用
剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行って来た結果、フラボノール類
に分類されるラムナジンがメラノソーム輸送を有効に阻害することを見出した。本発明者
らは、この知見に基づいて検討を進め、ラムナジンが高い美白効果を有することに想到し
た。
本発明は、以下の化学式(I)で表されるラムナジンを有効成分として含有することを
特徴とするメラノソーム輸送阻害剤(第1のメラノソーム輸送阻害剤)を提供する。
Figure 2024066524000001
前記ラムナジンは、天然のラムナス・ペティオラリス(Ramnus petiola
ris)やラムナス・サクサティリス(Ramnus saxatilis)などラムナ
ス(Ramnus)属の植物由来物又は有機合成物であることが好適である。
また、本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行って来た結果、特に、ラ
ムナジンを豊富に含有する特定の植物等に由来する抽出物の加水分解物(第2のメラノソ
ーム輸送阻害剤)が、より高い美白効果を有することに想到した。
すなわち、本発明の第2のメラノソーム輸送阻害剤は、オランダガラシ(Nastur
itium officinale)を含むナスツリチウム(Nasturitium)
属、ラムナス・サクサイリス(Rhamnus saxailis)を含むラムナス(R
amnus)属、ビスカム・コロラツム(Viscum coloratum)を含むビ
スカム(Viscum)属、ネルビィア・フォルジイ(Nervilia fordii
)を含むネルビリア(Nervilia)属又はクローブ(Syzygium arom
aticum)を含むシジギウム(Syzygium)属の植物等に由来する抽出物の加
水分解物であることが好適である。
第2のメラノソーム輸送阻害剤は、原料となる植物から溶媒抽出等によって抽出したエ
キスを加水分解処理することで得ることができる。
また、本発明では、前記第1又は第2のメラノソーム輸送阻害剤を含有する皮膚外用剤
を提供する。皮膚外用剤に含まれるラムナジンの濃度は、0.0001~5質量%である
ことが好適である。
前記皮膚外用剤は、メラノソーム輸送阻害作用を有さない美白剤をさらに含有すること
が好適である。
前記美白剤は、チロシナーゼ活性阻害剤であることが好適である。
前記チロシナーゼ活性阻害剤は、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びその誘導体、
ハイドロキノン、ハイドロキノンの塩及び配糖体、プラセンタエキス、アルブチン、エラ
グ酸、リノール酸、又はトラネキサム酸からなる群から選択されることが好適である。
本発明によれば、高い美白効果を備えたメラノソーム輸送阻害剤及びこれを含有する皮
膚外用剤が提供される。
オランダガラシ抽出液で処理した細胞について、加水分解操作前の抽出液を用いて処理した細胞と、加水分解操作後の抽出液で処理した細胞を比較して示す顕微鏡写真(倍率:200)である。 実施例1で得られた溶液の加水分解処理前後の配糖体とアグリコンの割合を示すグラフである。 各種フラボノールのMlphタンパク質発現に対する抑制効果を検証した結果を示すグラフである。 ラムナジンの細胞毒性についての検証結果を示すグラフである。 ラムナジンのメラノソームの細胞内輸送に対する阻害効果の検証結果に関し、位相差顕微鏡による細胞の観察結果を示す顕微鏡写真(倍率:200)である。(a)は、ラムナジン未添加、(b)は、5μM添加、(c)は、10μM添加のものをそれぞれ示す。 ラムナジンのメラノソームの細胞内輸送に対する阻害効果の検証結果に関し、共焦点レーザー顕微鏡による細胞の観察結果を示す顕微鏡写真(倍率:250)である。(a)は、ラムナジン未添加、(b)は、10μM添加のものをそれぞれ示す。 共焦点レーザー顕微鏡による観察結果に基づき、メラノソームが核近傍に凝集している細胞が占める割合を算出した結果を示すグラフである。 ラムナジンのメラニン色素の細胞外への排出に対する抑制効果の検証結果を示すグラフである。 ラムナジンのメラニン合成関連タンパク質の発現に対する抑制効果についての検証結果を示すグラフである。 ラムナジンと他の薬剤との併用による相乗効果についての検証結果を示すグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態についてさらに詳細に説明する。
第1のメラノソーム輸送阻害剤
前述のように、本発明者らは、フラボノール類に分類されるラムナジンがメラノソーム
輸送を有効に阻害することを見出した。本発明者らは、この知見に基づいて検討を進め、
ラムナジンが高い美白効果を有することを検証した。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、以下の化学式(I)で表されるラムナ
ジンを有効成分として含有する。
Figure 2024066524000002
ラムナジンは、天然物由来のものとしては、ラムナス・ペティオラリス(Ramnus
petiolaris)やラムナス・サクサティリス(Ramnus saxatil
is)などラムナス(Ramnus)属(別名:クロウメモドキ属)の植物由来であるこ
とが好適である。ラムナス・ペティオラリスおよびラムナス・サクサティリスは、スリラ
ンカ及びヨーロッパ固有のクロウメモドキ属植物である。特にラムナス・サクサティリス
はラムナジンを高含有し、より少量の抽出物から多くのラムナジンを得ることができる点
で優れている。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、例えば、ラムナス・ペティオラリス若
しくはラムナス・サクサティリスなどラムナス(Ramnus)属の植物の全草、根、根
茎、葉、種子、果実、花を微粉末又は破砕したものとして調製することができる。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、このような微粉末又は破砕物を水若し
くは有機溶媒で浸漬抽出し、残渣を濾別して得られる抽出液、この抽出液から溶媒を除去
したもの(抽出したエキス)として調製することもできる。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、前記微粉末、溶媒除去物を適当な溶媒
等でさらに溶解、分散、希釈することにより溶液の形態として調製することもできる。
溶媒で抽出する際の抽出溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、又は
1,3-ブチレングリコール等の低極性溶媒を用いることが好ましい。このような抽出溶
媒であれば、所望の抽出物を得ることができるからである。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤に含まれるラムナジンは、有機溶媒による
抽出に加え又は代替として、濾過又は遠心分離による固形物の除去を行い、シリカゲルカ
ラム、HPLC等のクロマトグラフィー法による精製過程を経て精製することができる。
ラムナジンは、有機合成反応を利用することによっても得ることができる。このような
各種合成よって得られるラムナジン(合成ラムナジン)についても、本発明に係るメラノ
ソーム輸送阻害剤の有効成分として含有させることができる。
本発明のメラノソーム輸送阻害剤について、「有効成分としてラムナジン」を含有する
とは、有効成分であるラムナジン単体のみから成るメラノソーム輸送阻害剤の場合及びラ
ムナジン単体の他、痕跡程度の不純物を含む場合、さらには、前述したように植物の全草
、根、根茎、葉、種子、果実、花を微粉末又は破砕したものの場合、微粉末又は破砕物を
水若しくは有機溶媒で浸漬抽出し、残渣を濾別して得られる抽出液の場合、この抽出液か
ら溶媒を除去したもの(抽出したエキス)の場合、さらには、前記微粉末、溶媒除去物を
適当な溶媒等でさらに溶解、分散、希釈することにより溶液の形態として調製した場合の
いずれであってもよい。
本発明のメラノソーム輸送阻害剤(後述する第2のメラノソーム輸送阻害剤も含む。)
を溶液の形態で調製する場合、ラムナジンを0.0001質量%~5質量%の割合で含む
ことが好適である。
第2のメラノソーム輸送阻害剤
前述のように、本発明者らは、ラムナジンを豊富に含有する特定の植物等の天然由来物
の加水分解物が高い美白効果を有することに想到した。
本発明に係る第2のメラノソーム輸送阻害剤も、前記化学式(I)で表されるラムナジ
ンを有効成分として含有する。
第2のメラノソーム輸送阻害剤は、オランダガラシ(Nasturitium off
icinale)を含むナスツリチウム(Nasturitium)属、ラムナス・サク
サイリス(Rhamnus saxailis)を含むラムナス(Ramnus)属、ビ
スカム・コロラツム(Viscum coloratum)を含むビスカム(Viscu
m)属、ネルビィア・フォルジイ(Nervilia fordii)を含むNervi
lia属又はクローブ(Syzygium aromaticum)を含むシジギウム(
Syzygium)属の植物等に由来する天然由来物の加水分解物であることが好適であ
る。
第2のメラノソーム輸送阻害剤は、原料となる植物から溶媒抽出等によって抽出したエ
キスを加水分解処理することで得ることができる。
例えば、前記オランダガラシエキス等の植物の地上部を凍結乾燥したものをメタノール等
の溶媒に浸漬し、抽出液を得、その後、抽出液を濃縮し、得られた濃縮液をカラム精製し
、メタノール等の溶媒で溶出して得られるフラクションを酸加水分解するといった工程を
含む操作を行う。これによって、オランダガラシ等の加水分解溶液として、第2のメラノ
ソーム輸送阻害剤を調製することができる。
前記したように、第1のメラノソーム輸送阻害剤は、原料となる植物から溶媒抽出等に
よって抽出したエキスの形態として調製する場合も含む。第2のメラノソーム輸送阻害剤
は、このような抽出エキスを加水分解処理する、より正確にはこのような抽出エキスに含
まれるフラボノイド配糖体を加水分解処理することにより得ることができる。
さらに、本発明者らは、ラムナジンが有する高い美白効果のメカニズムを調査したとこ
ろ、ラムナジンの添加によりメラノソームの輸送に関連するMlphタンパク質量が低減
したことから、メラノサイト中におけるメラノソーム輸送を阻害することにより、強い美
白効果を奏することに想到した。Mlphタンパク質は、メラノサイト中におけるメラノ
ソーム輸送に関与するタンパク質である。このメラノソームの輸送が阻害されると、メラ
ノサイトで生成したメラニンを、ケラチノサイトに受け渡すことが阻害されるため、肌の
色素沈着を抑制することができる。
一方、従来の美白剤、コウジ酸、アルブチンには、メラノソーム輸送阻害作用がないこ
とを本発明者らは確認している。
したがって、本発明のメラノソーム輸送阻害剤に基づく肌の色素沈着を抑制する効果は
、従来のコウジ酸やアルブチン等を含有する美白用化粧料が奏する美白効果(メラニンの
合成抑制効果)とは作用機序の点で異なるものである。
ラムナジンを含む本発明のメラノソーム輸送阻害剤を、メラノソーム輸送阻害作用を有
さない他の美白剤と併用することにより、当該他の美白剤を単独で使用するよりも美白効
果をさらに高める相乗効果を奏することができる。
前記メラノソーム輸送阻害作用を有さない美白剤としては、好ましくはメラニン合成を
阻害するチロシナーゼ活性阻害剤である。一般的に用いられる美白剤のうち、そのほとん
どがチロシナーゼ活性阻害剤である。同じ作用機序に基づき同様の働きをする美白剤、例
えばチロシナーゼ活性阻害剤を複数又は多量に配合しても、美白効果は高まりにくく、ま
た、その効果に対する安全性の面からも不安がある。しかし、上述したように作用機序が
異なり、例えば肌の色素沈着の過程における異なる段階、異なる箇所に作用する美白剤、
すなわち、チロシナーゼ活性阻害剤とメラノソーム輸送阻害剤を組み合わせることによっ
て、それぞれを少量ずつ用いることによっても高い美白効果を奏し、かつ、優れた安全性
をも提供することが可能となる。
チロシナーゼ活性阻害剤としては、特に限定されるものではなく、アスコルビン酸、ア
スコルビン酸塩及びその誘導体、ハイドロキノン、ハイドロキノンの塩及び配糖体、プラ
センタエキス、アルブチン、エラグ酸、リノール酸、又はトラネキサム酸等が挙げられる
皮膚外用剤
本発明に係る皮膚外用剤は、前記第1又は第2のメラノソーム輸送阻害剤を含有する。
本発明に係る皮膚外用剤は、皮膚外用剤全量に対して、ラムナジンを好ましくは0.00
01~5質量%含有する。少なくとも0.0001質量%含有していれば、メラノソーム
輸送阻害効果が最小限得られる濃度に相当するからであり、5質量%以下であれば、メラ
ノソーム輸送阻害効果が得られ、かつ安全性も得られるからである。
本発明のメラノソーム輸送阻害剤は、化粧料、医薬品、医薬部外品など外皮に適用され
る皮膚外用剤として用いることができる。したがって、その剤型として水溶性系(ローシ
ョン系)、可溶化系、乳化系(W/O型、O/W型)、粉末系、軟膏系、油液系、ジェル
系、水-油二層系、水-油-粉末三層系など幅広い形態に使用することができる。また、
本発明の皮膚外用剤は、前記メラノソーム輸送阻害剤の他に、本発明の効果を損なわない
範囲で、皮膚外用剤に通常用いられる他の成分、例えば、水、アルコール、油剤、界面活
性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、防腐剤、pH調整剤、各種薬効剤、動植物、微生物由
来の抽出物、色素、香料等を、必要に応じて適宜、配合することができる。また、抗酸化
剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、紫外線防止剤等の薬効成分を併用することにより、本発明の
効果をさらに高めたり、若しくは他の効果をさらに付加したりすることもできる。
本発明の皮膚外用剤の剤型としては、例えば、ローション、油剤、乳剤、クリーム、軟
膏等が挙げられる。また、乳液、クリーム、化粧水、美容液、シート状マスク、洗浄料、
メーキャップ化粧料等の様々な形態の化粧料として提供することも可能である。
本発明に係る皮膚外用剤は、メラノソーム輸送阻害作用を有さない美白剤をさらに含有
することができる。このような美白剤としては、上述したようなチロシナーゼ活性阻害剤
を用いることができる。ラムナジンを含む本発明のメラノソーム輸送阻害剤と、メラノソ
ーム輸送阻害作用を有さない他の美白剤とを含有する皮膚外用剤は、当該他の美白剤のみ
を含有する皮膚外用剤よりも美白効果をさらに高める相乗効果を奏することができる。
以上のように、本発明の皮膚外用剤は、ラムナジンがメラノソーム輸送阻害剤の有効成
分として作用し、特に美肌等を目的とした美白用化粧品として有効である。
以下、実施例、製剤例等を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
実施例1
オランダガラシ(クレソン)地上部を凍結乾燥したものをメタノールに浸漬し、一晩室
温にて振とうして抽出液を得た。その後、エバポレーターで抽出液を濃縮した。得られた
濃縮液をHP-20カラムで精製し、メタノール溶出によりフラボノイド類の含有量の高
いフラクションを得た。同フラクションをエバポレーターで濃縮後、6規定の塩酸を加え
100度で90分間加熱することで酸加水分解を行った。反応後、水酸化ナトリウムにて
中和を行い、酢酸エチルにて抽出を行った。得られた抽出物をエバポレーターで濃縮後、
メタノールに再溶解して得られた溶液をオランダガラシ抽出物の加水分解溶液として調製
した。
一方、前記フラクションをエバポレーターで濃縮後、酸加水分解を行わず、他の操作を
同様に行ったものをオランダガラシ抽出液として調製した。
マウスB16メラノーマ細胞を10%fetal bovine serum(FBS
)含有のD-MEM培地にて24時間プレ培養した。プレ培養後、実施例1で得られたオ
ランダガラシ抽出液(加水分解前)あるいはオランダガラシ抽出物の加水分解溶液(加水
分解後)を最終濃度が所定の濃度となるように添加してさらに72時間培養した。培養終
了後、位相差顕微鏡にて細胞形態の観察を行った。
結果を図1に示す。オランダガラシ抽出液(加水分解処理前)は、5.0%の濃度でメ
ラノソームの輸送阻害が見られた。この結果から、オランダガラシ抽出物にはメラノソー
ムの輸送に対する阻害効果があることから明らかとなった。また、オランダガラシ抽出物
の加水分解後の溶液では0.5%の濃度で同効果が得られることが明らかとなった。この
結果から、オランダガラシ抽出物を加水分解処理することで同効果が増幅することが示さ
れた。
オランダガラシ(クレソン)はラムナジン、ラムネチン、イソラムネチン、ケンフェロ
ール、ケルセチンといったフラボノール類の配糖体を含有することが知られている(非特
許文献3)。また、加水分解処理によってより強い阻害効果が得られることから、オラン
ダガラシ抽出物に含まれるフラボノール配糖体が加水分解によってアグリコンに変換され
ることに起因している可能性を想起した。
実際、図2はフラボノール配糖体とアグリコンとの分布を示した結果である。加水分解に
よってフラボノール類のアグリコンの量が増加していることが了解される。
実施例2
(評価1:各種フラボノールのMlphタンパク質の発現に対する抑制効果についての検
証)
Mlphタンパク質は、メラノソームを細胞内輸送する際に中心的に働くタンパク質と
して知られている。実施例1により得られた加水分解処理後の溶液にはラムナジン、ラム
ネチン、イソラムネチン、ケンフェロール、ケルセチンのアグリコンが主成分として含ま
れていることが想起された。そこで、これらのフラボノールが色素細胞におけるMlph
の発現に及ぼす影響を調べるために、抗Mlph抗体を用いてウェスタンブロッティング
法を行った。なお、各種フラボノール類は市販の精製品をジメチルスルホキシドに溶解し
て使用した。
マウスB16メラノーマ細胞を10%FBS含有のD-MEM培地にて24時間プレ培
養した後、各種フラボノールの最終濃度がそれぞれラムナジン10μM、ラムノシトリン
25μM、ラムネチン5μM、イソラムネチン50μM、ケンフェロール20μM、ケル
セチン50μMとなるように添加して培養した。なお、各種フラボノールの最終濃度の設
定にあたっては、あらかじめ各フラボノールの細胞毒性試験を行い、細胞生存率が80%
以上となる最大濃度を採用する形で進めた。3日間の培養後、細胞はPBSで3回洗浄し
、細胞溶解用の緩衝液(25mM Tris-HCl(pH7.5)、150mM Na
Cl、1% NP-40、1% sodiumdeoxycholate及びプロテアー
ゼ阻害剤)により溶解させた。SDS-PAGE試料緩衝液で希釈した試料は5分間煮沸
させた。試料は、10%のSDS-PAGEにより分離させ、セミドライブロッター(B
io-Rad社製)を用いてPolyvinylidene difluoride膜(
PVDF膜)に転写した後、5%スキムミルクのリン酸緩衝液中で1時間室温にてブロッ
キングを行った。PVDF膜は、TBS-Tにて3回洗浄した後、抗Mlph抗体と共に
4℃で一晩インキュベートさせた。PVDF膜をTBS-Tにて3回洗浄した後、Hor
seradish peroxidaseで標識された2次抗体と共にさらに1時間イン
キュベートさせた。検出する前にTBS-Tにて3回洗浄した。SuperSignal
West Femto Maximum Sensitivity Substrate(
サーモサイエンティフィック社製)及びLAS-3000を用いて検出を行った。Mlp
hタンパク質の量的評価は、検出されたバンドの濃さを未添加試料のバンドと比較するこ
とで行い、各種フラボノイドがMlphタンパク質の発現に及ぼす影響を評価した。なお
、Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenas
e(Gapdh)は標準タンパク質として同様に検出した。
結果を図3に示す。ラムナジン以外のフラボノールはMlphタンパク質の発現に対し
てほとんど影響しなかったのに対し、ラムナジンはMlphタンパク質の発現を顕著に減
少させた。この結果から、ラムナジンは色素細胞のMlphタンパク質の発現を抑制する
効果があることが示され、オランダガラシ抽出物の加水分解液の有効成分であることが明
らかとなった。
実施例3
(評価2:ラムナジンの細胞毒性についての検証)
ラムナジンの色素細胞に対する毒性を評価するために、同仁化学社製のセルカウンティ
ングキット-8を使用して細胞毒性試験を行った。
マウスB16メラノーマ細胞を10%FBS含有のD-MEM培地にて24時間プレ培
養した後、最終濃度がそれぞれ5及び10μMとなるようにラムナジンを添加し、さらに
3日間培養した。培養終了後、同仁化学社製のセルカウンティングキット-8を用いて付
随のマニュアルに従って細胞の生存率を算出した。
結果を図4に示す。ラムナジンを5及び10μMの添加濃度においてはほとんど低下が
見られなかった。この結果から、ラムナジンは10μM以下の濃度であれば細胞毒性の基
準である細胞生存率80%以上をクリアすることが明らかとなり、同濃度の範囲であれば
細胞毒性がないことが示された。
実施例4
(評価3:ラムナジンのメラノソームの細胞内輸送に対する阻害効果についての検証)
評価1の結果から、ラムナジンは色素細胞のMlphタンパク質の発現を抑制すること
が明らかとなった。同タンパク質は色素細胞内において産生されたメラノソームを細胞内
輸送する際に中心的に働くタンパク質であることから、ラムナジンはメラノソームの細胞
内輸送を阻害する効果を有している可能性が考えられた。そこで、ラムナジンが色素細胞
におけるメラノソームの細胞内輸送に対して阻害効果を持つのか否かについて検証するた
めに、位相差顕微鏡及び共焦点レーザー顕微鏡による細胞形態の観察並びにメラノソーム
が核近傍に凝集している細胞が占める割合の算出を行った。
マウスB16メラノーマ細胞をあらかじめコラーゲンコートカバーグラスを入れた培養
ディッシュに播種し、D-MEMで24時間のプレ培養を行った。プレ培養後、最終濃度
が所定の濃度となるようにラムナジンを添加し、さらに72時間培養した。培養終了後、
位相差顕微鏡にて細胞形態の観察を行った。また、回収したカバーガラスは4%パラホル
ムアルデヒドのリン酸緩衝液に入れ、室温にて15分間放置することで細胞固定を行った
。カバーガラスはPBSで3回洗浄した後、0.1%の濃度のTritonX-100を
含有するPBSに入れ、室温にて10分間放置することで透過処理を行った。PBSで3
回洗浄した後、3%のウシ血清アルブミン含有のPBSに入れ、室温にて1時間放置する
ことでブロッキングを行った。細胞骨格であるアクチンの染色を行うために、PBSで3
回洗浄した後、0.01%のAlexafluor 594標識ファロイジン含有のPB
Sに入れて20分間放置した。次に、核の染色を行うために、PBSで3回洗浄した後、
2μg/mlの4’,6-diamidino-2-phenylindole(DAP
I)含有のPBSに入れて3分間放置した。PBSで3回洗浄した後、フルオロマウント
(ダイアグノスティック・バイオシステムズ社製)を用いて封入を行った。乾燥後、共焦
点レーザー顕微鏡(TCS SP2 AOBS、ライカマイクロシステムズ社製)にて細胞
形態の観察を行った。メラノソームが核近傍に凝集している細胞が占める割合は、DAP
I染色された核を総細胞数の指標としてカウントし、ファロイジン染色されたアクチンを
細胞全体像と見なしてメラノソームが細胞核近傍に偏っている細胞数をカウントすること
で算出した。なお、1試料でカウントする総細胞数はおよそ100細胞とした。
位相差顕微鏡による観察結果を図5(a)~(c)に示す。画像において、メラノソー
ムは黒い斑点状として観察される。未処理の細胞においてメラノソームが末端部まで一様
に分布しているのに対し、ラムナジンを添加した細胞においてメラノソームの核近傍への
凝集が見られた(矢印部)。
共焦点レーザー顕微鏡による観察結果を図6(a)、(b)に示す。また、この共焦点
レーザー顕微鏡による観察結果に基づき、メラノソームが核近傍に凝集している細胞が占
める割合を算出した結果を図7に示す。
位相差顕微鏡による観察の際と同様に、未処理の細胞に比べ、メラノソームの核近傍へ
の顕著な凝集がラムナジンを添加した細胞において見られた。また、メラノソームが細胞
核の近傍に凝集している細胞の割合は、未処理の細胞が1%程度であるのに対し、ラムナ
ジン処理の細胞においてはおよそ80%であった。以上の結果から、ラムナジンはメラノ
ソームの細胞内輸送に対して阻害効果を持つことが示された。
実施例5
(評価4:ラムナジンのメラニン色素の細胞外への排出に対する抑制効果の検証)
評価3の結果から、ラムナジンはメラノソームの細胞内輸送を阻害する効果を有してい
ることが明らかとなった。同効果はメラニン色素の色素細胞外への排出を抑制することに
繋がる可能性が考えられた。そこで、ラムナジンがメラニン色素の細胞外への排出に対し
て阻害効果を持つのか否かについて検証するために、色素細胞の培養時における細胞外メ
ラニン量の定量を行った。
マウスB16メラノーマ細胞を10%FBS含有のD-MEM培地にて24時間プレ培
養した。培養後、10%FBS及び50μMフォルスコリン含有のD-MEM培地へ培地
交換し、最終濃度が10μMとなるようにラムナジンを添加して3日培養した。培養後に
培地を回収し、Arvo-MX1420マルチラベルカウンター(パーキンエルマー社製
)で黒色メラニンに特異的な吸収波長である405nmにて測定を行い、培地中のメラニ
ン量を評価した。なお、細胞外メラニン量は、ラムナジンを添加していない細胞培地の測
定値を100%として算出した。また、フォルスコリンを含有しないD-MEM培地で同
様に培養した細胞培地をネガティブコントロールとした。
結果を図8に示す。ラムナジンはおよそ85%程度で細胞外メラニン量を減少させた。
この結果から、ラムナジンはメラニン色素の細胞外への排出に対して阻害効果を持つこと
が示された。
実施例6
(評価5:ラムナジンのメラニン合成関連タンパク質の発現に対する抑制効果についての
検証)
評価1、3、及び4の結果から、ラムナジンは色素細胞内において産生されたメラノソ
ームの細胞内輸送に対して抑制効果を持つことが明らかとなった。一方、評価4において
示した、ラムナジンのメラニン色素の細胞外への排出を抑制する効果については、効果を
もたらした一因としてメラノソームの細胞内輸送に対する阻害効果による要因以外に、色
素細胞におけるメラニン合成を抑制したことによる可能性が考えられた。そこで、ラムナ
ジンが色素細胞におけるメラニン合成に対して阻害効果を持つのか否かについて検証する
ために、メラニン合成関連タンパク質の一種であるmicrophthalmia-as
sociated transcription factor(Mitf)に対する特異
的抗体を用いてウェスタンブロッティング法を行った。
マウスB16メラノーマ細胞を10%FBS含有のD-MEM培地にて24時間プレ培
養した。培養後、10%FBS及び50μMフォルスコリン含有のD-MEM培地へ培地
交換し、最終濃度が10μMとなるようにラムナジンを添加して3日培養した。3日間の
培養後は、抗Mitf抗体を用いて評価1と同様の方法にて検証を行った。
結果を図9に示す。ラムナジンはフォルスコリンによって誘導されたMitfの発現を
まったく抑制しなかった。Mlphの発現について同様に評価した結果、Mlphの発現
はフォルスコリンの有無で影響を受けなかった。一方、ラムナジンのMlphの発現に対
する抑制効果は顕著であった。これらの結果から、ラムナジンはメラニン合成関連タンパ
ク質の発現を抑制せず、メラノソームの輸送関連タンパク質を特異的に抑制することが示
された。
実施例7
(評価6:他の薬剤との併用による相乗効果についての検証)
これまでの結果から、ラムナジンはメラニン合成関連タンパク質であるMlphの発現
を特異的に抑制する一方、メラニン合成関連タンパク質の発現を抑制しない。先述したよ
うに、細胞外メラニンの排出はメラニン合成関連タンパク質の発現を抑制するメカニズム
によっても抑制される可能性がある。そのため、メラニン合成関連タンパク質の発現を抑
制することを特徴とする既知美白剤とラムナジンとの併用は、細胞外メラニンの排出に対
する効果が相乗的になることが期待できる。そこで、すでにメラニン合成酵素の一つであ
るチロシナーゼの酵素活性を阻害する効果が知られているアルブチンとの併用時における
細胞外メラニン排出に対する抑制効果の有無について検証を行った。
マウスB16メラノーマ細胞を10%FBS含有のD-MEM培地にて24時間プレ培
養した。培養後、10%FBS及び50μMフォルスコリン含有のD-MEM培地へ培地
交換し、最終濃度が5又は10μMのラムナジン、50μMのアルブチン、5μMのラム
ナジン及び50μMのアルブチンをそれぞれ添加して3日培養した。その後の培地中のメ
ラニン量の評価は、評価4と同様の方法にて進めた。細胞外メラニン量は、ラムナジン及
びアルブチンのいずれも添加していない細胞培地の測定値を100%として算出した。
結果を図10に示す。アルブチンの単独添加は、未添加に比べ細胞外メラニン量をおよ
そ84%に減少させた。ラムナジンを5又は10μMの濃度で単独添加した際の減少は、
それぞれ41及び20%程度であった。また、アルブチンとラムナジン(5μM)の双方
を添加した際の減少は21%であり、それぞれを単独で添加したときよりも減少する結果
であった。この結果から、ラムナジンと既知美白剤との併用は相乗的に細胞外メラニン排
出を抑制することが示唆され、従来に比べてより効率的に肌の色素沈着を抑える手段が提
供できることが示された。
製剤例1:化粧水
下記の成分(3)、(4)及び(8)~(11)を混合溶解した(混合物A)。次いで
、下記の成分(1)、(2)、(5)~(7)及び(12)を混合溶解した(混合物B)
。得られた混合物Aと混合物Bを均一に混合し、化粧水を得た。
(組成) (%)
(1)グリセリン 7.0
(2)1,3-ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレンソルビタン
モノラウリン酸エステル(20E.O.) 1.2
(4)エタノール 5.0
(5)乳酸 0.05
(6)乳酸ナトリウム 0.1
(7)コラーゲン 1.0
(8)オランダガラシ抽出物の加水分解物 0.05
(9)アスコルビン酸2-グルコシド 0.5
(10)防腐剤 0.1
(11)香料 0.1
(12)精製水 残量
製剤例2:乳液
下記の成分(10)を加熱し、70℃で保持した(溶液A)。次いで、下記の成分(1
)~(9)及び(11)を加熱混合し、70℃で保持した(混合物B)。得られた混合物
Bに溶液Aを加えて混合し、均一に乳化した(混合物C)。得られた混合物Cを冷却した
後、下記の成分(12)~(15)を加え、均一に混合して乳液を得た。
(組成) (%)
(1)ポリオキシエチレンソルビタン
モノステアレート(10E.O.) 1.0
(2)ポリオキシエチレンソルビット
テトラオレエート(60E.O.) 0.5
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)エタノール 5.0
(8)オランダガラシ抽出物の加水分解物 0.001
(9)アルブチン 1.0
(10)精製水 残量
(11)防腐剤 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー 0.2
(13)水酸化ナトリウム 0.1
(14)ヒアルロン酸 0.1
(15)香料 0.1
製剤例3:クリーム
下記の成分(11)を加熱し、70℃で保持した(溶液A)。次いで、下記の成分(1
)~(8)を加熱混合し、70℃で保持した(混合物B)。得られた混合物Bに溶液Aを
加えて混合し、均一に乳化した(混合物C)。得られた混合物Cを冷却した後、下記の成
分(9)~(10)を加え、均一に混合してクリームを得た。
(組成) (%)
(1)流動パラフィン 23.0
(2)ワセリン 7.0
(3)ベヘニルアルコール 1.0
(4)ステアリン酸 2.0
(5)ミツロウ 2.0
(6)ソルビタンモノステアレート 1.5
(7)ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 2.5
(20E.O.)
(8)防腐剤 0.1
(9)香 料 0.15
(10)オランダガラシ抽出物の加水分解物 1.0
(11)精製水 残量
製剤例4:リキッドファンデーション
下記の成分(1)~(7)を混合溶解した(溶液A)。この溶液Aに下記の成分(13
)~(18)を加え、均一に混合し、70℃で保持した(混合物B)。次いで、下記の成
分(8)~(12)を均一に溶解し、70℃で保持した(混合物C)。得られた混合物C
に混合物Bを添加して、均一に乳化した(混合物D)。得られた混合物Dを冷却した後、
下記の成分(19)及び(20)を添加してリキッドファンデーションを得た。
(組成) (%)
(1)液状ラノリン 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型
モノステアリン酸グリセリン 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸
-2-エチルヘキシル 8.0
(7)防腐剤 0.1
(8)グリセリン 5.0
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)カルボキシメチルセルロース 0.2
(11)ベントナイト 0.5
(12)精製水 残量
(13)酸化チタン 6.0
(14)微粒子酸化チタン 2.0
(15)微粒子酸化亜鉛 5.0
(16)マイカ 2.0
(17)タルク 4.0
(18)着色顔料 4.0
(19)オランダガラシ抽出物の加水分解物 0.001
(20)香料 0.1
製剤例5:日やけ止め乳液
下記の成分(1)~(11)を混合分散した(分散液A)。次いで、下記の成分(12
)~(15)を混合分散した(分散液B)。得られた分散液Aに分散液Bを添加して、均
一に乳化した(混合物C)。得られた混合物Cに下記の成分(16)及び(17)を添加
して日やけ止め乳液を得た。
(組成) (%)
(1)ポリオキシアルキレン変性
オルガノポリシロキサン 1.0
(2)ジメチルポリシロキサン 5.0
(3)オクタメチルシクロテトラシロキサン 20.0
(4)イソノナン酸イソトリデシル 5.0
(5)パラメトキシケイ皮酸
-2-エチルヘキシル 10.0
(6)防腐剤 0.1
(7)香料 0.1
(8)シリコーン処理微粒子酸化チタン 8.0
(9)シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 7.0
(10)ポリスチレン末 3.0
(11)トリメチルシロキシケイ酸 0.5
(12)ジプロピレングリコール 3.0
(13)エタノール 10.0
(14)精製水 残量
(15)食塩 0.2
(16)オランダガラシ抽出物の加水分解物 0.02
(17)リン酸-L-アスコルビル
マグネシウム 3.0
前記製剤例1~5の化粧料は、皮膚に適用することにより、高い美白効果が確認された
本発明は、以下の化学式(I)で表されるラムナジンを有効成分として含有することを特徴とするメラノソーム輸送阻害剤(第1のメラノソーム輸送阻害剤)を提供する。
前記ラムナジンは、天然のラムナス・ペティオラリス(Ramnus petiolaris)やラムナス・サクサティリス(Ramnus saxatilis)などラムナス(Ramnus)属の植物由来物又は有機合成物であることが好適である。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、以下の化学式(I)で表されるラムナジンを有効成分として含有する。
ラムナジンは、天然物由来のものとしては、ラムナス・ペティオラリス(Ramnus petiolaris)やラムナス・サクサティリス(Ramnus saxatilis)などラムナス(Ramnus)属(別名:クロウメモドキ属)の植物由来であることが好適である。ラムナス・ペティオラリスおよびラムナス・サクサティリスは、スリランカ及びヨーロッパ固有のクロウメモドキ属植物である。特にラムナス・サクサティリスはラムナジンを高含有し、より少量の抽出物から多くのラムナジンを得ることができる点で優れている。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、例えば、ラムナス・ペティオラリス若しくはラムナス・サクサティリスなどラムナス(Ramnus)属の植物の全草、根、根茎、葉、種子、果実、花を微粉末又は破砕したものとして調製することができる。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、このような微粉末又は破砕物を水若しくは有機溶媒で浸漬抽出し、残渣を濾別して得られる抽出液、この抽出液から溶媒を除去したもの(抽出したエキス)として調製することもできる。
本発明に係る第1のメラノソーム輸送阻害剤は、前記微粉末、溶媒除去物を適当な溶媒等でさらに溶解、分散、希釈することにより溶液の形態として調製することもできる。
本発明に係る第2のメラノソーム輸送阻害剤も、前記化学式(I)で表されるラムナジンを有効成分として含有する。
第2のメラノソーム輸送阻害剤は、オランダガラシ(Nasturtium officinale)を含むナスツリチウム(Nasturtium)属、ラムナス・サクサティリス(Rhamnus saxailis)を含むラムナス(Ramnus)属、ビスム・コロラツム(Viscum coloratum)を含むビスカム(Viscum)属、ネルビィア・フォルジイ(Nervilia fordii)を含むNervilia属又はクローブ(Syzygium aromaticum)を含むシジギウム(Syzygium)属の植物等に由来する天然由来物の加水分解物であることが好適である。

Claims (7)

  1. 以下の化学式(I)で表されるラムナジンを有効成分として含有することを特徴とする
    メラノソーム輸送阻害剤。
    Figure 2024066524000003
  2. ラムナス・ペティオラリス(Ramnus petiolaris)、ラムナス・サク
    サティリス(Ramnus saxatilis)等のラムナス(Ramnus)属の植
    物からなる群から選ばれた一の植物に由来する請求項1に記載のメラノソーム輸送阻害剤
  3. オランダガラシ(Nasturitium officinale)を含むナスツリチ
    ウム(Nasturitium)属、ラムナス・サクサイリス(Rhamnus sax
    ailis)を含むラムナス(Ramnus)属、ビスカム・コロラツム(Viscum
    coloratum)を含むビスカム(Viscum)属、ネルビィア・フォルジイ(
    Nervilia fordii)を含むNervilia属及びクローブ(Syzyg
    ium aromaticum)を含むシジギウム(Syzygium)属の植物からな
    る群から選ばれた一の植物等に由来する天然由来物の加水分解物である請求項1に記載の
    メラノソーム輸送阻害剤。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のメラノソーム輸送阻害剤を含有することを特徴とする
    皮膚外用剤。
  5. メラノソーム輸送阻害作用を有さない美白剤をさらに含有することを特徴とする請求項
    4に記載の皮膚外用剤。
  6. 前記美白剤が、チロシナーゼ活性阻害剤であることを特徴とする請求項5に記載の皮膚
    外用剤。
  7. 前記チロシナーゼ活性阻害剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びその誘導体、
    ハイドロキノン、ハイドロキノンの塩及び配糖体、プラセンタエキス、アルブチン、エラ
    グ酸、リノール酸、又はトラネキサム酸からなる群から選択されることを特徴とする請求
    項6に記載の皮膚外用剤。
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