JP2024066464A - 光干渉層を有する部材およびその製造方法 - Google Patents

光干渉層を有する部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2024066464000001
【課題】 基材の形状によらず優れた反射防止性能を有する部材を提供する。
【解決手段】 基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に設けられた3層からなる光干渉層と、を有する部材であって、前記光干渉層は、前記基材側から順に第一の層、第二の層、第三の層を含み、前記第三の層は、無機化合物の粒子を含む多孔質層であり、前記第一の層および前記第二の層のいずれか一方が有機層、他方が無機化合物層であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光干渉層を有する部材およびその製造方法に関する。
光入出射面での反射を抑えるため、反射防止膜が設けられた部材が広く用いられている。特許文献1には、無機材料からなる無機下地層と、酸化ケイ素を含む表面改質層と、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等からなる密着層と、中空シリカ粒子がバインダーにより結着された低屈折率層と、からなる光干渉層が開示されている。
特開2015-222450号公報
特許文献1では、無機下地層および表面改質層は真空蒸着法やスパッタ法等の真空成膜法で形成され、密着層と低屈折率層は塗布法で形成される。
光学部材は主面が曲面になっているものが多く、真空成膜法で形成される膜は、曲面の周辺部の膜厚が中心部に比べて薄くなる傾向がある。一方、塗布法で形成される膜は、曲面の周辺部の膜厚が中心部に比べて厚くなる傾向がある。そのため、光学部材の曲面の中央部において反射を抑制するための光学設計を満たすように成膜すると、周辺部では光学設計からのずれが大きくなり、十分に反射を抑制することができなくなる。特に、半開角が30°以上の曲面の場合、位置による反射防止効果の差が非常に大きくなり、外観にも影響を及ぼす。
本発明は、この様な背景に鑑みてなされたものであり、基材の形状によらず優れた反射防止性能を有する部材を提供するものである。
本発明にかかる部材は、基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に設けられた3層からなる光干渉層と、を有する部材であって、
前記光干渉層は、前記基材側から順に第一の層、第二の層、第三の層を含み、
前記第三の層は、無機化合物の粒子を含む多孔質層であり、
前記第一の層および前記第二の層のいずれか一方が有機層、他方が無機化合物層であることを特徴とする部材。
本発明によれば、部材の形状によらず、光学特性に優れた光学薄膜、および光学薄膜を形成する光学素子を提供することができる。
(a)は第一の実施態様かかる部材の断面構成を示す概略図であり、(b)は第三の層の部分的に拡大した概略図である。 (a)は、第一の実施態様かかる部材であって、塗工液を硬化させることなく、連続して塗布して3層を形成した部材の断面構成を示す概略図であり、(b)、(c)は、それぞれ(a)の領域A、領域Bを拡大した概略図である。 第二の実施態様かかる部材の断面構成を示す概略図である。 (a)は、第二の実施態様かかる部材であって、塗工液を硬化させることなく、連続して塗布して3層を形成した部材の断面構成を示す概略図であり、(b)、(c)は、それぞれ(a)の領域A、領域Bを拡大した概略図である。 本発明にかかる物品を用いた光学機器の一例である撮像装置の概略図である。 第4実施形態にかかる部材の概略図である。 第4実施形態の変形例の概略図である。
本発明にかかる部材は、基材と、3層からなる光干渉層と、を有しており、光干渉層は基材の少なくとも一方の主面に設けられている。光干渉層は、基材側から順に、第一の層と、第一の層上に設けられた第二の層と、第二の層上に設けられた第三の層と、を含んでおり、これら3層による光干渉によって、部材に入射する光の反射を抑制する。このような光干渉層は、第三の層を無機化合物の粒子を含む多孔質層とし、第一の層および第二の層のいずれか一方を有機層、他方を無機化合物層とすることで実現することができる。
本発明の光干渉層は、下記の3つの条件を満たす。
(a)第三の層が無機化合物の粒子を含む多孔質層である。
(b)光干渉層が3層で構成されている。
(c)光干渉層を構成する3層がすべて塗布法によって形成されている。
光干渉層が(a)の条件を満たすことにより、空気と第三の層との屈折率差を小さくすることができ、光干渉層の光学設計の自由度が増す。その結果、基材の材質によらず、(b)の条件である3層という少ない層数による光干渉によって、部材表面における反射を抑制することが可能となる。
さらに、光干渉層を構成する3層がすべて同じ塗布法にて形成されるため、各層の膜厚は基材の周辺部にむかっていずれも増える傾向にある。膜厚の増減が同じ傾向を示す膜どうしを組み合わせた場合、膜厚の増減が反対の傾向を示す膜どうしを組み合わせた構成に比べて、光学設計値からのずれを低減することができる。その結果、部材の光干渉層が設けられる面の形状によらず、主面全体で反射性防止効果を得ることができる。
また、(c)の条件によれば、それぞれの層の屈折率や膜厚は、各層を形成するための塗工液あるいは塗布条件によって容易に調整することが可能である。例えば、第一の層、第二の層、第三の層それぞれを形成する塗工液を決めれば、基材の材質(屈折率)によらず、各層を形成するための塗工液の塗布条件を調整して光学設計に応じた膜厚とするだけで、低反射な部材を実現することが可能となる。その結果、基材の変更への対応が容易になり、生産性も向上する。
部材は、主面上に光干渉に影響しない、その他の層を有していても良い。光干渉に影響しない層は光干渉層には含めない。
本発明の部材は、基材の曲率や口径によらず高い反射防止性能を実現できるため、光学レンズ、光学ミラー、フィルター、光学フィルムなどの光学素子として用いることができる。また、光学レンズの一つであるレプリカレンズにも用いることができる。レプリカレンズとは、成形型を用い、基材と成形型との間に樹脂組成物を設けて重合又は共重合させ、所望形状の硬化物を基材表面に形成することによって製造されるレンズのことである。樹脂組成物の硬化物は、ガラスのような透明基材に設けられる。レプリカレンズは所望の表面形状を容易に形成できるので、非球面レンズやフレネルレンズとして用いるのに有効である。非球面レンズとは、レンズ中心から周辺にかけて曲率が連続的に変化しているレンズの総称である。
本発明の部材は、特に高い反射防止性能を求められる光学レンズに適しており、種々の光学機器に用いることができる。中でも撮像装置が備える撮像光学系に組み込まれる光学レンズに適している。本発明にかかる部材を撮像光学系に用いれば、外部からの光が撮像光学系を介して撮像素子に結像するまでの間に、部材の表面での光の反射が抑制されて光の透過率が向上し、フレアやゴーストも大幅に低減する。その結果、質の高い画像を取得することが可能となる。
最も空気側に位置する第三の層として屈折率が最も低い多孔質層を設ける場合、反射防止効果を得るための各層の屈折率は、以下の関係式のどちらかを満たすとよい。ここで、第一の層の屈折率をn、第二の層の屈折率をn、第三の層の屈折率をnとしている。
関係式1.n<n<n
関係式2.n<n<n
以下、関係式1または2を満たす部材の具体的な構成について説明するが、本発明はその要旨を超えない範囲で適宜変更することが可能であり、以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
<第一の実施形態>
第一の実施形態として、関係式1を満たす部材、即ち、光学干渉層に含まれる各層の屈折率がn<n<nを満たす構成について説明する。
図1(a)に、本実施形態にかかる部材10の断面構成を示す概略図を示す。部材10は、基材100と、基材100の主面上に3層(111、112、113)からなる光干渉層110とを有している。光干渉層110は、基材100側から順に、第一の層111、第二の層112、第三の層113を有しており、これら3層による光干渉によって、部材10に入射する光の反射を抑制する。第一の層111は無機化合物層、第二の層112は有機層、第三の層113は無機化合物の粒子を含む多孔質層である。
部材10は、主面に光干渉に影響しないその他の層を有していても良いが、光干渉に影響しない層は光干渉層には含めない。
(基材)
本発明は、基材100の材質によらず、第一の層111と第二の層112と第三の層113それぞれの屈折率および/または膜厚を調整することで、優れた反射防止性能を実現することができる。従って、基材100の材質には、ガラス、セラミックス、樹脂、金属、半導体など任意のものを用いることができる。また、その形状も限定されることはなく、平板、凹面や凸面を有する曲面形状、フィルムなどであっても良い。用途に応じて、透光性の基材を用いると良い。
ガラスやセラミックスの組成としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化ガドリニウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウムなどが挙げられる。基材は、研削研磨、モールド成形、フロート成形などの方法で作製することができる。
樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、PET(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂)、トリアセチルセルロース、PC(ポリカーボネート)、シクロオレフィンポリマー、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。光硬化性樹脂としてはアクリルなどのような不飽和二重結合のラジカル重合を用いるタイプや、エポキシなどのカチオン重合を用いるタイプが挙げられる。金属としては、1種類の金属元素からなるものや2種類以上の金属元素を含む合金を用いることができる。
半導体としてはシリコンやゲルマニウムなどの元素半導体や、リン化ガリウム、リン化インジウム等が挙げられる。
(第三の層)
まず、第三の層について説明する。
第三の層は、基材100から最も離れた、空気と接する位置に設けられるため、空気と第三の層との屈折率差をできるだけ小さくすることのできる層が好ましい。空気と第三の層との屈折率差を小さくすることで、光干渉層の光学設計の自由度が増し、基材の材質によらず3層の光干渉によって部材表面における反射を低減することが可能となる。
第三の層の屈折率nは、1.00より大きく1.23以下であることが好ましいが、屈折率が1.10より小さな膜の形成が技術的に困難であることを考慮すると、現実的な屈折率は、1.10以上1.23以下である。好ましくは、1.10以上1.21以下であり、より好ましくは1.15以上1.20以下である。第三の層の屈折率nが1.10以上1.21以下であれば、光学素子としての利用に好適な部材を実現することができる。第三の層の屈折率nが1.15以上1.20以下であれば、高い反射防止特性と高い機械的強度を有する光干渉層を実現することができ、部材10の用途が広がる。なお、本発明における屈折率には、波長550nmにおける屈折率を用いる。
第三の層113の膜厚は、第三の層113の屈折率(空隙率)と、反射を防止する光の波長に基づいて設計されるが、屈折率nを考慮すると、50nm以上300nm以下であれば高い反射防止効果が得られるため好ましい。第三の層113の膜厚は、70nm以上200nm以下がより好ましく、90nm以上150nm以下がさらに好ましい。
図1(b)に、第三の層113の部分的な拡大図を示す。第三の層113は、複数の無機化合物の粒子131がバインダー132によって互いに結着され、粒子間に空隙133を有する多孔質層である。第三の層330の屈折率nは、第三の層330に含まれる粒子131およびバインダー132の材質と、空隙133の量(空隙率)によって調整することができる。空隙率は、粒子の大きさや形状、バインダー132の量で調整することができる。
粒子131には、可視光域の少なくとも一部における屈折率が1.5未満の無機化合物の粒子が用いられる。具体的には、無機化合物は、酸化ケイ素(シリカ)、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムからなる群より選択されるいずれか一種の粒子が好ましく、入手のしやすさを考慮すると、シリカ粒子が特に好ましい。粒子131の組成は、層の断面を、エネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて分析することにより、特定することができる。
粒子131は中実粒子でも、繭型粒子でも、俵型粒子でも、鎖状粒子でも、粒子内部に空孔を有する中空粒子でも良いが、層内に空隙を多く含ませることのできる中空粒子または鎖状粒子が好ましい。第三の層113は屈折率が低いほど好ましいため、屈折率の低い膜を得やすい中空粒子が特に好ましい。なお、鎖状粒子とは、中実粒子などの複数の一次粒子が結着し、直線状あるいは屈曲しながら連なった、二次粒子をいう。
粒子131が中空粒子の場合、中空粒子の平均粒子径は15nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上200nm以下がより好ましく、30nm以上150nm以下がさらに好ましい。平均粒子径が15nm以上300nm以下であれば、粒子を安定的に製造することができ、粒子間に大きな空隙が発生して散乱が発生するのを抑制することができる。
中空粒子の平均粒子径とは、複数の粒子について測定したフェレ径の平均値である。このフェレ径は、第三の層113の断面を透過型電子顕微鏡で撮像して得られた像(断面TEM像)から測定することができる。ImageJ(NIH社製)など市販の画像処理ソフトを用い、必要に応じてTEM像のコントラスト調整を行い、少なくとも50個以上の粒子についてフェレ径を測定し、その平均値を平均粒子径とするとよい。
中空粒子のシェルの厚みは、平均粒子径の10%以上50%以下が好ましく、20%以上35%以下がより好ましい。シェルの厚みがこの範囲にあれば、粒子自体の強度が不足して成膜中に壊れてしまう恐れはなく、粒子1個あたりに含まれる空隙の割合が小さくなり、屈折率を下げる効果が低減する恐れもない。中空粒子のシェルの厚みも、断面TEM像から測定することができる。複数の粒子についてシェルの厚みを測定し、その平均値を用いることができる。
粒子131が鎖状粒子の場合、鎖状粒子を構成する一次粒子は、真球状でも繭型や俵型であっても良いが、長径が短径の1倍以上3倍以下の粒子が特に好ましい。鎖状粒子の太さは、一次粒子の平均粒子径に相当しており、平均粒子径は断面TEM像に写る少なくとも50個以上の一次粒子のフェレ径を測定し、その平均値として求めることができる。
鎖状粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、8nm以上20nm以下が好ましい。平均粒子径が8nm以上20nm以下であると、第三の層113の空隙の表面積が増え過ぎて雰囲気中の水分や化学物質が取り込まれ、第三の層130の光学特性が変化してしまう恐れはない。また、平均粒子径が大きくなりすぎて、第三の層130を形成するための塗工液において、鎖状粒子の溶媒への分散が不安定になり、塗工性が悪化して均一な物性の層が得られなくなるという懸念もない。
鎖状粒子の平均粒子径は、一次粒子の平均粒子径の3倍以上10倍以下が好ましく4倍以上8倍以下がより好ましい。鎖状粒子の平均粒子径が一次粒子の平均粒子径の3倍以上10倍以下であれば、多孔質層の屈折率を十分に低減することができるだけの空隙率が得られ、塗工液の粘度が高くなりすぎる恐れがない。さらに、粒子間に形成される空隙が大きくなって光の散乱が発生し、透光性が損なわれるおそれや、塗工性やレベリング性が悪化してしまうおそれもない。鎖状粒子の平均粒子径は、二次粒子のフェレ径に相当しており、断面TEM像から、少なくとも50個以上の鎖状粒子についてフェレ径を測定し、それらの平均値として求めることができる。
粒子131が中実粒子の一次粒子の場合、平均粒子径は、5nm以上300nm以下が好ましく、5nm以上150nm以下がより好ましく、5nm以上100nm以下がさらに好ましい。平均粒子径が5nm以上300nm以下であれば、第三の層113の屈折率が上昇したり、散乱が増えたりするのを抑制することができる。中実粒子の平均粒子径も、他の形状の粒子と同様にして、層の断面TEM像から求めることができる。
粒子どうしを結着するバインダー132には、粒子131と同質の無機化合物が用いられる。粒子131と同質の無機化合物を用いることで、材料どうしの親和性が高くなり、少量で強い結着力が得られる。その結果、粒子131との親和性が低い樹脂バインダーを用いるよりも、低い屈折率を実現することができる。
粒子131がシリカ粒子の場合、バインダー132には酸化ケイ素化合物が好ましい。酸化ケイ素化合物として好ましい例は、ケイ酸エステルを加水分解・縮合することにより得られる酸化ケイ素オリゴマーの硬化物である。
第三の層113におけるバインダー132の含有量は、第三の層113中の無機成分全体(固形成分)を100質量部として0.2質量部以上20質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下より好ましい。バインダー132の含有量が上記範囲にあれば、粒子に対するバインダーの割合が少ないために、耐擦傷性の低い膜になってしまったり、バインダーの含有量が多いために、空隙率が減少して屈折率が上昇したりするのを抑制することができる。さらに、第三の層113を形成する際に、塗工液中のバインダーとなる成分が粒子131の配列を乱し、得られる膜の可視光における散乱が悪化するのを抑制することもできる。
(第二の層)
第二の層112は、光干渉層を構成する3層のうち最も屈折率の高い層である。
第二の層112には、1.5以上の屈折率が得られる、ポリイミド、アクリル、エポキシなどのポリマーを含む有機層が好適であるが、中でも主鎖に芳香環またはイミド環を有する樹脂またはマレイミド共重合体を含む樹脂が好ましい。平面構造を有する芳香環やイミド環により、成膜時に分子鎖同士が基板に対して平行に配向し易く、本発明の有機層のような数100nm以下の膜厚でも、膜厚、屈折率の均一性が高い層を実現することができる。
第二の層112の屈折率nは1.55以上2.00以下であることが好ましい。屈折率nが1.55以上2.00以下であれば、干渉による高い反射防止効果を実現することができる。屈折率nは、1.57以上1.95以下がより好ましく、1.60以上1.90以下がさらに好ましい。
第二の層112の膜厚は、屈折率n、反射を防止する光の波長、第一の層111、第三の層113との関係に基づく光学設計によって決めるとよい。屈折率nの好ましい範囲を考慮すると、15nm以上100nm以下であれば高い反射防止効果を実現することができるため好ましい。第二の層112の膜厚は20nm以上70nm以下がより好ましく、25nm以上50nm以下がさらに好ましい。
第二の層112として有機層を配置する構成、即ち無機材料からなる層の間に無機材料との親和性の低い有機材料からなる層を設ける構成は、塗布法を用いて光干渉層を成膜する本発明において特に好ましい。先に塗布した塗工液が硬化していない状態で次の塗工液を塗布しても、塗工液中の固形成分間の親和性が低いため、固形成分がほとんど混じり合うことがなく、それぞれの塗工液中の固形成分が分離した状態を維持することができる。そのため塗工液で塗膜を形成するごとに塗膜を硬化させる工程を行う必要がなく、連続して塗布工程を行うことができ、生産効率に優れる。
このように連続して塗布する方法は、層間の密着力を高める効果も得られる。
図2(a)は、塗工液を硬化させることなく、連続して塗布することによって3層を形成して得られる部材の断面構成を示す概略図である。図2(b)、(c)は、それぞれ図2(a)の、第二の層112と第三の層113との界面を含む領域A、第一の層111と第二の層112との界面を含む領域Bを拡大した概略図である。各層の塗工液を連続して塗布した場合、第一の層111と第二の層112との間には、第一の層111に含まれる成分と第二の層112に含まれる成分とを含む第一の混合層201が形成される。同様に、第二の層112と第三の層113との間には、第二の層112に含まれる成分と第三の層113に含まれる成分とを含む第二の混合層202が形成される。
第一の混合層201、第二の混合層202の膜厚は、用いる塗工液の成分や組み合わせにもよるが、2nm以上15nm未満であり、このような混合層によって層間の密着性を高めることができる。第一の混合層201、第二の混合層202の膜厚が15nm以上であると、光干渉層に影響を及ぼす可能性がでてくるが、連続して塗布する塗工液に含まれる固形成分どうしの親和性が低いため、15nm以上になる恐れはない。層間の密着強度をより向上させるには、各混合層の膜厚は、5nm以上15nm未満が好ましい。混合層の厚さは、先に塗布する塗工液を乾燥させる程度によって調整することができる。
(第一の層)
第一の層111は、第三の層の屈折率nより大きく第二の層112の屈折率nより小さい、屈折率nを有する無機化合物層である。第一の層111には、複数の無機化合物の粒子がバインダーで互いに結着された多孔質層や、粒子や空隙を含まない無機化合物層を用いることができる。
第一の層111の屈折率nは、1.60以下であることが好ましい。屈折率が1.60以下であれば、基材100と第一の層111との屈折率差を低減でき、十分な反射低減効果を得ることができる。第一の層111の屈折率nは、1.10以上1.60以下であることが好ましく、1.15以上1.55以下がより好ましく、1.17以上1.45以下がさらに好ましく、1.17以上1.40以下が特に好ましい。
第一の層111の膜厚は、屈折率nと、反射を防止する光の波長、第二の層112、第三の層113との関係に基づく光学設計によって決めるとよい。前述の屈折率nの好ましい範囲から、15nm以上100nm以下であれば高い反射防止効果が期待できるため好ましい。第一の層111の膜厚は、20nm以上70nm以下がより好ましく、25nm以上50nm以下がさらに好ましい。
第一の層111の屈折率nは、第一の層111の材質と層に含まれる空隙の量(空隙率)によって調整することができる。具体的には、第一の層111に粒子を添加するか否か、添加する場合は、粒子の形状や量や種類によって粒子間形成される空隙を調整することができる。
第一の層111の屈折率nを1.10以上1.55以下の範囲に調整する際には、粒子を添加して多孔質層にするとよい。多孔質層には、第三の層113と同様に、無機化合物の複数の粒子をバインダーによって互いに結着させたものを用いることができる。用いられる粒子は、第三の層113と同様に、中実、繭型、俵型、中空、鎖状などの形状の無機化合物の粒子を用いることができる。無機化合物の粒子は、その表面を修飾することで所望の機能を付与することができるよう、予め処理しやすい状態であることが好ましい。バインダーも、第三の層113と同様に、粒子と同質の無機材料を用いることができる。屈折率nは、粒子およびバインダーの材質と、空隙の量(空隙率)によって調整することができる。
第一の層111の屈折率nを1.55以上1.60以下の範囲に調整する際には、粒子を添加せず、空隙が実質的に含まれない無機化合物層を用いることができる。無機化合物としては、可視光域の少なくとも一部において、屈折率が1.60以下の無機化合物が用いられる。具体的には、金属酸化物または金属フッ化物または金属窒化物が好ましく、特に酸化物が好ましい。より具体的には、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛が好ましい。第一の層111に含まれる無機化合物の組成は、第一の層111の断面を、エネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて分析することにより、特定できる。
第一の層111および第三の層113に無機化合物の粒子を添加して多孔質層にする場合、所望の機能を付与する目的で無機化合物の粒子の表面を修飾することができる。具体的には無機化合物の粒子の配列性を高めたり、例えば高湿の環境下で光学性能が変化しないようにするために、ケミカルコンタミや水分の吸着を抑制するために表面処理することができる。表面を修飾する処理方法としては、例えば、粒子が分散された塗工液中に表面処理の成分を直接添加したり、成膜後に雰囲気中に曝して表面処理する方法を用いることができる。成膜後に雰囲気中に曝して表面処理する場合は、各層毎に表面処理しても良いし、全層成膜後にまとめて表面処理しても構わない。表面処理の例としては、疎水化や親水化が挙げられる。疎水化の具体例としては、無機化合物の粒子の表面にフルオロメチル基やメチルシリル基を付与することが挙げられる。粒子の表面を疎水化すると、ケミカルコンタミや水分の吸着を抑制することができる。
(その他の層)
光干渉に影響しないその他の層を有する例として、第三の層113の基材100とは反対側の面に機能層を有する構成や、基材100と第一の層111との間に下引き層を有する構成が挙げられる。これらの層は、光干渉に影響しない15nm未満の膜厚で設けられる。
機能層は、防汚層、親水層、接着層など、部材に機能性を付与するための層である。防汚層としては、フッ素ポリマーを含む層、フルオロシラン単分子層、酸化チタン粒子を含む層などが好ましい。親水層には親水性ポリマー層が好ましく、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホルコリン基などの両性イオン親水基を有するポリマーを含む層が特に好ましい。接着層としては、硬化後に透過率が高いものが望ましく、アクリル樹脂やエポキシ樹脂などが好適である。
下引き層は、基材100からの不純物の拡散を防いだり、基材100と第一の層111との密着性を高めたりする効果を有する。下引き層としては酸化物や窒化物、フッ化物などの無機化合物やポリマー層などが挙げられる。
(部材の製造方法)
部材の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)基材を準備する工程
(2)基材の上に第一の塗工液を塗布して第一の塗膜を形成する工程
(3)第一の塗膜の上に第二の塗工液を塗布して第二の塗膜を形成する工程
(4)第二の塗膜の上に第三の塗工液を塗布して第三の塗膜を形成する工程
(5)第三の塗膜を硬化する工程
以下、各工程について説明する。
(1)基材を準備する工程
まず、基材100を準備する。基材100は必要に応じて溶媒による洗浄、UV洗浄等を行うとよい。
(2)基材の上に第一の塗工液を塗布して第一の塗膜を形成する工程
まず、第一の層を形成するための第一の塗工液11(以下、塗工液11と記載する)について説明する。以下では、すでに説明した事項については記載を省略する場合がある。以下では、第一の層111を多孔質層とする場合の塗工液を塗工液11-1、第一の層111を、実質空隙を含まない無機化合物層とする場合の塗工液を塗工液11-2とする。塗工液11-1、11-2をまとめて塗工液11と記述する。
第一の層111を多孔質層とする場合の塗工液11-1は、第一の層111を構成する無機化合物の粒子およびバインダーとなる成分と、溶媒と、を含む。溶媒には、有機溶媒や水を用いることができるが、スピンコーティング法で塗布する塗工液の場合は、均一な塗膜を形成できるという点で有機溶媒を用いるのが好ましい。有機溶媒と水が混合した塗工液を用いることもできるが、水の含有量は有機溶媒の含有量よりも少ないことが好ましい。水の含有量は塗工液11-1の溶媒成分100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上15質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。水の含有量が溶媒成分100質量部に対して0.1質量部未満であると、水で分散された粒子スラリーをそのまま塗工液11-1に使用することが難しく、水を溶媒置換や蒸留などで一旦除去してから使用することになるため、塗工液のコストアップや製造工程が煩雑になるおそれがある。水の含有量が溶媒成分100質量部に対して20質量を超える場合、均一な塗膜を形成するのが難しくなり、放射状の塗りムラが発生したり、基材の端部に液が溜まりやすくなり均一な塗膜を形成することが難しくなるおそれがある。
塗工液11-1に含まれる粒子の材質、形状、大きさは、前述の通りである。塗工液11-1に含まれる粒子の平均粒子径は、塗工液11-1から粒子を抽出して洗浄した後に乾燥させたものについてTEM像を取得し、粒子50個以上についてフェレ径を測定し、それらの平均値として算出することができる。
粒子どうしを結着するバインダーは、粒子と同質の無機材料が好ましい。粒子としてシリカの粒子を用いる場合、バインダーはシリカが好ましく、バインダーとなる成分は酸化ケイ素化合物が好ましい。塗工液11-1に含まれる固形成分(溶質)をすべて無機材料とすることで、第二の層を形成する第二の塗工液の固形成分との親和性が低くなる。そのため、塗工液11-1が硬化する前に第二の塗工液を塗布しても、それぞれの溶質が実質分離された状態が維持され、個々の層を形成することが可能となる。酸化ケイ素化合物として好ましい例は、ケイ酸エステルを加水分解および縮合することにより得られる酸化ケイ素オリゴマーである。
シリカ粒子は元から表面にシラノール(Si-OH)基を有しているが、塗工液中で酸化ケイ素オリゴマーと混合することによって、表面のシラノール基の数を増やすことができる。その結果、粒子の表面をより結着しやすい状態となる。塗工液11-1を塗布し、その後に硬化させると、複数の粒子が酸化ケイ素オリゴマーの硬化物によって互いに結着され、機械的強度の高い膜を得ることができる。
塗工液11-1中のバインダーとなる成分の含有量は、塗工液11-1に含まれている固形成分100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下が好ましい。1質量部以上15質量部以下より好ましく、3.0質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。バインダーとなる成分の含有量が0.2質量部以上20質量部以下であれば、粒子どうしの結着が弱くなって機械的強度が低下したり、バインダーとなる成分の含有量が多くなって、屈折率が上昇したりするのを抑制することができる。さらに、バインダーとなる成分が粒子の配列を乱し、得られる膜の可視光における散乱が悪化したりするのを抑制することもできる。
塗工液11-1に用いる有機溶媒は、工程中に粒子が凝集したり、塗工液11-1が急激に増粘したりしないものであればよい。塗工液11-1中の粒子が均一に分散した状態が維持できると、基材の上に粒子が均一に分布した第一の塗膜を形成することができる。逆に、塗工液11-1中の粒子が凝集した状態で存在していると、基材には凝集した状態の粒子が塗布され、配列性が乱れて所望の屈折率が得られなくなってしまう。
有機溶媒の具体例として、以下が挙げられる。メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、シクロペンタノール、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチルブタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、3-エチルブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノールなどの1価のアルコール類。エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類。メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノールなどのエーテルアルコール類、ジメトキシエタン、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類。ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類。n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類。トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類。クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類。N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶媒等。これらの溶媒のうち、2種類以上の溶媒を混ぜて使用することも可能である。
粒子の分散性、塗工性の観点から、第一の塗工液11-1に含まれる有機溶媒としては、30%以上が炭素数4以上6以下の水酸基を有する水溶性溶媒であることが好ましい。中でも、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、乳酸エチルからなる群より選択される1種以上を含む溶媒が特に好ましい。
また、塗工液11-1には粒子の分散性や経時安定性の向上や、所望の機能を付与する目的で表面処理剤を含むことができる。具体的には酸などが挙げられるが、表面に酸性基を2個以上持つ、フッ素を含む有機酸がより好ましい。シリカ粒子を用いる場合、表面に酸性基を2個以上持ち、フッ素を含む有機酸が付加されたシリカ粒子を用いることでシリカ粒子の配列性が乱れることなく、シリカ粒子が整列して堆積した状態で塗膜を形成することができる。また酸性基が粒子を修飾するため、例えば酸性基が2個ある場合、酸1つで近接した2個の粒子を修飾することができると想定される。そのため酸性基を2個以上持つ酸を介した粒子同士の結合もできることで、粒子間の結合数が増え、高い膜強度が得られる。また、フッ素を含む有機酸が付加されたシリカ粒子を用いることで、ケミカルコンタミや水分の付着を抑制することができるため、高湿の環境下での光学性能の変化を抑制することができる。ケミカルコンタミは、光干渉層を有する基材の外部から発生する場合や、光干渉層を有する基材の内部から発生する場合の両方が想定されるが、どちらのケースにおいても抑制することができる。そのため、部材の材質によらず高湿の環境下での光学性能の変化を抑制することができる。表面に酸性基を2個以上持ち、フッ素を含む有機酸の具体例としては、Tetrafluorosuccinic Acid、Hexafluoroglutaric Acid、Octafluoroadipic Acid、Dodecafluorosuberic Acid、Hexadecafluorosebacic Acidなどが挙げられる。表面に酸性基を2個以上持つフッ素を含む有機酸は、粒子100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下の範囲で含まれることが好ましく、さらに0.1質量部以上5質量部以下の範囲で含まれることがより好ましい。表面に酸性基を2個以上持つフッ素を含む有機酸が0.01質量部未満であると水分やケミカルコンタミが粒子に吸着しやすくなるおそれがある。表面に酸性基を2個以上持つフッ素を含む有機酸が10質量部より多く含まれると、酸性基の酸性度は等しくないため、過剰に含まれることで1個目の酸性基の反応が優先されて粒子同士の結合に付与し難くなるおそれがある。そのため水分やケミカルコンタミが吸着しやすくなる場合がある。また、膜の強度が低下するおそれがある。
第一の層111を、実質空隙を含まない無機化合物層とする場合の塗工液11-2は、第一の層111を構成する無機化合物成分(固形成分)と、溶媒と、を含む。溶媒には、有機溶媒や水を用いることができるが、スピンコーティング法で塗布する塗工液の場合は、均一な塗膜を形成できるという点で有機溶媒を用いるのが好ましい。
塗工液11-2に含まれる無機化合物成分には、金属アルコキシドを用いるのが好ましい。金属アルコキシドとしては、ジルコニウムアルコキシド、シリコンアルコキシド、チタニウムアルコキシド、亜鉛化合物、アルミニウム化合物が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドの例として、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシドが挙げられる。
シリコンアルコキシドの例として、低級アルキル基を有するものが挙げられる。
亜鉛化合物としては、例えば酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛などが挙げられ、特に酢酸亜鉛、塩化亜鉛が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム-n-ブトキシド、アルミニウム-sec-ブトキシド、アルミニウム-tert-ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、またこれらのオリゴマー、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
塗工液11-2に含まれる有機溶媒は、ジルコニウム、シリコン、チタニウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属アルコキシドが析出したり、工程中に塗工液11-2が急激に増粘したりしない溶媒であれば良い。
具体例として、以下の有機溶媒が挙げられる。メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、エチレングリコールもしくはエチレングリコール-モノ-n-プロピルエーテルなどのアルコール類;n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの各種のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルのような各種のエーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類;N-メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶剤等。これらの溶媒のうち、2種類以上の溶媒を混ぜて使用することも可能である。
金属アルコキシドを原料に用いる場合、水に対する反応性が高く、空気中の水分や水の添加によって急速に加水分解が生じる場合がある。そのため、塗工液11-2に安定化剤を添加して、急速な加水分解を抑制するのも好ましい。安定化剤としては、アセチルアセトン、ジピロバイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ-ジケトン化合物類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸-iso-プロピル、アセト酢酸-tert-ブチル、アセト酢酸-iso-ブチル、アセト酢酸-2-メトキシエチル、3-ケト-n-バレリック酸メチルなどの、β-ケトエステル化合物類;さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの、アルカノールアミン類等を挙げることができる。
基材100の上に塗工液11を塗布する方法は、所望の膜厚に制御できるものであれば限定されるものではない。具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スリットコート法、印刷法、グラビアコート法やディップコート法が挙げられる。凹面などの立体的に複雑な形状を有する物品を製造する場合は、均一な厚みの塗膜が得られ易いため、スピンコート法が特に好ましい。スピンコート法の場合、回転数や塗工液11の固形成分の濃度等を調整することにより、膜厚を制御することができる。
(3)第一の塗膜の上に第二の塗工液を塗布して第二の塗膜を形成する工程
第二の層を形成するための第二の塗工液12(以下、塗工液12と記述する)は、第二の層112を構成するポリマー成分(固形成分)と、溶媒とを含む。溶媒としては、有機溶媒が好ましい。
ポリマー成分としては、芳香環またはイミド環を有する組成物やマレイミド共重合体を含む組成物が挙げられる。芳香環やイミド環は平面構造を持つため、これらの構造を有する組成物は、成膜時に分子鎖同士が基板に対して平行に配向し易い。そのため、本発明の有機層のような数100nm以下の膜厚でも、膜厚、屈折率の均一性が高い層を得ることができる。
有機溶媒は、ポリマーが溶解し、塗工液12が急激に増粘しない溶媒が好ましい。そのような溶媒としては2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類。酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ-ブチロラクトンなどのエステル類。テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライムなどのエーテル類。トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類。クロロホルム、メチレンクロライド、テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素類。その他、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの溶媒が挙げられる。さらに、1-ブタノール、1-エトキシ-2プロパノール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノールなどのアルコール類も併用することができる。これらの溶媒は1種類であっても、2種類以上が混合されて使用されていても良い。
塗工液12の塗布も、塗工液11を塗布する工程と同様に行うことができる。前述した通り、塗工液11に含まれる固形成分はすべて無機材料であり、塗工液12の固形成分である有機材料との親和性が低い。従って、塗工液11を塗布して第一の塗膜を形成した後、第一の塗膜を硬化させることなく、第一の塗膜の上に塗工液12を塗布することが可能である。ここでいう硬化とは、塗工液に含まれる有機溶媒を蒸発させ、24時間経過後の屈折率変化が0.01以下であることを言う。
第一の塗膜を硬化させずに塗工液12を塗布した場合、第一の塗膜の表面から塗工液12に含まれるポリマーがわずかに侵入した領域が形成され、その後、これらはまとめて硬化される。このようにして得られる光干渉層の第一の層111と第二の層112との界面には、図2(c)に示すように、第一の層111に含まれる成分と第二の層112に含まれる成分とを含む、2nm以上15nm未満の第一の混合層201が形成される。第一の混合層201は、膜厚が薄いため、光干渉層としては機能しないが、第一の層111と第二の層112との密着性を高める効果を有する。第一の混合層201の膜厚が5nm以上15nm未満であれば、第一の混合層201による密着強度がさらに高まるため好ましい。
第一の混合層201の膜厚は、塗工液12を塗布する工程の前に、第一の塗膜に含まれる有機溶媒の一部を除去する工程を行うことによって、薄くすることが可能である。
第一の混合層201を形成しない場合は、第一の塗膜を硬化させた後に、塗工液12を塗布すると良い。
(4)第二の塗膜の上に第三の塗工液を塗布して第三の塗膜を形成する工程
第三の層を形成するための第三の塗工液13(以下、塗工液13)は、第三の層113を構成する無機化合物の粒子およびバインダーとなる成分(固形成分)と、有機溶媒と、を含む。塗工液13に含まれる無機化合物の粒子と塗工液11に含まれる無機化合物の粒子または無機化合物成分は、同じ組成でも良いし異なっていても良い。塗工液13に含まれる有機溶媒は、塗工液12と異なるものを使用することが望ましい。
塗工液13に含まれる粒子の材質、形状、大きさは、前述の通りである。塗工液13に含まれる粒子の平均粒子径は、塗工液13から粒子を抽出して洗浄した後に乾燥させたものについてTEM像を取得し、粒子50個以上についてフェレ径を測定し、その平均値として算出することができる。
バインダーとなる成分、有機溶媒にも、塗工液11-1と同じものを用いることができる。
塗工液13を塗布する工程も、塗工液11を塗布する工程と同様に行うことができる。塗工液12に含まれる固形成分が有機材料であるため、塗工液13の固形成分との親和性が低い。従って、塗工液12を塗布して第二の塗膜を形成した後、第二の塗膜を硬化させることなく、続けて第二の塗膜の上に塗工液13を塗布して第三の塗膜を形成することが可能である。
第二の塗膜を硬化させずに塗工液13を塗布した場合、第二の塗膜の表面から塗工液13に含まれる粒子がわずかに侵入した領域が形成され、その後これらはまとめて硬化される。このようにして得られる光干渉層の第二の層112と第三の層113との界面には、図2(a)に示すように、第二の層112に含まれる成分と第三の層113に含まれる成分とを含む、2nm以上15nm未満の第二の混合層202が形成される。
第二の混合層202は、膜厚が薄いため、光干渉層としては機能しないが、第二の層112と第三の層113との密着性を高める効果を有する。第二の混合層202の膜厚が5nm以上15nm未満であれば、第二の混合層202による密着強度がさらに増すため好ましい。
第二の混合層202の膜厚は、塗工液13を塗布する工程の前に、第二の塗膜に含まれる有機溶媒を乾燥させる工程を行うことによって薄くすることができる。
第二の混合層202を形成しない場合は、第二の塗膜を硬化させた後に、塗工液13を塗布して第三の塗膜を形成すると良い。
(5)第三の塗膜を硬化する工程
基材100の上に塗工液13を塗布して第三の塗膜を形成した後、少なくとも第三の塗膜から溶媒を除去して硬化させる。途中に硬化工程を行うことなく第一の塗膜から第三の塗膜まで連続で形成した場合は、本工程で第一の塗膜~第三の塗膜がまとめて硬化される。
本工程は、基材100の耐熱温度に依存するが、20℃以上200℃以下で硬化させるのが好ましい。硬化時間は、基材100に影響を与えず、且つ塗膜に含まれる有機溶媒を除去できる程度の時間であればよい。塗膜を硬化する手法としては、オーブンやホットプレートで加熱しても良いし、積極的な加熱は行わず、時間をかけて硬化させてもよい。
<第二の実施形態>
第二の実施形態として、関係式2を満たす部材、即ち光学干渉層に含まれる各層の屈折率がn<n<nを満たす構成について説明する。
図3に、本実施形態にかかる部材30の断面を示す概略図を示す。部材30は、基材300と、基材300の一方の主面上に3層(311、312、313)からなる光干渉層310とを有している。光干渉層310は、基材300側から順に、第一の層311、第二の層312、第三の層313を有しており、これら3層による光干渉によって、部材30に入射する光の反射を抑制する。部材30は、主面に光干渉に影響しない他の層を有していても良いが、光干渉に影響しない層は光干渉層には含めない。
基材および第三の層は、第一の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
(第二の層)
第二の層312は、第三の層313の屈折率nよりも大きく第一の層311の屈折率nよりも小さい屈折率nを有する層である。第二の層312の屈折率nは、1.25以上1.65以下であることが好ましく、1.27以上1.60以下がより好ましく、1.30以上1.57以下がさらに好ましい。この範囲であれば、光干渉効果を利用して、部材30表面の反射を十分に低減することができる。
第二の層312には、第二の実施形態における第一の層111と同様の層を用いることができる。具体的には、複数の無機化合物の粒子がバインダーで互いに結着された多孔質層、あるいは粒子や空隙を含まない無機化合物層を用いることができる。
第二の層312の屈折率nは、第一の実施形態の第一の層111と同様に、第二の層312に含まれる粒子およびバインダーの材質と空隙率によって調整することができる。
第二の層312の膜厚は、屈折率nと、反射を防止する光の波長、第一の層312、第三の層313との関係に基づく光学設計によって決めるとよい。前述の屈折率nの好ましい範囲から、15nm以上100nm以下であれば高い反射防止効果が期待できるため好ましい。第一の層111の膜厚は、20nm以上70nm以下がより好ましく、25nm以上50nm以下がさらに好ましい。
本実施形態は、第一の実施形態とは異なり、第二の層312とその上に形成される第三の層313が共に無機材料からなる層であり、互いの親和性が高い。そのため、第二の層312を形成する塗工液を塗布した後、塗工液が硬化していない状態で第三の層313を形成する塗工液を塗布してしまうと、それぞれの塗工液の固形成分が混じり合って一体化してしまう恐れがある。
詳しくは後述するが、第二の層312を形成する塗工液を塗布する工程と、第三の層313を形成する塗工液を塗布する工程との間には、第二の層312を形成する塗工液による塗膜を硬化する工程が行われる。
第一の層311として有機層が設けられるため、第二の層312として無機化合物層を配置する構成は、塗布法を用いて光干渉層を成膜する本発明においては好ましい。第二の層312に含まれる無機化合物(第二の層を形成するための塗工液の固形成分)は、第一の層311に含まれる有機物(第一の層を形成するための塗工液の固形成分)とは親和性が低い。従って、第二の層312を形成する際、第一の層311の塗工液が硬化していない状態で、その上に第二の層312の塗工液を塗布しても、混じり合うのは界面近傍だけで固形成分が分離した状態を維持することができる。第一の層311を形成するための塗工液を塗布した後に硬化工程を行うことなく、続けて第二の層312を形成するための塗工液を塗布することができると、生産効率に優れるため好ましい。
図4(a)は、第一の層311層を形成するための塗工液を硬化させることなく、連続して第二の層312を形成するための塗工液を塗布することによって得られる部材を示している。図4(b)、(c)は、それぞれ図4(a)の部材の第二の層312と第三の層313との界面を含む領域A、第一の層311と第二の層312との界面を含む領域Bを拡大した図である。第一の層311と第二の層312との界面には、第一の層311に含まれる成分と第二の層312に含まれる成分とを含む混合層401が形成されるため、密着性が向上する。しかし、第三の層313を形成するための塗工液は、第二の層312を形成するための塗工液の塗膜を硬化した後に塗布されるため、第二の層312と第三の層313との界面には混合層は形成されない。
本実施形態の場合、第二の層212と第三の層213との界面に混合層が形成されることはないが、第二の層312と第三の層313はいずれも無機化合物からなる層であるため、互いの親和性が高く、密着性に問題が生じることはない。
(第一の層)
第一の層311の屈折率nは、1.55以上2.00以下であることが好ましく、1.57以上1.95以下がより好ましく、1.60以上1.90以下であることがさらに好ましい。屈折率が1.55以上2.00以下であれば、基材300との界面、第二の層312との界面による反射光の干渉によって、十分な反射低減効果を得ることができる。
第一の層311の膜厚は15nm以上100nm以下であることが好ましい。第一の層310の膜厚が、15nm以上100nm以下であれば、干渉膜として機能し、十分な反射防止効果を得ることができる。第一の層311の膜厚は、20nm以上70nm以下がより好ましく、25nm以上50nm以下がさらに好ましい。
本実施形態の第一の層311には、第一の実施形態における第二の層112と同様の有機層を用いることができる。
第一の層311を有機層、第二の層312を無機化合物層とすることにより、第一の層311を形成するための塗工液を塗布した後に硬化工程を行うことなく、続けて第二の層312を形成するための塗工液を塗布することができるのは、前述した通りである。
混合層401の膜厚は、用いる塗工液の成分や組み合わせ、製造プロセスにもよるが、2nm以上15nm未満である。混合層401の膜厚が15nm未満であれば、光干渉層に影響を及ぼすおそれがない。層間の密着強度の向上を考慮すると、混合層の膜厚は、5nm以上15nm未満であるのが好ましい。混合層401の膜厚は、塗工液11を塗布する工程の前に、塗工液12に含まれる有機溶媒の一部を除去する工程を行うことにより、薄くすることが可能である。
(光干渉層の製造方法)
本実施形態にかかる光干渉層の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)基材を準備する工程
(2)基材の上に第一の塗工液を塗布して第一の塗膜を形成する工程
(3)第一の塗膜の上に第二の塗工液を塗布して第二の塗膜を形成する工程
(4)第二の塗膜を硬化する工程
(5)硬化した第二の塗膜の上に第三の塗工液を塗布して第三の塗膜を形成する工程
(6)第三の塗膜を硬化する工程
本実施形態にかかる光干渉層の製造方法は、第一の実施形態と共通する点が多いため、重複する事項については省略しながら説明する。
(1)基材を準備する工程
第一の実施形態と同様に、基材300を準備するとよい。
(2)基材の上に第一の塗工液を塗布して第一の塗膜を形成する工程
第一の層311を形成するための第一の塗工液21(以下、塗工液21と記述する)には、第一の実施形態の塗工液12を用いることができる。塗工液21を塗布する工程は、第一の実施形態の塗工液11と同様に行うことができる。
(3)第一の塗膜の上に第二の塗工液を塗布して第二の塗膜を形成する工程
第二の層312を形成するための第二の塗工液22(以下、塗工液22と記述する)には、第一の実施形態の塗工液11を用いることができる。塗工液22を塗布する工程は、第一の実施形態の塗工液12と同様に行うことができる。
(4)第二の塗膜を硬化する工程
第二の塗工液22は、この後に塗布される第三の層を形成するための第三の塗工液との親和性が高いため、第三の塗工液の塗布の前に、塗工液22の塗布により形成された第二の塗膜の硬化が行われる。
第二の塗膜の硬化は、第一の実施形態の第三の塗膜を硬化する工程と同様に行うことができるが、50℃以上200℃以下で加熱処理を行って硬化させると、製造に要する時間を短縮することができ、好ましい。
(5)硬化した第二の塗膜の上に第三の塗工液を塗布して第三の塗膜を形成する工程
第三の層313を形成するための第三の塗工液23(以下、塗工液23と記述する)には、第一の実施形態の塗工液13を用いることができる。塗工液23を塗布する工程は、第一の実施形態の塗工液13の塗布と同様に行うことができる。
(6)第三の塗膜を硬化する工程
第三の塗膜を硬化する工程は、第一の実施形態の第三の塗膜を硬化する工程と同様に行うことができる。
<第三の実施形態>
本発明にかかる物品を備える光学機器として、レンズ鏡筒(交換レンズ)を備える撮像装置の構成例を図5に示す。図5は、レンズ鏡筒(交換レンズ)が結合された一眼レフデジタルカメラである。
本発明において、光学機器とは、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置、交換レンズ等の光学系を備える機器をいう。
また、本発明の撮像装置とは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像機器、これらの撮像機器を搭載したロボットやドローン等の撮像システム、携帯電話機等、光学素子を通過した光を受光する撮像素子を備える電子機器のことをいう。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、例えばカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
図5において、カメラ本体510と光学機器であるレンズ鏡筒520とが結合されているが、レンズ鏡筒510はカメラ本体520対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒520の筐体530内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ531、532を含む光学系を通過し、撮像素子で受光される。光学系を構成するレンズ531や532として、本発明にかかる物品を用いることができる。
レンズ532は内筒533によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒520の外筒に対して可動支持されている。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体510の筐体内の主ミラー511により反射され、プリズム512を透過後、ファインダレンズ513を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー511は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー514によりAF(オートフォーカス)ユニット515の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー511は主ミラーホルダ540に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー511とサブミラー514を光路外に移動させ、シャッタ516を開き、撮像素子517にレンズ鏡筒520から入射した撮影光像を結像させる。また、絞り534は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
光学系の最も外側、すなわちレンズ鏡筒520の最もカメラ本体510から離れた位置には、レンズフィルター550が装着されている。
レンズフィルター550に図1に示した構成の部材10を用いてもよい。
<第四の実施形態>
図6は第四実施形態に係る部材の概略図であり、光干渉層を有する基材として、レプリカ素子(非球面レンズ)を備える光学素子の構成例である。図7は変形例である。図6、図7は、レプリカ素子上に光干渉層を備える光学素子である。
第四の実施形態に係る部材10Aは、第一実施形態に係る部材10と基材が異なる。第四の実施形態に係る部材10Aは、基材100-1の上に第一の層111、第二の層112、第三の層113が順に積層されている。
(基材)
基材100-1は、第一の層111と接する面が非球面形状である。基材100-1は、透明部材1と、樹脂の硬化物2と、を有する。透明部材1と樹脂の硬化物2の間には両社の密着性を高めるために密着層を設けたり、シランカップリング剤により透明部材1を表面処理していても構わない。
透明部材1は、光学面である第1面1Aと第2面1Bと、を有する。第1面1Aは球面であり、その中心Oを光軸が通る。第1面1Aの外周には光軸と垂直またはほぼ垂直な面である平坦面1Cが設けられている。透明基材の第1面1Aは光入射面又は光射出面の一方であり、透明基材の第2面1Bは光入射面又は光射出面の他方である。
透明部材1は、透明な樹脂や、透明なガラスを用いることができる。本明細書において、透明とは、波長が400nm以上780nm以下の範囲の光の透過率が10%以上であることを示す。透明部材1は、ガラスを用いることが好ましく、例えば、珪酸ガラスや硼珪酸ガラス、リン酸ガラスに代表される一般的な光学ガラスや、石英ガラス、ガラスセラミックスを用いることができる。
図6において、第1面1Aは凹球面状であり、第2面1Bは凸球面状であるが、透明部材1の形状は特に限定されない。透明部材1の硬化物2と接する面の形状は、凹球面、凸球面、軸対称非球面、平面などから所望の特性に合わせて選択することができる。透明部材1は図1の紙面上方向から上面視した際に円形であることが好ましい。部材10Aをレンズとして第三実施形態の光学系に用いる際に、組み付ける精度が向上するためである。
(硬化物)
硬化物2は、透明部材の第1面1A上に密着して設けられている。平坦面1Cに設けられていても構わないが、平坦面1Cに設けられていなくても構わない。硬化物2は樹脂組成物を重合又は共重合させることによって得られる樹脂組成物の硬化物である。
樹脂組成物は、第1の材料と、第2の材料と、重合開始剤と、を有する。第1の材料は、1官能(メタ)アクリレートの単量体を含む材料を重合させて得られる重合体である。第2の材料は、前記1官能(メタ)アクリレートの単量体である。硬化物2はこの樹脂組成物の硬化物である(メタ)アクリレート化合物を有する。
第一の実施形態で説明した光干渉層110は、基材100-1上に形成される。
図6において、硬化物2の厚みは第1面1Aの面内において均一ではない。すなわち、硬化物2の透明部材1と接していない側の表面の形状は非球面である。本実施形態においては、光軸が通る素子の中心O付近で薄く最小厚みd1となり、素子の周縁部で最大厚みd2となる厚みの分布を有するが、非球面であればこの形状でなくてもよい。例えば、素子の中心O付近で最大厚みd2となり、素子の周縁部で最小厚みd1となるような厚みの分布を有していても良い。硬化物2の最小厚みd1に対する最大厚みd2の割合が、1より大きく、かつ30以下の範囲であることが好ましい。30より大きくなると、硬化物2の厚みの差が大きいため硬化収縮の際に面精度が高精度に保てなくなるおそれがある。より好ましくは8以上である。なお、最小厚みd1が300μm以下であることが好ましく、最大厚みd2が10μm以上1000μm以下の範囲であることが好ましい。
また、透明部材1上に設けられた硬化物2の吸水膨張率は0.30%未満であることが好ましい。吸水膨張による光学特性の変動が小さくできるためである。吸水膨張率が0.30%以上であると、吸水前後における硬化物2の表面形状の変化が大きく、光学系に用いた際の画質に変動を及ぼすことがある。そのため、好ましくは0.23%以下である。さらに好ましくは0.19%以下である。なお、吸水膨張率は、温度40℃、湿度90%の恒温恒湿槽に部材10Aを16時間載置し、室温環境下(23℃±2℃)に取り出した20分後に、硬化物2の表面形状を形状測定機によって評価することができる。
第一の層111の厚みは、平坦面1Cの上の厚みが第一の面1Aの中心Oの上の厚みより厚いことが好ましい。平坦面1Cにおける第一の層111と透明部材1との密着性を高めるためである。
第二の層112の厚みは、平坦面1Cの上の厚みが第一の面1Aの中心Oの上の厚みより厚いことが好ましい。平坦面1Cにおける第二の層112と第一の層111との密着性を高めるためである。
第三の層113の厚みは、平坦面1Cの上の厚みが第一の面1Aの中心Oの上の厚みより厚いことが好ましい。平坦面1Cにおける第三の層113と第一の層112との密着性を高めるためである。
図7は第四実施形態の変形例であり、第二の実施形態で説明した光干渉層310が、基材300-1上に形成されている。基材300-1と基材100-1は同じものである。
第一の層311の厚みは、平坦面1Cの上の厚みが第一の面1Aの中心Oの上の厚みより厚いことが好ましい。平坦面1Cにおける第一の層311と透明部材1との密着性を高めるためである。
第二の層312の厚みは、平坦面1Cの上の厚みが第一の面1Aの中心Oの上の厚みより厚いことが好ましい。平坦面1Cにおける第二の層312と第一の層311との密着性を高めるためである。
第三の層313の厚みは、平坦面1Cの上の厚みが第一の面1Aの中心Oの上の厚みより厚いことが好ましい。平坦面1Cにおける第三の層313と第一の層312との密着性を高めるためである。
以下に示す通り、光干渉層を構成する各層を形成するための塗工液を、順次基材の上に塗布することにより、それぞれの実施例あるいは比較例に係る部材を作製し、評価を行った。
<部材の作製>
基材として以下の平板ガラスおよび凹面を有する球面レンズを準備し、以下の実施例および比較例では、それぞれの基材に光干渉層を設けて光干渉層を有する部材を作製した。それぞれの実施例または比較例で用いた基材の硝種および屈折率を表1に示す。
平板ガラス1:φ30mm、厚み1mm、片面研磨品
平板ガラス2:φ30mm、厚み1mm、両面研磨品
球面レンズ1:φ30mm、曲率半径18.4mm、中心厚み2mm
非球面レンズ1:φ30mm、曲率半径18.4mm、中心厚み2mm
平板ガラス1は研磨面に、平板ガラス2は一方の研磨面に、球面レンズ1、非球面レンズ1は凹面に、それぞれ光干渉層を形成した。各層を形成するための塗工液は、スピンコート法を用いて塗布した。
作製した部材は、以下の方法で評価した。
<部材の膜厚評価>
部材の各層の膜厚の評価は高速分光エリプソメーター(M-2000 J.A.Woollam Japan社製)を用いた、平板ガラス1を高速分光エリプソメーターにセットし、入射角を50°~70°の範囲で変更し、測定結果から膜厚を算出した。
<部材の反射率の評価>
平板ガラス1の中心部および球面ガラスの半開角30°における垂直入射光の反射率を、反射率計(USPM-RU III オリンパス株式会社製)を用いて測定した。反射率は平板ガラス1と球面ガラスでの可視光領域(400-700nm)における平均反射率を算出し、以下の基準で評価した。
A:平均反射率が0%以上0.2%以下
B:平均反射率が0.2%より大きく0.6%以下
C:平均反射率が0.6%より大きい
評価がAまたはBの部材は反射防止効果が良好であると判断した。
<部材の散乱の評価>
部材の散乱の評価は以下のように行った。基材ホルダーに、照度計(T-10M コニカミノルタセンシング社製)を設置し、照度を計測しながら、基材の表面における垂直方向からの照度が4000luxとなるように、白色光の照射強度を調整した。
次に、平板ガラス2に光干渉層を設けた部材を、光干渉層側から白色光が照射されるように、基材ホルダーに設置した。設置した部材を45°に傾け、光干渉層が設けられていない面の法線方向からカメラ(レンズ:EF50mm F2.5 コンパクトマクロキヤノン株式会社製、カメラ:EOS-70D キヤノン株式会社製)で撮影した。カメラの撮影条件は、ISO400、ホワイトバランス晴れ、絞り10、シャッタースピード10秒で行った。得られた画像の中から、700pix×700pixの任意4箇所について平均輝度値を算出し、散乱値とした。散乱値は、以下の基準で評価した。
A:散乱値が0以上15以下
B:散乱値が15以上25以下
C:散乱値が25以上
評価がAまたはBの部材は、光干渉層による散乱が低く、光学部材として好ましい特性が得られていると判断した。
<部材の強度評価>
平板ガラス1の研磨面に設けた光干渉層の表面に、300g/cm2の荷重をかけながらポリエステルワイパー(テックスワイプ社製 アルファワイパーTX1009)を押し当てて50回往復させた後、光学顕微鏡にて外観の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
A:外観上の変化がほとんど見られない
B:外観に若干の変化が見られ、微小な線キズなどが生じている
C:外観が著しく変化し、線キズや膜剥がれなどが生じている
評価がAの場合は強度が優れ、Bの場合は強度が良好であり、強度に問題は無いと判断した。
<曲面周辺部の反射評価>
光干渉層を設けた球面レンズを目視により観察し、周辺部における反射の評価を行った。ここでいう周辺部とは、凹面の外縁に沿った幅2mmの領域をいう。反射の評価は以下の基準で評価した。
A:周辺部の反射がほとんど目立たない
B:周辺部における反射が感じられる
C:周辺部での反射がかなり目立つ
評価Aのものは、レンズ中心部からレンズ周辺部にかけて外観上の変化がほとんど見られず、良好な反射防止効果が得られていると考える。評価Bのものは、評価Aよりは劣るが、十分な反射防止効果が得られていると考える。評価Cのものは、反射防止効が不十分であると考える。
<高温高湿下での信頼性評価>
光干渉層を有する部材を60℃90%の高温高湿下に1000時間曝して反射率の変動および外観の評価を行った。反射率変動の評価は以下の基準で評価した。
A:反射率変動がほとんどない
B:わずかに反射率の変動が見られる
C:反射率の変動が大きい
外観の評価は以下の基準で評価した。
A:外観上の変化がほとんど見られない
B:外観に若干の変化が見られ、微小な線キズなどが生じている
C:外観が著しく変化し、線キズや膜剥がれなどが生じている
評価Aのものは、レンズ中心部からレンズ周辺部にかけて光学特性や外観の変化がほとんど見られず、良好な信頼性が得られていると考える。評価Bのものは、評価Aよりは劣るが、十分な信頼性が得られていると考える。評価Cのものは、信頼性が不十分であると考える。
以下、実施例および比較例について具体的に説明する。
[実施例1]
(第一の層を形成するための塗工液1a)
球状の中実シリカ(酸化ケイ素)粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が3.8質量%になるように1-プロポキシ-2-プロパノールを添加した。
別の容器に、ケイ酸エチル12.48gにエタノール13.82gと硝酸水溶液(濃度3%)を加え、室温で10時間攪拌し、シリカゾル1(固形分濃度11.5質量%)を調製した。ガスクロマトグラフィーにより、原料のケイ酸エチルの成分が残っていないことを確認した。
シリカ粒子:シリカゾル成分が25:3になるように、中実シリカ粒子の分散液にシリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間、攪拌して混合させることで、中実シリカ粒子を含む塗工液1aを得た。
(第二の層を形成するための塗工液2a)
4,4’-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)(以下DADCMと記述する。東京化成製)200gに還流させながらヘキサンを徐々に加えて完全に溶解させた。加熱を止め数日間室温に放置した後、析出物を濾別し、減圧乾燥した。58gの白色固体状の脂環式ジアミンDADCMを得た。
合計で12mmolになるように、脂環式ジアミンDADCM、芳香族ジアミン4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(製品名BODA:和歌山精化工業製)およびシロキサン含有ジアミン1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(製品名PAM-E:信越化学工業製)の3種類のジアミンをN,N-ジメチルアセトアミド(以下DMAcと記述する)に溶解した。
このジアミン溶液を水冷しながら約12mmolの酸二無水物を加えた。酸二無水物は4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(製品名TDA-100:新日本理化製)を用いた。DMAcの量はジアミンと酸二無水物の質量の合計が20重量%になるように調整した。
この溶液を15時間室温で攪拌し、重合反応を行った。さらに、DMAcで希釈して8重量%になるように調整した後、7.4mlのピリジンと3.8mlの無水酢酸を加え、室温で1時間攪拌した。さらに、オイルバスで60から70℃に加熱しながら4時間攪拌した。重合溶液をメタノールに再沈殿しポリマーを取り出した後、メタノール中で数回洗浄した。60℃で24時間乾燥後、白色から淡黄色粉末状のポリイミドを得た。
得られたポリイミドを固形分濃度が2.5質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2aを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3a)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに1-プロポキシ-2-プロパノールを添加し、固形分濃度が3.7質量%になるように調整した。
中空シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:11になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3aを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1aを用いて合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1aの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2aからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2aの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3aからなる塗膜を形成した。塗工液1a、2a、3aそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材1を得た。部材1の各層の厚さは基材から順に30nm、27nm、129nmであった。
[実施例2]
(第一の層を形成するための塗工液1b)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が3.8質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で5:1になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1bを得た。
(第二の層を形成するための塗工液2b)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを、固形分濃度が2.5質量%になるようにシクロペンタノンに溶解させ、塗工液2bを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3b)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに1-プロポキシ-2-プロパノールを添加し、固形分濃度が3.7質量%になるように調整した。
中空シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:9になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3bを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1bを用いて合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1bの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2bからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2bの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3bからなる塗膜を形成した。塗工液1b、2b、3bそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材2を得た。部材2の各層の厚さは基材から順に33nm、28nm、130nmであった。
[実施例3]
(第一の層を形成するための塗工液1c)
鎖状シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液として、日産化学株式会社製 IPA-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量15%)を用いた。鎖状シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液100gに固形分濃度が3.6質量%になるように1-プロポキシ-2-プロパノールを添加した。
鎖状シリカ粒子:シリカゾル成分が5:1になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、鎖状シリカ粒子を含む塗工液1cを得た。
(第二の層を形成するための塗工液2c)
4,4’-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)(以下、DADCM。東京化成製)200gに還流させながらヘキサンを徐々に加えて完全に溶解させた。加熱を止め数日間室温に放置した後、析出物を濾別し、減圧乾燥した。50gの白色固体状の脂環式ジアミンDADCMを得た。
合計で12mmolになるように脂環式ジアミンDADCM、芳香族ジアミン4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(製品名BODA:和歌山精化工業製)およびシロキサン含有ジアミン1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(製品名PAM-E:信越化学工業製)の3種類のジアミンをDMAcに溶解した。
このジアミン溶液を水冷しながら約12mmolの酸二無水物を加えた。酸二無水物は4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(製品名TDA-100:新日本理化製)を用いた(実施例なので実際に用いた方を記載してください。)。DMAcの量はジアミンと酸二無水物の質量の合計が20重量%になるように調整した。
この溶液を15時間室温で攪拌し、重合反応を行った。さらに、DMAcで希釈して8重量%になるように調整した後、7.4mlのピリジンと3.8mlの無水酢酸を加え、室温で1時間攪拌した。さらに、オイルバスで60から70℃に加熱しながら4時間攪拌した。重合溶液をメタノールに再沈殿しポリマーを取り出した後、メタノール中で数回洗浄した。60℃で24時間乾燥後、白色から淡黄色粉末状のポリイミドを得た。
得られたポリイミドを固形分濃度が2.5質量%になるようにシクロヘキサノンとシクロペンタノンを7:3に混合した溶剤中に溶解させ、塗工液2cを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3c)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに3-メトキシ-1-ブタノールを添加し、固形分濃度が3.7質量%になるように調整した。
中空シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:13になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3cを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1cを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1cの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2cからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2cの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3cからなる塗膜を形成した。塗工液1c、2c、3cそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材3を得た。部材3の各層の厚さは基材側から順に26nm、29nm、132nmであった。
[実施例4]
(第一の層を形成するための塗工液1d)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が3.2質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:7になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1dを得た。
(第二の層の層を形成するための塗工液2d)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを固形分濃度が2.0質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2dを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3d)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.9質量%になるように調整した。
シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:11になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3dを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1dを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1cの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2dからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2dの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3dからなる塗膜を形成した。塗工液1d、2d、3dそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材4を得た。部材4の各層の厚さは基材側から順に32nm、25nm、132nmであった。
[実施例5]
(第一の層を形成するための塗工液1e)
4,4’-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)(以下、DADCM。東京化成製)200gに還流させながらヘキサンを徐々に加えて完全に溶解させた。加熱を止め数日間室温に放置した後、析出物を濾別し、減圧乾燥した。60gの白色固体状の精製DADCMを得た。
合計で12mmolになるように、脂環式ジアミンDADCM、芳香族ジアミン4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(製品名BODA:和歌山精化工業製)およびシロキサン含有ジアミン1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(製品名PAM-E:信越化学工業製)の3種類のジアミンをDMAに溶解した。
このジアミン溶液を水冷しながら約12mmolの酸二無水物を加えた。酸二無水物は4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(製品名TDA-100:新日本理化製)を用いた。DMAcの量はジアミンと酸二無水物の質量の合計が20重量%になるように調整した。
この溶液を15時間室温で攪拌し、重合反応を行った。さらに、DMAcで希釈して8重量%になるように調整した後、7.4mlのピリジンと3.8mlの無水酢酸を加え、室温で1時間攪拌した。さらに、オイルバスで60から70℃に加熱しながら4時間攪拌した。重合溶液をメタノールに再沈殿しポリマーを取り出した後、メタノール中で数回洗浄した。60℃で24時間乾燥後、白色から淡黄色粉末状のポリイミドを得た。
得られたポリイミドを固形分濃度が2.2質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液1eを得た。
(第二の層の層を形成するための塗工液2e)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が3.3質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で10:3になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液2eを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3e)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.8質量%になるように調整した。
中空シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:11になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3eを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1eを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1eの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2eからなる塗膜を形成した。その後、塗工液1e、2eの塗膜を50度で30分間加熱して硬化させたのち、塗工液3eからなる塗膜を形成した。続いて塗工液3eからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材5を得た。部材5の各層の厚さは基材側から順に20nm、54nm、94nmであった。
[実施例6]
(第一の層を形成するための塗工液1f)
アルミニウム-sec-ブトキシド〔Al(O-sec-Bu)3〕を2-プロパノール〔IPA〕中に溶解させ、安定化剤としてアセト酢酸エチル〔EAcAc〕を添加し、約3時間室温で攪拌することにより、アルミナゾル溶液を調製した。ここで溶液のモル比は、Al(O-sec-Bu)3:IPA:EAcAc=1:20:1の割合とした。その後0.01mol/Lの希塩酸を添加し、室温で3時間攪拌し、アルミナゾルである塗工液1fを得た。
(第二の層を形成するための塗工液2f)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを固形分濃度が2.3質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2fを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3f)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに1-プロポキシ-2-プロパノールを添加し、固形分濃度が3.5質量%になるように調整した。
シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で25:2になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3fを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1fを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1fの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2fからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2fの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3fからなる塗膜を形成した。塗工液1f、2f、3fそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥させて硬化させ、部材6を得た。部材6の各層の厚さは基材側から順に23nm、53nm、97nmであった。
[実施例7]
(第一の層を形成するための塗工液1g)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを、固形分濃度が2.9質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液1gを得た。
(第二の層を形成するための塗工液2g)
アルミニウム-sec-ブトキシド〔Al(O-sec-Bu)3〕を2-プロパノール〔IPA〕中に溶解させ、安定化剤としてアセト酢酸エチル〔EAcAc〕を添加し、約3時間室温で攪拌することにより、アルミナゾル溶液を調製した。ここで溶液のモル比は、Al(O-sec-Bu)3:IPA:EAcAc=1:20:1の割合とした。その後0.01mol/Lの希塩酸を添加し、室温で3時間攪拌し、アルミナゾルである塗工液1gを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3g)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに1-プロポキシ-2-プロパノールを添加し、固形分濃度が3.5質量%になるように調整した。
中空シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で25:2になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3gを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1gを塗布してS-LAH65V製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1gの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2gからなる塗膜を形成した。その後、塗工液1g、2gの塗膜を50度で30分間加熱して硬化させたのち、塗工液3gからなる塗膜を形成した。続いて塗工液3gからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材7を得た。部材7の各層の厚さは基材側から順に44nm、49nm、98nmであった。
[実施例8]
(第一の層を形成するための塗工液1h)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が3.2質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で10:3になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1hを得た。
(第二の層の層を形成するための塗工液2h)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを固形分濃度が2.8質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2hを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3h)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.9質量%になるように調整した。
シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:9になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3hを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1hを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1hの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2hからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2hの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3hからなる塗膜を形成した。塗工液1h、2h、3hそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材8を得た。部材8の各層の厚さは基材側から順に25nm、49nm、129nmであった。
[実施例9]
(第一の層を形成するための塗工液1i)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が3.2質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で10:3になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1iを得た。
(第二の層の層を形成するための塗工液2i)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを固形分濃度が2.8質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2iを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3i)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.9質量%になるように調整した。
シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:9になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3iを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1iを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1iの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2iからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2iの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3iからなる塗膜を形成した。塗工液1i、2i、3iそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材9を得た。部材9の各層の厚さは基材側から順に25nm、38nm、127nmであった。
[実施例10]
(第一の層を形成するための塗工液1j)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が3.2質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:23になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1jを得た。
(第二の層の層を形成するための塗工液2j)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを固形分濃度が2.7質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2jを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3j)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が5.4質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で10:1になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1jを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1jを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1jの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2jからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2kの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3jからなる塗膜を形成した。塗工液1j、2j、3jそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材10を得た。部材10の各層の厚さは基材側から順に30nm、44nm、118nmであった。
[実施例11]
(第一の層を形成するための塗工液1k)
繭型形状のシリカ粒子の水分散液として、扶桑化学株式会社製 PL-1(粒子径15nm、固形分濃度質量12%)を用いた。繭型シリカ粒子の水分散液100gに固形分濃度が1.0質量%になるように乳酸エチルを添加した。繭型シリカ粒子:酸成分が質量比で100:1になるように、ドデカフルオロスベリン酸を添加した。
繭型シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:23になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1kを得た。
(第二の層の層を形成するための塗工液2k)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを固形分濃度が2.9質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2kを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3k)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.9質量%になるように調整した。
シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:9になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3kを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1kを塗布してレプリカレンズ(母材となるS-LAH98ガラスの表面に中心厚50μm、端部の最大厚み1mmの(メタ)アクリレート化合物を有する樹脂硬化物を設けた非球面レンズ)の上に塗膜を形成した後、塗工液1kの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2kからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2kの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3kからなる塗膜を形成した。塗工液1k、2k、3kそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材11を得た。部材11の各層の厚さは基材側から順に16nm、70nm、117nmであった。
[実施例12]
(第一の層を形成するための塗工液1l)
球状の中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液として、日産化学株式会社製 PGM-ST(粒子径10nm、固形分濃度質量30%)を用いた。中実シリカ粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液100gに固形分濃度が1.2質量%になるように乳酸エチルを添加した。
中実シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:23になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中実シリカ粒子を含む塗工液1lを得た。
(第二の層の層を形成するための塗工液2l)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを固形分濃度が2.9質量%になるようにシクロヘキサノンに溶解させ、塗工液2lを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3l)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.9質量%になるように調整した。
シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:9になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液3lを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1lを塗布してレプリカレンズ(母材となるS-LAH98ガラスの表面に中心厚50μm、端部の最大厚み1mmの(メタ)アクリレート化合物を有する樹脂硬化物を設けた非球面レンズ)の上に塗膜を形成した後、塗工液1lの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2lからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2lの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3lからなる塗膜を形成した。塗工液1l、2l、3lそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材12を得た。部材12の各層の厚さは基材側から順に15nm、71nm、117nmであった。
[比較例1]
(第一の層を形成するための塗工液1m)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを、固形分濃度が1.5質量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートに溶解させ、塗工液1mを得た。
(第二の層を形成するための塗工液2m)
塗工液2aと同様にして得られたポリイミドを、固形分濃度が2.5質量%になるようシクロペンタノンに溶解させ、塗工液2mを得た。
(第三の層を形成するための塗工液3m)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.5質量%になるように調整した。
中空シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:13になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌して、中空シリカ粒子を含む塗工液3mを得た。
(光干渉層の形成)
塗工液1jを塗布して合成石英製の基材の上に塗膜を形成した後、塗工液1jの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液2jからなる塗膜を形成した。さらに、塗工液2jの塗膜を硬化させることなく、続けて塗工液3jからなる塗膜を形成した。塗工液1j、2j、3jそれぞれからなる塗膜を、室温で24時間乾燥して硬化させ、部材13を得た。
[比較例2]
(塗工液4)
中空シリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液(日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径約60nm、シェル厚約12nm、固形分濃度20.5質量%)200gに乳酸エチルを添加し、固形分濃度が3.9質量%になるように調整した。
中空シリカ粒子:シリカゾル成分が質量比で100:13になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、中空シリカ粒子を含む塗工液4を得た。
(光干渉層の形成)
塗工液4を塗布して合成石英製の基材上に塗膜を形成し、室温で24時間以上乾燥して硬化させ、1層からなる光干渉層を有する部材14を得た。
[比較例3]
S-LAH65V製の基材に酸化アルミニウム(Al)と五酸化タンタル(Ta)を真空蒸着法で交互に合計4層積層した。その上に塗工液4を滴下し、スピンコート法によって塗膜を形成し、部材15を得た。
[比較例4]
レプリカレンズ(母材となるS-LAH98ガラスの表面に中心厚50μm、端部の最大厚み1mmの(メタ)アクリレート化合物を有する樹脂硬化物を設けた非球面レンズ)上に二酸化ケイ素(SiO)と酸化チタン(TiO)を真空蒸着法で交互に合計4層積層し、部材16を得た。
表1に、実施例1~12、比較例1~4について、第一の層および第二の層および第三の層の材料と屈折率とともに、評価結果をまとめて表1に示す。
Figure 2024066464000002
表1の結果から実施例1~12の部材は、基材の種類や光干渉層を設ける面の形状にかかわらず、面全体において良好な反射防止性能が得られることが分かった。さらに機械特性にも優れることが確認できた。
一方、比較例1~4の部材はいずれも半開角30°や曲面の周辺部における反射が大きく、面全体で良好な反射防止性能が得られなかった。中でも、蒸着法で形成した多層膜と塗布法による多孔質層からなる光干渉層を設けた比較例3は、曲面の中心部における反射防止効果は優れていたが、周辺部における反射が目立った。またレプリカレンズ上に蒸着法で形成した多層膜からなる光干渉層を設けた比較例4は高温高湿の環境下では光学性能の変化が顕著に見られた。
以上の実施形態の開示は、以下の項を含む。
(項1)
基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に設けられた3層からなる光干渉層と、を有する部材であって、
前記光干渉層は、前記基材側から順に第一の層、第二の層、第三の層を含み、
前記第三の層は、無機化合物の粒子を含む多孔質層であり、
前記第一の層および前記第二の層のいずれか一方が有機層、他方が無機化合物層であることを特徴とする部材。
(項2)
前記第三の層の屈折率が、1.10以上1.23以下であることを特徴とする項1に記載の部材。
(項3)
前記第三の層の屈折率が、1.15以上1.20以下であることを特徴とする項1に記載の部材。
(項4)
前記第三の層が、無機化合物のバインダーで互いに結着された複数の無機化合物の粒子を含み、前記複数の無機化合物の粒子間に空隙を有することを特徴とする項1乃至3のいずれか一項に記載の部材。
(項5)
前記無機化合物の粒子が、中空または鎖状のシリカ粒子であることを特徴とする項1乃至4のいずれか一項に記載の部材。
(項6)
前記無機化合物の粒子が、酸化ケイ素化合物のバインダーによって結着されていることを特徴とする項5に記載の部材。
(項7)
前記無機化合物の粒子が、疎水化されていることを特徴とする項5又は6に記載の部材。
(項8)
前記無機化合物の表面が、フルオロメチル基またはメチルシリル基を有することを特徴とする項5乃至7のいずれか一項に記載の部材。
(項9)
前記有機層が、主鎖に芳香環またはイミド環を有する樹脂またはマレイミド共重合体を含む樹脂であることを特徴とする項1乃至8のいずれか一項に記載の部材。
(項10)
前記第一の層または前記第二の層である前記無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛からなる群より選択されるいずれか一種であることを特徴とする項1乃至9のいずれか一項に記載の部材。
(項11)
前記第一の層が無機化合物層であり、前記第二の層が有機層であることを特徴とする項1乃至10のいずれか一項に記載の部材。
(項12)
前記第一の層の屈折率が、1.10以上1.60以下であり、前記第二の層の屈折率が1.55以上2.00以下であることを特徴とする項11に記載の部材。
(項13)
前記第一の層と前記第二の層との間に、前記第一の層に含まれる成分と前記第二の層に含まれる成分とを含む第一の混合層を有し、前記第二の層と前記第三の層との間に、前記第一の層に含まれる成分と前記第二の層に含まれる成分とを含む第二の混合層を有することを特徴とする項1に記載の部材。
(項14)
前記第一の混合層および前記第二の混合層の膜厚が、2nm以上15nm未満であることを特徴とする項12に記載の部材。
(項15)
前記第一の層が有機層であり、前記第二の層が無機化合物層であることを特徴とする項1乃至10のいずれか一項に記載の部材。
(項16)
前記第一の層の屈折率が1.55以上2.00以下であり、前記第二の層の屈折率が1.25以上1.65以下であることを特徴とする項15に記載の部材。
(項17)
前記第一の層と前記第二の層との間に、前記第一の層に含まれる成分と前記第二の層に含まれる成分とを含む混合層を有することを特徴とする項15又は16に記載の部材。
(項18)
前記混合層の膜厚が、2nm以上15nm未満であることを特徴とする項17に記載の部材。
(項19)
前記基材の主面が曲面であり、前記主面の中心部から周辺部にかけて、前記光干渉層に含まれる3層の膜厚がいずれも増えることを特徴とする項1乃至18のいずれか一項に記載の部材。
(項20)
前記基材は、非球面形状の第1面を有する透明基材と、樹脂の硬化物とを有し、
樹脂の硬化物が、前記第1面に設けられていることを特徴とする項1乃至19のいずれか一項に記載の部材。
(項21)
前記硬化物は、(メタ)アクリレート化合物を有することを特徴とする項20に記載の部材。
(項22)
前記硬化物の最小厚みd1に対する最大厚みd2の割合が、1より大きく、かつ30以下の範囲であることを特徴とする項20又は21に記載の部材。
(項23)
前記透明基材は、前記第1面の外周に平坦面を有し、
前記第一の層の前記平坦面の上における厚みが、前記第一の層の前記球面の中心の上における厚みより厚いことを特徴とする項20乃至22のいずれか一項に記載の部材。
(項24)
筐体と、該筐体内に設けられた光学系と、を備える光学機器であって、
前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つが、項1乃至23のいずれか一項に記載の部材であることを特徴とする光学機器。
(項25)
該光学系を通過した光を受光する撮像素子をさらに備えることを特徴とする項24に記載の光学機器。
(項26)
基材の上に3層からなる光干渉層を備える部材の製造方法であって、
前記基材の上に第一の塗工液を塗布して第一の塗膜を形成する工程と、
前記第一の塗膜の上に第二の塗工液を塗布して第二の塗膜を形成する工程と、
前記第二の塗膜の上に第三の塗工液を塗布して第三の塗膜を形成する工程と、
前記第三の塗膜を硬化する工程と、
を有し、
前記第一の塗工液および前記第二の塗工液の一方が無機化合物の粒子または無機化合物成分と有機溶媒とを含む液であり、他方がポリマー成分と有機溶媒とを含む液であり、
前記第三の塗工液が無機化合物の粒子と有機溶媒とを含む液であることを特徴とする部材の製造方法。
(項27)
前記第三の塗工液に含まれる無機化合物の粒子が、中空または鎖状のシリカ粒子であることを特徴とする項26に記載の部材の製造方法。
(項28)
前記第三の塗工液が、酸化ケイ素オリゴマーをさらに含むことを特徴とする項27に記載の部材の製造方法。
(項29)
前記ポリマー成分が、芳香環またはイミド環を有する組成物またはマレイミド共重合体を含む組成物であることを特徴とする項26乃至28のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
(項30)
前記無機化合物成分が、金属アルコキシドであることを特徴とする項26乃至29のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
(項31)
前記金属アルコキシドが、ジルコニウムアルコキシド、シリコンアルコキシド、チタニウムアルコキシド、亜鉛化合物、アルミニウム化合物からなる群より選択されるいずれか一種であることを特徴とする項30に記載の部材の製造方法。
(項32)
前記第一の塗工液が無機化合物の粒子または無機化合物成分と溶媒とを含む液であり、前記第二の塗工液がポリマー成分と有機溶媒とを含む液であることを特徴とする項26乃至31のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
(項33)
前記無機化合物の粒子の表面が、疎水化されていることを特徴とする項26乃至32のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
(項34)
前記無機化合物の粒子の表面が、フルオロメチル基またはメチルシリル基を有することを特徴とする項26乃至33のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
(項35)
前記第二の塗膜を形成する工程が、前記第一の塗膜が硬化する前に行われ、
前記第三の塗膜を形成する工程が、前記第二の塗膜が硬化する前に行われることを特徴とする項32に記載の部材の製造方法。
(項36)
前記第一の塗工液がポリマー成分と有機溶媒とを含む液であり、前記第二の塗工液が無機化合物の粒子または無機化合物成分と溶媒とを含む液であることを特徴とする項26乃至35のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
(項37)
前記第二の塗膜を形成する工程が、前記第一の塗膜が硬化する前に行われ、
前記第三の塗膜を形成する工程が、前記第二の塗膜を硬化させた後に行われることを特徴とする項36に記載の部材の製造方法。
(項38)
前記第一の塗膜を形成する工程、前記第二の塗膜を形成する工程、および前記第三の塗膜を形成する工程が、スピンコート法を用いて行われることを特徴とする項26乃至37のいずれか一項に記載の部材の製造方法。

Claims (38)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に設けられた3層からなる光干渉層と、を有する部材であって、
    前記光干渉層は、前記基材側から順に第一の層、第二の層、第三の層を含み、
    前記第三の層は、無機化合物の粒子を含む多孔質層であり、
    前記第一の層および前記第二の層のいずれか一方が有機層、他方が無機化合物層であることを特徴とする部材。
  2. 前記第三の層の屈折率が、1.10以上1.23以下であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  3. 前記第三の層の屈折率が、1.15以上1.20以下であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  4. 前記第三の層が、無機化合物のバインダーで互いに結着された複数の無機化合物の粒子を含み、前記複数の無機化合物の粒子間に空隙を有することを特徴とする請求項1に記載の部材。
  5. 前記無機化合物の粒子が、中空または鎖状のシリカ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  6. 前記無機化合物の粒子が、酸化ケイ素化合物のバインダーによって結着されていることを特徴とする請求項5に記載の部材。
  7. 前記無機化合物の粒子が、疎水化されていることを特徴とする請求項5に記載の部材。
  8. 前記無機化合物の表面が、フルオロメチル基またはメチルシリル基を有することを特徴とする請求項5に記載の部材。
  9. 前記有機層が、主鎖に芳香環またはイミド環を有する樹脂またはマレイミド共重合体を含む樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  10. 前記第一の層または前記第二の層である前記無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛からなる群より選択されるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  11. 前記第一の層が無機化合物層であり、前記第二の層が有機層であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  12. 前記第一の層の屈折率が、1.10以上1.60以下であり、前記第二の層の屈折率が1.55以上2.00以下であることを特徴とする請求項11に記載の部材。
  13. 前記第一の層と前記第二の層との間に、前記第一の層に含まれる成分と前記第二の層に含まれる成分とを含む第一の混合層を有し、前記第二の層と前記第三の層との間に、前記第一の層に含まれる成分と前記第二の層に含まれる成分とを含む第二の混合層を有することを特徴とする請求項1に記載の部材。
  14. 前記第一の混合層および前記第二の混合層の膜厚が、2nm以上15nm未満であることを特徴とする請求項13に記載の部材。
  15. 前記第一の層が有機層であり、前記第二の層が無機化合物層であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  16. 前記第一の層の屈折率が1.55以上2.00以下であり、前記第二の層の屈折率が1.25以上1.65以下であることを特徴とする請求項15に記載の部材。
  17. 前記第一の層と前記第二の層との間に、前記第一の層に含まれる成分と前記第二の層に含まれる成分とを含む混合層を有することを特徴とする請求項15に記載の部材。
  18. 前記混合層の膜厚が、2nm以上15nm未満であることを特徴とする請求項17に記載の部材。
  19. 前記基材の主面が曲面であり、前記主面の中心部から周辺部にかけて、前記光干渉層に含まれる3層の膜厚がいずれも増えることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  20. 前記基材は、球面形状の第1面を有する透明基材と、樹脂の硬化物とを有し、
    前記硬化物が、前記第1面に非球面形状で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  21. 前記硬化物は、(メタ)アクリレート化合物を有することを特徴とする請求項20に記載の部材。
  22. 前記硬化物の最小厚みd1に対する最大厚みd2の割合が、1より大きく、かつ30以下の範囲であることを特徴とする請求項20に記載の部材。
  23. 前記透明基材は、前記第1面の外周に平坦面を有し、
    前記第一の層の前記平坦面の上における厚みが、前記第一の層の前記球面の中心の上における厚みより厚いことを特徴とする請求項20に記載の部材。
  24. 筐体と、該筐体内に設けられた光学系と、を備える光学機器であって、
    前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つが、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の部材であることを特徴とする光学機器。
  25. 該光学系を通過した光を受光する撮像素子をさらに備えることを特徴とする請求項24に記載の光学機器。
  26. 基材の上に3層からなる光干渉層を備える部材の製造方法であって、
    前記基材の上に第一の塗工液を塗布して第一の塗膜を形成する工程と、
    前記第一の塗膜の上に第二の塗工液を塗布して第二の塗膜を形成する工程と、
    前記第二の塗膜の上に第三の塗工液を塗布して第三の塗膜を形成する工程と、
    前記第三の塗膜を硬化する工程と、
    を有し、
    前記第一の塗工液および前記第二の塗工液の一方が無機化合物の粒子または無機化合物成分と有機溶媒とを含む液であり、他方がポリマー成分と有機溶媒とを含む液であり、
    前記第三の塗工液が無機化合物の粒子と有機溶媒とを含む液であることを特徴とする部材の製造方法。
  27. 前記第三の塗工液に含まれる無機化合物の粒子が、中空または鎖状のシリカ粒子であることを特徴とする請求項26に記載の部材の製造方法。
  28. 前記第三の塗工液が、酸化ケイ素オリゴマーをさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の部材の製造方法。
  29. 前記ポリマー成分が、芳香環またはイミド環を有する組成物またはマレイミド共重合体を含む組成物であることを特徴とする請求項26に記載の部材の製造方法。
  30. 前記無機化合物成分が、金属アルコキシドであることを特徴とする請求項26に記載の部材の製造方法。
  31. 前記金属アルコキシドが、ジルコニウムアルコキシド、シリコンアルコキシド、チタニウムアルコキシド、亜鉛化合物、アルミニウム化合物からなる群より選択されるいずれか一種であることを特徴とする請求項30に記載の部材の製造方法。
  32. 前記第一の塗工液が無機化合物の粒子または無機化合物成分と溶媒とを含む液であり、前記第二の塗工液がポリマー成分と有機溶媒とを含む液であることを特徴とする請求項26に記載の部材の製造方法。
  33. 前記無機化合物の粒子の表面が、疎水化されていることを特徴とする請求項26に記載の部材の製造方法。
  34. 前記無機化合物の粒子の表面が、フルオロメチル基またはメチルシリル基を有することを特徴とする請求項26に記載の部材の製造方法。
  35. 前記第二の塗膜を形成する工程が、前記第一の塗膜が硬化する前に行われ、
    前記第三の塗膜を形成する工程が、前記第二の塗膜が硬化する前に行われることを特徴とする請求項32に記載の部材の製造方法。
  36. 前記第一の塗工液がポリマー成分と有機溶媒とを含む液であり、前記第二の塗工液が無機化合物の粒子または無機化合物成分と溶媒とを含む液であることを特徴とする請求項26に記載の部材の製造方法。
  37. 前記第二の塗膜を形成する工程が、前記第一の塗膜が硬化する前に行われ、
    前記第三の塗膜を形成する工程が、前記第二の塗膜を硬化させた後に行われることを特徴とする請求項36に記載の部材の製造方法。
  38. 前記第一の塗膜を形成する工程、前記第二の塗膜を形成する工程、および前記第三の塗膜を形成する工程が、スピンコート法を用いて行われることを特徴とする請求項26乃至37のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
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