JP2024065590A - 車載温調システム - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍回路を循環する冷媒から熱回路を循環する熱媒体に放熱させる媒体間熱交換器の温度を適正に制御する。【解決手段】車載温調システム1は、冷媒から熱媒体に放熱させる水冷コンデンサ22と冷媒を蒸発させるエバポレータ26とに冷媒を循環させ得る冷凍回路2と、車室内を暖房するためのヒータコア42、水冷コンデンサ22、および内燃機関110の排熱により熱媒体を加熱する機関熱交換器43に熱媒体を循環させ得る高温回路4であって、機関熱交換器43から排出された熱媒体の水冷コンデンサ22への流入を調整する第4電磁調整弁54を有する高温回路4と、水冷コンデンサ22における熱媒体の温度が所定の上限温度に達すると熱媒体の水冷コンデンサ22への流入を停止させ、該温度が所定の下限温度に達すると熱媒体を水冷コンデンサ22へ流入させるように第4電磁調整弁54を制御するECU61と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、車載温調システムに関する。
従来、ハイブリッド自動車において、モータによる走行中にエンジンの駆動開始が予測され、かつエンジンの暖機(冷却水の昇温)が必要とされる場合に、空調用の冷凍サイクルの廃熱を利用してエンジン冷却水の加熱を行うことが知られている(特許文献1)。
特開2009-180103号公報
内燃機関を駆動して走行しているときには、内燃機関を冷却する冷却水がヒータコアに循環される。この間、空調要求や電池冷却要求が出されていなければ、内燃機関の冷却水と冷凍サイクルの冷媒との熱交換を行う熱交換器(水冷コンデンサ)に対する冷却水の通水が停止され、自然放熱により熱交換器内の冷却水の水温が低下する。
このため、上記特許文献に記載された技術では、空調用の冷凍サイクルの廃熱を利用してエンジン冷却水の加熱を行う際に、熱交換器へ冷却水の通水を開始した当初は、内燃機関を通って循環していた高温の冷却水と、通水停止によって放熱した熱交換器内の低温冷却水との入れ変わりにより、内燃機関、熱交換器、ヒータコアなどに熱負荷がかかり、これらのデバイスの熱歪が生じる問題がある。また、熱交換器内が低温となっている状態で暖房要求が出されると、熱交換器内の温度の低い冷却水がヒータコアに流入することで、車室内の温風吹出口から温かい空気が出るまでにタイムムラグ生じ、車両の乗員に違和感を与える場合もある。
一方、熱交換器に暖機後の内燃機関の冷却水を通水し続けると、熱交換器が必要以上に高温になり、電池冷却要求や冷房要求が出された場合に熱交換の効率が低下する問題が生じる。
更に、上記特許文献に記載された技術では、内燃機関が停止している際には、冷凍サイクルをヒートポンプとして機能させ、内燃機関の冷却水に吸熱させている。しかし、ヒートポンプは熱を汲み上げるまで一定程度の時間を要するため、内燃機関の停止時に熱交換器の水温が低下していると、熱が汲み上がるまでにヒータコアの温度が低下してしまう問題がある。このため、車室内の暖房のために、内燃機関を再始動させて冷却水を加熱する必要が生じたり、冷凍サイクルからより多くの熱を汲み上げるために冷凍サイクルのコンプレッサを必要以上に高回転で回す必要が生じ、燃費悪化やNV(Noise・Vibration)の悪化を招来する問題がある。
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、冷凍回路を循環する冷媒から熱回路を循環する熱媒体に放熱させる媒体間熱交換器の温度を適正に制御することが可能な車載温調システムを提供することにある。
本開示の要旨は以下のとおりである。
(1) 冷媒から熱媒体に放熱させる媒体間熱交換器と前記冷媒を蒸発させる蒸発器とに該冷媒を循環させ得る冷凍回路と、
車室内を暖房するためのヒータコア、前記媒体間熱交換器、および内燃機関の排熱により前記熱媒体を加熱する機関熱交換器に該熱媒体を循環させ得る熱回路であって、前記機関熱交換器から排出された前記熱媒体の前記媒体間熱交換器への流入を調整する調整弁を有する熱回路と、
前記媒体間熱交換器における前記熱媒体の温度が所定の上限温度に達すると前記熱媒体の前記媒体間熱交換器への流入を停止させ、該温度が所定の下限温度に達すると前記熱媒体を前記媒体間熱交換器へ流入させるように前記調整弁を制御する制御装置と、
を備える、車載温調システム。
(2) 前記制御装置は、車両運転中に前記内燃機関を停止する際には、前記熱媒体を前記媒体間熱交換器へ流入させるように前記調整弁を制御し、前記媒体間熱交換器における前記熱媒体の温度を上昇させた後に前記内燃機関を停止する、上記(1)に記載の車載温調システム。
(3) 前記制御装置は、前記媒体間熱交換器における前記熱媒体の温度が第1所定温度に達するまで又は前記熱回路内の前記熱媒体の温度が第2所定温度に達したと推定されるまで前記熱媒体を前記媒体間熱交換器へ流入させた後、前記内燃機関を停止する、上記(2)に記載の車載温調システム。
本開示によれば、冷凍回路を循環する冷媒から熱回路を循環する熱媒体に放熱させる媒体間熱交換器の温度を適正に制御することが可能な車載温調システムが提供される。
一つの実施形態に係る車載温調システムを搭載する車両の構成を概略的に示す図である。 車載温調システムを概略的に示す構成図である。 車載温調システムを搭載した車両の空調用の空気通路を概略的に示す構成図である。 上から順に、内燃機関の内部水温、ユーザによる暖房要求を示す暖房要求フラグの状態、電池冷却要求を示す電池冷却要求フラグの状態、ヒータコアの入口側水温、水冷コンデンサ内の冷却水の水温、機関熱交換器を流れる冷却水の流量、ヒータコアを流れる冷却水の流量、水冷コンデンサを流れる冷却水の流量、をそれぞれ示すタイミングチャートである。 時刻0から時刻t1までの間の高温回路内の冷却水の状態を示す図である。 時刻t1で第3ポンプの駆動がオンとされた後の高温回路内の冷却水の流れを示す図である。 時刻t3で、第4電磁調整弁が閉じられた後の高温回路内の冷却水の流れを示す図である。 ECUによる第4電磁調整弁の切替処理の流れを示すフローチャートである。 上から順に、機関熱交換器の出口側水温、ユーザによる暖房要求を示す暖房要求フラグの状態、内燃機関の始動要求フラグの状態、ブロワ回転数、コンプレッサの回転数、ヒートポンプによる水冷コンデンサの移動熱量、ヒータコア内の冷却水の水温、水冷コンデンサ内の冷却水の水温、機関熱交換器を流れる冷却水の流量、ヒータコアを流れる冷却水の流量、水冷コンデンサを流れる冷却水の流量、をそれぞれ示すタイミングチャートである。 時刻10から時刻t11の間における高温回路内の冷却水の流れを示す図である。 時刻t11で、第4電磁調整弁が開かれた後の高温回路内の冷却水の流れを示す図である。 時刻t13で、第2ポンプの駆動がオンとされ、第3電磁調整弁が閉じられた後の高温回路内の冷却水の流れを示す図である。 ECUによる第4電磁調整弁の切替処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明に係る幾つかの実施形態について図を参照しながら説明する。しかしながら、これらの説明は、本発明の好ましい実施形態の単なる例示を意図するものであって、本発明をこのような特定の実施形態に限定することを意図するものではない。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<車両の構成>
図1は、一つの実施形態に係る車載温調システム1を搭載する車両100の構成を概略的に示す図である。図1では、左側が車両100の前方、右側が車両100の後方をそれぞれ示している。図1に示したように、車両100は、内燃機関110と、モータジェネレータ(MG)112と、動力分割機構116と、を有する。加えて、車両100は、MG112に電気的に接続されたパワーコントロールユニット(PCU)118と、PCU118に電気的に接続されたバッテリ120と、を備える。
内燃機関110は、燃料を機関の内部で燃焼させて、燃焼ガスの熱エネルギを機械的エネルギに変換する原動機である。内燃機関110は動力分割機構116に接続され、内燃機関110の出力は車両100を駆動したりMG112にて発電を行ったりするのに用いられる。
MG112は、電動機及び発電機として機能する。MG112は、動力分割機構116に接続され、車両100を駆動したり、車両100を制動する際に回生を行ったりするのに用いられる。なお、本実施形態では、車両100を駆動するモータとして、発電機能を有するMG112が用いられているが、発電機能を有さないモータが用いられてもよい。
PCU118は、バッテリ120とMG112との間に接続されて、MG112へ供給される電力を制御する。PCU118は、モータを駆動するインバータ、電圧を制御する昇圧コンバータ、高電圧を降圧するDCDCコンバータ等の発熱部品を有する。バッテリ120は、PCU118及びMG112に接続されて、車両100を駆動するための電力をMG112に供給する。
本実施形態では、内燃機関110、MG112及びPCU118は車両100の前方、すなわち車室よりも前方に配置される。一方、バッテリ120は、車両100の中央、すなわち車室の下方に配置される。
なお、車両100は、内燃機関110及びMG(又はモータ)112を備える車両であれば如何なる態様の車両であってもよい。したがって、例えば、車両100は、内燃機関が発電のみに用いられてモータのみが車両100の駆動を行うように構成されていてもよい。また、例えば、車両100は、主に車両100の駆動用に用いられるMGと、主に発電用に用いられるMGとの二つのMGを有するように構成されてもよい。
<車載温調システムの構成>
図1および図2を参照して、一つの実施形態に係る車載温調システム1の構成について説明する。図2は、車載温調システム1を概略的に示す構成図である。車載温調システム1は、冷凍回路2、低温回路3、高温回路4及び制御装置6を備える。冷凍回路2、低温回路3及び高温回路4は、回路の外部との間で熱の授受を行う熱回路として機能する。
≪冷凍回路≫
まず、冷凍回路2について説明する。冷凍回路2は、コンプレッサ21、水冷コンデンサ22の冷媒配管22a、レシーバ23、第1膨張弁24、第2膨張弁25、エバポレータ26、チラー27の冷媒配管27a、第1電磁調整弁28及び第2電磁調整弁29を備える。冷凍回路2は、これら構成部品を通って冷媒が循環することで冷凍サイクルを実現するように構成される。冷媒には、例えば、ハイドロフルオロカーボン(例えば、HFC-134a)等、一般的に冷凍サイクルで冷媒として用いられる任意の物質が用いられる。
また、冷凍回路2は、冷凍基本流路2aと、エバポレータ流路2bと、チラー流路2cとを有する。エバポレータ流路2bと、チラー流路2cとは互いに並列に設けられ、それぞれ冷凍基本流路2aに接続されている。
冷凍基本流路2aには、冷媒の循環方向において、コンプレッサ21、水冷コンデンサ22の冷媒配管22a及びレシーバ23がこの順番に設けられる。エバポレータ流路2bには、冷媒の循環方向において、第1電磁調整弁28、第1膨張弁24及びエバポレータ26がこの順番に設けられる。加えて、チラー流路2cには、第2電磁調整弁29、第2膨張弁25及びチラー27の冷媒配管27aがこの順番に設けられる。
コンプレッサ21は、冷媒を圧縮する圧縮機として機能する。本実施形態では、コンプレッサ21は、電動式であり、コンプレッサ21への供給電力が調整されることによりその吐出容量が無段階に変化せしめられるように構成される。コンプレッサ21では、エバポレータ26又はチラー27から流出した低温・低圧であって主にガス状である冷媒が、断熱的に圧縮されることにより、高温・高圧であって主にガス状である冷媒に変化せしめられる。
水冷コンデンサ22は、冷媒配管22aと冷却水配管22bとを有する。水冷コンデンサ22は、冷媒から、後述する高温回路4の冷却水配管22bを流れる冷却水に放熱させて冷媒を凝縮させる媒体間熱交換器として機能する。見方を変えると、水冷コンデンサ22は、内燃機関110の排熱以外の熱を利用して高温回路4の冷却水を加熱する加熱部として機能する。水冷コンデンサ22の冷媒配管22aは、冷凍サイクルにおいて冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。また、水冷コンデンサ22の冷媒配管22aでは、コンプレッサ21から流出した高温・高圧であって主にガス状である冷媒が、等圧的に冷却されることにより、高温・高圧の主に液状の冷媒に変化せしめられる。
レシーバ23は、水冷コンデンサ22の冷媒配管22aによって凝縮された冷媒を貯留する。また、水冷コンデンサ22では必ずしも全ての冷媒を液化することができないため、レシーバ23は気液の分離を行うように構成される。レシーバ23からはガス状の冷媒が分離された液状の冷媒のみが流出する。
第1膨張弁24及び第2膨張弁25は、冷媒を膨張させる膨張器として機能する。これら膨張弁24、25は、細径の通路を備えると共に、この細径の通路から冷媒を噴霧することで冷媒の圧力を急激に低下させる。第1膨張弁24は、レシーバ23から供給された液状の冷媒を、エバポレータ26内に霧状に噴霧する。同様に、第2膨張弁25は、レシーバ23から供給された液状の冷媒を、チラー27の冷媒配管27a内に霧状に噴霧する。これら膨張弁24、25では、レシーバ23から流出した高温・高圧の液状の冷媒が、減圧されて部分的に気化することにより、低温・低圧の霧状の冷媒に変化せしめられる。
エバポレータ26は、冷媒に吸熱させて冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。具体的には、エバポレータ26は、エバポレータ26周りの空気から冷媒へ吸熱させ、冷媒を蒸発させる。したがって、エバポレータ26では、第1膨張弁24から流出した低温・低圧の霧状の冷媒が、蒸発することにより、低温・低圧のガス状の冷媒に変化せしめられる。この結果、エバポレータ26周りの空気は冷却せしめられ、車室内の冷房を行うことができる。
チラー27は、冷媒配管27aと冷却水配管27bとを備える。チラー27は、後述する低温回路3の冷却水配管27bを流れる冷却水から冷媒へ吸熱させ、冷媒を蒸発させる媒体間熱交換器として機能する。チラー27の冷媒配管27aは、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。また、チラー27の冷媒配管27aでは、第2膨張弁25から流出した低温・低圧の霧状の冷媒が、蒸発することにより、低温・低圧のガス状の冷媒に変化せしめられる。この結果、低温回路3の冷却水は冷却せしめられる。
第1電磁調整弁28及び第2電磁調整弁29は、冷凍回路2内における冷媒の流通態様を変更するように用いられる。第1電磁調整弁28の開度が大きくなるほどエバポレータ流路2bに流入する冷媒が多くなり、よってエバポレータ26に流入する冷媒が多くなる。また、第2電磁調整弁29の開度が大きくなるほどチラー流路2cに流入する冷媒が多くなり、よってチラー27に流入する冷媒が多くなる。なお、冷凍基本流路2aからエバポレータ流路2b及びチラー流路2cへ流入する流量を調整することができれば、これら電磁調整弁28、29の代わりに如何なる弁が設けられてもよい。
なお、本実施形態では、冷凍回路2は、冷凍回路2内の冷媒から外部へ熱を放出する熱交換器として、水冷コンデンサ22のみを有する。しかしながら、冷凍回路2は、冷媒から外部(例えば、外気)へ熱を放出する他の熱交換器を有していてもよい。
≪低温回路≫
次に、低温回路3について説明する。低温回路3は、第1ポンプ31、チラー27の冷却水配管27b、低温ラジエータ32、第1三方弁33及び第2三方弁34を備える。加えて、低温回路3は、バッテリ熱交換器35、PCU熱交換器36及びMG熱交換器37を備える。低温回路3では、これら構成部品を通って冷却水が循環する。なお、低温回路3内では、冷却水の代わりに任意の他の熱媒体が用いられてもよい。
低温回路3は、低温基本流路3aと、低温ラジエータ流路3bと、発熱機器流路3cとを有する。低温ラジエータ流路3bと発熱機器流路3cとは互いに並列に設けられ、それぞれ低温基本流路3aに接続されている。
低温基本流路3aには、冷却水の循環方向において、第1ポンプ31、チラー27の冷却水配管27b、バッテリ熱交換器35がこの順番に設けられる。また、低温基本流路3aにはバッテリ熱交換器35をバイパスするように設けられたバッテリバイパス流路3dが接続される。低温基本流路3aとバッテリバイパス流路3dとの接続部には第1三方弁33が設けられる。
また、低温ラジエータ流路3bには、低温ラジエータ32が設けられる。発熱機器流路3cには、冷却水の循環方向において、PCU熱交換器36及びMG熱交換器37がこの順番に設けられる。発熱機器流路3cには、PCUやMG以外の発熱機器と熱交換する熱交換器が設けられてもよい。低温基本流路3aと低温ラジエータ流路3b及び発熱機器流路3cとの間には第2三方弁34が設けられる。
第1ポンプ31は、低温回路3内を循環する冷却水を圧送する。本実施形態では、第1ポンプ31は、電動式のウォータポンプであり、第1ポンプ31への供給電力が調整されることによりその吐出容量が無段階に変化せしめられるように構成される。
低温ラジエータ32は、低温回路3内を循環する冷却水と車両100の外部の空気(外気)との間で熱交換を行う熱交換器である。低温ラジエータ32は、冷却水の温度が外気の温度よりも高いときには冷却水から外気への放熱を行い、冷却水の温度が外気の温度よりも低いときには外気から冷却水への吸熱を行うように構成される。
第1三方弁33は、チラー27の冷却水配管27bから流出した冷却水をバッテリ熱交換器35とバッテリバイパス流路3dとの間で選択的に流通させるように構成される。第2三方弁34は、低温基本流路3aから流出した冷却水を、低温ラジエータ流路3bと発熱機器流路3cとの間で選択的に流通させるように構成される。
バッテリ熱交換器35は、車両100のバッテリ120と熱交換するように構成される。PCU熱交換器36は、車両100のPCU118と熱交換するように構成される。また、MG熱交換器37は、車両100のMG112と熱交換するように構成される。
なお、本実施形態では、冷凍回路2及び低温回路3にチラー27が設けられ、チラー27は低温回路3の冷却水から冷凍回路2の冷媒へ熱を移動させる媒体間熱交換器として機能する。しかしながら、冷凍回路2には、チラー27の代わりに、車外の大気中のガスと熱交換し、大気中のガスから冷凍回路2の冷媒へ熱を移動させる熱交換器が設けられてもよい。この場合、車載温調システム1には低温回路3は設けられず、よってバッテリ120、PCU118及びMG112の冷却は車載温調システム1以外の機構によって行われる。
≪高温回路≫
次に、高温回路4について説明する。高温回路4は、第2ポンプ41、ヒータコア42、機関熱交換器43、高温ラジエータ44,サーモスタッド46、第3ポンプ51、第3電磁調整弁52、第4電磁調整弁54、第5電磁調整弁56、及び水冷コンデンサ22の冷却水配管22bを備える。高温回路4でもこれら構成部品を通って冷却水が循環する。なお、この冷却水は熱媒体の一例であり、高温回路4内では、冷却水の代わりに任意の他の熱媒体が用いられてもよい。
また、高温回路4は、第1連通路4aと第2連通路4bとを有する。
第1連通路4aは、後述する機関熱交換器43の下流側及び水冷コンデンサ22の冷却水配管22bの入口に連通すると共に、ヒータコア42の入口及び高温ラジエータ44の入口に連通する。第1連通路4aは、具体的には、水冷コンデンサ22の冷却水配管22bの入口に連通するコンデンサ流入通路4a1と、高温ラジエータ44に連通する高温ラジエータ流入通路4a2と、機関熱交換器43に連通する機関流出通路4a3と、コンデンサ流入通路4a1、高温ラジエータ流入通路4a2及び機関流出通路4a3に連通すると共にヒータコア42の入口に連通するコア流入通路4a4とを有する。したがって、第1連通路4aは、機関熱交換器43から流出した冷却水を、ヒータコア42及び/又は高温ラジエータ44と水冷コンデンサ22に流入させることができる。
第2連通路4bは、ヒータコア42の出口及び高温ラジエータ44の出口に連通すると共に、機関熱交換器43の上流側及び水冷コンデンサ22の冷却水配管22bの出口に連通する。第2連通路4bは、具体的には、水冷コンデンサ22の冷却水配管22bの出口に連通するコンデンサ流出通路4b1と、高温ラジエータ44に連通する高温ラジエータ流出通路4b2と、機関熱交換器43に連通する機関流入通路4b3と、ヒータコア42の出口に連通するヒータコア流出通路4b4とを有する。したがって、第2連通路4bは、ヒータコア42から流出した冷却水、高温ラジエータ44から流出した冷却水、および水冷コンデンサ22から流出した冷却水を機関熱交換器43に流入させることができる。
なお、後述するが、内燃機関110の運転停止中に第2ポンプ41が駆動されてヒータコア42と水冷コンデンサ22に冷却水を循環させる場合は、コンデンサ流出通路4b1から水冷コンデンサ22に冷却水が流入し、水冷コンデンサ22からコンデンサ流入通路4a1に冷却水が排出される。
以上のように、本実施形態では、高温回路4は、機関熱交換器43の下流側及び水冷コンデンサ22の入口とヒータコア42の入口及び高温ラジエータ44の入口とに連通して機関熱交換器43からヒータコア42、高温ラジエータ44、及び/又は水冷コンデンサ22へ冷却水を流通させる第1連通路4aと、機関熱交換器43の上流側と水冷コンデンサ22、ヒータコア42及び高温ラジエータ44の出口とに連通してヒータコア42、高温ラジエータ44、及び/又は水冷コンデンサ22から機関熱交換器43へ冷却水を流通させる第2連通路4bとを有する。
第2ポンプ41は、高温回路4内を循環する冷却水を圧送する。本実施形態では、第2ポンプ41は、第1ポンプ31と同様な、電動式のウォータポンプである。特に、本実施形態では、第2ポンプ41はコンデンサ流出通路4b1に設けられる。また、高温ラジエータ44は、低温ラジエータ32と同様に、高温回路4内を循環する冷却水と外気との間で熱交換を行う熱交換器である。
ヒータコア42は、高温回路4内の冷却水の熱を利用して車室内を暖房するのに用いられる。すなわち、ヒータコア42は、高温回路4内を循環する冷却水とヒータコア42周りの空気との間で熱交換を行ってヒータコア42周りの空気を暖め、その結果、車室内の暖房を行うように構成される。具体的には、ヒータコア42は、冷却水からヒータコア42周りの空気へ排熱するように構成される。したがって、ヒータコア42に高温の冷却水が流れると、冷却水の温度が低下すると共に、ヒータコア42周りの空気が暖められる。
機関流入通路4b3には、第3ポンプ51が設けられる。第3ポンプ51は、機関熱交換器43に冷却水を圧送する。本実施形態では、第3ポンプ51は、第1ポンプ31と同様な、電動式のウォータポンプである。
第1連通路4aには、第3電磁調整弁52が設けられる。また、コンデンサ流入通路4a1には第4電磁調整弁54が設けられ、コア流入通路4a4には第5電磁調整弁56が設けられる。
機関熱交換器43は、内燃機関110において生成された熱を放出するために用いられ、内燃機関110の排熱を利用して冷却水を加熱するのに用いられる。すなわち、機関熱交換器43は、内燃機関110から高温回路4内の冷却水に排熱して、冷却水を加熱する。機関熱交換器43は、内燃機関110内での燃料の燃焼に伴って生じた熱を冷却水に排出させることにより、内燃機関110が過剰に昇温することを抑制する。機関熱交換器43は、例えば、内燃機関110のシリンダブロックやシリンダヘッド内に設けられた冷却水通路から構成される。
サーモスタッド46は、高温ラジエータ流出通路4b2を通る冷却水の流れを制御し、高温ラジエータ44を通る冷却水の流れを遮断する閉弁状態と、高温ラジエータ44を通って冷却水が流れることを許可する開弁状態との間で切り換えられる弁である。サーモスタッド46は、機関流入通路4b3を通って循環する冷却水の温度が予め設定された温度以上であるときには、高温ラジエータ44に冷却水が流れるように開かれる。一方、サーモスタッド46は、機関流入通路4b3を通って循環する冷却水の温度が予め設定された温度未満であるときには、高温ラジエータ44に冷却水が流れないように閉じられる。この結果、機関熱交換器43に流通する冷却水の温度がほぼ一定に保たれる。
≪空気通路≫
図3は、車載温調システム1を搭載した車両100の空調用の空気通路7を概略的に示す構成図である。空気通路7では、図中に矢印で示した方向に空気が流れる。図3に示した空気通路7は、車両100の外部又は車室の空気吸い込み口に接続されており、空気通路7には制御装置6による制御状態に応じて外気又は車室内の空気が流入する。また、図3に示した空気通路7は、車室内へ空気を吹き出す複数の吹き出し口に接続されており、空気通路7からは制御装置6による制御状態に応じてこのうち任意の吹き出し口に空気が供給される。
図3に示したように、本実施形態の空調用の空気通路7には、空気の流れ方向において、ブロワ71と、エバポレータ26と、エアミックスドア72と、ヒータコア42とがこの順番に設けられる。
ブロワ71は、ブロワモータ71aとブロワファン71bとを備える。ブロワ71は、ブロワモータ71aによってブロワファン71bが駆動されると、外気又は車室内の空気が空気通路7に流入して、空気通路7を通って空気が流れるように構成される。車室の暖房や冷房が要求されている場合には、基本的にブロワファン71bが駆動される。
エアミックスドア72は、空気通路7を通って流れる空気のうち、ヒータコア42を通って流れる空気の流量を調整する。エアミックスドア72は、空気通路7を流れる全ての空気がヒータコア42を流れる状態と、空気通路7を流れる全ての空気がヒータコア42を流れない状態と、その間の状態との間で調整できるように構成される。
このように構成された空気通路7では、ブロワ71が駆動されているときに、エバポレータ26に冷媒が循環されている場合には、空気通路7を通って流れる空気が冷却される。また、ブロワ71が駆動されているときに、ヒータコア42に冷却水が循環されていて且つ空気がヒータコア42を流れるようにエアミックスドア72が制御されている場合には、空気通路7内を通って流れる空気が暖められる。
また、図1に示したように、車両100のフロントグリルの内側に、低温ラジエータ32及び高温ラジエータ44が配置される。したがって、車両100が走行しているときにはこれらラジエータ32、44には走行風が当たる。また、これらラジエータ32、44に隣接してファン76が設けられる。ファン76は駆動されるとラジエータ32、44に風が当たるように構成される。したがって、車両100が走行していないときでも、ファン76を駆動することにより、ラジエータ32、44に風を当てることができる。
≪制御装置≫
図2を参照すると、制御装置6は、電子制御ユニット(ECU)61を有する。ECU61は、各種演算を行うプロセッサと、プログラムや各種情報を記憶するメモリと、各種アクチュエータや各種センサと接続されるインタフェースとを備える。
また、制御装置6は、水冷コンデンサ22内(冷却水配管22b内)の冷却水の水温を検出する水温センサ(1)62、機関熱交換器43の出口(機関流出通路4a3内)の冷却水の水温を検出する水温センサ(2)63、バッテリ120の温度を検出するバッテリ温度センサ64などのセンサを備える。ECU61はこれらセンサに接続され、ECU61にはこれらセンサからの出力信号が入力される。水温センサ62は、冷却水配管22b内の冷却水の水温を検出する代わりに、コンデンサ流入通路4a1およびコンデンサ流出通路4b1の少なくともいずれか一方の水温を検出してもよい。
加えて、制御装置6は、車両100の室内の温度を検出する室内温度センサ66と、車両100の室外の温度を検出する外気温度センサ67と、ユーザによって操作される操作パネル68とを備える。ECU61はこれらセンサ及び操作パネル68に接続され、ECU61にはこれらセンサ及び操作パネル68からの出力信号が入力される。
ECU61は、高温回路4の冷却水の水温に基づいて、水冷コンデンサ22への冷却水の通水を制御する。また、ECU61は、バッテリ温度センサ64からの出力信号に基づいて電池冷却要求の有無を判断する。例えば、バッテリ温度センサ64が検出したバッテリ120の温度が所定値以上の場合、ECU61は電池冷却が要求されていると判断する。
ECU61は、センサ66、67及び操作パネル68からの出力信号に基づいて空調要求(冷房要求や暖房要求)の有無を判断する。例えば、ユーザが操作パネル68の暖房スイッチをONにしている場合には、ECU61は暖房が要求されていると判断する。また、ユーザが操作パネル68のオートスイッチをONにしている場合には、例えば、ユーザによって設定されている室内温度が室内温度センサ66によって検出された温度よりも高いときにECU61は暖房が要求されていると判断する。また、ユーザが操作パネル68のオートスイッチをONにしている場合に、例えば、ユーザによって設定されている室内温度が室内温度センサ66によって検出された温度よりも低いときにECU61は冷房が要求されていると判断する。
加えて、ECU61は、車載温調システム1の各種アクチュエータに接続されて、これらアクチュエータを制御する。具体的には、ECU61は、コンプレッサ21、電磁調整弁28、29、52、54、56、ポンプ31、41、51、三方弁33,34、ブロワモータ71a、エアミックスドア72及びファン76に接続されて、これらを制御する。したがって、ECU61は、冷凍回路2、低温回路3、高温回路4における熱媒体(冷媒及び冷却水)の流通状態を制御する制御装置として機能する。
<車載温調システムの動作>
次に、以上のように構成された車載温調システム1の動作について説明する。
≪水冷コンデンサの間欠通水≫
車載温調システム1において、内燃機関110が運転しており、空調要求や電池冷却要求が出されていない場合には、高温回路4と冷凍回路2との間で熱交換が行われない。このため、水冷コンデンサ22の冷却水配管22bの冷却水の流れは停止され。機関熱交換器43とヒータコア42に高温の冷却水が循環する。このとき、水冷コンデンサ22には高温回路4の冷却水が流れないため、水冷コンデンサ22内の冷却水は低温(例えば、20℃程度の常温)となる。
この状態で空調要求や電池冷却要求が出されると、高温回路4と冷凍回路2との間で熱交換が行われる。具体的には、水冷コンデンサ22の冷却水配管22bに冷却水を流すことで、冷凍回路2を流れる冷媒から高温回路4の冷却水配管22bを流れる冷却水に放熱させて、高温回路4の冷却水が加熱される。暖房要求が出された場合は、ヒータコア42に加熱された冷却水が流れることにより車室内の暖房が行われる。また、冷房要求が出された場合は、エバポレータ26が、エバポレータ26周りの空気から冷媒へ吸熱させることにより、エバポレータ26周りの空気は冷却せしめられ、車室内の冷房が行われる。
また、電池冷却要求が出された場合は、水冷コンデンサ22の冷却水配管22bに冷却水を流すことで、チラー27を介して冷凍回路2の冷媒に吸熱された低温回路3の熱を、高温回路4の冷却水配管22bを流れる冷却水に放熱させて、低温回路3の冷却水が冷却される。
空調要求または電池冷却要求が出された場合に、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が低下していると、水冷コンデンサ22に冷却水を流した際に、水冷コンデンサ22内の温度の低い冷却水が暖機後の内燃機関110またはヒータコア42に流入し、また、冷え切った水冷コンデンサ22に機関熱交換器43から排出された高温の冷却水が流入する。このため、内燃機関110またはヒータコア42の温度が急激に低下し、また水冷コンデンサ22の温度が急激に上昇する。これにより、内燃機関110、ヒータコア42、水冷コンデンサ22などのデバイスに熱負荷がかかり、これらデバイスに熱歪が生じる可能性がある。
また、水冷コンデンサ22内の冷却水が冷えた状態で暖房要求が出されると、水冷コンデンサ22内の温度の低い冷却水がヒータコア42に流入することで、車室内の温風吹出口から温かい空気が出るまで時間がかかり、車両の乗員に違和感を与える場合もある。
一方で、電池冷却要求や冷房要求時には、水冷コンデンサ22は冷えていた方が電池冷却や冷房の効率はよくなるため、水冷コンデンサ22の温度を必要以上に上げることは好ましくない。具体的には、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が高くなりすぎると、高温回路4の冷却水が吸熱できる熱量が減るため、電池冷却要求や冷房要求時があった場合に、電池冷却能力または冷房能力が低下し、バッテリ120がオーバーヒートしたり、車室内を所望の温度に冷房できなくなるなどの事態が生じ得る。
このため、本実施形態では、空調要求または電池冷却要求が出されていない場合において、予め水冷コンデンサ22を最適な温度帯に入れるため、流量可変デバイスにより水冷コンデンサ22に冷却水を間欠通水させる。
図4は、上から順に、内燃機関110の内部水温、ユーザによる空調要求を示す空調要求フラグの状態、電池冷却要求を示す電池冷却要求フラグの状態、ヒータコア42の入口側水温、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温、機関熱交換器43を流れる冷却水の流量、ヒータコア42を流れる冷却水の流量、水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量、をそれぞれ示すタイミングチャートである。図3は、内燃機関110を時刻t0で始動した後の各値の変化を示している。なお、内燃機関110の内部水温は機関熱交換器43内の冷却水の水温である。また、ヒータコア42の入口側水温は、ヒータコア42の入口側のコア流入通路4a4内の冷却水の水温であり、機関熱交換器43の出口側の機関流出通路4a3内の冷却水の水温と同等である。
図4では、ユーザによる空調要求が出されておらず、また電池冷却要求が出されていない場合を示しており、空調要求フラグおよび電池冷却要求フラグの状態はLowである。時刻t0で内燃機関110が始動すると、時刻t1までは第2ポンプ41および第3ポンプ51の駆動がオフ(OFF)とされる。また、第3電磁調整弁52、第4電磁調整弁54、および第5電磁調整弁56は開かれる。図5は、時刻0から時刻t1までの間の高温回路4内の冷却水の状態を示す図である。なお、図5において、破線で示す通路は冷却水の流れが停止している状態を示しており、後述する図6、図7、図10、図11、および図12においても同様である。図5に示すように、内燃機関110の始動直後の時刻t0から時刻t1までの間は、高温回路4内の全ての通路において冷却水の流れは停止する。
時刻0で内燃機関110が始動すると、内燃機関110の内部水温は時間の経過とともに上昇する。また、時刻0から時刻t1までの間は、高温回路4内の冷却水の流れが停止しているため、ヒータコア42の入口側水温、および水冷コンデンサ22内の冷却水の水温は変化しない。
また、時刻0から時刻t1までの間は、高温回路4内の冷却水の流れが停止することで、機関熱交換器43を流れる冷却水の流量、ヒータコア42を流れる冷却水の流量、および水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量は0である。
時刻t1で内燃機関110の内部水温が所定値に達すると、内燃機関110の冷却を開始するため、第3ポンプ51の駆動がオンとされる。第2ポンプ41の駆動はオフのまま維持される。第3電磁調整弁52、第4電磁調整弁54、および第5電磁調整弁56は、開かれた状態が維持される。図6は、時刻t1で第3ポンプ51の駆動がオンとされた後の高温回路4内の冷却水の流れを示す図である。図6では、冷却水の流れが矢印で示されている。図6に示すように、時刻t1で第3ポンプ51の駆動がオンとされると、冷却水が機関熱交換器43を流れ、機関熱交換器43から排出された冷却水がヒータコア42と水冷コンデンサ22に流入する。なお、機関流入通路4b3を通って循環する冷却水の温度に応じてサーモスタッド46が開かれ、高温ラジエータ44には冷却水が流れるが、図4は内燃機関110の始動直後を示しているため、この間は高温ラジエータ44には殆ど冷却水は流れない。なお、内燃機関110の内部水温は時刻t8で定常状態(90℃程度)に達する。
時刻t1以降も内燃機関110の内部水温は時間の経過とともに上昇する。また、機関熱交換器43から排出された冷却水がヒータコア42と水冷コンデンサ22に流入することで、ヒータコア42の入口側水温、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温は時間の経過とともに上昇する。
また、時刻t1以降に機関熱交換器43から排出された冷却水がヒータコア42と水冷コンデンサ22に流入することで、機関熱交換器43を流れる冷却水の流量、ヒータコア42を流れる冷却水の流量、および水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量は、時間の経過とともに増加し、時刻t2でそれぞれ定常状態に達する。なお、機関熱交換器43を流れる冷却水の流量は、ヒータコア42を流れる冷却水の流量と水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量を合算した値である。
時刻t2において、ヒータコア42の入口側水温は、内燃機関110の内部水温に到達し、以降は内燃機関110の内部水温と同様に変化する。同様に、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温は、時刻t2において内燃機関110の内部水温に到達し、水冷コンデンサ22に冷却水を間欠通水しなければ、以降は内燃機関110の内部水温と同様に変化する。なお、図4のヒータコア42の入口側水温と水冷コンデンサ22内の冷却水の水温の特性では、内燃機関110の内部水温が破線で示されている。
このように、空調要求または電池冷却要求が出されていない場合に、機関熱交換器43から排出された冷却水を水冷コンデンサ22に流入させることで、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が上昇する。
本実施形態では、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温に規定下限温度と規定上限温度が設定されている。水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が時刻t2以降に内燃機関110の内部水温と同様に増加していくと、時刻t3で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定上限温度に到達する。本実施形態では、水冷コンデンサ22に間欠通水を行うことで、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定下限温度と規定上限温度の間の範囲に収まるように制御される。ECU61は、水温センサ62が検出した水冷コンデンサ22における冷却水の温度が所定の上限温度(規定上限温度)に達すると冷却水の水冷コンデンサ22への流入を停止させ、水冷コンデンサ22における冷却水の温度が所定の下限温度(規定下限温度)に達すると冷却水を水冷コンデンサ22へ流入させるように第4電磁調整弁54を制御する
具体的には、時刻t3で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定上限温度に到達すると、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温を規定上限温度以下に抑えるため、第4電磁調整弁54が閉じられる。第3電磁調整弁52、および第5電磁調整弁56は、開かれた状態が維持される。また、第3ポンプ51の駆動はオンとされた状態が維持され、第2ポンプ41の駆動はオフのまま維持される。図7は、時刻t3で、第4電磁調整弁54が閉じられた後の高温回路4内の冷却水の流れを示す図である。図7に示すように、時刻t3で第4電磁調整弁54が閉じられると、機関熱交換器43から排出された冷却水は水冷コンデンサ22に流入しなくなる。これにより、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が低下し、規定上限温度以下に抑えられる。
第4電磁調整弁54を閉じたことによって水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が低下し、時刻t4で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定下限温度に到達すると、第4電磁調整弁54が開かれる。第3電磁調整弁52、および第5電磁調整弁56は、開かれた状態が維持される。また、第3ポンプ51の駆動はオンとされた状態が維持され、第2ポンプ41の駆動はオフのまま維持される。高温回路4内の冷却水の流れは図6と同様となり、機関熱交換器43から排出された冷却水がヒータコア42と水冷コンデンサ22に流入する。これにより、機関熱交換器43から排出された冷却水が水冷コンデンサ22に流入するため、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が上昇し、規定下限温度以上となる。
時刻t4以降も同様に、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温に基づいて第4電磁調整弁54が開閉され、水冷コンデンサ22への間欠通水が行われる。これにより、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定下限温度と規定上限温度の間に収まるように制御される。なお、時刻t3以降に間欠通水を行わなければ、図4中に破線で示すように、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温は内燃機関110の内部水温と同様に上昇する。
以下では、図8を参照して、ECU61による第4電磁調整弁54の切替制御について説明する。図8は、ECU61による第4電磁調整弁54の切替処理の流れを示すフローチャートである。図示した切替処理は、一定時間間隔毎に実行される。なお、処理の開始時に第3ポンプ51の駆動はオンとされ、第2ポンプ41の駆動はオフとされているものとする。
先ず、ECU61は、水冷コンデンサ22への間欠通水を行うモードがオン(ON)であるか否かを判定し(ステップS10)、間欠通水を行うモードがオンであれば、空調要求がないか否かを判定する(ステップS12)。
ECU61は、ステップS12で空調要求がない場合、電池冷却要求がないか否かを判定し(ステップS14)、電池冷却要求がない場合、第4電磁調整弁54が閉じているか否かを判定する(ステップS16)。
ECU61は、ステップS16で第4電磁調整弁54が閉じている場合、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定下限温度に到達したか否かを判定し(ステップS18)、水温が規定下限温度に到達した場合、第4電磁調整弁54を開く制御を行う(ステップS20)。これにより、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定下限温度以上に制御される。
ECU61は、ステップS16で第4電磁調整弁54が開いている場合、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定上限温度に到達したか否かを判定し(ステップS22)、水温が規定上限温度に到達した場合、第4電磁調整弁54を閉じる制御を行う(ステップS24)。これにより、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定上限温度以下に制御される。
ECU61は、ステップS12で空調要求がある場合、またはステップS14で電池冷却要求がある場合、第4電磁調整弁54を開く制御を行う(ステップS20)。また、この場合、冷凍回路2のコンプレッサ21が駆動される。これにより、高温回路4と冷凍回路2との間で熱交換が行われる。
ECU61は、ステップS10で間欠通水を行うモードがオフであれば、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定上限温度以上か否かを判定し(ステップS26)、水温が規定上限温度以上の場合、間欠通水を行うモードをオン(ON)に設定する(ステップS28)。
図8の処理によれば、空調要求または電池冷却要求が出されていない状態において、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定下限温度と規定上限温度の間の範囲に収まるように制御されるため、空調要求や電池冷却要求が出された際に、水冷コンデンサ22内の温度の低い冷却水が暖機後の内燃機関110またはヒータコア42に流入することがなく、内燃機関110またはヒータコア42に熱負荷がかかることが抑えられ、これらデバイスに熱歪が生じることが抑制される。また、水冷コンデンサ22の温度が低下した状態で機関熱交換器43から排出された高温の冷却水が水冷コンデンサ22に流入することがないため、水冷コンデンサ22に熱負荷がかかることが抑えられ、水冷コンデンサ22に熱歪が生じることが抑制される。
また、空調要求が出された際に水冷コンデンサ22内の温度の低い冷却水がヒータコア42に流入することがなく、規定下限温度以上の冷却水がヒータコア42に流入するため、車室内の温風吹出口から温かい空気が出るまで時間を要することがなく、車両の乗員に違和感を与えてしまうことが抑制される。更に、水冷コンデンサ22の温度が必要以上に上昇することがないため、電池冷却や冷房の際の効率が低下してしまうことが抑制される。
≪内燃機関の停止要求時≫
次に、内燃機関110の停止要求が出された場合の制御について説明する。車両100の運転中に内燃機関110の停止要求が出されて内燃機関110が停止した状態(アイドリング停止状態)になると、車両100はMG112によって駆動される。空調要求や電池冷却要求が出されていない場合には、高温回路4と冷凍回路2との間で熱交換が行われないため、水冷コンデンサ22に冷却水は流れず、水冷コンデンサ22内の冷却水は低温(例えば、20℃程度の常温)となる。
内燃機関110が停止した状態で空調要求が出されると、第2ポンプ41が駆動され、第3電磁調整弁52が閉じられ、第4電磁調整弁54および第5電磁調整弁56が開かれることによって、水冷コンデンサ22とヒータコア42に冷却水が循環する。また、コンプレッサ21が駆動され、高温回路4と冷凍回路2との間で熱交換が行われる。これにより、暖房要求が出されている場合は、ヒータコア42が加熱されて車室内の暖房が行われる。また、冷房要求が出されている場合は、エバポレータ26周りの空気から冷媒へ吸熱させることにより、車室内の冷房が行われ、高温回路4の冷却水が加熱される。電池冷却要求が出された場合も同様に、チラー27を介して冷凍回路2の冷媒に吸熱された低温回路3の熱を、高温回路4の冷却水配管22bを流れる冷却水に放熱させて、低温回路3の冷却水が冷却され、高温回路4の冷却水が加熱される。冷凍回路2は、エバポレータ26またはチラー27から冷媒に吸熱させることで熱を汲み上げ、冷媒から高温回路4の冷却水に放熱するヒートポンプとして機能する。内燃機関110の停止時には、このヒートポンプの機能によりヒータコア42を流れる冷却水が温められる。
内燃機関110の停止時においても、内燃機関110の停止前に機関熱交換器43から排出された高温の冷却水によりヒータコア42の温度は高温となっている場合がある。この状態で空調要求または電池冷却要求が出された場合に、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が低下していると、水冷コンデンサ22とヒータコア42に冷却水を循環させた際に、水冷コンデンサ22内の温度の低い冷却水がヒータコア42に流入し、また、冷え切った水冷コンデンサ22にヒータコア42から排出された高温の冷却水が流入する。このため、ヒータコア42の温度が急激に低下し、また水冷コンデンサ22の温度が急激に上昇する。これにより、ヒータコア42、水冷コンデンサ22などのデバイスに熱負荷がかかり、これらデバイスに熱歪が生じる可能性がある。
また、特に暖房要求が出された場合に、ヒートポンプによりエバポレータ26またはチラー27から所望の熱を汲み上げるまでには相応の時間を要する。このため、内燃機関110の停止時に水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が低下していると、水冷コンデンサ22とヒータコア42に冷却水を循環させた際に水冷コンデンサ22内の温度の低い冷却水がヒータコア42に流入し、ヒートポンプにより熱が汲み上がるまでの間はヒータコア42の温度が低下する場合がある。そして、ヒータコア42内の冷却水の水温(水冷コンデンサ22内の冷却水の水温)が車室内の暖房に必要とされるヒータ要求温度よりも低くなると、車室内の暖房を行うことができなくなる。この場合、温かい冷却水をヒータコア42に供給するために内燃機関110を再始動させる必要が生じたり、熱の汲み上げをより短時間で行うためにコンプレッサ21をより高回転で回す必要などが生じ、この結果、燃費悪化やNV悪化を招来する。また、内燃機関110が再始動されことによって、ドライバに違和感を与える可能性がある。
このため、本実施形態では、空調要求または電池冷却要求が出されていない場合に、内燃機関110の停止要求が出されると、水冷コンデンサ22に冷却水を通水させ、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が所定温度に達すると内燃機関110を停止させる。ECU61は、車両運転中に内燃機関110を停止する際には、冷却水を水冷コンデンサ22へ流入させるように第4電磁調整弁54を制御し、水冷コンデンサ22における冷却水の温度を上昇させた後に内燃機関110を停止する。ECU61は、水温センサ62が検出した水冷コンデンサ22における冷却水の温度が後述する規定温度1に達するまで、又は高温回路4内の冷却水の温度が後述する規定温度2に達したと推定されるまで冷却水を水冷コンデンサ22へ流入させた後に内燃機関110を停止してもよい。
図9は、上から順に、機関熱交換器43の出口側水温、ユーザによる暖房要求を示す暖房要求フラグの状態、内燃機関110の始動要求フラグの状態、ブロワ回転数、コンプレッサ21の回転数、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量、ヒータコア42内の冷却水の水温、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温、機関熱交換器43を流れる冷却水の流量、ヒータコア42を流れる冷却水の流量、水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量、をそれぞれ示すタイミングチャートである。なお、ブロワ回転数は、ブロワモータ71aの回転数である。
図9に示すように、時刻t10から時刻t12の間では、内燃機関110が運転しており、機関熱交換器43の出口側水温は90℃程度である。この状態では内燃機関110の暖機は完了している。
図9では、電池冷却要求が出されていない場合を示しており、図3と同様に電池冷却要求フラグ(図9において不図示)の状態は常にLowである。一方、ユーザの暖房要求については、時刻t10の時点では暖房要求フラグの状態はLowであるが、時刻t13でユーザにより暖房要求が出され、時刻t13で暖房要求フラグの状態はLowからHighに切り換わる。このため、時刻t10から時刻t13の間では、ブロワモータ71aおよびコンプレッサ21は停止しており、ブロワ回転数およびコンプレッサ回転数は0である。
また、時刻t10では、第3ポンプ51の駆動がオン(ON)とされ、第2ポンプ41の駆動がオフ(OFF)とされている。また、時刻t10では、第3電磁調整弁52および第5電磁調整弁56は開かれ、第4電磁調整弁54は閉じられている。この状態は、内燃機関110の停止要求が出されるt11まで維持される。
図10は、時刻10から時刻t11の間における高温回路4内の冷却水の流れを示す図である。図10に示すように、第3ポンプ51の駆動がオン(ON)とされることで、機関熱交換器43に冷却水が流入する。また、第3電磁調整弁52および第5電磁調整弁56が開かれ、第4電磁調整弁54が閉じられることで、機関熱交換器43から排出された冷却水は、ヒータコア42と高温ラジエータ44に流入し、水冷コンデンサ22には流入しない。なお、機関流入通路4b3を通って循環する冷却水の温度に応じてサーモスタッド46が開かれ、高温ラジエータ44には冷却水が適宜流れる。
このため、図9に示すように、時刻10から時刻t11の間では、機関熱交換器43に所定量の冷却水が流れ、またヒータコア42にも所定量の冷却水が流れる。一方、時刻10から時刻t11の間では、水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量は0である。水冷コンデンサ22に冷却水が流れないことによって、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温は徐々に低下する。
時刻t11で内燃機関110の停止要求が出されると、内燃機関110の始動要求フラグの状態がHighからLowに切り換わる。始動要求フラグの状態がHighからLowに切り換わった時点で、水温センサ62が検出した水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1(例えば、80℃)よりも低いため、第4電磁調整弁54が開かれる。第3電磁調整弁52、および第5電磁調整弁56は、開かれた状態が維持される。また、第3ポンプ51の駆動はオンとされた状態が維持され、第2ポンプ41の駆動はオフのまま維持される。
図11は、時刻t11で、第4電磁調整弁54が開かれた後の高温回路4内の冷却水の流れを示す図である。図11に示すように、時刻t11で第4電磁調整弁54が開かれると、機関熱交換器43から排出された冷却水が水冷コンデンサ22に流入し、水冷コンデンサ22への通水が行われる。これにより、図9に示したように、水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量が増加し、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温は時刻t11以降に上昇する。機関熱交換器43から排出された冷却水は引き続きヒータコア42にも流入するが、機関熱交換器43から排出された冷却水の一部が水冷コンデンサ22に流入するため、ヒータコア42を流れる冷却水の流量は時刻t11以前よりも少なくなる。
時刻t12で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1に達すると、時刻t11での停止要求に応じて内燃機関110が停止される。この場合、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1に達しているため、経路内の冷却水は、経路内全体で規定温度1には達してない可能性があるものの、経路内全体で少なくとも規定温度1よりも低い所定温度以上(例えば、70℃程度)に昇温していると考えられるため、内燃機関110が停止される。
なお、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1よりも低い規定温度2(例えば、70℃程度))に達した後、所定時間が経過すると、時刻t11での停止要求に応じて内燃機関110が停止されてもよい。この場合、経路内の冷却水が全体として規定温度2に昇温している推定されるため、内燃機関110が停止される。
なお、規定温度1および規定温度2は水温センサ63が検出した機関熱交換器43の出口水温に基づいて定められ、出口水温よりも低い値とされる。例えば、機関熱交換器43の出口水温をTとすると、規定温度1=T-αであり、規定温度2=T-βである。但し、α、βはα<βの関係を満たす定数である。
以上のように、冷却水の経路内が全体として所定の温度(上記の例では70℃程度)に達した段階で、停止要求に応じて内燃機関110が停止される。
以上のように、時刻t11での内燃機関110の停止要求が出された後、水冷コンデンサ22に通水を行い、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が所望の温度に達すると内燃機関110が停止される。したがって、内燃機関110の停止前に水冷コンデンサ22内の冷却水の水温を予め上昇させておくことができる。
時刻t12で内燃機関110が停止すると、第3ポンプ51の駆動がオフとされる。第2ポンプ41の駆動はオフのまま維持される。また、第3電磁調整弁52、第4電磁調整弁54および第5電磁調整弁56は、開かれた状態が維持される。したがって、高温回路4内の冷却水の流れは停止する。なお、この状態は図5と同様である。これにより、図9に示すように、機関熱交換器43を流れる冷却水の流量、ヒータコア42を流れる冷却水の流量、および水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量は0となる。内燃機関110が停止した状態で高温回路4内の冷却水の流れが停止することにより、ヒータコア42内の冷却水の水温、および水冷コンデンサ22内の冷却水の水温は徐々に低下する。
時刻t13でユーザにより暖房要求が出され、暖房要求フラグの状態がLowからHighに切り換わると、第2ポンプ41の駆動がオンとされる。第3ポンプ51の駆動はオフのまま維持される。また、第3電磁調整弁52が閉じられる。第4電磁調整弁54および第5電磁調整弁56は、開かれた状態が維持される。
また、時刻t13で暖房要求フラグの状態がLowからHighに切り換わると、ブロワモータ71aが駆動され、ブロワ回転数が増加する。また、時刻t13で暖房要求フラグの状態がLowからHighに切り換わると、コンプレッサ21が駆動され、コンプレッサ回転数が増加する。これにより、内燃機関110が停止した状態でヒートポンプによる暖房が開始される。
図12は、時刻t13で、第2ポンプ41の駆動がオンとされ、第3電磁調整弁52が閉じられた後の高温回路4内の冷却水の流れを示す図である。図12に示すように、第2ポンプ41の駆動がオンとされ、第3電磁調整弁52が閉じられると、第2ポンプ41の駆動により冷却水が水冷コンデンサ22へ流入し、水冷コンデンサ22から排出された冷却水がヒータコア42へ流入することで、水冷コンデンサ22とヒータコア42に冷却水が循環する。したがって、図9に示すように、ヒータコア42を流れる冷却水の流量が増加する。また、水冷コンデンサ22には図11とは逆方向に冷却水が流れるため、水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量は負の値となり、その絶対値が増加する。
時刻t13でコンプレッサ21が駆動されることで、水冷コンデンサ22には冷媒が流入する。これにより、水冷コンデンサ22が冷凍回路2の冷媒から高温回路4の冷却水に放熱させることで、図9に示すように、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量が徐々に増加し、時刻t14で移動熱量は定常状態となる。
この際、ヒートポンプによりエバポレータ26またはチラー27から所望の熱を汲み上げるまでには相応の時間を要するため、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量は、時刻t13でコンプレッサ21を駆動しても急激に増加せず、徐々に増加する。
時刻t12以降は内燃機関110が停止しているため、ヒータコア42内の冷却水の水温は低下していくが、時刻t12で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温を予め規定温度1まで上昇させているため、水冷コンデンサ22が高温となった状態から自然放熱する。これにより、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量が定常状態に達するまでの間の移動熱量の不足分が、予め温度を高温に上昇させた水冷コンデンサ22内の冷却水の熱量によって補填される。したがって、冷凍サイクルのヒートポンプ能力が安定するまで間の暖房の立ち上がりの遅れを補うことが可能になる。また、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量が定常状態となる時刻t14までの間にヒータコア42内の冷却水の水温がヒータ要求温度以下となってしまうことが抑制され、内燃機関110の再始動が回避される。そして、時刻t14以降は、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量が定常状態に達しているため、ヒータコア42内の冷却水の水温はヒートポンプによりヒータ要求温度よりも高い温度に維持される。したがって、内燃機関110が停止した状態においても、暖房が安定して行われる。
なお、時刻t12で内燃機関110が停止した後は水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が徐々に低下するため、暖房要求が出されるまでに長時間が経過すると、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温がヒータ要求温度を下回る場合も想定される。この場合においても、水冷コンデンサ22へ通水を行うことで時刻t12の時点で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1に達しているため、水冷コンデンサ22へ通水を行わない場合と比較すると、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温がヒータ要求温度を下回るまでの時間をより長くすることができる。したがって、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温がヒータ要求温度を下回ったことによる内燃機関110の再始動までの時間をより長くすることができ、燃費悪化やNV悪化が低減される。
なお、図9に示したように、時刻t14で、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量が定常状態となると、コンプレッサ21の回転数はより低い回転数まで低下される。
次に、時刻t15で内燃機関110の始動要求が出されると、始動要求フラグの状態がLowからHighに切り換わる。始動要求フラグの状態がLowからHighに切り換わると、第3電磁調整弁52が開かれる。第4電磁調整弁54、第5電磁調整弁56は開いた状態が維持される。また、第2ポンプ41の駆動がオフとされ、第3ポンプ51の駆動がオンとされる。高温回路4内の冷却水の流れは図11と同様となる。
これにより、機関熱交換器43の出口側水温、ヒータコア42内の冷却水の水温、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温はそれぞれ上昇する。機関熱交換器43の出口側水温は、時刻t15以前のヒータコア42での熱交換により温度が低下した冷却水が流入することにより、時刻t15で一時的に低下した後に上昇する。また、機関熱交換器43と水冷コンデンサ22には冷却水が流れる。水冷コンデンサ22には図12とは逆方向に冷却水が流れるため、水冷コンデンサ22を流れる冷却水の流量は正の値となる。ヒータコア42を流れる冷却水の流量は、弁の切り換え動作に伴い時刻t15で一時的に低下するが、その後は時刻t15以前の値が維持される。
時刻t16で機関熱交換器43の出口側水温が所定値T1(ヒートポンプ完了温度)に到達すると、コンプレッサ21の回転数を低下させる制御が行わる。これにより、ヒートポンプによる水冷コンデンサ22の移動熱量が低下し、機関熱交換器43による熱交換で温められた冷却水により暖房が行われる。その後、時刻t17で内燃機関110の暖機が完了すると、機関熱交換器43の出口側水温は90℃程度となる。
以下では、図13を参照して、ECU61による第4電磁調整弁54の切替制御について説明する。図13は、ECU61による第4電磁調整弁54の切替処理の流れを示すフローチャートである。図示した切替処理は、一定時間間隔毎に実行される。
先ず、ECU61は、内燃機関110の停止要求が出されたか否かを判定し(ステップS30)、停止要求が出された場合は第4電磁調整弁54が開いているか否かを判定する(ステップS32)ステップS30で内燃機関110の停止要求が出されていない場合、本制御周期における処理は終了する。
ECU61は、ステップS32で第4電磁調整弁54が開いている場合、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1以上であるか否かを判定し(ステップS34)、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1以上である場合、内燃機関110を停止させる制御を実行する(ステップS36)。一方、ECU61は、ステップS32で第4電磁調整弁54が開いていない場合、第4電磁調整弁54を開き(ステップS38)、ステップS34以降の処理を行う。
ステップS34で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度1よりも低い場合、ECU61は、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度2を超えてから一定時間以上経過したか否かを判定する(ステップS40)。そして、ECU61は、水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度2を超えてから一定時間以上経過した場合、内燃機関110を停止させる制御を実行する(ステップS36)。ステップS40で水冷コンデンサ22内の冷却水の水温が規定温度2を超えてから一定時間以上経過していない場合、本制御周期における処理は終了する。
図9の処理によれば、内燃機関110の停止要求が出されると、第4電磁調整弁54が閉じている場合は第4電磁調整弁54が開かれる。そして、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が規定温度1に達するまでの間は内燃機関110が停止されず、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が規定温度1に達すると内燃機関110が停止される。または、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が規定温度1よりも低い規定温度2を超えて一定時間以上経過するまので間は内燃機関110が停止されず、水冷コンデンサ22内の冷却水の温度が規定温度2を超えて一定時間以上経過すると内燃機関110が停止される。したがって、内燃機関110の停止後に暖房要求が出された場合に、ヒートポンプによる暖房の遅れによってヒータコア42の温度がヒータ要求温度を下回ってしまうことが抑制され、内燃機関110の再始動が行われること、またはコンプレッサ21の高回転駆動を行うことが抑制される。したがって、内燃機関110の再始動やコンプレッサ21の高回転駆動によってドライバに違和感を与えることがなく、燃費の悪化を抑制することが可能となり、NVを低下させることが可能となる。
1 車載温調システム
2 冷凍回路
4 高温回路
22 水冷コンデンサ
26 エバポレータ
42 ヒータコア
43 機関熱交換器
54 第4電磁調整弁
61 ECU
110 内燃機関

Claims (3)

  1. 冷媒から熱媒体に放熱させる媒体間熱交換器と前記冷媒を蒸発させる蒸発器とに該冷媒を循環させ得る冷凍回路と、
    車室内を暖房するためのヒータコア、前記媒体間熱交換器、および内燃機関の排熱により前記熱媒体を加熱する機関熱交換器に該熱媒体を循環させ得る熱回路であって、前記機関熱交換器から排出された前記熱媒体の前記媒体間熱交換器への流入を調整する調整弁を有する熱回路と、
    前記媒体間熱交換器における前記熱媒体の温度が所定の上限温度に達すると前記熱媒体の前記媒体間熱交換器への流入を停止させ、該温度が所定の下限温度に達すると前記熱媒体を前記媒体間熱交換器へ流入させるように前記調整弁を制御する制御装置と、
    を備える、車載温調システム。
  2. 前記制御装置は、車両運転中に前記内燃機関を停止する際には、前記熱媒体を前記媒体間熱交換器へ流入させるように前記調整弁を制御し、前記媒体間熱交換器における前記熱媒体の温度を上昇させた後に前記内燃機関を停止する、請求項1に記載の車載温調システム。
  3. 前記制御装置は、前記媒体間熱交換器における前記熱媒体の温度が第1所定温度に達するまで又は前記熱回路内の前記熱媒体の温度が第2所定温度に達したと推定されるまで前記熱媒体を前記媒体間熱交換器へ流入させた後、前記内燃機関を停止する、請求項2に記載の車載温調システム。
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