JP2024064791A - 露光装置、露光方法、物品の製造方法、制御装置、決定方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】投影光学系の光学素子間の共振の回避と重ね合わせ精度の向上を両立させるのに有利な技術を提供する。【解決手段】基板を露光する露光装置であって、前記基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系と、前記投影光学系を制御する制御部と、を有し、前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする露光装置を提供する。【選択図】図3
Description
本発明は、露光装置、露光方法、物品の製造方法、制御装置、決定方法及びプログラムに関する。
半導体素子やフラットパネルディスプレイなどの製造工程においては、原版(マスク又はレチクル)のパターンを基板に転写する露光工程が必要不可欠である。近年、半導体素子やフラットパネルディスプレイなどの微細化に伴って、露光工程に用いられる露光装置には、基板上のショット領域に対して、原版のパターンを高精度に重ね合わせる(位置合わせする)ことが求められている。
基板上のショット領域と原版のパターンとの高い重ね合わせ精度を実現するための技術の1つとして、基板に転写される像(転写像)の倍率を補正する技術が知られている。かかる技術では、基板上でスリット光を走査して原版のパターンをショット領域に転写しながら、投影光学系を構成している光学素子を駆動することで転写像の倍率を補正(変更)している。但し、かかる光学素子は、投影光学系内に配置されており、転写像への影響を考慮すると、光学素子を駆動するモータ(駆動源)の振動や放熱などを抑えなければならないため、光学素子の駆動速度に制限を設ける必要がある。その結果、転写像を目標となる倍率量まで補正しきれない可能性が生じる。そこで、走査速度を遅くすることで光学素子の駆動速度の制限を緩和し、重ね合わせ精度を優先する技術が提案されている。
しかしながら、投影光学系を構成する光学素子を駆動する際には、光学素子の駆動速度の制限だけではなく、投影光学系を構成する光学素子間の共振も問題となる。一般的に、投影光学系内には、駆動可能な光学素子の他にも、複数の光学素子が構成されている。これらの光学素子のそれぞれには共振周波数が存在するため、設計上、共振回避の考慮が必要となる。一方、投影光学系を構成する駆動可能な光学素子を駆動するモータには振動ピッチが存在し、光学素子の実際の駆動速度に応じて振動周波数が変動する。従って、光学素子を特定の駆動速度で駆動すると、他の光学素子と共振を起こす可能性がある。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、投影光学系の光学素子間の共振の回避と重ね合わせ精度の向上を両立させるのに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての露光装置は、基板を露光する露光装置であって、前記基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系と、前記投影光学系を制御する制御部と、を有し、前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、投影光学系の光学素子間の共振の回避と重ね合わせ精度の向上を両立させるのに有利な技術を提供することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の一側面としての露光装置100の構成を示す概略図である。露光装置100は、半導体素子やフラットパネルディスプレイなどデバイスの製造工程であるリソグラフィ工程に用いられ、原版(マスク又はレチクル)を用いて基板を露光することで、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置である。露光装置100は、本実施形態では、パターンが形成された原版のパターンを、投影光学系を介して基板に投影し、原版のパターンを基板に転写する露光処理を行う。
図1は、本発明の一側面としての露光装置100の構成を示す概略図である。露光装置100は、半導体素子やフラットパネルディスプレイなどデバイスの製造工程であるリソグラフィ工程に用いられ、原版(マスク又はレチクル)を用いて基板を露光することで、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置である。露光装置100は、本実施形態では、パターンが形成された原版のパターンを、投影光学系を介して基板に投影し、原版のパターンを基板に転写する露光処理を行う。
本明細書及び添付図面では、後述する投影光学系4の光軸に沿った方向をZ軸とし、Z軸に垂直な平面に平行な方向であり、互いに垂直な2つの方向をX軸、Y軸とするXYZ座標系で方向を示す。また、XYZ座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向をX方向、Y方向及びZ方向とする。以下では、Z方向を高さ方向と称することがある。なお、本実施形態では、露光装置100において基板を走査露光する際に、原版と基板とを相対的に走査する方向(走査方向)をY方向とし、走査方向に直交する非走査方向をX方向とする。
露光装置100は、図1に示すように、照明光学系1と、原版ステージ2と、投影光学系4と、基板ステージ5と、アライメント計測系7と、フォーカス計測系8と、制御部9と、第1遮光板15と、第2遮光板16と、を有する。
照明光学系1は、レンズ、ミラー、マスキングブレードなどの各種の光学部材を含み、原版ステージ2に保持された原版3を、均一な照度分布の光(露光光)で照明する。照明光学系1は、本実施形態では、光源(不図示)から射出された光を、例えば、X方向に長手方向を有する帯状又は円弧状の光(スリット光)に整形し、かかる光で原版3の一部を照明する。
原版ステージ2は、基板6に転写すべきパターンが形成された原版3を保持し、X方向、Y方向及び回転方向に駆動する。基板ステージ5は、基板6を保持し、X方向、Y方向、Z方向、回転方向及びチルト方向に駆動する。原版3は、投影光学系4の物体面に配置され、基板6は、投影光学系4の像面(結像面、フォーカス面)に配置される。
投影光学系4は、第1平行平板10と、平面鏡11と、凹面鏡12と、凸面鏡13と、第2平行平板14と、を含み、照明光学系1によって照明された原版3のパターンを、基板ステージ5に保持された基板6に投影する。原版3のパターンからの光は、第1平行平板10、平面鏡11、凹面鏡12、凸面鏡13、凹面鏡12、平面鏡11、第2平行平板14を経由して、基板6に結像する。本実施形態において、投影光学系4は、等倍系、拡大系、縮小系のいずれであってもよい。なお、第1平行平板10と第2平行平板14との位置関係は、逆であってもよい。
投影光学系4において、第1平行平板10は、平面鏡11の前段(の光路)に配置されている。本実施形態において、第1平行平板10には、第1平行平板10を駆動する機能を有する第1駆動部102が設けられている。第1駆動部102は、例えば、駆動源としてモータを含み、第1平行平板10をYZ平面において湾曲させる。これにより、投影光学系4のY方向おける倍率を補正することが可能となる。
また、投影光学系4において、第2平行平板14は、平面鏡11の後段(の光路)に配置されている。本実施形態において、第2平行平板14には、第2平行平板14を駆動する機能を有する第2駆動部142が設けられている。第2駆動部142は、例えば、駆動源としてモータを含み、第2平行平板14をXZ平面において湾曲させる。これにより、投影光学系4のX方向における倍率を補正することが可能となる。
アライメント計測系7は、原版3と基板6との位置合わせ(アライメント)に用いるためのマークを検出する顕微鏡を含む。アライメント計測系7は、本実施形態では、原版3のアライメントマーク3aと基板6のアライメントマーク6aとのXY平面内の位置を計測する。なお、原版3に設けられるアライメントマーク3aの配置関係は、原版3に形成されるパターンに応じて異なる。従って、アライメント計測系7には、少なくとも、投影光学系4の露光光が照射される照射領域の範囲内において、アライメント計測系7をX方向及びY方向に駆動するアライメント駆動部が設けられている。
フォーカス計測系8は、投影光学系4に対する基板6の表面の投影光学系4の光軸方向の位置、即ち、基板ステージ5に保持された基板6の高さ方向(Z方向)の表面位置を計測する。フォーカス計測系8は、例えば、投光系と、検出系と、を含み、投光系から基板6の表面に対して光を投光し、基板6の表面で反射された光を検出系で検出することで、基板6の表面位置を計測する。
第1遮光板15は、投影光学系4の物体面側に配置され、投影光学系4に入射する光の一部(Y方向)を遮蔽する。第2遮光板16は、投影光学系4の像面側に配置され、投影光学系4から射出した光の一部(X方向)を遮蔽する。従って、原版3のパターンからの光のうち、第1遮光板15及び第2遮光板16によって遮蔽されていない光が、投影光学系4を介して基板6に投影される。
制御部9は、例えば、CPUやメモリなどを含むコンピュータ(情報処理装置)で構成される。制御部9は、記憶部などに記憶されたプログラムに従って露光装置100の各部を統括的に制御して露光装置100を動作させる。制御部9は、本実施形態では、原版3のパターンを基板6に転写する露光処理、及び、露光処理に関連する各種処理を制御する。
露光処理において、原版ステージ2と基板ステージ5とは、互いに同期しながら、投影光学系4の投影倍率に応じた速度比でY方向に走査される。これにより、原版3のパターンが基板上のショット領域に転写される。このような走査露光を、基板ステージ5をステップ移動させながら、基板上の複数のショット領域のそれぞれに対して順次行うことによって、1つの基板6に対する露光処理を完了する。
露光装置100に搬入される基板6は、一般的に、熱処理などを経ることで変形しているため、基板上のショット領域内において倍率を含む様々な成分を補正する必要がある。本実施形態では、露光処理において、制御部9の制御下において、投影光学系4を介して基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理、具体的には、原版3のパターンの像の倍率を補正する倍率補正処理が実施される。倍率補正処理は、基板上の各ショット領域の走査露光の間に、第1駆動部102及び第2駆動部142を介して、投影光学系4を構成する第1平行平板10及び第2平行平板14のそれぞれを駆動することで実現される。本実施形態において、第1平行平板10や第2平行平板14は、投影光学系4を介して基板6に投影される原版3のパターンの像を補正するための駆動が可能な光学素子(第1光学素子)として機能する。
以下、制御部9における倍率補正処理として、原版3のパターンの像のX方向の倍率を補正するX倍率補正の一例について説明する。図2は、基板上の1つのショット領域20を示す図である。図2に示すように、ショット領域20には、X方向に5列、Y方向に7行の重ね合わせ検査マークMi-j(i:列番号、j:行番号)が設けられている。
露光処理が実施されて現像された基板6は、重ね合わせ検査装置に搬入される。重ね合わせ検査装置は、基板上のショット領域と原版3のパターンとの重ね合わせ(重ね合わせ精度)を検査するための専用の計測装置であって、本実施形態では、基板上のショット領域20に設けられた重ね合わせ検査マークMi-jを計測する。重ね合わせ検査装置で得られる、各重ね合わせ検査マークMi-jのX方向及びY方向のそれぞれの計測値をdxij及びdyijと表記する。
本実施形態では、基板上のショット領域20の全体に対して、1次の線形X倍率を補正する。ショット領域20の全体の平均X倍率をMXaveとし、ショット領域20においてY方向に沿って線形で変化する1次倍率をMXlinearとする。この場合、ショット領域20に設けられた全ての重ね合わせ検査マークMi-jに対して、以下の式(1)に示すように、補正式を立てることができる。
Xij×MXave+Xij×Yij×MXlinear=dxij ・・・(1)
式(1)において、Xij及びYijのそれぞれは、基板上のショット領域20における重ね合わせ検査マークMi-jのX方向及びY方向の位置(座標)である。
式(1)において、Xij及びYijのそれぞれは、基板上のショット領域20における重ね合わせ検査マークMi-jのX方向及びY方向の位置(座標)である。
5列×7行、即ち、35の重ね合わせ検査マークMi-jのそれぞれの補正式(式(1))からなる連立方程式に対して最適化計算を行うことで、ショット領域20の全体の平均X倍率をMXave及び1次倍率MXlinearを求めることができる。ここでは、最適化計算として、基板上のショット領域20の全ての重ね合わせ検査マークの計測値(全計測点)の誤差の二乗和を最小とする最小二乗法を用いる。
基板上のショット領域20の全体の平均X倍率をMXave及び1次倍率MXlinear(目標補正量)が得られたら、ショット領域内の任意の位置に対応する第2平行平板14の駆動量Dijは、以下の式(2)から求めることができる。
Dij=(Xij×MXave+Xij×Yij×MXlinear)×C ・・・(2)
式(2)において、Cは、一単位(倍率を補正する際の最小単位、例えば、1ppm)のX倍率補正に必要な第2平行平板14の駆動量を示す感度係数である。
式(2)において、Cは、一単位(倍率を補正する際の最小単位、例えば、1ppm)のX倍率補正に必要な第2平行平板14の駆動量を示す感度係数である。
更に、基板上のショット領域20の露光速度(基板上でのスリット光の速度、即ち、投影光学系4に対する基板6の相対速度)をSとすると、X倍率補正における第2平行平板14の駆動速度Vは、以下の式(3)から求めることができる。なお、第2平行平板14の駆動速度Vについては、その許容範囲を超えないように求める必要がある。
V=MXlinear×S ・・・(3)
ここまでは、X倍率補正の一例について説明したが、これに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
ここまでは、X倍率補正の一例について説明したが、これに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、X方向に5点、Y方向に7点の重ね合わせ検査マークを格子状に配置しているが、重ね合わせ検査マークの数や配置は、生産条件などに応じて変更してもよい。
また、本実施形態では、露光処理が実施されて現像された基板6を重ね合わせ検査装置に搬入し、かかる重ね合わせ検査装置で重ね合わせ検査マークを計測する場合について説明した。但し、重ね合わせ検査装置を用いるのに代えて、露光処理を実施する前に、アライメント計測系7でアライメントマーク3a及び6aを計測してもよい。
また、本実施形態では、基板上のショット領域20の全体に対して1次の線形X倍率を補正している。但し、基板上のショット領域20をY方向に複数の領域に分割した上で、各領域に対して1次の線形X倍率を補正してもよい。
更に、本実施形態では、最適化計算は、X倍率のみを対象としているが、露光装置100が有する補正機構(例えば、基板ステージ5や第1平行平板10及び第1駆動部102など)を用いて、他の補正成分の計算式を加えてもよい。
このようにして求められた駆動量Dij及び駆動速度Vに従って、第2駆動部142が第2平行平板14を駆動することで、原版3のパターンの像のX方向の倍率が補正される(X倍率補正が実施される)。但し、投影光学系4を構成する第2平行平板14を駆動する際には、投影光学系4を構成する他の光学素子である第1平行平板10、平面鏡11、凹面鏡12、凸面鏡13、第2平行平板14との共振を回避する必要がある。
そこで、本実施形態では、投影光学系4を構成する光学素子間の共振を回避しながら、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める技術を提供する。かかる技術は、投影光学系4を構成する光学素子間の共振の回避と重ね合わせ精度の向上を両立させるのに有利である。
図3を参照して、本実施形態において、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める手法、即ち、かかる光学素子の駆動量及び駆動速度を決定する決定方法について説明する。
S101では、投影光学系4を構成する光学素子のうち、共振回避の対象となる光学素子の共振しない条件(非共振条件)を求める。本実施形態では、原版3のパターンの像のX方向の倍率を補正する処理において、共振回避の対象を平面鏡11(第2光学素子)とし、駆動対象を第2平行平板14(第1光学素子)とする。また、平面鏡11の共振周波数をF±mとし、第2平行平板14のモータ振動ピッチをPとする。F、m、Pは、全て正数とする。なお、第2平行平板14のモータ振動ピッチPとは、第2駆動部142(の駆動源であるモータ)が第2平行平板14を駆動することで第2平行平板14が1回振動するピッチを意味し、第2駆動部142の振動周波数とみなすことができる。例えば、第2平行平板14のモータ振動ピッチPが4μmである場合、第2駆動部142が第2平行平板14を4μm駆動すると、第2平行平板14が1回振動する。
平面鏡11の共振周波数F±mや第2平行平板14のモータ振動ピッチPは、投影光学系4の全体の設計時において、ある程度選定又は調整することが可能であるが、基本的には、変更することができない。従って、第2駆動部142が、第2平行平板14を、以下の式(4)に示す駆動速度Vで駆動する場合、平面鏡11との共振が発生する。
V=(F±m)×P=U±n ・・・(4)
式(4)において、Uは、共振速度領域の中央値であり、nは、振れ幅であり、U、nは、正数である。
式(4)において、Uは、共振速度領域の中央値であり、nは、振れ幅であり、U、nは、正数である。
第2平行平板14の駆動方向は、基板上のショット領域内における倍率変化の傾向及び走査方向によって変化するため、第2平行平板14の駆動速度は、正負両方の符号となる可能性がある。従って、平面鏡11の実際の共振領域は、図4に示すように、U±nの領域、及び、-U±nの領域の2つの領域(区間)が存在する。換言すれば、平面鏡11(第2光学素子)の共振周波数は、第2平行平板14を駆動可能な駆動速度の範囲内、詳細には、駆動速度の許容範囲内に存在する。このため、平面鏡11が共振しない第2平行平板14の駆動速度(即ち、非共振条件)は、以下の式(5)で示す3つの式で表される領域(速度領域)の集合として特定される。図4は、第2平行平板14の駆動速度に対する平面鏡11の共振領域(駆動速度-共振関係)を示す図である。また、図4は、第2平行平板14(第1光学素子)の駆動速度と、かかる駆動速度で第2平行平板14を駆動したときに生じる振動の周波数との関係に対して平面鏡11の共振周波数を示しているともいえる。
V≦-U-n (領域a)
-U+n≦V≦U-n (領域b)
U+n≦V (領域c)
・・・(5)
S102では、投影光学系4を構成する光学素子のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める(条件なし最適化)。本実施形態では、上述した最適化計算を用いて、駆動対象である第2平行平板14の駆動量Dij及び駆動速度Vを求める。上述したように、第2平行平板14の駆動量Dij及び駆動速度Vのそれぞれは、式(2)及び式(3)で求めることができる。
-U+n≦V≦U-n (領域b)
U+n≦V (領域c)
・・・(5)
S102では、投影光学系4を構成する光学素子のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める(条件なし最適化)。本実施形態では、上述した最適化計算を用いて、駆動対象である第2平行平板14の駆動量Dij及び駆動速度Vを求める。上述したように、第2平行平板14の駆動量Dij及び駆動速度Vのそれぞれは、式(2)及び式(3)で求めることができる。
S103では、投影光学系4を構成する光学素子のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子を駆動することで、共振回避の対象となる光学素子が共振するかどうかを判定する(共振判定を行う)。本実施形態では、S102で求めた第2平行平板14の駆動速度Vを式(5)に当てはめることで共振判定を行う。共振回避の対象となる光学素子が共振しないと判定された場合(即ち、第2平行平板14の駆動速度Vが式(5)のいずれかを満たす場合)には、駆動対象となる光学素子を駆動しても共振が発生するリスクがないため、処理を終了する。一方、共振回避の対象となる光学素子が共振すると判定された場合(即ち、第2平行平板14の駆動速度Vが式(5)のいずれも満たさない場合)には、駆動対象となる光学素子を駆動することで共振が発生するリスクがあるため、S104に移行する。
S104では、S101で求めた非共振条件から、駆動対象となる光学素子の駆動量(及び駆動速度)を求めるための最適化計算に用いる条件(制約条件)として、1つの非共振条件を選択する。例えば、図4に示すように、共振回避の対象となる平面鏡11には、駆動対象となる第2平行平板14の駆動速度Vに対して、平面鏡11が共振しない複数の領域a、b及びc(非共振領域)が存在する。そこで、このような平面鏡11の共振領域を除く複数の非共振領域から、最適化計算の制約条件として、1つの非共振領域を選択する(平面鏡11の複数の非共振領域から1つの非共振領域に絞る)。本実施形態では、S102で求めた第2平行平板14の駆動速度Vに対して、以下の式(6)で示す平面鏡11の複数の非共振領域から1つの非共振領域を選択(選定)する。この際、複数の非共振領域(速度領域)のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像の補正量が目標補正量に最も近づく非共振領域(速度領域)を選択するとよい。具体的には、上述した最適化計算(S102)で求めた第2平行平板14の駆動速度に最も近い非共振領域を選択すればよい。
領域a’:V≦-U
領域c’:U≦V
領域b’:上記以外
・・・(6)
S105では、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式(式(1))、及び、S104で選択した1つの非共振条件に基づいて、駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める(条件付き最適化)。例えば、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式に対して、S104で選択した1つの非共振条件を制約条件として設定して最適化計算を行う。
領域c’:U≦V
領域b’:上記以外
・・・(6)
S105では、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式(式(1))、及び、S104で選択した1つの非共振条件に基づいて、駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める(条件付き最適化)。例えば、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式に対して、S104で選択した1つの非共振条件を制約条件として設定して最適化計算を行う。
本実施形態では、式(1)からなる連立方程式に対して、式(6)に示す非共振領域を制約条件として加える。但し、式(1)における変数が基板上のショット領域内の倍率成分、即ち、平均X倍率MXave及び1次倍率MXlinearであるのに対して、式(6)における変数は、第2平行平板14の駆動速度Vである。従って、式(3)を用いて、以下の式(7)に示すように、変数を倍率成分に変換する必要がある。
MXlinear=V/S ・・・(7)
これにより、式(6)に示す平面鏡11の複数の非共振領域から、領域a’を選択した場合、最適化計算における制約条件は、以下の式(8)で表される。
これにより、式(6)に示す平面鏡11の複数の非共振領域から、領域a’を選択した場合、最適化計算における制約条件は、以下の式(8)で表される。
MXlinear≦-U/S ・・・(8)
このように、平面鏡11の共振回避を考慮しながら第2平行平板14の駆動量及び駆動速度(倍率補正量)を求める問題は、式(8)を制約条件として、式(1)からなる連立方程式を解くという最適化問題(条件付き最適化計算)となる。かかる最適化問題に対して、上述したように、全計測点の誤差の二乗和が最小となるような解を求める場合には、一般的な二次計画法を用いることができる。
このように、平面鏡11の共振回避を考慮しながら第2平行平板14の駆動量及び駆動速度(倍率補正量)を求める問題は、式(8)を制約条件として、式(1)からなる連立方程式を解くという最適化問題(条件付き最適化計算)となる。かかる最適化問題に対して、上述したように、全計測点の誤差の二乗和が最小となるような解を求める場合には、一般的な二次計画法を用いることができる。
本実施形態では、このようにして求められた駆動量及び駆動速度に従って、露光処理(走査露光)において、第2平行平板14を駆動する。これは、図4に示す駆動速度-共振関係に基づいて、第2平行平板14の駆動に起因する平面鏡11の共振が生じないように、原版3のパターンの像を補正する際の第2平行平板14の駆動速度を制御することに相当する。従って、本実施形態によれば、投影光学系4を構成する光学素子間の共振の回避と重ね合わせ精度の向上を両立させることができる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、平面鏡11の共振回避(第2平行平板14の駆動に起因する平面鏡11の共振)を考慮しながら第2平行平板14の駆動量及び駆動速度(倍率補正量)を求める場合について説明した。但し、上述したように、投影光学系4は、平面鏡11や第2平行平板14の他にも複数の光学素子で構成されているため、それらの光学素子間で共振を回避する必要がある。本実施形態では、投影光学系4を構成する光学素子のうちの2つ以上の光学素子、具体的には、平面鏡11及び凹面鏡12を共振回避の対象とする場合(第2平行平板14の駆動に起因する平面鏡11及び凹面鏡12の共振を抑制する場合)について説明する。
第1実施形態では、平面鏡11の共振回避(第2平行平板14の駆動に起因する平面鏡11の共振)を考慮しながら第2平行平板14の駆動量及び駆動速度(倍率補正量)を求める場合について説明した。但し、上述したように、投影光学系4は、平面鏡11や第2平行平板14の他にも複数の光学素子で構成されているため、それらの光学素子間で共振を回避する必要がある。本実施形態では、投影光学系4を構成する光学素子のうちの2つ以上の光学素子、具体的には、平面鏡11及び凹面鏡12を共振回避の対象とする場合(第2平行平板14の駆動に起因する平面鏡11及び凹面鏡12の共振を抑制する場合)について説明する。
本実施形態において、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める手法は、基本的には、図3を参照して説明した第1実施形態と同様である。従って、以下では、本実施形態と第1実施形態との差異について説明する。
S101では、投影光学系4を構成する光学素子のうち、共振回避の対象となる2つの光学素子の共振しない条件(非共振条件)を求める。本実施形態では、平面鏡11及び凹面鏡12(第2光学素子)のそれぞれの共振周波数をF1±m1及びF2±m2(F2>F1)とし、第2平行平板14のモータ振動ピッチをPとする。F1、F2、m1、m2は、全て正数とする。
ここで、第2駆動部142が、第2平行平板14(第1光学素子)を、以下の式(9)に示す駆動速度Vで駆動する場合、平面鏡11又は凹面鏡12との共振が発生する。
V=(F1±m1)×P=U1±n1
V=(F2±m2)×P=U2±n2
・・・(9)
式(9)において、U1及びU2は、それぞれ、平面鏡11及び凹面鏡12に対する共振速度領域の中央値であり、n1及びn2は、それぞれ、平面鏡11及び凹面鏡12に対する振れ幅であり、U1、U2、n1、n2は、正数である。
V=(F2±m2)×P=U2±n2
・・・(9)
式(9)において、U1及びU2は、それぞれ、平面鏡11及び凹面鏡12に対する共振速度領域の中央値であり、n1及びn2は、それぞれ、平面鏡11及び凹面鏡12に対する振れ幅であり、U1、U2、n1、n2は、正数である。
従って、第2平行平板14の駆動速度に対する平面鏡11及び凹面鏡12の実際の共振領域は、図5に示すように、U1±n1の領域、-U1±n1の領域、U2±n2の領域、及び、-U2±n2の4つの領域(区間)が存在する。換言すれば、平面鏡11及び凹面鏡12(第2光学素子)の共振周波数は、第2平行平板14を駆動可能な駆動速度の範囲内、詳細には、駆動速度の許容範囲内に存在する。このため、平面鏡11及び凹面鏡12が共振しない第2平行平板14の駆動速度(即ち、非共振条件)は、以下の式(10)で示す5つの式で表される領域(速度領域)の集合として特定される。図5は、第2平行平板14の駆動速度に対する平面鏡11及び凹面鏡12の共振領域(駆動速度-共振関係)を示す図である。また、図5は、第2平行平板14(第1光学素子)の駆動速度と、かかる駆動速度で第2平行平板14を駆動したときに生じる振動の周波数との関係に対して平面鏡11及び凹面鏡12のそれぞれの共振周波数を示しているともいえる。
V≦-U2-n2 (領域a)
-U2+n2≦V≦-U1-n1 (領域b)
-U1+n1≦V≦U1-n1 (領域c)
U1+n1≦V≦U2-n2 (領域d)
U2+n2≦V (領域e)
・・・(10)
S102では、第1実施形態と同様に、投影光学系4を構成する光学素子のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子(第2平行平板14)の駆動量及び駆動速度を求める。
-U2+n2≦V≦-U1-n1 (領域b)
-U1+n1≦V≦U1-n1 (領域c)
U1+n1≦V≦U2-n2 (領域d)
U2+n2≦V (領域e)
・・・(10)
S102では、第1実施形態と同様に、投影光学系4を構成する光学素子のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子(第2平行平板14)の駆動量及び駆動速度を求める。
S103では、投影光学系4を構成する光学素子のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像を補正する処理で駆動対象となる光学素子を駆動することで、共振回避の対象となる2つの光学素子が共振するかどうかを判定する(共振判定を行う)。本実施形態では、S102で求めた第2平行平板14の駆動速度Vを式(10)に当てはめることで共振判定を行う。共振回避の対象となる光学素子が共振しないと判定された場合(即ち、第2平行平板14の駆動速度Vが式(10)のいずれかを満たす場合)には、駆動対象となる光学素子を駆動しても共振が発生するリスクがないため、処理を終了する。一方、共振回避の対象となる光学素子が共振すると判定された場合(即ち、第2平行平板14の駆動速度Vが式(10)のいずれも満たさない場合)には、駆動対象となる光学素子を駆動することで共振が発生するリスクがあるため、S104に移行する。
S104では、S101で求めた非共振条件から、駆動対象となる光学素子の駆動量(及び駆動速度)を求めるための最適化計算に用いる条件(制約条件)として、1つの非共振条件を選択する。例えば、図5に示すように、共振回避の対象となる平面鏡11及び凹面鏡12には、駆動対象となる第2平行平板14の駆動速度Vに対して、平面鏡11及び凹面鏡12が共振しない複数の領域a、b、c、d及びe(非共振領域)が存在する。そこで、このような平面鏡11及び凹面鏡12の共振領域を除く複数の非共振領域から、最適化計算の制約条件として、1つの非共振領域を選択する(平面鏡11及び凹面鏡12の複数の非共振領域から1つの非共振領域に絞る)。本実施形態では、S102で求めた第2平行平板14の駆動速度Vに対して、以下の式(11)で示す平面鏡11及び凹面鏡12の複数の非共振領域から1つの非共振領域を選択(選定)する。この際、複数の非共振領域(速度領域)のうち、基板6に投影される原版3のパターンの像の補正量が目標補正量に最も近づく非共振領域(速度領域)を選択するとよい。具体的には、上述した最適化計算(S102)で求めた第2平行平板14の駆動速度に最も近い非共振領域を選択すればよい。
領域a’:V≦-U2
領域b’:-U2≦V≦-U1
領域d’:U1≦V≦U2
領域e’:U2≦V
領域c’:上記以外
・・・(11)
S105では、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式(式(1))、及び、S104で選択した1つの非共振条件に基づいて、駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める。例えば、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式に対して、S104で選択した1つの非共振条件を制約条件として設定して最適化計算(条件付き最適化計算)を行う。
領域b’:-U2≦V≦-U1
領域d’:U1≦V≦U2
領域e’:U2≦V
領域c’:上記以外
・・・(11)
S105では、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式(式(1))、及び、S104で選択した1つの非共振条件に基づいて、駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める。例えば、S102で駆動対象となる光学素子の駆動量及び駆動速度を求める際に立てた連立方程式に対して、S104で選択した1つの非共振条件を制約条件として設定して最適化計算(条件付き最適化計算)を行う。
例えば、本実施形態において、式(11)に示す平面鏡11及び凹面鏡12の複数の非共振領域から、領域a’を選択した場合、最適化計算における制約条件は、以下の式(12)で表される。
MXlinear≦-U2/S ・・・(12)
このように、平面鏡11及び凹面鏡12の共振回避を考慮しながら第2平行平板14の駆動量及び駆動速度(倍率補正量)を求める問題は、式(12)を制約条件として、式(1)からなる連立方程式を解くという最適化問題(条件付き最適化計算)となる。かかる最適化問題に対して、上述したように、全計測点の誤差の二乗和が最小となるような解を求める場合には、一般的な二次計画法を用いることができる。
このように、平面鏡11及び凹面鏡12の共振回避を考慮しながら第2平行平板14の駆動量及び駆動速度(倍率補正量)を求める問題は、式(12)を制約条件として、式(1)からなる連立方程式を解くという最適化問題(条件付き最適化計算)となる。かかる最適化問題に対して、上述したように、全計測点の誤差の二乗和が最小となるような解を求める場合には、一般的な二次計画法を用いることができる。
本実施形態では、このようにして求められた駆動量及び駆動速度に従って、露光処理(走査露光)において、第2平行平板14を駆動する。これは、図5に示す駆動速度-共振関係に基づいて、第2平行平板14の駆動に起因する平面鏡11及び凹面鏡12の共振が生じないように、原版3のパターンの像を補正する際の第2平行平板14の駆動速度を制御することに相当する。従って、本実施形態によれば、投影光学系4を構成する光学素子間の共振の回避と重ね合わせ精度の向上を両立させることができる。
第1実施形態及び第2実施形態では、基板6に投影される原版3のパターンの像の補正として倍率を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、基板6に投影される原版3のパターンの像の補正は、像の投影光学系4の光軸に交差する方向(X方向及びY方向の成分)の成分や投影光学系4の光軸に沿った方向(Z方向)の成分の補正を含む。具体的には、基板6に投影される原版3のパターンの像の補正は、像のシフト、回転、倍率、形状、フォーカス及び収差のうちの少なくとも1つの補正を含む。この場合、補正対象となる成分を補正可能な光学素子を駆動可能に構成し、上述したように、かかる光学素子の駆動量及び駆動速度を求めればよい。但し、像のシフトや回転については、原版ステージ2や基板ステージ5を駆動して補正することも可能である。
本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
<第3実施形態>
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、フラットパネルディスプレイ、液晶表示素子、半導体素子、MEMSなどの物品を製造するのに好適である。かかる製造方法は、上述した露光装置100(露光処理)を用いて感光剤が塗布された基板を露光する工程と、露光された感光剤を現像する工程とを含む。また、現像された感光剤のパターンをマスクとして基板に対してエッチング工程やイオン注入工程などを行い、基板上に回路パターンが形成される。これらの露光、現像、エッチングなどの工程を繰り返して、基板上に複数の層からなる回路パターンを形成する。後工程で、回路パターンが形成された基板に対してダイシング(加工)を行い、チップのマウンティング、ボンディング、検査工程を行う。また、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、レジスト剥離など)を含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、フラットパネルディスプレイ、液晶表示素子、半導体素子、MEMSなどの物品を製造するのに好適である。かかる製造方法は、上述した露光装置100(露光処理)を用いて感光剤が塗布された基板を露光する工程と、露光された感光剤を現像する工程とを含む。また、現像された感光剤のパターンをマスクとして基板に対してエッチング工程やイオン注入工程などを行い、基板上に回路パターンが形成される。これらの露光、現像、エッチングなどの工程を繰り返して、基板上に複数の層からなる回路パターンを形成する。後工程で、回路パターンが形成された基板に対してダイシング(加工)を行い、チップのマウンティング、ボンディング、検査工程を行う。また、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、レジスト剥離など)を含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
本明細書の開示は、以下の露光装置、露光方法、物品の製造方法、制御装置、決定方法及びプログラムを含む。
(項目1)
基板を露光する露光装置であって、
前記基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系と、
前記投影光学系を制御する制御部と、を有し、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする露光装置。
基板を露光する露光装置であって、
前記基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系と、
前記投影光学系を制御する制御部と、を有し、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする露光装置。
(項目2)
前記第2光学素子の共振周波数は、前記第1光学素子を駆動可能な駆動速度の範囲内に存在する、ことを特徴とする項目1に記載の露光装置。
前記第2光学素子の共振周波数は、前記第1光学素子を駆動可能な駆動速度の範囲内に存在する、ことを特徴とする項目1に記載の露光装置。
(項目3)
前記制御部は、前記像の補正量が目標補正量となるように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする項目1又は2に記載の露光装置。
前記制御部は、前記像の補正量が目標補正量となるように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする項目1又は2に記載の露光装置。
(項目4)
前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数から前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じない前記第1光学素子の駆動速度の速度領域を特定し、前記速度領域から前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする項目1乃至3のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数から前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じない前記第1光学素子の駆動速度の速度領域を特定し、前記速度領域から前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする項目1乃至3のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
(項目5)
前記制御部は、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じない前記第1光学素子の駆動速度の速度領域として、複数の速度領域を特定した場合、前記複数の速度領域のうちの1つの速度領域から前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする項目4に記載の露光装置。
前記制御部は、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じない前記第1光学素子の駆動速度の速度領域として、複数の速度領域を特定した場合、前記複数の速度領域のうちの1つの速度領域から前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする項目4に記載の露光装置。
(項目6)
前記制御部は、前記複数の速度領域のうち、前記像の補正量が目標補正量に最も近づく速度領域を、前記1つの速度領域として選択する、ことを特徴とする項目6に記載の露光装置。
前記制御部は、前記複数の速度領域のうち、前記像の補正量が目標補正量に最も近づく速度領域を、前記1つの速度領域として選択する、ことを特徴とする項目6に記載の露光装置。
(項目7)
前記第1光学素子は、前記像の前記投影光学系の光軸に交差する方向の成分、又は、前記像の前記投影光学系の光軸に沿った方向の成分を補正するための光学素子である、ことを特徴とする項目1乃至6のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
前記第1光学素子は、前記像の前記投影光学系の光軸に交差する方向の成分、又は、前記像の前記投影光学系の光軸に沿った方向の成分を補正するための光学素子である、ことを特徴とする項目1乃至6のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
(項目8)
前記第1光学素子は、前記像の倍率、形状、フォーカス及び収差のうちの少なくとも1つを補正するための光学素子である、ことを特徴とする項目1乃至6のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
前記第1光学素子は、前記像の倍率、形状、フォーカス及び収差のうちの少なくとも1つを補正するための光学素子である、ことを特徴とする項目1乃至6のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
(項目9)
前記第2光学素子は、2つ以上の光学素子を含む、ことを特徴とする項目1乃至8のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
前記第2光学素子は、2つ以上の光学素子を含む、ことを特徴とする項目1乃至8のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
(項目10)
基板を露光する露光方法であって、
投影光学系を介して、前記基板に原版のパターンの像を投影する工程を有し、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記工程では、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする露光方法。
基板を露光する露光方法であって、
投影光学系を介して、前記基板に原版のパターンの像を投影する工程を有し、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記工程では、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする露光方法。
(項目11)
項目10に記載の露光方法を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
項目10に記載の露光方法を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
(項目12)
基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系を制御する制御装置であって、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記制御装置は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする制御装置。
基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系を制御する制御装置であって、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記制御装置は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする制御装置。
(項目13)
基板に原版のパターンの像を投影し、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含む投影光学系において、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する決定方法であって、
前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする決定方法。
基板に原版のパターンの像を投影し、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含む投影光学系において、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する決定方法であって、
前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする決定方法。
(項目14)
項目13に記載の決定方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
項目13に記載の決定方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
3:原版 4:投影光学系 6:基板 9:制御部 10:第1平行平板 11:平面鏡 12:凹面鏡 13:凸面鏡 14:第2平行平板 100:露光装置 102:第1駆動部 142:第2駆動部
Claims (14)
- 基板を露光する露光装置であって、
前記基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系と、
前記投影光学系を制御する制御部と、を有し、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする露光装置。 - 前記第2光学素子の共振周波数は、前記第1光学素子を駆動可能な駆動速度の範囲内に存在する、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記制御部は、前記像の補正量が目標補正量となるように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記制御部は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数から前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じない前記第1光学素子の駆動速度の速度領域を特定し、前記速度領域から前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記制御部は、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じない前記第1光学素子の駆動速度の速度領域として、複数の速度領域を特定した場合、前記複数の速度領域のうちの1つの速度領域から前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記制御部は、前記複数の速度領域のうち、前記像の補正量が目標補正量に最も近づく速度領域を、前記1つの速度領域として選択する、ことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
- 前記第1光学素子は、前記像の前記投影光学系の光軸に交差する方向の成分、又は、前記像の前記投影光学系の光軸に沿った方向の成分を補正するための光学素子である、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記第1光学素子は、前記像の倍率、形状、フォーカス及び収差のうちの少なくとも1つを補正するための光学素子である、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記第2光学素子は、2つ以上の光学素子を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 基板を露光する露光方法であって、
投影光学系を介して、前記基板に原版のパターンの像を投影する工程を有し、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記工程では、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする露光方法。 - 請求項10に記載の露光方法を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。 - 基板に原版のパターンの像を投影する投影光学系を制御する制御装置であって、
前記投影光学系は、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含み、
前記制御装置は、前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を制御する、ことを特徴とする制御装置。 - 基板に原版のパターンの像を投影し、前記像を補正するための駆動が可能な第1光学素子と、前記第1光学素子とは異なる第2光学素子と、を含む投影光学系において、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する決定方法であって、
前記第1光学素子の駆動速度と当該駆動速度で前記第1光学素子を駆動したときに生じる振動の周波数との関係、及び、前記第2光学素子の共振周波数に基づいて、前記第1光学素子の駆動に起因する前記第2光学素子の共振が生じないように、前記像を補正する際の前記第1光学素子の駆動速度を決定する、ことを特徴とする決定方法。 - 請求項13に記載の決定方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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JP2022173656A JP2024064791A (ja) | 2022-10-28 | 2022-10-28 | 露光装置、露光方法、物品の製造方法、制御装置、決定方法及びプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2024064791A true JP2024064791A (ja) | 2024-05-14 |
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JP2022173656A Pending JP2024064791A (ja) | 2022-10-28 | 2022-10-28 | 露光装置、露光方法、物品の製造方法、制御装置、決定方法及びプログラム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2024064791A (ja) |
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2022
- 2022-10-28 JP JP2022173656A patent/JP2024064791A/ja active Pending
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