JP2024064238A - 配線基板の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Keiji Kuroda
春樹 近藤
Haruki Kondo
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Abstract

【課題】形成された金属皮膜の酸化を抑えることができる配線基板の製造装置及び製造方法を提供する。【解決手段】配線基板の製造装置20は、陽極21と、陽極21とシード層付き基材10との間に配置された固体電解質膜22と、固体電解質膜22と対向するとともにシード層付き基材10を載置する基材載置エリア27を有する載置台26と、載置台26側に開口した開口部23cが固体電解質膜22に塞がれ、陽極21及びめっき液Sを収容する収容体23とを備える。載置台26の基材載置エリア27の外側には、形成された金属皮膜と該金属皮膜に隣接するシード層付き基材10の表面の一部とを覆う液膜15を、シード層付き基材10の表面に形成するためのノズル34が複数設けられている。載置されるシード層付き基材10の周縁部には、液膜15を堰き止める環状の堰き止め部16が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、配線基板の製造装置及び製造方法に関し、特に固相電析法を用いた配線基板の製造装置及び製造方法に関する。
固相電析法は、金属イオンが含まれるめっき液と接触した固体電解質膜でワークを加圧した状態で、陽極と陰極であるワークとの間に電圧を印加し、固体電解質膜に含まれる金属イオンに由来した金属皮膜をワークの表面に成膜する方法である。この固相電析法を用いた配線基板の製造方法として、例えば下記特許文献1に記載のように、配線パターンに対応する金属皮膜形成エリアに金属皮膜を成膜することにより配線層を形成することが知られている。
特開2021-048210号公報
上述した配線基板の製造方法では、金属皮膜が形成された後、配線基板に残っためっき液を洗浄するために、配線基板を洗浄工程まで搬送する。しかし、配線基板を洗浄工程に搬送する間に、残っためっき液が、形成された金属皮膜の表面に乗った状態であるので、空気中の酸素がこのめっき液に拡散したり、溶解したりする。これに起因し、形成された金属皮膜が酸化して変色する可能性がある。
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、形成された金属皮膜の酸化を抑えることができる配線基板の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る配線基板の製造装置は、固相電析法で基材の表面に金属皮膜を形成することにより配線基板を製造する配線基板の製造装置であって、陽極と、前記陽極と陰極である前記基材との間に配置された固体電解質膜と、前記固体電解質膜と対向するように配置されるとともに、前記基材を載置する基材載置エリアを有する載置台と、前記載置台側に開口した開口部が前記固体電解質膜に塞がれ、前記陽極及びめっき液を収容する収容体と、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源部と、を備え、前記載置台の前記基材載置エリアの外側には、形成された前記金属皮膜と該金属皮膜に隣接する前記基材の表面の一部とを覆う液膜を前記基材の表面に形成するためのノズルが設けられ、前記載置台の前記基材載置エリアの外側であって前記ノズルよりも前記基材寄り側、又は、載置される前記基材の周縁部には、前記液膜を堰き止める環状の堰き止め部が設けられていることを特徴とする。
本発明に係る配線基板の製造装置によれば、載置台の基材載置エリアの外側には、形成された金属皮膜と該金属皮膜に隣接する基材の表面の一部とを覆う液膜を基材の表面に形成するためのノズルが設けられているので、該ノズルを利用し、形成された金属皮膜を覆う液膜を形成することによって、形成された金属皮膜の全体が液膜に覆われる状態になる。このため、成膜後の基材を洗浄するまでの間に、形成された金属皮膜はこの液膜に覆われるので、形成された金属皮膜の酸化を抑えることができる。また、載置台の基材載置エリアの外側であってノズルよりも基材寄り側、又は、載置される基材の周縁部には、液膜を堰き止める環状の堰き止め部が設けられているので、該堰き止め部で液膜の溶液の流出を阻止し、液膜の形状を維持することができる。これによって、形成された金属皮膜の酸化を確実に抑えることができる。
本発明に係る配線基板の製造装置において、前記ノズルは、前記載置台の前記基材載置エリアを取り囲むように複数設けられ、各ノズルは、前記基材載置エリアの中央に向かって傾斜していることが好ましい。このようにすれば、基材載置エリアを取り囲むように設けられた複数のノズルを利用して基材に溶液を供給し液膜を形成することで、例えばノズルが一方向のみから溶液を基材に供給する場合と比べて、液膜を形成するまでの時間を短縮できるとともに、供給される溶液の圧力を小さくできるので、形成された金属皮膜へのダメージを低減することができる。また、各ノズルは基材載置エリアの中央に向かって傾斜しているので、ノズルから供給される溶液が固体電解質膜に直接当たることを防止し、固体電解質膜へのダメージを抑制することができる。
また、本発明に係る配線基板の製造方法は、固相電析法で基材の表面に金属皮膜を形成することにより配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、固体電解質膜で収容体の開口部を塞いだ状態で、前記固体電解質膜を該固体電解質膜と対向する載置台に載置された前記基材に接触させた後、前記収容体にめっき液を供給し、前記めっき液と接触した前記固体電解質膜で前記基材を加圧する加圧工程と、前記基材を加圧した状態で、電圧印加により前記固体電解質膜に含まれる金属イオンに由来した金属皮膜を前記基材の表面に成膜する成膜工程と、前記めっき液を前記収容体から排出した後、前記固体電解質膜を前記基材から離間させる離間工程と、形成された前記金属皮膜と該金属皮膜に隣接する前記基材の表面の一部とを覆う液膜を前記基材の表面に形成する液膜形成工程と、前記液膜が形成された前記基材を前記載置台から取り外し、洗浄する洗浄工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る配線基板の製造方法によれば、成膜後、固体電解質膜を基材から離間させ、形成された金属皮膜と該金属皮膜に隣接する基材の表面の一部とを覆う液膜を基材の表面に形成するので、形成された金属皮膜の全体が液膜に覆われる状態になる。従って、成膜後の基材を洗浄するまでの間に、形成された金属皮膜はこの液膜に覆われるので、形成された金属皮膜の酸化を抑えることができる。
本発明によれば、形成された金属皮膜の酸化を抑えることができる。
実施形態に係る配線基板の製造装置の構造を示す断面図である。 載置台及び載置されたシード層付き基材を示す概略平面図である。 液膜の形成を説明するための断面図である。 配線基板の構造を示す断面図である。 実施形態に係る配線基板の製造方法を説明するためのフロー図である。
以下、図面を参照して本発明に係る配線基板の製造装置及び製造方法の実施形態について説明する。それらを説明する前に、配線基板1の構造を簡単に説明する。
図4に示すように、配線基板1は、例えば絶縁基板11と、絶縁基板11の表面に設けられた所定の配線パターンの配線層2とを備えている。配線層2は、絶縁基板11の表面に形成されるとともに導電性を有する下地層12と、下地層12の表面に形成された金属シード層13と、金属シード層13の表面に形成された金属層14とを有する。なお、配線層2は、この内容に限らず、例えば下地層12と金属シード層13との間に形成された拡散層を更に有してもよい。
[配線基板の製造装置]
図1に示すように、配線基板の製造装置20は、成膜装置ともいい、固相電析法を利用し、配線パターンに対応する金属皮膜形成エリアに金属皮膜を成膜することにより金属層14を形成するめっき装置である。配線基板の製造装置20は、金属製の陽極21と、陽極21と陰極であるシード層付き基材10(後述する)との間に配置された固体電解質膜22と、陽極21及びめっき液Sを収容する収容体23と、陽極21とシード層付き基材10の下地層12との間に電圧を印加する電源部24と、を備えている。下地層12および金属シード層13は導通しているため、陽極21と下地層12との間に電圧を印加すると、成膜時に陽極21と金属シード層13との間に電流が流れる。
陽極21は、板状を呈し、固体電解質膜22と対向して配置されるとともに収容体23の天板部に埋め込まれている。この陽極21は、金属層14と同じ材料(例えばCu)からなる可溶性の陽極、または、めっき液Sに対して不溶性を有した材料(例えばTi)からなる陽極のいずれであってもよい。
収容体23は、めっき液Sに対して不溶性の材料からなり、その内部にめっき液Sを収容する空間を有するように形成されている。収容体23は、底部に形成された開口部23cを有する。開口部23cは、収容体23の下方に開口し、固体電解質膜22に塞がれている。収容体23において、陽極21と固体電解質膜22との間には、めっき液Sを収容する上述の空間が形成されている。
また、収容体23には、めっき液Sが供給される供給口23aと、めっき液Sが排出される排出口23bとが設けられている。供給口23aおよび排出口23bは、配管を介してタンク31に接続されている。タンク31からポンプ32によって送り出されためっき液Sは、供給口23aから収容体23に流入し、排出口23bから排出されてタンク31に戻る。排出口23bの下流側には圧力調整弁33が設けられており、圧力調整弁33およびポンプ32により収容体23内のめっき液Sを所定の圧力で加圧することが可能である。
固体電解質膜22は、多孔質膜又は多孔質樹脂膜ともいい、一定の可撓性を有する樹脂膜により形成されている。この固体電解質膜22は、めっき液Sに接触させることにより、めっき液Sに含まれた金属イオンをその内部に含浸(含有)する。そして、電圧が印加されたとき、陰極である金属シード層13の表面に金属イオン由来の金属を析出する。固体電解質膜22の厚みは、例えば、約5μm~約200μmである。
めっき液Sに接触させることにより、金属イオンを内部に含浸することができ、電圧を印加したときに陰極(金属シード層13)の表面において金属イオン由来の金属を析出可能であれば、固体電解質膜22は特に限定されない。固体電解質膜22の材料としては、例えばデュポン社製のナフィオン(登録商標)等のフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD、CMFシリーズ)等の陽イオン交換機能を有した樹脂を挙げることができる。
めっき液Sは、金属層14の金属をイオンの状態で含有する液であり、その金属に、Cu、Ni、Ag、またはAu等を挙げることができ、めっき液Sは、これらの金属を、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸、またはピロリン酸等の酸で溶解(イオン化)したものである。
さらに、本実施形態の配線基板の製造装置20は、収容体23の上部に配置されて収容体23を昇降させる昇降装置25を備えている。昇降装置25は、収容体23を昇降させることができるものであればよく、例えば、油圧式または空圧式のシリンダ、電動式のアクチュエータ、リニアガイドおよびモータ等によって構成可能である。
さらに、配線基板の製造装置20は、シード層付き基材10を載置する載置台26を備えている。載置台26は、導電性を有する材料からなり、載置されるシード層付き基材10が固体電解質膜22と対向するように、収容体23の下方に配置されている。載置台26は、電源部24の負極に電気的に接続されている(導通している)。電源部24の正極は、収容体23に内蔵された陽極21に電気的に接続されている(導通している)。
図1及び図2に示すように、載置台26の中央には、シード層付き基材10を載置するための基材載置エリア27が設けられている。基材載置エリア27は、シード層付き基材10を嵌め込み可能な直方体状の凹部からなり、例えば配置された状態のシード層付き基材10の下地層12の表面と載置台26の表面26aとが面一になる深さを有する。
また、載置台26の基材載置エリア27の外側には、複数(ここでは、32個)のノズル34が設けられている。これらのノズル34は、基材載置エリア27を取り囲むように、基材載置エリア27の四周に沿って8つずつ配置されている(図2参照)。ノズル34は、シード層付き基材10に形成された金属皮膜と、該金属皮膜に隣接するシード層付き基材10の表面(より具体的には、シード層付き基材10の下地層12の表面)の一部とを覆う液膜15をシード層付き基材10の下地層12の表面に形成するために設けられるものである。そして、各ノズル34は、基材載置エリア27の中央に向かって傾斜するように配置されている。より具体的には、ノズル34は、ノズル34から噴射される溶液が固体電解質膜22に直接当たらないように、基材載置エリア27の中央に向かって傾斜している。
また、固体電解質膜22とシード層付き基材10との接触に影響を与えないように、各ノズル34は載置台26の表面26aから突出しないように載置台26に埋設されている。なお、各ノズル34は、それぞれ配管を介してタンク35に接続されている。配管には、送液ポンプ36が配置されている。形成された金属皮膜へのダメージを抑制するために、送液ポンプ36の回転数を調整可能とされている。すなわち、送液ポンプ36の回転数を調整することで、ノズル34から噴射される溶液の圧力を制御し、噴射される溶液による金属皮膜へのダメージを低減することが可能である。なお、ここでは、配管に圧力調整弁を更に配置してもよい。また、ノズル34から噴射される溶液としては、純水又はめっき液Sを用いることができる。
図示しないが、載置台26には、該載置台26とシード層付き基材10とを導通する導電部材が更に設けられている。導電部材は、例えば金属板を断面Z字状に折り曲げることにより形成されている。導電部材の一端部は載置台26と接触し、他端部はシード層付き基材10の上面(すなわち、下地層12の上面)と接触している。これにより、載置台26は、該導電部材を介して下地層12と導通する。なお、導電部材は、シード層付き基材10に対して脱着可能となっている。
また、シード層付き基材10の周縁部には、取り外し可能な堰き止め部16が設けられている。堰き止め部16は、例えばマスキングテープ、レジスト材料、又は耐めっき性を有する樹脂材料などによって、環状に形成されている。堰き止め部16の高さは、例えば下地層12の表面を基準にして5μm~100μmである。
そして、取り外し可能な堰き止め部16を用いる場合、例えばシード層付き基材10を載置台26に載置した後、形成しようとする液膜15を囲むように、下地層12の周縁部にマスキングテープを貼り付けることにより環状の堰き止め部16を形成する。液膜15を形成する際に、ノズル34で堰き止め部16の内側に溶液を噴射し、該堰き止め部16に囲まれた領域に充満するように液膜15の形成を行う。そして、成膜後のシード層付き基材10を洗浄した後に、マスキングテープをはがすことにより堰き止め部16を取り外す。
なお、堰き止め部16は、必ずしもシード層付き基材10の周縁部に設けられる必要はなく、例えば載置台26の基材載置エリア27の外側であってノズル34よりもシード層付き基材10寄り側に設けられてもよい。この場合、堰き止め部16は取り外し可能でなくてもよい。
以上のように構成された配線基板の製造装置20によれば、載置台26の基材載置エリア27の外側には、形成された金属皮膜を覆う液膜15をシード層付き基材10の表面に形成するためのノズル34が設けられているので、該ノズル34を利用し、形成された金属皮膜と、該金属皮膜に隣接するシード層付き基材10の下地層12の表面の一部とを覆う液膜15を形成することで、形成された金属皮膜の全体が液膜15に覆われる状態になる。このため、成膜後のシード層付き基材10を洗浄するまでの間に、形成された金属皮膜はこの液膜15に覆われるので、形成された金属皮膜の酸化を抑えることができる。
また、ノズル34は載置台26の基材載置エリア27を取り囲むように複数設けられているので、これらのノズルを利用してシード層付き基材10に溶液を噴射し液膜15を形成することで、例えばノズルが一方向のみから溶液を噴射する場合と比べて、液膜を形成するまでの時間を短縮できるとともに、噴射される溶液の圧力を小さくできるので、形成された金属皮膜へのダメージを低減することができる。
更に、各ノズル34は、基材載置エリア27の中央に向かって傾斜しているので、ノズル34から噴射される溶液が固体電解質膜22に直接当たることを防止し、固体電解質膜22へのダメージを抑制することができる。すなわち、噴射される溶液に起因する固体電解質膜22への負荷を抑えることができる。
更に、載置台26に載置されるシード層付き基材10の周縁部には、液膜15を堰き止める環状の堰き止め部16が設けられているので、該堰き止め部16で液膜15の溶液の流出を阻止し、液膜15の形状を維持することができる。その結果、形成された金属皮膜の酸化を確実に抑えることができる。
[配線基板の製造方法]
以下、本実施形態に係る配線基板の製造方法を説明する。図5に示すように、本実施形態に係る配線基板の製造方法は、準備工程S1、加圧工程S2、成膜工程S3、離間工程S4、液膜形成工程S5、洗浄工程S6、及び配線層形成工程S7を含む。
まず、準備工程S1では、絶縁基板11の表面に導電性を有する下地層12と所定の配線パターンに応じた金属シード層13とを順次に形成し、シード層付き基材10を準備する。絶縁基板11の表面に下地層12及び金属シード層13を順次に形成する方法として、周知された技術(例えば上記特許文献1に開示された技術)を用いることができる。ここでは、その詳細な説明を省略する。
絶縁基板11としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、例えばガラスエポキシ樹脂からなる基板、焼成したガラスエポキシ樹脂からなる基板、ポリイミド樹脂等の可撓性を有するフィルム状の基板、またはガラスからなる基板等を用いることが好ましい。
下地層12は、金属層14の形成の際に、金属シード層13に電流を通電するための層である。図1に示すように、シード層付き基材10では、下地層12は絶縁基板11の表面全体にわたって形成されている。下地層12は、酸化物を含む層である。酸化物は、下地層12を構成する金属に由来した酸化物であってもよく、下地層12の本体に付着させた酸化物であってもよい。この酸化物により、後の成膜工程S3では、下地層12の露出部分12aの表面(言い換えれば、下地層12の表面のうち、金属シード層13が形成されていない部分)に、固体電解質膜22が接触しても、金属層14に由来の金属が析出することを抑えることができ、金属シード層13に選択的にその金属を析出させることができる。
金属シード層13は、配線基板1の配線パターンに対応するように形成されており、例えば独立した複数の配線パターンを有するように形成されている。シード層付き基材10において、独立した配線パターンは、下地層12を介して互いに導通しているため、後述する成膜工程S3において配線パターンごとに電圧を印加するための引出し線を形成する必要がなく、各配線パターンに同時に金属層14を形成することができる。なお、金属シード層13としては、例えば銀、銅、金、パラジウムおよび白金からなる群より選択される少なくとも1つである。
このような構造を有するシード層付き基材10では、複数の配線パターンを有する金属シード層13の表面は、後の成膜工程S3で金属皮膜が形成されるエリアになり、すなわち、シード層付き基材10の金属皮膜形成エリアである。金属シード層13の表面を除く他の部分(例えば、下地層12の露出部分12aの表面)は、シード層付き基材10の非金属皮膜形成エリアである。
準備工程S1に続く加圧工程S2では、めっき液Sと接触した固体電解質膜22をシード層付き基材10に加圧する。具体的には、まず、載置台26の基材載置エリア27にシード層付き基材10を載置し、上述の導電部材で載置台26とシード層付き基材10の下地層12の上面とを電気的に接続させる。続いて、形成しようとする液膜15を囲むように、シード層付き基材10の下地層12の周縁部に、例えばマスキングテープを貼り付けることにより環状の堰き止め部16を形成する。
続いて、固体電解質膜22で収容体23の底部に形成された開口部23cを塞ぐように、固体電解質膜22を収容体23の下端に取り付ける。続いて、固体電解質膜22で収容体23の開口部23cを塞いだ状態で、昇降装置25により収容体23を下降させ、固体電解質膜22をシード層付き基材10の金属シード層13の表面と、下地層12の露出部分12aの表面と接触させる。
続いて、ポンプ32を駆動してタンク31に貯留されためっき液Sを収容体23に供給する。これによって、タンク31に貯留されためっき液Sは、供給口23aから収容体23の内部に流れる。そして、めっき液Sの液圧によって、固体電解質膜22は金属シード層13の表面と、下地層12の露出部分12aの表面とを均一に加圧することができる。加圧する圧力は、例えば圧力調整弁33を用いて調整することができる。
加圧工程S2に続く成膜工程S3では、固体電解質膜22でシード層付き基材10を加圧した状態で、電圧印加によりシード層付き基材10の金属皮膜形成エリアに金属皮膜を成膜する。具体的には、電源部24を用いて陽極21と下地層12との間に電圧を印加し、固体電解質膜22に含有した金属イオンを還元することで、金属シード層13の表面(すなわち、金属皮膜形成エリア)に該金属イオンに由来した金属が析出する。さらに、電圧の印加により、収容体23内のめっき液Sの金属イオンは陰極で還元され続けるので、金属シード層13の表面に金属皮膜が形成される。形成された金属皮膜は、上述の金属層14になる(図3参照)。
ここで、下地層12が、その露出部分12aの表面(すなわち、非金属皮膜形成エリア)に、上述したように、自然酸化膜または表面処理により形成された酸化膜のような酸化物を含む場合、露出部分12aの表面の絶縁性が高まる。そのため、固体電解質膜22が金属シード層13の表面と下地層12の露出部分12aの表面とに密着している状態では、金属シード層13の表面のみに電流が流れる。これにより、金属シード層13の表面では、固体電解質膜22に含有した金属イオン(例えば、Cuイオン)が還元され、金属(例えば、Cu)が析出する。この結果、下地層12の露出部分12aの表面への金属析出を防止して、金属シード層13の表面に選択的に金属層14が形成される。なお、金属シード層13のみに固体電解質膜22が接触してもよい。この場合は、下地層12の露出部分12aの表面には金属は析出せず、金属シード層13の表面のみに金属層14が形成される。
成膜工程S3に続く離間工程S4では、固体電解質膜22を成膜後のシード層付き基材10から離間させる。具体的には、金属層14が所定の厚さに形成されると、陽極21と下地層12との間の電圧印加を終了する。続いて、例えば収容体23の内部に圧縮空気を供給し、該圧縮空気を利用して収容体23の内部のめっき液Sを排出口23bから排出する。排出されためっき液Sはタンク31に戻される。続いて、昇降装置25で収容体23を所定の高さまで上昇させて、固体電解質膜22を、金属皮膜(すなわち、金属層14)が形成されたシード層付き基材10から離間させる。
離間工程S4に続く液膜形成工程S5では、形成された金属皮膜と該金属皮膜に隣接するシード層付き基材10の下地層12の表面の一部とを覆う液膜15を、成膜後のシード層付き基材10の表面に形成する。具体的には、送液ポンプ36を駆動してタンク35に貯留された純水をノズル34に供給する。これによって、図3に示すように、タンク35に貯留された純水は、ノズル34から成膜後のシード層付き基材10の表面に噴射され、金属層14と該金属層14に隣接する下地層12の表面の一部(例えば、露出部分12aの表面の一部)とを覆う液膜15を形成する。なお、金属層14を覆うというのは、金属層14の表面のみならず、金属層14の全側面も液膜15で覆う意味である。そして、金属層14は金属シード層13の表面に形成されたため、金属シード層13の全側面も液膜15に覆われることになる。
これによって、金属層14全体だけではなく、金属層14に隣接する下地層12の露出部分12aの表面の一部にも、液膜15が形成される(図3参照)。そして、液膜15は、1つの連続したものである。また、液膜15の形状を維持するために、シード層付き基材10の周縁部に設けられた環状の堰き止め部16の内側に、液膜15を形成する。例えば堰き止め部16の内側に、該堰き止め部16に囲まれた領域に充満するように液膜15を形成する。
液膜15の厚みは、以下の理由で、下地層12の表面を基準にし、5μm~形成される金属皮膜の最大厚みの範囲であることが好ましい。すなわち、液膜15が5μmよりも薄くなると、洗浄までの間に乾燥によって、形成された金属皮膜が酸化する可能性がある。一方、形成される金属皮膜の最大厚みを超えると、成膜後のめっき液の濃度が低下するので、めっき液の再利用ができなくなり、希釈廃液の量が増加してしまう。
液膜形成工程S5に続く洗浄工程S6では、液膜15が形成されたシード層付き基材10を載置台26から取り外し、水洗槽まで搬送し、水洗槽に入れて洗浄する。洗浄後、金属層14が形成されたシード層付き基材10を乾燥し、マスキングテープをはがすことにより堰き止め部16を取り外す。なお、堰き止め部16の取り外しは、水洗槽に入れる前に行われてもよい。
洗浄工程S6に続く配線層形成工程S7では、金属シード層13から露出した下地層12の露出部分12aを除去することにより、絶縁基板11の表面に配線層2を形成する。下地層12を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えばプラズマエッチング法、スパッタリング法、化学エッチング法等を用いることができる。
下地層12の露出部分12aを除去することにより、図4に示すように、絶縁基板11の表面に、下地層12のうち露出部分12a以外の部分と、金属シード層13と、金属層14とをこの順で含む配線層2が形成される。これによって、配線基板1が製造される。
本実施形態に係る配線基板の製造方法では、固体電解質膜22を成膜後のシード層付き基材10から離間させ、形成された金属皮膜(すなわち、金属層14)と該金属皮膜に隣接する下地層12の表面の一部とを覆う液膜15をシード層付き基材10の表面に形成するので、形成された金属皮膜の全体が液膜15に覆われる状態になる。従って、成膜後のシード層付き基材10を洗浄するまでの間に、形成された金属皮膜はこの液膜15に覆われるので、形成された金属皮膜の酸化を抑えることができる。
液膜15のうち、金属皮膜の縁部に対応する部分は比較的に薄いため、該縁部で酸化反応が比較的に起きやすい。そして、形成された金属皮膜と該金属皮膜に隣接する下地層12の表面の一部とを覆うように、連続した液膜15をシード層付き基材10の表面に形成することで、金属皮膜の縁部に対応する液膜の部分を厚くすることができるので、金属皮膜の縁部の酸化を確実に防止することができる。
以下、実施例を挙げて本実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
実施例および比較例では、まず、厚み3mmのCu基板を準備し、同じ条件で前処理を行った。Cu基板上の金属皮膜エリアをともに2cm×1cm、すなわち、Cu基板上の成膜面積をともに2cmとした。次に、Cu基板に対し、アルカリ性電解洗浄液(株式会社JCU製、商品名IC-200RM)を用いた陰極電解脱脂を55℃、1minの条件で処理した後、純水を用いて1min洗浄した。続いて、Cu基板に対し、さらに室温で希硫酸(濃度10%)に1min浸漬した後、純水を用いて1min洗浄した。
続いて、Cu基板に対し、固相電析法で厚み10μmの金属皮膜を成膜した。その際、陽極には無酸素銅板、めっき液には1mol/L硫酸銅と0.2mol/L硫酸を含む溶液をそれぞれ用いた。また、陽極と陰極(すなわち、Cu基板)との電極間距離は2mm、成膜温度は42℃、電流は100mA、加圧1kNであった。
続いて、固体電解質膜をCu基板から離間させた後、純水噴霧で成膜後のCu基板の表面に、金属皮膜と該金属皮膜に隣接するCu基板の表面の一部とを覆うように連続した液膜を形成したものを作製し、それを実施例のサンプルとした。また、液膜を形成しないものを比較例のサンプルとした。
続いて、実施例のサンプル及び比較例のサンプルをともに30sec放置した。その後、実施例のサンプル及び比較例のサンプルをそれぞれ純水で洗浄し、洗浄後に変色しないように直ちにエアブローで乾燥した。その後、実施例のサンプル及び比較例のサンプルに対し、変色有無(言い換えれば、酸化の有無)をそれぞれ確認した。
その結果として、実施例のサンプルの場合、形成された金属皮膜の変色はなかった。それに対し、比較例のサンプル場合、形成された金属皮膜に変色があった。これによって、形成された金属皮膜と該金属皮膜に隣接する基材の表面の一部とを覆う液膜を形成することで、形成された金属皮膜の酸化を防止できることが示された。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1:配線基板、10:シード層付き基材、11:絶縁基板、12:下地層、12a:露出部分、13:金属シード層、14:金属層、15:液膜、16:堰き止め部、20:配線基板の製造装置、21:陽極、22:固体電解質膜、23:収容体、23a:供給口、23b:排出口、23c:開口部、24:電源部、25:昇降装置、26:載置台、26a:表面、27:基材載置エリア、31:タンク、32:ポンプ、33:圧力調整弁、34:ノズル、35:タンク、36:送液ポンプ

Claims (3)

  1. 固相電析法で基材の表面に金属皮膜を形成することにより配線基板を製造する配線基板の製造装置であって、
    陽極と、
    前記陽極と陰極である前記基材との間に配置された固体電解質膜と、
    前記固体電解質膜と対向するように配置されるとともに、前記基材を載置する基材載置エリアを有する載置台と、
    前記載置台側に開口した開口部が前記固体電解質膜に塞がれ、前記陽極及びめっき液を収容する収容体と、
    前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源部と、
    を備え、
    前記載置台の前記基材載置エリアの外側には、形成された前記金属皮膜と該金属皮膜に隣接する前記基材の表面の一部とを覆う液膜を前記基材の表面に形成するためのノズルが設けられ、
    前記載置台の前記基材載置エリアの外側であって前記ノズルよりも前記基材寄り側、又は、載置される前記基材の周縁部には、前記液膜を堰き止める環状の堰き止め部が設けられていることを特徴とする配線基板の製造装置。
  2. 前記ノズルは、前記載置台の前記基材載置エリアを取り囲むように複数設けられ、
    各ノズルは、前記基材載置エリアの中央に向かって傾斜している請求項1に記載の配線基板の製造装置。
  3. 固相電析法で基材の表面に金属皮膜を形成することにより配線基板を製造する配線基板の製造方法であって、
    固体電解質膜で収容体の開口部を塞いだ状態で、前記固体電解質膜を該固体電解質膜と対向する載置台に載置された前記基材に接触させた後、前記収容体にめっき液を供給し、前記めっき液と接触した前記固体電解質膜で前記基材を加圧する加圧工程と、
    前記基材を加圧した状態で、電圧印加により前記固体電解質膜に含まれる金属イオンに由来した金属皮膜を前記基材の表面に成膜する成膜工程と、
    前記めっき液を前記収容体から排出した後、前記固体電解質膜を前記基材から離間させる離間工程と、
    形成された前記金属皮膜と該金属皮膜に隣接する前記基材の表面の一部とを覆う液膜を前記基材の表面に形成する液膜形成工程と、
    前記液膜が形成された前記基材を前記載置台から取り外し、洗浄する洗浄工程と、
    を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
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