JP2024063978A - 画像検査システム - Google Patents

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Abstract

【課題】媒体の種類またはトナーの構成に応じて、パッチの生成方法、パッチの読取方法、または、画像の補正方法の少なくとも1つを変更する。【解決手段】画像検査システム500A,500Bは、パッチが形成された媒体を読取部560で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部520による画像形成を制御する制御部510と、画像形成部520により媒体に形成される画像に基づいて、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更する判定制御部590とを備える。【選択図】図5

Description

本開示は、画像検査システムに関し、より特定的には、パッチの読み取り技術に関する。
画像形成装置の分野において、媒体への印刷品質を維持するために、媒体上にパッチを印刷し、当該パッチを読み取ることで印刷設定に各種補正を行う技術が知られている。
ロール状の媒体を用いるラベルプリンタ等の画像形成装置は、通常の白色紙以外にも、着色セパレータ(剥離紙等)、透明フィルム、金銀の金属蒸着フィルム、ホログラム紙等の様々な媒体に画像を印刷する。そのため、画像形成装置は、多種多様な媒体または組合せ媒体(フィルムおよび被覆材等)上に印刷されたパッチを読み取ることがある。
しかしながら、媒体の種類または媒体の組合せによっては、画像形成装置は、媒体上に印刷されたパッチを正確に読み取れないことがある。そのため、多種多様な媒体または組合せ媒体に印刷されたパッチを正確に読み取るための技術が必要とされている。
パッチの読み取り技術に関し、例えば、特開2011-073306号公報(特許文献1)は、透明印刷媒体上に付着させるインクの付着量の誤差取得方法を開示している。当該誤差取得方法は、「標準印刷装置と対象印刷装置により、白インクと黒インクと有彩色インクのそれぞれを単独で透明印刷媒体上に付着させることにより、白パッチと黒パッチと有彩色パッチとを透明印刷媒体上に形成し、前記透明印刷媒体を白色背景に設置した状態で前記黒パッチと前記有彩色パッチを測色し、前記透明印刷媒体を黒色背景に設置した状態で前記白パッチを測色し、前記標準印刷装置により形成した前記白インクと前記黒インクと前記有彩色インクの測色値と、前記対象印刷装置により形成した前記白インクと前記黒インクと前記有彩色インクの測色値との誤差を、前記白インクと前記黒インクと前記有彩色インクの付着量の誤差として取得する」というものである([要約]参照)。
特開2011-073306号公報
特許文献1に開示された技術によると、同一のフィルムに対して剥離紙が異なる場合、剥離紙にロゴが記載されている場合、パッチの影が白背景上にできた場合、または、白背景および白インク(トナー)が使用される場合等に正確に画像補正ができない可能性があった。したがって、媒体の種類に応じて、パッチの生成方法、パッチの読取方法、または、画像の補正方法の少なくとも1つを変更する技術が必要とされている。
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、媒体の種類またはトナーの構成に応じて、パッチの生成方法、パッチの読取方法、または、画像の補正方法の少なくとも1つを変更する技術を提供することにある。
ある実施の形態に従うと、画像検査システムが提供される。画像検査システムは、パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部による画像形成を制御する制御部と、画像形成部により媒体に形成される画像に基づいて、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更する判定制御部とを備える。
ある局面において、判定制御部は、画像形成部により媒体に形成される画像が下地画像を含む場合または被覆画像を含む場合に、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更する。
ある局面において、判定手法の変更は、判定に用いる階調域の変更、判定に用いる画像の画像形成方法の変更、判定基準の変更、判定に用いるパッチの変更、判定に用いるパッチの測定回数の変更の少なくとも1つを含む。
ある局面において、画像検査システムは、読取画像に基づいて、媒体に関する情報を取得し、媒体を識別する識別部を備える。
ある局面において、媒体に関する情報は、少なくとも媒体の種別および特性に関する情報の少なくとも1つを含む。
ある局面において、画像検査システムは、媒体の種別に関する情報を取得する取得部をさらに備える。制御部は、取得部の取得結果に基づいて媒体を識別する。
ある局面において、判定制御部は、媒体を読み取った読取結果に基づいて、判定に用いる階調域を変更する。
ある局面において、判定に用いるパッチの変更は、媒体上に形成された白色下地の上にパッチを形成することを含む。
ある局面において、判定制御部は、媒体およびパッチの解析結果に基づいて、白色下地を形成するか否かを判定する。
ある局面において、判定制御部は、媒体を含む背景に存在するノイズを検知し、検知結果に基づいて、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定基準を変更する。
ある局面において、判定基準は、濃度ムラに関する閾値である。判定制御部は、ノイズの強度に応じて閾値を変更する。
ある局面において、判定基準は、ノイズを検出するための範囲である。判定制御部は、ノイズを検知するためのノイズの周期または空間周波数の最小サイズを変更する。
ある局面において、判定に用いるパッチの変更は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして用いることを含む。
ある局面において、判定制御部は、特定画像のパッチとしての妥当性に応じて、判定結果への寄与率を制御する。
ある局面において、判定制御部は、媒体において、画像形成部により画像が形成されていない領域を読み取った読取結果に基づいて、読取部が媒体の読み取りに用いる背景部の状態を判断する。
ある実施の形態に従うと、媒体の種類に応じて、パッチの生成方法、パッチの読取方法、または、画像の補正方法の少なくとも1つを変更することが可能である。
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
本実施の形態に従う画像形成装置100の構成の一例を示す図である。 本実施の形態に従う画像形成装置200の構成の一例を示す図である。 本実施の形態に従うイメージスキャナ110の構成の一例を示す図である。 本実施の形態に従う画像形成装置100が備える校正板400の構成の一例を示す図である。 本実施の形態に従う画像検査システム500A,500Bの構成の一例を示す図である。 濃度ムラ測定パッチの一例を示す図である。 階調測定パッチの一例を示す図である。 リアルタイム調整パッチの一例を示す図である。 濃度ムラ測定パッチの第1の変形例を示す図である。 濃度ムラ測定パッチの第2の変形例を示す図である。 濃度ムラ測定パッチの第3の変形例を示す図である。 濃度ムラの補正のイメージの一例を示す図である。 階調調整パッチの変形例を示す図である。 階調補正曲線の一例を示す図である。 リアルタイム調整パッチの第1の変形例を示す図である。 リアルタイム調整パッチの第2の変形例を示す図である。 画像形成装置100が各パッチを使用するタイミングの一例を示す図である。 階調補正曲線の調整の一例を示す図である。 カラーレジスト測定パッチのバリエーションの一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1の課題の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第2の課題の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第3の課題の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第4の課題の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第5の課題の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第1の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第2の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第3の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第4の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第5の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第6の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第7の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第8の解決方法の応用例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第9の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第6の課題およびこれを解決する第10の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第7の課題およびこれを解決する第11の解決方法の一例を示す図である。 画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第8の課題およびこれを解決する第12の解決方法の一例を示す図である。 枚葉機(画像形成装置200)におけるトンボのデザインの一例を示す図である。 画像形成装置100によるパッチに白トナーの下地を用いたときの処理の一例を示す図である。 被覆色トナーがある場合のスクリーン線数の決定手順の一例を示す図である。 事前パッチの第1の例を示す図である。 事前パッチの第2の例を示す図である。 使用する設定の組み合わせ情報の一例を示す図である。 トンボの読み取りまたはデザインの選択の一例を示す図である。
<A.本開示の技術の概要>
最初に、本開示の技術の概要について説明する。本開示の技術は、多種多様な媒体およびトナーを使用可能な画像形成装置において、媒体またはトナーの種類によらず、連続印刷中に画像を補正し、印刷の品質を一定に保つための技術に関する。
なお、本開示の技術は、インクを使用する画像形成装置にも適用可能である。そのため、これ以降の説明における「トナー」を「インク」と読み替えてもよい。また、これ以降、ロール状の媒体を使用する画像形成装置を例に本開示の技術について説明するが、本開示の技術が適用できる画像形成装置はロール状の媒体を使用するものに限られない。ある局面において、本開示の技術は、オフィスで使用されるような裁断された媒体を使用する画像形成装置(「枚葉機」とも呼ぶ)に対しても適用可能である。
本明細書において、「媒体」とは、画像形成装置において画像が印刷されるものであり、紙、フィルム、着色セパレータ(シールの台紙等)、金属蒸着フィルム、ホログラム紙、その他の任意の印刷媒体、または、これらの組合せを包含する。
本開示の技術は、プロダクションプリンタ等のロール状の媒体を使用する画像形成装置100(図1参照)等に特に有効である。以下、本開示の技術の概要について、画像形成装置100を例に説明する。
画像形成装置100は、媒体に連続して画像を印刷する場合、画像のずれおよび色の変化等を補正するために媒体の余白等にパッチと呼ばれる画像もしくは図形を印刷する。画像形成装置100は、内蔵されたイメージスキャナで媒体上のパッチを読み取ることで、印刷パラメータを変更し、画像のずれおよび色の変化等を補正し得る。
ロール状の媒体を使用する画像形成装置100のパッチ読み取り処理は、主に以下の4つの原因により、通常の白色紙を使用する画像形成装置のパッチ読み取り処理よりも困難である。
1つ目の原因は、画像形成装置100において、着色セパレータ(シールの台紙等)、セパレータ上の各種、各色シール媒体、透明フィルム、金銀の金属蒸着フィルム、ホログラム紙等、通常の白色紙以外の多種多様な媒体が使用されることである。媒体によって、光の透過特性、パッチの影のできやすさ等が異なる。そのため、媒体によって、パッチの読み取り条件および各種閾値は変化し得る。
2つ目の原因は、画像形成装置100において、シールおよびその台紙(着色セパレータ)のように複数の媒体を組み合わせたものが使用されることである。さらに、媒体の組み合わせが変わることもある。例えば、シールは同一であるが台紙の色が変わることもある。このように、媒体の組み合わせの片方が変わるだけでも、パッチの読み取り条件は変わってしまう。
3つ目の原因は、画像形成装置100において、Y(Yellow:イエロー)、M(Magenta:マゼンタ)、C(Cyan:シアン)、K(Key plate:ブラック(キー・プレート))等の顕色トナーのほかに、透明フィルムまたは濃色紙等の媒体上に画像を形成するための下地、あるいは仕上げ用の被覆材となる特殊なトナー(白トナー、メタリック色トナー、蛍光色トナー、特色トナー、透明トナー等)が使用されることである。これらの特殊なトナーのパッチの読み取りには、顕色トナーのパッチの読み取りとは異なる手順が必要となることがある。
4つ目の原因は、画像形成装置100はロール状の媒体を用いるため、画像形成装置100が印刷後の媒体上のパッチしか読み取れないことである。枚葉機は、中間転写ベルトを2次転写ローラーと分離する機能を有する。枚葉機は、連続印刷の途中で、中間転写ベルトを2次転写ローラーと分離して、媒体上にパッチが転写されない状態とした上で、中間転写ベルトにパッチを印刷する。そして、枚葉機は、トナー像センサ(単眼センサと呼ばれることもある)により、中間転写ベルト上のパッチの画像を取得して分析することで、印刷条件を補正することができる。しかしながら、ロール状の媒体を用いる画像形成装置100は、枚葉機と異なり、ロール状の媒体に印刷をするため、印刷の途中で中間転写ベルトを2次転写ローラーと分離することができない。そのため、画像形成装置100は、印刷後の媒体上のパッチ画像を読み取る必要がある。
上記の課題を解決するために、本実施の形態に従う画像形成装置100は、媒体の種類、媒体の組合せ、使用されるトナーもしくはインクの種類、または、これらの組合せに基づいて、パッチの生成方法、パッチの読取方法、または、印刷画像の補正方法の少なくとも1つを変更する。画像形成装置100が提供する機能の詳細については後述する。
<B.画像形成装置>
(a.ハードウェア構成)
次に、図1~図4を参照して、本開示の技術を適用可能な画像形成装、および、画像形成装置が備えるイメージスキャナのハードウェア構成について説明する。イメージスキャナは、媒体120または媒体120上に印刷された画像およびパッチを読み取るためのハードウェアである。画像形成装置100,200は、イメージスキャナに読み込ませるパッチ、イメージスキャナのパッチ読込処理、またはその両方を、媒体120またはトナー(インク)に応じて調整する。これにより、画像形成装置100,200は、多種多少な媒体およびトナー(インク)の組合せの各々において、適切にパッチを読み取り、印刷設定を調整(印刷画像を補正)し得る。
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置100の構成の一例を示す図である。画像形成装置100は、ロール状の媒体120を使用する画像形成装置であり、例えば、プロダクションプリンタ等である。
画像形成装置100は、主な構成として、制御部101と、操作表示部102と、通信部103と、画像形成部104と、中間転写ベルト105と、ベルト駆動ローラー106と、2次転写ローラー107と、定着部108と、トナー像センサー109と、イメージスキャナ110と、画像解析部111と、給紙部112と、排紙部113とを備える。
制御部101は、画像形成装置100全体を制御する。例えば、制御部101は、操作表示部102への各種設定の表示処理、操作表示部102から入力された命令の処理、画像形成部104による印刷処理等を制御し得る。また、制御部101は、パッチの印刷、パッチの解析、パッチの解析結果に基づく印刷設定の変更等の処理の一部または全てを実行する。また、制御部101は、パッチの印刷、パッチの解析、パッチの解析結果に基づく印刷設定の変更等の処理の一部を他の構成(画像形成部104、イメージスキャナ110等)と協業することによって実行し得る。
ある局面において、制御部101は、プロセッサ(図示せず)と、メモリ(図示せず)と、ストレージ(図示せず)とを含んでいてもよい。この場合、プロセッサは、メモリーに読み込まれた各種プログラムおよびデータを実行または参照する。ある局面において、プロセッサは、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、または、これらの組み合わせ等によって構成されてもよい。
メモリーは、プロセッサによって実行されるプログラムと、プロセッサによって参照されるデータとを格納する。ある局面において、メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)等によって実現されてもよい。
ストレージは、不揮発性メモリーであり、プロセッサによって実行されるプログラムおよびプロセッサによって参照されるデータを格納してもよい。その場合、プロセッサは、ストレージからメモリーに読み出されたプログラムを実行し、ストレージからメモリーに読み出されたデータを参照する。ある局面において、ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリー等によって実現されてもよい。
他の局面において、制御部101は、SoC(System on Chip)、SoM(System on Module)、任意の電子部品を搭載したPCB(Printed Circuit Board)、または、これらの組合せとして実現されてもよい。
操作表示部102は、ディスプレイ等の表示部、タッチパネルおよびボタン等の操作部とを含む。タッチパネルは、表示部に組み込まれていてもよい。表示部は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、または、その他任意の表示部であってもよい。表示部は、制御部101からの指令に基づいて、UI(User Interface)および各種情報を表示し得る。操作部は、ユーザーからの操作入力を受け付けて、当該操作入力の信号を制御部101に出力し得る。
通信部103は、有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して他の機器と接続される。通信部103は、例えば、ユーザーの端末からジョブを受信し得る。通信部103は、印刷ジョブを制御部101に出力する。制御部101は、ジョブに基づいて、画像形成部104を制御することで、印刷処理を実行する。ある局面において、通信部103は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)モジュール等によって実現されてもよい。他の局面において、通信部103は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
画像形成部104は、トナー像またはインク像を中間転写ベルト105上に形成する。画像形成装置100は、複数の色の各々の画像形成部104を備える。一例として、画像形成装置100は、Y(イエロー)の画像形成部104と、M(マゼンタ)の画像形成部104と、C(シアン)の画像形成部104と、K(ブラック(キー・プレート))の画像形成部104と、S(特殊なトナー)の画像形成部104とを備える。また、画像形成装置100は、YMCKS以外の他の任意の色の画像形成部104を備えてもよい。トナー方式の画像形成部104は、感光体と、帯電部と、露光部と、現像部、クリーニング部とから構成される。トナー方式の画像形成部104は、感光体上に形成したトナー像を中間転写ベルト105に転写する。インク方式の画像形成部104は、インクジェットノズルを備える。インクジェットノズルは、中間転写ベルト105上に画像を形成する。
中間転写ベルト105は、画像形成部104によってトナー像(またはインク像)を形成されるためのベルトである。中間転写ベルト105は、ベルト駆動ローラー106によって駆動される。中間転写ベルト105上のトナー像は、印刷用の媒体120の経路に運ばれていき、2次転写ローラー107により、媒体120に転写される。
定着部108は、加圧ローラーおよび加熱ローラーにより、媒体120をニップし、媒体120上のトナー像を溶かす。トナー像は、加熱ローラーにより加熱されて溶けることで、媒体120に定着する。
トナー像センサー109は、中間転写ベルト105上に形成されたトナー像を読み取り、読取結果データを制御部101に出力する。2次転写ローラー107は、モーター等により移動可能に構成されている。制御部101は、トナー像センサー109を使用する場合、2次転写ローラー107を移動させて、中間転写ベルト105を媒体120から離す。これにより、中間転写ベルト105上のトナー像は、トナー像センサー109の前を通過する。制御部101は、トナー像センサー109から取得した読取結果データを解析して印刷設定を変更することで、温度または湿度等の影響で変化したトナー像を補正し得る。
しかしながら、ロール状の媒体を使用する画像形成装置100は、枚葉機と異なり、印刷途中で中間転写ベルト105を媒体120から離すことができない。印刷途中で中間転写ベルト105を媒体120から離すと、媒体120上の印刷がそこで途切れてしまい、後工程において障害が生じ得る。その結果、全ての印刷がやり直しになるためである。そのため、ロール状の媒体を使用する画像形成装置100は、イメージスキャナ110を用いた補正処理を行うことで、印刷を中断せずに(連続印刷中に)画像を補正し、印刷の品質を一定に保ち得る。
イメージスキャナ110は、画像が印刷された媒体120の表面を読み取り、読取結果データを画像解析部111に出力する。制御部101は、画像解析部111から取得した画像解析結果に基づいて印刷設定を変更することで、印刷位置のずれ、画像の色の変化等を補正し得る。イメージスキャナ110の詳細な構成については図3を参照して説明する。
画像解析部111は、イメージスキャナ110から取得した読取結果データを解析する。一例として、画像解析部111は、画像の印刷位置のずれ、媒体120上の画像に含まれる各色の変化等を解析し得る。画像解析部111は、解析結果を制御部101に出力する。ある局面において、制御部101が画像解析部111の機能を備えていてもよい。
給紙部112は、媒体120の搬送路に向けて媒体120を供給する。例えば、給紙部112は、ロール状の媒体120をセットするためのローラーであってもよい。この場合、給紙部112は、回転することで媒体120を搬送路に向けて供給する。
排紙部113は、媒体120が排紙される場所である。例えば、排紙部113は、画像が印刷された媒体120を巻き取るためのローラーであってもよい。この場合、排紙部113は、給紙部112と連動して回転することにより、画像が印刷された媒体120を巻き取る。
図2は、本実施の形態に従う画像形成装置200の構成の一例を示す図である。画像形成装置200は、画像形成装置100と異なり、断裁された媒体220に画像を印刷する。例えば、画像形成装置200は、オフィス用のMFP(Multifunction Peripheral)等の枚葉機である。本開示の技術は、ロール状の媒体120を使用する画像形成装置100に対して特に効果を発揮するが、画像形成装置200のような枚葉機に対しても適用可能である。
画像形成装置200は、画像形成装置100と同様の構成として、制御部201と、操作表示部202と、通信部203と、画像形成部204と、中間転写ベルト205と、ベルト駆動ローラー206と、2次転写ローラー207と、定着部208と、トナー像センサー209と、イメージスキャナ210と、画像解析部211と、給紙部212と、排紙部213とを備える。さらに、画像形成装置200は、枚葉機の構成として、不良印刷排紙部214と、上流のイメージスキャナ215と、上流の画像解析部216と、用紙反転部217と、切替部218とを備える。
不良印刷排紙部214は、印刷不良の媒体220を排紙する場所である。例えば、不良印刷排紙部214は、排紙トレーであってもよい。
上流のイメージスキャナ215は、画像を印刷される前の媒体220の表面を読み取り、読取結果データを上流の画像解析部216に出力する。ある局面において、上流のイメージスキャナ215は、イメージスキャナ210と同じハードウェア構成であってもよい。また、画像形成装置200は、上流のイメージスキャナ215に直列して、媒体220の物性(紙厚や重さ、含水率、用紙表面の平滑性、用紙の剛度、等)を測定することにより用紙の種別を特定するセンサー(図示せず)を備えてもよい。この場合、画像形成装置200は、当該センサーにより得られた媒体の種類に関する情報を、後述する各種の処理に用いてもよい。
上流の画像解析部216は、上流のイメージスキャナ215から取得した読取結果データを解析する。一例として、上流の画像解析部216は、媒体220の種類を解析し得る。上流の画像解析部216は、解析結果を制御部201に出力する。制御部201は、解析結果(媒体220の種類等)に基づいて、印刷設定を変更し得る。ある局面において、制御部201が上流の画像解析部216の機能を備えていてもよい。
用紙反転部217は、両面印刷を行う際に、媒体220を反転させる機構である。制御部201は、用紙反転部217の各所に設けられたモーターまたはモーターのドライバーを制御することで、媒体220を反転させることができる。
切替部218は、印刷用の媒体220の給紙元を切り替える。画像形成装置200の給紙部212は、複数の給紙ラックを備える。給紙部212は、媒体220の供給元の給紙ラックを切り替える。
図3は、本実施の形態に従うイメージスキャナ110の構成の一例を示す図である。なお、イメージスキャナ210も、イメージスキャナ110と同様のハードウェア構成を備える。
イメージスキャナ110は、主な構成として、イメージセンサー301と、ライト302と、背景板303とを備える。イメージスキャナ110は、これらの構成以外にも、媒体120を一定速度で搬送する搬送部、イメージセンサー301の読み取り特性を一定に保持するための校正板400(図4参照)、イメージセンサー301の校正を行う制御装置等も備える。なお、イメージセンサー301、ライト302および背景板303は、必ずしも一体型として構成される必要はなく、協業してイメージスキャナ110としての機能を実現するのであれば、互いの位置が離れていてもよい。例えば、イメージスキャナ110は、イメージセンサー301およびライト302を備え、背景板303とは別体であってもよい。
イメージセンサー301は、媒体120(の搬送路)の直上に配置され、媒体120に印刷された画像を読み込む。イメージセンサー301は、ラインセンサー(リニアーイメージセンサ)であってもよい。ある局面において、イメージセンサー301は、CIS(Contact Image Sensor)センサー、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーまたはCCD(Charge Coupled Device)センサーであってもよい。例えば、ラインセンサー(リニアーイメージセンサー)は、これらの各種センサーに縮小系の結像レンズを組み合わせることで、合焦させる構成を含み得る。
媒体120は、一定速度でイメージセンサー301の直下を通過する。イメージセンサー301は、一定の間隔で媒体120上の画像を読み込む。イメージセンサー301の画像の読み込み方向を主走査方向とし、これと直交する媒体120の搬送方向を副走査方向とする。この場合、読込画像の主走査方向の解像度はイメージセンサー301のセンサー素子の数により定まる。また、読込画像の副走査方向の解像度は、イメージセンサー301の画像読取間隔を媒体120の搬送速度で除した値で定まる。一例として、転写プロセスまたは定着プロセスが原因で用紙の搬送速度が落ちた場合、イメージセンサー301の画像読取間隔あたりの用紙の移動量が小さくなるため、読込画像の副走査方向の解像度は高くなる。
ライト302は、媒体120を照らす。ある局面において、ライト302の光の照射方向は、媒体120に対して45°であってもよい。これにより、イメージセンサー301に照明光の正反射成分が入射することを抑制し、測定対象(媒体120に印刷された画像)の色度や濃度を適切に測定し得る。また、イメージスキャナ110は、複数のライト302を備えていてもよい。他の局面において、ライト302は、LED(Light Emitting Diode)、蛍光管、その他の任意の光源、またはこれらの組合せであってもよい。
ライト302の光量は、イメージセンサー301が媒体120上の画像を読み取り可能、かつ、媒体120上の画像の明るい部分が飽和しない光量となるように、定められる。ライト302の光量は、照明の強さ、あるいは、1ラインの画像読み込み期間内の照明時間、または、その両方を制御することで調節し得る。イメージスキャナ110は、ライト302の光量等を調整することで、イメージセンサー301の画像読み取り特性を調整し得る。
ある局面において、ライト302が一般的な白色LEDである場合、イメージスキャナ110は、測定色全体(白色光そのもの)を一律に調節することで、ライト302の光量を調節し得る。また、他の局面において、ライト302の照明素子が色光毎(赤、黄、青等)に独立している場合、イメージスキャナ110は、色光毎にライト302の光量を調節し得る。
また、他の局面において、イメージセンサー301が色光毎のイメージセンサーを含み、各イメージセンサーが時系列に画像の各色成分を読み込む場合、イメージスキャナ110は、各イメージセンサーの読取タイミングに合わせて、ライト302の発光強度や時間を調整することで、色光毎の光量を調整し得る。
また、他の局面において、イメージスキャナ110(または画像解析部111)は、イメージセンサー301が出力するアナログ信号をAD(Analog/Digital)変換してデジタル信号に変換する前のゲイン等の各種パラメータを調整することで、イメージセンサー301の画像読み取り特性を調整し得る。
背景板303は、ライト302から照射された光を反射する。背景板303は、白背景板311と、黒背景板312とを備える。背景板303は、媒体120の経路を挟んで、イメージセンサーと対向する位置に設けられる。また、背景板303は、駆動装置(図示せず)により、移動可能に構成される。背景板303が移動することにより、イメージセンサー301による画像読み取り処理時の背景は、白背景板311または黒背景板312に切り替えられる。制御部101または画像解析部111は、媒体120またはトナー(インク)の種類に応じて、イメージセンサー301の画像読み取り時の背景板の色を選択し得る。ある局面において、イメージスキャナ110の制御装置がイメージセンサー301の画像読み取り時の背景板の色を選択する機能を備えていてもよい。
図4は、本実施の形態に従う画像形成装置100が備える校正板400の構成の一例を示す図である。校正板400について、枚葉機の校正板410と比較して説明する。校正板は、イメージスキャナの画像読み取り特性を調整するためのもので、白色校正板と黒色校正板から構成される。イメージセンサーは、校正板を直接読み込む必要がある。枚葉機(画像形成装置200等)は、印刷中でも、印刷を中断してイメージスキャナおよび背景板の間に媒体がない状態を作り出せる。そのため、枚葉機は、例えば、背景板および校正板を有する円筒型の校正板410を備えることで、背景板および校正板を切り替えて使用し得る。
一方、ロール状の媒体120使用する画像形成装置100は、印刷中に媒体120が途切れることがないため、枚葉機とは異なる機構が必要となる。イメージスキャナ110の校正を行う場合、イメージセンサー301は、校正板を直接読み込む必要があるが、媒体120が途切れないためである。そこで、画像形成装置100は、背景板303とは別に校正板400を備える。校正板400は、白色校正板401と、黒色校正板402とを備える。画像形成装置100は、校正時に、背景板303および媒体120をイメージセンサー301の直下から避けて、代わりに、校正板400をイメージセンサー301の直下に移動させる。例えば、校正板400は、駆動機構(図示せず)によって移動し得る。また、媒体120の搬送ローラー420および背景板303も、駆動機構(図示せず)によって移動し得る。
イメージスキャナ110は、校正板400を使用して、イメージスキャナ110の読み取り特性の校正を行う。イメージスキャナ110の読み取り特性の校正は、画像解析部111による画像のゲイン、イメージスキャナ自体の光量ムラの補正(所謂シェーディング補正)、解析値等の補正、またはライト302の光量の調節等を含み得る。校正板400は、白背景板および黒背景板を備える。背景板303は、印刷を繰り返すことで、紙粉等の汚れがついたり、転写紙等と擦れて傷がついたりする可能性がある。そのため、校正板400は、背景板303とは別に設けられることが望ましい。ある局面において、印刷を繰り返しても背景板303が大きく汚れない場合、イメージスキャナ110は、背景板303を校正板400として使用してもよい。この場合、イメージスキャナ110は、背景板303のクリーニングユニットを備えていてもよい。
イメージスキャナ110は、校正時に、白色校正板401の画像と、黒色校正板402の画像とを読み取る。そして、イメージスキャナ110は、白色校正板401の画像の読取階調が予め定めた値になるように、イメージスキャナ110(画像解析部111)の画像読み取り特性を調整する。また、イメージスキャナ110は、黒色校正板402の画像の読取階調が予め定めた値になるように、イメージスキャナ110(画像解析部111)の画像読み取り特性を調整する。画像の読取階調とは、画像情報の信号値である。例えば、r(赤色光)g(緑色光)b(青色光)の各々を8ビットで表現するカラー画像があるとする。この場合、rgbごとに0~255(8ビットは256段階で色を表現可能)の階調値で、媒体上に形成されたカラー画像の明暗が表現される。画像解析部111は、読取階調の変化に基づいて、各種解析および/または印刷設定の補正を実行する。画像の読取階調が予め定めた範囲を大きくずれると、上記の解析または補正の結果に誤差が生じる可能性がある。また、画像の読取階調が予め定めた範囲を大きくずれると、後述する各種調整パッチを読み取る際に、パッチ位置、マーカー、トンボもしくはパッチ位置の画像上の特定が出来なくなる可能性がある。
なお、黒色校正板402の画像の読取階調は大きく変化しないことが多い。そのため、ある局面において、イメージスキャナ110は、白色校正板401の画像のみを読み取り、白色校正板401の画像の読取階調が予め定めた値になるように、イメージスキャナ110(画像解析部111)の画像読み取り特性を調整してもよい。
イメージスキャナ110は、主走査方向の位置ごとの読み取り階調のバラツキを評価する。読み取り階調のバラツキが予め定めた値より大きい場合、イメージセンサー301または校正板400のいずれかに汚れまたは傷があると判定する。イメージスキャナ110は、イメージセンサー301または校正板400のいずれかに汚れまたは傷があると判定したことに基づいて、クリーニングユニット(図示せず)により、イメージセンサー301のレンズ、レンズを紙粉等の汚れから保護するための保護ガラス窓、校正板400またはその両方を清掃する。イメージスキャナ110は、1回または複数回にわたり、イメージセンサー301のレンズ、校正板400またはその両方を清掃しても読み取り階調のバラツキが改善されない場合、操作表示部102にエラーメッセージを表示する。ある局面において、イメージスキャナ110は、通信部103から、オペレータの端末にエラーメッセージを送信してもよい。
なお、背景板303は、イメージセンサー301および校正板400のように、清掃されなくてもよい。なぜなら、背景板303は、単に媒体120の背景として使用されるためであるため、背景板303が若干汚れていても、イメージセンサー301の画像の読み取りには影響しないためである。
しかしながら、媒体120が透明フィルム等の透過性のある媒体の場合、イメージセンサー301が読み取る画像に背景板303の汚れが写る可能性がある。その結果、イメージセンサー301が読み取る画像に写った背景板303の汚れが、画像検査結果に影響を与える可能性がある。
そこで、イメージスキャナ110は、印刷中、調整モード中、または、印刷前のパッチ読取動作中等において、媒体120の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分を読み取る。そして、イメージスキャナ110(画像解析部111)は、媒体120の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分の画像を解析し、背景板303に画像検査に影響する程度の汚れがあるか否かを判定し得る。
背景板303に画像検査に影響する強度の汚れがある場合、画像形成装置100は、操作表示部102に、背景板303の清掃を促すメッセージを表示してもよい。なお、画像形成装置100は、印刷処理を中断することができない。そこで、ある局面において、少なくとも印刷中の処理を正常に完了できるようにするために、画像形成装置100は、背景板303に画像検査に影響しない程度の汚れを検知した段階で、背景板303の清掃を促すメッセージを表示してもよい。こうすることで、オペレータは、背景板303の汚れが画像検査に影響を及ぼす前に背景板303を清掃し得る。
他の局面において、画像形成装置100は、背景板303のクリーニングユニット(図示せず)を備えていてもよい。また、他の局面において、画像形成装置100は、操作表示部102に、背景板303の清掃を促すメッセージと共に、媒体120に画像検査に影響を与える程度のテクスチャ(例えば、シールの台紙に印刷された絵柄等)が含まれているか否かの確認を促すメッセージを表示してもよい。
(b.画像検査システムの構成)
画像形成装置100,200は、画像検査システムを実現するための構成を内包する。以下に、本実施の形態に従う、画像検査システムの構成について説明する。
図5は、本実施の形態に従う画像検査システム500A,500Bの構成の一例を示す図である。図5を参照して、本実施の形態に従う画像検査システム500A,500B(以下、画像検査システム500A,500Bを総称する場合は、単に「画像検査システム」と呼ぶ)の構成について説明する。
画像形成装置100,200が1台の装置として実現される場合、本実施の形態に従う画像検査システムも、画像検査システム500Aのように1つの装置として実現され得る。
画像形成装置100,200が複数の装置を接続したものとして実現される場合、本実施の形態に従う画像検査システムも、画像検査システム500Bのように、複数の装置を接続したものとして実現され得る。画像形成装置100,200を構成する複数の装置は、例えば、給紙装置501、画像形成装置502、検査装置503等である。また、画像形成装置100,200は、排紙装置等の任意の装置をさらに備え得る。
画像検査システム500は、構成として、制御部510と、画像形成部520と、取得部530と、記憶部540と、読取制御部550と、読取部560と、識別部570と、通知部580と、判定制御部590とを備える。ある局面において、画像検査システムの各構成の一部または全ては、画像形成装置100,200のハードウェアがプログラムを実行することで実現されてもよい。他の局面において、画像検査システムの各構成の一部または全ては、画像形成装置100,200が備えるハードウェアであってもよい。
制御部510は、画像検査システム全体を制御する。制御部101が画像検査システムの制御部510を兼ねてもよい。ある局面において、制御部510は、他の機能部と連携して、画像形成処理(パッチの印刷処理等)、パッチの読取制御、パッチの良否判定制御、パッチの読み取り結果の補正制御、および、画像形成における補正制御等を実行し得る。
画像形成部520は、媒体に画像を形成する。画像形成部520は、画像形成部104およびその周辺回路を含み得る。画像形成部520は、制御部510からの命令に基づいて、媒体にパッチおよびユーザーコンテンツを印刷し得る。
取得部530は、媒体の種類および特性等の媒体に関する情報を取得する。ある局面において、取得部530は、タッチパネルおよびその周辺回路を含んでいてもよい。また、他の局面において、取得部530は、画像形成部104よりも上流にあるイメージセンサーを含んでいてもよい。また、他の局面において、取得部530は、タッチパネルおよびその周辺回路と、イメージセンサーとの両方を含んでいてもよい。取得部530は、取得した媒体に関する情報を、制御部510、読取制御部550、判定制御部590の少なくとも1つに出力する。
記憶部540は、ユーザーの使用履歴、過去の印刷におけるパッチの印刷設定、パッチの読取設定、パッチの良否判定の設定、パッチの読み取り結果に基づくユーザーコンテンツの印刷の補正制御の設定等を格納する。これらの各種設定は、ユーザーのID(Identifier)と紐付けられて記憶部540に格納され得る。
読取制御部550は、読取部560によるパッチ読み取りの制御を行う。ある局面において、読取制御部550は、記憶部540に格納されたユーザーの使用履歴に基づいて、読取部560によるパッチ読み取りの制御を行ってもよい。他の局面において、読取制御部550は、取得部530から得られた媒体に関する情報を、読取部560によるパッチ読み取りの制御の設定の一部に反映させてもよい。
読取部560は、画像形成部520によって媒体上に印刷されたパッチおよびユーザーコンテンツを読み取る。読取部560は、イメージセンサー301およびその周辺回路を含み得る。
識別部570は、媒体の種類および特性等を識別する。識別部570は、画像形成部104よりも上流にあるイメージセンサーおよび/または読取部560(イメージセンサー301)によって得られた画像から、媒体の種類および特性等を識別し得る。ある局面において、識別部570は、イメージセンサーおよび/または読取部560(イメージセンサー301)を含んでいてもよい。
通知部580は、ユーザーに各種通知を行う。一例として、通知部580は、媒体が交換された場合に、前の印刷で使用したパッチの印刷設定、パッチの読取設定、パッチの良否判定の設定、パッチの読み取り結果に基づくユーザーコンテンツの印刷の補正制御の少なくとも1つを再利用する場合、過去の設定を再利用することをユーザーに通知してもよい。他の例として、通知部580は、媒体が交換された場合に、前の印刷で使用したパッチの印刷設定、パッチの読取設定、パッチの良否判定の設定、パッチの読み取り結果に基づくユーザーコンテンツの印刷の補正制御の少なくとも1つを変更する場合、各種設定を変更することまたは新しい設定を使用することをユーザーに通知してもよい。また、通知部580は、その他の任意のエラー、警告等をユーザーに通知してもよい。ある局面において、通知部580は、タッチパネルおよびその周辺回路を含んでいてもよい。他の局面において、通知部580は、通信回路を含んでいてもよい。この場合、通知部580は、ユーザーの端末等に通知を送信し得る。
判定制御部590は、パッチの良否判定を行う。ある局面において、判定制御部590は、記憶部540に格納されたユーザーの使用履歴に基づいて、読取部560によるパッチの良否判定を行ってもよい。他の局面において、判定制御部590は、取得部530から得られた媒体に関する情報を、読取部560によるパッチの良否判定の設定の一部に反映させてもよい。
なお、図5に示される各構成の配置は一例であり、ある局面において、各機能部は、任意の装置に分散配置され得る。他の局面において、制御部510は、画像形成部520、読取制御部550、識別部570、判定制御部590のいずれかまたは全てを兼ねてもよい。また、読取制御部550、識別部570、および、判定制御部590の一部または全ては、制御部510とは別の1つの機能部として実現されてもよい。さらに、他の局面において、図5に示される各構成は、ハードウェアとして実現されてもよいし、ソフトウェアとして実現されてもよいし、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現されてもよい。これ以降の各種処理は、画像検査システムのいずれかの機能部によって実行されたと読み替えてもよい。
<C.パッチの種類>
次に、画像形成装置100において使用される主なパッチの種類について説明する。パッチには、主に濃度ムラ測定パッチ、階調調整パッチ、およびリアルタイム調整パッチの3種類がある。
図6は、濃度ムラ測定パッチの一例を示す図である。図6を参照して、画像形成装置100がYMCKトナー(顕色トナー)を用いて白色紙に画像を印刷する場合を例に、媒体120上に印刷される濃度ムラ測定パッチについて説明する。
濃度ムラ測定パッチは、主走査方向(媒体の搬送方向に対する垂直方向)の濃度ムラを補正するためのものである。濃度ムラ測定パッチは、媒体の主走査方向に向けて均一の階調で印刷された画像である。「階調」とは色の濃淡の段階である。
ロール状の媒体120を使用する画像形成装置100は、ジョブの実行途中に濃度ムラ測定パッチを印刷することはできないため、ジョブの実行前のタイミングで、濃度ムラ測定パッチを媒体120に印刷する。
画像形成装置100は、主走査方向に均一の階調で各色の画像を印刷する。例えば、パッチ601は、階調100%のY(イエロー)の画像である。パッチ602は、階調100%のM(マゼンタ)の画像である。パッチ603は、階調100%のC(シアン)の画像である。パッチ604は、階調100%のK(ブラック)の画像である。画像形成装置100は、例えば100%、75%、50%、25%のように階調を切り替えながら、主走査方向に均一の階調で各色の画像を繰り返し印刷する。マーカー605は、パッチの開始位置、終了位置等を示し、各種パッチの画像上の正確な位置を特定するための位置決め指標であり、トンボとも呼ばれる。なお、図6の例では、背景として白背景板311が使用されているが、背景として黒背景板312が使用されてもよい。
イメージスキャナ110(画像解析部111)は、濃度ムラ測定パッチを読み込んで解析する。イメージスキャナ110は、階調毎に、各色の濃度が主走査方向に均一になっているか否かを判定する。例えば、パッチ601はいずれの場所も均一の濃度でなければならない。イメージスキャナ110(画像解析部111)は、各画像の主走査方向の各場所の色の差分が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。例えば、パッチ601の右端の濃度が他の部分の濃度と比較して低い場合、画像形成装置100は、印刷設定を変更することによりY(イエロー)の画像の印刷時に媒体120の右側の濃度を高くする等)、画像を補正し得る。
図7は、階調測定パッチの一例を示す図である。図7を参照して、画像形成装置100がYMCKトナー(顕色トナー)を用いて白色紙に画像を印刷する場合を例に、媒体120上に印刷される階調測定パッチについて説明する。
階調調整パッチは、各階調における各色の特性(濃度、色調等)を調整するためのものである。例えば、画像形成装置100は、階調調整パッチを解析することで、階調100%のY(イエロー)の画像の濃度が低すぎる、階調50%のY(イエロー)の画像の濃度が高すぎるというような状態を検知し、印刷設定を調整し得る(印刷画像を補正し得る)。
ロール状の媒体120を使用する画像形成装置100は、ジョブの実行途中に階調調整パッチを印刷することはできないため、ジョブの実行前のタイミングで、階調調整パッチを媒体120に印刷する。
画像形成装置100は、媒体120上に階調調整に必要な複数の色調のパッチを並べて印刷する。図7の例では、画像形成装置100は、YMCKトナーの各色を用いて階調を段階的に切り替えながらパッチを印刷している。例えば、パッチ701は、Y(イエロー)トナーの階調を段階的に変更して印刷した矩形(パッチ)を並べたものである。パッチ702は、M(マゼンタ)トナーの階調を段階的に変更して印刷した矩形(パッチ)を並べたものである。パッチ703は、C(シアン)トナーの階調を段階的に変更して印刷した矩形(パッチ)を並べたものである。パッチ704は、K(ブラック)トナーの階調を段階的に変更して印刷した矩形(パッチ)を並べたものである。パッチ705は、媒体120の両端付近に印刷されたものであり、前述の濃度ムラ測定パッチにおけるトンボの役割を兼ねるように、上下端を濃色のパッチで構成されるが、ブラック等の使用頻度の高い色のパッチ、または、その他の任意のトナーのパッチであってもよい。
図7の階調調整パッチは一例であり、階調調整パッチの例はこれに限られない。ある局面において、画像形成装置100は、パッチ数またはパッチのレイアウトを適宜変更してもよい。例えば、画像形成装置100は、ランダム配置の階調調整パッチ720を媒体120に印刷してもよい。画像形成装置100は、各色のパッチをランダム配置することで、各パッチの濃度ムラまたは隣接パッチ間の影響を平均化し得る。
他の局面において、画像形成装置100は、階調調整パッチを1組だけ、または、2組以上並べて媒体120に印刷してもよい。画像形成装置100は、2組以上の階調調整パッチを並べて媒体120に印刷することで、媒体120の搬送方向に発生し得る濃度ムラを検出、または濃度ムラを平均化することで、濃度ムラの影響を軽減し得る。
また、他の局面において、個々のパッチの形状は、長方形、正方形、その他の任意の形状であってもよい。また、各パッチのサイズは異なっていてもよい。また、パッチは、単色トナーのパッチだけでなく、混色パッチを含んでいてもよい。
図8は、リアルタイム調整パッチの一例を示す図である。図8を参照して、画像形成装置100がYMCKトナー(顕色トナー)を用いて白色紙に画像を印刷する場合を例に、媒体120上に印刷される階調測定パッチについて説明する。リアルタイム調整パッチ800は、リアルタイム階調パッチ810と、カラーレジスト測定パッチ820とを含む。
リアルタイム階調パッチ810は、印刷開始時の画像の特性を維持するため(印刷途中に各色の画像の濃度変化等を防止するため)のパッチである。ロール状の媒体120に画像が連続して印刷される場合、印刷される画像の色合い等が変化する場合がある。そのため、画像形成装置100は、ジョブの実行中に、リアルタイム階調パッチ810を媒体120に印刷して、当該リアルタイム階調パッチ810を解析する。画像形成装置100は、解析結果に基づいて、印刷設定を調整し、画像を補正し得る(画像の特性を維持し得る)。
カラーレジスト測定パッチ820は、カラー印刷の品質を低下させる要因となる各色の相互の印刷位置ずれ、所謂カラーレジストレーションずれ(「カラーレジストずれ」と呼ぶこともある)を測定し、補正するためのパッチである。ロール状の媒体120に画像が連続して印刷される場合、媒体120が途切れなく画像形成装置100内部を通過する。媒体が画像形成装置の内部を通過することを「通紙」とも呼ぶ。通紙の際、例えば、定着部108の影響により、露光、現像、転写、の一連のプロセスを実行する画像形成部104内の温度等の環境が変化する可能性がある。また、画像形成部104内の温度は、画像形成装置100が設置されている環境の影響によって変化することもある。これらの各種要因により印刷処理中に画像形成部104内の温度が上昇すると、当該温度上昇に起因して、ベルト駆動ローラー106等が熱膨張により変形することがある。その結果、ベルト駆動ローラー106の1回転当たりの中間転写ベルト105の進む距離が変化し、各顕色トナーの印刷位置にずれが生じ、さらには、カラーレジストずれの変化が生じ得る。そのため、画像形成装置100は、ジョブの実行中に、カラーレジスト測定パッチ820を媒体120に印刷して、当該カラーレジスト測定パッチ820を解析する。画像形成装置100は、解析結果に基づいて、例えばYMCKSの各トナー画像の印刷タイミングを微調整することで、カラーレジストずれを補正し得る。
画像形成装置100は、ジョブの画像850の印刷中に、媒体120の余白851に各種パッチを印刷し得る。余白851に印刷されるパッチは、ページ単位で印刷され得る。ページは、例えば、ジョブの画像により定義され得る。図7の例では、画像形成装置100は、媒体120の1ページ目、3ページ目の余白851に、830トナー消費パッチ830を印刷し、媒体120の2ページ目にリアルタイム調整パッチ800を印刷している。
トナー消費パッチ830は、トナーを消費するためのパッチである。画像形成部104内のトナーは、使用されなければ少しずつ劣化していく。そこで、画像形成装置100は、各色トナーを一定量以上使用するために、必要に応じ、トナー消費パッチ830を媒体120に印刷する。
リアルタイム調整パッチ800は、一例として、定期的にトナー消費パッチ830を印刷する合間に印刷され得る。イメージスキャナ110は、リアルタイム調整パッチ800を十分に含む区間840を読み込む。
リアルタイム階調パッチ810は、各トナーのグラデーション画像811と、リアルタイム階調パッチ810の開始位置、中央位置、終了位置等を検出するための1つ以上のマーカー812とを含む。
グラデーション画像811は、各色の階調を変化させたグラデーション画像を含む。ある局面において、グラデーション画像811は、完全なグラデーションである必要はなく、段階的に階調を変化させた画像であってもよい。他の局面において、グラデーション画像811は、単色のグラデーション画像、特殊色のグラデーション画像、混色のグラデーション画像を含んでいてもよい。画像形成装置100は、グラデーション画像811を解析することで、連続印刷中に、印刷画像の特性の変化を検出し得る。画像形成装置100は、印刷画像の特性の変化を検出したことに基づいて印刷設定を調整することで、印刷開始時の画像の特性を維持し得る(各色の濃度の変化等を防止し得る)。
イメージスキャナ110は、マーカー812を検出することで、グラデーション画像811の位置を把握し得る。例えば、イメージスキャナ110は、連続して媒体120の表面の画像を取得し続け、マーカー812で囲まれた範囲のみを解析対象にし得る。
カラーレジスト測定パッチ820は、カラーレジスト測定パッチ820の位置を示すマーカーを兼ねる上下のK色の矩形と、これらに挟まれるYMC各色の矩形とを含む。画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ820のK色の矩形とYMC色の矩形との位置関係の変化を解析することで、連続印刷中に、K色の矩形の印刷位置に対する、YMC色の各矩形の印刷位置の変化を検出し得る。画像形成装置100は、当該変化を相殺する方向にYMC各色の矩形の印刷位置を調整することで、カラーレジストずれを補正し得る。
<D.パッチの使い分け>
本実施の形態に従う画像形成装置100は、トナーの種類、媒体120の種類またはこれらの組合せに応じて生成するパッチを変更し得る。すなわち、画像形成装置100は、生成するパッチの複数のバリエーションを、トナーの種類、媒体120の種類またはこれらの組合せに応じて使い分けることができる。
以下、濃度ムラ測定パッチ、階調調整パッチ、リアルタイム調整パッチの順に、画像形成装置100が、トナーの種類、媒体120の種類またはこれらの組合せに応じて、どのようなパッチを生成するのかについて説明する。なお、画像形成装置200も画像形成装置100と同様の手順でトナーの種類、媒体120の種類またはこれらの組合せに応じて生成するパッチを変更し得る。
(a.濃度ムラ測定パッチ)
まず、濃度ムラ測定パッチのバリエーションについて説明する。画像形成装置100は、主に媒体120の色、および/または、下地トナーを使用するか否かに基づいて、濃度ムラ測定パッチのバリエーションを使い分ける。
図9は、濃度ムラ測定パッチの第1の変形例を示す図である。図9の例では、画像形成装置100は透明フィルム(若しくはシール)および色付き剥離紙の組合せである媒体120に画像を印刷する。このような透明フィルム等を使用する場合、画像形成装置100は、顕色トナーによる画像を透明フィルムに印刷する前に、下地トナー(例えば、白トナーまたはその他の任意のトナー)を透明フィルムに印刷することがある。この場合、画像形成装置100は、顕色トナーの濃度ムラ測定パッチとは別に、下地トナーの濃度ムラ測定パッチを媒体120上に印刷する。
下地トナーは、例えば、白トナー等を含む。白トナーは、YMCK等の顕色トナーによる画像の背景、文字の印刷等の2階調画像の印刷に使用され得る。そのため、下地トナーの濃度ムラ測定パッチは、顕色トナーの濃度ムラ測定パッチのように幅広い階調のパッチを含む必要はない。一例として、下地トナーのパッチ910は、100%、95%、90%、80%等の狭い範囲の階調パッチから構成されていてもよい。下地トナーの濃度ムラ測定時のトンボ905は、必要に応じて下地トナーの画像の上に顕色トナーで印刷されてもよい。
画像形成装置100は、下地トナーのパッチ910を読み取る場合、背景として黒背景板312を使用し得る。例えば、下地トナーのパッチ901が白トナーのパッチであるとする。この場合に背景として白背景板311として使用すると、画像形成装置100(イメージスキャナ110)は、白色の下地トナーのパッチ910の濃度ムラを正確に読み取れない可能性がある。そこで、画像形成装置100は、白背景板311を使用した場合に読み取りに不都合が発生し得るパッチ(白トナーのパッチ等)を読み取る場合、黒背景板312を使用する。
ある局面において、画像形成装置100は、下地トナーのパッチ910を読み取る場合、背景として白背景板311を使用してもよい。例えば、下地トナーの色が白以外であるとする。この場合、画像形成装置100(イメージスキャナ110)は、背景として白背景板311として使用したとしても、下地トナーのパッチ910を適切に読み取れる可能性がある。このような場合、画像形成装置100は、白背景板311を使用し得る。なお、画像形成装置100は、パッチ910の読み取りに問題がないのであれば、黒背景板312を使用してもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、媒体120が透明フィルム(若しくはシール)および透明剥離紙の組合せであっても、上記の手順で下地トナーの濃度ムラ測定パッチを媒体120上に印刷することで、下地トナーの主走査方向の濃度ムラを測定し得る。
このように、画像形成装置100は、下地トナーを使用する場合、顕色トナーの濃度ムラ測定パッチとは別に、下地トナーの濃度ムラ測定パッチを印刷し、さらに、下地トナーの色に応じて背景板303の色を切り替える。これにより、画像形成装置100は、顕色トナーとは異なる性質を有する下地トナーの濃度ムラを正確に測定し、下地トナーの主走査方向の濃度ムラを補正し得る。下地トナーが有する顕色トナーとは異なる性質の一例は、画像または下地画像の形成に用いられるトナーの増減による画像階調もしくは濃淡の変化が、顕色トナーと下地トナーとでは逆になる場合があることである。下地トナーが有する顕色トナーとは異なる性質の他の例は、下地トナーは狭い範囲の階調しか必要としないことである。下地トナーは、この他にも顕色トナーとは異なる性質を有し得る。
図10は、濃度ムラ測定パッチの第2の変形例を示す図である。図10の例では、図9の例と同様に、画像形成装置100は透明フィルム(若しくはシール)および色付き剥離紙の組合せである媒体120に画像を印刷する。このような透明フィルム等を使用する場合、画像形成装置100は、下地トナーによる下地画像1010の上に各顕色トナーの濃度ムラ測定パッチ(パッチ1001,1002,1003,1004)を印刷することがある。パッチ1001,1002,1003,1004は、図6のパッチ601,602,603,604と同じであってもよい。図10の例では、画像形成装置100は、顕色トナーの主走査方向の濃度ムラを測定するため、白背景板311または黒背景板312のいずれを使用してもよい。
ある局面において、画像形成装置100は、媒体120が透明フィルム(若しくはシール)および透明剥離紙の組合せであっても、上記の手順で下地トナーの下地画像1010の上に各顕色トナーのパッチ1001,1002,1003,1004を印刷することで、顕色トナーの主走査方向の濃度ムラを測定し得る。
このように、画像形成装置100は、透明フィルム等の下地トナーを必要とする媒体120を使用する場合、下地トナーによる下地画像1010の上に各顕色トナーの濃度ムラ測定パッチを印刷する。それにより、画像形成装置100は、透明フィルム上で顕色トナーを直接印刷した場合に生じ得る課題を解決することができる。透明フィルムに顕色トナーを直接印刷した場合に生じ得る課題の一例は、画像の読み取り時に、汚れもしくは経年劣化等により、白背景板311または黒背景板312の表面にムラが生じることである。これにより、画像の読み取り誤差が発生し得る。透明フィルムに顕色トナーを直接印刷した場合に生じ得る課題の他の例は、下地トナーがある場合と下地トナーがない場合とで各顕色トナーの印刷濃度ムラの傾向が異なることである。これらの各課題により、透明フィルムに顕色トナーを直接印刷した場合に濃度ムラ補正に誤差が生じ得る。画像形成装置100は、図10に示されるような濃度ムラ測定パッチを用いることで、透明フィルム等の媒体120上での各顕色トナーの濃度ムラを正確に測定し、各顕色トナーの主走査方向の濃度ムラを補正し得る。
図11は、濃度ムラ測定パッチの第3の変形例を示す図である。図11の例では、図9および図10の例とは異なり、画像形成装置100は透明フィルム(若しくはシール)および透明剥離紙の組合せである媒体120に画像を印刷する。この場合、画像形成装置100は、下地トナーによる下地画像1110の上に各顕色トナーの濃度ムラ測定パッチ(パッチ1101,1102,1103,1104)を印刷する。パッチ1101,1102,1103,1104は、図6のパッチ601,602,603,604と同じであってもよい。
媒体120が透明フィルム(若しくはシール)および透明剥離紙の組合せである場合に、下地トナーとして白トナーが使用されるとする。その上で、白トナーの下地画像1110に濃度ムラが存在するとき、当該下地画像1110の濃度ムラは、下地画像1110の上に印刷された顕色トナーの濃度ムラ測定パッチの測定結果に多大な影響を及ぼす可能性がある。そのため、画像形成装置100は、透明な媒体120の上に白色の下地トナーを印刷し、さらにその上に顕色トナーの濃度ムラ測定パッチを印刷する場合、白背景板311を使用する。こうすることで、画像形成装置100は、下地画像1110の濃度ムラが顕色トナーの濃度ムラ測定パッチの測定結果に及ぼす影響を抑制し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、一旦、黒背景板312を使用し、下地画像1110にムラがあるか否かを判定してもよい。この場合、画像形成装置100は、下地画像1110にムラがあると判定した場合、白背景板311を用いて、顕色トナーの濃度ムラ測定パッチを測定し得る。そうでない場合、黒背景板312を用いて、顕色トナーの濃度ムラ測定パッチを測定し得る。
他の局面において、画像形成装置100は、一旦、黒背景板312を使用し、下地画像1110にムラがあるか否かを判定し、濃度ムラが無くなるように下地画像1110を補正してもよい。その上で、画像形成装置100は、白背景板311または黒背景板312のいずれかを用いて、顕色トナーの濃度ムラ測定パッチを測定し得る。
なお、白背景板311上では白トナーの濃度ムラは小さく目立たないことが多い。そのため、他の局面において、画像形成装置100は、白背景板311を用いて、顕色トナーの濃度ムラ測定パッチを測定および顕色トナーの印刷設定の補正を実行し、その後に、下地画像1110の濃度ムラ測定および白トナーの印刷補正を実行してもよい。
図12は、濃度ムラの補正のイメージの一例を示す図である。画像形成装置100は、一例として、図6,図9,図10,図11に示される濃度ムラ測定パッチを計測することで、下地トナー、顕色トナーの主走査方向の濃度ムラを測定し得る。
グラフ1201は、測定されたトナーの濃度ムラの一例である。グラフ1201によると、測定されたトナーは、主走査方向の位置(「主走査位置」とも呼ぶ)ごとに濃度が一定ではないことがわかる。グラフ1201は、画像濃度の目標値1202と一致することが望ましい。しかしながら、実際の測定結果によると、グラフ1201と画像濃度の目標値1202との間には、濃度偏差1203が存在する。なお、濃度偏差1203は、主走査位置ごとに求められる。
画像形成装置100は、グラフ1201および目標値1202に基づいて、測定されたトナーの濃度ムラを補正するための補正グラフ1211を生成する。より具体的には、画像形成装置100は、主走査位置ごとに、濃度偏差1203を反転させた補正値を生成し、当該補正値から補正グラフ1211を求める。画像形成装置100は、補正グラフ1211の値を原稿画像情報に加算することで、印刷時に発生する主走査方向の濃度ムラを抑制する。グラフ1221は、補正後の主走査方向の濃度ムラの一例を示す。
なお、原稿画像情報には、各色の補正グラフ1211の値が加算される。例えば、YMCKの4色の顕色トナーが印刷に使用される場合、原稿画像情報には、YMCKの4色の各々の補正グラフ1211の値が加算される。
ある局面において、画像形成装置100は、補正グラフ1211をルックアップテーブルとしてメモリーまたはストレージに保存し得る。この場合、補正グラフ1211は、補正値の離散値として表現され得る。このように、画像形成装置100は、濃度ムラ測定パッチのバリエーションを使い分けることで、媒体120の種類、下地トナーの有無、下地トナーが白トナーであるか否か、トナーの種類、中間調表現のためのハーフトーニング手法を使用するか否か、または、ハーフトーニング手法の種類等の多種多様な印刷条件が異なる場合でも、適切に各トナーの濃度ムラを測定し、かつ、各トナーの印刷設定を補正し得る。なお、ハーフトーニング手法とは、微小パターンの円形、矩形、線状、等の形状、誤差拡散、FMスクリーン等により、AMスクリーンの線数、角度もしくはスクリーン等を構成する手法である。
(b.階調調整パッチ)
次に、階調調整パッチのバリエーションについて説明する。画像形成装置100は、主に下地トナーを使用するか否かに基づいて、階調調整パッチのバリエーションを使い分ける。
図13は、階調調整パッチの変形例を示す図である。図13の例では、画像形成装置100は、基本となるYMCK等のトナーに加えて、顕色トナーとして1つ以上のS色のトナーを使用する。S色(スペシャル色、追加色、または特色)のトナーは、一例として、赤、青、蛍光色のマゼンタ等を含み得る。また、S色のトナーは、単色で使用されたり、他のトナーと混ぜて色域の拡大のために使用されたりすることもある。例えば、銀色または金色等のメタリック色がS色として使用されることがある。この場合、S色トナーの画像の上に各顕色トナーの画像を重ねることで、各種色調のメタリック調画像が得られる。また、S色は、白トナー等の下地用トナー、クリアトナー等の仕上げ用トナー(被覆材、とも呼ぶ)を含んでいてもよい。
画像形成装置100は、顕色トナーとして1つ以上のS色のトナーを使用する場合、階調調整パッチにS色のパッチも含める。より具体的には、画像形成装置100は、S色トナーによる単色の階調パッチ、単色ハーフトーンパッチ、他の基本色を含む混色パッチ等を必要に応じて階調調整パッチに含める。
図13の測定パッチ1組目は、YMCKのみの階調調整パッチである。測定パッチ2組目は、メタリック色(S色)を追加した階調調整パッチである。より具体的には、測定パッチ2組目は、メタリック色(例えば、金色メタリック色等)の下地画像の上に印刷される。すなわち、YMCKの各色のパッチ1301,1302,1303,1304は、下地画像の上に印刷される。また、下地画像そのものも印刷対象であるため、測定パッチ2組目は、下地画像のみのパッチ領域1310も含む。
パッチ1305は、パッチ位置抽出用のマーカー(トンボ)である。白色紙等の上では黒トナーによるトンボが使用される。しかしながら、メタリック色の下地画像の上に黒トナーのパッチが印刷されると、イメージスキャナ110は、当該パッチを認識しにくい可能性がある。そこで、画像形成装置100は、メタリック色と、メタリック色(例えば、金色メタリック色等)上で認識されやすい色(シアン等)とを組合せてパッチ1305を印刷する。ある局面において、トンボのパッチの色は、下地の色と補色関係にある色が選択されてもよい。
ある局面において、画像形成装置100は、S色の顕色トナーの特性に応じて、印刷する階調調整パッチを変更し得る。例えば、S色の顕色トナーが特色(画像に頻繁に現れる、画像を特徴付ける色)として使用される場合、特色のハーフトーンが使用されることはあっても、特色のトナーと他の顕色トナーと重ね合わせて色表現をする可能性は低い。このような場合、階調調整パッチは、S色トナーおよび他の顕色トナーの混色を含まなくてもよい。一方で、S色の顕色トナーが他の顕色トナーとの混色のために使用されることもある。このような場合、階調調整パッチは、S色トナーおよび他の顕色トナーの混色を含んでいてもよい。このように、追加されるS色トナーの特性や利用方法によって、必要とされるパッチの構成は異なる。そこで、画像形成装置100は、追加されるS色トナーの特性または利用方法によって、パッチの構成を変更し得る。また、画像形成装置100は、変更したパッチの構成に応じて、背景板303の選択、イメージスキャナ110の読み取り設定の変更を行い得る。
他の局面において、画像形成装置100は、オペレータからトナーの特定または階調調整パッチの設定を事前に受け付けてもよい。なぜならば、トナーの補充および調合は頻繁に行われるものではないため、画像形成装置100は、一度入力された設定を長期間使用することができるためである。
また、他の局面において、前回のパッチ印刷から更新履歴のあるトナー(補充または交換されたトナー等)がある場合、画像形成装置100は、当該更新履歴のあるトナーのパッチを印刷して読み取ることで、その特性を評価してもよい。画像形成装置100は、例えば、更新履歴のあるトナーのベタおよび各種階調のハーフトーンの単色パッチを印刷して読み取り、読み取った階調の変化具合から、更新履歴のあるトナーの特性を評価してもよい。画像形成装置100は、読み取った階調の変化具合が大きい場合、更新履歴のあるトナーは顕色トナー(さらに、基本色に対し中間色域であれば特色トナー、色域が大きければ追加の顕色トナー)であると評価し得る。そうでない場合(読み取った階調の変化具合が小さい場合)、更新履歴のあるトナーはクリアトナー等の被覆材であると評価し得る。もしくは、画像形成装置100は、操作表示部102に更新履歴のあるトナーの情報を表示し、オペレータに更新履歴のあるトナーの特性を選択させてもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、下地トナーのパッチを測定パッチ1組目および2組目にランダムに配置してもよい。また、他の局面において、画像形成装置100は、下地トナーのパッチを測定パッチ1組目および2組目に予め定めた手順で配置してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、階調調整パッチにおける濃度ムラの改善、隣接パッチ間の相互作用の軽減、平準化を行い得る。
また、他の局面において、画像形成装置100は、印刷に使用されるトナー数(色の数)に応じて、階調調整パッチに含まれるパッチの一部を間引いてもよい。印刷に使用されるトナー数が増加すると、階調調整パッチに含まれるパッチの数も急増する。そこで、画像形成装置100は、複数のパッチの各々の優先度に応じて、一部のパッチ群の階調数を間引いてもよいし、一部のパッチ群を印刷しなくてもよい。例えば、画像形成装置100は、階調調整パッチのトナーの階調数を100%、80%、60%、40%、20%の5段階から、優先度の低い階調数を間引いた、100%、80%、60%の3段階で構成してもよい。
画像形成装置100は、基本色トナーのベタ、基本色トナーのハーフトーン、顕色トナーのベタ、基本色トナー同士の混色ベタ、基本色トナーおよびそれ以外の顕色トナーの混色ベタ等、印刷されるパッチ(画像)ごとに優先度を設定し得る。また、画像形成装置100は、パッチ毎に優先度に応じた係数を設定してもよい。
また、優先度は、被覆材の有無の情報も含んでいてもよい。例えば、画像形成装置100は、「基本色トナーのベタおよび被覆材の組合せ」および「基本色トナー」の各々に異なる優先度を設定し得る。もしくは、画像形成装置100は、被覆材の有無に応じて、各パッチの優先度に係数を乗算、割算、加算、減算してもよい。さらに、画像形成装置100は、印刷履歴に基づいて(トナーの使用頻度等を参照して)、パッチ毎の優先度を動的に変更してもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、媒体120およびトナーの組合せに基づいて、トンボの識別性が最も良好となるトナー(またはトナーの組合せ)を特定し、パッチ印刷時に用いてもよい。なぜならば、トンボにどのようなトナー像を用いるのが好ましいかは、トナーの構成、媒体120の特性、背景板303により異なるためである。このことは、図7,図13に示されるような矩形トンボに限らず、図6,図9~図11に示されるような十字トンボ、図8に示されるようなマーカー812についても同様である。そのため、他の局面において、画像形成装置100は、濃度ムラ測定パッチまたはリアルタイム調整パッチの印刷時にも、媒体120およびトナーの組合せに基づいて、トンボの識別性が最も良好となるトナー(またはトナーの組合せ)を特定し、パッチ印刷時に用いてもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、媒体120またはトナーの種類に基づいて、トンボのサイズ、形状、数等を変更してもよい。例えば、光を反射するメタリック色のトナーの下地画像の上に印刷されたトンボ、および、白色紙以外の媒体上に印刷されるトンボ等は、明瞭さに欠ける場合がある。このような場合、画像形成装置100は、トンボのサイズを大きく(十時トンボであれば線を太く)したり、トンボを規則的に繰り返して印刷したり、または、イメージスキャナ110が読み取りやすいように複数のトンボの印刷パターンを変更したりしてもよい。図13の例では、シアンのパッチは、階調調整パッチの両サイドにおいて5箇所に印刷されている。また、その内の1つは2倍のサイズとなっている。このようにトンボを特徴的に配置することで、イメージスキャナ110によるトンボの読み取り精度を向上させ得る。
また、矩形トンボは、階調調整パッチの位置決めに使用される。そのため、画像形成装置100は、下地画像なしの黒トナーによるパッチ705と下地トナーおよびシアントナーのパッチ1305とを必ずしも併用しなくてもよい。画像形成装置100は、媒体120、トナー種類、背景板303の組み合わせに基づいて、最も読み取りやすい色または色の組合せを含むトンボを使用し得る。一例として、メタリックカラーの下地画像上に印刷されたシアンパッチおよびマゼンタパッチの境界が識別しやすい場合、画像形成装置100は、印刷されたシアンパッチおよびマゼンタパッチの境界線をトンボとして使用し得る。
図14は、階調補正曲線の一例を示す図である。画像形成装置100は、階調調整パッチを読み取ることで、各パッチの画像濃度の測定値を得る。点1401は、あるトナーの階調値ごとの画像濃度である。図14の例では、点1401は6つ存在する。すなわち、画像形成装置100は、6つの階調値におけるあるトナーの画像濃度を取得している。画像形成装置100は、点1401の集合から、グラフ1402またはグラフ1402の式を生成する。なお、画像形成装置100は、階調調整パッチに含まれるトナーの数だけ、点1401の取得と、グラフ1402またはグラフ1402の式の生成とを実行する。例えば、階調調整パッチに含まれるトナー数が5の場合、画像形成装置100は、5つのグラフ1402またはグラフ1402の式を生成する。
グラフ1403は、目標濃度のグラフであり、各トナーにおける階調値および画像濃度の理想的な相関関係を示す。画像形成装置100は、グラフ1402をグラフ1403に近づけることで、各トナーの階調毎の濃度ムラを抑制する。より具体的には、画像形成装置100は、グラフ1402またはグラフ1402の式から、階調補正曲線のグラフ1404を生成する。グラフ1404は、例えば、グラフ1403から見て、グラフ1402を反転させたものになる。実際には、グラフ1404は、ルックアップテーブル(グラフ1404の各点(離散値)を含む)として表現され得る。画像形成装置100は、各トナーの印刷設定をルックアップテーブルの値で補正することで、各トナーの階調毎の濃度ムラを抑制し得る。なお、画像形成装置100は、階調調整パッチに含まれるトナーの数だけ、ルックアップテーブルを生成し、当該ルックアップテーブルをメモリーまたはストレージに保存する。画像形成装置100は、印刷の実行時に、メモリーまたはストレージから過去に生成した各トナーのルックアップテーブルを取得して、当該各トナーのルックアップテーブルの値を各トナーの印刷設定に反映する。
(c.リアルタイム調整パッチ)
次に、リアルタイム調整パッチのバリエーションについて説明する。画像形成装置100は、主に下地トナーおよび/または被覆材(クリアトナー等)を使用するか否かに基づいて、リアルタイム調整パッチのバリエーションを使い分ける。
図15は、リアルタイム調整パッチの第1の変形例を示す図である。図15の例では、画像形成装置100は、下地トナーによる下地画像1501の上に顕色トナーによる画像を印刷している。
このような場合、画像形成装置100は、リアルタイム階調パッチ810およびカラーレジスト測定パッチ820の全てを包含するように、下地画像1501を媒体120に印刷してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、下地画像1501の上に印刷されたリアルタイム階調パッチ810を読み取とることができる。すなわち、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツと同じ条件で印刷されたリアルタイム階調パッチ810を読み取とることができる。こうすることで、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツに含まれる各色の階調および色調の変化を適切に測定し、かつ、各色の印刷設定を補正し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ820を避けて、リアルタイム階調パッチ810を包含するように下地画像1501を媒体120に印刷してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ820に対する、例えばメタリックカラーの下地画像1501による反射等のノイズの影響を抑制し得る。その上で、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツと同じ条件で印刷されたリアルタイム階調パッチ810を読み取とることができる。
なお、画像形成装置100は、下地画像1501を印刷した部分とそうでない部分の両方を含むようにリアルタイム調整パッチ800を構成してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、媒体120そのものの特性を読み取り、媒体120上に直接印刷されたカラーレジスト測定パッチ820の識別をより正確に行うことができる。または、画像形成装置100は、パッチとパッチの間の余白を読み取ることで、媒体120の特性を取得してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、光沢度を整えるクリアトナーのような被覆材を使用する場合、リアルタイム階調パッチ810およびカラーレジスト測定パッチ820の全てを包含するように、被覆材による仕上げ画像を媒体120に印刷してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、被覆材を使用する場合でも、ユーザーコンテンツと同じ条件で印刷されたリアルタイム階調パッチ810を読み取とることができる。
他の局面において、画像形成装置100は、光沢度を整えるクリアトナーのような被覆材を使用する場合、カラーレジスト測定パッチ820を避けて、リアルタイム階調パッチ810を包含するように被覆材による仕上げ画像を印刷してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ820に対する、例えばクリアトナー等の仕上げ画像による反射等のノイズの影響を抑制し得る。その上で、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツと同じ条件で印刷されたリアルタイム階調パッチ810を読み取とることができる。
他の局面において、画像形成装置100は、リアルタイム階調パッチを構成する色(グラデーション画像811の色)を適宜変更してもよい。一例として、グラデーション画像811は、基準色(例えば、YMCK)、基準色による混色(例えば、二次色、三次色)、および、特色(ユーザー指定の特別な色)の全てまたは一部を含み得る。
一例として、画像形成装置100は、基準色トナーに追加されるトナーが顕在色トナーの場合に、当該追加されるトナーの色相を事前パッチの読み取り結果をもとに識別し、さらに、当該トナーの代替となる基本色を決定して、グラデーション画像811のパッチ構成を入れ替えてもよい。
なお、印刷されたパッチの色が基本色(代替となる基本色)なのか、特色(追加されるトナーの色)なのか識別できると便利であるため、画像形成装置100は、複数のカラーレジスト測定パッチ820のパターンを使い分けることで、カラーレジスト測定パッチ820に、グラデーション画像811が含む色の情報(特色が含まれるか否か等)を持たせてもよい。例えば、追加された特色(例えば単色の「赤」:Rトナー)と、基本色として予め用意されたパッチ色(例えばMおよびY等を重ねて得られる混色の「赤」)とでは、類似の色調ではあるが、描画の方法が異なる。そのため、追加された特色と予め用意されたパッチ色とでは、色調描画の安定性が印刷機の状況により異なることがある。そのため、画像形成装置100は、状況に応じて、リアルタイム調整パッチに占める、追加された特色および予め用意されたパッチ色の出現頻度を変えることが望ましい。画像形成装置100は、上記のように複数のカラーレジスト測定パッチ820のパターンを使い分けることで、読み取ったパッチが、追加された特色であるかまたは予め用意されたパッチ色であるかを判別し、各色パッチの出現頻度を算出し得る。画像形成装置100は、パッチ色の判別結果および算出した各色パッチの出現頻度に基づいて、追加された特色および予め用意されたパッチ色の出現頻度を変えることで、安定性がより劣るトナーのパッチの出現頻度を向上させ得る。
図16は、リアルタイム調整パッチの第2の変形例を示す図である。図16の例では、画像形成装置100は、媒体120に特色を含む画像を印刷している。
特色は、ユーザーコンテンツを特徴付ける色である。ラベルプリンタ等において、これらの特色は、印刷物の品質または商品価値の重要な位置を占める場合がある。特色には、一例として、YMCK等の基準色の混色、専用の特色トナー(蛍光色等)が使用されることがある。また、特色による画像は、メタリック色の下地画像の上に印刷されることもある。特色がユーザーコンテンツに使用される場合、リアルタイム調整パッチ800による基準色の品質維持に加え、これら特色の品質維持が必要とされる。
そこで、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツ上に高頻度で出現する特色の画像を検査画像(特色用のリアルタイム調整パッチ)として使用する。
図16の例では、ユーザーコンテンツ中に特色P、特色G、特色Rが繰り返し出現している。画像形成装置100(イメージスキャナ110)は、繰り返し出現する特色P、特色G、特色Rを読み取る。より具体的には、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツのジョブ情報から、特色の位置を算出する。一例として、画像形成装置100は、各特色の位置をマーカー812からの相対位置として算出してもよい。図16の例では、画像形成装置100は、マーカー812に対する特色P、特色G、特色Rの各々の相対位置1601を算出している。
画像形成装置100(イメージスキャナ110)は、相対位置1601にある各特色を読み取る処理を繰り返すことで、各特色の濃度変化等を検出し得る。画像形成装置100は、検出した各特色の濃度変化に基づいて、各特色の印刷設定を補正し得る。
特色はユーザーコンテンツに高頻度で出現する。そのため、ある局面において、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツ上の一部の特色画像を読み取って(例えば、一定間隔で出現する特色画像を読み取って)、印刷設定の補正処理を行ってもよい。また、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツ上の全ての特色画像を読み取って、印刷設定の補正処理を行ってもよい。
上記のように、ユーザーコンテンツ内の特色画像を検査画像として使用することで、画像形成装置100は、特色画像の品質を保ち得る。さらに、画像形成装置100は、リアルタイム調整パッチ800を基本色の読み取りに特化して使用することができる。その結果、画像形成装置100は、基本色のリアルタイム調整パッチ800を高頻度で読み取ることができ、基本色を使用した画像の品質も高いレベルで保ち得る。または、画像形成装置100は、グラデーション画像811の一部の色を特色に置き換えてもよい。例えば、画像形成装置100は、グラデーション画像811の中から使用頻度の低い色を削除して、代わりに、特色をグラデーション画像811に追加してもよい。
ある局面において、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツ内の特色画像の面積が小さく、イメージスキャナ110による特色画像の読み取り精度に影響が出る可能性がある場合、操作表示部102に警告メッセージを表示してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツ内の特色画像の面積が小さく、イメージスキャナ110による特色画像の読み取り精度に影響が出る可能性がある場合、印刷設定の補正処理に対する、ユーザーコンテンツ内の検査画像(特色読み取り結果)の関与の比率を低減させてもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、媒体120の特性、下地トナー、被覆材の使用の有無などの各種条件に基づいて、イメージスキャナ110の画像読み取り処理の各種設定を変更してもよい。各種設定は、例えば、イメージスキャナ110の読み取り処理時の背景板303の変更、イメージスキャナ110の露光条件の調整等を含み得る。
一例として、ユーザーコンテンツはクライアントに納品する製品であるため、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツに下地画像を重ね合わせてイメージスキャナ110の読み取り精度を向上させるようなことはできない。そのため、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツに含まれる特色画像を読み取る場合には、読み取り時の背景板303の色および/または露光条件をユーザーコンテンツに合わせて設定してもよい。
また、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツに合せてイメージスキャナ110の画像読み取り処理の各種設定をした場合に、リアルタイム調整パッチ800の読み取り精度が低下したとする。このような場合、画像形成装置100は、リアルタイム調整パッチ800に白トナーによる下地画像を加えてもよい。これにより、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツ内の特色と、リアルタイム調整パッチ800とを高精度に読み取ることができる。
図17は、画像形成装置100が各パッチを使用するタイミングの一例を示す図である。図17を参照して、画像形成装置100が、各種パッチを使用するタイミングについて説明する。併せて、媒体120の補充または交換が発生した場合の画像形成装置100の動作についても説明する。
画像形成装置100は、安定化処理(印刷設定の調整等)と、印刷処理とを交互に繰り返す。印刷処理は、複数回のジョブの実行を含み得る。
図17を例に説明すると、最初に、画像形成装置100は、安定化処理1701を実行する。安定化処理1701において、画像形成装置100は、画像形成部104によって実行される帯電、露光および現像の設定の調整を行う。また、画像形成装置100は、現像されたトナー像を感光体から中間転写ベルトに転写する際の電位制御の特性等を予め定められた状態に保つための各種調整も実行する。併せて、画像形成装置100は、安定化処理1701において、図6、図9、図10または図11に示されるような濃度ムラ測定パッチの印刷および読み取りと、図7または図13に示されるような階調調整パッチの印刷および読み取りとを実行し得る。画像形成装置100は、読み取った情報に基づいて、第1の目標値(原稿の階調値の目標値であり、図14の階調補正曲線のグラフ1404等に相当する。また、原稿の階調値の目標値は、印刷設定に含まれていてもよい)を作成する。安定化処理1701は最初の印刷ジョブの実行前の処理なので、画像形成装置100は、安定化処理1701において、最初の目標値(または印刷設定)を決定しているとも言える。なお、濃度ムラ測定パッチおよび階調調整パッチは、安定化処理の実行中に、1回または複数回作成され得る。
次に、画像形成装置100は、印刷処理1702を実行する。印刷処理1702は、第1の印刷ジョブと、第2の印刷ジョブと、第3の印刷ジョブとを含む。画像形成装置100は、画像形成装置100(画像形成部104周辺等)の環境の変化(温度・湿度変化等)を検知するか、予め定めた量の媒体120に印刷処理を実行し終わる(即ち1つのジョブの印刷が終了)するまで、印刷処理1702を継続する。印刷処理1702において、画像形成装置100は、図8、図15または図16に示されるようなリアルタイム調整パッチの印刷および読み取りを実行する。画像形成装置100は、読み取った情報に基づいて、目標値を補正する。なお、リアルタイム調整パッチは、印刷ジョブの実行中に1回または複数回(多くは印刷ジョブの長さ(ページ数、印刷した距離等)に応じた複数回)作成され得る。
次に、画像形成装置100は、安定化処理1703を実行する。安定化処理1703において、画像形成装置100は、濃度ムラ測定パッチの印刷および読み取りと、階調調整パッチの印刷および読み取りとを再度実行する。画像形成装置100は、読み取った情報に基づいて、新しく第2の目標値を作成する。
次に、画像形成装置100は、印刷処理1704を実行する。印刷処理1702は、第4の印刷ジョブと、第5の印刷ジョブとを含む。印刷処理1704において、画像形成装置100は、リアルタイム調整パッチの印刷および読み取りを再度実行する。画像形成装置100は、読み取った情報に基づいて、目標値を補正する。
第5の印刷ジョブの実行後に、媒体120が切れているため、オペレータは、新しい媒体120を画像形成装置100にセットする。このとき、画像形成装置100は、直前の印刷ジョブで使用した目標値(第2の目標値)を新しくセットされた媒体120の印刷設定に引き継ぐか否かを判定する。
より具体的には、画像形成装置100は、媒体120が画像形成装置100にセットされる毎に媒体120の特性を読み取り、当該媒体の特性をメモリーまたはストレージに保存しておく。そして、画像形成装置100は、媒体120の補充または交換があった場合に、直前まで使用していた媒体120(図17における第1の媒体)の特性と、新しく画像形成装置100にセットされた媒体120(図17における第2の媒体)の特性とを比較する。画像形成装置100は、第1の媒体の特性と、第2の媒体の特性とが同一、または、その差分が予め定めた閾値以下である場合、第1の媒体および第2の媒体が同種の媒体であると判定し、第2の目標値を引き継ぐ。そうでない場合(第1の媒体および第2の媒体が異なる種類の媒体であると判定した場合)、第2の目標値を引き継がない。
ある局面において、画像形成装置100は、過去の印刷で使用した各媒体120の特性および目標値(原稿の階調値)をメモリーまたはストレージに保存しておいてもよい。この場合、画像形成装置100は、新しく画像形成装置100にセットされた媒体120の特性と、過去に使用した各媒体120の各特性とを比較する。こうすることで、画像形成装置100は、新しい媒体120に一致または類似する媒体120の目標値がある場合は、それを流用し得る。
他の局面において、画像形成装置100は、直前の印刷ジョブの目標値を引き継がない場合、目標値を新たに設定する。新たな目標値は、例えば、グラフ1403に相当する目標値(理想的な目標値)であってもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、印刷ジョブの実行中に、引き継いだ目標値または新しい目標値を補正してもよい。より具体的には、画像形成装置100は、印刷ジョブの野実行中にリアルタイム調整パッチを読み取り、その結果に基づいて、引き継いだ目標値または新しい目標値を補正し得る。
他の局面において、画像形成装置100は、新しい媒体120の目標値と、直前の印刷ジョブで使用された媒体120(古い媒体)の目標値とを合成した合成目標値を作成してもよい。この場合、画像形成装置100は、合成目標値を使用して、新しい媒体120に画像を印刷し得る。こうすることで、新しい媒体120の印刷結果と、古い媒体120の印刷結果とをより近づけることができる。例えば、画像形成装置100は、印刷のロットごとに印刷画像の変化が発生すること等を防止し得る。
他の局面において、画像形成装置100は、媒体120が異なる種類の媒体120に交換されたか否かを判定するために、トナー像センサー109を使用してもよい。画像形成装置100によって使用される各媒体120には、イメージスキャナ110による読み取りにおいて近い特性を示すが互いに異なる媒体120が存在する。例えば、白色度の高い厚手のコート紙と、白色度の高い嵩高で空隙の多い用紙とは、イメージスキャナ110による読み取りにおいて近い特性を示す。そのため、画像形成装置100は、これらを同じ媒体120であると認識する可能性がある。しかしながら、画像を印刷された場合、白色度の高い嵩高で空隙の多い用紙の画像よりも、コート紙の画像のほうが、濃度が高くなる傾向がある。
そこで、画像形成装置100は、トナー像センサー109から取得した中間転写ベルト上のトナー像の濃度情報を取得し、さらに、イメージスキャナ110から当該トナー像に対応する媒体120上の画像の濃度情報を取得する。そして、画像形成装置100は、トナー像の濃度と、画像の濃度とを比較する。画像形成装置100は、トナー像の濃度および画像の濃度の関係に変化があった場合、媒体120が異なる種類の媒体に交換されたと判定する。こうすることで、画像形成装置100は、直前まで使用していた媒体120(古い媒体)と、新しい媒体120とが近い特性を示す場合でも、古い媒体120と新しい媒体120とが異なる媒体であると判定し得る。
媒体120の交換後、画像形成装置100は、印刷処理1705を実行する。印刷処理1705は、第5の印刷ジョブと、第6の印刷ジョブとを含む。画像形成装置100は、引き継いだ目標値または新しく設定された目標値を使用して、印刷処理を実行する。
図18は、階調補正曲線の調整の一例を示す図である。画像形成装置100は、過去に印刷に使用した媒体120ごとの階調補正曲線のルックアップテーブルをメモリーまたはストレージに格納する。階調補正曲線(またはそのルックアップテーブル)は、図17を参照して説明した目標値のことである。
例えば、画像形成装置100が、過去に第1の媒体および第2の媒体を用いて印刷処理を実行したとする。この場合、画像形成装置100は、第1の媒体の階調補正曲線(グラフ1801)のルックアップテーブルと、第2の媒体の階調補正曲線(グラフ1802)のルックアップテーブルとをメモリーまたはストレージに格納する。これらのグラフ1801,1802の各々は、図17を参照して説明した第1の目標値および第2の目標値の各々に相当する。
画像形成装置100は、新しい媒体120の印刷の際に、過去の目標値(グラフ1801,1802等)を引き継げる場合は、過去の目標値を使用する。そうでない場合、画像形成装置100は、例えば、傾き45度の階調補正曲線(直線)(グラフ1803)を新しい目標値として使用し得る。画像形成装置100は、印刷処理の実行中に、リアルタイム調整パッチを読み取ることで、新しい目標値を段階的に補正し得る(グラフ1804,1805のように)。
ある局面において、画像形成装置100は、リアルタイム調整パッチを読み取ることで、引き継いだ目標値を段階的に補正してもよい。他の局面において、画像形成装置100は、補正後の新しい目標値(例えば、グラフ1805)と、直前の印刷ジョブに使用されていた目標値とを合成(平均化等)してもよい。これにより、画像形成装置100は、前後の印刷ジョブで、印刷画像に大きな差異が発生することを抑制し得る。
図19は、カラーレジスト測定パッチのバリエーションの一例を示す図である。画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ1901を媒体120に印刷し、当該カラーレジスト測定パッチ1901を解析することで、図8を参照して説明したように、副走査方向の印刷ずれ(カラーレジストずれ)を検出し得る。
画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ1902を媒体120に印刷し、当該カラーレジスト測定パッチ1902を解析することで、カラーレジスト測定パッチ1901と同様の仕組みで、主走査方向のカラーレジストずれ(例えば、媒体120のねじれにより発生する場合がある)を検出し得る。
画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ1903(黒色のマークが縦横方向にあるパッチ例)や1904(黒色のマークに切り欠きを入れ、図の横方向の位置特定を容易にしたパッチ例)を媒体120に印刷し、当該カラーレジスト測定パッチ1903,1904を解析することで、カラーレジスト測定パッチ1901と同様の仕組みで、副走査方向および主走査方向のカラーレジストずれの両方を検出し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、カラーレジスト測定パッチ1901,1902,1903,1904の全てまたは一部を組み合わせて使用してもよい。
<E.パッチの読み取り設定およびパッチの加工>
媒体120の種類、トナーの種類またはこれらの組合せが原因で、パッチの読み取り処理には様々な課題が発生し得る。そこで、画像形成装置100は、媒体120の種類、トナーの種類またはこれらの組合せに基づいて、パッチの使い分けだけでなく、パッチの読み取り設定の変更、パッチの読み取り精度を向上させるためのパッチの加工を行う。
まず、図20~図24を参照して、媒体120の種類、トナーの種類またはこれらの組合せが原因で発生し得るパッチの読み取り処理に関する課題の一例について説明する。なお、図20~図24に示される媒体120およびトナーの組合せは一例である。図20~図24に示されていない媒体120およびトナーの組合せであっても、後述するパッチの読み取り処理に関する課題を引き起こし得る。
図25~図35に示される解決手段は、図20~図24に示される各課題の少なくとも1つを解決し得る。また、図25~図35に示される解決手段は、図20~図24に示されていない媒体120およびトナーの組合せにより引き起こされた類似の課題の少なくとも1つについても当然解決し得る。
図20は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1の課題の一例を示す図である。第1の課題は、透明フィルムまたはこれに類する媒体120を使用した場合に発生し得るパッチの影および輪郭ボケ(にじみ)等に関する。
図20の例では、イメージセンサー301は、白背景板311を用いて、透明フィルム(媒体120)上のパッチを読み取っている。この場合、ライト302からの光は、例えば、3つの光路2001,2002,2003のいずれかを通って、イメージセンサー301に到達する。
光路2001において、光は、パッチおよび透明フィルムを通過して、白背景板311によって反射され、パッチと透明フィルムを再度通過して、イメージセンサー301に到達する。
光路2002において、光は、パッチを通過せずに透明フィルムを通過して、白背景板311によって反射され、パッチと透明フィルムを通過して、イメージセンサー301に到達する。
光路2003において、光は、パッチおよび透明フィルムを通過して、白背景板311によって反射され、パッチを通過せずに透明フィルムを通過して、イメージセンサー301に到達する。
イメージセンサー301は、光路2001,2002,2003のいずれかを通過した光の各々を読み込むことになる。この場合、各経路の光が原因で、読取画像には影および/または輪郭ボケ(にじみ)等のノイズが発生する。画像2005は、イメージセンサー301が読み取った読取画像の一部である。場所2010では、パッチの影が透明フィルムに写り込んでいる。また、スジ2020は、白背景板311の汚れが透明フィルムに映り込むことにより発生する。また、場所2030では、隣接パッチの影が透明フィルムに映り込んでいる。場所2040は、パッチの内部であり、影等の影響はあまり受けていない。また、パッチの外周ではパッチおよび媒体120間のコントラストが低すぎる、影の影響、またはその他の影響により、パッチの外周が輪郭ボケする(にじむ)場合がある。
図21は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第2の課題の一例を示す図である。第2の課題は、金属蒸着フィルムのような鏡面反射の特性を有する媒体120を使用した場合に発生し得るパッチの階調の反転および光の反射等に関する。
画像2115は、イメージセンサー301による透明フィルムおよび青色剥離紙上のパッチの読み取り画像である。金属蒸着フィルムにも同様のパッチを印刷した場合、イメージセンサー301は、画像2105のような本来のパッチ(画像2115のパッチ)の見た目とは大きく異なる画像を取得してしまう。以下その原因について説明する。
図21の例では、イメージセンサー301は、白背景板311を用いて、金属蒸着フィルム(媒体120)上のパッチを読み取っている。この場合、ライト302からの光は、例えば、3つの光路2101,2102,2103のいずれかを通って、イメージセンサー301に到達する。
光路2101において、光は、金属蒸着フィルム上の階調がある程度高い(ある程度濃い)パッチで反射されてイメージセンサー301に到達する。より具体的には、光が金属蒸着フィルム上の階調がある程度高い(濃い)パッチに照射された場合、その光がパッチ表面またはパッチ描画色材で散乱する。そして散乱した光の一部がイメージセンサー301に到達する。そのため、光路2101を通る光を介して読み取られるパッチの部分2110は、パッチが濃くなるほど、読み取り階調が明るくなる「逆階調特性」を有する状態となる。
光路2102において、光は、金属蒸着フィルム上の階調がある程度小さい(薄い)パッチ、または、パッチが印刷されていない範囲で反射されてイメージセンサー301に到達する。パッチの階調が低いため、光は、金属蒸着フィルムの表面で鏡面反射され入射角とは逆の方向に反射する。そのため、イメージセンサー301に向かう光が減少する。結果として、光路2102を通る光を介して読み取られるパッチの部分2120は、暗い画像になる。
光路2103は、光が金属蒸着フィルム上のパッチの階調が高い(濃い)パッチで反射されてイメージセンサー301に到達する。パッチの階調が高いため、光は、パッチによって吸収されやすい。そのため、光路2103を通る光を介して通じて読み取られるパッチの部分2130は、暗い画像になる。
図22は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第3の課題の一例を示す図である。第3の課題は、黒背景板312を用いて、透明フィルムまたはこれに類する媒体120のパッチを読み込んだ場合に発生し得る黒背景板312による光の吸収等に関する。
画像2215は、イメージセンサー301による透明フィルムおよび青色剥離紙上のパッチの読み取り画像である。透明フィルム(もしくは、透明フィルムおよび透明剥離紙)にも同様のパッチを印刷し、黒背景板312を使用して画像を取得した場合、イメージセンサー301は、画像2205のような本来のパッチ(画像2215のパッチ)の見た目とは大きく異なる画像を取得してしまう。以下その原因について説明する。
図22の例では、イメージセンサー301は、黒背景板312を用いて、透明フィルム上のパッチを読み取っている。この場合、ライト302からの光は、例えば、3つの光路2201,2202,2203のいずれかを通って、イメージセンサー301に到達する。
光路2201において、光は、その一部が透明フィルム上の階調がある程度高い(ある程度濃い)パッチで反射されてイメージセンサー301に到達する。光路2202において、光は、その一部が透明フィルム上の階調が高い(濃い)パッチで反射されてイメージセンサー301に到達する。
透明フィルム上のパッチの階調が濃くなる程、パッチにより反射されてイメージセンサー301に向かう光の量が増える。その結果、パッチが濃くなるほど、読み取り階調が明るくなる(「逆階調特性」とも呼ぶ)。ただし、黒背景板312を使用したことにより反射する光の量は少ないため、全体的に読み取り画像は暗くなり、階調変化も少なくなる。そのため、光路2201を通る光を介して読み取られるパッチの部分2210から、光路2202を通る光を介して読み取られるパッチの部分2220にかけて、暗いグラデーションの画像が得られる。
光路2203において、光は、透明フィルム上の階調がある程度小さい(薄い)パッチ、または、パッチが印刷されていない範囲に照射される。光は、透明フィルムを通過して、黒背景板312に吸収される。そのため、イメージセンサー301には、ほとんど光が到達しない。その結果、光路2203を通る光を介して通じて読み取られるパッチの部分2230は、暗い画像になる。
上記のように、白背景板311を用いて透明フィルム上のパッチを読み込む場合、背景板または隣接パッチ等の影が問題となることに対して、黒背景板312を用いて透明フィルム上のパッチを読み込む場合、黒背景板312による光の吸収および逆階調特性が問題となる。黒用紙上にカラーパッチを印刷した場合でも、同様の問題が発生する。
図23は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第4の課題の一例を示す図である。第4の課題は、ホログラム紙を用いた場合の問題、または、白背景板311を用いて透明フィルム上のパッチを読み込む順序に起因する問題、その他の任意の問題等である。
画像2300は、イメージセンサー301による透明フィルムおよび青色剥離紙上のパッチの読み取り画像である。画像2310は、イメージセンサー301によるホログラム紙上のパッチの読み取り画像である。画像2320は、イメージセンサー301による透明フィルム(もしくは、透明フィルムおよび透明剥離紙)上のパッチの読み取り画像である。ホログラム紙および透明フィルムにも、透明フィルムおよび青色剥離紙と同じパッチが印刷されている。しかしながら、イメージセンサー301は、画像2310および画像2320のような本来のパッチ(画像2300のパッチ)の見た目とはある程度異なる画像を取得してしまう。以下その原因について説明する。
ホログラム紙は、パッチの階調が薄い部分では、回折効果によりライト302からの光を様々な方向に反射する。そのため、イメージセンサー301による読み取り画像は、ホログラムのパターン2311を含むことがある。ホログラムのパターン2311は、画像分析の際にノイズとなり得る。
白背景板311を用いて透明フィルム上のパッチを読み込んだ場合の画像2320は、透明フィルムおよび青色剥離紙上のパッチを読み込んだ場合の画像2300と比較して、光の回り込みまたは反射等の影響で、全体的にパッチの階調(濃度)が薄くなる傾向がある。また、パッチを読み込む順序により、例えば、2つあるライト302の光量が相互に異なること、媒体120と白背景板311との間に間隔が空いていること、が重なる、等の原因で、読み取り画像が異なる場合がある。パッチを読み込む順序とは、昇順2321(薄いパッチから濃いパッチを読み込むこと)と、降順2322(濃いパッチから薄いパッチを読み込むこと)とを含む。
その他にも、透明フィルムおよび白剥離紙上の白パッチ(図示せず)等は、媒体120およびパッチ間のコントラストが小さくなり、イメージスキャナ110での読み取りが困難になる。
図24は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第5の課題の一例を示す図である。第5の課題は、黒用紙上のカラーパッチを読み取る場合に、黒用紙が光を吸収してしまうことである。
YMCK等の顕色トナー自体は、各色の光を直接反射して色調を表現するわけではなく(一部反射することもある)、各顕色トナーによる画像を透過した光を選択的に吸収することによって色調を表現する。例えば、Y(イエロー)の画像は、イエロー以外の光(つまり、ブルー光)を選択的に吸収し、イエローの光を通過させる。そのため、イメージセンサー301は、ライト302からの光を用いてカラーパッチを読み込む場合、カラーパッチの裏側にある媒体120または背景板303で反射された光を観測する必要がある。しかしながら、黒用紙は光をほとんど反射しないため、黒用紙上にカラーパッチが直接印刷された場合、イメージセンサー301は、カラーパッチからの反射光を検知できない。その結果、得られる読取画像は、画像2401のようになる。画像2401の位置には実際にはカラーパッチがあるが、イメージセンサー301が反射光を検知できないため、何もないように見える。
この問題を解決する1つ目の方法は、白トナーによる下地画像を印刷し、当該下地画像の上にカラーパッチを印刷することである。こうすることで、白トナーによる下地画像は、ライト302からの光を反射する。その際、カラーパッチは、反射光を選択的に吸収し、特定の色の光のみを通過させる。その結果、得られる読取画像は、画像2402のようになる。
この問題を解決する2つ目の方法は、画像処理等により、読取画像を階調調整して明るくするか、または、ライト302の照明光の輝度を高くすることである。これにより、黒用紙から反射される光の量が増えるため、イメージセンサー301は、カラーパッチを通過する色を取得することができる。例えば、画像2401を画像処理により階調調整した画像は、画像2403のようになる。なお、画像2403にはノイズが発生しているが、照明光を調整することで、画像処理によるパッチの階調調整よりも、ノイズを減らすことができる。
他の例で、画像2402を画像処理により階調調整した画像は、画像2404のようになる。白トナーによる下地がある状態で画像の輝度を上げると、カラーパッチの階調が飽和する可能性がある。ある局面において、画像形成装置100は、パッチ描画の状況(下地の有無、カラーパッチの階調値等)に応じて、照明の光量や色調(例えばRGB各々の別個の光量)を調整してもよい。例えば、本発明では、後述する事前パッチの印刷時に、パッチの背景またはトナー構成に応じて、ライト302の光量または色調を設定してもよい。
図25は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第1の解決方法の一例を示す図である。第1の解決方法は、主に、パッチのにじみ(輪郭ボケ)および/または影の影響(図20を参照して説明された課題)を抑制し得る。
白色紙上に印刷されたパッチ2501と、透明フィルム上に印刷されたパッチ2511とを比較すると、パッチ2511は、白背景板311の影、隣接パッチの影等の影響で、輪郭ボケ2513が発生することがある。そこで、画像形成装置100は、パッチ2511を読み取るときに、輪郭ボケの影響を受けないように、媒体の種類に基づいて、パッチ2511の読取り範囲に一定のマージンを設けてもよい。また、画像形成装置100は、媒体の種類によっては、パッチ2511の読取り範囲にマージンを設けなくてもよい。図25の例では、画像形成装置100は、パッチ2511を読み込むとき、読取り範囲を領域2512に設定している。このようにパッチの外周を敢えて読取り範囲から除外することで、画像形成装置100は、パッチの読取画像の分析に対する、パッチの影またはにじみの影響を抑制し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、読取りマージンを調節してもよい。読み取り設定2520は、輪郭ボケの大きさに応じて、パッチの読み取りマージンを調整するための設定である。
他の局面において、画像形成装置100は、読取りマージンを固定化してもよい。読み取り設定2530は、輪郭ボケの大きさによらず、常に一定のパッチ読み取りマージンを使用するための設定である。
また、他の局面において、画像形成装置100は、リアルタイム階調パッチ810に含まれるマーカー812のエッジから、ボケを検出および/またはボケ量を推定し得る。画像形成装置100は、読み取り設定2520を使用する場合、推定したボケ量に基づいて、パッチの読み取りマージンを調整し得る。また、画像形成装置100は、読み取り設定2530を使用する場合、ボケの有無に基づいて、パッチの読み取りマージンを使用するか否かを判定し得る。
さらに、他の局面において、画像形成装置100は、輪郭評価用パッチを、媒体120に別途印刷し、当該輪郭評価用パッチをボケの検出および/またはボケ量の推定に使用し得る。画像形成装置100は、輪郭評価用パッチの評価結果に基づいて、パッチの読み取りマージンを調整、または、パッチの読み取りマージンを使用するか否かを判定し得る。
例えば、媒体が白色紙の場合、媒体上のパッチ描画が安定し、より小さい測定面積でも十分な読み取り精度が得られる可能性が高く、複数のパッチを含めたパッチ画像全体の大きさが変化しないため、マージン調節方式が適している。
一方で、媒体が透明フィルムの場合、透明フィルムを透過した光が背景板で反射し、再び透明フィルムを透過して読み取られるまでの経路において、背景板の汚れ等(ノイズ)の影響が発生する可能性があり、読取面積を一定以上確保したほうが好ましいため、読取範囲固定方式が適している。
図26は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第2の解決方法の一例を示す図である。第2の解決方法は、主にリアルタイム階調パッチ810で輪郭ボケまたはにじみ等が発生した場合(図20を参照して説明された課題)に有効である。
パッチの輪郭ボケまたはにじみ等がパッチ読み取り精度に及ぼす影響を抑制する方法として、図25を参照して説明したように、パッチの読取りマージンをパッチに設けることが有効である。輪郭ボケの影響を受けないためのリアルタイム階調パッチ810に読取範囲は、例えば、領域2600になる。領域2600は、主走査方向の幅が、リアルタイム階調パッチの主走査方向の幅よりも小さく設定される。
パッチの読取りマージンをパッチに設けることで、輪郭ボケのパッチ読み取りに対する影響をある程度抑制し得るが、ここで、もう1つの問題が発生し得る。パッチの読取りマージンをパッチに設けるとパッチの読み取り可能範囲が小さくなるため、イメージセンサー301のパッチ読み取り精度が下がってしまう場合がある。そのため、画像形成装置100は、必要に応じて、パッチサイズを変更できることが望ましい。
しかしながら、リアルタイム階調パッチ810の主走査方向の幅は印刷余白に対応しているため、広げることは困難である。一方で、リアルタイム階調パッチ810の副走査方向(媒体120の搬送方向)の幅は、拡張できる余地がある。画像形成装置100は、例えば、媒体の種類に基づいて、リアルタイム階調パッチ810をリアルタイム階調パッチ2610のように副走査方向に拡張し得る。リアルタイム階調パッチ810を副走査方向に拡張した場合、R,G,B,3C,Y,M,C,K等の各トナーのグラデーションで構成された各パッチの副走査方向の領域が延長される。これにより、イメージセンサー301による各色トナーのパッチ読込範囲は増大する。結果として、イメージセンサー301によるパッチ読込精度は向上し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、マーカー812、カラーレジスト測定パッチ820も副走査方向に拡張してもよい。
他の局面において、リアルタイム階調パッチ810を副走査方向に拡張したことにより、延長後のリアルタイム階調パッチ2610が1ページに収まらなくなった場合、延長後のリアルタイム階調パッチ2610を2つ以上に分割してもよい(R,G,B,3Cの4色用のパッチ、Y,M,C,Kの4色用のパッチ等)。
また、他の局面において、画像形成装置100は、イメージセンサー301によるパッチの読取範囲が増えるように、必要に応じてパッチのデザインを任意の形状に変更してもよい。
さらに、他の局面において、画像形成装置100は、リアルタイム階調パッチ810だけでなく、任意のパッチに対して、パッチの読み取りマージンを設定し、かつ、パッチサイズの拡張および/またはパッチデザインの変更を適宜実行し得る。こうすることで、画像形成装置100は、パッチの輪郭ボケのパッチ読み取り精度に対する影響を抑制しつつ、イメージセンサー301による任意のパッチの読取範囲を可能な限り増加させることができる。
図27は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第3の解決方法の一例を示す図である。第3の解決方法は、主に、トナーの色、媒体120の種類および背景板303の色の組合せによってはパッチを読み取りにくいという課題(例えば、図20を参照して説明された課題を含む)を解決し得る。
画像形成装置100は、パッチの色、媒体120の種類に応じて、背景板303の色を適切に切り替えることで、パッチの読み取り精度を向上させることができる。以下に、背景板303の選択基準の一例を示す。
読み取り設定2701は、白背景板311を用いて、白用紙上の黒パッチを読み取るための設定である。画像形成装置100は、白用紙上のパッチを読み取る場合、白背景板311または黒背景板312のいずれを使用してもよい。ある局面において、白用紙上に白トナーによるパッチが印刷された場合のみ、画像形成装置100は、黒背景板312を用いてパッチを読み取ってもよい。そうでない場合、画像形成装置100は、白背景板311を常に用いてパッチを読み取ってもよい。
読み取り設定2702は、黒背景板312を用いて、透明フィルム上の黒パッチを読み取るための設定である。読み取り設定2703は、白背景板311を用いて、透明フィルム上の黒パッチを読み取るための設定である。黒背景板312を用いて透明フィルム上のパッチを読み取る場合、画像形成装置100は、パッチの輪郭を抽出することが困難となる。一方で、白背景板311を用いて透明フィルム上のパッチを読み取る場合、画像形成装置100は、パッチの輪郭を容易に抽出し得る。そのため、画像形成装置100は、透明フィルム上の顕色トナーのパッチを読み取る場合、白背景板311(読み取り設定2703)を使用する。
媒体120には、ロゴ付き剥離紙を含むものものある。この場合も背景板303の色の選択が重要となる。一例として、ラベル用紙の剥離紙には、メーカー名や用紙ブランド等が記載されていることがある。そのため、ロゴ付き剥離紙を含む媒体120に印刷されたパッチを読み取る場合、画像形成装置100は、剥離紙のロゴの影響を受けにくい色に背景板303を切り替えて使用することが望ましい。
読み取り設定2704は、白背景板311を用いて、透明フィルムおよびロゴ付き剥離紙上のパッチを読み取るための設定である。読み取り設定2705は、黒背景板312を用いて、透明フィルムおよびロゴ付き剥離紙上のパッチを読み取るための設定である。読み取り設定2704,2705を比較すると、読み取り設定2704のほうが、ロゴがはっきりと表示されており、これらのロゴはパッチ解析時のノイズとなり得る。そのため、画像形成装置100は、このような場合、黒背景板312(読み取り設定2705)を使用する。
なお、剥離紙に印刷されたロゴが白系統の色であったり、透かし加工であったり、あるいは剥離紙自体の白色度にムラがあったりすることもある。この場合、画像形成装置100は、白背景板311を使用することが望ましい。
ある局面において、画像形成装置100は、白背景板311および黒背景板312の各々を用いて、媒体120のパッチが印刷されていない部分を読み取り、ノイズの大きさを比較してから、いずれの背景板を使用するかを決定してもよい。
図28は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第4の解決方法の一例を示す図である。第4の解決方法は、透明フィルム、金属蒸着フィルム、ホログラム紙、フィルムおよびロゴ付き剥離紙のセット、黒用紙等の多種多様な媒体120において使用可能である(課題1~5に対して有効である)。
画像形成装置100は、トナーの種類、媒体120の種類、または、これらの組合せに基づいて(例えば、媒体120にパッチを直接印刷した場合にパッチ読み取りが困難な組合せに基づいて)、パッチの下に下地画像を印刷する。以下に、トナーに下地画像を追加した場合の読み取り設定の一例について説明する。
読み取り設定2800は、白トナーによる下地2801を追加し、白背景板311を用いて、パッチを読み込むための設定である。読み取り設定2810は、白トナーによる下地2811を追加し、黒背景板312を用いて、パッチを読み込むための設定である。
顕色トナーによるパッチの背景として白トナーによる下地が媒体120に印刷されている場合、画像形成装置100は、白背景板311または黒背景板312のいずれを使用しても(読み取り設定2800,2810のいずれを使用しても)パッチを読み取ることができる。ただし、白トナーによるパッチを読み取る場合は、画像形成装置100は、黒背景板312を使用する。
ある局面において、画像形成装置100は、オペレータに入力された情報から、または、イメージスキャナ110から得た画像情報から、媒体の種類(透明フィルム、金属蒸着フィルム、ホログラム紙、フィルムおよびロゴ付き剥離紙のセット、黒用紙等)を判定し、判定結果に基づいて、白トナー(またはそれ以外の色のトナー)による下地画像をパッチの下に印刷してもよい。第4の解決方法は、下地画像をパッチに追加している点で、パッチを加工しているとも言える。
図29は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第5の解決方法の一例を示す図である。第5の解決方法は、このような媒体120およびパッチ間のコントラストが低くなる場合に(図24を参照して説明した第4の課題に対して)有効である。
透明フィルムシ上のパッチを読み取る場合、剥離紙の色がパッチの読み取り精度に大きく影響する。剥離紙も透明な場合、画像形成装置100は、黒背景板312を用いることで、問題なく透明フィルム上の白パッチを読み取ることができる。しかしながら、剥離紙の色が白またはパッチの色に近い場合(媒体120およびパッチ間のコントラストが低くなる場合)、パッチの読み取り精度は低下する可能性がある。
そこで、画像形成装置100は、トナーの種類、媒体120の種類、または、これらの組合せに基づいて、ライト302の光源から特定の色の光を選択し、選択した光をパッチに照射し、媒体120およびパッチ間のコントラストを高くする。ライト302がフルカラーLED(Light Emitting Diode)である場合、ライト302は、赤色(R)LED素子、緑色(G)LED素子、青色(B)LED素子を含む。この場合、画像形成装置100は、特定の素子を通電させることで、特定の色の光をパッチに照射し得る。
一例として、図29のように剥離紙が青色である場合、画像形成装置100は、白パッチと媒体120との濃度差が最大となる赤色光(R光)を使用する。同様に、同様に剥離紙が黄色の場合、画像形成装置100は、白パッチと媒体120との濃度差が最大となる青色光(B光)を使用する。
ある局面において、画像形成装置100は、緑色光(G光)を優先して使用してもよい。より具体的には、イメージスキャナ110がラインCCD(Charge Coupled Device)である場合、人間の視覚感度に近い緑色光(G光)の読み取り精度が最も高いことがある。そこで、赤色光(R光)を照射したときのパッチおよび媒体120間のコントラストが、緑色光(G光)を照射したときのパッチおよび媒体120間のコントラストよりも僅差で大きい場合、画像形成装置100は、赤色光ではなく、緑色光を選択してもよい。
なお、ライト302の照射光の制御により、色光(赤、緑、青)が選択可能であることを説明したが、色光の選択手段はこれに限られない。ある局面において、イメージスキャナが各々の色光(赤、緑、青)に対し選択的に感度を有する素子を持つカラーセンサーである場合、画像形成装置100は、ライト302の色光を選択可能に構成される代わりに、イメージスキャナが読み取った各々の色情報を選択するように構成されてもよい。また、他の局面において、イメージスキャナが全色光に感度を有するモノクロセンサーの場合、画像形成装置100は、ライト302の色光を選択可能に構成される代わりに、イメージスキャナの手前に色光を選択するための各色のカラーフィルタを挿入するように構成されてもよい。
さらに、色光の種類は、赤、緑、青に限られない。ある局面において、画像形成装置100は、紫外光または赤外光等を色光として選択するように構成されてもよい。紫外光は、色材または基材の蛍光性を読み取るために有効である。赤外光は、視認できないが機械読み取り可能な赤外インクによる管理番号等の読み取りに有効である。また、赤外光は、赤外インク等の品質管理に必須な、赤外インクのパッチ読み取りにも有効である。
図30は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第6の解決方法の一例を示す図である。第6の解決方法は、パッチおよびパッチ背景とのコントラストが低い場合でもパッチの輪郭を認識するための方法である。
なお、「パッチ背景」とは、パッチ以外の部分であり、例えば、イメージスキャナ110から見た媒体120または媒体120上の下地画像である。なお、パッチ背景は、媒体120の裏側の背景板303の色も含む。また、これ以前の記載も含めて、本明細書における「パッチおよび媒体120間のコントラスト」は、「パッチおよびパッチ背景間のコントラスト」という意味も包含する。また、これ以前の記載も含めて、本明細書における「媒体120、下地、下地画像等」は、「パッチ背景」という意味も包含する。
第6の解決方法の第1の例として、画像形成装置100は、パッチおよびパッチ背景間のコントラストを高めるために、RGBのライトを全て使用して、パッチを読み取り得る。
ある局面において、画像形成装置100は、RGBのライトの各々の輝度を調整することで、パッチおよびパッチ背景間のコントラストが高くなる色の光をパッチに照射してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、Rのライトのみをパッチに照射した場合の読み取り画像と、Gのライトのみをパッチに照射した場合の読み取り画像と、Bライトのみをパッチに照射した場合の読み取り画像とを取得してもよい。この場合、画像形成装置100は、取得した各画像を重畳して解析することで、パッチの位置を判別してもよい。または、画像形成装置100は、個別の画像の解析結果を総合することで、パッチの位置を判別してもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、RGBのライトを任意に組み合わせた光をパッチに照射した場合の読み取り画像と、RGBのライトの他の組み合わせによる光をパッチに照射した場合の読み取り画像とを取得してもよい。なお、RGBのライトの組み合わせ数は、2つ以上の任意の数であってもよい。また、各RGBのライトの輝度は個別に設定されてもよい。この場合、画像形成装置100は、取得した各画像を重畳して解析することで、パッチの位置を判別してもよい。または、画像形成装置100は、個別の画像の解析結果を総合することで、パッチの位置を判別してもよい。
また、第6の解決方法の第2の例として、画像形成装置100は、同一階調のパッチを媒体120に繰り返し印刷してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、パッチの輪郭を判別するためのより多くのパッチ画像を取得し得る。画像形成装置100は、複数の同一のパッチ画像を解析することで、パッチおよびパッチ背景間のコントラストが低い場合でも、パッチの輪郭を判別し得る。
なお、同一階調のパッチを媒体120に繰り返し印刷すると、パッチの測定に必要な時間およびパッチの印刷量が増加する。そこで、ある局面において、画像形成装置100は、同一階調のパッチを媒体120に繰り返し印刷する場合、操作表示部102に警告を出力してもよい。ユーザーは、警告メッセージを見て、同一階調のパッチを媒体120に繰り返し印刷するか否かを判断し得る。画像形成装置100は、操作表示部102から、ユーザーによる承認の入力を受け付けたことに基づいて、同一階調のパッチを媒体120に繰り返し印刷し得る。また、画像形成装置100は、操作表示部102から、ユーザーによる拒否の入力を受け付けたことに基づいて、媒体120に同一階調のパッチを繰り返し印刷しない。
また、第6の解決方法の第3の例として、画像形成装置100は、パッチのサイズまたはデザインを変更してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、パッチおよびパッチ背景間の境界線の画像をより多く取得することができる。その結果、画像形成装置100は、パッチおよびパッチ背景間のコントラストが低い場合でも、パッチの輪郭を判別し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、読み込んだパッチ画像およびパッチ背景画像を解析し、コントラストの値等から、パッチ読み取り難易度を判定してもよい。画像形成装置100は、パッチ読み取り難易度が閾値未満である場合、第6の解決方法のいずれか、または、その組み合わせを実行してもよい。画像形成装置100は、パッチ難易度が閾値以上である場合、操作表示部102に、パッチ読み取り不能であることを表示し得る。ユーザーは、操作表示部102の表示を確認することで、媒体120またはパッチ画像の変更等の解決策をとり得る。
パッチデザインの変更がない場合、あるいは、調整モードでパッチ読み取り時にコントラスト不足が判明した場合、補正の結果(補正量または調整量)に誤差が生じる可能性がある。補正の結果(補正量または調整量)とは、例えば、図12における濃度ムラ補正をするための画像濃度補正値、図14および図18における各種の階調補正値、または、図19におけるカラーレジストずれ量の調整値等である。
画像形成装置100は、当該誤差の発生を抑制するため、得られた補正値による補正量を減殺する。一例として、調整値の作成に必要なパッチ背景コントラストが100であるのに対し、実際にはコントラストが50しか得られなかったとする。この場合、そこから算出された調整値(例えば-30)に50/100を乗じた値(-15)を補正値とする(誤差を減殺する)。他の局面において、画像形成装置100は、十分な補正ができなかった可能性があることを操作表示部102に表示してもよい。
図31は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第7の解決方法の一例を示す図である。第7の解決方法は、ノイズが発生しやすい媒体120上のパッチを読み取る場合に有効である。ノイズが発生しやすい媒体120とは、例えば、ロゴ有り剥離紙付きのフィルム、ホログラム紙(図23に示される画像2310)等である。
ロゴ有り剥離紙付きのフィルムの表面には、同一のロゴが一定周周期で繰り替えし印刷されている。ホログラム紙の表面にも、同一のホログラムパターンが一定周周期で繰り替えし印刷されている。第7の解決方法において、画像形成装置100は、これらの周期のn倍(nは1以上の任意の数であり、2以上が好ましい)になるように、パッチのサイズ(副走査方向の長さ)を調整する。こうすることで、画像形成装置100は、副走査方向におけるパッチ背景のノイズの値を平均化して、パッチ読み取りにおけるノイズの影響を抑制し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、剥離紙のロゴ、ホログラムパターン等のノイズパターンの繰り返しが確認される場合に、濃度ムラ測定パッチのサンプリング間隔をノイズパターンの繰り返し周期のn数倍に設定してもよい。例えば、画像形成装置100は、繰り返し周期のn数倍内のパッチを繰り返し読み取ってもよい。こうすることで、画像形成装置100は、副走査方向におけるパッチ背景のノイズの値を平均化して、パッチ読み取りにおけるノイズの影響を抑制し得る。
他の局面において、ノイズパターンの信号変化が小さい場合、画像形成装置100は、濃度ムラ測定パッチの解析により得られた濃度ムラの値が、ノイズパターンの信号変化の値より大きい場合に限り、濃度ムラ補正設定を行ってもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、パッチ読み取り処理の前に、パッチ背景のノイズパターンを繰り返し読み取っておき、読み取り結果に基づいて、パッチ背景のノイズの値を事前に平均化してもよい。
さらに、他の局面において、繰り返し周期は媒体120の種別ごとに異なるので、画像形成装置100は、媒体120の種類ごとにパッチ背景のノイズパターンの読込およびパッチ背景のノイズの値の平均化を行い得る。また、画像形成装置100は、媒体120の種別ごとにノイズの値の平均値をメモリーまたはストレージに格納しておき、これらの平均値を流用してもよい。また、画像形成装置100は、パッチ背景の読み取りだけでなく、パッチを印刷しない領域に対して周波数解析をすることで、媒体120のノイズパターンを取得してもよい。
図32は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第8の解決方法の応用例を示す図である。第8の解決方法は、金属蒸着フィルム等のように大きく階調値が変化する媒体に有効である。なお、媒体120の階調値の変化が周期的に変化する等の規則性を持つ場合、画像形成装置100は、第7の解決方法または第8の解決方法のいずれかを使用しても媒体120のパッチを読み取ることができる。
グラフ3200は、金属蒸着フィルム上に印刷されたK(黒)トナーの領域ごとの階調特性を示す。グラフ3210は、白用紙上に印刷されたK(黒)トナーの階調特性を示す。横軸は、ユーザーコンテンツまたは各種パッチ等を含む画像原稿の階調値を示す。縦軸は、イメージセンサー301により読み取られたパッチの階調値(上に行くほど濃度が高い状態を示し、イメージスキャナで読み取られる信号値とは大小が逆の値)である。グラフ3210が単調増加であるのに対して、グラフ3200は増減を含む曲線となっていることがわかる。
金属蒸着フィルム等の光を反射しやすい媒体120は、読み取る場所によって光の反射の影響により、イメージスキャナ110により読み取られる階調値(読取階調値)が変化する。この変化は、図21で示したような、媒体120上の鏡面反射等によるものである。当該読取階調値は、媒体を直接またはモニタ上で目視した際に人が感じる濃淡(階調値)とは異なる場合がある。この階調変化が原因で、画像形成装置100は、光を反射しやすい媒体120上のトナー画像の濃淡を正確に読み取れないことがある。すなわち、実際に得られる読取階調値が、媒体を直接またはモニタ上で目視した際に人が感じる濃淡(階調値)とは異なることがある。
より具体的には、金属蒸着フィルム等の光を鏡面反射しやすい媒体120は、トナー濃度の増減と読取階調の変化が逆転する第1の階調域3201、トナー濃度の増減が階調の変化につながらない第2の階調域3202、トナー濃度の増減と階調の変化が一致する(逆転しない)第3の階調域3203を有する。第1の階調域3201は、原稿画像の濃淡に対し、読取階調が逆転している(明暗が逆の関係となっている)階調域である。第2の階調域3202は、原稿画像の濃淡が読取階調上に現れない(明暗の変化が読取階調に現れない)階調域である。第3の階調域3203は、原稿画像の濃淡と読取階調の濃淡との明暗の関係が一致している階調域である。例えば、媒体120上のトナー濃度の変化量が常に一定であったとしても、画像形成装置100が第1の階調域3201、第2の階調域3202、第3の階調域3203の各々のパッチを読み込んで解析した場合、異なるトナー濃度の変化量が観察、測定される可能性がある。
この問題を解決するため、画像形成装置100は、イメージスキャナ110によるパッチ読み取り結果に基づいて、媒体120の種類およびパッチの種類を判別する。次に、画像形成装置100は、媒体120が金属蒸着フィルム等の光を反射しやすい媒体120である場合、通常とは異なるパッチ読み取り処理を実行する。
まず、画像形成装置100は、媒体120の種類およびパッチの種類を判別するために、媒体120に階調パッチを印刷して、当該階調パッチを読み取りおよび分析する。そして、分析結果から、媒体120上に、第1の階調域3201、第2の階調域3202、第3の階調域3203が存在するか否かを判定する。一例として、画像形成装置100は、ある程度連続して階調パッチを読み取りおよび分析することで、階調変化を検出してもよい。
一例として、画像形成装置100は、階調パッチの分析により、第1の階調域3201、第2の階調域3202、第3の階調域3203のような階調変化を媒体120上に検出せず、階調パッチが単調増加の階調特性を有することを検出したとする。この場合、画像形成装置100は、媒体120は白色紙または淡色紙等であり、パッチは顕色トナーパッチであると判定し得る。
他の例として、画像形成装置100は、階調パッチの分析により、第1の階調域3201、第2の階調域3202、第3の階調域3203のような階調変化を媒体120上に検出せず、黒背景板312使用時に階調パッチが単調減少の階調特性を有することを検出したとする。この場合、画像形成装置100は、媒体120は光の反射の少ない媒体120であり、パッチは白トナーパッチであると判定し得る。
さらに、他の例として、画像形成装置100は、階調パッチの分析により、第1の階調域3201、第2の階調域3202、第3の階調域3203のような階調変化を媒体120上に検出したとする。この場合、画像形成装置100は、媒体120は金属蒸着フィルム等の光を反射しやすい媒体120であり、パッチは顕色トナーパッチであると判定し得る。
次に、画像形成装置100は、媒体120が金属蒸着フィルム等の光を反射しやすい媒体120用のパッチ読み取り処理を実行する。
より具体的には、画像形成装置100は、階調感度のない第2の階調域3202をパッチ読み取り領域として使用できない。階調感度とは、原稿画像の濃淡と読取階調の濃淡との明暗の関係であり、原稿画像の明暗の程度に対する、読取階調の明および暗の程度の比である。読取階調の明暗の方が大きく現れる場合、階調感度は高い。原稿画像の濃淡が、読取階調上に現れない(明暗の変化が読取階調に現れない)ため、第2の階調域3202には、階調感度がない。画像形成装置100は、原稿画像の濃淡、すなわちトナー像等の顕色剤の量の変化が読取階調上に現れない(明暗の変化が読取階調に現れない)ため、階調感度がない領域を、パッチ読み取り領域として使用できない。
そこで、画像形成装置100は、第1の階調域3201で調整値を逆転して用いるか、第3の階調域3203に限定して調整値を求めるかを選択する。なお、ここでの調整値とは、例えば、図12における濃度ムラ補正をするための画像濃度補正値(あるいは調整値)であり、また、図14や図18における各種の階調補正値(あるいは調整値)である。画像形成装置100は、第1の階調域3201で調整値を逆転して用いることで、原稿画像の濃淡に対し、読取階調が逆転(明暗が逆の関係となっている)している特性を解消し、媒体120上のパッチを読み取ることができる。また、画像形成装置100は、第3の階調域3203に限定して調整値を求めることで、原稿画像の濃淡と読取階調の濃淡との明暗の関係が一致している階調域をそのまま用いることができ、媒体120上のパッチを読み取ることができる。
ある局面において、画像形成装置100は、操作表示部102を介して、ユーザーから、階調補正の設定入力およびプロセスパラメータの設定入力を受け付けてもよい。一例として、ユーザーは、操作表示部102を介して、媒体種別設定情報等を参照し、媒体120が第1の階調域3201~第3の階調域3203を有することを確認し得る。他の例として、媒体120が第1の階調域3201~第3の階調域3203を有する場合、全階調域に対し、適切な補正値または調整値を設定することが難しい場合がある。そこで、画像形成装置100は、ユーザーが階調補正の設定を入力できないように、操作表示部102のユーザーインターフェイスを構成してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、第1の階調域3201および第2の階調域3202をパッチ読み取りに使用せず、第3の階調域3203をパッチ読み取りに使用してもよい。その場合、第1の階調域3201および第2の階調域3202のパッチ描画を省略しても構わない。これにより、画像形成装置100は、より小さい面積で、パッチを測定し、かつ、測定結果に基づいて印刷設定を調整し得る。さらに、画像形成装置100は、パッチ描画に利用できる面積中により大きなあるいは多くの(第3の階調域3203に関わる)パッチ数で測定を実行することができる。その結果、画像形成装置100は、各種ノイズ影響を軽減し得る。
図33は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第1~5の課題の少なくとも1つを解決するための第9の解決方法の一例を示す図である。第9の解決方法は、2通りの実現方法を有する。それぞれ、第9の解決方法(1)および第9の解決方法(2)として説明する。第9の解決方法は、白トナー下地の上のパッチを読み取る場合に有効である。例えば、画像形成装置100は、第1の課題(透明フィルム上のパッチを読み取ること)を解決するために、白トナー下地の上のパッチを印刷し、さらに、第9の解決方法を使用して、階調を調整し得る。
まず、図33中の上のグラフを例に、第9の解決方法(1)について説明する。第9の解決方法(1)は、読み取られた階調特性から、本来の階調特性(グラフ3301)を再現する。横軸は、ユーザーコンテンツまたは各種パッチ等を含む画像原稿の階調値を示す。縦軸は、イメージセンサー301により読み取られたパッチの階調値(上に行くほど濃度が高い状態を示す。なお、図33では、図32と異なり、明暗の関係が逆転する(右下がりのカーブになる)階調域は存在しないため、縦軸の読取階調値は、印刷された画像の濃度に比例(∝)する。
画像の最高濃度は、トナーおよび媒体120の種類で決まる。一例として、ラフな媒体120上の画像の最高濃度は低くなり塗工紙等の媒体120上の画像の濃度は高くなる。また、媒体120上に白トナー下地がある場合、白トナー下地上の画像の最高濃度は低下する傾向がある。グラフ3301は、媒体120上に印刷されたパッチの階調特性を示す。グラフ3302は、媒体120上の白トナー下地の上に印刷されたパッチの階調特性を示す。グラフ3302は、グラフ3301と比較して、明らかに横軸のほぼ全体にわたって濃度が低下していることがわかる。
例えば、画像形成装置100が、媒体120上の白トナー下地の上にパッチを印刷し、一方、ユーザーコンテンツを媒体120に直接印刷するとする。この場合、パッチ測定結果による印刷設定の調整値は、白トナー上のパッチの解析結果に基づくため、ユーザーコンテンツの階調性減の調整または補正に適さない可能性がある。そこで、画像形成装置100は、白トナー上のパッチのパッチ測定結果に基づいて、ユーザーコンテンツに適した印刷設定の調整値を得るために以下の処理を行う。こうすることで、白トナー上のパッチの解析結果から、ユーザーコンテンツの印刷結果(縦軸の数値である印刷画像の濃度)が推測できる。さらに、画像形成装置100は、白トナー上のパッチの解析結果から、媒体120に直接印刷されるユーザーコンテンツの印刷設定を補正し得る。
すなわち、画像形成装置100は、白トナー下地上に印刷されたパッチの濃度から得られた階調特性(グラフ3302)から、本来の階調特性(グラフ3301)を、再現し得る。より具体的には、画像形成装置100は、計測した白トナー下地上に印刷されたパッチの濃度(グラフ3302)に係数をかける。これにより、グラフ3301の形状は、概ね、グラフ3302に、一定の係数をかけて縦に伸ばした形状に近いため、白トナー下地上に印刷されたパッチ(グラフ3302)の濃度は、媒体120上に直接印刷されたパッチ(グラフ3301)の濃度に補正される。ここで、例えば、画像形成装置100は、媒体120ごとに白トナーを使用した場合の濃度低下の程度を補正する値である、上記係数情報をメモリーまたはストレージに予め格納しておいてもよい。
次に、図33中の下のグラフを例に、第9の解決方法(2)について説明する。第9の解決方法(2)は、図14に示された方法によって、読み取られた階調特性に基づいて、ユーザーコンテンツの階調値を意図した階調値に補正する。画像形成装置100は、中間調を含む全階調値の階調特性をいずれかの3つの方法を用いて定義する。
1つ目の方法は、媒体120上の本来(白トナーなし)の階調特性(グラフ3301)を再現することである。これにより、白トナー下地上に印刷されたパッチ(グラフ3302)の濃度は、媒体120上に直接印刷されたパッチ(グラフ3301)の濃度に補正される。画像形成装置100は、本来の補正値(グラフ3301)に基づいて、印刷設定を調整(補正)することで、ユーザーコンテンツに適した印刷設定の調整値を得ることができる。1つ目の方法は、領域3310は表現できない。そのため、グラフ3301と白トナー下地上の最高濃度が交わる、ポイント3304より小さな階調値の原稿画像は意図通り再現できるが、ポイント3304より大きな階調値の原稿画像は濃淡が全く再現できない状態となる。1つ目の方法は、グラフ3301の範囲が狭く、またポイント3304より小さな階調値の印刷結果に重きが置かれるような印刷処理において特に有効である。
2つ目の方法は、本来の階調特性(グラフ3301)を再現しつつ、最高濃度を白トナー上のパッチの濃度に合わせることである(グラフ3303を作成する)。画像形成装置100は、1つ目の方法で再現したグラフ3301からグラフ3302の最高点のポイント3304までの間を滑らかに補完することで、グラフ3302(本来の補正値(グラフ3301)を再現しつつ、最高濃度を白トナー上のパッチの濃度に合わせた濃度分布)を作成してもよい。画像形成装置100は、グラフ3302に基づいて、印刷設定を調整(補正)することで、1つ目の方法の特徴と後述する3つ目の方法の特徴とを併せ持ったユーザーコンテンツに適した印刷設定の調整値を得ることができる。
3つ目の方法は、白トナー上のパッチの階調特性(グラフ3302)を使用することである。グラフ3302に基づいて、印刷設定を調整(補正)することで、ユーザーコンテンツの全階調域の明暗が滑らかに印刷結果に再現され、より自然な印刷設定の調整値を得ることができる。なお、画像形成装置100は、グラフ3301を使用した場合の調整値(補正値)に近くなるように、印刷設定の調整値を修正してもよい。
ある局面において、画像形成装置100は、白トナーの下地の上に印刷されたパッチの濃度が、媒体120上に直接印刷されたパッチの濃度と比較して、濃度があまり低下しない場合、1つ目の方法を選択してもよい。また、画像形成装置100は、濃度の低下が中程度の場合、1つ目の方法または2つ目の方法を選択してもよい。また、画像形成装置100は、濃度が大きく低下する場合、3つ目の方法を選択してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、白トナーを下地に使った場合、最高濃度および濃度曲線(グラフ3301~3303)も変化する。そのため、画像形成装置100は、1つ目の方法~3つ目の方法ごとに、印刷設定の補正値の目標値を有してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、状況に応じて、1つ目の方法~3つ目の方法を切り替え可能に構成されてもよい。例えば、コンテンツ全体の平均的品質維持のために、白トナーを使うか否かにより目標値を使い分ける必要が生じる。さらに、ユーザーコンテンツには、白トナーが大量または断片的に使用されることがある。そこで、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツに紙とトナーが使用されるか否か、および、使用される紙とトナーの量に基づいて、1つ目の方法~3つ目の方法を切り替えてもよい。例えば、画像形成装置100は、ジョブが一定量以上の白画像を含む場合、2つ目の方法または3つ目の方法を使用してもよい。また、画像形成装置100は、ジョブ内の重要コンテンツ(画像の一部)が、白画像を含むか否かに基づいて、1つ目の方法~3つ目の方法のいずれかを選択してもよい。
図34は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第6の課題およびこれを解決する第10の解決方法の一例を示す図である。第6の課題は、1つのジョブが、下地のあるユーザーコンテンツ(画像)と、下地のないユーザーコンテンツ(画像)とを含むことである。
上記の通り、YMCKの顕色トナーの発色および階調再現は、白トナーの下地の有無により影響を受ける。これは、パッチだけでなく、ユーザーコンテンツについても同様である。
そのため、画像形成装置100は、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツと、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツとで、印刷設定の補正値(濃度等の目標値)を変更することが望ましい。
しかしながら、1つのジョブ内に白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツと、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツとが混在する場合、2つの問題が発生する。1つ目の問題は、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)と、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)とをなんらかの方法で個別に作成する必要があることである。2つ目の問題は、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)と、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)とジョブの実行中に切り替えながら使用する必要があることである。
1つ目の問題を解決するために、画像形成装置100は、下地ありのリアルタイム調整パッチ3410と、下地なしのリアルタイム調整パッチ3420とを定期的に切り替えて、これらのリアルタイム調整パッチ3410,3420を測定してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)と、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)とを取得し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、下地の有無に基づいて、パッチの読み取り条件(背景板303の色等)を変更してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、例えば、ジョブの先頭(あるいは先頭から一定時間の範囲の読み取り情報の平均)の画像の階調特性が維持される様に、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)と、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)とを算出してもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、ジョブの実行前に予め階調パッチを描画し、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)と、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)とを事前に算出してもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、リアルタイム調整パッチ3410,3420を測定することで、事前に算出した各補正値を随時更新してもよい。
2つ目の問題を解決するために、画像形成装置100は、例えば、ジョブに含まれる画像中の各々の画素について下地の有無を判断し、その判断結果に基づいて、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)と、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)とを切り替えて使用する。
しかしながら、画像形成装置の種類によっては、画像中の各々の画素について補正値を切り替える処理ができない場合がある。例えば、一部の画像形成装置は、ASICまたFPGA等により実現される画像処理回路を使用している。この場合、これらの画像処理回路に、画像中の各々の画素について補正値を切り替える処理を後から追加することは困難である。
そこで、ある局面において、画像形成装置100は、ASICまたFPGA等により実現される画像処理回路を使用している場合等において、画像オブジェクト属性(Image属性、Text、Graphics属性等)ごとに、色再現特性を設定してもよい。画像形成装置100は、色再現特性を設定に補正値の切り替え設定を含め得る。
図35は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第7の課題およびこれを解決する第11の解決方法の一例を示す図である。第7の課題は、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)と、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)とを切り替えて使用できないケースが存在することである。
図34を参照して説明したように、1つのジョブ中に下地ありの画像と、下地なしの画像が混在する場合、画像形成装置100は、それぞれの補正値を切り替えて使用し得る。しかしながら、下地として使用される白トナーのハーフトーン画像が、他の顕色トナーの画像と重なる可能性がある場合、画素ごとに補正値を切り替えることは望ましくない。
なぜならば、画像形成装置100は、白トナーのハーフトーン画像と他の顕色トナーの画像とが重なった画像に対して、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)、または、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)のいずれを適用すべきか決定できないためである。
また、カラーレジストずれ、画像輪郭を滑らかに描画するための各種平滑化処理がある場合も、下地ありの画像と下地なしの画像との境界線(もしくは画像の輪郭)が曖昧になる。これにより、画像形成装置100は、画素毎に補正値を適切に切り替えることができない可能性がある。
そこで、画像形成装置100は、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)、および、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)の各々に重み付けして平均化して、1つの補正値を算出する。そして、画像形成装置100は、1つの補正値を使用して、画像(印刷設定)を調整し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、ジョブに含まれる画像の白画像の割合に基づいて、重み付けを決定してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)、および、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)のいずれか片方のみを使用してもよい。この場合、ユーザーが、いずれの補正値を使用するかを画像形成装置100に入力してもよい。
しかしながら、白トナーの下地を使用するユーザーコンテンツの補正値(目標値)、および、白トナーの下地を使用しないユーザーコンテンツの補正値(目標値)の乖離が非常に大きい場合がある。この場合、画像形成装置100は、1つの補正値を使用した場合、下地あり画像または下地なし画像のいずれかまたは両方を適切に補正できない可能性がある。
そこで、ある局面において、画像形成装置100は、上記のような場合において、選択されなかった方の補正値、または、重みづけが小さいほうの補正値の読み取り結果が、目標値から一定以上乖離しているか否かを判定する。画像形成装置100は、補正値の読み取り結果が目標値から一定以上乖離している場合、操作表示部102に警告を出力してもよいし、自動的にジョブの実行を停止してもよい。その際、画像形成装置100は、画像形成プロセスの再調整を実行し、リアルタイム調整中の微調整では補正しきれない階調または色調再現の特性を調整し直し、ジョブを再開してもよい。この方法は、枚葉機において特に有効である。
なお、図34および図35を参照して、媒体と下地トナーを例に第6の課題および第7の課題の解決方法を説明したが、第6の課題および第7の課題の解決方法の適用例はこれに限られない。
ある局面において、画像形成装置100は、メタリックトナー、クリアトナーを使用する場合にも、第6の課題および第7の課題の解決方法を使用し得る。
また、画像形成装置100は、特色等の顕色剤をYMCK等の基本色に加えて使用することがある。この場合、特色は、他の色と混ぜずに「特色」として用いられるか、基本色と混ぜて混色を作るための「構成色」として使用されることが多い。そのため、ある局面において、画像形成装置100は、特色が「特色」として用いられる場合、リアルタイム調整パッチに特色のパッチを含めてもよい。この場合、画像形成装置100は、特色の補正値と、基本色の補正値とをそれぞれ作成し、それぞれの画像に適用することができる。
他の局面において、画像形成装置100は、特色が混色の構成色として用いられる場合、リアルタイム調整パッチに構成色のパッチを含めてもよい。この場合、画像形成装置100は、構成色の補正値と、基本色の補正値とをそれぞれ作成し、それぞれの画像に適用することができる。
一方で、特色が混色の構成色として用いられる場合、混色の構成要素となる各々の特色における階調または濃度変化(ここまで挙げた各種補正や調整の対象)が、混色による相互作用によって、変化する場合がある。このような場合、混色した状態のリアルタイムパッチを描画してその階調変化を測定し、補正することが考えられる。
しかしながら、画像形成装置の構成によっては、相互作用の補正や調整が出来ない可能性がある。例えば、ある画像形成装置は、通常は基本色のみの構成で印刷を行い、特色が必要な場合のみ、もう1色の画像形成機構を追加可能に構成されているとする。この場合、画像形成機構が物理的に分かれているため、ある画像形成装置は、各々の色像の階調を調整することはできるが、混色を構成する複数色の組み合わせに起因する調整を実行できない。
そこで、画像形成装置100は、混色の階調変化を測定(監視)し、当該階調変化が混色の相互作用に起因する場合に、当該階調変化が予め定められた閾値を超えたときに、操作表示部102等に警告を表示し、オペレータに印刷停止または画像形成装置100のメンテナンスを促すように構成されてもよい。
図36は、画像形成装置100のパッチ読み取り処理における第8の課題およびこれを解決する第12の解決方法の一例を示す図である。第8の課題は、ユーザーコンテンツが、特色(構成色)と基本色からなる混色を含み得ることである。画像形成装置100は、ユーザーコンテンツが混色を含む場合、リアルタイム階調パッチに含まれる色を変更することで、この課題に対応し得る。
特色(構成色)と基本色とから混色が作成される場合、特色(構成色)と基本色との組合せは限定的であることが多い。例えば、青の特色(構成色)は、マゼンタ(M)またはシアン(C)と混ぜられることが多い。なぜなら、青の特色(構成色)は、Mおよび、または、MおよびKの混色等で発生する色調ムラや粒状の荒れを軽減するため、または、混色では再現できない彩度や明度の青色調を再現するために使用されることが多いためである。言い換えれば、青の特色(構成色)は、イエロー(Y)と混ぜられる可能性は低い。
そこで、画像形成装置100は、青の特色(構成色)を使用する場合、リアルタイム階調パッチに、ユーザーコンテンツに使用される可能性が高い「青の特色(構成色)と、MまたはCとの混色」を含め、ユーザーコンテンツに使用される可能性が低い「青の特色(構成色)と、Yとの混色」を含めない。こうすることにより、画像形成装置100は、リアルタイム階調パッチの限られたスペース内で、使用される可能性が高い混色の階調を計測することができる。
ある局面において、画像形成装置100は、トナーが交換された場合に、交換後のトナーの組合せ(混色)の可能性に基づいて、リアルタイム階調パッチに含める色の構成を再定義してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、トナーが交換された場合に、印刷ジョブの実行前に、事前のパッチを媒体120に印刷して、当該パッチを読み取ってもよい。この場合、画像形成装置100は、読み取り画像の色調を判断し、当該色調を挟む色相関係にある基本色のうちの2色を、混色の対象として設定してもよい。または、画像形成装置100は、予め用意された複数の構成色および基本色の組み合わせの中から、読み取り画像の色調に近いものを選択してもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、媒体120上の画像の明暗変化よりも色相変化のほうが大きい場合、RGB各々またはこれらの平均値による強弱の変化ではなく、例えばR信号およびG信号の比率から色相の変化を検出することで、色調の変化を判断してもよい。もしくは、画像形成装置100は、いずれの方式を用いても媒体120上の画像の色相の変化を検出できないような場合、媒体120に下地画像を印刷し、その下地画像の上の画像を読み込んでもよい。こうすることで、画像形成装置100は、媒体120の種類、媒体120および背景板303の明暗差等の要因で画像の読み取り特性が異なる場合でも、読み取り方式を変更することで、画像の色調変化を検出し得る。
他の局面において、画像形成装置100は、読み取り画像のS/N比が小さい場合は画像読み取りの回数を増やしてもよい。こうすることで、画像形成装置100は、読み取り画像のノイズが大きい場合(S/N比が小さい場合)にも、安定して色調変化を検出し、印刷設定を調整し得る。
上記のように、画像形成装置100は、第12の解決方法を用いることで、多種多様な媒体120およびトナー構成の組み合わせについて、事前の詳細なチャートデザインの読み込み、または、補正方法の設定が無くても、適宜パッチの読み取り方式またはパッチを変更すること(下地を追加したり等)で、色調変化を検出し得る。その結果、画像形成装置100は、多種多様な媒体120およびトナー構成の組み合わせに対して、画像の良否判断を安定して行い得る。
さらに、他の局面において、画像形成装置100は、媒体120およびトナーの組合せごとに、パッチの読み取り設定、画像の良否判断の設定を記録し、メモリーまたはストレージに保存してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、過去に保存した設定を流用し得る。
図37は、枚葉機(画像形成装置200)におけるトンボのデザインの一例を示す図である。画像形成装置200は、図37に示されるトンボを使用することで、本明細書で開示された各種パッチの位置を正確に読み取ることができる。
枚葉機である画像形成装置200は、ロール状の媒体120を使用する画像形成装置100と異なり、一定サイズに断裁された媒体220上の表面および裏面の画像位置を調整する機能が重要となる。
枚葉機は、一般的に、黒背景板を用いて、媒体のエッジの位置を検出し、さらに、媒体上のトンボを検出する。枚葉機は、媒体のエッジおよびトンボの位置関係から、媒体上の画像の位置を推定し、また、画像の印刷位置を調整する。
画像形成装置200は、複数のトンボのデザインを提供する。画像形成装置200は、媒体220の種類に基づいて、複数のトンボのデザインの中から使用するトンボを選択し得る。複数のトンボのデザインは、媒体220の表面に印刷されるトンボと、媒体220の裏面に印刷されるトンボとを含む。これらのトンボは、図27に示されるように、互いに重なってもイメージスキャナ110から読み取れるようにデザインされる。画像形成装置200は、媒体220の表用のイメージスキャナ210と、媒体220の裏用のイメージスキャナ210とを用いて、媒体220の表裏に印刷されたトンボを読み取る。
通常、透明フィルムに表裏両面印刷をすることは少ないが、例えば色調をより深く、下地の白背景をより明瞭に再現するために、透明フィルムに、両面1組の画像コンテンツを作成して印刷することが考えられる。このような場合に、図37に示されるトンボは有効である。
例えば、画像形成装置200は、透明フィルムの表裏に黒(K)色のトンボを印刷する。画像形成装置200は、白背景板を用いることで、トンボを読み取ることができる。
また、透明フィルムのエッジは検出しにくいため、画像形成装置200は、表裏のトンボが重なるように位置合わせを行う。こうすることで、画像形成装置100は、媒体220の表裏の画像の位置を合せることができる。画像形成装置200は、例えば、図37に示されるような、片方が太くもう片方が細いトンボデザイン等を使用することで、表裏のトンボが完全に重なることを防止し得る。これにより、画像形成装置200は、表裏のトンボが正確に重なっているか否かを判別し得る。その結果、画像形成装置200は、透けやすい薄紙または透明フィルム等に両面印刷する場合でも、表裏のパッチが重なり解析できない問題を解決し得る。
図38は、画像形成装置100によるパッチに白トナーの下地を用いたときの処理の一例を示す図である。画像形成装置100は、例えば、図33を参照して説明された処理と、図38を参照して以下に説明する処理とを組み合わせて使用してもよい。
白トナーは、一般的に、白コンテンツの印刷に使用されたり、透明フィルム上にカラー画像を明瞭に印刷するための背景(下地)として使用されたりする。例えば、画像形成装置100は、透明フィルムまたは金属蒸着フィルム等のパッチを読み取りにくい媒体120に対して、白トナーによるパッチの下地画像を印刷し得る。
画像形成装置100は、金属蒸着フィルム等の媒体120に白トナーによる下地画像を印刷し、当該下地画像の上に印刷されたパッチを読み取る。画像形成装置100は、読み取ったパッチの階調変化をそのまま補正するように印刷設定を調整してもよい。
しかしながら、使用される媒体120またはトナーによっては、白トナーの下地の有無により、階調特性または画像形成の特性変化が濃度ムラとして現れる傾向が大きく変化する可能性がある。例えば、白トナーの下地画像の上に印刷された均一階調の画像は、媒体120に直接印刷された均一階調の画像と比較して、濃度ムラが小さくなる場合がある。
このような濃度ムラの変化は、粉体トナーの転写、層構成、定着、各プロセス段階において、下地トナーおよび顕色トナー同士の相互作用によって起こりえる。画像形成装置100は、白トナーの下地の有無による当該濃度ムラの変化を事前に計測することで、白トナーの下地に印刷されたパッチの解析で得られた補正値を、媒体120に直接カラー印刷した場合の補正値に換算し得る。
より具体的には、画像形成装置100は、印刷前の事前パッチ等により、白トナーの下地画像ありパッチの濃度ムラと、白トナーの下地なしのパッチの濃度ムラの情報を取得しておく。グラフ3801は、白トナーの下地なしのパッチの主走査方向の濃度変化(濃度ムラ)を示す。グラフ3802は、白トナーの下地ありのパッチの主走査方向の濃度変化(濃度ムラ)を示す。濃度範囲3811は、白トナーの下地なしのパッチの濃度ムラの範囲を示す。濃度範囲3812は、白トナーの下地ありのパッチの濃度ムラの範囲を示す。図38の例では、濃度範囲3812は、濃度範囲3811の1/2となっている。
この場合、画像形成装置100は、白トナーの下地ありパッチを計測して得られた補正値を2倍することで、当該補正値を白トナーなしのユーザーコンテンツの補正値として使用することができる。
ある局面において、白トナーの下地の有無により、画像の階調特性が変化する可能性がある場合、画像形成装置100は、印刷前の事前パッチ等により、白トナーの下地がある場合の画像の階調特性と、白トナーの下地がない場合の画像の階調特性とを事前に取得してもよい。例えば、白トナーの下地がある場合の画像の階調特性が、白トナーの下地がない場合の画像の階調特性に対して、1/1.2倍の関係があるとする。この場合、画像形成装置100は、白トナーの下地ありパッチを計測して得られた補正値を1/1.2にすることで、当該補正値を白トナーなしのユーザーコンテンツの(階調特性の変化を加味した)補正値として使用することができる。
また、画像形成において使用できるトナー量には制限がある。当該制限は、トナー画像の転写性もしくは定着性を確保するための制限である。また、当該制限は、印刷されたトナー像の厚みが過剰となることで印刷面に凹凸ができたり剥がれやすくなったりすることを回避するための制限でもある。通常、下地として使用される白トナーの使用量は、カラー画像に用いる他のトナーと比較して多くなる傾向がある。そのため、画像形成装置100は、白トナーの下地の上に画像を印刷する場合の画像に使用される総トナー量を、媒体120の上に画像を直接印刷する場合の画像に使用される総トナー量よりも制限する必要がある。そこで、ある局面において、画像形成装置100は、白トナーの下地の上のパッチの総トナー量を、媒体120上のパッチの総トナー量よりも少なくなるように、パッチの階調値、デザイン、サイズおよび/または配置を変更してもよい。
また、紙とトナーを下地に用いた場合、媒体120上に印刷される総トナー量(白トナーおよび顕色トナーの合計)は増加するので、画像の転写および定着により時間がかかり、印刷速度(媒体120の搬送速度)が低下することがある。そこで、ある局面において、画像形成装置100は、各種パッチを読み取る際のイメージスキャナ110の読み取り速度を変更してもよい。
また、トンボも白トナーの下地の有無の影響で、描画線の濃さまたは太さが変化する可能性がある。さらに、白トナー下地の輪郭が背景板303に影を生成し、この影がトンボの読み取り時におけるノイズとなり得る。そこで、ある局面において、画像形成装置100は、白トナーの下地のトンボに対する影響を抑制するために、白トナーの下地の有無に基づいて、トンボの描画線の太さを変更してもよい。他の局面において、画像形成装置100は、白トナーの下地の有無に基づいて、読み取り画像からトンボを探索する画像処理に用いるテンプレートマッチングの処理を変更(具体的にはテンプレートの変更)してもよい。また、他の局面において、画像形成装置100は、白トナーの下地の有無に基づいて、トンボの描画線を識別するための濃度差、および/または、読み取り画像信号値差等の検出閾値を変更してもよい。
さらに他の局面において、画像形成装置100は、パッチ描画時にスクリーンモアレ(いわゆる「ロゼッタパターン」が目立つ状態)の発生を抑制可能に構成され得る。より具体的には、画像形成装置100は、特色の測定結果(色調の判別結果)に基づいて、当該混色として利用可能な色の組み合わせを特定する。また、画像形成装置100は、選択された色の組み合わせに基づいて、印刷可能なスクリーン構成を選択する。ある局面において、画像形成装置100は、混色と色の組み合わせの設定、色の組み合わせと当該色の組み合わせにより印刷可能なスクリーン構成の設定とをストレージに格納してもよい。画像形成装置100は、ストレージからこれらの設定をメモリーに読み出して参照し得る。
このように、画像形成装置100は、パッチの描画において、色の組み合わせに基づいて、スクリーンモアレが発生しないスクリーン構成を選択することで、パッチ読み取り時のスクリーンモアレの影響を解消し得る。また、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツの描画においても、スクリーンモアレの発生を抑制し、滑らかな画像印刷を実現し得る。
図39は、被覆色トナーがある場合のスクリーン線数の決定手順の一例を示す図である。「被覆色トナー」とは、白トナー等の下地用トナー、および、クリアトナー等の仕上げ用トナー等を包含する。また、下地色および仕上げ材の色を「被覆色」と呼ぶこともある。
ステップS3910において、画像形成装置100は、通信部103を介して、基本色画像情報(例えば、8bit(0~255)等で表現される色の多階調画像情報)を取得する。また、画像形成装置100は、通信部103を介して、特色画像情報(白トナー、クリアトナー等の被覆色トナーの2値画像情報)を取得する。被覆色トナーは、下地トナーまたは仕上げトナー等の2値画像として使用されること多い。そのため、画像形成装置100は、印刷制御装置(「コントローラー」と呼ばれることもある)から、被覆色トナーの情報を2値情報として取得し得る。しかしながら、当該2値情報は、基本色画像情報同様、多階調の画像情報として取得されても構わない(この場合、2値情報は、多階調のうちの2つの階調値、例えば0と255の階調値のみを用いて表現される)。
ステップS3920において、画像形成装置100は、2値画像情報を多階調化する(例えば、2値画像情報を0~255までの多階調値に変換する)。なお、前述の通り、被覆色トナー情報が多階調の情報として取得された場合、当該多階調化(変換)は不要である。こうすることで、画像形成装置100は、被覆色によるグラデーション表現を可能にし、後述の濃度ムラ、等の補正処理を被覆色に対して実行し得る。ある局面において、画像形成装置100は、コントローラーから、被覆色トナーの多階調画像情報を受信してもよい。なお、画像形成装置内で生成される被覆色トナーのハーフトーン(疑似多階調画像)画像を生成する際に用いるハーフトーニング処理を「エンジンスクリーン」と呼ぶこともある。また、コントローラーで生成される、もしくは、原稿画像に元々含まれている被覆色トナーのハーフトーン(疑似多階調画像)画像を生成する際に用いるハーフトーニング処理を「コントローラースクリーン」と呼ぶこともある。
エンジンスクリーンおよびコントローラースクリーンは、相互に干渉しにくいように設計されることが望ましい。一例として、エンジン、コントローラー、各々のハーフトーニング処理としてAMスクリーン同士の組み合わせが利用される場合、コントローラースクリーンの線数は、エンジンスクリーンの線数より少ない(好ましくは半分以下の)ほうが好ましい。
コントローラースクリーン処理を施されたコントローラー画像は2値であるのに対し、エンジンスクリーンは、画像形成機構の特性に応じて、より詳細は制御機構を用いることができる。例えばLDおよびポリゴンミラーを用いた電子写真の走査露光であれば、画素1ドット毎の露光強度または時間、インクジェットの打点であれば、打点の強さ、を微調整し得る。そのため、エンジンスクリーンは、コントローラースクリーンと比較して微細な制御が出来るため、高精細な(線数のより高い)スクリーン設計が可能である。そのため、コントローラースクリーンが、エンジンスクリーンに対し、低線数の設定となることで、原稿画像のコントローラースクリーンと、エンジンスクリーンとが相互に干渉することで生じる意図しないモアレ等の画像劣化を防止し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、オペレータが「被覆色」に対し設定するコントローラースクリーンの設定に基づいて、エンジンスクリーンのスクリーン処理(画像形成処理)設定を決定してもよい。
ステップS3930において、画像形成装置100は、上述した補正処理により、基本色画像および被覆色画像の濃度ムラ等の補正処理を行う。一例として、画像形成装置100は、下地トナーまたは仕上げトナー(被覆色トナー)の上に印刷されたリアルタイム階調パッチを、イメージスキャナ110で読み取り解析することで、被覆色トナーの変化を検出および補正し得る。これにより、画像形成装置100は、被覆色の品質を一定に維持し得る。さらに、画像形成装置100は、また被覆色の濃度ムラ調整チャートを印刷し、被覆色トナーの濃度ムラを、イメージスキャナ110で読み取り解析することで補正することができる。画像形成装置100は、当該補正において、被覆色トナーで画像形成する場合においてもエンジンスクリーンによる階調補正を利用し得る。
ある局面において、イメージスキャナ110は、被覆色の特性に基づいて、照明光を変更してもよい。スキャナ読み取り条件または照明光を適宜切り替えてもよい。一例として、被覆色が白トナーであれば、画像形成装置100は、被覆色の読み取りにおいて、通常の基本色トナーの読み取りに使用する照明光を使用してもよい。他の例として、被覆色が蛍光を発するクリアトナーであれば、画像形成装置100は、照明光にUV(Ultraviolet)光源を使用してもよい。
ステップS3940において、画像形成装置100は、基本色および被覆色に対し、ハーフトーニング(疑似中間調処理)を実行する。疑似中間調処理は、基本色、被覆色のいずれにおいても同様に実行されればよい。しかしながら、例えば、基本色、被覆色のAMスクリーンが同一の線数、角度を有すとする。この場合、基本色と被覆色が重畳する画像において、スクリーン間の干渉が生じる可能性がある。そのため、基本色のハーフトーニング(疑似中間調処理)と、被覆色のハーフトーニング(疑似中間調処理)とは相互に異なる設計となることが望ましい。画像形成装置100は、一例として、基本色の疑似中間調処理1(設計1)と、被覆色の疑似中間調処理2(設計2)とを使用し、基本色および被覆色のハーフトーニングを実行する。
ステップS3950において、画像形成装置100は、画像形成部104により、ステップS3940で作成された、基本色の画像および被覆色の疑似多階調化画像を描画する。
ステップS3960において、画像形成装置100は、基本色の画像および被覆色の画像を媒体120に転写および定着させる。
<F.応用例>
画像形成装置100は、前述した各種パッチの生成方法、パッチの読み取り設定の変更、印刷画像の補正処理等を適宜組み合わせて使用し得る。例えば、画像形成装置100は、濃度ムラ補正パッチの生成と、階調調整パッチの生成と、これらのパッチの読み取り結果に基づく画像補正と、スクリーンモアレの発生を防止する処理とを組み合わせて実行し得る。
画像形成装置100は、各種パッチの生成方法、パッチの読み取り設定の変更、印刷画像の補正処理を選択するための機能(事前パッチ印刷機能、ユーザーに使用する設定を選択させる機能等)を備える。図40~図43を参照して、これらの機能について説明する。画像形成装置100は、図40~図43に示される方法を適宜組み合わせて使用してもよい。
図40は、事前パッチの第1の例を示す図である。上述したように、イメージスキャナ110により読み取った画像をもとに各種検査または調整を行う場合、媒体120の特性により、印刷すべきパッチおよび印刷設定の調整(補正)方法が変化する可能性がある。そこで、画像形成装置100は、ユーザーコンテンツの印刷を開始する前に、事前パッチを媒体120に印刷し、媒体120の特性を確認し得る。
画像形成装置100は、一例として、パッチ4001,4002,4003を含む事前パッチを媒体120に印刷し、当該事前パッチを読み取ることができる。
パッチ4001は、ノリ付着確認パッチである。ラベルおよび剥離紙からなる媒体120にはノリが使用される。このような媒体120が使用される場合、ラベルおよび剥離紙の間からノリがはみ出し、画像形成装置100の内部のローラー等に付着することがある。このノリがさらに媒体120の表面に付着して、汚れの原因となり得る。パッチ4001は、このようなノリによる汚れが媒体120上に存在するか否かを判別するためのパッチである。ノリによる汚れは媒体120の端部に発生しやすいため、画像形成装置100は、媒体120の端部にパッチ4001を印刷する。ノリによる汚れが媒体120上に存在する場合、画像形成装置100は、例えば、パッチ読み取り時の汚れの影響を抑制するために、パッチの読取範囲を変更してもよい。
ある局面において、画像形成装置100は、白背景板311および黒背景板312の両方または片方を用いて、パッチ4001を読み取ってもよい。他の局面において、パッチ4001は、ハーフトーンで表現されてもよい。
パッチ4002は、階調確認パッチである。パッチ4002は、媒体120上に印刷されたパッチの読み取り特性を確認するために使用される。画像形成装置100は、パッチ4002の読み取り結果に基づいて、媒体120のパッチの読み取り特性を確認し得る。画像形成装置100は、媒体120のパッチの読み取り特性に基づいて、ジョブの実行中または調整モード中のパッチ構成、イメージスキャナ110における光量設定、使用する背景板の選択等の各種設定を行い得る。
ある局面において、画像形成装置100は、白背景板311および黒背景板312の両方または片方を用いて、パッチ4002を読み取ってもよい。
他の局面において、画像形成装置100は、媒体120上にパッチ4002を直接印刷してもよいし、白トナー等の下地の上にパッチ4002を印刷してもよい。
また、他の局面において、画像形成装置100は、媒体120上にパッチ4002を直接印刷し、さらに、白トナー等の下地の上にパッチ4002を印刷し、これらの2種類のパッチの読み取り特性を比較してもよい。画像形成装置100は、当該比較結果に基づいて、ジョブの実行中または調整モード中のパッチ構成(例えば、パッチに下地を用いるか否か等)、イメージスキャナ110における光量設定、使用する背景板の選択等の各種設定を行い得る。
パッチ4003は、用紙そのものの特性を判定するための無階調パッチである。画像形成装置100は、パッチ4003の読み取り結果に基づいて、ジョブの実行中または調整モード中のパッチ構成、イメージスキャナ110における光量設定、使用する背景板の選択等の各種設定を行い得る。
ある局面において、画像形成装置100は、白背景板311および黒背景板312の両方または片方を用いて、パッチ4003を読み取ってもよい。
なお、図40に示される事前パッチの構成は一例であり、画像形成装置100が印刷可能な事前パッチの構成はこれに限られない。ある局面において、事前パッチは、任意の種類のパッチを含んでいてもよいし、各パッチのデザイン、各パッチの配置は任意の位置に設定され得る。さらに、各パッチは、白背景板311および黒背景板312の両方または片方を用いて読み取られてもよい。
図41は、事前パッチの第2の例を示す図である。画像形成装置100は、新たな媒体120が画像形成装置100に装填される毎に、事前パッチの印刷および読み取りを行うことが好ましい。また、画像形成装置100は、新たな媒体120が画像形成装置100に装填される毎に、事前パッチの読み取り結果に基づいて、ジョブの実行中または調整モード中のパッチ構成、イメージスキャナ110における光量設定、使用する背景板の選択等の各種設定を行うことが好ましい。
そこで、画像形成装置100は、新たな媒体120が画像形成装置100に装填される毎に、事前パッチ4102を媒体120上に印刷し、当該事前パッチ4102を読み取る。事前パッチ4102は、例えば、図40に示されるような事前パッチである。状態4110,4120,4130は、事前パッチ4102の印刷および読み取りまでの流れの一例を示す。
状態4110は、媒体120が交換された直後であり、イメージスキャナ110下部には、以前のジョブ印刷等で利用された交換前の媒体120がまだ残っている。次のジョブで利用される媒体120は、係止部4103により、交換前の媒体120に接続されている。係止部4103は、例えば、任意の係止用の粘着テープ等であってもよい。一例として、係止部4103は、透明テープでもよいし、原色各種センサーで認識しやすい濃色や赤等の着色係止剤を塗布されたテープであってもよい。着色テープを使用することで、係止部4103は、印刷機本体4101(画像形成部104~定着部108等)の手前に位置している。
状態4120は、媒体120が少し搬送された状態であり、係止部4103が画像形成部を通過しているため、新しい媒体120に各種の画像形成が可能となっている。そのため、画像形成装置100は、4103の後に事前パッチ4102を印刷する。
状態4130は、事前パッチ4102がイメージスキャナ110を通過した状態であり、画像形成装置100は、事前パッチ4102がイメージスキャナ110を通過する際に、事前パッチ4102を読み取る。また、画像形成装置100は、事前パッチ4102の読み取り結果に基づいて、ジョブの実行中または調整モード中のパッチ構成、イメージスキャナ110における光量設定、使用する背景板の選択等の各種設定を行う。
図42は、使用する設定の組み合わせ情報の一例を示す図である。画像形成装置100は、パッチ構成、パッチの読み取り設定、印刷画像の補正設定等の各種設定を変更し得る。すなわち、画像形成装置100は、これらの各種設定を組み合わせて使用し得る。
画像形成装置100は、オペレータがこれらの各種設定の組み合わせを選択できるように、操作表示部102に設定画面を表示してもよい。他の局面において、画像形成装置100は、事前パッチおよび/またはリアルタイム階調パッチ等の実行結果に基づいて、各種設定の組み合わせを自動的に決定してもよい。
画像形成装置100は、各種設定の組み合わせをテーブル4200としてストレージに保存してもよい。また、画像形成装置100は、当該テーブル4200を用いて、オペレータに使用する設定の選択肢を提示してもよい。ある局面において、画像形成装置100は、各種設定の組み合わせをテーブル以外の任意のデータ形式で保有してもよい。テーブル4200は、一例として、組み合わせ番号の項目4201と、背景板の色の項目4202と、白下引き有無の項目4203と、チャートデザインの項目4204と、選択頻度の項目4205とを含む。
組み合わせ番号の項目4201は、各種設定の組み合わせを一意に識別するための番号に関する。ある局面において、組み合わせ番号は、英数字等の任意の文字列で表現されてもよい。背景板の色の項目4202は、白背景板311または黒背景板312のいずれを使用するかに関する。白下引き有無の項目4203は、パッチを白トナーの下地(白下引き有)の上に印刷するか、パッチを媒体120の上に直接印刷するか(白下引き無)に関する。チャートデザインの項目4204は、パッチ(チャート)の配置、デザイン、サイズ等の設定に関する。選択頻度の項目4205は、同じレコードの設定の組み合わせが何回使用されたのかに関する。選択頻度の項目4205の数字が大きいほど、そのレコードの設定の組み合わせが頻繁に使用されていることを示す。
画像形成装置100は、操作表示部102にテーブル4200に対応する内容(設定の組み合わせの選択表示等)を表示してもよい。オペレータは、各設定の組み合わせ情報、選択頻度等の情報に基づいて、設定の組み合わせを選択し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、選択頻度の高い設定の組み合わせを上位に表示してもよい。また、他の局面において、画像形成装置100は、初めて使用される媒体120、または、初めて使用される設定の組み合わせが選択された場合に、選択されている設定の組み合わせで問題が無いか否かをオペレータに確認する表示を操作表示部102に出力してもよい。
図43は、トンボの読み取りまたはデザインの選択の一例を示す図である。画像形成装置100は、媒体120の種類に応じて、ジョブの実行中または調整モード中のパッチの構成、パッチの読み取り設定を変更する共に、トンボの読み取り設定および/またはデザインを変更してもよい。以下に、トンボの読み取り設定およびデザインの変更例について説明する。
まず、透明フィルム上のトンボ(第1のトンボ)の読み取り設定の一例について説明する。透明フィルムを使用する場合、背景板303に汚れが付着し、当該汚れが、ノイズ4303として、読み取り画像に写り込むことがある。このようなノイズ4303があると、画像形成装置100は、トンボの読み取りを失敗する可能性がある。そこで、画像形成装置100は、ノイズ4303の影響を受けにくい媒体120の搬送方向に対して垂直なトンボ線4301を探索する。次に、画像形成装置100は、トンボ線4301と直交する(媒体120の搬送方向に対して平行な)トンボ線4302を探索する。その際、画像形成装置100は、トンボ線4302の探索範囲を制限し、制限範囲内で検出された画像のうち、最も強い特性(濃度が高い等)を持つ画像をトンボ線4302として選択する。例えば、画像形成装置100は、トンボ線4301と重なる範囲に存在する範囲のみから、トンボ線4302の候補画像を探索してもよい。
このように、画像形成装置100は、片方のトンボ線(トンボ線4301)を見つけることにより、もう片方のトンボ線(トンボ線4302)の探索範囲を、もう一方のトンボ線が確実に存在する範囲に限定し得る。こうすることで、画像形成装置100は、ノイズの影響を抑制しながら、トンボの位置を判定し得る。
次に、透明フィルム上の白下引き上のトンボ(第2のトンボ)の読み取り設定の一例について説明する。白下引き上のトンボを読み取る場合、白トナーが白背景板311に映り込むことによって、白トナー下引き画像の輪郭に影4304が発生し得る。この場合、画像形成装置100は、当該影4304をトンボと誤認識する可能性がある。このような場合、影4304ができるのは、白トナー下引きの輪郭である。そこで、画像形成装置100は、白下引きを使用する場合、白トナー下引きの領域の中央から外側に向かってトンボを探索する。こうすることで、画像形成装置100は、トンボ線4301,4302を影4304よりも先に発見し得る。こうすることで、画像形成装置100は、影4304の影響を受けずに、トンボの位置を判定し得る。
次に、デザインを変更したトンボ(第3のトンボ)について説明する。背景板303の汚れ(ノイズ4303)は、媒体120の搬送方向に対して平行になることが多い。そこで、画像形成装置100は、トンボ線4301,4302を傾けて印刷してもよい。より具体的には、画像形成装置100は、トンボを媒体120の搬送方向に対して少し斜めに印刷してもよい。こうすることで、画像形成装置100は、傾きを有するトンボ線4301,4302と、ノイズ4303とを容易に区別し得る。
ある局面において、画像形成装置100は、図43を参照して説明したトンボの読み取り設定と、トンボのデザイン変更とを組み合わせて使用してもよい。
<G.画像形成装置によるパッチの形成および読取処理の一例>
次に、本実施の形態に従う画像検査システムによる、パッチの読取方法の変更処理、画像の良否判定の変更処理、媒体120の種類に応じてパッチを媒体120に形成する処理、パッチ読み取り結果に基づく画像形成の制御の変更処理のバリエーションについて説明する。
(a.パッチの読取方法の変更処理)
制御部510は、パッチが形成された媒体を読取部560が読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部による画像形成を制御する。また、読取制御部550は、パッチが形成される媒体に基づいて、読取部560によるパッチの読取方法を変更する。
ある局面において、読取方法の変更は、読取部が媒体の読み取りに用いる背景部の変更、読取部が媒体を読み取る読取範囲の変更、画像形成部により形成された画像の読取手順の変更、読取部による媒体の読み取りに用いる光源の変更、光源の制御の変更、読取部における読取条件の変更の少なくとも1つを含み得る。より具体的には、一例として、読取部560は、媒体の種類に応じて、図24等に示されるように、読み取り時の光量を調整し得る。また、他の例として、読取部560は、媒体の種類に応じて、図25等を参照して説明したように、パッチの読取範囲を調整し得る。さらに、他の例として、読取部560は、媒体の種類に応じて、背景板(背景部)303を変更し得る。
ある局面において、画像検査システムは、識別部570によって媒体に関する情報を取得し、当該媒体に関する情報を使用して、読取部560によるパッチの読取方法を変更してもよい。一例として、画像検査システムは、識別部570によって媒体が黒用紙であると判別されたことに基づいて、パッチ読み取り時の光量を増加させ得る。画像検査システムは、識別部570によって媒体がロゴ付き剥離紙であると判別されたことに基づいて、剥離紙のロゴの影響を受けにくい色(黒等)を背景板(背景部)303の色として使用し得る。
ある局面において、媒体に関する情報は、媒体の種別及び特性に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。媒体の種別は、媒体のカテゴリー情報、媒体の商品の型番等を含んでいてもよい。媒体の特性は、色、反射の有無、透明か否か等の任意の特性情報を含んでいてもよい。
ある局面において、画像検査システムは、取得部530により、媒体の種別に関する情報を取得してもよい。一例として、画像形成装置100は、ユーザーからの入力情報(媒体の選択情報)または画像形成前のイメージセンサーによって得られた画像情報に基づいて、媒体の種別に関する情報を取得し得る。
ある局面において、画像検査システムは、読取画像に含まれるノイズ成分を評価し、ノイズ成分の影響が小さくなる背景部を選択してもよい。より具体的には、画像検査システムは、図27等を参照して説明したようにロゴの有無、パッチおよび媒体の色等に基づいて、読取画像に含まれるノイズ成分を評価し、ノイズ成分の影響が小さくなるように白背景板311または黒背景板312を選択し得る。
ある局面において、読取制御部550は、さらに、媒体に描画されるパッチに基づいて読取部が媒体を読み取る読取範囲を変更し得る。より具体的には、読取制御部550は、パッチの輪郭の特性に基づいて、パッチの周辺部の読取範囲を調整し得る。すなわち、図25等を参照して説明したように、読取制御部は、パッチ背景およびパッチに基づいて、パッチの読み取り可能な範囲を判定し、当該判定に基づいて、パッチの読取範囲を変更(例えば、縮小)し得る。これにより、読取部560は、ボケが発生する可能性のあるパッチの外周面を除いて、正確にパッチを読み取ることができる。
ある局面において、読取制御部550は、媒体を含む背景とパッチとの階調差が最も大きくなる色光を選択し得る。すなわち、図24等に示されるように、例えば、読取制御部550は、媒体が光をほとんど反射しない黒用紙である場合に、ライト302の照明光の輝度を高くすることで、黒用紙から反射される光の量を増加させ得る。
ある局面において、読取制御部550は、パッチ読み取りの設定を実行する際に、ユーザー利用履歴記憶部(記憶部540に含まれ得る)を参照してもよい。また、読取制御部550は、ユーザーの利用履歴に基づいて、読取方法を決定し得る。より具体的には、読取制御部550は、画像検査システムまたは画像形成装置100にログインしたユーザーのIDに基づいて、ユーザー利用履歴記憶部を検索する。読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つかった場合に、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と、今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが同一の場合、前回のパッチ読み取りの設定を使用し得る。一方で、読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つからなかった場合、新しいパッチ読み取りの設定を使用する。同様に、読取制御部550は、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と、今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが異なる場合、新しいパッチ読み取りの設定を使用する。
ある局面において、通知部580は、読取方法に関する通知を行ってもよい。より具体的には、通知部580は、前回のパッチ読み取りの設定を使用することをユーザーに通知してもよい。また、通知部580は、新しいパッチ読み取りの設定を使用することをユーザーに通知してもよい。さらに、通知部580は、ユーザーの利用履歴が見つかったこと、ユーザーの利用履歴が見つからなかったこと、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが同一もしくは異なることを通知してもよい。
ある局面において、読取制御部550は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして用いることに基づいて、読取部の読取条件を変更してもよい。より具体的には、図16等を参照して説明したように、例えば、読取制御部550は、媒体120の特性、下地トナー、被覆材の使用の有無などの各種条件に基づいて、イメージスキャナ110の読み取り処理時の背景板303の変更、イメージスキャナ110の露光条件の調整等を行い得る。また、読取制御部5500は、ユーザーコンテンツ内の特色画像の面積が小さく、イメージスキャナ110による特色画像の読み取り精度に影響が出る可能性がある場合、印刷設定の補正処理に対する、ユーザーコンテンツ内の検査画像(特色の読み取り結果)の関与の比率を低減させてもよい。さらに、読取制御部550は、ユーザーコンテンツに含まれる特色画像を読み取る場合には、読み取り時の背景板303の色および/または露光条件をユーザーコンテンツに合わせて設定し得る。
(b.画像の良否判定の変更処理)
制御部510は、パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部による画像形成を制御する。また、判定制御部590は、パッチが形成される媒体に基づいて、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更し得る。
ある局面において、判定制御部590は、判定手法の変更として、判定に用いる階調域の変更、判定に用いる画像の画像形成方法の変更、判定基準の変更、判定に用いるパッチの変更、判定に用いるパッチの測定回数の変更の少なくとも1つを実行し得る。より具体的には、図16等を参照して説明したように、例えば、判定制御部590は、ユーザーコンテンツ中に含まれる特色をパッチとして使用することで、判定に用いる階調域を変更し得る。また、判定制御部590は、例えば、読み取り画像のS/N比が小さい場合は画像読み取りの回数を増やしてもよい。さらに、例えば、媒体が金属蒸着フィルム等の光を鏡面反射しやすい媒体である場合、判定制御部590は、トナー濃度の増減が階調の変化につながらない階調域(図32における第2の階調域3202)を、パッチの読み取りおよび良否判定の対象から除外し得る。
ある局面において、画像検査システムは、識別部570によって媒体に関する情報を取得し、当該媒体に関する情報を使用して、読取部560によるパッチの良否判定方法を変更してもよい。
ある局面において、媒体に関する情報は、少なくとも媒体の種別および特性に関する情報の少なくとも1つを含んでいてもよい。媒体の種別は、媒体のカテゴリー情報、媒体の商品の型番等を含んでいてもよい。媒体の特性は、色、反射の有無、透明か否か等の任意の特性情報を含んでいてもよい。
ある局面において、画像検査システムは、取得部530により、媒体の種別に関する情報を取得してもよい。一例として、画像形成装置100は、ユーザーからの入力情報(媒体の選択情報)または画像形成前のイメージセンサーによって得られた画像情報に基づいて、媒体の種別に関する情報を取得し得る。また、制御部510は、取得部530の取得結果に基づいて媒体を識別し得る。
ある局面において、判定制御部590は、媒体を読み取った読取結果に基づいて、図32等に示されるように、パッチの良否判定に用いる階調域を変更または選択し得る。
ある局面において、判定制御部590は、図10,図11等に示されるように、媒体上に形成された白色下地(白トナーの下地)画像の上にパッチを形成することで、判定に用いるパッチを変更し得る。
ある局面において、判定制御部590は、制御部510、読取制御部550、識別部570等によって得られた媒体およびパッチの解析結果に基づいて、白色下地画像を形成するか否かを判定し得る。
ある局面において、判定制御部590は、媒体を含む背景に存在するノイズを検知し、検知結果に基づいて、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定基準を変更し得る。図31等に示されるように、例えば、判定制御部590は、副走査方向におけるパッチ背景のノイズの値を平均化して、パッチ読み取りにおけるノイズの影響を抑制し得る。また、判定制御部590は、濃度ムラ測定パッチの解析により得られた濃度ムラの値が、ノイズパターンの信号変化の値より大きい場合に限り、濃度ムラ補正設定を行ってもよい。また、判定制御部590は、パッチ読み取り処理の前に、パッチ背景のノイズパターンを繰り返し読み取っておき、読み取り結果に基づいて、パッチ背景のノイズの値を事前に平均化してもよい。また、判定制御部590は、ストレージ(記憶部540)に格納された媒体120の種別ごとにノイズの値の平均値を流用してもよい。
ある局面において、判定基準は、濃度ムラに関する閾値であってもよい。この場合、判定制御部590は、ノイズの強度に応じて、パッチの良否判定の閾値を変更し得る。
一例として、図9を参照して、当該パッチの良否判定の閾値の変更について説明する。図9に示されるパッチは、青色剥離紙上のトナー像の濃度ムラを測定し、補正するためのチャートである。当該パッチは、青色剥離紙が無地で均質であることを想定したパッチである。そのため、青色剥離紙が、図27に示されるようなロゴ等の模様入りの剥離紙である場合、判定制御部590は、当該模様をトナー像の濃度ムラと誤認識する可能性がある。さらに、青色剥離自体に抄紙(しょうし)ムラがある場合がある。当該抄紙ムラは、パッチのムラの原因にもなる。上記のような、剥離紙自体の模様または抄紙ムラは、パッチのムラと区別がつきにくい。そこで、判定制御部590は、比較的微細なこれらのムラを補正対象としないために、閾値を変更する。そして、判定制御部590は、当該変更された閾値を超える濃度ムラ成分のみを補正対象とて補正値を算出する。判定制御部590は、閾値未満のムラ(剥離紙自体の模様または抄紙ムラ等)については補正対象としない(0等、実質的に補正処理が働かない補正値を設定する)。
ある局面において、判定基準は、ノイズを検出するための範囲であってもよい。この場合、判定制御部590は、ノイズを検知するためのノイズの周期または空間周波数の最小サイズを変更し得る。図31等に示されるように、例えば、判定制御部590は、検出されたノイズの周期に応じて、ノイズを検知するためのノイズの周期または空間周波数の最小サイズ(パッチの読み取りサイズ)を変更し得る。
ある局面において、判定制御部590は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして用いることにより、良否判定に用いるパッチを変更し得る。図16等に示されるように、例えば、判定制御部590は、ユーザーコンテンツに含まれる特色画像をパッチに含め得る。
ある局面において、判定制御部590は、特定画像のパッチとしての妥当性に応じて、前記特定画像の判定結果への寄与率を制御し得る。一例として、図16等に示されるように、判定制御部590は、ユーザーコンテンツに含まれる特色画像の割合等に応じて、前記特定画像の判定結果への寄与率を制御し得る。
ある局面において、判定制御部590は、媒体において、画像形成部により画像が形成されていない領域を読み取った読取結果に基づいて、読取部が媒体の読み取りに用いる背景部の状態を判断してもよい。より具体的には、読取部560は、印刷中、調整モード中、または、印刷前のパッチ読取動作中等において、媒体の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分を読み取る。そして、判定制御部590は、媒体の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分の画像を解析し、背景板303に画像検査に影響する程度の汚れがあるか否かを判定し得る。
(c.媒体の種類に応じてパッチを媒体に形成する処理)
制御部510は、パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部520による画像形成を制御する。また、制御部510は、媒体に応じたパッチを媒体に形成するよう画像形成部520を制御する。一例として、図24に示されるように、媒体が黒用紙である場合に、制御部510は、白色下地を媒体に印刷し、当該白色下地の上にパッチを印刷してもよい。
ある局面において、制御部510は、媒体に応じたパッチとして、下地画像が追加されたパッチ、デザインが変更されたパッチ、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像のいずれかを媒体に形成するように、画像形成部を制御する。より具体的には、一例として、図10,図11等に示されるように、制御部510は、下地画像が追加されたパッチを媒体に形成するように、画像形成部を制御し得る。また、一例として、13,図15,図26等に示されるように、制御部510は、デザインが変更されたパッチを媒体に形成するように、画像形成部を制御し得る。また、一例として、図16等に示されるように、制御部510は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像を媒体に形成するように、画像形成部を制御し得る。
ある局面において、画像検査システムは、識別部570によって媒体に関する情報を取得し、当該媒体に関する情報を使用して、画像形成部520による画像形成を制御してもよい。一例として、図10等に示されるように、画像検査システムは、媒体が透明フィルムおよび色付き剥離紙の組合せであった場合、白色下地の上に濃度ムラ測定パッチを形成するように、画像形成部を制御し得る。
ある局面において、媒体に関する情報は、媒体の種別及び特性に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。媒体の種別は、媒体のカテゴリー情報、媒体の商品の型番等を含んでいてもよい。媒体の特性は、色、反射の有無、透明か否か等の任意の特性情報を含んでいてもよい。
ある局面において、画像検査システムは、取得部530により、媒体の種別に関する情報を取得してもよい。一例として、画像形成装置100は、ユーザーからの入力情報(媒体の選択情報)または画像形成前のイメージセンサーによって得られた画像情報に基づいて、媒体の種別に関する情報を取得し得る。
ある局面において、制御部510は、読取部560による媒体の読取結果に基づいて、媒体に応じたパッチを形成するように、画像形成部を制御してもよい。一例として、図10等に示されるように、画像検査システムは、媒体が透明フィルムおよび色付き剥離紙の組合せであった場合、白色下地の上に濃度ムラ測定パッチを形成するように、画像形成部を制御し得る。
ある局面において、制御部510は、読取部560による読取結果が顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する特性を有する場合に、パッチに白色下地を追加するように、画像形成部を制御してもよい。一例として、図21,図22,図23等に示されるように、読取結果が、金属蒸着フィルム、ホログラム紙、透明フィルムに関する読取結果である場合、顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する可能性がある。この場合、制御部510は、パッチに白色下地を追加することで、顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する現象の発生を防止し得る。
ある局面において、制御部510は、読取結果がパッチの解析に適切でないと判定したことに基づいて、パッチに白色下地を追加するように、画像形成部を制御する。
一例として、例えば図27等に示されるように、剥離紙の裏面にロゴ等の模様があると、それがパッチの読取にも影響する。その結果、例えば、濃度ムラや階調の測定に誤差が生じ得る。また図20~図24等に示されるように、濃色、透明、鏡面反射またはホログラム等の特性を有する媒体に顕色トナーのみが印刷された場合、測定パッチは、正しく読み取られない可能性がある。このような場合に、画像形成装置100は、これらの媒体の表面を覆い隠す特性を持つ白色下地を追加することで、顕色トナー像の濃淡の程度をより適切に読み取り得る。
ある局面において、制御部510は、媒体に白色下地を追加したパッチを形成する場合、白色下地の追加に関して、ユーザーコンテンツに対して白色下地を追加する場合と異なる制御を行ってもよい。一例として、図33等に示されるように、ユーザーコンテンツが媒体に直接印刷され、パッチは白色下地の上に印刷される場合、制御部510は、ユーザーコンテンツに対して白色下地を追加する場合と異なる制御を行い得る。
ある局面において、制御部510は、読取結果に基づいて、媒体を含む背景に特定画像が繰り返し含まれる場合に、媒体に特定画像の繰り返しに応じたパッチを形成するように、画像形成部を制御し得る。
例えば、画像形成装置100は、図31に示されるように、矩形のパッチサイズを、媒体の裏面に印刷されているロゴマーク等の特定画像の繰り返し周期のN倍(任意の整数倍)となるように変更し、当該パッチを描画し得る。また、例えば、画像形成装置100は、図7に示されるように矩形の同一サイズのパッチが複数並んでいる場合に、各々のパッチサイズを、前述のように繰り返し周期のN倍)にしてもよい。こうすることで、画像形成装置100は、各々のパッチを読み取る際の、媒体背景のロゴマークの影響を均等化し、測定パッチの濃度ムラや階調変化を正しく読み取り得る。
ある局面において、制御部510は、読取結果に基づいて、媒体が顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する特性を有する媒体であると判定したことに基づいて、パッチの形成に用いる階調域を変更してもよい。
例えば、図21に示されるような、蒸着フィルム等の光沢を有する媒体に顕色トナーが印刷された場合、トナー像の濃淡は、部分2110~2130のように、媒体の階調値(階調域)により変化し得る。その結果、図32に示されるように、部分2110~2130におけるトナー像の読み取り結果は変化してしまう。そこで、画像形成装置100は、例えば、第1の階調域3201および第3の階調域3203の読み取りを制限し、当該制限を、各々の階調域に応じた階調補正等の制御に用い得る。階調域の変化は、顕色剤であるトナーの特性により変化する。そのため、画像形成装置100は、図40,図41等に示されるように、事前パッチ読み取りの結果から、読み取りを制限する階調域を決定してもよい。または、画像形成装置100は、トナー種別と、読み取りを制限する階調域とを予め紐付けした設定をストレージに格納しておいてもよい。
ある局面において、制御部510は、媒体を含む背景とパッチとの関係に基づくパッチの輪郭の特性に基づいて、パッチのデザインを変更してもよい。一例として、図30等に示されるように、デザインの変更は、パッチのサイズの変更を含んでもよい。また、制御部510は、媒体を含む背景とパッチとの関係に基づくパッチの読取難度に基づいて、パッチの測定数またはパッチの大きさを変更してもよい。
ある局面において、画像検査システムは、読取難度の判定結果に基づいて、パッチを用いた補正の補正精度に関する通知を行う第1通知部(通知部580に含まれ得る)をさらに備えてもよい。
前述のように、白色下地を追加する処理、ロゴマークの整数倍にパッチサイズを変更する処理、もしくは、パッチ読み取りを特定の階調域に制限する処理を含むパッチ読み取りは、通常の無地の白色紙上のパッチ読み取りよりも、難易度が高く、補正の信頼度が低下し得る。そこで、画像形成装置100は、このような特殊な処理を実行するか否か、および、補正の信頼度が低下し得ること等をユーザーに通知してもよい。
ある局面において、画像検査システムは、ユーザーと対応付けてパッチを記憶するユーザー利用履歴記憶部(記憶部540)をさらに備えてもよい。また、制御部510は、画像形成部520による媒体へのパッチの形成を制御する際に、ユーザー利用履歴記憶部(記憶部540)を参照してもよい。より具体的には、制御部510は、画像検査システムまたは画像形成装置100にログインしたユーザーのIDに基づいて、ユーザー利用履歴記憶部を検索する。読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つかった場合に、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と、今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが同一であるとき、前回のパッチ形成の設定を使用し得る。一方で、読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つからなかった場合、新しいパッチ形成の設定を使用する。
ある局面において、画像検査システムは、ユーザーの利用履歴に応じて、パッチの形成に関する通知を行う第2通知部(通知部580に含まれ得る)をさらに備えてもよい。第2通知部は、例えば、今回の印刷処理で使用する媒体の特性と前回の印刷処理で使用した媒体の特性とが同一の場合、ユーザーに前回の設定を使用するか否かをユーザーに確認するための通知を出力してもよい。一方で、第2通知部は、ユーザーの利用履歴が見つからなかった場合、新しいパッチ形成の設定を使用することをユーザーに知らせるための通知を出力してもよい。
ある局面において、制御部510は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして用いることに基づいて、特定画像のパッチとしての妥当性に応じて、媒体へのパッチの形成を制御してもよい。一例として、図16等に示されるように、制御部510は、リアルタイム調整パッチに含まれる一部の色を、特定画像に含まれる色(特色)に置き換えてもよい。
(d.パッチ読み取り結果に基づく画像形成の制御の変更処理)
画像検査システムは、パッチが形成された媒体を読取部560により読み取って生成された読取画像に基づいて、制御部510により画像形成部による画像形成を制御してもよい。制御部510は、パッチが形成される媒体に基づいて、画像形成部520による画像形成の制御を変更し得る。
ある局面において、画像形成の制御の変更は、パッチを用いた補正の補正パラメータの変更、パッチを用いた補正の補正方法の変更、パッチを用いた補正の目標値の変更の少なくとも1つを含み得る。一例として、図17等に示されるように、制御部510は、媒体が交換される際に、媒体の変化の有無を検出し、補正値(目標値)を引き継いで、引き継いだ補正値(目標値)に基づいて、画像形成部による画像形成の制御を変更し得る。他の例として、図38等に示されるように、制御部510は、白色下地の有無による濃度ムラの変化を事前に計測することで、白色下地に印刷されたパッチの解析で得られた補正値を、媒体に直接カラー印刷した場合の補正値に換算し得る。
ある局面において、画像検査システムは、識別部570により、読取画像に基づいて、媒体に関する情報を取得し、媒体を識別してもよい。
ある局面において、媒体に関する情報は、媒体の種別及び特性に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。媒体の種別は、媒体のカテゴリー情報、媒体の商品の型番等を含んでいてもよい。媒体の特性は、色、反射の有無、透明か否か等の任意の特性情報を含んでいてもよい。
ある局面において、画像検査システムは、取得部530により、媒体の種別に関する情報を取得してもよい。一例として、画像形成装置100は、ユーザーからの入力情報(媒体の選択情報)または画像形成前のイメージセンサーによって得られた画像情報に基づいて、媒体の種別に関する情報を取得し得る。制御部510は、取得部530の取得結果に基づいて媒体を識別し得る。
ある局面において、補正方法の変更は、絶対階調補正と、相対階調補正と、プロセスパラメータによる補正とを切り替えることにより画像形成部による画像形成の制御を変更することを含んでもよい。
例えば、図33に示されるように、媒体の階調特性が高い場合において、白色トナーの下地ありなしでは、適切な補正制御方法が異なる。画像形成装置100は、白色トナーの下地の有無に基づいて、補正を切り替えてもよい。また、画像形成装置100は、図32に示されるような光沢等を有する媒体に対して、特に有効なプロセスパラメータによる補正を選択する等、より有効な制御方法を選択し得る。
ある局面において、制御部510は、画像形成部により被覆材を用いた画像形成を行う場合に、パッチを用いた補正において媒体に応じた補正係数を用いて補正を行い得る。一例として、図33等に示されるように、画像形成装置100は、補正係数を用いることで、白トナー下地上に印刷されたパッチの濃度から得られた階調特性から、本来の階調特性を再現し得る。
ある局面において、制御部510は、媒体を含む背景とパッチとの階調差が小さいことに基づいて、媒体に形成されたパッチを読み取った読取結果に基づいた補正を行ってもよい。
一例として、制御部510は、図30等に示されるように、パッチの個数または大きさを変更し得る。また、図29等に示されるように、制御部510は、測定または補正に用いる色光を選択し得る。さらに、制御部510は、これらの処理を必要とする場合、すなわち、パッチの読み取り難度が高い場合に、これらの状況をユーザーに通知してもよい。
ある局面において、制御部510は、読取部による媒体の読取結果に基づいて、絶対階調補正と、相対階調補正と、プロセスパラメータによる補正とを切り替えてもよい。
例えば、図33に示されるように、媒体または媒体上のパッチごとの階調特性、最高濃度等の違いにより、適切な制御方法が異なる。例えば、画像形成装置100、図32に示されるような読取階調値が変化する特性を有する媒体に対して特に有効な、プロセスパラメータによる補正を選択する等、より有効な制御方法を選択し得る。また、図40および図41に示されるように、画像形成装置100は、事前パッチの読取結果から、上記の制御方法を選択してもよく、また、上記の制御方法をトナー種別と予め紐付けた設定をストレージに格納してもよい。
ある局面において、制御部510は、読取結果に基づいて、媒体が、顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する媒体であることに基づいて、切り替えを行ってもよい。
例えば、画像形成装置100、図32に示されるような読取階調値が変化する特性を有する媒体に対して特に有効な、プロセスパラメータによる補正を選択する等、より有効な制御方法を選択し得る。また、図40および図41に示されるように、画像形成装置100は、事前パッチの読取結果から、上記の制御方法の選択をしてもよく、また、上記の制御方法をトナー種別と予め紐付けた設定をストレージに格納してもよい。
ある局面において、制御部510は、読取部による媒体の読取結果に基づいて、補正パラメータを生成してもよい。例えば、画像形成装置100は、事前パッチの読取結果から、上記の制御方法の選択をしてもよく、また、上記の制御方法をトナー種別と予め紐付けた設定をストレージに格納してもよい。
ある局面において、記憶部540は、読取部560による媒体の読取結果に基づいて媒体の色調情報を記憶してもよい。また、制御部510は、読み取り画像をもとに媒体の色調情報を記憶部540に格納し、印刷の実行前または印刷実行時に、今回の印刷に使用される媒体の色調情報を取得し得る。また、制御部510は、記憶部540を参照して、前回の印刷に使用された媒体の色調情報を取得し、今回の印刷に使用される媒体の色調情報の特性が、前回の印刷に使用された媒体の色調情報の特性と異なることに基づいて、階調補正の目標を変更してもよい。
例えば、画像形成装置100は、図16に示されるパッチを描画することで色調情報を取得し、取得した色調情報に基づいて、図17から図18に示される制御を実行することで、印刷媒体の切り替えに良好に適応した画像形成および補正の制御を行い得る。
(e.白色下地の有無に基づくパッチの読取方法の変更処理)
画像検査システムは、制御部510により、パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部による画像形成を制御し得る。また、読取制御部550は、画像形成部により媒体に形成される画像に基づいて、読取部によるパッチの読取方法を変更し得る。
ある局面において、読取制御部550は、画像形成部520により媒体に形成される画像が下地画像を含む場合または被覆画像(透明トナー等)を含む場合に、前記読取部による前記パッチの読取方法を変更してもよい。
ある局面において、読取方法の変更は、読取部の媒体の読み取りに用いる背景部の変更、読取部による媒体の読み取りに用いる光源の変更、光源の制御の変更、読取部による読み取り時における媒体の搬送速度の変更、読取部における読取クロックの変更、読取部が生成する読取画像の変更、画像形成部により形成された画像の読取手順の変更、読取部が媒体を読み取る読取範囲の変更、の少なくとも1つを含み得る。より具体的には、一例として、図24等に示されるように、読取制御部550は、媒体の種類に応じて、読み取り時の光量を調整し得る。また、他の例として、図25等に示されるように、読取制御部550は、媒体の種類に応じて、パッチの読取範囲を調整し得る。さらに、他の例として、読取制御部550は、白色下地の有無に応じて、背景板(背景部)303を変更し得る。また、図29等に示されるように、読取制御部550は、白色下地の有無に基づいて、光源を変更し得る。
ある局面において、読取制御部550は、パッチが白色下地の上に形成される画像であることに基づいて、黒色を含む背景部を用いて、パッチが媒体上に直接形成される画像である場合に、白色を含む背景部を用いてもよい。また、ある局面において、読取制御部550は、パッチが白色下地の上に形成される画像であることに基づいて、パッチに含まれる白色以外の色の画像の読み取り時には、白色を含む背景部を用い得る。一例として、図11に示されるように、読取制御部550は、白色下地の有無に基づいて、白色を含む背景部または黒色を含む背景部のいずれかを選択し得る。
ある局面において、読取制御部550は、パッチが白色下地の上に形成される画像である場合、パッチの読み取りに使用される背景部に基づいて、画像の読取手順を変更し得る。例えば、画像形成装置100は、図43に示されるトンボを読み取るとする。その際、白色下地がない場合は、例えば透明媒体にトンボが描画される際、トンボの影が図20に示されるイメージのように読み取り画像に表れることがある。そこで、画像形成装置100は、トンボの影を誤検出しないよう、トンボの検出に用いる検知閾値、例えばエッジ検出処理における検知閾値、を調整する必要がある。一方で、白色下地上にトンボを描画する場合は、透明媒体におけるトンボの影の影響は無視することができるので、画像形成装置100は、検知閾値を調整しなくてもよい。
他の例として、画像形成装置100は、図9に示されるような小面積の矩形状の白色下地上のトンボ905を読み取るとする。トンボ905が透明媒体に描画された場合、白色下地の矩形の影が生じ、これをトンボ画像と誤検知する可能性がある。また、また白色下地が大面積であっても、図43に示される影4304のように、誤検出される影が存在し得る。そのため、画像形成装置100は、例えば、トンボデザインを第3のトンボのように変更して、白色下地の矩形の影に反応しないようにしたり、まず矩形の影を探索し、その後、トンボ自体を検出するようにトンボ検出シーケンスを変更したりし得る。
ある局面において、読取制御部550は、読取部によるパッチの読取結果に基づいて、画像形成部により媒体に形成される画像の位置を検知し得る。例えば、図16等に示されるように。読取制御部550は、パッチの読取結果(パッチの位置)に基づいて、ユーザーコンテンツ内の特定の画像の位置等を算出し得る。
ある局面において、読取制御部550は、読取部560による読取結果に基づいて、パッチの読取制御を変更してもよい。例えば、画像形成装置100は、図40から図41に示される制御により媒体の上に形成されたパッチの読取結果に基づいて、当該媒体に描画されたパッチを読み取るのに好ましい読み取り方法を選択し得る。例えば、画像形成装置100は、図24に示されるように、照明光(カラー光であれば、例えばrgb各色光の強さの調整も含む)の強さを制御する等、読み取り制御を変更し得る。
ある局面において、読取制御部550は、読取制御を変更することに基づいて、パッチの読み取りに使用される背景部を変更し得る。例えば、画像形成装置100は、図22に示されるように、黒背景において読み取りが困難な媒体とトナー像との組み合わせを検知した場合、背景板410を適切に制御し、読取がしやすい白背景を選択し得る。
ある局面において、読取制御部550は、読取画像から記媒体表面への異物の付着を検知したことに基づいて、読取部による媒体の読取範囲を変更し得る。一例として、図40等に示されるように、読取制御部550は、ノリ等による汚れが媒体上に存在する場合、パッチ読み取り時の汚れの影響を抑制するために、パッチの読取範囲を変更してもよい。
ある局面において、読取制御部550は、パッチ読み取りの設定を実行する際に、ユーザー利用履歴記憶部(記憶部540に含まれ得る)を参照してもよい。また、読取制御部550は、ユーザーの利用履歴に基づいて、読取方法を決定し得る。より具体的には、読取制御部550は、画像検査システムまたは画像形成装置100にログインしたユーザーのIDに基づいて、ユーザー利用履歴記憶部を検索する。読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つかった場合に、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と、今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが同一の場合、前回のパッチ読み取りの設定を使用し得る。一方で、読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つからなかった場合、新しいパッチ読み取りの設定を使用する。同様に、読取制御部550は、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と、今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが異なる場合、新しいパッチ読み取りの設定を使用する。
ある局面において、通知部580は、読取方法に関する通知を行ってもよい。より具体的には、通知部580は、前回のパッチ読み取りの設定を使用することをユーザーに通知してもよい。また、通知部580は、新しいパッチ読み取りの設定を使用することをユーザーに通知してもよい。さらに、通知部580は、ユーザーの利用履歴が見つかったこと、ユーザー乗りよう履歴が見つからなかったこと、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが同一もしくは異なることを通知してもよい。
ある局面において、制御部510は、パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、パッチを用いた補正の補正効果を改善するために、パッチに白色下地を追加するか否かを決定し得る。
例えば、画像形成装置100は、前述のようにパッチ読み取りの確度を上げるために白色下地をつけることで、図21、図24または図27に示されるようなパッチ読み取りが困難な状況でも、パッチ読み取りを確実に行い得る。しかしながら、顕色トナー画像の下地に白色下地が追加されることにより、図38のグラフ3801、3802に示されるように、測定すべき濃度ムラまたは階調特性の変化の大きさが変化することがある。
そこで、例えば、濃度ムラまたは階調特性の変化が小さい場合、画像形成装置100は、パッチに白色下地を追加することにより、より適切で安定したパッチの読み取りを行い得る。例えば、濃度ムラまたは階調特性の変化が大きく、白色下地を追加した場合に読み取りの変化が小さくなる場合、(1)白色下地を追加し、感度が下がった状態、または、(2)白色下地を追加せず、読取の感度が下がったままの状態、のどちらが読み取りに好ましいか判断し、白色下地の有無を選択し得る。
ある局面において、読取制御部550は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして使用することに基づいて、読取部の読取条件を変更し得る。より具体的には、図16等を参照して説明したように、読取制御部550は、媒体120の特性、下地トナー、被覆材の使用の有無などの各種条件に基づいて、イメージスキャナ110の読み取り処理時の背景板303の変更、イメージスキャナ110の露光条件の調整等を行い得る。また、読取制御部550は、ユーザーコンテンツ内の特色画像の面積が小さく、イメージスキャナ110による特色画像の読み取り精度に影響が出る可能性がある場合、印刷設定の補正処理に対する、ユーザーコンテンツ内の検査画像(特色読み取り結果)の関与の比率を低減させてもよい。さらに、読取制御部550は、ユーザーコンテンツに含まれる特色画像を読み取る場合には、読み取り時の背景板303の色および/または露光条件をユーザーコンテンツに合わせて設定し得る。
ある局面において、制御部510は、パッチの読取結果と特定画像の読取結果とに基づいて、追加パッチを生成し得る。例えば、図16に示されるような特定画像(特色P,G,Rの画像)と同色のパッチがあるとする。この場合、画像形成装置100は、読取部560により、これらの特定画像のパッチを読み取ることができる。そして、画像形成装置100は、読み取ったパッチの色がユーザーコンテンツ内でどのように使用されるのか(具体的には白色等の下地有無)について、管理し得る。
例えば、パッチに含まれる色と、ユーザーコンテンツに含まれる色とが同一色であるが、パッチが白色等の下地を含み、ユーザーコンテンツが下地を含まないとする。このようにパッチおよびユーザーコンテンツ間で使用される色が同じであるが下地の有無が異なる場合、パッチおよびユーザーコンテンツの色の見え方および変化は異なる。そのため、画像形成装置100は、特定画像のパッチの読み取り結果から、ユーザーコンテンツ上の同色の画像の特性変化を適切に読み取ることができない可能性がある。
このような場合において、画像形成装置100は、グラデーション画像811または図13に示されるパッチに、これらの不足しているトナーの組み合わせのパッチ(白色下地および特色の組み合わせ等)を追加し、当該追加したパッチを読み取ることができる。さらに、画像形成装置100は、図13に示されるようなパッチを読み取る場合の、背景板の色、照明光の強度および色等の各種設定を、当該パッチを読み取るための好ましい設定に変更し得る。
ある局面において、読取制御部550は、媒体において、画像形成部520により画像が形成されていない領域を読み取った読取結果に基づいて、読取部が媒体の読み取りに使用される背景部の状態を判断し得る。より具体的には、読取部560は、印刷中、調整モード中、または、印刷前のパッチ読取動作中等において、媒体の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分を読み取る。そして、読取制御部550は、媒体の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分の画像を解析し、背景板303に画像検査に影響する程度の汚れがあるか否かを判定し得る。
また、読取制御部550は、媒体上の画像形成部520により画像が形成されていない領域を読み取るとともに、背景板303が媒体に重なっていない個所に相当する領域を読み取る。読取制御部550は、これらのうち少なくとも1つの読取結果に基づいて、読取部の状態、特にイメージスキャナ110,210の読み取り特性変動がどの程度生じているか、を判断し得る。イメージスキャナ110,210の読み取り特性変動は、例えば、イメージスキャナを構成する、ライト302の明るさの変動やイメージセンサー301の感度変動を含む。これらの変動は、例えば連続印刷中に、熱定着処理された高温の媒体が連続してイメージスキャナ110,210を通過することによる環境温度の上昇、等により発生し得る。読取制御部550は、判断結果に基づいて、イメージスキャナ110,210の読み取り特性を、少なくともジョブ印刷を開始した時点に近い状態に補正し得る。
より具体的には、画像形成部520がジョブ印刷中に図8に示されるようなリアルタイム調整パッチ800を繰り返し定期的に印刷し、読取部560が当該リアルタイム調整パッチ800を読み取ったとする。その際、読取制御部550は、リアルタイム調整パッチ800に白トナーの下地が付与される場合、白トナーの階調変化が読み取りやすいように、黒背景板312を使用する。
白トナー画像は、白トナー量が多いほど明るくなる。そのため、白トナー画像の読み取り結果は、イメージスキャナ110,210の読み取り特性、特に、ライト302の明るさの変動またはイメージセンサー301の感度変動の影響を受ける傾向が強い。そのため、読取制御部550は、白トナーを用いた印刷時、前述のように定期的に繰り返されるリアルタイム調整パッチ800の描画と読み取りのうち一部(例えば5回のうち1回の割合)で、リアルタイム調整パッチ800を描画せず(その領域にはユーザーコンテンツも描画しないのが望ましい)、また読み取り時の背景を、その回だけ白背景板311に切り替える制御を行い、白背景板311または媒体そのものの読取を行う。
白背景板311または媒体は、印刷状態にかかわらず常に一定の色調を有すると考えられる。そのため、読取制御部550は、背景板または媒体の読み取り結果がジョブ先頭(あるいは一定期間の初期状態)から変化した場合、イメージスキャナ110,210の読み取り特性が変動したと判断し得る。また、読取制御部550は、イメージスキャナ110,210の変動の方向(明るく読み取られるか?暗く読み取られるか?)、変動の大きさ、を読み取ることができ、読み取り結果を補正することができる。例えば、読取制御部550は、読み取った明るさ(階調)が1.05倍に明るく読み取られるように変化した場合、以降のリアルタイム調整パッチ800の階調の読み取り結果を1.05で除した値が、本来の読み取り結果である、と補正することができる。
ここで、2つ以上の長尺紙がつなぎ合わせられて作られる長尺のロール紙が媒体として使用されることがある。このような媒体が使用される場合、つなぎ合わせた前後の媒体の表面において、わずかに色調が異なる場合がある。そのため、読取制御部550は、このわずかな色調の変化をイメージスキャナ110,210の読み取り特性の変動であると誤検知する可能性がある。そこで、読取制御部550は、媒体の接合部を検知したり、あるいは、媒体の読み取り結果が「ある時点」で変化し、その時点の前後各々では安定している状態を検知した場合は、「ある時点」で用紙特性が変化したと判断し、用紙特性の変化を減殺した正味の読み取り特性の変動を推定したりしてもよい。
イメージスキャナ110,210の読み取り特性にかかわるものとして、イメージセンサー301の感度変動をすでに述べたが、感度変動には、大きく2つの要因がある。一方はイメージセンサー301が受け取った光の強さに対する反応の大きさで、狭義の感度であり、一般に「ゲイン」と呼ばれることもある。また他方は、イメージセンサー301の反応が全体にかさ上げ、かさ下げされる現象で、一般に「オフセット」と呼ばれることもある(「バイアス」や「0点誤差、0点電位」と呼ばれる場合もある)。
読取制御部550は、前出の白背景板311または媒体そのものを読み取ることで、主に「ゲイン」に相当するイメージスキャナ110,210の読み取り特性の変化を判断し得る。「オフセット」に相当する部分の変化も含めてイメージスキャナ110,210の読み取り特性の変化を判断するためには、読取制御部550は、前出の白背景板311または媒体そのものに加えて、黒背景板312そのものの読み取り結果も(黒背景板312を用いた読み取りの回に)同様に取得し、黒背景板312の読み取り結果をもとに「オフセット」の変化を捉え、その後、白背景板311の読み取り結果をもとに「ゲイン」の変化を捉え、必要に応じ、これらを補正すればよい。
具体的には、読取制御部550は、「ゲイン」の補正を行う場合は、イメージセンサー301で検知された光量に対する乗除算で行えばよい。また、読取制御部550は、「オフセット」の補正を行う場合は、イメージセンサー301で検知された光量に対する加減算で行えばよい。これらを両方補正する場合は、読取制御部550は、「オフセット」の補正を行った後、「ゲイン」の補正を行う。
読取制御部550は、「オフセット」または「ゲイン」の補正を、上述の通り、デジタル画像信号値の数値演算で行ってもよいし、これに相当するルックアップテーブルによる数値変換により行ってもよい。また、読取制御部550は、例えばCCD(Charge Coupled Device)等のデバイスで構成されたイメージセンサー301のアナログ信号をデジタル画像信号に変換する過程で用いられる電気回路、例えばAD(アナログ・デジタル:Analog To Digital)コンバーター、または、電圧増幅器や信号フィルタ等の回路が組み込まれた、AFE(アナログ・フロント・エンド:Analog Front End)に内包されている「オフセット」や「ゲイン」の調整機構を利用してもよい。
(f.画像の良否判定の変更処理)
制御部510は、パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部520による画像形成を制御する。また、判定制御部590は、画像形成部520によって媒体に形成される画像に基づいて、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更し得る。一例として、図25等に示されるように、判定制御部590または制御部510は、白色下地の有無に基づいて、パッチの読み取り設定を変更し得る。また、一例として、図33等に示されるように、判定制御部590または制御部510は、媒体に形成される画像における白色下地の有無に基づいて、パッチの階調特性の目標値を変更し得る。
ある局面において、判定制御部590は、画像形成部520により媒体に形成される画像が下地画像を含む場合または被覆画像(透明トナー等)を含む場合に、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更してもよい。
ある局面において、判定制御部590は、判定手法の変更として、判定に用いる階調域の変更、判定に用いる画像の画像形成方法の変更、判定基準の変更、判定に用いるパッチの変更、判定に用いるパッチの測定回数の変更の少なくとも1つを実行し得る。より具体的には、図16等を参照して説明したように、例えば、判定制御部590は、ユーザーコンテンツ中に含まれる特色をパッチとして使用することで、判定に用いる階調域を変更し得る。また、判定制御部590は、例えば、読み取り画像のS/N比が小さい場合は画像読み取りの回数を増やしてもよい。さらに、例えば、媒体が金属蒸着フィルム等の光を鏡面反射しやすい媒体である場合、判定制御部590は、トナー濃度の増減が階調の変化につながらない階調域(図32における第2の階調域3202)を、パッチの読み取りおよび良否判定の対象から除外し得る。
ある局面において、画像検査システムは、識別部570によって媒体に関する情報を取得し、当該媒体に関する情報を使用して、読取部560によるパッチの良否判定方法を変更してもよい。
ある局面において、媒体に関する情報は、少なくとも媒体の種別および特性に関する情報の少なくとも1つを含んでいてもよい。媒体の種別は、媒体のカテゴリー情報、媒体の商品の型番等を含んでいてもよい。媒体の特性は、色、反射の有無、透明か否か等の任意の特性情報を含んでいてもよい。
ある局面において、画像検査システムは、取得部530により、媒体の種別に関する情報を取得してもよい。一例として、画像形成装置100は、ユーザーからの入力情報(媒体の選択情報)または画像形成前のイメージセンサーによって得られた画像情報に基づいて、媒体の種別に関する情報を取得し得る。また、制御部510は、取得部530の取得結果に基づいて媒体を識別し得る。
ある局面において、判定制御部590は、媒体を読み取った読取結果に基づいて、図32等に示されるように、パッチの良否判定に用いる階調域を変更または選択し得る。
ある局面において、判定制御部590は、図10,図11等に示されるように、媒体上に形成された白色下地(白トナーの下地)画像の上にパッチを形成することで、判定に用いるパッチを変更し得る。
ある局面において、判定制御部590は、制御部510、読取制御部550、識別部570等によって得られた媒体およびパッチの解析結果に基づいて、白色下地画像を形成するか否かを判定し得る。
ある局面において、判定制御部590は、媒体を含む背景に存在するノイズを検知し、検知結果に基づいて、媒体に形成された画像の良否を判定するための判定基準を変更し得る。図31等に示されるように、例えば、判定制御部590は、副走査方向におけるパッチ背景のノイズの値を平均化して、パッチ読み取りにおけるノイズの影響を抑制し得る。また、判定制御部590は、濃度ムラ測定パッチの解析により得られた濃度ムラの値が、ノイズパターンの信号変化の値より大きい場合に限り、濃度ムラ補正設定を行ってもよい。また、判定制御部590は、パッチ読み取り処理の前に、パッチ背景のノイズパターンを繰り返し読み取っておき、読み取り結果に基づいて、パッチ背景のノイズの値を事前に平均化してもよい。また、判定制御部590は、ストレージ(記憶部540)に格納された媒体120の種別ごとにノイズの値の平均値を流用してもよい。
ある局面において、判定基準は、濃度ムラに関する閾値であってもよい。この場合、判定制御部590は、ノイズの強度に応じて、パッチの良否判定の閾値を変更し得る。一例として、図9を参照して、当該パッチの良否判定の閾値の変更について説明する。図9に示されるパッチは、青色剥離紙上のトナー像の濃度ムラを測定し、補正するためのチャートである。当該パッチは、青色剥離紙が無地で均質であることを想定したパッチである。そのため、青色剥離紙が、図27に示されるようなロゴ等の模様入りの剥離紙である場合、判定制御部590は、当該模様をトナー像の濃度ムラと誤認識する可能性がある。さらに、青色剥離自体に抄紙(しょうし)ムラがある場合がある。当該抄紙ムラは、パッチのムラの原因にもなる。上記のような、剥離紙自体の模様または抄紙ムラは、パッチのムラと区別がつきにくい。そこで、判定制御部590は、比較的微細なこれらのムラを補正対象としないために、閾値を変更する。そして、判定制御部590は、当該変更された閾値を超える濃度ムラ成分のみを補正対象とて補正値を算出する。判定制御部590は、閾値未満のムラ(剥離紙自体の模様または抄紙ムラ等)については補正対象としない(0等、実質的に補正処理が働かない補正値を設定する)。
ある局面において、判定基準は、ノイズを検出するための範囲であってもよい。この場合、判定制御部590は、ノイズを検知するためのノイズの周期または空間周波数の最小サイズを変更し得る。図31等に示されるように、例えば、判定制御部590は、検出されたノイズの周期に応じて、ノイズを検知するためのノイズの周期または空間周波数の最小サイズ(パッチの読み取りサイズ)を変更し得る。
ある局面において、判定制御部590は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして用いることにより、良否判定に用いるパッチを変更し得る。一例として、図16等に示されるように、判定制御部590は、ユーザーコンテンツに含まれる特色画像をパッチに含め得る。
ある局面において、判定制御部590は、特定画像のパッチとしての妥当性に応じて、前記特定画像の判定結果への寄与率を制御し得る。図16等に示されるように、例えば、判定制御部590は、ユーザーコンテンツに含まれる特色画像の割合等に応じて、前記特定画像の判定結果への寄与率を制御し得る。
ある局面において、判定制御部590は、媒体において、画像形成部により画像が形成されていない領域を読み取った読取結果に基づいて、読取部が媒体の読み取りに用いる背景部の状態を判断してもよい。より具体的には、読取部560は、印刷中、調整モード中、または、印刷前のパッチ読取動作中等において、媒体の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分を読み取る。そして、判定制御部590は、媒体の画像が印刷されていない部分または印刷の余白部分の画像を解析し、背景板303に画像検査に影響する程度の汚れがあるか否かを判定し得る。
(g.媒体に形成される画像における白色下地の有無応じてパッチを媒体に形成する処理)
制御部510は、パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部520による画像形成を制御する。また、制御部510は、画像形成部520により媒体に形成される画像に応じたパッチを媒体に形成するよう画像形成部520を制御する。一例として、図24等に示されるように、媒体が黒用紙である場合に、制御部510は、白色下地を媒体に印刷し、当該白色下地の上にパッチを印刷してもよい。また、他の例として、図13、図34~図36等に示されるように、制御部510は、媒体に形成される画像における白色下地の有無に基づいて、パッチを変更し得る。例えば、制御部510は、下地ありパッチまたは下地なしパッチの選択、またはこれらのパッチを切り替えながら使用することができる。
ある局面において、制御部510は、画像形成部520により媒体に形成される画像が下地画像を含む場合に、下地画像に応じたパッチを媒体に形成するように画像形成部520を制御し得る。制御部510は、画像形成部520により媒体に形成される画像が被覆画像(透明トナー等)を含む場合に、被覆画像に応じたパッチを媒体に形成するように画像形成部520を制御し得る。
ある局面において、制御部510は、媒体に応じたパッチとして、下地画像が追加されたパッチ、デザインが変更されたパッチ、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像のいずれかを媒体に形成するように、画像形成部を制御する。より具体的には、一例として、図10,図11等に示されるように、制御部510は、下地画像が追加されたパッチを媒体に形成するように、画像形成部を制御し得る。また、一例として、図13,図15,図26等に示されるように、制御部510は、デザインが変更されたパッチを媒体に形成するように、画像形成部を制御し得る。また、一例として、図16等に示されるように、制御部510は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像を媒体に形成するように、画像形成部を制御し得る。
ある局面において、画像検査システムは、識別部570によって媒体に関する情報を取得し、当該媒体に関する情報を使用して、画像形成部520による画像形成を制御してもよい。一例として、図10等に示されるように、画像検査システムは、媒体が透明フィルムおよび色付き剥離紙の組合せであった場合、白色下地の上に濃度ムラ測定パッチを形成するように、画像形成部を制御し得る。
ある局面において、媒体に関する情報は、媒体の種別及び特性に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。媒体の種別は、媒体のカテゴリー情報、媒体の商品の型番等を含んでいてもよい。媒体の特性は、色、反射の有無、透明か否か等の任意の特性情報を含んでいてもよい。
ある局面において、画像検査システムは、取得部530により、媒体の種別に関する情報を取得してもよい。一例として、画像形成装置100は、ユーザーからの入力情報(媒体の選択情報)または画像形成前のイメージセンサーによって得られた画像情報に基づいて、媒体の種別に関する情報を取得し得る。
ある局面において、制御部510は、読取部560による媒体の読取結果に基づいて、媒体に応じたパッチを形成するように、画像形成部を制御してもよい。一例として、図10等に示されるように、画像検査システムは、媒体が透明フィルムおよび色付き剥離紙の組合せであった場合、白色下地の上に濃度ムラ測定パッチを形成するように、画像形成部を制御し得る。
ある局面において、制御部510は、読取部560による読取結果が顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する特性を有する場合に、パッチに白色下地を追加するように、画像形成部を制御してもよい。一例として、図21,図22,図23等に示されるように、読取結果が、金属蒸着フィルム、ホログラム紙、透明フィルムに関する読取結果である場合、顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する可能性がある。この場合、制御部510は、パッチに白色下地を追加することで、顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する現象の発生を防止し得る。
ある局面において、制御部510は、読取結果がパッチの解析に適切でないと判定したことに基づいて、パッチに白色下地を追加するように、画像形成部を制御する。一例として、例えば図27等に示されるように、剥離紙の裏面にロゴ等の模様があると、それがパッチの読取にも影響する。その結果、例えば、濃度ムラや階調の測定に誤差が生じ得る。また図20~図24等に示されるように、濃色、透明、鏡面反射またはホログラム等の特性を有する媒体に顕色トナーのみが印刷された場合、測定パッチは、正しく読み取られない可能性がある。このような場合に、画像形成装置100は、これらの媒体の表面を覆い隠す特性を持つ白色下地を追加することで、顕色トナー像の濃淡の程度をより適切に読み取り得る。
ある局面において、制御部510は、媒体に白色下地を追加したパッチを形成する場合、白色下地の追加に関して、ユーザーコンテンツに対して白色下地を追加する場合と異なる制御を行ってもよい。一例として、図33等に示されるように、ユーザーコンテンツが媒体に直接印刷され、パッチは白色下地の上に印刷される場合、制御部510は、ユーザーコンテンツに対して白色下地を追加する場合と異なる制御を行い得る。
ある局面において、制御部510は、読取結果に基づいて、媒体を含む背景に特定画像が繰り返し含まれる場合に、媒体に特定画像の繰り返しに応じたパッチを形成するように、画像形成部を制御し得る。例えば、画像形成装置100は、図31に示されるように、矩形のパッチサイズを、媒体の裏面に印刷されているロゴマーク等の特定画像の繰り返し周期のN倍(任意の整数倍)となるように変更し、当該パッチを描画し得る。また、例えば、画像形成装置100は、図7に示されるように矩形の同一サイズのパッチが複数並んでいる場合に、各々のパッチサイズを、前述のように繰り返し周期のN倍にしてもよい。こうすることで、画像形成装置100は、各々のパッチを読み取る際の、媒体背景のロゴマークの影響を均等化し、測定パッチの濃度ムラや階調変化を正しく読み取り得る。
ある局面において、制御部510は、読取結果に基づいて、媒体が顕色剤の増減と読み取り階調の関係が部分的に反転する特性を有する媒体であると判定したことに基づいて、パッチの形成に用いる階調域を変更してもよい。例えば、図21に示されるような、蒸着フィルム等の光沢を有する媒体に顕色トナーが印刷された場合、トナー像の濃淡は、部分2110~2130のように、媒体の階調値(階調域)により変化し得る。その結果、図32に示されるように、部分2110~2130におけるトナー像の読み取り結果は変化してしまう。そこで、画像形成装置100は、例えば、第1の階調域3201および第3の階調域3203の読み取りを制限し、当該制限を各々の階調域に応じた階調補正等の制御に用い得る。階調域の変化は、顕色剤であるトナーの特性により変化する。そのため、画像形成装置100は、図40,図41等に示されるように、事前パッチ読み取りの結果から、読み取りを制限する階調域を決定してもよい。または、画像形成装置100は、トナー種別と、読み取りを制限する階調域とを予め紐付けした設定をストレージに格納しておいてもよい。
ある局面において、制御部510は、媒体を含む背景とパッチとの関係に基づくパッチの輪郭の特性に基づいて、パッチのデザインを変更してもよい。一例として、図30等に示されるように、デザインの変更は、パッチのサイズの変更を含んでもよい。また、制御部510は、媒体を含む背景とパッチとの関係に基づくパッチの読取難度に基づいて、パッチの測定数またはパッチの大きさを変更してもよい。
ある局面において、画像検査システムは、読取難度の判定結果に基づいて、パッチを用いた補正の補正精度に関する通知を行う第1通知部(通知部580に含まれ得る)をさらに備えてもよい前述のように、白色下地を追加する処理、ロゴマークの整数倍にパッチサイズを変更する処理、もしくは、パッチ読み取りを特定の階調域に制限する処理を含むパッチ読み取りは、通常の無地の白色紙上のパッチ読み取りよりも、難易度が高く、補正の信頼度が低下し得る。そこで、画像形成装置100は、このような特殊な処理を実行するか否か、および、補正の信頼度が低下し得ること等をユーザーに通知してもよい。
ある局面において、画像検査システムは、ユーザーと対応付けてパッチを記憶するユーザー利用履歴記憶部(記憶部540)をさらに備えてもよい。また、制御部510は、画像形成部520による媒体へのパッチの形成を制御する際に、ユーザー利用履歴記憶部(記憶部540)を参照してもよい。より具体的には、制御部510は、画像検査システムまたは画像形成装置100にログインしたユーザーのIDに基づいて、ユーザー利用履歴記憶部を検索する。読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つかった場合に、前回の印刷処理で使用する媒体の特性と、今回の印刷処理で使用する媒体の特性とが同一であるとき、前回のパッチ形成の設定を使用し得る。一方で、読取制御部550は、ユーザーの利用履歴が見つからなかった場合、新しいパッチ形成の設定を使用する。
ある局面において、画像検査システムは、ユーザーの利用履歴に応じて、パッチの形成に関する通知を行う第2通知部(通知部580に含まれ得る)をさらに備えてもよい。第2通知部は、例えば、今回の印刷処理で使用する媒体の特性と前回の印刷処理で使用した媒体の特性とが同一の場合、ユーザーに前回の設定を使用するか否かをユーザーに確認するための通知を出力してもよい。一方で、第2通知部は、ユーザーの利用履歴が見つからなかった場合、新しいパッチ形成の設定を使用することをユーザーに知らせるための通知を出力してもよい。
ある局面において、制御部510は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして用いることに基づいて、特定画像のパッチとしての妥当性に応じて、媒体へのパッチの形成を制御してもよい。一例として、図16等に示されるように、制御部510は、リアルタイム調整パッチに含まれる一部の色を、特定画像に含まれる色(特色)に置き換えてもよい。
以上説明した通り、本実施の形態に従う画像検査システムまたは画像形成装置は、媒体または媒体に印刷された画像に基づいて、パッチの印刷設定、パッチの読み取り設定、パッチの良否判定設定、画像補正の設定の少なくとも1つを変更し得る。これにより、本実施の形態に従う画像検査システムまたは画像形成装置は、様々な媒体に応じて、印刷設定の補正制御を行い得る。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
100,200,502 画像形成装置、101,201,510 制御部、102,202 操作表示部、103,203 通信部、104,204,520 画像形成部、105,205 中間転写ベルト、106,206 ベルト駆動ローラー、107,207 次転写ローラー、108,208 定着部、109,209 トナー像センサー、110,210 イメージスキャナ、111,211,216 画像解析部、112,212 給紙部、113,213 排紙部、120,220 媒体、214 不良印刷排紙部、215 上流のイメージスキャナ、217 用紙反転部、218 切替部、301 イメージセンサー、302 ライト、303 背景板、311 白背景板、312 黒背景板、400,410 校正板、401 白色校正板、402 黒色校正板、420 搬送ローラー、500,500A,500B 画像検査システム、501 給紙装置、530 取得部、540 記憶部、550 読取制御部、560 読取部、570 識別部、580 通知部、590 判定制御部、601,602,603,604,701,702,703,704,705,901,910,1001,1002,1003,1004,1101,1102,1103,1104,1301,1302,1303,1304,1305,2501,2511,4001,4002,4003 パッチ、605,812 マーカー、720 階調調整パッチ、800,3410,3420 リアルタイム調整パッチ、810,2610 リアルタイム階調パッチ、811 グラデーション画像、820,1901,1902,1903,1904 カラーレジスト測定パッチ、830 トナー消費パッチ、840 区間、850,2005,2105,2115,2205,2215,2300,2310,2320,2401,2402,2403,2404 画像、851 余白、905 トンボ、1010,1110,1501 下地画像、1201,1221,1402,1403,1404,1801,1802,1803,1804,1805,3200,3210,3301,3302,3303,3801,3802 グラフ、1202 目標値、1203 濃度偏差、1211 補正グラフ、1310 パッチ領域、1401 点、1601 相対位置、1701,1703 安定化処理、1702,1704,1705 印刷処理、2001,2002,2003,2101,2102,2103,2201,2202,2203 光路、2010,2030,2040 場所、2020 スジ、2110,2120,2130,2210,2220,2230 部分、2311 パターン、2321 昇順、2322 降順、2512,2600,3310 領域、2513 輪郭ボケ、2520,2530,2701,2702,2703,2704,2705,2800,2810 読み取り設定、2801,2811 下地、3201 第1の階調域、3202 第2の階調域、3203 第3の階調域、3304 ポイント、3811,3812 濃度範囲、4101 印刷機本体、4102 事前パッチ、4103 係止部、4110,4120,4130 状態、4200 テーブル、4201,4202,4203,4204,4205 項目、4301,4302 トンボ線、4303 ノイズ、4304 影。

Claims (15)

  1. パッチが形成された媒体を読取部で読み取って生成された読取画像に基づいて、画像形成部による画像形成を制御する制御部と、
    前記画像形成部により媒体に形成される画像に基づいて、前記媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更する判定制御部とを備える、画像検査システム。
  2. 前記判定制御部は、前記画像形成部により媒体に形成される画像が下地画像を含む場合または被覆画像を含む場合に、前記媒体に形成された画像の良否を判定するための判定手法を変更する、請求項1に記載の画像検査システム。
  3. 前記判定手法の変更は、判定に用いる階調域の変更、判定に用いる画像の画像形成方法の変更、判定基準の変更、判定に用いるパッチの変更、判定に用いるパッチの測定回数の変更の少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の画像検査システム。
  4. 前記読取画像に基づいて、前記媒体に関する情報を取得し、前記媒体を識別する識別部を備える、請求項1または2に記載の画像検査システム。
  5. 前記媒体に関する情報は、少なくとも前記媒体の種別および特性に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項4に記載の画像検査システム。
  6. 前記媒体の種別に関する情報を取得する取得部をさらに備え、
    制御部は、前記取得部の取得結果に基づいて前記媒体を識別する、請求項1または2に記載の画像検査システム。
  7. 前記判定制御部は、前記媒体を読み取った読取結果に基づいて、判定に用いる階調域を変更する、請求項3に記載の画像検査システム。
  8. 前記判定に用いるパッチの変更は、前記媒体上に形成された白色下地の上に前記パッチを形成することを含む、請求項3に記載の画像検査システム。
  9. 前記判定制御部は、前記媒体およびパッチの解析結果に基づいて、白色下地を形成するか否かを判定する、請求項8に記載の画像検査システム。
  10. 前記判定制御部は、
    前記媒体を含む背景に存在するノイズを検知し、
    検知結果に基づいて、前記媒体に形成された画像の良否を判定するための判定基準を変更する、請求項3に記載の画像検査システム。
  11. 前記判定基準は、濃度ムラに関する閾値であり、
    前記判定制御部は、前記ノイズの強度に応じて前記閾値を変更する、請求項10に記載の画像検査システム。
  12. 前記判定基準は、前記ノイズを検出するための範囲であり、
    前記判定制御部は、前記ノイズを検知するためのノイズの周期または空間周波数の最小サイズを変更する、請求項10に記載の画像検査システム。
  13. 前記判定に用いるパッチの変更は、ユーザーコンテンツに含まれる特定画像をパッチとして用いることを含む、請求項3に記載の画像検査システム。
  14. 前記判定制御部は、前記特定画像の前記パッチとしての妥当性に応じて、判定結果への寄与率を制御する、請求項13に記載の画像検査システム。
  15. 前記判定制御部は、前記媒体において、前記画像形成部により画像が形成されていない領域を読み取った読取結果に基づいて、前記読取部が前記媒体の読み取りに用いる背景部の状態を判断する、請求項1または2に記載の画像検査システム。
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