JP2024063444A - 水素燃焼装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素燃焼装置において、簡易な構造で水素火炎の可視化を実現する技術を提供する。【解決手段】水素燃焼装置は、燃焼用空気が流れる空気流路を有するバーナスロートと、空気流路内又はバーナスロートから吹き出した燃焼用空気の流れの中に水素燃料を噴出する燃料ノズルとを有し、水素燃料を燃焼させて水素火炎を発する水素バーナと、燃焼用空気に水素火炎と炎色反応が生じる金属又は金属塩からなる粉末状の発色剤を添加する発色剤添加装置と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、水素燃焼装置において、水素火炎を可視化する技術に関する。
近年、水素は、燃焼してもC0を排出しない低環境負荷且つクリーンな燃料として注目されている。一方で、水素燃料はLNGなどの他のガス燃料と比較して可視領域波長の発光強度が極めて弱く輝炎が生成されないため、水素火炎を視認することが難しい。燃焼炉のオペレータは、バーナ、燃料供給系統、及び、空気供給系統の異常の有無を、目視される火炎の状態に基づいて判断することがある。そこで、従来、水素火炎を可視化する技術が提案されている。
特許文献1に開示された水素燃焼装置は、水素を燃焼させて水素火炎を発するバーナと、バーナに隣接する位置に設けられて炎色反応を呈する着色液を噴霧する噴霧ノズルとを備える。噴霧ノズルから噴霧された着色液はバーナから発せられた水素火炎と接触して炎色反応を呈して水素火炎を着色する。
特開2020-8244号公報
特許文献1の水素燃焼装置では、着色液の噴霧ノズルがバーナの燃料噴出口に隣接して配置されることから、高温の水素火炎に晒される噴霧ノズルが焼損するおそれがある。また、噴霧ノズルをバーナの燃料噴出口に隣接して配置するために、従来のバーナから大幅な設計変更が必要とされる。更に、噴霧ノズルからの着色液の噴霧範囲をより広角とするために、噴霧された着色液への周囲の空気の巻き込みを抑制する手段が必要となる。
本開示は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、水素燃焼装置において、簡易な構造で水素火炎の可視化を実現する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る水素燃焼装置は、
燃焼用空気が流れる空気流路を吹き出す空気吹出口を有するバーナスロートと、前記空気流路内又は前記バーナスロートから吹き出した前記燃焼用空気の流れの中に水素燃料を噴出する燃料ノズルとを有し、前記水素燃料を燃焼させて水素火炎を発する水素バーナと、
前記燃焼用空気に水素火炎と炎色反応が生じる金属又は金属塩からなる粉末状の発色剤を添加する発色剤添加装置と、を備えるものである。
本開示によれば、水素燃焼装置において、簡易な構造で水素火炎の可視化を実現する技術を提供できる。
図1は、本開示の一実施形態に係る水素燃焼装置の全体的な構成を示す図である。 図2は、変形例1に係る水素燃焼装置の全体的な構成を示す図である。 図3は、変形例2に係る水素燃焼装置の概略構成を示す図である。
次に、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。図1は、本開示の一態様に係る水素燃焼装置1の概略構成を示す図である。図1に示す水素燃焼装置1は、水素燃料を燃焼させる装置であって、例えば、ボイラの火炉や、燃焼炉などに燃焼装置として備えられる。本実施形態に係る水素燃焼装置1は、水素バーナ2と、水素バーナ2の燃焼用空気へ発色剤を供給する発色剤添加装置4とを備える。水素バーナ2は、水素専焼であってもよいし、水素混焼であってもよい。
〈水素バーナ2〉
本実施形態に係る水素バーナ2は、一般的なマルチスパッド型バーナである。但し、本開示に係る水素燃焼装置1が具備する水素バーナ2の態様は、特に限定されず、例えば、センターファイヤリング型バーナであってもよい。
水素バーナ2は、筒状のバーナスロート21と、バーナスロート21の内側に配置された複数の燃料ノズル22と、バーナスロート21と接続された風箱23とを備える。風箱23には空気供給管25が接続されており、空気供給管25を通じて風箱23へ燃焼用空気が供給される。風箱23とバーナスロート21の間にはエアレジスタ24が介在しており、風箱23内の燃焼用空気はエアレジスタ24によって燃焼に適した量に整えられてバーナスロート21内へ送り込まれる。
バーナスロート21内に同心状に配置された内筒によって、バーナスロート21内には内筒より内周側の一次空気流路31と、内筒より外周側の二次空気流路32とが形成されている。バーナスロート21の先端は、一次空気流路31及び二次空気流路32を流れた燃焼用空気が吹き出す空気吹出口30となっている。
複数の燃料ノズル22は、バーナスロート21の軸心に配置されたセンターノズルと、このセンターノズルを中心として環状に配置された複数の周囲ノズルとを含む。センターノズルの先端部の周囲には保炎器29が設けられている。センターノズルは、油燃料を噴出する油ノズルであってもよい。複数の周囲ノズルは、一次空気流路31と二次空気流路32の間に配置されている。
水素バーナ2において、風箱23からバーナスロート21へ圧送されてきた燃焼用空気は、空気流路31,32を通って空気吹出口30から吹き出す。空気吹出口30から吹き出した燃焼用空気の流れの中に、複数の燃料ノズル22の先端の噴口から燃料ガスが噴出する。燃料ガスは、水素又は水素を含むガスである。燃料ノズル22から噴出した水素は燃焼用空気と混合して燃焼し、水素火炎が生じる。
〈発色剤添加装置4〉
発色剤添加装置4は、水素燃料と混合される前の燃焼用空気に発色剤を添加する。本実施形態に係る発色剤添加装置4は、水素バーナ2のバーナスロート21の燃焼用空気の流路へ発色剤を供給するように構成されている。
発色剤は、粉末状(又は、粒状)の金属又は金属塩であって、炎色反応を利用して水素火炎を可視化するものである。このような発色剤として、アルカリ金属やアルカリ土類金属、銅などの金属又はその金属塩が用いられる。比較的安価に入手可能であり且つ取り扱いが容易であるという観点から、塩化ナトリウム(NaCl)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、及び、炭酸ナトリウム(Na2CO3)などのアルカリ金属の金属塩が発色剤として好ましい。
発色剤添加装置4は、供給管41と、フィーダ42と、操作具43とを備える。供給管41に設けられた供給口411は、水素バーナ2のバーナスロート21内の空気流路31,32に配置されている。本実施形態では、発色剤がバーナスロート21内の空気流路31,32に分散して供給されるように、複数の供給管41の供給口411が複数の燃料ノズル22を囲むように環状に配置されている。このような供給管41の供給口411の配置によれば、一次空気流路31及び/又は二次空気流路32において燃焼用空気に発色剤が添加されるが、水素バーナ2の他の燃焼用空気の流路(例えば、風箱23内)において燃焼用空気に発色剤が添加されてもよい。
フィーダ42は、供給管41へ所定量の発色剤を送給する。フィーダ42による粉末状の発色剤の送給方法は、特に限定されないが、エアで送り出す方法、振動で送り出す方法、スクリューで繰り出す方法などが例示される。フィーダ42として公知の構造の粉体用フィーダが採用されてよい。操作具43は、フィーダ42と電気的に接続されており、操作具43がON操作されるとフィーダ42に稼働のトリガが与えられる。
〈水素火炎の視認方法〉
上記構成の水素燃焼装置1では、水素バーナ2において水素の燃焼中の任意のタイミングで水素火炎を可視化できる。通常、発色剤添加装置4は停止している。オペレータが発色剤添加装置4の操作具43をON操作すると、ON指令がフィーダ42へ伝達される。ON指令を受けたフィーダ42は、1回分の所定量の発色剤を供給管41へ送給する。これにより供給管41の供給口411から出た発色剤は、水素バーナ2のバーナスロート21内の空気流路31,32を流れる燃焼用空気に添加される。発色剤は、燃焼用空気によって空気搬送され、燃焼用空気と共に空気吹出口30から吹き出し、燃焼用空気の流れに同伴して拡散する。発色剤は、水素火炎と接触することによって当該発色剤に含まれる金属に固有の色の光を発する。例えば、発色剤として塩化ナトリウムが用いられた場合、水素火炎の発色剤と接触した部分が黄色に見える。オペレータは、このように可視化された水素火炎を視認して、水素火炎の状態を確認できる。
〔変形例1〕
上記実施形態に係る水素燃焼装置1では、発色剤は水素バーナ2のバーナスロート21内の空気流路31,32に供給されるが、発色剤の供給方法はこれに限定されず、発色剤を燃焼用空気の流路に供給できればよい。
図2は、変形例1に係る水素燃焼装置1の概略構成を示す図である。変形例1に係る水素燃焼装置1においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。図2に示すように、変形例1に係る水素燃焼装置1では、発色剤添加装置4の供給管41の供給口411は、水素バーナ2へ燃焼用空気を供給する空気供給管25内に配置されている。そして、供給管41から空気供給管25内へ供給された発色剤は、空気供給管25を流れる燃焼用空気に空気搬送され、風箱23、バーナスロート21の空気流路31,32を通じて空気吹出口30から燃焼用空気と共に吹き出す。
〔変形例2〕
上記実施形態に係る水素燃焼装置1において、水素バーナ2は拡散燃焼方式であるが、水素バーナ2は部分予混合燃焼方式であってもよい。
図3は、変形例2に係る水素燃焼装置1の概略構成を示す図である。変形例2に係る水素燃焼装置1においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。図3に示すように、変形例2に係る水素燃焼装置1は、部分予混合方式の水素バーナ2を備える。変形例2に係る水素燃焼装置1は、上記実施形態に係る水素燃焼装置1において、水素バーナ2に予混合用燃料ノズル26が追加されたものである。予混合用燃料ノズル26は、バーナスロート21内において燃焼用空気の流れの中に水素燃料を噴出する燃料ノズルである。
予混合用燃料ノズル26は、バーナスロート21の一次空気流路31及び二次空気流路32のうち少なくとも一方に配置された出口を有する。なお、本変形例では、予混合用燃料ノズル26の出口は空気流路31に配置されているが、二次空気流路32に配置されていてもよい。
本変形例では予混合用燃料ノズル26は燃料ノズル22から独立しているが、予混合用燃料ノズル26は燃料ノズル22の流路の一部を利用したものであってもよい。例えば、少なくとも1本の燃料ノズル22に小孔を設けて当該小孔を予混合用燃料ノズル26の出口とすることによって、一つの管が燃料ノズル22及び予混合用燃料ノズル26として利用されてもよい。
予混合用燃料ノズル26からバーナスロート21内の空気流路31,32へ吹き出した燃料ガスは、バーナスロート21内で燃焼用空気と混合した状態で空気吹出口30から吹き出す。但し、予混合用燃料ノズル26から吹き出す燃料ガスの流量は、バーナスロート21内における燃焼用空気と燃料ガスの予混合気の水素濃度が可燃範囲未満となるように設定されている。バーナスロート21の空気吹出口30から吹き出した燃焼用空気と燃料ガスの予混合気は、燃料ノズル22から吹き出した燃料ガスと混合して、燃焼する。
〔総括〕
本開示の第1の項目に係る水素燃焼装置1は、
燃焼用空気が流れる空気流路31,32を有するバーナスロート21と、空気流路31,32内又はバーナスロート21から吹き出した燃焼用空気の流れの中に水素燃料を噴出する燃料ノズル22,26とを有し、水素燃料を燃焼させて水素火炎を発する水素バーナ2と、
燃焼用空気に、水素火炎と炎色反応が生じる金属又は金属塩からなる粉末状の発色剤を添加する発色剤添加装置4と、を備えるものである。
上記構成の水素燃焼装置1では、水素バーナ2の燃料ノズル22から噴出した水素燃料が燃焼用空気と混合して燃焼して水素火炎が生じる。この水素火炎と、燃焼用空気と共に吹き出した発色剤とが接触して炎色反応が生じ、発色剤が視認可能な光を発することにより、水素火炎を可視化できる。水素燃焼装置1では、粉末状の発色剤が燃焼用空気に添加されることから、燃料ノズル22の噴出口の近傍に発色剤のために専用のノズル等は設けられず、このようなノズルの焼損等は考慮不要である。また、発色剤添加装置4は燃焼用空気の流路に粉末状の発色剤を添加するものであるから、水素バーナ2自体に大幅な設計変更をせずに発色剤添加装置4を水素バーナ2に付加できる。更に、水素バーナ2では燃焼用空気の存在するところで燃焼や火炎の伝播が生じるところ、空気吹出口30から吹き出した粉末状の発色剤は燃焼用空気の流れに同伴して拡散するので、発色剤と水素火炎とが効率的に接触できる。つまり、水素燃焼装置1では、発色剤のために特別な拡散手段を備えたり拡散の調整をしたりすることなく、発色剤と水素火炎とを接触させて、水素火炎を着色できる。このように、水素燃焼装置1では、先行技術と比較してより簡易な構造で水素火炎の可視化を実現できる。
本開示の第2の項目に係る水素燃焼装置1は、第1の項目に係る水素燃焼装置1において、発色剤添加装置4は、燃焼用空気の流路に配置された供給口411を有する供給管41と、供給管41へ発色剤を送給するフィーダ42とを有するものである。
本開示の第3の項目に係る水素燃焼装置1は、第2の項目に係る水素燃焼装置1において、発色剤添加装置4の供給管41は空気流路31,32に配置された供給口411を有するものである。
本開示の第4の項目に係る水素燃焼装置1は、第2の項目に係る水素燃焼装置1において、水素バーナ2と接続され、水素バーナ2へ燃焼用空気を供給する空気供給管25を備え、発色剤添加装置4の供給管41は空気供給管25内に配置された供給口411を有するものである。
第2乃至4の項目に係る水素燃焼装置1では、水素燃料と混合される前の燃焼用空気に発色剤が添加されることで、燃焼用空気と発色剤が予め混合された状態で空気吹出口30から吹き出す。これにより、発色剤をより効果的に拡散できる。また、第2乃至4の項目に係る水素燃焼装置1では、水素バーナ2や空気供給管25に大幅な設計変更を加えることなく、発色剤添加装置4を付加できる。
本開示の第5の項目に係る水素燃焼装置1は、第2乃至4のいずれかの項目に係る水素燃焼装置1において、発色剤添加装置4は、操作具43を備え、フィーダ42は操作具43の操作に応じて所定量の発色剤を供給管41へ送給するように構成されているものである。
上記構成の水素燃焼装置1では、オペレータによる操作具43の操作に対応して発色剤添加装置4が動作し、その結果、水素火炎が可視化される。よって、オペレータは任意のタイミングで水素火炎を可視化させることができる。
以上の本開示の議論は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明では、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で1つの実施形態に纏められているが、複数の特徴のうち幾つかが組み合わされてもよい。また、本開示に含まれる複数の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様に組み合わされてもよい。
1 :水素燃焼装置
2 :水素バーナ
4 :発色剤添加装置
21 :バーナスロート
22 :燃料ノズル
26 :予混合用燃料ノズル
25 :空気供給管
30 :空気吹出口
31,32:空気流路
41 :供給管
42 :フィーダ
43 :操作具
411 :供給口

Claims (5)

  1. 燃焼用空気が流れる空気流路を有するバーナスロートと、前記空気流路内又は前記バーナスロートから吹き出した前記燃焼用空気の流れの中に水素燃料を噴出する燃料ノズルとを有し、前記水素燃料を燃焼させて水素火炎を発する水素バーナと、
    前記燃焼用空気に水素火炎と炎色反応が生じる金属又は金属塩からなる粉末状の発色剤を添加する発色剤添加装置と、を備える、
    水素燃焼装置。
  2. 前記発色剤添加装置は、前記燃焼用空気の流路に配置された供給口を有する供給管と、前記供給管へ前記発色剤を送給するフィーダとを有する、
    請求項1に記載の水素燃焼装置。
  3. 前記発色剤添加装置の前記供給管は前記空気流路に配置された前記供給口を有する、
    請求項2に記載の水素燃焼装置。
  4. 前記水素バーナと接続され、前記水素バーナへ前記燃焼用空気を供給する空気供給管を備え、
    前記発色剤添加装置の前記供給管は前記空気供給管内に配置された前記供給口を有する、
    請求項2に記載の水素燃焼装置。
  5. 前記発色剤添加装置は、操作具を備え、前記フィーダは前記操作具の操作に応じて所定量の前記発色剤を前記供給管へ送給するように構成されている、
    請求項2乃至4のいずれか一項に記載の水素燃焼装置。
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