JP2024061629A - グラフェン分散液、組成物およびそれを用いた形成物 - Google Patents

グラフェン分散液、組成物およびそれを用いた形成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2024061629A
JP2024061629A JP2023151914A JP2023151914A JP2024061629A JP 2024061629 A JP2024061629 A JP 2024061629A JP 2023151914 A JP2023151914 A JP 2023151914A JP 2023151914 A JP2023151914 A JP 2023151914A JP 2024061629 A JP2024061629 A JP 2024061629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
graphene
graphene dispersion
dispersion
weight
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023151914A
Other languages
English (en)
Inventor
善英 平井
智博 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2024061629A publication Critical patent/JP2024061629A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】塗布性に優れたグラフェン分散液および耐腐食特性に優れた組成物を提供すること。【解決手段】グラフェン、標準電極電位が-2.0V以上-0.3V以下である金属粒子、および有機溶媒を含有するグラフェン分散液であって、前記グラフェン分散液の固形分濃度が4重量%以上9重量%以下であり、B型粘度計で測定した回転数における3rpmでの粘度が1,000mPa・s以上10,000mPa・s以下であるグラフェン分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、グラフェン分散液およびそれを用いた組成物に関する。
グラフェンは、炭素原子からなる二次元結晶であり、2004年に発見されて以来、非常に注目されている素材である。グラフェンの薄層シート構造は、金属腐食原因物質である酸素や水の透過を抑制することができる。かかるグラフェンの機能を活用した用途の一例として耐腐食性塗料が挙げられ、グラフェンを用いることにより、耐腐食性のさらなる向上が期待されている。
グラフェンを工業的に利用するために、電気抵抗が低く、塗布性および分散性に優れるグラフェンの分散液が用いられている。グラフェンの分散液としては、例えば、グラフェンがN-メチルピロリドンを50質量%以上含む溶媒に分散した分散液であって、N-メチルピロリドンでグラフェン重量分率0.000013に調整した希釈液の、波長270nmにおける重量吸光係数が25000cm-1以上200000cm-1以下であるグラフェン分散液(例えば、特許文献1参照)が提案されている。また、グラフェン分散液の製造方法としては、例えば、還元工程、微細化工程、有機溶媒混合工程、強撹拌工程、水分除去工程を有するグラフェン分散液の製造方法(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
国際公開第2017/047521号 国際公開第2017/047523号
グラフェンの応用範囲を広げる上では、グラフェン分散液から、グラフェンを様々な形状に成形する技術が求められており、そのために、グラフェンを単層または複数層の薄層状態に分散させた分散液とすることが有効である。しかし、分散液中において、薄層状態のグラフェンは積層凝集しやすく、さらに凝集したシート状のグラフェン同士は絡まり合いやすい傾向にある。特許文献1や特許文献2に記載された技術に対しても、様々な組成物中へのさらなる分散性の向上が求められている。
そこで、本発明は、分散性に優れたグラフェン分散液、および耐腐食性に優れる硬化物を得ることのできる組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、グラフェン、標準電極電位が-2.0V以上-0.3V以下である金属粒子、および有機溶媒を含有するグラフェン分散液であって、前記グラフェン分散液における前記グラフェンおよび前記金属粒子の合計固形分濃度が4重量%以上9重量%以下であり、B型粘度計で測定した回転数における3rpmでの粘度が1,000mPa・s以上10,000mPa・s以下であるグラフェン分散液である。
本発明のグラフェン分散液は分散性が高く、耐腐食性に優れる組成物を提供することができる。
<グラフェン分散液>
本発明のグラフェン分散液は、グラフェン、標準電極電位が-2.0V以上-0.3V以下である金属粒子、および有機溶媒を含有する。グラフェン分散液におけるグラフェンおよび金属粒子の固形分濃度は、後述する測定例1に記載する方法により測定することができる。グラフェン分散液におけるグラフェンおよび金属粒子の固形分濃度は、塗工に適する粘度を確保するため4重量%以上である。一方、流動性を確保するため、9重量%以下である。
本発明のグラフェン分散液のグラフェンは分散性が高く、グラフェン分散液中のグラフェン単独の固形分濃度が2.5重量%以上で流動性がなくなり、半固形状となる。そのため、グラフェン単独の固形分濃度は、2.5重量%未満であることが好ましい。一方、塗工に適する粘度を確保する観点から、0.5重量%以上であることが好ましい。
グラフェン分散液が流動性を有し、塗布性を高める観点から、グラフェン分散液中の金属粒子の含有量は、グラフェン重量比50重量%以上が好ましく、150重量%以上がより好ましく、300重量%以上がさらに好ましい。一方、800重量%以下が好ましく、600重量%以下がより好ましく、500重量%以下がさらに好ましい。
本発明のグラフェン分散液は、固形分濃度が4重量%以上9重量%以下であり、B型粘度計で測定した回転数における3rpmでの粘度が1,000mPa・s以上10,000mPa・s以下であることを特徴とする。本発明においては、グラフェン分散液の分散性を評価する指標として、粘度に着目した。
本発明におけるグラフェン分散液の粘度は、グラフェンの剥離状態および分散状態によって変化する。十分に分散された単層のグラフェンであれば、グラフェン表面間の相互作用によりグラフェン同士がネットワークを形成しやすくなり、粘度は高くなる。一方、分散が不十分な場合、積層数の増加や凝集の形成によって、分散液の粘度は低くなる。グラフェン分散液のB型粘度計で測定した回転数における3rpmでの粘度が1,000mPa・sより低い場合、グラフェンの剥離度が低く、グラフェンの多くが積層凝集した状態であり、グラフェンの分散性が低く、塗布性が低下し、塗膜抵抗が高くなる。2,000mPa・s以上が好ましく、3,000mPa・s以上がより好ましく、4,000mPa・s以上がさらに好ましい。グラフェン分散液のB型粘度計で測定した回転数における3rpmでの粘度が10,000mPa・sより高い場合、グラフェン同士のネットワークが強固であり、溶媒への再分散が困難になる。8,000mPa・s以下が好ましく、6,000mPa・s以下がさらに好ましい。本発明のグラフェン分散液の粘度は、後述する測定例2に記載する方法により測定することができる。
グラフェン分散液のB型粘度計で測定した回転数における3rpmでの粘度を1,000mPa・s以上10,000mPa・s以下にするためには、グラフェンを十分に剥離することが有効であり、例えば、後述する好ましい製造方法によりグラフェン分散液を製造することができる。
本発明のグラフェン分散液においては、チキソトロピーインデックス(TI値)が1.1以上3.0以下が好ましい。TI値を1.1以上とすることで、グラフェン分散液を塗工する際の応力でグラフェン分散液の粘度が低下し、塗工が容易な状態となる。1.5以上がさらに好ましい。TI値を3.0以下とすることで、グラフェン分散液粘度の低下に伴う塗工時の液だれを防止することができる。2.5以下がさらに好ましい。
グラフェン分散液のチキソトロピーインデックス(TI値)は、B型粘度計で測定した回転数3rpmでの粘度値を回転数10rpmでの粘度値で除した値として算出した。
本発明のグラフェン分散液には、標準電極電位が-2.0V以上-0.3V以下の金属粒子を用いる。用いる組成物等の用途における遮蔽効果や犠牲防食効果、導電性、熱伝導性などの目的に応じて適宜選択することができる。具体的な金属粒子と25℃における標準電極電位は、インジウム(-0.34V)、鉄(-0.44V)、亜鉛(-0.76V)、マンガン(-1.18V)、チタン(-1.63V)、アルミニウム(-1.66V)、ベリリウム(-1.85V)が挙げられる。本発明の組成物を保護用塗料として用いる場合の金属粒子は、塗料用顔料として好適に使われ、耐腐食性が向上する犠牲陽極効果を有し、グラフェンとの分散性が良好である観点から、亜鉛、アルミニウム、鉄のうちいずれかを用いることが好ましい。
金属粒子の平均粒径は、硬化性樹脂および/またはその前駆体とを含む組成物の、硬化後のピンホールなどの欠陥を抑制し、硬化物の遮蔽性や耐腐食性、導電性、熱伝導性をより向上させる観点から、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。一方、金属粒子による遮蔽効果や犠牲防食効果、導電性、熱伝導性を高め、硬化物の耐久性をより向上させる観点から、2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。金属粒子の平均粒径は、既知の粒子粉砕技術を用いて前記範囲に容易に調整できる。また、所望の粒径を有する市販の金属粒子を購入して用いることができる。
金属粒子の平均粒径は、レーザー顕微鏡により観察して、次のようにして求めた値を用いる。
グラフェン分散液を、有機溶媒を用いて0.0065重量%に希釈し、ガラス基板上に滴下、乾燥する。次に、ガラス基板上の金属粒子をレーザー顕微鏡で観察して粒径を測定する。このようにして無作為に50個の金属粒子について粒径を測定し、その平均値を金属粒子の平均粒径とした。
本発明のグラフェン分散液に用いられる有機溶媒は、後述する硬化性樹脂および/またはその前駆体を溶解可能であり、揮発可能であるものが好ましく、組成物の塗工性に応じて適宜選択することができる。具体的には、鉱油、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、芳香族炭化水素系溶媒およびアルコール系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。芳香族炭化水素系溶媒としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、メシチレン、クメン、テトラメチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、アニソール、フェニルシクロヘキサン、ハロゲン化ベンゼン、などが挙げられ、アルコール系溶媒としては、ヘキサノール、ペンタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノールなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明におけるグラフェンの平均アスペクト比は、後述する測定例3に記載する方法により測定したグラフェンの面方向の大きさを、測定例4に記載する方法により測定したグラフェンの厚みで除することで算出することができる。
本発明のグラフェンの平均アスペクト比は、100以上50,000以下が好ましい。平均アスペクト比を100以上とすることにより、グラフェンの面方向の大きさに対してグラフェンの厚さが厚すぎず、グラフェンが小さすぎて凝集することや多数のグラフェンが積層して凝集することを抑制できるためグラフェンの有機溶媒中での分散性が向上し、グラフェンのペースト塗布性や組成物とした場合の耐久性が向上する。500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。一方、グラフェンの平均アスペクト比を50,000以下とすることにより、グラフェンの面方向の大きさに対してグラフェンの厚さが薄すぎず、繊維状の形状になることで分散液や組成物とした場合の粘度が必要以上に増大して取り扱い性が低下することを防止できる。また、必要以上に粘度が増大しないため、グラフェンの有機溶媒中での分散性が向上し、グラフェンのペースト塗布性や組成物とした場合の耐久性が向上する。40,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、20,000以下がさらに好ましい。
グラフェンの面方向の大きさは、レーザー顕微鏡により観察したグラフェンの最長径と最短径の相加平均とし、次のようにして求めた値を用いる。
グラフェン分散液を、有機溶媒を用いて0.0065重量%に希釈し、ガラス基板上に滴下、乾燥する。次に、ガラス基板上のグラフェンをレーザー顕微鏡で観察し、個々のグラフェンについて、最長径と最短径を測定した上で相加平均値によりグラフェンの面方向の大きさを算出する。このようにして無作為に50個のグラフェンについて面方向の大きさを算出し、その平均値をグラフェンの面方向の大きさとした。
グラフェンの厚みは、グラフェン分散液からグラフェンを採取し、原子間力顕微鏡を用いて測定する。原子間力顕微鏡を用いて、グラフェンが適切に観察できる様に、視野範囲1~20μm四方程度に拡大観察し、無作為に選択した10個のグラフェンについて、それぞれ厚みを測定し、その算術平均値を求めることにより算出した。なお、各グラフェンの厚みは、それぞれのグラフェンにおいて無作為に選択した5箇所の厚みの測定値の算術平均値とした。
本発明においては、グラフェンの分散性の指標として、グラフェン濃度を0.0065重量%に調整した時の吸光度を測定した。
グラフェンの吸光度は、グラフェンの剥離状態および凝集状態によって変化し、単層で凝集のないグラフェンが最も吸光度が高く、積層数の増加や凝集の形成に伴って吸光度は低くなる。波長500nmにおける吸光度が小さいと、グラフェンの剥離度が低く、グラフェンの多くが積層凝集した状態となる。グラフェンの波長500nmにおける吸光度は、1.0以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.6以上がさらに好ましい。一方、グラフェン分散液の過分散による凝集を抑制し、溶媒への分散性を向上させる観点から、グラフェンの波長500nmにおける吸光度は、2.5以下が好ましい。
グラフェン分散液の吸光度は、後述する測定例5に記載する方法により測定することができる。また、グラフェン分散液の吸光度を前述の範囲にする手段としては、例えば、後述の製造方法によりグラフェン分散液を得る方法などが挙げられる。
本発明のグラフェン分散液は表面処理剤で修飾されていることが好ましい。表面処理剤は窒素を含む化合物であることが好ましい。窒素原子は表面処理剤に正の電荷をもたらし、グラフェンの有する負電荷に対し、静電的に吸着することができる。表面処理剤はグラフェン表面の溶媒との親和性を高めることで分散性を高めることに寄与する。
窒素原子は、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩、含窒素環状に由来することが好ましい。これらに由来する窒素原子を2種以上有してもよいし、それぞれに由来する窒素原子を2つ以上有してもよい。
表面処理剤は、低分子であっても高分子であってもよい。耐腐食性をより向上させる観点からは、低分子が好ましく、耐久性をより向上させる観点からは、高分子が好ましい。ここで、低分子とは分子量1,000未満の化合物を指し、高分子とは分子量1,000以上の化合物を指す。表面処理剤は2種以上用いてもよい。
表面処理剤が低分子である場合、表面処理剤をグラフェンに付着させやすくするために、芳香族環を有することが好ましく、窒素を含む芳香族化合物が好ましく用いられる。
窒素を含む芳香族化合物としては、例えば、2-ハロゲン化アニリン、3-ハロゲン化アニリン、4-ハロゲン化アニリン、ベンジルアミン、フェニルエチルアミン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、アニリン、p-トルイジン、m-トルイジン、o-トルイジン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、1-アミノピレン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-イソプロピルアニリン、4-エチルアニリン、4-イソプロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、4-ニトロアニリン、ジフェニルアミン、N-メチルジフェニルアミン、2,4,6-トリメチルアニリン、4-メトキシアニリン、N-メチルベンジルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、ベンズアミド、ドーパミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンやこれらの塩類などが挙げられる。
また、1,6-ジアミノピレン、1,8-ジアミノピレン、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,2-フェニレンジアミン、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノナフタレン、p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、1,2,4-トリアミノベンゼンなどのポリアミンも挙げられる。
直鎖状または分岐状のポリエーテルアミンも好ましく用いられ、単体で常温において液状またはワックス状であることが好ましい。またグラフェンが表面に有するポリエーテルアミンは、分散性と耐腐食性と密着性を高める観点から、アミノ基を1つ以上有することが好ましく、2つ以上有していることがより好ましい。
前記ポリエーテルアミンの重量平均分子量は140以上10,000以下が好ましい。重量平均分子量が140以上であればグラフェンの表面への付着性に優れ、200以上がより好ましく、500以上がさらに好ましい。また、重量平均分子量が10,000以下であれば付着し過ぎによるダマ化の懸念が少なく、8,000以下がより好ましく6,000以下がさらに好ましい。
前記ポリエーテルアミンはポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン構造を含むことが好ましい。これらの構造は界面活性作用を生じやすくし、溶媒や樹脂とグラフェンとの親和性を高められる。かかる構造を含む市販品の例として、日油株式会社製PEG#200、#300、#400、#600、#1000、#2000、“ユニオックス”(登録商標)M-400、M-550、M-1000、“ユニオール”(登録商標)D-200、D-250、D-400G、D-700、D-1000、D-1200、D-2000、D-4000などが挙げられる。
本発明のグラフェン分散液のグラフェンにおけるX線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の原子比(N/C比)は、前述の表面処理剤が窒素原子を含有する場合にその付着量の指標となる。窒素原子を含有する表面処理剤がグラフェンに付着していることにより、分散液中における分散性を高め、塗布性を向上することができる。グラフェンのN/C比は、0.005以上が好ましく、0.007以上がより好ましく、0.010以上がさらに好ましい。一方、グラフェンのN/C比は、意図しない凝集を抑制する観点から、0.200以下が好ましく、0.100以下がより好ましく、0.050以下がさらに好ましい。
ここで、グラフェンのN/C比は、分散液中からグラフェンを採取し、XPSにより測定することができる。炭素原子に基づくC1sメインピークを284.3eVとし、窒素原子に基づくN1sピークを402eV付近のピークに帰属し、各ピークの面積比からN/C比を算出し、得られた値の小数点第4位を四捨五入して小数点第3位まで求める。グラフェンのN/C比は、例えば表面処理剤の付着量により、前述の範囲に容易に調整することができる。
本発明のグラフェン分散液のグラフェンにおけるX線光電子分光法により測定される炭素に対する酸素の元素比(O/C比)は、0.05以上0.40以下であることが好ましい。O/C比はグラフェン上の官能基量を表し、分散性とグラフェン機能性の指標となる。より分散性を高める観点から、O/C比は0.08以上がより好ましい。また、グラフェンの導電性、バリア性、熱伝導性等の機能性をより高める観点から、0.30以下がより好ましく、0.25以下がさらに好ましい。
グラフェンのO/C比は、分散液中からグラフェンを採取し、XPSにより測定することができる。炭素原子に基づくC1sメインピークを284.3eVとし、酸素原子に基づくO1sピークを533eV付近のピークに帰属し、各ピークの面積比からO/C比を算出し、得られた値の小数点第3位を四捨五入して小数点第2位まで求める。グラフェンのO/C比の調整は、例えば、原料となる酸化グラフェンの酸化度や、還元反応条件による還元度の調整により、前述の範囲に容易に調整することができる。
<硬化性樹脂および/またはその前駆体>
本発明のグラフェン分散液とともに硬化性樹脂および/またはその前駆体とを含む組成物が好ましく用いられる。硬化性樹脂とは、溶媒の揮発または反応により硬化する樹脂を指し、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられ、塗料組成物用の市販の硬化性樹脂を好適に用いることができる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、塗工性および取り扱い性の観点から、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂や、これらの変性物として、アクリル変性エポキシ樹脂や、ウレタン変性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100以上5,000以下が好ましい。エポキシ当量が100以上であれば、組成物から得られる塗膜の強度を向上させることができる。一方、エポキシ当量が5,000以下であれば、組成物を効率よく硬化させることができる。
硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂硬化剤をさらに含有することが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、多官能アミン化合物やポリアミドアミン化合物などが挙げられ、市販のエポキシ樹脂硬化剤を用いることができる。これらを2種以上含有してもよい。エポキシ樹脂硬化剤の活性水素当量は、30以上5,000以下が好ましい。活性水素当量が30以上であれば、組成物から得られる塗膜の強度を向上させることができる。一方、活性水素当量が5,000以下であれば、組成物を効率よく硬化させることができる。
<組成物>
前記組成物には、さらに溶媒や任意の添加剤を含有してもよい。溶媒としては、前記の硬化性樹脂および/またはその前駆体を溶解可能であり、揮発可能であるものが好ましく、組成物の塗工性に応じて適宜選択することができる。
本発明の組成物におけるグラフェンの含有量は、組成物の総固形分中、0.01重量%以上5.0重量%以下が好ましい。グラフェンの含有量を0.01重量%以上とすることにより、グラフェンによる遮蔽効果と導電ネットワーク形成により、耐腐食性および耐久性をより向上させることができる。グラフェンの含有量は、組成物の固形分中、0.1重量%以上がより好ましく、0.3重量%以上がさらに好ましい。一方、グラフェンの含有量を5.0重量%以下とすることにより、意図しない凝集を抑制し、耐腐食性および耐久性をより向上させることができる。グラフェンの含有量は、組成物の固形分中、2.5重量%以下がより好ましく、1.0重量%以下がさらに好ましい。
<形成物>
前記組成物を基材上に膜状に形成して得られる形成物も好ましく用いられる。用いられる基材は特に限定されるものではないが、シートやフィルムあるいは金属板などを基材として用いることができる。
<グラフェン分散液の製造方法>
本発明のグラフェン分散液は、例えば、酸化グラフェンと表面処理剤とを溶媒中で混合した後に、酸化グラフェンを微細化し、その後に還元処理を施すことにより作製することができる。グラフェンの分散性をより高めるために、後述する濾過濃縮工程と、再分散工程を有することが好ましい。
[酸化グラフェン]
酸化グラフェンの製造方法としては、例えば、ハマーズ法等が挙げられる。また、市販の酸化グラフェンを購入してもよい。酸化グラフェンの作製方法として、ハマーズ法を用いる場合を以下に例示する。
氷浴中、黒鉛(石墨粉)と硝酸ナトリウムを濃硫酸中に入れて撹拌しながら、過マンガン酸カリウムを温度が上がらないように徐々に添加し、25~50℃の温度範囲に保ちながら、0.2~5時間撹拌する。その後、イオン交換水を加えて希釈して懸濁液とし、80~100℃の温度範囲で5~50分間撹拌する。その後、過酸化水素とイオン交換水を加えて1~30分間撹拌して、酸化グラフェン水分散液を得る。得られた酸化グラフェン水分散液を濾過、洗浄し、酸化グラフェンウエットケーキを得る。
黒鉛としては、天然黒鉛が好ましく、メッシュ数は5,000以下が好ましい。天然黒鉛10gに対して、硝酸ナトリウム添加量は2~8g、濃硫酸添加量は150~300ml、過マンガン酸カリウム添加量は10~40g、過酸化水素添加量は40~80gが好ましく、イオン交換水添加量は過酸化水素添加量の10~20倍が好ましい。酸化グラフェンの酸化度は、例えば、酸化剤である硝酸ナトリウムや過マンガン酸カリウムの添加量により、所望の範囲に調整することができる。具体的には、黒鉛に対する硝酸ナトリウムの添加量の比(硝酸ナトリウム/黒鉛)は、0.200以上0.800以下が好ましく、黒鉛に対する過マンガン酸カリウムの添加量の比(過マンガン酸カリウム/黒鉛)は、1.0以上4.0以下が好ましい。
[表面処理工程]
次に、酸化グラフェンと表面処理剤とを混合し、酸化グラフェンに表面処理剤を付着させる。酸化グラフェンと表面処理剤を良好に混合するためには、酸化グラフェンと表面処理剤のいずれもが溶媒中に分散している状態で混合することが好ましい。この際、酸化グラフェンと表面処理剤はいずれも完全に溶解している事が好ましいが、一部が溶解せずに固体のまま分散していてもよい。
混合方法としては、例えば、自動乳鉢、三本ロール、ビーズミル、遊星ボールミル、ホモジナイザー、ホモディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、二軸混練機などのミキサーや混練機を用いて混合する方法などが挙げられる。
[微細化工程]
次に、溶媒中で酸化グラフェンを微細化することが好ましい。微細化方法としては、例えば、酸化グラフェン分散液に超音波を印加する方法、圧力を印加した酸化グラフェン分散液をセラミックボールに衝突させる方法、圧力を印加した酸化グラフェン分散液同士を衝突させる液―液せん断型の湿式ジェットミルを用いる方法などが挙げられる。
[還元工程]
次に、溶媒中で酸化グラフェンを還元する。還元方法としては、化学還元が好ましい。化学還元の場合、還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤が挙げられる。これらの中でも、還元後の洗浄の容易さから、無機還元剤が好ましく、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムなどがより好ましい。
[濾過濃縮工程]
次に、還元工程で得られたグラフェンを濾過濃縮する。濾過濃縮工程は、還元されたグラフェン分散液の溶媒の一部を吸引濾過により除去する工程である。吸引濾過としては、グラフェンのスタックを抑制する観点から、減圧吸引濾過が好ましい。また、この操作を複数回繰り返してもよい。本発明においては、濾過濃縮工程と後述する再分散工程を2回以上行うことが好ましい。一方、本発明においては、濾過濃縮工程と後述する再分散工程を6回以下行うことが好ましい。
[再分散工程]
次に、濾過濃縮工程で得られたグラフェン分散体を金属粒子とともに有機溶媒に再分散させる。本発明においては、再分散工程を経たグラフェン分散液は、再度濾過濃縮することが好ましく、グラフェン同士のスタックを解消し、分散性をより向上させることができる。
再分散工程において、グラフェン分散体と金属粒子を有機溶媒に混合したスラリーを、ディスパー撹拌式、ローター/ステーター式などを採用した分散機で撹拌することが好ましい。スラリーを撹拌する時の周速が高いほど、せん断力により積層したグラフェンをより効率的に剥離しやすいため、スタックを解消し、分散性をより向上させることができる。このような分散機としては、例えば、“ラボ・リューション”(登録商標)ホモディスパー2.5型(プライミクス社)、ディスパーサーPH91(エスエムテー社)、“シルバーソンミキサー”(登録商標)L5M-A(シルバーソンニッポン社)などが挙げられる。
再分散工程において得られたグラフェン分散液の固形分濃度は、後述する測定例1に記載する方法により測定することができる。
<組成物の製造方法>
次に、グラフェン分散液を用いた組成物の製造方法の例を説明する。例えば、グラフェン分散液を硬化性樹脂および/またはその前駆体、無機粒子(標準電極電位が-2.0V以上-0.3V以下である金属粒子を含む)、ならびに必要に応じて溶媒や任意の添加剤と混合する方法や、無機粒子、硬化樹脂および/またはその前駆体を含有する市販されている塗料組成物にグラフェンを混合する方法などが挙げられる。前者の方法において、無機粒子とグラフェン分散液を同時に添加して混合してもよいし、別々に添加して混合してもよい。グラフェンの分散性をより高める観点から、硬化性樹脂および/またはその前駆体を溶媒に溶解した溶液に、グラフェンおよび無機粒子を混合することが好ましい。
混合装置としては、例えば、ビーズミル、ホモディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、サンドミルなどのミキサーや混練機などが挙げられる。
本発明の組成物が硬化性樹脂前駆体を含有する場合、主剤(例えばエポキシ樹脂)と硬化剤(例えばエポキシ樹脂硬化剤)は、使用直前まで別々の容器に保存されていてもよい。この場合、グラフェンおよび無機粒子は、主剤とともに含有されていてもよいし、硬化剤とともに含有されていてもよい。
無機粒子としては、塗料用に一般的に用いられる体質顔料などが挙げられる。本発明の組成物を保護用塗料として用いる場合、保護する対象との関係により、犠牲防食効果の高い材料を選択することにより、硬化物の耐腐食性をより向上させることができる。例えば、鉄鋼の保護用塗料に用いる場合には、無機材料として亜鉛粒子を選択することにより、犠牲防食効果により、硬化物の耐腐食性および耐久性をより向上させることができる。
無機粒子は、亜鉛、酸化鉄、マイカ、タルク、ベントナイト、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ステンレス、ガラス、アルミニウムを含むことが好ましい。これらを2種以上含んでもよい。
無機粒子の形状としては、例えば、球状、フレーク状、薄片状、繊維状、不定形状などが挙げられる。
これらの中でも、マイカ、タルク、ベントナイト、薄片状酸化チタン、ステンレスフレーク、ガラスフレーク、アルミフレークは、扁平な形状により遮蔽効果が高く、硬化物の耐腐食性をより向上させることができる。また、亜鉛粒子は、犠牲防食効果が高く、硬化物の耐腐食性をより向上させることができる。亜鉛粒子とともにタルク、ベントナイト、ガラスフレークなどを組み合わせることが好ましく、組成物の粘度や、組成物から得られる塗膜の機械的物性を所望の範囲に容易に調整することができる。
無機粒子の平均粒径は、ピンホールなどの欠陥を抑制し、硬化物の耐腐食性をより向上させる観点から、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。一方、無機粒子による遮蔽効果や犠牲防食効果を高め、硬化物の耐腐食性および耐久性をより向上させる観点から、1.0μm以上が好ましく、3.0μm以上がより好ましく、5.0μm以上がさらに好ましい。なお、無機粒子の平均粒径は、既知の粒子粉砕技術を用いて前記範囲に容易に調整できる。また、所望の粒径を有する市販の無機粒子を購入して用いることができる。
本発明のグラフェン分散液を含有する組成物は、塗布や注型などで成形し、乾燥または反応により硬化することで、グラフェンの導電性、バリア性、熱伝導性などの機能を付与したコンポジット材料として利用することができる。
本発明の組成物は、塗布性に優れるため、基材上に膜状に形成して得られる形成物として用いることが好ましい。また、金属基材に対して膜状に組成物を形成することで、バリア性や熱伝導性、電磁波遮蔽性等の効果が得られやすくなる。
本発明のグラフェンは、樹脂中での混合性と結合性に優れるため、特に塗膜やフィルム形状で用いた場合に、その効果が得られやすい。塗膜やフィルムを形成した際、樹脂の効果に伴う収縮等の影響によりグラフェンと樹脂との界面に応力がかかり、欠点を生じやすい場合があるが、本発明のグラフェンを用いることでグラフェンと樹脂の結合性が高められ、欠点の発生を抑制しすることができる。さらに、本発明のグラフェンは分散性・混合性に優れるため、グラフェンが均一に分布することでグラフェンの機能性を効率よく発揮することができる。
従って、本発明のグラフェン分散液を含有する組成物は、例えば、コーティング膜、電極、熱伝導体として好適に利用できる。コーティング膜としては、例えば耐腐食塗料、防水塗料、ガスバリア膜、耐衝撃膜、電磁シールド膜などの利用が挙げられる。電極としては、電池用電極、センサー用電極などの利用が挙げられる。熱伝導体としては、電子機器等の放熱材料、配管等の散熱被覆材、建造物の冷却や凍結防止材などの利用が挙げられる。
前記金属基材として、例えば、ガスバリア用の金属蒸着フィルム、アルミ箔や銅箔などの電極機材、各種電子部品などの金属筐体や部材、鋼鉄製の筐体や構造物(自動車や船舶などの乗り物、橋梁や鉄橋などの建造物、工場設備等)が挙げられる。 本発明の組成物は、基材上に塗布し、乾燥することにより形成される塗膜として好適に用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケーター塗布、バーコート塗布、スピンコート塗布、ローラー塗布、刷毛塗り、スプレー塗布などが挙げられる。乾燥方法は、溶媒と樹脂および用途に応じて適宜選択するができ、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥などが挙げられる。
本発明の組成物を、例えば亀裂の中に注入し、乾燥および/または架橋反応により硬化させて用いてもよい。注入および硬化方法としては、既知の手法を用いることができる。
本発明の組成物を、基材上に膜状に形成してなる形成物は、耐腐食性および耐久性に優れる。耐腐食性の指標のひとつとして、水蒸気透過率や酸素透過率が低いことが好ましい。具体的には、後述する測定例9に記載の方法により測定した水蒸気透過率は、300g/m・24h以下が好ましく、250g/m・24h以下がより好ましく、225g/m・24h以下がさらに好ましい。水は酸素のキャリアとなるため、水蒸気透過率が低いほど、酸素透過率も低くなる傾向にある。
耐腐食性の別の指標として、腐食の起きにくさを表す腐食電位が低いことが好ましい。具体的には、後述する測定例10に記載の方法により測定した腐食電位は、-0.9V以下が好ましく、-1.0V以下がより好ましい。
耐久性の指標として、後述する測定例11に記載の方法により耐塩水噴霧試験を行ったときの、スコア3(切れ込み部の赤錆の幅が2mm)に到達する時点までの時間がより長いことが好ましい。耐塩水噴霧試験スコア3到達時間は、亜鉛による犠牲防食効果の存在下では大きく延長される。このため、組成物が亜鉛を含まない場合においては、耐塩水噴霧試験スコア3到達時間は、500h以上が好ましく、600h以上がより好ましく、700h以上がさらに好ましい。一方、組成物が亜鉛を含む場合においては、耐塩水噴霧試験スコア3到達時間は、2,000h以上が好ましく、2,500h以上がより好ましい。
以下に実施例を用いて本発明を説明する。まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
[測定例1:固形分濃度]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液を重量既知のアルミカップに乗せて重量を測定した後、温度を120℃に設定したホットプレート上で1.5時間加熱して溶媒を揮発させた。加熱前のグラフェン分散液の重量と、加熱前後の重量差から算出した溶媒揮発量から、グラフェン分散液の固形分濃度を算出した。これを3回繰り返し、平均値を求めた。
合成例1により作製した酸化グラフェンウエットケーキの固形分濃度は、温度を100℃に調整する他はグラフェン分散液の固形分濃度測定と同様にして測定した。
[測定例2:粘度]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液について、“DV-E”(登録商標)B型粘度計(英弘精機社)を用いて粘度を測定した。各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液に、粘度域に適したスピンドルを使用して、回転数をセットして5分間経過した時の粘度値を測定した。粘度の測定は、グラフェン分散液作製後30分間静置した後に行い、グラフェン分散液温度を25度に調整して実施した。
[測定例3:グラフェンの面方向の大きさ]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液を、有機溶媒を用いて0.0065重量%に希釈し、ガラス基板上に滴下・乾燥し、基板上に付着させた。基板上のグラフェンをキーエンス社製レーザー顕微鏡VK-X250で観察して、個々のグラフェンの最長径と最短径を測定し、相加平均を算出した。これを無作為に50個のグラフェン粒子について行い、その平均をグラフェンの面方向の大きさとした。
[測定例4:グラフェンの平均厚み]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液を有機溶媒で0.01重量%に希釈し、“フィルミックス”(登録商標)30-30型(プライミクス社)を用いて、回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒間処理してグラフェン希釈液を得た。グラフェン希釈液をマイカ基板上に滴下、乾燥し、グラフェンを基板上に付着させた。基板上のグラフェンを、原子間力顕微鏡(Dimension Icon;Bruker社)を用いて、視野範囲1~10μm四方程度に拡大観察して、無作為に選択した10個のグラフェンについて、それぞれ厚みを測定した。各グラフェンの厚みは、それぞれのグラフェンにおいて無作為に選択した5箇所の厚みの測定値の算術平均値とし、さらに10個のグラフェンの厚みの算術平均値を求めることにより、グラフェンの平均厚みを算出した。
[測定例5:吸光度]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液について、“UV7”(登録商標)分光光度計(メトラー・トレド社)を用いて吸光度を測定した。セルは光路長10mmの石英製を用いた。各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液に、グラフェン濃度が0.0065重量%となるように各実施例および比較例で用いた有機溶媒を加え、出力130W、発振周波数40kHzの超音波洗浄機(ASU-6M、アズワン社)を用いて出力設定Highで10分間処理した希釈液を用いて、濃度調整に用いた有機溶媒で事前にベースライン測定をした上で測定した。
[測定例6:X線光電子分光法によるN/C比の測定]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液について、X線光電子分光分析装置Quantera SXM (アルバック・ファイ社)を用いて、光電子スペクトル測定した。励起X線は、monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)とし、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°とした。炭素原子に基づくC1sメインピークを284.3eVとし、窒素原子に基づくN1sピークを402eV付近のピークに帰属した。N1sピークとC1sピークの面積比からN/Cを算出し、得られた値の小数点第4位を四捨五入して小数点第3位まで求めた。
[測定例7:塗膜抵抗]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液を、後述する評価例1で記載した方法で塗布し、熱風乾燥炉を用いて80℃で1時間乾燥した後、200℃で2時間乾燥して溶媒を除去し、乾燥塗布膜を得た。乾燥塗布膜にしたグラフェンについて、低抵抗率計“ロレスタ-GX”(登録商標)MCP-T700(日東精工アナリテック社)を用いて塗膜抵抗を測定した。
[測定例8:欠陥の数]
各実施例および比較例により作製した組成物を、A4サイズ50μm厚のPETフィルム上に、スプレーを用いて塗布した後、室温で乾燥し、1週間静置して硬化させ、100μm厚の硬化膜を形成した。得られた硬化膜の表面を、光学顕微鏡を用いて、100倍に拡大観察し、無作為に選択した10箇所について、ひび割れ(クラック)、孔(ピンホール)などの欠陥の有無を観察し、欠陥の認められた箇所の数により耐腐食性を評価した。欠陥の認められた箇所が少ないほど、耐腐食性に優れる。
[測定例9:水蒸気透過率]
測定例8と同様にして、A4サイズ50μm厚のPETフィルム上に100μm厚の硬化膜を形成した。硬化膜面を下に向け、PETフィルム側を引き上げながら硬化膜を剥離した。得られた硬化膜を12cm角に裁断し、チャンバーのパッキンに触れる部位をアルミテープで保護して、水蒸気透過率測定器PERMATRAN-W 3/33MG+(MOCON社)に設置した。等圧法、チャンバー内温度20℃、相対湿度90%の条件下で水蒸気透過率を測定した。水蒸気透過率が低いほど、耐腐食性に優れる。
[測定例10:腐食電位]
各実施例および比較例により作製した組成物を、15cm×7cm×0.25cm厚の大きさのサンドブラスト処理した一般構造用圧延鋼板(材質:SS400)に、スプレーガンを用いて塗布し、室温で乾燥し、1日静置し、硬化膜を形成した。硬化膜の厚さは80±10μmとなるように調整した。硬化膜が形成されていない基材露出箇所には、刷毛を用いて、市販の防錆塗料(日本ペイント社“ジンキー”(登録商標)8000HB)を塗り、乾燥後1週間静置して硬化させ、試験板を得た。ポテンショスタットModel1480A(Solartron analytical社)の作用極に試験板、対極に白金電極、参照極に銀塩化銀電極を接続した。試験板を、500mLビーカー中に入れた室温の3.5重量%塩化ナトリウム水溶液(pH=7)300mL中に浸漬し、測定を開始した。測定は、まず初期900秒間Open Circuitで安定化させた後、次に電圧掃引モードで-0.2Vから+0.5Vまで0.003V/sの速度で掃引し、電流値を測定した。得られた電流値の絶対値をプロットし、電流値が極小となった時の電圧を腐食電位とした。腐食電位が低い(絶対値が大きい)ほど、耐腐食性に優れる。
[測定例11:耐塩水噴霧時間]
測定例10と同様にして試験板を得た。当該試験板の中央部に、長さ5cm、深さ0.5~1.0mmの直線状の切れ込みを入れ、塩水噴霧試験装置(HAIDA HD-E808-120)にセットした。35℃に加温された5重量%塩化ナトリウム水溶液(pH=7)を用いて、塩水噴霧試験を開始した後、各サンプルの錆の発生状況に応じて下記の通りスコア付けを行い、その経時変化を記録し、スコア3に到達した時間から、耐久性を評価した。
スコア0:初期状態に近く赤錆が観察されない。亜鉛を用いている場合は、犠牲防食効果により白錆が見られるが赤錆は見られない状態を指す。
スコア1:切れ込み箇所全体に赤錆が見られる。
スコア2:切れ込み箇所全体に幅2mm未満の赤錆が見られ、かつ切れ込み部周辺に硬化膜の膨れまたは切れ込み箇所以外に孔食が生じ赤錆が見られる箇所が一つ以上ある。
スコア3:切れ込み部周辺に複数の膨れや孔食が見られ、かつ切れ込み部の赤錆の幅が2mm以上である。
[評価例1:ペースト塗布性]
各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液を、グラフェンが固形分として1.5重量%となるように各実施例および比較例で用いた溶媒と混合または濃縮し、プラネタリーミキサーを用いて混練してグラフェンペーストを得た。得られたグラフェンペーストを、ドクターブレード(300μm)を用いて、厚さ130μmの“カプトン”(登録商標)ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社)上に塗布し、塗布膜表面の目視観察により、分散性の評価指標となる塗布性を5段階で評価した。判断基準は以下のとおりとし、3点以上であれば、分散性が良好であると判断した。
5点:塗布膜表面の塗布ムラやカスレが認められない
4点:塗布膜表面の面積の概ね95%に塗布ムラやカスレが認められない
3点:塗布膜表面の面積の概ね90%以上95%未満に塗布ムラやカスレが認められない
2点:塗布膜表面の面積の概ね80%以上90%未満に塗布ムラやカスレが認められない
1点:塗布膜表面に塗布ムラやカスレが多い。
グラフェンの固形分量は、分散液中における金属粒子の含有量が既知である場合には、その原料組成と各材料の密度から算出することができる。
各材料の密度は次の値を用いる。亜鉛(7.14g/cm)、アルミニウム(2.70g/cm)、鉄(7.87g/cm)、酸化鉄(5.24g/cm)、酸化チタン(4.23g/cm)、アルミナ(3.95g/cm)、硫酸バリウム(4.5g/cm)、ステンレスフレーク(7.9g/cm)、グラフェン(2.0g/cm)。ただし、上記の値は代表値であり、各材料の製造元が公表している密度がある場合はその値を用いてもよい。
[評価例2:経時沈降]
容量200ccのビーカーに、各実施例および比較例により作製したグラフェン分散液をそれぞれ100cc入れ、室温で48時間静置した後、グラフェン分散液の上層部および下層部をスポイトで採取し、測定例1により固形分濃度を測定し、下層部における濃度に対する上層部における濃度の比(上層部濃度/下層部濃度)を算出した。濃度比が0.9以上であれば、経時沈降が無いと判断した。
[合成例1:酸化グラフェン分散液の作製方法]
1500メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間撹拌し、混合液の温度を20℃以下に保持した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃の水浴中で4時間撹拌し、その後イオン交換水500mlを入れて、得られた懸濁液を90℃でさらに15分間撹拌を行った。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間撹拌し、酸化グラフェン分散液を得た。得られた酸化グラフェン分散液を濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返し、吸引濾過により濃縮して酸化グラフェンウエットケーキを作製した。作製した酸化グラフェンウエットケーキの、測定例1により測定した固形分濃度は45重量%であった。得られた酸化グラフェンウエットケーキ11.1g(酸化グラフェン固形分5g)にイオン交換水988.9gを混合し、ディスパー撹拌機ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数4,000rpmで60分間撹拌して、酸化グラフェン濃度0.5重量%の酸化グラフェン分散液1,000gを得た。
[実施例1]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)4.5gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体54.5gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は11.0重量%のグラフェン分散体を得た。得られたグラフェン分散体に、固形分濃度が6.0重量%になるようにn-ブタノールを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌してグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は1.5重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)80gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液6.7g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
[実施例2]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程で添加する金属粒子を三津和化学薬品(株)製アルミニウム粉末(平均粒径44μm)に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例3]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程で添加する金属粒子を三津和化学薬品(株)製鉄粉末(平均粒径7μm)に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例4]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程の溶媒をキシレンに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例5]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤を混合しなかった以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例6]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をHUNTSMAN社製JEFFAMINE D-2000に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例7]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をフェニルエチルアミン塩酸塩に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例8]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をドーパミン塩酸塩に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例9]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をベンズアミドに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例10]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をトリプトファンに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例11]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をHUNTSMAN社製JEFFAMINE T-3000に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例12]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)0.6gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体50.6gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は4.2重量%のグラフェン分散体を得た。得られたグラフェン分散体に、固形分濃度が4.0重量%になるようにn-ブタノールを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌してグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は2.9重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)80gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液3.4g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
[実施例13]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)13.5gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体63.5gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は23.6重量%のグラフェン分散体を得た。得られたグラフェン分散体に、固形分濃度が9.0重量%になるようにn-ブタノールを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌してグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は0.9重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)80gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液11.1g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
[実施例14]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)1.5gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体51.5gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は8.1重量%のグラフェン分散体を得た。得られたグラフェン分散体に、固形分濃度が6.0重量%になるようにn-ブタノールを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌してグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は3.0重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)79.9gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液3.3g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
[実施例15]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)3.0gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体53.0gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は9.2重量%のグラフェン分散体を得た。得られたグラフェン分散体に、固形分濃度が6.0重量%になるようにn-ブタノールを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌してグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は2.0重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)79.8gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液5.0g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
[実施例16]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)9.0gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体59.0gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は14.1重量%のグラフェン分散体を得た。得られたグラフェン分散体に、固形分濃度が6.0重量%になるようにn-ブタノールを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌してグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は0.9重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)79.4gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液11.7g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
[実施例17]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をカテコールに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例18]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をHUNTSMAN社製JEFFAMINE D-2000に変え、グラフェン分散液の添加量を3.3g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.05重量%)に変え、組成物の作製において亜鉛粉末(平均10μm)の添加量を79.9gに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例19]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤をフェニルエチルアミン塩酸塩に変え、再分散工程の撹拌方法を、ローター/ステーター式シルバーソンミキサーL5M-Aで回転数10,000rpmに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例20]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程の撹拌方法を、ローター/ステーター式シルバーソンミキサーL5M-Aで回転数10,000rpmに変え、グラフェン分散液の添加量を3.3g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.05重量%)に変え、組成物の作製において亜鉛粉末(平均10μm)の添加量を79.9gに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例21]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程の撹拌方法を、ローター/ステーター式シルバーソンミキサーL5M-Aで回転数10,000rpmに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例22]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程の撹拌方法を、ローター/ステーター式シルバーソンミキサーL5M-Aで回転数10,000rpmに変え、グラフェン分散液の添加量を33.3g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.5重量%)に変え、組成物の作製において亜鉛粉末(平均10μm)の添加量を78.5gに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[実施例23]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程の撹拌方法を、ローター/ステーター式シルバーソンミキサーL5M-Aで回転数10,000rpmに変え、グラフェン分散液の添加量を100.0g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分1.5重量%)に変え、組成物の作製において亜鉛粉末(平均10μm)の添加量を75.5gに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[比較例1]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程の撹拌方法を回転数400rpmのマグネチックスターラーに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[比較例2]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程の撹拌方法を手撹拌に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる
[比較例3]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、表面処理剤混合工程で表面処理剤を混合せず、再分散工程の撹拌方法を回転数400rpmのマグネチックスターラーに変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
各実施例および比較例の主な製造方法と評価結果を表1~2に示す。
[比較例4]
実施例1のグラフェン分散液の作製において、再分散工程で添加する金属粒子を林純薬工業(株)製ニッケル粉末(平均粒径5μm)に変えた以外は同様にして、グラフェン分散液および組成物を作製した。得られたグラフェン分散液および組成物について、前述の方法により評価した結果を表2にまとめる。
[比較例5]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)4.5gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体54.5gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は11.0重量%のグラフェン分散体を得た。得られたグラフェン分散体に、固形分濃度が2.0重量%になるようにn-ブタノールを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌してグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は0.5重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)79.7gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液20.0g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
[比較例6]
(グラフェン分散液の作製方法)
表面処理剤混合工程:合成例1により作製した酸化グラフェン分散液1,000gに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=8.5に調整し、表面処理剤として東京化成工業(株)製1,4-フェニレンジアミン2.5gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで60分間撹拌した。
微細化工程:表面処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加した。
還元工程:微細化処理後の酸化グラフェン分散液に25.0gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を使用して、回転数4,000rpmで30分間撹拌して還元反応を行い、グラフェン分散液を得た。
濾過濃縮・再分散工程:得られたグラフェン分散液を、減圧吸引濾過器を用いて濾過し、グラフェン分散体を得た。測定例1により測定したグラフェン分散体のグラフェン固形分濃度は3.0重量%であった。得られたグラフェン分散体50.0gに林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)4.5gとn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、1回目の再分散を実施した。得られたグラフェン再分散液を濾過濃縮し、得られたグラフェン分散体54.5gにn-ブタノール300.0gを混合し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数5,000rpmで5分間撹拌し、2回目の再分散を実施した。得られた2回目の再分散液を濾過濃縮し、固形分濃度は11.0重量%のグラフェン分散液を得た。得られたグラフェン分散液のグラフェンのみの固形分濃度は2.8重量%であった。
得られたグラフェン分散液について、測定例2~7に記載の方法によりグラフェン分散液の物性を測定し、結果を表2に記載した。また、評価例1および2に記載の方法により、グラフェンペーストを評価し、その結果を表2に記載した。
(組成物の作製方法)
エポキシ樹脂としてDIC(株)製“エピクロン”(登録商標)1050(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450-500g/eq)8.2gを秤量し、18gのキシレンおよび2gのn-ブタノールを加え、90℃に加温して溶解させた後、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで20分間撹拌した。得られた溶液に、林純薬工業(株)製亜鉛粉末(平均粒径10μm)79.7gと、前述の方法により得られたグラフェン分散液3.6g(組成物中の固形総重量に対しグラフェン固形分0.1重量%)を添加し、ラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで30分間撹拌した。エポキシ樹脂硬化剤としてハリマ化成グループ株式会社製ニューマイド515(商品名)11.7g(ポリアミドアミン、活性水素当量185、固形分70重量%、固形重量8.2g)を添加し、ベントナイト3.5gを加えて、さらにラボ・リューションホモディスパー2.5型を用いて、回転数3,000rpmで10分間撹拌して均一化し、組成物を作製した。
得られた組成物について、測定例8~11に記載の方法により耐腐食性および耐久性を評価し、その結果を表2に記載した。
Figure 2024061629000001
Figure 2024061629000002

Claims (15)

  1. グラフェン、標準電極電位が-2.0V以上-0.3V以下である金属粒子、および有機溶媒を含有するグラフェン分散液であって、前記グラフェン分散液における前記グラフェンおよび前記金属粒子の合計固形分濃度が4重量%以上9重量%以下であり、B型粘度計で測定した回転数における3rpmでの粘度が1,000mPa・s以上10,000mPa・s以下であるグラフェン分散液。
  2. 前記金属粒子の含有量が、グラフェン重量比50重量%以上800重量%以下である、請求項1記載のグラフェン分散液。
  3. 前記グラフェンの平均アスペクト比が、100以上50,000以下である請求項2記載のグラフェン分散液。
  4. 前記金属粒子の平均粒径が、2μm以上30μm以下である請求項3記載のグラフェン分散液。
  5. 前記金属粒子が、亜鉛、アルミニウム、鉄のうちいずれかを含む、請求項4記載のグラフェン分散液。
  6. 前記グラフェンが、窒素を含む表面処理剤で修飾されている請求項5記載のグラフェン分散液。
  7. 前記グラフェンのX線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の元素の比(N/C比)が、0.005以上0.200以下である請求項6記載のグラフェン分散液。
  8. 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒および/またはアルコール系溶媒を含む請求項7記載のグラフェン分散液。
  9. 前記グラフェン分散液の、B型粘度計で測定した回転数3rpmでの粘度値を回転数10rpmでの粘度値で除した値が、1.1以上3.0以下である請求項8記載のグラフェン分散液。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載のグラフェン分散液と、硬化性樹脂および/またはその前駆体とを含む組成物。
  11. 前記組成物中の総固形分に対して、グラフェン含有量が0.01重量%以上5.0重量%以下である請求項10記載の組成物。
  12. 請求項10記載の組成物を、基材上に膜状に形成して得られる形成物。
  13. 前記基材が、金属である請求項12記載の形成物。
  14. 請求項11記載の組成物を、基材上に膜状に形成して得られる形成物。
  15. 前記基材が、金属である請求項14記載の形成物。
JP2023151914A 2022-10-20 2023-09-20 グラフェン分散液、組成物およびそれを用いた形成物 Pending JP2024061629A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022168186 2022-10-20
JP2022168186 2022-10-20

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024061629A true JP2024061629A (ja) 2024-05-07

Family

ID=90925813

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023151914A Pending JP2024061629A (ja) 2022-10-20 2023-09-20 グラフェン分散液、組成物およびそれを用いた形成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024061629A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI682896B (zh) 表面處理石墨烯及其製造方法、表面處理石墨烯/有機溶劑分散液及其製造方法、表面處理石墨烯 - 電極活性物質的複合體粒子及電極糊
KR101676218B1 (ko) 전기 전도성 기재의 코팅 방법 및 관련된 전착성 조성물
JP2015040211A (ja) グラフェン分散組成物およびカーボン含有樹脂積層体
KR102482030B1 (ko) 탄소 소재 분산용 잉크 조성물 및 그 제조방법
WO2011024800A1 (ja) 炭素フィラー用分散剤
Wang et al. Waterborne epoxy nanocoatings modified by nanoemulsions and nanoparticles
Fazli-Shokouhi et al. Epoxy-matrix polyaniline/p-phenylenediamine-functionalised graphene oxide coatings with dual anti-corrosion and anti-fouling performance
Liu et al. A facile approach to fabricating graphene/waterborne epoxy coatings with dual functionalities of barrier and corrosion inhibitor
JP2005336341A (ja) カーボンナノチューブ含有組成物、これからなる塗膜を有する複合体、及びそれらの製造方法
CN109181469A (zh) 石墨烯基-水性环氧树脂复合防腐涂层液的制备方法
CN107828309B (zh) 一种石墨烯防腐涂料使用的分散体及其制备方法
Alam et al. Anti-corrosive performance of epoxy coatings containing various nano-particles for splash zone applications
JP5919989B2 (ja) ポリイミド前駆体組成物、並びにそれを用いた電極合剤ペースト、電極および塗料
KR102145968B1 (ko) 전도성 세라믹 조성물을 이용한 도장방법
JP5326336B2 (ja) 導電体及びその製造方法
JP4947962B2 (ja) 導電性クリヤー用水性組成物およびその製造方法
WO2023074652A1 (ja) 組成物および塗料
EP3594968A1 (en) Conductive ceramic composition having excellent electrical conductivity
JP2024061629A (ja) グラフェン分散液、組成物およびそれを用いた形成物
Ghodrati et al. Modification and characterization of an Iranian montmorillonite as a corrosion/mechanical promoter for epoxy coatings
JP2023166330A (ja) グラフェン分散体、組成物およびそれを用いた形成物
Kim et al. Effects of the Concentration of Indium-tin-oxide (ITO) Ink on the Characteristics of Directly-printed ITO Thin Films
Stevens et al. Highly conductive graphene and polyelectrolyte multilayer thin films produced from aqueous suspension
JP2008127416A (ja) 複合被覆アルミニウム顔料及びその製造方法
JP2021095568A (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた硬化膜