JP2024061432A - 虚像表示装置および反射部材 - Google Patents

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Toshiyuki Yamamoto
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Abstract

【課題】表示の明るさの低下や視線移動時の色味の変化がなく、表示部に集光される外光を低減可能とする虚像表示装置および反射部材を提供する。【解決手段】虚像表示装置において、表示部から出射される一方の偏光、および表示部に向かう外光における一方の偏光を透過させる偏光板(150)と、反射型偏光板(131)の反射面側に設けられ、表示領域の一部の領域(1211)に対応する第1領域(1321)にて、一方の偏光と他方の偏光との間で偏光回転させると共に、全体の表示領域のうち、一部の領域以外の他の領域(1212)に対応する第2領域(1322)にて、一方の偏光を透過させる液晶層(132)と、液晶層の第1領域、および第2領域に対する電圧印加のオンあるいはオフを制御することで、第1領域における偏光回転、および第2領域における一方の偏光の透過を制御する液晶制御部(163)と、を備える。【選択図】図5

Description

本開示は、虚像表示装置および反射部材に関するものである。
虚像表示装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の虚像表示装置(ヘッドアップディスプレイ装置)は、表示器(液晶パネル)からの表示光をコールドミラー部で反射させて、車両のウインドシールド等の投影部材に投影させることで、運転者の前方(前景)に虚像を表示するようになっている。
コールドミラー部の表面には、光学多層膜が形成されており、表示光の反射率が相対的に低くなるように設定されている。よって、太陽光等の外光が虚像表示装置内に入射しても、コールドミラー部での反射が抑えられて、外光が表示器に到達することが抑制されるようになっている。つまり、外光による表示器の発熱が抑えられるようになっている。
特許第6593254号公報
しかしながら、コールドミラー部での反射率が相対的に低く設定されているため、表示にかかる明るさが低下する。明るさの低下を補うために、表示器の発光強度を高めると、消費する電力が増大してしまう。また、光学多層膜を有するコールドミラー部は、光の反射角度によって、反射率の特性が異なるため、運転者の眼の位置が移動した際に、表示の色味が変化してしまう。
本開示の目的は、上記問題に鑑み、表示の明るさの低下や視線移動時の色味の変化がなく、表示部に集光される外光を低減可能とする虚像表示装置および反射部材を提供することにある。
本開示は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
第1の開示では、画像(A)の表示に伴う光を出射する表示部(121)と、
光を反射させて、視認者の前方に位置する投影部材(10)に投影する反射部(130)と、
表示部の画像の表示状態を制御する表示制御部(161)と、を備え、
画像を投影部材の前方に虚像(20)として、視認者に表示する虚像表示装置であって、
光のS偏光とP偏光のうち、一方を一方の偏光(S)、他方を他方の偏光(P)としたとき、
表示部は、全体の表示領域のうち、一部の領域(1211)に画像を形成すると共に、全体の表示領域にて一方の偏光を出射し、
反射部は、一方の偏光を透過させ、他方の偏光を反射させる反射型偏光板(131)となっており、
表示部から出射される一方の偏光、および表示部に向かう外光における一方の偏光を透過させる偏光板(150)と、
反射部の反射面側に設けられ、一部の領域に対応する第1領域(1321)にて、一方の偏光と他方の偏光との間で偏光回転させると共に、全体の表示領域のうち、一部の領域以外の他の領域(1212)に対応する第2領域(1322)にて、一方の偏光を透過させる液晶層(132)と、
液晶層の第1領域、および第2領域に対する電圧印加のオンあるいはオフを制御することで、第1領域における偏光回転、および第2領域における一方の偏光の透過を制御する液晶制御部(163)と、を備える。
第1の開示によれば、表示部における一部の領域の光(画像の光)は、対応する液晶層の第1領域にて偏光回転され、一方の偏光から他方の偏光となる。そして、他方の偏光は、反射型偏光板で反射され、再び、液晶層で他方の偏光から一方の偏光に偏光回転され、出射される。一部の領域から出射される光は、光路途中の偏光板を透過する。よって、一部の領域の光は、表示部から一方の偏光として、反射部で反射して投影部材に至り、虚像として表示される。
表示部における一部の領域の光に対して、外光が逆方向に進入すると、外光の一方の偏光は、液晶層の第1領域にて偏光回転され、一方の偏光から他方の偏光となる。そして、他方の偏光は、反射型偏光板で反射され、再び、液晶層で他方の偏光から一方の偏光に偏光回転され、出射される。外光の一方の偏光は、光路途中の偏光板を透過する。よって、一部の領域に対応する外光の一方の偏光は、反射部(液晶層および反射型偏光板)で反射して一部の領域に至る。
一方、表示部における他の領域の光(画像なし)は、一方の偏光として、対応する液晶層の第2領域を透過し、更に反射型偏光板を透過する。
液晶層の第2領域から表示部の他の領域に向かう外光の一方の偏光は、液晶層を透過し、更に、反射型偏光板を透過する。外光の一方の偏光は、光路途中の偏光板を透過する。よって、第2領域(他の領域)に対応する外光の一方の偏光は、反射部(液晶層および反射型偏光板)で透過して、他の領域には至らない。
このように、表示部の一部の領域から出射される一方の偏光(画像の光)は、反射部で反射され投影部材に至り、逆方向の外光の一方の偏光は、一部の領域に至る。しかしながら、表示部の他の領域から出射される一方の偏光は、反射部(液晶層の第2領域および反射型偏光板)で透過される。更に、第2領域に向かう外光の一方の偏光も、反射部で透過され、表示部には至らないようにすることができる。よって、画像に対する表示の明るさの低下や視線移動時の色味の変化がなく、表示部に集光される外光を低減することができる。
第2の開示では、S偏光とP偏光のうち、一方の偏光を透過させる偏光板(150)が設けられた光路において、表示部(121)から出射される画像の表示に伴う光を反射させる反射部材であって、
一方の偏光を透過させ、S偏光とP偏光のうち他方の偏光を反射させる反射型偏光板(131)と、
反射型偏光板の反射面側に設けられ、電圧印加のオンあるいはオフの設定に応じて、表示部にて画像の形成される一部の領域(1211)に対応する第1領域(1321)にて、一方の偏光を他方の偏光に偏光回転させると共に、一部の領域以外の他の領域(1212)に対応する第2領域(1322)にて、一方の偏光を透過させる液晶層(132)と、を備える。
第2の開示における反射部材は、上記第1の開示の反射部に対応するものであって、上記第1の開示と同様の効果を奏することができる。
第1実施形態の虚像表示装置の全体構成を示す説明図である。 液晶ディスプレイにおける画像の例を示す説明図である。 液晶ディスプレイにおける一部の領域と他の領域を示す説明図である。 液晶層における第1領域と第2領域を示す説明図である。 第1実施形態の光の反射、透過を示す説明図である。 第2実施形態の光の反射、透過を示す説明図である。 第3実施形態の光の反射、透過を示す説明図である。 第4実施形態の光の反射、透過を示す説明図である。 第5実施形態の光の反射、透過を示す説明図である。 第6実施形態の光の反射、透過を示す説明図である。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態の虚像表示装置を、図1~図5に基づいて説明する。図1に示すように、虚像表示装置は、車両1の運転者前方の投影部材としてのウインドシールド10に、表示装置120(液晶ディスプレイ121)の画像Aを投影する装置である。
つまり、虚像表示装置は、表示装置120から出射される画像Aの表示に伴う光(図1、図5中の実線矢印)を、車両1のウインドシールド10の投射位置10aに投影させる。そして、虚像表示装置は、運転者(視認者)と投射位置10aとを結ぶ線の車両1の前方延長線上(ウインドシールド10の前方=前景)に、虚像20として重畳表示して、運転者に視認させるものとなっている。このような虚像表示装置を、ヘッドアップディスプレイ(Head‐Up Display)装置と呼び、以下、「HUD装置100A」と表記する。
HUD装置100Aは、本実施形態では、例えば、図2に示すように、液晶ディスプレイ121の表示面121aに、画像Aを表示して、その虚像20を運転者に視認させるようになっている。
尚、ウインドシールド10は、車両1のフロント側のシールドであり、例えば2枚のガラスと、その中間に設けられる中間膜とから形成された合わせガラスが使用されている。ウインドシールド10は、車両1の上方から見た場合、および車両1の側方から見た場合に、車両1の室内側が凹面となる曲率を有しており、凹面鏡と同一の効果により、表示像を拡大して、より遠方に表示できるようになっている。
HUD装置100Aは、筐体110、表示装置120、反射部130、凹面鏡140、偏光板150、および制御部160等を備えている。
筐体110は、表示装置120、反射部130、凹面鏡140、偏光板150、および制御部160等を内部に収容するケース部材であり、例えば、直方体を成している。制御部160は、筐体110の外部に設けられてもよい。筐体110の上側(ウインドシールド10側)には、表示装置120からの表示に伴う光が出射(通過)できるように、開口部111が形成されている。開口部111には、筐体110内への塵、埃等の侵入を防止する透光性の防塵シートが設けられている。筐体110は、車両1のインストルメントパネル内に配置されている。尚、インストルメントパネルの上面にも表示光が通過するためのインパネ開口部が形成されている。
表示装置120は、液晶ディスプレイ121、およびバックライト122等を有している。
液晶ディスプレイ121は、正面形状(表示面121a)が横長の長方形を成しており、バックライト122からの光によって透過照明されて、表示面121aの一部の領域1211に画像Aを表示するものであり、制御部160の表示制御部161によって駆動制御(画像処理)されるようになっている。液晶ディスプレイ121は、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor=TFT)が用いられたTFT液晶ディスプレイが使用されている。液晶ディスプレイ121は、本開示の表示部に対応する。
液晶ディスプレイ121は、図2、図3に示すように、表示面121a(全体の表示領域)に対して、一部の領域1211(ここでは、左下側領域)に、AR(Augmented Reality)表示を伴わない定形表示(非AR表示)の画像Aを表示するようになっている。画像Aは、例えば、車速値、シフトレバー位置、あるいは前方車両との車間距離等とすることができる。表示面121aの一部の領域1211の全体の表示領域に対する割合は、30%以下となっている。表示面121aの一部の領域1211以外の領域は、他の領域1212となっている。他の領域1212には、画像Aは表示されない。
尚、一部の領域1211の設定位置は、表示面121aの左下側領域に限定されない。また、一部の領域1211は、複数の位置に分割されていてもよい。
液晶ディスプレイ121の表示面121aには、偏光部が設けられている。偏光部は、バックライト122からの光のうち、例えば、表示面121aの長辺方向に振動する光を透過させて、反射部130側へ出射するようになっている。ここでは、長辺方向に振動する光を便宜上、S偏光(一方の偏光)と定義する。尚、表示面121aの短辺方向に振動する光は、S偏光に対して、振動方向が直交するP偏光(他方の偏光)と定義される。P偏光は、偏光部を透過しない。
バックライト122は、液晶ディスプレイ121の背面側(表示面121aの反対側)に配置されて、通電(電力供給)されることで発光して、液晶ディスプレイ121に対して画像表示のための光を照射する光源部となっている。バックライト122は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode=LED)が使用されている。発光ダイオードは、複数設けられて、格子状に配置されている。バックライト122は、表示制御部161によって、発光状態が制御されて、液晶ディスプレイ121に対する光軸に沿うように、光を照射する。
そして、液晶ディスプレイ121は、バックライト122から照射される光によって、一部の領域1211を通過して画像Aを表わす表示光、および他の領域1212を通過した光を、バックライト122とは反対側となる反射部130に向けて出射するようになっている。本実施形態では、液晶ディスプレイ121の表示面121aは、例えば、水平方向を向いており、また表示面121aの光軸が車両1の上下方向を向く(出射方向が車両1の上方側を向く)ように配置されている。
液晶ディスプレイ121は、上記のような複数種類の表示情報(車速値、シフトレバー位置、前方車両との車間距離等)を、1つずつ、あるいは、複数組み合わせて、表示面121aに形成できるようになっている。運転者は表示切替えスイッチにより、表示情報をいずれにするか、選択できるようになっている。
反射部130は、反射面が平面を成しており、反射面は、液晶ディスプレイ121および凹面鏡140に向き合うように配置されている。反射部130は、反射型偏光板131と、液晶層132とを有している。反射部130は、本開示の反射部材にも対応する。
反射型偏光板131は、液晶ディスプレイ121から出射されるS偏光(一方の偏光)を透過させると共に、P偏光(他方の偏光)を反射させるようになっている。
液晶層132は、内部に液晶が封入された板状部材であり、反射型偏光板131(反射部130)の反射面側に設けられている。液晶層132は、図4、図5に示すように、液晶ディスプレイ121の一部の領域1211に対応する第1領域1321と、他の領域1212に対応する第2領域1322とを有している。
第1領域1321、および第2領域1322は、内部の液晶に対する電圧印加のオン、あるいはオフに応じて液晶の姿勢が変更されて、回転偏光、あるいはS偏光(一方の偏光)の透過を行うようになっている。
ここでは、図5に示すように、第1領域1321が電圧印加オフのとき、第1領域1321は、S偏光とP偏光との間で偏光回転するようになっている。偏光回転は、S偏光をP偏光にする、あるいはP偏光をS偏光にする。また、第2領域1322が電圧印加オンのとき、第2領域1322は、S偏光を透過させるようになっている。
凹面鏡140は、反射部130(第1領域1321)からの反射像(画像A)を拡大する鏡であり、凹面鏡140の反射面は、反射部130およびウインドシールド10の投射位置10aに向き合うように配置されている。凹面鏡140は、液晶ディスプレイ121(一部の領域1211)から出射されて、反射部130で反射された画像Aの表示光を、筐体110の開口部111を通して、ウインドシールド10の投射位置10aに反射させるようになっている。
尚、凹面鏡140は、軸部によって支持されて回動可能となっており、図1に示す凹面鏡140の傾斜角度が運転者、あるいは表示制御部161によって調整されるようになっている。凹面鏡140の傾斜角度が調整されることで、体格の異なる運転者に対して、個々に、投射位置10aをずらして、好適な位置で表示像が視認できるようになっている。
偏光板150は、液晶ディスプレイ121から出射されるS偏光(一方の偏光)、および外部から液晶ディスプレイ121に向かう太陽光等の外光(無偏光)におけるS偏光(一方の偏光)を透過させる部材となっている。ここでは、偏光板150は、反射部130と、凹面鏡140との間に配置されている。偏光板150は、反射部130(液晶層132)から離れて配置されている。
制御部160は、表示制御部161、表示エリア判定部162、および液晶制御部163等を有している。表示制御部161は、液晶ディスプレイ121の画像処理にかかる制御(表示状態の制御)、表示情報の選択、および凹面鏡140の角度制御等を行う。加えて、本実施形態では、液晶制御部163は、表示エリア判定部162による表示領域(一部の領域1211)の位置判定に応じて、液晶層132における電圧印加のオンオフを制御する(詳細後述)。
HUD装置100Aは、上記のように構成されている。以下、主に図5を用いて、HUD装置100Aの作動、および作用効果について説明する。
HUD装置100Aがオンされると、表示制御部161は、運転者の操作する表示切替スイッチの入力信号に応じて、表示すべき画像A(表示情報)を決定して、駆動回路を介して液晶ディスプレイ121に画像Aを形成させる(画像処理する)。ここでは、液晶ディスプレイ121の表示面121aの左下側領域(一部の領域1211)に、速度値を示す画像A(図2)が形成される。
また、表示エリア判定部162は、表示制御部161によって形成された画像Aの領域(一部の領域1211)が、全体の表示領域の中のどこなのかという情報を、液晶制御部163に出力する。
液晶制御部163は、一部の領域1211の情報を基に、反射部130の液晶層132において、一部の領域1211に対応する第1領域1321について、電圧印加オフとし、他の領域1212に対応する第2領域1322について、電圧印加オンとする。第1領域1321では、表示光の偏光回転が可能となり、第2領域1322では、S偏光の透過が可能となる。
液晶ディスプレイ121の一部の領域1211から出射される画像Aの表示光、および他の領域1212から出射される光は、表示面121aの偏光部にてS偏光とされ、反射部130の液晶層132へ向かう。
一部の領域1211から出射された画像Aの表示光は、液晶層132の第1領域1321で、S偏光からP偏光に偏光回転されて、偏光回転されたP偏光は反射型偏光板131で反射して、再び、液晶層132の第1領域1321に向かう。そして、P偏光は、液晶層132で、P偏光からS偏光に偏光回転される。よって、第1領域1321では、電圧印加オフの条件で、画像Aの表示光が反射されて、偏光板150側に出射される。このとき、出射される画像Aの表示光はS偏光であり、偏光板150を透過して、凹面鏡140に至る。
更に、凹面鏡140は、画像Aの表示光を、開口部111を通して、ウインドシールド10の投射位置10aに反射させる。投射位置10aに反射された表示光(画像A)は、運転者と投射位置10aとを結ぶ線の車両1の前方延長線上(運転者の視野前方)に虚像20として表示(結像)されて、運転者に視認されることになる。
また、他の領域1212から出射される光は、液晶層132の第2領域1322に至る。第2領域1322は、電圧印加オンによって、S偏光を透過させるようになっており、また、反射型偏光板131もS偏光を透過させるようになっているので、他の領域1212から出射される光は、反射部130を透過する。よって、他の領域1212から出射される光は、凹面鏡140側には出射されない。
一方、HUD装置100Aの外部から、画像Aの表示光とは逆方向に進入する太陽光等の外光(図1、図5中の破線矢印)があると、凹面鏡140で反射し、外光(無偏光)のS偏光が偏光板150を透過する。
偏光板150を透過したS偏光のうち、液晶層132の第1領域1321に至る外光は、S偏光からP偏光に偏光回転されて、偏光回転されたP偏光は反射型偏光板131で反射して、再び、液晶層132の第1領域1321に向かう。そして、P偏光は、液晶層132で、P偏光からS偏光に偏光回転される。そして、このS偏光が液晶ディスプレイ121の一部の領域1211に至ることになる。
しかしながら、偏光板150を透過したS偏光のうち、液晶層132の第2領域1322に至る外光は、第2領域1322、更に反射型偏光板131を透過する。よって、外光は、液晶ディスプレイ121の他の領域1212には、至らない。
以上のように、本実施形態では、液晶ディスプレイ121の一部の領域1211から出射される表示光のS偏光(一方の偏光)は、反射部130で反射されウインドシールド10に至り、逆方向の外光のS偏光(一方の偏光)は、一部の領域1211に至る。しかしながら、液晶ディスプレイ121の他の領域1212から出射される光のS偏光(一方の偏光)は、反射部130(液晶層132の第2領域1322および反射型偏光板131)で透過される。更に、第2領域1322に向かう外光のS偏光(一方の偏光)も、反射部130で透過され、液晶ディスプレイ121には至らないようにすることができる。よって、画像Aに対する表示の明るさの低下や視線移動時の色味の変化がなく、液晶ディスプレイ121に集光される外光を低減することができる。
また、S偏光(一方の偏光)の振動方向を横長の長方形の液晶ディスプレイ121の長辺方向とすることで、表示光を効率よく使用して、虚像20として表示することができる。
また、液晶ディスプレイ121の全体の表示領域に対する一部の領域1211の割合を、30%以下に設定することで、液晶ディスプレイ121に対する外光の影響を確実に抑えることができる。
昨今の虚像表示装置は、拡大率が大きくなっているので、吸収型の偏光板150を反射部130に配置、もしくは貼合すると、光の吸収発熱によって液晶層132が駆動しなくなるおそれがある。しかしながら、本実施形態のように、偏光板150を反射部130(液晶層132)から離して配置することで、光の吸収発熱により液晶層132が駆動しなくなることを抑制することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のHUD装置100Bを図6に示す。第2実施形態のHUD装置100Bは、上記第1実施形態のHUD装置100Aに対して、偏光板150の設定位置を変更したものである。偏光板150は、液晶ディスプレイ121と、反射部130との間で、液晶ディスプレイ121と並行となるように配置されている。偏光板150は、反射部130(液晶層132)から離れて配置されている。
液晶ディスプレイ121から出射される表示光、および光の挙動は、第1実施形態のHUD装置100Aと同じである。
一方、液晶層132の第1領域1321に至る外光(無偏光)のP偏光は、電圧印加オフによって、液晶層132で偏光回転(P→S)され、S偏光として反射型偏光板131透過する。また、液晶層132の第1領域1321に至る外光のS偏光は、電圧印加オフによって、液晶層132で偏光回転(S→P)され、P偏光として反射型偏光板131で反射して、再び、液晶層132で偏光回転(P→S)され、S偏光として偏光板150を透過して液晶ディスプレイ121に至る。
また、液晶層132の第2領域1322に至る外光のS偏光は、電圧印加オンによって、液晶層132、および反射型偏光板131を透過する。また、液晶層132の第2領域1322に至る外光のP偏光は、電圧印加オンによって、液晶層132を透過し、反射型偏光板131で反射し、再び、液晶層132を透過し、P偏光として偏光板150に至る。偏光板150では、P偏光は透過されず、外光のP偏光は、液晶ディスプレイ121には至らない。
これにより、液晶ディスプレイ121からの光、および外光の挙動は、上記第1実施形態と同じようになり、外光の影響を抑制することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のHUD装置100Cを図7に示す。第3実施形態のHUD装置100Cは、上記第1実施形態のHUD装置100Aに対して、偏光板150の設定位置を変更したものである。偏光板150は、反射部130(液晶層132)の表面に配置されている。
本実施形態は、光路において、液晶ディスプレイ121、反射部130、および偏光板150の並び順は同じであり、上記第1実施形態と同様の作用、および効果を得ることができる。
また、偏光板150が反射部130(液晶層132)の表面に設けられるので、省スペースで偏光板150を設けることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態のHUD装置100Dを図8に示す。第4実施形態のHUD装置100Dは、上記第1実施形態のHUD装置100Aに対して、液晶層132において、第1領域1321にて、電圧印加オンすることで、回転偏光を可能とし、第2領域1322にて、電圧印加オフすることで、S偏光の透過を行うようにしたものである。
本実施形態では、電圧印加オンとする領域が上記第1実施形態と異なるが、光路における表示光、外光の挙動は同じであり、上記第1実施形態と同様の作用、および効果を得ることができる。
また、電圧印加オンとする領域を、他の領域1212よりも小さい一部の領域1211に対応する第1領域1321として、偏光回転するようにしており、上記第1実施形態に対して、電圧印加オンとする領域を小さくすることができるので、消費電力を低減することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態のHUD装置100Eを図9に示す。第5実施形態のHUD装置100Eは、上記第4実施形態のHUD装置100Dに対して、偏光板150の設定位置を変更したものである。偏光板150は、液晶ディスプレイ121と、反射部130との間で、液晶ディスプレイ121と並行となるように配置されている。偏光板150は、反射部130(液晶層132)から離れて配置されている。
液晶ディスプレイ121から出射される表示光、および光の挙動は、第4実施形態のHUD装置100Dと同じである。
一方、液晶層132の第1領域1321に至る外光(無偏光)のP偏光は、電圧印加オンによって、液晶層132で偏光回転(P→S)され、S偏光として反射型偏光板131透過する。また、液晶層132の第1領域1321に至る外光のS偏光は、電圧印加オンによって、液晶層132で偏光回転(S→P)され、P偏光として反射型偏光板131で反射して、再び、液晶層132で偏光回転(P→S)され、S偏光として偏光板150を透過して液晶ディスプレイ121に至る。
また、液晶層132の第2領域1322に至る外光のS偏光は、電圧印加オフによって、液晶層132、および反射型偏光板131を透過する。また、液晶層132の第2領域1322に至る外光のP偏光は、電圧印加オフによって、液晶層132を透過し、反射型偏光板131で反射し、再び、液晶層132を透過し、P偏光として偏光板150に至る。偏光板150では、P偏光は透過されず、外光のP偏光は、液晶ディスプレイ121には至らない。
これにより、液晶ディスプレイ121からの光、および外光の挙動は、上記第4実施形態と同じようになり、外光の影響を抑制することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態のHUD装置100Fを図10に示す。第6実施形態のHUD装置100Fは、上記第4実施形態のHUD装置100Dに対して、偏光板150の設定位置を変更したものである。偏光板150は、反射部130(液晶層132)の表面に配置されている。
本実施形態は、光路において、液晶ディスプレイ121、反射部130、および偏光板150の並び順は同じであり、上記第4実施形態と同様の作用、および効果を得ることができる。
また、偏光板150が反射部130(液晶層132)の表面に設けられるので、省スペースで偏光板150を設けることができる。
(その他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、更に請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
また、上記各実施形態では、一方の偏光をS偏光、他方の偏光をP偏光として説明したが、S偏光とP偏光との設定を逆にしてもよい。
また、上記各実施形態では、液晶ディスプレイ121(表示装置120)から出射される表示光の投影部材として、車両1のウインドシールド10としたが、これに限らず、HUD装置100A~100Fに専用に設けられるコンバイナ等としてもよい。
また、上記各実施形態では、表示装置120として、液晶ディスプレイ121(TFT液晶ディスプレイ)を用いるものとして説明したが、これに代えて、有機ELディスプレイ等の他の型式のディスプレイを用いたものとしてもよい。
また、上記各実施形態では、反射部130と凹面鏡140とを有するものとしたが、例えば、凹面鏡140を廃止して、反射部130から光がウインドシールド10の投射位置10aに至るようにしてもよい。
10 ウインドシールド(投影部材)
20 虚像
100A~100F ヘッドアップディスプレイ装置(虚像表示装置)
121 液晶ディスプレイ(表示部)
1211 一部の領域
1212 他の領域
131 反射型偏光板
132 液晶層
1321 第1領域
1322 第2領域
150 偏光板
161 表示制御部
163 液晶制御部

Claims (6)

  1. 画像(A)の表示に伴う光を出射する表示部(121)と、
    前記光を反射させて、視認者の前方に位置する投影部材(10)に投影する反射部(130)と、
    前記表示部の前記画像の表示状態を制御する表示制御部(161)と、を備え、
    前記画像を前記投影部材の前方に虚像(20)として、前記視認者に表示する虚像表示装置であって、
    前記光のS偏光とP偏光のうち、一方を一方の偏光(S)、他方を他方の偏光(P)としたとき、
    前記表示部は、全体の表示領域のうち、一部の領域(1211)に前記画像を形成すると共に、全体の前記表示領域にて前記一方の偏光を出射し、
    前記反射部は、前記一方の偏光を透過させ、前記他方の偏光を反射させる反射型偏光板(131)となっており、
    前記表示部から出射される前記一方の偏光、および前記表示部に向かう外光における前記一方の偏光を透過させる偏光板(150)と、
    前記反射部の反射面側に設けられ、前記一部の領域に対応する第1領域(1321)にて、前記一方の偏光と前記他方の偏光との間で偏光回転させると共に、全体の前記表示領域のうち、前記一部の領域以外の他の領域(1212)に対応する第2領域(1322)にて、前記一方の偏光を透過させる液晶層(132)と、
    前記液晶層の前記第1領域、および前記第2領域に対する電圧印加のオンあるいはオフを制御することで、前記第1領域における前記偏光回転、および前記第2領域における前記一方の偏光の透過を制御する液晶制御部(163)と、を備える虚像表示装置。
  2. 前記表示部の正面形状は、横長の長方形となっており、
    前記一方の偏光の振動方向は、前記長方形の長辺方向に設定された請求項1に記載の虚像表示装置。
  3. 前記表示部の全体の前記表示領域に対する前記一部の領域の割合は、30%以下に設定された請求項1に記載の虚像表示装置。
  4. 前記液晶制御部は、前記第1領域に対して電圧印加オンにして、前記第1領域において前記偏光回転させる請求項3に記載の虚像表示装置。
  5. 前記偏光板は、前記液晶層の表面に設けられた請求項1に記載の虚像表示装置。
  6. S偏光とP偏光のうち、一方の偏光を透過させる偏光板(150)が設けられた光路において、表示部(121)から出射される画像の表示に伴う光を反射させる反射部材であって、
    前記一方の偏光を透過させ、前記S偏光と前記P偏光のうち他方の偏光を反射させる反射型偏光板(131)と、
    前記反射型偏光板の反射面側に設けられ、電圧印加のオンあるいはオフの設定に応じて、前記表示部にて前記画像の形成される一部の領域(1211)に対応する第1領域(1321)にて、前記一方の偏光を前記他方の偏光に偏光回転させると共に、前記一部の領域以外の他の領域(1212)に対応する第2領域(1322)にて、前記一方の偏光を透過させる液晶層(132)と、を備える反射部材。
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