JP2024060852A - 電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置 - Google Patents

電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が高い電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置を提供する。【解決手段】電気化学セル装置は、第1方向に延びる第1流路と、第1方向に交差する第2方向に延びる少なくとも2つの第2流路と、素子部とを備える。第2流路は、第1方向に並ぶ。素子部は、第1流路と第2流路との間に位置する。第1流路の下流側に位置する第2流路は、第1流路の上流側に位置する第2流路よりも断面積が大きい。【選択図】図7A

Description

本開示は、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置に関する。
近年、次世代エネルギーとして、燃料電池セルまたは電解セルを複数有する電気化学セル装置が種々提案されている。たとえば、電気化学セルの一種である電解セルは、外部から供給された電力と水蒸気とを用いて水素ガスと酸素ガスとを発生させる、または二酸化炭素を用いて一酸化炭素と酸素とを発生させることができる。
特開2021-180164号公報 特開2015-220022号公報
しかしながら、従来の電気化学セル装置では、たとえば、電解時の温度にばらつきが生じる場合があり、耐久性に改善の余地があった。
実施形態の一態様は、耐久性が高い電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る電気化学セル装置は、第1方向に延びる第1流路と、前記第1方向に交差する第2方向に延びる少なくとも2つの第2流路と、素子部とを備える。第2流路は、前記第1方向に並ぶ。素子部は、前記第1流路と前記第2流路との間に位置する。前記第1流路の下流側に位置する第2流路は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路よりも断面積が大きい。
実施形態の一態様に係る電気化学セル装置は、第1方向に延びる第1流路と、前記第1方向に交差する第2方向に延びる少なくとも2つの第2流路と、素子部とを備える。第2流路は、前記第1方向に並ぶ。素子部は、前記第1流路と前記第2流路との間に位置する。前記第1流路の下流側に位置する第2流路と前記素子部との接触面積は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路と前記素子部との接触面積よりも大きい。
実施形態の一態様に係る電気化学セル装置は、第1方向に延びる第1流路と、前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2流路と、素子部とを備える。素子部は、前記第1流路と前記第2流路との間に位置する。前記第1流路の下流側に位置する第2流路の部分を流れるガスの流量は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路の部分を流れるガスの流量よりも大きい。
また、本開示のモジュールは、上記に記載の電気化学セル装置と、前記電気化学セル装置を収納する収納容器とを備える。
また、本開示のモジュール収容装置は、上記に記載のモジュールと、前記モジュールの運転を行うための補機と、前記モジュールおよび前記補機を収容する外装ケースとを備える。
実施形態の一態様によれば、耐久性が高い電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置が提供可能となる。
図1Aは、第1の実施形態に係る電気化学セルの一例を示す横断面図である。 図1Bは、第1の実施形態に係る電気化学セルの一例を酸素極側からみた側面図である。 図1Cは、第1の実施形態に係る電気化学セルの一例をインターコネクタ側からみた側面図である。 図2Aは、第1の実施形態に係る電気化学セル装置の一例を示す斜視図である。 図2Bは、図2Aに示すX-X線の断面図である。 図2Cは、第1の実施形態に係る電気化学セル装置の一例を示す上面図である。 図3Aは、第1の実施形態に係る電気化学セル装置を拡大した断面図である。 図3Bは、図3Aに示す電気化学セル装置が有する電気化学セルを厚み方向に平面視した図である。 図4は、第1の実施形態に係るモジュール収容装置の一例を概略的に示す分解斜視図である。 図5は、第2の実施形態に係る電気化学セルの一例を示す斜視図である。 図6は、図5に示す電気化学セルが有する第1流路の一例を示す断面図である。 図7Aは、図5に示す電気化学セルが有する第2流路の一例を示す断面図である。 図7Bは、図5に示す電気化学セルが有する第2流路の他の一例を示す断面図である。 図7Cは、図5に示す電気化学セルが有する第2流路の他の一例を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの開示が限定されるものではない。
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係、比率などが異なる部分が含まれている場合がある。
[第1の実施形態]
<電気化学セル>
まず、図1A~図1Cを参照しながら、第1の実施形態に係る電気化学セル装置を構成する電気化学セルとして、固体酸化物形の電解セルの例を用いて説明する。電気化学セル装置は、複数の電気化学セルを有するセルスタックを備えていてもよい。複数の電気化学セルを有する電気化学セル装置を、単にセルスタック装置と称する。
図1Aは、実施形態に係る電気化学セルの一例を示す横断面図であり、図1Bは、実施形態に係る電気化学セルの一例を酸素極側からみた側面図であり、図1Cは、実施形態に係る電気化学セルの一例をインターコネクタ側からみた側面図である。なお、図1A~図1Cは、電気化学セルの各構成の一部を拡大して示している。以下、電気化学セルを単にセルという場合もある。
図1A~図1Cに示す例において、セル1は中空平板型で、細長い板状である。図1Bに示すように、セル1の全体を側面から見た形状は、たとえば、長さ方向Lの辺の長さが5cm~50cmで、この長さ方向Lに直交する幅方向Wの長さが、たとえば1cm~10cmの長方形である。このセル1の全体の厚み方向Tの厚さは、たとえば1mm~5mmである。
図1Aに示すように、セル1は、導電性の支持基板2と、素子部3と、インターコネクタ4とを備えている。支持基板2は、一対の対向する平坦面n1、n2、およびかかる平坦面n1、n2を接続する一対の円弧状の側面mを有する柱状である。
素子部3は、支持基板2の平坦面n1上に設けられている。かかる素子部3は、水素極層5と、固体電解質層6と、酸素極層8とを有している。また、図1Aに示す例では、セル1の平坦面n2上にインターコネクタ4が位置している。なお、セル1は、固体電解質層6と酸素極層8との間に中間層7を備えていてもよい。
また、図1Bに示すように、酸素極層8はセル1の下端まで延びていない。セル1の下端部では、固体電解質層6のみが平坦面n1の表面に露出している。また、図1Cに示すように、インターコネクタ4がセル1の下端まで延びていてもよい。セル1の下端部では、インターコネクタ4および固体電解質層6が表面に露出している。なお、図1Aに示すように、セル1の一対の円弧状の側面mにおける表面では、固体電解質層6が露出している。インターコネクタ4は、セル1の下端まで延びていなくてもよい。
以下、セル1を構成する各構成部材について説明する。
支持基板2は、ガスが流れるガス流路2aを内部に有している。図1Aに示す支持基板2の例は、6つのガス流路2aを有している。ガス流路2aは、第1流路の一例である。支持基板2は、ガス透過性を有し、水素極層5で生成した水素ガスをガス流路2aまで透過させる。支持基板2は、導電性を有していてもよい。導電性を有する支持基板2は、インターコネクタ4と素子部3とを電気的に接続する。
支持基板2の材料は、たとえば、鉄族金属成分および無機酸化物を含む。鉄族金属成分は、たとえば、Ni(ニッケル)および/またはNiOであってもよい。無機酸化物は、たとえば、特定の希土類元素酸化物であってもよい。希土類元素酸化物は、たとえば、Sc、Y、La、Nd、Sm、Gd、DyおよびYbから選択される1以上の希土類元素を含んでよい。
水素極層5の材料には、一般的に公知のものを使用することができる。水素極層5は、多孔質の導電性セラミックス、たとえば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrOと、Niおよび/またはNiOとを含むセラミックスなどを用いてもよい。この希土類元素酸化物は、たとえば、Sc、Y、La、Nd、Sm、Gd、DyおよびYbから選択される複数の希土類元素を含んでもよい。酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrOを安定化ジルコニアと称する場合もある。安定化ジルコニアは、部分安定化ジルコニアも含む。
固体電解質層6は、電解質であり、水素極層5と酸素極層8との間でイオンの受け渡しをする。同時に、固体電解質層6は、ガス遮断性を有し、水素含有ガスと酸素含有ガスとのリークを生じにくくする。
固体電解質層6の材料は、たとえば、3モル%~15モル%の希土類元素酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウムが固溶したZrOであってもよい。希土類元素酸化物は、たとえば、Sc、Y、La、Nd、Sm、Gd、DyおよびYbから選択される1以上の希土類元素を含んでよい。固体電解質層6は、たとえば、La、Nd、Sm、GdまたはYbが固溶したCeOを含んでもよく、ScまたはYbが固溶したBaZrOを含んでもよく、ScまたはYbが固溶したBaCeOを含んでもよい。
酸素極層8は、ガス透過性を有している。酸素極層8の開気孔率は、たとえば20%~50%、特に30%~50%の範囲であってもよい。
酸素極層8の材料は、一般的に酸素極に用いられるものであれば特に制限はない。酸素極層8の材料は、たとえば、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物など導電性セラミックスでもよい。
酸素極層8の材料は、たとえば、AサイトにSr(ストロンチウム)とLa(ランタン)が共存する複合酸化物であってもよい。このような複合酸化物の例としては、LaSr1-xCoFe1-y、LaSr1-xMnO、LaSr1-xFeO、LaSr1-xCoOなどが挙げられる。なお、xは0<x<1、yは0<y<1である。
また、素子部3が中間層7を有する場合、中間層7は、拡散抑制層としての機能を有する。酸素極層8に含まれるSr(ストロンチウム)などの元素が固体電解質層6に拡散すると、かかる固体電解質層6にたとえばSrZrOなどの抵抗層が形成される。中間層7は、Srを拡散させにくくすることで、SrZrOその他の電気絶縁性を有する酸化物が形成されにくくする。
中間層7の材料は、一般的に酸素極層8と固体電解質層6との間の元素の拡散抑制層に用いられるものであれば特に制限はない。中間層7の材料は、たとえば、Ce(セリウム)を除く希土類元素が固溶した酸化セリウム(CeO)を含んでもよい。かかる希土類元素としては、たとえば、Gd(ガドリニウム)、Sm(サマリウム)などを用いてもよい。
また、インターコネクタ4は、緻密質であり、支持基板2の内部に位置するガス流路2aを流通する水素含有ガス、および支持基板2の外側を流通する酸素含有ガスのリークを生じにくくする。インターコネクタ4は、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していてもよい。
インターコネクタ4の材料には、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)、ランタンストロンチウムチタン系のペロブスカイト型酸化物(LaSrTiO系酸化物)などを用いてもよい。これらの材料は、導電性を有し、かつ水素含有ガスおよび空気などの酸素含有ガスと接触しても還元も酸化もされにくい。また、インターコネクタ4の材料として金属または合金を用いてもよい。
<電気化学セル装置>
次に、上述したセル1を用いた本実施形態に係る電気化学セル装置について、図2A~図2Cを参照しながら説明する。図2Aは、第1の実施形態に係る電気化学セル装置の一例を示す斜視図であり、図2Bは、図2Aに示すX-X線の断面図であり、図2Cは、第1の実施形態に係る電気化学セル装置の一例を示す上面図である。
図2Aに示すように、セルスタック装置10は、セル1の厚み方向T(図1A参照)に配列(積層)された複数のセル1を有するセルスタック11と、固定部材12とを備える。
固定部材12は、固定材13と、支持部材14とを有する。支持部材14は、セル1を支持する。固定材13は、セル1を支持部材14に固定する。また、支持部材14は、支持体15と、タンク16とを有する。支持部材14である支持体15およびタンク16は、たとえば金属製であり導電性を有している。
図2Bに示すように、支持体15は、複数のセル1の下端部が挿入される挿入孔15aを有している。複数のセル1の下端部と挿入孔15aの内壁とは、固定材13で接合されている。
タンク16は、挿入孔15aを通じて複数のセル1に水蒸気を供給する開口部と、かかる開口部の周囲に位置する凹溝16aとを有する。支持体15の外周の端部は、タンク16の凹溝16aに充填された接合材21によって、タンク16と接合されている。
図2Aに示す例では、支持部材14である支持体15とタンク16とで形成される内部空間22を有している。タンク16には流通管20が接続されている。水蒸気または水は、この流通管20を通してタンク16に供給され、タンク16からセル1の内部のガス流路2a(図1A参照)には水蒸気が供給される。
図2Aに示す例では、2列のセルスタック11、支持部材14、2つの支持体15、およびタンク16を備えている。2列のセルスタック11はそれぞれ、複数のセル1を有する。各セルスタック11は、各支持体15に固定されている。タンク16は上面に2つの貫通孔を有している。各貫通孔には、各支持体15が配置されている。内部空間22は、1つのタンク16と、2つの支持体15とで形成される。図2Aでは、2列のセルスタック11を有するセルスタック装置10を示したが、電気化学セル装置は1列のセルスタック11を有してもよいし、3列以上のセルスタック11を有してもよい。
挿入孔15aの形状は、たとえば、上面視で長円形状である。挿入孔15aは、たとえば、セル1の配列方向すなわち厚み方向Tの長さが、セルスタック11の両端に位置する2つの端部集電部材17の間の距離よりも大きい。挿入孔15aの幅は、たとえば、セル1の幅方向W(図1A参照)の長さよりも大きい。
図2Bに示すように、挿入孔15aの内壁とセル1の下端部との接合部は、固定材13が充填され、固化されている。これにより、挿入孔15aの内壁と複数のセル1の下端部とがそれぞれ接合・固定され、また、セル1の下端部同士が接合・固定されている。各セル1のガス流路2aは、下端部で支持部材14の内部空間22と連通している。
固定材13および接合材21は、ガラスなどの導電性が低いものを用いることができる。固定材13および接合材21の具体的な材料としては、非晶質ガラスなどを用いてもよく、特に結晶化ガラスなどを用いてもよい。
結晶化ガラスとしては、たとえば、SiO-CaO系、MgO-B系、La-B-MgO系、La-B-ZnO系、SiO-CaO-ZnO系などの材料のいずれかを用いてもよく、特にSiO-MgO系の材料を用いてもよい。
また、図2Bに示すように、複数のセル1のうち隣接するセル1の間には、導電部材18が介在している。導電部材18は、隣接する一方のセル1の水素極層5と他方のセル1の酸素極層8とを電気的に直列に接続する。より具体的には、導電部材18は、隣接する一方のセル1の水素極層5と電気的に接続されたインターコネクタ4と、他方のセル1の酸素極層8とを接続している。インターコネクタ4が金属または合金である場合、インターコネクタ4と導電部材18とが一体化していてもよいし、導電部材18がインターコネクタ4を兼ねてもよい。
また、図2Bに示すように、複数のセル1の配列方向における最も外側に位置するセル1に、端部集電部材17が電気的に接続されている。端部集電部材17は、セルスタック11の外側に突出する導電部19に接続されている。導電部19は、セル1の発電により生じた電気を集電して外部に引き出す。なお、図2Aでは、端部集電部材17の図示を省略している。
また、図2Cに示すように、セルスタック装置10は、2つのセルスタック11A、11Bが直列に接続され、一つの電解セルとして機能する。そのため、セルスタック装置10の導電部19は、陽極端子19Aと、陰極端子19Bと、接続端子19Cとに区別される。
陽極端子19Aは、セルスタック11の外部から電力を入力する場合の陽極であり、セルスタック11Aにおける陽極側の端部集電部材17に電気的に接続される。陰極端子19Bは、セルスタック11の外部から電力を入力する場合の陰極であり、セルスタック11Bにおける陰極側の端部集電部材17に電気的に接続される。
接続端子19Cは、セルスタック11Aにおける陰極側の端部集電部材17と、セルスタック11Bにおける陽極側の端部集電部材17とを電気的に接続する。
なお、セル1の内部で発生した水素ガスは、ガス流路2aを介してセル1から排出される。セルスタック11を挟んでタンク16の反対側には、不図示のガスタンクが設けられてもよい。かかるガスタンクには、セル1から排出された水素含有ガスが貯留される。
つづいて、本実施形態に係る電気化学セル装置の詳細について、図3A、図3Bを参照しながらさらに説明する。図3Aは、第1の実施形態に係る電気化学セル装置を拡大した断面図である。図3Bは、図3Aに示す電気化学セル装置が有する電気化学セルを厚み方向に平面視した図である。図3Aに示す電気化学セル装置は、図2Bに示すセルスタック装置10が有するセルスタック11を拡大視したものに相当する。なお、図3A、図3Bでは、たとえばセル1、導電部材18などを単純化して図示している。また、後述する他の図面でも、構成要素を単純化して図示する場合がある。
図3Aに示すように、セル1は、第1流路としてのガス流路2aを有している。ガス流路2aは、供給口2a1と排出口2a2とを有する。供給口2a1には、内部空間22内に貯留された水蒸気が供給される。排出口2a2からは、セル1の素子部3で発生した水素を含む水素含有ガスが排出される。供給口2a1から排出口2a2に向かう方向を第1方向とする。また、ガス流路2aのうち、供給口2a1に近い部分を第1流路の上流側、排出口2a2に近い部分を第1流路の下流側と称する。
また、厚み方向Tに隣り合うセル1の間には、長さ方向に延びる導電部材18が位置する空間9を有している。第2流路である空間9には、第1方向に交差する第2方向に沿うように空気などの酸素含有ガスが流れている。第2方向は、たとえば、セル1の幅方向Wであってもよい。
かかるセルスタック装置10は、素子部3における吸熱反応に起因して電気分解時の温度にばらつきが生じる場合がある。具体的には、セル1のうち、第1流路の下流側に位置するセル1の領域1bの方が、第1流路の上流側に位置するセル1の領域1a側よりも温度が上昇する。このため、セル1の領域1bでは、たとえば、発電に適した温度よりも高温となり、耐久性が低下しやすくなる。
そこで、本実施形態では、領域1aに面する空間9の第1部分9aと領域1bに面する空間9の第2部分9bとの間で、空間9を流れるガスの流量を異ならせることで温度のばらつきを低減させることとした。具体的には、図3Bに示すように、領域1bに面する第2部分9bを流れるガスの流量(矢印42で図示)は、領域1aに面する第1部分9aを流れるガスの流量(矢印41で図示)よりも大きい。
これにより、第2部分9bに面する領域1bでは、空間9を流れる酸素含有ガスにより放熱性が高まり、領域1bでの温度上昇が低減される。このため、本実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性が高くなる。
ここで、空間9を流れるガスの流量を第1部分9aと第2部分9bとで異ならせるためには、たとえば、送風機または送気用のダクトを第2部分9bに向けて送風を行う構成を採用することができる。
<モジュールおよびモジュール収容装置>
次に、上述したセルスタック装置10を用いた本実施形態に係るモジュールおよびモジュール収容装置について、図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係るモジュール収容装置の一例を示す分解斜視図である。本実施形態に係るモジュール収容装置110は、外装ケース111と、モジュール100と、図示しない補機と、を備えている。
モジュール100は、収納容器101、および収納容器101内に収納されたセルスタック装置10を備えている。このようなモジュール100においては、上述したように、耐久性が高いセルスタック装置10を収納して構成されることにより、耐久性が高いモジュール100とすることができる。
補器は、モジュール100の運転を行う。モジュール100および補器は、外装ケース111内に収容されている。なお、図4においては一部構成を省略して示している。
図4に示すモジュール収容装置110の外装ケース111は、支柱112と外装板113とを有する。仕切板114は、外装ケース111内を上下に区画している。外装ケース111内の仕切板114より上側の空間は、モジュール100を収容するモジュール収容室115であり、外装ケース111内の仕切板114より下側の空間は、モジュール100を運転する補機を収容する補機収容室116である。なお、図4では、補機収容室116に収容する補機を省略して示している。
また、仕切板114は、補機収容室116の空気をモジュール収容室115側に流すための空気流通口117を有している。モジュール収容室115を構成する外装板113は、モジュール収容室115内の空気を排気するための排気口118を有している。
このようなモジュール収容装置110においては、上述したように、耐久性が高いモジュール100をモジュール収容室115に備えていることにより、耐久性が高いモジュール収容装置110とすることができる。
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る電気化学セル装置の一例を示す斜視図である。図5に示すセル1Aは、素子部3Aと、素子部3Aを挟む導電部材91,92とを有する平板型の電気化学セルである。素子部3Aは、固体電解質層(たとえば、固体電解質層6)と、固体電解質層を挟む第1電極層(たとえば、水素極層5a(図6参照))および第2電極層(たとえば、酸素極層8a(図7A参照))を有する。素子部3Aは、図1Aに示す素子部3と同様の構成を有することができる。水素極層5aおよび酸素極層8aは、水素極層5および酸素極層8と同じ材料で構成されてもよい。また、素子部3Aは、固体電解質層と第2電極層との間に位置する中間層を有してもよい。
導電部材91は、第1方向30に水素含有ガスが流れる第1流路97を有している。導電部材92は、第1方向30に交差する第2方向40に酸素含有ガスが流れる第2流路98を有している。導電部材91,92は、不図示のシール部材等で封止されている。
図6は、図5に示す電気化学セルが有する第1流路の一例を示す断面図である。図6に示すように、第1流路97は、供給口971と排出口972とを有する。供給口971には、水蒸気が供給される。排出口972からは、素子部3Aで発生した水素を含む水素含有ガスが排出される。
図7Aは、図5に示す電気化学セルが有する第2流路の一例を示す断面図である。図7Aに示すように、導電部材92は、第1方向30に沿って並ぶ5つの第2流路981~985を有している。第2流路981は、第1方向30の上流側に位置する導電部材92の端面921側に位置している。第2流路985は、第1方向30の下流側に位置する導電部材92の端面922側に位置している。第2流路983は、第1方向30の中央部に位置している。第2流路982は、第2流路981と第2流路983との間に位置しており、第2流路984は、第2流路983と第2流路985との間に位置している。
かかるセルスタック装置10は、素子部3Aにおける吸熱反応に起因して電気分解時の温度にばらつきが生じる場合がある。具体的には、第1流路97の下流側に位置する素子部3Aの方が、第1流路97の上流側に位置する素子部3Aよりも温度が上昇する。このため、第1流路97の上流側に位置する素子部3Aでは、たとえば、発電に適した温度よりも高温となり、耐久性が低下しやすくなる。
そこで、本実施形態では、第1流路97の上流側と下流側とで、素子部3Aを挟んで第1流路97と向かい合う第2流路98の断面積を異ならせることで温度のばらつきを低減させることとした。具体的には、第1流路97の下流側に位置する第2流路98は、第1流路97の上流側に位置する第2流路98よりも断面積が大きい。
これにより、第1流路97の下流側では、第2流路98を流れる酸素含有ガスにより放熱性が高まり、温度上昇が低減される。このため、本実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性が高くなる。
図7Bは、図5に示す電気化学セルが有する第2流路の他の一例を示す断面図である。図7Bに示すように、導電部材92は、第1方向30の上流側から下流側に沿って順に並ぶ5つの第2流路981a~985aを有している。
図7Bに示すように、第1流路97の上流側と下流側とで、素子部3Aを挟んで第1流路97と向かい合う第2流路98と素子部3Aとの接触面積を異ならせることで温度のばらつきを低減させることとしてもよい。具体的には、第1流路97の下流側に位置する第2流路98と素子部3Aとの接触面積は、第1流路97の上流側に位置する第2流路98と素子部3Aとの接触面積よりも大きい。
これにより、第1流路97の下流側では、第2流路98を流れる酸素含有ガスにより放熱性が高まり、温度上昇が低減される。このため、本実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性が高くなる。
図7Cは、図5に示す電気化学セルが有する第2流路の他の一例を示す断面図である。図7Cに示すように、導電部材92は、第1方向30の上流側から下流側に沿って順に並ぶ5つの第2流路981b~985bを有している。
図7Cに示すように、第1流路97の上流側と下流側とで、素子部3Aを挟んで第1流路97と向かい合う第2流路98を流れるガスの流量を異ならせることで温度のばらつきを低減させることとしてもよい。具体的には、第1流路97の下流側に位置する第2流路98を流れるガスの流量は、第1流路97の上流側に位置する第2流路98を流れるガスの流量よりも大きい。
これにより、第1流路97の下流側では、第2流路98を流れる酸素含有ガスにより放熱性が高まり、温度上昇が低減される。このため、本実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性が高くなる。
<その他の実施形態>
上述の各実施形態では、「電池化学セル」、「電池化学セル装置」、「モジュール」および「モジュール収容装置」の一例として電解セル、電解セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置を示したが、他の例としてはそれぞれ、共電解セル、共電解セルスタック装置、共電解モジュールおよび共電解装置であってもよい。共電解セルは、電力の供給により、たとえば水蒸気および二酸化炭素から炭化水素および酸素を発生する。また、上記実施形態では電気化学セルの電解質材料の一例として主に酸化物イオン伝導体の場合について示したが、水素イオン伝導体、水酸化物イオン伝導体であってもよい。第1流路、第2流路を流れるガスの種類は、電解質材料の特性に応じて適宜選択してもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。たとえば、図5に示す第2流路98として、図7A~図7Cに示す第2流路981~985、981a~985a、981b~985bの構成を適宜組み合わせた構成としてもよい。
一実施形態において、(1)電気化学セル装置は、第1方向に延びる第1流路と、
前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第1方向に並ぶ少なくとも2つの第2流路と、
前記第1流路と前記第2流路との間に位置する素子部と
を備え、
前記第1流路の下流側に位置する第2流路は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路よりも断面積が大きい。
また、一実施形態において、(2)電気化学セル装置は、第1方向に延びる第1流路と、
前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第1方向に並ぶ少なくとも2つの第2流路と、
前記第1流路と前記第2流路との間に位置する素子部と
を備え、
前記第1流路の下流側に位置する第2流路と前記素子部との接触面積は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路と前記素子部との接触面積よりも大きい。
また、一実施形態において、(3)電気化学セル装置は、第1方向に延びる第1流路と、
前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2流路と、
前記第1流路と前記第2流路との間に位置する素子部と
を備え、
前記第1流路の下流側に位置する第2流路の部分を流れるガスの流量は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路の部分を流れるガスの流量よりも大きい。
(4)モジュールは、上記(1)~(3)のいずれか1つの電気化学セル装置と、
前記電気化学セル装置を収納する収納容器とを備える。
(5)モジュール収容装置は、上記(4)のモジュールと、
前記モジュールの運転を行うための補機と、
前記モジュールおよび前記補機を収容する外装ケースとを備える。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1,1A セル
3,3A 素子部
10 セルスタック装置
11 セルスタック
12 固定部材
13 固定材
14 支持部材
15 支持体
16 タンク
17 端部集電部材
18 導電部材
100 モジュール
110 モジュール収容装置

Claims (5)

  1. 第1方向に延びる第1流路と、
    前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第1方向に並ぶ少なくとも2つの第2流路と、
    前記第1流路と前記第2流路との間に位置する素子部と
    を備え、
    前記第1流路の下流側に位置する第2流路は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路よりも断面積が大きい
    電気化学セル装置。
  2. 第1方向に延びる第1流路と、
    前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第1方向に並ぶ少なくとも2つの第2流路と、
    前記第1流路と前記第2流路との間に位置する素子部と
    を備え、
    前記第1流路の下流側に位置する第2流路と前記素子部との接触面積は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路と前記素子部との接触面積よりも大きい
    電気化学セル装置。
  3. 第1方向に延びる第1流路と、
    前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2流路と、
    前記第1流路と前記第2流路との間に位置する素子部と
    を備え、
    前記第1流路の下流側に位置する第2流路の部分を流れるガスの流量は、前記第1流路の上流側に位置する第2流路の部分を流れるガスの流量よりも大きい
    電気化学セル装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の電気化学セル装置と、
    前記電気化学セル装置を収納する収納容器と
    を備えるモジュール。
  5. 請求項4に記載のモジュールと、
    前記モジュールの運転を行うための補機と、
    前記モジュールおよび前記補機を収容する外装ケースと
    を備えるモジュール収容装置。
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