JP2024059272A - 電動工具、及び電動工具におけるモータの制御方法 - Google Patents

電動工具、及び電動工具におけるモータの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制する。【解決手段】電動工具は、モータと、駆動回路と、電圧検出部と、目標算出部と、設定デューティ比算出部とを備える。駆動回路は、設定デューティ比に従って、モータへ電源電圧を印加する。電圧検出部は、電源電圧の大きさを検出する。目標算出部は、検出された電源電圧の大きさに基づいて、目標回転速度でモータを回転させるための目標デューティ比を算出する。設定デューティ比算出部は、設定デューティ比を、初期値から目標デューティ比まで時間経過に伴って増加させる。設定デューティ比の増加率は、検出された電源電圧の大きさに応じて変化する。【選択図】図3

Description

本開示は、電動工具におけるモータを制御する技術に関する。
特許文献1は、ソフトスタート制御を行うように構成された電動工具を開示している。この電動工具では、PWM駆動信号に従って電源電圧がモータに印加されてモータが駆動される。ソフトスタート制御は、モータの駆動開始時に、PWM駆動信号のデューティ比を0%から目標値まで徐々に増加することを含む。電源電圧はバッテリから供給される。
特開2011-240441号公報
バッテリの充電残量その他の要因により、モータ駆動開始時の電源電圧の大きさは変化し得る。駆動開始時の電源電圧が異なると、駆動開始後のモータの回転速度の加速具合も異なり得る。例えば、駆動開始時から一定時間経過した時点の回転速度が、電源電圧の大きさに応じて異なり得る。
回転速度の加速具合のばらつきは、電動工具による作業結果に好ましくない影響を及ぼし得る。例えば、ネジを被締結材に締め付ける作業を行う際に、電源電圧の大きさによって、締め付けトルクにばらつきが生じる可能性がある。
本開示の一局面は、モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制できることが望ましい。
本開示の一局面は、モータと、駆動回路と、電圧検出部と、目標算出部と、設定デューティ比算出部とを備えた電動工具を提供する。
駆動回路は、電源電圧及び駆動信号が入力される。駆動信号は設定デューティ比を有する。駆動回路は、入力された駆動信号の設定デューティ比に応じた周期で電源電圧をモータへ印加することにより、モータを駆動する。
電圧検出部は、電源電圧の大きさを検出する。
目標算出部は、電圧検出部にて検出された電源電圧の大きさに基づいて目標デューティ比を算出する。目標デューティ比は、所定の目標回転速度でモータを回転させるための、設定デューティ比の目標値である。
設定デューティ比算出部は、設定デューティ比を算出する。設定デューティ比算出部は、設定デューティ比を、所定の初期値から目標デューティ比まで時間経過に伴って増加させる。設定デューティ比算出部は、設定デューティ比の増加率を、電圧検出部にて検出された電源電圧の大きさに応じて変化させる。
このような電動工具は、モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制することができる。
本開示の別の一局面では、前述のモータと、前述の駆動回路と、前述の電圧検出部と、前述の目標算出部と、前述の設定デューティ比算出部とは異なる設定デューティ比算出部とを備えた電動工具を提供する。この設定デューティ比算出部は、電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて、前記設定デューティ比を所定の初期値から前記目標デューティ比まで時間経過に伴って増加させる。このとき、設定デューティ比算出部は、前記モータが回転し始めてから前記モータの回転速度が前記目標回転速度に到達するまでの前記回転速度の変化過程が、前記電源電圧の大きさによらず同一または略同一となるように、前記設定デューティ比を増加させる。
このような電動工具も、モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制することができる。
本開示の別の一局面は、電動工具におけるモータの制御方法であって、
所定の目標回転速度で前記モータを回転させるためのデューティ比の目標値を、前記モータへ印加される電源電圧の大きさに基づいて算出することと、
前記デューティ比を所定の初期値から前記目標値まで時間経過に伴って増加させ、その増加させる際の増加率を前記電源電圧の大きさに応じて変化させることと、
前記デューティ比に従って前記モータを駆動することと、
を備えている。
このような方法は、モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制することができる。
第1実施形態の電動工具の側断面図である。 第1実施形態の電動工具の電気的構成を示す電気回路図である。 第1実施形態の制御回路の機能を示すブロック図である。 設定デューティ比の増加率が固定された電動工具におけるモータの動作例を示す説明図である。 第1の方法が採用された電動工具におけるモータの動作例を示す説明図である。 第1,第2の方法が採用された第1実施形態の電動工具におけるモータの動作例を示す説明図である。 第1実施形態のモータ制御処理のフローチャートである。 第2実施形態の電動工具におけるモータの動作例を示す説明図である。 第2実施形態のモータ制御処理のフローチャートである。 第3実施形態の制御回路の機能を示すブロック図である。 第3実施形態の電動工具におけるモータの動作例を示す説明図である。 第3実施形態のモータ制御処理のフローチャートである。
1.実施形態の総括
ある実施形態は、以下の特徴1~5のうちの少なくともいずれか1つを備えている電動工具を提供してもよい。

・特徴1:モータ。
・特徴2:電源電圧及び駆動信号が入力されるように構成された駆動回路。前記駆動信号は設定デューティ比を有する。前記駆動回路は、前記駆動信号の前記設定デューティ比に応じた周期で前記電源電圧を前記モータへ印加し、それにより前記モータを駆動するように構成されている。
・特徴3:前記電源電圧の大きさを検出するように構成された電圧検出部。
・特徴4:前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて目標デューティ比を算出するように構成された目標算出部。前記目標デューティ比は、所定の目標回転速度で前記モータを回転させるための前記設定デューティ比の目標値である。
・特徴5:前記設定デューティ比を所定の初期値から前記目標デューティ比まで時間経過に伴って(または時間経過に従って)増加させるように構成された設定デューティ比算出部。前記設定デューティ比算出部は、前記設定デューティ比の増加率を、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに応じて変化させるように構成されている。

前記駆動信号は、パルス幅変調信号の形態である。前記設定デューティ比はそのパルス幅変調信号のデューティ比に対応する。
電源電圧の大きさに応じて増加率を変化させることは、増加率の算出に電源電圧の大きさが関与するあらゆる形態を含む。
増加率を変化させることは、時間経過に伴って増加率を変化させることを含んでいてもよい。具体的には、例えば、増加率を連続的または断続的に変化させてもよい。
この場合、増加率の変化具合が電源電圧の大きさに応じて変化されてもよい。
また例えば、後述するように、増加率を変化させるべき特定のタイミングが到来する度に増加率を変化(例えば低下)させてもよい。この場合、当該特定のタイミングが電源電圧の大きさに応じて変化されてもよい。特定のタイミング以外では増加率は一定に維持されてもよい。特定のタイミングにおける増加率の変化具合(増加率の変化率又は変化量、あるいは変化後の増加率)が、電源電圧の大きさに応じて異なるように構成されてもよい。
増加率を変化させることは、設定デューティ比算出開始直後の増加率(即ち初期値からの増加率)を電源電圧の大きさに応じて算出することを含んでいてもよい。例えば、後述するように、電源電圧が高いほど、初期値からの増加率が低く算出されてもよい。
少なくとも特徴1~5を備えている電動工具は、モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制することができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~5のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴6を備えていてもよい。

・特徴6:前記設定デューティ比算出部は、前記増加率を切り替えるべき切替条件が満たされた場合に、前記増加率を、当該切替条件が満たされた時の前記増加率よりも低い値に切り替えるように構成されている。

少なくとも特徴1~6を備えている電動工具は、増加率を変化させるための処理負荷を抑えることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~6のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴7を備えていてもよい。

・特徴7:前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに応じて前記切替条件を設定するように構成された条件設定部。

少なくとも特徴1~7を備えている電動工具は、電源電圧の大きさに応じた増加率の変化を簡素に実現できる。
ある実施形態は、上述の特徴1~7のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴8を備えていてもよい。

・特徴8:前記切替条件は、算出されている前記設定デューティ比が、1つ以上の規定デューティ比のそれぞれに到達する度に、成立する。

少なくとも特徴1~6,8を備えている電動工具は、切替条件を容易に設定することができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~8のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴9,10のうちの少なくともいずれか1つを備えていてもよい。

・特徴9:前記条件設定部は、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて1つ以上の規定デューティ比を算出するように構成されている。
・特徴10:前記切替条件は、算出されている前記設定デューティ比が、算出された前記1つ以上の規定デューティ比のそれぞれに到達する度に、成立する。

少なくとも特徴1~7,9,10を備えている電動工具は、切替条件を容易に設定することができ、且つそれによって電源電圧の大きさに応じた増加率の変化を簡素に実現できる。
ある実施形態は、上述の特徴1~10のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴11を備えていてもよい。

・特徴11:前記条件設定部は、前記1つ以上の規定デューティ比のそれぞれを、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧が高いほど低くなるように算出するように構成されている

少なくとも特徴1~7,9~11を備えている電動工具は、前記1つ以上の規定デューティ比に電源電圧の大きさを簡素且つ効果的に反映させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~11のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴12を備えていてもよい。

・特徴12:前記1つ以上の規定デューティ比は、少なくとも2つの規定デューティ比を含む。

少なくとも特徴1~6,8,12を備えている電動工具、または少なくとも特徴1~7,9,10,12を備えている電動工具は、回転速度の加速具合のばらつきを抑制する効果を高めることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~12のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴13,14のうちの少なくともいずれか1つを備えていてもよい。

・特徴13:前記切替条件は、所定の計測開始タイミングから、1つ以上の規定時間のそれぞれが経過する度に成立する。
・特徴14:前記計測開始タイミングは、前記モータを駆動すべき駆動条件が満たされたことに応じて到来する。

少なくとも特徴1~6,13,14を備えている電動工具は、切替条件を容易に設定することができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~14のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴15~17のうちの少なくともいずれか1つを備えていてもよい。

・特徴15:前記条件設定部は、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて1つ以上の規定時間を算出するように構成されている。
・特徴16:前記切替条件は、所定の計測開始タイミングから、算出された前記1つ以上の規定時間のそれぞれが経過する度に成立する。
・特徴17:前記計測開始タイミングは、前記モータを駆動すべき駆動条件が満たされたことに応じて到来する。

少なくとも特徴1~7,15~17を備えている電動工具は、切替条件を容易に設定することができ、且つそれによって電源電圧の大きさに応じた増加率の変化を簡素に実現できる。
ある実施形態は、上述の特徴1~17のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴18を備えていてもよい。

・特徴18:前記条件設定部は、前記1つ以上の規定時間のそれぞれを、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧が高いほど短くなるように算出するように構成されている。

少なくとも特徴1~7,15~18を備えている電動工具は、前記1つ以上の規定時間に電源電圧の大きさを簡素且つ効果的に反映させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~18のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴19,20のうちの少なくともいずれか1つを備えていてもよい。

・特徴19:前記電動工具の使用者により手動操作されるように構成された手動スイッチ。
・特徴20:前記駆動条件は、前記使用者により前記手動スイッチが手動操作されたことに応じて満たされる。

少なくとも特徴1~6,13,14,19,20を備えている電動工具、及び、少なくとも特徴1~7,15~17,19,20を備えている電動工具は、計測開始タイミングをより適切に設定できる。また、その電動工具は、適切なタイミングで切替条件を成立させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~20のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴21を備えていてもよい。

・特徴21:前記1つ以上の規定時間は、少なくとも2つの規定時間を含む。

少なくとも特徴1~6,13,14,21を備えている電動工具、及び、少なくとも特徴1~7,15~17,21を備えている電動工具は、回転速度の加速具合のばらつきを抑制する効果を高めることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~21のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴22を備えていてもよい。

・特徴22:前記初期値からの前記増加率、及び/または前記切替条件が満たされた場合における切り替え後の前記増加率を、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに応じて算出するように構成された、増加率算出部。

少なくとも特徴1~6,22を備えている電動工具は、回転速度の加速具合のばらつきを抑制する効果をより高めることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~22のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴23を備えていてもよい。

・特徴23:前記増加率算出部は、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧が高いほど低くなるように前記増加率を算出するように構成されている。

少なくとも特徴1~6,22,23を備えている電動工具は、電源電圧の大きさを増加率に簡素且つより効果的に反映させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~23のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴24を備えていてもよい。

・特徴24:前記電圧検出部は、前記駆動回路により前記モータが駆動される前の前記電源電圧の大きさを検出するように構成されている。

少なくとも特徴1~5,24を備えている電動工具は、増加率の変化に、電源電圧の大きさを適正に反映させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1~24のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴25を備えていてもよい。

・特徴25:算出された前記設定デューティ比を有する前記駆動信号を生成して前記駆動回路へ出力するように構成された駆動信号生成部。

ある実施形態は、前述の特徴1~4と以下の特徴26とを備えている電動工具を提供してもよい。

・特徴26:前記設定デューティ比を、所定の初期値から前記目標デューティ比まで、時間経過に伴って増加させるように構成された、設定デューティ比算出部。前記設定デューティ比算出部は、前記設定デューティ比を、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて増加させる。前記設定デューティ比算出部は、前記モータが回転し始めてから前記モータの回転速度が前記目標回転速度に到達するまでの前記回転速度の変化過程が、前記電源電圧の大きさによらず同一または略同一となるように、前記デューティ比を増加させる。

少なくとも特徴1~4,26を備えている電動工具は、モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制することができる。
ある実施形態は、電動工具におけるモータの制御方法であって、以下の特徴27~29のうちの少なくともいずれか1つを備えている方法を提供してもよい。

・特徴27:デューティ比の目標値を、前記モータへ印加される電源電圧の大きさに基づいて算出すること。前記目標値は、所定の目標回転速度で前記モータを回転させるためのデューティ比である。
・特徴28:前記デューティ比を所定の初期値から前記目標値まで時間経過に伴って増加させ、その増加させる際の増加率を前記電源電圧の大きさに応じて変化させること。
・特徴29:前記デューティ比に従って前記モータを駆動すること。

少なくとも特徴27~29を備えている方法は、モータ駆動開始時からの回転速度の加速具合が電源電圧の大きさによってばらつくのを抑制することができる。
ある実施形態では、上述の特徴1~29はどのように組み合わされてもよい。
ある実施形態では、上述の特徴1~29のいずれかは、除外されてもよい。

2.特定の例示的な実施形態
以下に特定の例示的な実施形態を説明する。この特定の例示的な実施形態は、単なる一例に過ぎず、本開示は、この実施形態に限定されず、あらゆる形態で実施され得る。
2-1.第1実施形態
2-1-1.電動工具の構成
図1に示す本第1実施形態の電動工具1は、例えばインパクトドライバの形態である。インパクトドライバは、ねじ山が設けられた各種の締結具を回転させる。各種の締結具は、例えば、各種のねじ、ボルト、ナットなどを含む。各種のねじは、例えば、木ねじ、ドリルねじなどを含む。インパクトドライバは、締結具を回転させながら、その回転方向へ打撃力を付与することができる。本第1実施形態の電動工具1は、後述するバッテリ3a(図2参照)の電力によって駆動される。
図1に示すように、電動工具1は、本体2を備える。電動工具1は、バッテリパック3を備える。本第1実施形態のバッテリパック3は、本体2に離脱可能に装着される。バッテリパック3は、本体2に電力を供給する。
本体2は、ハウジング4を備える。本体2は、グリップ5を備える。グリップ5は、ハウジング4の下端に設けられている。グリップ5は、本第1実施形態では、ハウジング4から下方へ延設されている。グリップ5は、電動工具1の使用者に把持される。
本体2は、バッテリ装着部6を備える。バッテリ装着部6は、グリップ5の下端に設けられている。バッテリ装着部6は、バッテリパック3が離脱可能に装着される。
本体2は、チャックスリーブ7を備える。チャックスリーブ7は、ハウジング4の前端に設けられている。チャックスリーブ7は、各種の工具ビットが離脱可能に装着される。各種の工具ビットは、例えば、ドライバビットおよびソケットビットなどを含む。図1は、ドライバビット7aを模式的に示している。チャックスリーブ7が回転すると、チャックスリーブ7に装着されている工具ビットが、チャックスリーブ7と共に(即ち一体的に)回転する。チャックスリーブ7は、後述するモータ21により回転される。
本体2は、トリガ8を備える。トリガ8は、グリップ5における上部前方に設けられている。トリガ8は、使用者により手動操作される。具体的には、本第1実施形態のトリガ8は、使用者によって引かれる。換言すれば、トリガ8は、後方へ移動されて本体2の内部に押し込まれる。電動工具1は、トリガ8が引かれることにより作動する。
本体2は、方向設定スイッチ10を備える。方向設定スイッチ10は、後述するモータ21の回転方向(ひいてはチャックスリーブ7の回転方向)を指定する。具体的には、方向設定スイッチ10は、チャックスリーブ7の回転方向を、第1方向または第2方向に択一的に指定する。
方向設定スイッチ10は、ハウジング4とグリップ5との境界近傍に設けられている。本第1実施形態の方向設定スイッチ10は、使用者により右方向または左方向へ手動操作される。具体的には、方向設定スイッチ10は、使用者の手動操作により、第1の位置または第2の位置に移動される。
方向設定スイッチ10が第1位置に移動されると、チャックスリーブ7の回転方向が第1方向に設定される。換言すれば、モータ21の回転方向が、チャックスリーブ7を第1方向へ回転させる方向(以下、「第1モータ回転方向」と称する)に設定される。即ち、方向設定スイッチ10が第1の位置に移動されて、トリガ8が引かれると、モータ21が第1モータ回転方向へ回転される。モータ21が第1モータ回転方向へ回転すると、チャックスリーブ7が第1方向へ回転する。第1方向は、第1モータ回転方向と一致していてもよいし、第1モータ回転方向とは逆であってもよい。本第1実施形態では、第1方向は第1モータ回転方向と一致する。第1方向は例えば時計回り(または右回り)であってもよい。
第1方向は、締結具を被締結材に締め付ける方向に対応する。即ち、第1方向へ回転している工具ビットは、締結具を第1方向へ回転させる。締結具が第1方向へ回転されると、締結具は、被締結材へ締め付けられていく。
被締結材はどのようなものであってもよい。被締結材は、例えば、木材、金属、コンクリート、石膏ボードなどを含む。ボルトとナットの組み合わせにおいては、ボルト及びナットが互いに締結材と被締結材とになり得る。例えば、ナットを工具ビットで回転させてボルトに締め付けていくケースにおいては、ナットが締結具に対応してボルトが被締結材に対応する。逆に、ボルトを工具ビットで回転させてナットに締め付けていくケースにおいては、ボルトが締結具に対応してナットが被締結材に対応する。
方向設定スイッチ10が第2位置に移動されると、チャックスリーブ7の回転方向が第2方向に設定される。換言すれば、モータ21の回転方向が、チャックスリーブ7を第2方向へ回転させる方向(以下、「第2モータ回転方向」と称する)に設定される。即ち、方向設定スイッチ10が第2の位置に移動されて、トリガ8が引かれると、モータ21が第2モータ回転方向へ回転される。モータ21が第2モータ回転方向へ回転すると、チャックスリーブ7が第2方向へ回転する。第2方向は、第2モータ回転方向と一致していてもよいし、第2モータ回転方向とは逆であってもよい。本第1実施形態では、第2方向は第2モータ回転方向と一致する。第2方向は例えば反時計回り(または左回り)であってもよい。
第2方向は、締結具を被締結材から緩める(または開放する、または外す)方向に対応する。即ち、第2方向へ回転している工具ビットは、締結具を第2方向へ回転させる。締結具が第2方向へ回転されると、締結具は、被締結材から緩められていく。
方向設定スイッチ10は、さらに第3の位置に移動可能であってもよい。第3の位置は、例えば第1の位置と第2の位置の中間であってもよい。方向設定スイッチ10が第3の位置に移動された場合、例えばモータ21の回転が禁止されてもよい。具体的には、トリガ8が引かれてもモータ21が回転されないように構成されてもよいし、トリガ8の引き操作自体が機械的に規制されもよい。
本体2は、操作パネル11を備える。本第1実施形態では、操作パネル11はバッテリ装着部6に設けられている。操作パネル11は、例えば、1つ以上のボタン及び/または1つ以上の表示デバイスを備えていてもよい。
電動工具1は、モータ21を備える。モータ21は、ハウジング4に収容されている。モータ21は、シャフト21aを備える。モータ21が回転する、とは、詳しくは、シャフト21aが回転することを意味する。
電動工具1は、駆動機構22を備える。駆動機構22は、ハウジング4に収容されている。駆動機構22は、モータ21の前方且つチャックスリーブ7の後方に配置されている。駆動機構22は、モータ21の回転(即ちシャフト21aの回転)をチャックスリーブ7に伝達する。モータ21が回転すると駆動機構22によってチャックスリーブ7が回転する。
駆動機構22は、打撃機構23を備える。打撃機構23は、スピンドル24を備える。スピンドル24は、回転可能に支持されている。駆動機構22は、遊星歯車機構26を備える。モータ21のシャフト21aは、遊星歯車機構26に連結されている。遊星歯車機構26は、モータ21の回転をスピンドル24に伝達する。よって、モータ21が回転するとスピンドル24が回転する。
打撃機構23は、ハンマ28と、アンビル29と、コイルバネ30とを備えている。ハンマ28は、スピンドル24に連結されている。ハンマ28は、スピンドル24と一体に回転可能である。ハンマ28は、さらに、スピンドル24の回転軸に沿って(即ち前後方向へ)移動可能である。ハンマ28は、コイルバネ30により前方へ付勢されている。アンビル29は、ハンマ28から回転力及び/または打撃力を受けて回転する。アンビル29の前端部には、チャックスリーブ7が取り付けられる。
本第1実施形態では、モータ21の回転軸、スピンドル24の回転軸、ハンマ28の回転軸、アンビル29の回転軸及びチャックスリーブ7の回転軸は、互いに一致している。
ハンマ28は、例えば第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bを備えている。第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bは、アンビル29に回転力及び/または打撃力を与える。第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bは、ハンマ28の回転方向に沿って互いに例えば180°の間隔を隔てて設けられている。第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bは、ハンマ28の前端面から前方へ突出するように設けられている。
アンビル29の後端は、第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bが設けられている。第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bは、ハンマ28の回転向に沿って互いに例えば180°の間隔を隔てて設けられている。
ハンマ28が、コイルバネ30によって前方へ付勢されると、第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bがそれぞれ、その回転方向において、第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bに接触し得る状態となる。第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bのそれぞれにおける、第1打撃アーム29aまたは第2打撃アーム29bと接触する面は、例えば、ハンマ28の回転方向に垂直または略垂直であってもよい。第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bのそれぞれにおける、第1打撃突部28aまたは第2打撃突部28bと接触する面は、例えば、アンビル29の回転方向に垂直または略垂直であってもよい。
モータ21によりスピンドル24が回転されると、ハンマ28が、スピンドル24と一体的に回転する。第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bが第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bにそれぞれ回転方向において接触している状態で、ハンマ28が回転すると、ハンマ28の回転力は、第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bから、第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bを介して、アンビル29へ伝達される。これによりアンビル29が回転する。アンビル29が回転すると、チャックスリーブ7がアンビル29と一体的に回転する。これにより、チャックスリーブ7に装着されている工具ビットが回転する。
モータ21の回転中、ハンマ28は、締結具からチャックスリーブ7及びアンビル29を介して、ハンマ28の回転方向とは逆方向のトルク(以下、「負荷トルク」と称する)を受け得る。ハンマ28は、回転中に所定の大きさ以上の負荷トルクを受けると、アンビル29へ回転力を与えつつ、コイルバネ30の付勢力に抗して後方へ変位していく。具体的には、第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bが、第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bのそれぞれに接触しながら後方へ変位する。ハンマ28の後方への変位が進むと、第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bが、接触している第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bをそれぞれ回転方向に乗り越える。つまり、第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bが、接触している第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bからそれぞれ回転方向へ離れる。これにより、ハンマ28は、空転し、且つ、コイルバネ30の付勢力によって前方へ変位する。その結果、第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bが、第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bに衝突する。つまり、第1打撃突部28a及び第2打撃突部28bが、第1打撃アーム29a及び第2打撃アーム29bを、回転方向へ打撃する。
このような打撃は、ハンマ28が所定の大きさ以上の負荷トルクを受けている間に繰り返し行われる。つまり、ハンマ28が所定の大きさ以上の負荷トルクを受けている間、アンビル29は、ハンマ28から間欠的に打撃を受ける。
モータ21が第1方向へ回転しているときに打撃が発生すると、締結具が被締結材に高トルクで締め付けられる。モータ21が逆転しているときに打撃が発生すると、被締結材に締め付けられている締結具が、高トルクで緩められる。
本体2は、コントローラ16を備える。コントローラ16は、モータ21の駆動を含む、電動工具1の各種機能を制御する。コントローラ16の詳細構成は図2及び図3を用いて後述する。
本体2は、スイッチボックス15を備える。スイッチボックス15は、トリガ8に連結されている。スイッチボックス15は、後述するように、トリガ8の状態(具体的には引き量または移動長)に応じた各種信号をコントローラ16へ出力する。
2-1-2.電動工具の電気的構成
電動工具1の電気的構成について、図2を参照して補足的に説明する。図2は、バッテリパック3が本体2に装着された状態の電動工具1を示している。
バッテリパック3は、バッテリ3aを備える。バッテリ3aは、例えば2次電池であってもよい。バッテリ3aは、例えば、リチウムイオン電池であってもよい。バッテリ3aは、リチウムイオン電池とは異なる2次電池であってもよい。
電動工具1は、前述のモータ21、コントローラ16、スイッチボックス15及び方向設定スイッチ10を備える。
バッテリパック3が本体2に装着されると、コントローラ16がバッテリ3aと電気的に接続される。これによりバッテリ3aの電力(以下、「バッテリ電力」と称する)がコントローラ16に供給される。
モータ21は、本第1実施形態では例えばブラシレスDCモータの形態である。モータ21は、永久磁石型のロータ(不図示)を備える。前述のシャフト21aは、ロータに固定されており、ロータと共に回転する。
モータ21は、バッテリ電力を受けて駆動される。モータ21は、バッテリ電力を、バッテリ3aから、後述する駆動回路32を介して受ける。駆動回路32は、バッテリ電力を三相電力に変換する。モータ21はその三相電力を受ける。本第1実施形態のモータ21は、3つの巻線を備えている。三相電力は、3つの巻線に供給される。3つの巻線に三相電力が供給されることにより、モータ21が回転する。なお、図2は、3つの巻線が互いにデルタ結線されている例を示している。ただし、3つの巻線はデルタ結線とは異なる方法で結線されていてもよい。
電動工具1は、回転センサ36を備える。回転センサ36は、回転位置情報を出力する。回転位置情報は、モータ21が回転しているか否かを示していてもよい。回転位置情報は、モータ21の回転位置および/または回転速度に応じて変化してもよい。回転位置情報は、モータ21の回転位置、詳しくはロータ19の回転位置を示していてもよい。本実施形態の回転位置情報は、第1位置信号Hu、第2位置信号Hv及び第3位置信号Hwを含む。回転位置情報は、制御回路31に入力される。
本第1実施形態の回転センサ36は、3つのホールセンサ(不図示)を備えている。3つのホールセンサは、モータ21のロータの近傍において、シャフト21aの回転方向に沿って互いに電気角120度に相当する角度を隔てて配置されている。第1~第3位置信号Hu、Hv、Hwは、3つのホールセンサからそれぞれ出力される。
本第1実施形態の回転センサ36は、コントローラ16から電力を受けて作動する。具体的には、回転センサ36は、コントローラ16から制御電圧Vccを受ける。この制御電圧Vccを受けるために、回転センサ36は、コントローラ16における後述する制御電源ライン及びグランドラインに接続されている。
スイッチボックス15は、トリガスイッチ15aを備える。トリガスイッチ15aは、トリガ8の移動に連動する。
具体的には、トリガ8が引かれると、トリガスイッチ15aがオンする。トリガ8が引かれていないときはトリガスイッチ15aはオフする。トリガスイッチ15aは、トリガ8が引かれているか否かを検出するために設けられている。トリガスイッチ15aの第1端及び第2端はコントローラ16に接続されている。
コントローラ16は、制御回路31と、駆動回路32とを備える。制御回路31は、モータ21の回転を制御する。
駆動回路32は、バッテリ3aからバッテリ電力を受ける。具体的には、駆動回路32は、バッテリ3aの正極に接続されている。駆動回路32はさらに、コントローラ16内のグラインドラインに接続されている。グランドラインは、バッテリ3aの負極に接続されている。
駆動回路32は、モータ21に接続されている。駆動回路32は、前述の通り、バッテリ電力を三相電力に変換してモータ21へ供給する。本第1実施形態の駆動回路32は、三相フルブリッジ回路の形態である。三相フルブリッジ回路は、6個のスイッチを備える。各スイッチはどのような形態であってもよい。本第1実施形態では、各スイッチは、例えばnチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。
6個のスイッチは、3つのハイサイドスイッチと3つのローサイドスイッチとを備える。3つのハイサイドスイッチはそれぞれ、後述するバッテリ電力経路を介してバッテリ3aの正極に接続される。3つのローサイドスイッチはそれぞれグランドラインを介してバッテリ3aの負極に接続される。図2に示すように、3つのハイサイドスイッチのソースはそれぞれ、3つのローサイドスイッチのうちの1つのドレインに接続されている。そして、3つのハイサイドスイッチのソースがそれぞれ(換言すれば3つのローサイドスイッチのドレインがそれぞれ)、モータ21に接続されている。何れか1つのハイサイドスイッチと、当該ハイサイドスイッチのソースに接続されていない何れか1つのローサイドスイッチとがオンされると、それらハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチを介してモータ21へバッテリ電力が供給され、モータ21が駆動される。
コントローラ16は、電圧信号出力回路35を備える。電圧信号出力回路35は、バッテリ電力経路に接続されている。バッテリ電力経路は、バッテリ3aの正極から駆動回路32に至る。電圧信号出力回路35は、電圧信号Svを出力する。電圧信号Svは制御回路31に入力される。電圧信号Svは、バッテリ電力経路の電圧の大きさを示す。
電圧信号出力回路35は、第1抵抗器35aと第2抵抗器35bとを備える。第1抵抗器35aの第1端はバッテリ電力経路に接続されている。第1抵抗器35aの第2端は第2抵抗器35bの第1端に接続されている。第2抵抗器35bの第2端はグランドラインに接続されている。第1抵抗器35aの第2端の電圧(換言すれば第2抵抗器35bの第1端の電圧)が、電圧信号Svとして、制御回路31に入力される。
本第1実施形態では、バッテリ電力経路の電圧は、バッテリ3aの正極の電圧に等しいかほぼ等しい。また、バッテリ電力経路の電圧は、バッテリ電力経路から駆動回路32に入力される電圧(以下、「電源電圧」と称する)に等しいかほぼ等しい。従って、本第1実施形態では、電圧信号Svは、バッテリ3aの電圧の大きさ及び電源電圧の大きさを示す。換言すれば、本第1実施形態では、電源電圧はバッテリ3aの電圧に等しいかほぼ等しい。電源電圧は、駆動回路32を介してモータ21に印加される。
コントローラ16は、制御電源回路33を備える。制御電源回路33は、バッテリ3aからバッテリ電力を受ける。制御電源回路33は、バッテリ電力から制御電圧Vccを生成して制御電源ラインに出力する。制御電圧Vccは例えば一定の電圧値を有する。制御電圧Vccは、制御電源ラインを通じて、制御回路31を含む、コントローラ16内の各部へ供給される。制御回路31はその制御電圧Vccによって動作する。
制御電圧Vccは、スイッチボックス15にも供給される。具体的には、制御電圧Vccは、抵抗器34を介して、トリガスイッチ15aの第1端に印加される。トリガスイッチ15aの第2端はグランドラインに接続されている。
トリガスイッチ15aの第1端は、制御回路31に接続されている。トリガスイッチ15aの第1端の電圧は、トリガ信号Swとして、制御回路31に入力される。トリガ信号Swは、トリガスイッチ15aがオンされているか否か、換言すればトリガ8が引かれているか否かを示す。
本第1実施形態の制御回路31は、CPU31a及びメモリ31bを備えた、マイクロコンピュータまたはマイクロコントロールユニット(MCU)の形態である。メモリ31bは、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有していてもよい。
制御回路31は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、メモリ31bが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。本実施形態では、メモリ31bは、後述するモータ制御処理(図7参照)のプログラムを格納している。
制御回路31により実現される各種機能の一部または全部は、プログラムの実行によって(即ち、ソフトウェア処理によって)達成されてもよいし、一つあるいは複数のハードウェアによって達成されてもよい。例えば、制御回路31は、マイクロコンピュータに代えて、またはマイクロコンピュータに加えて、複数の電子部品を含むロジック回路を備えていてもよい。制御回路31は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/または特定用途向け標準製品(ASSP)などを備えていてもよい。制御回路31は、任意の論理回路を構築可能なプログラマブルロジックデバイス、例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を備えていてもよい。あるいは、制御回路31は、ハードワイヤード回路の形態であってもよい。
制御回路31は、回転位置情報(即ち第1~第3位置信号Hu,Hv,Hw)、電圧信号Sv、トリガ信号Sw及び方向設定信号Sdを受ける。方向設定信号Sdは、方向設定スイッチ10の位置を示す。
制御回路31は、回転位置情報に基づいて、モータ21の回転位置(即ちロータの回転位置)を検出する。制御回路31は、電圧信号Svに基づいて、電源電圧の大きさを検出する。制御回路31は、トリガ信号Swに基づいて、トリガ8が引かれているか否かを検出する。制御回路31は、方向設定信号Sdに基づいて、第1モータ方向及び第2モータ方向のどちらが指定されているかを検出する。制御回路31は、モータ21の回転方向を、その検出した方向に設定する。
制御回路31は、駆動回路32へ駆動指令を出力して、駆動回路32からモータ21へ三相電力を供給させる。駆動指令は、駆動回路32における6つのスイッチそれぞれに対する6つの駆動信号を含む。制御回路31は、例えば、6つのスイッチのうち1つをオン保持スイッチに設定し、別の1つをPWMスイッチに設定する。
より具体的には、制御回路31は、例えば、3つのハイサイドスイッチのうちの1つをオン保持スイッチに設定し、3つのローサイドスイッチのうちの1つをPWMスイッチに設定する。PWMスイッチは、オン保持スイッチに接続されていない2つのローサイドスイッチのうちのいずれかに対応する。
オン保持スイッチは、オン状態に保持される。即ち、制御回路31は、オン保持スイッチに対し、当該オン保持スイッチをオン状態に保持させるための駆動信号を出力する。一方、PWMスイッチは、PWM駆動される。PWM駆動とは、PWMスイッチをパルス幅変調信号に従って周期的にオン及びオフすることを意味する。したがって、PWMスイッチへ出力される駆動信号(以下、「PWM駆動信号」と称する)は、パルス幅変調信号の形態である。
PWM駆動信号のデューティ比(以下、「設定デューティ比DS」と称する)は、制御回路31により算出される。後述するように、本第1実施形態では、制御回路31は、モータ21の駆動開始直後の過渡期では、設定デューティ比DSを、初期値から目標値(以下、「目標デューティ比Dd」と称する)まで徐々に増加させる。制御回路31は、その過渡期における設定デューティ比DSの増加率を、電源電圧に応じて決定及び/または変化させる。初期値はどのように決められてもよい。初期値は例えば0%であってもよいし、0%より大きくてもよい。
制御回路31から駆動回路32へ、PWM駆動信号を含む駆動指令が出力されると、電源電圧が、PWM駆動信号の設定デューティ比DSに応じた周期で、モータ21に印加される。これによりモータ21が駆動される。
2-1-3.モータ制御
制御回路31は、トリガ8が引かれると、モータ21を、方向設定スイッチ10により設定されている回転方向へ回転させる。
具体的には、制御回路31は、トリガ8が引かれると、電源電圧の大きさに応じて目標デューティ比Ddを算出する。本第1実施形態では、モータ21の目標回転速度Rdが予め決められている。目標デューティ比Ddは、その目標回転速度Rdでモータ21を回転させるための、PWM駆動信号のデューティ比に対応する。目標回転速度Rdは、例えばメモリ31bに予め記憶されていてもよい。
ここで、PWM駆動信号の設定デューティ比DSが一定であっても、電源電圧が変化すると、モータ21の回転速度も変化する。具体的には、設定デューティ比DSが一定であっても、電源電圧が低くなるほど、モータ21へ供給される電力が低減して、モータ21の回転速度が低下する。
そこで、本第1実施形態では、電源電圧の大きさによらずモータ21が所定の目標回転速度Rdで回転するように、目標デューティ比Ddが算出される。具体的には、目標デューティ比Ddは、電源電圧の大きさに応じて算出される。より具体的には、電源電圧が低いほど目標デューティ比Ddが高くなるように、目標デューティ比Ddが算出される。このような目標デューティ比Ddを有するPWM駆動信号がPWMスイッチに入力されることで、電源電圧の大きさによらず、モータ21を目標回転速度Rdで回転させることができる。
制御回路31は、PWM駆動信号を出力し始める際(即ちモータ21の駆動開始時)、設定デューティ比DSをはじめから目標デューティ比Ddに設定しない。制御回路31は、まず、設定デューティ比DSを所定の初期値に設定し、その初期値に応じたPWM駆動信号を出力する。そして、制御回路31は、設定デューティ比DSを、初期値から目標デューティ比Ddまで、時間経過に伴って(または時間経過に従って)増加させる。
制御回路31は、さらに、設定デューティ比DSを増加させる際の増加率を、所定の切替条件に従って切り替える。増加率とは、単位時間(例えば1秒)あたりの設定デューティ比DSの増加量を意味する。
制御回路31は、設定デューティ比DSを初期値から増加させる際、まず、設定デューティ比DSの増加率を、第1増加率Pi1に設定する。そして、制御回路31は、設定デューティ比DSを、初期値から、第1増加率Pi1に従って増加させていく。
そして、切替条件が成立した場合、制御回路31は、増加率を、第1増加率Pi1から第2増加率Pi2に切り替える。第2増加率Pi2は、第1増加率Pi1よりも小さい。そのため、増加率が第2増加率Pi2に切り替わることにより、設定デューティ比DSの増加傾向が緩やかになる。
制御回路31は、増加率を第2増加率Pi2に切り替えた後、再び切替条件が成立した場合、増加率を、第2増加率Pi2から第3増加率Pi3に切り替える。第3増加率Pi3は、第2増加率Pi2よりも小さい。そのため、増加率が第3増加率Pi3に切り替わることにより、設定デューティ比DSの増加傾向がさらに緩やかになる。
上記のようなモータ21の制御を実現する制御回路31の構成について、図3を参照してより具体的に説明する。制御回路31によるモータ21の制御は、本第1実施形態では、CPU31aがコンピュータプログラムを実行することによって、つまりソフトウェア処理によって、実現される。コンピュータプログラムは、図7に示すモータ制御処理のプログラムを含む。モータ制御処理は、モータ21の回転を制御する。制御回路31(詳しくはCPU31a)は、モータ制御処理のプログラムを実行することにより、図3に示すように機能、即ち図3に示す制御回路31内の各ブロックとして機能する。
図3に示すように、制御回路31は、トリガ検出部41を備える。トリガ検出部41は、スイッチボックス15からトリガ信号Swを受ける。トリガ検出部41は、トリガ信号Swに基づいて、トリガ8が引かれているか否かを検出する。
制御回路31は、駆動状態管理部42を備える。駆動状態管理部42は、モータ21の状態を管理する。具体的には、駆動状態管理部42は、トリガ検出部41による検出結果から、トリガ8が引かれているか否か判断する。そして、トリガ8が引かれている場合、後述する電圧検出部43、設定デューティ比算出部46及び駆動指令生成部47を作動させて、モータ21を駆動させる。
制御回路31は、前述の電圧検出部43を備える。電圧検出部43は、電圧信号Svを受け、その電圧信号Svに基づいて、電源電圧の大きさを検出する。本第1実施形態では、電圧検出部43は、トリガ8が引かれた場合であって、且つモータ21が駆動される前(即ち駆動指令が出力される前)に、電源電圧の大きさを検出する。つまり、モータ21へまだ電源電圧が印加されていない時の電源電圧の大きさを検出する。
制御回路31は、目標算出部44を備える。目標算出部44は、例えばトリガ8が引かれた場合に、目標デューティ比Ddを算出する。目標算出部44は、電圧検出部43により検出された電源電圧の大きさに基づいて目標デューティ比Ddを算出する。具体的には、目標算出部44は、前述のように、電源電圧の大きさによらずモータ21が所定の目標回転速度Rdで回転するように、目標デューティ比Ddを算出する。より具体的には、目標算出部44は、前述のように、電源電圧が低いほど目標デューティ比Ddが高くなるように、目標デューティ比Ddを算出する。
制御回路31は、条件設定部45を備える。前述の通り、本第1実施形態では、切替条件が成立した場合に、設定デューティ比DSの増加率が切り替わる。条件設定部45は、その切替条件を、電圧検出部43にて検出された電源電圧の大きさに基づいて設定する。具体的には、制御回路31は、1つ以上の規定デューティ比を算出する。切替条件は、設定デューティ比算出部46で算出されている設定デューティ比DSが上記1つ以上の規定デューティ比のそれぞれに到達する度に)、成立する。
本第1実施形態の条件設定部45は、より具体的には、第1規定デューティ比Dp1と第2規定デューティ比Dp2とを算出する。第2規定デューティ比Dp2は第1規定デューティ比Dp1よりも大きい。従って、モータ21の駆動開始後、設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1に到達することで、切替条件が成立する。その後さらに、設定デューティ比DSが第2規定デューティ比Dp2に到達することで、再び切替条件が成立する。
条件設定部45は、さらに、上記1つ以上の規定デューティ比のそれぞれを、電源電圧に応じて変化させる。具体的には、条件設定部45は、図6の右側に例示しているように、上記1つ以上の規定デューティ比(本第1実施形態では、第1,第2規定デューティ比Dp1,Dp2)のそれぞれを、電源電圧が高いほど低くなるように算出する。
上記1つ以上の規定デューティ比はどのように決められてもよい。上記1つ以上の規定デューティ比は、例えば実験的に決められてもよい。例えば、電源電圧が製品仕様上の最大値である場合の回転速度の加速具合を基準加速具合に設定してもよい。そして、電源電圧の大きさにかかわらず加速具合が基準加速具合に一致または略一致するように、上記1つ以上の規定デューティ比の数及び/または上記1つ以上の規定デューティ比それぞれの大きさを、実験的に又はその他の方法で導出してもよい。
制御回路31は、設定デューティ比算出部46を備える。設定デューティ比算出部46は、設定デューティ比DSを算出する。具体的には、設定デューティ比算出部46は、モータ21の駆動開始時に、設定デューティ比DSを初期値に設定する。そして、駆動開始後、設定デューティ比DSを、初期値から目標デューティ比Ddまで、時間経過に伴って増加させる。さらに、設定デューティ比算出部46は、設定デューティ比DSを増加させる過程で切替条件が成立した場合、設定デューティ比DSの増加率を変化させる。具体的には、前述の通り、増加率を、切替条件が満たされた時点の値よりも低い値に切り替える。
なお、設定デューティ比算出部46の機能を換言すれば、次のように表現できる。即ち、設定デューティ比算出部46は、モータ21の回転開始から目標回転速度Rdに到達するまでの回転速度の変化具合が、電源電圧の大きさによらず同一または略同一となるように、設定デューティ比DSを算出する。
制御回路31は、駆動指令生成部47を備える。駆動指令生成部47は、設定デューティ比算出部46で算出された設定デューティ比DSを取得する。駆動指令生成部47は、さらに、回転位置情報を取得する。駆動指令生成部47はさらに、方向設定スイッチ10から方向設定信号Sdを受ける。駆動指令生成部47は、設定デューティ比DS、回転位置情報及び方向設定信号Sdに基づいて、駆動指令を生成し、駆動回路32へ出力する。具体的に、駆動指令生成部47は、回転位置情報に基づいて、モータ21の回転位置(詳しくはロータの回転角度)を検出する。そして、その検出した回転位置に基づき、方向設定信号Sdが示す回転方向へモータ21が回転するように、オン維持スイッチとPWMスイッチを決定し、駆動指令を出力する。このときに出力される駆動指令は、オン保持スイッチへの駆動信号と、PWMスイッチへのPWM駆動信号とを含む。設定デューティ比算出部46で算出された設定デューティ比DSが、PWM駆動信号のデューティ比に設定される。
制御回路31は、計時部48を備える。計時部48は、計測開始タイミングからの経過時間を計測する。計測開始タイミングは、モータ21の駆動が開始されるタイミングに対応する。具体的には、計測開始タイミングは、例えば、トリガ検出部41によってトリガ8の操作が検出された時であってもよい。また例えば、計測開始タイミングは、駆動指令生成部47が駆動回路32へ駆動指令を出力した時(換言すればモータ21を駆動するように制御回路31が駆動回路32へ指令した時)であってもよい。
2-1-4.駆動開始後の動作例
モータ21の駆動が開始されてから回転速度が目標回転速度Rdに到達するまでの初期(過渡期)のモータ21の動作例について、図4~図6を参照して説明する。
まず、本開示の特徴の理解を促すために、参考例として、設定デューティ比DSの増加率が固定されている場合のモータ21の動作例を、図4を参照して説明する。図4は、一例として、電源電圧Vbの値がVbLの場合の動作例と、電源電圧Vbの値がVbHの場合の動作例とを示している。VbHはVbLよりも大きい。VbHは、例えば、電動工具1の仕様上定められている電源電圧の最大値(最大仕様電圧)であってもよい。VbLは、例えば、電動工具1の仕様上定められている電源電圧の最小値(最小仕様電圧)であってもよい。図4において、Rdは目標回転速度Rdを示す。
なお、電源電圧Vbの値が最大仕様電圧VbHを超えてもモータ21が駆動されるように構成されていてもよいし、電源電圧Vbの値が最大仕様電圧VbHを超えている場合はモータ21が駆動されないように構成されていてもよい。電源電圧Vbの値が最小仕様電圧VbL未満である場合についても同様である。
電源電圧VbがVbHである場合、目標デューティ比Ddとして、DdHが算出され、設定される。電源電圧VbがVbLである場合、目標デューティ比Ddとして、DdLが算出され、設定される。DdLはDdHよりも小さい。つまり、電源電圧Vbの大きさによらず同じ目標回転速度Rdでモータ21が回転するように、目標デューティ比Ddが算出される。
そして、時刻t1でモータ21の駆動が開始されると、時刻t1で設定デューティ比DSに初期値が設定される。そして、設定デューティ比DSは、初期値から目標デューティ比Ddまで、一定の増加率で増加していく。設定デューティ比DSの増加に伴い、モータ21の回転速度も上昇していく。なお、図4における右側には、設定デューティ比DSが目標デューティ比Ddに到達した後の時刻t2近傍における、PWM駆動信号の波形とモータ電流の波形とが簡略的に示されている。「モータ電流」とは、モータ21に流れる電流である。
電源電圧Vbが高いほど、目標デューティ比Ddは低くなる。そのため、図4における右側に例示しているように、電源電圧Vbが高いと、PWMスイッチがオフされる期間中に、モータ電流がゼロになる期間が生じ得る。つまり、電源電圧Vbが高いと、モータ電流がゼロになる期間がPWM周期で繰り返し発生し得る。
これに対し、電源電圧Vbが低いほど、目標デューティ比Ddが高くなる。そのため、図4における右側に例示しているように、電源電圧Vbが低いと、PWMスイッチがオフされる期間中も、モータ電流は低下するもののゼロにならない。
そのため、図4に例示するように、モータ21の駆動開始後の過渡期の回転速度は、電源電圧Vbが高い場合に比べて電源電圧Vbが低い場合の方がより急激に上昇する。つまり、駆動開始後の過渡期の加速具合は、電源電圧Vbの大きさに起因してばらつく。電源電圧Vbが低い場合よりも高い場合の方が回転速度の立ち上がりが遅い主な原因は、モータ電流が断続的に流れることにある。
なお、駆動開始直後(時刻t1の直後)は、モータ21に加わる負荷が大きいため、モータ電流も大きくなる。そのため、設定デューティ比DSは小さいものの、モータ電流は連続的に流れる。そのため、駆動開始直後は、電源電圧Vbの大きさに起因するモータ21の加速具合のばらつきは小さいか若しくはほとんど生じない。
本第1実施形態は、このような過渡期の加速具合のばらつきを抑制可能な第1の方法を提案している。第1の方法は、前述の、設定デューティ比DSが規定デューティ比Dpに到達した場合に設定デューティ比DSの増加率を低減することを含む。
具体的には、図5に例示するように、1つ以上の規定デューティ比Dpを設定する。図5は、第1,第2規定デューティ比Dp1,Dp2が設定されている例を示している。なお、本第1実施形態では、上記1つ以上の規定デューティ比Dpは、例えば、電源電圧Vbが最大仕様電圧(例えばVbH)のときに設定される目標デューティ比DdHと電源電圧Vbが最小仕様電圧(例えばVbL)のときに設定される目標デューティ比DdLとの間の範囲内で設定される。
図5は、電源電圧Vbの値がVbL、VbHの場合の動作例に加えて、電源電圧Vbの値がVbMの場合の動作例も示されている。VbMは、VbHより小さく且つVbLより大きい。電源電圧VbがVbMである場合、目標デューティ比Ddとして、DdMが算出され、設定される。DdMは、DdHより小さく且つDdLより大きい。つまり、電源電圧がVbMのときも同じ目標回転速度Rdでモータ21が回転するように、目標デューティ比DdMが算出される。
図5の例では、時刻t11で駆動開始後、設定デューティ比DSが、初期値から、第1増加率pi1に従って増加していく。電源電圧VbがVbHである場合の設定デューティ比DS及び回転速度の変化具合は図4と同じである。
一方、電源電圧VbがVbLである場合、時刻t12で、設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1に到達する。これにより、設定デューティ比DSの増加率が、第1増加率Pi1から第2増加率Pi2に低減される。つまり、時刻t12を境に、設定デューティ比DSの増加具合が緩やかになる。そして、時刻t14で、設定デューティ比DSが第2規定デューティ比Dp2に到達する。これにより、設定デューティ比DSの増加率が、第2増加率Pi2から第3増加率Pi3にさらに低減される。つまり、時刻t14を境に、設定デューティ比DSの増加具合がさらに緩やかになる。そして、時刻t15で、目標デューティ比DdLに到達する。この結果、図5に例示するように、過渡期の回転速度は、電源電圧VbがVbHの場合とVbLの場合とで一致またはほぼ一致する。つまり、電源電圧の大きさに起因する加速具合のばらつきが低減される。
ただし、電源電圧VbがVbMの場合は、加速具合が異なる。電源電圧VbがVbMである場合、時刻t12で、設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1に到達し、増加率が、第1増加率Pi1から第2増加率Pi2に低減される。その後、時刻t13で、設定デューティ比DSが、目標デューティ比DdMに到達する。
このように、第1の方法によって、電源電圧の大きさに起因する加速具合のばらつきを抑制することは可能である。しかし、さらなる改善の余地はある。そこで、本第1実施形態は、加速具合のばらつきをより抑制するための第2の方法をさらに提案している。第1,第2の方法を採用することで、加速具合のばらつきをより抑制できる。第2の方法は、前述の、規定デューティ比Dpを電源電圧に応じて変化させることを含む。
具体的には、図6に例示するように、第1,第2規定デューティ比Dp1,Dp2それぞれ、電源電圧Vbが高いほど低くなるように設定する。即ち、第1規定デューティ比Dp1について、電源電圧VbがVbHの場合はDp1Hに設定され、電源電圧VbがVbMの場合はDp1Mに設定され、電源電圧VbがVbLの場合はDp1Lに設定される。Dp1MはDp1Hより大きく、Dp1LはDp1Mより大きい。第2規定デューティ比Dp2についても、電源電圧VbがVbHの場合はDp2Hに設定され、電源電圧VbがVbMの場合はDp2Mに設定され、電源電圧VbがVbLの場合はDp2Lに設定される。Dp2MはDp2Hより大きく、Dp2LはDp2Mより大きい。
これにより、図6の例においては、電源電圧Vbが高いほど、第1規定デューティ比Dp1に到達するタイミングも早くなる。電源電圧Vbが高いほど、第2規定デューティ比Dp2に到達するタイミングも早くなる。
例えば、電源電圧VbがVbLの場合、時刻t23で設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1Lに到達し、時刻25で設定デューティ比DSが第2規定デューティ比Dp2Lに到達し、時刻t27で設定デューティ比DSが目標デューティ比DdLに到達する。これに対し、電源電圧VbがVbMの場合、時刻t22で設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1Mに到達し、時刻24で設定デューティ比DSが第2規定デューティ比Dp2Mに到達し、時刻t26で設定デューティ比DSが目標デューティ比DdMに到達する。時刻t22は時刻t23よりも前であり、時刻t24は時刻t25よりも前である。つまり、電源電圧Vbが高くなるほど、設定デューティ比DSの増加率が切り替わる(つまり増加率が低減される)タイミングが早くなる。
この結果、図6に例示するように、過渡期の回転速度は、電源電圧VbがVbH,VbM,VbLのいずれの場合も互いに一致またはほぼ一致する。つまり、電源電圧の大きさに起因する加速具合のばらつきがより低減される。
規定デューティ比Dpは、どのような方法で設定されてもよい。制御回路31は、例えば、規定デューティ比Dpと電源電圧Vbの値との対応関係を表す数式又はテーブルを備えていてもよい。そして、制御回路31は、電圧検出部43にて検出された電源電圧Vbの値を当該数式に代入して規定デューティ比Dpを算出、若しくはテーブルを参照して当該値に対応した規定デューティ比Dpを取得してもよい。
規定デューティ比Dpは、電源電圧Vbの値が最大仕様電圧VbHを超えている場合、及び/または電源電圧Vbの値が最小仕様電圧VbL未満の場合も、設定されてもよい。
例えば、図6における右側の、電源電圧Vbと規定デューティ比Dpとの対応関係を表すグラフにおいて、電源電圧Vbが最大仕様電圧VbHを超えても第1規定デューティ比Dp1及び第2規定デューティ比Dp2共に連続的に変化(即ち低下)していってもよい。電源電圧Vbが最小仕様電圧VbL未満の領域においても、第1規定デューティ比Dp1及び第2規定デューティ比Dp2共に連続的に変化(即ち増加)していってもよい。
あるいは、電源電圧Vbが最大仕様電圧VbHを超えた範囲では、規定デューティ比Dpは、電源電圧Vbが最大仕様電圧VbHのときの規定デューティ比Dp(Dp1HまたはDp2H)に維持されてもよい。同様に、電源電圧Vbが最小仕様電圧VbL未満の範囲では、規定デューティ比Dpは、電源電圧Vbが最小仕様電圧VbLのときの規定デューティ比Dp(Dp1LまたはDp2L)に維持されてもよい。
2-1-5.モータ制御処理
上記のような動作が実現されるために制御回路31(詳しくはCPU31a)により実行されるモータ制御処理について、図7を参照して説明する。制御回路31は、起動すると、モータ制御処理を実行する。
制御回路31は、モータ制御処理を開始すると、S110で、トリガスイッチ15aがオンされているか否か(ひいてはトリガ8が手動されているか否か)を判断する。S110の処理は、トリガ検出部41により実行される処理に対応する。トリガスイッチ15aがオフされている間は、制御回路31は、S110の処理を繰り返す。
トリガスイッチ15aがオフされている場合は、制御回路31は、S120で、電源電圧の大きさを取得する。つまり、モータ21を駆動する前に、電源電圧の大きさを取得する。S120の処理は、電圧検出部43により実行される処理に対応する。
S130では、制御回路31は、S120で取得された電源電圧の大きさに基づいて、制御パラメータを算出する。S130で算出される制御パラメータは、目標デューティ比Ddと、第1規定デューティ比Dp1と、第2規定デューティ比Dp2とを含む。S130の処理は、目標算出部44及び条件設定部45により実行される処理に対応する。
S140では、制御回路31は、設定デューティ比DSを、初期値に設定する。S140の処理は、設定デューティ比算出部46により実行される処理に対応する。
S150では、制御回路31は、モータ21の駆動を開始する。具体的には、S140で設定された設定デューティ比DSを有するPWM駆動信号を含む駆動指令を駆動回路32へ出力して、モータ21の駆動を開始する。
S160では、制御回路31は、トリガスイッチ15aがオフされたか否か判断する。トリガスイッチ15aがオフされた場合は、制御回路31は、S170で、モータ21の駆動を停止する。具体的には、例えば、駆動指令の出力を停止する。S170の処理後は本処理はS110に移行する。
S160で、トリガスイッチ15aがオンされている場合は、制御回路31は、S180で、現在算出されている設定デューティ比DSが目標デューティ比Dd未満か否か判断する。設定デューティ比DSが目標デューティ比Ddに到達している場合は、制御回路31は、S240で、設定デューティ比DSを目標デューティ比Ddに設定する。つまり、設定デューティ比DSが目標デューティ比Ddに到達している状態を維持する。S240の処理後は本処理はS160に移行する。
S180で、設定デューティ比DSが目標デューティ比Dd未満である場合は、制御回路31は、S190で、現在算出されている設定デューティ比DSが第2規定デューティ比Dp2未満であるか否か判断する。設定デューティ比DSが第2規定デューティ比Dp2以上である場合は、制御回路31は、S230で、第3増加率Pi3に従って設定デューティ比DSを増加させる。S230の処理後は本処理はS160に移行する。
S190で、設定デューティ比DSが第2規定デューティ比Dp2未満である場合は、制御回路31は、S200で、現在算出されている設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1未満であるか否か判断する。設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1以上である場合は、制御回路31は、S220で、第2増加率Pi2に従って設定デューティ比DSを増加させる。S220の処理後は本処理はS160に移行する。
S200で、設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1未満である場合は、制御回路31は、S210で、第1増加率Pi1に従って設定デューティ比DSを増加させる。S210の処理後は本処理はS160に移行する。
このようなモータ制御処理が実行されることで、駆動開始後の過渡期において、図6に例示したようにモータ21が制御される。これにより、電源電圧Vbの大きさに起因する加速具合のばらつきが抑制される。
2-1-7.用語の対応
駆動指令生成部47は、実施形態の総括における駆動信号生成部の一例に相当する。トリガ8は、実施形態の総括における手動スイッチの一例に相当する。
2-2.第2実施形態
第2実施形態では、切替条件の別の例を、図8及び図9を参照して説明する。第2実施形態の電動工具1は、切替条件を除き、第1実施形態の電動工具1と基本的に同様に構成されている。
本第2実施形態では、切替条件は、計時部48で計測される、計測開始タイミングからの経過時間が、1つ以上の規定時間Tpのそれぞれに到達する度に、成立する。具体的には、第2実施形態では、条件設定部45は、第1規定時間Tp1と第2規定時間Tp2とを算出する。第2規定時間Tp2は第1規定時間Tp1よりも長い。従って、モータ21の駆動開始後、計測されている経過時間が第1規定時間Tp1に到達することで、切替条件が成立する。その後さらに、計測されている経過時間が第2規定時間Tp2に到達することで、再び切替条件が成立する。
本第2実施形態の条件設定部45は、さらに、上記1つ以上の規定時間Tpのそれぞれを、電源電圧に応じて変化させる。具体的には、条件設定部45は、図8の右側に例示しているように、上記1つ以上の規定時間Tp(本第2実施形態では、第1,第2規定時間Tp1,Tp2)のそれぞれを、電源電圧が高いほど短くなるように算出する。上記1つ以上の規定時間Tpはどのように決められてもよい。上記1つ以上の規定時間Tpは、例えば、第1実施形態の規定デューティ比Dpと同様に、実験的に決められてもよい。
第2実施形態のモータ21の動作例について、図8を参照して説明する。図8に例示するように、第1,第2規定時間Tp1,Tp2それぞれ、電源電圧Vbが高いほど短くなるように設定する。即ち、第1規定時間Tp1について、電源電圧VbがVbHの場合はTp1Hに設定され、電源電圧VbがVbMの場合はTp1Mに設定され、電源電圧VbがVbLの場合はTp1Lに設定される。Tp1MはTp1Hより長く、Tp1LはTp1Mより長い。第2規定時間Tp2についても、電源電圧VbがVbHの場合はTp2Hに設定され、電源電圧VbがVbMの場合はTp2Mに設定され、電源電圧VbがVbLの場合はTp2Lに設定される。Tp2MはTp2Hより長く、Tp2LはTp2Mより長い。
これにより、図8の例においては、電源電圧Vbが高いほど、計測開始タイミングt31から第1規定時間Tp1が経過するタイミングも早くなる。電源電圧Vbが高いほど、計測開始タイミングt31から第2規定時間Tp2が経過するタイミングも早くなる。
例えば、電源電圧VbがVbLの場合、時刻t34で第1規定時間Tp1Lが経過し、時刻36で第2規定時間Tp2Lが経過する。時刻t34では、設定デューティ比DSの増加率が、第1増加率Pi1から第2増加率Pi2に切り替わる。時刻t36では、増加率が、第2増加率Pi2から第3増加率Pi3に切り替わる。
これに対し、電源電圧VbがVbMの場合、時刻t33で第1規定時間Tp1Mが経過し、時刻35で第2規定時間Tp2Mが経過する。時刻t33では、設定デューティ比DSの増加率が、第1増加率Pi1から第2増加率Pi2に切り替わる。時刻t35では、増加率が、第2増加率Pi2から第3増加率Pi3に切り替わる。
時刻t33は時刻t34よりも前であり、時刻t35は時刻t36よりも前である。つまり、電源電圧Vbが高くなるほど、設定デューティ比DSの増加率が切り替わる(つまり増加率が低減される)タイミングが早くなる。
この結果、図8に例示するように、過渡期の回転速度は、電源電圧VbがVbH,VbM,VbLのいずれの場合も互いに一致またはほぼ一致する。つまり、第1実施形態と同様に、電源電圧の大きさに起因する加速具合のばらつきがより低減される。
図8に例示したような動作が実現されるために第2実施形態の制御回路31により実行されるモータ制御処理について、図9を参照して説明する。図9において、第1実施形態のモータ制御処理(図7参照)と同じ処理には図7と同じ符号を付し、その詳細説明を省略する。
図9のモータ制御処理において、制御回路31は、S120で電源電圧の大きさを取得した後、S135に移行する。S135では、制御回路31は、S120で取得された電源電圧の大きさに基づいて、制御パラメータを算出する。S135で算出される制御パラメータは、目標デューティ比Ddと、第1規定時間Tp1と、第2規定時間Tp2とを含む。S135の処理は、目標算出部44及び条件設定部45により実行される処理に対応する。S135の処理後、制御回路31はS140に移行する。
制御回路31は、S140で設定デューティ比DSを初期値に設定した後、S155に移行する。S155では、制御回路31は、計時部48による計時を開始する。つまり、このS155の実行タイミングが前述の計測開始タイミングに対応し、その計測開始タイミングからの経過時間の計測を開始する。S155ではさらに、図7のS150と同様に、モータ21の駆動を開始する。
制御回路31は、S180で、現在算出されている設定デューティ比DSが目標デューティ比Dd未満である場合は、S195に移行する。S195では、制御回路31は、計測開始からの経過時間TEが第2規定時間Tp2未満であるか否か判断する。経過時間TEが第2規定時間Tp2以上である場合は、制御回路31は、S230で、第3増加率Pi3に従って設定デューティ比DSを増加させる。経過時間TEが第2規定時間Tp2未満である場合は、制御回路31は、S205に移行する。
S205では、制御回路31は、経過時間TEが第1規定時間Tp1未満であるか否か判断する。経過時間TEが第1規定時間Tp1以上である場合は、制御回路31は、S220で、第2増加率Pi2に従って設定デューティ比DSを増加させる。経過時間TEが第1規定時間Tp1未満である場合は、制御回路31は、S210で、第1増加率Pi1に従って設定デューティ比DSを増加させる。
このようなモータ制御処理が実行されることで、駆動開始後の過渡期において、図8に例示したようにモータ21が制御される。これにより、第1実施形態と同様に、電源電圧Vbの大きさに起因する加速具合のばらつきが抑制される。
2-3.第3実施形態
第3実施形態では、第1実施形態に対してさらに第3の方法を追加することを提案する。第3の方法は、具体的には、第1~第3増加率Pi1~Pi3のうちの少なくとも1つを電源電圧Vbの大きさに応じて変化させることを含む。本第3実施形態では、第1~第3増加率Pi1~Pi3の全てが、電源電圧Vbの大きさに応じて可変設定される。
そのため、本第3実施形態の制御回路31は、図10に示すように、増加率算出部51をさらに備えている。増加率算出部51は、電圧検出部43にて検出された電源電圧Vbの大きさに基づいて、第1~第3増加率Pi1~Pi3を算出する。具体的には、増加率算出部51は、図11における下部に例示しているように、第1~第3増加率Pi1~Pi3のそれぞれを、電源電圧Vbが高いほど低い増加率になるように算出する。
第1~第3増加率Pi1~Pi3は、電源電圧Vbの大きさに基づいて具体的にどのように算出されてもよい。例えば、増加率Piと電源電圧Vbとの積が、電源電圧Vbの大きさにかかわらず一定の値になるように、増加率Piが算出されてもよい。
このような第3実施形態のモータ21の動作例を、図11を参照して説明する。図11の動作例は、第1~第3増加率Pi1~Pi3がそれぞれ電源電圧Vbによって異なることを除き、基本的には図6に示した第1実施形態の動作例と同じである。
例えば、時刻t41の駆動開始後の第1増加率Pi1は、電源電圧Vbによって異なる。具体的には、電源電圧Vbが高いほど第1増加率Pi1は低くなる。
そして、例えば電源電圧VbがVbLの場合、時刻t43で設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1Lに到達する。これにより、設定デューティ比DSの増加率は第2増加率Pi2に切り替わるが、この第2増加率Pi2も、電源電圧Vbに応じて異なる。その後さらに時刻45で設定デューティ比DSの増加率が第3増加率Pi3に切り替わるが、この第3増加率Pi3も、電源電圧Vbに応じて異なる。
また、電源電圧VbがVbMの場合、時刻t42で設定デューティ比DSが第1規定デューティ比Dp1Mに到達する。これにより、設定デューティ比DSの増加率は第2増加率Pi2に切り替わるが、この第2増加率Pi2も、電源電圧Vbに応じて異なる。具体的には、電源電圧VbがVbLの場合の第2増加率Pi2よりも低い増加率が算出される。その後さらに時刻t44で設定デューティ比DSの増加率が第3増加率Pi3に切り替わるが、この第3増加率Pi3も、電源電圧Vbに応じて異なる。具体的には、電源電圧VbがVbLの場合の第3増加率Pi3よりも低い第3増加率Pi3が算出される。
この結果、図11では図示を省略したが、過渡期の回転速度のばらつきは、図6に示した回転速度のばらつきよりもより低減される。
図11に例示したような動作が実現されるために第3実施形態の制御回路31により実行されるモータ制御処理について、図12を参照して説明する。図12において、第1実施形態のモータ制御処理(図7参照)と同じ処理には図7と同じ符号を付し、その詳細説明を省略する。
図12と図7を比較して明らかなように、図12のモータ制御処理が図7と異なるのは、図7のS130の処理に代えてS137の処理が実行されることである。即ち、本第第3実施形態の制御回路31は、S120で電源電圧の大きさを取得した後、S137に移行する。S137では、制御回路31は、制御パラメータを算出する。具体的には、目標デューティ比Ddと、第1規定デューティ比Dp1と、第2規定デューティ比Dp2とに加えて、さらに、第1~第3増加率Pi1~Pi3を算出する。制御回路31は、第1~第3増加率Pi1~Pi3を、S120で取得された電源電圧の大きさに基づいて算出する。このS137で算出された第1~第3増加率Pi1~Pi3が、S210,S220,S230でそれぞれ用いられる。
なお、この第3実施形態で追加された第3の方法は、第2実施形態に追加することも可能である。
2-4.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)第1,第2実施形態では、設定デューティ比DSの増加率が、最大で2段階に切り替えられた。しかし、増加率の切り替えは最大で1段階行われてもよいし、最大で3段階以上行われてもよい。
具体的には、第1実施形態において、例えば、規定デューティ比Dpが1つのみ設定されていてもよい。この場合、設定デューティ比DSの増加率は、最大で1回切り替わる。また例えば、規定デューティ比Dpが3つ以上設定されていてもよい。この場合、設定デューティ比DSの増加率は、最大で規定デューティ比Dpの設定数だけ切り替わる。
第2実施形態においては、例えば、規定時間Tpが1つのみ設定されていてもよい。この場合、設定デューティ比DSの増加率は、最大で1回切り替わる。また例えば、規定時間Tpが3つ以上設定されていてもよい。この場合、設定デューティ比DSの増加率は、最大で規定時間の設定数だけ切り替わる。
(2)上記各実施形態では、目標回転速度Rdが予め決められていた。しかし、目標回転速度Rdは、トリガ8の引き量に応じて可変設定されてもよい。
例えば、電動工具1は、トリガ8の引き量を示す信号を出力する回路を備えていてもよい。制御回路31は、当該回路からの信号に基づいてトリガ8の引き量を検出してもよい。制御回路31は、検出した引き量に応じて目標回転速度Rdを設定してもよい。具体的には、例えば、引き量が大きくなるに従って目標回転速度Rdが高くなるように、目標回転速度Rdを設定してもよい。
(3)電圧検出部43は、電源電圧の大きさを随時(例えば制御周期で周期的に)検出してもよい。そして、目標算出部44や条件設定部45は、電源電圧の大きさが新たに検出される度に、その新たな電源電圧の大きさに基づいて目標デューティ比Ddを再計算したり、条件設定をやり直したりしてもよい。
(4)本開示は、モータを備え且つ駆動開始後の過渡期の設定デューティ比DSを時間経過に伴って増加させるように構成されたあらゆる電動工具に適用可能である。例えば、本開示は、石工用、金工用、木工用の電動工具などに適用可能である。本開示を適用可能な電動工具の例は、より具体的には、電動インパクトレンチ、電動ハンマ、電動ハンマドリル、電動ドリル、電動レンチ、電動グラインダ、電動マルノコ、電動レシプロソー、電動ジグソー、電動ハンマ、電動カッター、電動チェンソー、電動カンナ、電動釘打ち機(鋲打ち機を含む)などを含む。
(5)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
1…電動工具、3a…バッテリ、7…チャックスリーブ、8…トリガ、15a…トリガスイッチ、21…モータ、22…駆動機構、31…制御回路、31a…CPU、31b…メモリ、32…駆動回路、33…制御電源回路、35…電圧信号出力回路、36…回転センサ、41…トリガ検出部、42…駆動状態管理部、43…電圧検出部、44…目標算出部、45…条件設定部、46…設定デューティ比算出部、47…駆動指令生成部、48…計時部、51…増加率算出部。

Claims (18)

  1. モータと、
    電源電圧、及び設定デューティ比を有する駆動信号が入力され、前記駆動信号の前記設定デューティ比に応じた周期で前記電源電圧を前記モータへ印加することにより前記モータを駆動するように構成された駆動回路と、
    前記電源電圧の大きさを検出するように構成された電圧検出部と、
    所定の目標回転速度で前記モータを回転させるための前記設定デューティ比の目標値である目標デューティ比を、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて算出するように構成された目標算出部と、
    前記設定デューティ比を所定の初期値から前記目標デューティ比まで時間経過に伴って増加させるように構成され、前記設定デューティ比の増加率を、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに応じて変化させるように構成された、設定デューティ比算出部と、
    を備える電動工具。
  2. 請求項1に記載の電動工具であって、
    前記設定デューティ比算出部は、前記増加率を切り替えるべき切替条件が満たされた場合に、前記増加率を、当該切替条件が満たされた時の前記増加率よりも低い値に切り替えるように構成されている、電動工具。
  3. 請求項2に記載の電動工具であって、
    さらに、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに応じて前記切替条件を設定するように構成された条件設定部を備える、電動工具。
  4. 請求項2または請求項3に記載の電動工具であって、
    前記切替条件は、算出されている前記設定デューティ比が、1つ以上の規定デューティ比のそれぞれに到達する度に、成立する、電動工具。
  5. 請求項3に記載の電動工具であって、
    前記条件設定部は、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて1つ以上の規定デューティ比を算出するように構成されており、
    前記切替条件は、算出されている前記設定デューティ比が、算出された前記1つ以上の規定デューティ比のそれぞれに到達する度に、成立する、
    電動工具。
  6. 請求項5に記載の電動工具であって、
    前記条件設定部は、前記1つ以上の規定デューティ比のそれぞれを、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧が高いほど低くなるように算出するように構成されている、電動工具。
  7. 請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の電動工具であって、
    前記1つ以上の規定デューティ比は、少なくとも2つの規定デューティ比を含む、電動工具。
  8. 請求項2または請求項3に記載の電動工具であって、
    前記切替条件は、所定の計測開始タイミングから、1つ以上の規定時間のそれぞれが経過する度に成立し、
    前記計測開始タイミングは、前記モータを駆動すべき駆動条件が満たされたことに応じて到来する、
    電動工具。
  9. 請求項3に記載の電動工具であって、
    前記条件設定部は、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて1つ以上の規定時間を算出するように構成されており、
    前記切替条件は、所定の計測開始タイミングから、算出された前記1つ以上の規定時間のそれぞれが経過する度に成立し、
    前記計測開始タイミングは、前記モータを駆動すべき駆動条件が満たされたことに応じて到来する、
    電動工具。
  10. 請求項9に記載の電動工具であって、
    前記条件設定部は、前記1つ以上の規定時間のそれぞれを、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧が高いほど短くなるように算出するように構成されている、電動工具。
  11. 請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の電動工具であって、
    前記電動工具の使用者により手動操作されるように構成された手動スイッチを備え、
    前記駆動条件は、前記使用者により前記手動スイッチが手動操作されたことに応じて満たされる、
    電動工具。
  12. 請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の電動工具であって、
    前記1つ以上の規定時間は、少なくとも2つの規定時間を含む、電動工具。
  13. 請求項2~請求項12のいずれか1項に記載の電動工具であって、
    さらに、前記初期値からの前記増加率、及び/または前記切替条件が満たされた場合における切り替え後の前記増加率を、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに応じて算出するように構成された、増加率算出部を備える、電動工具。
  14. 請求項13に記載の電動工具であって、
    前記増加率算出部は、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧が高いほど低くなるように前記増加率を算出するように構成されている、電動工具。
  15. 請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の電動工具であって、
    前記電圧検出部は、前記駆動回路により前記モータが駆動される前の前記電源電圧の大きさを検出するように構成されている、電動工具。
  16. 請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の電動工具であって、
    さらに、算出された前記設定デューティ比を有する前記駆動信号を生成して前記駆動回路へ出力するように構成された駆動信号生成部を備える、電動工具。
  17. モータと、
    電源電圧、及び設定デューティ比を有する駆動信号が入力され、前記駆動信号の前記設定デューティ比に応じた周期で前記電源電圧を前記モータへ印加することにより前記モータを駆動するように構成された駆動回路と、
    前記電源電圧の大きさを検出するように構成された電圧検出部と、
    所定の目標回転速度で前記モータを回転させるための前記設定デューティ比の目標値である目標デューティ比を、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて算出するように構成された目標算出部と、
    前記モータが回転し始めてから前記モータの回転速度が前記目標回転速度に到達するまでの前記回転速度の変化過程が、前記電源電圧の大きさによらず同一または略同一となるように、前記電圧検出部にて検出された前記電源電圧の大きさに基づいて、前記設定デューティ比を所定の初期値から前記目標デューティ比まで時間経過に伴って増加させるように構成された、設定デューティ比算出部と、
    を備える電動工具。
  18. 電動工具におけるモータの制御方法であって、
    所定の目標回転速度で前記モータを回転させるためのデューティ比の目標値を、前記モータへ印加される電源電圧の大きさに基づいて算出することと、
    前記デューティ比を所定の初期値から前記目標値まで時間経過に伴って増加させ、その増加させる際の増加率を前記電源電圧の大きさに応じて変化させることと、
    前記デューティ比に従って前記モータを駆動することと、
    を備える、電動工具におけるモータの制御方法。
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