JP2024059239A - ロープグラブ機構をブレーキとして用いる自走式昇降装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自走式昇降装置の重量が重い場合でも十分な制動力を容易に得る。【解決手段】鉛直方向又は鉛直方向に対して傾斜する方向に延びる細長の経路部材100の長手方向に沿って昇降する自走式昇降装置であって、所定の回転軸61bの回りで回転する回転部材61の挟持部分61aと受け部材62とで前記経路部材を挟持することにより、当該自走式昇降装置を制動させる制動部6を有し、前記回転部材は、当該自走式昇降装置が下降方向へ移動するときに前記挟持部分が前記経路部材に連れ回る正転方向Fへ回転すると、該挟持部分と前記受け部材との距離が近づくように構成されている。【選択図】図6

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和4年2月12日に、神奈川大学工学部の2021年度機械工学科卒業研究審査にて発表 (2)令和4年3月に、「令和三年度修士論文概要集 卒業論文・卒業設計概要集」(令和4年3月,第115~116頁,神奈川大学大学院工学研究科工学専攻機械工学領域、神奈川大学機械工学科)にて発表 (3)令和4年5月6日に、神奈川大学のウェブサイトにて発表 (4)令和4年5月25日に、YouTubeのウェブサイトにて発表 (5)令和4年6月25日に、高大連携事業 附属学校「一日神大生」特別講義にて発表 (6)令和4年9月18日に、「新潟工科大学2020+2開学25周年事業『宇宙エレベータークライマーチャレンジ』及び関連イベント」にて発表
本発明は、鉛直方向又は鉛直方向に対して傾斜する方向に延びるワイヤーロープ、ベルト、テザーなどの細長の経路部材の長手方向に沿って昇降する自走式昇降装置に関するものである。
自走式昇降装置としては、例えば、特許文献1に開示されている昇降装置が知られている。この昇降装置は、断面円形状のワイヤーロープ(経路部材)を駆動ローラ(駆動回転体)と従動ローラ(従動回転体)とで挟持するローラ対を4対備え、各ローラ対の駆動ローラを回転駆動させることで、ワイヤーロープに沿って昇降する。4つの駆動ローラは第1走行体フレームに支持され、4つの従動ローラは第2走行体フレームに支持され、第1走行体フレームと第2走行体フレームは蝶番部材によって接続されている。昇降装置をワイヤーロープにセットする際には、これらのフレームを蝶番部材によって展開し、各駆動ローラと各従動ローラとの間にワイヤーロープを配置し、その後、両フレームを閉じることにより各ローラ対でワイヤーロープを挟持する。
特開2015-104188号公報
自走式昇降装置には、下降方向への進行中に減速するため、あるいは、上昇方向への進行中又は静止中に下降方向へ移動してしまうのを阻止するため、下降方向へ移動中の自走式昇降装置を制動させる制動部が設けられている。従来の制動部は、経路部材に当接するローラの回転を停止させることで当該自走式昇降装置を制動させるものであるため、当該ローラと経路部材との間に発生する摩擦力を十分に確保する必要がある。しかしながら、自走式昇降装置の重量が重い場合には、必要な摩擦力を確保することが難しく、制動力が不足する状況になりやすい。
本発明は、鉛直方向又は鉛直方向に対して傾斜する方向に延びる細長の経路部材の長手方向に沿って昇降する自走式昇降装置であって、所定の回転軸の回りで回転する回転部材の挟持部分と受け部材とで前記経路部材を挟持することにより、当該自走式昇降装置を制動させる制動部を有し、前記回転部材は、当該自走式昇降装置が下降方向へ移動するときに前記挟持部分が前記経路部材に連れ回る正転方向へ回転すると、該挟持部分と前記受け部材との距離が近づくように構成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る自走式昇降装置における制動部は、所定の回転軸の回りで回転する回転部材の挟持部分と受け部材とで経路部材を挟持することにより、当該自走式昇降装置を制動させるものである。この制動部の回転部材は、当該自走式昇降装置が下降方向へ移動するときに当該回転部材の挟持部分が経路部材に連れ回る回転方向(正転方向)へ回転すると、当該挟持部分と受け部材との距離が近づくように構成されている。この構成によれば、自走式昇降装置が下降方向へ移動するのを制動させるとき、経路部材に接触している回転部材の挟持部分と経路部材との摩擦力の作用によって、回転部材が経路部材に連れ回って正転方向へ回転する。この正転方向への連れ回り回転により、回転部材の挟持部分と受け部材との距離が近づくので、当該挟持部分と受け部材との当接圧が高まり、当該挟持部分と経路部材との摩擦力が高まる。この構成によれば、自走式昇降装置の重量が重いほど、回転部材が正転方向へ連れ回り回転する回転モーメントが大きくなり、回転部材の挟持部分と受け部材との当接圧が高まる。そのため、自走式昇降装置の重量が重いほど、回転部材の挟持部分と受け部材との摩擦力が高くなり、より大きな制動力を得ることができる。したがって、自走式昇降装置の重量が重い場合の制動力を従来よりも容易に得ることができる。
前記制動部は、自走式昇降装置が上昇方向へ進行しているときに自走式昇降装置の速度を減速させる減速装置として使用することもできるし、自走式昇降装置が上昇方向への進行中又は自走式昇降装置の静止中に自走式昇降装置が下降方向へ移動してしまうのを阻止する緊急停止装置として使用することもできる。前記制動部は、高い制動力を発揮できるものの、制動力を動的に調整するには相応の追加構成が必要となるため、制動力の動的な調整が求められる減速装置として使用する場合よりも、制動力の動的な調整が必要なく、高い制動力が求められる緊急停止装置として使用する場合の方が、有益である。
前記自走式昇降装置において、前記制動部は、所定の緊急停止条件を満たしたとき、前記回転部材を前記正転方向に回転駆動させる駆動部を備えてもよい。
前記制動部は、自走式昇降装置の駆動系に不具合が生じたり、経路部材に沿って滑り落ち得る状況になったりするなど、自走式昇降装置を緊急停止させるべき所定の緊急停止条件が満たされたときに、自走式昇降装置を緊急停止させる緊急停止装置として使用される。しかも、所定の緊急停止条件が満たされたとき、回転部材が駆動部によって正転方向へ回転駆動されるので、回転部材と経路部材との確実な接触を確保でき、回転部材が経路部材に連れ回って回転するのに必要な最低限の摩擦力を得ることができる。その結果、所定の緊急停止条件が満たされたときに、安定的に回転部材を経路部材に連れ回り回転させることができるので、制動部に高い制動力を確実に発揮させ、自走式昇降装置を確実に緊急停止させることができる。
また、前記自走式昇降装置において、前記駆動部は、非通電時に前記回転部材を前記正転方向に回転駆動させてもよい。
これによれば、所定の緊急停止条件が満たされたときに通電が遮断される事態になっていても、駆動部によって回転部材を正転方向へ回転駆動させて、制動部に高い制動力を発揮させることができ、自走式昇降装置を緊急停止させることができる。
また、前記自走式昇降装置において、前記制動部は、当該自走式昇降装置が上昇方向へ移動しているとき及び停止しているときの少なくとも一方のとき、前記回転部材の前記挟持部分が前記経路部材に接触するように構成されていてもよい。
本自走式昇降装置によれば、自走式昇降装置が上昇方向へ移動しているとき及び停止しているときの少なくとも一方のとき、回転部材の挟持部分が経路部材に接触しているので、自走式昇降装置が意図せず下降方向へ移動する事態が発生したら、即座に回転部材が経路部材に連れ回ってと正転方向へ回転する。このような事態が発生したときに制動部が即座に作動して高い制動力を発揮することができる。
自走式昇降装置が上昇方向へ移動するときには、回転部材の挟持部分が経路部材に接触していても、回転部材が経路部材に連れ回って回転する方向は、上述した正転方向とは逆方向である逆転方向となる。この逆転方向への連れ回り回転は、回転部材の挟持部分と受け部材との距離を遠ざけることになるので、当該挟持部分と受け部材との当接圧を弱めるように作用する。したがって、回転部材の挟持部分が経路部材に接触しても、自走式昇降装置の上昇方向への移動が実質的に阻害されることはない。
また、前記自走式昇降装置において、前記制動部は、略直線状に延びる経路部材を前記回転部材の前記挟持部分と前記受け部材とで挟持してもよい。
当該自走式昇降装置には、略直線状に延びる経路部材が使用されることが多い。例えば、経路部材として紐状部材(ロープ等)などの比較的柔軟な部材を用いる場合、比較的長い距離にわたって経路部材を設置するときには、経路部材が高い張力で張り渡され、経路部材が略直線状に延びるように配置される。このような略直線状に延びる経路部材では、経路部材に当接するローラの回転を停止させることで自走式昇降装置を制動させる従来の制動部では、ローラに対する経路部材の巻き付き角を大きくして摩擦力を確保することができず、十分な制動力を得るのに必要な摩擦力を確保することが特に難しい。
本自走式昇降装置では、従来の制動部では十分な制動力を得ることが難しい略直線状の経路部材であっても、高い制動力を発揮することができる。
また、前記自走式昇降装置において、前記経路部材は、断面が略円形状の部材であってもよい。
例えば、当該自走式昇降装置を屋外環境で使用する場合、経路部材が風を受けて過大な張力が加わって経路部材が破断するなどのおそれがあり、経路部材としては、風の影響を受けにくい断面が略円形状の部材が用いられることが多い。また、経路部材として利用可能なロープやワイヤーなどの汎用の部材は、一般に、断面が略円形状であることが多い。したがって、断面が略円形状である経路部材に適合する自走式昇降装置であれば、屋外環境での使用に有利であったり、経路部材としてロープ等の汎用の部材を利用できたりするといったメリットが得られる。
また、前記自走式昇降装置において、搬送物を保持する搬送物保持部を有してもよい。
これによれば、前記自走式昇降装置を、人や物などの搬送物を搬送する搬送装置(運搬装置)として利用することができる。
本発明によれば、自走式昇降装置の重量が重い場合において十分な制動力を容易に得ることができる。
鉄塔で作業する作業者の作業場所へ地上から搬送物を搬送する様子を示す模式図。 本実施形態に係る昇降装置を示す斜視図。 同昇降装置を示す正面図。 同昇降装置を示す背面図。 同昇降装置における緊急停止装置の制動カムが逆転方向へ回転した状態において、同緊急停止装置の構成を模式的に示す断面図。 同緊急停止装置の制動カムが正転方向へ回転した状態において、同緊急停止装置の構成を模式的に示す断面図。
以下、本発明に係る自走式昇降装置を、経路部材であるワイヤーロープ上を移動する昇降装置に適用した一実施形態について説明する。
本実施形態では、当該昇降装置を、架空送電鉄塔などの鉄塔の修理や点検などの作業を行う作業者の作業場所(高所)まで、工具や部品などの物品(運搬物)を搬送、運搬する搬送装置(運搬装置)に適用した例について説明する。ただし、本実施形態の昇降装置は、例えば、所定の搬送先(運搬先)まで人を搬送、運搬する搬送装置(運搬装置)や、搬送物(運搬物)を搬送(運搬)しない検査装置、作業装置などにも適用可能である。
具体的な使用例としては、昇降装置を用いて高層ビルやタワーなどの清掃、検査等を行う例、地球上から静止軌道以上まで延びる昇降経路を昇降する宇宙エレベータあるいは軌道エレベータとして昇降装置を使用する例などが挙げられる。昇降装置には、その用途に応じて、清掃部材、撮像装置、籠体(ゲージ)やネット等の搬送物保持部などの各種部品が取り付けられる場合がある。
本発明に係る自走式昇降装置の利用用途は、特に制限されることはなく、様々な用途に広く利用することができる。例えば、鉛直方向又は鉛直方向に対して傾斜する方向に延びる経路部材に沿って移動する昇降装置に特に好適に利用できる。また、空中を移動する場合に限らず、水中などを移動する場合などにも適用可能である。また、経路部材がワイヤーロープである場合に限らず、ベルト、テザーなどの他の形状の経路部材である場合にも適用可能である。
図1は、鉄塔200で作業する作業者S1の作業場所へ、地上から工具や部品などの搬送物(運搬物)を搬送、運搬する様子を示す模式図である。
本実施形態では、鉄塔200に予め設置されているワイヤーロープ100や、作業のために鉄塔200に設置したワイヤーロープ100などを使い、そのワイヤーロープに沿って昇降装置1を移動させることで、作業者S1の作業場所まで地上から搬送物(運搬物)202を搬送、運搬する。例えば、鉄塔200に取り付けるための碍子201や、作業者S1の作業に必要な工具などを、搬送物202として搬送、運搬する。碍子201は、例えば1つで40kgほどの重量があるため、本実施形態では、このような重量のある運搬物を安定して搬送(運搬)できる搬送能力(駆動能力、制動能力)をもった昇降装置であるのが望まれる。
図2は、本実施形態に係る昇降装置1を示す斜視図である。図3は、本昇降装置1を示す正面図である。図4は、本昇降装置1を示す背面図である。
本昇降装置1は、所定の昇降経路に沿って配置される経路部材として、断面が略円形状の部材であるワイヤーロープ100を用い、このワイヤーロープ100の長手方向に沿って移動して上昇及び下降が可能なものである。本実施形態においては、鉄塔200に対してワイヤーロープ100が斜めに設置された例であるが、ワイヤーロープ100が鉛直方向に沿って配置される場合でも適用可能である。
昇降装置1は、主に、本体筐体である本体フレーム2に対し、本体ユニット3と、駆動用交換ユニットとしての着脱式ローラユニット4と、制動用交換ユニットとしての着脱式制動ユニット5とが取り付けられた構成となっている。本体ユニット3には、制動部としての緊急停止装置6が備わっている。
本体フレーム2は、図2に示すように、例えばアルミニウム製の3本のレール部材21A~21Cを所定の間隔で平行に配置し、この状態で互いを連結部材22,22によって連結した構造となっている。本実施形態では、3本のレール部材21A~21Cのうちの第一レール部材21Aと第二レール部材21Bとの間のスペースにワイヤーロープ100が通るように、ワイヤーロープ100に対して昇降装置1がセットされる。第一レール部材21Aと第二レール部材21Bとの間には、長手方向両端付近に、ロープガイド23,23が設置されている。このロープガイド23,23により、ワイヤーロープ100が第一レール部材21Aや第二レール部材21Bに接触したり、第一レール部材21Aと第二レール部材21Bとの間のスペースから離脱したりしないように、昇降装置1に対するワイヤーロープ100の位置が規制されている。
3本のレール部材21A~21Cは、断面矩形状の棒状部材(角棒部材)で構成され、互いに同じ構造のものが用いられている。本実施形態のレール部材21A~21Cは、各側面(4つの側面)上にレール溝24が長手方向にわたって形成され、支持部であるユニット装着部として機能する。具体的には、レール部材21A~21Cのレール溝24にネジ等の締結部材を係合させて、本体ユニット3、着脱式ローラユニット4及び着脱式制動ユニット5などを本体フレーム2に装着することができる。レール溝24が長手方向にわたって形成されているため、本体フレーム2に対する本体ユニット3、着脱式ローラユニット4及び着脱式制動ユニット5の装着位置(締結位置)は、本体フレーム2の長手方向(ワイヤーロープの長手方向)に調整することができる。
本実施形態では、ワイヤーロープ100への装着時に本体フレーム2から取り外す必要があるため、ネジ等の締結部材の着脱により、本体ユニット3、着脱式ローラユニット4及び着脱式制動ユニット5が本体フレーム2に対して着脱可能な構成となっている。ただし、これらのユニット3,4,5は本体フレーム2に対して容易に着脱できない構成(着脱不能な構成)であってもよい。
本体ユニット3は、昇降装置1の移動に必要な駆動力を発生させる駆動源である駆動モータ31、駆動伝達機構32、制動部としての緊急停止装置6、制御装置34などが搭載され、本体フレーム2にネジ等の締結部材によって固定されている。本体ユニット3は、着脱式ローラユニット4や着脱式制動ユニット5が別のユニットに交換されても共通に使用される部品が搭載され、着脱式ローラユニット4や着脱式制動ユニット5を交換しても、本体ユニット3は交換されずに使用されるものである。
本体ユニット3には、着脱式ローラユニット4や着脱式制動ユニット5の交換に伴って交換する必要のない部品を本体ユニット3に集約することが好ましい。これによれば、各交換ユニット(着脱式ローラユニット4や着脱式制動ユニット5)に搭載される部品を少なくでき、コスト削減を図ることができる。
駆動モータ31のモータ軸31a上には、モータプーリ31bが取り付けられ、このモータプーリ31bと駆動伝達機構32の入力プーリ32aとの間には、タイミングベルトが張架されている。駆動モータ31の回転駆動力は、モータ軸31a上のモータプーリ31bから、このタイミングベルトを介して、駆動伝達機構32の入力プーリ32aへと伝達される。図面上では、説明のため、タイミングベルトの図示が適宜省略されている。
駆動伝達機構32は、入力プーリ32aのほか、複数の駆動伝達ギヤ32bと、出力プーリ32cと、これらのプーリに張架されるタイミングベルトと、を備えている。入力プーリ32aに入力された回転駆動力は、駆動伝達ギヤ32bを介して出力プーリ32cへと伝達される。
緊急停止装置6は、非常事態が発生した場合など、昇降装置1を緊急停止させる緊急停止条件が満たされたときに、昇降装置1の移動を緊急停止させるための装置である。本実施形態の緊急停止装置6の詳細については後述する。
制御装置34は、主に、駆動モータ31の制御(駆動制御)、着脱式制動ユニット5に搭載されるブレーキ装置の制御(制動制御)などの制御を実施する制御部、外部との通信を行う通信部、操作入力部、昇降装置1の各部に電力を供給する電源部、などから構成される。電源部は、外部から電力供給を受けるものであってもよいし、昇降装置1に搭載されるバッテリーから電力供給を受けるものであってもよい。
制御部は、通信部から入力される制御信号や、操作入力部に入力される操作信号を受け、所定の制御プログラムに従って各種制御を実施する。具体的には、例えば、地上にいる作業者S2が通信端末を用いて行った指示の制御信号を通信部で受信し、受信した制御信号に基づき、制御プログラムに従って各種制御を実施する。一例としては、地上にいる作業者S2が通信端末を用いて搬送開始を指示すると、その制御信号が通信部に受信され、これにより制御部は駆動モータ31の駆動を開始する。その後、制御部は、所定の制御プログラムに従って駆動制御及び制動制御を行い、昇降装置1が自動的にワイヤーロープ100に沿って上昇し、作業者S1のいる鉄塔200の作業場所まで移動して停止する。搬送開始等の指示は、通信端末から通信部に送信するのではなく、昇降装置1の操作部を操作することにより行ってもよい。
着脱式ローラユニット4は、駆動回転体としての駆動ローラ41を支持する駆動フレーム4aと従動回転体としての従動ローラ42を支持する従動フレーム4bとが蝶番部材を介して接続された構成を備えている。本実施形態の着脱式ローラユニット4は、駆動フレーム4aには1つの駆動ローラ41が支持され、従動フレーム4bには1つの従動ローラ42が支持され、2つのローラ41,42でワイヤーロープ100を挟持する。
2つのローラ41,42でワイヤーロープ100を挟持するタイプではなく、例えば、1つの駆動ローラの前後に配置される2つの従動ローラで駆動ローラに巻き付かせるタイプ(ワイヤーロープ100の巻き付き角を増大させるタイプ)などを採用してもよい。
駆動ローラ41の駆動軸41a上には、駆動伝達部材としての外側プーリ41bがユニット筐体の外側に取り付けられ、この外側プーリ41bと駆動伝達機構32の出力プーリ32cとの間には、図中破線で示すタイミングベルト35が張架される。駆動伝達機構32によって伝達された駆動モータ31の回転駆動力は、駆動伝達機構32の出力プーリ32cから、タイミングベルト35を介して、着脱式ローラユニット4の外側プーリ41bへと伝達され、これにより駆動ローラ41が回転駆動する。
従動ローラ42は、駆動ローラ41との間でワイヤーロープ100を挟み込むように配置される。従動ローラ42は、スプリング等の付勢手段によって駆動ローラ41側に付勢され、その付勢力によって駆動ローラ41との間にワイヤーロープ100を所望の挟持力で挟持する。
本実施形態における駆動ローラ41及び従動ローラ42は、ワイヤーロープ100との接触面(ローラ外周面)が、ワイヤーロープ100の断面形状(断面円形状)に沿って湾曲している。これにより、ワイヤーロープ100の周面と駆動ローラ41及び従動ローラ42との接触面積を増やし、高い摩擦力を確保して、滑りの発生を抑制している。
着脱式ローラユニット4を本体フレーム2に装着する場合、蝶番部材で接続された駆動フレーム4aと従動フレーム4bとを展開した状態で、駆動フレーム4aをネジ等の締結部材によって本体フレーム2の3本のレール部材21A~21Cに固定する。このとき、駆動フレーム4aの固定位置(装着位置)は、レール部材21A~21Cのレール溝24に沿って、本体フレーム2の長手方向(ワイヤーロープの長手方向)に調整できる。この調整では、本体フレーム2に固定された本体ユニット3の駆動伝達機構32の出力プーリ32cと、駆動フレーム4aに支持された駆動ローラ41の外側プーリ41bとの間に、タイミングベルト35が所望の張力で張架されるように調整する。
なお、本実施形態においては、タイミングベルトを用いたベルト伝達機構に代えて、1又は2以上のギヤを用いたギヤ伝達機構などの他の駆動伝達機構を採用してもよい。特に駆動伝達距離が近い構成では、ギヤ伝達機構の方が、トルク伝達、構成の簡素化の面で有利である。
このようにして駆動フレーム4aを本体フレーム2に固定したら、ワイヤーロープ100がロープガイド23,23に入り込むように本体フレーム2を配置する。このように配置することで、駆動フレーム4aの駆動ローラ41がワイヤーロープ100に接触するので、この状態で駆動フレーム4aに対して従動フレーム4bを閉じる。その後、従動フレーム4bをネジ等の締結部材によって本体フレーム2の3本のレール部材21A~21Cに固定する。この結果、従動フレーム4bの付勢手段によって従動ローラ42が駆動ローラ41側に付勢され、駆動ローラ41と従動ローラ42との間にワイヤーロープ100が所望の挟持力で挟持され、ワイヤーロープ100に対して本体フレーム2が仮保持された状態になる。
着脱式制動ユニット5は、昇降装置1の進行方向への移動速度を減速させるためにワイヤーロープ100に当接して制動する減速装置としてのブレーキ装置を備えている。ブレーキ装置は、ワイヤーロープ100を2つのローラ51,52で挟持するブレーキローラ対と、ブレーキローラ対の一方の第一ローラ51の軸51a上に取り付けられたブレーキディスク53と、ブレーキディスク53に対して接離動作するブレーキパッド54と、ブレーキパッド54を駆動するブレーキ駆動部55とから構成されている。
着脱式制動ユニット5は、ブレーキローラ対のうちの第一ローラ51を支持する第一フレーム5aと、他方の第二ローラ52を支持する第二フレーム5bとが蝶番部材を介して接続された構成を備えている。第二ローラ52は、スプリング等の付勢手段によって第一ローラ51側に付勢され、その付勢力によって第一ローラ51との間にワイヤーロープ100を所望の挟持力で挟持する。
本実施形態における第一ローラ51及び第二ローラ52は、ワイヤーロープ100との接触面(ローラ外周面)が、ワイヤーロープ100の断面形状(断面円形状)に沿って湾曲している。これにより、ワイヤーロープ100の周面と第一ローラ51及び第二ローラ52との接触面積を増やし、必要な摩擦力を確保して、制動力を発揮する。
着脱式制動ユニット5を本体フレーム2に装着する場合、蝶番部材で接続された第一フレーム5aと第二フレーム5bとを展開した状態で、第一フレーム5aをネジ等の締結部材によって本体フレーム2の3本のレール部材21A~21Cに固定する。このとき、第一フレーム5aの固定位置(装着位置)は、レール部材21A~21Cのレール溝24に沿って、本体フレーム2の長手方向(ワイヤーロープの長手方向)に調整できる。
このようにして第一フレーム5aを本体フレーム2に固定したら、第一フレーム5aの第一ローラ51がワイヤーロープ100に接触するので、この状態で第一フレーム5aに対して第二フレーム5bを閉じる。その後、第二フレーム5bをネジ等の締結部材によって本体フレーム2の3本のレール部材21A~21Cに固定する。この結果、第二フレーム5bの付勢手段によって第二ローラ52が第一ローラ51側に付勢され、第一ローラ51と第二ローラ52との間にワイヤーロープ100が所望の挟持力で挟持される。
本実施形態においては、レール部材21A~21Cに対し、2つ又は3つ以上の着脱式制動ユニット5を長手方向に並べて配置でき、本体フレーム2に対して複数の着脱式制動ユニット5を装着することが可能である。すなわち、本体フレーム2に装着する着脱式制動ユニット5の数を増減することができる。
着脱式制動ユニット5のブレーキ駆動部55は、本体ユニット3の制御装置34に電気的に接続され、制御装置34の制御部による制御信号に従って駆動され、ブレーキパッド54をブレーキディスク53に対して接離させる。これにより、ブレーキディスク53に対するブレーキパッド54の当接圧が調整される。昇降装置1がワイヤーロープ100に沿って移動するとき、ワイヤーロープ100を挟持するブレーキローラ対51,52は従動回転し、ブレーキローラ対の第一ローラ51に接続されたブレーキディスク53も回転する。この回転中のブレーキディスク53にブレーキパッド54が接触することで、ブレーキディスク53に回転負荷が生じ、第二ローラ52との間にワイヤーロープ100を挟持する第一ローラ51にも回転負荷が生じる。その結果、ワイヤーロープ100に沿って移動する昇降装置1に制動力が作用する。
また、ワイヤーロープ100にセットされた昇降装置1を停止状態にするとき、ブレーキ駆動部55によりブレーキパッド54をブレーキディスク53に当接させ、ブレーキディスク53の回転を停止させる。これにより、ブレーキディスク53に連結されているブレーキローラ対の第一ローラ51の回転も停止する。その結果、第一ローラ51とワイヤーロープ100との間の静止摩擦力によって昇降装置1が停止状態になる。
次に、本実施形態における緊急停止装置6の構成及び動作について説明する。
図5及び図6は、本実施形態における緊急停止装置6の構成を模式的に示す断面図である。
図5及び図6は、駆動ローラ41の駆動軸41aの軸方向(図3及び図4における左右方向)に直交する面に沿って切断したときの断面図である。
本実施形態の緊急停止装置6は、所定の回転軸61bの回りで回転する回転部材としての制動カム61と、制動カム61の挟持部分であるカム面61aに対向配置される受け部材62と、制動カム61を正転方向Fに回転駆動させる駆動部63とが、支持フレーム64に支持された構成となっている。
制動カム61は、回転軸61bに対して回動自在に支持されており、図6中矢印Fで示す回転方向が正転方向であり、図5中矢印Rで示す回転方向が逆転方向である。制動カム61のカム面61aは、回転軸61bの軸中心からの距離Lが制動カム61の正転方向Fの上流側ほど長くなるように形成されている。すなわち、制動カム61のカム面61aにおける正転方向Fの最上流側地点と回転軸61bの軸中心との距離L1は、制動カム61のカム面61aにおける正転方向Fの最下流側地点と回転軸61bの軸中心との距離L2よりも長い。そして、制動カム61のカム面61aにおける正転方向Fの最上流側地点から最下流側地点に向かって、カム面61aと回転軸61bの軸中心との距離は徐々に短くなるように形成されている。
カム面61aには、ワイヤーロープ100に対して緊急停止装置6が下降方向(図中下側)へ相対的に移動するとき(すなわち昇降装置1が下降方向へ移動するとき)に、ワイヤーロープ100との間の摩擦力が高まるような摩擦形状を施すのが好ましい。特に、摩擦形状は、ワイヤーロープ100に対して緊急停止装置6が上昇方向(図中上側)へ相対的に移動するとき(すなわち昇降装置1が上昇方向へ移動するとき)には、ワイヤーロープ100との間の摩擦力が低くなるような摩擦形状であるのが好ましい。このような摩擦形状としては、図5及び図6に示す断面の断面形状が例えばノコギリ歯状のものを好適に採用できる。
受け部材62は、制動カム61のカム面61aに対向するように固定配置され、緊急停止装置6により緊急停止する時には、制動カム61のカム面61aとの間にワイヤーロープ100を挟持する。受け部材62の挟持部分である摩擦面62aにも、ワイヤーロープ100に対して緊急停止装置6が下降方向(図中下側)へ相対的に移動するとき(すなわち昇降装置1が下降方向へ移動するとき)に、ワイヤーロープ100との間の摩擦力が高まるような摩擦形状を施すのが好ましい。この摩擦形状も、ワイヤーロープ100に対して緊急停止装置6が上昇方向(図中上側)へ相対的に移動するとき(すなわち昇降装置1が上昇方向へ移動するとき)には、ワイヤーロープ100との間の摩擦力が低くなるような摩擦形状であるのが好ましい。
駆動部63は、緊急停止装置6により緊急停止する際に制動カム61を正転方向Fへ回転駆動させる。本実施形態の駆動部63は、例えば、制動カム61の接続部61cに接続された可動軸63aを進退させるソレノイドで構成される。駆動部63が図6に示すように矢印Eの方向へ可動軸63aを進出させると、可動軸63aに接続された接続部61cが図6中矢印Eの方向へ押される。これにより、制動カム61は正転方向Fへ回転駆動される。
本実施形態の駆動部63には、可動軸63aは図6中矢印Eの方向へ付勢する付勢手段としてのバネが設けられている。駆動部63は、通電時には、ソレノイドがオンになって可動軸63aをバネの付勢力に抗して後退位置に保持する。これにより、制動カム61は、図5に示すように、逆転方向Rへ回転駆動される。制動カム61が逆転方向Rに回転駆動された時、制動カム61は、図5に示すように、回転軸61bとの距離が比較的短いカム面61aの部分が受け部材62の摩擦面62aと対向する回転位置をとる。このとき、制動カム61のカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの距離は、ワイヤーロープ100の直径よりも広くなるように設定されており、ワイヤーロープ100は制動カム61のカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの間に挟持されない。
一方、駆動部63は、非通電時には、ソレノイドがオフになり、可動軸63aがバネの付勢力によって進出位置へ移動する。これにより、制動カム61は、図6に示すように、正転方向Fへ回転駆動される。制動カム61が正転方向Fに回転駆動された時、制動カム61は、図6に示すように、回転軸61bとの距離が比較的長いカム面61aの部分が受け部材62の摩擦面62aと対向する回転位置をとる。このとき、制動カム61のカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの距離は、ワイヤーロープ100の直径以下となるように設定されている。そのため、ワイヤーロープ100は、バネの付勢力により制動カム61のカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの間に挟持された状態になる。
したがって、駆動部63の通電をオフすることで、ワイヤーロープ100と制動カム61のカム面61a及び受け部材62の摩擦面62aとの間に摩擦力を生させ、制動力を発揮することができる。よって、本実施形態の緊急停止装置6は、昇降装置1が上昇方向へ進行しているとき、昇降装置1の速度を減速させる減速装置として使用することが可能である。
支持フレーム64は、制動カム61の回転軸61bの両端側から対面する2つのフレーム部から構成され、制動カム61、受け部材62及び駆動部63が2つのフレーム部間に支持されている。2つのフレーム部は、展開可能に構成されている。緊急停止装置6にワイヤーロープ100をセットする際には、支持フレーム64の2つのフレーム部を展開した状態にして、制動カム61のカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの間にワイヤーロープ100を配置する。その後、2つのフレーム部を閉じて2つのフレーム部が互いに対面するようにし、2つのフレーム部が展開しないように締結部材などで固定する。
本実施形態において、昇降装置1の稼働中に、例えば、昇降装置1の電装系や駆動系などの部品に不具合が生じたり、ワイヤーロープ100に沿って滑り落ち得る状況になったりしたとき等には、昇降装置1がワイヤーロープ100に沿って下降方向へ移動してしまうおそれがあり、昇降装置1を緊急停止させる必要がある。特に、昇降装置1の重量が重い場合(昇降装置1自体の重量が重い場合、昇降装置1が搬送(運搬)する搬送物(運搬物)が重い場合等)、昇降装置1がワイヤーロープ100に沿って下降方向へ移動してしまうことは避けなければならず、昇降装置1を緊急停止させることが必要である。
本実施形態では、昇降装置1を緊急停止させるべき所定の緊急停止条件が満たされたとき、緊急停止装置6の通電が遮断される。この通電の遮断は、制御部が制御したものであってもよいし、発生した不具合によって通電が遮断されたものであってもよい。そして、緊急停止装置6の通電が遮断されると、駆動部63のソレノイドがオフになり、可動軸63aがバネの付勢力によって進出位置へ移動する。これにより、制動カム61が図6に示すように正転方向Fへ回転駆動され、ワイヤーロープ100がバネの付勢力によって制動カム61のカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの間に挟持される。これにより、ワイヤーロープ100と制動カム61のカム面61a及び受け部材62の摩擦面62aとの間に摩擦力が生じ、制動力が発揮され、昇降装置1を減速させることができる。
その後、この状態で、昇降装置1の重量により昇降装置1がワイヤーロープ100に沿って下降方向へ移動すると、緊急停止装置6の制動カム61は、そのカム面61aに接するワイヤーロープ100との相対移動により、ワイヤーロープ100に連れまわって正転方向Fへ回転する。本実施形態では、上述したように、制動カム61が正転方向Fへ回転すると、そのカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの距離が近づくように構成されている。したがって、昇降装置1の重量により昇降装置1がワイヤーロープ100に沿って下降方向へ移動し、制動カム61が正転方向Fへ連れ回り回転することで、制動カム61と受け部材62との挟持力が高まる。その結果、ワイヤーロープ100と制動カム61のカム面61a及び受け部材62の摩擦面62aとの間の当接圧が高まって、これらの間の摩擦力が上昇し、高い制動力が発揮される。
また、本実施形態において、緊急停止装置6は、制動カム61の接続軸61dによって本体ユニット3に支持されている。この構成により、昇降装置1の全重量が実質的に制動カム61の接続軸61dに作用して、制動カム61を正転方向Fへ回転させる回転モーメントを生じさせる。この回転モーメントが大きいほど、制動カム61と受け部材62との挟持力が高まるので、高い制動力が発揮される。特に、この回転モーメントは昇降装置1の重量が重いほど大きくなるので、本実施形態の緊急停止装置6は、昇降装置1の重量が重いほど、より大きな制動力を発揮することができる。したがって、本実施形態によれば、重量の重い昇降装置1であっても、高い制動力を発揮して昇降装置1の下降方向への移動を確実に制動して緊急停止させることができる。
本実施形態においては、制動カム61を回転部材として用いた例で説明したが、回転部材の構成は、回転部材が正転方向Fに回転すると、当該回転部材の挟持部分と受け部材との距離が近づくように構成されていれば、本実施形態のものに限られるものではない。
また、本実施形態においては、所定の緊急停止条件が満たされたときに駆動部63により制動カム61を正転方向Fへ回転駆動させる例について説明したが、このような駆動部63を省略してもよい。所定の緊急停止条件が満たされたときにワイヤーロープ100が制動カム61のカム面61aに接触する状況になる構成であれば、駆動部63を省略しても、制動カム61がワイヤーロープ100に連れ回って正転方向Fへ回転し、高い制動力が発揮される。ただし、所定の緊急停止条件が満たされたときにワイヤーロープ100が制動カム61のカム面61aに接触する状況になるかどうかが不確実な構成の場合には、本実施形態のような駆動部63を設けるのが好ましい。
例えば、昇降装置1が上昇方向へ移動しているとき及び停止しているときの少なくとも一方のときに制動カム61のカム面61aがワイヤーロープ100に接触するように構成してもよい。これによれば、昇降装置1が上昇方向へ移動しているときや停止しているときに昇降装置1が意図せず下降方向へ移動する事態が発生したら、即座に制動カム61がワイヤーロープ100に連れ回って正転方向Fへ回転し、即座に高い制動力が発揮される。
昇降装置1が上昇方向へ移動するときに制動カム61のカム面61aがワイヤーロープ100に接触していても、制動カム61がワイヤーロープ100に連れ回って回転する方向は、上述した正転方向Fとは逆方向である逆転方向Rである。この逆転方向Rへの連れ回り回転は、制動カム61のカム面61aと受け部材62の摩擦面62aとの距離を遠ざけることになるので、制動カム61と受け部材62との間の挟持力を弱めるように作用する。したがって、昇降装置1が上昇方向へ移動するときに制動カム61のカム面61aがワイヤーロープ100に接触しても、昇降装置1の上昇方向への移動が実質的に阻害されることはない。
また、本実施形態では、非通電時に駆動部63が制動カム61を正転方向Fに回転駆動させる構成であるが、通電時に駆動部63が制動カム61を正転方向Fに回転駆動させる構成であってもよい。ただし、この場合には、電装系などの不具合が発生することで非通電状態になったときに駆動部63を稼働させることができないおそれがある。これに対し、本実施形態のように非通電時に駆動部63が制動カム61を正転方向Fに回転駆動させる構成であれば、電装系などの不具合が発生することで非通電状態になったときでも駆動部63を稼働させることができるので、好適である。
また、本実施形態の緊急停止装置6は、ワイヤーロープ100のように略直線状に延びる経路部材に対して好適に使用することができる。略直線状に延びる経路部材に対しては、経路部材に当接するローラの回転を停止させることで昇降装置を制動させる従来の制動部では、ローラに対する経路部材の巻き付き角を大きくして摩擦力を確保できないため、十分な制動力を得ることが難しい。これに対し、本実施形態では、略直線状に延びる経路部材に対しても高い制動力を発揮することができる。
1 :昇降装置
2 :本体フレーム
3 :本体ユニット
4 :着脱式ローラユニット
4a :駆動フレーム
4b :従動フレーム
5 :着脱式制動ユニット
5a :第一フレーム
5b :第二フレーム
6 :緊急停止装置
21A~21C:レール部材
22 :連結部材
23 :ロープガイド
24 :レール溝
31 :駆動モータ
31a :モータ軸
31b :モータプーリ
32 :駆動伝達機構
32a :入力プーリ
32b :駆動伝達ギヤ
32c :出力プーリ
34 :制御装置
35 :タイミングベルト
41 :駆動ローラ
41a :駆動軸
41b :外側プーリ
41c :内側プーリ
42 :従動ローラ
51 :第一ローラ
51a :軸
52 :第二ローラ
53 :ブレーキディスク
54 :ブレーキパッド
55 :ブレーキ駆動部
61 :制動カム
61a :カム面
61b :回転軸
61c :接続部
62 :受け部材
62a :摩擦面
63 :駆動部
63a :可動軸
64 :支持フレーム
100 :ワイヤーロープ
200 :鉄塔
201 :碍子
202 :搬送物
S1,S2:作業者

Claims (7)

  1. 鉛直方向又は鉛直方向に対して傾斜する方向に延びる細長の経路部材の長手方向に沿って昇降する自走式昇降装置であって、
    所定の回転軸の回りで回転する回転部材の挟持部分と受け部材とで前記経路部材を挟持することにより、当該自走式昇降装置を制動させる制動部を有し、
    前記回転部材は、当該自走式昇降装置が下降方向へ移動するときに前記挟持部分が前記経路部材に連れ回る正転方向へ回転すると、該挟持部分と前記受け部材との距離が近づくように構成されていることを特徴とする自走式昇降装置。
  2. 請求項1に記載の自走式昇降装置において、
    前記制動部は、所定の緊急停止条件を満たしたとき、前記回転部材を前記正転方向に回転駆動させる駆動部を備えることを特徴とする自走式昇降装置。
  3. 請求項2に記載の自走式昇降装置において、
    前記駆動部は、非通電時に前記回転部材を前記正転方向に回転駆動させることを特徴とする自走式昇降装置。
  4. 請求項1に記載の自走式昇降装置において、
    前記制動部は、当該自走式昇降装置が上昇方向へ移動しているとき及び停止しているときの少なくとも一方のとき、前記回転部材の前記挟持部分が前記経路部材に接触するように構成されていることを特徴とする自走式昇降装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自走式昇降装置において、
    前記制動部は、略直線状に延びる経路部材を前記回転部材の前記挟持部分と前記受け部材とで挟持することを特徴とする自走式昇降装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自走式昇降装置において、
    前記経路部材は、断面が略円形状の部材であることを特徴とする自走式昇降装置。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自走式昇降装置において、
    搬送物を保持する搬送物保持部を有することを特徴とする自走式昇降装置。
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