JP2024055988A - 空気弁 - Google Patents

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Keiichi Wakabayashi
光彦 掛川
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Abstract

【課題】部品点数の増加を極力抑えつつ全体の大型化を防ぎ、空気弁としての排気及び吸気並びに止水機能を十分に発揮し、水没時には外部からの水の浸入を確実に防止する空気弁を提供する。【解決手段】大空気孔20の上方を包囲するカバー体14を備え、カバー体の内周面と大空気孔の間にユニット化された逆流防止機構部160を着脱可能に設け、この逆流防止機構部は、環状体161の外周に設けられた環状の鍔部32と、この鍔部に大空気孔20とカバー体の下方開口部22とを連通させた貫通部33と、この貫通部に設けられた逆流防止弁座166と、環状体の外周に設けられた係止部164と、係止部に支受された状態で係止された逆流防止弁体16とをユニット化した状態で構成し、下方開口部22から流入する水により逆流防止弁体16が上昇して逆流防止弁座166に当接シールされ、外部からの水の流入を防止した。【選択図】 図12

Description

本発明は、水道本管などに敷設されて管内に混入する空気を排出する空気弁に関し、特に、地下に設置される場合に好適な空気弁に関する。
水道本管などの管路において、通水時に空気泡や空気溜まりがある場合には配管の有効断面積が減少して管路能力が低下することがある。そのため、このような管路には一般に空気弁が設けられ、この空気弁により内部に混入する空気が排出される。
通常、空気弁は、このように通水時に管路内に混入する空気を自動的に排除する機能(排気機能)を有し、これに加えて、管路に充水するときに管路内の空気を急速に多量排気する機能(急速排気機能)、管路が満水状態となったときに外部への水の流出を防ぐ機能(止水機能)、管路の排水時に多量吸気を急速におこなう機能(急速吸気機能)なども要求される。
この種の空気弁は、マンホール内や埋設用ボックス内の地下に設置されることも多い。この場合、降水、津波、洪水、鉄砲水等により空気弁を設けた地下に水が溜まって水没し、水道管内が負圧になったときにはこの水が空気弁に設けられた空気口から水道管に吸い込まれ、水道管内の水道水が汚染される可能性がある。これを回避するため、空気弁本体が水に浸かった場合でも水の浸入を防ぎ、水道管への外部の水の混入を防ぐようにした空気弁が知られている。
このような空気弁として、例えば、特許文献1の水道用空気弁が開示されている。この空気弁は、地中のマンホール内に設置され、弁本体に設けられたフロート弁体、弁本体の上部を覆い、フロート弁体で開閉される空気口を有する蓋体を通して水道管内部からの空気の排除や水道管内部への空気の吸引をおこなうようになっている。この空気弁の蓋体には、接続配管を用いて汚染水吸込防止機構が接続され、この汚染水吸込防止機構に設けられた逆流防止弁フロートにより、弁本体の空気口への接続管を閉止することで、マンホール内に貯まった汚染水の弁本体への吸い込みを防止しようとしている。
一方、特許文献2における急速空気弁付き消火栓は、地下の消火栓ボックス内に配置され、空気弁側の弁箱内にフロート弁体、遊動弁体が設けられる。さらに、空気弁の案内部材に連通孔、フロート弁体・遊動弁体を押えるためのフロート押えに排気穴、フロート押えの上部に配置される第3弁棒に排気穴、カバー内部に突出形成された突出部の先端部と第3弁棒の外周面との間に隙間(ゲート)、カバー下部に下部開口がそれぞれ設けられる。これらにより構成された空気流路から順次空気が流れることにより、排気又は吸気されるようになっている。
そして、この消火栓では、カバー内のゲートよりも下部に環状の閉止フロートが取付けられ、この閉止フロートが、ゲートと下部開口との間に設けられる環状流路を水量に応じて上下動するようになっている。空気弁が配置された地下に水が溜まり、カバーの下部開口から水が浸入しようとしたときには、閉止フロートが浮力によって環状流路内を上昇移動し、カバーの突出部の下面に当接できるようになっている。このことから、閉止フロートがゲートを塞ぎ、内部への水の浸入を防止しようとするものである。
一方、特許文献3の空気弁は、例えば埋設用ボックスを用いて地下に設置され、弁箱内にフロート弁体、小空気孔が設けられ、弁箱に大空気孔を有する蓋体が装着されている。蓋体には大空気孔を塞ぎ得る栓体が取付け可能に設けられ、この栓体により外部からの雨水の浸入を防ごうとしている。蓋体は、多量排気(急速排気)後に取付けられ、この蓋体の装着後には、フロート弁体の動作により、管路内の空気を少量ずつ自動排気し、管路の満水時には止水機能により外部への水の流出が防がれるようになっている。
特許第5649128号公報 特開2002-276836号公報 特許第5773487号公報
特許文献1の空気弁では、弁本体の上部の蓋体から接続配管により汚染水吸込防止機構が接続され、この汚染水吸込防止機構が、弁本体の外周側に別体に設けられている。このように、弁本体の空気弁機能を発揮するフロート弁体が昇降動するときの動作軸と、汚染水吸込防止機構の逆流防止弁フロートが昇降動するときの動作軸とが横方向(水平方向)にずれ、弁本体、汚染水吸込防止機構の各設置スペースが横方向に必要になっていることから、横方向に幅広い設置スペースが必要になり、地中内の所定の空間への設置が難しくなる場合がある。
これに加えて、逆流防止弁フロートが、ロッドを用いて形成された空気弁の設置スペースに露出状態で配置されているため、この逆流防止弁フロートやこれと対向する弁座側の空気孔が汚れやすくなり、これらの間がシール不足になって止水不良が発生し、空気弁本体側に汚染水が逆流するおそれがある。しかも、この汚染水吸込防止機構では、逆流防止弁フロートが汚染水により浮上する際に、浮力を利用して逆流防止弁フロートを空気孔に密着させる構造であるため、汚れの付着により負圧を維持しにくくなる。
さらに、汚染水吸込防止機構を弁本体に取付けるために、特殊形状の蓋体やエルボ状の接続配管が別途必要になり、汚染水吸込防止機構以外の特殊な部品の追加或は形状変更が必要になるという問題も有している。
特許文献2においては、急速空気弁付きの消火栓であることから空気弁単体で用いることができず、全体が大型化するという問題がある。
この消火栓では、ゲートと下部開口との間に環状流路が設けられ、この環状流路を構成する二重筒の内外周面に対して、環状の閉止フロートが、内外周面がほぼ接触した状態で昇降動するようになっている。このため、外部から水が浸入しようとしたときに閉止フロートと内外周面とが接触して閉止フロートがスムーズに移動できないことがあり、この場合、水の浸入を防止できなくなることにつながる。
これに加えて、カバーの突出部と第3弁棒外周面との間にゲートが形成されているため、このゲートと閉止フロートとの間に空間が生じ、この空間からカバー内に水が浸入する可能性がある。
これらのことから、この急速空気弁付き消火栓を地下に配置したときに外部より浸入した水が一次側の水に混入して水が汚れるおそれがある。
また、特許文献3の空気弁においては、多量排気をおこなった後に、蓋体に栓体を取付けて大空気孔を塞ぐようにしているため、栓体取付け後には小空気孔による少量の排気のみが可能であり、多量排気することができなくなる。これに加えて、管路の排水時に急速に多量吸気をおこなう急速吸気機能も発揮できなくなる。このように、この空気弁では、逆流防止用の栓体を取付けたことにより、空気弁として必要な機能が失われる。さらに、全体を組み立てた後に多量排気をおこない、その後、栓体を取付けるために外蓋体を着脱する必要があるため敷設作業にも手間がかかる。
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、部品点数の増加を極力抑えつつ全体の大型化を防ぎ、空気弁としての排気及び吸気並びに止水機能を十分に発揮し、水没時には外部からの水の浸入を確実に防止する空気弁を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、大空気孔の上方を包囲するカバー体を備え、カバー体の内周面と大空気孔の間にユニット化された逆流防止機構部を着脱可能に設け、この逆流防止機構部は、環状体の外周に設けられた環状の鍔部と、この鍔部に大空気孔とカバー体の下方開口部とを連通させた貫通部と、この貫通部に設けられた逆流防止弁座と、環状体の外周に設けられた係止部と、係止部に支受された状態で係止された逆流防止弁体とをユニット化した状態で構成し、下方開口部から流入する水により逆流防止弁体が上昇して逆流防止弁座に当接シールされ、外部からの水の流入を防止した空気弁である。
請求項2に係る発明は、逆流防止弁体の上面側にシール性を有する環状弾性体を配置させた空気弁である。
請求項3に係る発明は、環状弾性体には、貫通部の内外周をシール可能な環状の突状シール部が設けられた空気弁である。
請求項4に係る発明は、逆流防止弁体と環状弾性体との間には環状凸部が介在され、この環状凸部が逆流防止弁体の上面に形成された空気弁である。
請求項5に係る発明は、流防止弁体と環状弾性体との間には環状凸部が介在され、この環状凸部が環状弾性体の底面に形成された空気弁である。
請求項1に係る発明によると、カバー体と大空気孔との間の領域を利用して、逆流防止機構部をユニット化することができ、既設された空気弁に対して装着することが可能であり、簡易に逆流防止機能を追加できる。また、係止部により支受された状態で係止された逆流防止弁体が脱落を防いだ状態で逆流防止機構部を構成してユニット化されているので、カバー体と一体化した逆流防止機構部の着脱が容易である。
加えて、カバー体とともにこのカバー体内にユニット化された逆流防止機構部を取り外せるので、部品がバラバラになることを防ぎつつ分解可能となり、部品の紛失や破損を防ぎながら容易に分解又は組立てできる。
請求項2に係る発明によると、逆流防止弁体の上面側に環状弾性体を設けていることで、逆流防止弁体が水の浮力で上昇したときに環状弾性体が逆流防止弁座をシールすることにより、止水性をより向上させることができる。
請求項3に係る発明によると、突状シール部が貫通部の内外周にシールすることで、環状弾性体と逆流防止弁座との面圧が上がり、止水性が向上することで弁箱内への水の浸入を確実に阻止できる。
請求項4に係る発明によると、環状弾性体の逆流防止弁座へのシール時には、環状凸部によりその内外周側が撓んで逆流防止弁座との密着性が高まり止水性が向上する。この場合、環状凸部を逆流防止弁体の上面に形成した場合には、環状弾性体の底面側が単純なフラット形状になることから、この環状弾性体の形状が単純化して容易に加工することができる。
請求項5に係る発明によると、環状凸部を環状弾性体の底面に形成した場合には、逆流防止弁体の上面側を単純なフラット状に形成でき、その平面度を高めやすくなることから環状弾性体を円周方向に均等に押圧して封止性を向上できる。環状凸部を高い精度で環状弾性体に形成することができ、環状凸部がリブの機能を発揮して止水部である内周側及び外周側のしなやかな状態を保ちつつ全体の強度を増大できる。
これにより、環状弾性体の厚みを薄く形成した場合にも、歪みを防いで安定した止水性を発揮する。仮に、逆流防止弁体に対して環状弾性体が芯ズレ状態にある場合でも、環状凸部により逆流防止弁体の内周側と外周側との間の中央部が逆流防止弁体に押圧され、これら内外周側が環状凸部を中心に断面方向に略対称に変形するため、貫通部の周囲を均一に押圧シールして止水性を向上できる。
本発明の空気弁の第1実施形態を示す縦断面図である。 図1の空気弁内に水が流入した状態を示す縦断面図である。 空気弁の一部省略拡大平面図である。 (a)は、環状体を示す縦断面図である。(b)は、環状体の平面図である。 逆流防止機構の他例を示す要部拡大断面図である。 逆流防止機構の更に他例を示す要部拡大断面図である。 逆流防止機構の更に別の他例を示す要部拡大断面図である。 本発明の空気弁の第2実施形態を示す縦断面図である。 本発明の空気弁の第3実施形態を示す縦断面図である。 本発明の空気弁の第4実施形態を示す縦断面図である。 本発明の空気弁の第5実施形態を示す断面図である。(a)は、空気弁の縦断面図である。(b)は、(a)のA部拡大図である。 図11(a)の分離縦断面図である。
以下に、本発明における空気弁の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1、図2においては、本発明の空気弁の第1実施形態の縦断面図を示しており、図4においては、図1の空気弁における環状体を示している。
図1、図2に示す本発明の実施形態における空気弁は、例えば図示しない水道本管の配管路などに取付けられ、特に、地下に埋設された水道管に対して、T字管などの分岐管1により立設状態で図示しない弁筐内に取付けられる。この空気弁は、弁箱10、リング体11、筒体12、環状体13、カバー体14、逆流防止弁座15、逆流防止弁体16、フロート弁体17、遊動弁体18、案内体19を有している。本例において、筒体12は、消火栓用の口金により設けられ、この口金12上部には上端面23が設けられる。
空気弁において、弁箱10の上部にはリング体11が設けられ、このリング体11に設けられた後述の大空気孔20を通して後述する空気弁機能が発揮される。大空気孔20(リング体11)の上方には口金(筒体)12が設けられ、この口金(筒体)12の上部側には環状体13が取付けられる。環状体13の上方には略円筒状のカバー体14が備えられ、このカバー体14によって大空気孔20の上方が包囲されている。この場合、本実施形態では、口金(筒体)12が取付けられたリング体11が弁箱10の上部に着脱可能に取付けられ、口金(筒体)12に対して環状体13が着脱可能に設けられている。
これらリング体11、口金(筒体)12、環状体13の外側にカバー体14を設けることで、このカバー体14の内部には空気流路となる連通部21が設けられ、この連通部21を通して大空気孔20から連通した状態でカバー体14の下方に開口部22が設けられる。
大空気孔20の上部側には口金(筒体)12の上端面23が配置され、この上端面23と開口部22との間の連通部21に逆流防止弁座15が設けられ、この逆流防止弁座15と開口部22との間には、後述する口金12の突出片12cに載置した状態で水の浮力で昇降動する逆流防止弁体16が設けられ、これら逆流防止弁座15と逆流防止弁体16とにより逆流防止機構24が設けられる。この逆流防止機構24は、開口部22から流入する水により逆流防止弁体16が上昇して逆流防止弁座15に当接シールし、大空気孔20への外部からの水の浸入を防止する機能を有している。
この場合、逆流防止弁体16が水に浮く際に水の表面より浮き出た部分があることから、図2に示すように、逆流防止弁体16の逆流防止弁座15への当接シール時には、その浮き出た部分に空気が残り、逆流防止弁座15の下流側に所定の空気層Sが設けられる。ここで、本実施形態における逆流防止弁座15の下流側とは、逆流防止弁体16と逆流防止弁座15との当接シール側を上流側としたときに、この当接シール側よりも開口部22側(外部からの水の流入側)をいう。空気層Sの大きさは、カバー体14の内径、環状体13の下部側の外径、逆流防止弁体16の大きさや浮力などを変えることで任意に設定可能である。
図1~図3において、口金(筒体)12は、例えばCAC406やSUS304などの金属材料により形成され、弁箱10の上部に設けられたリング体11の上部に消火栓用として取付けられる。この口金(筒体)12は、例えば、図示しない消防用ホースを結合するための一般的な結合金具であり、本実施形態では、町野式口金からなっており、略円筒状の差し金具12aと、略環状の押し輪12bとを有している。なお、図3は、図1の空気弁からカバー体14及び環状体13を外した一部省略拡大平面図を示している。
差し金具12aの下部には、雄ネジ25が形成される。押し輪12bは、差し金具12aの外周に上下動可能に装着され、この押し輪12bの外周には複数、本実施形態では2つの突出片12cが形成されている。この突出片12cを押し上げることにより、口金(筒体)12からホースを外すことが可能になっている。
突出片12cには逆流防止弁体16が載置可能に設けられ、これら2つの突出片12cに逆流防止弁体16を載置することで、図3の二点鎖線のクロスハッチング部分に示すように、逆流防止弁体16と突出片12c(押輪)との接触箇所の面積が小さくなる。また、口金(筒体)12の外周側には環状体13が取付け可能に設けられ、この環状体13に逆流防止弁座15が設けられる。
図4(a)、図4(b)に示した環状体13は、その同心円上に円筒部30が形成され、この円筒部30の下部内周は押し輪12bの円筒部分の外周に嵌合可能な内径に設けられ、円筒部30の上部内周は差し金具12aの外周に嵌合可能な内径に設けられ、この円筒部30上部の内径側にはシール用Oリング31が取付けられている。環状体13の下方側から口金(筒体)12を嵌入し、環状体13の下端側を突出片12c上面に当接させたときには、この環状体13の内周側の大空気孔20(リング体11)に取付けた差し金具12aに上端面23が設けられる。
環状体13の外周には環状の鍔部32が一体に形成され、この鍔部32には複数の長穴状の貫通部33が円周状に形成される。環状体13の装着後には、貫通部33を通して大空気孔20の内部と開口部22側とが連通部21により連通されて吸排気可能になっている。貫通部33は、その開口面積の合計が呼び径と同じ開口面積か或はより大きくなっていることによって規定の吸排気量が確保される。また、開口部22についても、吸排気量を確保するために貫通部33の開口面積と同じか或はより大きくなっているとよい。
貫通部33の底面側における貫通部33の内外周側には装着溝34、34が形成され、これら装着溝34に逆流防止弁座となるシールリング15、15がそれぞれ装着され、これらシールリング15により逆流防止弁体16とのシール性が確保される。
鍔部32の外周側には溝状部位が形成され、この溝状部位にシール材であるOリング36が取付けられる。このOリング36により、カバー体14の内周側に環状体13がシール状態で着脱可能に取付けられる。このような構成により、口金(筒体)12の外周側とカバー体14の内周側との間に、逆流防止弁座15と逆流防止弁体16とが設けられる。
逆流防止弁座15は、大空気孔20の外径側に略環状に配置され、図3に示すように、前述の逆流防止弁体16が、この逆流防止弁座15にシール可能な略環状に形成される。これら逆流防止弁体16と逆流防止弁座15は、大空気孔20に対して略同軸に配置される。
逆流防止弁体16は、発泡材やABS樹脂などの樹脂材料等により水に浮遊可能に設けられる。この場合、中実或は中空の何れの状態に設けられていてもよく、本例では発泡材として中実に設けられ、これによって成形が容易になっている。一方、樹脂材料により逆流防止弁体16を中空に形成する場合、軽量化を図りつつ内側に空気を蓄積すれば、浮力が高まって水に対して迅速に浮上可能となる。樹脂材料で中空の逆流防止弁体を設ける際に、複数の板材料を接着剤で接着して形成する場合には、内部に空気を蓄積させた状態で接着面から内部に水が浸入することのないようにする。逆流防止弁体を中実或は中空の何れに設ける場合にも、上下面側の平面度を高めることが望ましい。
図1、図2の弁箱10は、例えばダクタイル鋳鉄により略筒状に形成され、その上部に上端開口部40、下部に流入口41が設けられ、これらの間には収納室42が設けられる。上端開口部40側には、嵌合部43が形成され、この嵌合部43には環状凹溝44が形成されている。環状凹溝44には、例えばシリンダ用の材料で形成されたシール用Uパッキン45が装着される。上端開口部40と嵌合部43との間には段部46が設けられ、この段部46にはスラストリング47が装着され、上端開口部40の上面には、ボルト48のおねじ49を螺着するためのめねじ50が複数箇所に設けられる。
流入口41は、所定の流入面積が確保されるように設けられ、この流入口41の周囲には所定の流入面積を確保可能に、例えば、略90°の間隔で突起51が突出形成されている。突起51は、フロート弁体17、遊動弁体18の直径よりも内径側に突出するように設けられ、この突起51にフロート弁体17、遊動弁体18が上方より係止することでこれらの落下を防止可能になっている。弁箱10の外周下部にはフランジ52が設けられ、このフランジ52に分岐管1が接続される。
収納室42は、案内体19を収納可能な内径に設けられ、この収納室42の下部には案内体19載置用の案内台座53が内方に向けて突出形成されている。収納室42の内周側には複数の側面ガイド54が突出形成され、この側面ガイド54は、案内体19を芯出し状態でガイド可能に、案内体19の外周に当接可能な適宜の高さに設けられる。
収納室42内には、案内体19に収納された状態でフロート弁体17、遊動弁体18がこの案内体19と共に上端開口部40から収容され、案内台座53に載置される。上端開口部40には、固定手段60によりリング体11が固定可能に設けられ、後述するように、このリング体11に口金(筒体)12が装着される。
案内体19は、例えばABS樹脂などの樹脂材料により、リング体11と案内台座53との間に装着可能な高さの略筒状に設けられ、リング体11に取付けられた状態で収納室42に設けられる。案内体19の上部の複数箇所には、流体を連通させるための切欠き部61が等間隔に形成され、この切欠き部61による隙間によって流体が通過するときの流量が確保される。
案内体19のリング体11への接続側である上端外周部には切片状の接続部62が複数形成され、これら接続部62の先端側にはプレスフィット構造の凹凸状の仮連結部63が形成され、この仮連結部63と、後述のリング体11の仮連結部64とが仮止め可能に設けられる。案内体19の底面側の略中央位置には、所定径の孔65が設けられる。
フロート弁体17は、例えばエボナイトなどの樹脂材料、一方、遊動弁体18は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料により、ともに短円柱形状で偏平形状に設けられる。フロート弁体17の上方に遊動弁体18が重ねられ、この状態で案内体19に収納される。
遊動弁体18の偏心位置には、上下に貫通した小空気孔66が形成され、この偏心構造の小空気孔66を空気が移動可能になっている。遊動弁体18の上面側には、この遊動弁体18が浮上したときに、リング体11に設けられた弁座面11aに当接シール可能なシールリング67が装着されている。
フロート弁体17、遊動弁体18は、案内体19の内部で水に対して浮遊可能に設けられ、弁箱10内の水位に応じて案内体19に案内されつつ浮力により上下移動可能に設けられる。これらの動作により、水道水に含まれる空気が空気弁の外部に排出可能になっている。
リング体11は、金属または樹脂材料により略円筒状に形成され、このリング体11の中央に大空気孔20が貫通して形成され、この大空気孔20により口金(筒体)12を通る空気等の流体が弁箱10内に吸入排出される。大空気孔20の内径は、案内体19の上端開口部位、遊動弁体18の外形よりも小径に形成され、これにより、フロート弁体17、遊動弁体18が上昇したときには、遊動弁体18により大空気孔20が塞がれて止水される。
リング体11の上部内周側には雄ネジ25と螺合可能な雌ネジ68が形成され、リング体11と口金(筒体)12との間にOリング69が介在された状態で、雄ネジ25と雌ネジ68とが螺着される。これにより、これら口金(筒体)12とリング体11とが一体化される。
一方、リング体11の底面外周には環状筒部70が垂下するように形成され、この環状筒部70の内周には仮連結部63と仮止め可能なプレスフィット構造の仮連結部64が形成される。リング体11の内周側には、仮連結部63、64の連結により案内体19の上端外周部の接続部62が仮止め可能に設けられ、これによってフロート弁体17並びに遊動弁体18が収納された案内体19が、リング体11、口金(筒体)12と共に弁箱10に一体化可能に設けられる。
弁箱10内には、フロート弁体17、遊動弁体18、案内体19が内蔵された状態で、その上部に固定手段60を有する固定蓋71が取付けられる。そして、リング体11に口金(筒体)12が取付けられ、リング体11が固定手段60による固定で固定蓋71に着脱可能に装着され、リング体11に形成された大空気孔20が弁箱10上部に配置される。
この構造により、空気弁は、大空気孔20を通して空気弁機能を発揮し、水道水に含まれる空気泡や空気溜まりによる空気を外部に排出可能になる。
また、フロート弁体17、遊動弁体18、案内体19を収納室42から取り外した状態で、環状体13とカバー体14を弁箱10から取り外して口金(筒体)12を露出させることにより、この口金(筒体)12によって消火栓の機能を発揮することができる。
弁箱10の上部にはカバー体14が備えられ、このカバー体14は、例えばステンレスなどの金属材料により、弁箱10の上方を包囲可能な形状に設けられ、このカバー体14によって大空気孔20の上方が包囲されている。これにより、カバー体14の内部に大空気孔20と連通する空間状の連通部21が設けられ、この連通部21により大空気孔20から連通状態で開口部22が形成される。このようにカバー体14を利用して開口部22を設けていることで、上部側がカバー体14で被覆された状態で、開口部22により内部側が外気と連通する構造になっている。
カバー体14の下部外周には環状のフランジ部72が設けられ、このフランジ部72に弁箱10への取付け用ブラケット73が取付けられ、このブラケット73を利用して弁箱10の所定位置にカバー体14を取付け可能になっている。図3に示すように、ブラケット73は、薄板により略環状に形成され、その外周の2箇所に断面略L字状に曲折された鍔状部74が形成される。
ブラケット73は、固定蓋71の上から被せるように載置され、この固定蓋71と共にボルト48により弁箱10に位置決め状態で固着される。この状態で鍔状部74にフランジ部72が載置され、フランジ部72と鍔状部74の先端側とがネジ75により固定されることにより、カバー体14が弁箱10に位置決め固着される。
図1~図3において、固定手段60は、弁箱10の段部46、アーム係合片76、ロックピン装置(ロックピン)77、案内部79、図示しないストッパを有し、これらによりリング体11を着脱可能になっている。
アーム係合片76は、リング体11の外周面側に等間隔に突出形成され、段部46に当接可能に設けられている。このアーム係合片76は、前後側で異なる傾斜角度に形成され、一方側に緩傾斜面、他方側に急傾斜面が形成されている。これらの異なる傾斜角度により、緩傾斜面においては、ロックピン77を没入方向に移動させながらリング体11の回動が可能になり、一方、急傾斜面においては、ロックピン77が完全に内周側に突出して両者が係合することでリング体11の回動ができなくなるようになっている。
ロックピン77は固定蓋71に取付けられ、図示しないスプリングの付勢力でリング体11に係合してこのリング体11を所定の位置決め状態に装着可能に設けられる。このロックピン77は、手指で把持して外方に引っ張ることでリング体11への係止を外し、この状態でリング体11を回転することで弁箱10からリング体11を着脱可能となる。
固定蓋71は、リング体11を位置決め固定可能に弁箱10の上面に取付け可能に設けられる。固定蓋71の中央には穴部が形成され、この穴部からリング体11を挿入可能になっている。固定蓋71のボルト48が対応する位置には、挿通孔78が形成されている。図示しないが、穴部の一部には、アーム係合片76が通過するための切欠き部位が形成され、この切欠き部位に続けて下方に突出するストッパが形成され、このストッパによりリング体11の回動範囲が設定される。固定蓋71は弁箱10の上面に載置され、挿通孔78からボルト48が弁箱10に螺着されることで固定される。
図5(a)、図5(b)においては、逆流防止機構の他例を示している。この逆流防止機構80においては、逆流防止弁体81の上面側にゴム板により形成されてシール性を有する環状弾性体83が設けられている。
環状弾性体83と逆流防止弁体81との間には環状凸部82が介在され、本例においては、この環状凸部82が逆流防止弁体81の上面の内周側と外周側との中間付近に一体に形成されている。これにより、図1の開口部22から水が流入し、図5(a)から図5(b)の状態に逆流防止弁体81が上昇したときに、環状凸部82が環状弾性体83の中央部を押し上げ、その可撓性により製作誤差等によって同一平面状にない時でも内外周側が下方向に曲がることにより、鍔部32の内外周側に装着された逆流防止弁座となるシールリング(逆流防止弁座)15との密着性を高めることができる。
図6(a)、図6(b)においては、逆流防止機構の更に他例を示している。この逆流防止機構90では、逆流防止弁体81の上面に図5の場合とは異なる環状弾性体93が設けられる。
この環状弾性体93の上面には突状シール部94が設けられ、この突状シール部94により貫通部33の内外周をシール可能に設けられる。
突状シール部94は、半Oリング状で環状に形成され、この場合には、逆流防止弁座95側にOリングを設ける必要がなく、図1の開口部22から水が流入し、図6(a)から図6(b)の状態に逆流防止弁体81が上昇したときに、環状凸部82が環状弾性体93の中央部を押し上げ、この環状弾性体93がその可撓性により内外周側が下方向に曲がることで、逆流防止弁座95と突状シール部94との密着性が高まる。
このように環状弾性体93に環状の突状シール部94を一体形成した場合、環状弾性体93を薄板状に成形して可撓性を向上させ、逆流防止弁座95への追従性を高めることができると共に、突状シール部94がリブの機能を発揮し、環状弾性体93が薄板状であっても不要な歪みを防ぐことができる。これにより、薄板状の環状弾性体93を、環状凸部82を中心に略左右対称に可撓させ、環状弾性体93が元の形状に戻ろうとする弾性力と突状シール部94によるシール力を高めつつ貫通部33の内外周側にある逆流防止弁座95に密着シールさせて止水性を向上できる。
図7(a)、図7(b)においては、逆流防止機構の更に別の他例を示している。この逆流防止機構150では、逆流防止弁体81と環状弾性体151との間に環状凸部152が介在され、この環状凸部152が、環状弾性体151の底面の内周側と外周側との中間付近に一体に形成されている。環状弾性体151の上面には、図6の場合と同様に環状で半Oリング状の突状シール部94が内外周側に形成され、この突状シール部94が逆流防止弁座95に当接することで面圧力が高められる。一方、逆流防止弁体81の上面はフラット状に設けられる。
このように、環状凸部152を環状弾性体151側に設ける場合には、このゴム板である環状弾性体151を一体成形することで製作容易になり、しかも、所定位置に高精度に形成可能となる。一方、逆流防止弁体81においては、その上面側に凸部が無くなって単純な平面形状となるため、表面の精度(平面度)を高めやすく、表裏関係なく使用できる。
逆流時に逆流防止弁体81が上昇し、環状弾性体151が逆流防止弁座95に当接するときには、その内周側と外周側との中間位置に配置された環状凸部152が中央側のリブとして機能し、環状凸部152を挟んで内周側、外周側の突状シール部94がしなやかな状態を保ちつつ変形し、中央側の強度を増しつつ各突状シール部94が貫通部33の内周側、外周側の位置で逆流防止弁座95に密着する。そのため、貫通部33への漏れを確実に防いで優れた止水性能を発揮し、安定したシール状態を維持できる。
仮に、逆流防止弁体81に対して環状弾性体151が芯ズレを起こしたとしても、逆流防止弁体81の上面に環状弾性体151中央の環状凸部152が当接し、この環状凸部152を中心として環状弾性体151の内外周側の突状シール部94側が断面方向において左右対称に変形して逆流防止弁座95を均等に押圧することには変わりがないため、閉止時には止水性が低下することなく常に高いシール性を発揮する。
上記のように、環状凸部は、逆流防止弁体と環状弾性体との間に配置されていれば、環状弾性体側に設けられていてもよく、また、凸面を有していればその断面形状にこだわることなく任意の形状に設定できる。
なお、本発明の空気弁は、水道本管の配管路に設けられ、水道水内に含まれる空気を排出するために用いられるが、農業用水など水道水以外に用いることも可能である。この空気弁は、例えば、洗管作業、圧力測定、臨時給水等に適している。
上記実施形態では、消火栓用の口金を筒体としているが、筒体は口金に限られることはなく、筒形で大空気孔の上部側に取付け可能であればその形状等を変更することもできる。
続いて、本発明の空気弁の上記実施形態における動作並びに作用を説明する。
図1の状態において、図示しない地下設置用の弁筐が水没していない場合には、逆流防止弁体16が下降して突出片12cに載置した状態となり、後述する急速排気、急速吸気、圧力下排気の何れの場合でも、逆流防止弁体16が逆流防止弁座15の貫通部33を塞ぐことなく各機能が発揮される。この場合、弁箱10の上方側を包囲するカバー体14を設けているので、このカバー体14により外部からのゴミ等の浸入を抑えている。逆流防止弁体16の突出片12cへの載置面積が小さいため、逆流防止弁体16が突出片12cに付着するおそれがなく、逆流防止弁体16の作動不良が起こりにくい。
図2において、弁筐に汚染水などの水が流入して蓄積すると、この蓄積した水が空気弁内に流入しようとする。このとき、弁筐内の水位の上昇に伴ってカバー体14の開口部22より水が徐々に入り込むことで弁筐内に水が溜まり、空気弁全体が水没する際には、開口部22より流入した水位の上昇に伴って逆流防止弁体16が浮き上がる。
逆流防止弁体16の上面16aが、貫通部33の内外周に装着されたシールリング(逆流防止弁座)15に当接すると、この逆流防止弁体16は上昇を停止して図2に示した状態となる。逆流防止弁体16には浮力が加わり、この浮力により逆流防止弁座15に逆流防止弁体16の当接シール力が働き続けることで、貫通部33が塞がれた止水状態が継続される。
逆流防止弁体16の逆流防止弁座15への当接シール時には、上昇した水位が図2の状態となり、逆流防止弁座の下流側(弁座シール側)に所定の空気層Sが設けられる。これにより、上昇した水位が逆流防止弁体16の上面16aと逆流防止弁座15の高さ付近まで到達することがなく、これらの隙間に水が浸入したり、これらが水に濡れることを防止できる。そのため、これら逆流防止弁体16や逆流防止弁座15に対して、水に浮いている落ち葉などの浮遊物や水に含まれる汚れ・ゴミなどの付着を防ぎ、当接時の密着性を保持して弁箱10内への水漏れを防いだ状態を維持できる。
空気弁の水没状態で水道管内が正圧の場合には、後述する排気のみがおこなわれ、この排気時には逆流防止弁体16を押し下げてカバー体14内に排気する。さらに排気がおこなわれると、カバー体14内の水が外部に押し出され、このカバー体14の内部に空気が溜まり、水没していない場合と同様に逆流防止弁体16を突出片12cに載置した状態で排気動作が可能となる。
逆流防止弁座15を大空気孔20の外径側に配置し、この逆流防止弁座15に逆流防止弁体16をシール可能な略環状に形成し、これら逆流防止弁体16と逆流防止弁座15とを大空気孔20に対して略同軸に配置していることにより、逆流防止弁座15、逆流防止弁体16の拡径方向の大型化を最小限に抑えつつ、貫通部33により優れた空気弁機能を発揮できる。
口金(筒体)12により大空気孔20の上部に上端面23を設け、口金(筒体)12の外周側とカバー体14の内周側との間に環状体13を設けていることにより、逆流防止弁座15、逆流防止弁体16を装着する領域を確保できる。しかも、環状体13の同軸上に、貫通部33、逆流防止弁座15を有する鍔部32を設けていることで、逆流防止弁座15と逆流防止弁体16との位置合わせをおこなうことなく組立時にこれらを所定の状態に配置できる。
図1の状態で空気弁として用いる場合、弁箱10内に水が無いときには、フロート弁体17、遊動弁体18は降下して大空気孔20が開放した状態になり、この状態から急速排気や急速吸気の動作がおこなわれる。
急速排気は、図示しない水道管の管路に充水するときに、管路内の空気を、大空気孔20を通して急速に多量に排気するときの動作となる。急速排気時には、遊動弁体18、フロート弁体17はともに浮き上がることなく案内体19の下方に位置するため、大空気孔20が全開状態になる。これにより、管路内の空気が効率的に外部に排出される。
急速吸気は、管路内の水を排出するときに、急速に管路内に多量の吸気をおこなうときの動作となる。急速吸気時には、遊動弁体18、フロート弁体17が降下した状態となる。この場合、大空気孔20が開口し、この大空気孔20から効率的に吸気して管路内の排水が迅速におこなわれる。このとき、孔65から案内体19内に蓄積した水も排水される。
この場合、逆流防止弁体16は、その自重により突出片12cへの載置状態を保持し、貫通部33側に吸い上げられることがないため、貫通部33が開口した状態でスムーズに急速吸気できる。
これらの急速排気、急速吸気により、水道管への最初の送水や、水道管からの排水などの作業を短時間でおこなうことができる。
空気弁内への充水が完了し、管路内が満水状態になって弁箱10内が水で満たされているときには、フロート弁体17、遊動弁体18が浮力によって上昇し、遊動弁体18のシールリング67がリング体11の弁座面11aに密着して大空気孔20を塞ぎ、かつ、フロート弁体17が遊動弁体18の小空気孔66を塞ぐ。これらにより、弁箱10内が完全に遮蔽された状態になり、外部への水の流出が防がれる。
この充水時の圧力下において、水道管内に混入している空気は、徐々に空気弁に集まって弁箱10内に溜まっていく。この空気量が一定に達すると、先ず、フロート弁体17のみが降下し、遊動弁体18の小空気孔66が開いた状態になる。これは、大空気孔20と小空気孔66とにおける孔径の大小関係により、遊動弁体18が大空気孔20を有するリング体11の弁座面11aから離れないためであり、その結果、フロート弁体17のみが自重により降下する。
その際、遊動弁体18の小空気孔66がフロート弁体17に対して偏心位置に配置されていることで、まず、小空気孔66の反対側から降下し、フロート弁体17には傾斜する方向の力が加わる。さらに上記のようにフロート弁体17が短円柱状で、かつ偏平形状であることで案内体19内周に対する接触抵抗が少ない。これらのことから、フロート弁体17が遊動弁体18に対して傾きやすく、遊動弁体18から離間させて確実に降下する。これにより、フロート弁体17と遊動弁体18との吸着を防いで、開口させた遊動弁体18の小空気孔66から空気弁内の空気をスムーズに外部に排出できる。さらに、フロート弁体17の下部側の角部位をアール状に形成していることで、フロート弁体17がより傾斜して降下しやすくなっている。
空気の排出により弁箱10内の空気量が少なくなると、フロート弁体17が上昇して再び小空気孔66を塞ぐ。以上の動作を繰り返すことにより、本管内に溜まった空気を自動的に弁外に排出する。
以上のように、急速排気、急速吸気、圧力下排気がおこなわれて通気弁機能が発揮される。
また、空気弁を洗管用や臨時の消火栓として通水機能を発揮させる場合、案内体19、フロート弁体17、遊動弁体18、リング体11と一体化された口金(筒体)12を抜き出した弁箱10に対して、再度口金(筒体)12を取付けるようにする。この場合、口金(筒体)12を弁箱10の上方より挿入し、図3におけるアーム係合片76と案内部79との位置を合わせながら差し込んで所定角度回転させる。この回転により、ロックピン77がアーム係合片76の緩傾斜面により自動的に没入方向に移動する。口金(筒体)12がセット位置まで達すると、急傾斜面がロックピン77の位置に到達することで、ロックピン77がスプリングの付勢力で突出して急傾斜面側に係合する。このとき、緩傾斜面がストッパの側面部位に衝突することから、アーム係合片76が両側から挟まれて固定保持される。
このように口金(筒体)12とは別の部品を必要とすることなく、口金(筒体)12と一体化したリング体11の大空気孔20を通して通水機能を発揮可能になる。このため、空気弁の設置場所に口金部品等の別部品を持ち運ぶ必要もなく、案内体19、フロート弁体17、遊動弁体18、口金(筒体)12、リング体11の弁箱10への着脱により簡単に空気弁と消火栓等とを切換えできる。
この場合、一般的な玉形弁構造の消火栓では圧力損失が大きくなるが、本実施形態の空気弁では流路がストレート構造であることで、消火栓等として使用する際の圧力損失が小さくなる。
口金(筒体)12には、ホース等を接続可能であり、ホースの接続により上記の臨時の消火栓として利用したり、或は、管路内を洗管したり、応急給水に利用したり、管路内の水圧測定も実施でき、これら以外の各種の用途にも利用可能である。口金(筒体)12を取付けて消火栓等として使用する場合には、例えば、日本水道協会規格JWWA B 103(水道用地下式消火栓)の消火栓と同等の流量を確保できる。
さらに、フランジ52にボール弁等の補修弁を一次側に接続した場合、この補修弁の開閉により流路を確保しながら洗管用や臨時の消火栓に適した状態にできる。弁箱10の下部に案内台座53を設けていることで、補修弁側から流れ込む噴流がこの案内台座53に当たり、弁外への直接の噴出を防止可能になっている。
図8においては、本発明の空気弁の第2実施形態を示している。なお、この実施形態以降において、それ以前の実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
この実施形態における空気弁では口金とは別の筒体100が設けられ、この筒体100に環状体13が取付けられる。筒体100の上部には上鍔部101、中間部には中間鍔部102がそれぞれ設けられ、これら上鍔部101、中間鍔部102を利用して前述の環状体13が装着される。これにより、上鍔部101の上面には上端面100aが設けられる。筒体100の中央には大空気孔103が形成され、筒体100の下部外周にはOリング104が装着されている。
弁箱10には固定蓋105が取付けられ、この固定蓋105の中央に形成された取付穴106にOリング104を装着した状態で筒体100が嵌入されるように取付けられる。これにより、筒体100に形成された大空気孔103が遊動弁体18側に開口した状態になっている。
逆流防止弁体16、逆流防止弁座15が形成された環状体13、カバー体14は、前記実施形態と同じものを使用でき、筒体100の外周側に逆流防止弁体16が上昇可能な状態で取付けられる。逆流防止弁体16の下方には、固定蓋105、ブラケット73取付け用のボルト107が配置し、このボルト107に下降した逆流防止弁体16が載置可能に設けられている。
このように、口金が設けられていないものに対しても、筒体100を装着することで前記実施形態と同様に逆流防止弁体16、逆流防止弁座15をカバー体14の内部に装着し、このカバー体14の開口部22から流入する水により逆流防止弁体16が上昇して逆流防止弁座15に当接シールすることにより、外部からの水の浸入を防止可能となる。
この実施形態では空気弁の直下にボール弁からなる補修弁108がネジ接続により設けられ、この補修弁108を介在させた状態で空気弁が水道管の分岐管1に取付けられる。このように空気弁の一次側に補修弁108を設けるようにしてもよく、この場合、水道管から空気弁に加わる水圧を遮断可能となり、この遮断状態で空気弁のメンテナンスや交換が可能となる。補修弁108としてボール弁が用いられているが、この補修弁108は、ボール弁以外のバルブを用いることもできる。
図9においては、本発明の空気弁の第3実施形態を示している。この実施形態の空気弁では、口金の代わりに筒体110が設けられ、この筒体110を介在してカバー体111が取付けられる。
筒体110の上部にはフランジ部112が設けられ、このフランジ部112の上部に上端面110aが設けられる。このフランジ部112の上面には等間隔で支柱113が立設して形成され、この支柱113に設けられたメネジ114への固着ボルト115の螺着により略円筒状のカバー体111が取付けられる。筒体110の中央には大空気孔116が形成され、筒体110は螺子構造によりOリング117を装着した状態で固定蓋118に取付けられる。
フランジ部112の下面にはシールリング120が装着されて内周側弁座が構成され、一方、カバー体111にはシールリング120と同じ高さになるようにシールリング121が装着されて外周側弁座が構成される。フランジ部112とカバー体111との間には連通部123が設けられ、この連通部123内に前記内外周側の弁座による逆流防止弁座122が形成される。
逆流防止弁座122と、固定蓋118取付け用のボルト124との間に筒体110が貫通された状態で逆流防止弁体125が装着され、これによって逆流防止弁体125がボルト124と逆流防止弁座122との間を上昇可能に設けられている。
この実施形態の場合、筒体110とカバー体111とにより逆流防止弁座122を構成でき、これらの間の隙間からなる貫通部126が設けられる。これによって部品点数を少なく抑えつつ、水の流入時に逆流防止弁体125が浮力で上昇したときには、同じ高さのシールリング120、121に当接シールして内部と外部とを遮断して水の浸入を防止できる。
カバー体111取付け用の支柱113と、カバー体111を加工することにより、内周側のシールリング120と外周側のシールリング121とによる逆流防止弁座122の高さを高い精度で合わせることも可能になる。
図10においては、本発明の空気弁の第4実施形態を示している。この実施形態では、口金や筒体を設けることなくカバー体130が取付けられ、このカバー体130と弁箱131とに逆流防止弁体132、逆流防止弁座133が設けられる。
弁箱131の上部にはフランジ状部134が形成され、このフランジ状部134の下面にはシールリング135が装着されることにより内周側弁座が構成される。一方、カバー体130におけるシールリング135と同じ高さにはシールリング136が装着されることにより外周側弁座が構成され、これら内外周弁座により逆流防止弁座133が設けられる。弁箱131、固定蓋137とカバー体130との間には貫通部138が設けられ、この貫通部138を通して連通部139が外部と連通されており、この貫通部138内に、前記逆流防止弁座133が設けられる。固定蓋137の上部には上端面137aが設けられ、中央には大空気孔141が設けられる。
弁箱131の下部付近の外周には金属製、又は樹脂製の止めリング140が装着され、この止めリング140により脱落を防いだ状態で逆流防止弁体132が上昇可能な状態で取付けられている。
この実施形態の場合には、別途部品を必要とすることなく、カバー体130、弁箱131にシールリング135、136や止めリング140の装着溝を加工するだけで、これらカバー体130と弁箱131との間に逆流防止弁体132、逆流防止弁座133を設けることができる。
図11においては、本発明の空気弁の第5実施形態を示している。この実施形態では、筒体(口金)12の外周側に設けられた環状体161と、この環状体161の外周に設けられた鍔部32と、環状体161の外周に設けられた係止部164と、この係止部164に支受けされた状態で係止された逆流防止弁体16と、この逆流防止弁体16の上面側に設けたシール性を有する環状弾性体165とにより逆流防止機構部160を構成してユニット化されている。そして、このユニット化された逆流防止機構部160がカバー体14内に一体化されていることにより、カバー体14とともに逆流防止機構部160を取り外せるようにしたものである。
上記の係止部164は、金属製或は樹脂製の止めリングからなり、この止めリング(係止部)164が、環状体161の下部外周に形成された溝部163に嵌め込まれて一体化されている。逆流防止弁体16は、止めリング164により脱落が阻止された状態で、この止めリング164と鍔部32との間を外部から浸入した水により、環状弾性体165とともに昇降動可能に設けられる。
係止部164は、逆流防止弁体16、環状弾性体165の抜け出しを防止するものであれば止めリングに限ることはなく、例えば、Oリングや針金などを使用してもよい。また、これらOリングや針金などを設けることなく、環状体161の下部外周に抜け出し防止する任意の凸部があってもよい。何れの場合にも、逆流防止機構部160のメンテナンスや清掃を実施する際に、分解・組立てしやすい態様とするとよい。
環状弾性体165は、鍔部32の内周側に形成された貫通部33の位置に対応するように、その外径が小さく設けられている。環状弾性体165を小径に設けた場合、変形による弾性力が高められて閉止時のシール性能が向上し、また、その材料の使用量も抑えられる。このように、環状弾性体165は、貫通部33の位置や径に応じて任意の外径に設定でき、上記のように小径に設けた場合にも、前述した場合と同様に環状凸部152が逆流防止弁体16の上面に当接し、突状シール部94が逆流防止弁座166に均等に押圧されることで高い止水性を発揮する。
図12においては、図11の空気弁を分離した状態を示している。図のようにカバー体14を弁箱10から取り外すようにして上方に持ち上げるようにすれば、このカバー体14を取り外す際に、逆流防止弁体16及び環状体161、環状弾性体165を一体に着脱できるようになる。
このように、カバー体14内に逆流防止機構部160をユニット化(一体化)することで、部品を分散させることなくカバー体14を取り外すのみの簡単な手順により弁箱10側からユニットを分離させ、続いて、各部を分解してメンテナンスや清掃可能となる。
これにより、例えば、内部へのゴミ詰まりによる弁機構部分の漏水の修理や、消火栓として使用するために内部部品(フロート弁体17、遊動弁体18、案内体19)を取り外すときにも、分解が煩雑になることを防いで各部品の紛失、破損も防止できる。
なお、止めリング164は、逆流防止弁体16、弾性環状体165が環状体161から外れない程度の強度があれば十分であり、強く固定することなく簡単に取付け、取外しできることから、逆流防止機構部160の清掃等を実施する際には簡単に分解することができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
10 弁箱
12 口金(筒体)
13、161 環状体
14 カバー体
15 逆流防止弁座
16 逆流防止弁体
20 大空気孔
21 連通部
22 開口部
23 上端面
32 鍔部
33 貫通部
82、152 環状凸部
83、93 環状弾性体
94 突状シール部
160 逆流防止機構部
164 止めリング(係止部)
165 環状弾性体
S 空気層

Claims (5)

  1. 大空気孔の上方を包囲するカバー体を備え、前記カバー体の内周面と前記大空気孔の間にユニット化された逆流防止機構部を着脱可能に設け、この逆流防止機構部は、環状体の外周に設けられた環状の鍔部と、この鍔部に前記大空気孔と前記カバー体の下方開口部とを連通させた貫通部と、この貫通部に設けられた逆流防止弁座と、前記環状体の外周に設けられた係止部と、前記係止部に支受された状態で係止された逆流防止弁体とをユニット化した状態で構成し、前記下方開口部から流入する水により前記逆流防止弁体が上昇して前記逆流防止弁座に当接シールされ、外部からの水の流入を防止したことを特徴とする空気弁。
  2. 前記逆流防止弁体の上面側にシール性を有する環状弾性体を配置させた請求項1に記載の空気弁。
  3. 前記環状弾性体には、前記貫通部の内外周をシール可能な環状の突状シール部が設けられた請求項2に記載の空気弁。
  4. 前記逆流防止弁体と前記環状弾性体との間には環状凸部が介在され、この環状凸部が前記逆流防止弁体の上面に形成された請求項2に記載の空気弁。
  5. 前記逆流防止弁体と前記環状弾性体との間には環状凸部が介在され、この環状凸部が前記環状弾性体の底面に形成された請求項2に記載の空気弁。
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