JP2024054013A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024054013000001
【課題】応答遅れによるカム位相角の過進角や過遅角を予防してカム位相角制御の制御精度を向上できる内燃機関の制御装置を得ること。
【解決手段】本発明の内燃機関100の制御装置201は、モータ12を用いてカム位相角を制御する可変バルブタイミング機構114を有するものであり、可変バルブタイミング機構の制御における応答遅れ要素を演算する応答遅れ要素演算部622と、応答遅れ要素に基づいて内燃機関の将来エンジン回転速度を推測する将来エンジン回転速度推測部623と、現在のエンジン回転速度に基づいて可変バルブタイミング機構の目標モータ回転速度を演算する目標モータ回転速度演算部613と、将来エンジン回転速度に基づいて可変バルブタイミング機構の目標モータ回転速度を補正する補正目標モータ回転速度演算部624を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、電動モータを用いてカム位相角を制御する可変バルブタイミング機構を有する内燃機関の制御装置に関する。
特許文献1には、実際のカム位相角を検出し、目標のカム位相角に近づけるように可変バルブタイミング機構(VTC:Variable valve Timing Control)のカム位相角制御を行う内容が示されている。そして、エンジン回転速度に対するカム軸相対速度を電動モータにより変化させることでカム位相角を制御する電動式の可変バルブタイミング調整装置が知られている。
特開2013-83187号公報
従来の電動式の可変バルブタイミング調整装置では、例えばエンジン始動時などのエンジン回転速度の変動が大きい領域でカム位相角制御を行った場合に、応答遅れによりカム位相角が過進角や過遅角となるおそれがある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、応答遅れによるカム位相角の過進角や過遅角を予防してカム位相角制御の制御精度を向上できる可変バルブタイミング機構の制御装置を提供することである。
上記課題を解決する本発明の可変バルブタイミング機構の制御装置は、電動モータを用いてカム位相角を所定の最遅角位置から最進角位置までの間で制御するための可変バルブタイミング機構を有する内燃機関の制御装置であって、前記可変バルブタイミング機構の制御における応答遅れ要素を演算する応答遅れ要素演算部と、前記応答遅れ要素に基づいて、前記内燃機関の将来時点のエンジン回転速度である将来エンジン回転速度を推測する将来エンジン回転速度推測部と、前記内燃機関の現在のエンジン回転速度に基づいて前記可変バルブタイミング機構の目標モータ回転速度を演算する目標モータ回転速度演算部と、前記将来エンジン回転速度に基づいて前記目標モータ回転速度を補正する補正目標モータ回転速度演算部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、応答遅れによるカム位相角の過進角や過遅角を予防してカム位相角制御の制御精度を向上できる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態に係る可変バルブタイミング機構の制御装置が適用される内燃機関のシステム構成図。 図1における可変バルブタイミング機構を示す断面図。 図2のA-A線断面図。 図2のB-B線断面図。 可変バルブタイミング機構の制御装置について説明するための機能ブロック図。 VTC目標回転速度演算部の内部構成を説明するための機能ブロック図。 カム位相角を最遅角位置からエンジン回転速度同期位置まで進角させる例を示す図。 ハード要素とソフト要素の合成遅れ時間経過後のクランク位置を説明する図。 目標モータ回転速度の補正方法を説明する図。 将来のエンジン回転速度の変化を推測する方法の一例を説明する図。 補正目標モータ回転速度演算方法を説明するフローチャート。 図11の補正処理の内容を説明するフローチャート。 エンジン回転速度と目標モータ回転速度との関係を説明する図。 将来のエンジン回転速度の変化を推測する方法の他の例を説明する図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る可変バルブタイミング機構の制御装置が適用される内燃機関のシステム構成図、図2は、図1における可変バルブタイミング機構を示す断面図、図3は、図2のA-A線断面図、図4は、図2のB-B線断面図である。
内燃機関(エンジン)100は、走行動力用の電動モータを有するいわゆるハイブリッド車両に搭載されており、動力源として用いられる。この内燃機関100は、図示する直列型の他、V型あるいは水平対向型などの様々な形式とすることができる。
内燃機関100の吸気ダクト102には、内燃機関100の吸入空気流量QAを検出する吸入空気量センサ103を設けている。吸入空気量センサ103の下流には、電子制御によってスロットル開度を制御する電制スロットル(以下、単にスロットルバルブという場合がある)101が配置されている。吸気バルブ105は、各気筒の燃焼室104の吸気口を開閉する。この吸気バルブ105の上流側の吸気ポート102aには、気筒毎に燃料噴射弁106を配置している。ここでは、燃料噴射弁106が吸気ダクト102内に燃料を噴射するものを例に説明しているが、燃焼室104内に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式内燃機関であっても良い。
燃料噴射弁106から噴射された燃料は、吸気バルブ105を介して燃焼室104内に空気と共に吸引され、点火プラグ107による火花点火によって着火燃焼し、該燃焼による圧力がピストン108をクランクシャフト109に向けて押し下げることで、クランクシャフト109を回転駆動する。
また、排気バルブ110は、燃焼室104の排気口を開閉し、排気バルブ110が開くことで燃焼室104内の排ガスが排気管111に排出される。排気管111には三元触媒等を備えた触媒コンバータ112が設置され、触媒コンバータ112によって排気が浄化される。
吸気バルブ105は、クランクシャフト109によって回転駆動される吸気カムシャフト115aの回転に伴って開動作する。また、排気バルブ110は、クランクシャフト109によって回転駆動される排気カムシャフト115bの回転に伴って開動作する。
可変バルブタイミング機構(以下、単にVTCと称する場合がある)114は、アクチュエータとしての電動のVTCモータ(ブラシ付DCモータ)12によって、クランクシャフト109に対する吸気カムシャフト115aのカム位相角を変化させることで、吸気バルブ105のバルブ作動角の位相、つまり、吸気バルブ105のバルブタイミングを連続的に進角方向及び遅角方向に変化させる、電動式のVTC機構である。
また、気筒毎に設けた点火プラグ107には、点火プラグ107に対して点火エネルギを供給する点火モジュール116がそれぞれ直付けされている。点火モジュール116は、点火コイル及び点火コイルへの通電を制御するパワートランジスタを備えている。
制御装置(電子制御ユニット)201は、VTC機構114を駆動制御する電動VTCコントローラ201aと、燃料噴射弁106や点火モジュール116などを制御するエンジンコントロールモジュール(以下、ECMと称する)201bとを備えている。電動VTCコントローラ201a及びECM201bは、それぞれがCPU、RAM、ROMなどを含むマイクロコンピュータを備え、ROMなどのメモリに予め格納されたプログラムに従って演算処理を行うことで各種デバイスの操作量を演算して出力する。また、電動VTCコントローラ201aは、VTC機構114の電動モータを駆動するインバータなどの駆動回路IC(図5を参照)を備えている。
これら電動VTCコントローラ201aとECM201bは、CAN(Controller Area Network)201cを介して相互にデータ転送を行えるように構成されている。なお、通信回路網としてのCAN201cには、電動VTCコントローラ201a、ECM201bの他、例えば内燃機関と組み合わされる自動変速機を制御するATコントローラ(図示せず)などが接続される。
制御装置201には、吸入空気量センサ103から出力される吸入空気流量QAを入力する他、クランクシャフト109の回転角信号POSを出力するクランク角センサ203、アクセルペダル207の踏込み量、換言すればアクセル開度ACCを検出するアクセル開度センサ206、吸気カムシャフト115aの回転角信号CAMを出力するカム角センサ204、内燃機関100の冷却水の温度TWを検出する水温センサ208、触媒コンバータ112の上流側の排気管111に設置され、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比AFを検出する空燃比センサ209、オイルパン内(またはエンジンオイルの循環経路)におけるエンジンオイルの油温TOを検出する油温センサ210などからの出力信号を入力し、更に、内燃機関100の運転及び停止のメインスイッチであるイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)205からの信号IGNSWを入力する。
クランク角センサ203は、クランクシャフト109に固定されたクランク角プレートに対向して配置されており、クランク角プレートの回転に応じてパルス信号である回転角信号POSを出力する。クランク角センサ203が出力する回転角信号POSは、単位クランク角(例えば、10deg.CA)毎のパルス信号であって、気筒間の行程位相差(点火間隔)に相当するクランク角(4気筒機関でクランク角180deg)毎に、1個若しくは複数のパルスが欠落するように構成される。
また、クランク角センサ203が、単位クランク角毎の回転角信号POS(単位クランク角信号)と、気筒間の行程位相差(点火間隔)に相当するクランク角毎の基準クランク角信号とを出力するよう構成することができる。ここで、単位クランク角毎の回転角信号POSの欠落箇所若しくは基準クランク角信号の出力位置は、各気筒の基準ピストン位置を表すことになる。
カム角センサ204は、吸気カムシャフト115aに固定されたカム角プレートに対向して配置されており、カム角プレートの回転に応じて回転角信号CAMを出力する。カム角センサ204は、気筒間の行程位相差(点火間隔)に相当するクランク角毎に回転角信号CAMを出力する。
ここで、吸気カムシャフト115aは、クランクシャフト109の回転速度の半分の速度で回転するから、内燃機関100が4気筒機関で、気筒間の行程位相差(点火間隔)に相当するクランク角が180deg.CAであれば、クランク角180deg.CAは吸気カムシャフト115aの回転角90degに相当する。つまり、カム角センサ204は、吸気カムシャフト115aが90deg回転する毎に、回転角信号CAMを出力する。
回転角信号CAMは、基準ピストン位置に位置している気筒を判別させるための信号(気筒判別信号)であり、気筒間の行程位相差(点火間隔)に相当するクランク角毎に気筒番号を表す特性のパルスとして出力される。
例えば、4気筒機関であって点火順を第1気筒、第3気筒、第4気筒、第2気筒とする場合、カム角センサ204は、クランク角180deg毎に1個のパルス信号、3個のパルス信号、4個のパルス信号、2個のパルス信号を出力することで、基準ピストン位置に位置している気筒をパルス数に基づき特定することができる。また、回転角信号CAMは、パルス数で気筒番号を表す代わりに、パルス幅や振幅に基づき気筒番号を表すことができる。
図2~図4はそれぞれ、図1におけるVTC機構114の構造の一例を示す。
なお、VTC機構114の構造は、図2~図4に例示したものに限定されるものではなく、ブラシ付DCモータに位相変換時のみ電圧を印加して、スプロケット部に対してモータシャフトを回転させてカムシャフトの位相を変換するものであれば採用できる。
VTC機構114は、図2に示すように、内燃機関100のクランクシャフト109によって回転駆動される駆動回転体であるタイミングスプロケット(カムスプロケット)1と、シリンダヘッド上に軸受44を介して回転自在に支持され、タイミングスプロケット1から伝達された回転力によって回転する吸気カムシャフト115aと、タイミングスプロケット1の前方位置に配置されて、チェーンカバー40にボルトによって固定されたカバー部材3と、タイミングスプロケット1と吸気カムシャフト115aの間に配置されて、タイミングスプロケット1に対する吸気カムシャフト115aのカム位相角を変更する位相変更機構4と、を備える。
タイミングスプロケット1は、スプロケット本体1aと、スプロケット本体1aの外周に一体に設けられて、巻回されたタイミングチェーン42を介してクランクシャフト109からの回転力を受けるギア部1bと、から構成される。
また、タイミングスプロケット1は、スプロケット本体1aの内周側に形成された円形溝1cと吸気カムシャフト115aの前端部に一体に設けられたフランジ部2aの外周との間に介装された第3ボールベアリング43によって、吸気カムシャフト115aに回転自在に支持されている。
スプロケット本体1aの前端部外周縁には、環状突起1eが一体に形成されている。 スプロケット本体1aの前端部には、環状突起1eの内周側に同軸に位置決めされ、内周に波形状の噛み合い部である内歯19aが形成された環状部材19と、円環状のプレート6とがボルト7によって軸方向から共締め固定されている。
また、スプロケット本体1aの内周面の一部には、図4に示すように、円弧状の係合部であるストッパ凸部1dが周方向に沿って所定長さ範囲まで形成されている。
プレート6の前端側外周には、位相変更機構4の後述する減速機8やVTCモータ12の各構成部材を覆う状態で前方に突出した円筒状のハウジング5がボルト11によって固定されている。
ハウジング5は、鉄系金属によって形成されてヨークとして機能し、前端側に円環プレート状の保持部5aを一体に有していると共に、保持部5aを含めた外周側全体がカバー部材3によって所定の隙間をもって覆われた形で配置されている。
吸気カムシャフト115aは、外周に吸気バルブ105を開作動させる駆動カム(図示省略)を有すると共に、前端部に従動回転体である従動部材9がカムボルト10によって軸方向から結合されている。
また、吸気カムシャフト115aのフランジ部2aには、図4に示すように、スプロケット本体1aのストッパ凸部1dが係入する係止部であるストッパ凹溝2bが円周方向に沿って形成されている。
このストッパ凹溝2bは、円周方向へ所定長さの円弧状に形成され、この長さ範囲で回動したストッパ凸部1dの両端縁が周方向の対向縁2c、2dにそれぞれ当接することによって、タイミングスプロケット1に対する吸気カムシャフト115aの最大進角側、最大遅角側の相対回転位置を規制するようになっている。
つまり、ストッパ凸部1dがストッパ凹溝2b内で移動できる角度範囲が、クランクシャフト109に対する吸気カムシャフト115aのカム位相角の可変範囲、換言すれば、吸気バルブタイミングの可変範囲となる。
カムボルト10の頭部10aの軸部10b側の端縁には、フランジ状の座面部10cが一体に形成され、軸部10bの外周には、吸気カムシャフト115aの端部から内部軸方向に形成された雌ねじ部に螺着する雄ねじ部が形成されている。
従動部材9は、鉄系金属材によって形成され、図3に示すように、前端側に形成された円板部9aと、後端側に一体に形成された円筒状の円筒部9bとから構成されている。円板部9aには、後端面の径方向ほぼ中央位置に吸気カムシャフト115aのフランジ部2aとほぼ同外径の環状段差突起9cが一体に設けられる。
そして、環状段差突起9cの外周面とフランジ部2aの外周面が第3ボールベアリング43の内輪43aの内周に挿通配置されている。第3ボールベアリング43の外輪43bは、スプロケット本体1aの円形溝1cの内周面に圧入固定されている。また、円板部9aの外周部には、複数のローラ34を保持する保持器41が一体に設けられている。
保持器41は、円板部9aの外周部から円筒部9bと同じ方向へ突出して形成され、円周方向へほぼ等間隔の位置に所定の隙間をもった複数の細長い突起部41aによって形成されている。
円筒部9bは、中央にカムボルト10の軸部10bが挿通される挿通孔9dが貫通形成され、円筒部9bの外周側に第1ニードルベアリング28が設けられている。
カバー部材3は、合成樹脂材によって形成され、カップ状に膨出したカバー本体3aと、該カバー本体3aの後端部外周に一体に設けたブラケット3bとから構成される。
カバー本体3aは、位相変更機構4の前端側、つまりハウジング5の軸方向の保持部5bから後端部側のほぼ全体を、所定隙間をもって覆うように配置されている。一方、ブラケット3bは、ほぼ円環状に形成され、6つのボス部にそれぞれボルト挿通孔3fが貫通形成されている。
また、カバー部材3には、ブラケット3bがチェーンカバー40に複数のボルト47を介して固定され、カバー本体3aの前端部3cの内周面に、内外2重のスリップリング48a,48bが各内端面を露出した状態で埋設固定されている。
さらに、カバー部材3の上端部には、内部にスリップリング48a,48bと導電部材を介して接続されたコネクタ端子49aが固定されたコネクタ部49を設けてある。なお、コネクタ端子49aには、制御装置201を介して図外のバッテリー電源からの電力が供給されるようになっている。
カバー本体3aの後端部側の内周面とハウジング5の外周面との間には、シール部材である大径な第1オイルシール50が介装されている。
第1オイルシール50は、横断面ほぼコ字形状に形成され、合成ゴムの基材の内部に芯金が埋設されていると共に、外周側の円環状基部50aがカバー本体3a後端部の内周面に形成された円形溝3d内に嵌着固定されている。また、第1オイルシール50の円環状基部50aの内周側には、ハウジング5の外周面に当接するシール面50bが一体に形成されている。
位相変更機構4は、吸気カムシャフト115aのほぼ同軸上前端側に配置されたVTCモータ12と、VTCモータ12の回転速度を減速して吸気カムシャフト115aに伝達する減速機8と、から構成されている。
VTCモータ12は、ブラシ付きのDCモータであって、タイミングスプロケット1と一体に回転するヨークであるハウジング5と、ハウジング5の内部に回転自在に設けられた出力軸であるモータ軸13と、ハウジング5の内周面に固定された半円弧状の一対の永久磁石14,15と、保持部5aの内底面側に固定された固定子16と、を備えている。
モータ軸13は、筒状に形成されてアーマチュアとして機能し、軸方向のほぼ中央位置の外周に複数の極を持つ鉄心ロータ17が固定されると共に、鉄心ロータ17の外周には電磁コイル18が巻回されている。
また、モータ軸13の前端部外周には、コミュテータ20が圧入固定されており、コミュテータ20には、鉄心ロータ17の極数と同数に分割された各セグメントに電磁コイル18が接続されている。
モータ軸13は、カムボルト10の頭部10a側の軸部10bの外周面に、第1軸受である第1ニードルベアリング28と該第1ニードルベアリング28の軸方向の側部に配置された軸受である第4ボールベアリング35を介して回転自在に支持されている。また、モータ軸13の吸気カムシャフト115a側の後端部には、減速機8の一部を構成する円筒状の偏心軸部30が一体に設けられている。
また、モータ軸13の外周面とプレート6の内周面との間には、減速機8内部からVTCモータ12内への潤滑油のリークを阻止するフリクション部材である第2オイルシール32が設けられている。第2オイルシール32は、内周部がモータ軸13の外周面に弾接することによって、モータ軸13の回転に対して摩擦抵抗を付与する。
減速機8は、偏心回転運動を行う偏心軸部30と、偏心軸部30の外周に設けられた第2軸受である第2ボールベアリング33と、第2ボールベアリング33の外周に設けられたローラ34と、ローラ34を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する保持器41と、保持器41と一体の従動部材9とで主に構成されている。
偏心軸部30の外周面に形成されたカム面の軸心が、モータ軸13の軸心Xから径方向へ僅かに偏心している。なお、第2ボールベアリング33とローラ34などが遊星噛み合い部として構成されている。
第2ボールベアリング33は、大径状に形成されて、第1ニードルベアリング28の径方向位置で全体がほぼオーバラップする状態に配置され、第2ボールベアリング33の内輪33aが偏心軸部30の外周面に圧入固定されていると共に、第2ボールベアリング33の外輪33bの外周面にはローラ34が常時当接している。
また、外輪33bの外周側には円環状の隙間Cが形成され、この隙間Cによって第2ボールベアリング33全体が偏心軸部30の偏心回転に伴って径方向へ移動可能、つまり偏心動可能になっている。
各ローラ34は、第2ボールベアリング33の偏心動に伴って径方向へ移動しつつ環状部材19の内歯19aに嵌入すると共に、保持器41の突起部41aによって周方向にガイドされつつ径方向に揺動運動させるようになっている。
減速機8の内部には、潤滑油供給機構から潤滑油が供給される。潤滑油供給機構は、シリンダヘッドの軸受44の内部に形成されて図外のメインオイルギャラリーから潤滑油が供給される油供給通路44aと、吸気カムシャフト115aの内部軸方向に形成されて油供給通路44aにグルーブ溝を介して連通した油供給孔48と、従動部材9の内部軸方向に貫通形成されて一端が油供給孔48に開口し他端が第1ニードルベアリング28と第2ボールベアリング33の付近に開口した小径なオイル供給孔45と、同じく従動部材9に貫通形成された大径な3つのオイル排出孔(図示省略)と、から構成されている。
次に、上述したVTC機構114の作動について説明する。
まず、内燃機関100のクランクシャフト109が回転駆動するとタイミングチェーン42を介してタイミングスプロケット1が回転し、その回転力によりハウジング5と環状部材19とプレート6を介してVTCモータ12が同期回転する。
一方、環状部材19の回転力が、ローラ34から保持器41及び従動部材9を経由して吸気カムシャフト115aに伝達される。これによって、吸気カムシャフト115aのカムが吸気バルブ105を開閉作動させる。
そして、制御装置201は、VTC機構114によってクランクシャフト109に対する吸気カムシャフト115aのカム位相角、つまり、吸気バルブ105のバルブタイミングを変更するときは、VTCモータ12の電磁コイル18に通電し、VTCモータ12を駆動させる。VTCモータ12が回転駆動されると、このモータ回転力が減速機8を介して吸気カムシャフト115aに伝達される。
すなわち、モータ軸13の回転に伴い偏心軸部30が偏心回転すると、各ローラ34がモータ軸13の1回転毎に保持器41の突起部41aに径方向へガイドされながら環状部材19の1つの内歯19aを乗り越えて隣接する他の内歯19aに転動しながら移動し、これを順次繰り返しながら円周方向へ転接する。
この各ローラ34の転接によってモータ軸13の回転が減速されつつ従動部材9に回転力が伝達される。これにより、吸気カムシャフト115aがタイミングスプロケット1に対して正逆相対回転してカム位相角が変換されて、吸気バルブ105の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側に変更される。なお、モータ軸13の回転が従動部材9に伝達されるときの減速比は、ローラ34の個数などによって予め設定されている。
ここで、タイミングスプロケット1に対する吸気カムシャフト115aの正逆相対回転は、ストッパ凸部1dの各側面がストッパ凹溝2bの各対向縁2c,2dのいずれか一方に当接することによって規制される。すなわち、従動部材9が、偏心軸部30の偏心回動に伴ってタイミングスプロケット1の回転方向と同方向に回転することによって、ストッパ凸部1dの一側面がストッパ凹溝2bの一方側の対向縁2cに当接してそれ以上の同方向の回転が規制される。これにより、吸気カムシャフト115aの最進角位置(進角側への限度)が規定される。
他方、従動部材9が、タイミングスプロケット1の回転方向と逆方向に回転することによって、ストッパ凸部1dの他側面がストッパ凹溝2bの他方側の対向縁2dに当接してそれ以上の逆方向の回転が規制される。これにより、吸気カムシャフト115aの最遅角位置(遅角側への限度)が規定される。
このように、制御装置201は、VTC機構114のVTCモータ12の通電を制御することによって、クランクシャフト109に対する吸気カムシャフト115aのカム位相角、つまり、吸気バルブ105のバルブタイミングを最遅角位置から最進角位置までの間で可変に制御する。
制御装置201は、内燃機関100の運転状態、例えば、機関負荷、機関回転速度、機関温度、始動状態などに基づいて目標位相角(換言すれば、目標バルブタイミング)を演算する一方、クランクシャフト109に対する吸気カムシャフト115aの実際のカム位相角を検出する。
そして、制御装置201は、目標位相角に実際のカム位相角が近づくようにVTCモータ12の操作量を演算して出力する、回転位相のフィードバック制御を実施する。上記フィードバック制御において、制御装置201は、例えば目標位相角と実際のカム位相角との偏差に基づく比例積分制御などによって、VTCモータ12の操作量を演算する。
図5は、可変バルブタイミング機構の制御装置について説明するための機能ブロック図である。
VTC機構114の制御装置である電動VTCコントローラ201aは、信号検知部511、角度生成部512、VTC角度演算部513、回転速度演算部514、内燃機関制御パラメータ演算部515、VTC制御パラメータ演算部516、VTC制御許可判定部517、VTC目標回転速度演算部518、目標モータ速度出力処理部519を内部機能として有する。
信号検知部511は、カム角センサ204からカム角信号を取得し、かつ、クランク角センサ203からクランク角信号を取得する。角度生成部512は、信号検知部511で取得したクランク角信号に基づいてクランクシャフト109のクランク角の位置情報を取得する。VTC角度演算部513は、カム角信号とクランク角の位置情報とに基づいて実際のカム位相角を演算する。
回転速度演算部514は、信号検知部511で取得したクランク角信号に基づいて内燃機関100のエンジン回転速度を演算する。内燃機関制御パラメータ演算部515は、エンジン回転速度に基づいて燃料噴射量や点火タイミングなどの内燃機関100を制御するための制御パラメータを演算する。VTC制御パラメータ演算部516は、目標位相角を演算する。VTC制御許可判定部517は、エンジンの運転状態や車両走行状態などの種々の状態に応じてVTC制御を実行するか否かを判定する。
VTC目標回転速度演算部518は、カム位相角と目標位相角とエンジン回転速度とに基づいて、カム位相角を目標位相角に調整するためのVTC目標回転速度を演算する。目標モータ速度出力処理部519は、VTC目標回転速度に基づいてVTCモータ12を目標モータ回転速度に制御するための目標モータ速度を演算し、その目標モータ速度に対応するPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。VTC目標回転速度演算部518と目標モータ速度出力処理部519は、VTC制御許可判定部517から制御許可の判定信号を受けた場合に、演算処理を行う。
目標モータ速度出力処理部519から出力されたPWM信号は、電動VTCコントローラ201aから駆動ICのモータ駆動制御部201dに出力される。モータ駆動制御部201dは、PWM信号に基づいてVTCモータ12を駆動する駆動電流を出力する。VTCモータ12は、駆動電流によって回転駆動される。
図6は、VTC目標回転速度演算部の内部構成を説明するための機能ブロック図である。
VTC目標回転速度演算部518は、偏差演算部611、目標角度モータ回転速度変換部612、目標モータ回転速度演算部613、VTCソレノイド応答遅れ時間保管部621、応答遅れ要素演算部622、将来エンジン回転速度推測部623、補正目標モータ回転速度演算部624を有する。
偏差演算部611は、カム位相角と目標位相角との偏差を演算する。目標角度モータ回転速度変換部612は、目標位相角をVTCモータ12の目標角度モータ回転速度に変換する。目標モータ回転速度演算部613は、VTC制御許可判定部517から制御許可を受けた場合に、エンジン回転速度と目標角度モータ回転速度との偏差とに基づいて、VTCモータ12の目標モータ回転速度を演算する。目標モータ回転速度は、VTC機構114のカム位相角を目標位相角に一致させるためのVTCモータ12の回転速度である。
VTCソレノイド応答遅れ時間保管部621は、吸気カムシャフト115aのカム位相角をVTC最遅角位置からエンジン回転速度に同期する位置に進角させるまでに要する時間をVTCソレノイド応答遅れ時間として算出する。
図7は、電動VTCを最遅角位置からエンジン回転速度に同期する位置まで進角させる例を示す図である。
VTC機構114では、VTCモータ12の回転速度を最遅角時の回転速度から高めることでカム位相角が進角する。この際、VTC機構114は、図7(1)に示すように、最遅角位置からエンジン回転速度同期位置に進角するまでに応答遅れであるVTCソレノイド応答遅れが発生する。
例えば、図7(2)に示すように、図7(1)よりもエンジン回転速度が低い場合には、最遅角位置からエンジン回転速度同期位置に進角するまでのVTCソレノイド応答遅れ時間も伸びる。また、図7(3)に示すように、図7(1)よりもエンジン回転速度が高い場合には、最遅角位置からエンジン回転速度同期位置に進角するまでのVTCソレノイド応答遅れ時間は縮小する。したがって、VTCソレノイド応答遅れ時間保管部621において算出されるVTCソレノイド応答遅れ時間は、エンジン回転速度に応じて伸縮される。この実施の形態においては、VTCソレノイド応答遅れ時間はエンジン回転速度に応じて少なくとも2つ以上の値が用意される。なおVTCソレノイド応答遅れ時間は、制御装置201内のメモリ(VTCソレノイド応答遅れ時間保管部621)に予め適合された値を設定するか、または、不図示の学習処理により算出した複数の値を設定することができる。
応答遅れ要素演算部622は、VTC機構114の制御における応答遅れ要素を演算する。応答遅れ要素演算部622は、クランク信号周期が所定角度の経過時間を表すことを利用し、電動VTCコントローラ201aにおける演算タイミングなどのソフトウェア上の要素(ソフト要素)と、ソレノイド応答などのハードウエア上の要素(ハード要素)との合成遅れ時間を求め、当該合成遅れ時間経過後のクランク角の位置を精度よく推定する。
応答遅れ要素演算部622は、応答遅れのハード要素として、上述のVTCソレノイド応答遅れ時間保管部621から得られるVTCソレノイド応答遅れ時間を設定する。また、応答遅れ要素演算部622は、応答遅れのソフト要素として、次回のVTC角度制御実行タイミングまでの時間を演算する。
応答遅れ要素演算部622は、現在のVTC角度制御実行タイミングに対し、ソフト要素の応答遅れである次回のVTC角度制御実行タイミングまでの時間と、ハード要素の応答遅れであるVTCソレノイド応答遅れ時間とを足し合わせた合成遅れ時間経過後のタイミングにおけるクランク角を、現在のクランク角の位置とクランク角センサ信号周期とに基づき、演算する。
図8は、ハード要素とソフト要素の合成遅れ時間経過後のクランク角の位置を説明する図である。
例えば、ソフト要素の応答遅れである次回のVTC角度制御実行タイミングまでの時間をTミリ秒[msec]、ハード要素の応答遅れであるVTCソレノイド応答遅れ時間をβミリ秒[msec]とすると、クランクシャフト109が、現在のVTC角度制御実行タイミングAからVTCソレノイド応答遅れ時間βを考慮したクランク角に到達するタイミングBまでの時間は、T+β[msec]となる。ここで、タイミングAの時点における最新のクランク角速度α[deg/msec]は、角度生成部512によるクランク角の位置情報とクランク角センサ信号周期に基づき、α=(既定のクランク角センサ信号の角度間隔[deg]÷クランク信号周期[msec])[deg/msec]として求められる。そうすると、タイミングA時点からタイミングB時点までのクランクシャフト109の回転角度(B-A)[deg]は、(B-A)=((T+β)/α)となる。すなわち、タイミングBにおけるクランク角Bは、B=(((T+β)/α)+A)[deg]となる。このタイミングB時点におけるクランク角Bが、ハード要素とソフト要素の応答遅れを考慮した次回VTC制御実行時のクランク角、つまり、合成遅れ時間経過後のクランク角となる。
なお、上記数式から諒解されるように、例えばエンジン回転速度が1000rpmのとき、次回のVTC角度制御実行タイミングまでの時間が例えば10ミリ秒[msec]である場合には、クランクは60deg程度しか回転しない。また、回転速度がさらに低いエンジン始動時はクランクの回転角はさらに少なくなり、例えばエンジン回転速度が500rpmのとき、クランクは次回のVTC角度制御実行タイミングまでの時間10ミリ秒あたりで30deg程度しか回転しない。
なお、この実施の形態においては、ソフト要素の応答遅れである次回のVTC角度制御実行タイミングまでの時間を10ミリ秒[msec]の定周期処理として説明しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ソフト要素の応答遅れである次回のVTC角度制御実行タイミングまでの時間は、電動VTCコントローラ201aの処理能力を考慮して、例えば5ミリ秒[msec]、例えば20ミリ秒[msec]などの、上記と異なる値に設定されても良い。
将来エンジン回転速度推測部623は、将来時点のエンジン回転速度を推測する。将来エンジン回転速度推測部623は、合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角に基づいて、将来時点のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも上がるのか下がるのかを推測する。そして、回転速度上下推測結果を補正目標モータ回転速度演算部624に提供する。
補正目標モータ回転速度演算部624は、将来エンジン回転速度に基づいてVTC機構114の目標モータ回転速度を補正した補正目標モータ回転速度を設定する。具体的には、将来時点のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも高いか低いかに応じて、補正目標モータ回転速度を設定する。例えば、将来時点のエンジン回転速度である将来エンジン回転数が現在のエンジン回転速度よりも高いと推測した場合、補正目標モータ回転速度は、現在のエンジン回転速度に基づき求める目標モータ回転速度よりも大きい値に補正される。また、将来時点のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも低いと推測した場合、補正目標モータ回転速度は、現在時点のエンジン回転速度に基づき求める目標モータ回転速度よりも小さい値に補正される。
図9は、VTC目標回転速度の補正方法を説明する図である。
図9(1)は、従来のVTC目標回転速度演算方法により演算される目標モータ回転速度とエンジン回転速度との関係を示す図である。図9(1)に示すように、従来の目標モータ回転速度は、現在のエンジン回転速度に基づき算出されていた。
一方、図9(2)に示すように、本実施形態では、(1)将来のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも上がることを推測した場合に、(2)今回の目標モータ回転速度を現在のエンジン回転速度に基づく目標モータ回転速度よりも大きい値に補正して、今回の補正目標モータ回転速度とする。
また、図9(3)に示すように、(3)将来のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも下がることを推測した場合に、(4)今回の目標モータ回転速度を現在のエンジン回転速度に基づく目標モータ回転速度よりも小さい値に補正して、今回の補正目標モータ回転速度とする。
而して、補正目標モータ回転速度演算部624は、ハード要素とソフト要素の応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角がいずれかの気筒の膨張行程の前半と後半のいずれに位置するのかに基づいて、将来時点のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも高いのか低いのかを判定する。補正目標モータ回転速度演算部624は、応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角が、いずれかの気筒の膨張行程の前半になる場合に、将来時点のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも高いと判定し、いずれかの気筒の膨張行程の後半になる場合に、将来時点のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも低いと判定する。
応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角が、いずれかの気筒の膨張行程の前半と後半のいずれになるかは、後述するように、クランク角情報から、現在のVTC角度制御実行タイミングAがエンジンサイクルのどの気筒のどの行程にいるか検知して判定する。これにより、将来のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも高いか低いかを精度良く推測することができる。
図10を参照して、将来のエンジン回転速度の変化を推測する方法の一例を説明する。
図10に示す例では、4気筒機関であって、各気筒で点火が行われる圧縮上死点(TDC;Top Dead Center)を#1TDC(第1気筒の圧縮上死点)、#3TDC(第3気筒の圧縮上死点)、#4TDC(第4気筒の圧縮上死点)、#2TDC(第2気筒の圧縮上死点)として図10において左右方向に180degCA毎の点火実行順に示しており、この図10において現在のVTC角度制御実行タイミングAは、第4気筒の吸気行程の後半に位置している。また、現在のVTC角度制御実行タイミングAからの応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角は、第4気筒の膨張行程の後半に位置している。また、第4気筒の膨張行程は、並列する第2気筒の圧縮行程にも該当するので、タイミングBにおけるクランク角は、第2気筒の圧縮行程の後半にも該当する。この場合、第4気筒の膨張行程の後半の燃焼圧よりも、第2気筒の圧縮行程の後半の圧縮反力の影響が強くなることが既知事項として予め設定されているため、補正目標モータ回転速度演算部624は、タイミングBにおけるエンジン回転速度が低下するものと判定する。
なお、図10において示す第4気筒の吸気行程は第1気筒の膨張行程かつ第3気筒の圧縮行程に該当し、図10において示す第4気筒の圧縮行程は第3気筒の膨張行程に該当し、且つ、図10において示す第4気筒の排気行程は第2気筒の膨張行程かつ第1気筒の圧縮行程に該当する。したがって、クランク角が如何なる位置に在っても、応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBがいずれかの気筒の膨張行程の前半と後半のいずれに属するかによる上述の判断基準に基づき、将来時点のエンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも高いのか低いのかを判定することができる。
次に、本実施形態における内燃機関の制御方法について説明する。
図11は、VTC目標回転速度演算方法を説明するフローチャートである。
VTC目標回転速度演算部518は、VTC角度演算部513からカム位相角の情報を取得し(S101)、VTC制御パラメータ演算部516から目標位相角の情報を取得する(S102)。そして、偏差演算部611により、カム位相角と目標位相角との偏差を演算する(S103)。この偏差の情報と、目標角度モータ回転速度の情報と、エンジン回転速度とを用いて、目標モータ回転速度が演算される(S104)。なお、目標モータ回転速度は、VTC制御許可判定部517によりVTC制御の許可が出た場合に限り演算される。そして、補正目標モータ回転速度演算部624において目標モータ回転速度を将来エンジン回転速度に基づいて補正する処理が行われる(S105)。
図12は、図11のS105の補正処理の内容を説明するフローチャートである。
まず、VTCソレノイド応答遅れ時間保管部621からVTCソレノイド応答遅れ時間を取得する(S1051)。次いで、VTCソレノイド応答遅れ時間とクランク角の位置情報とに基づいて制御装置の遅れ要素(合成遅れ時間)を取得し、合成遅れ時間に相当する上記タイミングA時点から上記タイミングB時点までのクランクシャフト109の回転角度を演算する(S1052)。これにより、ハード要素とソフト要素の応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角が求められる。
そして、このタイミングBのクランク角に基づいて将来エンジン回転速度の変化を推測する(S1053)。将来エンジン回転速度が高くなる(上昇する)か低下する(下降する)かは、応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角が、いずれかの気筒の圧縮行程の前半と後半のいずれに位置するかによって判断され、例えばタイミングBのクランク角がいずれかの気筒の膨張行程の前半に位置する場合には将来エンジン回転速度は高くなり、いずれかの気筒の膨張行程の後半に位置する場合には将来エンジン回転速度は低くなると推測される。
S1053において将来エンジン回転速度が高くなると推測された場合には、現在のエンジン回転速度に基づいて設定されている目標モータ回転速度よりも高い値となるように補正目標モータ回転速度を設定し、または、S1053において将来エンジン回転速度が低下すると推測された場合には、現在のエンジン回転速度に基づいて設定されている目標モータ回転速度よりも低い値となるように補正目標モータ回転速度を設定する(S1054)。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
図13は、エンジン回転速度と目標モータ回転速度との関係を説明する図であり、図13(1)は、本実施形態の内燃機関の制御装置により補正された補正目標モータ回転速度を示す図であり、図13(2)は、従来の方法により算出されたVTC目標回転速度を示す図である。
図13(2)に点線にて示すように、従来技術においては、クランク角に応じた変化を有するエンジン回転速度に基づいて設定する値として、目標モータ回転速度を設定していた。しかしながら、VTCモータ回転速度には、ソフト要素及びハード要素の両方に応答遅れがあり、その結果、図13(2)に破線にて示すように、VTCの実際のモータ回転速度であるVTCモータ回転速度がエンジン回転速度に同期せず、VTC機構114の制御精度を向上させることが困難であった。
これに対し、本実施形態は、電動モータを用いてカム位相角を所定の最遅角位置から最進角位置までの間で制御するための可変バルブタイミング機構を有する内燃機関の制御装置であって、前記可変バルブタイミング機構の制御における応答遅れ要素を演算する応答遅れ要素演算部と、前記応答遅れ要素に基づいて、前記内燃機関の将来時点のエンジン回転速度である将来エンジン回転速度を推測する将来エンジン回転速度推測部と、前記内燃機関の現在のエンジン回転速度に基づいて前記可変バルブタイミング機構の目標モータ回転速度を演算する目標モータ回転速度演算部と、前記将来エンジン回転速度に基づいて前記可変バルブタイミング機構の目標モータ回転速度を補正した補正目標モータ回転速度を演算する補正目標モータ回転速度演算部とを備えている。したがって、特にエンジン回転速度の変化(変動)が大きい領域においても、VTCモータ回転速度をエンジン回転速度に同期させることができ、VTCの制御精度を向上させることができる。
本実施形態の内燃機関の制御装置によれば、応答遅れ要素に応じてVTC機構114を制御することにより、応答遅れによるカム位相角の過進角や過遅角(オーバシュートやアンダーシュート)を減らしてカム位相角制御の制御精度を向上させることができる。
図14は、本実施形態の変形例を説明する図である。
上述の実施形態では、将来エンジン回転速度の推測方法として、応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミングBにおけるクランク角がいずれかの気筒の膨張行程の前半と後半のいずれに位置するかによって判断する場合について説明した。しかし、これに限定されるものではなく、他の方法を適用することもできる。例えば、図14において示す現在のVTC角度制御実行タイミング(A)におけるスロットル開度に応じて、図14に示す将来時点(B)のエンジン回転速度を推測する構成としてもよい。ここでは、現在のVTC角度制御実行タイミング(A)においてスロットル開度が全開の場合、応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミング(B)のエンジン回転速度が高くなると推測し、現在のVTC角度制御実行タイミング(A)においてスロットル開度が全閉の場合、応答遅れを考慮した合成遅れ時間経過後のタイミング(B)のエンジン回転速度が低下すると推測する。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
12・・・VTCモータ(電動モータ)、100・・・内燃機関(エンジン)、114・・・VTC機構(可変バルブタイミング機構)、201・・・制御装置、201a・・・電動VTCコントローラ、518・・・VTC目標回転速度演算部、611・・・偏差演算部、612・・・目標角度モータ回転速度変換部、613・・・目標モータ回転速度演算部、621・・・VTCソレノイド応答遅れ時間保管部、622・・・応答遅れ要素演算部、623・・・将来エンジン回転速度推測部、624・・・補正目標モータ回転速度演算部

Claims (7)

  1. 電動モータを用いてカム位相角を所定の最遅角位置から最進角位置までの間に制御するための可変バルブタイミング機構を有する内燃機関の制御装置であって、
    前記可変バルブタイミング機構の制御における応答遅れ要素を演算する応答遅れ要素演算部と、前記応答遅れ要素に基づいて、前記内燃機関の将来時点のエンジン回転速度である将来エンジン回転速度を推測する将来エンジン回転速度推測部と、
    前記内燃機関の現在のエンジン回転速度に基づいて前記可変バルブタイミング機構の目標モータ回転速度を演算する目標モータ回転速度演算部と、
    前記将来エンジン回転速度に基づいて前記目標モータ回転速度を補正する補正目標モータ回転速度演算部と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記応答遅れ要素は、前記可変バルブタイミング機構を前記最遅角位置からエンジン回転速度に同期される位置に進角させるまでの時間であるソレノイド応答遅れ時間を含むように演算していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記ソレノイド応答遅れ時間の値は、エンジン回転速度に応じて変更されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記応答遅れ要素演算部は、前記内燃機関の現在のクランク角とクランク角センサ信号周期とに基づき、前記現在のクランク角に対して次回の制御実行タイミングまでの時間と、前記ソレノイド応答遅れ時間とを加算した、合成遅れ時間経過後のタイミングにおけるクランク角を演算し、
    前記将来エンジン回転速度推測部は、前記合成遅れ時間経過後のタイミングにおけるクランク角を用いて前記将来エンジン回転速度を推測することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記補正目標モータ回転速度演算部は、
    前記将来エンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも高いと推測される場合に、前記補正目標モータ回転速度を前記現在のエンジン回転速度に基づいて設定される値よりも大きい値に補正し、
    前記将来エンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも低いと推測される場合に、前記補正目標モータ回転速度を前記現在のエンジン回転速度に基づいて設定される値よりも小さい値に補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記将来エンジン回転速度推測部は、前記合成遅れ時間経過後のタイミングにおけるクランク角が前記内燃機関の気筒の膨張行程の前半または後半のいずれの位置にあるかを判定し、
    前記合成遅れ時間経過後のタイミングにおけるクランク角が膨張行程の前半の位置にあると判定した場合は、前記将来エンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも高いと推測し、
    前記合成遅れ時間経過後のタイミングにおけるクランク角が膨張行程の後半の位置にあると判定した場合は、前記将来エンジン回転速度が現在のエンジン回転速度よりも低いと推測することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記将来エンジン回転速度推測部は、前記内燃機関のスロットルバルブの開度に応じて前記将来エンジン回転速度を推測することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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