JP2024053950A - 剛性評価方法及び剛性評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気入りタイヤの縦ばね剛性を、トレッドゴムに起因する縦ばね定数とケース構造体に起因する縦ばね定数とに分離する。【解決手段】剛性評価方法は、リムに組み込まれ、内圧が充填された空気入りタイヤに荷重を第1方向に負荷してトレッド部を試験面に押し付ける第1ステップS1と、荷重と、空気入りタイヤのタイヤ軸に作用する第1方向への変位を検出する第2ステップS2と、荷重及び変位に基づいて、空気入りタイヤのトレッドゴムに起因する第1縦ばね定数と、ケース構造体に起因する第2縦ばね定数とを計算する第3ステップS3とを含む。【選択図】 図9

Description

本発明は、空気入りタイヤの剛性を評価する技術に関する。
従来から、空気入りタイヤの剛性を評価する手法に関し、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-176786号公報
荷重が負荷された空気入りタイヤの変形は、地面に接触するトレッドゴムの変形とカーカスを含むケース構造体の変形とが合成されたものである。従って、本件発明者は、空気入りタイヤの縦ばね剛性を、トレッドゴムに起因する縦ばね定数とケース構造体の縦ばね定数とに分離することができれば、乗心地性能やノイズ性能等の向上に役立つと考えた。
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法をもってしても、空気入りタイヤの縦ばね剛性を、トレッドゴムに起因する縦ばね定数とケース構造体に起因する縦ばね定数とに分離することができず、さらなる技術の確立が期待されていた。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、空気入りタイヤの縦ばね剛性を、トレッドゴムに起因する縦ばね定数とケース構造体に起因する縦ばね定数とに分離して評価することができる剛性評価方法及び剛性評価装置を提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッドゴムを備えたトレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部と、前記一対のビード部間をのびるカーカスを備えたケース構造体とを含む空気入りタイヤの剛性評価方法であって、
リムに組み込まれ、内圧が充填された前記空気入りタイヤに荷重を第1方向に負荷して前記トレッド部を試験面に押し付ける第1ステップと、
前記荷重と、前記空気入りタイヤのタイヤ軸に作用する前記第1方向への変位を検出する第2ステップと、
前記荷重及び前記変位に基づいて、前記空気入りタイヤの前記トレッドゴムに起因する第1縦ばね定数と、前記ケース構造体に起因する第2縦ばね定数とを計算する第3ステップとを含む。
本発明の前記剛性評価方法では、前記第1ステップで前記空気入りタイヤの前記トレッド部が前記試験面に押し付けられ、前記第2ステップで前記荷重と前記変位とが検出され、前記第3ステップで前記荷重及び前記変位に基づいて、前記空気入りタイヤの前記トレッドゴムに起因する第1縦ばね定数と、前記ケース構造体に起因する第2縦ばね定数とが計算される。従って、前記空気入りタイヤの縦ばね剛性を、前記トレッドゴムに起因する前記第1縦ばね定数と前記ケース構造体に起因する前記第2縦ばね定数とに分離して評価することが可能となる。
本発明で縦ばね剛性が評価される空気入りタイヤの一実施形態を示す子午断面トレッド部の展開図である。 図1の空気入りタイヤの縦ばね剛性を測定する要領を示す断面図である。 図1の空気入りタイヤにおける荷重とタイヤ軸の変位との関係を示すグラフである。 荷重が負荷される前後の空気入りタイヤの断面図である。 同一サイズのタイヤAとタイヤBでのケース構造体の変位と容積変化の関係を示すグラフである。 荷重が負荷される前後の空気入りタイヤの断面図である。 同一サイズのタイヤAとタイヤBでの全体のたわみと実接地面積との関係を示すグラフである。 パラメーターΔX2/Fと変位ΔXとの関係を示すグラフである。 本実施形態の剛性評価方法の手順の流れを示すフローチャートである。 本実施形態の剛性評価装置の概略構成を示す正面図である。 図9の第3ステップの手順を詳述するフローチャートである。 試験面板の一例を示す斜視図である。 図12の試験面板の変形例を示す斜視図である。 図12の試験面板の別の変形例を示す斜視図である。 図12の試験面板のさらに別の変形例を示す斜視図である。 図12の試験面板のさらに別の変形例を示す斜視図である。 図12の試験面板のさらに別の変形例を示す斜視図である。 図12の試験面板のさらに別の変形例を示す斜視図である。 空気入りタイヤの全体の縦ばね定数Kzと突起乗り越し性能との相関を示すグラフである。 空気入りタイヤの第2縦ばね定数Kと突起乗り越し性能との相関を示すグラフである。 空気入りタイヤの第1縦ばね定数Kと突起乗り越し性能との相関を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態の剛性評価方法及び剛性評価装置が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の剛性評価方法によって縦剛性が評価される空気入りタイヤ1の子午断面図である。
空気入りタイヤ1は、トレッド部2を有している。トレッド部2は、タイヤ周方向に連続し、環状に形成されている。トレッド部2は、トレッドゴム2Gを備えている。
空気入りタイヤ1は、さらに一対のサイドウォール部3と、一対のビード部4とを含んでいる。
本実施形態の空気入りタイヤ1では、一対のビード部4には、それぞれビードコア5が埋設されている。さらに、一対のビードコア5に跨るように一対のビード部4の間をカーカス6がのびている。また、カーカス6のタイヤ半径方向外側には、ベルトプライ7が配されている。ベルトプライ7のタイヤ半径方向外側には、バンドプライが配されていてもよい。
リム組みされた空気入りタイヤ1の内腔には、内圧が充填され、ビードコア5、カーカス6及びその周辺のゴム(例えば、サイドウォールゴム)等によりケース構造体8が構成される。空気入りタイヤ1に適用されるリムとしては、正規リムが望ましい。正規リム以外のリムが適用されてもよい。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
空気入りタイヤ1に充填される内圧は、正規内圧が望ましい。正規内圧とは、異なる内圧が充填されてもよい。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。タイヤが乗用車用である場合、正規内圧は、例えば、180kPaである。
従来から、空気入りタイヤ1の縦ばね剛性の評価には、空気入りタイヤ1の全体の縦ばね定数Kzが適用されている。
図2は、空気入りタイヤ1の縦ばね定数Kzを測定する要領を示している。空気入りタイヤ1の縦ばね定数Kzは、リムRに組み込まれ、内圧が充填された空気入りタイヤ1に荷重Fを第1方向D1に負荷してトレッド部2を試験面TSに押し付けることにより測定される。第1方向D1とは、リムRから試験面TSに向かう方向であり、試験面TSに垂直な方向である。
空気入りタイヤ1に負荷される荷重は、正規荷重が望ましい。正規荷重とは、異なる荷重が負荷されてもよい。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。タイヤが乗用車用の場合、正規荷重は、例えば、荷重の88%に相当する荷重である。
空気入りタイヤ1は、試験面TSに対して、0度のキャンバー角で押付けられるのが望ましい。空気入りタイヤ1は、例えば、車両への装着時を考慮したキャンバー角またはコーナリングやギャップ通過時等の各種の走行状態を考慮したキャンバー角で押付けられてもよい。
荷重Fの負荷は、リムRを第1方向D1に変位させることによりなされる。荷重Fの負荷上記におけるリムRの変形は、空気入りタイヤ1の変形に対して実質的に無視できる程度に小さい。従って、試験面TSに対する空気入りタイヤ1のタイヤ軸の変位ΔXは、リムRの任意点の変位ΔXと等しい。なお、荷重Fの負荷は、試験面TSを第1方向D1とは逆の方向に変位させることによりなされてもよい。
試験面TSから空気入りタイヤ1のタイヤ軸までの距離が減少するようにタイヤ軸が変位すると、空気入りタイヤ1の全体にたわみが生ずる。本願では、試験面TSに対してタイヤ軸に変位ΔXが生じたとき、空気入りタイヤ1の全体にたわみΔXが生じたとして記載することがある。
図3は、空気入りタイヤ1における荷重Fと試験面TSに対するタイヤ軸の変位ΔXとの関係を示している。空気入りタイヤ1の縦ばね定数Kzは、荷重Fとタイヤ軸の変位ΔXとの比F/ΔXで表される。より具体的には、例えば、空気入りタイヤ1は、その正規荷重を含む予め定められた荷重領域での比F/ΔXを縦ばね定数Kzとして、縦ばね剛性が評価される。
既に述べたように、空気入りタイヤ1の全体の縦ばね定数Kzは、トレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kと、ケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kとを合成したものである。本発明は、空気入りタイヤ1における第1縦ばね定数Kと第2縦ばね定数Kとを個別に評価できるように、全体の縦ばね定数Kzを分離する。
本願発明者は、鋭意研究を重ね、以下のように、荷重Fと試験面TSに対するタイヤ軸の変位ΔXとの関係から、第1縦ばね定数Kと、第2縦ばね定数Kとが計算可能であることを見い出した。
図4は、荷重が負荷される前後の空気入りタイヤ1において、特にケース構造体8に注目するために、リムRの高さを揃えて描いた断面図である。同図において、左側が荷重が負荷される前の(荷重がゼロである)空気入りタイヤ1であり、同図において、右側が荷重Fが負荷されている空気入りタイヤ1である。
荷重Fの負荷により、カーカス6及びカーカス6よりもタイヤ半径方向の内側のケース構造体8はΔXだけたわむ。このときケース構造体8に蓄えられるエネルギーは、
=∫FdX
で表され、この両辺をXで微分すると下記式(1)が得られる。
Figure 2024053950000002
ここで、空気入りタイヤ1の内圧をP、荷重Fの負荷により変化した空気入りタイヤ1の内容積をdVとすると、空気入りタイヤ1の内腔に充填された空気に蓄えられるエネルギーは、Wair=PdVで表される。一方、ケース構造体8自身に蓄えられるエネルギーは、Wstr=PdVで表される。ここでPは係数である。
ケース構造体8に蓄えられるエネルギーWは、空気に蓄えられるエネルギーWairとケース構造体8自身に蓄えられるエネルギーWstrとの和であるため、下記式(2)が得られる。
Figure 2024053950000003
図5は、同一サイズのタイヤAとタイヤBでのケース構造体8のたわみΔXと容積変化ΔVの関係を示している。同図からわかるように、容積変化ΔVは、一般に、たわみΔXの二乗に比例し、その係数はタイヤ毎に異なる。従って、係数をKとすると、下記式(3)が得られる。
Figure 2024053950000004
そして、上記式(1)、(2)、(3)より、下記式(4)が得られる。
Figure 2024053950000005
図6は、上記図4と同様に、荷重が負荷される前後の空気入りタイヤ1において、特にトレッドゴム2Gに注目するために、試験面TSの高さを揃えて描いた断面図である。
図6において、荷重が負荷される前のトレッドゴム2Gの厚さをX、荷重Fが負荷された後のトレッドゴム2Gの厚さをX’とすると、荷重Fの負荷により、カーカス6よりもタイヤ半径方向の外側のトレッドゴム2GはΔX=X-X’だけ圧縮される。
荷重Fが負荷されたときの平均の接地圧をq、トレッドゴム2Gのヤング率をE、荷重Fが負荷されたときのトレッドゴム2Gの圧縮歪をεとすると、
q=Eε
の関係より、トレッドゴム2Gの実接地面積をS、荷重が負荷される前のトレッドゴム2Gの厚さをhとすると、下記式(5)が得られる。
Figure 2024053950000006
図7は、同一サイズのタイヤAとタイヤBでの全体のたわみΔXと実接地面積Sとの関係を示している。同図からわかるように、実接地面積Sは、一般に、たわみΔXに比例し、その係数はタイヤ毎に異なる。従って、係数をKとすると、下記式(6)が得られる。
Figure 2024053950000007
そして、上記式(5)、(6)より、下記式(7)が得られる。
Figure 2024053950000008
ここで、空気入りタイヤ1の全体のたわみΔXは、ケース構造体8のたわみΔXとトレッドゴム2Gの圧縮ΔXとの和であるから、下記式(8)が得られる。
Figure 2024053950000009
上記式(4)、(7)、(8)より、下記式(9)が得られる。
Figure 2024053950000010
上記式(9)より、空気入りタイヤ1の全体のたわみΔXは、ΔX2/Fの一次関数であることが理解される。
図8は、図3の変位ΔXと荷重Fの関係から、横軸をΔX2/Fとし、縦軸をたわみΔXとする一次関数に変換したグラフである。
上記式(9)及び図8より、空気入りタイヤ1の全体のたわみΔXとΔX2/Fとの関係は、下記式(10)のように記述できる。
Figure 2024053950000011
式(9)と式(10)の傾きが等しいこと及び式(4)から、下記式(11)のように、ケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kが計算される。すなわち、第2縦ばね定数Kは、式(9)の傾きを計算することにより、算出される。
Figure 2024053950000012
式(9)と式(10)の切片が等しいこと及び式(7)から、下記式(12)のように、トレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kが計算される。すなわち、第2縦ばね定数Kは、式(9)の傾きと変位との積を切片で除することにより、算出される。なお、図8において、切片Cが負値となる場合は、下記式(12)に示されるように、絶対値をとることにより、第1縦ばね定数Kが得られる。
Figure 2024053950000013
図9は、本実施形態の剛性評価方法10の手順の流れを示すフローチャートである。本剛性評価方法10は、空気入りタイヤ1のトレッド部2を試験面TSに押し付ける第1ステップS1と、荷重Fとタイヤ軸に作用する変位ΔXを検出する第2ステップS2と、第1縦ばね定数K、第2縦ばね定数Kを計算する第3ステップS3とを含んでいる。上記第1縦ばね定数K及び第2縦ばね定数Kは、荷重F及び変位ΔXに基づいて計算される。
図10は、本実施形態の剛性評価装置100の概略構成を示している。本剛性評価装置100は、空気入りタイヤ1に荷重を負荷する荷重部110と、空気入りタイヤ1のトレッド部2が押し付けられる試験面TSと、荷重Fとタイヤ軸に作用する変位ΔXを検出する検出部120と、第1縦ばね定数K、第2縦ばね定数Kを計算する計算部130とを含んでいる。
荷重部110は、リムR(図2参照)に組み込まれ、内圧が充填された空気入りタイヤ1を支持する支持部111を含んでいる。支持部111は、タイヤ軸を含み、リムRに結合されている。
試験面TSは、試験面板112の表面に形成されている。
本実施形態の荷重部110は、試験面板112をトレッドゴム2Gの側である第1方向D1に移動させることにより、トレッドゴム2Gを試験面TSに押し付けて、空気入りタイヤ1に荷重Fを負荷する。これにより、剛性評価方法10の第1ステップS1が実行される。荷重部110は、支持部111を試験面板112の側に移動させるように構成されていてもよい。
検出部120は、荷重部110が空気入りタイヤ1に負荷する荷重F及び試験面TSに対するタイヤ軸の変位ΔXを検出する。本実施形態のように、支持部111が固定され、試験面板112が第1方向D1に移動する形態にあっては、試験面TSがトレッドゴム2Gに接触してからの試験面板112の第1方向D1に移動量が変位ΔXとして検出される。これにより、剛性評価方法10の第2ステップS2が実行される。
検出部120は、荷重F及び変位ΔXを検出し、その値に相当する電気信号を計算部130に出力する。
計算部130は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリとを有している。計算部130には、コンピューター装置が適用される。
計算部130は、検出部120から入力された荷重F及び変位ΔXに基づいて、空気入りタイヤ1のトレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kと、ケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kとを計算する。これにより、剛性評価方法10の第3ステップS3が実行される。従って、空気入りタイヤ1の縦ばね定数Kzを、トレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kと、ケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kとに分離して評価することが可能となる。
図11は、第3ステップS3の手順を詳述している。
上記第3ステップS3は、変位ΔXの二乗を荷重Fで除したパラメーターΔX2/Fを計算する第4ステップを含む、のが望ましい。第4ステップで計算される上記パラメーターΔX2/Fは、式(9)及び図8のグラフにおける横軸の変数に相当する。
上記第3ステップS3は、変位ΔXと上記パラメーターΔX2/Fとの関係を一次関数で近似する第5ステップS5を含む、のが望ましい。第5ステップS5で近似された一次関数は、式(9)で表される一次関数に相当する。
上記第3ステップS3は、一次関数の傾きCを計算することにより、第2縦ばね定数Kを得る第6ステップS6を含む、のが望ましい。第6ステップS6で計算された傾きCは、式(11)で表されるケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kに相当する。
上記第3ステップS3は、一次関数の傾きC及び切片Cを計算し、変位ΔX、傾きC及び切片Cに基づいて、第1縦ばね定数Kを得る第7ステップS7を含む、のが望ましい。
より具体的には、上記第7ステップS7は、傾きCと変位ΔXとの積を切片Cで除することにより、第1縦ばね定数Kを計算する、ステップS7.1を含む、のが望ましい。なお、ステップS7.1は、切片Cが負値となる場合を考慮して、式(12)の右辺にて絶対値をとるステップを含んでいる。
図12は、試験面板112の一例を示している。試験面板112において、試験面TSは、平面状に形成されている。このような試験面TSにより、極めて高い再現性で第1縦ばね定数K及び第2縦ばね定数Kが得られ、空気入りタイヤ1の縦ばね剛性が正確に評価される。
図13ないし図16は、試験面板112の変形例である試験面板112Aないし112Dを示している。
試験面板112Aないし112Dにおいて、試験面TSは、規則的に配置された複数の突起113Aないし113Dを含んでいる。突起113Aないし113Dによって路面の凹凸が擬似的に再現されるので、空気入りタイヤ1の縦ばね剛性が正確に評価される。特に、本実施形態の剛性評価方法10及び剛性評価装置100では、路面の凹凸に追従して変形するトレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kが正確に計算されるので、空気入りタイヤ1の縦ばね剛性評価の精度が向上する。また、突起113Aないし113Dが規則的に配置されているので、測定された第1縦ばね定数Kのバラツキが抑制され、定量的に評価できるようになる。
試験面板112Aないし112Dにおいて、隣り合う複数の突起113Aないし113Dの間隔は、20mm以下が望ましい。これにより、空気入りタイヤ1の縦ばね剛性評価の精度がより一層向上する。
また、空気入りタイヤ1の走行が想定される路面を考慮すると、より望ましい間隔は、10mm以下である、
試験面板112Aないし112Cに示されるように、突起113Aないし113Cの先端部は半球状に形成されていてもよく、試験面板112Dに示されるように、突起113Dの先端部は角錐状に形成されていてもよい。このような試験面板112Aないし112Dによって、種々の路面が擬似的に再現され、空気入りタイヤ1の縦ばね剛性評価の精度が向上する。
図17及び図18は、試験面板112のさらに別の変形例である試験面板112E及び112Fを示している。試験面板112E及び112Fにおいて、試験面TSは、不規則な凹凸114、115を含んでいる。凹凸114によってアスファルトの疑似路面が再現される。凹凸115によって煉瓦敷きの疑似路面が再現される。
試験面板112E及び112Fでは、不規則な凹凸114、115によって、空気入りタイヤ1の走行が想定される路面での空気入りタイヤ1の縦ばね剛性評価の精度が向上する。
以上、本発明の剛性評価方法10及び剛性評価装置100が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
図1の基本構造を有する同一パターンでサイズ:205/45R17の4種類の空気入りタイヤA、B、C、Dについて、荷重F及び変位ΔXが測定され、従来の剛性評価方法による空気入りタイヤ1の全体の縦ばね定数Kzと、本発明の剛性評価方法による第1縦ばね定数K及び第2縦ばね定数Kが計算された。
各タイヤの突起乗り越し性能が、タイヤ公正取引協議会の定める試験基準に従って測定され、縦ばね定数Kz、第1縦ばね定数K及び第2縦ばね定数Kとの相関が検証された。
図19は、比較例として、空気入りタイヤ1の全体の縦ばね定数Kzと突起乗り越し性能との相関を示している。図19の縦軸は、突起乗り越し時におけるタイヤ軸に生ずる縦方向の力の変動(ピーク ツー ピーク)である(図20、21においても同様とする)。図19から明らかなように、空気入りタイヤ1の全体の縦ばね定数Kzと突起乗り越し性能との間には、明確な相関が見い出せなかった。
図20は、参考例として、空気入りタイヤ1のケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kと突起乗り越し性能との相関を示している。図20から明らかなように、カーカス枚数の少ない空気入りタイヤA、Cは、本発明の剛性評価方法10及び剛性評価装置100によってケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kが小さく計算された。
さらに、空気入りタイヤ1のケース構造体8に起因する第2縦ばね定数Kと突起乗り越し性能との間には、明確な相関が見い出せなかった。従って、空気入りタイヤにおいてカーカス枚数を少なく設計しても、突起乗り越し性能の向上には寄与しないことが、本発明の剛性評価方法10及び剛性評価装置100によって検証された。
図21は、実施例として、空気入りタイヤ1のトレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kと突起乗り越し性能との相関を示している。図21から明らかなように、トレッドゴム2Gのゴム硬度の低いタイヤA、Bは、本発明の剛性評価方法10及び剛性評価装置100によってトレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kが小さく計算された。
さらに、空気入りタイヤ1のトレッドゴム2Gに起因する第1縦ばね定数Kと突起乗り越し性能との間には、明確な相関が見い出された。従って、空気入りタイヤにおいてトレッドゴム2Gのゴム硬度を低く設計することは、良好な突起乗り越し性能(エンベロープ特性)が得られることに寄与するが検証された。
そして、所望の突起乗り越し性能を得るための第1縦ばね定数Kの適正値を、本発明の剛性評価方法10及び剛性評価装置100によって推定することが可能となった。
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
[本発明1]
トレッドゴムを備えたトレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部と、前記一対のビード部間をのびるカーカスを備えたケース構造体とを含む空気入りタイヤの剛性評価方法であって、
リムに組み込まれ、内圧が充填された前記空気入りタイヤに荷重を第1方向に負荷して前記トレッド部を試験面に押し付ける第1ステップと、
前記荷重と、前記空気入りタイヤのタイヤ軸に作用する前記第1方向への変位を検出する第2ステップと、
前記荷重及び前記変位に基づいて、前記空気入りタイヤの前記トレッドゴムに起因する第1縦ばね定数と、前記ケース構造体に起因する第2縦ばね定数とを計算する第3ステップとを含む、
剛性評価方法。
[本発明2]
前記第3ステップは、前記変位の二乗を前記荷重で除したパラメーターを計算する第4ステップを含む、本発明1に記載の剛性評価方法。
[本発明3]
前記第3ステップは、前記変位と前記パラメーターとの関係を一次関数で近似する第5ステップを含む、本発明2に記載の剛性評価方法。
[本発明4]
前記第3ステップは、前記一次関数の傾きを計算することにより、前記第2縦ばね定数を得る第6ステップを含む、本発明3に記載の剛性評価方法。
[本発明5]
前記第3ステップは、前記一次関数の傾き及び切片を計算し、前記変位、前記傾き及び前記切片に基づいて、前記第1縦ばね定数を計算する第7ステップを含む、本発明3に記載の剛性評価方法。
[本発明6]
前記第7ステップは、前記傾きと前記変位との積を前記切片で除することにより、前記第1縦ばね定数を計算する、本発明5に記載の剛性評価方法。
[本発明7]
トレッドゴムを備えたトレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部と、前記一対のビード部間を延びるカーカスを備えたケース構造体とを含む空気入りタイヤの剛性評価装置であって、
リムに組み込まれ、内圧が充填された前記空気入りタイヤに荷重を第1方向に負荷する荷重部と、
前記空気入りタイヤの負荷時に前記トレッド部が押し付けられる試験面と、
前記荷重と、前記空気入りタイヤのタイヤ軸に作用する前記第1方向への変位を検出する検出部と、
前記荷重及び前記変位に基づいて、前記空気入りタイヤの前記トレッドゴムに起因する第1縦ばね定数と、前記ケース構造体に起因する第2縦ばね定数とを計算する計算部とを含む、
剛性評価装置。
[本発明8]
前記試験面は、平面状に形成されている、本発明7に記載の剛性評価装置。
[本発明9]
前記試験面は、規則的に配置された複数の突起を含む、本発明7に記載の剛性評価装置。
[本発明10]
隣り合う前記複数の突起の間隔は、20mm以下である、本発明9に記載の剛性評価装置。
[本発明11]
前記間隔は、10mm以下である、本発明10に記載の剛性評価装置。
[本発明12]
前記複数の突起の先端部は、半球状に形成されている本発明9に記載の剛性評価装置。
[本発明13]
前記複数の突起の半径は、10mm以下である、本発明9に記載の剛性評価装置。
[本発明14]
前記試験面は、不規則な凹凸を含む疑似路面である、本発明7に記載の剛性評価装置。
1 :空気入りタイヤ
2 :トレッド部
2G :トレッドゴム
3 :サイドウォール部
4 :ビード部
6 :カーカス
8 :ケース構造体
10 :剛性評価方法
100 :剛性評価装置
110 :荷重部
113A :突起
113D :突起
114 :凹凸
115 :凹凸
120 :検出部
130 :計算部
:傾き
:切片
D1 :第1方向
:第2縦ばね定数
:第1縦ばね定数
Kz :縦ばね定数
R :リム
S1 :第1ステップ
S2 :第2ステップ
S3 :第3ステップ
S7 :第7ステップ
TS :試験面
ΔX :変位

Claims (14)

  1. トレッドゴムを備えたトレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部と、前記一対のビード部間をのびるカーカスを備えたケース構造体とを含む空気入りタイヤの剛性評価方法であって、
    リムに組み込まれ、内圧が充填された前記空気入りタイヤに荷重を第1方向に負荷して前記トレッド部を試験面に押し付ける第1ステップと、
    前記荷重と、前記空気入りタイヤのタイヤ軸に作用する前記第1方向への変位を検出する第2ステップと、
    前記荷重及び前記変位に基づいて、前記空気入りタイヤの前記トレッドゴムに起因する第1縦ばね定数と、前記ケース構造体に起因する第2縦ばね定数とを計算する第3ステップとを含む、
    剛性評価方法。
  2. 前記第3ステップは、前記変位の二乗を前記荷重で除したパラメーターを計算する第4ステップを含む、請求項1に記載の剛性評価方法。
  3. 前記第3ステップは、前記変位と前記パラメーターとの関係を一次関数で近似する第5ステップを含む、請求項2に記載の剛性評価方法。
  4. 前記第3ステップは、前記一次関数の傾きを計算することにより、前記第2縦ばね定数を得る第6ステップを含む、請求項3に記載の剛性評価方法。
  5. 前記第3ステップは、前記一次関数の傾き及び切片を計算し、前記変位、前記傾き及び前記切片に基づいて、前記第1縦ばね定数を計算する第7ステップを含む、請求項3に記載の剛性評価方法。
  6. 前記第7ステップは、前記傾きと前記変位との積を前記切片で除することにより、前記第1縦ばね定数を計算する、請求項5に記載の剛性評価方法。
  7. トレッドゴムを備えたトレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部と、前記一対のビード部間を延びるカーカスを備えたケース構造体とを含む空気入りタイヤの剛性評価装置であって、
    リムに組み込まれ、内圧が充填された前記空気入りタイヤに荷重を第1方向に負荷する荷重部と、
    前記空気入りタイヤの負荷時に前記トレッド部が押し付けられる試験面と、
    前記荷重と、前記空気入りタイヤのタイヤ軸に作用する前記第1方向への変位を検出する検出部と、
    前記荷重及び前記変位に基づいて、前記空気入りタイヤの前記トレッドゴムに起因する第1縦ばね定数と、前記ケース構造体に起因する第2縦ばね定数とを計算する計算部とを含む、
    剛性評価装置。
  8. 前記試験面は、平面状に形成されている、請求項7に記載の剛性評価装置。
  9. 前記試験面は、規則的に配置された複数の突起を含む、請求項7に記載の剛性評価装置。
  10. 隣り合う前記複数の突起の間隔は、20mm以下である、請求項9に記載の剛性評価装置。
  11. 前記間隔は、10mm以下である、請求項10に記載の剛性評価装置。
  12. 前記複数の突起の先端部は、半球状に形成されている請求項9に記載の剛性評価装置。
  13. 前記複数の突起の半径は、10mm以下である、請求項9に記載の剛性評価装置。
  14. 前記試験面は、不規則な凹凸を含む疑似路面である、請求項7に記載の剛性評価装置。
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