JP2024053880A - フォイル軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォイルの表面に潤滑被膜を形成したフォイル軸受において、所望の負荷容量を確保する。【解決手段】各フォイル12,22の軸受面S1,S2側の表面の全域には潤滑被膜30が形成される。潤滑被膜30は、無機系バインダー33と固体潤滑剤粒子31,32とを含む。潤滑被膜30の表面粗さはRa5.0μm以下である。【選択図】図9

Description

本発明は、フォイル軸受に関する。
ガスタービンやターボチャージャの主軸は超高速で回転し、タービン翼は高温環境下に晒される。主軸は、油潤滑の転がり軸受や油動圧軸受によって支持されることも多いが、潤滑油などの液体による潤滑が困難な場合や、エネルギー効率の観点から潤滑油循環系の補機を別途設けることが困難な場合、あるいは液体のせん断による抵抗が問題になる場合には、空気動圧軸受の一種であるフォイル軸受が使用されることがある。
フォイル軸受は、曲げに対して剛性の低い可撓性を有する薄膜(フォイル)で軸受面を構成し、フォイルのたわみを許容して荷重を支持する軸受である。軸の回転時には、軸とフォイルの軸受面との間に流体膜(空気膜)が形成され、この流体膜を介して軸が非接触で支持される。フォイル軸受では、フォイルの可撓性により、軸の回転速度や荷重、周囲温度等の運転条件に応じた適切な軸受隙間が自動的に形成される。そのため、フォイル軸受は、軸の支持の安定性に優れており、高速回転する軸にも使用できる。
フォイル軸受の一種として、複数のフォイルを一部が重なり合うように設置して、その重なりの部分で軸受面にばね性を与えるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この場合、各フォイルには、軸受面を有するトップフォイル部と、隣接するフォイルのトップフォイル部の背後(軸受面と反対側)に重ねて配されるバックフォイル部とが設けられる。
上記のようなフォイル軸受において、軸の起動直後あるいは停止直前等の低速回転時には、フォイルと軸との間に十分な流体膜が形成されないため、これらが接触摺動する。そこで、フォイルの耐摩耗性や耐久性を向上させるために、フォイルの表面に被膜を形成することがある。
例えば下記の特許文献1には、フォイルの表面に、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)や二硫化モリブデン、ニッケルメッキ等の低摩擦化被膜を形成することが示されている。また、下記の特許文献2には、耐摩耗性とフォイルに対する密着性及び柔軟性の確保を目的として、フォイルの表面に、フッ素樹脂と黒鉛を含んだ樹脂被膜を形成することが示されている。
特開2017-82913号公報 特開2019-108968号公報
しかし、フォイルの表面にDLCやニッケルメッキからなる硬質被膜を形成すると、フォイルの変形が阻害される。また、フォイルの表面に、二硫化モリブデンやフッ素樹脂等の固体潤滑剤を含む樹脂被膜を設けた場合、DLC等の硬質被膜よりはフォイルが変形しやすいが、固体潤滑剤を保持するバインダーとしての樹脂がフォイルの変形を阻害する。このように、被膜の形成によってフォイルの変形が阻害されると、軸受隙間の自動調節機能が低下するため、所望の負荷容量を得られない恐れがある。
そこで、本発明は、フォイルの表面に被膜を形成したフォイル軸受において、所望の負荷容量を確保することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、回転部材と対向する軸受面を有し、前記回転部材の回転方向に並べて配された複数のフォイルを備えたフォイル軸受であって、
各フォイルが、前記軸受面を有するトップフォイル部と、前記トップフォイル部の前記回転方向上流側に設けられ、隣接するフォイルのトップフォイル部の前記軸受面と反対側に重ねて配されたバックフォイル部とを有し、
各フォイルの前記回転部材側の表面の全域に潤滑被膜が形成され、
前記潤滑被膜が、無機系バインダーと固体潤滑剤粒子とを含み、
前記潤滑被膜の表面粗さがRa5.0μm以下であるフォイル軸受を提供する。
無機系バインダーを含む潤滑被膜は、DLC及びニッケルメッキ等の硬質被膜や、樹脂バインダーを含む被膜と比べて、フォイルの変形を阻害しにくい。従って、このような無機バインダーを含む潤滑被膜をフォイルの表面に形成することで、フォイルが変形しやすくなるため、軸受隙間が適切な大きさに維持され、負荷容量の低下を防止できる。
ところで、回転部材の起動停止時には、フォイルと回転部材とが摺動するため、仮にフォイルの軸受面に設けられる潤滑被膜の表面粗さが粗い場合でも、回転部材との摺動により潤滑被膜の表面が滑らかになる。従って、これまで、フォイルに設ける潤滑被膜の表面粗さは特に着目されていなかった。しかし、本発明者らの検証により、各フォイルが、軸受面を有するトップフォイル部と、隣接するフォイルのトップフォイル部の背後(軸受面と反対側)に重ねて配されたバックフォイル部とを有するフォイル軸受の場合、回転部材と直接摺動しないバックフォイル部の表面に設けられる潤滑被膜の表面粗さが、負荷容量に影響することが明らかになった。これは、トップフォイル部を支持するバックフォイル部の表面に設けられた潤滑被膜の面粗さが粗い場合、潤滑被膜の表面のうねりや凹凸がトップフォイル部の可撓性に影響し、負荷容量が低下するためと考えられる。
例えば、各フォイルのトップフォイル部のみに潤滑被膜を形成し、バックフォイル部に潤滑被膜を形成しないようにすれば、バックフォイル部に設けられた潤滑被膜の影響によりトップフォイル部の変形が阻害される事態を回避できる。しかし、この場合、潤滑被膜を形成する際に、バックフォイル部の表面をマスキングする必要が生じるため、工数が増えて製造コストが高くなる。
そこで、上記のように、各フォイルの回転部材側の表面(軸受面を含む表面)の全域に潤滑被膜を形成し、この潤滑被膜の表面粗さを抑える(具体的には、Ra5.0μm以下とする)ことで、製造コストを抑えながら、所望の負荷容量を得ることができる。
潤滑被膜に含まれる固体潤滑剤粒子の最大粒径は、90μm以下とすることが好ましい。
潤滑被膜に含まれる固体潤滑剤粒子は、二硫化モリブデン及び黒鉛粒子を含むことができる。この場合、回転部材との良好な摺動性を確保することができる。
潤滑被膜に含まれる無機系バインダーは、チタンを含むことができる。これにより、潤滑被膜とフォイルとの良好な密着性を確保することができる。
上記のフォイル軸受では、回転部材の停止時において、各フォイルのトップフォイル部と、これに重ねて配された隣接するフォイルのバックフォイル部とが非接触となるように、潤滑被膜の厚さを設定することが好ましい。具体的に、回転部材の停止時において、各フォイルのトップフォイル部のうち、軸受面に沿う面内で回転方向と直交する方向(ラジアルフォイル軸受では軸方向、スラストフォイル軸受では半径方向)の中央部の、前記回転方向両端を除く領域が、当該トップフォイルに重ねて配されたフォイルのバックフォイル部と非接触であることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、フォイルの表面に潤滑被膜を形成したフォイル軸受において、所望の負荷容量を確保することができる。
ガスタービンの構成を概念的に示す図である。 上記ガスタービンにおけるロータの支持構造を示す断面図である。 上記支持構造に設けられたラジアルフォイル軸受を軸方向から見た正面図である。 上記ラジアルフォイル軸受のフォイルの平面図である。 上記ラジアルフォイル軸受の軸方向断面図である。 上記支持構造に設けられたスラストフォイル軸受を軸受面側から見た平面図である。 上記スラストフォイル軸受のフォイルホルダおよび一枚のフォイルを示す平面図である。 図6中のZ-Z線における断面図である。 上記ラジアルフォイル軸受及び上記スラストフォイル軸受に設けられたフォイルの表面の拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に、ターボ機械の一種であるガスタービンの構成を概念的に示す。このガスタービンは、それぞれに翼列を形成したタービン1および圧縮機2と、発電機3と、燃焼器4と、再生器5とを主に備える。タービン1、圧縮機2、および発電機3には、水平方向に延びる共通の軸6が設けられ、この軸6と、タービン1および圧縮機2とで一体回転可能のロータが構成される。
吸気口7から吸入された空気は、圧縮機2で圧縮され、再生器5で加熱された上で燃焼器4に送り込まれる。この圧縮空気に燃料を混合して燃焼させ、高温、高圧のガスでタービン1を回転させる。タービン1の回転力が軸6を介して発電機3に伝達され、発電機3が回転することにより発電し、この電力がインバータ8を介して出力される。タービン1を回転させた後のガスは比較的高温であるため、このガスを再生器5に送り込んで燃焼前の圧縮空気との間で熱交換を行うことで、燃焼後のガスの熱を再利用する。再生器5で熱交換を終えたガスは、排熱回収装置9を通ってから排ガスとして排出される。
図2に、ロータの支持構造、特に、タービン1と圧縮機2との軸方向間における軸6の支持構造を示す。この領域は高温、高圧のガスで回転されるタービン1に隣接しているため、ここでは空気動圧軸受、特にフォイル軸受が好適に使用される。具体的には、ラジアルフォイル軸受10により軸6がラジアル方向に支持されると共に、一対のスラストフォイル軸受20により軸6に設けられたスラストカラー6aが両スラスト方向に支持される。尚、以下では、軸6の回転方向下流側(図3及び図6~8の矢印方向)を「下流側」と言い、軸6の回転方向上流側(図3及び図6~8の矢印と反対方向)を「上流側」と言う。
[ラジアルフォイル軸受の基本的構成]
ラジアルフォイル軸受10は、図3に示すように、内周に挿入された回転部材としての軸6との間のラジアル軸受隙間G1に生じる流体膜で、軸6をラジアル方向に支持するものである。本実施形態のラジアルフォイル軸受10は、圧力発生流体として空気を用いる空気動圧軸受である。ラジアルフォイル軸受10は、円筒状のフォイルホルダ11と、フォイルホルダ11の内周面11aに取り付けられた複数(図示例では5枚)のフォイル12とを有する。
フォイルホルダ11は、金属あるいは樹脂で形成される。フォイルホルダ11を形成する金属としては、例えば焼結金属や溶製材(例えば鋼材)が挙げられる。フォイルホルダ11は、円筒面状の内周面11a及び外周面11bを有する。フォイルホルダ11の内周面11aのうち、周方向(軸6の回転方向)に離隔した複数箇所(図示例では5箇所)には軸方向溝11cが形成される。各軸方向溝11cの軸方向両端は、それぞれフォイルホルダ11の端面に開口している。
各フォイル12は、図4に示すように、トップフォイル部12aと、トップフォイル部12aの下流側(図4の左側)に設けられた差込部12bと、トップフォイル部12aの上流側(図4の右側)に設けられたバックフォイル部12cとを有する。トップフォイル部12aの内径側の面は、軸6の外周面と半径方向で対向する軸受面S1として機能する(図3参照)。差込部12bは、トップフォイル部12aから下流側(図4の左側)に延び、図示例ではトップフォイル部12aの軸方向両端に形成されている。差込部12bの軸方向外側の縁には、凹部12dが設けられる。バックフォイル部12cの上流側の縁には、略U字形状の切り欠き部12eが設けられる。トップフォイル部12aとバックフォイル部12cとの境界には差込口12fが設けられる。各フォイル12の差込部12bは、下流側に隣接するフォイル12の差込口12fに内径側から差し込まれ(図5参照)、さらにフォイルホルダ11の軸方向溝11cに差し込まれる(図3参照)。
フォイル12は、図9に示すように、金属製の薄膜からなるフォイル本体15と、フォイル本体15の表面に形成された潤滑被膜30とを有する。フォイル本体15は、ばね性に富み、かつ加工性のよい金属で形成され、例えば鋼や銅合金で形成される。フォイル本体15は、厚さ20μm~200μm程度の金属フォイルにプレス加工や放電加工を施すことで形成される。フォイル本体15は、ステンレス鋼もしくは青銅製のものを使用するのが好ましい。潤滑被膜30は、フォイル本体15の軸受面S1側の表面の全域に設けられる(図4の散点領域参照)。潤滑被膜30の詳細は後述する。
フォイルホルダ11には、フォイル12のフォイルホルダ11からの抜けを規制する抜け止め部材13が取り付けられる(図5参照)。本実施形態では、フォイルホルダ11の内周面11aの軸方向両端に凹部11dが形成され、この凹部11dに環状の抜け止め部材13が配される。抜け止め部材13の内周面は、フォイルホルダ11の内周面11aと同一円筒面上に連続して設けられる。抜け止め部材13は、軸方向溝11cに差し込まれたフォイル12の差込部12bの凹部12dに嵌合する。抜け止め部材13がフォイル12と軸方向及び半径方向で係合することで、フォイル12の軸方向及び半径方向の抜け止めが行われる。
各フォイル12のバックフォイル部12cは、上流側に隣接するフォイル12のトップフォイル部12aの外径側(軸受面S1と反対側)に重ねて配される。図示例では、各フォイル12のバックフォイル部12cが、上流側に隣接するフォイル12のトップフォイル部12aとフォイルホルダ11の内周面11aとの間に配される(図3参照)。これにより、各フォイル12のトップフォイル部12aが、隣接するフォイル12のバックフォイル部12cで外径側から支持される。
[スラストフォイル軸受の基本的構成]
スラストフォイル軸受20は、軸6をスラスト方向に支持するものであり、図示例では、軸6に設けられたスラストカラー6aの軸方向両側に、一対のスラストフォイル軸受20が配される(図2参照)。尚、以下では、一方のスラストフォイル軸受20について説明するが、両スラストフォイル軸受20は、これらの間に配された軸直交方向平面に関して鏡像対称の構成を有するため、他方のスラストフォイル軸受20の説明は省略する。
スラストフォイル軸受20は、図6および図7に示すように、フォイルホルダ21と、フォイルホルダ21に、周方向(すなわち、軸6の回転方向)に並べた状態で取り付けられた複数のフォイル22とを備える。本実施形態では、フォイルホルダ21が、円盤状のホルダ本体23と、ホルダ本体23の端面23aの外周部に取り付けられた固定部材24とを有する。
図6に示すように、複数のフォイル22は、フォイルホルダ21に周方向等ピッチで並べて配置される。図7は、複数のフォイル22のうち、一つのフォイル22のみを図示して他のフォイルの図示を省略したものである。同図に示すように、各フォイル22は、トップフォイル部22aおよびバックフォイル部22bを有する本体部25と、本体部25から外径側に延びる延在部26とを一体に備える。
図示例では、各フォイル22の本体部25の内径端縁25aおよび外径端縁25bの双方が、フォイルホルダ21の軸心を中心とする円弧で形成されている。また、本体部25の下流端縁25cは、半径方向中間部を下流側に突出させた凸形状をなし、上流端縁25dは、半径方向中間部を下流側に凹ませた凹形状をなしている。図示例では、本体部25の下流端縁25cおよび上流端縁25dが同形状の曲線であるため、一枚のフォイルから複数のフォイル22を効率よく切り出すことができる。
延在部26は、本体部25から外径側に延びている。ホルダ本体23の端面23a上に複数のフォイル22を周方向に並べて配し、各フォイル22の延在部26をホルダ本体23と固定部材24とで挟み込み、これらをボルト等で締め付け固定することで、各フォイル22がフォイルホルダ21に固定される(図6参照)。
フォイル22は、図9に示すように、金属製の薄膜からなるフォイル本体27と、フォイル本体27の表面に形成された潤滑被膜30とを有する。フォイル本体27は、ばね性に富み、かつ加工性のよい金属で形成され、例えば鋼や銅合金で形成される。フォイル本体27は、厚さ20μm~200μm程度の金属フォイルにプレス加工や放電加工を施すことで形成される。フォイル本体27は、ステンレス鋼もしくは青銅製のものを使用するのが好ましい。潤滑被膜30は、フォイル本体27の軸受面S2側の表面の全域に設けられる(図7の散点領域参照)。潤滑被膜30の詳細は後述する。
図8に示すように、スラストフォイル軸受20の各フォイル22は、ホルダ本体23の端面23a上に、概ね半ピッチずつ位相をずらしながら周方向に並べて配置されている。各フォイル22の本体部25の下流端縁25cを含む領域は、下流側に隣接するフォイル22の上(スラストカラー6a側)に乗り上げ、この領域がトップフォイル部22aを構成する。各フォイル22のトップフォイル部22aの、スラストカラー6aの端面6a1と対向する面が、軸受面S2として機能する。また、各フォイル22の本体部25の上流端縁25dを含む領域は、上流側に隣接するフォイル22のトップフォイル部22aの背後(軸受面S2と反対側)に配され、この領域が、当該トップフォイル部22aを背後から支持するバックフォイル部22bを構成する。
[フォイル軸受の動作]
軸6が回転すると、ラジアルフォイル軸受10のフォイル12の軸受面S1と軸6の外周面6bとの間のラジアル軸受隙間G1に流体膜(空気膜)が形成される(図3参照)。これと同時に、両スラストフォイル軸受20のフォイル22の軸受面S2と軸6のスラストカラー6aとの間のスラスト軸受隙間G2に流体膜(空気膜)が形成される(図8参照)。そして、各フォイル12,22のトップフォイル部12a,22aが、隣接するフォイル12,22のバックフォイル部12c,22bの上に乗り上げて湾曲することで、ラジアル軸受隙間G1およびスラスト軸受隙間G2は、下流側へ行くにつれて狭くなった楔状を成す。軸6の回転に伴って、楔状の軸受隙間G1,G2の幅狭側に空気が押し込まれることにより、軸受隙間G1,G2の空気膜の圧力が高められ、この圧力により軸6がラジアル方向および両スラスト方向に非接触支持される。尚、実際の軸受隙間G1,G2の幅は数十μm程度の微小なものであるが、図3および図8ではその幅を誇張して描いている。
また、各フォイル12,22のトップフォイル部12a,22aが、隣接するフォイル12,22のバックフォイル部12c,22bに乗り上げることで、各フォイル12,22が湾曲する。この湾曲部のバネ性により、各フォイル12,22が、荷重や軸6の回転速度、周囲温度等の運転条件に応じて任意に変形するため、ラジアル軸受隙間G1およびスラスト軸受隙間G2は運転条件に応じた適切幅に自動調整される。そのため、高温、高速回転といった過酷な条件下でも、軸受隙間G1,G2を最適幅に管理することができ、軸6を安定して支持することが可能となる。
また、ラジアルフォイル軸受10の各フォイル12は、フォイルホルダ11に完全に固定されておらず、フォイルホルダ11に対して移動可能とされる。従って、軸6の回転中は、各フォイル12とフォイルホルダ11との間、及び、隣接するフォイル12の間に微小摺動が生じる。この微小摺動による摩擦エネルギーにより、軸6の振動を減衰させることができる。
[本発明の特徴的構成]
以下、本発明の特徴的構成である、各フォイル軸受10,20のフォイル12,22の表面に設けられる潤滑被膜30について説明する。尚、以下では、スラストフォイル軸受20のフォイル22に設けられる潤滑被膜30について説明するが、ラジアルフォイル軸受10のフォイル12に設けられる潤滑被膜30も同様である。
潤滑被膜30は、図9に示すように、固体潤滑剤粒子としての二硫化モリブデン粒子31及び黒鉛粒子32と、無機系バインダー33とを有する。無機系バインダー33としては、例えばチタンを使用できる。潤滑被膜30の表面(フォイル本体15と反対側の表面)には、二硫化モリブデン粒子31及び黒鉛粒子32が露出している。これにより、回転部材(スラストカラー6a)との良好な摺動性を確保することができる。潤滑被膜30における各成分の配合比は、例えば、二硫化モリブデン20~50wt%、黒鉛40~60wt%、チタン2~10wt%とされる。
二硫化モリブデン粒子31の最大粒径は、90μm以下、好ましくは60μm以下とされる。尚、「最大粒径が90μm以下である」ことは、目開き寸法が90μmの網目(メッシュ)を通過可能な粒子であることを意味する。黒鉛粒子32の最大粒径は、二硫化モリブデン粒子31の最大粒径よりも小さい。無機系バインダー33(チタン粒子)の最大粒径は、黒鉛粒子32の最大粒径よりも小さい。尚、粒径の測定は、ISO13320のレーザ回折・散乱法により行うことができる。また、潤滑被膜中の粒子をうまく採取できない場合は、電子顕微鏡により撮影した画像から粒径を確認することも可能である。
潤滑被膜30の表面粗さは、Ra5.0μm以下、好ましくはRa4.0μm以下、より好ましくはRa3.0μm以下、さらに好ましくはRa2.0μm以下とされる。換言すると、表面粗さが上記の範囲となるように、潤滑被膜30に含まれる各粒子の粒径や組成、あるいは潤滑被膜30の形成条件等を調整する。尚、Raは、JIS B 0601:2013に規定された算術平均高さである。
潤滑被膜30の厚さは、軸6の停止時において、重ねられたトップフォイル部22aとバックフォイル部22bとが、回転方向両端を除く領域で非接触となるように設定される。本実施携帯では、軸6の停止時において、図8に示すように、各フォイル22のトップフォイル部22aの半径方向中央部の上流端を除く領域が、このトップフォイル部22aに重ねて配されたフォイル22の潤滑被膜30と非接触となるように、潤滑被膜30の厚さが設定される。これにより、重ねられたトップフォイル部22aとバックフォイル部22bとの間の隙間が確保されるため、軸6の回転時に軸受隙間に生じる空気膜の圧力によりトップフォイル部22aが変形しやすくなる。
以上のようなフォイル軸受10,20をガスタービンに組み込んだ後、慣らし運転を行うことにより、各フォイル12,22のトップフォイル部12a,22aの軸受面S1,S2と回転部材(軸6及びスラストカラー6a)とが摺動する。これにより、軸受面S1,S2の余分な潤滑被膜30が削り取られて、潤滑被膜30の厚さのバラつきが低減される。尚、樹脂系バインダーを用いた潤滑被膜は、被膜が硬く、慣らし運転に時間がかかるため、生産性の面でも無機系バインダーを用いた潤滑被膜30が有利である。
一方、各フォイル12のバックフォイル部12c,22bは回転部材(軸6及びスラストカラー6a)と摺動しないため、慣らし運転を行っても、バックフォイル部12c,22bの潤滑被膜30の表面性状はあまり変化しない。そのため、使用開始時にバックフォイル部12c,22bの表面粗さが粗いと、その粗さが維持されるため、このバックフォイル部12c,22bで支持されるトップフォイル部12a,22aの変形が阻害され、所望の負荷容量が得られない。
そこで、上記のように、潤滑被膜30の表面粗さ、特に、バックフォイル部12c,22bの表面粗さを小さくすることで、このバックフォイル部12c,22bに重ねて配されるトップフォイル部12a,22aの変形が阻害されにくくなる。これにより、トップフォイル部12a,22aが運転条件に応じて変形することで、軸受隙間G1,G2が適切幅に自動調整されるため、所望の負荷容量を得ることができる。
本発明の上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の点については重複説明を省略する。
無機系バインダーを用いた潤滑被膜30は、フォイル12,22の基材(フォイル本体15,27)の特性を変化させにくいが、基材との密着性が低く、基材から剥がれやすいという問題がある。そこで、フォイル本体15,27の軸受面S1,S2側の表面の表面粗さ(Ra)を、軸受面S1,S2と反対側の表面の表面粗さ(Ra)よりも大きくしてもよい。具体的には、例えば、フォイル本体15,27の軸受面S1,S2側の表面のみにエッチング加工を施すことにより、エッチングを施していない反対側の表面の面粗度よりも大きくなる。これにより、フォイル本体15,73の軸受面S1,S2側の表面に、多数の微小凹部が形成されるため、この微小凹部に潤滑被膜30(特に、無機系バインダー33)が入り込むことで、フォイル本体15,27と潤滑被膜30との密着性が改善される。
潤滑被膜30に含まれる固体潤滑剤粒子は上記に限らず、例えば、二硫化モリブデン粒子31又は黒鉛粒子32の一方のみを用いてもよい。この他、フッ素樹脂粒子等の他の固体潤滑剤粒子を用いてもよい。
本発明に係るフォイル軸受は、ガスタービンやターボチャージャ等のターボ機械に好適に適用できるが、これに限定されず、高速で回転する回転軸を支持する軸受として広く用いることができる。
本発明の効果を確認するために、以下の試験を行った。フォイル22の潤滑被膜30の表面粗さが異なる複数種のスラストフォイル軸受20を用意し、それぞれ実施例1~3及び比較例とした。各試験片の潤滑被膜30の諸元は、下記の表1に示す通りである。スラストフォイル軸受20の構成は、図6~8に示したものと同様である。
各スラストフォイル軸受20の負荷容量の測定をした結果、表1に示すように、潤滑被膜30の表面粗さが小さい(具体的には、Ra5.0μm以下である)実施例1~3の負荷容量は、潤滑被膜30の表面粗さが大きい(具体的には、Ra5.0μより大きい)比較例の負荷容量と比べて、各段に大きくなっていた。この結果から、潤滑被膜30の表面粗さがフォイル軸受の負荷容量に大きく影響することが明らかになった。
10 ラジアルフォイル軸受
11 フォイルホルダ
12 フォイル
12a トップフォイル部
12c バックフォイル部
15 フォイル本体
20 スラストフォイル軸受
21 フォイルホルダ
22 フォイル
22a トップフォイル部
22b バックフォイル部
23 ホルダ本体
24 固定部材
25 本体部
26 延在部
27 フォイル本体
30 潤滑被膜
31 二硫化モリブデン粒子(固体潤滑剤粒子)
32 黒鉛粒子(固体潤滑剤粒子)
33 無機系バインダー
G1,G2 軸受隙間
S1,S2 軸受面

Claims (5)

  1. 回転部材と対向する軸受面を有し、前記回転部材の回転方向に並べて配された複数のフォイルを備えたフォイル軸受であって、
    各フォイルが、前記軸受面を有するトップフォイル部と、前記トップフォイル部の前記回転方向上流側に設けられ、隣接するフォイルのトップフォイル部の前記軸受面と反対側に重ねて配されたバックフォイル部とを有し、
    各フォイルの前記軸受面側の表面の全域に潤滑被膜が形成され、
    前記潤滑被膜が、無機系バインダーと固体潤滑剤粒子とを含み、
    前記潤滑被膜の表面粗さがRa5.0μm以下であるフォイル軸受。
  2. 前記固体潤滑剤粒子の最大粒径が90μm以下である請求項1に記載のフォイル軸受。
  3. 前記固体潤滑剤粒子が、二硫化モリブデン粒子及び黒鉛粒子を含む請求項1又は2に記載のフォイル軸受。
  4. 前記無機系バインダーがチタンを含む請求項1又は2に記載のフォイル軸受。
  5. 前記回転部材の停止時において、各フォイルの前記トップフォイル部のうち、前記軸受面に沿う面内で前記回転方向と直交する方向の中央部の、前記回転方向両端を除く領域が、当該トップフォイルに重ねて配された前記バックフォイル部と非接触である請求項1又は2に記載のフォイル軸受。
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