JP2024052098A - 網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置および検眼装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024052098000001
【課題】視域を大きくすることができる網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置および検眼装置を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様に係る網膜投影表示装置は、ツルを含む眼鏡型支持体を有し、前記眼鏡型支持体を装着した人の網膜に画像を投影する網膜投影表示装置であって、光源と、前記ツルに配置され、前記光源からの光を走査させる光走査手段と、前記光走査手段により形成される画像を前記網膜に投影する投影手段と、前記ツルに配置され、前記光走査手段による前記画像の投影方向を可変する光偏向手段と、前記光走査手段および前記光偏向手段を、前記ツルが延びる方向に並進させる並進手段と、を有する。
【選択図】図1A

Description

本開示は、網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置および検眼装置に関する。
近年、VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)が注目されている。特にARは、現実世界の視覚を拡張し、デジタル情報を現実空間に融合する手段として期待されている。またARに利用される網膜投影表示装置が開発されている。
網膜投影表示装置として、視域(アイボックス)を大きくするために、レーザ走査式プロジェクタと、ホログラフィックコンバイナと、射出瞳選択器と、を含む装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、射出瞳選択器は、N種類の配置のそれぞれ1つに、及びそれらの間に制御可能に切り換え可能である。
本開示は、視域を大きくすることができる網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置および検眼装置を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る網膜投影表示装置は、ツルを含む眼鏡型支持体を有し、前記眼鏡型支持体を装着した人の網膜に画像を投影する網膜投影表示装置であって、光源と、前記ツルに配置され、前記光源からの光を走査させる光走査手段と、前記光走査手段により形成される画像を前記網膜に投影する投影手段と、前記ツルに配置され、前記光走査手段による前記画像の投影方向を可変する光偏向手段と、前記光走査手段および前記光偏向手段を、前記ツルが延びる方向に並進させる並進手段と、を有する。
本開示によれば、視域を大きくすることができる網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置および検眼装置を提供することができる。
第1実施形態に係る網膜投影表示装置の構成例を示す図である。 第1実施形態に係る網膜投影表示装置における視線検出部の他の例の構成および動作を説明する図の一例であり、図1B(a)は網膜投影表示装置の正面図、図1B(b)は網膜投影表示装置を装着したユーザの視線方向の検知例の第1図、図1B(c)は網膜投影表示装置を装着したユーザの視線方向の検知例の第2図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する揺動ミラーを例示する上面図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する光偏向手段を例示する上面図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する制御手段のハードウェア構成例を示すブロック図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する制御手段の機能構成例を示すブロック図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する並進手段の構成例を示す斜視図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する投影手段の構成例を示す上面図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する投影手段の動作例の第1図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する投影手段の動作例の第2図である。 図1Aの網膜投影表示装置が有する投影手段の動作例の第3図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第1図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第2図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第3図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第4図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第5図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第6図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第7図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第8図である。 図1Aの網膜投影表示装置における射出瞳の移動例の第9図である。 図1Aの網膜投影表示装置の作用を説明する図である。
本開示の実施形態に係る網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置および検眼装置について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置および検眼装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。
以下に示す図面において、方向を表すために、X軸、Y軸およびZ軸を有する直交座標を用いる場合がある。X軸方向およびY軸方向は、Z軸に直交する面内において直交する二方向を表す。本明細書において、上面図とは対象を上方から視た図をいう。但し、これらの方向表現は、実施形態の方向を限定するものではない。
実施形態に係る網膜投影表示装置は、ウェアラブルデバイスであって、マクスウェル視を利用して、レーザ走査により、ウェアラブルデバイス装着者の網膜上に直接画像を形成する網膜描画方式のヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display:HMD)である。本明細書では、人の右目の眼球に対して適用される網膜投影表示装置を一例として説明する。但し、実施形態に係る網膜投影表示装置は、左目の眼球に対しても適用でき、また両目の眼球のそれぞれに対しても適用できる。
本明細書において、画像には静止画および動画が含まれる。動画は映像と称してもよい。また本明細書において、レーザ光線とレーザビームは同義である。レーザ光線は、光源からの光の一例に対応する。また本明細書において、「略一致」という用語は、完全な一致までを要求するものではなく、組立や加工の誤差と認められる程度の誤差は許容することを意味する。「略平行」という用語は、完全な平行までを要求するものではなく、組立や加工の誤差と認められる程度の誤差は許容することを意味する。
[第1実施形態]
<網膜投影表示装置100の全体構成例>
図1Aは、第1実施形態に係る網膜投影表示装置100の構成の一例を示す図である。網膜投影表示装置100は、眼鏡型支持体1と、光源2と、レンズ3と、光走査手段4と、光偏向手段5と、投影手段6と、視線検出部7と、制御手段8と、並進手段9と、操作手段20と、を有する。なお、レンズ3、視線検出部7および操作手段20は、網膜投影表示装置100における必須の構成部ではない。
眼鏡型支持体1は、メガネフレームの形状および外観を有する。眼鏡型支持体1は、ツル10と、リム11と、メガネレンズ12と、を含む。ツル10は、眼鏡型支持体1が人に装着された場合に、眼鏡型支持体1を装着した人の「こめかみ」付近に位置する眼鏡型支持体1の部位である。ツル10は、延在方向15に延びる部位である。延在方向15は、Z軸に略平行な方向であり、後述する眼球60が、回旋していないときの視線方向(正視方向)と略平行な方向である。リム11はメガネレンズ12を保持する。眼鏡型支持体1は、網膜投影表示装置100を操作する人により装着される。網膜投影表示装置100を操作する人は、網膜投影表示装置100の使用者、管理者等である。説明の便宜のため、眼鏡型支持体1を装着した人を、以降では装着者と呼ぶ。
眼球60は、正視状態における装着者の眼球を表す。静止状態における眼球60の視線方向は、+Z方向と平行である。瞳孔61は、装着者の瞳孔を表す。網膜62は、装着者の網膜62を表す。領域Pは、眼球60の角膜表面の領域を表す。網膜投影表示装置100は、瞳孔61を通して網膜62に画像Imを投影する。なお、画像Imは網膜62に投影されるため、図1Aでは、画像Imと網膜62の符号を併記している。
光源2と、レンズ3と、光走査手段4と、光偏向手段5と、視線検出部7と、制御手段8は、ツル10の内部に配置される。投影手段6は、メガネレンズ12の表面に設けられる。操作手段20は、ツル10の外部に設けられる。
光源2は、単一または複数のピーク波長のレーザ光線Lr1を射出する半導体レーザである。具体的には、光源2は、赤色半導体レーザ、緑色半導体レーザおよび青色半導体レーザ等を含んで構成される。光源2は、制御手段8からの第1駆動信号Dr1に応答して時間変調されたレーザ光線Lr1を射出する。画像Imがモノクロ画像である場合には、光源2には、単一のピーク波長を有するレーザ光線Lr1を射出するものが用いられる。一方、画像Imがカラー画像である場合には、光源2には、複数のピーク波長を有するレーザ光線Lr1を射出するものが用いられる。
光源2から射出されるレーザ光線Lr1の光強度は、人の眼の安全性を考慮した適切な光強度に制限される。網膜投影表示装置100は、レーザ光線Lr1の光強度を低下させる光学素子を有してもよい。網膜投影表示装置100は、少なくとも1つのフォトダイオードを有し、このフォトダイオードの出力を用いて、人の眼の安全性を考慮した適切な光強度を超過しないように、レーザ光線Lr1の光強度を制御することもできる。ここで、人の眼の安全性を考慮した適切な光強度とは、レーザ光の安全性に関する国際規格であるIEC(国際電気標準会議:International Electro-technical Commission)60825-1で定めるクラス1を下回る光強度をいう。なお、光源2は、半導体レーザに限定されず、固体レーザ、気体レーザ等であってもよい。
光源2は、ツル10の外部に設けられてもよい。光源2からのレーザ光線Lr1は、ツル10の外部からツル10の内部に導光されてもよい。
レンズ3は、光源2からのレーザ光線Lr1を光走査手段4に導光する。
光走査手段4は、ツル10に配置され、画像Imを形成するために、光源2からのレーザ光線Lr1を走査させる。光走査手段4は、揺動ミラー41と、第1ミラー42と、第2ミラー43と、整形光学素子44と、を含む。光走査手段4は、入射してくるレーザ光線Lr1の進行方向に沿って光路を折り畳みながら光を伝搬させる導光構造を有する。光源2から光走査手段4に入射してくるレーザ光線Lr1の進行方向とツル10の延在方向15は、略平行である。なお、光走査手段4は、画像Imを形成するために、光源2からのレーザ光線Lr1を走査させることができれば、ここで示した構成には限定されない。例えば、レーザ光線Lr1を伝搬させる折り畳み回数や出射光線の所望特性に応じて様々に変形可能である。
揺動ミラー41は、略直交する2つの軸周りに揺動(回動)するMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーである。揺動ミラー41は、制御手段8からの第2駆動信号Dr2に応答して揺動する。揺動ミラー41は、支持基板に連結された可動部に反射ミラーを有する。光走査手段4は、揺動ミラー41の反射ミラーを揺動させて角度を変化させることにより、光走査手段4に入射されるレーザ光線Lr1を走査させ、網膜62に画像Imを形成することができる。
画像Imにおける画素は、時間的に連続して描画される。画像Imにおける一連の画素群が形成される主走査方向は、揺動ミラー41の位置ではZ方向に該当し、眼球60へのレーザ光線Lr1の入射位置ではX方向に該当する。主走査方向と直交し、画像Imにおける一連の画素群を並べる副走査方向は、揺動ミラー41の位置および眼球60へのレーザ光線Lr1の入射位置ともに、Y方向に該当する。主走査方向への走査速度は、副走査方向への走査速度よりも高速である。
揺動ミラー41は、光源2と光偏向手段5の間の光路に配置される。揺動ミラー41の支持基板面は、延在方向15と略平行になるように設けられる。揺動ミラー41の位置での主走査方向は、延在方向15と略平行である。揺動ミラー41の構成については、別途、図2を用いて詳述する。
揺動ミラー41は、2軸のMEMSミラーに限定されず、1軸のMEMSミラーを2つ用いる構成であってもよい。光走査手段4は、揺動ミラー41に代えて、ポリゴンミラー、ガルバノミラー等を用いてもよいし、揺動ミラー41、ポリゴンミラーまたはガルバノミラー等を組み合わせて用いてもよい。網膜投影表示装置100を小型軽量化する観点では、揺動ミラー41としてのMEMSミラーを用いることが好ましい。特に、2軸MEMSミラーのみを用いると、網膜投影表示装置100を小型軽量化できる。MEMSミラーの駆動方式は、静電式、圧電式、電磁式等のいずれであってもよい。
光偏向手段5は、光走査手段4からのレーザ光線Lr1を投影手段6に向けて反射する。光偏向手段5は、ツル10に配置され、光走査手段4により形成される画像Imの投影手段6による投影方向51を可変する。
光偏向手段5は、ベクトルスキャンMEMSミラーを含む。ベクトルスキャンMEMSミラーは、支持基板に連結された可動部に反射面を有する。光偏向手段5の反射面は、制御手段8からの第3駆動信号Dr3に応答して揺動する。光偏向手段5は、反射面の傾きを変化させることにより光の反射方向を選択的に切り替え可能である。光偏向手段5は、Y軸に沿った軸回りに軸回転可能である。光偏向手段5は、第3駆動信号Dr3により可動範囲内にわたり任意位置での傾き制御が可能である。
光偏向手段5は、Z軸に沿った軸回りにも軸回転可能である。光偏向手段5は、第3駆動信号Dr3により可動範囲内にわたり、任意位置で反射面の傾き制御が可能である。光偏向手段5は、可動範囲内であれば、光走査手段4により形成される画像Imの投影方向51をX方向およびY方向に沿って任意に切り替え可能である。網膜投影表示装置100は、光偏向手段5により、光走査手段4によって形成される画像Imの投影方向51を変更することができる。これにより、装着者の眼球60の位置または傾きに応じて画像Imの投影方向51を変更できるため、網膜投影表示装置100の視域を大きくすることができる。
本実施形態では、光偏向手段5は、光走査手段4と投影手段6の間の光路に配置される。但し、光偏向手段5が配置される位置は、光走査手段4と投影手段6の間の光路に限定されず、投影手段6による画像Imの投影方向51を可変であれば、光走査手段4または投影手段6の配置に応じて適宜変更可能である。
光偏向手段5は、支持基板面が延在方向15と略平行になるように設けられる。光走査手段4における揺動ミラー41の支持基板面と、光偏向手段5の支持基板面は、略同一平面上にある。すなわち、駆動電圧が印加されていないときの揺動ミラー41の反射面と、駆動電圧が印加されていないときの光偏向手段5の反射面は、略平行になるように設けられる。なお、駆動電圧が印加されていないときとは、駆動電圧が印加されておらず、揺動ミラー41及び光偏向手段5の反射面が静止している状態を指す。光走査手段4と光偏向手段5を上述の通りの配置にすることで折り畳み導光構造を小さくすることができ、光走査手段4および光偏向手段5を薄型化できる。光走査手段4および光偏向手段5が薄型化することにより、ツル10を薄型化でき、網膜投影表示装置100を小型化できる。なお、光偏向手段5の構成については、別途、図3を用いて詳述する。
光偏向手段5は、1軸のMEMSミラーを2つ含んでもよい。網膜投影表示装置100を小型軽量化する観点では、光偏向手段5は、ベクトルスキャンMEMSミラーを用いて投影方向51を可変することが好ましい。
光偏向手段5は、1軸のMEMSミラーを1つ用いる構成であってもよい。この場合、光偏向手段5は、光走査手段4により形成される画像Imの投影方向51を、X方向およびY方向のどちらか一方に沿って任意に変更可能である。次述する投影手段6に含まれるホログラム領域も一次元の配列に限定され、視域の拡大方向は一次元に限定される。
投影手段6は、光走査手段4により形成される画像Imを網膜62に投影する。投影手段6は、光偏向手段5から受け取るレーザ光線Lr1を眼球60に向けて反射、且つ集光させる機能を有するホログラフィック光学素子を含む。投影手段6に含まれるホログラフィック光学素子は、反射集光素子の一例である。該ホログラフィック光学素子は、少なくとも一つのホログラフィックフィルムにより構成される。
ホログラフィック光学素子はl×n=x個の異なる集光特性を有するホログラム領域が光学的に記録されている。なお、l及びnは1以上の整数、xは2以上の整数である。n=1の場合、l=2とし、l=1の場合、n=2とする。本実施形態ではl=5、n=2としてx=10である例を示す。但し、これに限定されるものではない。
上記の各ホログラム領域は、光走査手段4からのレーザ光線Lr1を眼球60に向けて反射し、射出瞳を形成する。ホログラフィックフィルムの材料は、Bayer MaterialScience AGから入手可能なBayfol(登録商標)HXまたは当該技術において利用可能なフォトポリマーフィルム等を使用できる。なお、投影手段6の構成および作用については、別途、図7を参照して詳述する。投影手段6は、メガネレンズ12と一体化した構成であってもよい。メガネレンズ12は、処方眼鏡レンズを含む。
視線検出部7は、装着者の視線を検出する。視線検出部7は、検出用レーザ光源71と、光検出素子72と、を有する。
検出用レーザ光源71は、制御手段8からの第4駆動信号Dr4に応じて、検出用レーザ光線Lr2を射出し、眼球60の角膜に向けて照射する。検出用レーザ光源71は、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発光レーザ)やLDA(Laser Diode Array)等の発光部を複数有するアレイ光源を含む。検出用レーザ光源71から射出される検出用レーザ光線Lr2のピーク波長は、装着者の視覚が阻害されないように、非可視光である近赤外光の波長であることが好ましい。但し、これに限定されず、可視光であってもよい。
光検出素子72は、検出用レーザ光源71から射出され、反射素子73により反射され、眼球60に入射され、眼球60で反射された検出用レーザ光線Lr2を受光する。光検出素子72は、受光した検出用レーザ光線Lr2の光強度に応じた検出信号Sを出力する。光検出素子72は、少なくとも一つのフォトダイオードを含む。眼球60の表面にあたる角膜表面は、水分を含む透明体であり、約2~4%の反射率を有するのが一般的である。眼球60に入射した検出用レーザ光線Lr2は、眼球60の角膜表面の領域Pで反射され、光検出素子72に入射する。
光検出素子72は、フォトダイオードを含むものに限定されない。例えば、光検出素子72は、位置検出素子であるPSD(Position Sensitive Detector)を含んでもよい。また光検出素子72は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用い、撮像面に入射した光の空間強度分布に基づく画像処理により、検出用レーザ光線Lr2を受光し、検出信号Sを出力してもよい。
検出用レーザ光源71および光検出素子72は、光走査手段4に対してメガネレンズ12側のツル10内に設けられる。但し、視線検出部7は、ツル10の外部に設けられてもよい。視線検出部7は、検出用レーザ光源71と光検出素子72とを有するものに限定されず、態様に応じて種々の視線方向検出技術を用いてもよい。本実施形態では、投影手段6は、メガネレンズ12表面の略中央領域に設けられる。視線検出部7の各部材、例えば検出用レーザ光源71、光検出素子72が配置される箇所は特に問わないが、ツル10の外部に設けられる場合の一例としては、リムまたはメガネレンズ12に設ける構成が挙げられる。メガネレンズ12に設ける場合、投影画像の視認性及び外界の視認性の観点で、メガネレンズ12における投影手段が設けられる領域外部に設けることが好ましい。
ここで図1Bは、網膜投影表示装置100における視線検出部7の他の例である視線検出部7Aの構成および動作を説明する図の一例である。図1B(a)は網膜投影表示装置100の正面図を示している。
網膜投影表示装置100にはメガネのリム21の顔側に少なくとも1つ以上のLED光源11A(赤外線を照射する)が配置されている。また、レンズ22の顔側には複数の透明な赤外線センサ12Aがリム21に沿ってリム21の内側に形成されている。LED光源11Aと赤外線センサ12Aはいずれも顔側にある。図1Bでは右側のレンズ22の構成のみを示すが左側のレンズ22にもLED光源11Aが配置され赤外線センサ12Aが形成されている。
LED光源11Aと赤外線センサ12Aはテンプル23等に配置された後述する制御ユニットに接続されており、制御ユニットによりLED光源11Aの点灯が制御され、また、赤外線センサ12Aが赤外線を検出して出力する出力電圧が取得される。
レンズ22と目の距離は、一般的なメガネにおけるレンズ22と目の距離と同等でよい。したがって、図1Bに示すようにレンズ22に赤外線センサ12Aを形成することで、デザインの制約が少ない網膜投影表示装置100を提供することができる。また、赤外線センサ12Aは透明か又は少なくとも半透明なので、ユーザの視線が外界と遮断されず、AR(Augmented Reality)グラスのような用途に使うことができる。また、当然ながら、ユーザの視線が外界と遮断されたVR(Virtual Reality)グラスのような用途に使うことも可能である。
図1B(b)は、網膜投影表示装置100を装着したユーザの視線方向の検知例を説明する図の一例である。図1B(b)では視線方向が正面の場合のLED光源11Aの点灯と赤外線センサ12Aの出力電圧について説明する。
眼球が正面を向いているものとする。この場合、LED光源11Aが照射して眼球で反射した赤外線はどの赤外線センサ12Aにも概ね均等に入射することになるので、眼球の周囲の各赤外線センサ12Aはそれぞれ同程度の出力電圧を出力する。すなわち、特に大きな出力電圧を出力する赤外線センサ12Aはない。この関係は、点灯するLED光源11Aの位置に関わらず同じため、例えば、閾値以上の出力電圧を出力する赤外線センサ12Aがない場合に、視線方向が正面であることを推定できる。
一方、図1B(c)に示すように、視線方向がユーザから見て上向き(12時の方向)の場合、赤外線センサ12Aには均等に赤外線が入射せず、眼球で反射した赤外線が6時の方向の赤外線センサ12Aに多く入射する傾向が生じる。この関係は、点灯するLED光源11Aの位置に関わらず同じため、大きな出力電圧を出力する赤外線センサ12Aとはおおよそ180度逆方向が視線方向であると推定できる。
より詳細には、視線方向によって、点灯したLED光源11Aに対しどの方向の赤外線センサ12Aで強い出力電圧が検出され、どの方向の赤外線センサ12Aで弱い出力電圧が検出されるかをパターン化しておけば、視線方向を推定できる。
このように、本実施形態の網膜投影表示装置100は透明又は半透明な赤外線センサ12Aをレンズ22に形成することで、デザインの制約が少ない網膜投影表示装置100を提供することができる。
図1Aにおいて、制御手段8は、光走査手段4および光偏向手段5のそれぞれの動作を制御する。具体的には、制御手段8は、光走査手段4に第2駆動信号Dr2を出力することにより、光走査手段4によるレーザ光線Lr1の走査を制御する。また、制御手段8は、光偏向手段5に第3駆動信号Dr3を出力することにより、光偏向手段5の反射面の傾きを制御する。
制御手段8は、画像データに基づいて光源2の動作を制御可能である。具体的には、制御手段8は、網膜62に投影される画像Imの元となる画像データを入力し、該画像データに基づき、光源2によるレーザ光線Lr1の動作を制御する。
制御手段8は、検出用レーザ光源71が有する発光部を順次に点灯させ、検出用レーザ光線Lr2の射出を制御する。また、制御手段8は、検出用レーザ光源71の各発光部の発光タイミングと、光検出素子72による検出信号Sと、に基づき、眼球60の位置および視線方向を推定する。
制御手段8は、ツル10の内部に設けられてもよい。制御手段8はツル10の外部に設けられ、制御手段8からの各駆動信号はツル10の外部からツル10の内部に供給されてもよい。
並進手段9は、ツル10に配置され、光走査手段4および光偏向手段5を一体にして、ツル10が延びる延在方向15に並進させる。並進手段9は、光走査手段4の下部(Y軸負方向)に配置される。
並進手段9は、ラック・ピニオン機構を含む。光走査手段4および光偏向手段5は、延在方向15に沿って並んだ状態で、ラック・ピニオン機構に搭載される。ラック・ピニオン機構は、ピニオンに回転力を加えるとラックにより直線の動きに変換される機構である。並進手段9は、装着者による操作手段20を用いた操作に従って、ラック・ピニオン機構により、光走査手段4および光偏向手段5を一体にして並進させる。なお、並進手段9は、光走査手段4および光偏向手段5以外の構成部を搭載し、並進させてもよい。
並進手段9は、光走査手段4および光偏向手段5の配置を段階的に変更できる構成を有する。並進手段は、延在方向15に沿って離散的に並ぶ複数の位置のそれぞれに対して配置可能に、光走査手段4および光偏向手段5を一体にして並進させる。光走査手段4は、並進手段9により、延在方向15に沿って並進し、N種類の配置に制御可能に切り替え可能である。Nは1以上の整数である。本実施形態では、N=5の配置に切り替え可能である例を示す。但し、これに限定されない。並進手段9の構成および動作については、別途、図6を用いて詳述する。
網膜投影表示装置100は、ツル10に配置された並進手段9により、光走査手段4および光偏向手段5を一体にして並進させることで、光走査手段4および光偏向手段5の配置を変更し、光走査手段4により形成される画像Imの投影方向51を変更することができる。これにより、装着者の眼球60の位置または傾きに応じて画像Imの投影方向51を変更できるため、網膜投影表示装置100の視域を大きくすることができる。また、本実施形態では、並進手段9は、光走査手段4および光偏向手段5を延在方向15に並進させるため、延在方向15に直交する方向におけるツル10の幅を、並進量に応じて広げなくてもよい。これにより、光走査手段4および光偏向手段5を延在方向15以外の方向に並進させる場合と比較して、延在方向15に直交する方向におけるツル10の幅を狭くすることができ、網膜投影表示装置100を小型化できる。以上により、本実施形態では、視域を大きくしつつ、小型化可能な網膜投影表示装置100を提供できる。
操作手段20は、装着者の眼球60の位置および傾きに応じて、光走査手段4および光偏向手段5の位置を変化させるように、並進手段9を操作可能とする。操作手段20は、並進手段9と連結されている。例えば、操作手段20は、ピニオンとシャフトを介して連結されたダイヤルやピニオン等の機構部で構成される。装着者は、操作手段20を用いて手動で並進手段9を操作することにより、並進手段9を並進させ、並進手段9に搭載される光走査手段4および光偏向手段5を一体にして並進させる。
<レーザ光線Lr1の振る舞い>
図1Aにおいて、光源2から射出された発散光であるレーザ光線Lr1は、レンズ3により略平行光に変換される。なお、光源2が略平行光を射出する場合には、レンズ3は必ずしもなくてよい。また、必要に応じて、レンズの枚数を増やす等の措置をとることができる。レンズ3により略平行光に成形されたレーザ光線Lr1は、光走査手段4に入射する。光走査手段4における第1ミラー42に入射するレーザ光線Lr1の進行方向と延在方向15は略平行である。これにより、並進手段9により光走査手段4の配置の変化が生じたとしても、第1ミラー42に入射後の光学特性には影響を与えない。
第1ミラー42で反射されたレーザ光線Lr1は、揺動ミラー41に入射する。揺動ミラー41は、レーザ光線Lr1を2軸方向に走査する。揺動ミラー41により走査されるレーザ光線Lr1は、第2ミラー43および光偏向手段5のそれぞれに反射され、投影手段6に入射する。投影手段6は、入射したレーザ光線Lr1を眼球60に向けて反射し、射出瞳を形成する。瞳孔61と射出瞳位置が整列する場合、レーザ光線Lr1は瞳孔61を通して眼球60の内部に入射する。眼球60の内部に入射したレーザ光線Lr1は、投影手段6のホログラム領域の集光機能により瞳孔61の中心付近で一旦集束した後、網膜62上で略結像する。網膜投影表示装置100は、網膜62に画像Imを投影表示することができる。なお、画像Imは、網膜62上以外の光路では、焦点が合った画像(結像した画像)になっていなくてもよい。
上記の視認状態は一般的にマクスウェル視と呼ばれており、瞳孔61の中心付近を通るレーザ光線Lr1は水晶体の焦点調節に関係なく網膜62に達するため、装着者は、現実空間のどの位置に眼の焦点を合わせても、投影された画像Imを焦点の合った状態で鮮明に視認できると一般的には理解される。一方、現実的には、眼球60に入射するレーザ光線Lr1は小さいながらも有限の直径を有するため、水晶体によるレンズ作用の影響は少なからず存在する。そのため、実施形態では、光走査手段4および投影手段6の集光作用により、眼球60に入射する際のレーザ光線Lr1の直径が300 μm以上且つ600 μm以下、且つビーム拡がり角が正の有限値、すなわち発散光となるように設計されている。これにより、光走査手段4で走査されたレーザ光線Lr1によって形成される画像Imは、投影手段6を介し、水晶体の焦点調節に影響されることなく網膜62に達する。このため、装着者は、現実空間のどの位置に眼の焦点を合わせても、投影された画像Imを常に鮮明に視認できる。換言すると、光走査手段4により走査されたレーザ光線Lr1で形成される画像は、装着者にフォーカスフリーの状態で視認される。
実施態様に応じてリム11に対してツル10のなす角度はいかようにも変化可能である。なお、網膜投影表示装置100は、光源2に印加する電流又は電圧を変化させ、射出するレーザ光線Lr1の光強度を変化させることができる。これにより、網膜投影表示装置100を使用する周辺環境の明るさに応じて、画像の明るさを調整できる。
<揺動ミラー41の構成例>
図2は、揺動ミラー41の構成の一例を示す上面図である。図2では、矢印で示す方向を、α方向、β方向およびγ方向とする。揺動ミラー41は、支持基板91と、可動部92と、蛇行状梁部93と、蛇行状梁部94と、電極接続部95とを備える。
蛇行状梁部93は、複数の折り返し部を有して蛇行して形成され、一端が支持基板91に連結し、他端が可動部92に連結する。蛇行状梁部93は、3つの梁を含む梁部93aと、3つの梁を含む梁部93bとを備える。梁部93aの梁と梁部93bの梁は1つおきに交互に形成される。梁部93aと梁部93bに含まれる各梁は、それぞれが独立に圧電部材を備えている。
同様に、蛇行状梁部94は、複数の折り返し部を有して蛇行して形成され、一端が支持基板91に連結し、他端が可動部92に連結する。蛇行状梁部94は、3つの梁を含む梁部94aと、3つの梁を含む梁部94bとを備える。梁部94aの梁と梁部94bの梁は1つおきに交互に形成される。梁部94aと梁部94bに含まれる各梁は、それぞれが独立に圧電部材を備えている。尚、梁部93a、及び93bにおける梁の数は3つに限定されることなく任意でよい。
梁部93a、93b、94a、及び94bが備える圧電部材は、例えば多層構造で形成された各梁の層の一部に、圧電層として備えられる。以下では、梁部93a、及び94aが備える圧電部材を圧電部材95aと総称し、梁部93b、及び94bが備える圧電部材を圧電部材95bと総称する場合がある。
圧電部材95aと圧電部材95bに、逆位相となる電圧信号を印加し、蛇行状梁部94に反りを生じさせると、隣接する梁部が異なる方向に撓む。この撓みが累積され、図2のA軸回りに、反射ミラー92aを往復揺動させるための回動力が発生する。
可動部92は、β方向において、蛇行状梁部93と蛇行状梁部94との間に挟まれるようにして形成される。可動部92は、反射ミラー92aと、トーションバー92bと、圧電部材92cと、支持部92dとを備える。
反射ミラー92aは、例えば、基材上にアルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜が蒸着されて形成される。トーションバー92bは、反射ミラー92aに一端が連結し、正、及び負のα方向に伸びて反射ミラー92aを回動可能に支持する。
圧電部材92cは、一端がトーションバー92bに連結し、他端が支持部92dに連結する。圧電部材92cに電圧を印加すると、圧電部材92cは屈曲変形してトーションバー92bにねじれを生じさせる。トーションバー92bのねじれが回動力となり、反射ミラー92aはB軸回りに回動する。
反射ミラー92aのA軸回りの回動により、反射ミラー92aに入射するレーザ光線はα方向に走査される。反射ミラー92aのB軸回りの回動により、反射ミラー92aに入射するレーザ光線はβ方向に走査される。
支持部92dは、反射ミラー92aと、トーションバー92bと、圧電部材92cとを囲むように形成される。支持部92dは圧電部材92cと連結し、圧電部材92cを支持する。また支持部92dは、圧電部材92cに連結されたトーションバー92b、及び反射ミラー92aを間接的に支持する。
支持基板91は、可動部92と、蛇行状梁部93と、蛇行状梁部94とを囲むように形成される。支持基板91は、蛇行状梁部93、及び蛇行状梁部94に連結し、これらを支持する。また支持基板91は、蛇行状梁部93、及び蛇行状梁部94に連結された可動部92を間接的に支持する。
揺動ミラー41は、例えばマイクロマシニング技術を用いて、シリコンやガラスを微細加工して形成される。マイクロマシニング技術により、高精度で微小な可動ミラーを、蛇行状梁部等の駆動部と一体にして基板上に形成することができる。
具体的には、例えば、1枚のSOI(Silicon On Insulator)基板をエッチング処理等により成形する。成形した基板上に、反射ミラー、蛇行状梁部、圧電部材、電極接続部等が一体的に形成され、MEMSミラーが形成される。尚、反射ミラー等の形成は、SOI基板の成形後に行ってもよいし、SOI基板の成形中に行ってもよい。
SOI基板は、単結晶シリコン(Si)からなるシリコン支持層の上に酸化シリコン層が設けられ、酸化シリコン層の上にさらに単結晶シリコンからなるシリコン活性層が設けられた基板である。シリコン活性層は、α方向またはβ方向に対してγ方向の厚みが薄いため、シリコン活性層のみで構成された部材は、弾性を有する弾性部としての機能を備える。
SOI基板は、必ずしも平面状である必要はなく、曲率等を有していてもよい。また、エッチング処理等により一体的に成形でき、部分的に弾性を持たせることができる基板であれば、MEMSミラーの形成に用いられる部材はSOI基板に限られない。
<光偏向手段5の構成例>
図3は、光偏向手段5の構成の一例を示す上面図である。図3では、矢印で示される方向をそれぞれα方向、β方向およびγ方向とする。光偏向手段5は、入射した光を反射する可動部101と、可動部101に接続され、可動部101を駆動する圧電駆動部(113a、113b、113c、113d)、圧電駆動部(113a、113b、113c、113d)を有する第1の部材110、第2の部材120、第3の部材130、第4の部材140を支持する支持基板102と、第1の部材110と可動部101を接続する接続部102aと、第2の部材120と可動部101を接続する接続部102bと、第3の部材130と可動部101を接続する接続部102cと、第4の部材140と可動部101を接続する接続部102dと、圧電駆動部(113a、113b、113c、113d)を制御手段8に電気的に接続される電極接続部150a~150hと、を有する。
例えば、1枚のSOI(Silicon On Insulator)基板をエッチング処理等により成形し、成形した基板上に反射面14や圧電駆動部113a、113b、113c、113d、電極接続部150a~150h等を形成することで、各構成部が一体的に形成されている。なお、上記の各構成部の形成は、SOI基板の成形後に行ってもよいし、SOI基板の成形中に行ってもよい。
SOI基板は、単結晶シリコン(Si)からなるシリコン支持層の上に酸化シリコン層が設けられ、酸化シリコン層の上にさらに単結晶シリコンからなるシリコン活性層が設けられた基板である。シリコン活性層は、α方向、又はβ方向に対してγ方向の厚みが薄いため、シリコン活性層のみで構成された部材は、弾性を有する弾性部としての機能を備える。
SOI基板は、必ずしも平面状である必要はなく、曲率等を有していてもよい。また、エッチング処理等により一体的に成形でき、部分的に弾性を持たせることができる基板であれば、光偏向手段5の形成に用いられる部材はSOI基板に限られない。反射面14は、例えば、アルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜で構成される。また、可動部101は、可動部基体103の-Z側の面に可動部補強用のリブが形成されていてもよい。リブは、例えば、シリコン支持層124および酸化シリコン層125から構成され、可動によって生じる反射面14の歪みを抑制することができる。
第1の部材110、第2の部材120、第3の部材130および第4の部材140の形状や構成は特に限定されず、例えば、ミアンダ構造等であってもよい。カンチレバー構造であってもよい。また、第1の部材110、第2の部材120、第3の部材130および第4の部材140において、圧電駆動部(113a、113b、113c、113d)とは別に、何らかのセンサが形成されていてもよい。センサは特に限定されないが、例えば、部材の変形に応じて信号を出力する変位検出用センサ(圧電式、ひずみ抵抗式等)や温度センサ等が挙げられる。
接続部102a、102b、102cおよび102dの形状の詳細は、本実施形態に限定されない。また、接続部102a、102b、102cおよび102dと可動部101の中心が作る直線どうしで形成される成す角度が、平面視において略90度の位置関係にあることが望ましいが、本実施形態に限定されない。また、駆動部は駆動以外の機能を有していてもよい。例えば変位の検出や、ヒーター、電気配線等である。また、可動部の形状は実施形態に限定されない。図3では圧電駆動部(113a、113b、113c、113d)の駆動方式は、圧電駆動であるが、例えば、電磁界を利用して支持部を変形させる電磁駆動や、支持部に櫛歯電極が形成される静電駆動、異なる部材の熱膨張の差を利用した熱電駆動であってもよい。また、支持基板102の上にコイルやマグネットアレイが形成されているものであってもよい。
上記の中でも、駆動部を効果的に配置でき、光偏向器全体のサイズの大型化を抑制できる点では、圧電駆動が好ましい。例えば、静電駆動では駆動部の外周に櫛歯電極を配置するため、光偏向器全体のサイズが大きくなりやすい。また、電磁駆動では複数の駆動部それぞれへの配線レイアウトとそれぞれに磁界がかかるような磁石の配置が難しく、光偏向器全体のサイズが大きくなりやすい。
本実施形態では、圧電薄膜を用いた圧電駆動部(113a、113b、113c、113d)が、弾性部であるシリコン活性層126の一面(+Z側の面)のみに形成された場合を一例として説明したが、弾性部の他の面(例えば-Z側の面)に設けてもよいし、弾性部の一面および他面の双方に設けてもよい。さらに、圧電駆動部の上部電極123の+Z側の面上、支持基板102の+Z側の面上の少なくともいずれかに酸化シリコン膜からなる絶縁層が形成されていてもよい。このとき、絶縁層の上に電極配線を設け、また、上部電極123または下部電極121と電極配線が接続される接続スポットのみ、開口部として部分的に絶縁層を除去または絶縁層を形成しないことにより、圧電駆動部113a、113b、113c、113dおよび電極配線の設計自由度をあげ、さらに電極同士の接触による短絡を抑制することができる。
酸化シリコン膜は、反射防止材としての機能も備える。圧電駆動部113a、113b、113c、113dが有する圧電部122a、122b、122c、122dは、分極方向に正または負の電圧が印加されると印加電圧の電位に比例した変形(例えば、伸縮)が生じ、いわゆる逆圧電効果を発揮する。この圧電部122の変形による作用により、圧電駆動部113a、113b、113c、113dが屈曲変形し、接続部102a、102b、102c、102dを介して可動部101に回転軸(揺動軸)周りの駆動力が作用し、可動部101がC軸あるいはD軸周りに可動する。C軸およびD軸は、それぞれ回転軸に対応する。
次に、本実施形態の回転軸について説明する。第1の部材110は、C軸の回転軸とD軸の回転軸に対して略45度に位置する。つまり、第1の部材110と第2の部材120と第3の部材130と第4の部材140の揺動による可動部101の回転は、いずれもC軸の回転軸とD軸の回転軸、双方のベクトルを有している。例えば、圧電駆動部(113a、113b)に電圧を印可し、圧電駆動部(113c、113d)には電圧を加えない際は、可動部101はD軸の回転軸を中心に傾斜する。同様に、圧電駆動部(113a、113d)に電圧を印可し、圧電駆動部(113c、113d)には電圧を加えない際は、可動部101はC軸の回転軸を中心に傾斜する。
特に、構造固有の共振周波数と一致しない駆動周波数を用いる場合には、可動部101の回転方向は駆動信号によって任意で制御することが可能となる。つまり、圧電駆動部(113a、113b、113c、113d)それぞれの独立した駆動あるいは組み合わせた駆動を制御することにより、可動部101を所望の方向に揺動させることができ、描画領域におけるベクトルスキャンが可能となる。
各部材、複数の梁部が折り返すように接続されたミアンダ構造で、各々の梁部の+Z側の面の上に、梁部ごとに、交互に圧電駆動部群Aと圧電駆動部群Bが設けられた場合、圧電駆動部群Aのみを駆動、または圧電駆動部群Bのみを駆動とすることで、負電圧を使わずともミラーの振れ角を+側、あるいは-側と制御することが可能である。ただし、圧電駆動部群Aおよび圧電駆動部群Bという記載は、上記説明では区別するが、本明細書では総称して圧電駆動部または駆動部と呼ぶ。
圧電駆動部の基準電圧は0Vであってもよいし、印加可能な電圧の最大振幅内のいずれかの電圧であってもよい。各圧電駆動部間で異なっていても良いし、各駆動部内において、圧電駆動部群Aと圧電駆動部群Bが設けられている場合は、それぞれで異なっていても良い。印加電圧の信号波形は実施形態例に限られず、Sin波や矩形波、鋸波のような周期的な波形であってもよいし、より複雑な周期波形であってもよい。DC駆動であってもよい。
<制御手段8のハードウェア構成例>
図4は、制御手段8のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御手段8は、外部I/F(Interface)81と、CPU(Central Processing Unit)82と、ROM(Read Only Memory)83と、RAM(Random Access Memory)84と、光源駆動回路85と、光走査手段駆動回路86と、光偏向手段駆動回路87とを備える。これらはシステムバス88を介して相互に電気的に接続している。
CPU82は、ROM83等の記憶装置からプログラムやデータをRAM84上に読み出し、処理を実行して、制御手段8の全体の制御や機能を実現する演算装置である。RAM84は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の記憶装置である。ROM83は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の記憶装置である。ROM83は、CPU82が網膜投影表示装置100の各機能を制御するために実行する処理用プログラムやデータを記憶している。
外部I/F81は、制御手段8と、外部装置またはネットワーク等とを接続するインターフェースである。外部装置には、例えば、PC(Personal Computer)等の上位装置、USBメモリ、SDカード、CD、DVD、HDD、SSD等の記憶装置が含まれる。ネットワークは、例えば自動車のCAN(Controller Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット等である。 外部I/F81は、外部装置との接続または通信を可能にする構成であればよく、外部装置ごとに外部I/F81が用意されてもよい。
光源駆動回路85は、光源2および検出用レーザ光源71と電気的に接続し、光源2に電流または電圧を印加して、光源2を駆動させる電気回路である。光源2は、光源駆動回路85が出力する第1駆動信号Dr1により、レーザ光線Lr1の射出をONまたはOFFし、また射出するレーザ光線Lr1の光強度を変化させる。検出用レーザ光源71は、光源駆動回路85が出力する第4駆動信号Dr4により、検出用レーザ光線Lr2の射出をONまたはOFFし、また射出する検出用レーザ光線Lr2の光強度を変化させる。
光走査手段駆動回路86は、揺動ミラー41に電気的に接続され、揺動ミラー41に電圧を印加して駆動させる電気回路である。揺動ミラー41は、光走査手段駆動回路86が出力する第2駆動信号Dr2に応じて、可動部92が備える反射ミラー92aの揺動角度を変化させる。
光偏向手段駆動回路87は、光偏向手段5に電気的に接続され、光偏向手段5に電圧を印加して駆動させる電気回路である。光偏向手段5は、光偏向手段駆動回路87が出力する第3駆動信号Dr3に応じて、可動部が備える反射面の傾斜角度を変化させる。
制御手段8において、CPU82は、外部I/F81を介して外部装置やネットワークから画像データを取得する。 なお、CPU82が画像データを取得することができる構成であればよく、制御手段8内のROM83に画像データを格納する構成としてもよい。制御手段8内に新たにSDカード等の記憶装置を設けて、その記憶装置に画像データを格納する構成としてもよい。
制御手段8は、CPU82の命令および図4に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
<制御手段8の機能構成例>
図5は、制御手段8の機能構成の一例を示すブロック図である。制御手段8は、機能として、視線方向推定部801と、画像形成制御部802と、光源駆動部803と、光走査手段駆動部804と、光偏向手段駆動部805と、を有する。これらのうち、視線方向推定部801および画像形成制御部802の各機能は、CPU82が所定のプログラムを実行すること等により実現される。
視線方向推定部801は、検出用レーザ光源71の各発光部の発光タイミングと、光検出素子72による検出信号Sに基づき、眼球60の位置および視線方向を推定する。
画像形成制御部802は、外部装置から画像データIdを取得し、視線方向推定部801により推定された、装着者が視認している視野に基づき、所定の画像データIdを制御信号に変換して、光源駆動部803と、光走査手段駆動部804と、光偏向手段駆動部805と、に出力する。なお、装着者に視認される画像Imが歪み等を有する場合には、歪み等を補正するように制御を行ってもよい。
光源駆動部803は、光源駆動回路85等により実現され、画像形成制御部802からの制御信号に基づき、光源2または検出用レーザ光源71を駆動させる。光走査手段駆動部804は、光走査手段駆動回路86等により実現され、画像形成制御部802からの制御信号に基づき、揺動ミラー41を駆動させる。光偏向手段駆動部805は、光偏向手段駆動回路87等により実現され、画像形成制御部802からの制御信号に基づき、光偏向手段5を駆動させる。
<並進手段9の構成例>
図6は、並進手段9の構成の一例を示す斜視図である。並進手段9は、筐体900と、ラック901と、第1ピニオンギア902と、第2ピニオンギア903と、シャフト904と、を有する。筐体900は、内部に光走査手段4と、光偏向手段5を収容する。並進手段9では、第1ピニオンギア902および第2ピニオンギア903に回転力が加えられると、第1ピニオンギア902および第2ピニオンギア903の回転運動は、ラック901により並進運動に変換される。
並進手段9は、段階的に配置を切り替えることができる。並進手段9による並進方向は、延在方向15と略平行である。ラック・ピニオン機構により並進手段9を構成することにより、網膜投影表示装置100に並進手段9をコンパクトに実装することができる。
本実施形態では、並進手段9により、光走査手段4は延在方向15に沿って並進し、装着者が手動で操作することで5種類の配置に切り替えることができる。例えば、ラック901と噛み合う第1ピニオンギア902とシャフト904を介して連結された第2ピニオンギア903で操作手段20を構成する。この操作手段20をツル10の外部に設けることにより、装着者は、手動で操作手段20を操作可能になる。
並進手段9は、ラック・ピニオン機構とモータを組み合わせた電動アクチュエータであってもよい。また並進手段9は、操作手段20からの駆動信号に従って電気的に駆動する構成であってもよい。また並進手段9は、視線方向推定部801で推定された視線方向に基づいて自動で駆動する構成であってもよい。
<投影手段6の構成例>
図7は、投影光学素子の構成の一例について説明する図である。投影手段6は、ホログラフィック光学素子である。投影手段6は、ホログラム領域H1~H10のX=10(個)の分離されたホログラム領域を有する。ホログラム領域H1~H10は、分離された複数の投影可能領域の一例に対応する。投影手段6は、ホログラム領域H1~H10のそれぞれに対応して、反射集光素子としてのホログラフィック光学素子を含む。
ホログラム領域H1~H10のそれぞれは、体積ホログラムとしての機能を有する。ホログラム領域H1~H10のそれぞれは、所定の入射条件で入射される光を所定の位置に反射し、且つ集光させる。所定の入射条件は、ホログラム領域H1~H10ごとで規定された入射光の位置及び方向の条件である。
投影手段6は、複数の波長の光を反射する。投影手段6は、集光させる場合には、波長多重化された1層のホログラフィックフィルムで構成されてもよい。或いは、投影手段6は、反射し、集光させる複数の波長のそれぞれを帯域に含む複数のホログラフィックフィルム層を積層して構成されてもよい。或いは、角度多重化されたホログラムを利用してもよい。
本実施形態では、投影手段6は、ホログラフィック光学素子と同じ機能を有する液晶や、サーフェイスレリーフを用いた回折光学素子等を含んでもよい。なお、図7に示したホログラム領域H1~H10のパターンはイメージ図であり、実際のパターンとは異なる。
<投影手段6の動作例>
図8A~図8Cは、投影手段6の動作の一例を示す図である。図8Aは、投影手段6の作用を説明する図、図8Bは、投影手段6により生成される射出瞳が移動する様子を示す図、図8Cは、投影手段6により生成される射出瞳の移動を説明する図である。
図8Aに示すように、投影手段6が有するホログラム領域H1~H10のそれぞれは、所定の入射条件で入射される光を所定の位置に向けて反射し、且つ集光させる機能を有する。例えば、出射領域M1から出射される画像光L1が入射条件を満たす場合、ホログラム領域H1~H10のいずれかにより反射された画像光は集光され、射出瞳E1を生成する。ここで、画像光とは、網膜62に到達することにより、網膜62上に画像Imを形成する光をいう。
一般に、体積ホログラムは一定の入射角および波長、または位相整合光を有する光に対して最大回折効率を提供する。さらに、入射条件には入射角または波長に対してある程度の許容範囲を有している。体積ホログラムは、入射角または波長に対してある程度の許容範囲内で、過度の効率低下なしに、依然として反射、且つ集光する挙動を示す。そのため、この許容範囲内であれば、図8Bに示すように、出射位置を出射領域M1から出射領域M2へと移動させ、ホログラム領域H1~H10のいずれかに入射する画像光の入射角を変化させることにより、射出瞳E1から射出瞳E2へ移動させることができる。これらを拡張することにより、図8Cに示すように、体積ホログラムとして機能する入射条件の許容範囲内であれば、ホログラム領域H1~H10に入射する画像光の入射角を制御することができる。例えば、出射点を出射領域M1~Miの任意の位置に移動させることにより、射出瞳をM1~Miの任意の位置に移動させることができる。なお、iは1以上の整数である。iは任意に設定可能である。
出射領域M1~Miは、例えば、並進手段9により変化する光偏向手段5のN種類の位置、あるいは光偏向手段5の反射面の傾きにより変化する仮想出射領域である。射出瞳E1~Eiは、例えば眼球60が配置される所定のアイボックス内視域Ec上における位置が異なるi個の領域である。なお、出射領域M1~Miを区別しない場合には出射領域Mと総称する。射出瞳E1~Eiを区別しない場合には射出瞳Eと総称する。
投影手段6は、可視光波長帯に比べて非常に狭い帯域の波長の光のみを反射し、それ以外の波長の光を透過させる。従って、現実空間から装着者の眼球60に向かう光の多くは、投影手段6を透過し、眼球60に入射する。
<射出瞳の移動例>
図9A~図9Iは、射出瞳の移動を例示する図である。ここでの射出瞳の移動は、X方向に略平行な方向への移動である水平移動である。図9A~図9Iは、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心位置に応じて射出瞳の形成位置を移動させる様子の一例について説明している。なお、正面視認時とは、眼球が回旋していない場合(正視時)であり、図9A~図9Iにおける+Z方向を向いているときを指す。図9Aは、瞳孔61中心が領域a1内に位置する場合、図9Bは、瞳孔61中心が領域a2内に位置する場合、図9Bは、瞳孔61中心が領域a3内に位置する場合、図9Cは、瞳孔61中心が領域a3内に位置する場合、図9Dは、瞳孔61中心が領域a4内に位置する場合である。図9Eは、瞳孔61中心が領域a5内に位置する場合、図9Fは、瞳孔61中心が領域a6内に位置する場合、図9Gは、瞳孔61中心が領域a7内に位置する場合、図9Hは、瞳孔61中心が領域a8内に位置する場合、図9Hは、瞳孔61中心が領域a9内に位置する場合である。
図9A~図9Iにおいて、網膜投影表示装置100は、光走査手段4によってレーザ光線Lr1を走査させることにより、画像光Lmを生成し、光偏向手段5に入射させる。画像光Lmは、光偏向手段5の反射面の傾きに応じて、X方向に沿った異なる位置に向けて異なる方向に偏向され、投影手段6に入射する。投影手段6は、入射してくる画像光Lmの方向に応じて、画像Imの投影方向51(図1A参照)が変化する。つまり、光偏向手段5は、投影手段6による画像Imの投影方向を可変することができる。また、光偏向手段5は、並進手段9により延在方向15に沿って並進し、延在方向15における異なる位置Siに配置を切り替えることができる。
網膜投影表示装置100は、光偏向手段5の位置と光偏向手段5の反射面の傾きの組み合わせにより、画像光Lmが入射するホログラム領域を切り替えることができる。また、ホログラム領域H1~H10のうちの1つのホログラム領域に対して異なる入射角で画像光Lmを入射させることができる。換言すると、図1Aに示した制御手段8は、ホログラム領域H1~H10のうちの少なくとも一つ以上のホログラム領域に、光走査手段4からの光を照射するように、光偏向手段5の動作を制御することができる。
本実施形態では、網膜投影表示装置100が提供する射出瞳の集合体であるアイボックス領域Ebを予め設定する。また本実施形態では、領域a1~a9に領域区分されたアイボックス内領域Ecを設定する。初めに、視線検出部7により装着者が正面を視認している状態で、装着者の瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ec内のどの領域a1~a9に位置しているかを推定する。本実施形態では、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が、領域a1~a9のうちのどの領域に位置しているかに応じて、ホログラム領域H1~H10のうち、射出瞳形成に使用するホログラム領域と、光偏向手段5の位置Siおよび光偏向手段5の反射面の傾きと、を決定する。
図9Aに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61中心が領域a1内に位置する場合、光偏向手段5は位置S1に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H1~H3を使用する。光走査手段4により形成された画像光Lmは、光偏向手段5の反射面の傾きに応じたホログラム領域に入射する。例えば、図9Aに破線で示した画像光L2は、ホログラム領域H1に入射する。図9Aに実線で示した画像光L1はホログラム領域H2に入射する。図9Aに一点鎖線で示した画像光L3はホログラム領域H3に入射する。
画像光L2は、ホログラム領域H1に対して、ホログラムが機能する入射光束条件を満足している。画像光L1は、ホログラム領域H2に対して、ホログラムが機能する入射光束条件を満足している。画像光L3は、ホログラム領域H3に対して、ホログラムが機能する入射光束条件を満足している。これらにより、画像光L2は、投影手段6のホログラム領域H1で反射、且つ集光され、射出瞳E1を生成する。画像光L1は、投影手段6のホログラム領域H2で反射、且つ集光され、射出瞳E3を生成する。画像光L3は、投影手段6のホログラム領域H3で反射、且つ集光され、射出瞳E5を生成する。
射出瞳E3は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E1は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E5は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E3を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E1が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E3を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E5が瞳孔61に整列または重複する。すなわち、射出瞳E3を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方または右方に移動させた場合にも、装着者は画像Imをある有限画角内にわたって視認することができる。これらの結果、3つの視野にわたって視認可能領域が提供され、視域を拡大することができる。なお、射出瞳E1と射出瞳E3の間の距離Eaは、例えば2mmである。射出瞳Eiと射出瞳Ei+2の間の距離も2mmである。
図9Bに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a2内に位置する場合、光偏向手段5は位置S2に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H1~H3を使用する。光走査手段4により形成された画像光Lmは、光偏向手段5の反射面の傾きに応じたホログラム領域に入射する。図9Bに破線で示した画像光L5は、ホログラム領域H1に入射する。図9Bに実線で示した画像光L4は、ホログラム領域H2に入射する。図9Bに一点鎖線で示した画像光L6は、ホログラム領域H3に入射する。
画像光L5は、ホログラム領域H1に対して、ホログラムが機能する入射光束条件を満足している。画像光L4は、ホログラム領域H2に対してホログラムが機能する入射光束条件を満足している。画像光L6は、ホログラム領域H3に対して、ホログラムが機能する入射光束条件を満足している。
図9Bの状態は、ホログラム領域H1~H3に入射する際の画像光の入射角が図9Aの状態と比べて小さくなっている。一般に、反射型回折光学素子においては、入射角が小さくなれば反射角は小さくなる。つまり、図9Aに比べて、ホログラム領域H1~H3により形成される射出瞳の位置は、反射角が小さくなる方向であるX軸正方向に移動する。これらにより、画像光L5は、投影手段6のホログラム領域H1で反射、且つ集光され、射出瞳E2を生成する。画像光L4は、投影手段6のホログラム領域H2で反射、且つ集光され、射出瞳E4を生成する。画像光L6は、投影手段6のホログラム領域H3で反射、且つ集光され、射出瞳E6を生成する。
射出瞳E4は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E2は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E6は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E4を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E2が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E4を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E6が瞳孔61に整列または重複する。すなわち、図9Aと同様に、射出瞳E4を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方または右方に移動させた場合にも、装着者は画像Imをある有限画角内にわたり視認することができる。この結果、3つの視野にわたって視認可能領域が提供され、視域を拡大することができる。なお、射出瞳E1と射出瞳E2の間の距離Edは、例えば1mmである。射出瞳Eiと射出瞳Ei+1の間の距離も1mmである。
図9C~図9Iにおいても以下同様である。図9Cに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a3内に位置する場合、光偏向手段5は位置S3に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H1~H3を使用する。
射出瞳E5は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E3は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E7は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E5を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E3が瞳孔61に整列又は重複する。一方、射出瞳E5を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E7が瞳孔61に整列または重複する。
図9Dに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a4内に位置する場合、光偏向手段5は位置S2に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H2~H4を使用する。
射出瞳E6は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E4は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E8は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E6を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E4が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E6を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E8が瞳孔61に整列または重複する。
図9Eに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a5内に位置する場合、光偏向手段5は、位置S3に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H2~H4を使用する。
射出瞳E7は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E5は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E9は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E7を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E5が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E7を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E9が瞳孔61に整列または重複する。
図9Fに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a6内に位置する場合、光偏向手段5は位置S4に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H2~H4を使用する。
射出瞳E8は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E6は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E10は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E8を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E6が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E8を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E10が瞳孔61に整列または重複する。
図9Gに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a7内に位置する場合、光偏向手段5は位置S3に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうち、ホログラム領域H3~H5を使用する。
射出瞳E9は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E7は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E11は、装着者から見て右方に位置する。射出瞳E9を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E7が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E9を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E11が瞳孔61に整列または重複する。
図9Hに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a8内に位置する場合、光偏向手段5は位置S4に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H3~H5を使用する。
射出瞳E10は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E8は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E12は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E10を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E8が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E10を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E12が瞳孔61に整列または重複する。
図9Iに示すように、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心が領域a9内に位置する場合、光偏向手段5は位置S5に位置する。網膜投影表示装置100は、ホログラム領域H1~H10のうちのホログラム領域H3~H5を使用する。
射出瞳E11は、装着者が正面を視認している状態において、装着者の瞳孔61と整列または重複する。射出瞳E9は、装着者から見て左方に位置する。射出瞳E13は、装着者から見て右方に位置する。
射出瞳E11を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を左方向に移動させた時には、射出瞳E9が瞳孔61に整列または重複する。一方、射出瞳E11を通して視認可能なある有限画角を超えて視線を右方向に移動させた時には、射出瞳E13が瞳孔61に整列または重複する。
このように、網膜投影表示装置100では、光偏向手段5の位置と、光偏向手段5の反射面の傾きと、ホログラム領域H1~H10のうち、使用するホログラム領域の組み合わせと、により、アイボックス領域Eb内にわたって射出瞳E1~E13を形成することができる。アイボックス領域Ebは、例えば、Ed=1mmの場合、Eb=12mmである。
光偏向手段5の位置と、光偏向手段5の反射面の傾きと、により、同じホログラム領域に対して異なる入射角で画像光を入射させることができる。このとき各ホログラム領域の入射角許容範囲を満足するようにすることにより、射出瞳E1~E13に画像光Lmを集光させることができる。
本実施形態では、視線検出部7により、装着者が正面を視認している状態において、瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ec内のどの領域a1~a9に位置しているかを推定する。これにより、光偏向手段5の位置と、光偏向手段5の反射面の傾きと、ホログラム領域H1~H10のうち、使用するホログラム領域の組み合わせと、を決定する。アイボックス内領域Ecは、例えば、Ed=1mmの場合、Ec=8mmである。一般に、人ごとに瞳孔間距離は異なるが、正面視認時における瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ecの範囲内であれば、どこに位置していたとしても装着者を選ぶことなく、装着者は画像Imをある有限画角内にわたって視認することが可能となる。左方、中央、右方の3つの視野にわたって視認可能領域が提供される。装着者は、視線方向を変えることにより選択的に画像Imを視認することができる。
投影手段6において、ホログラム領域H1~H5は、分離されて設けられているため、各ホログラム領域の集光特性を最適化することができる。これにより射出瞳E1~E13の何れにより提供される視野においても、均一な画質を提供することが可能になる。
網膜投影表示装置100における射出瞳E1~E13のそれぞれにより提供される視野の有限視野角は、全てで同じにしてもよいし、異ならせてもよい。この有限視野角は、(水平視野角)×(垂直視野角)として、例えば、10(度)×6(度)、15(度)×9(度)、20(度)×12(度)等である。
図9A~図9Iでは、投影手段6としてホログラム領域H1~H5を使用して水平に射出瞳を移動させる例を示したが、投影手段6としてホログラム領域H6~H10を使用して水平に射出瞳を移動させてもよい。このとき、ホログラム領域H6~H10により、形成される射出瞳の集合体であるアイボックス領域Evbは、Y軸正方向に位置する。
本実施形態における光偏向手段5は、ベクトルスキャンMEMSミラーを含むため、Y方向に沿った異なる位置に、異なる方向に画像光を偏向させることができる。
ホログラム領域H6~H10は、ホログラム領域H1~H5と比べてY軸正方向に位置し、装着者から見ると上方に位置する。すなわち、正面視認時における瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ecの範囲内であれば、どこに位置していたとしても装着者を選ぶことなく、装着者は画像Imをある有限画角内にわたって視認することが可能となる。左上方、中央上、右上方の3つの視野にわたる視認可能領域が提供される。
装着者は、視線方向を変えることにより選択的に視認することができる。つまり、網膜投影表示装置100では、正面視認時における瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ecの範囲内であれば、どこに位置していたとしても装着者を選ぶことなく、装着者は画像Imをある有限画角内にわたって視認することが可能となる。装着者は、左方、中央、右方、左上方、中央上、右上方の6つの視野にわたって視認可能領域が提供される。装着者は、視線方向を変えることにより選択的に画像Imを視認することができる。
図10は、網膜投影表示装置100の動作および作用について説明する図である。図10において、レーザ光線Lr1は揺動ミラー41で走査されて画像光Lmとなり、光偏向手段5の反射面で反射された後、投影手段6に入射する。その後、投影手段6により反射され、装着者の眼球60の瞳孔61の中心付近で一旦集束された後、装着者の網膜62に投影される。装着者は、網膜62に投影された画像Imを視認することができる。
現実空間にある対象物70からZ軸負方向に伝搬する光は、可視光域を含む波長帯域が広い光である。投影手段6は、可視光域に比べて非常に狭い帯域の波長にのみホログラムが機能するため、優れた透過性を有している。このため、現実空間から装着者の眼球60に向かって伝搬する光の多くは投影手段6を透過して装着者の網膜62に達する。これにより、現実空間にある対象物70の像は、十分な明るさで視認される。このように、装着者は、画像Imと現実空間にある対象物70の像を並行して視認できる。装着者は、画像Imと現実空間の像をともに明るい状態で視認できる。
本実施形態では、マクスウェル視を利用して装着者の網膜62に直接、画像Imを形成するため、現実空間のどの位置に焦点を合わせても画像Imを並行して、且つ鮮明に、装着者に視認させることができる。一方、マクスウェル視を利用する網膜描画方式は、一度、瞳孔61に画像光Lmを集光させるという特性上、視域が比較的狭いという欠点がある。視域が狭い状況下では視線のわずかな変化により画像Imが消失するという現象が生じ得る。
本実施形態では、光偏向手段5により投影手段6への画像Imの投影方向をX方向およびY方向に変化させることができる。また、光偏向手段5は並進手段9により延在方向15に並進することにより、延在方向15における異なる位置Siに位置を切り替えることができる。すなわち、網膜投影表示装置100は、光偏向手段5の位置と、光偏向手段5における反射面の傾きと、の組み合わせにより、画像光Lmを入射させるホログラム領域を切り替えることができる。網膜投影表示装置100は、一つのホログラム領域に対して異なる入射角で画像光Lmを入射させることができる。
本実施形態では、網膜投影表示装置100が提供する射出瞳の集合体であるアイボックス領域Ebがあらかじめ設定され、更に内部には領域a1~a9に領域区分されたアイボックス内領域Ecが設定されている。初めに、視線検出部7により装着者が正面を視認している状態において、瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ec内のどの領域a1~a9に位置しているかを推定する。本実施形態では、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心がどの領域a1~a9に位置しているかで、射出瞳形成に使用するホログラム領域および光偏向手段5の位置Siおよび光偏向手段5の反射面の傾きが決定され、所望の光偏向手段5の位置となるように装着者が手動で操作して並進手段9を並進させる。これにより、一般に、人ごとに瞳孔間距離は異なるが、正面視認時における瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ecの範囲内であれば、どこに位置していたとしても装着者を選ぶことなく、装着者は画像Imをある有限画角内にわたり視認することが可能となる。装着者は、左方、中央、右方、左上方、中央上、右上方の6つの視野にわたる視認可能領域が提供される。装着者は、視線方向を変えることにより、選択的に画像Imを視認することができる。
本実施形態では、正面視認時における装着者の瞳孔61の中心がアイボックス内領域Ec内のどの領域a1~a9に位置しているかで、射出瞳形成に使用するホログラム領域、光偏向手段5の位置Siおよび光偏向手段5の反射面の傾きが一意に定まるため、装着者は網膜投影表示装置100を頭部に装着した後に指示に従って並進手段9を並進させる操作のみを行う。つまり、本実施形態では、セミオートメーション化された簡素なプロセスにより、射出瞳の位置と装着者の瞳孔61の位置を整列または重複させることができる。これにより、網膜描画方式でありながら画像を視認可能な視域を拡大することが可能となる。
本実施形態では、視線方向推定部801(図5参照)を備えており、6個の視野の内、どの視野に装着者の視線が向いているかを推定できる。推定された視野に画像が表示されるように光偏向手段5の反射面の傾きを制御することで、装着者は6個の視野のうちのどの領域を見ても画像を視認できる。つまり、装着者は、6個の視野の内、視線が向いている一つの視野内の画像を見ることができる。これにより、6個の視野の範囲内であれば、視線の向いている先に常に画像を表示することが可能であり、視線に追随した画像投影が可能となる。なお、6個の各視野に投影する画像は同じでもよいし、異なっていてもよい。例えば、視線方向の切り替えに左右されず映像を常に同一のものとすると、6個の視野の範囲内であれば、どこを見ても常に同じ映像を表示することが可能となる。視線の先に常に情報を表示させておきたい製造業などの作業現場支援や一般消費者向けとして日常生活において自分が見ている対象の情報を確認する用途などに有用となる。
各視野に表示する映像を異なるものとした場合は、例えば、視線の先に表示される必要な情報やデータをあらかじめ定めて設定しておくことで、必要な時に設定した視野に視線を向けることで必要な情報が確認できるようになる。つまり、見たい時に見るという装着者の意志に委ねた映像体験が可能になる。これは、従来の開示技術でよく見受けられる視域複製手法では実現することができない。これにより、例えば、装着者が製造作業従事者やインフラ点検作業従事者である場合、クリアな視界により現実空間における作業が阻害されることなく、必要なタイミングで視線を移動させた時のみ作業指示等、デジタルコンテンツを良好に視認でき、且つフォーカスフリーにより視覚ストレスなく作業従事が可能となるため、従来技術よりも一層作業の効率化が期待される。
以上のように、網膜投影表示装置100では、デジタル映像を付与するという新たな付加価値を十分な視覚的品質で提供できるため、上記以外にも教育支援や手術支援、生活支援など、幅広く応用展開可能な技術である。
また、本実施形態では、光走査手段4により形成される画像Imの視野角は一つの視野範囲内にとどまり、光偏向手段5の第3駆動信号Dr3の制御により、6個の視野の内、装着者の視線が向いている視野内に画像Imの投影方向51を切り替える。すなわち、視野により解像度が変化することなく、一つの視野範囲内を走査する解像度がどの視野においても維持される。一般に、レーザ走査に基づく画像表示においては、装着者に見せたい画像の視野角が大きくなればなるほど解像度が低下するが、網膜投影表示装置100では表示を見ることが可能な領域、視域が拡大され、且つ解像度を劣化させることなく画像Imを表示可能な視野が拡大される。
また、本実施形態では、光走査手段4および光偏向手段5は、ツル10が延びる延在方向15に沿って並んでいてもよい。延在方向15と直交する方向におけるツル10の長さを短くすることができるため、網膜投影表示装置100を小型化できるからである。特に、光走査手段4における揺動ミラー41の支持基板面と光偏向手段5の支持基板面が同一平面上にあり、且つ延在方向15と略平行になるように設けられることが好ましい。これにより、折り返し導光構造をさらに薄型にすることができる。また、光走査手段4は並進手段9により延在方向15に沿って並進するため、ツル10の内部で動作を完結させることが可能である。これにより、並進動作後も見た目が変化せず、且つ支持体を小型にスタイリッシュに造形することが可能となる。
装着後の手動操作後は、MEMSミラーからなる光偏向手段5の第3駆動信号Dr3を制御することのみで射出瞳の切り替えが可能になるため、物理的な動作を必要とする機構やデバイスを用いることなく視域を拡大することができる。以上のことから、網膜投影表示装置100を小型に構築することができ、支持体を従来のメガネフレーム相当に小型に構築することができる。
並進手段9は、延在方向15に沿って離散的に並ぶ複数の位置(位置S1~S5)のそれぞれに対して配置可能に、光走査手段4および光偏向手段5を一体にして並進させてもよい。これにより、射出瞳を形成する位置を簡単に可変することができる。
また、上述した各実施形態において、光走査手段4および光偏向手段5を一体にしたものとして説明したが、これに限られない。たとえば、並進手段9は、別々の構成とした光走査手段4および光偏向手段5をツル10が延びる延在方向15に並進させるようにしてもよい。その場合、光走査手段4と光偏向手段5との位置関係が変わらないように並進させることが好ましい。
投影手段6は、分離された複数の投影可能領域(ホログラム領域H1~H10)を有してもよい。光偏向手段5は、光走査手段4と投影手段6の間の光路に配置されてもよい。制御手段8は、分離された複数の投影可能領域のうちの少なくとも一つ以上の投影可能領域に、光走査手段4からの光を照射するように、光偏向手段5の動作を制御してもよい。これにより、網膜投影表示装置100を薄型化しつつ、投影手段6による結像性能を向上させることができ、画像Imの品質を向上させることができる。
反射集光素子(投影手段6)は、ホログラフィック光学素子であってもよい。これにより、投影手段6による結像性能を向上させることができ、画像Imの品質を向上させることができる。
制御手段8は、装着者の眼球60の位置および傾きに応じて、光偏向手段5の動作を制御してもよい。これにより、眼球60が動いた場合にも画像を視認可能な視域を維持できる。
網膜投影表示装置100は、装着者の眼球60の位置および傾きに応じて、光走査手段4および光偏向手段5の位置を変化させるように、並進手段9を操作可能とする操作手段20を有してもよい。これにより、装着者ごとで眼球60の大きさに違いがあった場合にも、画像を視認可能な視域を容易に維持できる。
制御手段8は、画像データに基づいて光源2の動作を制御してもよい。これにより、画像データに基づく画像Imを網膜62に投影表示できる。
[その他の好適な実施形態]
上述した第1実施形態では、網膜投影表示装置100をウェアラブル端末であるヘッドマウントディスプレイとする場合を示したが、これに限定されるものではない。ヘッドマウントディスプレイとしての網膜投影表示装置100は、「人」の頭部に直接装着させるだけでなく、固定部等の部材を介して間接的に「人」の頭部に装着させるもの、すなわち頭部装着型表示装置であってもよい。
上記実施形態の他、例えば、実施形態に係る網膜投影表示装置は、検眼装置にも採用する事ができる。検眼装置とは、視力検査、眼屈折力検査、眼圧検査、眼軸長検査など種々の検査を行う事が出来る装置を指す。検眼装置は、眼球に非接触で検査可能な装置であって、被験者の顔を支持する支持部と、検眼窓と、検眼に際し被検者の眼球に検査用情報を投影する表示部と、制御部と、測定部とを有している。被検者は支持部に顔を固定し、検眼窓から表示部により投影される検査用情報を凝視する。このとき、被験者毎に眼球位置や視認しやすい投影方向は異なるため、表示部として本実施形態の光学装置が利用可能である。また、本実施形態の映像表示装置を利用すれば、グラス形態の検眼装置の実現が可能となる。それにより、検査に必要な空間や大型の検眼装置が不要となり、簡便な構成で場所に左右されることなく検査が可能となる。
また、測定部の測定精度を上げるために眼球(視線)を動かさず一点を見つめる事が求められる場合には、図1Aに示した視線検出部7を有する網膜投影表示装置が利用可能である。視線検出部7により得られた視線情報を制御部にフィードバックする事により、眼球の瞳孔位置に応じた測定をする事が可能となる。
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形および置換を加えることができる。
上記の制御手段8の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記した網膜投影表示装置100の各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> ツルを含む眼鏡型支持体を有し、前記眼鏡型支持体を装着した人の網膜に画像を投影する網膜投影表示装置であって、光源と、前記ツルに配置され、前記光源からの光を走査させる光走査手段と、前記光走査手段により形成される画像を前記網膜に投影する投影手段と、前記ツルに配置され、前記光走査手段による前記画像の投影方向を可変する光偏向手段と、前記光走査手段および前記光偏向手段を、前記ツルが延びる方向に並進させる並進手段と、を有する、網膜投影表示装置である。
<2> 前記光源は、前記ツルが延びる方向と略平行方向に光を射出する、前記<1>に記載の網膜投影表示装置である。
<3> 前記光走査手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、前記反射面は、駆動電圧が印加されていないときに、前記ツルが延びる方向に略平行になるように設けられる、前記<1>に記載の網膜投影表示装置である。
<4> 前記光偏向手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、前記反射面は、駆動電圧が印加されていないときに、前記ツルが延びる方向に略平行になるように設けられる、前記<1>に記載の網膜投影表示装置である。
<5> 前記光走査手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、前記光偏向手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、駆動電圧が印加されていないときの前記光走査手段の反射面と、駆動電圧が印加されていないときの前記光偏向手段の反射面は、略平行になるように設けられる、前記<1>に記載の網膜投影表示装置である。
<6> 前記光走査手段および前記光偏向手段は、前記ツルが延びる方向に沿って並んでいる、前記<1>に記載の網膜投影表示装置である。
<7> 前記並進手段は、前記ツルが延びる方向に沿って離散的に並ぶ複数の位置のそれぞれに対して配置可能に、前記光走査手段および前記光偏向手段を一体にして並進させる、前記<1>から前記<6>のいずれか1つに記載の網膜投影表示装置である。
<8> 前記光走査手段および前記光偏向手段のそれぞれの動作を制御する制御手段を有し、前記投影手段は、分離された複数の投影可能領域を有し、前記光偏向手段は、前記光走査手段と前記投影手段の間の光路に配置され、前記制御手段は、前記分離された複数の投影可能領域のうちの少なくとも一つ以上の前記投影可能領域に前記光走査手段からの光を照射するように、前記光偏向手段の動作を制御する、前記<1>から前記<7>のいずれか1つに記載の網膜投影表示装置である。
<9> 前記投影手段は、前記分離された複数の投影可能領域のそれぞれに対応して反射集光素子を含む、前記<8>に記載の網膜投影表示装置である。
<10> 前記反射集光素子は、ホログラフィック光学素子である、前記<9>に記載の網膜投影表示装置である。
<11> 前記光走査手段および前記光偏向手段のそれぞれの動作を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記眼鏡型支持体を装着した人の眼球の位置および傾きに応じて、前記光偏向手段の動作を制御する、前記<1>から前記<10>のいずれか1項に記載の網膜投影表示装置である。
<12> 前記眼鏡型支持体を装着した人の眼球の位置および傾きに応じて、前記光走査手段および前記光偏向手段の位置を変化させるように、前記並進手段を操作可能とする操作手段を有する、前記<1>から前記<11>のいずれか1つに記載の網膜投影表示装置である。
<13> 前記光走査手段および前記光偏向手段のそれぞれの動作を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、画像データに基づいて前記光源の動作をさらに制御する、前記<1>から前記<12>のいずれか1つに記載の網膜投影表示装置である。
<14> 装着した人の網膜に画像を投影する網膜投影表示装置であって、光源と、
前記光源からの光を走査させる光走査手段と、前記光走査手段により走査された光を偏向する光偏向手段と、前記光偏向手段により偏向された光を前記網膜に投影する投影手段と、前記光走査手段および前記光偏向手段を、前記装着した人の正視方向に対し略平行に並進させる並進手段と、を有する、網膜投影表示装置である。
<15> 前記<1>から前記<14>のいずれか1つに記載の網膜投影表示装置を有する、頭部装着型表示装置である。
<16> 前記<1>から前記<14>のいずれか1つに記載の網膜投影表示装置を有する、検眼装置である。
1 眼鏡型支持体
10 ツル
11 リム
12 メガネレンズ
14 反射面
15 延在方向
2 光源
3 レンズ
4 光走査手段
41 揺動ミラー
42 第1ミラー
43 第2ミラー
44 整形光学素子
5 光偏向手段
51 投影方向
6 投影手段
7 視線検出部
70 対象物
71 検出用レーザ光源
72 光検出素子
73 反射素子
8 制御手段
81 外部I/F
82 CPU
83 ROM
84 RAM
85 光源駆動回路
86 光走査手段駆動回路
87 光偏向手段駆動回路
88 システムバス
801 視線方向推定部
802 画像形成制御部
803 光源駆動部
804 光走査手段駆動部
805 光偏向手段駆動部
9 並進手段
900 筐体
901 ラック
902 第1ピニオンギア
903 第2ピニオンギア
904 シャフト
20 操作手段
60 眼球
61 瞳孔
62 網膜
92a 反射ミラー
100 網膜投影表示装置
a1~a9 領域
Dr1 第1駆動信号
Dr2 第2駆動信号
Dr3 第3駆動信号
Dr4 第4駆動信号
E、E1~Ei 射出瞳
Eb、Evb アイボックス領域
Ec アイボックス内領域
Ea、Ed 距離
H1~H10 ホログラム領域
Id 画像データ
Im 画像
Lm、L1~L6 画像光
Lr1 レーザ光線
Lr2 検出用レーザ光線
M、M1~Mi 出射領域
P 領域
S 検出信号
S1~S5、Si 位置
特許6769974号公報

Claims (16)

  1. ツルを含む眼鏡型支持体を有し、前記眼鏡型支持体を装着した人の網膜に画像を投影する網膜投影表示装置であって、
    光源と、
    前記ツルに配置され、前記光源からの光を走査させる光走査手段と、
    前記光走査手段により形成される画像を前記網膜に投影する投影手段と、
    前記ツルに配置され、前記光走査手段による前記画像の投影方向を可変する光偏向手段と、
    前記光走査手段および前記光偏向手段を、前記ツルが延びる方向に並進させる並進手段と、を有する、網膜投影表示装置。
  2. 前記光源は、前記ツルが延びる方向と略平行方向に光を射出する、請求項1に記載の網膜投影表示装置。
  3. 前記光走査手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、
    前記反射面は、駆動電圧が印加されていないときに、前記ツルが延びる方向に略平行になるように設けられる、請求項1に記載の網膜投影表示装置。
  4. 前記光偏向手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、
    前記反射面は、駆動電圧が印加されていないときに、前記ツルが延びる方向に略平行になるように設けられる、請求項1に記載の網膜投影表示装置。
  5. 前記光走査手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、
    前記光偏向手段は、前記光源からの光を反射する反射面を含み、
    駆動電圧が印加されていないときの前記光走査手段の反射面と、駆動電圧が印加されていないときの前記光偏向手段の反射面は、略平行になるように設けられる、請求項1に記載の網膜投影表示装置。
  6. 前記光走査手段および前記光偏向手段は、前記ツルが延びる方向に沿って並んでいる、請求項1に記載の網膜投影表示装置。
  7. 前記並進手段は、前記ツルが延びる方向に沿って離散的に並ぶ複数の位置のそれぞれに対して配置可能に、前記光走査手段および前記光偏向手段を一体にして並進させる、請求項1または請求項2に記載の網膜投影表示装置。
  8. 前記光走査手段および前記光偏向手段のそれぞれの動作を制御する制御手段を有し、
    前記投影手段は、分離された複数の投影可能領域を有し、
    前記光偏向手段は、前記光走査手段と前記投影手段の間の光路に配置され、
    前記制御手段は、前記分離された複数の投影可能領域のうちの少なくとも一つ以上の前記投影可能領域に前記光走査手段からの光を照射するように、前記光偏向手段の動作を制御する、請求項1または請求項2に記載の網膜投影表示装置。
  9. 前記投影手段は、前記分離された複数の投影可能領域のそれぞれに対応して反射集光素子を含む、請求項8に記載の網膜投影表示装置。
  10. 前記反射集光素子は、ホログラフィック光学素子である、請求項9に記載の網膜投影表示装置。
  11. 前記光走査手段および前記光偏向手段のそれぞれの動作を制御する制御手段を有し、
    前記制御手段は、前記眼鏡型支持体を装着した人の眼球の位置および傾きに応じて、前記光偏向手段の動作を制御する、請求項1または請求項2に記載の網膜投影表示装置。
  12. 前記眼鏡型支持体を装着した人の眼球の位置および傾きに応じて、前記光走査手段および前記光偏向手段の位置を変化させるように、前記並進手段を操作可能とする操作手段を有する、請求項1または請求項2に記載の網膜投影表示装置。
  13. 前記光走査手段および前記光偏向手段のそれぞれの動作を制御する制御手段を有し、
    前記制御手段は、画像データに基づいて前記光源の動作をさらに制御する、請求項1または請求項2に記載の網膜投影表示装置。
  14. 装着した人の網膜に画像を投影する網膜投影表示装置であって、
    光源と、
    前記光源からの光を走査させる光走査手段と、
    前記光走査手段により走査された光を偏向する光偏向手段と、
    前記光偏向手段により偏向された光を前記網膜に投影する投影手段と、
    前記光走査手段および前記光偏向手段を、前記装着した人の正視方向に対し略平行に並進させる並進手段と、を有する、網膜投影表示装置。
  15. 請求項1または請求項2に記載の網膜投影表示装置を有する、頭部装着型表示装置。
  16. 請求項1または請求項2に記載の網膜投影表示装置を有する、検眼装置。
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