JP2024051543A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層造形法により製造可能で更なる熱交換効率の改善が可能な熱交換器を提供する。【解決手段】この熱交換器100は、全体として所定方向に延びるように形成された複数の流路10と、複数の流路10の間を仕切る隔壁20とを含むコア部1を備える。複数の流路10は、第1流体3を流通させる第1流路11と、第1流体3と隔壁20を介して熱交換する第2流体4を流通させる第2流路12とを含む。隔壁20は、所定方向に延びる回転中心軸22を中心に、所定方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有し、かつ、所定方向と直交する断面において、回転中心軸22から渦巻状に延びるように形成された仕切壁部21を有する。【選択図】図5
Description
この発明は、熱交換器に関し、特に、流路を流れる流体間で熱交換を行う熱交換器に関する。
従来、流路を流れる流体間で熱交換を行う熱交換器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
一般に熱交換器は、プレートフィン型、シェルアンドチューブ型などの基本構造が知られている。これに対して、本出願人の出願による上記特許文献1では、構造例の1つとして、十字形状の隔壁で仕切られた複数の管状の流路を備え、複数の流路が全体として所定方向に延びるように形成され、隔壁が、所定方向の一端から他端の間で螺旋状に形成された、新規な構造の熱交換器が提案されている。上記構造例の熱交換器は、特に、積層造形法による製造に適した構造を有している。
積層造形法は、造形可能な形状の自由度が高いが、製造時の水平面とのなす角度が概ね45度以下の傾斜面(または水平面)を形成しようとすると、重力の作用によって、当該傾斜面において造形不良が生じ易くなることが知られている。そのため、上記特許文献1に記載の熱交換器を製造する場合にも、螺旋状の隔壁を構成する傾斜面の角度が、製造可能な構造の限界を規定する要因の1つとなる。
そこで、本願発明者らは、上記特許文献1の熱交換器に対して、積層造形法により製造可能で更なる熱交換効率の改善が可能な構造の改良を検討した。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、積層造形法により製造可能で更なる熱交換効率の改善が可能な熱交換器を提供することである。
上記目的を達成するために、本願発明者らが鋭意検討した結果、螺旋状の隔壁が、1回転する間の軸方向の距離(以下、ピッチという)を小さくするほど、流路の経路長が大きくなり、流路の伝熱面積(すなわち、隔壁の表面積)が大きくなるので、熱交換効率を向上できることを見出した。一方、螺旋状の隔壁のピッチを小さくするほど、積層造形法により造形する際の水平面に対する隔壁の傾斜角度が、下限値(概ね45度)に近付いてしまう。そこで、本願発明者は、設定したピッチに対する隔壁の傾斜角度を大きくすることが可能な以下の構造を想到するに至った。すなわち、この発明による熱交換器は、全体として所定方向に延びるように形成された複数の流路と、複数の流路の間を仕切る隔壁とを含むコア部を備え、複数の流路は、第1流体を流通させる第1流路と、第1流体と隔壁を介して熱交換する第2流体を流通させる第2流路とを含み、隔壁は、所定方向に延びる回転中心軸を中心に、所定方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有し、かつ、所定方向と直交する断面において、回転中心軸から渦巻状に延びるように形成された仕切壁部を有する。
なお、「複数の流路が全体として所定方向に延びる」とは、複数の流路が、いずれも、流路の入口から所定方向に配置された出口へ向けて延びているが、入口から出口へ向かう過程では、所定方向とは異なる方向に曲がることを許容することを意味する。「螺旋状」とは、回転中心軸周りに回転しながら回転中心軸が延びる所定方向へ移動する形状を意味する。「渦巻状」とは、回転中心軸周りの回転角度の増大に伴って回転中心軸からの距離が増大する形状を意味する。「~状」とは、厳密な幾何学的な定義からは異なっていても許容する広い概念であることを示す。
この発明による熱交換器では、上記のように、隔壁は、所定方向に延びる回転中心軸を中心に、所定方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有し、かつ、所定方向と直交する断面において、回転中心軸から渦巻状に延びるように形成された仕切壁部を有する。このように、所定方向と直交する断面において渦巻状の形状を有する仕切壁部が、所定方向に沿って螺旋状に形成される場合、この仕切壁部は、円錐状に傾斜した面が螺旋状に回転する3次元形状となる。仕切壁部が円錐状に傾斜しているため、所定方向と直交する断面で十字状の隔壁を同一のピッチの螺旋状に形成した場合(この場合、十字の隔壁がねじれた形状になる)と比べて、仕切壁部の傾斜角度(製造時の水平面とのなす角度)を大きくすることができる。このことは、仕切壁部の傾斜角度を製造限界となる下限角度(たとえば45度)となるまでピッチを短縮した場合のピッチの大きさ(製造可能な最小ピッチ)を、十字状の隔壁を螺旋状に形成する場合と比べてより小さくでき、伝熱面積を大きくすることが可能であることを示す。したがって、本発明により、積層造形法により製造可能で更なる熱交換効率の改善が可能な熱交換器を提供することができる。
上記発明による熱交換器において、好ましくは、仕切壁部は、所定方向と直交する断面において、1/2周期以上の渦巻状部分を有する。なお、渦巻状部分とは、所定方向と直交する断面において、仕切壁部のうちの渦巻形状を有する部分のことである。渦巻状部分の周期とは、渦巻状部分のある点における接線方向から、次に同じ接線方向に戻る点までの渦巻状部分の範囲のことである。そのため、1/2周期以上の渦巻状部分を有するとは、渦巻状部分の始点における接線方向を始点接線方向とし、終点における接線方向を終点接線方向としたとき、終点接線方向が始点接線方向から180度以上変化することを意味する。渦巻状部分の始点とは、渦巻状部分のうち、回転中心軸との接続点または回転中心軸からの距離が最小となる点である。渦巻状部分の終点とは、渦巻状部分のうち、回転中心軸からの距離が最大となる点である。ここで、一定面積内で、仕切壁部に含まれる渦巻状部分の周期が大きい程、仕切壁部の曲率が大きくなり、所定方向に沿った断面での仕切壁部の傾斜角度(製造時の水平面とのなす角度)を大きくすることができる。そのため、仕切壁部が1/2周期以上の渦巻状部分を有することによって、仕切壁部の傾斜角度に依存した製造可能な最小ピッチを、効果的に小さくすることができる。
この場合、好ましくは、仕切壁部は、所定方向と直交する断面において、3/4周期以上の渦巻状部分を有する。このように構成すれば、所定方向と直交する断面における仕切壁部の曲率がさらに大きくなり、所定方向に沿った断面での仕切壁部の傾斜角度(製造時の水平面とのなす角度)をより一層大きくすることができる。
上記発明による熱交換器において、好ましくは、仕切壁部は、所定方向に沿った縦断面において、所定方向と直交する横断面に対する傾斜角度が45度以上となる螺旋形状を有する。このように構成すれば、積層造形法により製造可能な傾斜角度の下限値(概ね45度)を下回らない範囲で、仕切壁部のピッチを短縮することができる。
上記発明による熱交換器において、好ましくは、隔壁は、回転中心軸周りに並ぶ第1流路と第2流路とを含む単位構造を形成するように、同一の回転中心軸から延びる複数の仕切壁部を含み、コア部は、所定方向と直交する方向に、複数の単位構造の配列を含む。このように構成すれば、複数の仕切壁部を介して第1流路と第2流路とが隣接する単位構造が、平面的に配列される。その結果、各流路のピッチを小さくして熱交換効率の改善が可能な流路構造を、容易に集積化することができる。
上記発明による熱交換器において、好ましくは、単位構造は、回転中心軸を中心とする回転方向に間隔を隔てて形成された複数の仕切壁部により区画され、複数の仕切壁部の間の領域により、複数の第1流路と複数の第2流路とが、回転中心軸周りに交互に並んで形成されている。このように構成すれば、1つの単位構造内で、複数の第1流路と複数の第2流路とが交互に回転方向に隣接した配列を構築できる。このとき、各仕切壁部の一方表面および他方表面が、それぞれ第1流路および第2流路における1次伝熱面となる。そのため、上記した仕切壁部のピッチを短縮する構造によって、1次伝熱面の面積を効果的に増大させることが可能で、それにより熱交換効率を効果的に改善できる。
この場合において、好ましくは、隔壁は、同一の回転中心軸から延びる複数の仕切壁部の周囲を取り囲むことにより、個々の単位構造を区画する周壁部を含み、一の単位構造の第1流路と他の単位構造の第2流路とが、周壁部を介して隣接している。このように構成すれば、仕切壁部によって、同じ単位構造内の第1流路と第2流路との間での熱交換が可能であることに加えて、周壁部によって、隣り合う2つの単位構造の一方の第1流路と他方の第2流路との間での熱交換が可能となる。
コア部が複数の単位構造の配列を含む構成において、好ましくは、コア部は、複数の単位構造の配列と、複数の単位構造の配列を取り囲みコア部の外周面を構成するコア外周壁と、を含み、複数の単位構造の各々の仕切壁部は、所定方向と直交する断面において隣接する他の単位構造の仕切壁部と接続するように形成され、仕切壁部の接続により、隣接する単位構造のそれぞれの流路が合流した合流部が形成されている。つまり、隣り合う単位構造同士を仕切る壁(周壁部)が存在しないため、隣り合う単位構造のそれぞれの仕切壁部が接続して形成された領域に、複数の単位構造に跨がる流路部分(合流部)が形成される。たとえば、いずれかの単位構造の第1流路と、他の単位構造の第1流路とが合流することで、それぞれの第1流路を流れる第1流体を混合させることができる。その結果、上記のように構成すれば、単位構造に含まれる流路毎の温度分布に差がある場合でも、流路中を流れる流体(第1流体同士、または第2流体同士)が混合されることにより、温度差を効果的に抑制することができる。
この場合、好ましくは、複数の単位構造の各々の仕切壁部は、所定方向に沿った螺旋形状により、所定方向の一端から他端までの間で、異なる2以上の単位構造の仕切壁部と交替で接続するように形成され、接続する仕切壁部の交替により、いずれかの単位構造の流路が、異なる2以上の単位構造の流路と合流および分離する。このように構成すれば、いずれかの単位構造に含まれる流路が、より多くの流路と合流部を形成できる。そのため、たとえば1つの単位構造の流路が他の単位構造の特定の1つの流路とだけ合流する場合と比べて、異なる2以上の流路と合流および分離することにより、より一層効果的に、流路毎の温度分布の差を抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、積層造形法により製造可能で更なる熱交換効率の改善が可能な熱交換器を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、図1~図10を参照して、第1実施形態による熱交換器100について説明する。
まず、図1~図10を参照して、第1実施形態による熱交換器100について説明する。
(熱交換器の全体構成)
図1に示すように、熱交換器100は、コア部1と、ヘッダ部2a、2bと、を備える。
図1に示すように、熱交換器100は、コア部1と、ヘッダ部2a、2bと、を備える。
コア部1は、両端が開放された矩形断面の筒状形状を有し、一端と他端との間で流体を流通させるように構成されている。コア部1は、少なくとも第1流体3と第2流体4とを別々の流路に流通させ、コア部1内を流通する過程で第1流体3と第2流体4との間で熱交換を行うように構成されている。
ヘッダ部2a、2bは、コア部1の両端にそれぞれ接続されている。ヘッダ部2a、2bは、コア部1への流体の導入、またはコア部1からの流体の導出を行うことが可能に構成されている。
ヘッダ部2a、2bには、それぞれ、流体の導入または導出を行うための開口が2つずつ設けられている。図1の例では、一方のヘッダ部2aは、第1流体3の導入口41と、第2流体4の導出口42とを備える。他方のヘッダ部2bは、第1流体3の導出口43と、第2流体4の導入口44とを備える。
図2に示すように、それぞれのヘッダ部2a、2bは、上記の導入口および導出口が形成されたドーム状のカバー部40を有する。カバー部40は、コア部1の一端面または他端面を覆うように設けられている。ヘッダ部2a、2bは、コア部1の第1流路11(図3参照)を第1流体3の導入口41または導出口43と連通させ、コア部1の第2流路12(図3参照)を第2流体4の導入口44または導出口42と連通させる分配部50を備えている。分配部50は、カバー部40の内部に配置され、第1流体3と第2流体4とを、それぞれ別々に仕切られた経路を介して、流通させる。
一方のヘッダ部2aは、導入口41から流入した第1流体3を、分配部50を介してコア部1の第1流路11に供給し、他方のヘッダ部2bは、コア部1の第1流路11から流出した第1流体3を、分配部50を介して導出口43へ送り出す。
また、他方のヘッダ部2bは、導入口44から流入した第2流体4を、分配部50を介してコア部1の第2流路12に供給し、一方のヘッダ部2aは、コア部1の第2流路12から流出した第2流体4を、分配部50を介して導出口42へ送り出す。
このように、第1実施形態の熱交換器100は、第1流体3をコア部1の一端から他端に向けて流通させ、第2流体4をコア部1の他端から一端に向けて流通させて熱交換を行う、対向流型の熱交換器として構成されている。
対向流型とは、熱交換を行う流体同士が互いに反対方向に向けて流通する方式のことである。対向流型の熱交換器100では、第1流体3の入口側と第2流体4の出口側とで熱交換を行い、第1流体3の出口側と第2流体4の入口側とで熱交換を行う関係になるため、第1流体3の出口温度を第2流体4の入口温度に近づけ、第2流体4の出口温度を第1流体3の入口温度に近づけることができる。このため、各流体の入口温度と出口温度との温度差を大きくとることができ、高い熱交換効率を得ることができる。
(コア部の構造)
次に、図3~図8を参照して、コア部1の具体的な構造について説明する。コア部1は、複数の流路10と、複数の流路10の間を仕切る隔壁20とを含む。
次に、図3~図8を参照して、コア部1の具体的な構造について説明する。コア部1は、複数の流路10と、複数の流路10の間を仕切る隔壁20とを含む。
複数の流路10は、第1流体3を流通させる第1流路11と、第1流体3と隔壁20を介して熱交換する第2流体4を流通させる第2流路12とを含む。
図3に示すコア部1は、直方体形状を有し、コア部1の一端と他端との間に渡って設けられた流路10を複数含む。流路10は、コア部1の一端から他端までをZ方向に貫通するように設けられ、流体の入口または出口となる開口を両端に有する。第1実施形態では、流路10は、1つの入口と1つの出口とを有した貫通孔である。つまり、流路10は、途中で分岐または合流することがない。個々の流路10は、隔壁20を介して区画されている。つまり、各第1流路11と各第2流路12とは、隔壁20によって区画されていて、互いに非連通となっている。
複数の流路10は、全体として所定方向に延びるように形成されている。図3において、所定方向は、コア部1の一端と他端とを結ぶ方向である。以下、所定方向をZ方向とし、Z方向と直交する面内で、互いに直交する2方向を、それぞれX方向、Y方向とする。図3では、X方向およびY方向を直方体形状のコア部1の各辺に沿うようにとる。したがって、以下の説明において、所定方向と直交する断面CS(図5参照)は、Z方向と直交するXY断面である。
コア部1は、複数の単位構造30の配列と、複数の単位構造30の配列を取り囲みコア部1の外周面を構成するコア外周壁35と、を含む。コア外周壁35は、コア部1のうちX方向に対向する2つの側面およびY方向に対向する2つの側面、を構成する最外周部であり、矩形筒状形状を有する。コア部1は、Z方向と直交するXY方向に、複数の単位構造30の配列を含んでいる。コア部1に含まれる単位構造30の数は、特に限定されない。図3の例では、コア部1のコア外周壁35の内側に、X方向およびY方向にそれぞれ3個の単位構造30が並び、合計9個の単位構造30の配列が設けられている。複数の単位構造30は、XY方向に格子状に配列されている。これらの単位構造30は、コア外周壁35の内側に設けられた隔壁20によって形成されている。つまり、複数の単位構造30は、コア部1に一体形成されている。
複数の単位構造30の各々は、コア部1の一端から他端までに亘ってZ方向に直線状に延びている。各々の単位構造30は、1つ以上の第1流路11と、1つ以上の第2流路12とを含んで構成されている。
〈単位構造〉
図4に示すように、単位構造30は、Z方向と直交するXY断面(Z方向の端面を含む)において矩形形状を有する。
図4に示すように、単位構造30は、Z方向と直交するXY断面(Z方向の端面を含む)において矩形形状を有する。
第1実施形態では、隔壁20は、複数の流路10を仕切る仕切壁部21を有する。仕切壁部21は、単位構造30に属する第1流路11と第2流路12との間を仕切る。図4の例では、1つの単位構造30に、4つの仕切壁部21が設けられている。
〈仕切壁部のXY断面形状〉
仕切壁部21は、Z方向と直交する断面CS(XY断面)において、回転中心軸22から渦巻状に延びるように形成されている。すなわち、仕切壁部21は、回転中心軸22を中心として、回転中心軸22周りの回転角度の増大に伴って回転中心軸22からの距離が増大する形状を有する。
仕切壁部21は、Z方向と直交する断面CS(XY断面)において、回転中心軸22から渦巻状に延びるように形成されている。すなわち、仕切壁部21は、回転中心軸22を中心として、回転中心軸22周りの回転角度の増大に伴って回転中心軸22からの距離が増大する形状を有する。
仕切壁部21が渦巻状に延びるとは、幾何学的には、XY断面において、回転中心軸22の中心を点Oとし、点O周りの回転角度をθとし、点Oから仕切壁部21上の点までの距離をrとしたとき、仕切壁部21は、距離rが角度θの滑らかな単調増加関数となることである。なお、図4では、仕切壁部21の中心線と回転中心軸22とが接続する方向を回転角度θ=0と定義している。実際には、回転方向に隣り合う仕切壁部21同士の間隔を確保したり、仕切壁部21と単位構造30の外周部分との隙間を確保したりする都合上、仕切壁部21の形状は、厳密に幾何学的な渦巻の定義に合致していなくてもよい。仕切壁部21は、渦巻状でない部分を局所的に含んでいてもよい。仕切壁部21は、たとえば渦巻状に沿うように短い直線を繋いだ形状(渦巻の軌跡を直線で近似した形状)であってもよい。
渦巻形状には、対数螺旋、アルキメデスの螺旋、双曲螺旋などの様々な種類があるが、仕切壁部21は、どのような渦巻形状に形成されていてもよい。たとえば対数螺旋は、r=aebθ(a、bは形状を規定する定数、eはネイピア数)で表現される渦巻形状であり、アルキメデスの螺旋はr=a+bθで表現される渦巻形状であり、双曲螺旋はr=a/θで表現される渦巻形状である。仕切壁部21は、このような渦巻形状を表す関数で表現された軌跡に合致する渦巻状部分を含んでいる。
たとえば、仕切壁部21は、Z方向と直交するXY断面において、1/2周期以上の渦巻状部分を有する。好ましくは、仕切壁部21は、XY断面において、3/4周期以上の渦巻状部分を有する。図4の例では、仕切壁部21の全体が渦巻状部分になっていて、対数螺旋で表現される3/4周期以上の渦巻状に形成されている例を示す。なお、仕切壁部21の経路長は、仕切壁部21の端部が単位構造30の角部に接続するときに最も大きくなる。仕切壁部21に含まれる渦巻状部分の周期を厳密に求める場合は、仕切壁部21の端部が単位構造30の角部に接続するときの仕切壁部21の形状に基づいて判断するものとする。
回転中心軸22は、単位構造30の内部に設けられ、単位構造30の一端から他端までZ方向に延びる。1つの単位構造30に、1つの回転中心軸22が設けられている。回転中心軸22は、XY断面において、単位構造30の中心に配置されている。回転中心軸22のXY位置は、単位構造30の中心からずれていてもよい。
このように、隔壁20は、回転中心軸22周りに並ぶ第1流路11と第2流路12とを含む単位構造30を形成するように、同一の回転中心軸22から延びる複数(4つ)の仕切壁部21を含んでいる。これらの4つの仕切壁部21は、いずれも、同じ対数螺旋で表現される渦巻状部分を含んだ渦巻状の形状を有している。4つの仕切壁部21は、回転中心軸22周りの回転方向に等間隔(等角度間隔)で設けられている。
そして、1つの単位構造30は、回転中心軸22を中心とする回転方向に間隔を隔てて形成された複数の仕切壁部21により区画されている。複数の仕切壁部21の間の領域により、複数の第1流路11と複数の第2流路12とが、回転中心軸22周りに交互に並んで形成されている。図4では、4つの仕切壁部21の間の空間によって、1つの単位構造30に、2つの第1流路11と2つの第2流路12とが回転方向に交互に設けられている。これにより、回転方向に隣接する第1流路11と第2流路12とをそれぞれ流れる第1流体3と第2流体4との間で、仕切壁部21を介して熱交換が行われる。仕切壁部21の各表面は、第1流路11および第2流路12のそれぞれの1次伝熱面を構成する。
〈仕切壁部のZ方向形状〉
図5に示すように、仕切壁部21は、所定方向に延びる回転中心軸22を中心に、Z方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有している。すなわち、仕切壁部21は、図4に示したXY断面形状(渦巻形状)のままZ方向に延びているのではなく、Z方向の位置に応じて回転中心軸22周りに回転するようにねじれている。
図5に示すように、仕切壁部21は、所定方向に延びる回転中心軸22を中心に、Z方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有している。すなわち、仕切壁部21は、図4に示したXY断面形状(渦巻形状)のままZ方向に延びているのではなく、Z方向の位置に応じて回転中心軸22周りに回転するようにねじれている。
図5では、単位構造30のZ方向に沿った複数の位置における、各断面CS0~CS4を示している。なお、断面CS0は、単位構造30のZ方向の端面である。単位構造30に含まれる4つの仕切壁部21を、仕切壁部21a~21dとして区別し、これらのうち1つの仕切壁部21aについて着目する。
断面CS0では、仕切壁部21aは、回転中心軸22から渦巻状に延びて、単位構造30の外周部の辺31aに接続している。この断面CS0を基準とし、仕切壁部21の回転角度を0度とする。断面CS0からZ方向に所定距離ずれた位置の断面CS1では、仕切壁部21aは、断面CS0における位置から、回転中心軸22を中心とした反時計方向に約90度回転している。断面CS1では、仕切壁部21aは、回転中心軸22から渦巻状に延びて、単位構造30の外周部の辺31bに接続している。
同様に、断面CS1からZ方向に所定距離ずれた位置の断面CS2では、仕切壁部21aは、断面CS1における位置から、回転中心軸22を中心とした反時計方向に約90度回転している。断面CS2では、仕切壁部21aは、回転中心軸22から渦巻状に延びて、単位構造30の外周部の辺31cに接続している。断面CS2からZ方向に所定距離ずれた位置の断面CS3では、仕切壁部21aは、断面CS2における位置から、回転中心軸22を中心とした反時計方向に約90度回転している。断面CS3では、仕切壁部21aは、回転中心軸22から渦巻状に延びて、単位構造30の外周部の辺31dに接続している。
断面CS3からZ方向に所定距離ずれた位置の断面CS4では、仕切壁部21aは、断面CS3における位置から、回転中心軸22を中心とした反時計方向に約90度回転している。断面CS3の仕切壁部21aは、回転中心軸22から渦巻状に延びて、単位構造30の外周部の辺31aに接続している。この断面CS4における仕切壁部21aの位置は、断面CS0における仕切壁部21aの位置と一致する。
このように、仕切壁部21aは、Z方向の位置に応じて回転中心軸22周りに回転し、螺旋状にねじれている。図5では、90度毎に回転した断面しか図示していないが、仕切壁部21aは、各断面CS0~CS4の間でも、Z方向位置に応じて連続的かつ滑らかに回転する。他の仕切壁部21b~21dも仕切壁部21aと同様である。そのため、複数の仕切壁部21は、渦巻形状を維持したままZ方向位置に応じて回転し、断面CS0から断面CS4までの距離をピッチP(図6参照)として、周期的に同一の位置に戻る螺旋形状を有している。
このため、図6のように、単位構造30の回転中心軸22を通るZ方向に沿った縦断面TSを見ると、渦巻状の仕切壁部21が、それぞれ回転中心軸22から斜め上方に傾斜して延びており、隣り合う2つの仕切壁部21の間の傾斜した隙間部分が、流路10(第1流路11または第2流路12)となっている。縦断面TSにおいては、各流路10は、Z方向に沿って、1つめの第1流路11-1、1つ目の第2流路12-1、2つめの第1流路11-2、2つ目の第2流路12-2、という順番で並んでいる。いずれかの位置にある流路10は、Z方向にピッチPだけ離れた位置で、回転中心軸22周りに1回転して再び断面TSに現れる。
図7に示すように、Z方向と直交するXY方向の断面CSにおいて渦巻状の形状を有する仕切壁部21が、Z方向に沿って螺旋状に形成される場合、この仕切壁部21は、円錐状に傾斜した面IS(仕切壁部21の表面)が螺旋状に回転する3次元形状となる。この面ISは、回転中心軸22を通る縦断面TS(図6参照)では、V字状の断面として現れる。仕切壁部21は、図6に示すZ方向に沿った縦断面TSにおいて、Z方向と直交する横断面CSに対する傾斜角度αが45度以上となる螺旋形状を有する。
以上のようにして、仕切壁部21は、所定方向(Z方向)に延びる回転中心軸22を中心に、Z方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状(図5参照)を有し、かつ、Z方向と直交する断面(断面CS)において、回転中心軸22から渦巻状に延びるように形成されている。したがって、流路10(第1流路11、第2流路12)は、流路10の一端から他端までの間のZ方向における位置に応じて、断面CSにおける位置が変化した後で元の位置に戻るように、断面CSにおける位置が周期的に変化するように形成されている。いずれかの断面CSにおける流路10(または仕切壁部21)の位置が、回転方向に1周して、別の断面CSで同じ位置まで戻るとき、この2つの断面CS間の距離がピッチP(図6参照)である。
なお、単位構造30の他端面は図示していないが、単位構造30の他端面でも、仕切壁部21はいずれかの断面CSの形状で現れる。たとえば、単位構造30の一端面と他端面とで、仕切壁部21は同一位置および同一形状(たとえば断面CS0の位置および形状)となっている。そのため、単位構造30に含まれる流路10の開口形状は、単位構造30の一端面と他端面とで同一である。コア部1の端面では、それぞれの流路10は、各仕切壁部21の形状を反映して、回転中心軸22を中心とした渦巻状の開口形状を有する。
〈周壁部〉
また、図4に示すように、第1実施形態では、隔壁20は、同一の回転中心軸22から延びる複数の仕切壁部21の周囲を取り囲むことにより、個々の単位構造30を区画する周壁部23を含んでいる。すなわち、1つの単位構造30は、同一の回転中心軸22から延びる4つの仕切壁部21と、これらの4つの仕切壁部21を取り囲む矩形状の周壁部23と、を含む。上記した単位構造の辺31a~31dは、この周壁部23の各辺である。
また、図4に示すように、第1実施形態では、隔壁20は、同一の回転中心軸22から延びる複数の仕切壁部21の周囲を取り囲むことにより、個々の単位構造30を区画する周壁部23を含んでいる。すなわち、1つの単位構造30は、同一の回転中心軸22から延びる4つの仕切壁部21と、これらの4つの仕切壁部21を取り囲む矩形状の周壁部23と、を含む。上記した単位構造の辺31a~31dは、この周壁部23の各辺である。
単位構造30に含まれる各流路10(第1流路11、第2流路12)は、回転中心軸22周りの回転方向に隣り合う2つの仕切壁部21と、周壁部23と、によって区画された管状空間である。なお、Z方向位置が異なるいずれの断面CSにおいても、周壁部23の位置および形状は変化しておらず、単位構造30の外形形状は一定(矩形形状)である。それぞれの単位構造30の内部で、仕切壁部21がZ方向沿って螺旋状に回転することによって、単位構造30内の各流路10の位置が螺旋状に変化している。
このように、各々の単位構造30の外周部は、周壁部23によって区画されている。そのため、図8に示すように、XY方向に配列された各々の単位構造30において、一の単位構造30の第1流路11と他の単位構造30の第2流路12とは、周壁部23を介して隣接している。ただし、単位構造30毎に、周壁部23が別個に設けられている訳ではない。隣接する2つの単位構造30は、周壁部23の一部を共有している。また、3×3の格子状に配列された単位構造30のうち、最外周に位置する単位構造30の周壁部23は、コア部1のコア外周壁35(図3参照)の一部を構成している。
〈単位構造の配列〉
図8は、9個の単位構造30の各々における第1流路11と第2流路12との、各断面CS0~CS3での位置関係を示す。上記の通り、断面CS4(図5参照)では断面CS0と同じ断面形状に戻るため、図8では、各断面形状がCS0~CS3の間で循環する態様で図示している。
図8は、9個の単位構造30の各々における第1流路11と第2流路12との、各断面CS0~CS3での位置関係を示す。上記の通り、断面CS4(図5参照)では断面CS0と同じ断面形状に戻るため、図8では、各断面形状がCS0~CS3の間で循環する態様で図示している。
ここで、9個の単位構造30は、基本的な構造は同一であるが、各断面CSにおける渦巻の方向およびZ方向位置に応じた螺旋の回転方向が異なる、2種類に分類される。
すなわち、コア部1の四隅および中央に位置する5個の単位構造30Aは、図8において渦巻の方向が反時計方向に向いた仕切壁部21を有し、Z方向位置に応じて仕切壁部21が反時計方向に回転する螺旋形状を有する。一方、他の4個の単位構造30Bは、図8において渦巻の方向が時計方向に向いた仕切壁部21を有し、Z方向位置に応じて仕切壁部21が時計方向に回転する螺旋形状を有する。回転方向の異なる単位構造30Aと単位構造30Bとは、市松模様状に、X方向およびY方向において交互に配置(図3参照)されている。
そして、互いに隣接する単位構造30Aと単位構造30Bとの間で、第1流路11と第2流路12とが周壁部23を介して隣接している。つまり、いずれかの単位構造30Aの第1流路11は、隣の単位構造30Bの第2流路12と、周壁部23を介して隣接し、熱交換が可能である。いずれかの単位構造30Aの第2流路12は、隣の単位構造30Bの第1流路11と、周壁部23を介して隣接し、熱交換が可能である。
5個の単位構造30Aは、図5と同様に、断面CS0から断面CS1、断面CS1から断面CS2、断面CS2から断面CS3、断面CS3から断面CS0に至る各過程で、4つの仕切壁部21が反時計方向に90度ずつ回転して、元の位置に戻る。
他の4個の単位構造30Bは、断面CS0から断面CS1、断面CS1から断面CS2、断面CS2から断面CS3、断面CS3から断面CS0に至る各過程で、4つの仕切壁部21が時計方向に90度ずつ回転して、元の位置に戻る。
これにより、たとえば中央の単位構造30Aにおける1つの第1流路11が、断面CS0ではY1方向およびX2方向に隣り合うそれぞれの第2流路12と隣接して熱交換可能であり、断面CS1ではY1方向およびX1方向に隣り合うそれぞれの第2流路12と隣接して熱交換可能であり、断面CS2ではY2方向およびX1方向に隣り合うそれぞれの第2流路12と隣接して熱交換可能であり、断面CS3ではY2方向およびX2方向に隣り合うそれぞれの第2流路12と隣接して熱交換可能である。
このように、いずれかの単位構造30の第1流路11が、隣接する他の複数の単位構造30のそれぞれの第2流路12と、Z方向位置に応じて交替で隣接することになる。そのため、1つの第1流路11を流れる第1流体3が同一の第2流路12を流れる第2流体4とのみ隣接する場合と比べて、コア部1内の個々の流路10における流体の温度ばらつきが小さくなる。
以上のような構成により、コア部1では、複数の単位構造30の各々で、一端から他端(または他端から一端)にかけて、第1流体3および第2流体4が螺旋状にうねりながら流通する。
(分配部)
次に、ヘッダ部2a、2bの分配部50の構成を説明する。図2に示すように、分配部50は、コア部1の一端または他端に設けられ、コア部1の各流路10と連通するように構成されている。
次に、ヘッダ部2a、2bの分配部50の構成を説明する。図2に示すように、分配部50は、コア部1の一端または他端に設けられ、コア部1の各流路10と連通するように構成されている。
分配部50は、一方のヘッダ部2aと他方のヘッダ部2bとにそれぞれ設けられているが、ヘッダ部2aの分配部50とヘッダ部2bの分配部50とは、同一構造を有する。そのため、以下では、ヘッダ部2aの分配部50を例にとって説明する。
図9に示すように、分配部50は、変換部51と、分岐部61と、の2つの構造を含む。変換部51は、コア部1の端面上に設けられ、コア部1の各流路10と連通する複数の流体通路54a、54bを含む。変換部51は、各流路の開口形状を単純形状に変換する機能を有する。分岐部61は、変換部51の端面(コア部1とは反対側の端面)に設けられ、変換部51の各流体通路54a、54bと連通する複数の流体通路65a、65bを含む。分岐部61は、第1流体3を流通させる流体通路65aと、第2流体4を流通させる流体通路65bとを別々の方向に分岐させる機能を有する。
〈変換部〉
変換部51は、コア部1の端面に接続される第1面52と、第1面52とは反対側で分配部50に接続される第2面53とを含む。変換部51は、コア部1の第1流路11とそれぞれ接続する複数の流体通路54aと、コア部1の第2流路12とそれぞれ接続する複数の流体通路54bとを含む。
変換部51は、コア部1の端面に接続される第1面52と、第1面52とは反対側で分配部50に接続される第2面53とを含む。変換部51は、コア部1の第1流路11とそれぞれ接続する複数の流体通路54aと、コア部1の第2流路12とそれぞれ接続する複数の流体通路54bとを含む。
複数の流体通路54aと複数の流体通路54bとは、いずれも、変換部51をZ方向に貫通するように設けられ、第1面52および第2面53にそれぞれ開口している。変換部51では、コア部1の9つの単位構造30に対応した9つの単位構造55が、格子状に設けられている。個々の単位構造55は、2個の流体通路54aと2個の流体通路54bとを含んでいる。
図10に示すように、第1面52では、複数の流体通路54aと複数の流体通路54bとは、それぞれ、コア部1の端面におけるそれぞれの第1流路11および第2流路12と同一位置および同一の開口形状となるように設けられている。したがって、第1面52では、複数の流体通路54aと複数の流体通路54bとは、単位構造55毎に、回転中心軸を中心とする渦巻状に形成された複数の壁56によって区画された渦巻状の開口部を有する。
一方、図9に示すように、第2面53では、複数の流体通路54aと複数の流体通路54bとは、それぞれ矩形状の開口形状を有し、流体通路54aと流体通路54bとが、市松模様状に並ぶように、X方向およびY方向に交互に配列されている。各単位構造55は、第2面53において、XY方向における2×2の4つの矩形状の開口部(2つの流体通路54aの開口部と2つの流体通路54bの開口部)を有する。つまり、第1面52では渦巻状に形成された4つの壁56が、第1面52と第2面53との間のZ方向位置に応じてXY断面における位置および形状を変化させ、第2面53では単位構造55内を格子状に区画するように十字に延びる4つの直線状の壁56になっている。
コア部1の個々の単位構造30に含まれる2つの第1流路11は、変換部51の第1面52において、対応する単位構造55の2つの流体通路54aとそれぞれ連通する。この2つの流体通路54aは、変換部51の第2面53では、単位構造55の対角方向に位置する2つの矩形状の開口部に繋がる。同様に、コア部1の個々の単位構造30に含まれる2つの第2流路12は、変換部51の第1面52において、対応する単位構造55の2つの流体通路54bとそれぞれ連通する。この2つの流体通路54bは、変換部51の第2面53では、単位構造55の他の対角方向に位置する2つの矩形状の開口部に繋がる。
〈分岐部〉
分岐部61は、変換部51上に設けられる第1のバッフル部62と、変換部51とは反対側に設けられた第2のバッフル部63と、2つのバッフル部62および63を接続するようにZ方向に延びる複数の管状部64とを含む。分岐部61は、変換部51の複数の流体通路54aとそれぞれ連通する複数の流体通路65aと、変換部51の複数の流体通路54bとそれぞれ連通する複数の流体通路65bと、を有する。
分岐部61は、変換部51上に設けられる第1のバッフル部62と、変換部51とは反対側に設けられた第2のバッフル部63と、2つのバッフル部62および63を接続するようにZ方向に延びる複数の管状部64とを含む。分岐部61は、変換部51の複数の流体通路54aとそれぞれ連通する複数の流体通路65aと、変換部51の複数の流体通路54bとそれぞれ連通する複数の流体通路65bと、を有する。
図10に示すように、バッフル部62には、流体通路65aと流体通路65bとが、変換部51の第2面53における複数の流体通路54aと複数の流体通路54bとの配列と対応した配列で、開口している。すなわち、バッフル部62では、流体通路65aと流体通路65bとが、市松模様状に並ぶように、X方向およびY方向に交互に配列されている。各流体通路65aおよび各流体通路65bの開口形状は、円形状であり、それぞれの開口部は、変換部51の第2面53における矩形状の開口部に内包される大きさとなっている。
第1流体3を流通させるそれぞれの流体通路65aは、バッフル部62を貫通して、バッフル部62とバッフル部63との間を通過するように形成されている。バッフル部62とバッフル部63との間の空間は、XY方向に開放されている。そのため、流体通路65aは、図2に示したヘッダ部2aのカバー部40によってXY方向の周囲を区画され、かつ、カバー部40の側面の一部に開口した導入口41と連通している。流体通路54aは、バッフル部62、バッフル部63およびカバー部40によって囲まれた空間であって、かつ、それぞれの複数の管状部64の間(外側)の空間部分によって構成され、第1流体3の導入口41に接続している。
一方、第2流体4を流通させるそれぞれの流体通路65bは、図9に示すように、バッフル部62を貫通して、対応する管状部64の内部を通って、バッフル部63に開口するように形成されている。バッフル部63には、流体通路65bの端部が開口している一方、流体通路65aは開口していない。バッフル部63の開口は、図2に示したヘッダ部2aの合流部45を介して、第2流体4の導出口42に連通している。なお、合流部45は、カバー部40の内部であって、バッフル部63と導出口42との間の領域である。
このため、図2、図9および図10において、導入口41から流入した第1流体3は、流体通路65a(バッフル部62とバッフル部63との間の空間)を通過して、バッフル部62に設けられたそれぞれの流体通路65aの開口に分配され、各流体通路65aの開口から、変換部51の対応する流体通路54aに流入する。変換部51の各流体通路54aを通過した第1流体3が、コア部1の各第1流路11へ流入する。
一方、コア部1の各第2流路12から流出した第2流体4は、変換部51の対応する流体通路54bに流入する。変換部51の各流体通路54bを通過した第2流体4が、バッフル部62に設けられたそれぞれの流体通路65bの開口に流入する。第2流体4は、流入した流体通路65bの管状部64を通過して、バッフル部63の各開口からヘッダ部2a内の合流部45に流出することで、合流する。合流した第2流体4は、合流部45から、第2流体4の導出口42を通過して、熱交換器100の外部へ導出される。
なお、ヘッダ部2b(図2参照)側の分配部50でも、変換部51の流体通路54aおよび分岐部61の流体通路65aが第1流路11と連通し、変換部51の流体通路54bおよび分岐部61の流体通路65bが第2流路12と連通している。このため、コア部1のそれぞれの第1流路11を通過した第1流体3は、図2に示したように、変換部51の流体通路54aおよび分岐部61の流体通路65aを通過して、第1流体3の導出口43から導出される。導入口44から合流部45に流入した第2流体4は、分岐部61の流体通路65bおよび変換部51の流体通路54bを通過して、コア部1の端面に開口したそれぞれの第2流路12に流入する。
第1実施形態の熱交換器100は、以上のように構成されている。
熱交換器100のコア部1およびヘッダ部2a、2bの各々は、積層造形法によって形成された立体構造物としてされうる。より具体的には、積層造形法は、粉末積層造形法である。粉末積層造形法は、粉末材料を層状に敷き詰め、造形すべき箇所にレーザや電子ビームなどを照射して溶融、凝固させることによって層状の造形部分を形成する処理を、積層方向(造形方向)に繰り返し、層状の造形部分を積層方向に積み重ねて立体構造を造形する手法である。粉末材料は、鉄系、銅系、チタン系、アルミニウム系などの金属材料であり、重量、機械的強度、伝熱性能など観点から、たとえばアルミニウム(またはアルミニウム合金)などが好ましい。
コア部1およびヘッダ部2a、2bは、それぞれ、積層造形法によって一体的に形成(単一部品として形成)された後、相互に接合されることによって熱交換器100として構成されうる。また、コア部1およびヘッダ部2a、2bを含む熱交換器100の全体が、積層造形法によって一体的に形成されうる。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、隔壁20は、Z方向に延びる回転中心軸22を中心に、Z方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有し、かつ、Z方向と直交するXY断面(断面CS)において、回転中心軸22から渦巻状に延びるように形成された仕切壁部21を有するので、この仕切壁部21は、図7に示すように、円錐状に傾斜した面ISが螺旋状に回転する3次元形状となる。仕切壁部21が円錐状に傾斜しているため、Z方向と直交する断面CSで十字状の隔壁を同一のピッチPの螺旋状に形成した場合(この場合、十字の隔壁がねじれた形状になる)と比べて、仕切壁部21の傾斜角度α(製造時の水平面とのなす角度、図6参照)を大きくすることができる。
この点について、本願発明者が見出した知見とともに詳細に説明する。図11の比較例に示すように、Z方向と直交するXY断面で十字状の隔壁520によって矩形状の4つの流路510が区画される単位構造530で、隔壁520を螺旋状に形成した場合、十字の隔壁520がZ方向位置に応じてねじれた形状になる。この比較例の単位構造530の縦断面では、図12に示すように、隔壁520が単位構造530の一方側面から他方側面にかけて斜めに傾斜した面として現れる。そのため、図12(A)に示す構造よりも、図12(B)に示すようにピッチPを小さくした構造の方が、単位構造530に含まれる流路510の経路長が大きくなり、1次伝熱面である隔壁520の表面積が大きくなるので、熱交換効率を向上できる。つまり、螺旋構造の流路では、Z方向におけるピッチPを小さくするほど、熱交換効率を向上できる。
ところが、積層造形法では、作製したい立体形状をスライスした多数の断層形状を定義し、水平面上で、各断層形状を下側から垂直上方に向けて順次積層することによって、立体形状を作製する。単位構造がZ方向に延びる構造では、典型的には、水平面がXY平面に一致し、垂直方向がZ方向に一致するように、積層造形が行われる。この積層造形では、形成する面の水平面に対する傾斜角度が一定角度よりも小さくなると、重力の作用によって造形不良が発生しやすくなる。積層造形により造形可能な傾斜角度の下限値は、概ね45度となる。図12(B)に示すように、ピッチPを小さくするほど、螺旋状の隔壁520の縦断面における傾斜角度βが小さくなり、水平方向に近付くため、ピッチPの大きさは、隔壁520の傾斜角度βが造形可能な下限値(概ね45度)に一致するまでしか、短縮できない。
図13(A)および(B)は、第1実施形態の単位構造30(図13(A))と、比較例の単位構造530(図13(B))とで、ピッチPの大きさを略同一にした場合の、それぞれの隔壁(仕切壁部)の傾斜角度α、βを比較した図である。同一のピッチPで比較した場合、第1実施形態の仕切壁部21の傾斜角度αが傾斜角度βよりも明らかに大きくなっていることが分かる。図13(A)の場合、仕切壁部21の傾斜角度αが下限値(概ね45度)となるまでには余裕があり、さらにピッチPを小さくすることが可能である。言い換えると、仕切壁部21の傾斜角度αを製造限界となる角度となるまでピッチPを短縮した場合のピッチPの大きさ(製造可能な最小ピッチ)を、十字状の隔壁520を螺旋状に形成する比較例の場合と比べてより小さくでき、伝熱面積を大きくすることが可能である。したがって、第1実施形態では、積層造形法により製造可能で更なる熱交換効率の改善が可能な熱交換器100が得られる。
ここで、仕切壁部21の傾斜角度αは、Z方向と直交する断面CSにおける渦巻状の仕切壁部21の曲率が大きくなるほど、大きくなる。つまり、単位構造30において、渦巻状部分の周期が大きいほど、仕切壁部21の曲率が大きくなるため、傾斜角度αが大きくなる。
そこで、第1実施形態では、上記のように、仕切壁部21は、Z方向と直交する断面CSにおいて、1/2周期以上の渦巻状部分を有するので、Z方向に沿った縦断面TSでの仕切壁部21の傾斜角度α(製造時の水平面とのなす角度)を大きくすることができる。そのため、仕切壁部21が1/2周期以上の渦巻状部分を有することによって、仕切壁部21の傾斜角度に依存した製造可能な最小ピッチを、効果的に小さくすることができる。
さらに、第1実施形態では、上記のように、仕切壁部21は、Z方向と直交する断面CSにおいて、3/4周期以上の渦巻状部分を有するので、Z方向と直交する断面CSにおける仕切壁部21の曲率がさらに大きくなり、Z方向に沿った縦断面TSでの仕切壁部21の傾斜角度α(製造時の水平面とのなす角度)を大きくすることができる。そのため、仕切壁部21の傾斜角度αを製造限界となる角度(たとえば45度)となるまでピッチPを短縮した場合のピッチの大きさを、より一層効果的に小さくすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、仕切壁部21は、Z方向に沿った縦断面TSにおいて、Z方向と直交する横断面(断面CS)に対する傾斜角度αが45度以上となる螺旋形状を有するので、積層造形法により製造可能な傾斜角度αの下限値(概ね45度)を下回らない範囲で、仕切壁部21のピッチを短縮することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、隔壁20は、回転中心軸22周りに並ぶ第1流路11と第2流路12とを含む単位構造30を形成するように、同一の回転中心軸22から延びる複数の仕切壁部21を含み、コア部1は、Z方向と直交するXY方向に、複数の単位構造30の配列を含むので、複数の仕切壁部21によって、互いに熱交換する流体を流通させる第1流路11と第2流路12を含んだ単位構造30が、平面的に配列される。その結果、各流路10のピッチを小さく熱交換効率の改善が可能な流路構造を、容易に集積化することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、単位構造30は、複数の仕切壁部21の間の領域により、複数の第1流路11と複数の第2流路12とが、回転中心軸22周りに交互に並んで形成されているので、1つの単位構造30内で、複数の第1流路11と複数の第2流路12とが交互に回転方向に隣接した配列を構築できる。このとき、各仕切壁部21の一方表面および他方表面が、それぞれ第1流路11および第2流路12における1次伝熱面となる。そのため、上記した仕切壁部21のピッチPを短縮する構造によって、1次伝熱面の面積を効果的に増大させることが可能で、それにより熱交換効率を効果的に改善できる。
また、第1実施形態では、上記のように、隔壁20は、同一の回転中心軸22から延びる複数の仕切壁部21の周囲を取り囲むことにより、個々の単位構造30を区画する周壁部23を含み、一の単位構造30の第1流路11と他の単位構造30の第2流路12とが、周壁部23を介して隣接しているので、仕切壁部21によって、同じ単位構造30内の第1流路11と第2流路12との間での熱交換が可能であることに加えて、周壁部23によって、隣り合う2つの単位構造30の一方の第1流路11と他方の第2流路12との間での熱交換が可能となる。
[第2実施形態]
次に、図14~図17を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、隔壁20が個々の単位構造30を区画する周壁部23を含む例を示した上記第1実施形態とは異なり、個々の単位構造30に周壁部23を設けない例について説明する。第2実施形態では、コア部101以外の構造は上記第1実施形態と同一であるので、コア部101以外の構成については、上記第1実施形態と同じ符号を用いるとともに説明を省略する。
次に、図14~図17を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、隔壁20が個々の単位構造30を区画する周壁部23を含む例を示した上記第1実施形態とは異なり、個々の単位構造30に周壁部23を設けない例について説明する。第2実施形態では、コア部101以外の構造は上記第1実施形態と同一であるので、コア部101以外の構成については、上記第1実施形態と同じ符号を用いるとともに説明を省略する。
図14に示すように、第2実施形態のコア部101は、上記第1実施形態と同様、XY方向に3×3で並ぶ合計9個の単位構造130を含む。一方、第2実施形態のコア部101における各単位構造130には、周壁部23(図4参照)が設けられていない。
すなわち、第2実施形態のコア部101は、複数(9個)の単位構造130の配列と、複数の単位構造130の配列を取り囲みコア部101の外周面を構成するコア外周壁35と、を含む。9個の単位構造130は、配列全体の最外周がコア外周壁35によって取り囲まれている一方で、個々の単位構造130の周囲が囲まれることなく、隣の単位構造130とつながっている。
そのため、第2実施形態では、図15に示すように、複数(9個)の単位構造130の各々の仕切壁部21は、所定方向(Z方向)と直交する断面CSにおいて隣接する他の単位構造130の仕切壁部21と接続するように形成されている。すなわち、別々の単位構造130に属する仕切壁部21の端部同士が接続して、接続部121を構成している。そして、仕切壁部21の接続により、隣接する単位構造130のそれぞれの流路10が合流した合流部JPが形成されている。
合流部JPは、互いに隣接する複数の単位構造130に跨がっている。たとえば合流部JP1は隣接する2つの単位構造130に跨がっている。合流部JP1は、別々の単位構造130に属する2本の流路10が、合流した部分である。1つの合流部JP1は、一方の単位構造130の2つの仕切壁部21と、他方の単位構造130の2つの仕切壁部21と、コア外周壁35と、によって囲まれている。
合流部JP2は、4つの単位構造130に跨がっている。合流部JP2は、4つの単位構造130のそれぞれ2つの仕切壁部21(合計8つの仕切壁部21)が、相互に接続し合うことによって、断面CSにおいて閉じた空間となっている部分である。合流部JP2は、別々の単位構造130に属する4本の流路10が、合流した部分である。
この他、四隅に位置する単位構造130には、他の単位構造130に跨がることなく単位構造130内で閉じた流路10も形成されている。この流路10の形状は、上記第1実施形態で示した流路10の形状と同等である。
なお、第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、9個の単位構造130(図14参照)のうち、単位構造130Aと単位構造130Bとが、市松模様状に、X方向およびY方向において交互に配置されている。5個の単位構造130Aは、図15において渦巻の方向が反時計方向に向いた仕切壁部21を有し、Z方向位置に応じて仕切壁部21が反時計方向に回転する螺旋形状を有する。他の4個の単位構造130Bは、図15において渦巻の方向が時計方向に向いた仕切壁部21を有し、Z方向位置に応じて仕切壁部21が時計方向に回転する螺旋形状を有する。
複数の単位構造130の各々の仕切壁部21は、Z方向に沿った螺旋形状により、Z方向の一端から他端までの間で、異なる2以上の単位構造130の仕切壁部21と交替で接続するように形成されている。そして、接続する仕切壁部21の交替により、いずれかの単位構造130の流路10が、異なる2以上の単位構造30の流路10と合流および分離する。
図16は、Z方向位置に応じた各断面CS10~CS20で仕切壁部21の位置変化を模式的に示している。ここで、ハッチングを付して示した4つの流路10について着目する。
断面CS10では、4つの流路10が合流することで、ハッチングで示した合流部JPが形成されている。断面CS10の合流部JPは、Y方向に延びている。断面CS11、断面CS12を経て、断面CS13では、ハッチングで示した合流部JPがY1方向側の部分SaとY2方向側の部分Sbとに、分離している。部分Saと部分Sbとは、それぞれ2つの流路10からなる。この断面CS13では、Y1方向側の部分Saは、部分SaのY1方向側に隣接する2つの流路10と合流して、4つの単位構造130に跨がった合流部JPを構成する。
断面CS14、断面CS15を経て断面CS16になると、Y1方向側の部分Sa(断面CS13参照)が、X1方向側の部分ScとX2方向が部分Sdとに分離している。同様に、Y2方向側の部分Sb(断面CS13参照)が、X1方向側の部分SeとX2方向が部分Sfとに分離している。これらの部分Sc、部分Sdおよび部分Seは、それぞれ、別々の合流部JPを構成している。部分Sfは単一の流路10となっている。
断面CS17を経て、断面CS18になると、X1方向側の部分Scおよび部分Seの2つ(断面CS16参照)が、Y方向に近付いて合流し、部分Sgとなっている。部分Sgは、X1方向側に隣接する2つの流路10と合流して、4本の流路10からなる合流部JPを構成している。同様に、X2方向側の部分Sdおよび部分Sf(断面CS16参照)が、合流して部分Shとなっている。
断面CS19を経て、断面CS20になると、X1方向側の部分Sg(断面CS18参照)と、X2方向側の部分Sh(断面CS18参照)とが、再びX方向に近付いて合流して、断面CS10で示した合流部JPを構成している。この断面CS20は、断面CS10と同一であり、コア部101においてピッチPの分だけZ方向位置が変化したことを示す。
ここではハッチングを付した4本の流路10から構成された合流部JPについての変化を説明したが、図16から分かるように、それぞれの単位構造130の流路10が、上記と同じように位置および形状を変化させて、異なる2以上の単位構造30の流路10と合流および分離を繰り返す。
なお、ここでは第1流路11と第2流路12とを区別せずに説明しているが、複数の流路10のうち、第1流路11は、他の第1流路11とのみ合流および分離し、第2流路12は、他の第2流路12とのみ合流および分離するのであって、第1流路11と第2流路12とが合流することはない。
図17は、コア部101の縦断面TSを示している。第2実施形態でも、周壁部23がないだけで、それぞれの単位構造130における仕切壁部21の形状は上記第1実施形態と同様である。つまり、仕切壁部21が、Z方向に延びる回転中心軸22を中心に、Z方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有し、かつ、Z方向と直交する断面CSにおいて、回転中心軸22から渦巻状に延びるように形成されている。そのため、縦断面TSにおける仕切壁部21の傾斜角度αは、上記第1実施形態と同様の理由で比較例(図13参照)と比べて大きくなっている。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、隔壁20は、Z方向に延びる回転中心軸22を中心に、Z方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有し、かつ、Z方向と直交するXY断面(断面CS)において、回転中心軸22から渦巻状に延びるように形成された仕切壁部21を有するので、仕切壁部21の傾斜角度αを大きくすることができる。その結果、傾斜角度αに依存した製造可能な最小ピッチを、比較例の場合と比べてより小さくできるので、積層造形法により製造可能で更なる熱交換効率の改善が可能な熱交換器が得られる。
また、第2実施形態では、上記のように、コア部1は、複数の単位構造30の配列と、複数の単位構造30の配列を取り囲みコア部1の外周面を構成するコア外周壁35と、を含み、複数の単位構造30の各々の仕切壁部21は、所定方向(Z方向)と直交する断面CSにおいて隣接する他の単位構造30の仕切壁部21と接続するように形成され、仕切壁部21の接続により、隣接する単位構造30のそれぞれの流路10が合流した合流部JPが形成されているので、複数の単位構造30に跨がる流路部分(合流部JP)を形成することができる。たとえば、いずれかの単位構造30の第1流路11と、他の単位構造30の第1流路11とが合流することで、それぞれの第1流路11を流れる第1流体3を混合させることができる。その結果、単位構造30に含まれる流路10毎の温度分布に差がある場合でも、流路10中を流れる流体(第1流体3同士、または第2流体4同士)が混合されることにより、温度差を効果的に抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、複数の単位構造30の各々の仕切壁部21は、所定方向に沿った螺旋形状により、所定方向の一端から他端までの間で、異なる2以上の単位構造30の仕切壁部21と交替で接続するように形成され、接続する仕切壁部21の交替により、いずれかの単位構造30の流路10が、異なる2以上の単位構造30の流路10と合流および分離するので、いずれかの単位構造30に含まれる流路10が、他の複数の単位構造30に含まれる流路10を、より多くの流路10と合流(つまり合流部JPを形成)させることができる。そのため、たとえば1つの単位構造30の流路10が他の単位構造30の特定の1つの流路10とだけ合流する場合と比べて、異なる2以上の流路10と合流および分離することにより、より一層効果的に、流路10毎の温度分布の差を抑制することができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、複数の単位構造30を配列した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の単位構造30を配列しなくてもよい。たとえば3×3の9個の単位構造30を設ける代わりに、コア部1に1つの回転中心軸22を設けて、この回転中心軸22からコア外周壁35に向けて延びるように、渦巻状の仕切壁部21を設けてもよい。この場合、より多くの数の仕切壁部21を回転方向に並べることで、多数の流路10を形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、4本の流路10(2本の第1流路11および2本の第2流路12)を含む単位構造30を構成した例を示したが、単位構造30に含まれる流路10の本数は、4本未満または5本以上でもよい。言い換えると、単位構造30に設ける仕切壁部21の数は、4個未満または5個以上でもよい。図18は、6個の仕切壁部21により、3本の第1流路11および3本の第2流路12を設けた例を示す。回転中心軸22を中心とする回転方向に第1流路11と第2流路12とが配列される構造のため、第1流路11と第2流路12が互いに回転方向に隣接できるように、単位構造30内に設けられる第1流路11の数と第2流路12の数とは同数であることが好ましい。
また、上記第1および第2実施形態では、仕切壁部21が3/4周期以上の渦巻状部分を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば図18では、仕切壁部21が1/2周期の渦巻状に形成されている例を示す。図19では、仕切壁部21が3/4周期の渦巻状に形成されている例を示す。
また、図20では、仕切壁部221が、渦巻状部分222と、非渦巻状部分223とを含む例を示す。非渦巻状部分223は、直線部分である。このように、仕切壁部221の全部が完全な渦巻状に形成されていなくてもよい。渦巻状部分222の経路長L1は、非渦巻状部分223の経路長L2より大きい。渦巻状部分222の経路長L1は、たとえば、仕切壁部221の全体の経路長(L1+L2)の1/2よりも大きい。
この他、本発明では、隔壁には、異なる周期の仕切壁部(渦巻)が混在していてもよい。例えば同じ回転中心軸から、1/2周期渦巻の仕切壁部(図18参照)と、3/4周期渦巻の仕切壁部(図19参照)とが延びていてもよい。異なる周期の渦巻が混在すると、周期の差異や、Z方向の大きさによって仕切壁部同士が干渉する可能性があるので、それぞれの仕切壁部の渦巻形状は、仕切壁部同士が互いに干渉しない範囲で任意に設定されうる。異なる周期の複数の仕切壁部(渦巻)が隔壁に混在している場合、仕切壁部の周期は、それらの仕切壁部の内、最も小さい周期の値で判断する。周期が小さいほど、造形時の水平面となす角度が水平に近くなり、造形不良が起きやすいためである。
また、上記第1および第2実施形態では、XY断面における各流路10(第1流路11および第2流路12)が略同一の断面形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。各流路10の断面形状は、異なっていてもよい。たとえば、第1流体3と第2流体4との流量が異なる場合に、流量比などに応じて、各流路10のうちで第1流路11および第2流路12の一方の流路断面積が大きく、他方の流路断面積が小さくなるように流路10が形成されていてもよい。言い換えると、複数の仕切壁部21の回転方向の間隔が、一定でなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、複数の単位構造30を、所定方向(Z方向)と直交する方向に格子状に配列した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、単位構造30の配列は格子状以外でもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、個々の単位構造30がXY断面において矩形形状に形成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、個々の単位構造30の断面形状が矩形以外でもよい。単位構造30の断面形状は、たとえば円形状でもよいし、三角形状、六角形状または八角形状など、4未満または5以上の頂点を有する多角形状でもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、コア部1が全体として直方体形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コア部1が全体として円柱状形状など、直方体形状以外の形状を有していてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、仕切壁部21の渦巻の方向および螺旋の回転方向が異なる2種類の単位構造30(単位構造30Aおよび単位構造30B)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。複数の単位構造30は、仕切壁部21の渦巻の方向が同一であってもよいし、螺旋の回転方向が同一であってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、複数の流路10が第1流体3を流通させる第1流路11および第2流体4を流通させる第2流路12を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の流路10が、第1流路11および第2流路12に加えて、さらに第3流体を流通させる第3流路を含んでもよい。複数の流路10は、何種類の流体を流通させるように構成されていてもよく、流体の種類に応じた数(種類)の流路を含みうる。
1、101 コア部
3 第1流体
4 第2流体
10 流路
11、11-1、11-2 第1流路
12、12-1、12-2 第2流路
20 隔壁
21、21a、21b、21c、21d、221 仕切壁部
22 回転中心軸
23 周壁部
30、30A、30B、130、130A、130B 単位構造
35 コア外周壁
45 合流部
100 熱交換器
222 渦巻状部分
CS(CS0~CS4、CS10~CS20) XY断面(所定方向と直交する断面)
JP、JP1、JP2 合流部
P ピッチ
TS 縦断面(所定方向に沿った縦断面)
α 傾斜角度
Z方向(所定方向)
3 第1流体
4 第2流体
10 流路
11、11-1、11-2 第1流路
12、12-1、12-2 第2流路
20 隔壁
21、21a、21b、21c、21d、221 仕切壁部
22 回転中心軸
23 周壁部
30、30A、30B、130、130A、130B 単位構造
35 コア外周壁
45 合流部
100 熱交換器
222 渦巻状部分
CS(CS0~CS4、CS10~CS20) XY断面(所定方向と直交する断面)
JP、JP1、JP2 合流部
P ピッチ
TS 縦断面(所定方向に沿った縦断面)
α 傾斜角度
Z方向(所定方向)
Claims (9)
- 全体として所定方向に延びるように形成された複数の流路と、前記複数の流路の間を仕切る隔壁とを含むコア部を備え、
前記複数の流路は、第1流体を流通させる第1流路と、前記第1流体と前記隔壁を介して熱交換する第2流体を流通させる第2流路とを含み、
前記隔壁は、前記所定方向に延びる回転中心軸を中心に、前記所定方向の位置に応じて回転した螺旋状の形状を有し、かつ、前記所定方向と直交する断面において、前記回転中心軸から渦巻状に延びるように形成された仕切壁部を有する、熱交換器。 - 前記仕切壁部は、前記所定方向と直交する断面において、1/2周期以上の渦巻状部分を有する、請求項1に記載の熱交換器。
- 前記仕切壁部は、前記所定方向と直交する断面において、3/4周期以上の渦巻状部分を有する、請求項2に記載の熱交換器。
- 前記仕切壁部は、前記所定方向に沿った縦断面において、前記所定方向と直交する横断面に対する傾斜角度が45度以上となる螺旋形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。
- 前記隔壁は、前記回転中心軸周りに並ぶ前記第1流路と前記第2流路とを含む単位構造を形成するように、同一の前記回転中心軸から延びる複数の前記仕切壁部を含み、
前記コア部は、前記所定方向と直交する方向に、複数の前記単位構造の配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。 - 前記単位構造は、前記回転中心軸を中心とする回転方向に間隔を隔てて形成された複数の前記仕切壁部により区画され、
前記複数の仕切壁部の間の領域により、複数の前記第1流路と複数の前記第2流路とが、前記回転中心軸周りに交互に並んで形成されている、請求項5に記載の熱交換器。 - 前記隔壁は、同一の前記回転中心軸から延びる複数の前記仕切壁部の周囲を取り囲むことにより、個々の前記単位構造を区画する周壁部を含み、
一の前記単位構造の前記第1流路と他の前記単位構造の前記第2流路とが、前記周壁部を介して隣接している、請求項5に記載の熱交換器。 - 前記コア部は、複数の前記単位構造の配列と、前記複数の単位構造の配列を取り囲み前記コア部の外周面を構成するコア外周壁と、を含み、
前記複数の単位構造の各々の前記仕切壁部は、前記所定方向と直交する断面において隣接する他の前記単位構造の前記仕切壁部と接続するように形成され、
前記仕切壁部の接続により、隣接する前記単位構造のそれぞれの前記流路が合流した合流部が形成されている、請求項5に記載の熱交換器。 - 前記複数の単位構造の各々の前記仕切壁部は、前記所定方向に沿った螺旋形状により、前記所定方向の一端から他端までの間で、異なる2以上の前記単位構造の前記仕切壁部と交替で接続するように形成され、
接続する前記仕切壁部の交替により、いずれかの前記単位構造の前記流路が、異なる2以上の前記単位構造の前記流路と合流および分離する、請求項8に記載の熱交換器。
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