JP2024049659A - ガスバリア積層体及びその製造方法、並びに、包装袋 - Google Patents

ガスバリア積層体及びその製造方法、並びに、包装袋 Download PDF

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Abstract

【課題】紙を使用したガスバリア積層体の製造方法であって、水系塗工液を塗工した場合でも断紙の発生及び水蒸気バリア性の低下を抑制できるガスバリア積層体の製造方法を提供すること。【解決手段】紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体の製造方法であって、紙基材として、MD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である紙基材を用い、当該紙基材上に、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂と、水とを含む水系塗工液を塗布し、乾燥させて第1樹脂層を形成する工程を有する、ガスバリア積層体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア積層体及びその製造方法、並びに、包装袋に関する。
食品、飲料、医薬品及び化学品等の多くの分野では、それぞれの内容物に応じた包装材が使用されている。包装材は、内容物の変質の原因となる水蒸気等の透過防止性(ガスバリア性)が求められる。
近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、脱プラスチックの機運が高まっている。プラスチック材料の使用量削減の観点から、種々の分野において、プラスチック材料の代わりに、紙を使用することが検討されている。例えば下記特許文献1では、紙にバリア層を積層するガスバリア積層体が開示されている。
しかしながら、紙は水に弱いため、水系塗工液を紙に塗工すると皺が入りやすく、断紙が発生しやすいという問題がある。また、紙と水系塗工液を用いて形成された樹脂層とからなる積層体に皺が発生していると、当該積層体の樹脂層上に蒸着層を形成した場合、蒸着層に欠陥が生じ、水蒸気バリア性が低下するという問題が生じる。断紙の対策として、例えば下記特許文献2には、水系塗工液をカーテン塗工法で塗工して水蒸気バリア層(樹脂層)を形成する方法が開示されている。
特開2020-69783号公報 国際公開第2020/203721号
しかしながら、特許文献2に記載された方法では、塗工方法が制限されるため、従来の設備を用いて塗工することが困難な場合がある。そのため、塗工方法に制限されずに断紙の発生を抑制でき、且つ、水蒸気バリア性の低下を抑制できる方法の開発が望まれている。
そこで、本発明は、紙を使用したガスバリア積層体の製造方法であって、水系塗工液を塗工した場合でも断紙の発生及び水蒸気バリア性の低下を抑制できるガスバリア積層体の製造方法、並びに、ガスバリア積層体及びこれを含む包装袋を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のガスバリア積層体の製造方法、ガスバリア積層体、及び、包装袋を提供する。
[1]少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体の製造方法であって、上記紙基材として、MD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である紙基材を用い、当該紙基材上に、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂と、水とを含む水系塗工液を塗布し、乾燥させて上記第1樹脂層を形成する工程を有する、ガスバリア積層体の製造方法。
[2]上記第1樹脂層が、極性基を有するポリオレフィン又はポリビニルアルコール系樹脂を含む、上記[1]に記載のガスバリア積層体の製造方法。
[3]上記ガスバリア積層体が、上記蒸着層の上記第1樹脂層とは反対側の面上に第2樹脂層を備える、上記[1]又は[2]に記載のガスバリア積層体の製造方法。
[4]上記第2樹脂層が、極性基を有するポリオレフィンを含む、上記[3]に記載のガスバリア積層体の製造方法。
[5]上記第1樹脂層の厚さが0.3μm以上10μm以下である、上記[1]~[4]のいずれかに記載のガスバリア積層体の製造方法。
[6]少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体であって、上記第1樹脂層が、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有し、上記紙基材のMD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である、ガスバリア積層体。
[7]前記ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である、上記[6]に記載のガスバリア積層体。
[8]少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体であって、上記第1樹脂層が、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有し、上記ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である、ガスバリア積層体。
[9]上記第1樹脂層が、極性基を有するポリオレフィン又はポリビニルアルコール系樹脂を含む、上記[6]~[8]のいずれかに記載のガスバリア積層体。
[10]上記ガスバリア積層体が、上記蒸着層の上記第1樹脂層とは反対側の面上に第2樹脂層を備える、上記[6]~[9]のいずれかに記載のガスバリア積層体。
[11]上記第2樹脂層が、極性基を有するポリオレフィンを含む、上記[10]に記載のガスバリア積層体。
[12]上記ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が2.80%以下である、上記[10]又は[11]に記載のガスバリア積層体。
[13]上記第1樹脂層の厚さが0.3μm以上10μm以下である、上記[6]~[12]のいずれかに記載のガスバリア積層体。
[14]上記[6]~[13]のいずれかに記載のガスバリア積層体を含む包装袋。
[15]折り曲げ部を有する、上記[14]に記載の包装袋。
本発明によれば、紙を使用したガスバリア積層体の製造方法であって、水系塗工液を塗工した場合でも断紙の発生及び水蒸気バリア性の低下を抑制できるガスバリア積層体の製造方法、並びに、ガスバリア積層体及びこれを含む包装袋を提供することができる。上記ガスバリア積層体は、紙を使用しているため、紙の特徴である折り目保持性を有すると共に、プラスチック材料の使用量削減に寄与する。
本発明の一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装袋を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係るガスバリア積層体の製造方法は、少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体の製造方法であって、上記紙基材として、MD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である紙基材を用い、当該紙基材上に、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂と、水とを含む水系塗工液を塗布し、乾燥させて上記第1樹脂層を形成する工程を有する。かかる製造方法によれば、上記水系塗工液を塗布する紙基材として、上記特定の水中伸度を有する紙基材を用いることで、第1樹脂層を形成する際に紙基材の断紙が発生することを抑制することができ。また、紙基材と第1樹脂層との積層体に皺が入ることを抑制でき、得られたガスバリア積層体の水蒸気バリア性の低下を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るガスバリア積層体は、少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体であって、上記第1樹脂層が、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有し、上記紙基材のMD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である。かかるガスバリア積層体によれば、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有する第1樹脂層が、上記特定の水中伸度を有する紙基材上に設けられていることで、紙基材の断紙、及び、紙基材と第1樹脂層との積層体への皺の発生を抑制でき、水蒸気バリア性の低下を抑制することができる。
本発明の他の一実施形態に係るガスバリア積層体は、少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体であって、上記第1樹脂層が、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有し、上記ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である。かかるガスバリア積層体によれば、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有する第1樹脂層を備え、且つ、ガスバリア積層体が上記特定の水中伸度を有することで、紙基材の断紙、及び、紙基材と第1樹脂層との積層体への皺の発生を抑制でき、水蒸気バリア性の低下を抑制することができる。
上述したガスバリア積層体はいずれも、上述した本実施形態に係るガスバリア積層体の製造方法によって製造することができる。
<ガスバリア積層体>
図1は、一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。一実施形態に係るガスバリア積層体10は、紙基材1と、第1樹脂層2と、蒸着層3と、第2樹脂層4とをこの順に備える。
[紙基材]
紙基材1としては、MD方向(Machine Direction)の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向(Cross Direction)の水中伸度が3.00%以下である紙基材を用いることができる。本明細書において、紙基材1の水中伸度は、常態での紙基材1のMD方向又はCD方向の長さをL1(mm)、水中に5分間浸漬した後の紙基材1のMD方向又はCD方向の長さをL2(mm)として、下記式により算出される値である。
水中伸度(%)=(L2-L1)/L1×100
紙基材1のMD方向の水中伸度は、0.30%以下、0.25%以下、0.20%以下、0.15%以下、又は、0.10%以下であってよい。紙基材1のMD方向の水中伸度の下限値は特に限定されないが、例えば、-0.30%以上、-0.25%以上、-0.20%以上、-0.15%以上、又は、-0.10%以上であってよい。紙基材1のMD方向の水中伸度が0.30%以下であることで、紙基材1上に水系塗工液を塗工した場合であっても、MD方向への紙基材1の伸びや弛みが発生し難く、断紙の発生を抑制することができる。
紙基材1のCD方向の水中伸度は、3.00%以下、2.70%以下、2.00%以下、1.80%以下、又は、1.00%以下であってよい。紙基材1のCD方向の水中伸度の下限値は特に限定されないが、例えば、0%以上であってよい。紙基材1のCD方向の水中伸度が3.00%以下であることで、紙基材1上に第1樹脂層2を形成した場合に、紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生を抑制することができる。紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生が抑制されることで、その上に形成される蒸着層3及び第2樹脂層4に欠陥が発生することを抑制でき、得られるガスバリア積層体における水蒸気バリア性の低下を抑制することができる。
紙基材1としては、上述した水中伸度の条件を満たすものを選択して用いることが好ましい。紙基材1は、植物由来のパルプを主成分としている紙であってよい。紙基材1の具体例としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙、及びグラシン紙等が挙げられる。紙基材1の坪量は、20~500g/m、又は、30~100g/mであってよい。
紙基材1には、紙基材1の少なくとも第1樹脂層2と接する側にコート層を設けてあってもよい。紙基材1がコート層を備える場合、紙基材1は少なくとも紙層とコート層とを備えていてよい。コート層は、紙基材1の両方の表面に設けられていてもよい。コート層を設けることで、紙に第1樹脂層2が染み込むことを防ぐことができるほか、紙の凹凸を埋める目止めの役割を果たすこともでき、第1樹脂層2を欠陥なく均一に製膜することができる。コート層には、例えば、バインダー樹脂として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、などの各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、パラフィン(WAX)等を用い、填料としてクレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が含まれていてもよい。コート層は、少なくとも填料としてクレーを含有するクレーコート層であってもよい。
紙基材1がコート層を備える場合、コート層の厚さは、1.5μm以上15μm以下であってよい。コート層の厚さは、1.8μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、6μm以上であってもよい。コート層の厚さは、12μm以下であってもよく10μm以下であってもよい。コート層の厚さが上記範囲内であると、ガスバリア積層体10は、水系塗工液を塗工した場合でも断紙の発生及び水蒸気バリア性の低下を抑制できると共に、初期だけでなく折り曲げられた後であっても、より良好な水蒸気バリア性を得ることができる。
紙基材1の厚さは、20~100μmであってよく、30~80μmであってよく、40~60μmであってよい。紙基材1の厚さが上記範囲内であると、ガスバリア積層体10は、水系塗工液を塗工した場合でも断紙の発生及び水蒸気バリア性の低下を抑制できると共に、初期だけでなく折り曲げられた後であっても、より良好な水蒸気バリア性を得ることができる。
紙基材1の厚さに占めるコート層の厚さの割合は、3~25%であってよく、5~20%であってよい。この割合が上記範囲内であると、ガスバリア積層体10は、水系塗工液を塗工した場合でも断紙の発生及び水蒸気バリア性の低下を抑制できると共に、初期だけでなく折り曲げられた後であっても、より良好な水蒸気バリア性を得ることができる。
紙の重量は、ガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。紙の重量がガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することができ、ガスバリア積層体全体として紙製であるということができるとともに、リサイクル性に優れる。
[第1樹脂層]
第1樹脂層2は、紙基材1の表面上に設けられ、紙基材1と後述する蒸着層3との間の密着性向上や、ガスバリア積層体のガスバリア性の向上のために設けられるものである。第1樹脂層は、アンカーコート層とも呼ばれる。
第1樹脂層2は、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含む。第1樹脂層2は、水分散性を有する樹脂である極性基を有するポリオレフィン、又は、水溶性樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂を含んでいてよい。
第1樹脂層2が極性基を有するポリオレフィンを含む場合、第1樹脂層2は柔軟性に優れ、屈曲後(折り曲げ後)に後述する蒸着層3の割れを抑制することができるとともに、第1樹脂層2と蒸着層3との密着性を向上させることができる。さらに、極性基を有するポリオレフィンを含むことで、ポリオレフィンの結晶性による緻密な膜の形成が可能であり、水蒸気バリア性が発現する。ポリオレフィンの結晶性により水蒸気バリア性が発現し、極性基を有することで蒸着層3との密着が発現する。
極性基を有するポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。
極性基を有するポリオレフィンとして、エチレンやプロピレンに、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等カルボキシル基を有する不飽和化合物)や、不飽和カルボン酸エステルを共重合したもの、及びカルボン酸を塩基性化合物で中和した塩などを用いてもよく、その他、酢酸ビニル、エポキシ系化合物、塩素系化合物、ウレタン系化合物、ポリアミド系化合物等と共重合したものなどを用いてもよい。
極性基を有するポリオレフィンとして、具体的には、アクリル酸エステルと無水マレイン酸との共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
一方、第1樹脂層2がポリビニルアルコール系樹脂を含む場合、ポリビニルアルコール系樹脂は極性基(水酸基)を有し、この極性基が蒸着層3中のアルミニウム等の金属と結合しやすくなるため、蒸着層3と第1樹脂層2との間の密着性を向上させやすくすることができる。また、第1樹脂層2がポリビニルアルコール系樹脂を含むことで、ガスバリア積層体の酸素バリア性を向上させることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、300以上、1700以下が好ましい。重合度が300以上であれば、ガスバリア積層体のバリア性や屈曲耐性が良好になり、屈曲後(折り曲げ後)に蒸着層3の割れを抑制することができる。また、重合度が1700以下であれば、ポリビニルアルコール系樹脂の塗液の粘度が低くなり、塗布性が良好になる。
ポリビニルアルコール系樹脂はビニルアルコールを構成単位として含む樹脂であり、ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、完全けん化のポリビニルアルコール樹脂、部分けん化のポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂が挙げられる。
第1樹脂層2は、水溶性樹脂及び水分散性を有する樹脂の両方を含んでいてもよく、極性基を有するポリオレフィン及びポリビニルアルコール系樹脂の両方を含んでいてもよい。
第1樹脂層2には、上記水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂のほかに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、上記極性基を有するポリオレフィン以外のポリオレフィン、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリイミド、メラミン、フェノール等が挙げられる。
第1樹脂層2における上記水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂の含有量は、例えば、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
第1樹脂層2の厚さは、例えば、0.3μm以上であってよく、0.5μm以上であってよく、1μm以上であってよく、2μm以上であってよく、20μm以下であってよく、10μm以下であってよく、5μm以下であってよい。第1樹脂層2の厚さが0.3μm以上であれば、上述した紙基材の凹凸を効率的に埋めることができ、後述する蒸着層を均一に積層させることができる。また、第1樹脂層2の厚さが20μm以下であれば、紙基材1の断紙の発生及び紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生をより十分に抑制できると共に、コストを抑えつつ蒸着層を均一に積層させることができる。
[蒸着層]
蒸着層3は、金属又は無機化合物を蒸着した層である。蒸着層としては、アルミニウムを蒸着して得られたものであってもよく、酸化アルミニウム(AlO)、酸化ケイ素(SiO)等を含むものであってもよい。
蒸着層3の厚さは、使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは10~300nmであり、より好ましくは30~100nmである。蒸着層3の厚さを10nm以上とすることで蒸着層3の連続性を十分なものとしやすく、300nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。また、蒸着層の厚さを30nm以上100nm以下とすることで、蒸着層がより割れにくくなり、折り曲げ後であっても十分な水蒸気バリア性を得ることができる。
[第2樹脂層]
第2樹脂層4は、蒸着層3の表面上に、蒸着層3に接するように設けられる。第2樹脂層は、オーバーコート層とも呼ばれる。第2樹脂層は、極性基を有するポリオレフィンを含んでいてよい。
極性基を有するポリオレフィンは、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。
極性基を有するポリオレフィンとして、エチレンやプロピレンに、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等カルボキシル基を有する不飽和化合物)や、不飽和カルボン酸エステルを共重合したもの、及びカルボン酸を塩基性化合物で中和した塩などを用いてもよく、その他、酢酸ビニル、エポキシ系化合物、塩素系化合物、ウレタン系化合物、ポリアミド系化合物等と共重合したものなどを用いてもよい。
極性基を有するポリオレフィンとして、具体的には、アクリル酸エステルと無水マレイン酸との共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
極性基を有するポリオレフィンを含むことで、第2樹脂層4は、柔軟性に優れ、屈曲後(折り曲げ後)に蒸着層の割れを抑制することができるとともに、蒸着層との密着性に優れる。さらに、上述した極性基を有するポリオレフィンを含むことで、ポリオレフィンの結晶性による緻密な膜の形成が可能であり、水蒸気バリア性が発現する。また、極性基を有することで蒸着層との密着が発現する。また、第2樹脂層4は、上記極性基を有するポリオレフィンを含むことで、ヒートシール層としての役割も兼ねることができるため、ヒートシール層を別途設けなくともよい。
第2樹脂層4には、上記極性基を有するポリオレフィンのほかに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール等が挙げられる。
第2樹脂層4における極性基を有するポリオレフィンの含有量は、例えば、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
第2樹脂層4の厚さは、例えば、0.05μm以上であってよく、0.5μm以上であってよく、1μm以上であってよく、2μm以上であってよく、20μm以下であってよく、10μm以下であってよく、5μm以下であってよい。第2樹脂層4の厚さが0.05μm以上であれば、上述したヒートシール層としての役割を十分に発揮することができる。また、第2樹脂層4の厚さが20μm以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層との密着性やバリア性を十分に発揮することができる。また、第2樹脂層4の厚さを2μm以上10μm以下とすることで、蒸着層がより割れにくくなり、折り曲げ後であっても十分な水蒸気バリア性を得ることができる。
ガスバリア積層体10において、第2樹脂層4に極性基を有するポリオレフィンを含有させ、第2樹脂層4の厚さを2μm以上10μm以下とし、且つ、蒸着層3の厚さを30nm以上100nm以下とした場合に、蒸着層3が割れにくくなり、折り曲げ後であっても十分な水蒸気バリア性を得ることができるという効果が特に顕著に奏される。
[ガスバリア積層体]
ガスバリア積層体10は、MD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下であってよい。ガスバリア積層体10の水中伸度は、紙基材1の水中伸度と同様の方法で測定することができる。
ガスバリア積層体10のMD方向の水中伸度は、0.35%以下、0.30%以下、0.25%以下、0.20%以下、又は、0.15%以下であってよい。ガスバリア積層体10のMD方向の水中伸度の下限値は特に限定されないが、例えば、-0.30%以上、-0.25%以上、-0.20以上、-0.15%以上、又は、-0.10%以上であってよい。ガスバリア積層体10のMD方向の水中伸度が0.40%以下であることで、紙基材1の断紙の発生を抑制することができる。
ガスバリア積層体10のCD方向の水中伸度は、3.00%以下、2.80%以下、2.50%以下、2.00%以下、1.50%以下、又は、1.30%以下であってよい。ガスバリア積層体10のCD方向の水中伸度の下限値は特に限定されないが、例えば、0%以上であってよい。ガスバリア積層体10のCD方向の水中伸度が3.00%以下であることで、紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生が抑制され、ガスバリア積層体10における水蒸気バリア性の低下を抑制することができる。
ガスバリア積層体10の厚さは、20~100μmであってよく、30~80μmであってよく、40~60μmであってよい。ガスバリア積層体10の厚さが上記範囲内であると、ガスバリア積層体10は、初期だけでなく折り曲げられた後であっても、より良好な水蒸気バリア性を得ることができる。
<ガスバリア積層体の製造方法>
本実施形態に係るガスバリア積層体10の製造方法は、MD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である紙基材1上に、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂と、水とを含む水系塗工液を塗布し、乾燥させて第1樹脂層2を形成する工程(第1樹脂層形成工程)を有する。ガスバリア積層体10の製造方法は、第1樹脂層2上に蒸着層3を形成する工程(蒸着層形成工程)を有していてよい。ガスバリア積層体10の製造方法は、蒸着層3上に第2樹脂層4を形成する工程(第2樹脂層形成工程)を有していてよい。
[第1樹脂層形成工程]
第1樹脂層2は、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂と、水とを含む水系塗工液を紙基材1上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。水系塗工液は、水以外の溶媒を含んでいてもよい。水以外の溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
水系塗工液が水分散性を有する樹脂を含む場合、樹脂の粒径は特に限定されるものではないが、例えば1nm以上、又は、0.1μm以上であってよく、1μm以下、0.7μm以下、又は、0.5μm以下であってよい。
水系塗工液は、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂以外の上述した他の成分を含んでいてもよい。
水系塗工液中の水溶性樹脂及び水分散性を有する樹脂、並びに他の成分を含む固形分の含有量(固形分濃度)は、良好な塗布性を維持すると共に、紙基材1の断紙の発生及び紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生をより十分に抑制する観点から、水系塗工液全量を基準として、3~40質量%、5~30質量%、又は、8~25質量%であってよい。
水系塗工液が水溶性樹脂を含有する場合、水溶性樹脂の含有量は、良好な塗布性を維持すると共に、紙基材1の断紙の発生及び紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生をより十分に抑制する観点から、水系塗工液全量を基準として、3~30質量%、5~20質量%、又は、8~15質量%であってよい。
水系塗工液が水分散性を有する樹脂を含有する場合、水分散性を有する樹脂の含有量は、良好な塗布性を維持すると共に、紙基材1の断紙の発生及び紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生をより十分に抑制する観点から、水系塗工液全量を基準として、5~40質量%、10~30質量%、又は、15~25質量%であってよい。
水系塗工液中の水の含有量は、紙基材1の断紙の発生及び紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生をより十分に抑制する観点から、水系塗工液全量を基準として、50~97質量%、60~95質量%、又は、70~90質量%であってよい。
紙基材1上への水系塗工液の塗布は、任意の適切な方法により行うことができる。水系塗工液の塗布は、例えばグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター等のウェット成膜法により行うことができる。水系塗工液の塗布及び乾燥は、例えば、塗工表面のヒートラベル温度が70~150℃になるように適宜条件を選定して行うことができる。塗工表面のヒートラベル温度が70℃以上である場合、破断、ブロッキング、蒸着層形成工程での真空度低下等の問題が生じることを抑制しやすい。一方、150℃以下であると、第1樹脂層2に皺やクラックが生じて水蒸気バリア性が低下することを抑制しやすい。
紙基材1上に水系塗工液を塗布する際の塗布量(wet塗布量)は、形成する第1樹脂層2の厚さ及び水系塗工液の固形分濃度に応じて調整されるが、例えば、3~100g/m、5~80g/m、又は、8~60g/mであってよい。この塗布量が3g/m以上であると、水蒸気バリア性の低下をより十分に抑制でき、100g/m以下であると、紙基材1の破断の発生をより十分に抑制することができる。
紙基材1上に水系塗工液を塗布する際の紙基材1の単位巾当たりの繰り出し張力は、30~300N/m、50~200N/m、又は、60~100N/mであってよい。この繰り出し張力が30N/m以上であると、紙基材1の弛みが発生し難く、破断の発生をより十分に抑制することができ、300N/m以下であると、紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生をより十分に抑制することができる。
紙基材1上に塗布した水系塗工液を乾燥する際の紙基材1の単位巾当たりの張力(乾燥張力)は、30~300N/m、50~200N/m、又は、70~150N/mであってよい。この乾燥張力が30N/m以上であると、紙基材1の弛みが発生し難く、破断の発生をより十分に抑制することができ、300N/m以下であると、紙基材1と第1樹脂層2との積層体への皺の発生をより十分に抑制することができる。
[蒸着層形成工程]
蒸着層3は、真空成膜手段によって成膜することが、水蒸気及び酸素ガスバリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御しやすいことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
[第2樹脂層形成工程]
第2樹脂層4は、蒸着層3上に第2樹脂層4形成用の塗液を塗布し、乾燥させることで形成することができる。塗液が極性基を有するポリオレフィンを含む場合、塗液中における極性基を有するポリオレフィンの融点は、70~160℃が好ましく、80~120℃がより好ましい。極性基を有するポリオレフィンの融点が低ければヒートシール時の立ち上がり温度を低くできるメリットがある。なお、極性基を有するポリオレフィンの融点が高いと高温環境下においてブロッキングする恐れがあるので、ブロッキング防止剤を添加してもよい。極性基を有するポリオレフィンの粒径は特に限定されるものではないが、例えば1nm以上、又は、0.1μm以上であってよく、1μm以下、0.7μm以下、又は、0.5μm以下であってよい。
第1樹脂層2及び第2樹脂層4にそれぞれ極性基を有するポリオレフィンが含まれる場合、極性基を有するポリオレフィンは、それぞれ同種のものであっても異種のものであってもよいが、製造の容易性等を考慮すれば、それぞれ同種のものであることが好ましい。
第2樹脂層4の塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
蒸着層3上への塗液の塗布及び乾燥は、第1樹脂層形成工程と同様の方法で行うことができる。
<包装袋>
図2は、ガスバリア積層体10からなるガゼット袋20を示す斜視図である。ガゼット袋20の上部の開口部をシールすることで包装袋が製造される。ガゼット袋20はガスバリア積層体10が折り曲げられている箇所(折り曲げ部B1,B2)を有する。折り曲げ部B1は、最内層側からみてガスバリア積層体10が谷折りされている箇所であり、他方、折り曲げ部B2は、最内層側からみてガスバリア積層体10が山折りされている箇所である。
包装袋は、1枚のガスバリア積層体を第2樹脂層4が対向するように二つ折りにした後、所望の形状になるように適宜折り曲げてヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよく、2枚のガスバリア積層体を第2樹脂層4が対向するように重ねた後、ヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。
本実施形態に係る包装袋において、ヒートシール強度は、2N以上であってよく、4N以上であってよい。なお、ヒートシール強度の上限値は特に制限されるものではないが、例えば10N以下であってよい。
包装袋は、内容物として、食品、医薬品等の内容物を収容することができる。特に食品として、お菓子等を収容するのに適している。本実施形態に係る包装袋は、折り曲げ部を有する形状であっても高いガスバリア性を維持することができる。
なお、本実施形態においては、包装袋の一例としてガゼット袋を挙げたが、本実施形態に係るガスバリア積層体を使用して、例えば、ピロー袋、三方シール袋又はスタンディングパウチを作製してもよい。
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ガスバリア積層体は、第2樹脂層を備えていなくてもよい。すなわち、ガスバリア積層体は、図3に示すように、紙基材1と、第1樹脂層2と、蒸着層3とをこの順に備えるガスバリア積層体30であってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<ガスバリア積層体の作製>
(実施例1)
紙基材(富士加工社製、商品名:特コーモS、厚さ49μm、坪量52.3g/m、クレーコート層有り)の表面上に、カルボキシル基の塩を含むポリオレフィンの水分散液(固形分濃度20質量%)をグラビアコーターで塗工(wet塗布量20g/m、塗工速度20m/min、単位巾当たり繰出し張力:75N/m、単位巾当たり乾燥張力:100N/m)し、オーブンで乾燥(ヒートラベル温度:99℃)させて第1樹脂層(厚さ3μm)を形成した。続いて、第1樹脂層の上に真空蒸着法にてAl蒸着層(厚さ50nm)を形成して、ガスバリア積層体を得た。
(実施例2)
紙基材として、大王製紙社製のリューオーコート(商品名、厚さ45μm、坪量55g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例3)
紙基材として、仙鶴社(Xianhe Co.,Ltd.)製の塗布包装紙(厚さ51μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例4)
紙基材として、Sappi社製のCarcoat(商品名、厚さ52μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例5)
蒸着層を、真空蒸着法にて形成したシリカ蒸着層(厚さ50nm)としたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例6)
第1樹脂層(厚さ3μm)を、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を含む水溶液(固形分濃度10質量%)をグラビアコーターで塗工(wet塗布量30g/m、塗工速度20m/min、単位巾当たり繰出し張力:75N/m、単位巾当たり乾燥張力:100N/m)し、オーブンで乾燥(ヒートラベル温度:99℃)させて形成したこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例7)
紙基材として、大王製紙社製のリューオーコート(商品名、厚さ45μm、坪量55g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例6と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例8)
紙基材として、仙鶴社(Xianhe Co.,Ltd.)製の塗布包装紙(厚さ51μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例6と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例9)
第1樹脂層を、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を含む水溶液(固形分濃度10質量%)をグラビアコーターで塗工(wet塗布量80g/m、塗工速度20m/min、単位巾当たり繰出し張力:75N/m、単位巾当たり乾燥張力:100N/m)し、オーブンで乾燥(ヒートラベル温度:88℃)させて、厚さ8μmに形成したこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例10)
蒸着層上にカルボキシル基の塩を含むポリオレフィンの水分散液(固形分濃度15質量%)をグラビアコーターで塗工(wet塗布量20g/m、塗工速度20m/min、単位巾当たり繰出し張力:75N/m、単位巾当たり乾燥張力:100N/m)し、オーブンで乾燥(ヒートラベル温度:104℃)させて第2樹脂層(厚さ3μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例11)
紙基材として、大王製紙社製のリューオーコート(商品名、厚さ45μm、坪量55g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例10と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例12)
紙基材として、仙鶴社(Xianhe Co.,Ltd.)製の塗布包装紙(厚さ51μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例10と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例13)
第1樹脂層(厚さ3μm)を、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を含む水溶液(固形分濃度10質量%)をグラビアコーターで塗工(wet塗布量30g/m、塗工速度20m/min、単位巾当たり繰出し張力:75N/m、単位巾当たり乾燥張力:100N/m)し、オーブンで乾燥(ヒートラベル温度:99℃)させて形成したこと以外は、実施例10と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例14)
紙基材として、大王製紙社製のリューオーコート(商品名、厚さ45μm、坪量55g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例13と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(実施例15)
紙基材として、仙鶴社(Xianhe Co.,Ltd.)製の塗布包装紙(厚さ51μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例13と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例1)
紙基材として、Sappi社製のHi-Fi Kraft Lux(商品名、厚さ53μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例2)
紙基材として、Sappi社製のLeine Kraft LK(商品名、厚さ47μm、坪量40g/m、クレーコート層無し)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例3)
紙基材として、UPM社製のSolide Lucent(商品名、厚さ35μm、坪量40g/m、クレーコート層無し)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例4)
紙基材として、Sappi社製のHi-Fi Kraft Lux(商品名、厚さ53μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例6と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例5)
紙基材として、UPM社製のFlex Pack(商品名、厚さ50μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例6と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例6)
紙基材として、UPM社製のSolide Lucent(商品名、厚さ35μm、坪量40g/m、クレーコート層無し)を用いたこと以外は、実施例6と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例7)
紙基材として、UPM社製のSolide Strong(商品名、厚さ67μm、坪量60g/m、クレーコート層無し)を用いたこと以外は、実施例6と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例8)
紙基材として、UPM社製のFlex Pack(商品名、厚さ50μm、坪量60g/m、クレーコート層有り)を用いたこと以外は、実施例13と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例9)
紙基材として、UPM社製のSolide Lucent(商品名、厚さ35μm、坪量40g/m、クレーコート層無し)を用いたこと以外は、実施例13と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
(比較例10)
紙基材として、UPM社製のSolide Strong(商品名、厚さ67μm、坪量60g/m、クレーコート層無し)を用いたこと以外は、実施例13と同様の操作によってガスバリア積層体を得た。
<水中伸度の測定>
実施例及び比較例で使用した紙基材について、以下の手順でMD方向及びCD方向の水中伸度の測定を行った。まず、紙基材から、MD方向が長手方向となるように長さ150mm、幅20mmのサイズに切り出した試験片(MD方向の水中伸度測定用試験片)、及び、CD方向が長手方向となるように長さ150mm、幅20mmのサイズに切り出した試験片(CD方向の水中伸度測定用試験片)をそれぞれ作製した。この試験片を、23℃、50%RHの恒温恒湿槽に3日間放置した。放置後、恒温恒湿槽内で試験片の長さをガラススケールを用いて測長した。この長さを初期の長さ「L1」(単位:mm)とした。続いて、測長後の紙基材を恒温恒湿槽から取り出し、水中に浸漬して5分間放置した。放置後の試験片を水中から取り出し、試験片に付着した過剰な水をキムタオル(日本製紙クレシア株式会社製)で軽く吸収し、試験片の長さをガラススケールを用いて測長した。この長さを水中放置後の長さ「L2」(単位:mm)とした。水中から取り出してから測長するまでの時間は、10秒~20秒以内とした。水中伸度(%)は、以下の式により算出した。
水中伸度(%)=(L2-L1)/L1×100
MD方向及びCD方向のそれぞれについて、5つの試験片に対して測長を行い、その平均値をMD方向の水中伸度及びCD方向の水中伸度として求めた。結果を表1~表4に示す。
ガスバリア積層体の水中伸度は、実施例及び比較例で得られたガスバリア積層体について、上記紙基材の水中伸度の測定方法と同様にして測定した。結果を表1~表4に示す。
<断紙の判定>
紙基材上に第1樹脂層形成用の塗工液を塗工する工程において、50mの長さを塗工するにあたり、1回でも紙基材が完全に切れた場合、断紙ありと判定した。なお、上記塗工時の紙基材の幅は520mmである。断紙が無かった場合を「A」、断紙があった場合を「B」と評価した。結果を表1~表4に示す。
<水蒸気透過度の測定>
実施例及び比較例で得られたガスバリア積層体について、40℃、90%RHの雰囲気下での水蒸気透過度(g/m・day)を、JIS K7129に準拠し、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN 3/34G)を用いて測定した。結果を表1~表4に示す。
<酸素透過度の測定>
実施例6~9及び13~15、並びに、比較例4~10で得られたガスバリア積層体(ポリビニルアルコール(PVA)を含む第1樹脂層を備えるガスバリア積層体)について、30℃、70%RHの雰囲気下での酸素透過度(cc/m・day・atm)を、JIS K7126-2(等圧法)に準拠し、酸素透過度測定装置(MOCON社製、商品名:OX-TRAN 2/20)を用いて測定した。結果を表2及び表4に示す。
Figure 2024049659000002
Figure 2024049659000003
Figure 2024049659000004
Figure 2024049659000005
表1は、紙基材/極性基含有ポリオレフィン(第1樹脂層)/Al蒸着層の積層構造を有するガスバリア積層体を比較したもの、及び、紙基材/極性基含有ポリオレフィン(第1樹脂層)/SiOx蒸着層の積層構造を有するガスバリア積層体を比較したものである。表2は、紙基材/ポリビニルアルコール(第1樹脂層)/Al蒸着層の積層構造を有するガスバリア積層体を比較したものである。表3は、紙基材/極性基含有ポリオレフィン(第1樹脂層)/Al蒸着層/極性基含有ポリオレフィン(第2樹脂層)の積層構造を有するガスバリア積層体を比較したものである。表4は、紙基材/ポリビニルアルコール(第1樹脂層)/Al/極性基含有ポリオレフィン(第2樹脂層)の積層構造を有するガスバリア積層体を比較したものである。
表1~表4に示した結果から分かるように、紙基材のMD方向の水中伸度が0.30%以下であれば、紙基材上に水系塗工液を塗工して第1樹脂層を形成する際に、紙基材の断紙は発生しなかった。また、紙基材以外は同じ積層構造を有するガスバリア積層体を比較すると、紙基材のCD方向の水中伸度が3.00%以下であるガスバリア積層体は、紙基材のCD方向の水中伸度が3.00%より大きいガスバリア積層体に比べて水蒸気透過度を低減できることが確認された。
表1~表4に示した結果から分かるように、ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であれば、紙基材上に水系塗工液を塗工して第1樹脂層を形成する際に、紙基材の断紙は発生しなかった。また、紙基材以外は同じ積層構造を有するガスバリア積層体を比較すると、CD方向の水中伸度が3.00%以下であるガスバリア積層体は、水中伸度が3.00%より大きいガスバリア積層体に比べて水蒸気透過度を低減できることが確認された。
1…紙基材、2…第1樹脂層、3…蒸着層、4…第2樹脂層、10,30…ガスバリア積層体、20…ガゼット袋、B1,B2…折り曲げ部。

Claims (15)

  1. 少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体の製造方法であって、
    前記紙基材として、MD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である紙基材を用い、当該紙基材上に、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂と、水とを含む水系塗工液を塗布し、乾燥させて前記第1樹脂層を形成する工程を有する、ガスバリア積層体の製造方法。
  2. 前記第1樹脂層が、極性基を有するポリオレフィン又はポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1に記載のガスバリア積層体の製造方法。
  3. 前記ガスバリア積層体が、前記蒸着層の前記第1樹脂層とは反対側の面上に第2樹脂層を備える、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体の製造方法。
  4. 前記第2樹脂層が、極性基を有するポリオレフィンを含む、請求項3に記載のガスバリア積層体の製造方法。
  5. 前記第1樹脂層の厚さが0.3μm以上10μm以下である、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体の製造方法。
  6. 少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体であって、
    前記第1樹脂層が、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有し、
    前記紙基材のMD方向の水中伸度が0.30%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である、ガスバリア積層体。
  7. 前記ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である、請求項6に記載のガスバリア積層体。
  8. 少なくとも紙基材と、第1樹脂層と、蒸着層と、をこの順で備えるガスバリア積層体であって、
    前記第1樹脂層が、水溶性樹脂又は水分散性を有する樹脂を含有し、
    前記ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が3.00%以下である、ガスバリア積層体。
  9. 前記第1樹脂層が、極性基を有するポリオレフィン又はポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項6に記載のガスバリア積層体。
  10. 前記ガスバリア積層体が、前記蒸着層の前記第1樹脂層とは反対側の面上に第2樹脂層を備える、請求項6に記載のガスバリア積層体。
  11. 前記第2樹脂層が、極性基を有するポリオレフィンを含む、請求項10に記載のガスバリア積層体。
  12. 前記ガスバリア積層体のMD方向の水中伸度が0.40%以下であり、且つ、CD方向の水中伸度が2.80%以下である、請求項10に記載のガスバリア積層体。
  13. 前記第1樹脂層の厚さが0.3μm以上10μm以下である、請求項6に記載のガスバリア積層体。
  14. 請求項6~13のいずれか一項に記載のガスバリア積層体を含む包装袋。
  15. 折り曲げ部を有する、請求項14に記載の包装袋。
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