JP2024048626A - 溶剤系インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性に優れる、溶剤系インクジェットインク組成物を提供すること。【解決手段】本発明の一実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、金属顔料と、ポリエステル系分散剤と、ポリオキシアルキレンアミン化合物と、有機溶剤と、を含み、前記ポリエステル系分散剤は、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有するものである。【選択図】なし

Description

本発明は、溶剤系インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
従来、印刷物上に金属光沢を有する塗膜を形成する手法として、真鍮、アルミニウム微粒子等から作製された金粉、銀粉を顔料に用いた印刷インキや金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられてきた。しかしながら、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難であり、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
このような問題に対して、印刷におけるインクジェットへの応用例が数多く見受けられ、その中の一つの応用例としてメタリック印刷があり、金属光沢を有するインクの開発が進められている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。
例えば、特許文献1には、有機溶剤と、メタリック顔料と、ポリエステル樹脂と、酸価を有するポリエステル系分散剤(DISPERBYK-111:両末端にリン酸基を有する、エチレングリコールとポリカプロラクトンのブロック共重合体)と、を含む、ポリ塩化ビニル基材用インクジェット印刷用メタリックインク組成物が開示されている。
特開2015-067767号公報
しかしながら、塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性の点で未だ不十分であった。
本発明に係る溶剤系インクジェットインク組成物の一態様は、
金属顔料と、ポリエステル系分散剤と、ポリオキシアルキレンアミン化合物と、有機溶剤と、を含み、
前記ポリエステル系分散剤は、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有するものである。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
上記一態様の溶剤系インクジェットインク組成物をインクジェット法により吐出し、塩化ビニル系記録媒体に対して記録するものである。
以下に、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.溶剤系インクジェットインク組成物
本発明の一実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、金属顔料と、ポリエステル系分散剤と、ポリオキシアルキレンアミン化合物と、有機溶剤と、を含み、該ポリエステル系分散剤は、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有するものである。
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、一分子内に酸価とアミン価の両方を有するポリエステル系分散剤を含むことを特徴としている。本発明者らが検討した結果、分散剤が酸価(カルボキシル基等に由来)を有する場合、記録媒体への吸着性を向上でき優れた耐擦性が得られる。しかし、酸価のみを有する分散剤は、金属顔料への吸着性に劣り良好な分散性が得られないため、光沢性に劣った。また、分散剤がアミン価(アミド基等に由来)を有する場合、金属顔料への吸着性を向上でき良好な分散性が得られるため、優れた光沢性が得られる。しかし、アミン価のみを有する分散剤では、記録媒体への吸着性に劣り、耐擦性に劣った。そして、酸価のみを有する分散剤と、アミン価のみを有する分散剤とを併せて用いた場合、両者同士で反応、失活してしまい、耐擦性、光沢性のいずれも劣った。このように、耐擦性と光沢性とを両立させることは困難であった。
これに対して、本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物に含まれる分散剤は、一分子内に酸価とアミン価の両方を有し、記録媒体と金属顔料の両者に作用可能であるため、耐擦性、光沢性のいずれも優れたものとできる。加えて、ポリオキシアルキレンアミン化合物を含むことにより、光沢性や塗膜の経時安定性がより向上する。これにより、本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物によれば、優れた塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性が得られる。
以下、本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物に含まれる各成分について説明する。なお、以下において、本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物を「インク組成物」や「インク」ということもある。また、本明細書において「光沢性」とは、インク組成物により形成された塗膜における光沢性である。
1.1 金属顔料
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、金属顔料を含有する。金属顔料は、後述する表面処理剤により表面が処理された金属粒子であることが好ましい。この場合、金属顔料は、表面処理剤のリン含有酸基の部分が金属粒子表面に対して化学結合されているものと推測される。このとき、表面処理剤そのものが、水素結合や分子間力等により金属粒子表面に結合するものとは限らず、表面処理剤の残基を有する金属粒子であり得る。すなわち、表面処理剤により表面が処理された金属粒子である金属顔料においては、金属粒子の表面に存在し得る水酸基が表面処理剤のリン含有酸基の部分と反応することにより、金属粒子と表面処理剤とが共有結合により結合しているものと考えられる。または、表面処理剤は、物理吸着などにより金属粒子の表面に付着していても良い。このようにして表面処理剤は、金属粒子に、結合や物理吸着などにより、付着していると考えられる。
金属顔料の体積平均粒子径D50は、3.0μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることがより好ましく、2.0μm以下であることがさらに好ましい。下限は、特に制限されないが、0.10μm以上であることが好ましく、0.20μm以上であることがより好ましく、0.30μm以上であることがさらに好ましい。金属顔料の体積平均粒子径D50が上記範囲であるインク組成物は、インクジェット吐出安定性に優れる傾向にある。
また、本発明の奏する効果をより享受できる観点から、金属顔料の体積平均粒子径D50は、1.0μm以下であることが好ましく、0.70μm以下であることがより好ましく、0.50μm以下であることがさらに好ましく、0.30μm以下であることが特に好ましい。下限は、特に制限されないが、0.10μm以上であることが好ましく、0.20μm以上であることがより好ましく、0.30μm以上であることがさらに好ましい。金属顔料の比表面積が大きい場合には水による酸化を受けやすいため光沢性が低下しやすいが、本実施形態に係るインク組成物においては金属顔料の粒子径が上記範囲であっても、良好な光沢性を得ることができる傾向にある。
なお、「体積平均粒子径D50」とは、インク組成物をレーザー回析・散乱式粒子径分布測定装置にて測定した体積分布のメジアン径のことを指し、多数個の測定結果を大きさ毎の存在比率の累積として表した場合に、累積でちょうど中央値の50%を示す粒子のサイズである。なお、金属粒子が鱗片状である場合、体積平均粒子径D50は、金属粒子を球状換算した際の形状、大きさに基づいて求められるものとする。
金属顔料の平均厚みは、5~90nmであることが好ましく、5~70nmであることがより好ましく、5~50nmであることがさらに好ましく、5~30nmであることがよりさらに好ましく、10~20nmであることが特に好ましい。金属顔料の平均厚みが上記範囲であると、リーフィング性がより向上し、記録物の光沢性により優れる傾向にある。
なお、金属顔料の平均厚みは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。限るものではないが、例えば、NanoNaviE-Sweep(SIIナノテクノロジー社製)を用いた原子間力顕微鏡法により測定することができる。例えば、任意の50個の金属顔料で測定を行い平均値とする。すなわち、平均厚みは算術平均厚みであることが好ましい。
金属顔料の含有量は、特に制限されないが、インク組成物の総質量に対して、0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~15質量%であることがより好ましく、0.1~5.0質量%であることがさらに好ましく、0.3~3.0質量%であることがよりさらに好ましく、0.5~2.0質量%であることが特に好ましく、0.7~1.5質量%であることがより特に好ましい。金属顔料の含有量が上記範囲内であると、インク組成物の分散安定性がより向上し、光沢性もより良好となる傾向にある。
1.1.1 金属粒子
金属粒子は、外観上視認される部位の少なくとも一部が金属材料で構成され、例えば、全体あるいは外表面付近が金属材料で構成される。金属粒子は、インク組成物を用いて製造される着色物において、金属光沢を付与する機能を有する。
〔構成材料〕
金属粒子は、少なくとも、表面付近を含む領域が金属材料で構成されたものであればよい。例えば、金属粒子全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部と、当該基部を被覆する金属材料で構成された被膜とを有するものであってもよい。また、金属粒子は、その表面に不働態膜のような酸化被膜等が形成されていてもよい。
金属粒子を構成する金属材料としては、単体としての金属や各種合金等を用いることができ、卑金属を用いるものであることがより好ましい。金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、鉄、銅、及びこれらの金属を少なくとも1つ以上有する合金等が挙げられる。
なお、「卑金属」とは、イオン化傾向が水素よりも大きい金属であればよく、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、鉄、亜鉛、鉛、銅、ニッケル、コバルト、クロム等の金属の単体の他、これらの合金も含まれる概念である。
上記金属材料の中でも、金属粒子は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものであることが好ましい。したがって、金属顔料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である金属粒子を含むものであることが好ましい。かかる金属材料は、比重が比較的小さいため、インク組成物中での分散安定性がより良好となる傾向にある。また、かかる金属材料は光沢性を確保する観点及びコストの観点から好ましいものであるが、水分の存在により酸化され、光沢性が低下すると共に、金属粒子同士が凝集しやすくなることがある。これに対して、後述する表面処理剤で表面処理された金属粒子であれば、光沢性や分散性が良好となり、かかる金属材料の好ましい特性を享受可能である。
〔形状〕
金属粒子は、その形状は特に限定されないが、例えば、鱗片状、球状、紡錘形状、針状が挙げられる。これらの中でも、金属粒子は鱗片状であることが好ましい。金属粒子が鱗片状であることにより、インク組成物が付着される被着色体(記録媒体)上で、主面が被着色体の表面形状に沿うように金属顔料を配置することができ、金属顔料が本来有する光沢性等をより効果的に発現させることができる傾向にある。
本発明において「鱗片状」とは、板状であり、例えば、所定の角度から観察した際、例えば、平面視した際の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状である。
特に、投影面積が最大となる方向から観察した際、すなわち、平面視した際の面積S[μm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[μm]に対する比率S/Sが、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上であり、よりさらに好ましくは10以上であり、特に好ましくは20以上であり、より特に好ましくは30以上である。S/Sの上限は、特に限定されないが、好ましくは1000以下であり、より好ましくは500以下であり、さらに好ましくは100以下であり、特に好ましくは80以下である。一方、300~700が好ましく、400~600がより好ましい。
なお、鱗片状には、平板状、湾曲板状等の形状も含まれる。
上記比率S/Sの値は、例えば、任意の50個の粒子について観察を行い、これらの粒子についての算出される値の平均値を採用することができる。観察は、例えば電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて行うことができる。または、金属顔料の体積平均粒子径D50と、金属顔料の平均厚みを用い、単位をあわせたうえで、体積平均粒子径D50/平均厚みとし、これを上記範囲としてもよい。
なお、金属粒子における好ましい体積平均粒子径D50と平均厚みは、金属顔料における体積平均粒子径D50と平均厚みと同様にできる。また、好ましい測定方法も同様とできる。
〔製造方法〕
金属粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、例えば、気相成膜法により金属からなる膜を形成し、その後、当該膜を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。当該方法を用いることにより、比較的薄い金属粒子であっても好適に製造することができ、また各金属粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。
このような方法を用いて金属粒子を製造する場合、例えば、基材上に、金属からなる膜の形成を行うことが好ましい。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
また、粉砕は、液体中において、膜に超音波振動を付与することにより行われることが好ましい。これにより、所望の粒子径を有する金属粒子が容易に得られ、各金属粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を低減できる傾向にある。
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、液体としては、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物や、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性化合物を好適に用いることができる。このような液体を用いることにより、金属粒子の酸化等を低減しつつ、金属粒子の生産性を特に優れたものとできる。また、各金属粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を低減できる傾向にある。
1.1.2 表面処理剤
表面処理剤としては、金属粒子を表面修飾するものであればよいが、疎水性リン系表面処理剤であるのが好ましい。
[疎水性リン系表面処理剤]
疎水性リン系表面処理剤は、金属粒子に付着した状態で、当該疎水性リン系表面処理剤が付着していない金属粒子よりも疎水性を高める機能を有するリン系表面処理剤であればよい。疎水性リン系表面処理剤のリン系表面処理剤としては、リン原子を含有するリン系化合物であればよいが、例えば、リン酸誘導体、ホスホン酸誘導体、ホスフィン酸誘導体等を用いることができる。誘導体としては、例えば、互変異性体、エステル化物、エーテル化物、構造式中の水素原子が有機置換基で置き換えられたもの等が挙げられる。これらの疎水性リン系表面処理剤としては、界面活性剤等として利用されるものも用いることができる。疎水性リン系表面処理剤は、好ましくは、疎水性の原子または原子団を有している。
疎水性の原子または原子団としては、例えば、フッ素原子、炭素数が3以上のアルキル基、水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基等が挙げられる。アルキル基または水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基等の炭素数は、3以上であるのが好ましく、5以上であるのがより好ましく、8以上であるのがさらに好ましい。炭素数の上限は、特に限定されないが、30以下であるのが好ましく、25以下であるのがより好ましく、20以下であるのがさらに好ましい。アルキル基、または水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基等は、リン系表面処理剤のリン原子に結合したもの、または、リン系表面処理剤のリン原子に結合した水酸基がこれによりエーテル化したものが好ましい。アルキル基、または水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたアルキル基等は、直鎖型でも分枝型でもよいが直鎖型が好ましい。
疎水性リン系表面処理剤としては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有するリン化合物であるフッ素系リン系化合物、分子内に少なくとも1個の置換されていないアルキル基を有するリン系化合物、を好適に用いることができる。特に、リン系化合物として、リン酸エステル、ホスホン酸のリン原子に結合した水素原子が置換されたもの、が好ましい。これにより、金属粒子に付着した状態での疎水性をより高めることができ、インク組成物中での金属粒子の分散安定性をより優れたものとすることができる傾向にある。また、ポリオキシアルキレンアミン化合物と併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、インク組成物の保存安定性、記録物の光沢性等をさらに優れたものとすることができる場合がある。
疎水性リン系表面処理剤としては、限るものではないが、例えば、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノラウリルエステル、リン酸モノイソトリデシルエステル、リン酸モノステアリルエステル、リン酸ジオクチルエステル、リン酸ジラウリルエステル、リン酸ジイソトリデシルエステル、リン酸ジステアリルエステルなどが挙げられる。
疎水性リン系表面処理剤がフッ素系リン系化合物である場合、当該フッ素系リン系化合物は、パーフルオロアルキル構造を有するものであるのが好ましい。これにより、インク組成物の保存安定性をさらに優れたものとし、インク組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる場合がある。
表面処理剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤による金属粒子への表面処理は、例えば、前述した気相成膜法により形成した金属製の膜を液体中で粉砕して金属粒子を形成する際に、当該液体中に表面処理剤を含ませておくことにより行うものであってもよい。同一の粒子に対し、複数種の表面処理剤による表面処理を施す場合、各表面処理剤に対応する複数の工程に分けて表面処理を行ってもよいし、同一工程で、複数種の表面処理剤による表面処理を行ってもよい。
また、表面処理剤による表面処理は、ポリオキシアルキレンアミン化合物による処理と、同一工程で行ってもよいし、異なる工程で行ってもよい。表面処理剤による表面処理は、ポリオキシアルキレンアミン化合物による処理の工程より先に行ってもよいし、ポリオキシアルキレンアミン化合物による処理の工程より後に行ってもよい。
インク組成物中におけるポリオキシアルキレンアミン化合物の含有率をXA[質量%]、インク組成物中における表面処理剤の含有率をXP[質量%]としたとき、XA/XPの値の下限は、0.02であるのが好ましく、0.05であるのがより好ましく、0.07であるのがさらに好ましい。また、XA/XPの値の上限は、3.0であるのが好ましく、2.0であるのがより好ましく、1.0であるのがさらに好ましい。これにより、塗膜の経時安定性、記録物の光沢性等がより向上する傾向にある。
インク組成物中における表面処理剤の含有量の下限は、特に限定されないが、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.05質量%以上であるのがより好ましく、0.10質量%以上であるのがさらに好ましい。インク組成物中における表面処理剤の含有量の上限は、特に限定されないが、1.5質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以下であるのがより好ましく、0.8質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、塗膜の経時安定性、記録物の光沢性等がより向上する傾向にある。
また、インク組成物中における表面処理剤の含有量は、金属粒子100質量部に対して、5.0質量部以上60質量部以下であるのが好ましく、10質量部以上50質量部以下であるのがより好ましく、20質量部以上40質量部以下であるのがさらに好ましい。これにより、塗膜の経時安定性、記録物の光沢性等がより向上する傾向にある。
1.2 ポリエステル系分散剤
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、ポリエステル系分散剤を含有し、該ポリエステル系分散剤は、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有するものである。このようなポリエステル系分散剤は、一分子内に酸価とアミン価の両方を有し、記録媒体と金属顔料の両者に作用可能であるため、耐擦性、光沢性のいずれも優れたものとできる。なお、ポリエステル系分散剤が有するアミド結合における窒素原子は、金属顔料への高い吸着性を有し、これにより分散性が向上するため、優れた光沢性が得られる。また、分散剤が酸価(カルボキシル基等に由来)を有する場合、記録媒体への吸着性を向上でき優れた耐擦性が得られる。
「酸価を有する」とは、酸価が0mgKOH/gより大きいことをいう。同様に、「アミン価を有する」とは、アミン価が0mgKOH/gより大きいことをいう。
「ポリエステル系」とは、ジオール単位とジカルボン酸単位との重縮合反応により得られる構造体を含むものであることをいう。「ポリエステル系」であると、有機溶剤への優れた溶解性を有し、溶剤系のインクにおける分散性に優れる。
ジオール単位としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ジカルボン酸単位としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸等が挙げられる。
ポリエステル系分散剤のポリマー構造は、特に制限されないが、ポリエステル側鎖を有する含窒素グラフト共重合体であることが好ましい。すなわち、グラフト鎖がポリエステルであり、主鎖が含窒素ポリマーであるグラフト共重合体である。例えば、ポリアルキレンイミンを主鎖とし、主鎖が有する窒素原子を介してアミド結合したポリエステル側鎖を複数備えるポリマーが挙げられる。
ポリエステル系分散剤の酸価は、0.1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましい。これにより、記録媒体への吸着性がより向上するため、耐擦性により優れる傾向にある。ポリエステル系分散剤の酸価の下限は、特に制限されないが、1mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上がさらに好ましく、7mgKOH/g以上特に好ましく、10mgKOH/g以上がより特に好ましい。ポリエステル系分散剤の酸価の上限は、特に制限されないが、40mgKOH/g以下がより好ましく、35mgKOH/g以下がさらに好ましく、30mgKOH/g以下が特に好ましく、25mgKOH/g以下がより特に好ましい。
ポリエステル分散剤のアミン価は、0.1mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。これにより、金属顔料の分散性がより向上するため、より優れた光沢性が得られる傾向にある。ポリエステル系分散剤のアミン価の下限は、特に制限されないが、1mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上がさらに好ましく、7mgKOH/g以上特に好ましく、10mgKOH/g以上がより特に好ましい。ポリエステル系分散剤のアミン価の上限は、特に制限されないが、180mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下がさらに好ましく、100mgKOH/g以下がよりさらに好ましく、80mgKOH/g以下が特に好ましく、50mgKOH/g以下がより特に好ましい。
酸価及びアミン価は、JIS K 2501に規定される測定法により測定できる。なお、アミン価とは、試料1g中に含まれる塩基性成分を中和するのに要する塩酸または過塩素酸と当量の水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数をいう。
酸価やアミン価は、ポリエステル系分散剤のポリマー構造中へ導入する酸性基や塩基性基の種類や量、又は合成に使用するモノマーの種類や量や比率を変化させることで調整可能である。酸性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基及びスルホ基などが挙げられる。塩基性基としては、例えば、アミノ基、イミノ基及びピロリドン基など挙げられる。
アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有するポリエステル系分散剤の市販品としては、例えば、ヒノアクトシリーズ KF-1300M、KF-1500、T-6000、T-8000、T-8000E、T-9100、R-242、Ri242(以上、川研ファインケミカル株式会社製商品名)などが挙げられる。
ポリエステル系分散剤の含有量の下限は、インク組成物の総質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましく、0.07質量%以上であることが特に好ましい。また、ポリエステル系分散剤の含有量の上限は、インク組成物の総質量に対して、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.7質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以下であることがより特に好ましく、0.3質量%以下であることが殊に好ましい。ポリエステル系分散剤の含有量が上記範囲内であると、耐擦性と光沢性により優れる場合がある。
同様の観点から、金属顔料100質量%に対するポリエステル系分散剤の含有量の下限は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、7質量%以上であることが特に好ましい。また、金属顔料100質量%に対するポリエステル系分散剤の含有量の上限は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
1.3 ポリオキシアルキレンアミン化合物
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、ポリオキシアルキレンアミン化合物を含有する。ポリオキシアルキレンアミン化合物は、金属顔料に表面修飾される表面処理剤との相互作用により、インク組成物中における金属顔料の分散安定性を優れたものとすることができる。また、金属粒子の凝集を防ぎ、金属粒子をほぐすことで表面処理剤による金属粒子の表面処理を十分に進行させることができる。これにより、光沢性や塗膜の経時安定性を向上できるものと考えられる。
ポリオキシアルキレンアミン化合物は、分子内にポリオキシアルキレン構造を有するアミン化合物であれば、いかなるものであってもよいが、塗膜の経時安定性及び吐出安定性により優れる観点から、下記式(1)で示される化合物、その塩のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
(R-(O-R-NH(3-Y) ・・・ (1)
(式(1)中、Rは水素原子または炭素数が4以下のアルキル基であり、Rは炭素数が5以下のアルキレン基であり、Xは10以上の整数である。また、式(1)中、Rの条件が異なる複数種のオキシアルキレンユニットを備えていてもよい。Yは、1~3の整数である。Yが2以上の場合、R、R、Xの条件が異なる(R-(O-R)単位を含んでもよい。)
式(1)で示される化合物の中でも、Yは1が好ましい。Rは、中でも炭素数が4以下のアルキル基が好ましく、炭素数1~2のアルキル基がより好ましい。Rは、炭素数1~3が好ましく、直鎖型のアルキレン基でもよいし、分枝型のアルキレン基でもよい。
式(1)で示される化合物の中でも、塗膜の経時安定性及び吐出安定性により優れる観点から、特に、下記式(2)で示される化合物、その塩のうちの少なくとも1種であるのがより好ましい。
Figure 2024048626000001
(式(2)中、Rは水素原子または炭素数が4以下のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数が3以下のアルキル基であり、Xは10以上の整数である。また、式(2)中、Rの条件が異なる複数種のオキシアルキレンユニットを備えていてもよい。)
上記式(1)、上記式(2)中のRは、水素原子または炭素数が4以下のアルキル基であればよいが、塗膜の経時安定性及び吐出安定性により優れる観点から、炭素数が4以下のアルキル基が好ましく、メチル基であるのがより好ましい。
上記式(2)中のRは、水素原子または炭素数が3以下のアルキル基であればよいが、塗膜の経時安定性及び吐出安定性により優れる観点から、水素原子、メチル基であるのが好ましく、下記式(3)で示される化合物であるのがより好ましい。
Figure 2024048626000002
(式(3)中、X1、X2は独立して1以上の整数であり、X1+X2は10以上の整数である。また、式(3)中、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットの順番は問わない。)
また、上記式(3)におけるX2に対するX1の比率であるX1/X2の値、すなわち、ポリオキシアルキレンアミン化合物の分子内におけるオキシプロピレンユニットの物質量に対するオキシエチレンユニットの物質量の比率の下限は、0.05であるのが好ましく、0.15であるのがより好ましく、0.70であるのがさらに好ましい。また、X1/X2の値の上限は、10.00であるのが好ましく、8.00であるのがより好ましく、6.00であるのがさらに好ましい。X1/X2の値が上記範囲内にあると、塗膜の経時安定性及び吐出安定性により優れる場合がある。
上記式(3)中におけるオキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットの順番は問わない。より具体的には、上記式(3)では、連続するオキシエチレンユニットの末端にメチル基が結合しており、連続するオキシプロピレンユニットの末端にアミノ基が結合しているが、連続するオキシプロピレンユニットの末端にメチル基が結合しており、連続するオキシエチレンユニットの末端にアミノ基が結合していてもよい。また、上記式(3)で示される化合物は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
なお、上記式(1)及び式(2)においても、オキシアルキレンユニットが、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットを有する場合、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットに関して、上記と同様とすることが好ましく、例えば、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットの比率に関して、上記範囲とすることが好ましい。
上記式(3)で示される化合物の市販品としては、例えば、JEFFAMIN M2070(ハンツマン社製)、GENAMIN(M41/2000)(クラリアント社製)などが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアミン化合物の重量平均分子量の下限は、特に限定されないが、400以上であるのが好ましく、500以上であるのがより好ましく、800以上であるのがさらに好ましく、1000以上であるのがもっとも好ましい。また、ポリオキシアルキレンアミン化合物の重量平均分子量の上限は、特に限定されないが、8000以下であるのが好ましく、5000以下であるのがより好ましく、3000以下であるのがさらに好ましい。
ポリオキシアルキレンアミン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.15質量%以上0.45質量%以下であることが好ましい。これにより、インク組成物中における金属顔料の分散安定性がより向上し、記録物の光沢性がさらに優れる傾向にある。ポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量の下限は、インク組成物の総質量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.05質量%以上が特に好ましく、0.10質量%以上がより特に好ましい。また、ポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量の上限は、0.50質量%以下が好ましく、0.40質量%以下がより好ましく、0.30質量%以下がさらに好ましく、0.20質量%以下が特に好ましい。
同様の観点から、ポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量は、金属顔料100質量%に対して、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。金属顔料の総質量に対するポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量の下限は、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、5.0質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、金属顔料100質量%に対するポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量の上限は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
1.4 有機溶剤
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、有機溶剤を含む。ここで、「溶剤系」とは、組成物に含まれる液媒体成分中、有機溶剤の含有量が20質量%以上のものをいう。有機溶剤の含有量は、液媒体成分中、好ましくは30~100質量%であり、より好ましくは40~90質量%であり、さらに好ましくは50~80質量%である。なお、液媒体とは、水や有機溶剤などの溶媒成分である。
有機溶剤の含有量は、インク組成物の総質量に対して、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30~99質量%であり、さらにより好ましくは40~90質量%であり、さらに好ましくは50~80質量%である。
有機溶剤としては、例えば、エステル類、アルキレングリコールエーテル類、環状エステル類、含窒素溶剤、アルコール類、多価アルコール類等を挙げることができる。含窒素溶剤としては環状アミド類、非環状アミド類などを挙げることができる。非環状アミド類としてはアルコキシアルキルアミド類などが挙げられる。
エステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、等のグリコールジエステル類が挙げられる。
アルキレングリコールエーテル類としては、アルキレングリコールのモノエーテル又はジエーテルであればよく、アルキルエーテルが好ましい。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(BTGH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;及び、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
なお、上記のアルキレングリコールは、モノエーテルよりも、ジエーテルのほうが、組成物中に含まれ得る樹脂を溶解又は膨潤させやすい傾向があり、摩擦堅牢性をより向上できる点で好ましい。
環状エステル類としては、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン(γBL)、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、β-ヘキサノラクトン、γ-ヘキサノラクトン、δ-ヘキサノラクトン、β-ヘプタノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、δ-ヘプタノラクトン、ε-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、δ-オクタノラクトン、ε-オクタノラクトン、δ-ノナラクトン、ε-ノナラクトン、ε-デカノラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1~4のアルキル基によって置換された化合物を挙げることができる。
アルコキシアルキルアミド類としては、例えば、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、等を例示することができる。
環状アミド類としては、ラクタム類が挙げられ、例えば、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、等のピロリドン類などが挙げられる。これらは樹脂の皮膜化を促進させる点で好ましく、特に2-ピロリドンがより好ましい。
アルコール類としては、例えば、アルカンが有する1つの水素原子がヒドロキシル基によって置換された化合物が挙げられる。該アルカンとしては、炭素数10以下のものが好ましく、6以下のものがより好ましく、3以下のものが更に好ましい。アルカンの炭素数は1以上であり、2以上であることが好ましい。アルカンは、直鎖型であってもよく、分枝型であってもよい。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、及びtert-ペンタノール、2-フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、フェノキシプロパノールなどがあげられる。
多価アルコール類は、分子中に2個以上の水酸基を有するものである。多価アルコール類は、例えば、アルカンジオール類とポリオール類とに分けることができる。
アルカンジオール類とは、例えば、アルカンが2個の水酸基で置換された化合物が挙げられる。アルカンジオール類としては、例えば、エチレングリコール(別名:エタン-1,2-ジオール)、プロピレングリコール(別名:プロパン-1,2-ジオール)、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール(別名:1,3-ブタンジオール)、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール等を挙げることができる。
ポリオール類としては、例えば、アルカンジオール類の2分子以上が水酸基同士で分子間縮合した縮合物、水酸基を3個以上有する化合物などが挙げられる。
アルカンジオール類の2分子以上が水酸基同士で分子間縮合した縮合物としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジアルキレングリコールや、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のトリアルキレングリコールなどが挙げられる。
水酸基を3個以上有する化合物は、アルカンやポリエーテル構造を骨格とする、3個以上の水酸基を有する化合物である。水酸基を3個以上有する化合物としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,5-ヘキサントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ポリオキシプロピレントリオールなどが挙げられる。
上記有機溶剤は一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、有機溶剤として、アルキレングリコールエーテル類を含むことが好ましく、ジエチレングリコールジエチルエーテルと、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルとを含むことがより好ましい。これにより、塗膜の経時安定性や光沢性や耐擦性により優れる場合がある。
アルキレングリコールエーテル類及びジエチレングリコールジエチルエーテルの好ましい含有量は、前述した有機溶剤の含有量と同様にできる。また、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルの含有量は、インク組成物の総質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、有機溶剤として、環状エステル類を含むことが好ましく、γ-ブチロラクトンを含むことがより好ましい。これにより、塗膜の経時安定性や光沢性や耐擦性により優れる場合がある。
環状エステル類の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.5~10質量%が好ましく、1.0~5質量%がより好ましく、1.5~3.5質量%がより好ましい。
1.5 アクリル系樹脂
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、さらに、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。アクリル系樹脂を含有することで、インク組成物を用いて製造される着色体において、インク組成物が付与される被処理体とインク組成物により形成される着色部との密着性に向上し、耐擦性により優れる傾向にある。
アクリル系樹脂は、主に、アクリル系モノマーで構成された重合体であればよいが、アクリル系樹脂を構成する全構成モノマー中におけるアクリル系モノマーの比率は、耐擦性により優れる観点から、50質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのがさらに好ましい。上限は100質量%以下である。なお、樹脂に占める構成モノマーの比率は、樹脂を重合して調製する際に用いたモノマー組成における質量%である。
アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸や、これらのエステル化合物等が挙げられる。より具体的には、アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを表し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
アクリル系樹脂は、構成モノマーとして、前述したアクリル系モノマー以外のモノマーを含んでいてもよい。このようなモノマーとしては、例えば、ビニル系モノマー等が挙げられる。ビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン等が挙げられる。ただし、アクリル系樹脂を構成する全構成モノマー中におけるアクリル系モノマー以外のモノマーの比率は、50質量%以下であるのが好ましく、20質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以下であるのがさらに好ましい。下限は0質量%以上である。例えば、ビニル系モノマーの比率を上記範囲としてもよい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5000~20000が好ましく、6000~17000がより好ましく、7000~14000がさらに好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であると、耐擦性により優れる場合がある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定することができる。
アクリル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えばアクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG-1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)、UC-3000(商品名、東亞合成株式会社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。
アクリル系樹脂の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.01~5質量%であることが好ましく、0.05~3質量%がより好ましく、0.07~1質量%がさらに好ましく、0.1~0.5質量%が特に好ましく、0.15~0.3質量%がより特に好ましい。アクリル系樹脂の含有量が上記範囲内であると、耐擦性により優れる場合がある。
1.6 その他の成分
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、上記の成分の他にも、必要に応じて、界面活性剤、キレート剤、防腐剤・防かび剤、粘度調整剤、溶解助剤、酸化防止剤など、所定の性能を付与するための物質を含有してもよい。
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、本発明の奏する効果をより享受できる観点から、光重合開始剤及び架橋剤の少なくとも一方を含まないことが好ましい。すなわち、インク組成物は、光重合開始剤を含まないことが好ましく、又は架橋剤を含まないことが好ましく、又は光重合開始剤と架橋剤のいずれも含まないことが好ましい。これらを含むものであると耐擦性を向上させやすいが、本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物によれば、これらを含まなくとも優れた耐擦性が得られる。また、これらを含まないことで、インク組成物の保存安定性が向上する傾向にある。
光重合開始剤は、紫外線、可視光線等の放射線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成するものである。光重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4-ジエチルチオキサントンが挙げられる。
架橋剤としては、例えば、複数のグリシジルエーテルを有する化合物、複数のオキサゾリン基を有する化合物、末端にブロック化されたイソシアネート基を複数有する化合物等が挙げられる。グリシジルエーテルを有する化合物として、グリシジルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂、オキサゾリン基を有する化合物として、オキサゾリン基を有する樹脂、末端にブロック化されたイソシアネート基を有する化合物として、末端にブロック化されたイソシアネート基を有するウレタン樹脂等が挙げられる。
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、本発明の奏する効果をより享受できる観点から、アルコキシシラン化合物を含まないことが好ましい。アルコキシシラン化合物を含有することで、金属顔料の分散性を向上させ、光沢性を良好にできる場合がある。しかしながら、本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物によれば、アルコキシシラン化合物を含まなくとも優れた光沢性が得られる。また、アルコキシシラン化合物を含まないことで、インク組成物の保存安定性が向上する傾向にある。
アルコキシシラン化合物とは、ケイ素にアルコキシ基が結合した化合物をいい、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシランおよびn-デシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
1.7 用途
本実施形態に係る溶剤系インクジェットインク組成物は、塩化ビニル系記録媒体への記録に用いられるものであることが好ましい。分散剤が酸価を有する場合、記録媒体への吸着性を向上できるが、特に塩化ビニル系記録媒体に対する吸着性を向上できる。これにより、さらに優れた耐擦性を得ることができる。
塩化ビニル系記録媒体としては、記録面が塩化ビニル系樹脂であればよい。すなわち、塩化ビニル系記録媒体は、例えば、塩化ビニル系樹脂からなるフィルムでもよいし、紙等の基材上に塩化ビニル系樹脂がコーティングされているもの、紙等の基材上に塩化ビニル系樹脂フィルムが接着されているもの、でもよい。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルモノマーを単独重合させたものであってよく、塩化ビニルモノマーと他のモノマー(例えば、酢酸ビニルモノマー等)との共重合体であってもよいが、ポリ塩化ビニルであることが好ましい。
2.インクジェット記録方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、上述の溶剤系インクジェットインク組成物をインクジェット法により吐出し、塩化ビニル系記録媒体に対して記録するものである。
本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、用いられるインク組成物に含まれる上述の分散剤が、一分子内に酸価とアミン価の両方を有し、記録媒体と金属顔料の両者に作用可能であるため、耐擦性、光沢性のいずれも優れたものとできる。そのうえ、塩化ビニル系記録媒体に対して記録を行うものであるため、分散剤の吸着性がより高まり、より優れた耐擦性を得ることができる。加えて、用いられるインク組成物に含まれる上述のポリオキシアルキレンアミン化合物により、光沢性や塗膜の経時安定性がより向上する。これにより、本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、優れた塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性が得られる。
塩化ビニル系記録媒体としては、上述したとおりであり、その形状も特に限定されず、シート状、板状、物体状など、いかなるものであってもよい。
インクジェット法の方式としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インクジェット組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット法によるインクジェット組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、塩化ビニル系記録媒体の前処理工程、乾燥工程等を含んでもよい。このような工程を含むと、光沢性がより良好となる場合がある。
3.実施例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。
3.1 インクジェットインク製造用原液の作製
まず、表面粗さRaが0.02μm以下で表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルムを用意した。次に、このフィルムの一方の面の全体に、アセトンにより可溶化させた離型樹脂をロールコーターによりコーティングすることで離型層を形成した。離型層が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルムを5m/sの速度で真空蒸着装置内に搬送し、減圧下において、Alで構成された厚さ17.4nmの膜を形成した。
次に、Alの膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルムを、テトラヒドロフラン中に浸漬し、40kHzの超音波振動を付与することにより、Al製の金属粒子の集合体である金属粉末の分散液が得られた。
遠心分離機にてテトラヒドロフランを除去し、ジエチレングリコールジエチルエーテルを添加して金属粉末の含有率が5質量%の懸濁液を得た。次に、この懸濁液について、循環型の高出力超音波粉砕機で処理を施すことにより、下表1~2に記載した大きさになるまで金属粒子を粉砕した。当該処理では、20kHzの超音波を付与した。
次に、前記懸濁液に、所定量のポリオキシアルキレンアミン化合物を加えて、40kHzの超音波照射のもと55℃で1時間の熱処理を施すことにより、金属粒子の凝集を解して一次粒子の状態で、金属粒子を分散させた。なお、下表2の比較例5においては、ポリオキシアルキレンアミン化合物を用いなかった。ここで、ポリオキシアルキレンアミン化合物としては、連続するオキシエチレンユニットの末端にアミノ基が結合しており、連続するオキシプロピレンユニットの末端にメチル基が結合しているブロック共重合体であり、上記式(3)中のX1とX2との間でX1/X2が3.1の条件を満足し、重量平均分子量が2000のものを用いた。さらに、そこに、疎水性リン系表面処理剤であるアルキルリン酸化合物としてのC1835-O-PO-(OH)を加えて、28kHz超音波照射下にて55℃で3時間の熱処理を施すことにより、インクジェットインク製造用原液(顔料分散液)を得た。
3.2 溶剤系インクジェットインク組成物の作製
上記で得られたインクジェットインク製造用原液(顔料分散液)を用いて、下表1、表2に記載した組成となるように、各成分を添加し、各実施例及び各比較例に係る溶剤系インクジェットインク組成物を得た。
Figure 2024048626000003
Figure 2024048626000004
上表1、表2の記載について説明を補足する。
〔金属顔料〕
表中の「D50」は、体積平均粒子径D50を表し、マイクロトラックMT-3300(マイクロトラック・ベル社製、レーザー回析・散乱式粒子径分布測定装置)を用いて測定した。また、膜厚は、NanoNaviE-Sweep(SIIナノテクノロジー社製)を用いた原子間力顕微鏡法により測定を行い、任意の50個の金属顔料で測定を行い平均値して算出した。
〔ポリエステル系分散剤〕
・KF-1300M(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・KF-1500(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・T-6000(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・T-8000(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・T-8000E(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・T-9100(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・R-242(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・Ri242(川研ファインケミカル社製商品名、アミド結合並びに酸価及びアミン価を有するポリエステル系分散剤)
・SOLSPERSE41000(Lubrizol社製商品名、酸価を有するポリエステル系分散剤)
・SOLSPERSE76500(Lubrizol社製商品名、アミン価を有するポリエステル系分散剤)
なお、酸価及びアミン価の単位は「mgKOH/g」である。
〔ポリオキシアルキレンアミン化合物〕
・JEFFAMIN M2070(ハンツマン社製)
〔樹脂〕
・UC3000(東亞合成社製商品名、アクリル系樹脂)
3.3 評価方法
3.3.1 光沢
セイコーエプソン社製のSC-S80650の改造機を用い、各例の記録物を作製した。インクジェットヘッドは、ノズル列のノズル密度が360npi、360ノズルとした。インクジェットヘッドに各例の溶剤系インクジェットインク組成物を充填した。最適な吐出が行えるようにインクジェットヘッドの駆動波形を最適化した。記録媒体として、ポリ塩化ビニル製のフィルム(Mactac社製、Mactac5829R)を用いた。記録を行う際の、記録パターンにおけるインク付着量は5mg/inch、記録解像度1440×1440dpiとした。
各例の記録物の印刷部について、光沢度計であるMINOLTA MULTI GLOSS 268を用い、煽り角度20°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。この値が大きいほど光沢性に優れているといえる。C以上を良好なレベルとした。
(評価基準)
AA:光沢度が650以上。
A:光沢度が600以上。
B:光沢度が500以上600未満。
C:光沢度が400以上500未満。
D:光沢度が300以上400未満。
E:光沢度が300未満。
3.3.2 耐擦性
上記「光沢」の評価と同様にして、各例の記録物を作製し、初期の光沢度を測定した。その後、記録物を恒温槽(温度40℃、湿度100%)に24時間放置後、JIS K5701(ISO 11628)に準じて、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製、商品名「AB-301」)を用いて耐擦性の評価を行った。すなわち、記録物の記録面に綿布を載せ、荷重500gで20回往復させて擦り、擦った後の記録物の記録面の光沢度を光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度20°で再度測定し、初期の光沢度と比較して、以下の基準に従い評価した。C以上を良好なレベルとした。
(評価基準)
A:光沢度低下が5%未満。
B:光沢度低下が5%以上10%未満。
C:光沢度低下が10%以上20%未満。
D:光沢度低下が20%超。
3.3.3 塗膜の経時安定性
上記「光沢」の評価と同様にして、各例の記録物を作製し、初期の光沢度を測定した。その後、記録物を60℃恒温槽に3日間放置し、室温に戻した後、光沢度を再度測定し、初期の光沢度と比較して、以下の基準に従い評価した。C以上を良好なレベルとした。
(評価基準)
A:光沢度低下が3%未満。
B:光沢度低下が3%以上5%未満。
C:光沢度低下が5%以上10%未満。
D:光沢度低下が10%超。
3.4 評価結果
評価結果を上表1、表2に示す。
上表1、表2より、金属顔料と、ポリエステル系分散剤と、ポリオキシアルキレンアミン化合物と、有機溶剤と、を含み、該ポリエステル系分散剤は、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有する、本発明に係る各実施例では何れも優れた塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性が得られた。
これに対して、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有するポリエステル系分散剤(以下、「特定ポリエステル系分散剤」という。)を含まない比較例1~4、及びポリオキシアルキレンアミン化合物を含まない比較例5では、塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性の少なくとも1つ以上に劣るものであった。
実施例1~3の結果より、金属顔料の体積平均粒子径D50が小さい場合であっても、良好な光沢性が得られた。
実施例1、4~9、12の結果より、種々の特定ポリエステル系分散剤において、優れた塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性が得られた。
実施例10~13と比較例5の対比より、ポリオキシアルキレンアミン化合物が少量でも含有されることで、優れた塗膜の経時安定性が得られた。
実施例14の結果より、特定ポリエステル系分散剤を複数種用いる場合であっても、優れた塗膜の経時安定性、光沢性及び耐擦性が得られた。
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
溶剤系インクジェットインク組成物の一態様は、
金属顔料と、ポリエステル系分散剤と、ポリオキシアルキレンアミン化合物と、有機溶剤と、を含み、
前記ポリエステル系分散剤は、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有するものである。
上記溶剤系インクジェットインク組成物の一態様において、
前記ポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.15質量%以上0.45質量%以下であってもよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
前記金属顔料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である金属粒子を含むものであってよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
前記ポリエステル系分散剤の前記酸価は、0.1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であってもよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
前記ポリエステル系分散剤の前記アミン価は、0.1mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であってもよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
さらに、アクリル系樹脂を含むものであってよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
前記有機溶剤として、ジエチレングリコールジエチルエーテルと、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルとを含むものであってよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
光重合開始剤及び架橋剤の少なくとも一方を含まないものであってよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
アルコキシシラン化合物を含まないものであってよい。
上記溶剤系インクジェットインク組成物のいずれかの態様において、
塩化ビニル系記録媒体への記録に用いられるものであってよい。
インクジェット記録方法の一態様は、
上記いずれかの態様の溶剤系インクジェットインク組成物をインクジェット法により吐出し、塩化ビニル系記録媒体に対して記録するものであってよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成、を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (11)

  1. 金属顔料と、ポリエステル系分散剤と、ポリオキシアルキレンアミン化合物と、有機溶剤と、を含み、
    前記ポリエステル系分散剤は、アミド結合を有し、かつ酸価とアミン価との両方を有する、溶剤系インクジェットインク組成物。
  2. 前記ポリオキシアルキレンアミン化合物の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.15質量%以上0.45質量%以下である、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  3. 前記金属顔料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である金属粒子を含む、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  4. 前記ポリエステル系分散剤の前記酸価は、0.1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  5. 前記ポリエステル系分散剤の前記アミン価は、0.1mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  6. さらに、アクリル系樹脂を含む、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  7. 前記有機溶剤として、ジエチレングリコールジエチルエーテルと、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルとを含む、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  8. 光重合開始剤及び架橋剤の少なくとも一方を含まない、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  9. アルコキシシラン化合物を含まない、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  10. 塩化ビニル系記録媒体への記録に用いられる、請求項1に記載の溶剤系インクジェットインク組成物。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の溶剤系インクジェットインク組成物をインクジェット法により吐出し、塩化ビニル系記録媒体に対して記録する、インクジェット記録方法。
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