JP2024048071A - コンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法 - Google Patents

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勇人 木下
Isato Kinoshita
計行 竹中
Kazuyuki Takenaka
真吾 宮本
Shingo Miyamoto
宏史 宮原
Hiroshi Miyahara
章 富川
Akira Tomikawa
順吾 宮地
Jungo Miyaji
国栄 韓
Guorong Han
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Abstract

【課題】切羽に吹付けられたコンクリートの吹付け厚さを面的に管理しながら吹付け施工を行うことのできる、コンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法を提供する。【解決手段】トンネルTの少なくとも切羽Kに対してコンクリートを吹付けるコンクリート吹付け機100であり、自走式の吹付け台車10と、ノズルブーム20及びノズル40を備えているノズル機構50と、切羽Kにおける測定点の吹付け台車10に対する相対座標を特定する制御装置80とを有し、吹付け台車10の前方には3Dスキャナ90Aとカメラ95が装備され、キャビン13にはモニタ15が装備されており、モニタ15には、カメラ95にて撮像された切羽画像と、各測定点の周りの面領域の輪郭線とが重ねて表示され、測定点までのコンクリートの吹付け前後の距離データに基づいて、制御装置80にて算出されたコンクリートの吹付け厚さが面領域の吹付け厚さとして表示される。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法に関する。
山岳トンネルの施工においては、所定延長の掘削とずり出しを行った後、造成されたトンネルの周面と切羽に対してコンクリートの一次吹付け(一次吹き)を行い、支保工の建て込みを行い、二次吹付け(二次吹き)を行った後、必要に応じてロックボルトを打設する一連の施工サイクルが実施される。
一次吹付けと二次吹付けにおいては、コンクリートを吐出するノズルを先端に備えたノズルブームや、支保工を把持してトンネルの周面に設置するエレクタ等が自走式の吹付け台車に装備されている、コンクリート吹付け機が一般に適用される。
上記するノズルブームには、ロータリーエンコーダや角度センサ、ストロークセンサ等の各種センサが装備されており、吹付け台車にはターゲットが装備されている。コンクリート吹付け機よりもトンネルの坑口側にある測量基準点を測量可能な位置には、トータルステーション等の測量手段が設置されており、測量手段により吹付け台車の三次元座標が特定されるようになっている。そして、ノズルブームの備えるロータリーエンコーダにてノズルブームの水平角度が特定され、角度センサにてノズルブームの傾斜角度が特定され、ストロークセンサにてノズルブームの例えば先端位置(ノズル位置)までの長さが特定されるようになっており、従って、これら吹付け台車の三次元座標と、ノズルブームの水平角度や傾斜角度、及びその先端までの長さによる特定情報により、ノズルブームの先端の三次元座標が特定され、当該先端に取り付けられているノズルの三次元座標が特定される。ノズルブームの先端やノズルには、コンクリートの吹付け面であるトンネルの切羽や周面までの距離を測定する、例えばミリ波レーダー等の距離センサが設けられている。
トンネルの切羽や周面に対するコンクリートの吹付けの前後で、ノズルの三次元座標を特定するとともにノズルと吹付け面の間の距離を測定することにより、吹付け面の三次元座標が特定される。従って、吹付け面におけるコンクリートの吹付け前後の三次元座標を特定することにより、その差分から吹付け厚が特定される。
切羽や周面のそれぞれにおいて複数箇所の吹付け厚を特定しながらコンクリート吹付けを実行することにより、吹付け厚が高い精度で管理されたコンクリート吹付けを実現することができる。
ここで、特許文献1には、トンネルの掘削面に吹付けられるコンクリート材料の厚さを管理するコンクリート吹付け厚さ管理システムが提案されている。このコンクリート吹付け厚さ管理システムは、掘削面までの距離を測定可能な距離検出器と、コンクリート材料が吹付けられている掘削面の吹付け表面に所定の情報を表示可能な表示装置と、距離検出器の検出値に基づいて表示装置を制御する制御装置とを備えている。
制御装置は、掘削面に吹付けられるコンクリート材料の目標吹付け厚さを設定し、コンクリート材料が吹付けられていない掘削面までの基準距離を距離検出器により測定し、コンクリート材料が吹付けられている掘削面の吹付表面までの表面距離を距離検出器により測定し、測定された基準距離と表面距離との差分を算出し、算出された差分と目標吹付け厚さとを比較した結果に応じて、表示装置により吹付け表面に所定の情報を表示するようになっている。
特開2021-95716号公報
特許文献1に記載のコンクリート吹付け厚さ管理システムによれば、掘削面の吹付け前後の吹付け表面までの表面距離を距離検出器によって測定し、双方の差分を求めることにより吹付け厚さを算出することができる。しかしながら、この測定方法では、面的に広がる切羽の例えば複数点の吹付け厚さを算出して管理できる一方で、切羽の面的な吹付け厚さの管理は極めて難しく、また、ここには面的な吹付け厚さの管理手段に関する記載はない。
本発明は、切羽に吹付けられたコンクリートの吹付け厚さを面的に管理しながら吹付け施工を行うことのできる、コンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるコンクリート吹付け機の一態様は、
トンネルの少なくとも切羽に対してコンクリートを吹付ける、コンクリート吹付け機であって、
自走式の吹付け台車と、
前記吹付け台車に対して旋回自在に取り付けられ、自身の軸方向に伸縮自在である、ノズルブームと、該ノズルブームの先端に取り付けられていてコンクリートを吐出する、ノズルと、を備えている、ノズル機構と、
少なくとも、前記切羽における測定点の前記吹付け台車に対する相対座標を特定する、制御装置とを有し、
前記吹付け台車の前方には、3Dスキャナとカメラが装備され、
前記吹付け台車のキャビンにはモニタが装備されており、
前記モニタには、前記カメラにて撮像された前記切羽の切羽画像と、それぞれの前記測定点の周りの面領域の輪郭線とが重ねて表示され、
前記3Dスキャナにて取得された前記測定点までのコンクリートの吹付け前後の距離データに基づいて、前記制御装置にて算出されたコンクリートの吹付け厚さが、前記面領域の吹付け厚さとして表示されることを特徴とする。
本態様によれば、吹付け台車の前方に3Dスキャナとカメラが装備され、吹付け台車のキャビンにモニタが装備されていて、カメラにて撮像された切羽の切羽画像と、それぞれの測定点の周りの面領域の輪郭線とが重ねて表示され、さらに、3Dスキャナにて取得された各測定点までのコンクリートの吹付け前後の距離データに基づいて算出されたコンクリートの吹付け厚さが、各面領域の吹付け厚さとして表示されることにより、吹付け台車のキャビンに搭乗するオペレータは、切羽全体の切羽画像が分割されている複数の面領域に対応した吹付け厚さを確認できることから、切羽に吹付けられたコンクリートの吹付け厚さを面的に管理しながら、吹付け施工を行うことが可能になる。
例えば、設計吹付け厚さが設定されていて、現状の吹付け厚さと設計吹付け厚さとの差分値がモニタに表示され、コンクリートの吹付けが不足している面領域に対して表示された差分値に相当するコンクリートを吹付けるようにしてもよい。
ここで、「測定点の周りの面領域」とは、例えば、測定点を中心とした一定範囲の領域の吹付け厚さが同程度であるとの設定の下で、平面視矩形(正方形や長方形)の範囲や平面視円形の範囲等を輪郭線で規定して1つの面領域とするものである。面的に広がる切羽の切羽画像は、重ねて表示された複数の面領域の輪郭線で複数の領域に分割することができる。そして、各面領域の内部には、制御装置にて算出されている吹付け厚さが面領域全域の吹付け厚さであるとして表示される。
また、本発明によるコンクリート吹付け機の他の態様において、
前記吹付け厚さには、厚さに応じて複数種の表示色が設定され、
複数の前記面領域が複数のメッシュにより形成されており、
前記モニタには、複数の前記メッシュの内部、もしくは、該メッシュの輪郭線、もしくは、該メッシュにおける前記吹付け厚さを示す数値が、吹付け厚さに応じた前記表示色にて表示されることを特徴とする。
本態様によれば、複数の面領域が複数のメッシュにより形成され、従って切羽画像が複数のメッシュによって分割されることにより、上下左右に規則正しく整列したメッシュにて切羽画像を分割することができる。その上で、モニタにおいて、複数のメッシュの内部、もしくは、メッシュの輪郭線、もしくは、メッシュにおける吹付け厚さを示す数値が、吹付け厚さに応じた表示色にて表示されることにより、切羽における吹付け厚さの面的な管理の精度を高めることができ、さらには、吹付厚さの不足している面領域の特定が容易となり、特定された当該面領域に対して速やかに追加の吹付けを行うことが可能になる。
また、本発明によるコンクリート吹付け機の他の態様において、
前記メッシュの内部が前記表示色にて表示されている場合に、該メッシュの内部が着色された半透明にて表示され、該メッシュの内部に対応する切羽画像が視認できるようになっていることを特徴とする。
本態様によれば、メッシュの内部が表示色にて表示されている場合に、メッシュの内部が着色された半透明にて表示されることにより、切羽画像の視認を可能にしながら、各メッシュにおける吹付け厚さを表示色により特定することができる。
また、本発明によるコンクリート吹付け機の他の態様において、
オペレータが、前記切羽画像における前記ノズルの位置と、吹付け対象の前記メッシュの双方を前記モニタにより確認自在であることを特徴とする。
本態様によれば、オペレータが、切羽画像におけるノズルの位置と吹付け対象のメッシュの双方をモニタ上で確認できることにより、ノズルを所望の吹付け位置に精度よく速やかに位置合わせして、コンクリートの吹付けを実行することが可能になる。
切羽画像は、静止画像の他に動画としてモニタに表示することができるため、動画においては、移動するノズルを随時モニタ表示し、ノズルが所望の吹付け位置にあることを随時確認することが可能になる。
また、本発明によるコンクリート吹付け機の他の態様において、
前記制御装置は、前記距離データに基づいて、前記切羽画像の倍率調整を実行することを特徴とする。
本態様によれば、例えば切羽とカメラの位置関係(相対距離)に応じて、カメラの照準と切羽の正面視寸法との間にずれがある場合に、制御装置により特定された距離データに基づいて切羽画像の倍率調整(切羽画像の拡大や縮小、トリミング等)や吹付け台車(及びカメラ)の移動調整を実行することにより、カメラの照準を切羽の全域に適正に重なり合わせる補正が可能になる。
また、本発明によるコンクリート吹付け方法の一態様は、
トンネルの少なくとも切羽に対してコンクリートを吹付ける、コンクリート吹付け方法であって、
自走式の吹付け台車と、該吹付け台車に対して旋回自在に取り付けられ、自身の軸方向に伸縮自在であるノズルブームと、該ノズルブームの先端に取り付けられていてコンクリートを吐出するノズルとを備えている、ノズル機構と、少なくとも、前記切羽における測定点の前記吹付け台車に対する相対座標を特定する、制御装置とを有し、前記吹付け台車の前方には3Dスキャナとカメラが装備され、前記吹付け台車のキャビンにはモニタが装備されている、コンクリート吹付け機を使用して、前記切羽にコンクリートを吹付け、この吹付けの前後に、前記3Dスキャナにて前記切羽までのコンクリートの吹付け前後の距離データを取得し、前記制御装置にてコンクリートの吹付厚さを算出し、前記モニタには、前記カメラにて撮像された前記切羽の切羽画像と、それぞれの前記測定点の周りの面領域の輪郭線と、算出されたそれぞれの前記測定点の吹付厚さとを重ねて表示し、吹付厚さの不足している該面領域に対して追加の吹付けを行うことを特徴とする。
本態様によれば、吹付け台車の前方に3Dスキャナとカメラが装備され、吹付け台車のキャビンにモニタが装備されていて、カメラにて撮像された切羽の切羽画像と、それぞれの測定点の周りの面領域の輪郭線とが重ねて表示され、さらに、3Dスキャナにて取得された各測定点までのコンクリートの吹付け前後の距離データに基づいて算出されたコンクリートの吹付け厚さが、各面領域の吹付け厚さとして表示されることにより、吹付け台車のキャビンに搭乗するオペレータは、切羽全体の切羽画像が分割されている複数の面領域に対応した吹付け厚さを確認し、切羽に吹付けられたコンクリートの吹付け厚さを面的に管理しながら、吹付け施工を行うことが可能になる。このようなモニタ表示により、吹付厚さの不足している面領域の特定が容易となることから、特定された当該面領域に対して速やかに追加の吹付けを行うことができ、切羽の全域に対して吹付け厚さが高精度に管理されたコンクリート吹付けを実現できる。
本発明のコンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法によれば、切羽に吹付けられたコンクリートの吹付け厚さを面的に管理しながら、吹付け施工を行うことができる。
実施形態に係るコンクリート吹付け機の一例の側面図である。 実施形態に係るコンクリート吹付け機の一例の平面図である。 コンクリート吹付け機を構成する制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 コンクリート吹付け機を構成する制御装置の機能構成の一例を、周辺機器とともに示す図である。 切羽に対するカメラの位置に応じて、カメラの照準と切羽の正面視寸法との間にずれがある場合の対応策の例を示す図である。 モニタの表示画面の一例を示す図であって、基準値計測モードの表示例を示す図である。 モニタの表示画面の他の例を示す図であって、吹付値計測モードの表示例を示す図である。 モニタの表示画面において、切羽画像と、吹付け厚さに応じて着色されたメッシュが重ねて表示されている表示例を示す図である。
以下、実施形態に係るコンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係るコンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法]
図1乃至図8を参照して、実施形態に係るコンクリート吹付け機とコンクリート吹付け方法の一例について説明する。ここで、図1と図2はそれぞれ、実施形態に係るコンクリート吹付け機の一例の側面図と平面図である。
以下、図1と図2において、トンネルTの軸方向をX方向、X方向に直交する水平方向をY方向、X方向に直交する鉛直方向をZ方向とする。以下で説明する、例えば切羽Kにおける複数の測定点の吹付け台車10に対する相対座標は、この3方向による(Xi,Yi,Zi)で特定することができる。
コンクリート吹付け機100は、地盤Gに造成されているトンネルT(山岳トンネル)におけるコンクリートの吹付け面である、切羽Kと周面Sに対して所定の吹付け厚にてコンクリートを吹付ける重機である。
山岳トンネルTの施工においては、所定延長の掘削とずり出し、造成されたトンネルTの周面Sと切羽Kに対するコンクリートの一次吹付け、支保工の建て込み、二次吹付けを一連の施工サイクルとし、この施工サイクルを繰り返しながら掘進していく。ここで、二次吹付けの後に、必要に応じてロックボルトを打設する施工方法もある。
図1と図2においては、吹付け厚tの吹付けコンクリートCの施工が完了している区間の先の1m乃至3m程度の範囲の掘削とずり出しが完了し、当該区間の切羽Kと周面Sが露出している状態を示している。この露出している切羽Kと周面Sに対して、吹付け厚を管理しながら吹付けコンクリートの施工が行われる。
コンクリート吹付け機100は、自走式の吹付け台車10と、吹付け台車10に搭載されている制御装置80と、吹付け台車10の前方(切羽K側)の中央位置において、鉛直方向(Y1方向)と水平方向(Y2方向)に旋回自在に取り付けられ、自身の軸方向にY3方向に伸縮自在である、ノズルブーム20を有する。
コンクリート吹付け機100はさらに、吹付け台車10の前方のノズルブーム20の左右位置において、同様にY1方向とY2方向に旋回自在に取り付けられ、自身の軸方向にY4方向に伸縮自在である、一対のエレクタ60と、吹付け台車10の前方の左右のエレクタ60の近傍位置において、同様にY1方向とY2方向に旋回自在に取り付けられ、マンケージ72を先端に備えている一対のマンケージブーム70を有する。
ノズルブーム20は、吹付け台車10から延びるブーム21と、ブーム21の先端において回動自在でかつ伸縮自在に取り付けられているアーム22とを有する。アーム22の先端にはロータリー機構30が取り付けられ、ロータリー機構30にはノズル40が取り付けられており、ノズルブーム20と、ロータリー機構30と、ノズル40とにより、ノズル機構50が構成される。
ここで、ノズル40における吐出口と反対側の端部(図1ではノズル40の下端)には不図示のコンクリート圧送ホース(もしくはコンクリート圧送配管)の端部が取り付けられ、このコンクリート圧送ホースは、不図示のミキサー車からコンクリートが供給されるホッパーと、コンクリートを圧送するコンクリートポンプとに通じている。
制御装置80による駆動制御にてコンクリートポンプを駆動することにより、コンクリート圧送ホースを介してコンクリートがノズル40に供給され、ノズル40から吹付け面に対してコンクリートが吐出される。ここで、ノズル40に対して直接的に、もしくは、コンクリート圧送ホースにおけるノズル40の近傍位置に、急結材が供給され、急結材が添加されたコンクリートが吹付け面に吐出されてもよい。
吹付け台車10のうち、坑口側の後方には第3ターゲット12Aが装備され、中央の左右位置には別途の第3ターゲット12B,12Cが装備されており、各第3ターゲット12A,12B,12Cは、高さレベルが相互に相違するように設置されている。
コンクリート吹付け機100よりもトンネルTの坑口側における、測量基準点を測量可能な位置には、不図示のトータルステーションからなる測量手段が設けられており、トータルステーションにて各第3ターゲット12A,12B,12Cが視準され、測距と測角が実行されることにより、吹付け台車10の三次元座標(絶対座標)が測定される。トータルステーションにより測定された吹付け台車10の三次元座標データは、制御装置80に送信もしくはデータ入力される。
尚、コンクリート吹付け機100は、吹付け面における吹付け厚の測定に際して、吹付け台車10の絶対座標を必ずしも適用するものでないが、吹付け台車10の絶対座標と、以下で説明する3DスキャナA(90A)等により測定された吹付け面における測定点の相対座標とに基づいて、当該測定点の絶対座標が特定され、コンクリート吹付け前後の測定点の絶対座標に基づいて吹付け厚が特定されてもよい。
吹付け台車10の前方の左右端にはそれぞれ、3DスキャナA(90A)が装備されている。ここで、3DスキャナA(90A)や以下で説明する3DスキャナB(90C)としては、3DRiDERの適用が好ましい。3DRiDERは、振動等に強く、重機への設置に好適であるとともに、一般の3Dスキャナに比べて相対的に安価な計測器であることがその理由である。
ノズルブーム20のうち、ブーム21とアーム22にはそれぞれ第1ターゲット28C,28Bが装備され、ロータリー機構30には別途の第1ターゲット28Aが装備されている。
ノズルブーム20にはその他、複数の角度センサ25A、25B,25Cや、ロータリーエンコーダ26,ストロークセンサ27が装備されている。各角度センサ25A、25B,25Cにより各位置の傾斜角度が特定され、ロータリーエンコーダ26により水平角度が特定され、ストロークセンサ27によりノズルブーム20の所定位置(例えばアーム22の先端位置)における吹付け台車10からの長さが特定される。
ノズルブーム20の先端のロータリー機構30には、レーザ距離計90Bが装備されている。このレーザ距離計90Bにより、ノズル40と吹付け面までの距離を随時計測し、一定の距離を確保しながらコンクリートの吹付けを行う。ノズル40と吹付け面の間の距離を、例えば1.5m程度に設定してコンクリートの吹付けを行う際に、地山面の肌落ちや吹付け面の剥がれ等が発生し、さらに吹付け面の表面凹凸は一般に大きいことから、レーザ距離計による計測値に基づいてノズルブーム20を伸縮させ、ノズル40と吹付け面との間の距離を一定に保つようにするのが望ましい。
また、エレクタ60には、複数の角度センサ65A,65Bの他、第2ターゲット68と3DスキャナB(90C)やストロークセンサ67が装備されている。尚、エレクタ60にも、ロータリーエンコーダがさらに装備されていてもよい。
吹付け台車10の前方の左右端にある3DスキャナA(90A)は、吹付け面である切羽Kと周面Sにおける複数の測定点(吹付け厚を測定する点)の吹付け台車10に対する相対座標を測定する。
3DスキャナA(90A)はさらに、ノズル機構50に装備されている第1ターゲット28A,28B,28Cと、エレクタ60に装備されている第2ターゲット68をそれぞれ視準し、ノズル40の吹付け台車10に対する相対位置と、3DスキャナB(90C)の相対位置を特定し、各相対位置データを制御装置80に送信する。
図示を省略するが、ロータリー機構30は、一対の筐体と、筐体に収容されるモータと、モータの上方に載置される格納体と、一方の筐体から側方に張り出してノズルが設置されるノズル取り付け筒とを有する。他方の筐体の内部には、レーザ距離計90Bが設置されており、コンクリートの吹付け方向にある吹付け面に対してレーザを照射し、反射レーザを取得して吹付け面までの距離を随時測定する。ノズル取り付け筒には、ノズル40とコンクリート圧送ホースが取り付けられ、不図示のコンクリートポンプの駆動によって供給されたコンクリートがコンクリート圧送ホースを介してノズルに供給され、ノズル40から吐出されるようになっている。
ロータリー機構30は、格納体から側方へ、段階的に偏心板が張り出すように構成されており、偏心板が一方側へ偏位した状態でモータが回転することにより、ノズル40を揺動させる機構である。揺動しているノズル40からコンクリートを吐出するロータリー吹付けにより、吹付け面に対するノズル40の距離を一定に保ち、吹付け面に対するコンクリートの吹付け圧と吹付け量を均等に保ちながら、吹付け面に対して万遍なくコンクリートを吹付けることを可能にする。
ここで、一方の筐体には、不図示の接近センサが設置されており、モータを構成する不図示のロータ内に収容されている永久磁石の接近を検知してロータの回転数を計測するようになっている。また、他方の筐体には、不図示の加速度センサが設置されており、ロータリー機構30とノズル40の移動速度を計測するようになっている。
吹付け台車10の前方の中央位置には、カメラ95がさらに搭載されており、カメラ95により、前方の切羽Kに関する静止画像や動画像を撮像するようになっている。カメラ95により撮像された撮像データは、制御装置80に送信されるようになっている。
吹付け台車10の前方には、オペレータが搭乗するキャビン13があり、キャビン13には、オペレータが吹付け厚さを管理しながらコンクリート吹付けの実行を可能にするためのモニタ15が搭載されている。
モニタ15は、制御装置80に対して、制御装置80から送信されるデータを受信可能に接続されている。モニタ15には、以下で説明するように、カメラ95により撮像された切羽Kの正面視に関する撮像データが制御装置80を介して送信され、表示画面に表示されるようになっている。モニタ15では、切羽Kの画像と複数のメッシュM(図8参照)が重ねて表示され、メッシュMごとにメッシュM内における吹付け厚さがさらに表示されるようになっている。このモニタ15における表示例に関しては以下で詳説する。
次に、図3乃至図8を参照して、コンクリート吹付け機100を構成する制御装置80について説明するとともに、モニタ15の表示画面における表示例と、この表示画面を参照しながらコンクリート吹付けを実行する、コンクリート吹付け方法の一例について説明する。ここで、図3は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図であり、図4は、コンクリート吹付け機を構成する制御装置の機能構成の一例を、周辺機器とともに示す図である。また、図5は、切羽に対するカメラの位置に応じて、カメラの照準と切羽の正面視寸法との間にずれがある場合の対応策の例を示す図である。また、図6は、モニタの表示画面の一例を示す図であって、基準値計測モードの表示例を示す図であり、図7は、モニタの表示画面の他の例を示す図であって、吹付値計測モードの表示例を示す図である。さらに、図8は、モニタの表示画面において、切羽画像と、吹付け厚さに応じて着色されたメッシュが重ねて表示されている表示例を示す図である。
図3に示すように、制御装置80は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)等の情報処理装置(コンピュータ)により構成される。制御装置80を構成するコンピュータは、接続バス86により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)81、主記憶装置82、補助記憶装置83、通信IF84、及び入出力IF(interface)85を備えている。主記憶装置82と補助記憶装置83は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
CPU81は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU81は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU81は、コンピュータからなる制御装置80の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU81は、例えば、補助記憶装置83に記憶されたプログラムを主記憶装置82の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
主記憶装置82は、CPU81が実行するコンピュータプログラムや、CPU81が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置82は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置83は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置83には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF84を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、3DスキャナA(90A)や3DスキャナB(90C)、レーザ距離計90B,カメラ95,角度センサ25A,25B,25C、ロータリーエンコーダ26,ストロークセンサ27,トータルステーション等の他、例えばネットワークに接続する管理施設(工事詰所)等にある施工管理用のパーソナルコンピュータ(図示せず)等が含まれる。
補助記憶装置83は、例えば、主記憶装置82を補助する記憶領域として使用され、CPU81が実行するコンピュータプログラムや、CPU81が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置83は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置83として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示され、着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
入出力IF85は、制御装置80に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF85には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。制御装置80は、入出力IF85を介して、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
また、入出力IF85には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続される。例えば、3DスキャナA(90A)や3DスキャナB(90C)から送信される、切羽Kや周面Sにおけるコンクリート吹付け前後の各測定点の相対座標データが表示され、この相対座標データに基づいて特定された各測定点における吹付け厚が表示されるようになっている。また、各測定点における吹付け厚はキャビン13に搭載されているモニタ15に送信され、モニタ15の表示画面においても同様に表示される。尚、吹付け厚に一定の閾値が設定されている場合は、モニタ15の表示画面において閾値も同時に表示され、特定された吹付け厚が閾値を超えた際にアラーム表示するようになっていてもよい。
また、レーザ距離計90Bにより測定されたノズル40と吹付け面との間の距離が随時表示され、管理基準値(例えば1.5m)の間に距離閾値が設定されている場合は、特定された距離が閾値を超えた際にアラーム表示するようになっていてもよい。
通信IF84は、制御装置80が接続するケーブルやネットワークとのインターフェイスである。通信IF84は、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等、様々なネットワークを介して、3DスキャナA(90A)等から計測データを受信し、管理施設にある施工管理用のパーソナルコンピュータに吹付け面における複数の測定点の吹付け厚に関する特定データ等を送信する。
図4に示すように、制御装置80は、CPU81によるプログラムの実行により、少なくとも、取得部102、相対座標特定部104、吹付け厚算定部106、コンクリートポンプ駆動部108、ブーム駆動部110、倍率調整部112、表示部114、及び格納部116の各種機能を提供する。ここで、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
取得部102には、3DスキャナA(90A)や3DスキャナB(90C)にて測定された、吹付け面である切羽Kと周面Sにおける複数の測定点の三次元座標データが取得され、取得された三次元座標データは格納部116に格納(記憶)される。
また、取得部102には、3DスキャナA(90A)にて測定された、第1ターゲット28A,28B,28Cや第2ターゲット68を視準した際の三次元座標データが取得され、格納部116に格納(記憶)される。
さらに、取得部102には、カメラ95により撮像された切羽Kの正面視の画像データが例えば動画像データとして取得される。この動画像データには、コンクリートを吹付けるべく切羽Kに近接しているノズル40も、オペレータの操作に応じた移動態様で入り込んでいる。
相対座標特定部104では、格納部116に記憶されている吹付け面における各測定点の三次元座標データに基づいて、吹付け台車10に対する各測定点の相対座標を特定し、第1ターゲット28A,28B,28Cや第2ターゲット68の三次元座標データに基づいて、ノズル40と3DスキャナB(90B)の相対座標を特定する。
また、相対座標特定部104では、3DスキャナB(90C)の相対座標と、3DスキャナB(90C)によって測定された吹付け面(例えば周面S)における測定点の相対座標とに基づいて、吹付け台車10に対する測定点の相対座標を特定することもできる。
吹付け厚算定部106は、例えば、各測定点におけるコンクリート吹付け前後の相対座標の差分を実行し、差分値をもって吹付け厚さとする。
コンクリートポンプ駆動部108は、ブーム駆動部110によるノズルブーム20の動作制御と連動してコンクリートポンプの駆動制御を実行し、ノズル40が吹付け面に対して一定の距離となるように位置合わせされた段階でブーム駆動部110によりノズルブーム20の動作が停止された後、コンクリートポンプを駆動してコンクリートを吹付け面に対して一定時間吐出する。この際、ブーム駆動部110により、ロータリー機構30のモータ33の回転制御が実行され、ノズル40が揺動しながらコンクリートの吐出を行う。
倍率調整部112は、相対座標特定部104により特定されている、切羽Kにおける各測定点の相対座標に基づいてカメラ95から切羽Kまでの距離を特定し、カメラ95から切羽Kまでの距離と、カメラ95により切羽Kが鮮明に撮像される好適な撮像距離(もしくは撮像角度)とを比較する。
図5に示すように、カメラ95が切羽Kから遠過ぎる場合は、倍率調整部112により、現状の距離とカメラ95内における焦点距離とに基づいて倍率の調整量が算出され、算出された倍率調整量に基づいてカメラ95の焦点を絞る制御を実行する。
一方、カメラ95が切羽Kから近過ぎる場合は、カメラ95の焦点を絞る制御では対応不可であることから、倍率調整部112により、好適な撮像距離(例えば、後退距離)を特定し、表示部114に表示する。オペレータは、表示された後退距離だけ、吹付け台車10(及びカメラ95)を後退させることにより、切羽Kの全域が撮像可能な適切な位置にカメラ95を位置合わせすることができる。
このように、倍率調整部112により、切羽Kとカメラ95の位置関係(相対距離)に応じて、カメラ95の照準と切羽Kの正面視寸法との間にずれがある場合に、制御装置80により特定された切羽Kまでの距離データに基づいて切羽画像の倍率調整(切羽画像の拡大や縮小、トリミング等)や吹付け台車10(及びカメラ95)の移動調整を実行することにより、カメラ95の照準を切羽Kの全域に適正に重なり合わせる補正が可能になる。
図4に戻り、表示部114は、切羽Kや周面Sにおけるコンクリート吹付け前後の各測定点の相対座標データを表示し、この相対座標データに基づいて吹付け厚算定部106にて算定された各測定点における吹付け厚さを表示する。
表示部114により、キャビン13に搭載されているモニタ15の表示画面には、各測定点における吹付け厚さが、切羽Kに関するカメラ95の撮像画像とともに表示される。
モニタ15の表示画面には、例えば、図6に示す基準値測定モードに関する画像と、図7に示す吹付値計測モードに関する画像が、画面における切り替えボタン(図中の(7))を押下することにより、切り替え自在に表示されるようになっている。
図6に示す基準値測定モードを示す表示画面では、カメラ95による切羽Kの正面視画像に関する「(1)吹付け厚さ進捗状況」が表示され、その中に複数の測定点が四角枠表示される。この切羽Kの画像には、図8に示すように、複数の測定点が面的に広げられることにより形成された、複数の矩形のメッシュMが重ねて表示される。
図6や図8に示すように、切羽Kの画像には、吹付け厚さに応じた表示色と吹付け厚さ範囲が分かる「(2)凡例」が表示されている。また、切羽Kの画像の左側には、「(3)抽出メッシュ情報」として、各メッシュの基準座標等が表示され、その他、「(4)現在時刻」、「(5)基準値取得時刻」、「(6)吹付値更新時刻(最新データ取得時刻)」、「(7)測定モード表示で、図6は、「基準値計測モード」が選択表示されている」、「(8)手動計測か自動計測を選択するボタン」、「(9)スタンバイ中か計測中かを表示する状態表示」、「(10)スクリーンショット保存ボタンで、各状態におけるスクリーンショットを随時保存して、出来形管理根拠を保存する」、「(11)帳票出力ボタンで、基準値と最終更新値のデータとそれらから算出した最終の吹付け厚さのデータを出力する」が表示されている。
図6に示す基準値計測モードに対して、図7に示す吹付値計測モードでは、各メッシュMにおける吹付け厚さが特定され、抽出メッシュ情報には各メッシュMにおける現状の吹付け厚さが入力され、切羽Kの撮像画像に重ねて表示されている、図8に示す複数のメッシュMには、吹付け厚さに応じた表示色が表示されている。また、各メッシュM内には、吹付け厚さが数値としても表示されている。尚、図面は白黒にて表示されているが、実際のモニタ15では、吹付け厚さに応じて、青、緑、黄色、赤、橙、紫等、吹付け厚さの範囲に対応した表示色が設定され、表示される。
ここで、図示例のようにメッシュMの内部が吹付け厚さに応じた表示色にて表示される形態の他にも、メッシュMの輪郭線やメッシュM内にある吹付け厚さを示す数値が吹付け厚さに応じた表示色にて表示されてもよい。
モニタ15の表示画面において、オペレータの操作により随時移動するノズル40も、切羽Kの撮像画像中に入り込むことになる。この際、ノズル40や切羽Kの撮像画像が視認できるように、各メッシュM内の表示色は半透明にて表示されるようになっている。
このように、切羽Kの撮像画像に対して、複数の測定点の周囲の面領域を規定する複数のメッシュMが重ねて表示され、メッシュM内が吹付け厚さに応じた表示色にて表示されながらも切羽Kの撮像画像が視認できることから、切羽Kの全域における吹付け厚さを精度よく面的に管理することが可能になる。
切羽Kにおいては、全域を均等な吹付け厚さにて管理する場合の他に、肌落ちの可能性(危険度の程度)に応じて切羽Kを複数のエリアに分割し、エリアごとに吹付け厚さを変化させて管理する場合もある。いずれの場合であっても、切羽Kの撮像画像が複数の領域(メッシュM)で分割され、領域ごとの吹付け厚さが特定されていることから、各領域において設計吹付け厚さとの差分量が算定され、オペレータは各領域においてさらに吹付けが必要となる際の吹付け厚さを容易に把握することができる。
さらに、切羽Kの撮像画像には、随時移動するノズル40が入っていることから、オペレータは、吹付け対象のメッシュMに対してノズル40が正対しているか否かをモニタ15によって確認でき、吹付け対象のメッシュMに対してノズル40を位置合わせさせた後に、コンクリートを吹付ける操作を実行することが可能になる。
ここで、吹付け台車10が不図示の回転灯(パトライト(登録商標))を搭載し、吹付け厚さの計測中は回転灯を点灯させてオペレータに計測中であることを報知することにより、オペレータは計測中は吹付け施工を停止し、計測終了後に速やかに吹付け施工を開始することができて好ましい。この回転灯にはブザー付きの形態が適用されてもよく、回転灯による視覚的な警報に加えて、ブザーによる聴覚的な警報を付加してもよい。
コンクリート吹付け機100とこれを使用したコンクリート吹付け方法によれば、3DスキャナA(90A)により、切羽Kと周面Sにおける複数の測定点の相対座標、ノズルブーム20の先端位置やエレクタ60における3DスキャナB(90C)の設置位置の相対座標が測定され、あるいは、3DスキャナB(90C)により、周面Sにおける複数の測定点の相対座標が測定されることにより、コンクリートの自動吹付けと、コンクリート吹付けの前後における切羽Kや周面Sにおける複数の測定点の相対座標の測定と、ノズル40や3DスキャナB(90C)の相対座標の更新や補正等が自動で行われることから、オペレータ等を不要にして、吹付け厚の特定を含むコンクリート吹付けの完全な自動吹付け施工を実現できる。
また、揺動しているノズル40からコンクリートを吐出するロータリー吹付けを実行することにより、吹付け面に対するノズル40の距離を一定に保ち、吹付け面に対するコンクリートの吹付け圧と吹付け量を均等に保ちながら、吹付け面に対して万遍なくコンクリートを吹付けることができ、高品質な吹付けコンクリートを施工できる。
また、ノズル40の吹付け台車10に対する相対座標や、トータルステーションを用いたノズル40の絶対座標等を随時更新もしくは補正することにより、吹付け面における各測定点の座標の累積誤差等を解消することができる。
さらに、吹付け台車10のキャビン13に搭載されているモニタ15の表示画面に表示されている切羽Kの撮像画像に対して、複数の測定点の周囲の面領域を規定する複数のメッシュMが重ねて表示され、メッシュM内が吹付け厚さに応じた表示色にて表示されながらも切羽Kの撮像画像が視認できることにより、切羽Kの全域における吹付け厚さを精度よく面的に管理することができる。
そして、この画像中にノズル40も含まれることから、オペレータはモニタ15を視認することで、吹付け対象のメッシュMに対してノズル40を正しく位置合わせさせた後に、コンクリートを吹付ける操作を実行することができる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:吹付け台車
12A,12B,12C:第3ターゲット
13:キャビン
15:モニタ
20:ノズルブーム
21:ブーム
22:アーム
25A,25B,25C:角度センサ
26:ロータリーエンコーダ
27:ストロークセンサ
28A,28B,28C:第1ターゲット
30:ロータリー機構
40:ノズル
42:コンクリート圧送ホース
50:ノズル機構
60:エレクタ
65A,65B:角度センサ
67:ストロークセンサ
68:第2ターゲット
70:マンケージブーム
72:マンケージ
80:制御装置
90A:3DスキャナA(3Dスキャナ)
90B:レーザ距離計
90C:3DスキャナB(3Dスキャナ)
95:カメラ
100:コンクリート吹付け機
G:地盤
T:トンネル(山岳トンネル)
K:切羽(吹付け面)
S:周面(吹付け面)
C:吹付けコンクリート
t:吹付け厚
M:メッシュ(面領域)

Claims (6)

  1. トンネルの少なくとも切羽に対してコンクリートを吹付ける、コンクリート吹付け機であって、
    自走式の吹付け台車と、
    前記吹付け台車に対して旋回自在に取り付けられ、自身の軸方向に伸縮自在である、ノズルブームと、該ノズルブームの先端に取り付けられていてコンクリートを吐出する、ノズルと、を備えている、ノズル機構と、
    少なくとも、前記切羽における測定点の前記吹付け台車に対する相対座標を特定する、制御装置とを有し、
    前記吹付け台車の前方には、3Dスキャナとカメラが装備され、
    前記吹付け台車のキャビンにはモニタが装備されており、
    前記モニタには、前記カメラにて撮像された前記切羽の切羽画像と、それぞれの前記測定点の周りの面領域の輪郭線とが重ねて表示され、
    前記3Dスキャナにて取得された前記測定点までのコンクリートの吹付け前後の距離データに基づいて、前記制御装置にて算出されたコンクリートの吹付け厚さが、前記面領域の吹付け厚さとして表示されることを特徴とする、コンクリート吹付け機。
  2. 前記吹付け厚さには、厚さに応じて複数種の表示色が設定され、
    複数の前記面領域が複数のメッシュにより形成されており、
    前記モニタには、複数の前記メッシュの内部、もしくは、該メッシュの輪郭線、もしくは、該メッシュにおける前記吹付け厚さを示す数値が、吹付け厚さに応じた前記表示色にて表示されることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート吹付け機。
  3. 前記メッシュの内部が前記表示色にて表示されている場合に、該メッシュの内部が着色された半透明にて表示され、該メッシュの内部に対応する切羽画像が視認できるようになっていることを特徴とする、請求項2に記載のコンクリート吹付け機。
  4. オペレータが、前記切羽画像における前記ノズルの位置と、吹付け対象の前記メッシュの双方を前記モニタにより確認自在であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のコンクリート吹付け機。
  5. 前記制御装置は、前記距離データに基づいて、前記切羽画像の倍率調整を実行することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート吹付け機。
  6. トンネルの少なくとも切羽に対してコンクリートを吹付ける、コンクリート吹付け方法であって、
    自走式の吹付け台車と、該吹付け台車に対して旋回自在に取り付けられ、自身の軸方向に伸縮自在であるノズルブームと、該ノズルブームの先端に取り付けられていてコンクリートを吐出するノズルとを備えている、ノズル機構と、少なくとも、前記切羽における測定点の前記吹付け台車に対する相対座標を特定する、制御装置とを有し、前記吹付け台車の前方には3Dスキャナとカメラが装備され、前記吹付け台車のキャビンにはモニタが装備されている、コンクリート吹付け機を使用して、前記切羽にコンクリートを吹付け、この吹付けの前後に、前記3Dスキャナにて前記切羽までのコンクリートの吹付け前後の距離データを取得し、前記制御装置にてコンクリートの吹付け厚さを算出し、前記モニタには、前記カメラにて撮像された前記切羽の切羽画像と、それぞれの前記測定点の周りの面領域の輪郭線と、算出されたそれぞれの前記測定点の吹付け厚さとを重ねて表示し、吹付け厚さの不足している該面領域に対して追加の吹付けを行うことを特徴とする、コンクリート吹付け方法。
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