JP2024047184A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却器に異常が生じたときの半導体スイッチング素子の故障を抑制できる電力変換装置を提供する。【解決手段】電力変換装置は、半導体スイッチング素子3aと、半導体スイッチング素子3aを冷却する液冷式の冷却器8と、半導体スイッチング素子3aの温度を検出するサーミスタ4aと、半導体スイッチング素子3aを可変のスイッチング速度で駆動するゲート駆動回路6aを有する制御部6と、を備え、制御部6は、サーミスタ4aの検出温度Tj_sensに基づいて冷却器8の異常の有無を判定し、判定結果に基づいて半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を制御する。【選択図】図1

Description

本開示は、冷却器を備えた電力変換装置に関するものである。
特許文献1には、電力変換装置が開示されている。この電力変換装置は、パワー半導体モジュールと、パワー半導体モジュールを駆動するゲート駆動回路と、を備えている。ゲート駆動回路は、ゲート電圧閾値検知判定回路と、ゲート抵抗切り替え回路と、抵抗可変機能を備えたゲート抵抗と、を有している。ゲート電圧閾値検知判定回路は、パワー半導体モジュール内部のパワー半導体素子の素子温度に基づき、ゲート抵抗値を変更制御する。
特開2019-129545号公報
上記のような電力変換装置には、通常、冷却器が設けられる。パワー半導体素子が冷却器によって冷却されることにより、パワー半導体素子の素子温度の上昇が抑えられる。しかしながら、冷却器に異常が生じると、パワー半導体素子の素子温度が上昇する。特に、冷却器が液冷式である場合、ポンプの故障、冷却媒体の漏れ等の異常が生じると、冷却器の冷却性能が大きく低下する。したがって、冷却器が液冷式である場合、冷却器に異常が生じると、パワー半導体素子の素子温度は大きく上昇する。この場合、パワー半導体素子のサージ電圧が増大するため、ドレイン-ソース間の電圧が耐圧を超過し、パワー半導体素子が故障してしまうおそれがあるという課題があった。
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、冷却器に異常が生じたときの半導体スイッチング素子の故障を抑制できる電力変換装置を提供することを目的とする。
本開示に係る電力変換装置は、半導体スイッチング素子と、前記半導体スイッチング素子を冷却する液冷式の冷却器と、前記半導体スイッチング素子の温度を検出する温度センサと、前記半導体スイッチング素子を可変のスイッチング速度で駆動するゲート駆動回路を有する制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づいて前記冷却器の異常の有無を判定し、判定結果に基づいて前記半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を制御する。
本開示によれば、冷却器に異常が生じたときの半導体スイッチング素子の故障を抑制することができる。
実施の形態1に係る電力変換装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る電力変換装置における1つの半導体スイッチング素子及びそれを駆動するゲート駆動回路の構成図である。 実施の形態1に係る電力変換装置の要部構成を示す断面図である。 半導体スイッチング素子がスイッチングする際の一連の動作について説明する図である。 半導体スイッチング素子がスイッチングする際の一連の動作について説明する図である。 半導体スイッチング素子がスイッチングする際の一連の動作について説明する図である。 半導体スイッチング素子がターンオンする際における当該半導体スイッチング素子の電流波形を示すグラフである。 半導体スイッチング素子がターンオンする際における反対側のアームの半導体スイッチング素子の電圧波形を示すグラフである。 半導体スイッチング素子がターンオンする際における反対側のアームの半導体スイッチング素子のリカバリ電流波形を示すグラフである。 ターンオン時のスイッチング速度が低下した場合における当該半導体スイッチング素子の電流波形を示すグラフである。 ターンオン時のスイッチング速度が低下した場合における反対側のアームの半導体スイッチング素子の電圧波形を示すグラフである。 ターンオン時のスイッチング速度が低下した場合における反対側のアームの半導体スイッチング素子のリカバリ電流波形を示すグラフである。 実施の形態1に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度の調整方法を説明する図である。 実施の形態1に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子の電流波形を示すグラフである。 実施の形態1に係る電力変換装置における反対側のアームの半導体スイッチング素子の電圧波形を示すグラフである。 実施の形態1に係る電力変換装置における反対側のアームの半導体スイッチング素子のリカバリ電流波形を示すグラフである。 実施の形態1の比較例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のジャンクション温度及びサーミスタの検出温度の推移の例を示すグラフである。 実施の形態1に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のジャンクション温度、サーミスタの検出温度、及び温度上昇率の推移の例を示すグラフである。 実施の形態1に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のジャンクション温度、サーミスタの検出温度、及び温度上昇率の推移の例を示すグラフである。 実施の形態1の第1変形例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子及びゲート駆動回路の構成図である。 実施の形態1の第1変形例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のゲート電圧、ゲートソース間電圧及びドレイン電流の波形の例を示すグラフである。 実施の形態1の第1変形例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のゲート電圧、ゲートソース間電圧及びドレイン電流の波形の例を示すグラフである。 実施の形態1の第2変形例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子及びゲート駆動回路の構成図である。 実施の形態1の第2変形例に係る電力変換装置におけるゲート駆動回路の動作を説明する図である。 実施の形態1の第2変形例に係る電力変換装置におけるゲート駆動回路の動作を説明する図である。 実施の形態1の第2変形例に係る電力変換装置におけるゲート駆動回路のスイッチング素子の動作、並びにツェナーダイオード電圧、ゲートソース間電圧、及びドレイン電流の波形の例を示すグラフである。 実施の形態1の第2変形例に係る電力変換装置におけるゲート駆動回路のスイッチング素子の動作、並びにツェナーダイオード電圧、ゲートソース間電圧、及びドレイン電流の波形の例を示すグラフである。 実施の形態1に係る電力変換装置において制御部により実行される処理の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る電力変換装置における制御部の構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る電力変換装置における冷却器状態判定部の構成を示すブロック図である。 実施の形態2の変形例に係る電力変換装置における制御部の構成を示すブロック図である。 実施の形態2の変形例に係る電力変換装置におけるジャンクション温度計算部の構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
実施の形態1に係る電力変換装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る電力変換装置の概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態の電力変換装置は、3相インバータを有している。
インバータの入力部には、直流入力電源1が接続されている。直流入力電源1は、直流電圧を出力するバッテリである。本実施の形態の電力変換装置が電気自動車又はハイブリッド自動車に適用される場合、直流入力電源1としては、通常、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池が用いられる。インバータの出力部には、インバータの負荷であるモータ7が接続されている。モータ7は、発電電動機であってもよい。便宜上、モータ7の各相をU相、V相、W相とする。
インバータの入力段には、平滑用コンデンサ2と、複数の半導体スイッチング素子3a~3fと、が設けられている。平滑用コンデンサ2は、電圧リプル及びノイズを除去するために設けられている。
各半導体スイッチング素子3a~3fは、電力変換用のパワー半導体素子である。各半導体スイッチング素子3a~3fは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成されている。各半導体スイッチング素子3a~3fは、内部にボディダイオードを有している。各半導体スイッチング素子3a~3fは、例えば、シリコンカーバイド(Silicon Carbide:SiC)などのワイドバンドギャップ半導体により形成されている。
平滑用コンデンサ2の出力電圧は、半導体スイッチング素子3a~3fのスイッチング動作により3相交流電圧に変換される。3相交流電圧は、3相出力端子Vu、Vv、Vwを介してモータ7に出力される。
電力変換装置には、冷却器8が設けられている。冷却器8は、各半導体スイッチング素子3a~3fを含む半導体モジュール、平滑用コンデンサ2等の電子部品を冷却するように構成されている。図1において符号8を付した長破線は、冷却器8によって冷却される範囲を表している。
冷却器8は、液冷式冷却器である。液冷式冷却器には、水冷式冷却器及び油冷式冷却器が含まれる。冷却器8の冷却媒体としては、水、オイル、LLC等の液状冷却媒体が用いられている。冷却器8は、ホース、電動ポンプ、放熱器等と共に、冷却媒体回路を構成している。電動ポンプが駆動することにより、冷却媒体は冷却媒体回路を循環する。これにより、冷却器8には冷却媒体が流通する。
制御部6は、プロセッサ、記憶装置、入出力インターフェース回路などをハードウェア構成として備えている。制御部6は、デッドタイムを挟んで各半導体スイッチング素子3a~3fをオン・オフ制御する。制御部6は、制御線32aを介して半導体スイッチング素子3aに制御信号を出力する。半導体スイッチング素子3aは、制御部6から入力される制御信号に基づき、スイッチング動作を行う。
同様に、半導体スイッチング素子3bは、制御線32bを介して制御部6から入力される制御信号に基づき、スイッチング動作を行う。半導体スイッチング素子3cは、制御線32cを介して制御部6から入力される制御信号に基づき、スイッチング動作を行う。半導体スイッチング素子3dは、制御線32dを介して制御部6から入力される制御信号に基づき、スイッチング動作を行う。半導体スイッチング素子3eは、制御線32eを介して制御部6から入力される制御信号に基づき、スイッチング動作を行う。半導体スイッチング素子3fは、制御線32fを介して制御部6から入力される制御信号に基づき、スイッチング動作を行う。
インバータの入力段には、電圧センサ回路20が平滑用コンデンサ2と並列に設けられている。電圧センサ回路20は、信号線31aを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、電圧センサ回路20からの信号に基づき、インバータの入力電圧の情報を取得する。
インバータの出力段には、電流センサ回路21a、21b、21cが設けられている。電流センサ回路21aは、3相出力端子Vuとモータ7との間、すなわちインバータの出力段のU相に設けられている。電流センサ回路21aは、信号線31bを介して、制御部6に接続されている。電流センサ回路21bは、3相出力端子Vvとモータ7との間、すなわちインバータの出力段のV相に設けられている。電流センサ回路21bは、信号線31cを介して、制御部6に接続されている。電流センサ回路21cは、3相出力端子Vwとモータ7との間、すなわちインバータの出力段のW相に設けられている。電流センサ回路21cは、信号線31dを介して、制御部6に接続されている。
電流センサ回路21a、21b、21cは、3相出力端子Vu、Vv、Vwとモータ7との間の3相電流Iu、Iv、Iwを検出する。制御部6は、各電流センサ回路21a、21b、21cからの信号に基づき、インバータから出力される出力電流の情報を取得する。
半導体スイッチング素子3aは、半導体モジュール5aの内部に設けられている。半導体モジュール5aの内部には、サーミスタ4aがさらに設けられている。サーミスタ4aは、半導体スイッチング素子3aの温度を検出する温度センサである。サーミスタ4aは、半導体スイッチング素子3aと近接して配置されている。サーミスタ4aは、信号線33aを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、サーミスタ4aからの信号に基づき、半導体スイッチング素子3aの温度の情報を取得する。
半導体スイッチング素子3bは、半導体モジュール5bの内部に設けられている。半導体モジュール5bの内部には、サーミスタ4bがさらに設けられている。サーミスタ4bは、半導体スイッチング素子3bの温度を検出する温度センサである。サーミスタ4bは、半導体スイッチング素子3bと近接して配置されている。サーミスタ4bは、信号線33bを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、サーミスタ4bからの信号に基づき、半導体スイッチング素子3bの温度の情報を取得する。
半導体スイッチング素子3cは、半導体モジュール5cの内部に設けられている。半導体モジュール5cの内部には、サーミスタ4cがさらに設けられている。サーミスタ4cは、半導体スイッチング素子3cの温度を検出する温度センサである。サーミスタ4cは、半導体スイッチング素子3cと近接して配置されている。サーミスタ4cは、信号線33cを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、サーミスタ4cからの信号に基づき、半導体スイッチング素子3cの温度の情報を取得する。
半導体スイッチング素子3dは、半導体モジュール5dの内部に設けられている。半導体モジュール5dの内部には、サーミスタ4dがさらに設けられている。サーミスタ4dは、半導体スイッチング素子3dの温度を検出する温度センサである。サーミスタ4dは、半導体スイッチング素子3dと近接して配置されている。サーミスタ4dは、信号線33dを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、サーミスタ4dからの信号に基づき、半導体スイッチング素子3dの温度の情報を取得する。
半導体スイッチング素子3eは、半導体モジュール5eの内部に設けられている。半導体モジュール5eの内部には、サーミスタ4eがさらに設けられている。サーミスタ4eは、半導体スイッチング素子3eの温度を検出する温度センサである。サーミスタ4eは、半導体スイッチング素子3eと近接して配置されている。サーミスタ4eは、信号線33eを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、サーミスタ4eからの信号に基づき、半導体スイッチング素子3eの温度の情報を取得する。
半導体スイッチング素子3fは、半導体モジュール5fの内部に設けられている。半導体モジュール5fの内部には、サーミスタ4fがさらに設けられている。サーミスタ4fは、半導体スイッチング素子3fの温度を検出する温度センサである。サーミスタ4fは、半導体スイッチング素子3fと近接して配置されている。サーミスタ4fは、信号線33fを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、サーミスタ4fからの信号に基づき、半導体スイッチング素子3fの温度の情報を取得する。
不図示の回転角センサは、モータ7の回転角θmを検出する。制御部6は、回転角センサからの信号に基づき、モータ7の回転角θmの情報を取得する。制御部6には、電力変換装置の外部から、モータ7のトルク指令値Trq*の情報と、直流電圧指令値V2*の情報と、が入力される。
図2は、本実施の形態に係る電力変換装置における1つの半導体スイッチング素子及びそれを駆動するゲート駆動回路の構成図である。図2に示すように、制御部6は、半導体スイッチング素子3aを駆動するゲート駆動回路6aを有している。図2にはゲート駆動回路6aのみが示されているが、制御部6は、複数の半導体スイッチング素子3a~3fをそれぞれ駆動する複数のゲート駆動回路を有している。ゲート駆動回路6a以外のゲート駆動回路は、ゲート駆動回路6aと同様の構成を有している。
ゲート駆動回路6aは、駆動回路本体6bと、ゲート抵抗切替回路6cと、を有している。駆動回路本体6bは、ゲート抵抗切替回路6cを介して、半導体スイッチング素子3aのゲート部Gに接続されている。ゲート抵抗切替回路6cには、ターンオン(Ton)用の回路とターンオフ(Toff)用の回路とが別々に設けられている。
ターンオン用の回路には、抵抗Rgon1と、抵抗Rgon1と並列に接続されたバイパス回路6dと、が設けられている。バイパス回路6dには、スイッチング素子SW及び抵抗Rgon2が直列に設けられている。
例えば通常時には、スイッチング素子SWはオフ状態になっている。スイッチング素子SWがオフ状態のとき、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のゲート抵抗は、Rgon1である。
スイッチング素子SWがオン状態になると、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のゲート抵抗は、Rgon1から合成抵抗Rgon1//Rgon2に減少する。ここで、Rgon1//Rgon2は、抵抗Rgon1と抵抗Rgon2とが並列に接続されているときの合成抵抗の値を表している。
すなわち、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を上昇させる場合、制御部6は、スイッチング素子SWをオン状態にする。これにより、ゲート抵抗が減少するため、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が上昇する。本実施の形態では、制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度等に基づいて、スイッチング素子SWを制御する。
ターンオフ用の回路には、抵抗Rgoffが設けられている。半導体スイッチング素子3aは、ターンオフ時には、抵抗Rgoffを介してスイッチングされる。
なお、図2に示す構成では、抵抗Rgon1とスイッチング素子SW及び抵抗Rgon2とが並列に接続されているが、これには限られない。ターンオン時のゲート抵抗は、ゲート駆動回路6a内のリレーにより、抵抗Rgon1と、それより低い抵抗Rgon2と、を切り替え可能なように構成されていてもよい(Rgon1>Rgon2)。制御部6は、通常時には、ターンオン時のゲート抵抗を抵抗Rgon1に設定する。制御部6は、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を上昇させる場合、ターンオン時のゲート抵抗を抵抗Rgon1から抵抗Rgon2に切り替える。
次に、本実施の形態に係る電力変換装置の物理的な構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る電力変換装置の要部構成を示す断面図である。図3には、半導体モジュール5aの断面構成が示されている。以下、半導体モジュール5aを例に挙げて説明するが、半導体モジュール5b~5fは半導体モジュール5aと同様の構成を有している。
図3に示すように、半導体モジュール5aは、冷却器8の外側の表面8aに搭載されている。半導体モジュール5aは、基板43、半導体スイッチング素子3a、サーミスタ4a、バスバー41及び樹脂成形体44を有している。半導体スイッチング素子3a及びサーミスタ4aは、基板43の一方の面43aに実装されている。バスバー41は、はんだ層42を介して半導体スイッチング素子3aに接続されている。
基板43の面43aにおいて、サーミスタ4aは、半導体スイッチング素子3aと近接する位置に配置されている。ただし、サーミスタ4aは、半導体スイッチング素子3aと直接接触していない。
サーミスタ4aは、半導体スイッチング素子3aの内部ではなく、半導体スイッチング素子3aの外部に設けられている。つまり、サーミスタ4aは、検温ダイオードとは異なっている。検温ダイオードは、半導体スイッチング素子の温度検出のために、半導体スイッチング素子と同一の半導体チップ内に設けられる。
サーミスタ4aは、後述する熱回路網を介して、半導体スイッチング素子3aに間接的に接続されている。半導体スイッチング素子3aの熱は、熱回路網を介してサーミスタ4aに伝達する。これにより、サーミスタ4aでは、半導体スイッチング素子3aの温度が間接的に検出される。
樹脂成形体44は、基板43、半導体スイッチング素子3a、サーミスタ4a、及びバスバー41の一部を覆っている。樹脂成形体44は、基板43、半導体スイッチング素子3a、サーミスタ4a及びバスバー41と共に一体成形されている。基板43の他方の面43bは、樹脂成形体44から露出している。基板43の面43bは、絶縁部材45を介して冷却器8の表面8aに固定されている。
冷却器8の内部には、冷却媒体流路8bが形成されている。冷却媒体流路8bには、冷却媒体が流通する。半導体モジュール5aで発生した熱は、冷却媒体によって吸熱される。これにより、半導体モジュール5aが冷却される。
次に、半導体スイッチング素子においてダイオードのリカバリにより生じるリカバリサージについて説明する。図4~図6は、半導体スイッチング素子がスイッチングする際の一連の動作について説明する図である。図4~図6における破線矢印は、電流の流れを表している。
図4に示す動作モードでは、半導体スイッチング素子3a、3bがいずれもオフ状態であり、3相出力端子Vuからモータ7に向かって電流が流れている。このとき、半導体スイッチング素子3dはオン状態であり、モータ7のV相から電力変換装置に流れ込んだ電流は、半導体スイッチング素子3dを通る。さらに、電流は半導体スイッチング素子3bの内部ダイオードを通り、モータ7のU相に流れる。
次に、図5に示す動作モードでは、半導体スイッチング素子3aがターンオンする。これにより、半導体スイッチング素子3aからモータ7のU相に電流が流れ始め、半導体スイッチング素子3aを通る電流が増加する。一方で、反対側のアームの半導体スイッチング素子3bを通る電流は減少する。モータ7の内部コイルのインダクタンス成分が大きいため、モータ7のU相に流れる電流はほぼ一定である。
次に、図6に示す動作モードでは、半導体スイッチング素子3aを通る電流とモータ7のU相に流れる電流とが等しくなり、反対側のアームの半導体スイッチング素子3bを通る電流がなくなる。半導体スイッチング素子3bを通る電流がなくなると、半導体スイッチング素子3bの内部ダイオードの状態は、順方向バイアスから逆方向バイアスに変化する。これにより、半導体スイッチング素子3a、3bには、図6中の点線矢印に示すようなリカバリ電流が流れる。
その後、半導体スイッチング素子3bの内部ダイオードでは、外部電圧によって空乏層が広がり、リカバリ電流により空乏層が充電される。これにより、半導体スイッチング素子3bの内部ダイオードにおいて、内部ダイオード電圧が上昇する。このとき、リカバリ電流の時間変化(dirr/dt)と、経路のインダクタンスLsとにより、リカバリサージ電圧ΔVが発生する(ΔV=Ls×dirr/dt)。半導体スイッチング素子3bのドレイン-ソース間の電圧Vdsには、リカバリサージ電圧ΔVが加わる。
次に、上記のようなリカバリ特性が温度によって受ける影響について説明する。図7は、半導体スイッチング素子がターンオンする際における当該半導体スイッチング素子の電流波形を示すグラフである。図8は、半導体スイッチング素子がターンオンする際における反対側のアームの半導体スイッチング素子の電圧波形を示すグラフである。図9は、半導体スイッチング素子がターンオンする際における反対側のアームの半導体スイッチング素子のリカバリ電流波形を示すグラフである。
図7の縦軸は、半導体スイッチング素子3aのドレイン-ソース間の電流Idsを表している。図8の縦軸は、半導体スイッチング素子3bのドレイン-ソース間の電圧Vdsを表している。図9の縦軸は、半導体スイッチング素子3bの内部ダイオード電流を表している。図7~図9の横軸は、時間を表している。図7~図9の各グラフにおいて、破線は常温時の波形を表しており、実線は高温時の波形を表している。
一般に、ダイオードのリカバリ電流は、図9に示すように負のピークをとる。負のピークは、高温になるほど深くなる。すなわち、負のピークの値は、高温になるほど小さくなる。リカバリ電流は、負のピークをとった後、0Aに戻ろうとする。このため、高温時には、リカバリ電流の戻り速度が増加する。図9では、リカバリ電流の戻り速度をdirr/dtと表記している。これにより、図8に示すように、高温時にはリカバリサージ電圧ΔVが増加するため、電圧Vdsが半導体スイッチング素子3bの耐圧を超過するおそれがある。
このため、高温時に電圧Vdsが半導体スイッチング素子3bの耐圧を超過しないように、ターンオン時のスイッチング速度(di/dt)が調整される。ターンオン時のスイッチング速度は、ターンオン時のゲート抵抗によって調整される。ターンオン時のゲート抵抗が高いほど、ターンオン時のスイッチング速度は低下する。
図10は、ターンオン時のスイッチング速度が低下した場合における当該半導体スイッチング素子の電流波形を示すグラフである。図11は、ターンオン時のスイッチング速度が低下した場合における反対側のアームの半導体スイッチング素子の電圧波形を示すグラフである。図12は、ターンオン時のスイッチング速度が低下した場合における反対側のアームの半導体スイッチング素子のリカバリ電流波形を示すグラフである。図10~図12の縦軸及び横軸は、図7~図9の縦軸及び横軸とそれぞれ同じである。図10~図12の各グラフにおいて、太線は、ターンオン時のスイッチング速度が低下したときの波形を表している。
図10~図12に示すように、ターンオン時のスイッチング速度(di/dt)が低下すると、リカバリ電流の負のピークが浅くなる。このため、リカバリ電流の戻り速度(dirr/dt)が低下し、リカバリサージ電圧ΔVが減少する。したがって、電圧Vdsが半導体スイッチング素子3bの耐圧を超過するのを防ぐことができる。
一方で、高温時の耐圧のみを考慮してターンオン時のスイッチング速度を低下させてしまうと、リカバリサージが比較的小さい常温時においても、スイッチング速度が低いままになってしまう。この場合、スイッチング損失が増加してしまう。
電気自動車、ハイブリッド自動車等の市場走行において、通常、ユーザーに使用されるモータの出力は、基本的に定格出力の半分以下である。カタログ燃費の代表であるWLTC(World wide-harmonized Light vehicles Test Cycle)モードの燃費測定条件は、市場走行をベースとして設定されている。このため、WLTCモードの燃費測定条件においても、モータの出力は、基本的に定格出力の半分以下である。このため、市場走行、及びWLTCモードの燃費測定条件を考慮した場合、インバータからモータに流れる電流は比較的少ない。
半導体スイッチング素子の損失は、インバータ損失のほぼ全てを占める。半導体スイッチング素子の損失には、上記のスイッチング損失の他に、導通損失が含まれる。導通損失は、電流の2乗に比例する。このため、インバータからモータに流れる電流が少ない場合には、半導体スイッチング素子の損失に占める導通損失の割合が小さくなり、スイッチング損失の割合が大きくなる。
また、モータの出力が低い場合、すなわちインバータの負荷が低い場合、半導体スイッチング素子の損失が小さいため、半導体スイッチング素子の温度はさほど高くならない。
これらのことから、一般ユーザーが気にする常用領域の測定条件では、ターンオン時のスイッチング速度が低い場合、インバータ損失が増加し、電費又は燃費が低下する。高温時のリカバリ特性が悪い半導体スイッチング素子ほど、高温時のリカバリサージによる電圧Vdsの耐圧超過を抑制する必要があるため、ターンオン時のスイッチング速度を低下させる必要がある。このため、高温時のリカバリ特性が悪い半導体スイッチング素子ほど、電費又は燃費が低下しやすい。
この問題を解決するため、本実施の形態では、半導体スイッチング素子の温度に基づいて、半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度が調整される。具体的には、半導体スイッチング素子の温度が高温ではない場合、リカバリサージが比較的小さいため、半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を上昇させる。これにより、インバータの負荷が比較的低い常用領域において、インバータ損失を低減させることができる。
図13は、本実施の形態に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度の調整方法を説明する図である。以下の説明では、主に半導体スイッチング素子3aを例に挙げているが、他の半導体スイッチング素子についても同様である。
まず、制御部6は、サーミスタ4aからの信号に基づき、半導体スイッチング素子3aの温度の情報を取得する。制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度が閾値温度以下である場合には、半導体スイッチング素子3aの温度が常温であると判定する。制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度が閾値温度よりも高い場合には、半導体スイッチング素子3aの温度が高温であると判定する。閾値温度の情報は、制御部6が備える記憶装置に記憶されている。
制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度が常温であると判定した場合には、ゲート駆動回路6aのスイッチング素子SWをオンにする。スイッチング素子SWがオンになると、ターンオン時のゲート電流は、抵抗Rgon1を通る実線矢印の経路に加えて、抵抗Rgon2を通る破線矢印の経路にも流れる。これにより、ゲート抵抗が減少し、半導体スイッチング素子3aのゲート電圧の立ち上がり速度が上昇する。したがって、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が上昇する。
図14は、本実施の形態に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子の電流波形を示すグラフである。図15は、本実施の形態に係る電力変換装置における反対側のアームの半導体スイッチング素子の電圧波形を示すグラフである。図16は、本実施の形態に係る電力変換装置における反対側のアームの半導体スイッチング素子のリカバリ電流波形を示すグラフである。
図14~図16の縦軸及び横軸は、図7~図9の縦軸及び横軸とそれぞれ同じである。図14~図16の各グラフにおいて、細線は、スイッチング速度が調整される前の波形を表している。太線は、スイッチング速度が調整された後、すなわち、スイッチング速度が上昇した後の波形を表している。上述のように、スイッチング速度の調整は、半導体スイッチング素子3aの温度が常温であるときに行われる。
図14~図16に示すように、半導体スイッチング素子3aの温度が常温であるため、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度(di/dt)を上昇させても、半導体スイッチング素子3bのリカバリ電流への影響は軽微である。したがって、リカバリサージによる電圧Vdsの増加は軽微であるため、電圧Vdsが半導体スイッチング素子3bの耐圧を超過するのを抑制できる。
一方で、スイッチング速度を上昇させることによりスイッチング損失は減少する。したがって、常温時にスイッチング速度を上昇させることにより、常温時のスイッチング損失を低減できるため、インバータ損失を低減することができる。
本実施の形態のゲート駆動回路6aにおいて、抵抗Rgon2の値は、半導体スイッチング素子の温度が常温であるときにゲート抵抗が抵抗Rgon1から合成抵抗Rgon1//Rgon2に減少しても、電圧Vdsが半導体スイッチング素子の耐圧を超えないように設定される。
一般に、スイッチング損失の低い半導体スイッチング素子ほど、ターンオン時のスイッチング速度によるスイッチング損失への影響が大きくなる。したがって、ワイドバンドギャップ半導体のようにスイッチング損失の低い半導体スイッチング素子に本実施の形態が適用されると、特に高い損失低減効果が得られる。
次に、サーミスタの応答性について、サーミスタ4aを例に挙げて説明する。サーミスタ4aは、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度を検出するために設置されている。しかしながら、ジャンクション部はチップ中心部に位置するため、サーミスタ4aは、構造上、ジャンクション部には直接設置できない。このため、サーミスタ4aは、半導体スイッチング素子3aと近接する位置に配置されている。
図3に示すように、半導体スイッチング素子3aとサーミスタ4aとの間の熱回路網は、熱抵抗50a、50b、51a、51b、52a、52b、52c、53a、53b、54a、54b、54cによって構成されている。熱抵抗50a、51a、51b、50bは、半導体スイッチング素子3aのジャンクション部からサーミスタ4aへの直接の熱伝達経路に形成される。熱抵抗52a、52b、52c、53a、53bは、半導体スイッチング素子3aのジャンクション部からサーミスタ4aへの冷却器8を介した熱伝達経路に形成されている。熱抵抗54a、54b、54cは、冷却器8を介した熱伝達経路から、冷却媒体流路8bを流通する冷却媒体への放熱経路に形成されている。
冷却器8に異常がない場合、半導体モジュール5aの各部分の温度は、冷却媒体流路8b内の冷却媒体の温度を基準として、半導体スイッチング素子3aで発生する損失、及び熱回路網の各熱抵抗に応じて上昇する。これにより、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度、サーミスタ4aの検出温度、及び冷却媒体流路8b内の冷却媒体の温度は、一意に定まる。したがって、上記の熱回路網の各熱抵抗を既知とすることにより、サーミスタ4aの検出温度から、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度を推測できる。
しかしながら、冷却器8の状態が変化し、例えば冷却媒体の漏れによって冷却媒体流路8b内に冷却媒体が存在しなくなった場合、冷却媒体への放熱経路が失われるため、熱回路網の熱抵抗54a、54b、54cがなくなる。ここで、図3に示した熱回路網は複数の熱抵抗のみによって表現されているが、実際の熱回路網は、熱抵抗のそれぞれと並列に熱容量を持つ。これにより、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度、及びサーミスタ4aの検出温度は、冷却媒体が消失したときの温度分布を初期状態とし、熱容量が支配的となる過渡的な温度推移をとる。このように、冷却器8の状態が変化した場合、熱回路網が変化するため、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度とサーミスタ4aの検出温度との関係が変わる。したがって、サーミスタ4aの検出温度から半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度を推測するのが困難になる。
図17は、本実施の形態の比較例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のジャンクション温度及びサーミスタの検出温度の推移の例を示すグラフである。横軸は時間を表しており、縦軸は温度を表している。実線は、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度Tjの推移を表している。破線は、サーミスタ4aの検出温度Tj_sensの推移を表している。なお、図17では半導体スイッチング素子3aの温度推移が示されているが、他の半導体スイッチング素子3b~3fの温度も半導体スイッチング素子3aの温度と同様に推移する。
この例では、時刻t0にインバータの動作が開始されている。その後、インバータは一定の出力で動作している。インバータの出力が一定になってから十分に長い時間が経過した後、時刻t1に冷却器8の冷却媒体が消失している。時刻t1よりも前は、冷却器8に異常がない冷却器正常状態である。時刻t1以降は、冷却器8に異常が生じた冷却器異常状態である。
冷却器8に異常がない場合、インバータの出力が一定になってから十分に長い時間が経過すると、ジャンクション温度Tj及び検出温度Tj_sensは、それぞれ一定温度に整定する。ジャンクション温度Tjの整定温度は、半導体スイッチング素子3aの損失による発熱、及び冷却器8の冷却性能により定まる。検出温度Tj_sensは、ジャンクション温度Tjを間接的に測定した温度である。このため、検出温度Tj_sensの時定数はジャンクション温度Tjの時定数よりも長くなり、検出温度Tj_sensの整定温度はジャンクション温度Tjの整定温度よりも低くなる。ジャンクション温度Tjの整定温度と検出温度Tj_sensの整定温度との温度差は、ΔT1である。
冷却器8の冷却媒体が消失して冷却器8が異常状態になると、冷却器8の冷却性能が低下する。このため、半導体スイッチング素子3aの発熱により、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度Tjは大きく上昇する。サーミスタ4aの検出温度Tj_sensは、ジャンクション温度Tjから遅れて上昇する。
時刻t2に検出温度Tj_sensが閾値温度Tthに達すると、ゲート抵抗が低抵抗から高抵抗に切り替えられ、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が低下する。
閾値温度Tthは、検出温度Tj_sensの整定温度と比較して、高めの温度に設定されている。これは、駆動条件及び配置環境が正常なとき、サーミスタ4aの検出誤差、半導体スイッチング素子3aの発熱量のばらつき、及び冷却媒体の流量のばらつき等を加味しつつ、半導体スイッチング素子3aの損失が比較的低い常用領域ではスイッチング速度をできるだけ高めることが望まれるためである。このため、冷却媒体が消失した時刻t1から、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthに達する時刻t2までの時間(t2-t1)は、比較的長くなる。
冷却器8の冷却媒体が消失した後におけるジャンクション温度Tjと検出温度Tj_sensとの温度差ΔT2は、ΔT1よりも大きくなる。さらに、温度差ΔT2は、時刻t1からの経過時間が長くなるほど増加する。このため、時間(t2-t1)が長くなると、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthに達したときのジャンクション温度Tjは、高い温度T1に達してしまう。
検出温度Tj_sensが閾値温度Tthに達するまでは、ゲート駆動回路6aのスイッチング素子SWはオン状態になっている。このため、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthに達するまでは、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度は高いままである。したがって、ジャンクション温度Tjが高くなると、リカバリサージによる耐圧超過によって、半導体スイッチング素子3aが故障してしまうおそれがある。
耐圧超過による半導体スイッチング素子3aの故障を防ぐためには、冷却器8の異常時における温度差ΔT2の拡大を考慮して、閾値温度Tthを低めの温度、すなわち検出温度Tj_sensの整定温度に近い温度に設定することも考えられる。しかしながら、閾値温度Tthが低く設定されると、サーミスタ4aの検出誤差、半導体スイッチング素子3aの発熱量のばらつき、及び冷却媒体の流量のばらつき等により、冷却器8が正常でかつインバータの負荷が比較的低い場合であっても、ゲート抵抗が低抵抗から高抵抗に切り替えられてしまう場合がある。このため、常用領域における半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が必ずしも上昇せず、電費又は燃費がさほど向上しなくなる。
これらの問題を解決するため、本実施の形態の制御部6は、サーミスタ4aの検出温度Tj_sensに基づき冷却器8の異常の有無を判定し、判定結果に基づいて半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を調整する。本実施の形態では、冷却器8の異常の有無は、検出温度Tj_sensの温度上昇率と、あらかじめ設定されている閾値上昇率TRth1と、を比較することにより判定される。温度上昇率は、時間当たりの検出温度Tj_sensの上昇率である。温度上昇率は、検出温度Tj_sensに基づいて演算される。閾値上昇率TRth1の情報は、制御部6が備える記憶装置に記憶されている。
図18は、本実施の形態に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のジャンクション温度、サーミスタの検出温度、及び温度上昇率の推移の例を示すグラフである。グラフの上段は、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度Tj及びサーミスタ4aの検出温度Tj_sensのそれぞれの推移を表している。上段の横軸は、時間を表している。上段の縦軸は、温度を表している。グラフの下段は、検出温度Tj_sensの温度上昇率の推移を表している。下段の横軸は、上段の横軸と共通の時間軸である。下段の縦軸は、温度上昇率を表している。
図18に示すように、冷却器8に異常がない場合、時刻t0にインバータの動作が開始されると、検出温度Tj_sensが上昇する。これにより、検出温度Tj_sensの温度上昇率は、急激に上昇して温度上昇率TR1に達する。温度上昇率TR1は、冷却器8に異常がないときにおける温度上昇率の最大値である。その後、温度上昇率は、温度上昇率TR1から緩やかに減少する。インバータの出力が一定になってから十分に長い時間が経過すると、検出温度Tj_sensが一定温度に整定するため、温度上昇率は0になる。
閾値上昇率TRth1は、温度上昇率の閾値としてあらかじめ設定されている。閾値上昇率TRth1は、サーミスタ4aの検出誤差、半導体スイッチング素子3aの発熱量のばらつき、及び冷却媒体の流量のばらつき等を加味して、温度上昇率TR1よりも高い値に設定されている。つまり、冷却器8に異常がないときには、温度上昇率が閾値上昇率TRth1に達しないようになっている。
時刻t1に冷却器8の冷却媒体が消失し、冷却器8が異常状態になると、温度上昇率は、0から温度上昇率TR1よりも高い値にまで急激に上昇する。時刻t3には、温度上昇率が閾値上昇率TRth1を上回る。制御部6は、温度上昇率が閾値上昇率TRth1を上回った場合、冷却器8に異常があると判定する。
冷却器8に異常が生じると、検出温度Tj_sensは、一定の整定温度から上昇に転じる。このため、冷却器8に異常が生じると、温度上昇率は、検出温度Tj_sensの上昇と比較して急激に上昇する。したがって、温度上昇率に基づいて冷却器8の異常を判定することにより、冷却器8に異常が発生してから異常が検知されるまでの時間(t3-t1)を短縮できる。時間(t3-t1)は、図17の時間(t2―t1)よりも短くなる。
制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合、半導体スイッチング素子3aを保護する保護動作として、ゲート抵抗を低抵抗から高抵抗に切り替える処理を行う。具体的には、制御部6は、図2に示したゲート駆動回路6aのスイッチング素子SWをオフに設定する。これにより、ゲート抵抗がRgon1//Rgon2からRgon1に増加し、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が低下する。
本実施の形態では、冷却器8に異常が発生してから異常が検知されるまでの時間(t3-t1)が短いため、ゲート抵抗が切り替えられるときのジャンクション温度Tjは、図17の温度T1よりも低い温度T2に抑えられる。したがって、リカバリサージによる耐圧超過を抑制できるため、半導体スイッチング素子3aが故障してしまうのを抑制できる。
また、制御部6は、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを上回ったときには、制御部6は、上記と同様に、ゲート駆動回路6aのスイッチング素子SWをオフに設定する。これにより、ゲート抵抗がRgon1//Rgon2からRgon1に増加し、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が低下する。
本実施の形態では、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを上回った場合の半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度は、冷却器8に異常が生じた場合の半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度と同じである。
冷却器8に異常が生じた場合、温度上昇率の上昇率は、検出温度Tj_sensの上昇率と比較して十分に高い。このため、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthに達するよりも前に、温度上昇率が閾値上昇率TRth1に達する。したがって、結果的に、閾値温度Tthは、冷却器8に異常がある場合には機能せず、冷却器8に異常がない場合にのみ機能する。
一方、閾値上昇率TRth1は、冷却器8に異常がない場合の温度上昇率が到達する値よりも高い値に設定されている。例えば、冷却器8以外の電力変換装置に異常が生じたり、電力変換装置に過出力が生じたりしたとしても、冷却器8に異常がない場合の温度上昇率は、閾値上昇率TRth1までは到達しない。このため、閾値上昇率TRth1は、冷却器8に異常がない場合には機能せず、冷却器8に異常がある場合にのみ機能する。
図18に示した温度上昇率の推移は、ノイズの影響を回避するため、単位時間を比較的長く設定したランプ関数により表されている。ただし、冷却器8に異常が発生してから異常が検知されるまでの時間(t3-t1)を短縮するためには、単位時間をより短く設定した方が効果的である。
図19は、本実施の形態に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のジャンクション温度、サーミスタの検出温度、及び温度上昇率の推移の例を示すグラフである。図19には、図18の時刻t3以降のジャンクション温度Tj、検出温度Tj_sens及び温度上昇率の推移がより詳細に示されている。
図19に示すように、温度上昇率には、2つの閾値上昇率TRth1、TRth2が設定されている。閾値上昇率TRth2は、閾値上昇率TRth1よりも高い(TRth2>TRth1)。閾値上昇率TRth1及び閾値上昇率TRth2の情報は、制御部6が備える記憶装置に記憶されている。
時刻t3にゲート抵抗が低抵抗から高抵抗に切り替えられた後、検出温度Tj_sensの温度上昇率はさらに上昇し、時刻t4に閾値上昇率TRth2を上回る。制御部6は、温度上昇率が閾値上昇率TRth2を上回った場合、あらかじめ設定された閾値時間Δt10の間、インバータの出力を低下させる。インバータの出力の低下により、時刻t4以降、ジャンクション温度Tjの上昇が緩和され、検出温度Tj_sensの温度上昇率は徐々に低下する。
温度上昇率は、時刻t5に閾値上昇率TRth2を下回る。しかしながら、温度上昇率が閾値上昇率TRth2を上回ってからの経過時間は、まだ閾値時間Δt10に達していない。このため、制御部6は、インバータの出力低下を継続する。
温度上昇率は、時刻t6に閾値上昇率TRth1を下回る。制御部6は、温度上昇率が閾値上昇率TRth1を下回った場合、ゲート抵抗を高抵抗から低抵抗に切り替える処理を行ってもよい。
時刻t7には、温度上昇率が閾値上昇率TRth2を上回ってからの経過時間は、閾値時間Δt10に達する。制御部6は、温度上昇率が閾値上昇率TRth2を上回ってからの経過時間が閾値時間Δt10に達した場合、インバータを停止する。これにより、インバータの出力は0になる。インバータが停止することにより、ジャンクション温度Tjの上昇が止まる。ジャンクション温度Tjは、時刻t7以降、徐々に低下する。これにより、ジャンクション温度Tjが素子の故障温度に達してしまうことが抑制される。
このように、本実施の形態では、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を切り替えるゲート駆動回路6aが設けられている。制御部6は、冷却器8に異常がない場合、半導体スイッチング素子3aが常温であるときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を上昇させる。これにより、スイッチング損失を低減でき、市場走行における電費又は燃費の改善を図ることができる。
制御部6は、温度上昇率を監視することにより、冷却媒体の流通停止、冷却媒体の消失などの冷却器8の異常を早期に検知できる。このため、リカバリサージによる耐圧超過を抑制しつつ、電力変換装置の駆動条件を工夫して制御できる。したがって、半導体スイッチング素子3aが高温により故障することを防ぎつつ、電力変換装置の駆動を継続できる。
本実施の形態では、半導体スイッチング素子3aと同一の半導体チップ内に設けられる検温ダイオードではなく、半導体スイッチング素子3aの外部に設けられるサーミスタ4aが温度センサとして用いられている。このため、半導体スイッチング素子3aの素子面積を縮小でき、電力変換装置の低コスト化を図ることができる。
半導体スイッチング素子3aの外部のサーミスタ4aが用いられる場合、ジャンクション温度Tjと検出温度Tj_sensとの乖離が大きくなりやすい。このため、冷却器8に異常が生じてジャンクション温度Tjが急激に上昇した場合、検出温度Tj_sensに基づいて実行される保護動作が間に合わず、半導体スイッチング素子3aが故障してしまうおそれがある。
これに対し、本実施の形態では、温度上昇率に基づき冷却器8の異常を早期に検知できるため、冷却器8の状態に応じた保護動作を行うことができるとともに、ジャンクション温度Tjの到達温度を低くすることができる。これにより、半導体スイッチング素子3aの外部のサーミスタ4aを用いる場合であっても、コストを増加させることなく、半導体スイッチング素子3aの故障を抑制することができる。
したがって、本実施の形態によれば、半導体スイッチング素子3aの素子面積を縮小することにより低コスト化を図りつつ、半導体スイッチング素子3aの故障を抑制することができる。SiC素子、GaN素子等のワイドバンドギャップ半導体のチップコストは高いため、半導体スイッチング素子3aにワイドバンドギャップ半導体が用いられる場合には、低コスト化の効果が特に大きい。
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図2に示した構成では、ゲート抵抗値の切替えによってスイッチング速度が変更されているが、これには限られない。図20は、本実施の形態の第1変形例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子及びゲート駆動回路の構成図である。
図20に示すように、本変形例のゲート駆動回路6aは、可変電圧源Vgを有している。これにより、ゲート駆動回路6aは、半導体スイッチング素子3aのゲート部Gに印加されるゲート電圧値を変化させることができる。半導体スイッチング素子3aのスイッチング速度は、ゲート電圧値が高いほど高くなる。このため、ゲート駆動回路6aは、ゲート電圧値の切替えによって半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を変更することができる。このように、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度は、ゲート電圧値の切替えによって変更されるようにしてもよい。
図21及び図22は、本変形例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子のゲート電圧、ゲートソース間電圧及びドレイン電流の波形の例を示すグラフである。図21は、半導体スイッチング素子の温度が常温である場合の波形を示している。図22は、半導体スイッチング素子の温度が高温である場合、又は冷却器に異常がある場合の波形を示している。
図21に示すように、制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度が常温であると判定した場合、ゲート電圧を常に相対的に高い電圧のまま維持する。
一方、制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度が高温であるか、又は冷却器8に異常があると判定した場合、図22に示すように、ターンオン時からドレイン電流が立ち上がるまでの間のゲート電圧を、定格に対して低い電圧に維持する。これにより、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が低下する。十分に時間が経過した後に、制御部6は、ゲート電圧を通常のゲート電圧まで上昇させる。これにより、導通時の大半におけるゲート電圧が通常の電圧になるため、オン抵抗の増加による導通損失の増加を抑制できる。
図23は、本実施の形態の第2変形例に係る電力変換装置における半導体スイッチング素子及びゲート駆動回路の構成図である。図23に示すように、ターンオン用の回路のうち駆動回路本体6bと半導体スイッチング素子3aとの間には、抵抗Rgon1、抵抗Rgon2、ツェナーダイオードZdiode及びスイッチング素子SWが設けられている。抵抗Rgon2、ツェナーダイオードZdiode及びスイッチング素子SWは、互いに並列に接続されている。抵抗Rgon1は、抵抗Rgon2、ツェナーダイオードZdiode及びスイッチング素子SWと直列に接続されている。
図24及び図25は、本変形例に係る電力変換装置におけるゲート駆動回路のターンオン時の動作を説明する図である。図26及び図27は、本変形例に係る電力変換装置におけるゲート駆動回路のスイッチング素子の動作、並びにツェナーダイオード電圧、ゲートソース間電圧、及びドレイン電流の波形の例を示すグラフである。
図24に示すように、制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度が常温であると判定した場合、ゲート駆動回路6aのスイッチング素子SWをオンにする。これにより、図26に示すように、ツェナーダイオードZdiodeの両端に電圧がかからなくなる。ゲート電流はスイッチング素子SWを通って半導体スイッチング素子3aのゲート部Gに流れる。
一方、制御部6は、半導体スイッチング素子3aの温度が高温であるか、又は冷却器8に異常があると判定した場合、図25に示すように、ゲート駆動回路6aのスイッチング素子SWをオフにする。これにより、図27に示すように、ツェナーダイオードZdiodeの両端に電圧がかかる。このため、半導体スイッチング素子3aのゲート部Gに印加される電圧が抑制され、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が低下する。
ツェナーダイオードZdiodeの電圧は、ゲートソース間電圧がある程度上昇するまで印加され続ける。ゲートソース間電圧がある程度上昇すると、ゲート駆動回路6aのゲート電源電圧とゲートソース間電圧との差が減少するため、ツェナーダイオードZdiodeの電圧が低下する。
ここで、ツェナーダイオードZdiodeと並列に接続されている抵抗Rgon2は、ゲートソース間電圧をゲート電源電圧まで上げるために必要な抵抗である。抵抗Rgon2の抵抗値は、抵抗Rgon1の抵抗値と比較して十分に大きいことが望ましい。
第1変形例及び第2変形例によれば、半導体スイッチング素子3aにかかるゲート電圧が制御されることによって、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が調整される。第1変形例及び第2変形例によっても、図2に示した構成と同等の効果を奏する。
次に、本実施の形態に係る電力変換装置において制御部6により実行される処理の概要について説明する。図28は、本実施の形態に係る電力変換装置において制御部により実行される処理の一例を示すフローチャートである。以下、半導体スイッチング素子3aについて説明するが、他の半導体スイッチング素子についても同様の処理が実行される。
図28のステップS1では、制御部6は、サーミスタ4aから検出温度Tj_sensを取得する。
次に、ステップS2では、制御部6は、検出温度Tj_sensに基づき、検出温度Tj_sensの温度上昇率を演算する。
次に、ステップS3及びステップS4では、制御部6は、温度上昇率に基づき冷却器8の異常の有無を判定する。本実施の形態では、冷却器8は液冷式冷却器である。本実施の形態において制御部6が判定する冷却器8の状態は、冷却器8に異常がない正常状態、及び冷却媒体に漏れが生じた冷却器8の異常状態のいずれかである。
冷却器8に異常がないと判定した場合には、制御部6の処理がステップS1に戻る。冷却器8に異常があると判定した場合には、制御部6の処理がステップS5に進む。
ステップS5では、制御部6は、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を低下させる。
以上説明したように、本実施の形態に係る電力変換装置は、半導体スイッチング素子3aと、液冷式の冷却器8と、温度センサと、制御部6と、を備えている。冷却器8は、半導体スイッチング素子3aを冷却するように構成されている。温度センサは、半導体スイッチング素子3aの温度を検出するように構成されている。制御部6は、ゲート駆動回路6aを有している。ゲート駆動回路6aは、半導体スイッチング素子3aを可変のスイッチング速度で駆動するように構成されている。
制御部6は、温度センサの検出温度Tj_sensに基づいて冷却器8の異常の有無を判定し、判定結果に基づいて半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を制御するように構成されている。本実施の形態では、制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合には、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を低下させるように構成されている。
液冷式の冷却器8に異常がある場合、半導体スイッチング素子3aの温度が大きく上昇するため、リカバリサージ電圧ΔVの増加によって電圧Vdsが半導体スイッチング素子3bの耐圧を超過するおそれがある。上記構成によれば、検出温度Tj_sensに基づいて冷却器8の異常をより早期に検知できる。このため、冷却器8に異常が生じた場合には、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を低下させることにより、電圧Vdsが半導体スイッチング素子3aの耐圧を超過するのを抑制することができる。したがって、上記構成によれば、冷却器8に異常が生じたときの半導体スイッチング素子3aの故障を抑制することができる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、温度センサは、半導体スイッチング素子3aの外部に設けられたサーミスタ4aである。
この構成によれば、半導体スイッチング素子3aと同一の半導体チップ内に設けられる検温ダイオードを削減できるため、半導体スイッチング素子3aの素子面積を縮小することができる。したがって、電力変換装置を低コスト化できる。
本実施の形態では、温度上昇率に基づき冷却器8の異常を早期に検知できるため、ジャンクション温度Tjと検出温度Tj_sensとの乖離が大きい場合であっても、半導体スイッチング素子3aの保護動作を早期に行うことができる。したがって、温度センサとしてサーミスタ4aが用いられる場合にも、半導体スイッチング素子3aの故障を抑制することができる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、制御部6は、冷却器8に異常がないと判定した場合、検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下であるときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を第1速度に設定する。制御部6は、冷却器8に異常がないと判定した場合において、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを上回ったときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を第1速度よりも低い第2速度に設定する。制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を上記第2速度に設定する。
この構成によれば、半導体スイッチング素子3aの温度が高温である場合、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を低下させることにより、電圧Vdsが半導体スイッチング素子3aの耐圧を超過するのを抑制することができる。また、検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下である場合のスイッチング速度と、冷却器8に異常がある場合のスイッチング速度とが同じであるため、ゲート駆動回路6aの構成を簡素化できる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、制御部6は、半導体スイッチング素子3aのゲート抵抗を調整することによってスイッチング速度を制御する。これにより、スイッチング速度が第1速度に設定されたときの半導体スイッチング素子3aのゲート抵抗は、スイッチング速度が第2速度に設定されたときの半導体スイッチング素子3aのゲート抵抗よりも低くなっている。
この構成によれば、半導体スイッチング素子3aのゲート抵抗を切り替えることにより、半導体スイッチング素子3aのスイッチング速度を変更することができる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、制御部6は、半導体スイッチング素子3aのゲート電圧を調整することによってスイッチング速度を制御する。これにより、スイッチング速度が第1速度に設定されたときの半導体スイッチング素子3aのゲート電圧は、スイッチング速度が第2速度に設定されたときの半導体スイッチング素子3aのゲート電圧よりも高くなっている。
この構成によれば、半導体スイッチング素子3aのゲート電圧を切り替えることにより、半導体スイッチング素子3aのスイッチング速度を変更することができる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、制御部6は、検出温度Tj_sensの時間当たりの上昇率である温度上昇率が閾値上昇率TRth1を上回った場合、冷却器8に異常があると判定する。
冷却器8に異常が生じた場合、検出温度Tj_sensの温度上昇率は、検出温度Tj_sensの上昇と比較して急激に上昇する。したがって、この構成によれば、冷却器8に異常が生じたことをより早期に検知できる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、閾値上昇率は、冷却器8に異常がないときの温度上昇率よりも高い値に設定されている。
この構成によれば、冷却器8の異常の誤検知を生じにくくすることができる。ここで、冷却器8の異常の誤検知とは、冷却器8に異常がないにも関わらず冷却器8に異常があると判定されてしまうことである。
本実施の形態に係る電力変換装置において、半導体スイッチング素子3aは、ワイドバンドギャップ半導体により形成されている。
ワイドバンドギャップ半導体素子のようにスイッチング損失の低い半導体スイッチング素子に本実施の形態が適用されると、特に高い損失低減効果が得られる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る電力変換装置について説明する。本実施の形態の電力変換装置の実質的な回路構成は、実施の形態1と同様である。
実施の形態1では、冷却器8の異常の有無が検出温度Tj_sensの温度上昇率に基づいて判定されているが、本実施の形態では、検出温度Tj_sensと、半導体スイッチング素子の損失と、に基づいて冷却器8の異常の有無が判定される。本実施の形態では、実施の形態1と同様に、冷却器8の異常の有無に基づいて、半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度が調整される。
また、本実施の形態では、冷却器8の状態に応じて、半導体スイッチング素子のジャンクション温度Tjの推定方法が切り替えられる。このため、冷却器8の状態が変化した場合においても、ジャンクション温度Tjを正確に推定することができ、電力変換装置の電力変換動作を安全に継続することができる。
図29は、本実施の形態に係る電力変換装置における制御部の構成を示すブロック図である。図29に示すように、本実施の形態の制御部6は、半導体スイッチング素子損失計算部61、冷却器状態判定部62、インバータ動作制御部63、及びゲート駆動回路64を有している。半導体スイッチング素子損失計算部61、冷却器状態判定部62、及びインバータ動作制御部63は、例えば、記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される機能ブロックである。
半導体スイッチング素子損失計算部61は、半導体スイッチング素子損失情報69などの情報に基づいて各半導体スイッチング素子の損失を計算する。半導体スイッチング素子損失計算部61は、計算により得られた各半導体スイッチング素子の損失を、各半導体スイッチング素子の損失計算値65として出力する。
冷却器状態判定部62は、各半導体スイッチング素子の損失計算値65、及び各サーミスタ4a~4fの温度検出値に基づいて、冷却器8の状態を推定する。冷却器状態判定部62は、推定した冷却器8の状態を、冷却器状態情報66として出力する。
インバータ動作制御部63は、冷却器状態情報66に基づいて、各半導体スイッチング素子のオン・オフを制御するゲート制御信号67を生成する。インバータ動作制御部63は、生成したゲート制御信号67をゲート駆動回路64に出力する。また、インバータ動作制御部63からは、半導体スイッチング素子損失情報69が半導体スイッチング素子損失計算部61に出力される。
ゲート駆動回路64は、ゲート制御信号67に基づいてゲート駆動信号68を生成する。ゲート駆動回路64は、ゲート駆動信号68を各半導体スイッチング素子に出力する。
次に、冷却器8の状態の推定方法について説明する。冷却器状態判定部62は、各半導体スイッチング素子の損失計算値65と、各サーミスタ4a~4fの温度検出値と、に基づき、冷却器8の異常の有無を判定する。
損失計算値65は、半導体スイッチング素子損失情報69に基づき、半導体スイッチング素子損失計算部61によって計算される。半導体スイッチング素子損失情報69には、キャリア周波数、スイッチングオン時間、電流センサ回路21a~21cの電流検出値、電圧センサ回路20の電圧検出値、デッドタイム値などの情報が含まれている。また、半導体スイッチング素子損失計算部61は、各半導体スイッチング素子の損失特性、及び各半導体スイッチング素子内部のボディダイオードの損失特性の情報をあらかじめ記憶している。半導体スイッチング素子損失計算部61は、これらの情報に基づき、半導体スイッチング素子及びボディダイオードの各々について導通損失及びスイッチング損失を計算する。半導体スイッチング素子損失計算部61は、これらの導通損失及びスイッチング損失の合計値を、損失計算値65として出力する。
図30は、本実施の形態に係る電力変換装置における冷却器状態判定部の構成を示すブロック図である。図30に示すように、冷却器状態判定部62は、温度検出値保持部62A、温度検出値推測部62B、加減算手法62C、及び比較判定部62Dを有している。
温度検出値保持部62Aは、過去の温度検出値を保持する。温度検出値推測部62Bは、過去の温度検出値と、損失計算値65と、に基づき、現在の温度検出値を推測する。加減算手法62Cは、現在の温度検出値の推測値と、サーミスタ4a~4fの温度検出値と、の差分をとる。比較判定部62Dは、現在の温度検出値の推測値と、サーミスタ4a~4fの温度検出値と、の差分に基づき、冷却器8の状態を判定する。
ここで、本実施の形態の冷却器8は液冷式冷却器である。比較判定部62Dが判定する冷却器8の状態は、冷却器8に異常がない正常状態、及び冷却媒体に漏れが生じた冷却器8の異常状態のいずれかである。
温度検出値推測部62Bには、サーミスタ4a~4fの温度検出値と、対応する半導体スイッチング素子3a~3fの損失と、の相関関係があらかじめ記憶されている。この相関関係は、冷却器8が正常状態にある場合のものである。温度検出値推測部62Bは、温度検出値保持部62Aに保持されている過去の温度検出値と、現在の損失計算値65と、上記の相関関係と、を用いて、現在の検出されるべき温度検出値を推測する。検出されるべき温度検出値とは、冷却器8が正常状態にある場合の温度検出値である。
比較判定部62Dには、現在の温度検出値の推測値と、サーミスタ4a~4fの温度検出値と、の差分に対する閾値が設定されている。比較判定部62Dは、上記の差分が閾値以下である場合、冷却器8に異常がないと判定する。比較判定部62Dは、上記の差分が閾値を超えた場合、冷却器8に異常があると判定する。比較判定部62Dは、判定の結果に基づき、冷却器8の異常の有無を表す情報を、冷却器状態情報66として出力する。
サーミスタ4a~4fの温度検出値と、対応する半導体スイッチング素子3a~3fの損失と、の相関関係は、0次以上の遅れ要素により近似される。時間的要素を考えなくてよい定常動作における保護を目的とする場合、0次の近似、すなわち熱抵抗のみによる近似でよいため、制御部6の処理負荷を低減できる。インバータの出力変動が大きく、時間的要素を考える必要がある場合、1次以上の遅れ要素による近似、すなわち熱抵抗及び熱容量による近似が望まれる。遅れ要素の次数を大きくするほど高い精度で相関関係を近似できるが、制御部6の処理負荷が大きくなる。このため、遅れ要素の次数は、相関関係の精度及び制御部6の処理負荷を考慮して適切に設定されるのが望ましい。
これにより、制御部6は、処理負荷を抑えつつ、インバータの時間的な出力変化に対しても正確に追従するように冷却器8の状態を推定できる。
次に、本実施の形態における半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度の調整方法について、半導体スイッチング素子3aを例に挙げて説明する。冷却器8に異常がない場合、制御部6は、サーミスタ4aの温度検出値があらかじめ設定されている閾値を超えたときには、半導体スイッチング素子3aの温度が高温であると判定する。この場合、制御部6は、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が低下するように、ゲート駆動回路6aのゲート抵抗を切り替える。この閾値は、冷却器8に異常がないことを前提に、所定の動作範囲を超過した場合の保護動作と、インバータの効率改善とを目的として設定される。
冷却器状態情報66に基づき冷却器8に異常があると判定した場合、制御部6は、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度が低下するように、ゲート駆動回路6aのゲート抵抗を切り替える。この処理は、半導体スイッチング素子3aの温度が高温であると判定したときの処理と同様である。その後、制御部6は、図19の時刻t3以降と同様に、インバータの出力を低下させる保護動作、インバータを停止させる保護動作等を行う。
次に、本実施の形態の変形例について説明する。本変形例は、制御部6にジャンクション温度計算部が追加されている点、及び、制御部6がジャンクション温度計算値に基づく保護動作を行う点で、図29及び図30に示した構成と異なっている。以下、図29及び図30に示した構成との差異を中心に説明する。
図31は、本変形例に係る電力変換装置における制御部の構成を示すブロック図である。図32は、本変形例に係る電力変換装置におけるジャンクション温度計算部の構成を示すブロック図である。
図31に示すように、本変形例の制御部6は、半導体スイッチング素子損失計算部61、冷却器状態判定部62、インバータ動作制御部63、及びゲート駆動回路64に加えて、さらにジャンクション温度計算部70を有している。
図32に示すように、ジャンクション温度計算部70は、ジャンクション温度上昇特性選択部70A、ジャンクション温度上昇計算部70B、及び加減算器70Cを有している。
制御部6の機能及び動作を説明する前に、本変形例で追加された情報について説明する。ジャンクション温度計算部70の出力信号は、ジャンクション温度計算値71である。ジャンクション温度上昇特性選択部70Aの出力信号は、ジャンクション温度上昇特性71Aである。ジャンクション温度上昇計算部70Bの出力信号は、ジャンクション温度上昇値71Bである。
半導体スイッチング素子損失計算部61は、インバータ動作制御部63からの半導体スイッチング素子損失情報69などの情報に基づき、各半導体スイッチング素子の損失を計算する。半導体スイッチング素子損失計算部61は、計算により得られた各半導体スイッチング素子の損失を、各半導体スイッチング素子の損失計算値65として出力する。
冷却器状態判定部62は、各半導体スイッチング素子の損失計算値65、及び各サーミスタ4a~4fの温度検出値に基づいて、冷却器8の状態を推定する。冷却器状態判定部62は、推定した冷却器8の状態を、冷却器状態情報66として出力する。
インバータ動作制御部63の入力は、冷却器状態判定部62からの冷却器状態情報66、電圧センサ回路20からの電圧情報、電流センサ回路21a~21cからの電流情報、及びジャンクション温度計算部70からのジャンクション温度計算値71である。インバータ動作制御部63は、これらの入力に基づいて、各半導体スイッチング素子のオン・オフを制御するゲート制御信号67を生成する。インバータ動作制御部63は、生成したゲート制御信号67をゲート駆動回路64に出力する。また、インバータ動作制御部63からは、半導体スイッチング素子損失情報69が半導体スイッチング素子損失計算部61に出力される。
ゲート駆動回路64は、ゲート制御信号67をゲート駆動信号68に変換する。ゲート駆動回路64は、ゲート駆動信号68を各半導体スイッチング素子に出力する。
ジャンクション温度計算部70の入力は、冷却器状態判定部62からの冷却器状態情報66、半導体スイッチング素子損失計算部61からの各半導体スイッチング素子の損失計算値65、及び各サーミスタ4a~4fの温度検出値である。ジャンクション温度計算部70は、これらの入力に基づいて、ジャンクション温度計算値71を出力する。
ジャンクション温度計算部70におけるジャンクション温度の計算方法について説明する。ジャンクション温度計算部70は、上記の入力に基づいて、各半導体スイッチング素子のジャンクション温度を計算する。
ここで、半導体スイッチング素子損失計算部61には、ジャンクション温度計算部70が出力したジャンクション温度計算値71をフィードバックして入力することができる。半導体スイッチング素子損失計算部61にジャンクション温度計算値71を入力することによって、半導体スイッチング素子損失計算部61があらかじめ保持している半導体スイッチング素子及びダイオードの損失特性にジャンクション温度依存性を追加することができる。このため、半導体スイッチング素子損失計算部61は、各半導体スイッチング素子の損失をさらに正確に計算できる。
次に、ジャンクション温度計算部70の機能について図32を用いて説明する。ジャンクション温度上昇特性選択部70Aには、冷却器状態判定部62からの冷却器状態情報66が入力される。ジャンクション温度上昇特性選択部70Aは、冷却器状態情報66に基づき、冷却器8の状態に応じたジャンクション温度上昇特性71Aを選択する。
ジャンクション温度上昇計算部70Bには、ジャンクション温度上昇特性選択部70Aからのジャンクション温度上昇特性71Aと、半導体スイッチング素子損失計算部61からの各半導体スイッチング素子の損失計算値65と、が入力される。ジャンクション温度上昇計算部70Bは、ジャンクション温度上昇特性71Aと、各半導体スイッチング素子の損失計算値65と、に基づいて、ジャンクション温度上昇値71Bを計算する。
加減算器70Cは、ジャンクション温度上昇計算部70Bからのジャンクション温度上昇値71Bと、各サーミスタ4a~4fの温度検出値と、を加算する。これにより、各サーミスタ4a~4fのジャンクション温度計算値71が求められる。
ここで、本変形例の冷却器8は、液冷式冷却器である。比較判定部62Dが判定する冷却器8の状態は、冷却器8に異常がない正常状態、及び冷却媒体に漏れが生じた冷却器8の異常状態のいずれかである。また、ジャンクション温度上昇特性選択部70Aが選択するジャンクション温度上昇特性71Aは、冷却器8が正常状態のときの温度上昇特性、及び冷却器8が異常状態のときの温度上昇特性のいずれかである。
ジャンクション温度上昇特性選択部70Aは、各サーミスタ4a~4fの温度検出値及び対応する半導体スイッチング素子3a~3fのジャンクション温度の間の温度差と、対応する半導体スイッチング素子3a~3fの損失と、の相関関係を冷却器8の状態毎にあらかじめ記憶している。ジャンクション温度上昇特性選択部70Aは、冷却器状態情報66に基づいて、適切な相関関係を選択して出力する。
上記の相関関係は、サーミスタ4a~4fの温度検出値と、対応する半導体スイッチング素子3a~3fの損失と、の相関関係と同様の理由で、0次以上の遅れ要素により近似される。
以上のように、本変形例では、冷却器8の状態が変化しても、各半導体スイッチング素子3a~3fのジャンクション温度をより正確に推定することができる。このため、冷却器8が異常状態になっても、各半導体スイッチング素子3a~3fのジャンクション温度を監視することにより、各半導体スイッチング素子3a~3fの保護動作を確実に行うことができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る電力変換装置は、電流センサ回路21a~21cと、電圧センサ回路20と、をさらに備えている。電流センサ回路21a~21cは、半導体スイッチング素子3aに流れる電流を検出する。電圧センサ回路20は、半導体スイッチング素子3aに印加される電圧を検出する。
制御部6は、半導体スイッチング素子損失計算部61と、冷却器状態判定部62と、を有している。半導体スイッチング素子損失計算部61は、電流センサ回路21a~21cの検出値と、電圧センサ回路20の検出値と、を少なくとも用いて、半導体スイッチング素子3aの損失計算値65を計算する。冷却器状態判定部62は、損失計算値65と検出温度とに基づいて、冷却器8の異常の有無を判定する。
この構成によれば、損失計算値65と検出温度とに基づいて冷却器8の異常の有無を判定できるため、冷却器8に異常が生じた場合においても、より確実に半導体スイッチング素子3aの保護動作を行うことができる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、冷却器状態判定部62は、温度検出値推測部62Bと、比較判定部62Dと、を有している。温度検出値推測部62Bは、過去の検出温度と、損失計算値65と、に基づいて、検出温度の推測値である検出温度推測値を求める。比較判定部62Dは、検出温度推測値と、サーミスタで検出された検出温度と、を比較して、冷却器8の異常の有無を判定する。
この構成によれば、冷却器8の異常の有無をより適切に判定することができる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、制御部6は、損失計算値65と、冷却器8の状態と、サーミスタで検出された検出温度と、に基づいて、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度を推定するジャンクション温度計算部70をさらに有している。
この構成によれば、半導体スイッチング素子3aのジャンクション温度をより正確に推定できるため、冷却器8に異常が生じた場合においても、ジャンクション温度に基づいて半導体スイッチング素子3aの保護動作を確実に行うことができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る電力変換装置について説明する。本実施の形態の電力変換装置の実質的な回路構成は、実施の形態1と同様である。
実施の形態1及び2では、冷却器8に異常がある場合には、リカバリサージにより電圧Vdsが素子の耐圧を超過しないようにスイッチング速度が抑えられている。これに対し、本実施の形態では、冷却器8に異常がある場合においても、できる限りインバータの損失低減を考慮した保護動作を行う。
本実施の形態では、冷却器8に異常があると制御部6が判定した場合、インバータの出力電流を所定の負荷以下まで減少させつつ、半導体スイッチング素子のスイッチング速度を低下させずに高速スイッチングを続ける。出力電流が減少することにより、ジャンクション温度Tjと検出温度Tj_sensとの温度差が一意的に求まるため、制御部6は、検出温度Tj_sensに基づきジャンクション温度Tjをより正確に推定できる。これにより、ジャンクション温度Tjが高温に達するまでは、半導体スイッチング素子のスイッチング速度を高速に維持することができる。
スイッチング速度を高速に維持することにより、半導体スイッチング素子の損失が減少するため、半導体スイッチング素子の温度は高温になりにくい。その結果、冷却器8に異常がある場合においても、電力変換装置の低損失化を実現できる。
ただし、サーミスタの検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを超えた場合には、制御部6は、ゲート抵抗の切替え等により半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を低下させる。その後、制御部6は、図19の時刻t3以降と同様に、インバータの出力を低下させる保護動作、インバータを停止させる保護動作等を行う。
例えば、制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合、検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下であるときには、半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を相対的に高い値に設定するとともに、インバータの出力電流を減少させる。制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合において、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを上回ったときには、半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を相対的に低い値に設定する。
このように、本実施の形態では、冷却器8に異常がある場合、インバータの出力電流を減少させつつ、半導体スイッチング素子のスイッチング速度は高い値に維持される。しかしながら、車両側の要求により、インバータの出力電流を減少させることが許容されない場合がある。このような場合、制御部6は、インバータの出力電流に基づいてスイッチング速度を制御してもよい。
例えば、制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合、出力電流があらかじめ設定された閾値電流以下でありかつ検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下であるときには、半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を相対的に高い値に設定する。制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合において、出力電流が閾値電流を上回っているか、又は検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを上回っている場合、半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を相対的に低い値に設定する。
以上説明したように、本実施の形態に係る電力変換装置において、制御部6は、冷却器8に異常がないと判定した場合、検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下であるときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を第1速度に設定する。制御部6は、冷却器8に異常がないと判定した場合において、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを上回ったときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を第1速度よりも低い第2速度に設定する。
制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合、検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下であるときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を上記第1速度に設定するとともに、電力変換装置の出力電流を減少させる。
この構成によれば、冷却器8に異常がある場合においても、電力変換装置の損失をできる限り低減できるため、電費又は燃費を向上させることができる。
本実施の形態に係る電力変換装置において、制御部6は、冷却器8に異常がないと判定した場合、検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下であるときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を第1速度に設定する。制御部6は、冷却器8に異常がないと判定した場合において、検出温度Tj_sensが閾値温度Tthを上回ったときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を第1速度よりも低い第2速度に設定する。
制御部6は、冷却器8に異常があると判定した場合、電力変換装置の出力電流が閾値電流以下でありかつ検出温度Tj_sensが閾値温度Tth以下であるときには、半導体スイッチング素子3aのターンオン時のスイッチング速度を上記第1速度に設定する。
この構成によれば、冷却器8に異常がある場合においても、電力変換装置の損失をできる限り低減できるため、電費又は燃費を向上させることができる。
上記実施の形態では、電力変換装置をインバータ回路として説明しているが、電力変換装置はコンバータ回路であってもよい。
上記実施の形態では、冷却器8として液冷式冷却器を例に挙げたが、冷却器8は液冷式には限られない。冷却器8は、空冷式冷却器であってもよい。例えば、空冷式冷却器のファンが故障すると、冷却性能の低下により素子温度が上昇する。したがって、空冷式冷却器を備えた電力変換装置に上記実施の形態を適用しても、同様の効果が得られる。
上記実施の形態では、冷却器8に異常がある状態として、冷却器8の冷却媒体が消失した状態を例に挙げたが、これには限られない。冷却器8に異常がある状態には、冷却媒体の一部が消失した状態、電動ポンプが故障して冷却媒体の循環が停止した状態等も含まれる。
上記実施の形態1では、冷却器8の異常の有無が検出温度Tj_sensの温度上昇率に基づいて判定されている。上記実施の形態2では、冷却器8の異常の有無が検出温度Tj_sens及び半導体スイッチング素子の損失に基づいて判定されている。実施の形態1及び2のどちらの方がよいのかは、マイコンの負荷処理状況、車両の負荷などによって変わってくる。このため、制御部6は、冷却器8の異常の有無を何に基づいて判定するかを切り替えられるようになっていてもよい。
例えば、電圧センサ回路20及び電流センサ回路21a~21cのうちのいずれかが故障している場合、半導体スイッチング素子の損失を計算できない。このため、制御部6は、検出温度Tj_sens及び半導体スイッチング素子の損失に基づいて冷却器8の異常の有無を判定することができない。したがって、この場合、制御部6は、検出温度Tj_sensの温度上昇率に基づいて冷却器8の異常の有無を判定する。
上記実施の形態において、各半導体モジュール5a~5fの内部のチップ数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、半導体モジュールの数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
上記実施の形態では、各半導体スイッチング素子3a~3fが内部ダイオードを有しているが、これには限られない。各半導体スイッチング素子3a~3fとは別に設けられたダイオードが、各半導体スイッチング素子3a~3fと並列に接続されていてもよい。
上記実施の形態では、各半導体スイッチング素子3a~3fがMOSFETにより構成されているが、各半導体スイッチング素子3a~3fは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)及びダイオードにより構成されていてもよい。
上記実施の形態では、温度センサの例として、半導体スイッチング素子の外部に設けられたサーミスタが用いられているが、温度センサは、半導体スイッチング素子と同一の半導体チップ内に設けられた検温ダイオードであってもよい。
上記の各実施の形態は、互いに組み合わせて実施することが可能である。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子を冷却する液冷式の冷却器と、
前記半導体スイッチング素子の温度を検出する温度センサと、
前記半導体スイッチング素子を可変のスイッチング速度で駆動するゲート駆動回路を有する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づいて前記冷却器の異常の有無を判定し、判定結果に基づいて前記半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を制御する電力変換装置。
(付記2)
前記温度センサは、前記半導体スイッチング素子の外部に設けられたサーミスタである付記1に記載の電力変換装置。
(付記3)
前記制御部は、前記冷却器に異常があると判定した場合には、前記スイッチング速度を低下させる付記1又は付記2に記載の電力変換装置。
(付記4)
前記制御部は、
前記冷却器に異常がないと判定した場合、前記検出温度が閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を第1速度に設定し、前記検出温度が前記閾値温度を上回ったときには、前記スイッチング速度を前記第1速度よりも低い第2速度に設定し、
前記冷却器に異常があると判定した場合、前記スイッチング速度を前記第2速度に設定する付記1~付記3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記5)
前記制御部は、前記半導体スイッチング素子のゲート抵抗を調整することによって前記スイッチング速度を制御する付記4に記載の電力変換装置。
(付記6)
前記制御部は、前記半導体スイッチング素子のゲート電圧を調整することによって前記スイッチング速度を制御する付記4に記載の電力変換装置。
(付記7)
前記制御部は、前記検出温度の時間当たりの上昇率である温度上昇率が閾値上昇率を上回った場合、前記冷却器に異常があると判定する付記1~付記6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記8)
前記閾値上昇率は、前記冷却器に異常がないときの温度上昇率よりも高い値に設定されている付記7に記載の電力変換装置。
(付記9)
前記半導体スイッチング素子に流れる電流を検出する電流センサ回路と、
前記半導体スイッチング素子に印加される電圧を検出する電圧センサ回路と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記電流センサ回路の検出値と前記電圧センサ回路の検出値とを少なくとも用いて前記半導体スイッチング素子の損失計算値を計算する半導体スイッチング素子損失計算部と、
前記損失計算値と前記検出温度とに基づいて前記冷却器の異常の有無を判定する冷却器状態判定部と、を有している付記1~付記8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記10)
前記冷却器状態判定部は、
過去の前記検出温度と前記損失計算値とに基づいて、前記検出温度の推測値である検出温度推測値を求める温度検出値推測部と、
前記検出温度推測値と、前記温度センサで検出された前記検出温度と、を比較して、前記冷却器の異常の有無を判定する比較判定部と、を有している付記9に記載の電力変換装置。
(付記11)
前記制御部は、
前記損失計算値と、前記冷却器の状態と、前記検出温度と、に基づいて、前記半導体スイッチング素子のジャンクション温度を推定するジャンクション温度計算部をさらに有している付記9又は付記10に記載の電力変換装置。
(付記12)
前記制御部は、
前記冷却器に異常がないと判定した場合、前記検出温度が閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を第1速度に設定し、前記検出温度が前記閾値温度を上回ったときには、前記スイッチング速度を前記第1速度よりも低い第2速度に設定し、
前記冷却器に異常があると判定した場合、電力変換装置の出力電流が閾値電流以下でありかつ前記検出温度が前記閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を前記第1速度に設定する付記1又は付記2に記載の電力変換装置。
(付記13)
前記制御部は、
前記冷却器に異常がないと判定した場合、前記検出温度が閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を第1速度に設定し、前記検出温度が前記閾値温度を上回ったときには、前記スイッチング速度を前記第1速度よりも低い第2速度に設定し、
前記冷却器に異常があると判定した場合、前記検出温度が前記閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を前記第1速度に設定するとともに、電力変換装置の出力電流を減少させる付記1又は付記2に記載の電力変換装置。
(付記14)
前記半導体スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体により形成されている付記1~付記13のいずれか一項に記載の電力変換装置。
1 直流入力電源、2 平滑用コンデンサ、3a、3b、3c、3d、3e、3f 半導体スイッチング素子、4a、4b、4c、4d、4e、4f サーミスタ、5a、5b、5c、5d、5e、5f 半導体モジュール、6 制御部、6a ゲート駆動回路、6b 駆動回路本体、6c ゲート抵抗切替回路、6d バイパス回路、7 モータ、8 冷却器、8a 表面、8b 冷却媒体流路、20 電圧センサ回路、21a、21b、21c 電流センサ回路、31a、31b、31c、31d 信号線、32a、32b、32c、32d、32e、32f 制御線、33a、33b、33c、33d、33e、33f 信号線、41 バスバー、42 はんだ層、43 基板、43a、43b 面、44 樹脂成形体、45 絶縁部材、50a、50b、51a、51b、52a、52b、52c、53a、53b、54a、54b、54c 熱抵抗、61 半導体スイッチング素子損失計算部、62 冷却器状態判定部、62A 温度検出値保持部、62B 温度検出値推測部、62C 加減算手法、62D 比較判定部、63 インバータ動作制御部、64 ゲート駆動回路、65 損失計算値、66 冷却器状態情報、67 ゲート制御信号、68 ゲート駆動信号、69 半導体スイッチング素子損失情報、70 ジャンクション温度計算部、70A ジャンクション温度上昇特性選択部、70B ジャンクション温度上昇計算部、70C 加減算器、71 ジャンクション温度計算値、71A ジャンクション温度上昇特性、71B ジャンクション温度上昇値、G ゲート部、Ids 電流、Rgoff 抵抗、Rgon1 抵抗、Rgon2 抵抗、SW スイッチング素子、T1 温度、T2 温度、Tj ジャンクション温度、Tj_sens 検出温度、Tth 閾値温度、TR1 温度上昇率、TRth1 閾値上昇率、TRth2 閾値上昇率、Vds 電圧、Vg 可変電圧源、Vu、Vv、Vw 3相出力端子、t0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7 時刻、Zdiode ツェナーダイオード、Δt10 閾値時間、ΔT2 温度差、ΔV リカバリサージ電圧。

Claims (14)

  1. 半導体スイッチング素子と、
    前記半導体スイッチング素子を冷却する液冷式の冷却器と、
    前記半導体スイッチング素子の温度を検出する温度センサと、
    前記半導体スイッチング素子を可変のスイッチング速度で駆動するゲート駆動回路を有する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記温度センサの検出温度に基づいて前記冷却器の異常の有無を判定し、判定結果に基づいて前記半導体スイッチング素子のターンオン時のスイッチング速度を制御する電力変換装置。
  2. 前記温度センサは、前記半導体スイッチング素子の外部に設けられたサーミスタである請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記制御部は、前記冷却器に異常があると判定した場合には、前記スイッチング速度を低下させる請求項1に記載の電力変換装置。
  4. 前記制御部は、
    前記冷却器に異常がないと判定した場合、前記検出温度が閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を第1速度に設定し、前記検出温度が前記閾値温度を上回ったときには、前記スイッチング速度を前記第1速度よりも低い第2速度に設定し、
    前記冷却器に異常があると判定した場合、前記スイッチング速度を前記第2速度に設定する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  5. 前記制御部は、前記半導体スイッチング素子のゲート抵抗を調整することによって前記スイッチング速度を制御する請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記制御部は、前記半導体スイッチング素子のゲート電圧を調整することによって前記スイッチング速度を制御する請求項4に記載の電力変換装置。
  7. 前記制御部は、前記検出温度の時間当たりの上昇率である温度上昇率が閾値上昇率を上回った場合、前記冷却器に異常があると判定する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  8. 前記閾値上昇率は、前記冷却器に異常がないときの温度上昇率よりも高い値に設定されている請求項7に記載の電力変換装置。
  9. 前記半導体スイッチング素子に流れる電流を検出する電流センサ回路と、
    前記半導体スイッチング素子に印加される電圧を検出する電圧センサ回路と、
    をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記電流センサ回路の検出値と前記電圧センサ回路の検出値とを少なくとも用いて前記半導体スイッチング素子の損失計算値を計算する半導体スイッチング素子損失計算部と、
    前記損失計算値と前記検出温度とに基づいて前記冷却器の異常の有無を判定する冷却器状態判定部と、を有している請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  10. 前記冷却器状態判定部は、
    過去の前記検出温度と前記損失計算値とに基づいて、前記検出温度の推測値である検出温度推測値を求める温度検出値推測部と、
    前記検出温度推測値と、前記温度センサで検出された前記検出温度と、を比較して、前記冷却器の異常の有無を判定する比較判定部と、を有している請求項9に記載の電力変換装置。
  11. 前記制御部は、
    前記損失計算値と、前記冷却器の状態と、前記検出温度と、に基づいて、前記半導体スイッチング素子のジャンクション温度を推定するジャンクション温度計算部をさらに有している請求項9に記載の電力変換装置。
  12. 前記制御部は、
    前記冷却器に異常がないと判定した場合、前記検出温度が閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を第1速度に設定し、前記検出温度が前記閾値温度を上回ったときには、前記スイッチング速度を前記第1速度よりも低い第2速度に設定し、
    前記冷却器に異常があると判定した場合、電力変換装置の出力電流が閾値電流以下でありかつ前記検出温度が前記閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を前記第1速度に設定する請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
  13. 前記制御部は、
    前記冷却器に異常がないと判定した場合、前記検出温度が閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を第1速度に設定し、前記検出温度が前記閾値温度を上回ったときには、前記スイッチング速度を前記第1速度よりも低い第2速度に設定し、
    前記冷却器に異常があると判定した場合、前記検出温度が前記閾値温度以下であるときには、前記スイッチング速度を前記第1速度に設定するとともに、電力変換装置の出力電流を減少させる請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
  14. 前記半導体スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体により形成されている請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
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