JP2024046983A - 金属加工油剤のゲル化抑制方法及び金属加工油剤の製造方法 - Google Patents

金属加工油剤のゲル化抑制方法及び金属加工油剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属加工油剤のゲル化を良好に抑制することができる、金属加工油剤のゲル化抑制方法等を提供する。【解決手段】金属加工油剤のゲル化抑制方法は、水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを混合する工程を含み、前記水の含有量が5.0重量%以上7.0重量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、金属加工油剤のゲル化抑制方法及び金属加工油剤の製造方法に関する。
切削加工や研削加工などの金属加工分野において、潤滑を目的に金属加工油剤が使用されている。金属加工油剤には、油性の加工油剤と水溶性の加工油剤とがあるが、冷却性、浸潤性に優れ、火災の危険がないことから、水溶性の加工油剤が多用されている。金属加工の際は、大量の金属加工油剤をポンプによって循環しながら使用する。
例えば特許文献1には、2-フェノキシエタノールを含有する水溶性金属加工油剤が開示されている。
国際公開第2022/024719号
金属加工油剤は、低温下においてゲル化する場合があるという問題がある。金属加工油剤のゲル化は、金属加工油剤が使用されている装置において、目詰まりや増粘による機械効率の低下を招く。
本開示の主な目的は、金属加工油剤のゲル化を良好に抑制することができる、金属加工油剤のゲル化抑制方法等を提供することである。
上記課題を解決する本開示の態様は次の通りである。
(1)本開示の一態様に係る金属加工油剤のゲル化抑制方法は、水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを混合する工程を含み、前記水の含有量が5.0重量%以上7.0重量%以下である。
(2)上記(1)に記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法において、前記不飽和炭化水素化合物の含有量が0.4重量%以上であってもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法において、前記不飽和炭化水素化合物に対する前記水の含有重量比(水/不飽和炭化水素化合物)が0.2以上12.0以下であってもよい。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法において、前記不飽和炭化水素化合物が、オレイン酸、ひまし油縮合脂肪酸、ソルビタンモノオレート、オレイルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンオレイルセチルエーテルから選ばれる1種又は2種以上であってもよい。
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法において、前記飽和炭化水素化合物はパラフィン系鉱物油であってもよい。
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法において、前記金属加工油剤は5℃以下で使用されてもよい。
(7)本開示の一態様に係る金属加工油剤の製造方法は、水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを混合する工程を含み、
前記水の含有量が5.0重量%以上7.0重量%以下である。
本開示によれば、金属加工油剤のゲル化を良好に抑制することができる、金属加工油剤のゲル化抑制方法等を提供できる。
原液状態の評価基準を説明するための画像である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下に挙げる要素は、任意に組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
また、本明細書において、数値範囲に関して例示される上限値及び下限値は任意に組み合わせて新しい数値範囲にすることができる。
(金属加工油剤のゲル化抑制方法)
本実施形態の金属加工油剤のゲル化抑制方法(以下、単にゲル化抑制方法とも記載する)は、金属加工油剤のゲル化を抑制する方法であって、水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを混合する工程を含み、水の含有量が5.0重量%以上7.0重量%以下であることを特徴としている。なお、本明細書において、ゲル化とは、流動性のある金属加工油剤が流動性を失った状態(殆ど流動性を示さないか、全く示さない状態)をいう。
従来の金属加工油剤は、常温時に流動性を有している場合であっても、低温時にはゲル化することがあった。実施形態のゲル化抑制方法を適用した金属加工油剤は、低温流動性に優れ、低温下において、従来の金属加工油剤より優れたゲル化抑制性を発揮できる。
実施形態のゲル化抑制方法を適用した金属加工油剤の使用または保存時における温度は常温(例えば15℃以上30℃以下程度)が好ましいが、低温環境下(例えば-10℃以上5℃以下程度、さらに言えば-10℃以上3℃以下程度、よりさらに言えば-10℃以上0℃以下程度)においてもゲル化することなく使用ないし保存することができる。
本実施形態のゲル化抑制方法においては、飽和炭化水素化合物を含む油剤に対して、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、所定範囲の水とを配合することで金属加工油剤のゲル化を抑制する。
本明細書において、HLBとは、Hydrophile-lipophilebalance(親水性-親油性バランス)の略称であり、化合物の分子内における親水基と親油基のつり合いを示す指標である。本明細書において、HLBは、グリフィン法により、次の算出式で定義される値である。
HLB値=20×[親水部の化学式量の総和]/分子量
ゲル化抑制方法は、水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを混合する工程を含む。混合方法としては、特に限定的ではないが、例えば攪拌等の公知の方法を用いることができる。また、各成分の添加順序は特に限定されない。
以下、本実施形態のゲル化抑制方法を適用する金属加工油剤の各成分について説明する。金属加工油剤は、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、水と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを含有する。
[不飽和炭化水素化合物]
本実施形態のゲル化抑制方法においては、上述の通り、不飽和炭化水素化合物を配合することで金属加工油剤のゲル化の抑制を図っている。実施形態のゲル化抑制方法に用いる不飽和炭化水素化合物は、分子内に不飽和炭化水素鎖を有する化合物である。
不飽和炭化水素化合物は、HLBが8.0以下である。不飽和炭化水素化合物のHLBが8.0以下において、金属加工油剤全体におけるHLBを良好に保ち、金属加工油剤の安定性を向上することができる。従って、金属加工油剤の分層といった不具合を抑制しつつ、優れたゲル化の抑制性を発揮することができる。不飽和炭化水素化合物のHLBは、ゲル化抑制性の観点から、0.5以上4.5以下がより好ましく、1.0以上4.5以下がさらに好ましい。
不飽和炭化水素化合物としては、例えば、オレイン酸、ひまし油縮合脂肪酸、ソルビタンモノオレート、オレイルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンオレイルセチルエーテル等が挙げられる。不飽和炭化水素化合物は単独でも2種以上を併用してもよい。不飽和炭化水素化合物としては、ゲル化抑制性の観点から、中でもオレイン酸、ひまし油縮合脂肪酸、ソルビタンモノオレート、オレイルアルコールが好ましく、オレイン酸、ソルビタンモノオレート、オレイルアルコールがより好ましい。
HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物の市販品としては、NAA-35(日油株式会社製)、MINERASOL PCF-45(伊藤製油株式会社製)、ノニオンOP-80R(日油株式会社製)、アンジェコール90N(新日本理化株式会社製)、ペレテックス2917H、ペレテックス2918H(以上、ミヨシ油脂株式会社製)、ノイゲンET-89(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
上述の不飽和炭化水素化合物は、ゲル化抑制性の観点から、親油基の炭素数が12以上80以下であることが好ましく、14以上76以下であることがより好ましく、16以上72以下であることがさらに好ましく、16以上20以下であることが最も好ましい。
実施形態のゲル化抑制方法において、不飽和炭化水素化合物の含有量は、ゲル化抑制性の観点から、金属加工油剤中、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは0.9重量%以上、最も好ましくは1.0重量%以上であり、また、ゲル化抑制性及び使用に見合う効果を得る観点から、好ましくは16重量%以下であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
不飽和炭化水素化合物の含有量は、ゲル化抑制性の観点から、金属加工油剤中、不飽和炭化水素化合物のHLBが4.5未満又は0.5以上4.5未満において、好ましくは0.4重量%以上16重量%以下であり、また、HLBが4.5以上7.0未満において、好ましくは0.4重量%以上7.5重量%以下であり、また、HLBが7.0以上8.0以下において、好ましくは0.4重量%以上3.5重量%以下である。
[水]
本実施形態のゲル化抑制方法においては、上述の通り、所定含有量範囲の水を配合することで金属加工油剤のゲル化の抑制を図っている。実施形態のゲル化抑制方法に用いる水は、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等いずれでもよく、その水は硬水であるか軟水であるかを問わない。水は単独でも2種以上を併用してもよい。
金属加工油剤は、エマルション型、ソリュブル型のいずれの形態であってもよいが、エマルション型であることが好ましい。
実施形態のゲル化抑制方法において、水の含有量は、金属加工油剤中、5.0重量%以上7.0重量%以下である。水の含有量が上記範囲内において、金属加工油剤の分層を抑制することができ、金属加工油剤のゲル化を顕著に抑制することができる。水の含有量は、金属加工油剤中、ゲル化抑制性の観点から、好ましくは5.3重量%以上、より好ましくは6.0重量%以上、さらに好ましくは6.3重量%以上であり、また、分層抑制の観点から、6.7重量%以下が好ましい。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
水の含有量は、水及び後述する油剤成分の合計100重量部に対して、5.0重量部以上7.0重量部以下であることが好ましく、5.4重量部以上7.0重量部以下であることがより好ましく、6.0重量部以上7.0重量部以下であることがさらに好ましく、6.4重量部以上7.0重量部以下であることが最も好ましい。
不飽和炭化水素化合物に対する水の重量比(水/不飽和炭化水素化合物)は、相乗効果及びゲル化抑制性の観点から、0.2以上12.0以下が好ましく、2.6以上12.0以下がより好ましい。不飽和炭化水素化合物に対する水の重量比は、不飽和炭化水素化合物のHLBが4.5未満又は0.5以上4.5未満において、0.2以上12.0以下が好ましく、また、HLBが4.5以上7.0未満において、0.7以上12.0以下が好ましく、また、HLBが7.0以上8.0以下において、1.5以上12.0以下が好ましい。
[油剤]
油剤は、飽和炭化水素化合物としての基油を含む。基油としては、飽和炭化水素を含むものであれば特に限定されず、例えば、鉱物油、合成油等が挙げられる。鉱物油としては、例えばパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油等の鉱物油等が挙げられる。合成油としては、例えば炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油等の合成油等が挙げられる。中でも、基油としては、鉱物油が好ましく、パラフィン系鉱物油がより好ましい。低温下でゲル化し易いパラフィン系鉱物油を含む金属加工油剤に本願手法を適用した場合、その効果が顕著に発現される。基油は単独でも2種以上を併用してもよい。
基油の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、加工性の観点から、好ましくは40重量部以上、より好ましくは45重量部以上、さらに好ましくは50重量部以上であり、また、金属加工油剤のゲル化抑制性及び安定性の観点から、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、さらに好ましくは70重量部以下であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
実施形態のゲル化抑制方法に用いる油剤は、上記基油成分以外に、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて、脂肪酸類、各種添加剤等を含有することができる。添加剤としては、例えばアミン類、界面活性剤、防錆剤、防かび剤、腐食防止剤、抗菌剤等が挙げられる。
脂肪酸類としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸等が挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、天然物としてのヤシ油脂肪酸等が挙げられる。また、ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等が挙げられる。脂肪酸類は単独でも2種以上を併用してもよい。
脂肪酸類の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、加工性の観点から、例えば0.5重量部以上5.0重量部以下とすることができる。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
アミン類としては、例えば、アルカノールアミン等の有機アミンが挙げられる。有機アミンとしては、例えば、1級アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、2級アルカノールアミン(例えばN-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、3級アルカノールアミン(例えば、N-メチルジエタノールアミン、N-シクロヘシキルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等が挙げられる。アミン類は単独でも2種以上を併用してもよい。
アミン類の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、乳化安定性の観点から、例えば1.0重量部以上10.0重量部以下とすることができる。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は単独でも2種以上を併用してもよい。界面活性剤としては、中でもノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の組み合わせがより好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのエステル類、脂肪酸アルカノールアミドのようなアミド類等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などの四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としは、例えば、ベタイン系としてアルキルベタインが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、乳化安定性の観点から、例えば10.0重量部以上30.0重量部以下とすることができる。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用する場合、ノニオン性界面活性剤の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、例えば5.0重量部以上15.0重量部以下とすることができ、また、アニオン性界面活性剤の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、例えば5.0重量部以上15.0重量部以下とすることができる。
防錆剤としては、例えば、二塩基酸、有機アミン等が挙げられる。防錆剤は単独でも2種以上を併用してもよい。防錆剤の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、防錆性の観点から、例えば0.1重量部以上1.0重量部以下とすることができる。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
防かび剤としては、例えば、有機アミンが挙げられる。防かび剤は単独でも2種以上を併用してもよい。防かび剤の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、防かび性の観点から、例えば1.0重量部以上7.0重量部以下とすることができる。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、クロム酸塩、メタケイ酸塩、リン酸塩等が挙げられる。腐食防止剤は単独でも2種以上を併用してもよい。腐食防止剤の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、腐食抑制性の観点から、例えば0.1重量部以上1.0重量部以下とすることができる。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
抗菌剤としては、例えば、ベンズイミダゾール系抗菌剤、ベンゾチアゾリン系抗菌剤、チアジアゾール系抗菌剤、ピリジン系抗菌剤等が挙げられる。抗菌剤は単独でも2種以上を併用してもよい。抗菌剤の含有量は、油剤成分及び水の合計100重量部に対して、抗菌性の観点から、例えば0.1重量部以上1.0重量部以下とすることができる。2種以上を併用する場合の含有量は、合計量を意味する。
実施形態のゲル化抑制方法に用いる金属加工油剤は、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、所定の含有量範囲の水と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを含有するという条件を満たす限りにおいて、上記油剤成分として不飽和炭化水素化合物を含有してもよいが、本発明の効果を高める観点から、上記油剤成分としての不飽和炭化水素化合物の含有量は少ないほど好ましく、上記油剤成分として不飽和炭化水素化合物を実質的に含まないことがより好ましく、上記油剤成分として不飽和炭化水素化合物を含まないことがさらに好ましい。
油剤が不飽和炭化水素化合物を実質的に含まない場合、前記不飽和炭化水素化合物の含有量は、油剤の全量100重量部に対して、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下である。
なお、金属加工油剤中に油剤成分としての不飽和炭化水素化合物を含む場合、油剤成分としての不飽和炭化水素化合物は、上述のゲル化解消を図るために配合される不飽和炭化水素化合物とは区別される。すなわち、上述のゲル化解消を図るために配合される不飽和炭化水素化合物に係る含有量及び含有量比等の規定には、油剤成分としての不飽和炭化水素化合物は含まれない。
(金属加工油剤の製造方法)
実施形態の金属加工油剤は、上記各成分を混合、攪拌することによって得られる。各成分の添加順序は特に限定されない。
上述の金属加工油剤は、当該金属加工油剤を原液とし、水で希釈した金属加工液の態様で使用してもよい。金属加工液(希釈液)は、クーラント(冷却剤)として金属の加工に使用できる。
金属加工液は、金属加工油剤を水で希釈することにより得られる。使用する水は、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等いずれでもよく、その水は硬水であるか軟水であるかを問わない。
金属加工油剤を水で希釈する場合の希釈倍率は、金属加工油剤の組成及び金属加工時に求められる性能に応じて適宜調整できる。希釈倍率は、限定的ではないが、通常1.5倍以上100倍以下に希釈して使用することが好ましい。本発明の効果をより一層高め、加工特性を向上させるという観点から、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上であり、そして、より好ましくは50倍以下、さらに好ましくは30倍以下である。
金属加工油剤(原液)及び金属加工液(希釈液)は、優れたゲル化抑制性及び加工性を有するため、金属加工、例えば金属の切削、研削、研磨及び切断等に好適に利用することができる。加工対象とする金属の種類としては、例えば、鉄系金属及びその合金、アルミニウム、マグネシウム、銅等の非鉄金属及びその合金等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に限定されることは意図しない。例中の部及び%は断りがない限り重量基準である。
(金属加工油剤の調製)
[実施例1]
下記の表1に示す(A)油剤の各構成成分及び(B)水5.5重量%を配合してなるブランク1の100.0gに対し、成分(C)としてのオレイン酸を2.0gを添加し、撹拌機中で均一になるまで混合して、実施例1の金属加工油剤を得た。金属加工油剤の組成を下記表2~6に示す。なお、表2~6中、水の括弧書きで示した数値は、(A)油剤及び(B)水の総量に対する(B)水の含有量、すなわちブランク中における水の含有量(重量%)を示す。また、成分(C)に対する(B)水の重量比((B)水/成分(C))を併記する。
[実施例2]
(B)水の配合比率を6.5重量%としたブランク2を用いること以外は実施例1と同様にして、実施例2の金属加工油剤を調製した。
[比較例1]
(B)水の配合比率を4.5重量%としたブランク3を用いること以外は実施例1と同様にして、比較例1の金属加工油剤を調製した。
[実施例3~14、比較例2~37]
金属加工油剤における各成分の配合比率を表2~6に示す通りとし、水の括弧書きで示した数値が5.5重量%であるものはブランク1を使用し、6.5重量%であるものはブランク2を使用し、4.5重量%であるものはブランク3を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3~14及び比較例2~37の金属加工油剤を調製した。
Figure 2024046983000001
Figure 2024046983000002
Figure 2024046983000003
Figure 2024046983000004
Figure 2024046983000005
Figure 2024046983000006
上記表1に示すブランク1~3では、同一の(A)油剤を用い、(A)油剤に対する(B)水の配合量のみを異ならせて各ブランクを調製した。
上記表2~6で使用した成分(C)の詳細は、以下の通りである。
(C1)オレイン酸:NAA-35(日油株式会社製)、HLB3.2、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数17
(C2)ひまし油縮合脂肪酸:MINERASOL PCF-45(伊藤製油株式会社製)、HLB0.8、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数71
(C3)ソルビタンモノオレート:ノニオンOP-80R(日油株式会社製)、HLB4.3、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(C4)オレイルアルコール:アンジェコール90N(新日本理化株式会社製)、HLB1.3、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(C5)ポリオキシエチレンアルキルエーテル:ペレテックス2917H(ミヨシ油脂株式会社製)、HLB4.8、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(C6)ポリオキシエチレンアルキルエーテル:ペレテックス2918H(ミヨシ油脂株式会社製)、HLB6.4、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(C7)ポリオキシアルキレンオレイルセチルエーテル:ノイゲンET-89(第一工業製薬株式会社製)、HLB7.9、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数16、18
(C8)2-フェノキシエタノール、HLB2.5、不飽和炭化水素鎖なし
(C9)Naスルホネート:スルホール465(株式会社MORESCO製)、HLB3.6、不飽和炭化水素鎖なし、親油基の炭素数28
(C10)ポリオキシアルキレンラウリルエーテル:DKS NL-DASH403(第一工業製薬株式会社製)、HLB6.5、不飽和炭化水素鎖なし、親油基の炭素数12
(C11)水素化牛脂脂肪酸:STEARIC ACID(POFAC1660L)(SOUTHERN ACIDS INDUSTRIES SDN.BHD製)、HLB3.2、不飽和炭化水素鎖なし、親油基の炭素数17
(C12)ステアリルアルコール:コノール30S(新日本理化株式会社製)、HLB1.3、不飽和炭化水素鎖なし、親油基の炭素数18
(C13)ポリオキシエチレンオレイルエーテル:エマルゲン404(花王株式会社製)、HLB8.8、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(C14)ポリオキシエチレンオレイルエーテル:エマルゲン408(花王株式会社製)、HLB10.0、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(C15)ポリオキシエチレンオレイルエーテル:エマルゲン420(花王株式会社製)、HLB13.6、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(C16)ポリオキシエチレンオレイルエーテル:エマルゲン430(花王株式会社製)、HLB16.2、不飽和炭化水素鎖あり、親油基の炭素数18
(ゲル化抑制性評価)
各金属加工油剤(原液)を0℃下で一日静置した。静置後、原液の外観を目視にて確認し、以下の基準で評価した。A及びBの場合、ゲル化抑制性が良好と判定した。評価結果を表7及び8に示す。
(評価基準)
A:ゲル化の解消が見られる
B:ゲル化の解消が見られるが、やや粘度が高い
C:ゲル化が生じている
D:固化が生じている
E:分層が生じている
なお、各実施例及び比較例の原液はいずれも、常温下において、ゲル化、固化及び分層が生じておらず、流動性を有していた。
図1は、原液状態の評価基準を説明するための画像である。図1は、評価基準を説明するための例示的な画像であり、実際の評価結果を限定するものではない。
Figure 2024046983000007
Figure 2024046983000008
表7及び8より、5.0重量%以上7.0重量%以下の水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを配合した実施例1~14の金属加工油剤は、良好にゲル化が解消されていた。これに対し、上記含有量の範囲内の水を配合しない比較例1~7、及びHLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物を配合しない比較例8~37の金属加工油剤は、ゲル化が十分に解消されなかった。
水の配合比率を4.5重量%としたブランク3を使用した比較例の金属加工油剤はいずれも、低温下で固化が生じておりゲル化抑制性を有さない一方で、所定範囲の水を含有する各実施例の金属加工油剤はゲル化が解消されていたことから、適量の水の添加により液状態が良化されることが確認された。実施例3、4、9~14及び比較例2、5~7などより、水の増量がゲル化抑制性の向上に寄与することが確認された。
比較例8~19より、飽和炭化水素鎖を有する化合物を配合した場合には、ゲル化の解消効果が十分に得られず、ゲル化抑制性(ゲル化解消性)が不良であることが確認された。比較例20~25より、不飽和炭化水素鎖を有さずHLBが8.0以下である(親水部が小さい)化合物を用いた場合には、ゲル化を解消しないどころか、液が固化することが確認された。比較例26~37より、HLBが8.0よりも大きい不飽和炭化水素化合物を用いた場合には、ゲル化の解消効果が十分に得られず、ゲル化抑制性(ゲル化解消性)が不良であることが確認された。
次に、成分(C)の含有量を変化させた場合のゲル化抑制効果を調査した。
[実施例15~63、比較例38~45]
表1に示したブランク1(水5.5重量%)をベース配合とし、各成分の配合比率を表9~16に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例15~63及び比較例38~45の金属加工油剤を調製した。
実施例15~63及び比較例38~45について、上述の各実施例及び比較例と同様の方法によりゲル化抑制性を評価した。評価結果を表9~16に示す。なお、各実施例及び比較例の原液はいずれも、常温下において、ゲル化、固化及び分層が生じておらず、流動性を有していた。
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表9~16より、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物を配合した実施例15~63の金属加工油剤は、ゲル化抑制性に優れることが確認された。実施例15~46より、HLBが比較的小さい不飽和炭化水素化合物の場合、比較的多い含有量において優れたゲル化抑制効果が得られた。これに対し、実施例47~63より、HLBが比較的大きい不飽和炭化水素化合物の場合、含有量の増加によるゲル化抑制性の向上は見られなかった。
以上より、本開示のゲル化抑制方法を用いた金属加工油剤は、ゲル化を良好に抑制することが確認された。

Claims (7)

  1. 水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを混合する工程を含み、
    前記水の含有量が5.0重量%以上7.0重量%以下である
    金属加工油剤のゲル化抑制方法。
  2. 前記不飽和炭化水素化合物の含有量が0.4重量%以上である
    請求項1に記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法。
  3. 前記不飽和炭化水素化合物に対する前記水の含有重量比(水/不飽和炭化水素化合物)が0.2以上12.0以下である
    請求項1又は請求項2に記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法。
  4. 前記不飽和炭化水素化合物が、オレイン酸、ひまし油縮合脂肪酸、ソルビタンモノオレート、オレイルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンオレイルセチルエーテルから選ばれる1種又は2種以上である
    請求項1又は請求項2に記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法。
  5. 前記飽和炭化水素化合物はパラフィン系鉱物油である
    請求項1又は請求項2に記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法。
  6. 前記金属加工油剤は5℃以下で使用される
    請求項1又は請求項2に記載の金属加工油剤のゲル化抑制方法。
  7. 水と、HLBが8.0以下である不飽和炭化水素化合物と、飽和炭化水素化合物を含む油剤とを混合する工程を含み、
    前記水の含有量が5.0重量%以上7.0重量%以下である
    金属加工油剤の製造方法。
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