JP2024044665A - ケース付ボンド磁石 - Google Patents

ケース付ボンド磁石 Download PDF

Info

Publication number
JP2024044665A
JP2024044665A JP2022150328A JP2022150328A JP2024044665A JP 2024044665 A JP2024044665 A JP 2024044665A JP 2022150328 A JP2022150328 A JP 2022150328A JP 2022150328 A JP2022150328 A JP 2022150328A JP 2024044665 A JP2024044665 A JP 2024044665A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bonded magnet
case
sealing material
magnet
bonded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022150328A
Other languages
English (en)
Inventor
翔平 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp filed Critical NTN Corp
Priority to JP2022150328A priority Critical patent/JP2024044665A/ja
Publication of JP2024044665A publication Critical patent/JP2024044665A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】ボンド磁石の防錆性の確保とボンド磁石とケースの接着が担保されるケース付ボンド磁石を提供する。【解決手段】希土類磁石粉末と熱硬化性樹脂とを含むボンド磁石と、前記ボンド磁石を挿入するケースと、封止材とを備えてなるケース付ボンド磁石である。ケースのボンド磁石の挿入開口部に封止材が固定され、ボンド磁石が該封止材とケースとで密封されている。ボンド磁石が該封止材とケースとで密封されており、封止材が嫌気性接着剤にて構成される。封止材の硬化後の膜厚が0.05mmを越える。封止材の硬化後の膜の最大高さうねりWzが20μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、ケース付ボンド磁石に関し、特に、非接触で角度を検出するセンサに使用されるケース付ボンド磁石に関する。
希土類合金などの磁石粉末を樹脂バインダで結合して成形したボンド磁石は、樹脂バインダを含む分、バインダレスの焼結磁石より磁気特性は劣るものの、任意の形状に加工が容易であり、その寸法精度にも優れることから、種々の用途に使用されている。なお、樹脂バインダとしては、一般的に、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、PPS樹脂から選択される場合が多い。
例えば、非接触で角度を検出するセンサ用途として、自動車分野では、HEV車やEV車のエンジン、インバータ、バッテリーなどの冷却を効率よく行うためのウォーターポンプ、その他、オイルポンプ、燃料ポンプなどのバルブや弁体の開閉度を検知するセンサ磁石として利用され、産業機械分野では、たとえばロボットの関節部やモータ、ギヤなどの角度や回転数検出用のセンサ磁石(センサーマグネット)などに利用されている。
希土類磁石粉末をボンド磁石に用いる場合、特に圧縮ボンド磁石は多孔体のため表面積が大きく、また錆びやすい鉄や希土類を含むことから、錆や酸化腐食による磁気特性の劣化のおそれがある。特に、高温高湿環境や、水などの流体と接触する腐食性環境下では顕著となる。このため、磁石表面に、例えば、電着塗装、静電塗装、スプレー塗装などによる樹脂塗膜や、ニッケルメッキなどのメッキ膜を形成することで、上記問題に対処している。
特許文献1には、希土類磁石の表面に浸漬法により防錆熱硬化性被膜を形成したボンド磁石の製造方法が提案されている。この製造方法では、浸漬、乾燥・硬化を2~6回繰り返して行い、磁石内空隙に樹脂を含浸させつつ磁石表面に0.005mm~0.05mmの防錆熱硬化性被膜を形成している。
また、近年は磁気特性の高性能化が望まれており、磁気特性向上のために磁粉配合量を増加し、樹脂バインダ量を少なくすることが多く、磁石自身の強度の確保が難しくなってきている。そのため、利用する際は磁石に直接ダメージを与えないように、一般に、金属製や樹脂製のケースに挿入して接着固定したり、インサート成形したりすることで磁石を保護して使用される場合が多い。
特許文献2には、希土類ボンド磁石の圧粉体をケースに挿入し、その挿入開口部を熱硬化性樹脂で封止した後、ボンド磁石の樹脂バインダと封止用の熱硬化性樹脂を硬化させることで、ケースと磁石の固定を行いつつ、磁石表面を熱硬化性樹脂で保護する方法が提案されている。
特許文献3には、リング状ボンド磁石組立体とした後に、嫌気性接着剤にて表面処理するので、高耐食性であり、かつカシメ固定に加え接着によりリング磁石とブッシュの固着が行われるリング状磁石組立体が記載されている。そして、特許文献3には、リング状磁石に嫌気性接着剤で表面処理を行い、非磁性ブッシュでカシメ固定する磁石組立方法が提案されている。この場合、嫌気性接着剤を磁石に加圧含浸させた後、未硬化部分を洗浄している。
特開2002-260943号公報 特許6258689号公報 特許7061258号公報
特許文献1に示す方法では、希土類ボンド磁石の成形後に防錆被膜を形成する処理を追加で行う必要があり、その処理に工数が掛かってしまう。また、特許文献1に示す方法以外にも電着塗装、静電塗装、スプレー塗装などがあるがいずれも追加工数が掛かることは変わらない。
特許文献2に示す方法では、そのような磁石の防錆工程をケースとの固定工程と同時に行うことで、工数削減を達成している。しかしながら、希土類ボンド磁石と封止用の熱硬化性樹脂との濡れ性が悪かったり、樹脂の粘度が高かったりした場合は、硬化処理後に該磁石表面が一部露出したりする。しかも、封止用の熱硬化性樹脂がケースと接触しないまま硬化され、磁石とケースとの固定が不十分となったり防錆性が不足したりする懸念があった。
特許文献3に示す方法では、加圧含浸後に放置することで嫌気性接着剤を硬化している。このため、磁石表面近傍のみ接着剤が硬化し、未硬化部分が形成される。そして、この未硬化部分を洗浄することになり、接着剤層は薄い膜となり、防錆性能が劣るおそれがあった。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、ボンド磁石の防錆性の確保とボンド磁石とケースの接着が担保されるケース付ボンド磁石を提供するものである。
本発明のケース付ボンド磁石は、希土類磁石粉末と熱硬化性樹脂とを含むボンド磁石と、前記ボンド磁石を挿入するケースと、封止材とを備えてなるケース付ボンド磁石であって、前記ケースの前記ボンド磁石の挿入開口部に前記封止材が固定され、前記ボンド磁石が該封止材と前記ケースとで密封されており、前記封止材が嫌気性接着剤にて構成され、前記封止材の硬化後の膜厚が0.05mmを超え、かつ前記封止材の硬化後の膜の最大高さうねりWzが20μm以下であるものである。ここで、「超え」とは基準となる数量は含まずにそれより多いことを意味する。これに対して、「以上」は基準となる数量に対してそれより多いことを意味する。すなわち、0.05mmを超えとは、この場合、0.05mmを含まず、0.05mmよりも厚いことを示し、これに対して0.05mm以上では、0.05mmを含むことになる。
本発明のケース付ボンド磁石によれば、挿入開口部に封止材が固定され、しかも、ボンド磁石が封止材とケースとで密封されることで、封止材を、ボンド磁石の表面、及びボンド磁石とケースの隙間に充填することができる。封止材として、嫌気性接着剤を使用しているので、硬化した樹脂(封止材)は内外部からの水や油の浸入を防止し、優れた防錆効果を発揮する。特に、膜厚が0.05mmを越え、かつ膜の最大高さうねりWzが20μm以下に設定したことにより、より優れた防錆効果を発揮することができる。
嫌気性接着剤は、記嫌気性接着剤は、所定の硬化促進温度で熱処理することで、前記ボンド磁石の粉末が硬化促進剤となって硬化するものである。
すなわち、嫌気性接着剤は、空気(酸素)の存在下ではラジアル重合により硬化反応が阻害され、金属イオンの存在下で反応が開始するものであり、金属間の隙間や嵌め合いでの使用に適し、安定して、ボンド磁石の表面、及びボンド磁石とケースの隙間に充填され、安定して優れた防錆効果を発揮する。
前記ボンド磁石のバインダ樹脂がエポキシ樹脂であり、前記ケースが非磁性の金属材料からなるものであってもよい。
ケース付ボンド磁石の製造方法は、前記ケース付ボンド磁石を製造するケース付ボンド磁石の製造方法であって、前記ケースの前記ボンド磁石の挿入開口部に前記封止材を固定して、前記ボンド磁石を該封止材と前記ケースとで密封した後、所定の硬化促進温度の熱処理で前記封止材を硬化するものである。
嫌気性接着剤をボンド磁石に塗布した場合、所定の温度で熱処理することで希土類磁石粉末が硬化促進剤となり硬化させることができる。このため、大気中等の酸化性雰囲気でも封止材を構成する嫌気性接着剤を硬化させることができ、ボンド磁石の表面、及びボンド磁石とケースの隙間に充填され、安定して優れた防錆効果を発揮する。なお、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気や真空中でも、嫌気性接着剤を硬化させることができる。
前記熱処理は、所定の硬化促進温度で熱処理する前に、前記硬化促進温度よりも低温で、封止材に含まれている空気を抜く空気抜き用処理を行うのが好ましい。まず、比較的低温(例えば、80℃)で熱処理を行うと、硬化の促進効果が小さく、完全に硬化する前に、封止材に含まれる空気が抜け、その後の高温(例えば、120℃)の硬化促進温度で熱処理を行うことによって、硬化が促進され、最終的に気泡のない防錆膜を得ることができる。このため、最大高さうねりが小さい防錆膜を形成することができ、安定した防錆性を発揮する。
本発明に係るケース付ボンド磁石では、封止材を、ボンド磁石の表面、及びボンド磁石とケースの隙間に充填することができる。このため、ボンド磁石の防錆性の確保とボンド磁石とケースの接着が担保される。しかも、処理工程も少ないという利点がある。
本発明に係るケース付ボンド磁石の製造方法では、大気中等の酸化性雰囲気でも封止材を構成する嫌気性接着剤を硬化させることができ、ボンド磁石の表面、及びボンド磁石とケースの隙間に充填され、少ない工程でケース付ボンド磁石を製造でき、その製造されたケース付ボンド磁石は、安定して優れた防錆効果を発揮する。
第1のケース付ボンド磁石の製造方法で製造された本発明に係るケース付ボンド磁石の簡略断面図である。 第2のケース付ボンド磁石の製造方法で製造された本発明に係るケース付ボンド磁石の簡略断面図である。 本発明に係る第1のケース付ボンド磁石の製造方法を示す簡略図である。 本発明に係る第2のケース付ボンド磁石の製造方法を示す簡略図である。 最大高さうねりを説明する輪郭曲線の簡略図である。 ケース付ボンド磁石の接着強度の試験方法を示す簡略図である。
以下本発明の実施の形態を図1~図6に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る第1のケース付ボンド磁石の製造方法で製造したケース付ボンド磁石を示し、図2は、本発明に係る第2のケース付ボンド磁石の製造方法で製造したケース付ボンド磁石を示している。本発明に係るケース付ボンド磁石は、希土類磁石粉末と熱硬化性樹脂のボンド磁石1と、前記ボンド磁石1を挿入するケース2と、封止材3とを備えてなる。すなわち、ケース2は、ボンド磁石1を挿入するための挿入開口部2aを有し、この挿入開口部2aに封止材が固定され、ボンド磁石1が封止材3とケース2とで封止されている。
希土類ボンド磁石は磁粉と樹脂バインダから構成される。磁粉は希土類系であればよく、例えばNd-Fe-B系、Sm-Fe-N系、Sm-Co系などが使用できる。樹脂バインダはエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬性樹脂が選択される。ケースとして、磁気特性に悪影響を与えないため、非磁性材とするのが好ましい。例えば、希土類ボンド磁石と非磁性金属製のケースの組み合わせ、希土類ボンド磁石と樹脂製のケースの組み合わせがある。
封止材3は、嫌気性接着剤を使用(採用)する。一般には、嫌気性接着剤はアクリル系の一種(主成分はアクリルモノマーと反応開始剤)で一液性である。空気(酸素)に触れている間は液状に保っているが、金属などで空気が遮断されると、ラジカル連鎖反応(モノマーが重合してポリマーとなり固着・接着する反応)により室温で短時間に重合硬化が進行する。重合硬化した硬化物は三次元網目構造を持つ樹脂になるので、耐薬品性、耐熱性、耐候性に優れ、すなわち、嫌気性接着剤は、空気(酸素)の存在下では、この硬化反応が阻害され、金属間の隙間や嵌め合い部での使用が適している。
このように、嫌気性接着剤は、基本的には一液性で室温硬化するため使用が容易であり、浸透性に優れている。また、隙間を埋めることで、水などの金属を腐食させる物質の侵入を防ぎ、錆や腐食が生じるのを防ぐ効果(防錆効果)に優れる。
ところで、封止材3に嫌気性接着剤を使用すると、ケース開口部の空気に嫌気性接着剤が触れる部分を有することになり、この部分では、硬化機能が働きにくく、硬化しにくいこのとなる。しかしながら、嫌気性接着剤は、所定の硬化促進温度(例えば、120℃)で熱処理することで、ボンド磁石の粉末が硬化促進剤となって硬化することを本出願が見出した。
したがって、嫌気性接着剤は、所定の硬化促進温度(例えば、120℃)で熱処理すれば、大気中などの酸化性雰囲気でも硬化させることができる。また、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中であっても、真空中であっても硬化させることができる。
本発明にかかるケース付ボンド磁石における嫌気性接着剤としては、嫌気性下でラジアル重合しポリマー化する硬化物の主成分と、重合開始剤と、重合促進剤と、重合防止材とで構成される。重合開始剤は、硬化を開始し、熱重合を可能とするものであり、重合促進剤は、硬化を促進するものであり、重合防止材は、長期保存性の向上のために添加するものである。
硬化物の主成分としては、アクリレートモノマーやメタクリレートモノマー等であり、重合開始剤としては、各種の有機パーオキサイド、すなわち、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドおよびケトンパーオキサイト等であり、特に、好ましい化合物は、ハイドロパーオキサイド(クメンハイドロパーオキサイドあるいはt―ブチルハイドロパーオキサイド)等である。重合促進剤は、第1級アミン類、第3級アミン類、ヒドラジンおよびその誘導体、チオ尿素または尿素およびその誘導体、o-ベンズスルホイミド等であり、重合防止材は、ベンゾキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルーエーテル、フェノール誘導体等であり、活性な金属類を補足する目的であれば、金属キレート化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、シュウ酸、アセチルアセトン等である。
具体的には、嫌気性接着剤としては、株式会社スリーボンドのスリーボンド・テクニカルニュース11(平成10年3月1日発行)に記載の嫌気性接着剤(分子内にアクリロイ基、又はメタクリロイル基を有するモノマーを主成分としている。)、または、特開昭49-020238号公報に記載の嫌気性接着剤(分子内にハロゲン原子を有する化合物を主成分としている。)を用いることができる。
ケース2を形成する非磁性材としては、樹脂材、ゴム材、オーステナイト系などのステンレス非磁性材などが挙げられる。ステンレス非磁性材としては焼結部品と切削加工品とがあり、焼結部品は耐熱性、寸法精度、量産性、コスト面で有利であり、切削加工品は耐熱性、寸法精度、強度の面で有利である。ステンレス切削加工品などを用いる場合は、熱硬化性樹脂接着剤や樹脂の射出成形体からなる封止材との密着性を向上させるため、該封止材との接触表面に、ショット・サンドなどのブラスト処理、機械加工(表面荒し)、酸などの薬液処理を施してもよい。また、ゴム材や樹脂材を採用した場合、形状の設計自由度が高くなり、例えば、ケース側に樹脂硬化後に抜け止めとなる嵌合構造などを容易に形成できる。なお、ステンレス非磁性材などのケースは、一般には高価でかつ切削性に劣るので、ケース部分は、簡易な形状で、圧縮ボンド磁石を保持できる最小限サイズとし、これを一般の磁性材シャフトなどの先端に連結することが好ましい。
次に、本発明に係るケース付ボンド磁石の製造方法を説明する。この場合、ケース2内にボンド磁石1を挿入した後、封止材3を塗布する方法(第1の製造方法)と、封止材3を塗布したボンド磁石1をケース2に挿入する方法(第2の製造方法)がある。図3に第1の製造方法を示し、図4に第2の製造方法を示している。
図3に示す第1の製造方法は、図3(a)に示すように、ケース2にその挿入開口部2aから、封止材3が塗布されていない状態のボンド磁石1を挿入する。この状態では、ケース2の収納空所4の側面(周囲内壁4a)とボンド磁石1の側面(周囲外壁1a)との間に隙間Saが設けられ、ボンド磁石1の上面1bの高さよりも収納空所4の開口端(挿入開口部2aの開口端)4bよりも高く、ボンド磁石1の上面1bと、収納空所4の開口端4bとの間に隙間Sbが設けられる。この場合、隙間Saとしては、例えば、0.02mm~0.2mm程度とされ、隙間Sbとしては、例えば、0.1mm~0.5mm程度とされる。なお、例えば、ケース2は有底円筒形状とされ、収納空所4としても、円形孔であり、ボンド磁石1が円柱形状とされる。
この状態で、図3(b)に示すように、ボンド磁石1の上面1bに封止材3を滴下する。この場合、嫌気性接着剤である封止材3として、ボンド磁石表面に自然に広がって、図3(c)に示すように、隙間Sa、Sbに封止材が浸入することになる。その後は、熱処理を行う。ここで、熱処理としては、嫌気性接着剤である封止材3を、所定の硬化促進温度(例えば、120℃)で例えば、8時間の加熱処理することで、封止材3を硬化させる。すなわち、所定の硬化促進温度で熱処理することで、ボンド磁石1の粉末が硬化促進剤となって硬化する。これによって、ケース付ボンド磁石を形成することができる。
また、図4に示す第2の製造方法は、まず、図4(a)に示すように、ケース2の収納空所4の底面4cに硬化前の嫌気性接着剤である封止材3を滴下する。次に、図4(b)に示すように、ケース2にその挿入開口部2aから、封止材3が塗布されていない状態のボンド磁石1を挿入する。これによって、図4(c)に示すように、封止材3が隙間Sa、Sbに封止材3が浸入することになる。その後は、第1の製造方法と同様、嫌気性接着剤である封止材3を、所定の硬化促進温度(例えば、120℃)で例えば、8時間の加熱処理することで、封止材3を硬化させる。これによって、ケース付ボンド磁石を形成することができる。この場合も、ケース2は有底円筒形状とされ、収納空所4としても、円形孔であり、ボンド磁石1が円柱形状とされる。
すなわち、図3に示す第1の製造方法のように、封止材3(嫌気性接着剤)を、ケース内にボンド磁石1を挿入した後に塗布した場合は、自然に磁石表面に封止材が広がり、このため、ボンド磁石1全体に防錆性を有する被膜が形成する。図4に示す第1の製造方法のように、ケース2内にあらかじめ塗布した後にボンド磁石1を挿入した場合は、封止材3の塗布量の制御により、ボンド磁石1を挿入する際に、ケース2とボンド磁石1との隙間に封止材3が押し出され、ケース開口部2aまで封止材3を露出させる。その後、自然と磁石表面の中央部へと封止材3が広がり、ボンド磁石1全体に防錆被膜が形成する。図3に示す方法であっても、図4に示す方法であっても、必要に応じて、封止材3を磁石開放面に追加塗布してもよい。
また、図3に示す方法であっても、図4に示す方法であっても、封止材3の硬化後の膜厚が0.05mmを越え、かつ封止材3の硬化後の膜の最大高さうねりWzが20μm以下とする。ここで、最大高さうねりWzとは、膜の輪郭曲線が図5で示される場合、最も高い山の高さをZpであり、もっとも深い谷の深さをZvとしたときのこれらの和を求め、この和の値がRz(Wz)となる。すなわち、輪郭曲線が粗さ曲線の場合、Rzを「最大高さ粗さ」と呼び、輪郭曲線がうねり曲線の場合、Wzを「最大高さうねり」と呼ぶ。ここで、「超え」とは基準となる数量は含まずにそれより多いことを意味する。これに対して、「以上」は基準となる数量に対してそれより多いことを意味する。すなわち、0.05mmを超えとは、この場合、0.05mmを含まず、0.05mmよりも厚いことを示し、これに対して0.05mm以上では、0.05mmを含むことになる。
ところで、膜厚とは、磁石1の周囲を包囲する側壁10の厚さおよび磁石1の上面を覆う上壁11の厚さである。側壁10の厚さは、前記した隙間Sa、Sa、上壁11の厚さは、磁石1の上面1bと、収納空所4の開口端4bとの差で設定できる。また、膜のうねりは、膜(防錆膜)は、残存する気泡によってうねりが生じるので、気泡が生じないように(後述するように、硬化促進温度に加熱する前に、硬化促進温度よりも低温で加熱するように)すれば、最大高さうねりを小さくできる。
本発明のケース付ボンド磁石によれば、挿入開口部2aに封止材3が固定され、しかも、ボンド磁石1が封止材3とケース2とで密封されることで、封止材3を、ボンド磁石1の表面、及びボンド磁石1とケース2の隙間に充填することができる。封止材3として、嫌気性接着剤を使用しているので、硬化した樹脂(封止材3)は内外部からの水や油の浸入を防止し、優れた防錆効果を発揮する。特に、膜厚が0.05mmを越え、かつ膜の最大高さうねりWzが20μm以下に設定したことにより、より優れた防錆効果を発揮することができる。
このため、本発明に係るケース付ボンド磁石では、封止材3を、ボンド磁石1の表面、及びボンド磁石1とケース2の隙間に充填することができる。このため、ボンド磁石1の防錆性の確保とボンド磁石1とケース2の接着が担保される。
ところで、封止材3である嫌気性接着剤を硬化するには、所定の硬化促進温度(例えば、120℃)で処理することになるが、この硬化促進温度に加熱する前に、硬化促進温度よりも低温(例えば、80℃)で、例えば、2時間の熱処理を行うことで、封止材3に含まれている空気を抜く空気抜き用処理を行うことも可能である。
このように、低温から高温の2段階の熱処理を行うことにより、硬化の促進硬化が小さい低温(例えば、80℃)で例えば、2時間の熱処理を行うことで、完全に硬化する前に封止材3に含まれる空気を抜き、後の高温(例えば、120℃)の硬化促進温度で例えば、8時間の熱処理で気泡のない防錆膜を得ることができる。このため、最大高さうねりが小さい防錆膜を形成することができ、安定した防錆を発揮する。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、本ケース付ボンド磁石は、車載メーター、エアコン、カラーコピー機のトナー転写で用いられるマグネットロールなどスピンドルモーターに限らず車載用、家電用、事務機器用などに用いることができる。
前記実施形態では、硬化促進温度として120℃とし、この温度での加熱時間を8時間としていたが、これに限らず、用いる嫌気性接着剤に応じて、硬化促進温度を100℃から160℃の範囲で種々変更でき、加熱時間としても1時間から24時間の範囲で変更できる。また、封止材3に含まれている空気を抜く空気抜き用処理を行うための、前記実施形態では、硬化促進温度よりも低温の温度を80℃とし、この温度で2時間の間低温加熱していたが、これに限らず、用いる嫌気性接着剤に応じて、50℃から80℃の範囲で種々変更でき、その加熱時間も0.5時間から4時間の範囲で変更できる。
なお、硬化促進温度や、硬化促進温度よりも低温の温度(空気抜きのための温度)として、それぞれ一定のものに限らず、種々変動するものであってもよい。また、低温から高温の2段階の熱処理を行うのが、封止材3に含まれる空気を抜くためには、好ましいが、必ずしもこの2段階の熱処理を行う必要がない。例えば、硬化促進温度となるまで、ゆっくり温度を上げていって、この上昇中に封止材3に含まれる空気を抜くようすることも可能である。
また、加熱手段としては、例えば、任意の温度に設定できる加熱室に、封止材3が硬化していない硬化前のケース付ボンド磁石を収容するもので構成できる。この場合の加熱室は、大気雰囲気であっても、真空雰囲気であっても、不活性雰囲気であってもよい。
〈接着可否評価〉
まず、試料となるケース付ボンド磁石を作成する。この場合、ボンド磁石1は希土類のNd-Fe-B系の磁粉とビスフェノールA型エポキシ樹脂のコンパウンドから圧縮成形し、所定の熱処理条件(例えば、190℃)でエポキシ樹脂を硬化させ作製した。ボンド磁石1は円柱形状であり、防錆処理は行っていない。また、粉末冶金法によりSUS304製のケース2を作製した。ケース2は一端に磁石1を挿入する開口部2aがある概円柱形状である。作製したボンド磁石1をケース2の開口部2aに挿入し、その上面1bから封止材3となる嫌気性接着剤を滴下して塗布した。その後、所定の熱処理条件(例えば、120℃)で封止材3を硬化させ、ケース2と磁石1とを固定した。すなわち、図3に示す第1の製造方法でケース付ボンド磁石を形成した。
接着強度は次に示す試験で合否判定した。まず、ケース付ボンド磁石のケース2の開口部2aとは反対側の底面2bからケース2と磁石1の界面までドリル等の切削工具で穴2c(図6参照)を開けた。その後、図6に示すように、ケース付ボンド磁石を磁石外径より広い内径を持つリング形状の土台5に載せ、前記の穴2cにシャフト6を挿入し、100g相当の荷重を加えた。磁石1がケース2から分離しなければ合格、ケース2と磁石1とが分離した場合を不合格とした。表1に結果を示す。
Figure 2024044665000002
実施品1として、封止材3に、嫌気性接着剤(東亜合成株式会社製のアロンタイトUR)を用いた。比較品1の封止材3としては、Aの一液性エポキシ樹脂(株式会社スリーボンド製のTB2230B)を用い、比較品2の封止材3としては、Bの一液性エポキシ樹脂(ペルノックス株式会社製のXW-2310)を用いた。また、実施品1では、加熱条件としては、所定の硬化促進温度(120℃)で熱処理する前に、前記硬化促進温度よりも低温(80℃)で、封止材3に含まれている空気を抜く空気抜き用処理を行った。比較品1及び2では、低温から高温の2段階の熱処理を行わず、120℃の加熱のみ行った。表1において、合格(〇)とは、磁石1がケース2から分離しなかったものであり、不合格(×)とは、磁石1がケース2から分離したものである。
実施品1のように、封止材3に嫌気性接着剤を用いたものでは、封止材3がボンド磁石1とケース2との隙間まで流れ込み、強度的に問題なく合格であった、また、比較品1では、封止材3の滴下後に磁石1とケース2とのすき間に流れ込む量が少なく、ケース開口部表面に近い部分のみの接着となっていたため、十分な強度を得られれず、磁石1がケース2から分離して不合格となった。比較品2では、封止材3に一液性エポキシ樹脂であるペルノックス(株)製のXW-2310を用いたが、実施品1と同様に封止材3がボンド磁石1とケース2との隙間まで流れ込み、強度も問題なく合格であった。
〈防錆機能評価〉
前記の接着可否評価で作製したケース付ボンド磁石を用いて、その防錆機能を耐食性試験により評価した。試験条件はJIS Z2371:2015で示される中性塩水噴霧試験に準拠し、48時間実施した。試験完了後は、水で試料を洗浄し、水分をよく拭き取った。その後、ボンド磁石表面をマイクロスコープで確認し、錆の存在有無を判断した。膜厚はケース開口部端面を基準とした封止前後の磁石中央部の深さをソニーマグネスケール株式会社製のDZ-500に備え付けたソニーマグネスケール株式会社製のLY-101で測定し、その差分を便宜的に膜厚とした。また、嫌気性接着剤においては熱処理条件によって防錆膜表面の状態に変化があったため、株式会社東京精密製のCONTOURECORD 1600 Gを用いて磁石表面のうねり(最大高さうねりWz)を測定した。表2に結果を示す。表2において、合格(〇)とは、錆が確認されず、不合格(×)とは錆が確認された場合である。
Figure 2024044665000003
実施品2~実施品5、比較品3~比較品4は封止材3に、嫌気性接着剤である東亜合成(株)製のアロンタイトURを用いた。比較品5の封止材3としては、Aの一液性エポキシ樹脂(株式会社スリーボンド製のTB2230B)を用い、比較品6の封止材3としては、Bの一液性エポキシ樹脂(ペルノックス株式会社製のXW-2310)を用いた。実施品2では、膜厚が0.128mmであり、膜の最大高さうねりWzが14.2μmであり、実施品3では、膜厚が0.098mmであり、膜の最大高さうねりWzが13.7μmであり、実施品4では、膜厚が0.074mmであり、膜の最大高さうねりWzが16.8μmであり、実施品5では、膜厚が0.050mmであり、膜の最大高さうねりWzが20.1μmであった。また、比較品3では、膜厚が0.043mmであり、膜の最大高さうねりWzが17.5μmであり、比較品4では、膜厚が0.054mmであり、膜の最大高さうねりWzが29.2μmであり、比較品5では、膜厚が0.130mmであり、比較品6では、封止材3の硬化時に磁石表面の防錆膜中央部に気泡が生じ、膜厚の測定ができなかった。また、実施品2~実施品5、及び比較品3では、加熱条件としては、所定の硬化促進温度(120℃)で熱処理する前に、前記硬化促進温度よりも低温(80℃)で、封止材に含まれている空気を抜く空気抜き用処理を行った。比較品4~比較品6では、低温から高温の2段階の熱処理を行わず、120℃の加熱のみ行った。
表2に示すように、実施品2~5では、錆が確認されず、防錆機能に問題ことが分かった。比較品3では膜厚が不足しており、錆が確認された。比較品4では低温の熱処理を行っておらず、防錆膜に残存した気泡によるうねりが生じており、局所的に薄膜になっていたため、該当部に錆が確認された。比較品5では封止材に一液性エポキシ樹脂である株式会社スリーボンド製のTB2230Bを用いたが、磁石のエッジ部から樹脂が広がらず、封止されなかった該当部に錆が確認された。比較品6では封止材に一液性エポキシ樹脂であるペルノックス株式会社製のXW-2310を用いたが、気泡により局所的に薄膜になっていたため、試験後に該当部に錆が確認された。このように、実施品2~5では、錆が確認されず、合格(〇)であったが、比較品3~6では、錆が確認されて、不合格(×)であった。
1 ボンド磁石
2 ケース
2a 挿入開口部
2a 開口部
3 封止材

Claims (3)

  1. 希土類磁石粉末と熱硬化性樹脂とを含むボンド磁石と、前記ボンド磁石を挿入するケースと、封止材とを備えてなるケース付ボンド磁石であって、前記ケースの前記ボンド磁石の挿入開口部に前記封止材が固定され、前記ボンド磁石が該封止材と前記ケースとで密封されており、前記封止材が嫌気性接着剤にて構成され、前記封止材の硬化後の膜厚が0.05mmを越え、かつ前記封止材の硬化後の膜の最大高さうねりWzが20μm以下であることを特徴とするケース付ボンド磁石。
  2. 前記嫌気性接着剤は、所定の硬化促進温度で熱処理することで、前記ボンド磁石の粉末が硬化促進剤となって硬化することを特徴とする請求項1に記載のケース付ボンド磁石。
  3. 前記ボンド磁石のバインダ樹脂がエポキシ樹脂であり、前記ケースが非磁性の金属材料からなる請求項1または請求項2に記載のケース付ボンド磁石。
JP2022150328A 2022-09-21 2022-09-21 ケース付ボンド磁石 Pending JP2024044665A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022150328A JP2024044665A (ja) 2022-09-21 2022-09-21 ケース付ボンド磁石

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022150328A JP2024044665A (ja) 2022-09-21 2022-09-21 ケース付ボンド磁石

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024044665A true JP2024044665A (ja) 2024-04-02

Family

ID=90479937

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022150328A Pending JP2024044665A (ja) 2022-09-21 2022-09-21 ケース付ボンド磁石

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024044665A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3918874B2 (ja) モータ筐体及びモータ装置
EP1707923B1 (en) Magnetic encoder and bearing
US8702898B2 (en) Method for connecting two joining partners
US10600541B2 (en) Compression-bonded magnet with case and method for producing the same
CN103228418A (zh) 金属树脂复合体及其制造方法
US5173206A (en) Passivated rare earth magnet or magnetic material compositions
WO2006001304A1 (ja) ヨーク一体型希土類ボンド磁石の製造方法及びヨーク一体型希土類ボンド磁石
WO2016121149A1 (ja) 磁石接着体
CN107575475A (zh) 磁悬浮轴承定子组件封胶方法、封胶工装和磁悬浮轴承
JP2024044665A (ja) ケース付ボンド磁石
JP2010232468A (ja) 希土類ボンド磁石
JP2010232468A5 (ja)
JP6246500B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
CN207500339U (zh) 磁悬浮轴承定子组件封胶工装和磁悬浮轴承
JPH026573A (ja) 耐蝕性被膜材料
US8105443B2 (en) Non-ageing permanent magnet from an alloy powder and method for the production thereof
JP6449977B2 (ja) ケース付き圧縮ボンド磁石の製造方法
JP6259673B2 (ja) ケース付き圧縮ボンド磁石の製造方法
JP2014199846A (ja) 磁石組立体およびその製造方法
JP2024043206A (ja) ケース付きボンド磁石
JP6441445B2 (ja) ケース付き圧縮ボンド磁石
JPWO2007077602A1 (ja) 耐食性希土類磁石
JP4556423B2 (ja) 磁石接着体の製造に適した熱硬化性エポキシ樹脂か否かを判断する方法
JP2005268352A (ja) 樹脂結合型磁石及びその製造方法
JP2003133125A (ja) 永久磁石と、その表面のコーティング方法