JP2024044176A - 水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法 - Google Patents

水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024044176A
JP2024044176A JP2022149558A JP2022149558A JP2024044176A JP 2024044176 A JP2024044176 A JP 2024044176A JP 2022149558 A JP2022149558 A JP 2022149558A JP 2022149558 A JP2022149558 A JP 2022149558A JP 2024044176 A JP2024044176 A JP 2024044176A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
monomer
weight
group
coating composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022149558A
Other languages
English (en)
Inventor
宙是 横井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2022149558A priority Critical patent/JP2024044176A/ja
Publication of JP2024044176A publication Critical patent/JP2024044176A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】付着性および耐候性に優れる水系コーティング組成物を提供すること。【解決手段】水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物であって、密着性付与剤は、ラジカル重合性基を有する特定の単量体に由来する構成単位を含むポリシロキサン系樹脂と、水と、を含有する、水系コーティング組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法に関する。
従来、建築、土木、車両などの構造物の美観や保護を目的として、コーティング剤が用いられる。また、コーティング剤を構成する組成物の中でも、環境調和性等の観点から、水媒体中で安定に分散または溶解(水系化)できる、水を媒体としたコーティング組成物(水系コーティング組成物)が求められている。
ところで、水系コーティング組成物は、有機溶剤を媒体とする溶剤系コーティング組成物に比べて、構造物を構成する基材に対する付着性が劣るとの課題が存在していた。
そこで、基材に対する付着性を向上させる技術として、例えば、特許文献1および特許文献2には、密着付与剤を含有するコーティング組成物が記載されている。
国際公開第2017/191789号公報 特許第7075731号
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術は、得られるコーティング層の耐候性等の観点から、改善の余地がある。
そこで、本発明は、密着性付与剤を含み、付着性および耐候性に優れる水系コーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水系コーティング組成物が、水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、特定の成分で構成された密着性付与剤と、を含むことにより、付着性および耐候性に優れること、を初めて見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の一態様は、水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物であって、前記密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有し、前記ポリシロキサン系樹脂の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む、水系コーティング組成物(以下、「本水系コーティング組成物」と称する。)である。
また、本発明の一態様は、水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物を、基材に塗布する工程を含むコーティング層の製造方法であって、前記密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂(A)と水とを含有し、前記ポリシロキサン系樹脂(A)の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む、コーティング層の製造方法(以下、「本製造方法」と称する。)である。
本発明の一態様によれば、密着性付与剤を含み、付着性および耐候性に優れる水系コーティング組成物を提供することができる。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
〔1.本発明の概要〕
上述の通り、従来、基材に対する付着性を向上させるために、コーティング組成物中に密着性付与剤を含有させる技術が知られている。例えば、特許文献1および特許文献2に記載の発明では、エポキシ基またはイソシアネート基などの有機官能基を有する化合物を密着性付与剤として含む、硬化性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術を、水系コーティング剤へと適用することは困難であった。また、特許文献1および特許文献2に記載の技術において、コーティング組成物中に密着性付与剤を添加すると、得られるコーティング層の耐候性が悪化するとの問題が生じる場合があることを、本発明者は新たに見出した。
そこで、本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、水系コーティング組成物が、水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、特定の成分で構成された密着性付与剤と、を含むことにより、付着性および耐候性に優れることを初めて見出した。具体的には、以下の知見を得ることに成功した:
・水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物において、前記密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有し、前記ポリシロキサン系樹脂の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含むことにより、付着性および耐候性に優れた水系コーティング組成物が得られること。
このように、特定の構成を有する硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤(特に密着性付与剤)と、を含ませることにより、水系コーティング組成物の付着性および耐候性が向上することは、従来の知見からは到底予測できないことであり、本発明は極めて優れたものである。
また、前記構成によれば、有機溶剤の含有量が少ないまたは有機溶剤を含まないことにより、従来技術と比較して、水質・土壌等の汚染を低減できる。そのため、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標15「陸の豊かさも守ろう」等の達成にも貢献できる。
〔2.水系コーティング組成物〕
本水系コーティング組成物は、水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物であって、前記密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有し、前記ポリシロキサン系樹脂の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む。
本水系コーティング組成物は、前記構成を有することにより、付着性および耐候性に優れるとの利点を有する。
本明細書において、水系コーティング組成物とは、水を媒体とするコーティング組成物を意図する。本明細書において、「水を媒体とするコーティング組成物」とは、コーティング組成物100重量%中、水を5重量%以上含むコーティング組成物を意図する。水の含有量は、コーティング組成物100重量%中、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。当該構成によれば、得られるコーティング組成物が、好適な作業性を有するとの利点を有する。
また、本明細書において、コーティング組成物とは、塗布対象物の表層に膜を形成することにより、傷や汚れの保護、美観の付与などを行うことのできる組成物を意図する。
(2-1.水を媒体とする硬化性樹脂組成物)
本水系コーティング組成物は、水を媒体とする硬化性樹脂組成物を含む。本明細書において、「本発明の一実施形態に係る水を媒体とする硬化性樹脂組成物」を「本硬化性樹脂組成物」と称する場合がある。
本明細書において、「水を媒体とする硬化性樹脂組成物」とは、硬化性樹脂組成物100重量%中、水を5重量%以上含む硬化性樹脂組成物を意図する。水の含有量は、硬化性樹脂組成物100重量%中、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。当該構成によれば、好適な作業性を有するとの利点を有する。
本硬化性樹脂組成物は、アクリルシリコン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、スチレンアクリル樹脂エマルション、アクリルウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、およびポリテトラフルオロエチレンなどのふっ素樹脂エマルションからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。また、得られる水系コーティング組成物の耐候性などの観点から、本硬化性樹脂組成物は、アクリルシリコン樹脂エマルションであることがより好ましい。
本硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和単量体(x)に由来する構成単位、および、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位を含むことが好ましい。当該構成によれば、得られる硬化膜(コーティング層)が高い耐候性を有するとの利点を有する。
ラジカル重合性不飽和単量体(x)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系単量体が挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)メタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
加水分解性シリル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(y)としては、特に限定されないが、例えば、式R (3-n)SiX(式中、Rは重合性二重結合を有する1価有機基、Rは炭素数1~4のアルキル基、Xは炭素数1~4のアルコキシル基、nは1~3)で示される有機けい素化合物で、2又は3個のアルコキシル基を有し、反応性二重結合を有する化合物であることが好ましい。その具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジブトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルブトキシシランなどが上げられ、これらを1種又は2種以上併用して用いることができる。なかでも、エマルションの保存安定性の観点から、Xは炭素数2~4が特に好ましい。
本発明の一実施形態において、ラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位の含有量は、本硬化性樹脂組成物100重量%に対して、0.1~20重量%であることが好ましく、0.5~15重量%であることがより好ましく、1.0~10重量%であることがさらに好ましい。当該構成によれば、得られる水系コーティング組成物が耐候性に優れ、貯蔵に適するとの利点を有する。
また、本硬化性樹脂組成物は、上述した構成単位以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分および、本硬化性樹脂組成物の製造方法については、特許7075731号に記載のものが援用される。
(2-2.密着性付与剤)
本発明の一実施形態において、密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有し、前記ポリシロキサン系樹脂の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む。本明細書において、「本発明の一実施形態に係る密着性付与剤」を「本密着性付与剤」と称する場合がある。
<ポリシロキサン系樹脂>
本発明の一実施形態において、ポリシロキサン系樹脂は、構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む。本明細書において、「本発明の一実施形態に係るポリシロキサン系樹脂」を、「本ポリシロキサン系樹脂」と称する場合がある。
本ポリシロキサン系樹脂は、上記のような構成を有することにより、水媒体中で安定に分散または溶解(水系化)でき、かつ、水系化した際に粘度調整が容易になり、密着性付与剤として好適に用いる事ができる。
本明細書において「ポリシロキサン系樹脂」とは、主成分としてポリシロキサン構造を含む樹脂を意味する。ポリシロキサン系樹脂としては、上記定義を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(IV)で示される単独の化合物での脱水縮合、または下記一般式(IV)で示される複数の化合物の共縮合により得られる、ポリシロキサン構造を主成分とする樹脂等が挙げられる:
-Si-(OR4-a-b・・・(IV)
(式中、Rは重合性不飽和基を有する炭素数1~10の置換アルキル基、アルケニル基、または重合性不飽和基を有しかつ任意にそれ以外の置換基を有しても良いアリール基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、aは1~3の整数であり、bは0~2の整数であり、a+bは1~3の整数である。)
また、本発明の一実施形態において、ポリシロキサン系樹脂は、上記一般式(IV)で示される単独の化合物、または複数の化合物と、下記一般式(III)で示される単独の化合物、または複数の化合物と、を共縮合して得られる、ポリシロキサン構造を主成分とする樹脂であり得る:
-Si-(OR4-n・・・(III)
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rが複数ある場合は同一または異なっていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、nは、0~3の整数である。)。
本明細書において、ポリシロキサン系樹脂の主成分であるポリシロキサン構造、すなわち、加水分解性シリル基を有する単量体を縮合してなる構成単位を、「主鎖」と称する場合があり、前記主鎖にラジカル重合により結合する、ラジカル重合性基を有する単量体からなる構成単位を、「側鎖」と称する場合がある。
本ポリシロキサン系樹脂の側鎖は、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体からなる。本ポリシロキサン系樹脂の側鎖を構成する前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体、を含む限り特に限定されない。本ポリシロキサン系樹脂の側鎖は、前記(i)および(ii)の単量体のみから構成されてもよく、それ以外の単量体を含んでいてもよい。本発明の一実施形態の側鎖を構成する単量体において、前記(i)および(ii)以外の単量体としては、加水分解性シリル基を有さない単量体が好ましく、任意に、加水分解性シリル基を有する単量体を含んでもよい。したがって、本ポリシロキサン系樹脂は、好ましい例示として、以下のように表現することもできる:構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体からなる側鎖を有し、前記側鎖の構成単位として、(ポリオキシアルキレン構造を有さず、)酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)に由来する構成単位(b)と、(ポリオキシアルキレン構造を有し、)水中でミセルの形成が可能な構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さない単量体(C)に由来する構成単位(c)と、を含むポリシロキサン系樹脂。
本発明の一実施形態において、本ポリシロキサン系樹脂は、ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)に由来する構成単位(a)と、酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)に由来する構成単位(b)と、ポリオキシアルキレン構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水中でミセルを形成することが可能な単量体(C)に由来する構成単位(c)と、を含むことが好ましい。本発明の一実施形態において、本ポリシロキサン系樹脂は、構成単位(a)が主鎖を形成し、構成単位(b)および(c)が側鎖を形成していることが好ましい。
また、本発明の一実施形態において、本ポリシロキサン系樹脂は、前記(A)~(C)に加えて、主鎖の構成単位として、任意で、下記一般式(III):
-Si-(OR4-n・・・(III)
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rが複数ある場合は同一または異なっていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、nは、0~3の整数である。)
で示されるシラン化合物(D)に由来する構成単位(d)をさらに含むことがより好ましい。
なお、以下において、「ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)に由来する構成単位(a)」を、単に「構成単位(a)」と称し、「酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)に由来する構成単位(b)」を、単に「構成単位(b)」と称し、「ポリオキシアルキレン構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水中でミセルを形成することが可能な単量体(C)に由来する構成単位(c)」を、単に「構成単位(c)」と称し、「一般式(III)で示されるシラン化合物(D)に由来する構成単位(d)」を、単に「構成単位(d)」と称し、「前記(A)、(B)および(C)以外の、ラジカル重合性基を有する単量体(E)に由来する構成単位(e)」を、単に「構成単位(e)」と称する。また、以下において、「ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)」を、単に「シラン化合物(A)」または「単量体(A)」と称し、「酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)」を、単に「単量体(B)」と称し、「ポリオキシアルキレン構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水中でミセルを形成することが可能な単量体(C)」を、単に「単量体(C)」と称し、「一般式(III)で示されるシラン化合物(D)」を、単に「シラン化合物(D)」または「単量体(D)」と称し、「前記(A)、(B)および(C)以外の、ラジカル重合性基を有する単量体(E)」を、単に「単量体(E)」と称する。
(構成単位(a))
構成単位(a)は、ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)に由来する。
ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)は、下記一般式(IV):
-Si-(OR4-a-b ・・・(IV)
(式中、Rは重合性不飽和基を有する炭素数1~10の置換アルキル基、アルケニル基、または重合性不飽和基を有しかつ任意にそれ以外の置換基を有しても良いアリール基であり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、aは1~3の整数であり、bは0~2の整数であり、a+bは1~3の整数である。)
で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物である。
一般式(IV)のRは、ラジカル重合性不飽和基を有する炭素数1~10の置換アルキル基、アルケニル基、ラジカル重合性不飽和基を有する非置換または置換アリール基である。ラジカル重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
がラジカル重合性不飽和基を有するアルキル基であるシラン化合物(A)としては、例えば、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルジメチルメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルメチルジメトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジメチルメトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリエトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルメチルジエトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジメチルエトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルメチルジメトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジメチルメトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリエトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルメチルジエトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジメチルエトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルメチルジメトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジメチルメトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルメチルジエトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
がアルケニル基であるシラン化合物(A)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
が重合性不飽和基を有しかつ任意にそれ以外の置換基を有しても良いアリール基であるシラン化合物(A)としては、例えば、p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルメチルジメトキシシラン、p-スチリルジメチルメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシラン、p-スチリルメチルジエトキシシラン、p-スチリルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、ラジカル重合反応性の点から、Rとしては、(メタ)アクリロイル基置換アルキル基が好ましい。
一般式(IV)のRはそれぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基である。
一般式(IV)のRにおけるアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
一般式(IV)のRにおけるアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
一般式(IV)のRは、aが1であり、bが1である場合、メチル基であることが好ましい。
一般式(IV)のRは水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
シラン化合物(A)と、他のラジカル重合性不飽和基を有さないシラン化合物(シラン化合物(D))とを縮合させやすいという観点から、一般式(IV)におけるRおよびRのアルキル基の炭素数は1~3が好ましく、最も好ましくは1である。
本発明の一実施形態において、構成単位(a)の含有量は、例えば、前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、例えば、1重量%以上であり、好ましくは、2重量%以上である。構成単位(a)の含有量が上記範囲内であると、構成単位(b)および/または構成単位(c)と直接もしくは間接的に十分にグラフト重合ができ、その結果、水媒体中で安定に分散または溶解(水系化)できるポリシロキサン樹脂を得ることができる。また、構成単位(a)の含有量の上限は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、10重量%以下であり、好ましくは、8重量%以下であり、より好ましくは、5重量%以下である。
(構成単位(b))
構成単位(b)は、酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)に由来する。
本明細書において、「塩構造」とは、酸と塩基とを中和することにより得られる中性塩の構造を意味する。ここで、中和に供される酸は、強酸であってもよいし、弱酸であってもよい。また、中和に供される塩基は、強塩基であってもよいし、弱塩基であってもよい。
本発明の一実施形態において、塩構造は、例えば、強酸と強塩基との中性塩の構造、強酸と弱塩基との中性塩の構造、弱酸と強塩基との中性塩の構造、または弱酸と弱塩基との中性塩の構造であり得る。より具体的な塩構造としては、例えば、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カリウム、スルホン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム等(強酸と強塩基との中性塩の構造)、スルホン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等(強酸と弱塩基との中性塩の構造)、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム等(弱酸と強塩基との中性塩の構造)、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等(弱酸と弱塩基との中性塩の構造)等が挙げられる。本発明の一実施形態において、塩構造は、好ましくは、スルホン酸ナトリウムである。
本明細書において、「水に可溶な」とは、対象の単量体1gを25℃の水10gに入れた水溶液を十分に攪拌し、25℃の条件下で1週間静置し、目視にて外観を観察した場合に、当該水溶液中に、沈殿物、分散物、層の分離等が見られず、透明であることを意味する。
本発明の一実施形態において、構成単位(b)の含有量は、例えば、前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、例えば、1重量%以上であり、好ましくは、2重量%以上であり、より好ましくは、4重量%以上である。構成単位(b)の含有量が上記範囲内であると、水に均一に分散または可溶となる効果を奏する。また、構成単位(b)の含有量の上限は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、20重量%以下であり、好ましくは、15重量%以下であり、より好ましくは、10重量%以下である。
なお、本明細書において、「水媒体中で安定に分散または溶解」とは、以下の方法でポリシロキサン系樹脂を含む溶液を評価したときに、「沈殿物」が生じないものを意味する:実施例に記載の方法で製造したポリシロキサン系樹脂の水溶液を25℃の条件下で1週間静置し、目視にて観察することで、水溶液外観を評価する。
換言すれば、「水媒体中で安定に分散または溶解」とは、上記の方法でポリシロキサン系樹脂を含む溶液を評価したときに、ポリシロキサン系樹脂を含む溶液が、均一に「無色透明」、「青白透明」または「白色分散」と評価されるものを意味し、「沈殿物」が見られた場合は「水媒体中で安定に分散または溶解」には該当しない。
単量体(B)は、酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体である。単量体(B)中のラジカル重合性基は、単量体(A)中のラジカル重合性基との間でラジカル重合を行い、ポリシロキサン主鎖に対して前記単量体(B)に由来するグラフト鎖を形成する。単量体(B)が、酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶であることにより、本ポリシロキサン系樹脂は、水媒体中で安定に分散または溶解することができる。
単量体(B)中のラジカル重合性不飽和基は、単量体(A)とのラジカル重合に寄与し得るものであれば特に限定されない。単量体(B)中のラジカル重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基等が挙げられる。反応性の高さおよび汎用性の観点から、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基が好ましい。
単量体(B)としては、酸と塩基からなる塩構造を有し、かつ、ラジカル重合性基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、スルホエチルメタクリル酸ナトリウム、アクリルアミド-tブチルスルホン酸ナトリウム、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム、アクリルアミド-tブチルスルホン酸ナトリウム、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸カリウム、アクリルアミド-tブチルスルホン酸カリウム、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸カルシウム、アクリルアミド-tブチルスルホン酸カルシウム、スルホエチルメタクリル酸アンモニウム、アクリルアミド-tブチルスルホン酸アンモニウム、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸アンモニウム、アクリルアミド-tブチルスルホン酸アンモニウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸アンモニウム等が挙げられる。
また、単量体(B)は、市販品として入手することができる。そのような市販品としては、例えば、日本乳化剤(株)製の「アントックスMS-2N-D」、東亞合成(株)製の「ATBS-Na」、浅田化学工業(株)製の「アクリル酸ナトリウム」、「アクリル酸カリウム」等が挙げられる。
なお、単量体が「水中でミセルの形成が可能」であるか否かについては、(構成単位(c))の項で記載の方法で測定される。
(構成単位(c))
構成単位(c)は、ラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水中でミセルを形成することが可能な単量体(C)に由来する。単量体(C)中のラジカル重合性基は、単量体(A)中のラジカル重合性基との間で直接もしくは間接的にラジカル重合を行い、ポリシロキサン主鎖に対して前記単量体(C)に由来するグラフト鎖を形成する。本ポリシロキサン系樹脂は、構成単位(c)を有することにより、水系化した際にポリシロキサン系樹脂がミセルを形成することで粘度調整が容易になり、密着性付与剤として好適に用いる事ができる。
本明細書において、「ミセル」とは、両親媒性分子が疎水性相互作用により会合して形成される集合体を意味する。ここで、両親媒性分子は、分子内に、疎水性基と、親水性基とを有する分子を意図する。したがって、「水中でミセルの形成が可能な構造」とは、分子内に、疎水性基と、親水性基とを有する構造を意図する。
本発明の一実施形態において、単量体(C)は、加水分解性シリル基を有さない、両親媒性分子であり得る。
なお、「水中でミセルの形成が可能」であるか否かについては、以下の方法で判断される:水10g、酢酸ブチル2gを含む2層の液に対し、対象の単量体1gを加え、十分攪拌した後、12時間静置後に、均一な白濁が見られる場合、対象の単量体は水中でミセルの形成が可能と判断する。なお、12時間静置後に水と酢酸ブチルの透明な層が分離して見られる場合、対象の単量体は水中でミセルを形成しない(ミセルの形成が不可能)と判断する。
単量体(C)は、ラジカル重合性基を有し、水中でミセルを形成する構造(すなわち、分子内に、疎水性基と、親水性基とを有する構造)を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さない単量体であれば、特に限定されない。
単量体(C)内の疎水性基としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性基を有する炭素数3以上のアルキル基、アリール基等が挙げられる。
単量体(C)内の親水性基としては、特に限定されないが、例えば、スルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩等のアニオン性の親水性基、アミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン性の親水性基、ベタイン等の両性の親水性基、ポリオキシアルキレン等の非イオン性の親水性基等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、単量体(C)は、汎用性の観点から、ポリオキシアルキレン構造を有することが好ましい。そのような単量体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン等が挙げられる。単量体(C)は、オキシアルキレンの繰り返し単位を1~100個有するポリオキシアルキレン構造を有することが好ましく、2~50個有するポリオキシアルキレン構造を有することがより好ましく、5~20個有するポリオキシアルキレン構造を有することが更に好ましい。
単量体(C)としては、上記定義に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、ADEKA(株)製アデカリアソープSR-05、SR-10、SR-20、SR-1025、SR-2025、SR-3025、SR-10S、NE-10、NE-20、NE-30、NE-40、SE-10、SE-20、ER-10、ER-20、ER-30、ER-40、日本乳化剤(株)製Antox-MS-60、RMA-1120、RMA-564、RMA-568、RMA-506、MA-30、MA-50、MA-100、MA-150、RMA-1120、MPG130-MA、MPG-130MA、RMA-150M、RMA-300M、RMA-450M、RA-1020、RA-1820、第一工業製薬(株)製アクアロンKH-05、KH-10、RN-20、RN-30、RN-50、RN-2025、HS-10、HS-20、HS-1025、BC05、BC10、BC0515、BC1025、三洋化成工業(株)製エレミノールJS-2、JS-20、RS-30、花王(株)製ラテムルS-180、S-180A、PD-104、PD-420、PD-430、日本油脂(株)製ブレンマーPE-90、PE-200、PE-350、AE-90、AE-200、AE-350、PP-500、PP-800、PP-1000、AP-400、AP-550、AP-800、700PEP-350B、10PEP-550B、55PET-400、30PET-800、55PET-800、30PPT-800、50PPT-800、70PPT-800、PME-100、PME-200、PME-400、PME-1000、PME-4000、AME-400、50POEP-800B、50AOEP-800B、AEP、AET、APT、PLE、ALE、PSE、ASE、PKE、AKE、PNE、ANE、PNP、ANP、PNEP-600、共栄社化学(株)製ライトエステル130MA、041MA、MTG、ライトアクリレートEC-A、MTG-A、130A、DPM-A、P-200A、NP-4EA、NP-8EA、EHDG-A、新中村化学工業(株)製NK-ESTER M-20G、M-40G、M-90G、M-230G、AMP-10G、AMP-20G、AMP-60G、AM-90G、LAが挙げられる。汎用性やミセルの安定性の観点から、好ましくは、アデカリアソープSR-10である。
本発明の一実施形態において、単量体(C)は、酸と塩基からなる塩構造を有していてもよい。塩構造は、例えば、強酸と強塩基との中性塩の構造、強酸と弱塩基との中性塩の構造、弱酸と強塩基との中性塩の構造、または弱酸と弱塩基との中性塩の構造であり得る。より具体的な塩構造としては、例えば、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カリウム、スルホン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム等(強酸と強塩基との中性塩の構造)、スルホン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等(強酸と弱塩基との中性塩の構造)、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム等(弱酸と強塩基との中性塩の構造)、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等(弱酸と弱塩基との中性塩の構造)等が挙げられる。本発明の一実施形態において、塩構造は、好ましくは、スルホン酸ナトリウムまたはスルホン酸アンモニウムである。
本発明の一実施形態において、構成単位(c)の含有量は、例えば、前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、例えば、0.5重量%以上であり、好ましくは、1重量%以上であり、より好ましくは、2重量%以上である。構成単位(c)の含有量が上記範囲内であると、ポリシロキサン系樹脂を水媒体で溶液とした際に粘度調整が容易になり、密着性付与剤として好適に用いる事ができる。また、構成単位(c)の含有量の上限は、例えば、15重量%以下であり、好ましくは、10重量%以下であり、より好ましくは、8重量%以下である。構成単位(c)の含有量が上記範囲内であると、得られる密着性付与剤の耐水性が良好となる。
(構成単位(d))
構成単位(d)は、下記一般式(III):
-Si-(OR4-n・・・(III)
で示されるシラン化合物(D)に由来する構成単位である。シラン化合物(D)は、下記一般式(III):
-Si-(OR4-n・・・(III)
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rが複数ある場合は同一または異なっていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、nは、0~3の整数である。)
で示される加水分解性シリル基を有するシラン化合物である。シラン化合物(D)は、シラン化合物(A)および/または(D)と脱水縮合し、ポリシロキサンを形成する。シラン化合物(D)は、ラジカル重合性不飽和基を有さず、かつ、加水分解性シリル基を有するシラン化合物であるとも言える。本明細書において、シラン化合物(D)を、単量体(D)と称する場合がある。構成単位(d)は、一般式(III)で表される1種のシラン化合物(D)のみから構成されてもよく、2種以上のシラン化合物(D)の組み合わせから構成されてもよい。
一般式(III)のRにおけるアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
一般式(III)のRにおけるアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
一般式(III)のRは水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
一般式(III)で示される具体的な化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、トリフェニルモノメトキシシラン等が挙げられる。
(構成単位(e))
構成単位(e)は、上記(A)、(B)および(C)以外の、ラジカル重合性不飽和基を有する単量体(E)に由来する。構成単位(e)が由来する単量体(E)は、単量体(A)および/または(B)および/または(C)とラジカル重合により直接、もしくは間接的に結合し、構成単位(a)および/または(b)および/または(c)に結合する。
構成単位(e)が由来する単量体(E)としては、上記(A)、(B)および(C)以外の、ラジカル重合性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、以下で示すような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体が挙げられる。
≪(メタ)アクリル酸アルキルエステル≫
本発明の一実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数1~18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、水酸基、エポキシ基等の官能基を含まない(メタ)アルキル単量体であり得る。本発明の一実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、環状であるシクロアルキル基であってもよい。その具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)メタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
≪(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体≫
(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ラジカル重合性単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ラジカル重合性単量体;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体;トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、β-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のふっ素含有ラジカル重合性単量体;等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、本ポリシロキサン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5000~500000であり、好ましくは、8000~100000であり、より好ましくは10000~80000である。なお、本ポリシロキサン系樹脂の重量平均分子量の測定は、東ソー株式会社製の高速GPC装置HLC-8320GPCを用いて行われる。
本水系コーティング組成物は、前記硬化性樹脂組成物中の樹脂固形分100重量%に対して、ポリシロキサン系樹脂を5~100重量%含むことが好ましく、8~100重量%含むことがより好ましく、20~100重量%含むことがより好ましく、40重量%~100重量%含むことがさらに好ましく、60~100重量%含むことが特に好ましい。当該構成によれば、付着性および耐候性に優れる水系コーティング組成物を提供することができるとの利点を有する。本明細書中において、硬化性樹脂組成物中の樹脂固形分とは、硬化性樹脂組成物から溶媒を除いたものを意図する。
<水>
本密着性付与剤は、水を含む。本密着性付与剤における水の含有量は、特に限定されないが、本ポリシロキサン系樹脂に対して、例えば、30重量%以上90重量%以下、好ましくは、35重量%以上80重量%以下、より好ましくは、40重量%以上70重量%以下の割合で含み得る。当該構成によれば、密着性付与剤として利用しやすいとの利点を有する。
<その他の成分>
本密着性付与剤は、本発明の効果を奏する範囲内で、非水系溶媒を含んでいてもよい。本明細書において「非水系溶媒」とは、水以外のすべての溶媒を意味する。本明細書における「非水系溶媒」は、水を含む混合溶媒であってもよく、水が50重量%未満の量で含まれる溶媒を含む。非水系溶媒としては、上記定義を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソロブ等のセロソルブ類;セロソルブアセテート等のエーテルエステル類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類;メタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、オクタノール等のアルコール類;2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等の水性塗料用成膜助剤類等が挙げられる。
本密着性付与剤は、本発明の効果を奏する範囲で、当該技術分野(とりわけ、塗料の分野)において通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、顔料、充填剤、可塑剤、成膜助剤、湿潤剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤、沈降防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、凍結防止剤、抗菌剤、防カビ・防藻剤、粘着付与剤、防錆剤、親水化剤等が挙げられる。添加剤としては、1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これら添加剤の量は、その使用目的に応じて当業者が適宜設定可能である。
本発明の一実施形態において、本密着性付与剤の製造方法は、実施例に記載の方法であり得る。
(2-3.水系コーティング組成物の製造方法)
本発明の一実施形態に係る水系コーティング組成物の製造方法は、水を媒体とする硬化性樹脂組成物に対し、本密着付与剤を加え、機械攪拌により混合する方法であり得る。
〔3.コーティング層の製造方法〕
本製造方法は、水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物を、基材に塗布する工程を含むコーティング層の製造方法であって、前記密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂(A)と水とを含有し、前記ポリシロキサン系樹脂(A)の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む、コーティング層の製造方法である。
本製造方法は、前記構成を有することにより、付着性および耐候性に優れる水系コーティング組成物からなるコーティング層を提供することができる。なお、本発明の一実施形態に係るコーティング層を「本コーティング層」と称する場合がある。
本製造方法は、本水系コーティング組成物を用いた施工方法を含む。
本製造方法において、汎用性の観点から、(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体は、ポリオキシアルキレン構造を有する単量体であることが好ましい。
本製造方法において、硬化性樹脂組成物は、アクリルシリコン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、スチレンアクリル樹脂エマルション、アクリルウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、およびふっ素樹脂エマルションからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。当該構成によれば、好適な作業性を有するとの利点を有する。
本製造方法において、硬化性樹脂組成物は、耐候性などの観点から、アクリルシリコン樹脂エマルションであることが好ましい。
本製造方法において、前記硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和単量体(x)に由来する構成単位、および、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位を含むことが好ましい。当該構成によれば、得られる水系コーティング組成物が高い耐候性を有するとの利点を有する。本製造方法において、前記硬化性樹脂組成物は、前記ラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位の含有量は、前記硬化性樹脂組成物100重量%に対して、0.1~20重量%であることが好ましい。当該構成によれば、得られる水系コーティング組成物が耐候性に優れ、貯蔵に適するとの利点を有する。
本製造方法において、前記水系コーティング組成物は、前記硬化性樹脂組成物中の樹脂固形分100重量%に対して、前記ポリシロキサン系樹脂を5~100重量%含むことが好ましい。当該構成によれば、付着性および耐候性に優れる水系コーティング組成物を提供することができるとの利点を有する。
本製造方法において、前記ポリシロキサン系樹脂は、ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)に由来する構成単位(a)と、酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)に由来する構成単位(b)と、ポリオキシアルキレン構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水中でミセルを形成することが可能な単量体(C)に由来する構成単位(c)と、任意で、前記(A)、(B)および(C)以外の、下記一般式(III):
-Si-(OR4-n・・・(III)
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rが複数ある場合は同一または異なっていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、nは、0~3の整数である。)
で示されるシラン化合物(D)に由来する構成単位(d)と、を含むことが好ましい。当該構成によれば、基材との付着性および耐候性に優れる水系コーティング組成物が得られるとの利点を有する。
本製造方法において、水系コーティング組成物中に含まれるポリシロキサン系樹脂は、前記(A)、(B)および(C)以外の、ラジカル重合性基を有する単量体(E)に由来する構成単位(e)をさらに含むことが好ましい。当該構成によれば、ポリシロキサン系樹脂が、弾性化できる。
本製造方法において、水系コーティング組成物中に含まれるポリシロキサン系樹脂は、前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、前記構成単位(b)を1~20重量%含み、かつ、前記構成単位(c)を1~10重量%含むことが好ましい。当該構成によれば、ポリシロキサン系樹脂の水との相溶性と、密着性付与剤の耐水性と、を両立しやすいとの利点を有する。
前本製造方法において、水系コーティング組成物中に含まれるポリシロキサン系樹脂は、ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、前記構成単位(a)および(d)を合計で10重量%以上含むことが好ましい。当該構成によれば、ポリシロキサン系樹脂の粘度と密着性付与剤の耐水性と、を両立しやすいとの利点を有する。
本製造方法は、前記〔2.水系コーティング組成物〕の項に記載の水系コーティング組成物を後述する基材に塗布する工程を含む。また、本製造方法は、前記(2-3.水系コーティング組成物の製造方法)の項に記載の製造方法により得られる水系コーティング組成物を後述する基材に塗布する工程を含む、ともいえる。
本発明の一実施形態において、基材は、特に限定されず、有機系基材または無機系基材の何れであってもよく、基材上に塗装が施されていてもよい。具体的に、基材としては、金属(例えば、アルミ、ステンレス)、ガラス、磁器、タイル、石材、木材、樹脂成形物、モルタル、スレート、ABS、アクリル、塩ビ鋼板、ポリカーボネート、ガルバリウム鋼板(登録商標)、電着塗装板、冷間圧延鋼板、ケイカル板などを使用することができる。また基材上に施されている塗装としては、アクリル塗料、アクリルウレタン塗料、アクリルシリコン塗料、ふっ素塗料などが塗装されている場合があり得る。
本発明の一実施形態において、コーティング層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、本水系コーティング組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。以下、前記方法について詳述する。
本水系コーティング組成物を塗付する方法としては特に限定されず、例えば、一般的な塗装に用いられる刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー等を用いて塗布してもよく、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、キスコート法、ワイヤーバーコート法、カーテンコート法等により塗布することもできる。
上述したとおり、本コーティング層は、本水系コーティング組成物を塗付および硬化してなるコーティング層であるともいえる。
本コーティング層を硬化させる方法については、公知である任意の方法が使用できる。
すなわち、本発明の一態様は、以下を含む。
〔1〕水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物であって、
前記密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有し、
前記ポリシロキサン系樹脂の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、
前記単量体は、
(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および
(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む、水系コーティング組成物。
〔2〕前記(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体は、ポリオキシアルキレン構造を有する単量体である、〔1〕に記載の水系コーティング組成物。
〔3〕前記硬化性樹脂組成物は、アクリルシリコン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、スチレンアクリル樹脂エマルション、アクリルウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、およびふっ素樹脂エマルションからなる群より選択される1種以上を含む、〔1〕または〔2〕に記載の水系コーティング組成物。
〔4〕前記硬化性樹脂組成物は、アクリルシリコン樹脂エマルションである、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の水系コーティング組成物。
〔5〕前記硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和単量体(x)に由来する構成単位、および、
加水分解性シリル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位を含み、
前記ラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位の含有量は、前記硬化性樹脂組成物100重量%に対して、0.1~20重量%である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の水系コーティング組成物。
〔6〕前記水系コーティング組成物は、
前記硬化性樹脂組成物中の樹脂固形分100重量%に対して、
前記ポリシロキサン系樹脂を5~100重量%含む、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の水系コーティング組成物。
〔7〕前記ポリシロキサン系樹脂は、ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)に由来する構成単位(a)と、
酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)に由来する構成単位(b)と、
ポリオキシアルキレン構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水中でミセルを形成することが可能な単量体(C)に由来する構成単位(c)と、
任意で、前記(A)、(B)および(C)以外の、下記一般式(III):
-Si-(OR4-n・・・(III)
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rが複数ある場合は同一または異なっていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、nは、0~3の整数である。)
で示されるシラン化合物(D)に由来する構成単位(d)と、
を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の水系コーティング組成物。
〔8〕前記(A)、(B)および(C)以外の、ラジカル重合性基を有する単量体(E)に由来する構成単位(e)をさらに含む、〔7〕に記載の水系コーティング組成物。
〔9〕前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、前記構成単位(b)を1~20重量%含み、かつ、前記構成単位(c)を1~10重量%含む、〔7〕または〔8〕に記載の水系コーティング組成物。
〔10〕前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、前記構成単位(a)および(d)を合計で10重量%以上含む、〔7〕~〔9〕のいずれか1つに記載の水系コーティング組成物。
〔11〕水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物を、基材に塗布する工程を含むコーティング層の製造方法であって、
前記密着性付与剤は、
ポリシロキサン系樹脂(A)と水とを含有し、
前記ポリシロキサン系樹脂(A)の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、
前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および
(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む、コーティング層の製造方法。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔材料〕
<密着性付与剤>
(単量体(A))
γー(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(略称「TSMA」):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「A-174」
(単量体(B))
アクリルアミド-tブチルスルホン酸ナトリウム(略称「ATBS-Na」):東亞合成(株)社製の「ATBS-Na」
(単量体(C))
エーテルサルフェート型アンモニウム塩(略称「SR-10」):ADEKA(株)社製の「アデカリアソープSR-10」、市販分類「反応性アニオン乳化剤」、下記式(A)で表される化合物:
(単量体(D))
メチルトリメトキシシラン(略称「M-TMS」):ダウ・東レ(株)製の「Z-6033」
フェニルトリメトキシシラン(略称「Ph-TMS」):ダウ・東レ(株)製の「Z-6124」
(単量体(E))
メチルメタクリレート(略称「MMA」):三菱ガス化学株式会社製
ブチルアクリレート(略称「BA」):株式会社日本触媒製
(その他)
純水
塩化リチウム:東京化成工業(株)製の「LiCl」
2-プロパノール:ナカライテスク(株)製
ラジカル重合開始剤:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル):東京化成工業(株)製
(消泡剤)
アクリル系消泡剤:MUNZING CHEMIE社製の「Agitan295」
(成膜助剤)
2,2,4-トリメチル-1.3-ペンタンジオールモノイソブチレート:JNC社製の「CS-12」
(増粘剤)
サンノプコ社製の「SNシックナー612NC」
<硬化性樹脂組成物>
使用した材料については、〔合成例4〕~〔合成例6〕にて後述する。
<基材>
TP技研社製のABS
TP技研社製のアクリル
TP技研社製のアルミ(アルマイト)
TP技研社製のガラス
太佑機材社製の塩ビ鋼板
TP技研社製のポリカ
TP技研社製のガルバリウム鋼板(登録商標)
TP技研社製のSUS(304)
TP技研社製の冷間圧延鋼板
TP技研社製のケイカル板
〔測定および評価方法〕
実施例および比較例における測定および評価を、以下の方法で行った。
(付着性試験)
基材上に、塗布量が100g/mとなるように水系コーティング組成物を塗布した後、23℃、相対湿度50%の恒温室中で1週間養生した。得られたコーティング層の表面上に、カッターナイフを用いて、縦方向と横方向に間隔1mmでそれぞれ6本の直線を引き、切り傷を付け、25マスの碁盤の目を作製した。この際、切り傷は、基板に達する深さまでつけた。そして、前記碁盤の目部分に、セロテープ(登録商標、ニチバン社製)を強く圧着させ、前記セロテープ(登録商標)の端を45度の角度で、一気に引き剥がし、碁盤の目の状態を評価した。表4では、全てのマス目の数(25)を分母に示し、コーティング層がはがれずに残ったマス目の数を分子に示した。
本実施例において、上述した方法により実施した付着性試験の結果が、20/25以上である場合、該当する基材に対する水系コーティング組成物の付着性が優れるとみなすことができる。そこで、上述した方法により実施した付着性試験の結果において、表4に示す10個の基材のうち3個以上の基材で、20/25以上である結果を示す場合、「水系コーティング組成物が付着性に優れる」と判定した。本実施例において、上述した方法により実施した付着性試験の結果は、20/25以上であることが好ましく、22/25以上であることがより好ましく、25/25であることがさらに好ましい。また、本実施例において、上述した方法により実施した付着性試験の結果が20/25以上である結果を示す基材は、表4に示す10個の基材のうち、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましく、5個以上であることがより好ましく、6個以上であることがより好ましく、7個以上であることがさらに好ましく、8個以上であることが特に好ましい。
(耐候性試験)
国際公開第2016/052636号公報および特許第5555449号公報を参照して、耐候性の評価を行った。
簡潔には、メタルハライドランプ灯式試験機〔ダイプラ・ウィンテス株式会社製、型式KU-R5CI-A〕を用いて、後述する方法で作製した試験片上コーティング層の促進耐候性試験を実施した。促進耐候性試験400時間前後におけるコーティング層の60°光沢値を測定し、光沢保持率を算出した。光沢保持率が高いほど、耐候性が良好であることを示す。なお、促進耐候性試験の試験条件は、次の通りである:
照度:85mW/cm
照射:63℃ 50% 6時間
結露:30℃ 98% 2時間
シャワー:結露の前後に30秒。
本実施例において、上述する方法により実施したコーティング層の耐候性試験の結果が、光沢保持率65%以上である場合、「水系コーティング組成物が耐候性に優れる」と判定した。本実施例において、コーティング層の光沢保持率は、65%以上であることが好ましく、67%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることが特に好ましい。
〔合成例1〕
(共縮合物(主鎖、シランモノマー)の作製)
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、TSMA 3.0重量部と、M-TMS 46.4重量部と、Ph-TMS 16.2重量部と、純水 16.4重量部と、LiCl 0.018重量部と、を仕込み、反応温度105℃にて3時間撹拌しながら反応させ、共縮合物を得た。
(グラフト共縮合物の作製(側鎖(グラフトモノマー)の重合))
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応器に、純水 10重量部と、2-プロパノール 15重量部と、を仕込み、窒素ガスを導入しつつ75℃に昇温した後、前記共縮合物と、ATBS-Na 2.5重量部と、SR-10 5重量部と、MMA 26.25重量部と、BA 26.25重量部と、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル) 1.2重量部と、純水 10重量部と、2-プロパノール 10重量部と、の混合溶液を、滴下ロートから5時間かけて等速滴下した。次に、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル) 0.12重量部と、2-プロパノール 5重量部と、の混合溶液を1時間かけて等速滴下した。その後、引き続き、75℃で2時間攪拌した後、ロータリーエバポレーターにより不揮発成分が90%以上になるまで脱気を行った。続いて、不揮発成分が50%になるよう水で希釈を行った。室温まで冷却し、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有する組成物を得た。得られた組成物について、各単量体の使用量を示した結果を表1に示す。なお、表1において、各成分量の単位は「重量部」である。また、ポリシロキサン系樹脂中の各構成単位の含有量(表1に示した使用量から、発生揮発成分重量を差し引いた値)を示した結果を表2に示す。なお、表2においても、各成分量の単位は「重量部」である。
〔合成例2〕
各単量体の使用量を表1に記載の量に変更したこと以外は、合成例1と同じ方法により、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有する組成物を得た。
〔合成例3〕
各単量体の使用量を表1に記載の量に変更し、(共縮合物(主鎖、シランモノマー)の作製)における純水を20.5重量部、LiClを0.023重量部としたこと以外は、合成例1と同じ方法により、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有する組成物を得た。
〔合成例4〕
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水160重量部、Newcol-707SF(日本乳化剤(株)製)1.4重量部、5%炭酸水素ナトリウム水溶液1.0重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液2.0重量部、20%Brggolite FF-6水溶液1.1重量部、硫酸第一鉄・7水和物(0.10エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(0.40%)混合水溶液1.4部を添加した。次いで、2-エチルヘキシルアクリレート54.2重量部と、イソブチルメタクリレート142.0重量部と、γーメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン3.8重量部と、を含むモノマー混合物200重量部にアデカリアソープSR-105((株)ADEKA製:有効成分25%)12重量部、アデカリアソープER-2((株)ADEKA製:有効成分75%)1.9重量部、および脱イオン水71重量部を加え乳化したモノマー乳化液を、200分かけて等速追加した。その間、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液2.2重量部および2.5%Bruggolite FF-水溶液1.8重量部を3回に分けて添加した。モノマー乳化液追加終了後、1時間後重合を行った。さらに、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液0.6重量部、2.Bruggolite FF-水溶液2.2重量部および硫酸第一鉄・7水和物(0.0%)/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(0.40%)混合水溶液1.4部を添加した。その後、ブチルメタクリレート20.0重量部と、ブチルメタクリレート165.0重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン2.0重量部と、メタクリレート100(ポリオキシエチレン鎖(繰り返し単位10)含有親水性ビニル系単量体(日本乳化剤(株)製))12.0重量部と、n-ドデシルメルカプタン1.0重量部と、を含むモノマー混合物200重量部にアデカリアソープSR-1025 12重量部、アデカリアソープER-20 1.9重量部、および脱イオン水71重量部を加え乳化したモノマー乳化液を、200分かけて等速追加した。その間、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液2.4重量部および2.5%Brgolite FF-6水溶液3.4重量部を4回に分けて添加した。モノマー乳化液追加終了後、1.5時間後重合を行った。得られた合成樹脂エマルジョンに5%炭酸水素ナトリウム水溶液22部を添加後、脱イオン水で固形部50%に調整した。尚、ラジカル重合性単量体の重量部と構成単位時の重量部はほぼ変わらないため、単量体の使用量と構成単位の含有量とは同じとみなした。
〔合成例5〕
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水360重量部、アデカリアソープSR-1025((株)ADEKA製:有効成分259.2重量部、5%炭酸水素ナトリウム水溶液1.0重量部仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、2-エチルヘキシルアクリレート7.4重量部と、ブチルメタクリレート10.6重量部と、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン2.0重量部と、を含むモノマー混合物20重量部、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液2.0重量部、硫酸第一鉄・7水和物(0.10%)/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(0.40%)混合水溶液2.部、10%Bruggolite FF-6水溶液1.4重量部を添加し、30分間重合を行った。
さらに、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液1.0重量部、2.5%Brgolite FF-水溶液2.8重量部を添加した。その後、メチルメタクリレート80.9重量部と、ブチルメタクリレート228.4重量部と、イソブチルメタクリレート4.1重量部と、2-エチルヘキシルアクリレート33.7重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン11.4重量部と、ブレンマーPE-200(ポリオキシエチレン鎖(繰り返し単位4.5)含有親水性ビニル系単量体((株)日油製))20.0重量部と、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン1.6重量部と、を含むモノマー混合物380重量部にアデカリアソープSR-1025 34.2重量部、アデカリアソープER-20 11.4重量部、および脱イオン水151重量部を加え乳化したモノマー乳化液を、380分かけて等速追加した。その間、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液3.1重量部および2.5%Bruggolite FF-6水溶液5.4重量部を5回に分けて添加した。モノマー乳化液追加終了後、1.5時間後重合を行った。得られた合成樹脂エマルジョンに5%炭酸水素ナトリウム水溶液28部を添加後、脱イオン水で固形部40%に調整した。尚、ラジカル重合性単量体の重量部と構成単位時の重量部はほぼ変わらないため、単量体の使用量と構成単位の含有量とは同じとみなした。
〔合成例6〕
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水152重量部、アデカリアソープSR-1025((株)ADEKA製:有効成分25%)0.4重量部、5%炭酸水素ナトリウム水溶液1.0重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。昇温後、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液2.0重量部、硫酸第一鉄・7水和物(0.10%)/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(0.40%)混合水溶液2.8部、10%Bruggolite FF-6水溶液1.4重量部、を添加した。次いで、ブチルメタクリレート68.0重量部と、ブチルアクリレート40.0重量部と、スチレン49.0重量部と、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン3.0重量部と、を含むモノマー混合物に、アデカリアソープSR-1025((株)ADEKA製:有効成分25%)9.0重量部、アデカリアソープER-20((株)ADEKA製:有効成分75%)1.6重量部および脱イオン水57重量部を加え乳化したモノマー乳化液を、160分かけて等速追加した。その間、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液1.2重量部および2.5%Brulite FF-6水溶液2.4重量部を2回に分けて添加した。モノマー乳化液追加終了後、2時間後重合を行った。その間、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液1.2重量部および2.5%Bruggolite FF-6水溶液1.8重量部を3回に分けて添加した。
さらに、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液1.2重量部、2.5%Brgolite FF-6水溶液3.2重量部を添加した。その後、メチルメタクリレート56.0重量部と、ブチルメタクリレート146.0重量部と、ブチルアクリレート8.0重量部と、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン4.0重量部と、2-ヒドロキシエチルメタクリレート6.4重量部と、グリシジルメタクリレート6.4重量部と、ブレンマーPE-350(ポリオキシエチレン鎖(繰り返し単位8)含有親水性ビニル系単量体((株)日油製))と、n-ドデシルメルカプタン1.2重量部と、を含むモノマー混合物および連鎖移動剤混合物にアデカリアソープSR-1025((株)ADA製:有効成分25%)14重量部、アデカリアソープER-20((株)ADE製:有効成分75%)2.4重量部および脱イオン水86重量部を加え乳化したモノマー乳化液を、240分かけて等速追加した。その間、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液2.0重量部および2.5%Bruggolite FF-6水溶液3.2重量部を2回に分けて添加した。追加終了後、1.5時間後重合を行った。その間、7%t-ブチルハイドロパーオキサイド水溶液0.8重量部および2.5%Bruggolite FF-6水溶液1.2重量部を2回に分けて添加した。得られたエマルションに5%炭酸水素ナトリウム水溶液24部を添加後、脱イオン水で固形分濃度50%に調整した。尚、ラジカル重合性単量体の重量部と構成単位時の重量部はほぼ変わらないため、単量体の使用量と構成単位の含有量とは同じとみなした。
〔配合例1~3〕
合成例1~3で得られた組成物を用いて、表3に示す配合処方で各成分を配合し、密着性付与剤を作製した。なお、表3において、各成分量の単位は「重量部」である。
〔配合例4~6〕
合成例4~6で得られた組成物を用いて、表3に示す配合処方で各成分を配合し、硬化性樹脂組成物を作製した。なお、表3において、各成分量の単位は「重量部」である。
〔実施例1~9、比較例1~3〕
(水系コーティング組成物の作製)
配合例1~3で得られた密着性付与剤および配合例4~6で得られた硬化性樹脂組成物を用いて、表4に示す配合処方で各成分を配合し、水系コーティング組成物を作製した。なお、表4において、各成分量の単位は「重量部」である。
(コーティング層の作製)
表4に示す各基材上に、塗布量が100g/mとなるように、水系コーティング組成物を塗布した後、23℃、相対湿度50%の恒温室中で1週間養生した。
表4より、水系コーティング組成物(配合例4~5)に密着性付与剤(配合例1~3)を含ませることで、基材への付着性が向上することが示された。また、水系コーティング組成物中の密着性付与剤の含有量が多いほど、基材への付着性が向上することが示された。
ここで、表1に示されるように、合成例1および2により得られる組成物に比べ、合成例3で得られる組成物の方が、無機成分の構成単位(-Si-O-Si-構造に由来する構成単位)の含有量が多い。そして、表4の結果から、無機成分の構成単位が多い、配合例3で得られる密着性付与剤を用いた方が、基材への付着性に優れることが示された。このことから、水系コーティング組成物における無機成分の構成単位の量が、基材への付着性に寄与することが推測される。
本水系コーティング組成物は、例えば、建築内外装用、メタリックベースあるいはメタリックベース上のクリアー等の自動車用、アルミニウム、ステンレス、銀等の金属直塗用、スレート、コンクリート、瓦、モルタル、石膏ボード、石綿スレート、アスベストボード、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリート、珪酸カルシウム板、タイル、レンガ等の窯業系直塗用、ガラス用、天然大理石、御影石等の石材用のコーティング組成物として好適に用いられる。

Claims (11)

  1. 水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物であって、
    前記密着性付与剤は、ポリシロキサン系樹脂と水とを含有し、
    前記ポリシロキサン系樹脂の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、
    前記単量体は、
    (i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および
    (ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む、水系コーティング組成物。
  2. 前記(ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体は、ポリオキシアルキレン構造を有する単量体である、請求項1に記載の水系コーティング組成物。
  3. 前記硬化性樹脂組成物は、アクリルシリコン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、スチレンアクリル樹脂エマルション、アクリルウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、およびふっ素樹脂エマルションからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の水系コーティング組成物。
  4. 前記硬化性樹脂組成物は、アクリルシリコン樹脂エマルションである、請求項1に記載の水系コーティング組成物。
  5. 前記硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和単量体(x)に由来する構成単位、および、
    加水分解性シリル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位を含み、
    前記ラジカル重合性不飽和単量体(y)に由来する構成単位の含有量は、前記硬化性樹脂組成物100重量%に対して、0.1~20重量%である、請求項1に記載の水系コーティング組成物。
  6. 前記水系コーティング組成物は、
    前記硬化性樹脂組成物中の樹脂固形分100重量%に対して、
    前記ポリシロキサン系樹脂を5~100重量%含む、請求項1に記載の水系コーティング組成物。
  7. 前記ポリシロキサン系樹脂は、
    ラジカル重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物(A)に由来する構成単位(a)と、
    酸と塩基からなる塩構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体(B)に由来する構成単位(b)と、
    ポリオキシアルキレン構造およびラジカル重合性基を有し、かつ、加水分解性シリル基を有さず、水中でミセルを形成することが可能な単量体(C)に由来する構成単位(c)と、
    任意で、前記(A)、(B)および(C)以外の、下記一般式(III):
    -Si-(OR4-n・・・(III)
    (式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~10の非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Rが複数ある場合は同一または異なっていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、nは、0~3の整数である。)
    で示されるシラン化合物(D)に由来する構成単位(d)と、
    を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の水系コーティング組成物。
  8. 前記(A)、(B)および(C)以外の、ラジカル重合性基を有する単量体(E)に由来する構成単位(e)をさらに含む、請求項7に記載の水系コーティング組成物。
  9. 前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、前記構成単位(b)を1~20重量%含み、かつ、前記構成単位(c)を1~10重量%含む、請求項7に記載の水系コーティング組成物。
  10. 前記ポリシロキサン系樹脂の全量100重量%に対して、前記構成単位(a)および(d)を合計で10重量%以上含む、請求項7に記載の水系コーティング組成物。
  11. 水を媒体とする硬化性樹脂組成物と、密着性付与剤と、を含む、水系コーティング組成物を、基材に塗布する工程を含むコーティング層の製造方法であって、
    前記密着性付与剤は、
    ポリシロキサン系樹脂(A)と水とを含有し、
    前記ポリシロキサン系樹脂(A)の構成単位として、ラジカル重合性基を有する単量体に由来する構成単位を含む重合体を有し、
    前記単量体は、(i)酸と塩基からなる塩構造を有し、水に可溶で、かつ、水中でミセルを形成しない単量体、および
    (ii)水中でミセルを形成することが可能な単量体を含む、コーティング層の製造方法。
JP2022149558A 2022-09-20 2022-09-20 水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法 Pending JP2024044176A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022149558A JP2024044176A (ja) 2022-09-20 2022-09-20 水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022149558A JP2024044176A (ja) 2022-09-20 2022-09-20 水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024044176A true JP2024044176A (ja) 2024-04-02

Family

ID=90479723

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022149558A Pending JP2024044176A (ja) 2022-09-20 2022-09-20 水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024044176A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5848609B2 (ja) 塗料用樹脂組成物
JP5577049B2 (ja) 水性塗料用樹脂組成物を用いた建築外装塗膜の製造方法
JP3423830B2 (ja) 水性塗料用樹脂組成物および耐汚染性に優れた塗膜の形成方法
JP5685407B2 (ja) 塗料用樹脂組成物
WO1999005228A1 (fr) Agent antisalissure pour materiau de revetement a base aqueuse, composition pour revetement a base aqueuse resistant aux salissures et leur mode d'utilisation
JP3470886B2 (ja) 水性低汚染塗料組成物
JPH07196975A (ja) 耐候性塗料組成物
JP5830257B2 (ja) 塗料用樹脂組成物
JP2024044176A (ja) 水系コーティング組成物、およびコーティング層の製造方法
JP7470556B2 (ja) ポリシロキサン系樹脂
JP7390827B2 (ja) ポリシロキサン系樹脂およびその利用
JP7510945B2 (ja) 水溶性(メタ)アクリル系樹脂およびその利用
JP2024044175A (ja) 積層体、およびその製造方法
WO2022202269A1 (ja) ポリシロキサン系樹脂、およびその利用
JP2004292555A (ja) シリコン−アクリル系複合水分散液及びこれを用いたクリアトップコート用塗料
JP2024044174A (ja) 積層体、およびその製造方法
JP2024044177A (ja) 積層体、およびその製造方法
JP5215724B2 (ja) 水性塗料用樹脂組成物
JP5486882B2 (ja) 塗料用水性樹脂組成物
JP5828216B2 (ja) 水性被覆材
JP7075731B2 (ja) プライマー組成物、その塗装方法および塗装物品
JP2000044836A (ja) 水性低汚染塗料組成物
JP2016138223A (ja) 水性塗料組成物および塗装物品
JP2023091544A (ja) ポリシロキサン系樹脂およびその利用
JP2021161231A (ja) 硬化性樹脂組成物