JP2024043465A - 活物質、電極、二次電池、電池パック、及び車両 - Google Patents

活物質、電極、二次電池、電池パック、及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れる二次電池を実現できる活物質、電極、二次電池、電池パック及び車両を提供する。【解決手段】酸素と金属元素で構成される八面体構造を含み、且つ、八面体構造が頂点共有で構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有する複合酸化物を含む活物質が提供される。複合酸化物は、一般式LiaMbNbMocOdで表される。ここで、MはTi,V,Ta,Fe,Co,Mn,Ni,Bi,Sb,As,P,Cr,W,B,Na,K,Mg,Al,Ca,Y及びSiからなる群より選択される何れか一つ以上である。複合酸化物の励起波長532nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、640±10cm-1に在るMo-O結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1と、920±20cm-1に在るNb-O結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2との差が、285cm-1以上である。【選択図】図12

Description

本発明の実施形態は、活物質、電極、二次電池、電池パック、及び車両に関する。
近年、高エネルギー密度電池として、リチウムイオン二次電池や非水電解質二次電池などの二次電池の研究開発が盛んに進められている。二次電池は、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両用電源、又は携帯電話基地局の無停電電源用などの電源として期待されている。そのため、二次電池にはエネルギー密度に加え、急速充放電性能や長期信頼性などといった他の性能に優れることも要求されている。
一般的なリチウムイオン電池の負極としては、黒鉛などの炭素質物を活物質として用いたカーボン系負極が挙げられる。カーボン系負極を用いた電池は、急速充放電を繰り返すと、電極上に金属リチウムのデンドライト析出が生じ、内部短絡による発熱や発火の虞があった。そこで、炭素質物の代わりに金属複合酸化物を負極に用いることで、負極作動電位を高めた電池が開発された。例えば、スピネル型リチウムチタン複合酸化物Li4Ti5O12を負極に用いた電池は、平均作動電位が1.55V(vs.Li/Li)と高いことからLiデンドライトの析出が進行しないために安定的な急速充放電が可能であり、かつ電解液の還元副反応が生じにくい電位で作動するためにカーボン系負極を用いた電池と比較して寿命も長い。しかし、Li4Ti5O12を負極に用いた電池では、活物質材料の理論容量は175 mAh/gと低く、カーボン系負極を備えた電池と比較してエネルギー密度が低いという課題があった。
そこで、単斜晶型ニオブチタン酸化物TiNb2O7が検討されている。リチウムの酸化-還元電位を基準として1V(vs.Li/Li)近傍に作動電位を有しながらも高容量を示す活物質材料である。このために、体積エネルギー密度についてカーボン系負極を超えるエネルギー密度を得ることが期待される。しかしながら、電動車両を本格普及させるためには航続距離の向上などの観点からリチウムイオン二次電池のエネルギー密度は今後さらに高めていくことが望まれており、さらに高容量な急速充電電池を開発することが望まれている。
特開2012-99287号公報 特開2021-061223号公報 国際公開第2019/234248号公報
Nature, 559, 556-563(2018) J. Mater. Chem. A, 2019, 7, 6522-6532 International Tables for Crystallography (2006). 1st online ed. Chester: International Union of Crystallography. 「粉末X線解析の実際」初版(2002年)日本分析化学会X線分析研究懇談会編 中井泉、泉富士夫編著(朝倉書店)
実施形態の目的は、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れる二次電池を実現できる活物質および電極、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れる二次電池および電池パック、並びに該電池パックを搭載した車両を提供することである。
実施形態によれば、酸素と金属元素で構成される八面体構造を含み、且つ、八面体構造が頂点共有で構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有する複合酸化物を含む活物質が提供される。複合酸化物は、一般式LiaMbNbMocOdで表される。ここで、MはTi, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される何れか一つ以上であり、0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.5,0≦c≦0.5,及び 2.33≦d/(1+b+c)≦2.50である。複合酸化物の励起波長532 nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、640±10 cm-1に在るMo-O結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1と、920±20 cm-1に在るNb-O結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2との差が、285 cm-1以上である。
他の実施形態によれば、上記活物質を含む電極が提供される。
さらに他の実施形態によれば、正極と負極と電解質とを具備する二次電池が提供される。正極または負極は、上記の電極である。
ことさら他の実施形態によれば、上記二次電池を具備する電池パックが提供される。
また、実施形態によれば、上記電池パックを具備する車両が提供される。
実施形態に係る活物質が含む複合酸化物が含み得る結晶構造の一例を表す模式図。 実施形態に係る活物質が含む複合酸化物が含み得る結晶構造の他の例を表す模式図。 実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図。 図3に示す二次電池のA部を拡大した断面図。 実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図。 図5に示す二次電池のB部を拡大した断面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図8に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図。 実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図。 実施例1-3及び比較例1で得られたラマンスペクトルを示すグラフ。
高容量材料を得るためには、キャリアイオン(例えば、リチウムイオン)挿入時の電荷補償量の大きな材料を選定することが望ましい。このために、さらに高容量な化合物として、例えば、6価の元素であるモリブデン元素(Mo)を含んだ複合酸化物が採用され得る。しかし、モリブデン-ニオブ複合酸化物材料としては、モリブデン含有比の多いものについて電池材料の報告は見られない。
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図は実施形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる点があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、結晶構造を有する複合酸化物を含む活物質が提供される。上記結晶構造は、酸素と金属元素で構成される八面体構造が頂点共有により構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む。上記複合酸化物は、一般式LiaMbNbMocOdで表される。一般式において、MはTi, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される少なくとも一つである。式中の各添字は、それぞれ0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.5,0≦c≦0.5,及び2.33≦d/(1+b+c)≦2.50を満たす。複合酸化物についての励起波長532 nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、上記結晶構造が含む酸素と金属元素との結合に由来するラマンピークのうち、640±10 cm-1の範囲内に在るMo-O結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1(cm-1)と、920±20 cm-1の範囲内に在るNb-O結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2(cm-1)との差S2-S1が、285 cm-1以上である。
また、上記添字bは、0≦b≦1.4の範囲内にあり得る。
係る活物質は、電池用活物質であり得る。該活物質は、例えば、リチウムイオン電池や非水電解質電池等の二次電池の電極に用いられる電極活物質であり得る。より具体的には、活物質は、例えば、二次電池の負極に用いられる負極活物質であり得る。
上記一般式LiaMbNbMocOd(元素M及び各添字は上述したとおり;以下、略)で表され、上述した酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有し、ラマンスペクトルにて上記ラマンピークP1及びラマンピークP2がシフト差S2-S1を満たす複合酸化物を電極活物質として用いることで、急速充放電性能およびサイクル寿命性能の両方に優れる二次電池を実現できる。
<結晶構造>
第1の実施形態に係る活物質が含む複合酸化物は、ニオブを含む酸化物材料における結晶相であるWadsley-Roth相の構造を有する酸化物材料の一部に対応する。Wadsley-Roth相は、組成中の酸素Oと金属元素Mとの比について、酸素の原子数及び金属元素の原子数をそれぞれA及びAとして、2.33≦A/A≦2.65の範囲で結晶構造を取ることが報告されている。例えば、TiNb2O7の場合にはA/A=2.33の還元側の結晶構造となる。
ここで、還元とは構造内の酸素の割合が低いことを意味する。Wadsley-Roth相は酸素‐金属の八面体の頂点共有構造が酸化レニウム型のブロック構造を形成し、ブロックが八面体の菱を共有するか、あるいは四面体が間に入り頂点共有することにより酸化レニウム型のブロック(ReO3型ブロック)が二次元方向に接続するような結晶構造を取る。還元側の結晶構造は、酸化レニウム型のブロックのサイズが小さい構造を取る。酸化レニウム型の結晶構造はLiを多く挿入できる空隙を有しているものの、対称性の高い結晶構造のためにLiが挿入した際に電荷反発を解消するために金属元素と酸素元素の結合長が変化することが難しい。このため酸化レニウム型の結晶構造は、Li挿入した時の電荷反発によりLi挿入が制約される構造と言える。ここで、還元側の結晶構造とすることはA/Aが小さくなることから構造内の酸素数が減少するため酸化レニウム型のブロックのサイズが小さくなる。この結果、Liが挿入したときに金属元素と酸素元素の結合長の変化による体積膨張が可能な結晶構造になり得る。このために酸化レニウム型の結晶構造を含むことで広い空隙を有しながらも、Liが挿入した時の構造変化にも制約がないために多くのLi挿入が達成できる。
第1の実施形態に係る活物質が含む複合酸化物についても、TiNb2O7のように還元側の結晶構造を取ることにより、結晶構造内により多くリチウム(Li)を挿入することが可能となり、可逆容量が大きな結晶構造が得られている。つまり、係る複合酸化物の結晶構造は、ニオブに加えモリブデン及び金属元素Mを含んだ三元素からなるWadsley-Roth相に属する、還元側の結晶構造である。
一般式LiaMbNbMocOdで表される複合酸化物が含み得る結晶構造の一例の模式図を図1に示す。この例は、構成元素として含まれる金属元素Mの原子数Aに対する酸素Oの原子数Aの比が、A/A=2.50となる結晶構造である。図1では、該結晶構造をc軸方向に沿って見た[001]方向の単位格子について示す。結晶構造の空間群表記はI-4に属し、空間群番号は82で帰属される。ここでいう空間群とは、International Tables for Crystallography(非特許文献3)、具体的には、当該資料のVol.A: Space-group symmetry(第2オンライン版(2016);ISBN: 978-0-470-97423-0、 doi: 10.1107/97809553602060000114)の内容に対応する。但し、空間群はP4(空間群番号75)、I4(空間群番号79)、P-4(空間群番号81)、P42/n(空間群番号86)、I4/m(空間群番号87)、P4nc (空間群番号104)、P-421c(空間群番号114)、P-4n2(空間群番号118)といったI-4(空間群番号82)に類似した四回対称軸もしくは四回反軸を有する単純立方格子による帰属で説明することも可能であり、組成比の調整によって量論組成比からずれたり、異相との混在があることで構造に歪みが生じた場合には変化することがあり得る。結晶構造10内には金属元素18と酸素元素19とでそれぞれ構成される八面体10a及び四面体10bが含まれる。八面体10aは、頂点共有で互いに結ばれて酸化レニウム型のブロック(ReO3型ブロック)を構成する。ブロックのサイズは、八面体10aが3個×3個=9個となる。酸化レニウム型の九連ブロックは八面体10aの稜を共有するか、四面体10bの頂点を共有することによってa軸方向およびb軸方向に平面を形成する。この9個の八面体10aを含む平面が、c軸側にも八面体稜共有あるいは四面体頂点共有によって複数結ばれることにより、結晶構造が構成される。
一般式LiaMbNbMocOdで表される複合酸化物が含み得る結晶構造の他の例の模式図を、図2に示す。図2はReOブロックの積層方向より見た構造を示している。太線で囲ったReOブロック(例えば、ブロック15a)と細線でのみ示すReOブロック(例えば、ブロック15d)とは、金属元素18が配置される平面が異なる。この例は、構造の周期性を持たないことを特徴とする。サイズの異なるブロックがWadsley-Roth相の配列方式に従って接続し存在する。ブロックの一辺は、小さいものでは2個、大きいものでは6個である。例えば、ブロック15aは3個×3個の八面体11aから成り、ブロック15bは2個×3個の八面体11aから成り、ブロック15cは2個×4個の八面体11aから成り、ブロック15dは2個×2個の八面体11aから成り、ブロック15eは3個×6個の八面体11aから成り、ブロック15fは5個×3個の八面体11aから成り、ブロック15gは4個×4個の八面体11aから成る。これらのサイズは元素M、Nb、Moの混在状態による金属/酸素比に応じ自在に調整が可能であり、限定されるものではない。大多数が八面体稜共有17で接続されるが、四面体11bによる四面体頂点共有も一部に含み得る。図1と比較して四面体が少なくなっており、四面体の頂点接続が八面体の稜接続へ置き代わることにより、八面体稜共有の数が増えるので八面体格子歪みが増加する。八面体の格子歪みが大きいことでLi挿入時の結合長の変化による構造緩和が容易となり、Li挿入量を増やすことが可能となる。さらに、八面体稜共有が周期構造を持たずに含まれるために、Li挿入量を増やした状態においても骨格の非対称性が維持される。そのため、図2の結晶構造では、図1の結晶構造よりも可逆容量がさらに向上されている。このため図2の結晶構造を活物質中に含むことによって、容量も向上させることが可能となる。
図2の結晶構造では、組成比の変化によって変化する金属/酸素の比率をReO型ブロックのサイズと八面体稜共有や四面体頂点共有の接続数の変化によって調整することが可能である。このため、酸素/金属の比率を組成比によって変更することが可能であり、一般式LiaMbNbMocOdの組成範囲内で自由に調整することが可能である。
モリブデン元素(Mo)は、6価だけではなく4価あるいは5価の状態でも結晶構造に取り入れることができる。Moの価数は、図1或いは図2に示した結晶構造中のMo元素以外の金属元素の混在量と酸素量に応じて、電荷バランスを調整する形で決定される。6価の元素では、Ti等のM元素とのLi挿入時の電荷補償が3電子反応となることから、挿入可能なLiの理論容量を高めることができる。4価あるいは5価の状態の元素は、Mo元素のdバンドに電子が供給される形で結晶構造内に配置される。そのため、4価あるいは5価のMo元素を含むことで導電性を変化させて電池性能を向上させることができる。モリブデンを含むWadsley-Roth相は作動電位が高くなる(貴になる)ことが知られている。チタン及びニオブを含有する酸化物同士で比較するならば、例えば、第1の実施形態に係る一態様であるチタン-ニオブ-モリブデン複合酸化物では、モリブデン元素を高濃度で含んだ結晶構造を有することにより、作動電位をTiNb2O7よりも高めることができる。そのことから、作動電位が電解液の還元副反応の少ない電位領域となるために、高い寿命性能を発揮できる。
係る活物質では、ショットキー型の欠陥が形成されていることによって、サイクル寿命性能が向上している。ショットキー型の欠陥では、酸素の欠損が生じるだけでなくMo元素も電荷バランスの調整のために合わせて消失し空孔が形成される。Liを挿入させる際、材料内の欠陥部分は電荷反発が少ないために、Liを捕捉しやすい。このために、放電時に一部のLiが脱離せずに活物質内に残留する効果が発現する。この影響によって、Li脱離後の電子導電性の低下を抑制する効果が得られ、そのことからLi脱・挿入を繰り返した時の活物質二次粒子内部及び活物質粒子間の電子導電パスを維持することが可能である。この結果、電極のサイクル寿命性能を向上させることが可能となる。
上記効果により、欠陥の形成によって活物質の電子導電性が向上し、それによって電池性能を向上させることができる。一方で欠陥が多過ぎると捕捉されたLiが内部拡散を阻害することから、充放電速度を際限なく増加させられるわけではない。
一般式LiaMbNbMocOdにおいて、添字dには酸素欠陥の量が反映されている。
係る活物質では、欠陥の導入によってMo-Oの結合に由来する分子振動が変化する。このため顕微ラマン分光測定によって欠陥の定量評価をすることが可能である。具体的には、活物質についての励起波長532 nmを用いる顕微ラマン分光測定において、結晶構造に由来する遷移金属と酸素との結合によるラマンピークのうち、Mo-Oの結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1 (cm-1)と、Nb-Oの結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2 (cm-1)の差S2-S1が、285 cm-1以上である。ラマンピークP1はMo元素を含む八面体の結合に由来するピークを示している。シフト量S1は、ラマンピークP1のピークトップ位置を示しており、640±10 cm-1の範囲内にある。ラマンピークP2は頂点共有のNb-O八面体の結合に由来するピークを示している。シフト量S2は、ラマンピークP2のピークトップ位置を示しており、920±20 cm-1の範囲内にある。Moの欠損によって、ラマンピークP1は低エネルギー側にシフトする。ラマンピークP1がラマンピークP2よりも低エネルギー側へ285 cm-1以上シフトしている状態を持つ活物質とすることで、上述した効果を達成させることができる。シフト差S2-S1が大きい程、欠陥量が多いことを意味する。急速充放電性能を鑑みると、290 cm-1以下のシフト差S2-S1が好ましい。顕微ラマン分光測定には、例えば、後述する方法を用いる。
一般式LiaMbNbMocOdで表される複合酸化物は、金属元素としてNb元素およびMo元素に加え、それらと異なる元素Mをさらに含むことができる。図2における構造の場合は、電荷補償による酸素/金属の組成比の変化をReO3型ブロックのサイズの変化と接続部の八面体稜共有及び四面体頂点共有の変化によって構造を維持できる。Mo元素は、構造中の価数を4価から6価の範囲で調整して構造内に含めることが可能である。また、係る活物質は、上述したとおりショットキー型の欠陥を構造内に作ることも容易である。このため、構造中の電荷バランスの調整の自由度が高く、それにより元素Mについては自由に選択することが可能である。M元素としては、Ti, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y, Zr 及びSiから成る群より少なくとも1つを選択することができる。上記一般式にて、添字bは、例えば、0<bを満たし得る。
上記M元素は、例えば、上述した四面体や八面体を構成する金属元素として結晶構造内に含まれ得る。また、M元素は、複合酸化物の結晶構造には含まれない形態で活物質中に存在し得る。
例えばバナジウム(V)及びリン(P)の元素は、5価元素として結晶構造内に含めることが可能である。チタン(Ti)、ジルコニア(Zr)、及びシリコン(Si)は、4価の元素として構造内に含めることが可能である。鉄(Fe)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb),ホウ素(B)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、及びイットリウム(Y)は、3価の元素として結晶構造内に取りこむことができる。マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)は、2価の元素として結晶構造内に取りこむことができる。カリウム(K)及びナトリウム(Na)は、1価の元素として結晶構造内に取りこむことができる。これらの元素のうち、4価の元素は3価以下の元素よりも電荷が高いために、構造内の酸素/金属比を低下させずに多く含めることが可能であり、構造内のMo比率を高めることが可能であることから好ましい。特に、チタン(Ti)元素は最も構造内に多く含めることが可能な元素であり、イオン半径が5価のNb元素に近いことから構造内に取り入れやすく、M元素の中で最も好ましい。
タンタル(Ta)は、5価の元素としてNb元素を置き換えることが可能である。Ta及びNbは周期表上で同族の元素に該当することから、物理的及び化学的な性質が類似している。そのため、NbをTaで置換しても同等の電池性能を得ることが可能である。
タングステン(W)は、6価の元素としてMo元素の一部を置き換えることが可能である。一般に、Wを含有するWadsley-Roth相は固体内Li拡散速度が速いことから、レート性能が高いことが知られている。従って、Wを含むことは、活物質のレート性能をさらに高めることが可能とされる。
<活物質粒子>
第1の実施形態に係る活物質は、例えば、粒子の形態を取り得る。即ち、係る活物質は、一般式LiaMbNbMocOdで表され、上述した結晶構造を含む複合酸化物の粒子からなり得る。活物質は、単独の一次粒子、複数の一次粒子が凝集してなる二次粒子、又はこれらの混合物であり得る。
係る活物質の平均一次粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが更に好ましい。活物質の平均一次粒子径が小さいと、一次粒子内でのリチウムイオンの拡散距離が短いため、リチウムイオン拡散性が高まる傾向にある。また、活物質の平均一次粒子径が小さいと、反応面積が増加するため、活物質とリチウムイオンとの反応性が高まり、リチウムイオン挿入脱離反応が向上する傾向にある。
係る活物質の平均二次粒子径は、1μm以上50μm以下であることが好ましい。活物質の平均二次粒子径をこの範囲にすることにより、電極製造時の生産性を向上させると共に、良好な性能の電池を得ることができる。この平均二次粒子径は、レーザー回折式の粒度分布測定装置により求めた粒度分布において、体積積算値が50%となる粒径を意味している。
活物質のBET比表面積は、3.0m2/g以上120m2/g以下であることが望ましく、4.0m2/g以上110m2/g以下であることがより望ましい。比表面積が高い活物質を用いると、電池の放電レート性能を高めることができる。また、比表面積の低い活物質を用いると、電池の寿命性能を向上させることができ、第2の実施形態にて後述する電極の製造工程において、活物質を含むスラリーの塗工性を良好なものにすることができる。
BET比表面積は、窒素BET(Brunauer, Emmet and Teller)法により求めた比表面積を意味している。この窒素BET法に基づく比表面積を求める方法は、後段にて詳述する。
<製造方法>
第1の実施形態に係る活物質は、下記のとおり製造することができる。
(液相合成)
複合酸化物の製造は特に限定されるものではないが、例えば固相反応法、ゾルゲル法、水熱合成法などの方法により合成することができる。この一例としてゾルゲル法を用いたチタン-ニオブ-モリブデン複合酸化物(即ち、元素M=Ti)の製造方法について記載する。
出発原料としては、チタン化合物、ニオブ化合物、モリブデン化合物を用いる。チタン化合物としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、硫酸チタニル、塩化チタン、シュウ酸チタンアンモニウム及びその水和物、水酸化チタン、酸化チタンが挙げられる。ニオブ化合物としては、例えば、塩化ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウム及びその水和物、水酸化ニオブ、酸化ニオブが挙げられる。モリブデン化合物としては、例えば、塩化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム及びその水和物、水酸化モリブデン、酸化モリブデンが挙げられる。元素MとしてTi以外の元素を選択またはTiと共に他の元素を選択する場合は、選択した元素Mを含有する化合物で上記チタン化合物を適宜置き換えるか併用する。
出発原料は、事前に純水、あるいは酸に溶解させて溶解液としておくことが好ましい。溶液化することによって各元素が均質に混合した乾燥ゲルを得ることが可能であるため、反応性を高めることができる。純水に溶解できない場合は、酸を用いて溶解を行う。
原料を溶解させるために使用する酸としては、例えば、クエン酸やシュウ酸が挙げられるが、溶解性の観点からシュウ酸を用いることが好ましい。例えばシュウ酸を用いる場合には、0.5M以上1M以下の濃度とすることが好ましい。溶解させる際には、反応時間を短縮するために70℃以上の温度を用いることが好ましい。
原料の溶解が難しい場合には、分散液としても反応を進めることができる。この場合の分散液中に含まれる原料の平均粒子径については、3μm以下、より好ましくは1μmであると良い。各化合物について所定の組成比に調整した溶液(又は分散液)を調製した後、溶液を加熱・攪拌させながらアンモニア水溶液による中和を行いpHの調整を行う。pH調整によりゲル液を得る。pHは5以上8以下とすることにより、各原料を均質に含むゲルを形成することが可能であり、これにより焼成時の反応性が良好な乾燥ゲルを取得することができる。
続いて、ゲル液を沸点近傍まで加熱することによって水分を蒸発させてゲル化を進行させる。ゲル化を行った後、さらに水分を蒸発させて乾燥を行うことによって乾燥ゲルを取得する。ゲル化及び乾燥の際は、例えば、溶液全量を蒸発濃縮して乾燥ゲルを得ることができる。溶液全量を蒸発濃縮して製造した乾燥ゲルは、焼成前に粉砕を行うことによって平均粒子径を10μm以下、より好ましくは5μm以下まで小さくすることが好ましい。これにより焼成後の粒子径を小さくすることができる。得られた乾燥ゲルを焼成する。
溶媒を蒸発させてゲル化及び乾燥ゲルを取得する工程において、噴霧乾燥機を用いることがより好ましい。噴霧によって、微小なゾル溶液の液滴を形成することが可能である。微小な液滴の状態で乾燥させることで、溶媒乾燥時に進行する粒子凝集を防いで乾燥させることが可能であることから、乾燥後の粒子径をより小さくすると共に、粗大粒子を低減させることが可能である。これによって前駆体の焼成時の反応の均質性を高めるとともに、焼成時の粒子の凝集も抑制することが可能である。噴霧乾燥の時の乾燥温度は100℃以上200℃以下であることが好ましい。
乾燥ゲルの焼成にあたって、200℃以上500℃以下、焼成時間1時間以上10時間以下で仮焼成を行う。これによって余分な有機成分を焼失させることが可能であることから、本焼成時の反応性を高めることが可能である。
本焼成は、700℃以上900℃以下の焼成温度とし、焼成時間は1時間以上10時間以下で実施することが好ましい。このような温度範囲で焼成を行うことによって、目的の相を取得するとともに、上述した欠陥を適度に導入することが可能である。焼成温度が高い程、欠陥量が多くなる傾向がある。
焼成後の粉末は凝集体を形成することで平均粒子径が高いことがあり得る。この場合には、粉砕を行うことで所定の平均粒子径を調整することが好ましい。
機械的な粉砕を実施した後の粉末は、表面がアモルファス状に変化することがあり得る。この場合は、電池用活物質として用いた時にLi挿入・脱離時の過電圧を発生させることから、副反応を増加させることがあり得る。このため、再度アニール処理を実施することが好ましい。アニール温度は、本焼成温度以下であり、500℃以上800℃以下とすることが好ましい。
<各種測定方法>
以下、活物質の測定方法を説明する。具体的には、複合酸化物の確認、活物質粒子の平均粒子径の測定、及び活物質の比表面積の測定を説明する。
電池の電極に含まれている活物質を試料とする場合、以下の方法により前処理を行って、測定試料を準備する。先ず、電池を完全に放電状態とする。次いで、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中で電池を分解し、電極を取り出す。次いで、取り出した電極をエチルメチルカーボネートなどの溶媒を用いて洗浄する。実施する測定ごとにさらに加工を行って、適切な形態の試料を準備する。
(複合酸化物の確認)
活物質が上述した結晶構造を有するとともに一般式LiaMbNbMocOdで表される複合酸化物を含むことの確認は、広角X線回折(XRD)法、高角環状暗視野(High Angle Annular Dark-Field;HAADF)法、並びに誘導結合プラズマ(Inductively coupled plasma:ICP)発光分析法および不活性ガス溶解-赤外線吸収分光法を組合わせることで行うことができる。広角XRD法およびHAADF法により結晶構造を求め、ICP発光分析法および不活性ガス溶解-赤外線吸収分光法により元素組成を求めることができる。元素の価数測定は、例えば、特性X線を用いる光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy;XPS)により実施することが可能である。
XRD測定は、次のとおり行う。先ず、活物質粒子を十分に粉砕して、粉末状試料を得る。粉末状試料の平均粒子径は、20μm以下とすることが好ましい。この平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により求めることができる。
次いで、この粉末状試料を、ガラス試料板のホルダー部分に充填し、その表面を平坦にする。ガラス試料板としては、例えば、ホルダー部分の深さが0.2mmのものを用いることができる。
次いで、このガラス試料板を粉末X線回折装置に設置し、Cu-Kα線を用いてXRDスペクトルを測定する。具体的な測定条件は、例えば、以下のとおりとする:
X線回折装置:株式会社リガク社製 SmartLab
X線源:CuKα線
出力:40kV,200mA
パッケージ測定名称:汎用測定(集中法)
入射並行スリット開口角:5°
入射長手制限スリット長さ:10mm
受光PSA:無し
受光並行スリット開口角:5°
単色化法:Kβフィルター法
測定モード:連続
入射スリット幅:0.5°
受光スリット幅:20mm
測定範囲(2θ):5~70°
サンプリング幅(2θ):0.01°
スキャン速度:1° ~ 20°/分。
このようにして、活物質に係るXRDスペクトルを得る。このXRDスペクトルにおいて、横軸は入射角(2θ)を示し、縦軸は回折強度(cps)を示す。スキャン速度は、XRDスペクトルのメインピークのカウント数が5万カウント以上、15万カウント以下となるような範囲で調整することができる。
電池の電極に含まれている活物質を試料とする場合、上述した前処理を行って得られた洗浄後の電極を、ガラス試料板のホルダーの面積とほぼ同じ面積に切断し、測定試料とする。
次に、得られた測定試料を、ガラスホルダーに直接貼り付け、XRD測定を行う。集電体、導電剤、及びバインダなど、電極に含まれ得る活物質以外の材料についてXRDを用いて測定し、これらに由来するXRDパターンを把握する。次いで、測定試料において活物質に由来すると考えられるピークと、その他の材料のピークとで重なるピークがある場合、活物質以外の材料のピークを分離する。このようにして活物質に係るXRDスペクトルを得る。
測定した試料が含む結晶構造が上述した図1の正方晶型の結晶構造に帰属されるかをさらに厳密に確認するためには、リートベルト法を用いる。解析プログラムとしては、例えばRIETAN-FPを用い、信頼度因子であるRwp値について少なくとも20%以下、より好ましくは15%以下となることを確認することによって確かめることができる。この時、不純物を含むピークが存在し、解析目的とする相と重複する場合には解析精度を悪化させることがあり得る。この場合には、不純物由来のピークと重複することが明瞭な箇所について、解析範囲から除外した解析を行う方法が好ましい。但し、第1の実施形態に係る活物質以外の材料が試料に含まれる場合や、試料の配向性が著しく高い場合、粗大粒子が混在している場合については強度比が変化するためにこの限りでは無く、結晶構造に帰属される全てのピークの位置や相対強度に矛盾が無いことを確認することで構造を確かめる。また、スペクトルの強度が低くてバックグラウンド強度が低い状態にあるとRwp値が小さくなることがあり、信頼度因子はその絶対値に意味を持つものではなく、一定の測定条件においてフィッティングの良さを相対的に判断することに意味を有するものである。
RIETAN-FPを用いた解析方法については、例えば、非特許文献4(「粉末X線解析の実際」初版(2002年)日本分析化学会X線分析研究懇談会編 中井泉、泉富士夫編著(朝倉書店))の第9章「RIETAN-FPを使ってみよう」に詳細に説明されている。
なお、RIETAN-FPは、その開発者のインターネット上のウェブページ(http://fujioizumi.verse.jp/)にて無料配布されている(2022年8月現在)リートベルト解析用プログラムである。
図2の構造は、構造の周期性を有さないためにXRD測定で解析を実施することが困難である。図2の構造を確かめるためには、微細構造を直接観察することが好ましい。観察は、走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope;STEM)を用いた高角環状暗視野(High Angle Annular Dark-Field;HAADF)法による観察によって実施することが可能である。測定分解能を向上させる観点から、球面収差補正を用いることが好ましい。ReO3型ブロックに垂直な方向から原子像(10 nm × 10 nm)を取得し、ReO3ブロックを構成する金属元素の位置関係を確認することによって、その構造を確かめることができる。
試料に含まれている活物質粒子における各元素の含有量は、金属元素に関してはICP発光分析法により確かめることができる。O元素については不活性ガス溶解-赤外線吸収分光等の方法によって定量することができるが、厳密な定量は難しい。
電極に含まれている活物質粒子については、上述した前処理後、次の処理をさらに行う。洗浄後の電極から、活物質を含んでいる部材(例えば、第2の実施形態で説明する活物質含有層)を、例えば、電極の集電体から剥離する。電極から剥離した部分を大気中で短時間加熱(500℃で1時間程度)して、バインダー成分やカーボンなど不要な部分を焼失させる。その後、ICP発光分析などを行うことによって各元素の含有量を定量することができる。
XPS法による複合酸化物が含む金属元素の価数の測定は、次のとおり実施することができる。測定に用いるX線には、検出深さが深くバルクにより近い状態を測定することが可能であることから、硬X線を用いることが好ましい。硬X線を用いる分光手法はHAXPESとも呼ばれる。各元素のナロースペクトルの結合エネルギーの位置を確認することにより、価数を判定することが可能である。例えば、Ti元素については、Ti2p3/2に由来する4価のピークが459.0±0.4eVに観察される。Mo元素については、Mo3d5/2に由来する6価のピークが232.2±0.4eVに観察される。Nb元素については、Nb3d5/2に由来する5価のピークが207.5±0.4eVに観察される。低価数元素を含む場合は、先の価数よりも低いエネルギー位置にピークが検出されることで判別が可能である。特に、Mo元素は5価以下の価数を含む可能性があり得る。
元素価数が変化しないよう、サンプル測定は非破壊で行う。従って、電極に含まれている複合酸化物に対する測定は、材料抽出を行わずに電極を試料とする。サンプルの測定中のチャージアップがピーク位置に影響を与えないように注意して測定を行う。チャージアップによるピークのシフトが無いようにするために、完全放電状態の電極を測定することが好ましい。電極に導電剤が含まれている場合は、チャージアップを少なくできる。長時間のX線照射が試料にダメージを与えることでも元素価数が変化するため、注意する。また、異なる構造の材料が混在する場合は結合状態の変化のためにピークがシフトする可能性があるため、価数の変化と混同しないように注意する。異なる価数の元素が混在する場合、すなわち複数のピークでスペクトルが混在する場合は、スペクトルを最小二乗フィッティングで分離し、分離したピークの面積比から混在比を推定することができる。
なお、一般式LiaMbNbMocOdにて添字aで表されるLiの含有割合は、複合酸化物が活物質に用いられた電極の充電状態に応じて変化する。例えば、負極に含まれている複合酸化物では、電池の充電に伴ってLiが挿入されて添字aが増加し、放電に伴ってLiが脱離して添字aが減少する。
(ラマン分光測定)
活物質が含む複合酸化物の結晶性を定量評価する手法としては、顕微ラマン測定装置を用いた測定を行うことができる。顕微ラマン装置としては、例えば、堀場製作所製 LabRAM HR Evolutionを用いることができる。測定光源の波長は532nmを用いる。測定条件は、スペクトル上のピーク高さ(Signal=S)とノイズ(Noise=N)との比率(S/N比)や蛍光散乱強度が測定強度の算出に影響を与えないように選択する。測定条件は、例えば、スリットサイズ25μm、レーザー強度25%、対物レンズ100倍、グレーティング1800gr/mm、露光時間10s、積算回数5回とすることができる。
強度の算出は測定したスペクトルについてフィッティングを実施して求める。測定ソフトウェアは、例えばLabSpec6を用い、ベースラインの補正を実施した後にGaussian-Lorentz関数を用いた最小二乗フィッティングを行うことによって該当ピークのラマンシフト(cm-1)を算出することが好ましい。
ラマン分光測定は、例えば、以下に説明する手順により行うことができる。
活物質の粉末であれば、これを直接評価することが可能であるが、電池に組み込まれた電池用活物質を評価する場合、上述した前処理を電極の洗浄まで行い、洗浄した電極から活物質を剥離し、試料を採取する。
採取した試料を用いて、例えば先に説明した条件により、ラマン分光測定を行う。
測定の際、Siの標準サンプルを使用し、装置推奨の方法に従って強度・ラマンシフトについて装置推奨の方法により更生を行ってから実施する。粉末での測定の場合は、スライドガラス上に粉末を載せて測定する。焦点を合わせやすくするために凹凸が少なくなるように平らにしてから測定することが好ましい。電極中のバインダや導電剤成分を含む粉末を測定する場合は、集電体、並びに導電剤及びバインダといった合剤に含まれる他の成分のラマン活性の有無及びそのピーク位置を把握しておく。重なっている場合は活物質以外の成分に関するピークを分離する。
(平均粒子径の測定)
活物質の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope : SEM)を用いた観察により求めることができる。具体的には、SEM観察による平均一次粒子径は、以下の方法により算出することができる。
先ず、SEM観察により得られたSEM画像の一次粒子において、最も長軸な部分の長さと、最も短軸な部分の長さとを測定し、これらの相加平均値を一次粒子径とする。この一次粒子径の測定を、任意に選出した100個の粒子で行い、それらの平均値を平均一次粒子径とする。
活物質の平均二次粒子径は、レーザー回折式の粒度分布測定装置を用いて測定される粒度分布から求めることができる。この粒度分布測定を行う際の試料としては、活物質の濃度が0.1質量%乃至1質量%となるようにN-メチル-2-ピロリドンで希釈した分散液を用いる。得られた粒度分布において体積積算値が50%となる粒径を、平均二次粒子径とする。
(BET比表面積の測定)
活物質粒子についてのBET比表面積は、以下の方法により求めることができる。
先ず、試料として、4gの活物質を採取する。次いで、測定装置の評価用セルを、100℃以上の温度で15時間にわたって減圧乾燥させ、脱ガス処理を行う。評価用セルとしては、例えば、1/2インチのものを使用することができる。次いで、試料を測定装置に設置する。測定装置としては、例えば、島津製作所-マイクロメリティックス社製トライスターII3020を用いることができる。次いで、77K(窒素の沸点)の窒素ガス中で、窒素ガスの圧力P(mmHg)を徐々に高めながら、各圧力P毎に、試料の窒素ガス吸着量(mL/g)を測定する。次いで、圧力P(mmHg)を窒素ガスの飽和蒸気圧P0(mmHg)で除した値を相対圧力P/P0として、各相対圧力P/P0に対する窒素ガス吸着量をプロットすることにより吸着等温線を得る。次いで、この窒素吸着等温線とBET式とからBETプロットを算出し、このBETプロットを利用して比表面積を得る。なお、BETプロットの算出には、BET多点法を用いる。
第1の実施形態に係る活物質は、酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有し、一般式LiaMbNbMocOdで表される複合酸化物を含む。酸化レニウム型のブロック構造は、各々が酸素と金属元素で構成される八面体構造の頂点共有で構成される。上記一般式において、MはTi, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される何れか一つ以上である。添字a,b,c及びdは、0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.5,0≦c≦0.5,及び2.33≦d/(1+b+c)≦2.50を満たす数である。複合酸化物についての励起波長532 nmの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、Mo-O結合に由来するラマンピークP1のラマンシフト量S1と、Nb-O結合に由来するラマンピークP2のラマンシフト量S2との間に、285 cm-1以上の差がある。上記複合酸化物を電極活物質として用いた電極は、優れた急速充放電性能およびサイクル寿命性能を示す。また、上記複合酸化物を電極活物質として用いた二次電池および電池パックは、優れた急速充放電性能およびサイクル寿命性能を示す。即ち、係る活物質は、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、電極が提供される。
第2の実施形態に係る電極は、第1の実施形態に係る活物質を含む。この電極は、第1の実施形態に係る活物質を電池用活物質として含む電池用電極であり得る。電池用電極としての電極は、例えば、第1の実施形態に係る活物質を負極活物質として含む負極であり得る。或いは、電極は、第1の実施形態に係る活物質を正極活物質として含む正極であり得る。
係る電極は、集電体と活物質含有層とを含むことができる。活物質含有層は、集電体の片面又は両面に形成され得る。活物質含有層は、活物質と、任意に導電剤及び結着剤とを含むことができる。
活物質含有層は、第1の実施形態に係る活物質を単独で含んでもよく、第1の実施形態に係る活物質を2種類以上含んでもよい。さらに、第1の実施形態に係る活物質を1種又は2種以上と、更に1種又は2種以上の他の活物質とを混合した混合物を含んでもよい。第1の実施形態に係る活物質と他の活物質との総質量に対する第1の実施形態に係る活物質の含有割合が10質量%以上100質量%以下であることが望ましい。
例えば、第1の実施形態に係る活物質を負極活物質として含む場合は、他の活物質の例には、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+xTi37、0≦x≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi512、0≦x≦3)、二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、五酸化ニオブ(Nb25)、ホランダイト型チタン複合酸化物、直方晶型(orthorhombic)チタン複合酸化物、及び単斜晶型ニオブチタン酸化物、ニオブ酸化物、ニオブチタン酸化物、ニオブモリブデン複合酸化物、ニオブタングステン複合酸化物が挙げられる。
上記直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+e 2-fTi6-gII h14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、Mは、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。MIIはZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦e≦6、0≦f<2、0≦g<6、0≦h<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+eNa2Ti614(0≦e≦6)が挙げられる。
上記単斜晶型ニオブチタン酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン酸化物の他の例として、LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。また、導電剤を用いると共に活物質表面に炭素や導電性材料を被覆することで、活物質含有層の集電性能を向上させることもできる。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
活物質含有層中の活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、電極を二次電池の負極として用いる場合は、活物質(負極活物質)、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ30質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
活物質表面を炭素や導電性材料で被覆する場合、被覆材量は導電剤量に含めたものとみなすことができる。炭素または導電性材料による被覆量は、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。この範囲の被覆量であれば、集電性能と電極密度を高められる。
集電体は、活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、活物質が負極活物質として用いられる場合は、集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiからなる群より選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
また、集電体は、その表面に活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、集電タブとして働くことができる。
電極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、電極を作製する。
或いは、電極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、電極を得ることができる。
第2の実施形態に係る電極は、第1の実施形態に係る活物質を含んでいる。そのため、第2の実施形態に係る電極は、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れた二次電池を実現することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、負極と、正極と、電解質とを含む二次電池が提供される。この二次電池は、負極または正極として、第2の実施形態に係る電極を含む。つまり、第3の実施形態に係る二次電池は、第1の実施形態に係る活物質を電池用活物質として含む電極を、電池用電極として含む。望ましい態様の二次電池は、負極として、第2の実施形態に係る電極を含む。つまり、望ましい態様の二次電池は、第1の実施形態に係る活物質を電池用活物質として含む電極を、負極として含む。以下、望ましい態様を説明する。
係る二次電池は、正極と負極との間に配されたセパレータを更に具備することもできる。負極、正極及びセパレータは、電極群を構成することができる。電解質は、電極群に保持され得る。
また、係る二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
さらに、係る二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
第3の実施形態に係る二次電池は、例えばリチウム二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。
以下、負極、正極、電解質、セパレータ、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
1)負極
負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極集電体及び負極活物質含有層は、それぞれ、第2の実施形態に係る電極が含むことのできる集電体及び活物質含有層であり得る。負極活物質含有層は、第1の実施形態に係る活物質を負極活物質として含む。
負極の詳細のうち、第2の実施形態について説明した詳細と重複する部分は、省略する。
負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、1.8g/cm3以上2.8g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の密度は、2.1g/cm3以上2.6g/cm3以下であることがより好ましい。
負極は、例えば、第2の実施形態に係る電極と同様の方法により作製することができる。
2)正極
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y≦1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
正極活物質の一次粒径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの挿入脱離サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
正極は、例えば、正極活物質を用いて、第2の実施形態に係る電極と同様の方法により作製することができる。
3)電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5 mol/L以上2.5 mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2;LiFSI)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。ここでいうLiイオン伝導性を有するとは、25℃で1×10-6 S/cm以上のリチウムイオン伝導度を示すことを指す。無機固体電解質としては、例えば、酸化物系固体電解質、又は硫化物系固体電解質を挙げることができる。無機固体電解質の具体例は、下記のとおりである。
酸化物系固体電解質としては、NASICON(Sodium (Na) Super Ionic Conductor)型構造を有し、一般式Li1+xMα2(PO4)3で表されるリチウムリン酸固体電解質を用いることが好ましい。上記一般式中のMαは、例えば、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、及びカルシウム(Ca)からなる群より選択される1以上である。添字xは、0≦x≦2の範囲内にある。
NASICON型構造を有するリチウムリン酸固体電解質の具体例としては、Li1+xAlxTi2-x(PO4)3で表され0.1≦x≦0.5であるLATP化合物;Li1+xAlyMβ2-y(PO4)3で表されMβはTi,Ge,Sr,Zr,Sn,及びCaからなる群より選択される1以上であり0≦x≦1及び0≦y≦1である化合物;Li1+xAlxGe2-x(PO4)3で表され0≦x≦2である化合物;及び、Li1+xAlxZr2-x(PO4)3で表され0≦x≦2である化合物;Li1+x+yAlxMγ2-xSiy3-y12で表されMγはTi及びGeからなる群より選択される1以上であり0<x≦2、0≦y<3である化合物;Li1+2xZr1-xCax(PO4)3で表され0≦x<1である化合物を挙げることができる。
また、酸化物系固体電解質としては、上記リチウムリン酸固体電解質の他にも、LixPOyzで表され2.6≦x≦3.5、1.9≦y≦3.8、及び0.1≦z≦1.3であるアモルファス状のLIPON化合物(例えば、Li2.9PO3.30.46);ガーネット型構造のLa5+xAxLa3-xMδ212で表されAはCa,Sr,及びBaからなる群より選択される1以上でMδはNb及びTaからなる群より選択される1以上であり0≦x≦0.5である化合物;Li3Mδ2-x212で表されMδはNb及びTaからなる群より選択される1以上でありLはZrを含み得0≦x≦0.5である化合物;Li7-3xAlxLa3Zr312で表され0≦x≦0.5である化合物;Li5+xLa3Mδ2-xZrx12で表されMδはNb及びTaから成る群より選択される1以上であり0≦x≦2であるLLZ化合物(例えば、Li7La3Zr212);及びペロブスカイト型構造を有しLa2/3-xLixTiO3で表され0.3≦x≦0.7である化合物が挙げられる。
上記化合物のうち1以上を固体電解質として用いることができる。上記固体電解質を2以上用いてもよい。
或いは、非水電解質の代わりに、液状水系電解質又はゲル状水系電解質を電解質として用いることができる。液状水系電解質は、溶質として、例えば、上記電解質塩を水系溶媒に溶解することにより調製される。ゲル状水系電解質は、液状水系電解質と上記高分子材料とを複合化することにより調製される。水系溶媒としては、水を含む溶液を用い得る。水を含む溶液とは、純水であってもよく、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。
4)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
5)外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は1質量%以下であることが好ましい。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
6)負極端子
負極端子は、上述の負極活物質のLi挿入脱離電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
7)正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
以上、第2の実施形態に係る電極を負極として含む態様を説明した。第3の実施形態に係る二次電池の態様のうち、正極として第2の実施形態に係る電極を含む態様では、その対極である負極として、例えば、次のような対極を用いることができる。リチウム金属、リチウム金属合金、黒鉛、シリコン、酸化シリコン、酸化スズ、シリコン、スズ、その他合金から選ばれる少なくとも一種の電極を、負極として用いることができる。活物質中にLiを含まない材料は、Li元素のプレドープを行うことにより負極として用いることができる。
第2の実施形態に係る電極を正極として含む態様において、当該正極の詳細は第2の実施形態にて説明したものと重複するため、省略する。
次に、第3の実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図3は、二次電池の一例を概略的に示す断面図である。図4は、図3に示す二次電池のA部を拡大した断面図である。
図3及び図4に示す二次電池100は、図3に示す電極群1と、図3及び図4に示す袋状外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。
袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図3に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図4に示すように、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含む。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在している。
負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図4に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。
正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。
図3に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回型の電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、負極集電体3aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
実施形態に係る二次電池は、図3及び図4に示す構成の二次電池に限らず、例えば図5及び図6に示す構成の電池であってもよい。
図5は、二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図6は、図5に示す二次電池のB部を拡大した断面図である。
図5及び図6に示す二次電池100は、図5及び図6に示す電極群1と、図5に示す外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群1に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
電極群1は、図6に示すように、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。
各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない部分を含む。この部分は、負極集電タブ3cとして働く。図6に示すように、負極集電タブ3cは、正極5と重なっていない。また、複数の負極集電タブ3cは、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。
また、図示しないが、各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ3cと同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ3cに対し電極群1の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
第3の実施形態に係る二次電池は、第2の実施形態に係る電極を含んでいる。つまり第3の実施形態に係る二次電池は、第1の実施形態に係る活物質を含む電極を含んでいる。そのため、第3の実施形態に係る二次電池は、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れている。
(第4の実施形態)
第4の実施形態によると、組電池が提供される。係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、第4の実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図7は、組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図7に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第3の実施形態に係る二次電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図7の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
5つの単電池100a~100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a~100eうち少なくとも1つの電池の負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を具備する。従って、係る組電池は、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れている。
(第5の実施形態)
第5の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第3の実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。
係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図8は、電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図9は、図8に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図8及び図9に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図8に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
複数の単電池100の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100の各々は、図9に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード22の一端は、1以上の単電池100の正極と電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード23の一端は、1以上の単電池100の負極と電気的に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ342に、正極側リード22の他端22aが電気的に接続されている。負極側コネクタ343に、負極側リード23の他端23aが電気的に接続されている。
サーミスタ345は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
通電用の外部端子350は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
保護回路346は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子350の正側端子352と負側端子353としてそれぞれ用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第5の実施形態に係る電池パックは、第3の実施形態に係る二次電池又は第4の実施形態に係る組電池を備えている。従って、係る電池パックは、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れている。
(第6の実施形態)
第6の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。
係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(Regenerator:再生器)を含んでいてもよい。
車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池パックが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。例えば、各電池パックが組電池を含む場合は、組電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、又は電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。或いは、各電池パックが単一の電池を含む場合は、それぞれの電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図10は、車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
図10に示す車両400は、車両本体40と、第5の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図10に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300が含む電池(例えば、単電池または組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図10では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図11を参照しながら、実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図11は、車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図である。図11に示す車両400は、電気自動車である。
図11に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位の制御装置である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図11に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM:Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a~300cは、前述の電池パック300と同様の電池パックであり、組電池200a~200cは、前述の組電池200と同様の組電池である。組電池200a~200cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a~200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。組電池200a~200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、組電池監視装置301a~301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a~200cに含まれる単電池100のそれぞれについて電圧及び温度などに関する情報を収集する。これにより、電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a~301cとは、通信バス412を介して接続されている。通信バス412では、1組の通信線が複数のノード(電池管理装置411と1つ以上の組電池監視装置301a~301cと)で共有されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a~301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a~200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との間の電気的な接続の有無を切り替える電磁接触器(例えば図11に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a~200cへの充電が行われるときにオンになるプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、組電池200a~200cからの出力が負荷へ供給されるときにオンになるメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチ及びメインスイッチのそれぞれは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフに切り替わるリレー回路(図示せず)を備えている。スイッチ装置415等の電磁接触器は、電池管理装置411又は車両400全体の動作を制御する車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411又は車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。インバータ44が制御されることにより、インバータ44からの出力電圧が調整される。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。駆動モータ45の回転によって発生する駆動力は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構(リジェネレータ)を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。変換された直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子417に接続されている。接続ラインL1には、負極端子414と負極入力端子417との間に電池管理装置411内の電流検出部(電流検出回路)416が設けられている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子418に接続されている。接続ラインL2には、正極端子413と正極入力端子418との間にスイッチ装置415が設けられている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置411を含む他の管理装置及び制御装置とともに車両用電源41、スイッチ装置415、及びインバータ44等を協調制御する。車両ECU42等の協調制御によって、車両用電源41からの電力の出力及び車両用電源41の充電等が制御され、車両400全体の管理が行われる。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第6の実施形態に係る車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。電池パックが急速充放電性能に優れているため、車両は高いパフォーマンスを示すことができる。また、電池パックのサイクル寿命性能が優れているため、車両の信頼性が高い。
以下、実施例に基づいて上記実施形態をさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
<合成>
(実施例1)
次のとおり、チタン-ニオブ-モリブデン複合酸化物を合成した。
原料として、シュウ酸ニオブアンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、及びチタンテトライソプロポキシドを準備した。これら原料を所定の組成比により秤量した。シュウ酸ニオブアンモニウムとモリブデン酸アンモニウムについては、純水により溶解させることで溶液Aを調製した。次に、濃度1Mのシュウ酸水溶液にチタンテトライソプロポキシドを投入し、加熱・攪拌により溶解させた溶液Bを調製した。溶液Aと溶液Bとの混合を実施した後、加熱・攪拌しながらアンモニア溶液を添加してpHを7に調整することで、ゾルを得た。ゾル液について、乾燥温度180℃とするスプレードライを実施することで溶媒を蒸発させ、白色の前駆体粉末を取得した。前駆体粉末をアルミナ坩堝に投入し、700℃及び4時間の条件で大気中にて焼成を行った。その後、焼成物の乾式粉砕を行い、粉砕物に対し分級を施すことによって粒度の調整を行った。上記のようにして活物質粉末を得た。
(実施例2)
前駆体を焼成する温度を800℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合酸化物を合成し、活物質粉末を得た。
(実施例3)
前駆体を焼成する温度を900℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合酸化物を合成し、活物質粉末を得た。
(実施例4-7)
原料の秤量比を調整して前駆体の組成比を変更するとともに、前駆体を焼成する温度を次のとおり変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合酸化物を合成し、活物質粉末を得た。焼成温度は、実施例4では700℃、実施例5ではを750℃、実施例6では800℃とし、及び実施例7では900℃とした。
(比較例1)
前駆体粉末を焼成する温度を600℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で複合酸化物を合成し、活物質粉末を得た。
<測定>
上記実施例および比較例のそれぞれにて得られた粉末について、走査透過電子顕微鏡観察を行った。具体的には、先に説明した詳細のとおり、球面収差補正機能を有するSTEM-HAADF像により10 nm×10 nmの像による微細構造の観察を行った。また、広角X線散乱測定による測定を行った。測定は、先に説明した詳細に沿って行った。得られたスペクトルについてリートベルト法による結晶構造解析を行った。また、ICP発光分析、HAXPES測定、及びラマン分光測定を行った。測定結果の一部を詳述する。
実施例1で得られた複合酸化物については、図1及び図2の結晶構造が混在して存在することを確認した。
実施例1で得られた複合酸化物について、ICP分析により金属比を算出したところ、Ti:Nb:Mo=0.23:1.00:0.18と算出された。HAXPES測定により価数を評価した。Ti元素は、459±0.4eVの範囲内にTi2p3/2に由来する単一ピークのピークトップが観察されたことから、4価と同定した。Nb元素は、207.5±eVの範囲内にNb5d3/2に由来する単一のピークのピークトップが観察されたことから、5価と同定した。Mo元素は、232.2±0.3 eVに6価に由来するMo3d5/2のピークが観察されると共に、そのピークよりも1 eV小さい値において異なるピークが混在していることが確認されたことから、5価のピークと6価のピークが混在して存在すること同定した。ピークの混在比から5価と6価の元素が7:3で混在すると推定して平均価数は5.3価と仮定した。本仮定により計算される組成式は、Ti0.23NbMo0.18O3.47となった。従って、b=0.23、c=0.18、d=3.47である。
実施例2で得られた複合酸化物については、図1及び図2の結晶構造が混在して存在することを確認した。
実施例2で得られた複合酸化物について、ICP分析により金属比を算出したところ、Ti:Nb:Mo=0.23:1.00:0.18と算出された。実施例1と同様の方法でHAXPES測定により価数を評価したところ、Tiが4価、Nbが5価、Mo価数は5.6価とした。価数から計算される組成式は、Ti0.23NbMo0.18O3.49となった。従って、b=0.23、c=0.18、d=3.49である。
実施例3で得られた複合酸化物については、構造解析の結果、図1に示した結晶構造のみの単相として同定した。
実施例3で得られた複合酸化物について、ICP分析により金属比を算出したところ、Ti:Nb:Mo=0.23:1.00:0.15と算出された。元素数と結晶構造から計算される組成式はTi0.23NbMo0.15O3.45であった。実施例1と同様の方法でHAXPES測定により価数を評価したところ、Ti価数は4価、Nb価数は5価、Mo価数は6価とした。価数から計算される組成式は、Ti0.23NbMo0.15O3.41となった。従って、b=0.23、c=0.15、d=3.41である。
詳細は省くが、実施例4及び5では、図1及び図2の結晶構造が混在して存在する複合酸化物が得られた。実施例6及び7では、実施例3と同様に図1に示した結晶構造単相の複合酸化物が得られた。一般式LiaMbNbMocOdで表す組成は、下記表1に示すとおりだった。
比較例1で得られた複合酸化物については、STEM-HAADF像による微細構造の観察を行った結果、ReOブロックの視野内のサイズが異なり、周期性をもたずに八面体稜共有で接続される結晶構造を確認した。そのことから、図2に示した結晶構造として同定した。なお、異なる視野では、四面体頂点共有が含まれる接続部分も確認された。
比較例1で得られた複合酸化物について、ICP分析により金属比を算出したところ、Ti:Nb:Mo=0.23:1.00:0.23と算出された。実施例1と同様の方法でHAXPES測定により価数を評価したところ、Ti価数は4価、Nb価数は5価、Mo価数は5.5価とした。価数から計算される組成式は、Ti0.23NbMo0.23O3.59となった。従って、b=0.23、c=0.23、d=3.59である。
実施例1-3及び比較例1に係る複合酸化物に対する顕微ラマン分光測定(励起波長:532 nm)で得られたスペクトルを図12に示す。図中、破線R1及びR2はそれぞれ、各例についてのラマンピークP1及びP2の横軸方向の位置を視覚的に把握しやすくするための基準として、シフト量640 cm-1及びシフト量920 cm-1の位置を示している。図12に示すとおり、何れの複合酸化物のラマンスペクトルにおいてもシフト量640±10 cm-1及び920±20 cm-1にピークが見られた。それぞれのピークをラマンピークP1及びP2として、それぞれの具体的なシフト量(S1及びS2)は下記表1に示す。また、表1には、シフト量の差S2-S1、及びICP分析とHAXPES測定とを加えて導き出した組成式を併せて示す。
表1が示すとおり、実施例1-7及び比較例1の何れについても上述した一般式LiaMbNbMocOdで表す組成を有し、八面体構造より構成された酸化レニウム型のブロック構造を含む複合酸化物を合成できた。実施例1-7については、ラマンスペクトルにおけるシフト差S2-S1が285 cm-1以上であった。そのため、多くのショットキー型欠陥が導入されていることがわかる。対して、比較例1では、シフト差S2-S1が285 cm-1未満に留まった。
<電池性能の評価>
上記実施例および比較例にて各々得られた活物質粉末をそれぞれ用いて、次のとおり電極を作製した。
先ず、100質量部の活物質、6質量部の導電剤、及び4質量部の結着剤を、溶媒に分散してスラリーを調製した。活物質としては、上述した方法で得られた複合材料粉末をそれぞれ用いた。導電剤としては、アセチレンブラックとカーボンナノチューブ及びグラファイトとの混合物を用いた。結着剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)とスチレンブタジェンゴム(SBR)との混合物を用いた。溶媒としては、純水を用いた。
次いで、得られたスラリーを、集電体の片面に塗布し、塗膜を乾燥させることで活物質含有層を形成した。集電体としては、厚さ12μmのアルミニウム箔を用いた。次いで、集電体と活物質含有層とをプレスして、電極を得た。電極の目付は、40g/mであった。
次のとおり、非水電解質を調製した。電解質塩を有機溶媒に溶解させて、液状非水電解質を得た。電解質塩としては、LiPF6を用いた。非水電解質におけるLiPF6のモル濃度は、1mol/Lとした。有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒を用いた。ECとDECとの体積比は、1:2であった。
上述した方法で得られた電極を作用極とし、金属リチウム箔を対極及び参照極とし、上述した方法で調製した非水電解質を用いて、三電極式ビーカーセルを作製した。
作製した各セルについて、次のとおりサイクル寿命性能および放電レート性能を評価した。評価温度は25℃とし、電位範囲はリチウム基準電位から見て下限電位0.7V(vs. Li/Li+)、上限電位3.0V(vs. Li/Li+)とする充放電を実施した。充電は定電流-定電圧モード、放電は定電流モードで実施した。サイクル寿命は、電流値1Cの充放電サイクルを繰り返し、1サイクル目と30サイクル目の放電容量の維持率(サイクル容量維持率(%)=[30サイクル目放電容量/1サイクル目放電容量]×100%)を算出して評価した。放電レート性能は、充電電流を1Cで固定し、放電電流値のみを変化させて測定し、0.2Cでの放電容量に対する5Cでの放電容量の維持率(放電レート容量維持率(%)=[5C放電容量/0.2C放電容量]×100%)を算出して評価した。算出したそれぞれの容量維持率を、下記表2にまとめる。
実施例1-7で得られた活物質が含む複合酸化物は、上述した一般式LiaMbNbMocOdで表すとともに、ラマンスペクトルにおけるシフト差S2-S1が285 cm-1以上である化合物に対応していたことに対し、比較例1で得られた複合酸化物は上記一般式を満たすものの上記シフト差S2-S1を満たすものではなかった。表2に示すとおり、実施例1-7の活物質は、比較例1の複合酸化物と比較して高い急速充放電性能およびサイクル寿命性能を示した。
詳細には、サイクル容量維持率については、比較例1に対し、実施例1-7では欠陥量を増加させることによって向上する傾向が得られた。これは、欠陥を構造内に含んだ結果電子導電性が向上し、サイクル中の導電パスを維持できたことによる影響と考えられる。一方で実施例1-7の間でシフト差S2-S1が拡大、つまり欠陥が多くなるにつれて放電レート維持率は低下する傾向が得られている。これは欠陥を構造内に含むことによってLi拡散を阻害する影響と考えられる。
以上説明した1以上の実施形態および実施例によれば、複合酸化物を含んだ活物質が提供される。該複合酸化物は、酸素と金属元素で構成される八面体構造を含み、且つ、八面体構造が頂点共有で構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有し、一般式LiaMbNbMocOdで表される。ここで、式中のMは、Ti, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される何れか一つである。式中の各添字は、それぞれ0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.5,0≦c≦0.5,及び2.33≦d/(1+b+c)≦2.50の関係を満たす。励起波長532 nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、640±10 cm-1に現れるMo-O結合に由来するラマンピークP1のラマンシフト量S1と、920±20 cm-1に現れるNb-O結合に由来するラマンピークP2のラマンシフト量S2との差S2-S1は、285 cm-1以上である。係る活物質は、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れる二次電池を実現できる電極、急速充放電性能およびサイクル寿命性能に優れる二次電池および電池パック、並びに該電池パックを搭載した車両を提供することができる。
以下に、本発明に係る幾つかの実施形態を附記する。
[1] 酸素と金属元素で構成される八面体構造を含み、且つ、前記八面体構造が頂点共有で構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有し、
一般式LiaMbNbMocOdで表され、MはTi, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される何れか一つ以上であり、0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.4,0≦c≦0.5,及び2.33≦d/(1+b+c)≦2.50である複合酸化物を含み、
前記複合酸化物の励起波長532 nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、640±10 cm-1に在るMo-O結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1と、920±20 cm-1に在るNb-O結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2との差が、285 cm-1以上である、活物質。
[2] 酸素と金属元素で構成される八面体構造を含み、且つ、前記八面体構造が頂点共有で構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有し、
一般式LiaMbNbMocOdで表され、MはTi, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される何れか一つ以上であり、0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.5,0≦c≦0.5,及び2.33≦d/(1+b+c)≦2.50である複合酸化物を含み、
前記複合酸化物の励起波長532 nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、640±10 cm-1に在るMo-O結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1と、920±20 cm-1に在るNb-O結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2との差が、285 cm-1以上である、活物質。
[3] 前記結晶構造は、大きさが異なる複数の酸化レニウム型ブロックを含み、且つ、前記酸化レニウム型ブロックは少なくとも八面体稜共有で周期性を持たずに接続されている構造を含む、[1]又は[2]に記載の活物質。
[4] [1]から[3]の何れか1つに記載の活物質を含む、電極。
[5] 前記活物質を含んだ活物質含有層を含む、[4]に記載の電極。
[6] 正極と、
負極と、
電解質と
を具備する二次電池であって、
前記正極または前記負極は、[4]又は[5]に記載の電極である、二次電池。
[7] [6]に記載の二次電池を具備する、電池パック。
[8] 通電用の外部端子と、
保護回路と
を更に具備する、[7]に記載の電池パック。
[9] 複数の前記二次電池を具備し、
前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、[7]又は[8]に記載の電池パック。
[10] [7]から[9]の何れか1つ記載の電池パックを具備する、車両。
[11] 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、[10]に記載の車両。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、4…セパレータ、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極端子、7…正極端子、10…結晶構造、10a…八面体、10b…四面体、11…結晶構造、11a…八面体、11b…四面体、18…金属元素、19…酸素元素、21…バスバー、22…正極側リード、23…負極側リード、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、100…二次電池、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、342…正極側コネクタ、343…負極側コネクタ、345…サーミスタ、346…保護回路、342a…配線、343a…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、416…電流検出部、417…負極入力端子、418…正極入力端子、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (11)

  1. 酸素と金属元素で構成される八面体構造を含み、且つ、前記八面体構造が頂点共有で構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有し、
    一般式LiaMbNbMocOdで表され、MはTi, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される何れか一つ以上であり、0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.4,0≦c≦0.5,及び2.33≦d/(1+b+c)≦2.50である複合酸化物を含み、
    前記複合酸化物の励起波長532 nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、640±10 cm-1に在るMo-O結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1と、920±20 cm-1に在るNb-O結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2との差が、285 cm-1以上である、活物質。
  2. 酸素と金属元素で構成される八面体構造を含み、且つ、前記八面体構造が頂点共有で構成する酸化レニウム型のブロック構造を含む結晶構造を有し、
    一般式LiaMbNbMocOdで表され、MはTi, V, Ta, Fe, Co, Mn, Ni, Bi, Sb, As, P, Cr, W, B, Na, K, Mg, Al, Ca, Y 及び Siからなる群より選択される何れか一つ以上であり、0≦a≦b+2+3c,0≦b≦1.5,0≦c≦0.5,及び2.33≦d/(1+b+c)≦2.50である複合酸化物を含み、
    前記複合酸化物の励起波長532 nmでの顕微ラマン分光スペクトルにおいて、640±10 cm-1に在るMo-O結合に由来するラマンピークP1のシフト量S1と、920±20 cm-1に在るNb-O結合に由来するラマンピークP2のシフト量S2との差が、285 cm-1以上である、活物質。
  3. 前記結晶構造は、大きさが異なる複数の酸化レニウム型ブロックを含み、且つ、前記酸化レニウム型ブロックは少なくとも八面体稜共有で周期性を持たずに接続されている構造を含む、請求項2に記載の活物質。
  4. 請求項2又は3に記載の活物質を含む、電極。
  5. 前記活物質を含んだ活物質含有層を含む、請求項4に記載の電極。
  6. 正極と、
    負極と、
    電解質と
    を具備する二次電池であって、
    前記正極または前記負極は、請求項4に記載の電極である、二次電池。
  7. 請求項6に記載の二次電池を具備する、電池パック。
  8. 通電用の外部端子と、
    保護回路と
    を更に具備する、請求項7に記載の電池パック。
  9. 複数の前記二次電池を具備し、
    前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、請求項7に記載の電池パック。
  10. 請求項7記載の電池パックを具備する、車両。
  11. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項10に記載の車両。
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