JP2024043071A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱性を向上させる車両用ブレーキ装置を提供する。【解決手段】車両用ブレーキ装置10は、車輪2とともに回転可能なディスク3にパッド4を押し付けることで車輪の回転を規制可能であり、モータ20、減速機30、直動変換部40、電子回路60を備える。モータ20は、外周壁がモータハウジング21で構成され、通電により回転する。減速機30は、モータ20からの回転を減速して出力する。直動変換部40は、減速機30からの回転を直動に変換し、パッド4をディスク3に押し付け可能である。制御回路部60は、モータ20の回転、減速機30及び直動変換部40の作動を制御可能な電子回路が回路ハウジング61に収容されている。モータハウジング21又は回路ハウジング61の少なくともいずれか一方に、熱伝導性材料で形成され、特定の流通方向に空気が流れるように導くことで放熱を促進する放熱促進部211、611が設けられている。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用ブレーキ装置に関する。
従来、減速機により減速されたモータからの回転を直動に変換し、パッドを車輪のディスクに押し付ける電動の車両用ブレーキ装置が知られている。
例えば、特許文献1の電動ブレーキ装置は、ブレーキバイワイヤ装置において各車輪に搭載され、モータと減速機と直動変換部とモータの回転を制御可能な電子回路とを一体に備えている。
制動時、パッドとディスクは摩擦熱で高温に達する。モータも発熱し、出力制御装置の電子回路のパワーモジュールも発熱する。これにより、装置内部の電子部品の耐熱限界に至って故障する可能性がある。
特許文献1では、制動時摩擦熱については、金属より熱伝導率が低い樹脂材料を用いた断熱部材を、パワーモジュールと、減速機、モータ、直動変換部の間に配置することで、熱伝導を抑制する。一方、パワーモジュール発熱については、電子回路を金属板に固定し、これに対向する別の金属板を配置することで、金属の熱伝導率の高さを利用して放熱性の向上を図っている。
しかし、特許文献1の電動ブレーキ装置では、減速機、モータ、直動変換部が、同じハウジング内にごく近接配置されている。このため、断熱部材を中間に配置するだけでは、パワーモジュールと、減速機、モータ、直動変換部との熱伝導の抑制効果が十分でなく、直動変換部を介して制動時摩擦熱がモータ、減速機に伝わるおそれがある。また、金属であることによる放熱効果のみでは、電子回路発熱の放出が不十分となるおそれがある。さらに、モータ発熱に関しては、何ら考慮されていない。
本発明の目的は、上記の熱的課題に鑑み、放熱性を向上させる車両用ブレーキ装置を提供することにある。
本発明は、車輪(2)とともに回転可能なディスク(3)にパッド(4)を押し付けることで車輪の回転を規制可能な車両用ブレーキ装置であって、モータ(20)と、減速機(30)と、直動変換部(40)と、制御回路部(60)とを備える。
モータは、外周壁がモータハウジング(21)で構成され、通電により回転する。減速機は、モータからの回転を減速して出力する。直動変換部は、減速機からの回転を直動に変換し、パッドをディスクに押し付け可能である。制御回路部は、モータの回転、減速機及び直動変換部の作動を制御可能な電子回路が回路ハウジングに収容されている。
モータハウジング又は回路ハウジングの少なくともいずれか一方に、熱伝導性材料で形成され、特定の流通方向に空気が流れるように導くことで放熱を促進する放熱促進部(211、611)が設けられている。
制動時発熱体は、ディスク及びパッド、モータ、電子回路である。本発明では、各放熱促進部が特定の流通方向に流れるように空気を導くことで、モータ、電子回路からモータハウジング、回路ハウジングへの伝達熱を熱放射により効率的に外部に放出する。
この構成により、例えば下方から外気が連続流入する状態を確保すれば、発熱体からの熱放射により熱せられた外気が、モータハウジング、回路ハウジングから装置外部かつ上方にスムーズに排出される。その結果、モータ、電子回路の熱が、減速機、モータ、電子回路に伝わった制動時摩擦熱とともに効率的に放出され、車両用ブレーキ装置の稼働時におけるモータ、電子回路の温度上昇を抑制することができる。
以下、実施形態による車両用ブレーキ装置を図面に基づき説明する。
(一実施形態)
一実施形態の車両用ブレーキ装置の略構成を図1に示す。その外観を図2に示す。車両用ブレーキ装置10は、例えば車両1の車輪2に設けられる。車両用ブレーキ装置10は、車輪2とともに回転可能なディスク3にパッド4を押し付けることで車輪2の回転を規制可能である。これにより、停車中の車両1の停車状態を維持したり、走行中の車両1を減速又は停止させたりできる。
一実施形態の車両用ブレーキ装置の略構成を図1に示す。その外観を図2に示す。車両用ブレーキ装置10は、例えば車両1の車輪2に設けられる。車両用ブレーキ装置10は、車輪2とともに回転可能なディスク3にパッド4を押し付けることで車輪2の回転を規制可能である。これにより、停車中の車両1の停車状態を維持したり、走行中の車両1を減速又は停止させたりできる。
車両用ブレーキ装置10は、モータ20、減速機30、直動変換部40、制御回路部60等を備える。モータ20は、例えば3相ブラシレスモータであって、後述する回路本体63の通電制御により回転する。減速機30は、モータ20のシャフト24が回転すると、モータ20からの回転を減速して直動変換部40側に出力可能に構成される。直動変換部40は、減速機30からの回転を直動に変換してパッド4をディスク3に押し付け可能に構成される。制御回路部60は、モータ20の回転、減速機30及び直動変換部40の作動を制御可能に構成される。
車両用ブレーキ装置10は、モータハウジング21、減速機ハウジング31、回路ハウジング61を有する。モータハウジング21は、モータ20を収容する。減速機ハウジング31は、例えば有底筒状に形成され、減速機30を収容する。回路ハウジング61は、例えば筒状に形成され、減速機ハウジング31の底部とは反対側に設けられ、制御回路部60を収容する。
モータ20はさらに、モータハウジング21に固定されたステータ22、ステータ22に対して相対回転可能に設けられたロータ23、及び、ロータ23とともに回転してトルクを出力するシャフト24を有している。ロータ23が回転すると、シャフト24から回転が出力される。
詳細には、モータハウジング21は、減速機ハウジング31に当接して設けられている。ステータ22は、モータハウジング21の内壁に固定されている。シャフト24は、例えば円柱状に形成されている。ロータ23は、シャフト24の一方の端部側においてシャフト24と同軸に設けられている。シャフト24の他方の端部は、減速機ハウジング31内部に位置している。シャフト24の他方の端部側は、ベアリング及びモータハウジング21の一部を介して減速機ハウジング31内部に軸受けされている。ここで、ベアリングは、例えばボールベアリングである。モータ20は、コイル25を有している。コイル25は、ステータ22のティースに巻き回されている。
制御回路部60は、回路ハウジング61に加え、さらに基板62、回路本体63を有している。基板62は、例えば樹脂により板状に形成され、回路ハウジング61内に設けられている。回路本体63は、例えばマイコン等の集積回路であり、基板62の放熱促進部611側の面に実装される。詳細には、回路本体63はCPU、メモリ、入出力部等を有する小型のコンピュータであり、車両1に取り付けられた各種センサからの信号等に基づき、モータ20のコイル25、減速機30への通電を制御しつつ電力を供給することにより、ロータ23が正転方向又は逆転方向に回転するようにモータ20を作動させ、また減速機30を作動させる。
通電部材は全て通電により何らかの発熱を生じるが、特に電子回路60の回路本体63は集積回路であり、発熱体が密に集合している。回路本体63は通電のパターン、量、時間などを微視的に調整してモータ20の制御を行うことから、瞬時に大量の発熱が生じ、高温となる可能性がある。よって発生した熱を迅速かつ効率的に排出する必要がある。
本実施形態では、モータハウジング21及び回路ハウジング61の両方に放熱促進部211、611が設けられている。各放熱促進部211、611は、熱伝導性材料(例えばアルミニウム等の金属)で形成され、特定の流通方向に空気が流れるように導くことで放熱を促進する。本実施形態では、図2に示すように、放熱促進部211、611は天地方向に沿って形成されている。すなわち、放熱促進部211、611の形状が天地方向に沿って配列するように車両1に組付けられる。
以下、図2を参照する。モータ20のコイル25は、通電により発熱する。特に制動時、三相電流が電気的ロック状態に入るなどによりいくつかの相が大きく発熱すると、結果的にモータハウジング21が極めて高温となる。この熱を迅速に外部に排出するため、モータハウジング21は外面に放熱促進部211を有している。モータハウジング21は、内蔵するモータアセンブリの外形に沿って円柱状外面を有しているが、放熱促進部211は、この円柱状外面から放射状に延出するように形成され、かつ円柱状外面の周方向に沿って並行する複数のリブ又は溝部を呈している。これにより、モータハウジング21外面から放熱促進部211にかけての表面積が増大し、モータの熱を、モータ近傍の外気A1に効率的に移動させる。
熱せられた外気A2は熱により膨張し、熱を受け取る前の外気A1に比して体積が増大し、比重が小さくなって浮力を生じ、上方に移動する。放熱促進部611は、この熱せられた外気A2の上方への移動を妨げず、むしろスムーズにガイドするように形成されている。また、複数のリブ又は溝部が天地方向に沿うように車両1に組付けられる。これにより、例えば導風板Gによる下方から外気が連続流入する状態を確保すれば、流通方向Dに沿って、発熱体からの熱放射により熱せられた外気A2が、放熱促進部611からスムーズに装置外部かつ上方に継続的に排出される。
本実施形態では、車両用ブレーキ装置10は、車両用ブレーキ装置10の取付位置に向かって外気A1を導く導風板Gが設けられた車両1に搭載されて使用される。この構成により、導風板Gによって導かれた外気A1が、放熱促進部211の複数のリブ又は溝部に沿って流れ(流通方向D)、放熱促進部211からの熱放射により熱せられ、「熱せられた外気A2」となって上方へ排気される。ここで、図2の外気A1と熱せられた外気A2のバックの図柄の違いは、気体密度を反映したものである。すなわち、外気A1は密度が大きく、熱せられた外気A2は密度が小さい。
回路ハウジング61も放熱促進部611を有する。放熱促進部611は、回路ハウジング61の一部を構成し、その外面は並行する複数のリブ又は溝部を呈している。これにより、放熱促進部611外面の表面積が増大し、近傍の外気A1に効率的に熱を移動させる。放熱促進部611の形状は、上述のモータ20における放熱促進部211と共通のものであるが、放熱促進部211は円柱状外面の周方向ではなく、車両1に組付けられたときの天地方向に沿って、熱せられた空気A2を上方にガイドするように形成されている。
上述の通り、熱せられた外気A2は熱により膨張して浮力を生じ、より上方に移動する。放熱促進部211も、放熱促進部611と同じく、熱せられた外気A2の移動を妨げず、かつ車両1に組付けられたときに上方にガイドするように方向性を持って形成され、かつ複数のリブ又は溝部の進行方向が天地方向に沿うように車両1に組付けられる。これにより、例えば導風板Gを備える車両1に取り付けることで、下方から外気A1が連続流入する状態を確保すれば、発熱体からの熱放射により熱せられた外気A2が、放熱促進部211からスムーズに装置外部かつ上方に継続的に排出される。
なお、車両用ブレーキ装置10は、ディスク3、パッド4、直動変換部40等を含むキャリパの搭載角度によらず使用可能だが、車両1への車両用ブレーキ装置10の組付配置については、図3に示す例のように、両放熱促進部211、611の複数のリブ又は溝部による流通方向が天地方向に略平行になるように配置することに、特に留意する。図3の二点鎖線は車輪2の外縁を示す(後述の図4も同様)。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、放熱促進部の複数のリブ又は溝部による流通方向が天地方向に対して略平行になるように配置するとした。これに対し、他の実施形態では、放熱促進部の複数のリブ又は溝部による流通方向は上述の例に限定されない。例えば図4に示す例のようにキャリパの搭載角度が傾斜している場合、回路ハウジング61の放熱促進部611の複数のリブ又は溝部を、装置外形に対し傾斜して設けてもよい。これにより、放熱促進部の複数のリブ又は溝部による流通方向を、車両組付時、結果的に天地方向に略平行にすることができる。これはモータハウジング21の放熱促進部211についても同様である。
上述の実施形態では、放熱促進部の複数のリブ又は溝部による流通方向が天地方向に対して略平行になるように配置するとした。これに対し、他の実施形態では、放熱促進部の複数のリブ又は溝部による流通方向は上述の例に限定されない。例えば図4に示す例のようにキャリパの搭載角度が傾斜している場合、回路ハウジング61の放熱促進部611の複数のリブ又は溝部を、装置外形に対し傾斜して設けてもよい。これにより、放熱促進部の複数のリブ又は溝部による流通方向を、車両組付時、結果的に天地方向に略平行にすることができる。これはモータハウジング21の放熱促進部211についても同様である。
上述の実施形態では、放熱促進部が、複数のリブ又は溝部を呈する例を示した。これに対し、他の実施形態では、放熱促進部の形状は、複数のリブ又は溝部に限らず、例えば複数の中空筒部が平行に配置されてもよい。すなわち放熱促進部の形状バリエーションはこれらに限らず、特定の流通方向に空気が流れるように導くものであればよい。
上述の実施形態では、モータハウジング及び回路ハウジングの両方に放熱促進部を設ける例を示した。これに対し、他の実施形態では、モータハウジング又は回路ハウジングの一方のみに放熱促進部を設けてもよい。
他の実施形態では、モータは、3相ブラシレスモータ以外のモータであってもよい。
本発明の車両用ブレーキ装置は、車両の複数の車輪のうちすべての車輪に適用してもよいし、一部の車輪のみに適用してもよい。
本発明の車両用ブレーキ装置は、パーキングブレーキとして用いることができる他、走行中の車両を減速又は停止させる制動用ブレーキとして用いることができる。
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
2 車輪、3 ディスク、4 パッド、10 車両用ブレーキ装置、20 モータ、
21 モータハウジング、211 放熱促進部、30 減速機、40 直動変換部、
60 制御回路部、62 回路ハウジング、611 放熱促進部
21 モータハウジング、211 放熱促進部、30 減速機、40 直動変換部、
60 制御回路部、62 回路ハウジング、611 放熱促進部
Claims (4)
- 車輪(2)とともに回転可能なディスク(3)にパッド(4)を押し付けることで前記車輪の回転を規制可能な車両用ブレーキ装置であって、
外周壁がモータハウジング(21)で構成され、通電により回転するモータ(20)と、
前記モータの回転を減速して出力する減速機(30)と、
前記減速機からの回転を直動に変換し、前記パッドを前記ディスクに押し付け可能な直動変換部(40)と、
前記モータの回転、前記減速機及び前記直動変換部の作動を制御可能な電子回路が回路ハウジング(61)に収容された制御回路部(60)と、
を備え、
前記モータハウジング又は前記回路ハウジングの少なくともいずれか一方に、熱伝導性材料で形成され、特定の流通方向に空気が流れるように導くことで放熱を促進する放熱促進部(211、611)が設けられている車両用ブレーキ装置。 - 車両に組付けられたとき、前記放熱促進部の流通方向が天地方向を向くように形成されている請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
- 前記モータハウジング及び前記回路ハウジングの両方に前記放熱促進部が設けられており、各前記放熱促進部は前記流通方向が同一方向を向くように形成されている請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
- 車両走行時に前記車両用ブレーキ装置の取付位置に向かって外気を導く導風板(G)が設けられた車両に搭載される請求項1-3のいずれか一項に記載の車両用ブレーキ装置。
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2022
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