JP2024042503A - 多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途 - Google Patents

多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途 Download PDF

Info

Publication number
JP2024042503A
JP2024042503A JP2022147264A JP2022147264A JP2024042503A JP 2024042503 A JP2024042503 A JP 2024042503A JP 2022147264 A JP2022147264 A JP 2022147264A JP 2022147264 A JP2022147264 A JP 2022147264A JP 2024042503 A JP2024042503 A JP 2024042503A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
porous silica
silica particles
less
particles according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022147264A
Other languages
English (en)
Inventor
健 向井
Takeshi Mukai
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Plastics Co Ltd filed Critical Sekisui Plastics Co Ltd
Priority to JP2022147264A priority Critical patent/JP2024042503A/ja
Publication of JP2024042503A publication Critical patent/JP2024042503A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)

Abstract

【課題】粗大粒子の含有割合が小さい多孔質シリカ粒子を提供する。【解決手段】以下の(i)~(iv)を満たす、多孔質シリカ粒子。(i)体積平均粒子径が、1μm以上30μm以下(ii)BET比表面積が、60m2/g以上200m2/g以下(iii)アマニ油吸油量が、100mL/100g以上200mL/100g以下(iv)粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粗大粒子の個数割合が、多孔質シリカ粒子の総個数を基準にして9%未満【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途に関する。
従来、化粧料、吸着材等の分野において、多孔質シリカ粒子又はケイ酸塩粒子は、油脂、石油、溶剤等の様々な物質を吸油保持する粒子として、幅広い用途に使用されている。
多孔質シリカ粒子を製造する方法としては、例えば、(1)エマルジョン法を用いて該粒子を製造する方法、(2)スプレイドライヤーを用いてシリカゾルを噴霧乾燥して該粒子を製造する方法等が知られている。
例えば、(1)の方法として、特許文献1には、W/O/Wエマルションの界面析出反応によって複数のマクロ孔を有するケイ素系の殻から構成される中空粒子を製造する方法が記載されている。また、特許文献2には、水溶性ケイ酸塩を溶解した内水相を油相に分散する際、膜乳化法を用いてW/Oエマルションを作製し、沈殿剤を溶解した外水相に投入することにより多孔質ケイ酸塩粒子を製造する方法が記載されている。
(2)の方法として、特許文献3には、平均粒子径が0.5~50μm、細孔容積が0.5~5.0cm/g、細孔径の最頻値が2~50nm、形状係数が0.8~1.0、平均圧縮強度が0.1~1.0kgf/mm未満、及びナトリウム含有量が10ppm以下の網目構造の多孔質シリカ粒子を製造する方法が記載されている。また、特許文献4には、平均粒子径(d)が0.5~25μm、BET法で求めた比表面積が5~60m/cm、細孔容積が0.35~2.0ml/gである多孔質シリカ粒子を製造する方法が記載されている。さらに、特許文献5には、平均粒子径が0.5~30μmの範囲にあり、表面粗さ値が20nm以下であり、非真球率が5%以下であり、粒子変動係数が5~50%の範囲にあり、比表面積が97~320m/gの範囲にある、多孔質シリカ粒子の製造方法が記載されている。
特開2012-51802号公報 特開平5-23565号公報 国際公開第2019-131873号 国際公開第2016-002797号 特開2015-13801号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の製造方法では、製造スケールを大きくした際に、W/Oエマルションへの外水相の添加に多大の時間を要する。それ故、W/O/Wエマルション作製時の上記外水相の濃度が経時的に減少し、粒子の構造が不均一になりやすくなると共に、粗大粒子が発生し、製造された粒子中の粗大粒子の含有割合が多くなることが避けられない問題がある。その結果、粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、上記粗大粒子によるざらつきが生じ、使用感(触感及び伸び)が悪くなる問題がある。
また、特許文献2に記載の製造方法では、沈殿剤を溶解した大量の外水相をW/Oエマルションに一挙に投入しており、製造コストが高くなる問題がある。
さらに、特許文献3~5に記載の製造方法は、スプレイドライヤーを用いてシリカゾルを噴霧乾燥するため、製造された粒子の粒度分布がブロード(不均一)になり、粒子中の粗大粒子の含有割合が多くなる。その結果、粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、上記粗大粒子によるざらつきが生じ、使用感(触感及び伸び)が悪くなる問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、粗大粒子の含有割合が小さく、多孔質シリカ粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、多孔質シリカ粒子の工業的に有利な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、W/Oエマルション及び沈殿剤を溶解した外水相を連続的に混合することにより、所望の多孔質シリカ粒子を開発することに成功し、該粒子を使用することにより上記課題を達成できることを見出した。本発明は、さらに研究を重ね、完成させたものである。
本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.
以下の(i)~(iv)を満たす、多孔質シリカ粒子。
(i)体積平均粒子径が、1μm以上30μm以下
(ii)BET比表面積が、60m/g以上200m/g以下
(iii)アマニ油吸油量が、100mL/100g以上200mL/100g以下
(iv)粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粗大粒子の個数割合が、多孔質シリカ粒子の総個数を基準にして9%未満
項2.
積算細孔容積が0.1cm/g以上0.5cm/g以下、且つ、平均細孔直径が5nm以上15nm以下である、項1に記載の多孔質シリカ粒子。
項3.
直径が100nm以上のマクロ孔を有さない、項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子。
項4.
ナトリウム原子の含有量が、100ppm以上5000ppm以下である、項1~3のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子。
項5.
以下の式(1)で表される吸油性指数が、1.0mL/100m以上3.4mL/100m以下である、項1~4のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子。
吸油性指数=アマニ油吸油量/BET比表面積・・・式(1)
項6.
体積平均粒子径の変動係数が10%以上60%以下である、項1~5のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子。
項7.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子の製造方法であって、
水溶性ケイ酸塩及び凹凸形状形成用水溶性化合物を含む水相を油相中に分散してなるW/Oエマルションと、沈殿剤水溶液とを連続的に混合する工程を備える、多孔質シリカ粒子の製造方法。
項8.
前記沈殿剤が、アルカリ金属の水溶性塩及び/又はアンモニウム塩である、項7に記載の多孔質シリカ粒子の製造方法。
項9.
スタティックミキサーを用いて混合する、項7又は8に記載の多孔質シリカ粒子の製造方法。
項10.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子を含む、外用剤。
項11.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子を含む、クロマトグラフィー用充填剤。
項12.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子を含む、コーティング材料。
項13.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子を含む、樹脂組成物。
項14.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子を含む、ブロッキング防止剤。
項15.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子を含む、光拡散フィルム。
項16.
項1~6のいずれか一項に記載の多孔質シリカ粒子を含む、薬物担体。
本発明は、粗大粒子の含有割合が小さい多孔質シリカ粒子を提供することができる。本発明の多孔質シリカ粒子は、粗大粒子の含有割合が小さいため、化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、粗大粒子によるざらつきを顕著に抑制することができ、且つ、外用剤に滑らかな感触(さらさら感)を付与することができる。また、本発明は、工業的に有利な製造方法によって、該多孔質シリカ粒子を製造することできる。
図1は、実施例1で得られた多孔質シリカ粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で約25,000倍の倍率で撮影した写真である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に記載する本発明の構成要件の説明は、代表的な実施形態及び具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。更に、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
本明細書において、「A及び/又はB」とは、「A及びBの一方」又は「A及びBの両方」を意味し、具体的には、「A」、「B」、又は「A及びB」を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味する。
本明細書において、「室温」とは、20℃~25℃の範囲内の温度を意味する。
1.多孔質シリカ粒子
本発明の多孔質シリカ粒子は、以下の構成(i)乃至(iv)を備えている。
(i)体積平均粒子径が、1μm以上30μm以下である。
(ii)BET比表面積が、60m/g以上200m/g以下である。
(iii)アマニ油吸油量が、100mL/100g以上200mL/100g以下である。
(iv)粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粗大粒子の個数割合が、多孔質シリカ粒子の総個数を基準にして9%未満である。
本発明は、上述した構成(i)乃至(iv)を備えていることにより、上記本発明の効果が達成される。
本発明の多孔質シリカ粒子は、通常、網目構造を形成している。本発明の多孔質シリカ粒子は、通常、粒子内部及び粒子表面に細孔を有する多孔構造を有する。
以下、上述した構成(i)乃至(iv)を備える本発明の多孔質シリカ粒子を、単に「本発明の粒子」と記載することもある。
<体積平均粒子径>
本発明の粒子の体積平均粒子径は、1μm以上30μm以下である。本発明の粒子の体積平均粒子径が1μm未満であると、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に肌への滑りが悪くなる問題がある。本発明の粒子の体積平均粒子径が30μmを超えると、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に触感が悪くなる問題がある。本発明の粒子の体積平均粒子径は、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布した際の肌への付着性をより一層向上させる点から、好ましくは1.1μm以上25μm以下、より好ましくは1.2μm以上20μm以下、より一層好ましくは1.5μm以上15μm以下、更に好ましくは2.0μm以上12μm以下である。本発明の粒子の体積平均粒子径とは、後述する実施例の項で説明する測定方法により得られる体積平均粒子径を意味する。本発明において、体積平均粒子径の上限値は、28μm、26μm、24μm、22μm、20μm、18μm、16μm、15μm、14.5μm、14μm、13.5μm、13μm、12.5μm、12μm、11.5μm、11μm、10.5μm、10μm、9.5μm、9μm、8.5μm、8μm、7.5μm、7μm、6.5μm及び6μmの値をとり得る。本発明において、体積平均粒子径の下限値は、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm及び2.0μmの値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
<粗大粒子の個数割合>
粗大粒子の個数割合とは、粒子の総個数(好ましくは1000個)を基準にして、粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粒子の個数割合(%)を意味する。本発明において、粗大粒子の個数割合は、9%未満である。本発明において、粗大粒子の個数割合の上限値は、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%及び2.5%の値をとり得る。本発明において、粗大粒子の個数割合の下限値は、0%の値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本発明の粒子は、粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粗大粒子の個数割合が、粒子の総個数(好ましくは1000個)を基準にして9%未満である。本発明において、粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粗大粒子の個数割合が、粒子の総個数を基準にして9%以上であると、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、粗大粒子によるざらつきが生じ、使用感(触感及び伸び)が悪くなる問題がある。
本発明において、粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粗大粒子の個数割合は、上記使用感(触感及び伸び)をより一層向上させる点から、粒子の総個数(好ましくは1000個)を基準にして、通常0%以上8.5%以下、好ましくは0%以上8%以下、より好ましくは0%以上7%以下、より一層好ましくは0%以上6%以下、更に好ましくは0%以上5%以下、特に好ましくは0%以上4%以下、最も好ましくは0%以上3%以下である。
本発明の別の実施形態として、本発明の粒子は、粒子径が15μm以上の粗大粒子の個数割合が、粒子の総個数(好ましくは1000個)を基準にして9%未満であることが好ましい。本実施形態において、粗大粒子の個数割合とは、粒子の総個数(好ましくは1000個)を基準にして、粒子径が15μm以上の粗大粒子の個数割合(%)を意味する。本実施形態において、粗大粒子の個数割合の上限値は、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%及び2.5%の値をとり得る。本実施形態において、粗大粒子数の割合粗大粒子の個数割合の下限値は、0%の値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本実施形態において、粒子径が15μm以上の粗大粒子の個数割合は、粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際の使用感(触感及び伸び)をより一層向上させる点から、粒子の総個数(好ましくは1000個)を基準にして、通常0%以上8.5%以下、好ましくは0%以上8%以下、より好ましくは0%以上7%以下、より一層好ましくは0%以上6%以下、更に好ましくは0%以上5%以下、特に好ましくは0%以上4%以下、最も好ましくは0%以上3%以下である。
(粗大粒子の個数割合の測定方法)
本発明において、粗大粒子の個数割合は、例えば、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の「FPIA(登録商標)-3000S」)を用いて測定することが可能である。具体的な測定方法としては、イオン交換水20mLに、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05gを加えて界面活性剤水溶液を得る。次いで、得られた界面活性剤水溶液に、本発明の粒子0.2gを加え、分散機としてBRANSON社製の超音波分散機「BRANSON SONIFIER 450」(出力400W、周波数20kHz)を用いて超音波を5分間照射し、本発明の粒子を界面活性剤水溶液中に分散させる分散処理を行い、測定用の分散液を調製する。測定には、標準対物レンズ(倍率10倍)を搭載した上記フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の「FPIA(登録商標)-3000S」)を用いる。フロー式粒子像分析装置に使用するシース液としては、パーティクルシース(シスメックス株式会社製の「PSE-900A」)を使用する。上記手順に従い調製した測定用の分散液を上記フロー式粒子像分析装置に導入し、下記<粗大粒子の測定条件>にて1000個の粒子についてそれぞれ円相当径(粒子径)を測定する。測定にあたっては、測定開始前に標準ポリマー粒子群の懸濁液(例えば、Thermo Fisher Scientific社製の「5200A」(標準ポリスチレン粒子をイオン交換水で希釈したもの))を用いてフロー式粒子像分析装置の自動焦点調整を行う。粒子径が体積平均粒子径の3倍以上であった粒子の個数を、測定した粒子の個数(1000個)で割った値を「粗大粒子の個数割合」とする。粗大粒子の個数割合の詳細な測定方法については、後述する実施例の項で説明する。
<粗大粒子の粒子径の測定条件>
・測定モード:LPF測定モード又はHPF測定モード
(粒子の体積平均粒子径により適宜選択する。目安として、8μm以下の体積平均粒子径の場合はHPF測定モード、8μm以上の体積平均粒子径の場合はLPF測定モードを選択する。なお、体積平均粒子径とは、後述する実施例の項で説明する測定方法により得られる体積平均粒子径を意味する。)
・粒子の測定個数:1000個
<体積平均粒子径の変動係数(CV値)>
本発明の粒子において、体積平均粒子径のCV値は、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に滑り性及び触感をより一層向上させる点から、好ましくは10%以上60%以下、より好ましくは12%以上55%以下、より一層好ましくは15%以上53%以下である。本発明の粒子の体積平均粒子径の変動係数(CV値)とは、後述する実施例の項で説明する測定方法により得られるCV値を意味する。本発明において、体積平均粒子径のCV値の上限値は、60%、55%、54%、53%、52%及び51%の値をとり得る。本発明において、体積平均粒子径のCV値の下限値は、10%、12%、15%、18%、20%、22%、24%、26%、28%及び30%の値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
<BET比表面積>
本発明の粒子において、BET比表面積は、60m/g以上200m/g以下である。本発明の粒子のBET比表面積が60m/g未満であると、吸油性が十分ではないため、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、皮脂の吸着が抑制される問題がある。本発明の粒子のBET比表面積が200m/gを超えると、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、伸び及び滑り性が低下する問題がある。本発明において、BET比表面積の上限値は、190m/g、180m/g、170m/g、160m/g及び150m/gの値をとり得る。本発明において、BET比表面積の下限値は、62m/g、63m/g及び64m/gの値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。ここで、比表面積とは、単位重量当たりの表面積のことをいい、本発明の粒子のBET比表面積とは、BET法(N)により得られる比表面積を意味する。BET法(N)による比表面積の測定方法については、後述する実施例の項で説明する測定方法により得られる比表面積を意味する。
<アマニ油吸油量>
本発明の粒子において、アマニ油吸油量は、100mL/100g以上200mL/100g以下である。本発明の粒子のアマニ油吸油量が、100mL/100g未満であると、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、吸油性が十分ではないため、皮脂の吸着が抑制される問題がある。本発明の粒子のアマニ油吸油量が、200mL/100gを超えると、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、伸び又は滑り性が低下する問題がある。本発明において、アマニ油吸油量の上限値は、195mL/100g、192mL/100g、190mL/100g、188mL/100g及び185mL/100gの値をとり得る。本発明において、アマニ油吸油量の下限値は、105mL/100g、110mL/100g、115mL/100g、120mL/100g、125mL/100g、130mL/100g、135mL/100g及び140mL/100gの値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本発明の粒子のアマニ油吸油量とは、後述する実施例の項で説明する測定方法により得られる吸油量を意味する。
本発明において、吸油性指数は以下の式(1)で表される。
吸油性指数=アマニ油吸油量/BET比表面積・・・式(1)
本発明において、吸油性指数は、好ましくは1.0mL/100m以上3.4mL/100m以下、より好ましくは1.05mL/100m以上3.1mL/100m以下、より一層好ましくは1.1mL/100m以上3.0mL/100m以下である。
<積算細孔容積及び平均細孔直径>
本発明の粒子は、通常、細孔を有する。本発明において、好ましくは、積算細孔容積が0.1cm/g以上0.5cm/g以下であり、且つ、平均細孔直径が5nm以上15nm以下である。積算細孔容積及び平均細孔直径が上記範囲内であれば、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、外用剤の吸水性及び触感をより一層向上させることができる。本発明において、より好ましくは、積算細孔容積が0.1cm/g以上0.5cm/g以下であり、且つ、平均細孔直径が5.6nm以上14.5nm以下である。本発明において、より一層好ましくは、積算細孔容積が0.1cm/g以上0.5cm/g以下であり、且つ、平均細孔直径が5.7nm以上13.5nm以下である。本発明において、更に好ましくは、積算細孔容積が0.1cm/g以上0.5cm/g以下であり、且つ、平均細孔直径が5.8nm以上13.0nm以下である。本発明において、特に好ましくは、積算細孔容積が0.1cm/g以上0.5cm/g以下であり、且つ、平均細孔直径が5.9nm以上12.8nm以下である。本発明において、積算細孔容積とは、窒素脱着等温線からBJH(Barrett-Joyner-Halenda)法に基づいて得られる、1.7nm以上300nm以下の細孔直径を有する細孔の積算値を意味する。積算細孔容積の詳細な測定方法については、後述する実施例の項で説明する。本発明において、平均細孔直径とは、窒素脱着等温線からBJH法に基づいて得られる細孔分布データ(細孔直径の範囲=1.7nm以上300nm以下)から算出される細孔直径の平均値を意味する。平均細孔直径の詳細な測定方法については、後述する実施例の項で説明する。
<マクロ孔>
本発明の粒子は、通常、マクロ孔を有する。本発明の粒子は、好ましくは、直径が100nm以上のマクロ孔を有さない。本発明の粒子は、より好ましくは、直径が50nm以上100nm未満のマクロ孔を有し、より一層好ましくは、直径が50nm以上95nm以下のマクロ孔を有する。
<ナトリウム原子の含有量>
本発明の好ましい実施形態として、本発明の粒子は、ナトリウム原子を含有する。本発明の粒子にナトリウム原子が含まれる場合、ナトリウム原子の含有量は、好ましくは100ppm(0.01質量%)以上5000ppm(0.5質量%)以下である。ナトリウム原子の含有量が上記範囲内であれば、本発明の粒子の吸水性及び吸油性がより一層向上するため、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、皮脂の吸着がより一層向上し、且つ、外用剤の伸び又は滑りがより一層向上する。さらに、ナトリウム原子の含有量が上記範囲内であれば、粒子同士の融着を顕著に抑制することができるため、上記粗大粒子の個数割合を顕著に小さくすることができる。本発明の粒子にナトリウム原子が含まれる場合、ナトリウム原子の含有量の上限値は、4500ppm、4000ppm、3500ppm、3000ppm、2500ppm、2250ppm、2000ppm及び1800ppmの値をとり得る。本発明の粒子にナトリウム原子が含まれる場合、ナトリウム原子の含有量の下限値は、200ppm、300ppm、400ppm、500ppm、600ppm、700ppm、800ppm、900ppm、1000ppm、1050ppm、1100ppm及び1150ppmの値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。本発明において、ナトリウム原子の含有量は、通常、ICP質量分析装置を使用して算出することができる。本発明において、ナトリウム原子の含有量は、後述する実施例の項で説明する測定方法により得られる値を意味する。
本発明の好ましい実施形態として、本発明の粒子は、シリカ及びアルカリ金属ケイ酸塩を含有する。本実施形態において、粒子中のシリカの含有量は、好ましくは90質量%以上99.99質量%以下、より好ましくは95質量%以上99.99質量%以下、より一層好ましくは99質量%以上99.99質量%以下、更に好ましくは99.5質量%以上99.99質量%以下である。本実施形態において、アルカリ金属ケイ酸塩は、好ましくは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びケイ酸リチウムからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくはケイ酸ナトリウムである。
本発明の特に好ましい実施形態として、本発明の粒子は、シリカ及びアルカリ金属ケイ酸塩のみから構成される。本実施形態において、粒子中のシリカの含有量は、好ましくは90質量%以上99.99質量%以下、より好ましくは95質量%以上99.99質量%以下、より一層好ましくは99質量%以上99.99質量%以下、更に好ましくは99.5質量%以上99.99質量%以下である。本実施形態において、アルカリ金属ケイ酸塩は、好ましくは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びケイ酸リチウムからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくはケイ酸ナトリウムである。
<凹凸形状>
本発明の粒子は、通常、表面に凹凸形状を有する。本発明の粒子が表面に凹凸形状を有することによって、本発明の粒子を化粧料等の外用剤に配合して肌に塗布する際に、触感を良好にすることができる。100nm以上の凹凸を有していなければ、吸水性及び吸油性が十分でない場合がある。本発明において、粒子表面の凹凸形状とは、後述する実施例の項で説明する測定方法により得られる凹凸形状を意味する。
<平均円形度>
本発明の粒子は、化粧料等の外用剤に配合した際の転がり性の向上の点から、球状粒子であることが好ましい。本発明の粒子は、平均円形度が、好ましくは0.80以上1.00以下、より好ましくは0.85以上1.00以下、より一層好ましくは0.90以上1.00以下である。本発明の粒子の平均円形度は、例えば、以下の方法によって算出することが可能である。
(円形度の測定方法及び平均円形度の算出方法)
本発明の粒子の円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の「FPIA(登録商標)-3000S」)を用いて測定することが可能である。具体的な測定方法としては、イオン交換水20mLに、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05gを加えて界面活性剤水溶液を得る。次いで、得られた界面活性剤水溶液に、本発明の粒子0.2gを加え、分散機としてBRANSON社製の超音波分散機「BRANSON SONIFIER 450」(出力400W、周波数20kHz)を用いて超音波を5分間照射し、本発明の粒子を界面活性剤水溶液中に分散させる分散処理を行い、測定用の分散液を調製する。
測定には、標準対物レンズ(倍率10倍)を搭載した上記フロー式粒子像分析装置を用いる。上記フロー式粒子像分析装置に使用するシース液としては、パーティクルシース(シスメックス株式会社製の「PSE-900A」)を使用する。
上記手順に従い調製した測定用の分散液を上記フロー式粒子像分析装置に導入し、下記<円形度の測定条件>にて測定する。測定にあたっては、測定開始前に標準ポリマー粒子群の懸濁液(例えば、Thermo Fisher Scientific社製の「5200A」(標準ポリスチレン粒子をイオン交換水で希釈したもの))を用いて上記フロー式粒子像分析装置の自動焦点調整を行う。
円形度とは、本発明の粒子を撮像した画像と同じ投影面積を有する真円の直径から算出した周囲長を、本発明の粒子を撮像した画像の周囲長で除した値である。平均円形度とは、個々の本発明の粒子の円形度の合計を、個数基準の頻度の合計で除した値である。
<円形度の測定条件>
・測定モード:LPF測定モード又はHPF測定モード
(粒子の体積平均粒子径により適宜選択する。目安として、8μm以下の体積平均粒子径の場合はHPF測定モード、8μm以上の体積平均粒子径の場合はLPF測定モードを選択する。)
・粒子の測定個数:1000個
・体積平均粒子径の測定範囲:1μm~30μm
・粒子の円形度の測定範囲:0.50~1.00
2.多孔質シリカ粒子の製造方法
本発明の多孔質シリカ粒子は、水溶性ケイ酸塩及び凹凸形状形成用水溶性化合物を含む水相を油相中に分散してなるW/Oエマルションと、沈殿剤水溶液とを連続的に混合することにより製造することができる。本発明の製造方法によって製造された多孔質シリカ粒子の詳細は、特に言及がない限り、上記「1.多孔質シリカ粒子」に記載したとおりである。
以下、本発明の多孔質シリカ粒子の製造方法について、詳述する。以下、本発明の多孔質シリカ粒子の製造方法を、単に「本発明の製造方法」と記載することもある。
具体的には、まず、水溶性ケイ酸塩及び凹凸形状形成用水溶性化合物を含む第1水相(W)と、油相(O)とのW/Oエマルションを作製する。当該W/Oエマルションは、水溶性ケイ酸塩、凹凸形状形成用水溶性化合物及び水を含む水溶液(第1水相)に、界面活性剤(乳化剤)を有機溶媒に溶かした溶液(油相)を添加し、ホモジナイザー等を用いて攪拌することにより作製することができる。さらに、沈殿剤を水に溶解させた沈殿剤水溶液(第2水相)を作製する。次いで、作製したW/Oエマルションと、作製した沈殿剤水溶液とを連続的に混合することにより、本発明の多孔質シリカ粒子を製造することができる。本発明において、作製したW/Oエマルションと、作製した沈殿剤水溶液とを連続的に供給し、混合することが好ましい。
第1水相において、水溶性ケイ酸塩は、好ましくはケイ酸ナトリウムであり、より好ましくは水ガラスである。水溶性ケイ酸塩としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、JIS規格の1号から3号の水ガラス、4号水ガラス、メタケイ酸ナトリウム等が挙げられる。これらの市販品の中でも、水溶性ケイ酸塩としては、JIS規格の3号の水ガラスが好ましい。
第1水相中の水溶性ケイ酸塩の濃度は、第1水相の全体積に対して、通常100g/L以上5000g/L以下、好ましくは300g/L以上2000g/L以下、より好ましくは500g/L以上1000g/L以下である。本明細書において、「g/L」とは、グラムパーリットルを意味する。
第1水相において、凹凸形状形成用水溶性化合物しては、好ましくは、中性の無機塩及び/又は有機ポリマーの塩である。凹凸形状形成用水溶性化合物しては、粒子表面に凹凸形状をより一層良好に形成させる観点から、中性の無機塩がより好ましい。該中性の無機塩は、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム及び臭化カリウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、塩化ナトリウムがより好ましい。
凹凸形状形成用水溶性化合物として中性の無機塩を使用する場合は、第1水相中の中性の無機塩の濃度は、粒子表面に凹凸形状をより一層良好に形成させる観点から、第1水相の全体積に対して、好ましくは50g/L以上180g/L以下、より好ましくは60g/L以上150g/L以下、特に好ましくは80g/L以上120g/L以下である。
凹凸形状の形成は、第1水相で使用する水溶性ケイ酸塩及び凹凸形状形成用水溶性化合物のみならず、後述する油相の構成成分にも依存する。
第1水相において、有機溶媒としては、水とほとんど混ざることなく、アルカリとほとんど反応しないものであればよく、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1水相において、水としては、例えば、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等を使用することができる。
上記脂肪族炭化水素としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの脂環式炭化水素は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
凹凸形状形成用水溶性化合物として有機ポリマーの塩を使用する場合、該有機ポリマーの塩としては、水に溶かした場合に酸性にならないものであればよく、例えば、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリメタクリル酸のアルカリ金属塩、ポリスチレンスルフォン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
ポリアクリル酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ポリアクリル酸のナトリウム塩等が挙げられる。ポリメタクリル酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ポリメタクリル酸のナトリウム塩等が挙げられる。ポリスチレンスルフォン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ポリスチレンスルフォン酸のナトリウム塩等が挙げられる。
凹凸形状形成用水溶性化合物として有機ポリマーの塩を使用する場合は、第1水相中の中性の有機ポリマーの塩の濃度は、第1水相の全体積に対して、好ましくは50g/L以上180g/L以下である。有機ポリマー塩の平均分子量は、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩又はポリメタクリル酸のアルカリ金属塩を使用する場合は、好ましくは5,000以上15,000以下であり、ポリスチレンスルフォン酸のアルカリ金属塩を使用する場合は、好ましくは500,000以上3,000,000以下である。
油相を作製する際に使用する界面活性剤としては、W/Oエマルションを安定化させる効果を持つものであればよく、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、通称Tween又はSpanと呼ばれる界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の粒子を製造する際には、TweenとSpanとを組み合わせて使用することがより好ましい。
油相中の界面活性剤の濃度は、W/Oエマルションを安定化させる観点から、油相の全体積に対して、通常5g/L以上50g/L以下、好ましくは15g/L以上30g/L以下である。
W/Oエマルションを形成させる際のホモジナイザーの回転数は、通常500回転以上25,000回転以下、好ましくは1,000回転以上20,000回転である。ホモジナイザーを使用する際の攪拌時間は、通常30秒以上30分以下、好ましくは1分以上20分以下である。
本発明の製造方法の好ましい実施形態として、作製したW/Oエマルションと、作製した沈殿剤水溶液(第2水相)とをポンプでそれぞれ送液し、混合装置に連続的に供給する。連続的に供給されたW/Oエマルション及び沈殿剤水溶液は、混合装置によって混合されて懸濁液(スラリー)が得られる。次いで、混合装置から吐出されたスラリーから、W/Oエマルション及び沈殿剤水溶液を混合することによって生成した白色の粉末(固形分)を該スラリーから分離する。分離した固形分は水で十分に洗浄し、その後、真空乾燥することで水を除去して、多孔質シリカ粒子を得ることができる。本明細書において、「連続的に供給」とは、供給されるW/Oエマルションの全量及び供給される沈殿剤水溶液の全量が、それぞれ一度に供給されることを除く意味で用いられる。例えば、「連続的に供給」には、W/Oエマルション及び沈殿剤水溶液の単位時間当たりの供給量(流量)が常に一定速度である供給等が包含される。上記ポンプの種類は特に限定されず、例えば、株式会社タクミナのスムーズフローポンプ、日本精密科学株式会社の定量ポンプ等を使用することができる。上記混合装置としては、スタティックミキサーが好ましい。スタティックミキサーの種類は特に限定されず、例えば、株式会社ノリタケカンパニーリミテドのT型スタティックミキサー等を使用することができる。スタティックミキサーを使用した際、供給されたW/Oエマルション及び沈殿剤水溶液が混合されると同時に多孔質シリカ粒子が形成される。上記ポンプで送液する際の温度は、通常10℃以上75℃以下、好ましくは15℃以上70℃以下、より好ましくは20℃以上65℃以下、より一層好ましくは25℃以上60℃以下である。上記スラリーから固形分を分離する際の分離方法は、公知の方法を広く採用することができ、例えば吸引ろ過法等が挙げられる。上記真空乾燥の温度は、通常70℃以上100℃以下である。上記真空乾燥の時間は、通常20時間以上30時間以下である。
第2水相において、沈殿剤水溶液中の沈殿剤は、アルカリ金属の水溶性塩及び/又はアンモニウム塩が好ましい。アルカリ金属の水溶性塩としては、例えば、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ金属の硝酸塩、アルカリ金属のギ酸塩、アルカリ金属の酢酸塩等が挙げられる。アルカリ金属の水溶性塩において、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム及びリチウムが好ましく、ナトリウム及びカリウムがより好ましい。これらのアルカリ金属の水溶性塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の製造方法において、アルカリ金属の水溶性塩は、アルカリ金属の炭酸水素塩及び/又はアンモニウム塩がより好ましい。
本発明の製造方法において、アルカリ金属の炭酸水素塩は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸水素リチウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素カリウムがより好ましい。アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸リチウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。アルカリ金属の硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び硫酸リチウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。アルカリ金属の硝酸塩としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム及び硝酸リチウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。アルカリ金属のギ酸塩としては、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム及びギ酸リチウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。アルカリ金属の酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム及び酢酸リチウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
本発明の製造方法において、アンモニウム塩としては、例えば、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アンモニウム塩は、炭酸水素アンモニウム及び/又は塩化アンモニウムが好ましく、炭酸水素アンモニウムがより好ましい。
本発明の製造方法において、沈殿剤は、粒子表面に凹凸形状をより一層良好に形成させる観点から、好ましくは、アルカリ金属の水溶性塩及び/又はアンモニウム塩であり、より好ましくは、アルカリ金属の炭酸水素塩及び/又はアンモニウム塩であり、より一層好ましくは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム及び塩化アンモニウムからなる群より選択される少なくとも一種である。
本発明において、粒子表面に凹凸形状をより一層良好に形成させる観点から、沈殿剤のモル数が、第1水相のケイ素のモル数の好ましくは0.5倍以上5倍以下、より好ましくは0.6倍以上4倍以下、より一層好ましくは0.7倍以上3倍以下、特に好ましくは0.8倍以上2倍以下である。第1水相のケイ素のモル数に対する沈殿剤のモル数(沈殿剤のモル数/第1水相のケイ素のモル数)が上記範囲内である場合、浸透圧を調製することで粒子表面に凹凸形状を形成することが可能となる。
本発明の製造方法の好ましい実施形態として、沈殿剤としてアルカリ金属の炭酸水素塩を使用した場合、沈殿剤のモル数が、第1水相のケイ素のモル数の好ましくは0.5倍以上5倍以下、より好ましくは0.6倍以上4倍以下、より一層好ましくは0.7倍以上3倍以下、特に好ましくは0.8倍以上2倍以下である。上記沈殿剤のモル数は、「単位時間当たりの沈殿剤水溶液の供給量(流量)×沈殿剤水溶液のモル濃度」の計算式により算出することができる。また、上記ケイ素のモル数は、『[{単位時間当たりのW/Oエマルションの供給量(流量)}/{W/Oエマルションの全量(全体積)}]×第1水相のケイ素のモル数』の計算式により算出することができる。
3.多孔質シリカ粒子の用途
本発明の粒子は、外用医薬品、化粧料等の外用剤の添加剤;塗料用艶消し剤、粉体塗料等のコーティング材料の添加剤;自動車材料、建築材料等の樹脂組成物の添加剤;ブロッキング防止剤の添加剤;光拡散フィルムの添加剤;クロマトグラフィー用充填剤;薬物担体等として好適に使用することができる。
本発明の粒子は、外用医薬品、化粧料等の外用剤の添加剤としてより好適に使用することができる。本発明の粒子は、化粧料の添加剤として特に好適に使用することができる。
<外用剤>
本発明の粒子を含む外用剤の態様について、以下に例示する。本態様において、外用剤は、本発明の粒子を含む。本発明の外用剤は、肌に塗布されることで、毛穴、シミ、シワ等を目立たなくすることができる。
本態様において、外用剤における本発明の粒子の含有割合は、外用剤の種類に応じて適宜設定できるが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より一層好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、より一層好ましくは40質量%以下である。
本態様において、外用剤は、例えば、外用医薬品、化粧料として使用できる。外用医薬品としては、例えば、クリーム、軟膏、乳剤等が挙げられる。化粧料の剤型は、特に限定されるものではなく、水系、可溶化系、水中油系、油中水系、油系のいずれの剤型においても、適用することができる。化粧料としては、例えば、石鹸、ボディシャンプー、洗顔クリーム、スクラブ洗顔料、歯磨き等の洗浄用化粧品;おしろい類、フェイスパウダー(ルースパウダー、プレストパウダー等)、ファンデーション(パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、乳化型ファンデーション等)、口紅、リップクリーム、頬紅、眉目化粧品(アイシャドー、アイライナー、マスカラ等)、マニキュア等のメイクアップ化粧料;プレシェーブローション、ボディローション等のローション剤;ボディパウダー、ベビーパウダー等のボディー用外用剤;化粧水、クリーム、乳液(化粧乳液)等のスキンケア剤;制汗剤(液状制汗剤、固形状制汗剤、クリーム状制汗剤等)、パック類、洗髪用化粧品、染毛料、整髪料、芳香性化粧品、浴用剤、日焼け止め製品、サンタン製品、ひげ剃り用クリーム等が挙げられる。
本態様において、上記化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に用いられている主剤又は添加物を目的に応じて配合できる。そのような主剤又は添加物としては、例えば、水、低級アルコール(炭素数5以下のアルコール)、油脂及びロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、ステロール、脂肪酸エステル、金属石鹸、保湿剤、界面活性剤、高分子化合物、色材原料、香料、粘土鉱物類、防腐・殺菌剤、抗炎症剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、有機無機複合粒子、pH調整剤(トリエタノールアミン等)、特殊配合添加物、医薬品活性成分等が挙げられる。
上記油脂及びロウ類としては、例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、牛脂、ゴマ脂、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、椿油、パーシック油、ひまし油、ブドウ油、マカダミアナッツ油、ミンク油、卵黄油、モクロウ、ヤシ油、ローズヒップ油、硬化油、シリコーン油、オレンジラフィー油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ホホバ油、モンタンロウ、ミツロウ、ラノリン等が挙げられる。
上記炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等が挙げられる。
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オキシステアリン酸、リノール酸、ラノリン脂肪酸、合成脂肪酸等の炭素数11以上の脂肪酸が挙げられる。
上記高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、へキシルデカノール、オクチルデカノール、イソステアリルアルコール、ホホバアルコール、デシルテトラデカノール等の炭素数6以上のアルコールが挙げられる。
上記ステロールとしては、例えば、コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトコレステロール等が挙げられる。
上記脂肪酸エステルとしては、例えば、リノール酸エチル等のリノール酸エステル;ラノリン脂肪酸イソプロピル等のラノリン脂肪酸エステル;ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル;オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル等のオレイン酸エステル;ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル等のジメチルオクタン酸エステル;イソオクタン酸セチル(2-エチルヘキサン酸セチル)等のイソオクタン酸エステル;パルミチン酸デシル等のパルミチン酸エステル;トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソオクタン酸グリセリン、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル等の環状アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記金属石鹸としては、例えば、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ウンデシレン酸亜鉛等が挙げられる。
上記保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリグリセリン、キシリット、マルチトール等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石鹸、高級アルコール硫酸エステル、N-アシルグルタミン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;アミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ベタイン型、アミノ酸型、イミダゾリン型、レシチン等の両性界面活性剤;脂肪酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酸化エチレン縮合物等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記高分子化合物としては、例えば、アラビアゴム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、アイリスモス、クインスシード、ゼラチン、セラック、ロジン、カゼイン等の天然高分子化合物;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、エステルガム、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等の半合成高分子化合物;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド樹脂、シリコーン油、ナイロン粒子、ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子(例えば、ポリメタクリル酸メチル粒子等)、ポリスチレン粒子、シリコーン粒子、ウレタン粒子、ポリエチレン粒子、シリカ粒子等の合成高分子化合物が挙げられる。
上記色材原料としては、例えば、酸化鉄(赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄等)、群青、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、マンガンバイオレット、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、雲母、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等の無機顔料、アゾ系、ニトロ系、ニトロソ系、キサンテン系、キノリン系、アントラキノリン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ピレン系等のタール色素が挙げられる。
なお、上記した高分子化合物の粉体原料や色材原料などの粉体原料は、予め表面処理を行ったものも使用することができる。表面処理の方法としては、公知の表面処理技術が利用でき、例えば、炭化水素油、エステル油、ラノリン等による油剤処理、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等によるシリコーン処理、パーフルオロアルキル基含有エステル、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロポリエーテルおよびパーフルオロアルキル基を有する重合体等によるフッ素化合物処理、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等によるシランカップリング剤処理、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート等によるチタンカップリング剤処理、金属石鹸処理、アシルグルタミン酸等によるアミノ酸処理、水添卵黄レシチン等によるレシチン処理、コラーゲン処理、ポリエチレン処理、保湿性処理、無機化合物処理、メカノケミカル処理等の処理方法が挙げられる。
上記粘土鉱物類としては、例えば、体質顔料および吸着剤などの数種の機能を兼ね備えた成分、例えば、タルク、マイカ、セリサイト、チタンセリサイト(酸化チタンで被覆されたセリサイト)、白雲母、バンダービルト社製のVEEGUM(登録商標)等が挙げられる。
上記香料としては、例えば、アニスアルデヒド、ベンジルアセテート、ゲラニオール等が挙げられる。
上記防腐・殺菌剤としては、例えば、メチルパラペン、エチルパラペン、プロピルパラペン、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、トコフェロール等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化鉄、微粒子酸化ジルコニウム等の無機系吸収剤、安息香酸、パラアミノ安息香酸、アントラニリック酸、サルチル酸、桂皮酸、ベンゾフェノン、ジベンゾイルメタン等の有機系吸収剤が挙げられる。
上記特殊配合添加物としては、例えば、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン等のホルモン類、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム、アラントインクロルヒドロキシアルムニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛等の皮膚収斂材剤、カンタリスチンキ、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、センブリエキス、ニンニクエキス、ヒノキチオール、塩化カルプロニウム、ペンタデカン酸グリセリド、ビタミンE、エストロゲン、感光素等の発毛促進剤、リン酸-L-アスコルビン酸マグネシウム、コウジ酸等の美白剤等が挙げられる。
<コーティング剤>
本発明の粒子を含むコーティング剤の態様について、以下に例示する。本態様において、コーティング剤は、本発明の粒子を含む。本態様において、コーティング剤における本発明の粒子の含有割合は、コーティング剤の種類に応じて適宜設定できるが、好ましくは1~90質量%、より好ましくは3~80質量%である。
本態様において、コーティング材料は、必要に応じてバインダー樹脂、紫外線硬化樹脂、溶剤を含むことができる。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線硬化性樹脂としては、多官能(メタ)アクリレート樹脂が好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多価アルコール多官能(メタ)アクリレート樹脂がより好ましい。1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多価アルコール多官能(メタ)アクリレート樹脂としては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、紫外線硬化性樹脂に光重合開始剤を加えてバインダー樹脂とする。光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001-139663号公報等に記載)、2,3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、オニウム塩類、ボレート塩、活性ハロゲン化合物、α-アシルオキシムエステル等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記溶剤としては、例えば、油系塗料であれば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられ、水系塗料であれば、水、アルコール類等が挙げられる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本態様において、コーティング材料には、必要に応じて、公知の塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒、体質顔料、着色顔料、金属顔料、マイカ粉顔料、染料等が含まれていてもよい。
本態様において、コーティング材料を使用した塗膜の形成方法としては、例えば、スプレー塗装法、ロール塗装法、ハケ塗り法等の公知の塗膜形成方法が挙げられる。コーティング材料は、必要に応じて粘度を調整するために、希釈剤で希釈してもよい。希釈剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族化合物系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等の水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これらの希釈剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基材等の任意の塗工面に塗工して塗工膜を作製し、この塗工膜を乾燥させた後、必要に応じて塗工膜を硬化させることによって、架塗膜を形成することができる。なお、コーティング材料を使用した塗膜は各種基材にコーティングして使用され、金属、木材、ガラス、プラスチックス等特に限定されない。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂等の透明基材にコーティングして用いることもできる。
<樹脂組成物>
本発明の粒子を含む樹脂組成物の態様について、以下に例示する。本態様において、樹脂組成物は、基材樹脂及び本発明の粒子を含む。基材樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコ-ル酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブシレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリ(エチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート・テレフタレート)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(β-プロピオラクトン)、ポリアミド4、ポリ(3-ヒドロキシブチレ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシバリレ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシカプロレ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシバリレート)、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、グルコサミン系樹脂等の生分解性樹脂;ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルサルファイド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA樹脂)、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの基材樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本態様において、樹脂組成物における本発明の粒子の含有量は、基材樹脂と本発明の粒子との総質量を基準にして、好ましくは0.1~70質量%であり、より好ましくは0.5~50質量%であり、より一層好ましくは1~30質量%である。
本態様において、樹脂組成物には、必要に応じて、公知の添加剤が含まれていても良い。添加剤としては、ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維、難燃剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、体質顔料、着色顔料、金属顔料、染料などを挙げることができる。
本態様において、樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、基材樹脂と本発明の粒子とを機械式粉砕混合方法等のような従来広く知られている方法で混合することにより製造できる。機械式粉砕混合方法では、例えば、ヘンシェルミキサー、V型混合機、ターブラミキサー、ハイブリダイザー、ロッキングミキサー等の装置を用いて、基材樹脂と本発明の粒子とを混合し撹拌することにより、樹脂組成物を製造できる。
本態様において、樹脂組成物を使用した成形体の形成方法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。例えば、基材樹脂と本発明の粒子とを混合機で混合し、押出機等の溶融混練機で混練することで樹脂組成物からなるペレットを得た後、このペレットを押出、射出、ブロー等で成形することにより、自動車材料、建築材料、包装材料等に適した任意の形状の成形体を得ることができる。
<ブロッキング防止剤>
本発明の粒子を含むブロッキング防止剤の態様について、以下に例示する。本発明の粒子は、樹脂フィルムを巻き取ったときなどに、互いに接した樹脂フィルム表面同士が密着して剥がれなくなること(ブロッキング)を防止するために、樹脂フィルムの表面に凹凸を付与するブロッキング防止剤として使用できる。
本態様において、ブロッキング防止剤は、本発明の粒子の他、必要に応じて、公知の酸化防止剤、流動性調整剤、光安定剤、着色顔料等が含まれていてもよい。
本態様において、ブロッキング防止剤における本発明の粒子の含有量は、好ましくは70~100質量%であり、より好ましくは80~100質量%であり、より一層好ましくは90~100質量%である。
本態様において、ブロッキング防止剤を使用できる樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコ-ル酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブシレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリ(エチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート・テレフタレート)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(β-プロピオラクトン)、ポリアミド4、ポリ(3-ヒドロキシブチレ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシバリレ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシカプロレ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエ-ト)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシバリレート)、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、グルコサミン系樹脂等の生分解性樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクリロニトリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本態様において、樹脂フィルムにおける本発明の粒子の含有量は、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.02~5質量%であり、より一層好ましくは0.03~3質量%であり、特に好ましくは0.04~1質量%である。
<光拡散フィルム>
本発明の粒子を含む光拡散フィルムの態様について、以下に例示する。本態様において、光拡散フィルムは、本発明の粒子を含む。本態様において、光拡散フィルムにおける本発明の粒子の含有量は、光拡散フィルムの種類に応じて適宜設定できるが、好ましくは1~90質量%、より好ましくは3~80質量%である。
本態様において、光拡散フィルムは、例えば、本発明の粒子、バインダー樹脂、希釈剤などを公知の方法により混合して分散液を調製し、これを公知の方法により基材となるフィルム上に塗布・乾燥することにより製造することができる。
本態様において、光拡散フィルムの製造に使用する基材としては、例えば、ガラス;ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等からなるプラスチックシート、プラスチックフィルム、プラスチックレンズ、プラスチックパネル等が挙げられる。
本態様において、光拡散フィルムの製造に使用するバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本態様において、光拡散フィルムの製造に使用する希釈剤としては、希釈剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族化合物;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等の水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール等が挙げられる。これらの希釈剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<クロマトグラフィー用充填剤>
本発明の粒子は、タンパク質を分離又は精製するためのクロマトグラフィー用充填剤として好適に使用することができる。本発明の粒子を含むクロマトグラフィー用充填剤は、薄層クロマトグラフィーの担体若しくは吸着材として使用してもよく、濾過補助剤又はフィルターのような形態で使用してもよい。本発明の粒子は、カラムクロマトグラフィー用の充填剤としてより好適に使用することができ、高速液体クロマトグラフィー用の充填剤としてより一層好適に使用することができる。
<薬物担体>
本発明の粒子は、薬物担体として好適に使用することができる。本明細書において、薬物担体とは、薬物と結合させて薬物の生体内動態を変化させるための物質を意味する。本明細書において、薬物とは、生体内で生物活性を示す化合物を意味する。
本発明の粒子からなる薬物担体とは、疾患の治療又は診断のために用いられる多孔質シリカ粒子の薬物担体を意味する。本発明の粒子に担持される薬物としては、例えば、分子量1万以下の低分子化合物、タンパク質、ペプチド、核酸等が挙げられる。本発明の粒子に薬物を担持させる方法としては、例えば、薬物を本発明の粒子の細孔内に充填又は封入すること等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
まず、実施例の項における測定方法及び評価方法について説明する。なお、以下の測定方法及び評価方法において、各実施例及び各比較例で得られた多孔質シリカ粒子を、単に「粒子」と称する。
(体積平均粒子径及び体積平均粒子径の変動係数の測定方法)
粒子の体積平均粒子径は、精密粒度分布測定装置(製品名「コールターMultisizerTM 3」、ベックマン・コールター株式会社製)により測定した。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizerTM 3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施した。なお、測定に用いるアパチャーは、粒子の大きさによって、適宜選択した。Current(アパチャー電流)及びGain(ゲイン)は、選択したアパチャーのサイズによって、適宜設定した。例えば、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は-800、Gain(ゲイン)は4と設定した。
具体的には、測定対象の粒子0.1gを0.1質量%ノニオン系界面活性剤水溶液10ml中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製の「TOUCHMIXERMT-31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製の「ULTRASONIC CLEANER VS-150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用した。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了した。粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均径とした。
粒子の体積平均粒子径の変動係数(CV値)を、以下の式によって算出した。
粒子の体積平均粒子径の変動係数=(10万個の粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差/粒子の体積平均粒子径)×100
(粗大粒子の個数割合の測定方法)
粗大粒子の個数割合は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の「FPIA(登録商標)-3000S」)を用いて測定した。具体的な測定手順は以下のとおりである。まず、イオン交換水20mLに、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05gを加えて界面活性剤水溶液を得た。次いで、得られた界面活性剤水溶液に、粒子0.2gを加え、分散機としてBRANSON社製の超音波分散機「BRANSON SONIFIER 450」(出力400W、周波数20kHz)を用いて超音波を5分間照射し、粒子を界面活性剤水溶液中に分散させる分散処理を行い、測定用の分散液を調製した。測定には、標準対物レンズ(倍率10倍)を搭載した上記フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の「FPIA(登録商標)-3000S」)を用いた。フロー式粒子像分析装置に使用するシース液としては、パーティクルシース(シスメックス株式会社製の「PSE-900A」)を使用する。上記手順に従い調製した測定用の分散液をフロー式粒子像分析装置に導入し、下記<粗大粒子の測定条件>にて1000個の粒子についてそれぞれ円相当径(粒子径)を測定した。測定にあたっては、測定開始前に標準ポリマー粒子群の懸濁液(Thermo Fisher Scientific社製の「5200A」(標準ポリスチレン粒子をイオン交換水で希釈したもの)を用いてフロー式粒子像分析装置の自動焦点調整を行った。測定した粒子径が各実施例及び各比較例で得られた体積平均粒子径の3倍以上であった粒子の個数を、測定した粒子の個数(1000個)で割った値を「粗大粒子の個数割合」とした。
<粗大粒子の粒子径の測定条件>
・測定モード:LPF測定モード又はHPF測定モード
(各実施例及び各比較例で得られた体積平均粒子径により適宜選択した。各実施例及び各比較例で得られた体積平均粒子径が8μm以下の場合はHPF測定モード、8μm以上の場合はLPF測定モードを選択した。
(BET比表面積の測定方法)
粒子のBET比表面積は、JIS Z 8830:2013記載のBET法(窒素吸着法)により測定した。具体的には、自動比表面積/細孔分布測定装置(製品名「TristarII 3020」、株式会社島津製作所社製)を用いて、粒子0.2gについて窒素吸着等温線を測定し、窒素吸着量からBET多点法を用いて比表面積を算出した。窒素吸着等温線の測定は、粒子0.2gについて前処理を実施した後、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nmの条件下で定容量法を用いて行った。なお、上記前処理は、0.2gの粒子が入った容器を65℃で加熱しながら、上記自動比表面積/細孔分布測定装置を用いて窒素パージを15分行い、室温放冷した後、その容器を65℃で加熱しながら、真空脱気を90分間行うことにより、行った。
(アマニ油吸油量の測定方法)
JIS K 5101-13-2(2004)の測定方法をベースとして、該測定方法で使用されている煮アマニ油に代えて精製アマニ油を使用し、終点の判断基準を変更した方法によって、粒子のアマニ油吸油量を測定した。吸油量の測定の詳細は、以下の通りである。
(A)装置及び器具
測定板:300×400×5mmより大きい平滑なガラス板
パレットナイフ(ヘラ):鋼製又はステンレス製の刃を持った柄つきのもの
化学はかり(計量器):10mgオーダーまで計れるもの
ビュレット:JIS R 3505(1994)に規定する容量10mlのもの
(B)試薬
精製アマニ油:ISO 150に規定するもので、具体的には、一級アマニ油(和光純薬工業株式会社製)を使用
(C)測定方法
(1)粒子1gを測定板上の中央部に取り、精製アマニ油をビュレットから一回に4滴又は5滴ずつ、徐々に粒子の中央に滴下し、その都度、粒子および精製アマニ油の全体をパレットナイフで充分練り合わせた。
(2)上記の滴下及び練り合わせを繰り返し、粒子及び精製アマニ油の全体が固いパテ状の塊になったら1滴ごとに練り合わせて、精製アマニ油の最後の1滴の滴下によりペースト(粒子及び精製アマニ油の混練物)が急激に軟らかくなり、流動を始める点を終点とした。
(3)流動の判定
精製アマニ油の最後の1滴の滴下により、ペーストが急激に軟らかくなり、測定板を垂直に立てた時にペーストが動いた場合に、ペーストが流動していると判定した。測定板を垂直に立てた時もペーストが動かない場合には、更に精製アマニ油を1滴加えた。
(4)終点に達したときの精製アマニ油の消費量をビュレット内の液量の減少分として読み取った。
(5)1回の測定時間は7~15分以内に終了するように実施し、測定時間が15分を超えた場合は再測定し、規定の時間内で測定を終了した時の数値を採用した。
(6)上記終点までに滴下したアマニ油の合計量(g)を記録した。アマニ油吸油量は、測定対象の粒子100g当たりのアマニ油の消費量を算出し、mL単位で表した。アマニ油吸油量(mL/100g)は、下記式により算出した。
O=(V/m)×100
O:アマニ油吸油量(mL/100g)
m:粒子の質量(g)
V:滴下したアマニ油の消費量(mL)
(7)上記(1)~(6)の工程を3回行い、算出したアマニ油吸油量の平均値をアマニ油吸油量の測定結果とした。
(吸油性指数の算出方法)
吸油性指数は、下記式により算出した。
吸油性指数=アマニ油吸油量/BET比表面積
(平均細孔直径及び積算細孔容積の測定方法)
自動比表面積/細孔分布測定装置(製品名「TristarII 3020」、株式会社島津製作所社製)を用いて、粒子0.2gについて前処理を実施した後、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nmの条件下で定容量法により窒素吸着等温線の測定を行った。上記前処理は、0.2gの粒子が入った容器を65℃で加熱しながら、上記自動比表面積/細孔分布測定装置を用いて窒素パージを15分行い、室温放冷した後、その容器を65℃で加熱しながら、真空脱気を90分間行うことにより行った。平均細孔直径は、測定した窒素吸着等温線からBJH法に基づいて得られた細孔分布データ(細孔直径の範囲=1.7nm以上300nm以下)から算出した。積算細孔容積は、測定した窒素吸着等温線からBJH法に基づいて得られた1.7nm以上300nm以下の細孔直径を有する細孔の積算値から算出した。
(ナトリウム原子の含有量の測定方法)
粒子1gに、硫酸と弗化水素酸とを加え、硫酸白煙が発生するまで加熱した。加熱後、硝酸を加えて、加温して溶解し、超純水を用いて一定量に希釈した。その後、ICP質量分析装置(製品名「Agilent8800シリーズ トリプル4重極ICP-MS」、アジレント・テクノロジー社製)を使用して、粒子中のナトリウム原子の含有量を求めた。
(凹凸形状の評価)
粒子0.1gをエポキシ樹脂約1gに、室温で均一に混合した。次いで、60℃の温度で24時間かけて、混合物を硬化させて硬化体を作製した。作製した硬化体をウルトラミクロトーム(製品名「Leica EM UC7」、ライカマイクロシステムズ社製)を用いてスライスし、厚み70nmの切片の試料を作製した。その後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテクノロジーズ社製、型名「H-7600」、AMT社製「ER-B」CCDカメラシステム)を用いて作製した試料を、倍率5,000倍にてTEM画像を撮影した。撮影したTEM画像において、粒子の表層及び粒子の断面を観察した。無作為に撮影したTEM画像10枚を選択し、選択した10枚のTEM画像について粒子の最外円の直径と粒子の最内円の直径とをそれぞれ計測した。計測結果を算術平均して、粒子の最外円の直径の平均値と、粒子の最内円の直径の平均値とを算出した。該粒子の最外円の直径の平均値と該粒子の最内円の直径の平均値との差の値について、以下の評価基準に従って評価した。評価基準が「〇」の場合には、粒子が表面に凹凸形状を有すると評価した。上記粒子の最外円の直径とは、粒子の断面において、粒子表面の凹凸の凸部の先端部から、粒子の中心に対して対角の位置にある粒子表面の凹凸の凸部の先端部までの長さを意味する。上記粒子の最内円の直径とは、粒子の断面において、粒子表面の凹凸の凹部の底面部から、粒子の中心に対して対角の位置にある粒子表面の凹凸の凹部の底面部までの長さを意味する。
〇:粒子の最外円の直径の平均値と粒子の最内円の直径の平均値との差の値が100nm以上
×:粒子の最外円の直径の平均値と粒子の最内円の直径の平均値との差の値が100nm未満
(実施例1)
水溶性ケイ酸塩として水ガラス3号(172g、ケイ素含有量829mmol;大阪硅曹株式会社製)と凹凸形状形成用水溶性化合物として塩化ナトリウム20.6g(352mmol)とイオン交換水とを混合して全体積を250mlとした水溶液(第1水相)に、界面活性剤としてTween80(1.74g:モル数は混合物につき不明)とSpan80(0.86g:モル数は混合物につき不明)とをシクロヘキサンに溶かして全体積を125mlとした溶液(油相)を添加した。次いで、TKホモミキサー(製品名「MARKII 2.5型」、プライミクス社製)を用いて30℃で1分間攪拌(回転数:8,300rpm)し、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。さらに、沈殿剤として炭酸水素ナトリウム(58.5g、696mmol)を60℃のイオン交換水に溶解させて全体積が370mlである沈殿剤水溶液(第2水相)を作製した。次いで、定量ポンプ(製品名「NP-KX-840」、日本精密科学株式会社製)を用いて、作製したW/Oエマルションを200ml/minの流量で、作製した沈殿剤水溶液を200ml/minの流量で、それぞれ60℃で送液し、スタティックミキサー(製品名「T型スタティックミキサー」、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)に連続的に供給した。スタティックミキサー内で、W/Oエマルションと沈殿剤水溶液とを混合して懸濁液(スラリー)を得た。次いで、スタティックミキサーから吐出されたスラリーから吸引ろ過により脱水して、固形分を分離した。分離した固形分をイオン交換水で十分に洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することでイオン交換水を除去して、多孔質シリカ粒子を得た。
得られた多孔質シリカ粒子をSEMで観察した際のSEM画像を図1に示す。図1に示すように、当該粒子は、表面に凹凸形状を有する多孔質シリカ粒子であることが確認された。
(実施例2)
まず、実施例1と同様にして、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。次いで、沈殿剤として炭酸水素アンモニウム(58.5g、741mmol)を30℃のイオン交換水に溶解させて全体積が370mlである沈殿剤水溶液(第2水相)を作製した。定量ポンプ(製品名「NP-KX-840」、日本精密科学株式会社製)を用いて、作製したW/Oエマルションを200ml/minの流量で、作製した沈殿剤水溶液を200ml/minの流量で、それぞれ30℃で送液したこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質シリカ粒子を得た。
(実施例3)
まず、実施例1と同様にして、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。次いで、沈殿剤として炭酸水素カリウム(70g、700mmol)を30℃のイオン交換水に溶解させて全体積が370mlである沈殿剤水溶液(第2水相)を作製した。定量ポンプ(製品名「NP-KX-840」、日本精密科学株式会社製)を用いて、作製したW/Oエマルションを200ml/minの流量で、作製した沈殿剤水溶液を200ml/minの流量で、それぞれ30℃で送液したこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質シリカ粒子を得た。
(実施例4)
まず、実施例1と同様にして、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。次いで沈殿剤として炭酸水素アンモニウム(50g、633mmol)を30℃のイオン交換水に溶解させて全体積が370mlである沈殿剤水溶液(第2水相)を作製した。定量ポンプ(製品名「NP-KX-840」、日本精密科学株式会社製)を用いて、作製したW/Oエマルションを200ml/minの流量で、作製した沈殿剤水溶液を200ml/minの流量で、それぞれ30℃で送液したこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質シリカ粒子を得た。
(比較例1)
水溶性ケイ酸塩として水ガラス3号(172g、ケイ素含有量829mmol;大阪硅曹株式会社製)と凹凸形状形成用水溶性化合物として塩化ナトリウム20.6g(352mmol)とイオン交換水とを混合して全体積を250mlとした水溶液(第1水相)に、界面活性剤としてTween80(1.74g:モル数は混合物につき不明)とSpan80(0.86g:モル数は混合物につき不明)とをシクロヘキサンに溶かして全体積を125mlとした溶液(油相)を添加した。次いで、TKホモミキサー(製品名「MARKII 2.5型」、プライミクス社製)を用いて1分間攪拌(回転数:8,300rpm)し、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。さらに、沈殿剤として炭酸水素ナトリウム(58.5g、696mmol)を60℃のイオン交換水に溶解させて全体積を370mlとした沈殿剤水溶液(第2水相)に、作製したW/Oエマルション全量を添加した。その後、60℃で30分間攪拌(回転数:300rpm)し、析出反応を完結させた。得られたスラリーから吸引ろ過により脱水して、固形分を分離した。分離した固形分をイオン交換水で十分に洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することでイオン交換水を除去し、多孔質シリカ粒子を得た。
(比較例2)
まず、比較例1と同様にして、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。次いで、沈殿剤として炭酸水素アンモニウム(58.5g、741mmol)を30℃のイオン交換水に溶解させて全体積を370mlとした沈殿剤水溶液(第2水相)に、作製したW/Oエマルション全量を添加した。その後、30℃で30分間攪拌(回転数:300rpm)し、析出反応を完結させた。その後は、比較例1と同様にして、多孔質シリカ粒子を得た。
(比較例3)
凹凸形状形成用水溶性化合物として塩化ナトリウムを使用しなかったこと以外は、比較例1と同様にして、全体積が375mlであるW/Oエマルションとを作製した。次いで、沈殿剤として炭酸水素ナトリウム(58.5g、696mmol)を60℃のイオン交換水に溶解させて全体積を370mlとした沈殿剤水溶液(第2水相)に、作製したW/Oエマルション全量を添加した。その後、60℃で30分間攪拌(回転数:300rpm)し、析出反応を完結させた。その後は、比較例1と同様にして、多孔質シリカ粒子を得た。
(比較例4)
水溶性ケイ酸塩として水ガラス3号(86g、ケイ素含有量415mmol;大阪硅曹株式会社製)と凹凸形状形成用水溶性化合物として塩化ナトリウム10.3g(176mmol)とイオン交換水とを混合して全体積を125mlとした水溶液(第1水相)に、界面活性剤としてTween80(3.48g:モル数は混合物につき不明)とSpan80(1.72g:モル数は混合物につき不明)とをシクロヘキサンに溶かして全体積を250mlとした溶液(油相)を添加した。次いで、TKホモミキサー(製品名「MARKII 2.5型」、プライミクス社製)を用いて1分間攪拌(回転数:8,300rpm)し、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。さらに、沈殿剤として炭酸水素ナトリウム(58.5g、696mmol)を60℃の水に溶解させて全体積が370mlである沈殿剤水溶液(第2水相)を作製した。その後は、実施例1と同様にスタティックミキサーを使用して、多孔質シリカ粒子を得た。
(比較例5)
まず、実施例1と同様にして、全体積が375mlであるW/Oエマルションを作製した。次いで、沈殿剤として炭酸水素アンモニウム(30g、380mmol)を30℃のイオン交換水に溶解させて全体積が370mlである沈殿剤水溶液(第2水相)を作製した。その後は、実施例1と同様にスタティックミキサーを使用して、多孔質シリカ粒子を得た。
実施例1~4及び比較例1~5で得られた多孔質シリカ粒子それぞれについて、上述した測定方法に基づいて、体積平均粒子径、体積平均粒子径の変動係数(CV値)、粗大粒子の個数割合、BET比表面積、アマニ油吸油量、吸油性指数(アマニ油吸油量/BET比表面積)、積算細孔容積、平均細孔直径、ナトリウム原子の含有量、凹凸形状の有無を測定した。評価結果を表1に示す。なお、表1中の、「積算細孔容積」とは、1.7nm以上300nm以下の細孔直径を有する細孔の積算値を意味する。
Figure 2024042503000001

Claims (16)

  1. 以下の(i)~(iv)を満たす、多孔質シリカ粒子。
    (i)体積平均粒子径が、1μm以上30μm以下
    (ii)BET比表面積が、60m/g以上200m/g以下
    (iii)アマニ油吸油量が、100mL/100g以上200mL/100g以下
    (iv)粒子径が体積平均粒子径の3倍以上である粗大粒子の個数割合が、多孔質シリカ粒子の総個数を基準にして9%未満
  2. 積算細孔容積が0.1cm/g以上0.5cm/g以下、且つ、平均細孔直径が5nm以上15nm以下である、請求項1に記載の多孔質シリカ粒子。
  3. 直径が100nm以上のマクロ孔を有さない、請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子。
  4. ナトリウム原子の含有量が、100ppm以上5000ppm以下である、請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子。
  5. 以下の式(1)で表される吸油性指数が、1.0mL/100m以上3.4mL/100m以下である、請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子。
    吸油性指数=アマニ油吸油量/BET比表面積・・・式(1)
  6. 体積平均粒子径の変動係数が10%以上60%以下である、請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子。
  7. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子の製造方法であって、
    水溶性ケイ酸塩及び凹凸形状形成用水溶性化合物を含む水相を油相中に分散してなるW/Oエマルションと、沈殿剤水溶液とを連続的に混合する工程を備える、多孔質シリカ粒子の製造方法。
  8. 前記沈殿剤が、アルカリ金属の水溶性塩及び/又はアンモニウム塩である、請求項7に記載の多孔質シリカ粒子の製造方法。
  9. スタティックミキサーを用いて混合する、請求項7に記載の多孔質シリカ粒子の製造方法。
  10. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子を含む、外用剤。
  11. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子を含む、クロマトグラフィー用充填剤。
  12. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子を含む、コーティング材料。
  13. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子を含む、樹脂組成物。
  14. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子を含む、ブロッキング防止剤。
  15. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子を含む、光拡散フィルム。
  16. 請求項1又は2に記載の多孔質シリカ粒子を含む、薬物担体。
JP2022147264A 2022-09-15 2022-09-15 多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途 Pending JP2024042503A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022147264A JP2024042503A (ja) 2022-09-15 2022-09-15 多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022147264A JP2024042503A (ja) 2022-09-15 2022-09-15 多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024042503A true JP2024042503A (ja) 2024-03-28

Family

ID=90417833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022147264A Pending JP2024042503A (ja) 2022-09-15 2022-09-15 多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024042503A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6284917B2 (ja) 多孔質樹脂粒子、多孔質樹脂粒子の製造方法、およびその用途
JP6178398B2 (ja) 多孔質樹脂粒子およびその用途
JP6019218B2 (ja) 多孔質樹脂粒子、その製造方法、分散液およびその用途
US9200154B2 (en) Porous resin particles, method of manufacturing the same, and use of the same
JP7197681B2 (ja) 生分解性樹脂粒子、該粒子を含有する生分解性樹脂粒子群、及びその用途
JP2024050739A (ja) 中空粒子及びその製造方法
JP2017088501A (ja) 化粧料用多孔質樹脂粒子
JP2022135891A (ja) 多糖類含有粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途
JP2024042503A (ja) 多孔質シリカ粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途
JP6294204B2 (ja) 複合粒子、複合粒子の製造方法、及び、その用途
JP6436578B2 (ja) ポリエステル系樹脂粒子、その製造方法及びその用途
JP7372085B2 (ja) 顔料含有中空粒子及びその製造方法
JP2023136159A (ja) 異形中空粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途
EP2783678B1 (en) Porous resin particles, method of manufacturing the same, and use of the same
JP2023023335A (ja) 異形中空粒子及び該異形中空粒子の用途
JP2023137262A (ja) 複合粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子の用途
JP2023162123A (ja) 複合粒子及び該複合粒子を含む外用剤
JP2020164666A (ja) 多孔質微粒子及びその製造方法