JP2024042474A - 誘導電動機の制御装置および誘導電動機システム - Google Patents
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Abstract
【課題】間欠運転の場合にトルク精度の低下を抑制しうる誘導電動機の制御装置を提供する。【解決手段】誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の回転子の温度を非接触で検出する温度検出器と、回転子の速度を検出する速度検出器と、回転子の回転を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、トルク指令情報に基づき、電流指令値を算出する指令値算出部と、回転子の速度に基づき第1の電気角速度を求める電気角速度変換部と、トルク指令情報、回転子の温度、電流指令値に基づき、すべり回転数の補正値を出力する補正係数出力部と、第1の電気角速度にすべり回転数の補正値を加算して、回転子の回転を制御するための第2の電気角速度を出力する加算器と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、誘導電動機の制御装置および誘導電動機システムに関する。
インバータによって駆動する誘導電動機のトルクを制御する場合、二次側の温度(回転子の導体温度)によって特性が変化する。そのため、この種の誘導電動機の制御では、運転中に温度補償を行うことでトルクの精度を向上させている。
例えば、特許文献1では、電流指令値、すべり周波数、コイル温度、外気温から推定したロータ温度を用いて回転機の回路定数を補正することで、精度のよいトルク出力を可能とする誘導モータの制御装置が提案されている。
特許文献1は、ロータ温度の推定の際に電流指令値とすべり周波数を用いるため、その構成上、モータ停止時のロータ温度の推定が困難である。例えば、誘導電動機が間欠運転で運転と停止を繰り返す場合には、初期のロータ温度のずれが影響してトルク精度が悪化するおそれがある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、間欠運転の場合にトルク精度の低下を抑制しうる誘導電動機の制御装置を提供する。
本発明の一態様に係る誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の回転子の温度を非接触で検出する温度検出器と、回転子の速度を検出する速度検出器と、回転子の回転を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、トルク指令情報に基づき、電流指令値を算出する指令値算出部と、回転子の速度に基づき第1の電気角速度を求める電気角速度変換部と、トルク指令情報、回転子の温度、電流指令値に基づき、すべり回転数の補正値を出力する補正係数出力部と、第1の電気角速度にすべり回転数の補正値を加算して、回転子の回転を制御するための第2の電気角速度を出力する加算器と、を有する。
上記の誘導電動機の制御装置において、補正係数出力部は、トルク補正係数、温度補正係数および電流指令値の組み合わせと、すべり回転数の補正値とを対応付けたデータテーブルを保持し、トルク指令情報から取得されるトルク補正係数、回転子の温度から取得される温度補正係数、電流指令値に基づき、データテーブルからすべり回転数の補正値を決定してもよい。
また、本発明の他の態様に係る誘導電動機システムは、誘導電動機と、上記の制御装置とを備える。
また、本発明の他の態様に係る誘導電動機システムは、誘導電動機と、上記の制御装置とを備える。
本発明の一態様によれば、間欠運転の場合にトルク精度の低下を抑制しうる誘導電動機の制御装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
図1は、本実施形態の誘導電動機システムの構成例を示す図である。誘導電動機システム1は、誘導電動機2と、制御装置3と、インバータ4とを備えている。
誘導電動機2は、三相交流のインナーロータ型回転電機である。誘導電動機2は、回転子11と、固定子12と、速度検出器13と、温度検出器14とを有する。回転子11は、例えばかご形回転子または巻線形回転子で構成される。
固定子12は、僅かなエアギャップを隔てて回転子11の外周に同心状に配置される。固定子12には、回転子11の外周に沿ってコイル(不図示)が装着されている。誘導電動機2においては、コイルの電流制御で固定子12の磁界を順番に切り替えることで、回転子11の磁界との吸引力または反発力を固定子12に生じさせる。これにより、回転軸を中心として回転子11が回転する。
速度検出器13は、例えば、回転子11のシャフトに取り付けられ、回転子の回転速度を検出する。速度検出器13の速度検出値は制御装置3に出力される。
温度検出器14は、回転子11の表面温度を非接触で検出する温度センサである。温度検出器14は、例えば、サーモパイル(不図示)を有し、サーモパイルで検出した赤外線の量と測定対象の放射率から回転子11の表面温度を検出する構成である。温度検出器14の検出した回転子温度情報は制御装置3に出力される。
また、制御装置2は、指令値算出部21と、温度補正部22と、電流制御器23と、座標変換部24、25とを有する。また、制御装置2には、トルク指令情報と、速度検出器13からの速度検出値と、温度検出器14からの回転子温度情報と、インバータ4からの三相電流検出情報がそれぞれ入力される。
指令値算出部21は、制御装置2の外部から入力されるトルク指令情報を受け、d軸およびq軸の電流指令値を算出する。指令値算出部21の電流指令値は、温度補正部22と電流制御器23にそれぞれ出力される。
温度補正部22は、回転子温度情報および速度検出値に戻づいて、温度補正された電気角速度を出力する。図2は、図1の温度補正部22の構成例を示す図である。温度補正部22は、補正係数出力部31と、電気角速度変換部32と、加算部33とを有している。
補正係数出力部31は、トルク指令情報、回転子温度情報、電流指令値を受け、電気角速度に対するすべり回転数の補正値を出力する。
一般に、すべり回転数ωsは、電流指令値と誘導電動機のパラメータに基づき、下式(1)により求めることができる。
ωs=(Rr’/M’)×(Isγ/Isδ) ……(1)
但し、式(1)において、Rr’はT-I型等価回路換算二次抵抗値を示し、M’はT-I型等価回路換算相互インダクタンス値を示す。Isγはγ軸換算一次電流を示し、Isδはδ軸換算一次電流を示す。なお、式(1)に関し、各記号や軸の換算は一般式に従うためその説明は省略する。
ωs=(Rr’/M’)×(Isγ/Isδ) ……(1)
但し、式(1)において、Rr’はT-I型等価回路換算二次抵抗値を示し、M’はT-I型等価回路換算相互インダクタンス値を示す。Isγはγ軸換算一次電流を示し、Isδはδ軸換算一次電流を示す。なお、式(1)に関し、各記号や軸の換算は一般式に従うためその説明は省略する。
また、データテーブルに格納されるすべり回転数の補正値ωs’は、以下の式(2)で算出することができる。
ωs’= ωs×Kr×Kt……(2)
但し、式(2)において、Krは回転子温度情報に基づく温度補正係数を示し、Ktはトルク指令情報に基づくトルク補正係数を示す。Krと回転子温度情報の対応関係や、Ktとトルク指令情報の対応関係は、例えばシミュレーションや実験によりそれぞれ取得することができる。
ωs’= ωs×Kr×Kt……(2)
但し、式(2)において、Krは回転子温度情報に基づく温度補正係数を示し、Ktはトルク指令情報に基づくトルク補正係数を示す。Krと回転子温度情報の対応関係や、Ktとトルク指令情報の対応関係は、例えばシミュレーションや実験によりそれぞれ取得することができる。
式(2)より、すべり回転数ωs、回転子温度情報、トルク指令情報のパラメータからすべり回転数の補正値ωs’を取得できることが分かる。また、式(1)から、すべり回転数ωsは電流指令値から求めることができる。したがって、電流指令値、回転子温度情報、トルク指令情報のパラメータの組み合わせで、すべり回転数の補正値ωs’を取得できることが分かる。なお、本実施形態では、トルク指令情報をすべり回転数の補正に用いることで、回転子温度の変化を予測してすべり回転数の補正を行うことが可能となる。
一例として、回転子温度情報と温度補正係数Krの関係は、予め一次元のデータテーブルとして補正係数出力部31のメモリ(不図示)に保持される。そのため、補正係数出力部31はデータテーブルを参照することで、入力される回転子温度情報に対応する係数Krの値を取得できる。同様に、トルク指令情報とトルク補正係数Ktの関係は、予め一次元のデータテーブルとして補正係数出力部31のメモリ(不図示)に保持される。そのため、補正係数出力部31はデータテーブルを参照することで、入力されるトルク指令情報に対応する係数Ktの値を取得できる。
また、補正係数出力部31は、係数Kr、Ktおよび電流指令値の組み合わせに対するすべり回転数の補正値ωs’との対応関係を格納したデータテーブルを有する。補正係数出力部31は、係数Kr、Ktおよび電流指令値の組み合わせに応じて、これらの組み合わせに紐づけされているすべり回転数の補正値ωs’を出力する。
電気角速度変換部32は、速度検出器13の速度検出値を電気角速度に変換し、第1の電気角速度として出力する。加算部33は、速度検出器13から出力された第1の電気角速度に補正係数出力部31のすべり回転数の補正値ωs’を加算する。そして、加算部33は、すべり回転数の補正値ωs’で第1の電気角速度を補正した第2の電気角速度を出力する。
第2の電気角速度は、座標変換部24、25にそれぞれ入力される。
第2の電気角速度は、座標変換部24、25にそれぞれ入力される。
図1に戻って、電流制御器23は、指令値算出部21のd軸およびq軸の電流指令値と、座標変換部25からのd軸およびq軸の電流検出値を受け、電流指令値と電流検出値の電流偏差を算出する。そして、電流制御器23は、電流偏差がゼロとなるd軸およびq軸の電圧指令値を算出し、当該電圧指令値を座標変換部24へ出力する。
座標変換部24は、電流制御器23のd軸およびq軸の電圧指令値および温度補正部22の第2の電気角速度に基づいて電圧指令値の座標変換を行い、u相、v相、w相の電圧指令値を算出する。そして、座標変換部24は、u相、v相、w相の三相電圧指令情報をインバータ4に出力する。インバータ4は、座標変換部24の三相電圧指令情報に応じたu相、v相、w相の電圧を誘導電動機2に出力し、誘導電動機2を駆動する。
また、座標変換部25は、インバータ4の出力側に設けられた電流検出器(不図示)からの三相電流検出情報と、温度補正部22の第2の電気角速度を受ける。座標変換部25は、
第2の電気角速度に基づいて三相電流検出情報をd軸およびq軸の電流検出値に座標変換する。そして、座標変換部25は、電流検出値を電流制御器23に出力してフィードバックする。
第2の電気角速度に基づいて三相電流検出情報をd軸およびq軸の電流検出値に座標変換する。そして、座標変換部25は、電流検出値を電流制御器23に出力してフィードバックする。
以下、図3を参照しつつ、本実施形態の誘導電動機システムの動作例について説明する。図3(a)は、誘導電動機2の回転子温度の変化例を示すグラフであり、図3(b)は、トルク指令値の入力例を示すグラフである。また、図3(c)は、すべり周波数の変化例を示すグラフであり、図3(d)は誘導電動機2における最終的なトルク出力の変化例を示すグラフである。なお、図3の各図の横軸は、時間軸である。
図3では、間欠運転時の動作のように、時刻1でトルク指令が入力され、時刻2でトルク指令がゼロとなり、時刻3で再びトルク指令が入力されるパターンを想定する。時刻1から時刻2の区間では、トルク指令が入力され続けるため、誘導電動機2の駆動により回転子温度は上昇を続ける。このとき、すべり回転数の補正がない場合(図3(d)の「補正なし」の場合)、回転子温度の変化の影響でトルク出力値は一定とならずに低下(もしくは上昇)が生じる。一方、本実施形態のように、回転子温度に応じてすべり回転数が補正される場合(図3(d)の「補正あり」の場合)、すべり回転数の補正により時刻1から時刻2の区間でトルク出力が一定に保たれる。また、本実施形態では、すべり回転数の補正に回転子温度だけでなくトルク指令も用いるため、トルク指令の入力がある場合に起こる回転子の温度上昇をあらかじめ予測した補正が可能となる。
また、図3では、時刻2でトルク指令がゼロになった後、時刻3でトルク指令が入力される。その際、時刻3の時点で回転子温度がノミナル状態からずれているため、すべり回転数の補正がない場合(図3(d)の「補正なし」の場合)、その影響でトルク出力値が入力初期からトルク指令と誤差をもつことが想定される。一方、本実施形態のようにすべり回転数の補正を行っている場合には、回転子温度がノミナル状態からずれている分が補正されるため、トルク指令に対してトルク出力値を精度よく一致させる制御が可能となる。
また、比較例としてオブザーバーで回転子温度を推定し、すべり回転数の補正を行う場合を想定する。比較例の場合、構成上、誘導電動機の停止時には回転子温度の推定ができないため、トルク指令の入力開始(時刻1、時刻3)の直後において、すべり回転数の補正精度が低下する事象が生じる。これに対し、本実施形態では、回転子の表面温度を非接触で取得するため、誘導電動機の停止時にも回転子の温度を正しく取得できる。したがって、本実施形態では、比較例と比べて、トルク指令の入力開始直後にすべり回転数の補正を適正に行うことが可能となる。
上記のように、本実施形態の制御装置2は、回転子11の温度を非接触で検出する温度検出器14を用いて、回転子温度情報を検出する。そして、補正係数出力部31は、温度検出器14の回転子温度情報と、トルク指令情報と、電流指令値に基づきすべり回転数の補正値を出力し、制御装置2は、このすべり回転数の補正値を用いて誘導電動機3の回転を制御する。
これにより、本実施形態では、トルク指令の入力開始直後にすべり回転数の補正を適正に行うことが可能となり、また、トルク指令を用いたすべり回転数の補正で回転子11の温度上昇分をあらかじめ予測した補正が可能となる。したがって、誘導電動機3の間欠運転の場合にもトルク精度の低下を抑制できる。
これにより、本実施形態では、トルク指令の入力開始直後にすべり回転数の補正を適正に行うことが可能となり、また、トルク指令を用いたすべり回転数の補正で回転子11の温度上昇分をあらかじめ予測した補正が可能となる。したがって、誘導電動機3の間欠運転の場合にもトルク精度の低下を抑制できる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…誘導電動機システム、2…制御装置、3…誘導電動機、4…インバータ、11…回転子、12…固定子、13…速度検出器、14…温度検出器、21…指令値算出部、22…温度補正部、23…電流制御器、24,25…座標変換部、31…補正係数出力部、32…電気角速度変換部、33…加算部
Claims (3)
- 誘導電動機の回転子の温度を非接触で検出する温度検出器と、
前記回転子の速度を検出する速度検出器と、
前記回転子の回転を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
トルク指令情報に基づき、電流指令値を算出する指令値算出部と、
前記回転子の速度に基づき第1の電気角速度を求める電気角速度変換部と、
前記トルク指令情報、前記回転子の温度、前記電流指令値に基づき、すべり回転数の補正値を出力する補正係数出力部と、
前記第1の電気角速度に前記すべり回転数の補正値を加算して、前記回転子の回転を制御するための第2の電気角速度を出力する加算器と、
を有する誘導電動機の制御装置。 - 前記補正係数出力部は、トルク補正係数、温度補正係数および前記電流指令値の組み合わせと、前記すべり回転数の補正値とを対応付けたデータテーブルを保持し、
前記トルク指令情報から取得される前記トルク補正係数、前記回転子の温度から取得される前記温度補正係数、前記電流指令値に基づき、前記データテーブルから前記すべり回転数の補正値を決定する
請求項1に記載の制御装置。 - 誘導電動機と、
請求項1または請求項2に記載の制御装置と、を備える
誘導電動機システム。
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JP2022147221A JP2024042474A (ja) | 2022-09-15 | 2022-09-15 | 誘導電動機の制御装置および誘導電動機システム |
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