JP2024042230A - 無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できる無線通信システムを提供する。【解決手段】 送信装置が、PA54からの出力信号の一部からPAのレプリカ信号を生成するPAレプリカ生成部5cを備え、受信装置が、受信アンテナ58からの受信信号から干渉波のレプリカ信号を減算する減算器59と、PAのレプリカ信号を参照信号として減算器59で減算された信号に含まれる残差成分が最小になるよう干渉波のレプリカ信号を生成する干渉レプリカ生成部5dとを備える無線通信システムである。【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信を行う無線通信システムに係り、特に、自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できる無線通信システムに関する。
[従来の技術]
現在、第五世代通信や無線LAN(Local Area Network)、あるいは自営系無線など無線通信のニーズが増大し、無線周波数は逼迫している状態である。
そのため、空間領域や周波数領域での利用効率向上の開発が進められている。
無線通信は基地局と端末局で双方向の通信を行うことが主流であるが、受信信号に自局の送信信号が回り込んで干渉することを避けるため、時間軸上で干渉を回避する時分割通信方式や、周波数軸上で干渉を回避する周波数分割通信方式が一般的に用いられている。
しかしながら、前述したように周波数利用効率向上のため、全二重無線通信の要求が高まっている。全二重無線通信とは、同一周波数を用いて双方向通信を行う無線通信方式である。
但し、全二重無線通信は、時分割通信や周波数分割通信と異なり、受信信号に自局で送信した信号が干渉波として混入してしまう。そのため、受信アンテナには本来希望する受信信号(以降では「希望波」と称する)に自局送信アンテナから回り込んだ干渉信号(以降では「干渉波」と称する)が混入した状態で、2つの無線信号が到達する。
この干渉波は希望波にとって妨害成分であり、希望波の受信特性を著しく劣化させてしまう。そのため、全二重無線通信は、混入した干渉波を干渉キャンセラで除去するようにしている。
干渉キャンセラは、受信機内部で干渉波のレプリカを生成し、希望波と干渉波が混在した受信信号から干渉波レプリカを減算し、希望波のみを抽出する技術である。
[従来の無線通信システム:図2]
従来の干渉キャンセル機能を有する全二重無線通信における無線通信システムについて図2を参照しながら説明する。図2は、従来の無線通信システムの構成ブロック図である。
従来の無線通信システムは、図2に示すように、送信装置として、変調信号生成部11と、DAC(D/A変換器)12と、PA(電力増幅器)13と、送信アンテナ14とを備え、受信装置として、受信アンテナ16と、減算器17と、LNA(Low Noise Amplifier:低雑音増幅器)18と、ADC(A/D変換器)19と、干渉レプリカ生成部1aと、DAC(D/A変換器)1bと、希望波復調部1cとを備えている。
尚、送信アンテナ14から受信アンテナ16に干渉波が回り込む経路を伝搬路15としている。
従来の無線通信システムでは、図2に示すように、変調信号生成部11では相手局に送信するための変調信号(xU0)を生成する。変調信号(xU0)はDAC12によりデジタル信号をアナログ信号に変換し、電力増幅器(PA)13により振幅がg倍に増幅される。通常はg>1であるが、ここでは説明を分かりやすくするため振幅増幅度をg=1とする。そして、増幅された変調信号(xU0)は無線信号として送信アンテナ14から送出される。
ここで、一般的な無線機では変調信号を無線周波数帯の信号に周波数に変換する周波数変換を備えることも多いが、近年のデジタル技術の進展により、DAC12から直接、無線周波数帯の信号を生成することも可能である。周波数変換器の有無は本発明に直接係わらないため、以降では周波数変換は省略して説明する。
送信アンテナ14から送出された信号は、伝搬路15を経由して受信アンテナ16に干渉波(xU)として到達する。干渉波(xU)は伝搬路15により線形的な振幅や位相の歪(h)が生じ、以下の[数1]で数式(1)として記述される。
Figure 2024042230000002
また、受信アンテナ16には相手局からの希望波(xD)も到達する。
希望波(xD)と干渉波(xU)が混在した受信信号は減算器17の+端子に入力される。
また、減算器17の-端子には干渉波レプリカ信号が入力される。干渉波レプリカ信号は以下の[数2]に示すものである。
Figure 2024042230000003

ここで、ハット「^」は推定を意味し、干渉波レプリカ信号は、干渉波(xU)の推定信号を意味する。
減算器17では希望波(xD)と干渉波(xU)が混在した信号(xD+xU)から干渉波レプリカ信号を減算し、減算結果xD+εを出力する。ここで、εは残差信号で、干渉波(xU)から干渉波レプリカ信号を減算したものである。
減算器17の出力は、LNA18にて電力増幅され、ADC19にてアナログ信号からデジタル信号に変換される。
ADC19の出力信号は、干渉レプリカ生成部1aに入力され、干渉レプリカ生成部1aのもう一方の入力には変調信号生成部11からの変調信号(xU0)が入力される。
干渉レプリカ生成部1aは、変調信号(xU0)を既知の参照信号として、受信信号から干渉波レプリカ信号を減じたxD+εを入力し、残差成分εを最小化することにより干渉波レプリカ信号を生成し、生成した干渉波レプリカ信号を以下[数3]の数式(2)に記載する。
Figure 2024042230000004
数式(1)の干渉波(xU)と数式(2)の干渉波レプリカ信号を比較すると伝送路特性hから伝送路特性推定値となっている。伝送路特性推定値を以下の[数4]に示すものである。
Figure 2024042230000005

即ち、干渉信号を推定し干渉波レプリカを生成することは干渉波の回り込み伝送路特性hを推定することに帰着する。
この推定方式は、変調信号に既知信号などを挿入し、受信した既知信号に基づいて伝送路特性hを推定する方法や、残差信号εが小さくなるように逐次的に求める手法などがある。
干渉波レプリカ信号は、DAC1bに入力され、デジタル信号からアナログ信号に変換され、減算器17の-端子に入力される。
以上、説明した干渉キャンセラでは残差信号εが0となることが望ましく、ε=0となれば希望波(xD)を完全に抽出したこととなる。このように得られた希望波(xD)は希望波復調部1cに入力され、相手局からの希望波を復調して通信を実現する。
このように、干渉キャンセル機能を備えた全二重無線通信装置では自局送信信号(xU)をキャンセルして希望波(xD)を抽出することにより、干渉波による受信特性の劣化を生じさせることなく双方向通信を実現するものである。
[電力増幅器の入出力振幅特性:図3]
従来の電力増幅器の入出力振幅特性について図3を参照しながら説明する。図3は、電力増幅器の入出力振幅特性を示す説明図である。
図2の無線通信システムにおいて、PA13は、送信変調信号を電力増幅する機能を有するが、現実の電力増幅器では線形性を保つことができず、非線形的な変換がなされてしまう。
図3の横軸は入力信号の振幅、縦軸は出力信号の振幅を示している。この特性はAM-AM特性と称される。図3の実線は入力振幅に対して、出力振幅が線形的にg倍されているが、実際の電力増幅器では有限の電力しか出力することができず、点線で示すように、入力信号が大きくなるにつれて増幅度gは低下し、ある出力電力で飽和してしまう。
このように、実際の電力増幅器のAM-AM特性は非線形的な関数となる。
[非線形歪み信号の周波数特性:図4]
従来の非線形歪み信号の周波数特性について図4を参照しながら説明する。図4は、非線形歪み信号の周波数特性を示す説明図である。
上述した非線形歪みは周波数領域では図4の例に示すように線形信号に対して周波数領域で拡がりが生じてしまう。これは非線形歪みにより複数の高次歪みの成分が新たに発生し、高次歪み成分は広い周波数帯域を有するため、図4に示すような拡がりが生じる。この高次歪み成分の詳細に関しては後述する。
[キャンセル残差信号:図5]
次に、キャンセル残差信号について図5を参照しながら説明する。図5は、周波数領域におけるキャンセル残差信号の状態を示す説明図である。
図5は、このような非線形歪みが生じている状態で図2に示すキャンセラでキャンセル処理を実施した時のキャンセル残差信号εを周波数領域で示した図である。
全ての信号が線形領域で動作し、キャンセル動作も理想的である場合にはキャンセル残差信号も広い周波数で小さな値(ここでは-100dBとしている)となる。
しかしながら、非線形歪みが生じていると、線形信号から生成した干渉レプリカ信号には非線形歪みの成分は含まれておらず、非線形歪み成分によるキャンセル残差が残留してしまうことになる。
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2011-055125号公報「信号補償装置、信号補償方法、信号補償プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、及び通信装置」(特許文献1)、特開平11-088230号公報「干渉キャンセラ」(特許文献2)がある。
特許文献1には、入力信号に対する出力信号の入出力特性が線形領域及び非線形領域を含むTWTAの入出力特性を示す非線形補償モデルに、OB信号のレプリカ信号を入力して補償レプリカ信号を生成することが示されている。
特許文献2には、レプリカ信号として、入力信号からキャンセルする干渉キャンセラが示されている。
特開2011-055125号公報 特開平11-088230号公報
以上説明したように、PA13により非線形歪みが生じている場合には、その非線形歪み成分がキャンセル残差として残留してしまうため、高精度なキャンセル処理を実現することができないという問題点があった。
尚、特許文献1,2には、送信処理における電力増幅器(PA)に非線形歪みが生じても、自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できる構成についての記載がない。
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できる無線通信システムを提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、送信装置と受信装置を備える無線通信システムであって、送信装置が、変調信号を生成する変調信号生成部と、変調信号を送信用に電力増幅する電力増幅器と、電力増幅された送信用の信号を送出する送信アンテナと、電力増幅器からの出力信号の一部から電力増幅器のレプリカ信号を生成する電力増幅器レプリカ生成部とを備え、受信装置が、受信用の受信アンテナと、受信アンテナからの受信信号から干渉波のレプリカ信号を減算する減算器と、電力増幅器で生成された電力増幅器のレプリカ信号を参照信号として減算器で減算された信号に含まれる残差成分が最小になるよう干渉波のレプリカ信号を生成する干渉レプリカ生成部とを備えることを特徴とする。
本発明は、上記無線通信システムにおいて、送信装置が、電力増幅器からの出力信号の一部を分離するカップラと、カップラからの出力信号と変調信号とに基づいて電力増幅器を模するモデルのモデル係数を算出する電力増幅器レプリカ係数算出部とを備え、電力増幅器レプリカ生成部が、変調信号を基に係数を用いて干渉波のレプリカ信号を生成することを特徴とする。
本発明は、上記無線通信システムにおいて、減算器における受信信号と干渉波のレプリカ信号の入力のタイミングを調整するために電力増幅器の前段に変調信号を遅延させる第1の遅延調整部を設けたことを特徴とする。
本発明は、上記無線通信システムにおいて、電力増幅器レプリカ係数算出部における変調信号とカップラからの出力信号の入力のタイミングを調整するために変調信号の入力を遅延させる第2の遅延調整部を設けたことを特徴とする。
本発明は、上記無線通信システムにおいて、電力増幅器レプリカ係数算出部が、変調信号の線形信号とカップラからの出力信号の非線形信号を比較して電力増幅器を模するモデルのモデル係数を算出することを特徴とする。
本発明によれば、送信装置が、変調信号を生成する変調信号生成部と、変調信号を送信用に電力増幅する電力増幅器と、電力増幅された送信用の信号を送出する送信アンテナと、電力増幅器からの出力信号の一部から電力増幅器のレプリカ信号を生成する電力増幅器レプリカ生成部とを備え、受信装置が、受信用の受信アンテナと、受信アンテナからの受信信号から干渉波のレプリカ信号を減算する減算器と、電力増幅器で生成された電力増幅器のレプリカ信号を参照信号として減算器で減算された信号に含まれる残差成分が最小になるよう干渉波のレプリカ信号を生成する干渉レプリカ生成部とを備える無線通信システムとしているので、自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できる効果がある。
本システムの構成ブロック図である。 従来の無線通信システムの構成ブロック図である。 電力増幅器の入出力振幅特性を示す説明図である。 非線形歪み信号の周波数特性を示す説明図である。 周波数領域におけるキャンセル残差信号の状態を示す説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本システム)は、送信装置と受信装置を備え、送信装置が、変調信号を生成する変調信号生成部と、変調信号を送信用に電力増幅する電力増幅器と、電力増幅された送信用の信号を送出する送信アンテナと、電力増幅器からの出力信号の一部から電力増幅器のレプリカ信号を生成する電力増幅器レプリカ生成部とを備え、受信装置が、受信用の受信アンテナと、受信アンテナからの受信信号から干渉波のレプリカ信号を減算する減算器と、電力増幅器で生成された電力増幅器のレプリカ信号を参照信号として減算器で減算された信号に含まれる残差成分が最小になるよう干渉波のレプリカ信号を生成する干渉レプリカ生成部とを備える無線通信システムとしているので、自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できるものである。
[本システムの構成:図1]
本システムの構成について図1を参照しながら説明する。図1は、本システムの構成ブロック図である。
本システムは、図1に示すように、送信装置として、変調信号生成部51と、遅延調整部(第1の遅延調整部)52と、DAC(D/A変換器)53と、PA(電力増幅器)54と、カップラ55と、送信アンテナ56と、PAレプリカ生成部5cと、ADC(A/D変換器)5gと、PAレプリカ係数算出部5hと、遅延調整部(第2の遅延調整部)5iとを備え、受信装置として、受信アンテナ58と、減算器59と、LNA(Low Noise Amplifier:低雑音増幅器)5aと、ADC(A/D変換器)5bと、干渉レプリカ生成部5dと、DAC(D/A変換器)5eと、希望波復調部5fとを備えている。
以下の説明では、まず非線形干渉レプリカ信号を生成し、干渉波をキャンセルする一連の処理を説明し、次にPAレプリカ生成に関するタイミング調整の課題と解決策を説明し、最後にPAレプリカ生成方式の説明を行う。
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
[変調信号生成部51]
変調信号生成部51は、図2の変調信号生成部11と同様に変調信号(xU0)を生成する。変調信号(xU0)は、遅延調整部52とPAレプリカ生成部5cに出力される。
[遅延調整部52]
遅延調整部52は変調信号に対して時間遅延処理を行い、DAC53に出力する。尚、この遅延調整処理の詳細に関しては後述する。
[DAC53]
DAC53は、遅延調整部52の出力を入力し、デジタル信号からアナログ信号に変換する。
[PA54]
PA54は、アナログ信号に変換された変調信号(xU0)を入力し、信号増幅を行う。
PA54では前述したように現実の電力増幅器では非線形歪みが生じ、この非線形歪み関数をf( )と定義する。したがって、PA54からの無線信号は、f(xU0) と表される。
[カップラ55]
カップラ55は、PA54からの無線信号f(xU0) を入力し、送信アンテナ56に出力すると共に入力信号の一部の電力をC端子に出力する。C端子に出力される電力は微小であるため、カップラの通過損失は少ない。
[送信アンテナ56]
送信アンテナ56は、カップラ55からの出力を送出する。
送信アンテナ56から送出された信号は、伝搬路57を経由して自局の受信アンテナ58に干渉波(xU)として到達する。干渉波(xU)は、伝搬路57により線形的な振幅や位相の歪(h)が生じ、以下の[数5]の数式(3)として記述される。
Figure 2024042230000006

数式(1)と数式(3)の差異は、PA54による非線形関数f( ) が適用されている点にある。
[受信アンテナ58]
受信アンテナ58は、図2の受信アンテナ16と同様に、相手局からの希望波(xD)も到達し、希望波(xD)と干渉波(xU)が混在した受信信号を入力し、減算器59の+端子に出力する。
[減算器59]
減算器59は、+端子に希望波(xD)と干渉波(xU)が混在した受信信号を入力し、-端子には干渉波レプリカ信号を入力する。
減算器59の出力は、希望波(xD)とキャンセル残差信号εである。キャンセル残差信号εは、希望波から干渉レプリカ信号を減算したものである。
[LNA5a]
LNA5aは、減算器59からの出力を電力増幅する。
ここで、LNA5aに過大な信号電力が入力されると、非線形歪みによる信号劣化が生じたり、最悪の場合は故障に繋がってしまう。そのため、LNA5aの前段に線形領域で動作する減算器59を設けることで、LNA5aへの入力の前に干渉波を除去し、LNA5aの非線形歪みを大幅に改善するものである。
[ADC5b]
ADC5bは、LNA5aからの出力をアナログ信号からデジタル信号に変換し、干渉レプリカ生成部5dと希望波復調部5fに出力する。
[干渉レプリカ生成部5d]
干渉レプリカ生成部5dは、ADC5bからの出力信号とPAレプリカ生成部5cからのPA54における非線形歪みを模擬した(模した)変調信号を入力し、当該変調信号を基に干渉波レプリカ信号を生成し、DAC5eに出力する。干渉波レプリカ信号の生成の詳細は後述する。
[DAC5e]
DAC5eは、干渉レプリカ生成部5dから出力された干渉レプリカ信号をデジタル信号からアナログ信号に変換して減算器の-端子に出力する。
[ADC5g]
ADC5gは、カップラ55から送信信号の電力の一部を入力し、アナログ信号からデジタル信号に変換してPAレプリカ係数算出部5hに出力する。この電力の一部からPA54の非線形歪みを検出するものである。
[遅延調整部5i]
遅延調整部5iは、変調信号生成部51から出力された変調信号を遅延させ、当該変調信号についてADC5gからPAレプリカ係数算出部5hに入力される同じタイミングで遅延させた変調信号をPAレプリカ係数算出部5hに出力する。
[PAレプリカ係数算出部5h]
PAレプリカ係数算出部5hは、遅延調整部5iからの遅延させた変調信号(xU0)と、その変調信号に同期するADC5gから非線形歪みを生じた無線信号f(xU0) のデジタル信号とからPAレプリカ信号(PA54における非線形歪み模擬した変調信号のレプリカ信号)を生成するための係数w(PA54を模するモデルのモデル係数)を算出してPAレプリカ生成部5cに出力する。
[PAレプリカ生成部5c]
PAレプリカ生成部5cは、変調信号生成部51から変調信号(xU0)を入力し、PAレプリカ係数算出部5hからPA54における非線形歪みを模擬した(模した)変調信号(PAレプリカ信号)を形成するための係数wを入力し、変調信号生成部51から入力された変調信号(xU0)に対して係数wを用いて非線形歪みを模擬した変調信号を生成して干渉レプリカ生成部5dに出力する。
[本システムでのPAレプリカ信号・干渉レプリカ信号の生成方法]
以下、本システムにおけるPAレプリカ信号及び干渉レプリカ信号の生成について具体的に説明する。
PAレプリカ生成部5cでは、PA54の非線形歪みを模擬した変調信号を生成する。この非線形歪みを模擬した変調信号を[数6]に示す。
Figure 2024042230000007

ここで、fの上のハット「^」は、PA54の非線形歪み関数f( )の推定を意味している。
このPA54の非線形歪みを模擬した変調信号について、タイミング調整を行いながら生成することが本システムの特徴であり、これらの詳細に関しては後述する。
干渉レプリカ生成部5dでは上記非線形歪み変調信号を既知の参照信号として、受信信号から干渉波レプリカ信号を減じたxD +εを入力し、残差成分εを最小化することにより[数7]に示す干渉波レプリカ信号を生成する。
Figure 2024042230000008
干渉レプリカ生成部5dでは、数式(4)に示す伝送路特性の推定値h「^」を算出する。図2で説明したように、この推定方式は種々の方式が考えられるが、本発明ではどのような方式であっても差し支えない。
このように、数式(4)の干渉波レプリカ信号を算出するためには非線形歪み特性の推定関数と伝送路特性の推値を算出する必要があるが、本システムではPAレプリカ生成部5cにて非線形歪み信号(数式(4)の右辺の関数の値)を推定し、干渉レプリカ生成部5dにて回り込みの伝搬路特性(数式(4)の右辺の伝送路特性の推定値)を推定する。
このように推定すべき2つのパラメータを二段階で独立に推定することにより推定精度の向上や、推定の収束速度の高速化が期待できる。
数式(4)の右辺に示した干渉波レプリカ信号は、DAC5eに入力され、デジタル信号からアナログ信号に変換され、干渉波(xU )を除去するための信号として減算器59の-端子に入力される。
以上、説明したように、本システムの干渉キャンセラでは、PA54にて非線形歪みが生じたとしても、干渉波(xU )を高精度にキャンセルすることが可能となる。
干渉波(xU )をキャンセルすることで抽出された希望波(xD )は希望波復調部5fに入力され、相手局からの希望波(xD )を復調して良好な通信を実現する。
[PAレプリカ生成のタイミング調整]
次に、PAレプリカ生成に関するタイミング調整に関する説明を行う。
本システムによるタイミング調整は遅延調整部(第1の遅延調整部)52と、遅延調整部(第2の遅延調整部)5iとを使用して二段階のタイミング調整を行う。
PAレプリカ生成部5cではPA54の非線形歪みを模擬した変調信号を生成する機能を有することは前述したが、干渉波をキャンセルするためには、減算器59の+端子の入力タイミングと-端子の入力タイミングを一致させる必要がある。
PA54の出力信号は、カップラ55、送信アンテナ56、伝搬路57、受信アンテナ58を経由して減算器59の+端子に到達するが、その伝搬時間はケーブルや空間の伝搬遅延が主であり、数ns程度と非常に短い。
一方、干渉波レプリカを生成するためには、PAレプリカ生成部5c、干渉レプリカ生成部5d、DAC5eを経由して減算器59の-端子に到達する。これらの処理はデジタル信号処理で実現され、数十~数百nsの遅延を要してしまう。
そのため、PA54の出力にアナログ遅延器を挿入してタイミングを調整する方法も考えられるが、アナログ信号を数十~数百ns遅延させることは非常に困難である。また、遅延が実現できたとしても電力が低下してしまうなどの問題も発生し、これは現実的な解決策でない。
したがって、本システムでは遅延調整部52を設け、デジタル信号の領域でタイミング調整を実現する。デジタル領域であれば、サンプリングクロック周期単位で遅延を容易に調整することが可能である。
また、サンプリング系列のフィルタ内挿補間により、サンプリングクロック周期以下の遅延調整も行うことが可能である。
遅延調整部52は、変調信号生成部51の出力から、遅延調整部52、DAC53、PA54、カップラ55、送信アンテナ56、伝搬路57、受信アンテナ58、減算器59の+端子までの時間と、変調信号生成部51の出力からPAレプリカ生成部5c、干渉レプリカ生成部5d、DAC5e、減算器59の-端子までの時間を一致させるように遅延時間を調整する。
[PAレプリカ生成方式]
最後にPAレプリカ生成方式に関して説明を行う。
PAレプリカ信号(非線形歪み信号:数式(4)の右辺の関数の値)は、PAレプリカ係数算出部5hとPAレプリカ生成部5cにより生成される。
この際、PA54の特性を推定するため、カップラ55のC端子からの出力信号をADC5gに入力し、デジタル信号に変換する。
こうして得られたPA54の非線形歪み信号f(xU0)は、PAレプリカ係数算出部5hに入力される。PAレプリカ係数算出部5hのもう一方の入力は、変調信号生成部51の変調信号(xU0)を、遅延調整部5iを経由した[数8]に示す信号が入力される。
Figure 2024042230000009
PAレプリカ係数算出部5hは、PAの非線形モデルの係数を算出する。PA非線形モデルとしてHammersteinモデルが良く用いられている。Hammersteinモデルは[数9]の数式(5)に示される。
Figure 2024042230000010
ここでnは奇数n次次数、Nは最大次数、mはサンプル時刻、Mはフィルタタップ数、Wn,m はn次数、m番目のタップ係数を示している。数式(5)に示すように、非線形歪みは変調信号(xU0)の奇数n次次数信号の線形和で表すことができる。
例えば、N=7次、タップ数M=1の例について[数10]の数式(6)に記載する。
Figure 2024042230000011
PAレプリカ係数算出部5hでは、数式(5)における係数Wn,m 、数式(6)におけるW1~W7 を算出することを目的としている。PA54の非線形特性がHammersteinモデルに従う場合には、適切な係数Wn,m を算出することができれば、PAの特性を忠実に再現することが可能となる。
また、[数9]の数式(5)に示したHammersteinモデルは無記憶非線形モデル、すなわち、過去の信号が現在の信号に影響を及ぼさないモデルとして知られており、比較的狭帯域信号の電力増幅器モデルに適している。一方、メモリ効果非線形モデルは、過去の信号が記憶素子同等の特性を有し、現在の信号に影響を及ぼすモデルであり、広帯域信号の電力増幅器モデルに適している。本発明は、用いる電力増幅器のモデルには依存しないため、無記憶非線形モデルやメモリ効果非線形モデルであって差し支えない。
PAレプリカ係数算出部5hでは線形信号の(xU0)と非線形信号のf(xU0) を比較して係数Wn,m を算出するが、この際、f(xU0) は(xU0)に対して遅延調整部52、DAC53、PA54、カップラ55、ADC5gを経由してPAレプリカ係数算出部5hに到達するため、(xU0)とf(xU0) に時間差が生じている。
この時間差の問題を解決するため、本発明では、係数算出とPAレプリカ生成を分離させる方法を採用した。
まずは係数算出のため、f(xU0) と(xU0)の時間差を遅延調整部5iにより調整する。
遅延調整部5iではこれら信号のタイミングを一致させるため、遅延調整部52と同様の手法によりタイミング調整を行い、[数8]に示した遅延信号を出力する。
PAレプリカ係数算出部5hでは、上記遅延信号を[数11]の数式(7)に代入して得られた非線形歪み信号(数式(4)の右辺の関数の値)とカップラ55からのf(xU0) との誤差が最小になるように各次数の係数Wn,m を適応的に求める。数式(7)は数式(5)の(xU0)を[数8]の遅延信号に置き換えた式となっている。
Figure 2024042230000012

係数Wn,m を算出する適応アルゴリズムはLeast Mean Square法やRecursive Least Square法などがあるが、他のアルゴリズムであっても差し支えない。
PAレプリカ係数算出部5hでは、内部の信号処理過程において数式(7)を算出するが、その演算結果は遅延調整部5iにおいて時間遅延しているため、減算器59では干渉波とタイミングが一致しないため、数式(7)の演算結果を干渉波レプリカとして用いることはできない。
そのため、PAレプリカ係数算出部5hで算出した各次数の係数Wn,m をPAレプリカ生成部5cに入力する。
PAレプリカ生成部5cでは数式(5)に記載した演算を行い、[数6]に示した非線形歪み変調信号を生成する。数式(5)における係数Wn,m はPAレプリカ係数算出部5hで求めた係数である。
このように、時間的に遅延した[数8]に示す信号に対して算出した係数Wn,m を、遅延していない信号(xU0)に適用することにより干渉波と干渉波レプリカのタイミングを一致させることが可能となり、高精度に干渉波をキャンセルすることが可能となる。
ここで、用いる係数Wn,m は時間遅延した信号に基づいて算出しているが、PA54の特性が温度変化や経年変化など緩やかな時間変化であれば、数十ns程度の係数の遅延は推定精度を劣化させるようなことはない。
以上説明したように、本システムにより非線形歪みが生じた信号を使用する全二重無線通信環境であっても、適切なタイミング調整を行うことでPAレプリカ信号を高精度に推定し、干渉信号を高精度にキャンセルすることができる。
[実施の形態の効果]
本システムによれば、送信装置が、変調信号を生成する変調信号生成部51と、変調信号を送信用に電力増幅するPA54と、電力増幅された送信用の信号を送出する送信アンテナ56と、PA54からの出力信号の一部からPAのレプリカ信号を生成するPAレプリカ生成部5cとを備え、受信装置が、受信用の受信アンテナ58と、受信アンテナ58からの受信信号から干渉波のレプリカ信号を減算する減算器59と、PAのレプリカ信号を参照信号として減算器59で減算された信号に含まれる残差成分が最小になるよう干渉波のレプリカ信号を生成する干渉レプリカ生成部5dとを備えるようにしているので、自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できる効果がある。
本発明は、自局の送信アンテナから自局の受信アンテナに回り込んだ干渉波を高精度に除去できる無線通信システムに好適である。
1a,5d…干渉レプリカ生成部、 1b,5e…DAC(D/A変換器)、 1c,5f…希望波復調部、 5c…PAレプリカ生成部、 5g…ADC(A/D変換器)、 5h…PAレプリカ係数算出部、 5i…遅延調整部(第2の遅延調整部)、 11,51…変調信号生成部、 12,53…DAC(D/A変換器)、 13,54…PA(電力増幅器)、 14,56…送信アンテナ、 15,57…伝搬路、 16,58…受信アンテナ、 17,59…減算器、 18,5a…LNA(低雑音増幅器)、 19,5b…ADC(A/D変換器)、 52…遅延調整部(第1の遅延調整部)、 55…カップラ

Claims (5)

  1. 送信装置と受信装置を備える無線通信システムであって、
    前記送信装置は、変調信号を生成する変調信号生成部と、前記変調信号を送信用に電力増幅する電力増幅器と、前記電力増幅された送信用の信号を送出する送信アンテナと、前記電力増幅器からの出力信号の一部から前記電力増幅器のレプリカ信号を生成する電力増幅器レプリカ生成部とを備え、
    前記受信装置は、受信用の受信アンテナと、前記受信アンテナからの受信信号から干渉波のレプリカ信号を減算する減算器と、前記電力増幅器で生成された電力増幅器のレプリカ信号を参照信号として前記減算器で減算された信号に含まれる残差成分が最小になるよう前記干渉波のレプリカ信号を生成する干渉レプリカ生成部とを備えることを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記送信装置は、前記電力増幅器からの出力信号の一部を分離するカップラと、前記カップラからの出力信号と前記変調信号とに基づいて前記電力増幅器を模するモデルのモデル係数を算出する電力増幅器レプリカ係数算出部とを備え、
    前記電力増幅器レプリカ生成部は、変調信号を基に前記係数を用いて干渉波のレプリカ信号を生成することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  3. 前記減算器における受信信号と干渉波のレプリカ信号の入力のタイミングを調整するために前記電力増幅器の前段に変調信号を遅延させる第1の遅延調整部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
  4. 前記電力増幅器レプリカ係数算出部における変調信号と前記カップラからの出力信号の入力のタイミングを調整するために前記変調信号の入力を遅延させる第2の遅延調整部を設けたことを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
  5. 前記電力増幅器レプリカ係数算出部は、変調信号の線形信号と前記カップラからの出力信号の非線形信号を比較して前記電力増幅器を模するモデルのモデル係数を算出することを特徴とする請求項2又は4記載の無線通信システム。
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