JP2024041006A - 鉄骨構造物の補強構造及び補強方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】既成の鉄骨構造物を、簡易に、且つ補強すべき種類の強度を的確に補強できる、鉄骨構造物の補強構造及び補強方法を提供すること。【解決手段】柱と梁とを具備する鉄骨構造物における補強構造であって、柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して形成された補強部を具備する、鉄骨構造物の補強構造、例えば、2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記フランジの長さ方向中央部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている補強構造、該鋼材における上記フランジの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている補強構造、該鋼材における上記ウェブの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている補強構造。【選択図】図2
Description
本発明は、鉄骨構造物の補強構造及び補強方法に関し、具体的には、簡易かつ簡便な工法で補強目的に応じた補強を可能とする鉄骨構造物の補強構造及び補強方法に関するものである。
鉄骨構造物は、建築物等として用いられている。一般に鉄骨構造物は、強度に優れており、更に材料技術や構造設計技術の進歩により、構造強度、耐震性は向上している。
しかし、鉄骨構造物でも経年劣化により強度及び耐震性が低下する。また、地震等の影響により求められる基準が設計時よりも高くなる場合もある。
これらの場合に対応するべく、種々の補強構造及び補強方法が提案されているが、一旦組み上げた構造物における骨組みの部分に他の部材を溶接又はボルト等の締結部材を用いて補強部材を組み込むのは構造上不可能である場合が多く、またできるとしても多大な労力を要し、コストも高くなるという問題があった。
そこで、接着剤を用いて既存構造物を簡易に補強する方法が種々提案されている。
例えば、特許文献1(特許6474071号公報)には、より工期が短く、よりコストのかからない耐震補強方法及び耐震補強建築物が提案されている。具体的には、複数のガイドピン及び複数のスペーサーが固定された面を有する鉄骨部材の面及びガイドピンに接着剤を塗布し、予め鉄骨部材のガイドピンが挿入可能となる穴が形成された面を有するコンクリートに、ガイドピンを挿入しつつ押し当て、コンクリートと鉄骨部材を接着する補強方法が提案されている。
また、特許文献2(特許6114012号公報)には、鉄骨造建築物の梁や柱に被接着部材を接着する状況において、その接着部に、より大きな接着面積を確保することが可能な接着による補強工法が提案されている。具体的には、鉄骨造建築物を構成する鉄骨梁に被接着部材を接着する接着工法であって、鉄骨梁の外表面のうちいずれか複数の面の各面の少なくとも一部に対して、空間層を介して被接着部材を覆設する、被接着部材覆設工程と、被接着部材覆設工程の後に、空間層にエポキシ樹脂を充填することにより、被接着部材と鉄骨梁とを接着する、接着剤充填工程と、を含む工法が提案されている。
しかし、鉄骨構造物でも経年劣化により強度及び耐震性が低下する。また、地震等の影響により求められる基準が設計時よりも高くなる場合もある。
これらの場合に対応するべく、種々の補強構造及び補強方法が提案されているが、一旦組み上げた構造物における骨組みの部分に他の部材を溶接又はボルト等の締結部材を用いて補強部材を組み込むのは構造上不可能である場合が多く、またできるとしても多大な労力を要し、コストも高くなるという問題があった。
そこで、接着剤を用いて既存構造物を簡易に補強する方法が種々提案されている。
例えば、特許文献1(特許6474071号公報)には、より工期が短く、よりコストのかからない耐震補強方法及び耐震補強建築物が提案されている。具体的には、複数のガイドピン及び複数のスペーサーが固定された面を有する鉄骨部材の面及びガイドピンに接着剤を塗布し、予め鉄骨部材のガイドピンが挿入可能となる穴が形成された面を有するコンクリートに、ガイドピンを挿入しつつ押し当て、コンクリートと鉄骨部材を接着する補強方法が提案されている。
また、特許文献2(特許6114012号公報)には、鉄骨造建築物の梁や柱に被接着部材を接着する状況において、その接着部に、より大きな接着面積を確保することが可能な接着による補強工法が提案されている。具体的には、鉄骨造建築物を構成する鉄骨梁に被接着部材を接着する接着工法であって、鉄骨梁の外表面のうちいずれか複数の面の各面の少なくとも一部に対して、空間層を介して被接着部材を覆設する、被接着部材覆設工程と、被接着部材覆設工程の後に、空間層にエポキシ樹脂を充填することにより、被接着部材と鉄骨梁とを接着する、接着剤充填工程と、を含む工法が提案されている。
しかしながら、上述の提案に係る補強方法では、未だガイドピンの設置のための工程、空気層を形成したあとで樹脂を注入する等の工程が必要であり、煩雑さが十分に解消されていなかった。また、補強と一口に言っても求められる強度は複数種あり、求められる強度に応じた補強まで可能となるものではなかった。
要するに、従来提案されている補強構造及び補強方法では、未だ簡易であるとまでは言えず、十分に求められる補強ができるものではなく、より簡易に、求められる補強を実現できる補強構造及び補強方法の提案が要望されているのが現状である。
要するに、従来提案されている補強構造及び補強方法では、未だ簡易であるとまでは言えず、十分に求められる補強ができるものではなく、より簡易に、求められる補強を実現できる補強構造及び補強方法の提案が要望されているのが現状である。
したがって、本発明の目的は、既成の鉄骨構造物を、簡易に、且つ補強すべき種類の強度を的確に補強できる、鉄骨構造物の補強構造及び補強方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、強度の向上を図る部位に直接、接着剤を介して補強材を貼り付けることにより上記目的を達成し得ることを知見し、更に検討を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.柱と梁とを具備する鉄骨構造物における補強構造であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して形成された補強部を具備する、鉄骨構造物の補強構造。
2.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記フランジの長さ方向中央部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている1記載の補強構造。
3.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記フランジの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている、1記載の補強構造。
4.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記ウェブの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている、1記載の補強構造。
5.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記ウェブに、補強材としてのガセットプレートの一面が、接着剤を介して貼り付けられて設けられている、1記載の補強構造。
6.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材を梁とし、これらの梁と柱とにより矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材間に小梁としての小幅の鋼材が複数配された構造体に適用される補強構造であって、小梁の締結されていない、対向する鋼材の上記ウェブの長手方向全体に亘って板状の補強材が接着剤を介して配されている、1記載の補強構造。
7.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材を梁とし、これらの梁と柱とにより矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材間に小梁としての小幅の鋼材が複数配された構造体に適用される補強構造であって、鋼材と小梁とが並設されている状態で、各鋼材及び小梁の下面に該鋼材及び該小梁と直交して、補強材が接着剤を介して接着されている、1記載の補強構造。
8.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材におけるフランジの長さ方向中央部分に、断面L字状の補強材の1面を、接着剤を介して接着し、更に、フランジの側縁側から鋼材の幅方向中央に向けて立設された補強材の他面に、補強板が設けられている、1記載の補強構造。
9.柱と梁とを具備する鉄骨構造物の補強方法であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して補強部を形成する接着工程を具備する、鉄骨構造物の補強方法。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.柱と梁とを具備する鉄骨構造物における補強構造であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して形成された補強部を具備する、鉄骨構造物の補強構造。
2.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記フランジの長さ方向中央部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている1記載の補強構造。
3.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記フランジの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている、1記載の補強構造。
4.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記ウェブの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている、1記載の補強構造。
5.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記ウェブに、補強材としてのガセットプレートの一面が、接着剤を介して貼り付けられて設けられている、1記載の補強構造。
6.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材を梁とし、これらの梁と柱とにより矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材間に小梁としての小幅の鋼材が複数配された構造体に適用される補強構造であって、小梁の締結されていない、対向する鋼材の上記ウェブの長手方向全体に亘って板状の補強材が接着剤を介して配されている、1記載の補強構造。
7.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材を梁とし、これらの梁と柱とにより矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材間に小梁としての小幅の鋼材が複数配された構造体に適用される補強構造であって、鋼材と小梁とが並設されている状態で、各鋼材及び小梁の下面に該鋼材及び該小梁と直交して、補強材が接着剤を介して接着されている、1記載の補強構造。
8.2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材におけるフランジの長さ方向中央部分に、断面L字状の補強材の1面を、接着剤を介して接着し、更に、フランジの側縁側から鋼材の幅方向中央に向けて立設された補強材の他面に、補強板が設けられている、1記載の補強構造。
9.柱と梁とを具備する鉄骨構造物の補強方法であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して補強部を形成する接着工程を具備する、鉄骨構造物の補強方法。
本発明の補強構造は、既成の鉄骨構造物を、簡易に、且つ補強すべき種類の強度を的確に補強できるものである。
本発明の補強方法によれば、既成の鉄骨構造物を、簡易に補強できる。
本発明の補強方法によれば、既成の鉄骨構造物を、簡易に補強できる。
1 鉄骨構造物、3 柱、5 梁、7 連結部材、9 締結部材、101 補強構造、110 フランジ、120 ウェブ、105 鋼材、130 補強材
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<補強構造>
まず、本発明の補強構造について説明する。
本発明の補強構造は、既成の柱と梁とを具備する鉄骨構造物に適用される。具体例としては、図1に示すような、鉄骨構造物1に適用される。ここで鉄骨構造物1は、中空の四角柱形状の柱3の四方にH鋼からなる梁5が、直接溶接にて、又は連結部材7を介してボルトとビスからなる締結部材9により連結されて、構成されている構造物等に適用することができる。
そして、図2に示す本実施形態の補強構造101は、図1に示す構造物において梁として用いられているH鋼からなる鋼材105、すなわちそれぞれ対向して配された2つのフランジ110とこれらのフランジ110間に両者を連結するように設けられたウェブ120とからなる鋼材105に適用される。すなわち、本実施形態の補強構造101は、この鋼材105におけるフランジ110の長さ方向中央部分に、板状の補強材130が接着剤を介して接着されて構成されている。なお、図面において接着剤は省略する(以下、すべての図において同じく省略する)。ここで、長さ方向中央部分とは、鋼材(フランジ)の長さを100としたときいずれかの端部から50程度の位置を示す。補強材130の長さは目的とする補強強度に応じて任意であるが、鋼材(フランジ)の長さを100としたとき50~100の長さとすることができる。
補強材130は、本実施形態においては板状であり、補強材の材質はH鋼と同様の鋼材の他、ステンレス、アルミ等の金属、プラスチック、木質材料等を用いることもできる。また、形状も板状の他、L字状、アングル、T型、C型、ハット型、キューブ型等とすることもできる。
本実施形態において用いることができる接着剤としては、アクリル樹脂系の接着剤、具体的には例えば商品名「メタルロックY600」セメダイン株式会社製、エポキシ樹脂系の接着剤、具体的には例えば商品名「アルファテックAT435」アルファ工業株式会社製、等を上げることができる。接着剤の塗工量は、目付で、 0.1~0.2g/cm2とするのが好ましい。
本実施形態のように、鋼材の長さ方向中央部分で且つフランジ部分に、板状又はL字状等の形状の補強材を、接着剤を介して配する構成により、特に曲げ強度の改善、すなわち曲げ補強を実現することができる。
なお、本実施形態においては、H鋼を例示して説明したが、リップ溝形鋼(いわゆるC鋼)又は軽溝形鋼におけるフランジ部分に補強材を貼り付けることもできる。
<補強構造>
まず、本発明の補強構造について説明する。
本発明の補強構造は、既成の柱と梁とを具備する鉄骨構造物に適用される。具体例としては、図1に示すような、鉄骨構造物1に適用される。ここで鉄骨構造物1は、中空の四角柱形状の柱3の四方にH鋼からなる梁5が、直接溶接にて、又は連結部材7を介してボルトとビスからなる締結部材9により連結されて、構成されている構造物等に適用することができる。
そして、図2に示す本実施形態の補強構造101は、図1に示す構造物において梁として用いられているH鋼からなる鋼材105、すなわちそれぞれ対向して配された2つのフランジ110とこれらのフランジ110間に両者を連結するように設けられたウェブ120とからなる鋼材105に適用される。すなわち、本実施形態の補強構造101は、この鋼材105におけるフランジ110の長さ方向中央部分に、板状の補強材130が接着剤を介して接着されて構成されている。なお、図面において接着剤は省略する(以下、すべての図において同じく省略する)。ここで、長さ方向中央部分とは、鋼材(フランジ)の長さを100としたときいずれかの端部から50程度の位置を示す。補強材130の長さは目的とする補強強度に応じて任意であるが、鋼材(フランジ)の長さを100としたとき50~100の長さとすることができる。
補強材130は、本実施形態においては板状であり、補強材の材質はH鋼と同様の鋼材の他、ステンレス、アルミ等の金属、プラスチック、木質材料等を用いることもできる。また、形状も板状の他、L字状、アングル、T型、C型、ハット型、キューブ型等とすることもできる。
本実施形態において用いることができる接着剤としては、アクリル樹脂系の接着剤、具体的には例えば商品名「メタルロックY600」セメダイン株式会社製、エポキシ樹脂系の接着剤、具体的には例えば商品名「アルファテックAT435」アルファ工業株式会社製、等を上げることができる。接着剤の塗工量は、目付で、 0.1~0.2g/cm2とするのが好ましい。
本実施形態のように、鋼材の長さ方向中央部分で且つフランジ部分に、板状又はL字状等の形状の補強材を、接着剤を介して配する構成により、特に曲げ強度の改善、すなわち曲げ補強を実現することができる。
なお、本実施形態においては、H鋼を例示して説明したが、リップ溝形鋼(いわゆるC鋼)又は軽溝形鋼におけるフランジ部分に補強材を貼り付けることもできる。
以下、他の実施形態について図3~8を用いて説明する。以下の説明においては、それぞれ補強目的の強度の種類が異なる例を説明するが、上述の図2に示す実施形態と同様の部分、特に接着剤の具体例や塗工量、補強材の形状や材質については、特に説明しない。特に説明しない部分については、上述の図2に示す例においてした説明が打倒する。また、図3に示す例と同様に接着剤は省略して示す。
図3に示す実施形態の補強構造201は、図1に示す構造物において梁として用いられている鋼材205におけるフランジ210の長さ方向両側部分に、板状の補強材230が接着剤を介して接着されて構成されている。なお、図面において接着剤は省略する。ここで、長さ方向両側部分とは、鋼材(フランジ)の長さを100としたときいずれかの端部から長さ10程度中央側に位置する部位を示す。補強材230の長さは目的とする補強強度に応じて任意であるが、鋼材(フランジ)の長さを100としたとき5~20とすることができる
本実施形態のように、鋼材の長さ方向左右両側部分で且つフランジ部分に、板状又はL字状等の形状の補強材230を、接着剤を介して配する構成により、特に曲げたわみ強度の改善、すなわち曲げたわみ補強を実現することができる。
図3に示す実施形態の補強構造201は、図1に示す構造物において梁として用いられている鋼材205におけるフランジ210の長さ方向両側部分に、板状の補強材230が接着剤を介して接着されて構成されている。なお、図面において接着剤は省略する。ここで、長さ方向両側部分とは、鋼材(フランジ)の長さを100としたときいずれかの端部から長さ10程度中央側に位置する部位を示す。補強材230の長さは目的とする補強強度に応じて任意であるが、鋼材(フランジ)の長さを100としたとき5~20とすることができる
本実施形態のように、鋼材の長さ方向左右両側部分で且つフランジ部分に、板状又はL字状等の形状の補強材230を、接着剤を介して配する構成により、特に曲げたわみ強度の改善、すなわち曲げたわみ補強を実現することができる。
図4に示す実施形態の補強構造301は、図1に示す構造物において梁として用いられている鋼材305におけるウェブ320の長さ方向両側部分に、板状の補強材330が接着剤を介して接着されて構成されている。なお、図面において接着剤は省略する。ここで、長さ方向両側部分とは、鋼材(ウェブ)の長さを100としたとき中央部よりもいずれかの端部側に位置する部位であればよい。補強材330の長さは目的とする補強強度に応じて任意であるが、鋼材(ウェブ)の長さ方向全体に亘ってウェブ320を設置することもできる。
本実施形態のように、鋼材の長さ方向左右両側部分で且つウェブ部分に、板状の形状の補強材230を、接着剤を介して配する構成により、特にせん断強度の改善、すなわちせん断補強を実現することができる。
本実施形態のように、鋼材の長さ方向左右両側部分で且つウェブ部分に、板状の形状の補強材230を、接着剤を介して配する構成により、特にせん断強度の改善、すなわちせん断補強を実現することができる。
図5に示す実施形態の補強構造401は、図1に示す構造物において梁として用いられている鋼材405におけるウェブ420に、(a)に示すように、補強材としてのガセットプレート430の一面431が、接着剤を介して貼り付けられて設けられている。ガセットプレートとしては特に制限なく用いることができるが、(a)に示すように、L字状でボルト等の締結可能な穴の空いているものを用いることができる。そして、(b)に示すように、鋼材405と直交するように小梁を構成するH鋼からなる鋼材407を、その先端が、ガセットプレート430のウェブ420から鉛直方向に立設された立設面433に当接するように配されて、接着剤又はボルト等の締結部材を介して固定されている。
本実施形態のように、ガセットプレートを補強材として用い、このガセットプレートを介して小梁を設置することにより、簡易な操作で、ガセットプレートの溶接を省略することができる。
なお、ガセットプレートとしては、L字状のものだけでなく、T字状のものも用いることができる。
本実施形態のように、ガセットプレートを補強材として用いることで、床吹き抜けなど床配置の変更に対応が容易となる。
本実施形態のように、ガセットプレートを補強材として用い、このガセットプレートを介して小梁を設置することにより、簡易な操作で、ガセットプレートの溶接を省略することができる。
なお、ガセットプレートとしては、L字状のものだけでなく、T字状のものも用いることができる。
本実施形態のように、ガセットプレートを補強材として用いることで、床吹き抜けなど床配置の変更に対応が容易となる。
図6に示す実施形態の補強構造501は、図1に示す構造物において梁として用いられている鋼材505におけるウェブ520に、補強材530が、接着剤を介して貼り付けられて設けられている。本実施形態においては、4本の鋼材505と柱503により矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材505間に小梁507としての小幅の鋼材(H鋼)が複数配された構造体としている。そして、本実施形態においては、小梁507の締結されていない、対向する鋼材505のウェブ520の長手方向全体に亘って板状の補強材530が接着剤を介して配されている。
ここで用いることができる補強材530の形状は、板状とする事もできるが、図7(a)に示すようにC型鋼を用いることもでき、図7(b)に示すようにハット型の鋼材を用いることもできる。図7(a)のC型鋼の場合にはウェブ520を覆って配され、接着剤により接着されるのは、C型稿のフランジ部分と鋼材505のフランジ部分となる。図7(b)に示すハット型の鋼材を用いた場合には、ウェブに接する部分が接着されている。
本実施形態のように、鋼材の長さ方向全体に亘って且つウェブ部分に、補強材230を、接着剤を介して配する構成により、特に横座屈強度の改善、すなわち横座屈補強を実現することができる。
ここで用いることができる補強材530の形状は、板状とする事もできるが、図7(a)に示すようにC型鋼を用いることもでき、図7(b)に示すようにハット型の鋼材を用いることもできる。図7(a)のC型鋼の場合にはウェブ520を覆って配され、接着剤により接着されるのは、C型稿のフランジ部分と鋼材505のフランジ部分となる。図7(b)に示すハット型の鋼材を用いた場合には、ウェブに接する部分が接着されている。
本実施形態のように、鋼材の長さ方向全体に亘って且つウェブ部分に、補強材230を、接着剤を介して配する構成により、特に横座屈強度の改善、すなわち横座屈補強を実現することができる。
図8に示す実施形態の補強構造601は、図1に示す構造物において梁として用いられている鋼材605と柱603とを4本用いて矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材605間に小梁としての小幅のH鋼607が複数配された構造体としている。そして、鋼材605と小梁607とが並設されている状態で、各鋼材605及び小梁607の下面に各鋼材605及び小梁607と直交して、補強材630が接着剤を介して接着されている。ここで、補強材630としては、板状、棒状のものの他、L型、T型又はC型の鋼材等を用いることができる。
本実施形態のように、並設された鋼材の下面に、鋼材と直交するように補強材630を、接着剤を介して配する構成により、特に横座屈強度の改善、すなわち横座屈補強を実現することができる。
図911に示す実施形態の補強構造901は、図1に示す構造物において梁として用いられているH鋼からなる鋼材905におけるフランジ910の長さ方向中央部分に、断面L字状の補強材930の1面が接着剤を介して接着されている。本実施形態の補強構造901においては、更に、フランジ910の側縁側から鋼材905の幅方向中央に向けて立設された補強材930の他面931に、ボルトとナット等の締結部材909を介して補強板935が設けられている。なお補強板935は締結部材でなく接着剤を介して又は溶接により設けても良い。
本実施形態のように、補強材930に加えて補強板935を設置することにより、ねじれ強度の改善、すなわちねじれ補強を実現することができる。
本実施形態のように、並設された鋼材の下面に、鋼材と直交するように補強材630を、接着剤を介して配する構成により、特に横座屈強度の改善、すなわち横座屈補強を実現することができる。
図911に示す実施形態の補強構造901は、図1に示す構造物において梁として用いられているH鋼からなる鋼材905におけるフランジ910の長さ方向中央部分に、断面L字状の補強材930の1面が接着剤を介して接着されている。本実施形態の補強構造901においては、更に、フランジ910の側縁側から鋼材905の幅方向中央に向けて立設された補強材930の他面931に、ボルトとナット等の締結部材909を介して補強板935が設けられている。なお補強板935は締結部材でなく接着剤を介して又は溶接により設けても良い。
本実施形態のように、補強材930に加えて補強板935を設置することにより、ねじれ強度の改善、すなわちねじれ補強を実現することができる。
<補強方法>
ついで、本発明の補強方法について説明する。
本発明の補強方法は、柱と梁とを具備する鉄骨構造物の補強方法であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して補強部を形成する接着工程を行う事により、実施することができる。
特に本発明においては、補強目的に応じて、接着工程を調整することができる。
例えば、図2に示す本実施形態の補強構造101を構築する際には、鋼材105におけるフランジ110の長さ方向中央部分に、補強材130を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
また、図3に示す実施形態の補強構造201を構築する際には、鋼材205におけるフランジ210の長さ方向両側部分に、補強材230を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
図4に示す実施形態の補強構造301を構築する際には、鋼材305におけるウェブ320の長さ方向両側部分に、補強材330を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
図5に示す実施形態の補強構造401を構築する際には、鋼材405におけるウェブ420に、補強材としてのガセットプレート430の一面431を、接着剤を介して接着する接着工程を行った後、さらにガセットプレート430の立設面433に鋼材(H鋼)407を、その先端が、ガセットプレート430のウェブ420から鉛直方向に立設された立設面433に当接するように配し、接着剤又はボルト等の締結部材を介して固定する部材固定工程を実施する。
図6に示す実施形態の補強構造501を構築する際には、4本の鋼材505及び柱503により形成された矩形の柱梁構造と、この柱梁構造における対向する2本の鋼材505間に小梁507が複数配された構造体における、小梁507の締結されていない、対向する鋼材505のウェブ520の長手方向全体に亘って板状の補強材530を、接着剤を用いて接着する接着工程を実施する。
図8に示す実施形態の補強構造601を構築する際には、4本の鋼材605と柱とを用いて形成された矩形の柱梁構造と、この柱梁構造における対向する2本の鋼材605間に小梁607が複数配された構造体における、鋼材605及び小梁607の下面に各鋼材605及び小梁607と直交して、補強材630を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
図9に示す実施形態の補強構造901を構築する際には、鋼材905におけるフランジ910の長さ方向中央部分に、断面L字状の補強材930の1面を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。そして、フランジ910の側縁側からフランジ910の幅方向中央に向けて立設された補強材930の他面931に、ボルトとナット等の締結部材を介して補強板935を設置する。
ついで、本発明の補強方法について説明する。
本発明の補強方法は、柱と梁とを具備する鉄骨構造物の補強方法であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して補強部を形成する接着工程を行う事により、実施することができる。
特に本発明においては、補強目的に応じて、接着工程を調整することができる。
例えば、図2に示す本実施形態の補強構造101を構築する際には、鋼材105におけるフランジ110の長さ方向中央部分に、補強材130を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
また、図3に示す実施形態の補強構造201を構築する際には、鋼材205におけるフランジ210の長さ方向両側部分に、補強材230を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
図4に示す実施形態の補強構造301を構築する際には、鋼材305におけるウェブ320の長さ方向両側部分に、補強材330を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
図5に示す実施形態の補強構造401を構築する際には、鋼材405におけるウェブ420に、補強材としてのガセットプレート430の一面431を、接着剤を介して接着する接着工程を行った後、さらにガセットプレート430の立設面433に鋼材(H鋼)407を、その先端が、ガセットプレート430のウェブ420から鉛直方向に立設された立設面433に当接するように配し、接着剤又はボルト等の締結部材を介して固定する部材固定工程を実施する。
図6に示す実施形態の補強構造501を構築する際には、4本の鋼材505及び柱503により形成された矩形の柱梁構造と、この柱梁構造における対向する2本の鋼材505間に小梁507が複数配された構造体における、小梁507の締結されていない、対向する鋼材505のウェブ520の長手方向全体に亘って板状の補強材530を、接着剤を用いて接着する接着工程を実施する。
図8に示す実施形態の補強構造601を構築する際には、4本の鋼材605と柱とを用いて形成された矩形の柱梁構造と、この柱梁構造における対向する2本の鋼材605間に小梁607が複数配された構造体における、鋼材605及び小梁607の下面に各鋼材605及び小梁607と直交して、補強材630を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。
図9に示す実施形態の補強構造901を構築する際には、鋼材905におけるフランジ910の長さ方向中央部分に、断面L字状の補強材930の1面を、接着剤を介して接着する接着工程を実施する。そして、フランジ910の側縁側からフランジ910の幅方向中央に向けて立設された補強材930の他面931に、ボルトとナット等の締結部材を介して補強板935を設置する。
〔補強構造の製作、作用効果〕
本発明の補強構造は、上述のように簡易な構造により的確に要求される強度を向上させることができる。
従来の補強方法、例えば、断面を厚く又は大きくする方法では、局部的には使えない、コストが高い、空間が狭まる、既存断面には使えない等の問題がある。また、溶接で補強材をとめつける方法では、専門溶接工が必要で、超音波探査検査が必要であり、線による接合なので溶接長が長くなる、コストが高くなる、既存断面に現場で溶接するのは作業スペース面又は火気使用の点で困難な場合が多い、等の問題がある。ボルト・ビスで補強材をとめつける方法では、母材・補強材共に孔による断面欠損が生じる、点による接合なので個所数が多く必要、ボルト・ナットの出っ張りが生じる等の問題がある。
これに対して、本発明の補強構造では、接着剤を用いて補強材を貼り付けるだけの構成であるので、接着では断面欠損は生じない、面による接合なので接合する全面積が有効になる、必要箇所のみの断面強化が可能である等、上記の従来の補強方法における問題点をすべて解決している。
また、本発明の補強方法は、所望の箇所に接着剤を塗工して、補強材を貼り付けるだけの作業で補強構造を構築することができるので、簡易に所望の構造物の補強を行うことができる。
本発明の補強構造は、上述のように簡易な構造により的確に要求される強度を向上させることができる。
従来の補強方法、例えば、断面を厚く又は大きくする方法では、局部的には使えない、コストが高い、空間が狭まる、既存断面には使えない等の問題がある。また、溶接で補強材をとめつける方法では、専門溶接工が必要で、超音波探査検査が必要であり、線による接合なので溶接長が長くなる、コストが高くなる、既存断面に現場で溶接するのは作業スペース面又は火気使用の点で困難な場合が多い、等の問題がある。ボルト・ビスで補強材をとめつける方法では、母材・補強材共に孔による断面欠損が生じる、点による接合なので個所数が多く必要、ボルト・ナットの出っ張りが生じる等の問題がある。
これに対して、本発明の補強構造では、接着剤を用いて補強材を貼り付けるだけの構成であるので、接着では断面欠損は生じない、面による接合なので接合する全面積が有効になる、必要箇所のみの断面強化が可能である等、上記の従来の補強方法における問題点をすべて解決している。
また、本発明の補強方法は、所望の箇所に接着剤を塗工して、補強材を貼り付けるだけの作業で補強構造を構築することができるので、簡易に所望の構造物の補強を行うことができる。
なお、本発明は上述の実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
たとえば、補強材は、接着剤を介して貼り付けることが必須であるが、それに加えて締結部材(ボルト、ビス等)を介して補強することも可能である。
本発明は、既存の構造物・建築物に対して有効であるが、新築の構造物に対しても適用可能である。
たとえば、補強材は、接着剤を介して貼り付けることが必須であるが、それに加えて締結部材(ボルト、ビス等)を介して補強することも可能である。
本発明は、既存の構造物・建築物に対して有効であるが、新築の構造物に対しても適用可能である。
Claims (9)
- 柱と梁とを具備する鉄骨構造物における補強構造であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して形成された補強部を具備する、鉄骨構造物の補強構造。 - 2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記フランジの長さ方向中央部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている、請求項1記載の補強構造。
- 2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記フランジの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている、請求項1記載の補強構造。
- 2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記ウェブの長さ方向両側部分に、板状の補強材が接着剤を介して接着されて構成されている、請求項1記載の補強構造。
- 2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材における上記ウェブに、補強材としてのガセットプレートの一面が、接着剤を介して貼り付けられて設けられている、請求項1記載の補強構造。
- 2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材を梁とし、これらの梁と柱とにより矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材間に小梁としての小幅の鋼材が複数配された構造体に適用される補強構造であって、小梁の締結されていない、対向する鋼材の上記ウェブの長手方向全体に亘って板状の補強材が接着剤を介して配されている、請求項1記載の補強構造。
- 2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材を梁とし、これらの梁と柱とにより矩形の柱梁構造を構成し、その対向する2本の鋼材間に小梁としての小幅の鋼材が複数配された構造体に適用される補強構造であって、鋼材と小梁とが並設されている状態で、各鋼材及び小梁の下面に該鋼材及び該小梁と直交して、補強材が接着剤を介して接着されている、請求項1記載の補強構造。
- 2つのフランジとこれらのフランジ間に両者を連結するように設けられたウェブとからなる鋼材におけるフランジの長さ方向中央部分に、断面L字状の補強材の1面を、接着剤を介して接着し、更に、フランジの側縁側から鋼材の幅方向中央に向けて立設された補強材の他面に、補強板が設けられている、請求項1記載の補強構造。
- 柱と梁とを具備する鉄骨構造物の補強方法であって、
柱、梁、若しくは両者の連結部分に、補強材を、接着剤を介して接着して補強部を形成する接着工程を具備する、鉄骨構造物の補強方法。
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