JP2024039366A - 超音波ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波振動を効率的に伝播することが可能な超音波ノズルを提供すること。【解決手段】超音波ノズル1は、超音波振動が付与された液体を噴射する超音波ノズルであって、液体供給源5から供給された液体を一時的に貯留し下方に向かって縮径する略円錐形状の液体貯留部22と、液体貯留部22の下部から液体を噴射する噴射口23と、液体貯留部22の上部に設けられ、液体に超音波振動を付与する超音波振動子24とを備え、超音波振動子24は、ドーム形状であり、中央部に貫通孔27が形成されるとともに凹んでいる側が噴射口23に対面するように配設され、貫通孔27と連通し噴射口23の近傍で液体貯留部22に開口する流路6を更に有し、液体が噴射口23から噴射する際に流路6に発生する吸引力を利用して、超音波振動子24の凹部25に溜まった気泡100を流路6を通じて吸引し排出する。【選択図】図1
Description
本発明は、超音波ノズルに関する。
被洗浄物の表面に付着した汚染物を迅速かつ確実に除去する洗浄技術として超音波洗浄が知られている。
この超音波洗浄には多くの手法が存在し、例えば、超音波振動子を組み込んだノズルに洗浄液を供給し、ノズル中を流れる洗浄液に超音波を照射して当該洗浄液を噴出する超音波ノズルなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
こうした超音波ノズルは、一般に、洗浄水を供給する供給口、洗浄水を溜める水溜部、水溜部の先端に備えられた噴射口、および、平板形状の超音波振動子を有している。ところが、平板形状の超音波振動子から水溜部の水に伝えられる超音波振動は、水溜部の内壁で反射する。そのため、反射した超音波振動と超音波振動子から発振される超音波振動とが打ち消し合う場合がある。この場合、洗浄水によって伝播される超音波振動が弱まり、洗浄力が低下するという問題がある。
そこで、平板上の超音波振動子に替わってドーム型の超音波振動子を有する超音波ノズルが開発されている(例えば、特許文献2参照)。この構成においては、超音波振動が噴射口に向かって集中するので、超音波振動が水溜部内で反射しにくい。このため、噴射口から噴射される洗浄水により超音波振動を十分に伝播することができる。
しかしながら、水を下向きに排出する場合、ドーム型の超音波振動子だと凹球面が下に向いて配置されるため、この凹部に空気が溜まりやすく、この空気により水溜部に供給された洗浄水に超音波振動が効率的に伝播できなくなるという課題が存在していた。
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波振動を効率的に伝播することが可能な超音波ノズルを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の超音波ノズルは、超音波振動が付与された液体を噴射する超音波ノズルであって、液体供給源から供給された液体を一時的に貯留し、下方に向かって縮径する略円錐形状の液体貯留部と、該液体貯留部の下部から該液体を噴射する噴射口と、該液体貯留部の上部に設けられ、該液体に超音波振動を付与する超音波振動子と、を備え、該超音波振動子は、ドーム形状であり、中央部に貫通孔が形成されるとともに凹んでいる側が該噴射口に対面するように配設され、該貫通孔と連通し該噴射口の近傍で該液体貯留部に開口する流路を更に有することを特徴とする。
前記超音波ノズルでは、該開口は、該噴射口近傍において対向するように複数設けられても良い。
本発明は、超音波振動を効率的に伝播することが可能となるという効果を奏する。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態1に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る超音波ノズル1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る超音波ノズルの構成例を模式的に示す断面図である。
本発明の実施形態1に係る超音波ノズル1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る超音波ノズルの構成例を模式的に示す断面図である。
実施形態1に係る図1等に示す超音波ノズル1は、超音波振動(周波数が超音波の周波数と同等の振動)が付与された液体を噴射するものである。実施形態1では、切削加工が施されたシリコン、サファイア、ガリウムなどを基板とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の被加工物に超音波振動が付与された液体を噴射して、切削溝から切削屑を除去するものである。
なお、本発明では、超音波ノズル1は、切削屑の除去に限らず、SiC等から構成されるインゴットから剥離層を起点にウエーハを分離する際に、超音波振動が付与された液体をインゴットに噴射しても良く、デバイスを基板から剥離する所謂レーザーリフトオフ加工を施す際に、超音波振動が付与された液体をデバイスに噴射しても良く、レーザー加工前に被加工物を被覆する保護膜を洗浄する場合に、超音波振動が付与された液体を被加工物に噴射しても良い。
超音波ノズル1は、図1に示すように、ノズル部材2と、超音波振動子固定部材3と、蓋体4とを備える。ノズル部材2は、外観が方体状の方体状部21と、方体状部21に一体に形成されかつ略円錐形状の液体貯留部22と、噴射口23と、超音波振動子24とを備える。方体状部21は、外観の平面形状が四角形(正方形)状に形成され、内部に空間が形成されている。また、方体状部21は、内側の空間の平面形状が円形に形成されている。
液体貯留部22は、液体供給源5から供給された液体を内部に一時的に貯留して、被加工物に噴射するものである。液体貯留部22は、図1に示すように、方体状部21の下端に連なりかつ方体状部21から離れるのにしたがって即ち図1の下方に向かうにしたがって徐々に外径が縮径する略円錐形状(実施形態1では、接頭円錐形状)に形成されている。液体貯留部22は、内側に方体状部21から離れるのにしたがって即ち図1の下方に向かうにしたがって徐々に内径が縮径する空間が形成されている。
噴射口23は、液体貯留部22の下部に設けられ、液体貯留部22の下部から液体貯留部22に貯留された液体を噴射するものである。噴射口23は、液体貯留部22の下部を貫通し、液体貯留部22の内側の空間と連通している。
超音波振動子24は、方体状部21と液体貯留部22との間に即ち液体貯留部22の上部に設けられ、液体貯留部22に供給された液体に超音波振動を付与するものである。超音波振動子24は、中央が上方に向かって凸に湾曲したドーム形状の円板状に形成されて、外縁部が液体貯留部22の内周面に全周に亘って取り付けられている。超音波振動子24は、ノズル部材2内の空間を、方体状部21の内側の空間と液体貯留部22の内側の空間とに仕切っている。また、超音波振動子24は、前述したようにドーム形状の円板状に形成されているので、凹んでいる側の凹部25が液体貯留部22の軸心26に沿って噴射口23と対面するように配置されている。また、超音波振動子24は、最も上方に位置する中央に貫通孔27が形成されている。
超音波振動子24は、高周波電源に接続された圧電振動板と圧電振動板に密に重ねられた共振板を備えている。圧電振動板は、高周波電源から1MHz~3MHzの高周波電圧が印加され、高周波電圧が印加されることで振動し、超音波振動を発生する。圧電振動板は、たとえば、型枠を用いた一体成型によって形成されることが可能である。
共振板は、圧電振動板よりも噴射口23寄りに配置されている。共振板の噴射口23に相対する内面は、液体貯留部22内の液体に向けて超音波振動を輻射する輻射面となっている。輻射面から輻射される超音波振動は、輻射面から所定距離だけ離れた位置(実施形態1では噴射口23)で焦点を結んで、この位置に集中する。
共振板は、圧電振動板の超音波振動に共振することにより、輻射面から液体貯留部22内の液体に、超音波振動を伝える。これにより、超音波振動子24は、液体貯留部22内に貯留された液体に超音波振動を付与し、噴射口23から外部に向かって噴射される液体に超音波振動が付与される。
また、超音波ノズル1は、ノズル部材2の液体貯留部22の上端部の外壁内に周方向に沿って延在しかつ液体供給源5から液体が供給される流入通路28と、流入通路28から液体貯留部22の内周面に向かって延在して液体貯留部22の内周面に開口した液体流入口29とが形成されている。液体流入口29は、流入通路28から液体貯留部22の内周面に向かうにしたがって徐々に上方即ち超音波振動子24の凹部25に向かう方向に軸心26に対して傾斜している。液体流入口29は、液体貯留部22の周方向に沿って間隔をあけて(実施形態1では、等間隔に)配置されている。
超音波ノズル1は、液体供給源5から供給された液体が、流入通路28内を移動して、流入通路28内を移動する際に遠心力が作用して加速され、液体流入口29を通して超音波振動子24の凹部25に向かって液体貯留部22内に流入する。超音波ノズル1は、液体貯留部22内に流入した液体が図1中の矢印30に沿って噴射口23に向かって移動し、噴射口23から液体貯留部22外に排出される。超音波ノズル1は、少なくとも液体貯留部22内の空間を液体で満たすまでの間では、液体供給源5から供給される液体の流量が、噴射口23から噴射される液体の流量よりも多くなるように、液体供給源5から供給される液体の流量、供給口35の断面積、及び噴射口23の水平方向の断面積等が設定されている。
超音波振動子固定部材3は、液体貯留部22の上部に超音波振動子24を固定するものである。超音波振動子固定部材3は、円筒状に形成され、下端部に超音波振動子24の外縁部を固定している。超音波振動子固定部材3は、方体状部21内に嵌合して、超音波振動子24を液体貯留部22の上部に固定している。
蓋体4は、平板状に形成され、方体状部21の上部に取り付けられて、方体状部21の上部を塞いている。
また、超音波ノズル1は、流路6を更に有している。流路6は、一端が貫通孔27に連通したパイプ状に形成され、方体状部21及び液体貯留部22の外壁内に配設された配管である。流路6は、方体状部21及び液体貯留部22の外壁内で噴射口23に向かって配設され、噴射口23の近傍で液体貯留部22内に開口している。即ち、噴射口23の近傍には、流路6の開口61が設けられている。なお、噴射口23の近傍とは、噴射口23から噴射される流体の圧力が液体貯留部22の上部における圧力よりも低下する位置をいう。
前述した構成の超音波ノズル1は、液体供給源5から液体貯留部22内に液体が供給される。超音波ノズル1は、液体貯留部22内に徐々に液体が満たされて、液体貯留部22内の液体の液面が超音波振動子24の凹部25に近付くと、超音波振動子24の凹部25と液体の液面との間の気泡100を生じる。
超音波ノズル1は、液体貯留部22内に液体が満たされると、高周波電源から圧電振動板に高周波電圧が印加されて、超音波振動子24が軸心26に沿って振動して、液体貯留部22内の液体に超音波を付与して、噴射口23から噴射する。
すると、超音波ノズル1は、噴射口23から液体が噴射されることにより噴射口23の近傍では、液体の圧力が液体貯留部22の上部における圧力よりも低下する。すると、超音波ノズル1は、流路6の開口61が噴射口23から噴射される液体の圧力により吸引されて、流路6及び貫通孔27を通して気泡100内の気体を噴射口23側に吸引する。超音波ノズル1は、気泡100内の気体を流路6を通して開口61から液体貯留部22の噴射口23の近傍まで吸引し、吸引した気泡100内の気体を液体とともに噴射口23から噴射する。こうして、超音波ノズル1は、液体が噴射口23から噴射する際に流路6に発生する吸引力を利用して、超音波振動子24の凹部25に溜まった気泡100内の気体を流路6を通じて吸引し噴射口23から排出する。こうして、超音波ノズル1は、液体貯留部22全体を液体で満たすことができる。
以上のように、実施形態1に係る超音波ノズル1は、ドーム形状の超音波振動子24の中央に貫通孔27を形成し、この貫通孔27と連通し噴射口23の近傍で液体貯留部22内に開口する配管である流路6を有している。実施形態1に係る超音波ノズル1は、噴射口23においては、超音波振動が付与された液体が噴射する際に圧力の低下が発生するため、噴射口23における流体の圧力の低下により流路6及び貫通孔27を通して液体貯留部22内を吸引することとなる。このために、実施形態1に係る超音波ノズル1は、超音波振動子24に形成された貫通孔27から超音波振動子24の下部に溜まった気泡100内の気体を吸引して、流路6を通して、噴射口23から排出することが可能となる。
その結果、実施形態1に係る超音波ノズル1は、ドーム形状の超音波振動子24の凹部25内の気泡100の気体を追い出して、凹部25内を液体で満たすことができるため、超音波振動を液体に効率的に伝播させることが可能となるという効果を奏する。
〔変形例〕
実施形態1の変形例に係る超音波ノズル1を図面に基づいて説明する。図2は、実施形態1の変形例に係る超音波ノズルの構成例を模式的に示す断面図である。なお、図2は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態1の変形例に係る超音波ノズル1を図面に基づいて説明する。図2は、実施形態1の変形例に係る超音波ノズルの構成例を模式的に示す断面図である。なお、図2は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例に係る超音波ノズル1は、図2に示すように、前述した流路6を複数有し、流路6の開口61を噴射口23の近傍で軸心26を挟んで互いに対向させている。このように、変形例では、開口61は、噴射口23近傍において対向するように複数設けられている。なお、変形例に係る超音波ノズル1は、流路6を3つ以上有する場合には、周方向に等間隔に流路6即ち開口61を配置するのが望ましい。
変形例に係る超音波ノズル1は、実施形態1と同様に、流路6を有しているため、超音波振動子24に形成された貫通孔27から超音波振動子24の下部に溜まった気泡100内の気体を吸引して排出することが可能となり、超音波振動を液体に効率的に伝播させることが可能となるという効果を奏する。
また、変形例に係る超音波ノズル1は、流路6を周方向に等間隔に配置する場合には、流路6が噴射口23から噴射される液体の水流を乱すことを抑制することができるという効果も奏する。
次に、本発明の発明者は、実施形態1に係る超音波ノズル1の効果を確認した。確認にあたっては、超音波ノズル1に液体を供給してからの超音波振動子24の凹部25内の気泡100が消滅するまでの時間を計測した。実施形態1に係る超音波ノズル1は、液体が供給されてからの超音波振動子24の凹部25内の気泡100が20秒程度で消滅した。その結果、実施形態1に係る超音波ノズル1は、流路6を有しているため、超音波振動子24に形成された貫通孔27から超音波振動子24の下部に溜まった気泡100内の気体を吸引して排出することが可能となり、超音波振動を液体に効率的に伝播させることが可能となるということが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、超音波ノズル1の流路6は、一端が貫通孔27に連通し、噴射口23の近傍で液体貯留部22内に開口していれば、方体状部21及び液体貯留部22の外壁内に埋められなくても良い。
1 超音波ノズル
5 液体供給源
6 流路
22 液体貯留部
23 噴射口
24 超音波振動子
27 貫通孔
61 開口
100 気泡
5 液体供給源
6 流路
22 液体貯留部
23 噴射口
24 超音波振動子
27 貫通孔
61 開口
100 気泡
Claims (2)
- 超音波振動が付与された液体を噴射する超音波ノズルであって、
液体供給源から供給された液体を一時的に貯留し、下方に向かって縮径する略円錐形状の液体貯留部と、
該液体貯留部の下部から該液体を噴射する噴射口と、
該液体貯留部の上部に設けられ、該液体に超音波振動を付与する超音波振動子と、を備え、
該超音波振動子は、ドーム形状であり、
中央部に貫通孔が形成されるとともに凹んでいる側が該噴射口に対面するように配設され、
該貫通孔と連通し該噴射口の近傍で該液体貯留部に開口する流路を更に有することを特徴とする、超音波ノズル。 - 該開口は、該噴射口近傍において対向するように複数設けられることを特徴とする、請求項1に記載の超音波ノズル。
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2022
- 2022-09-09 JP JP2022143872A patent/JP2024039366A/ja active Pending
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