JP2023096809A - 超音波ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波振動を効率的に伝播することが可能な超音波ノズルを提供すること。【解決手段】超音波ノズル1は、超音波振動が付与された洗浄水を噴射する超音波ノズルであって、液体供給源から供給された洗浄水を一時的に貯留し、下方に向かって縮径する略円錐形状の液体貯留部32と、液体貯留部32に対して洗浄水を供給する供給口35と、液体貯留部32の下部から洗浄水を噴射する噴射口36と、液体貯留部32の上部に設けられ、洗浄水に超音波振動を付与する超音波振動子37と、を備え、超音波振動子37はドーム形状であり、凹んでいる側の凹部372が噴射口36に対面するように配設され、供給口35は、液体貯留部32の水平方向の断面形状である円の接線方向に沿って洗浄水が供給される位置に配設される。【選択図】図2
Description
本発明は、超音波ノズルに関する。
被洗浄物の表面に付着した汚染物を迅速かつ確実に除去する洗浄技術として超音波洗浄が知られている。
この超音波洗浄には多くの手法が存在し、例えば、超音波振動子を組み込んだノズルに洗浄水を供給し、ノズル中を流れる洗浄水に超音波を照射して当該洗浄水を噴出する超音波ノズルなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
こうした超音波ノズルは、一般に、洗浄水を供給する供給口、洗浄水を溜める水溜部、水溜部の先端に備えられた噴射口、および、平板形状の超音波振動子を有している。
ところが、平板形上の超音波振動子から水溜部の水に伝えられる超音波振動は、水溜部の内壁で反射する。そのため、反射した超音波振動と超音波振動子から発振される超音波振動とが打ち消し合う場合がある。この場合、洗浄水によって伝播される超音波振動が弱まり、洗浄力が低下するという問題がある。
そこで、平板上の超音波振動子に替わってドーム型の超音波振動子を有する超音波ノズルが開発されている(例えば、特許文献2参照)。この構成においては、超音波振動が噴射口に向かって集中するので、超音波振動が水溜部内で反射しにくい。このため、噴射口から噴射される洗浄水に超音波振動をより十分に伝播することができる。
しかしながら、水を下向きに排出する場合、特許文献2等に示されたドーム型の超音波振動子は、球面状の凹部が下に向いて配置されるため、この凹部に空気が溜まりやすく、この空気により水溜部に供給された洗浄水に超音波振動が効率的に伝播できなくなるという課題が存在していた。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波振動を効率的に伝播することが可能な超音波ノズルを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の超音波ノズルは、超音波振動が付与された液体を噴射する超音波ノズルであって、液体供給源から供給された液体を一時的に貯留し、下方に向かって縮径する略円錐形状の液体貯留部と、該液体貯留部に対して液体を供給する供給口と、該液体貯留部の下部から該液体を噴射する噴射口と、該液体貯留部の上部に設けられ、該液体に超音波振動を付与する超音波振動子と、を備え、該超音波振動子はドーム形状であり、凹んでいる側が該噴射口に対面するように配設され、該供給口は、該液体貯留部の断面形状である円の接線方向に沿って液体が供給される位置に配設されることを特徴とする。
前記超音波ノズルでは、該供給口から供給される該液体の流量が、該噴射口から噴射される該液体の流量よりも多くても良い。
前記超音波ノズルでは、該供給口は、該液体貯留部の側壁に沿って環状に形成された流路へと連通し、該流路から溢れた液体が該液体貯留部へと流入して該液体貯留部を液体で満たしても良い。
本発明は、超音波振動を効率的に伝播することが可能となるという効果を奏する。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態1に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る超音波ノズル1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る超音波ノズルの構成例を模式的に示す平面図である。図2は、図1中のII-II線に沿う断面図である。図3は、図2中のIII-III線に沿う断面図である。
本発明の実施形態1に係る超音波ノズル1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る超音波ノズルの構成例を模式的に示す平面図である。図2は、図1中のII-II線に沿う断面図である。図3は、図2中のIII-III線に沿う断面図である。
実施形態1に係る図1等に示す超音波ノズル1は、超音波振動(周波数が超音波の周波数と同等の振動)が付与された液体を噴射するものである。実施形態1では、切削加工が施されたシリコン、サファイア、ガリウムなどを基板とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の被加工物に超音波振動が付与された液体である洗浄水を噴射して、切削溝から切削屑を除去するものである。なお、本発明では、超音波ノズル1は、切削屑の除去に限らず、SiC等から構成されるインゴットから剥離層を起点にウエーハを分離する際に、超音波振動が付与された液体をインゴットに噴射しても良く、デバイスを基板から剥離する所謂レーザーリフトオフ加工を施す際に、超音波振動が付与された液体をデバイスに噴射しても良く、レーザー加工前に被加工物を被覆する保護膜を洗浄する場合に、超音波振動が付与された液体を被加工物に噴射しても良い。
超音波ノズル1は、図1及び図2に示すように、上部筐体2と、ノズル部3とを備える。上部筐体2は、下方に開口を設けた箱状に形成されている。実施形態1では、上部筐体2は、外観の平面形状が四角形(正方形)状に形成されている。また、上部筐体2は、内側の空間の平面形状が円形に形成されている。
ノズル部3は、液体供給源4から供給された洗浄水を一時的に貯留して、被加工物に噴射するものである。ノズル部3は、図2に示すように、上部筐体2の開口が形成された下端に取り付けられる枠部31と、枠部31の下方側に取り付けられかつ下方に向かって徐々に縮径する略円錐形状の液体貯留部32とを一体に備える。枠部31は、内外表面が、上部筐体2の内外表面と同一平面上に配置されている。即ち、枠部31は、外観の平面形状が四角形(正方形)状に形成されている。また、枠部31は、内側の空間の水平方向の断面形状が、円形に形成されている。
液体貯留部32は、液体供給源4から供給された洗浄水を一時的に貯留するものである。液体貯留部32は、ノズル部3の軸心33方向の中央部よりも枠部31寄りの外観の平面形状が枠部31と同様の四角形(正方形)状に形成されている。液体貯留部32は、ノズル部3の軸心33方向の中央部よりも枠部31から離れた側である下方寄りの外観が下方に向かって徐々に縮径する略円錐形状に形成されている。液体貯留部32の内側の空間の水平方向の断面形状は、円形である。液体貯留部32は、内側の空間が下方に向かって徐々に縮径する略円錐形状に形成されている。
また、超音波ノズル1は、旋回流路34(流路に相当)と、供給口35と、噴射口36と、超音波振動子37とを備える。
旋回流路34は、ノズル部3の液体貯留部32の内周面321の枠部31寄りの端部(上端部という)に設けられている。旋回流路34は、ノズル部3の液体貯留部32の内周面321から下方に向かって凹の溝に形成され、ノズル部3の液体貯留部32の全周に形成されている。このために、旋回流路34は、ノズル部3の側壁である内周面321に沿って環状に形成されている。旋回流路34は、ノズル部3の液体貯留部32内に供給された洗浄水を液体貯留部32の内周面321に沿って流す。
供給口35は、ノズル部3に対して液体を供給するものである。供給口35は、一端がノズル部3の液体貯留部32の内周面321に設けられた旋回流路34に開口し、他端が液体供給源4に接続している。供給口35は、旋回流路34へと連通し、内側に液体供給源4からの洗浄水を通す流路である。実施形態1では、供給口35は、液体貯留部32の内周面321に設けられた旋回流路34に開口して、液体貯留部32を直線状に貫通して洗浄水を通す通路351(図1等に示す)を備える。
供給口35の通路351は、ノズル部3の液体貯留部32の水平方向の断面において、旋回流路34に開口した位置からノズル部3の液体貯留部32の円形の内側の空間の接線方向に延在している。このように、供給口35は、液体貯留部32の水平方向の断面において、通路351が旋回流路34に開口した位置から液体貯留部32の円形の内側の空間の接線方向に延在することで、ノズル部3の断面形状である円の接線方向に沿って洗浄水が液体貯留部32内に供給される位置に配設されている。
なお、供給口35の通路351が液体貯留部32の円形の内側の空間の接線方向に延在しているとは、供給口35の通路351が延在した方向と、通路351が内周面321に開口した位置の液体貯留部32の円形の内側の空間の接線とのなす角度が、例えば、60度以下、望ましくは45度以下、さらに望ましくは20度以下であることをいう。要するに、供給口35の通路351が液体貯留部32の円形の内側の空間の接線方向に延在しているとは、供給口35の通路351が延在した方向と、通路351が内周面321に開口した位置の液体貯留部32の円形の内側の空間の接線とのなす角度が、供給口35から液体貯留部32内に供給された洗浄水が液体貯留部32の内周面321に沿って軸心33回りに流れることが可能な角度であることをいう。
また、実施形態1では、通路351は、水平方向に沿って延在しているが、本発明では、内周面321の開口に向かうにしたがって徐々に上方に向かうように水平方向に対して傾斜して斜め上向きに洗浄水を供給しても良い。特に、超音波ノズル1は、通路351が内周面321の開口に向かうにしたがって徐々に上方に向かうように水平方向に対して傾斜して斜め上向きに洗浄水を供給する場合には、水平方向に沿って延在している場合よりも、液体貯留部32内の空間を洗浄水で満たし易くなる。
噴射口36は、液体貯留部32の枠部31から離れた側の下部から液体貯留部32内の洗浄水を噴射するものである。噴射口36は、ノズル部3の液体貯留部32の枠部31から離れた端部(下端部という)を貫通し、液体貯留部32の内側の空間と連通している。
超音波振動子37は、液体貯留部32の枠部31寄りの上部に設けられ、液体貯留部32内の洗浄水に超音波振動を付与するものである。超音波振動子37は、中央が上方に向かって凸に湾曲したドーム形状の円板状に形成されて、外縁部がノズル部3の枠部31の内周面に全周に亘って取り付けられている。超音波振動子37は、ノズル部3の内側の空間と上部筐体2の内側の空間とを仕切っている。また、超音波振動子37は、前述したようにドーム形状の円板状に形成されているので、凹んでいる側の凹部372が軸心33に沿って噴射口36と対面するように配置されている。
超音波振動子37は、高周波電源371に接続された圧電振動板と圧電振動板に密に重ねられた共振板を備えている。圧電振動板は、高周波電源371から1MHz~3MHzの高周波電圧が印加され、高周波電圧が印加されることで振動し、超音波振動を発生する。圧電振動板は、たとえば、型枠を用いた一体成型によって形成されることが可能である。
共振板は、圧電振動板よりも噴射口36寄りに配置されている。共振板の噴射口36に相対する内面は、ノズル部3内の液体に向けて超音波振動を輻射する輻射面となっている。輻射面から輻射される超音波振動は、輻射面から所定距離だけ離れた位置(実施形態1では噴射口36)で焦点を結んで、この位置に集中する。
共振板は、圧電振動板の超音波振動に共振することにより、輻射面から液体貯留部32内の洗浄水に、超音波振動を伝える。これにより、噴射口36から外部に向かって噴射される洗浄水に超音波振動が付与される。
また、超音波ノズル1は、少なくともノズル部3内を液体で満たすまでの間では、供給口35から供給される洗浄水の流量が、噴射口36から噴射される洗浄水の流量よりも多くなるように、液体供給源4から供給される液体の流量、供給口35の断面積、及び噴射口36の水平方向の断面積等が設定されている。
前述した構成の超音波ノズル1は、供給口35を通して液体供給源4から液体貯留部32内に洗浄水が供給される。すると、供給口35の通路351が前述したように接線方向に延在しているので、ノズル部3内に供給された洗浄水が旋回流路34に沿って流れて、図3の矢印10で示すように、渦巻き状に流動する。
そして、超音波ノズル1は、旋回流路34からあふれた洗浄水が液体貯留部32の内側の空間へと流入し、洗浄水が図3中の矢印10で示す渦巻き状に流れているので、洗浄水のノズル部3の軸心33回りの旋回流を生じる。すると、液体貯留部32内の洗浄水に遠心力が作用して、液体貯留部32内の洗浄水が遠心力により外周方向に移動しようとして内周面321に沿って液体貯留部32の上方へと移動する。超音波ノズル1は、液体貯留部32内に徐々に洗浄水が満たされて、液体貯留部32内の洗浄水の液面が超音波振動子37の凹部372に近付くと、超音波振動子37の凹部372と洗浄水の液面との間の気体を洗浄水の旋回流に巻き込んで、噴射口36から排出する。その後、超音波ノズル1は、液体貯留部32内を洗浄水で満たす。
超音波ノズル1は、液体貯留部32内に洗浄水が満たされると、高周波電源371から圧電振動板に高周波電圧が印加されて、超音波振動子37が軸心33に沿って振動して、液体貯留部32内の洗浄水に超音波を付与して、噴射口36から噴射する。
以上のように、実施形態1に係る超音波ノズル1は、液体貯留部32の水平方向の断面において、供給口35の通路351が旋回流路34に開口した位置から液体貯留部32の円形の内側の空間の接線方向に延在しているので、液体貯留部32内に供給された洗浄水が旋回流路34及び内周面321に沿って流れる。このために、超音波ノズル1は、液体貯留部32内に供給された洗浄水に遠心力が作用して、液体貯留部32を上方へと移動して超音波振動子37の凹部372内の気体を旋回流に巻き込んで、噴射口36から排出し、液体貯留部32全体を洗浄水で満たすことができる。
これにより、超音波ノズル1は、凹部372の気体を液体貯留部32内から追い出して液体貯留部32内全体を洗浄水で満たすことができるため、超音波振動子37の超音波振動を効率的に洗浄水に伝播させることが可能となるという効果を奏する。
次に、本発明の発明者らは、実施形態1に係る超音波ノズル1の効果を確認した。確認においては、図4に示す比較例の超音波ノズル100と、実施形態1に係る超音波ノズル1に洗浄水を所定時間供給した後、液体貯留部32内全体に洗浄水が満たされるか否かを確認した。図4は、比較例の超音波ノズルの水平方向の断面を模式的に示す断面図である。
比較例の超音波ノズル100は、旋回流路34が形成されていない点と、供給口135が、液体貯留部32の内周面321に開口した位置から液体貯留部32の水平方向の断面形状の径方向に延在している事以外、実施形態1に係る超音波ノズル1と構成が等しい。図4は、比較例の超音波ノズル100の実施形態1に係る超音波ノズル1と同一部分に、同一符号を付して説明を省略する。確認では、同じ流量の洗浄水を液体供給源4から超音波ノズル1,100の液体貯留部32内に同じ所定時間供給した。
図4に示す比較例の超音波ノズル100は、供給口135から供給された洗浄水が、図4に矢印110で示すように、供給口135の開口から開口の反対側の内周面321に衝突した後、左右に分かれてノズル部3の内周面321に沿って流れるので、旋回流を生じない。図4に示す比較例の超音波ノズル100では、超音波振動子37の凹部372内に気体が残存して、液体貯留部32内全体を洗浄水で満たすことができなかった。
このような比較例の超音波ノズル100に対して、実施形態1に係る超音波ノズル1は、凹部372内にも洗浄水を満たすことができ、液体貯留部32内全体を洗浄水で満たすことができた。その結果、実施形態1に係る超音波ノズル1は、液体貯留部32の水平方向の断面において、供給口35の通路351が旋回流路34に開口した位置から液体貯留部32の円形の内側の空間の接線方向に延在していることで、液体貯留部32内全体を洗浄水で満たすことができることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、超音波ノズル1は、内周面321に旋回流路34が形成されていなくても良い。
1 超音波ノズル
32 液体貯留部
34 旋回流路(流路)
35 供給口
36 噴射口
37 超音波振動子
321 内周面(側壁)
32 液体貯留部
34 旋回流路(流路)
35 供給口
36 噴射口
37 超音波振動子
321 内周面(側壁)
Claims (3)
- 超音波振動が付与された液体を噴射する超音波ノズルであって、
液体供給源から供給された液体を一時的に貯留し、下方に向かって縮径する略円錐形状の液体貯留部と、
該液体貯留部に対して液体を供給する供給口と、
該液体貯留部の下部から該液体を噴射する噴射口と、
該液体貯留部の上部に設けられ、該液体に超音波振動を付与する超音波振動子と、を備え、
該超音波振動子はドーム形状であり、凹んでいる側が該噴射口に対面するように配設され、
該供給口は、該液体貯留部の断面形状である円の接線方向に沿って液体が供給される位置に配設されることを特徴とする、超音波ノズル。 - 該供給口から供給される該液体の流量が、該噴射口から噴射される該液体の流量よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の超音波ノズル。
- 該供給口は、
該液体貯留部の側壁に沿って環状に形成された流路へと連通し、
該流路から溢れた液体が該液体貯留部へと流入して該液体貯留部を液体で満たすことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の超音波ノズル。
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