JP2024036832A - 蓋体用積層シート、蓋体、食品用包装容器及び包装食品 - Google Patents

蓋体用積層シート、蓋体、食品用包装容器及び包装食品 Download PDF

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Shinya Koide
賢吾 岡村
Kengo Okamura
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悟 石田
Satoru Ishida
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Abstract

【課題】食品用包装容器に用いられ、紙基材を含み、優れた密封性及び開封性を達成し得る蓋体を提供する。【解決手段】蓋体用積層シート10は、開口が設けられ、前記開口の周りにフランジを有している容器本体と、前記開口を覆う蓋体とを備える食品用包装容器の前記蓋体に用いられ、紙基材4とヒートシール層1とを含み、MDにおける純曲げこわさとTDにおける純曲げこわさとが0.5乃至2.5gf・cmの範囲内にある。【選択図】図1

Description

本発明は、蓋体用積層シート、蓋体、食品用包装容器及び包装食品に関する。
近年の核家族化による世帯構成の変化やライフスタイルの変化に加えて、流通、冷凍及び冷蔵技術の進歩に支えられて、コンビニエンスストアやスーパマーケットなどで販売されている調理又は加工済みチルド食品及び冷凍食品の需要が伸びている。それと同時に、チルド食品及び冷凍食品を収容する包装容器の需要も伸びている。
一方、プラスチックごみの削減が進められている中、環境負荷が小さく、再生可能な資源である紙を基材に使用した食品用包装容器の需要が高まっている。チルド食品や冷凍食品を収容する包装容器にも、基材として紙を使用した紙製の包装容器を使用することが求められている。
例えば、特許文献1には、紙基材上にエチレン変性ポリビニルアルコール樹脂を使用した2層のガスバリア層を積層してなる食品用包装材料が開示されている。
特開2009-184138号公報
本発明は、食品用包装容器に用いられ、紙基材を含み、優れた密封性及び開封性を達成し得る蓋体を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、開口が設けられ、前記開口の周りにフランジを有している容器本体と、前記開口を覆う蓋体とを備える食品用包装容器の前記蓋体に用いられる蓋体用積層シートであって、紙基材とヒートシール層とを含み、MDにおける純曲げこわさとTDにおける純曲げこわさとが0.5乃至2.5gf・cmの範囲内にある蓋体用積層シートが提供される。ここで、「MD」はMachine Directionであり、「TD」はTransverse Directionである。
本発明の他の側面によると、耐水性を有し、前記紙基材を間に挟んで前記ヒートシール層と向き合った機能層と、前記機能層と前記紙基材との間に設けられた印刷層と、前記紙基材と前記ヒートシール層との間に介在した支持層とを更に含み、前記紙基材の質量は、前記蓋体用積層シートに含まれる他の何れの層の質量よりも大きい上記側面に係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記紙基材と前記支持層との間に介在したガスバリア層を更に含んだ上記側面に係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記支持層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの1以上を含んだ上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記支持層の質量に占める、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの合計質量の割合は50質量%以上である上記側面に係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記蓋体用積層シートに含まれる、前記紙基材以外の層を、プラスチックからなる層と、その他の層とに分類した場合に、前記紙基材の質量は、前記プラスチックからなる層の合計質量及び前記その他の層の合計質量と比較してより大きい上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記ヒートシール層は、ヒートシールニスからなる層の硬化物である上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートからなる蓋体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、開口が設けられ、前記開口の周りにフランジを有している容器本体と、前記開口を覆う上記側面に係る蓋体とを備えた食品用包装容器が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記側面に係る食品用包装容器と、前記食品用包装容器に収容された食品とを備え、前記蓋体は前記ヒートシール層を介して前記フランジにヒートシールされている包装食品が提供される。
本発明によれば、食品用包装容器に用いられ、紙基材を含み、優れた密封性及び開封性を達成し得る蓋体が提供される。
図1は、本発明の第1実施形態に係る蓋体用積層シートを概略的に示す部分断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態に係る包装食品を概略的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
<1>第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る蓋体用積層シートを概略的に示す断面図である。
図1に示す蓋体用積層シート10は、開口が設けられ、この開口の周りにフランジを有している容器本体と、その開口を覆う蓋体とを備えた食品用包装容器において、蓋体に用いられるものである。即ち、蓋体用積層シート10は、それ自体が蓋体として使用されるか、又は、それから切り出された部分が蓋体として使用される蓋材である。
蓋体用積層シート10は、ヒートシール層1と、支持層2と、ガスバリア層3と、紙基材4と、印刷層5と、耐水性を有する機能層(耐水性層)6とをこの順序で含んでいる。蓋体用積層シート10は、接着層7とアンカーコート層8とを更に含んでいる。蓋体用積層シート10が含んでいる各層について、以下に説明する。
(紙基材)
蓋体用積層シート10は、紙基材4を含んでいる。紙基材4の質量は、好ましくは、蓋体用積層シート10が含んでいる他の何れの層の質量よりも大きい。蓋体用積層シート10の質量に占める紙基材4の質量の割合は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、50%超であることが更に好ましい。この割合は、一例によれば80%以下であり、他の例によれば70%以下であり、更に他の例によれば65%以下である。
蓋体用積層シート10が含んでいる紙基材4以外の層を、プラスチックからなる層とその他の層とに分類した場合に、紙基材4の質量は、プラスチックからなる層の合計質量及びその他の層の合計質量と比較してより大きいことが好ましい。この場合、日本国では、蓋体用積層シート10を、容器包装リサイクル法上の紙として扱うことができる。
ここで、上記の分類は、「容器包装リサイクル法 説明資料」に従う。即ち、「プラスチック」は、高分子を必須成分として含み、加工時に流動性を利用して賦形及び製品化した材料である。塗料及び接着剤は、「賦形」の概念と無関係であるため、プラスチックには含まれない。従って、図1に示す例では、ヒートシール層1がシーラント層である場合、支持層2及びこれに貼り合わされたヒートシール層1は、「プラスチックからなる層」である。また、図1に示す例では、塗工によって形成されたガスバリア層3、インキから形成された印刷層5、塗工によって形成された機能層6、接着剤からなる接着層7、及びアンカーコート剤からなるアンカーコート層8は、「その他の層」である。
紙基材4の坪量、即ち、面積当たりの質量は、一例によれば20乃至500g/mの範囲内にあり、他の例によれば40乃至100g/mの範囲内にある。紙基材4の坪量を大きくすると、蓋体が硬くなり、開封性が低下する。坪量を小さくすると、蓋体の強度が低下する。
なお、紙基材4の坪量を大きくすると、蓋体用積層シート10の質量に占める紙基材4の質量の割合も大きくなる。しかしながら、紙基材4の坪量を大きくすると、紙基材4の製造や蓋体用積層シート10の廃棄に伴う二酸化炭素の排出量が増加する。
紙基材4は、植物由来のパルプを主成分とするものであれば特に制限はない。紙基材4としては、例えば、上質紙、中質紙、微塗工紙などの塗工紙、片艶紙、晒及び未晒クラフト紙(酸性紙又は中性紙)が挙げられる。
紙基材4は、少なくとも一方の面にコート層を有する塗工紙であることが好ましい。即ち、紙基材4は、片面塗工紙であるか又は両面塗工紙であることが好ましい。塗工紙のコート層が設けられた面は、コート層が設けられていない紙の表面と比較して、平滑性に優れている。
紙基材4が一方の面にコート層を有する塗工紙である場合、印刷層5は、例えば、コート層上に設けることができる。この場合、高い画質の画像を印刷層5に表示させることが容易である。また、コート層を設けることにより、機能層6の下地表面も平滑になるため、機能層6の耐水性も向上する。
紙基材4が一方の面にコート層を有する塗工紙である場合、支持層2は、コート層と向き合うように紙基材4に貼り合わせてもよい。こうすることにより、例えば、接着層7を介して紙基材4と支持層2を貼り合わせる場合には、コート層の平滑性により接着剤を含む接着層7を均一に形成し易くなり、紙基材4に対する支持層2の接着性が向上し、且つ、接着剤の使用量を低減できる。
紙基材4として、両面にコート層を有する塗工紙を使用すると、高い画質の画像を印刷層5に表示させることが容易になり、機能層6の耐水性を向上させることができる。また、紙基材4と支持層2との間で優れた密着性を実現することが容易になる。
コート層は、樹脂を含んでいる。コート層が含む樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合させたエチレン-α-オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、及びフマル酸等の不飽和カルボン酸で変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、及びスチレン-ブタジエンゴム等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、2以上を組み合わせて使用してもよく、2以上を共重合させて使用してもよい。コート層は、添加剤、例えば、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、及び酸化チタン等の充填材を更に含有していてもよい。
コート層の厚さは、0.5乃至50μmの範囲内にあることが好ましく、1乃至15μmの範囲内にあることがより好ましい。
(支持層)
支持層2は、蓋体用積層シート10の強度を向上させる。
支持層2は、ポリマーフィルムである。支持層2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの1以上を含んでいる。支持層2は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。支持層2が含む各層は、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる層であるか、ポリブチレンテレフタレートからなる層であるか、又は、ポリアミドからなる層である。
ポリアミドは、例えば、脂肪族骨格を含んでいる。ポリアミドは、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、及びナイロン46などのナイロンである。一例によれば、ポリアミドは、ナイロン6又はナイロン66である。
支持層2は、無延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムなどの延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムである場合、二軸延伸フィルムを利用することが好ましい。二軸延伸により、フィルム面内の方向に対する破断強度等の諸物性の変動が一軸延伸に比べて小さくなる。
支持層2は、上述したポリマー以外の材料を更に含むことができる。例えば、支持層2は、硬化剤、フィラー、アンチブロッキング剤、及び帯電防止剤などの添加剤を更に含むことができる。また、支持層2の材料として、紫外線及び電子線などの活性エネルギー線の照射による硬化するものを使用することもできる。
支持層2の質量に占める、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの合計質量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。支持層2の厚さを一定とした場合、この割合を大きくすると、蓋体の突き刺し強さが高くなる。
支持層2の厚さは、3乃至60μmの範囲内にあることが好ましく、10乃至30μmの範囲内にあることがより好ましい。支持層2を厚くすると、蓋体の突き刺し強さを高めることが容易になるが、蓋体用積層シート10の質量に占める紙基材4の質量の割合を大きくすることが難しくなる。
支持層2の破断強度は、蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きいことが好ましい。ここで、支持層2の破断強度が蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きいことは、MDにおいて、支持層の破断強度が蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きく、且つ、TDにおいて、支持層の破断強度が蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きいことを意味している。
支持層2の破断強度は、JIS Z1707:2019「食品包装用プラスチックフィルム通則」に規定された測定方法で得られる引張力である。なお、この引張力(N/15mm)は、試験片が破壊した時の最大力を、試験片の幅15mm相当の力(N/15mm)に換算した値である。蓋体と容器本体との間のヒートシール強さについては後述する。
支持層2の破断強度が、蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きい場合、蓋体を容器本体から剥離する際に、紙剥けを生じ難い。例えば、支持層2の破断強度が30N/15mmより大きい場合、ヒートシール強さが30N/15mm程度までは紙剥け発生を抑制できる。ここで、「紙剥け」とは、蓋体を容器本体から剥離した場合に、紙基材の凝集破壊が生じて、蓋体の一部が容器本体に残留することである。紙剥けを生じると、容器本体に収容された内容物を取り出し難くなることがある。
ヒートシール強さは、包装容器の用途や目的に応じて調整される。例えば、易開封性を付与するために、ヒートシール強さを小さくする場合がある。それ故、支持層2の破断強度は、30N/15mm超である必要はない。支持層2の破断強度は、特に限定されないが、10乃至100N/15mmの範囲内にあることが好ましく、25乃至85N/15mmの範囲内にあることがより好ましい。上述の破断強度を大きくすると、紙剥けを抑制するために積層体を補強する効果が大きくなる。但し、破断強度を大きくするべく支持層2を厚くすると、支持層2の製造や蓋体用積層シート10の廃棄に伴う二酸化炭素の排出量及びコストが増加する。
支持層2の形成手段としては、接着剤を介して紙基材4にラミネートする手法が利用でき、このラミネート法としては、溶剤系接着剤を用いるドライラミネート法、無溶剤系接着剤を用いるノンソルラミネート法、及び溶融樹脂を接着剤として用いるサンドラミネート法などがある。また、押出しラミネート法など、支持層2は、これを構成する組成物を溶融させた状態で押出して、紙基材4上に直接形成することもできる。このときも、必要に応じて、紙基材4上に接着層7を形成してもよい。
(ガスバリア層)
ガスバリア層3は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性などのガスバリア性を有している。ガスバリア層3は、後述する包装食品において、容器外部の酸素、水蒸気、及び香気成分等のガスが容器内へ侵入することを抑制する。これにより、ガスバリア層3は、包装食品において、内容物である食品の劣化を抑制する。また、ガスバリア層3は、包装食品において、内容物の臭気成分等が容器外部へ拡散するのを抑制する。ガスバリア層3は、一例によれば、温度30℃、相対湿度70%の雰囲気下における酸素透過度が0.1乃至100cc/m/day/atmである。
ガスバリア層3は、例えば、金属層、無機酸化物層、樹脂含有層、又は、それらの2以上の組み合わせである。電子レンジによるマイクロ波加熱が想定される場合、ガスバリア層3は、無機酸化物層、樹脂含有層、又は、それらの組み合わせであることが好ましい。
ガスバリア層3は、塗工によって形成したものであってもよく、溶融成形によって形成したものであってもよく、無機酸化物を蒸着したものであってもよい。或いは、ガスバリア層3は、アルミニウム箔などの金属箔であってもよく、アルミニウムなどの金属を蒸着したものであってもよい。
無機酸化物としては、例えば、酸化珪素、酸化ホウ素、又は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、及び酸化イットリウムなどの金属酸化物を使用できる。
樹脂含有層は、例えば、塗工で形成することができる。この場合、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、及びエポキシ樹脂などの樹脂を含んだ塗液を使用することができる。この塗液には、有機又は無機粒子、層状化合物、及び硬化剤などの添加物を添加してもよい。
樹脂含有層を溶融成形によって形成する場合、その材料としては、例えば、上記樹脂又は上記樹脂と添加剤との混合物を使用することができる。溶融成形としては、例えば、Tダイやインフレーションなどの押出成形技術を利用することができる。
溶融成形によって形成した樹脂含有層は、例えば、支持層2と貼り合わせる。樹脂含有層は、支持層2とともに、共押出によって形成してもよい。
ガスバリア層3の厚さは、一例によれば0.01乃至30μmの範囲内にあり、他の例によれば0.1μm乃至12μmの範囲内にある。
蓋体用積層シート10にガスバリア性が要求されない場合、ガスバリア層3は省略することができる。
(印刷層)
印刷層5は、蓋体用積層シート10又は蓋体を商業製品として実用に供するために形成される層である。印刷層5は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、及び塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダ樹脂に各種顔料、体質顔料、可塑剤、乾燥剤、及び安定剤等の添加剤が添加されているインキにより構成される層であって、文字及び絵柄等のパターンを表示している。印刷層5の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、及びシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、及びグラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。
印刷層5の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1乃至5μmの範囲内であってもよく、0.2乃至1μmの範囲内であってもよい。
(耐水性を有する機能層)
耐水性を有する機能層(耐水性層)6は、後述する包装食品において、結露等による水分や油等の容器外部の液体が蓋体に浸透するのを抑制して、この液体が印刷層5及び紙基材4等の層に到達することを抑制する層である。機能層6は、容器外部の液体が印刷層5及び紙基材4等の層に到達するのを抑制することで、例えば、これらの層の劣化、破壊又は密着性の低下を防ぐ。
一例によれば、機能層6は、印刷層5の上に形成されることにより、蓋体用積層シート10のうち機能層6から紙基材4までの部分である部分積層シートの吸水度を制御する。機能層6は、以下に記載するコッブ法による蓋体用積層シートの吸水度を、20g/m以下にする耐水性を有していることが好ましい。
ここで、吸水度とは、JIS P8140:1998「紙及び板紙-吸水度試験方法-コッブ法」に規定された方法において、測定面を機能層6の表面とし、試験片と水との接触時間300秒とした場合に得られる吸水度である。この吸水度は、上記の通り20g/m以下であることが好ましく、10g/m以下であることがより好ましく、5g/m以下であることが更に好ましい。この吸水度の下限値は、理想的には0g/mである。一例によれば、この吸水度は1g/m以上である。
機能層6は、オーバープリントニス層(以下において、「OPニス層」という)であることが好ましい。
機能層6は、一例によれば、耐水性樹脂を含有する。耐水性樹脂としては、上述した吸水度を実現可能な樹脂であれば、制限なく使用することができる。耐水性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、又はウレタン系樹脂を使用することができる。機能層6は、例えば、耐水性樹脂を含有する塗料を、印刷層5が形成された紙基材4上に公知の方法で塗工することにより得ることができる。上記塗料は、耐水性樹脂に加え、顔料、染料、硬化剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、及び易滑剤等の添加剤や溶剤等を更に含有することができる。
機能層6は、十分な耐水性を維持できるように、高い耐磨耗性及び耐擦傷性を有していることが好ましい。このような観点から、機能層6の厚さ及びその材料である塗料の塗布量は、通常のOPニス層の厚さ及び通常のOPニスの塗布量より大きいことが好ましい。ここで、「塗布量」は、面積当たりの固形分質量である。
例えば、図1に示す蓋体用積層シート10において、機能層6を形成するための塗料は、その塗布量が0.2g/m以上となるように塗工することが好ましく、2.0g/m以上となるように塗工することがより好ましい。この塗料は、その塗布量が、例えば、10g/m以下となるように塗工する。機能層6の厚さは、0.2μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。機能層6の厚さは、例えば、10μm以下である。なお、機能層6は、ラミネートによって印刷層5上に設けてもよい。
(ヒートシール層)
ヒートシール層1は、後述する図2に示す食品用包装容器20の容器本体22への蓋体21のヒートシールを可能とし、これにより容器を密封できるものであればよい。ヒートシール層1としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(Ethylene-vinyl acetate;EVA)、アイオノマー樹脂、又は、その他のポリオレフィン類からなるフィルムが使用される。ヒートシール層1は、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene;LLDPE)、超低密度直鎖状ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene;VLDPE)、又はポリプロピレンの何れかを少なくとも含む層である。
ヒートシール層1として、イージーピール機能(簡易剥離機能)をもったシーラント層も使用することができる。イージーピール性とは、再剥離性及び易開封性に優れることを示す。ヒートシール層1をラミネート等により貼り合わせる手段としては、溶剤系接着剤を用いるドライラミネート法、無溶剤系接着剤を用いるノンソルラミネート法、及び溶融樹脂を接着剤として用いるサンドラミネート法などがある。また、ヒートシール層を溶融樹脂で押出し成形する場合には、押出しラミネート法を用いることもできる。
ヒートシール層1は、例えば、ラミネートによって支持層2上に設ける。ヒートシール層1は、ヒートシールニスを塗布して形成することもできる。塗工手段として、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、バーコート法などの各種コート法を用いることができる。
ヒートシール層1の厚さは、特に限定されるものではない。ヒートシール層1の厚さは、0.5乃至60μmの範囲内にあることが好ましく、1乃至30μmの範囲内にあることがより好ましい。
(接着層及びアンカーコート層)
接着層7は、ガスバリア層3と紙基材4との間に介在している。アンカーコート層8は、ヒートシール層1と支持層2との間に介在している。接着層7及びアンカーコート層8の一方又は双方は、省略してもよい。
接着層7及びアンカーコート層8の材料には、これを介して接着する層の材料に応じて、必要な接着強度が得られる接着樹脂や接着剤(又はアンカーコート剤)を適宜選択して用いる。
接着樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及びメタロセン触媒を利用して重合したエチレン-αオレフィンとの共重合体などのポリエチレン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、及びエチレン-マレイン酸共重合体などのエチレン-不飽和カルボン酸共重合体;及びアイオノマー樹脂から選択される1種又は2種以上の樹脂を使用することができる。
接着剤は、例えば、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を含む第2組成物とを混合してなる接着剤組成物である。この接着剤から得られる接着層7又はアンカーコート層8は、接着剤組成物中の主剤と硬化剤とが反応して生成された硬化物を含む。
主剤の例としては、ポリオールを挙げることができる。硬化剤の例としては、イソシアネート化合物を挙げることができる。接着剤の例としては、エーテル系の二液反応型接着剤又はエステル系の二液反応型接着剤を挙げることができる。
エーテル系の二液反応型接着剤の硬化物は、例えば、ポリエーテルポリウレタンである。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成する。
エステル系の二液反応型接着剤の硬化物は、例えば、ポリエステルポリウレタン及びポリエステルである。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成する。
二液反応型接着剤では、主剤としてアクリルポリオールを用いてもよい。また、上記の接着剤組成物は、加熱による溶融や低粘度化を生じるものであれば、溶剤を含んでいなくてもよい。塗工手段として、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、バーコート法などの各種コート法を用いることができる。
この蓋体用積層シート10は、ガスバリア性、特には酸素バリア性の低下を生じ難い。これについて、以下に説明する。
食品用包装容器には、充填された食品の酸化を抑えるため、外部からの酸素の侵入を防ぐ酸素バリア性に優れていることが望まれることがある。そのような食品用包装容器では、その蓋体にも酸素バリア性が求められる。
紙を基材とする蓋体への酸素等に対するガスバリア性の付与には、例えば紙基材上に、ガスバリア層として、アルミニウム等の金属からなる金属箔や金属蒸着フィルムを設けることが多い。しかしながら、蓋体が金属層を含んだ食品用包装容器には、内容物充填後の金属探知機による金属異物の混入検査ができない、金属を含むため紙として焼却処理できず、古紙としても再利用できない、電子レンジにより加熱調理されることが想定されるチルド食品等の包装容器には使用できない、といった問題がある。
上記の通り、ガスバリア層には、金属層を含まないものもある。そのようなガスバリア層としては、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンMXD6などのポリアミド、及びポリアクリロニトリル等の樹脂を含んだものが使用されることが多い。金属層レスの蓋体は、上記の問題を回避し得る。
チルド食品の流通及び保管温度は、食品別に最適な温度帯が設定されるが、一般には0乃至10℃の範囲内である。食品用包装容器にチルド食品を収容してなる包装食品は、その製造後、様々な流通経路を通って消費者の手に渡る。この過程において、例えば、消費者が店舗で包装食品を購入してから自宅の冷蔵庫に保管するまでの間や、消費者が包装食品を冷蔵庫から出してから調理を開始するまでの間、包装食品は常温環境下に置かれる。
本発明者らは、蓋体が紙基材とガスバリア層とを含んだ食品用包装容器にチルド食品を収容してなる包装食品、特にはガスバリア層が樹脂含有層からなる包装食品は、冷蔵状態から常温環境下に晒された最初の数時間の間に、蓋体のガスバリア性、特には酸素バリア性が大きく低下することを見出した。これは、蓋体の質量に占める紙基材の質量の割合が大きい場合に顕著である。
本発明者らは、上記の問題は、蓋体表面に生じる結露に起因するものであることをつきとめている。即ち、冷蔵環境下にあった包装物品が常温環境に晒されることにより、蓋体の外側表面に結露が生じ、その水分がガスバリア層に到達してガスバリア層が損傷を受ける。その結果、蓋体の酸素バリア性が低下する。
上記の蓋体用積層シート10は、耐水性を有している機能層6を含んでいる。それ故、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、結露によって蓋体の外側表面に生じた水分はガスバリア層3に到達し難い。従って、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、蓋体の外側表面での結露に起因したガスバリア層3の損傷は生じ難く、酸素バリア性の低下を生じ難い。
本発明者らは、特に、食品用包装容器にチルド食品を収容してなる包装食品は、蓋体が紙基材を含んでいる場合、蓋体を容器本体から剥離する際に紙剥けを生じ易いことを更に見出している。上記の通り、支持層2の破断強度を、蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きくすることにより、紙剥けを生じ難くすることができる。
なお、内容物がチルド食品である場合について上述した問題は、内容物が冷凍食品である場合にも生じ得る。ここで説明した構成は、内容物が冷凍食品である場合であっても、内容物がチルド食品である場合について上述したのと同様の効果を奏し得る。
この蓋体用積層シート10は、MDにおける純曲げこわさとTDにおける純曲げこわさとが0.5乃至2.5gf・cmの範囲内にある。一例によれば、MDにおける純曲げこわさは0.7乃至2.5gf・cmの範囲内にあり、TDにおける純曲げこわさは0.5乃至1.5gf・cmの範囲内にある。
ここで、純曲げこわさSPBは、下記等式から算出される値である。
PB=E×T/12
上記等式において、Eは蓋体用積層シート10のヤング率を表し、Tは蓋体用積層シート10の厚さを表している。蓋体用積層シート10のヤング率については、後述する。
純曲げこわさが上記範囲内にある蓋体用積層シート10は、開口が設けられ、この開口の周りにフランジを有している容器本体と、その開口を覆う蓋体とを備えた食品用包装容器において、蓋体に用いた場合に、優れた密封性及び開封性を達成し得る。
純曲げこわさが小さいと、上記の食品用包装容器に食品を収容してなる包装食品の開封動作時に蓋が大きく変形して、スムーズな開封ができないか、又は、包装食品の開封動作時に掴み部が破断して開封が不可能になる可能性がある。また、純曲げこわさが小さいと、包装食品が落下した場合などに、蓋材が破れる可能性がある。
純曲げこわさが大きいと、包装食品の開封動作時における蓋材の変形が小さいため、開封動作を開始した直後に蓋材のほぼ全体がフランジから剥離し、この剥離を所望の位置で止めることができない可能性がある。或いは、純曲げこわさが大きいと、包装食品の開封動作において、蓋材のフランジからの部分的な剥離と蓋材の折れとが交互に繰り返され、これに伴って生じる振動によって、内容物である食品が容器本体の外部へ飛び出す可能性がある。即ち、所謂「ジッピング」を生じ、これにより、内容物である食品が容器本体の外部へ飛び出す可能性がある。また、純曲げこわさが大きいと、包装食品が落下した場合などに、内圧が高まることに起因して、蓋材がフランジから部分的に剥離する可能性がある。
蓋体用積層シート10の純曲げこわさは、例えば、蓋体用積層シート10が含む各層の材質及び厚さ等に応じて調節することが可能である。
上述した蓋体用積層シート10は、MD及びTDにおけるヤング率が何れも1.7乃至3.6GPaの範囲内にあることが好ましい。MDにおけるヤング率は2.7乃至3.6GPaの範囲内にあり、TDにおけるヤング率は1.7乃至2.6GPaの範囲内にあることがより好ましい。
ここで、蓋体用積層シート10又は蓋体の「ヤング率」は、JIS K7161-1:2014「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」に規定される方法よって得られた引張応力を上記の方法で得られた引張ひずみで除した値である。
蓋体用積層シート10のヤング率は、例えば、蓋体用積層シート10が含む各層の材質に応じて調節することが可能である。
蓋体用積層シート10は、面積当たりの質量が、50至160g/mの範囲内にあることが好ましく、60乃至140g/mの範囲内にあることがより好ましく、90乃至130g/mの範囲内にあることがより好ましい。この値を小さくすると、蓋体の強度が低下する。この値を大きくすると、コストが高くなるのに加え、製造及び排気に伴う二酸化炭素の排出量が増加する。
<2>第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態に係る包装食品を概略的に示す断面図である。図2示す包装食品40は、食品用包装容器20と、これに収容された食品である内容物30とを備えている。
食品用包装容器20は、開口が設けられている容器本体22と、上記開口を覆う蓋体21とを備えている。
容器本体22は、例えば、有底筒状である。容器本体22は、ここでは、底部と胴部(又は側壁部)とフランジ22aとを備えている。フランジ22aは、胴部の上方開口の位置で外側へ向けて広がっている。
容器本体22は、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を含む。容器本体22は、そのガスバリア性を高めるために、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の成分を更に含んでいてもよい。また、容器本体22は、添加剤、例えば、加工性、意匠性、及び化学的耐久性の向上を目的とした添加剤を更に含んでいてもよい。
容器本体22は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。この多層構造は、二層構造であってもよく、3以上の層を含むものであってもよい。後者の場合、多層構造は、ガスバリア層、例えば上述したエチレン-ビニルアルコール共重合体等の成分を含んだ層を中間層として含んでいてもよい。
容器本体22には、紙を用いることもできる。内容物30が液状物を含む場合、容器本体22には、紙基材と、これに液状物が浸み込むのを防止するべく、その内容物側の面に設けられた、樹脂等からなる層とを含んだ多層構造を採用することができる。紙基材を含んだ容器本体22の材料としては、例えば、紙葉、紙粉、パルプ、又は古紙を使用することができる。容器本体22への成形には、紙パックの製造において行うような紙葉を含むシートの折り曲げや貼り付けによる方法、金型を使用したシートのプレス成型、及びパルプモールドなどの汎用技術を利用可能である。容器本体22に紙を用いることで、食品用包装容器20の全体で、その製造及び廃棄に伴う二酸化炭素の排出量の低減を図ることが可能となり、それ故、環境への負荷が小さくなる。
蓋体21は、蓋体用積層シート10であるか、又は、それを切り出したものである。蓋体21は、容器本体22内への内容物30を収容後に、ヒートシール層1を介してフランジ22aにヒートシールされる。このヒートシールにおいて、シール温度、シール圧力、及びシール時間は、適宜設定することができる。
内容物30としての食品は、特に限定されるものではないが、チルド食品又は冷凍食品であることが好ましい。チルド食品及び冷凍食品は、例えば、調理又は加工済みの食品である。チルド食品及び冷凍食品は、例えば、焼き魚、煮魚、又は総菜である。
この包装食品40では、上記の通り、蓋体21と容器本体22との間のヒートシール強さは、蓋体21に含まれる支持層2の破断強度よりも小さいことが好ましい。このヒートシール強さは、5N/15mm乃至60N/15mmの範囲内にあることが好ましく、10N/15mm乃至50N/15mmの範囲内にあることがより好ましい。支持層2の破断強度と、蓋体21と容器本体22との間のヒートシール強さとの差は、5乃至60N/15mmの範囲内にあることが好ましく、10乃至40N/15mmの範囲内にあることがより好ましい。ここで、ヒートシール強さは、JIS Z0238:1998「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法」に規定される方法で得られる値である。
この包装食品の製造においては、蓋体21を容器本体22へヒートシールする前に、例えば、容器本体22内へ内容物を収容した後であって、蓋体21を容器本体22へヒートシールする前に、容器本体22内のガスを公知の方法で置換してもよい。例えば、容器本体22内に不活性ガスを充填してもよい。容器内のガス組成を適切に変更することで、細菌の増殖を抑えて品質保持期間を長くしたり、酸化防止により食品の風味や色彩等を長く維持したり、ビタミンの損失を防止したりすることができる。置換ガスは、内容物30である食品の種類に応じて適宜選択する。置換ガスとしては、酸素ガス、窒素ガス及び炭酸ガスの混合ガスが好適に用いられる。
この包装食品40が含んでいる蓋体21は、上述した蓋体用積層シート10であるか、又は、これから切り出したものである。それ故、包装食品40は、密封性及び開封性に優れている。
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
<1>蓋体用積層シートの製造
(例1)
図1に示す蓋体用積層シート10を、以下の方法により製造した。なお、本例では、アンカーコート層8は省略した。
先ず、紙基材4として、坪量が52.3g/mであり、厚さが48.0μmの片面塗工紙P1を準備した。この片面塗工紙P1は、坪量が37.3g/mの模造紙の一方の面に、ポリビニルアルコール及びスチレン-ブタジエンゴムを主成分として含み、シリカ及び層状ケイ酸塩を更に含んだ塗工液を、面積当たりの乾燥質量が15.0g/mとなるように塗工し、塗膜を乾燥させることによりコート層を形成したものである。
この紙基材4のコート層上に、グラビア多色印刷機を使用して、印刷層5及び機能層6を順次形成した。印刷層5としては、通常の印刷インキを使用して、テストパターンを形成した。印刷インキの塗布量は1.0g/mとした。機能層6は、ニトロセルロース系樹脂とポリエチレン系の粒状ワックスとを主成分とするOPニス剤を使用して形成した。OPニス剤の塗布量は0.5g/mとした。
次に、紙基材4と印刷層5と機能層6とからなる積層体に、ドライラミネートによって、支持層2とガスバリア層3とからなるバリアフィルム(蒸着PET)を貼り合わせた。バリアフィルムは、厚さが12μmであり、面積当たりの質量が16.8g/mであって、支持層2である厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、無機酸化物を蒸着することによってガスバリア層3を形成したものである。
ドライラミネートに当たっては、先ず、バリアフィルムのガスバリア層3に、グラビアコータを使用してドライラミネート剤を塗布して、接着層7を形成した。ドライラミネート剤としては、エステル系ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含む二液反応型の接着剤を使用した。ドライラミネート剤の塗布量は3.0g/mとした。次いで、この接着層7を間に挟んで、ガスバリア層3が紙基材4と向き合うように、上記の積層体とバリアフィルムとを貼り合わせた。
その後、支持層2上にヒートシール層1を形成した。ヒートシール層1は、支持層2へヒートシールニスを塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成した。ヒートシールニスとしては、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主成分として含み、溶媒又は分散媒として水とイソプロパノールとを含み、固形分のガラス転移温度が35℃、融点が70乃至100℃である水系エマルジョン(HSニスA)を使用した。ヒートシールニスは、グラビア印刷法により、面積当たりの乾燥質量が3.0g/mとなるように塗布した。
以上のようにして、アンカーコート層8を省略した蓋体用積層シート10を得た。
(例2)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、厚さが15μmであり、面積当たりの質量が17.4g/mであるナイロンフィルム(Ny)を使用した。
(例3)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、厚さが15μmであり、面積当たりの質量が20.9g/mであるポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)を使用した。
(例4)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、坪量が65.0g/mであり、厚さが55.3μmの片面塗工紙P2を使用した。この片面塗工紙P2は、坪量が50.0g/mの模造紙の一方の面に、ポリビニルアルコール及びスチレン-ブタジエンゴムを主成分として含み、シリカ及び層状ケイ酸塩を更に含んだ塗工液を、面積当たりの乾燥質量が15.0g/mとなるように塗工し、塗膜を乾燥させることによりコート層を形成したものである。
(例5)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P2を使用した。
(例6)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P2を使用した。
(例7)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、坪量が81.0g/mであり、厚さが69.4μmの片面塗工紙P3を使用した。この片面塗工紙P3は、坪量が66.0g/mの模造紙の一方の面に、ポリビニルアルコール及びスチレン-ブタジエンゴムを主成分として含み、シリカ及び層状ケイ酸塩を更に含んだ塗工液を、面積当たりの乾燥質量が15.0g/mとなるように塗工し、塗膜を乾燥させることによりコート層を形成したものである。
(例8)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P3を使用した。
(例9)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P3を使用した。
(例10)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。
即ち、本例では、アンカーコート層8を省略しなかった。アンカーコート層8は、ヒートシール層1を形成するのに先立ち、グラビアコータを使用して支持層2上へアンカーコート剤を塗布することにより形成した。アンカーコート剤としては、エステル系ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含む二液反応型の接着剤を使用した。アンカーコート剤は、アンカーコート層8の厚さが1.5μmとなるように塗布した。
また、本例では、ヒートシールニスとして、HSニスAの代わりに、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主成分として含み、溶媒又は分散媒として水とイソプロパノールとを含み、固形分のガラス転移温度が50℃、融点が70乃至100℃である水系エマルジョン(HSニスB)を使用した。ヒートシールニスは、グラビア印刷法により、面積当たりの乾燥質量が5.0g/mとなるように塗布した。
更に、本例では、ヒートシール層1の形成後に、40℃で2日間に亘るエージングを行った。
(例11)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。
(例12)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)を使用した。
(例13)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P2を使用した。
(例14)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P2を使用した。
(例15)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P2を使用した。
(例16)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P3を使用した。
(例17)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P3を使用した。
(例18)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ガスバリア層3を省略し、支持層2として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)を使用した。また、本例では、紙基材4として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の片面塗工紙P3を使用した。
(比較例1)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1を使用する代わりに、坪量が25.0g/mであり、厚さが28.0μmの薄葉紙を使用した。
(比較例2)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、ガスバリア層を省略し、支持層として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の薄葉紙を使用した。
(比較例3)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1を使用する代わりに、坪量が186.0g/mであり、厚さが184.0μmのアート紙を使用した。
(比較例4)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、ガスバリア層を省略し、支持層として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1の代わりに、上記のアート紙を使用した。
(比較例5)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1を使用する代わりに、上記の薄葉紙を使用した。
(比較例6)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、ガスバリア層を省略し、支持層として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1の代わりに、上記の薄葉紙を使用した。
(比較例7)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1を使用する代わりに、上記のアート紙を使用した。
(比較例8)
以下の点を除き、例10と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、ガスバリア層を省略し、支持層として、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、上記のナイロンフィルム(Ny)を使用した。また、本例では、紙基材として、片面塗工紙P1の代わりに、上記のアート紙を使用した。
<2>評価
(ヒートシール強さの測定)
例1乃至18及び比較例1乃至8に係る蓋体用積層シートについて、上述した方法により、樹脂シートに対するヒートシール強さを測定した。
ここでは、樹脂シートとして、一対のポリプロピレン層と、それらの間に介在した、ポリプロピレンと4質量%のエチレン-ビニルアルコール共重合体との混合物からなる層とを含んだ三層構造のシートを使用した。
各蓋体用積層シートと樹脂シートとは、テスター産業社製 TP-701-B ヒートシールテスターを使用してヒートシールした。ここで使用したヒートシールテスターは、シールバーの幅が5mmであった。シールバーの長さ方向は、MDに対して垂直にした。ヒートシールは、各ヒートシール位置で、蓋体用積層シートと樹脂シートとの積層体へ、210℃の温度及び0.2MPaの圧力を2秒間加えることにより行った。このようにして部分的にヒートシールした各積層体から、幅が15mmの短冊形状を有し、長さ方向がMDに平行であり、一端側ではヒートシールされておらず、他端側で30乃至50mmの長さに亘ってヒートシールされた3つの試験片を切り出した。
また、これとは別に、各蓋体用積層シートと樹脂シートとを、シールバーの長さ方向をTDに対して垂直にしたこと以外は上記と同様の方法によりヒートシールした。このようにして部分的にヒートシールした各積層体から、幅が15mmの短冊形状を有し、長さ方向がTDに平行であり、一端側ではヒートシールされておらず、他端側で30乃至50mmの長さに亘ってヒートシールされた3つの試験片を切り出した。
次に、各試験片のヒートシール強さを、上述した方法により測定した。具体的には、ヒートシール強さの測定には、テンシロン万能試験機を使用した。各試験片のヒートシールされていない蓋体用積層シート部及び樹脂シート部を試験機の掴み具に掴ませ、それら掴み具を互いから離れる方向へ移動させた。それら掴み具の相対移動速度、即ち、剥離速度は300mm/分とした。各試験片について、その破断を生じるまでの間に加えた引張荷重の最大値を記録した。
蓋体用積層シート毎に、長さ方向がMDに平行な3つの試験片について得られた引張荷重の最大値を算術平均することによって、MDにおけるヒートシール強さを得た。また、蓋体用積層シート毎に、長さ方向がTDに平行な3つの試験片について得られた引張荷重の最大値を算術平均することによって、TDにおけるヒートシール強さを得た。
(ヤング率の測定)
例1乃至18及び比較例1乃至8に係る蓋体用積層シートについて、上述した方法によりヤング率を測定した。具体的には、先ず、蓋体用積層シートから、長さ方向がMDに平行な3つの試験片と、長さ方向がTD方向に平行な3つの試験片とを切り出した。各試験片は、幅が15mmであり、長さが100mmである短冊形状とした。次に、テンシロン万能試験機を使用して、各試験片の長さ方向の一端と他端とを試験機の掴み具に掴ませ、それら掴み具を互いから離れる方向へ移動させた。それら掴み具の相対移動速度、即ち、引張速度は300mm/分とした。また、標線間距離は50mmとした。掴み具の移動は、各試験片が破断を生じるまで行った。次に、引張力を標線間内における初めの断面積で除した値を引張応力として得た。また、標線間距離の増加量を標線間距離で除した値を引張ひずみとして得た。次に、得られた引張応力を引張ひずみで除した値をヤング率として得た。
(純曲げこわさの算出)
上記の測定によって得られたヤング率Eと、蓋体用積層シートの厚さTとを、下記等式の右辺へ代入して、純曲げこわさSPBを算出した。
PB=E×T/12
純曲げこわさSPBの算出は、MD及びTDの各々について行った。
(開封試験)
例1乃至18及び比較例1乃至8に係る蓋体用積層シートの各々から、複数の蓋体を切り出した。これら蓋体を用いて、図2に示す包装食品40を製造した。ここでは、容器本体22として、ヒートシール強さの測定に使用した樹脂シートをトレイ形状へ成形してなるものを使用した。容器本体22は、長辺方向の寸法が120mmであり、短辺方向の寸法が90mmである略長方形状の開口を有しており、高さが30mmであった。蓋体21のフランジ22aへのヒートシールは、フランジ22aの形状に沿うように作製した、幅が5mmのシールバーを使用し、210℃の温度及び0.2MPaの圧力を1.5秒間加えることにより行った。容器本体22には、内容物30として200mLの水を入れた。
次に、各包装食品40について、容器本体22の角から蓋体21を手で剥離して、開封性を確認した。また、開封によって紙剥けが生じたか確認した。
(密封性試験)
例1乃至18及び比較例1乃至8に係る蓋体用積層シートの各々から、5個の蓋体を切り出した。これら蓋体を用いて、図2に示す包装食品40を製造した。ここでは、容器本体22として、上記の開封試験において使用したものと同じものを使用した。蓋体21のフランジ22aへのヒートシールは、上記の開封試験において行ったのと同様の方法により行った。また、容器本体22には、内容物として200mLの水を入れた。
次に、包装食品40の各々を、JIS Z0238:1998「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法」に規定される落下強さ試験に供した。具体的には、各包装食品40を、50cmの高さから堅固な落下面に対して8回落下させた。1回目は、包装食品40を、その底面が落下面に当たるように落下させた。2回目は、包装食品40を、その長辺に沿った側面の一方が落下面に当たるように落下させた。3回目は、包装食品40を、その長辺に沿った側面の他方が落下面に当たるように落下させた。4回目は、包装食品40を、その短辺に沿った側面の一方が落下面に当たるように落下させた。5回目は、包装食品40を、その短辺に沿った側面の他方が落下面に当たるように落下させた。6回目は、包装食品40を、角の1つが落下面に当たるように落下させた。7回目は、包装食品40を、角の他の1つが落下面に当たるように落下させた。8回目は、包装食品40を、角の更に他の1つが落下面に当たるように落下させた。
上記の蓋体用積層シートの構成を、以下の表1乃至表3に纏める。また、上記の測定及び試験の結果を、以下の表4乃至表6に纏める。
表1乃至表3において、「AC層」はアンカーコート層を表し、「質量」は面積当たりの質量を表している。表4乃至表6において、「質量割合」と表記された欄における、「紙」、「プラスチック」及び「その他」の分類は、「容器包装リサイクル法 説明資料」に従うものである。
表4乃至表6の「開封性」と表記された欄において、「A」は、スムーズに開封できたことを示している。「B」は、内容物をこぼすことなく開封できたものの、ジッピングを生じるなどの理由でスムーズに開封できなかったか、又は、開封動作を開始した直後に蓋材のほぼ全体がフランジから剥離し、この剥離を所望の位置で止めることができなかったことを示している。「C」は、蓋体の一部に破れを生じたことなどにより開封が困難であったか、又は、ジッピングを生じて内容物がこぼれたことを示している。
また、表4乃至表6の「紙剥け」と表記された欄において、「A」は紙剥けを全く生じなかったことを示している。
そして、表4乃至表6の「密封性」と表記された欄において、「A」は、8回の落下後に内容物の漏れが包装食品の何れにおいても生じなかったことを示している。「B」は、8回の落下後に、包装食品の1個以上において、蓋材の破れ又は部分的な剥離を生じ、内容物の漏れを生じたことを示している。
表4乃至表6に示すように、比較例1乃至8に係る包装食品は、何れも紙剥けを生じなかった。しかしながら、比較例1乃至4に係る包装食品は開封性の評価が「B」であり、比較例5乃至8に係る包装食品は開封性の評価が「C」であった。具体的には、比較例1及び2に係る包装食品は、開封時に蓋材が大きく変形し、スムーズに開封できなかった。比較例3及び4に係る包装食品は、開封動作を開始した直後に蓋材のほぼ全体が容器本体のフランジから剥離し、蓋材のフランジからの剥離を所望の位置で止めることができなかった。また、比較例5及び6に係る包装食品は、開封時に蓋材が掴み部の位置で破断し、開封することができなかった。そして、比較例7及び8に係る包装食品は、開封時にジッピングを生じ、内容物が容器本体の外部へ飛び出した。
また、比較例1及び3乃至5に係る包装食品は、密封性の評価が「B」であった。具体的には、比較例1及び5に係る包装食品は、落下させることにより、蓋材が部分的に破れて、内容物が容器本体の外部へこぼれた。また、比較例3及び4に係る包装食品は、落下させることにより、蓋材が容器本体のフランジから部分的に剥離し、内容物が容器本体の外部へこぼれた。
これに対し、例1乃至18に係る包装食品は、何れも紙剥けを生じず、また、優れた開封性及び密封性を達成した。
1…ヒートシール層、2…支持層、3…ガスバリア層、4…紙基材、5…印刷層、6…機能層、7…接着層、8…アンカーコート層、10…蓋体用積層シート、20…食品用包装容器、21…蓋体、22…容器本体、22a…フランジ、30…内容物、40…包装食品。

Claims (10)

  1. 開口が設けられ、前記開口の周りにフランジを有している容器本体と、前記開口を覆う蓋体とを備える食品用包装容器の前記蓋体に用いられる蓋体用積層シートであって、紙基材とヒートシール層とを含み、MDにおける純曲げこわさとTDにおける純曲げこわさとが0.5乃至2.5gf・cmの範囲内にある蓋体用積層シート。
  2. 耐水性を有し、前記紙基材を間に挟んで前記ヒートシール層と向き合った機能層と、前記機能層と前記紙基材との間に設けられた印刷層と、前記紙基材と前記ヒートシール層との間に介在した支持層とを更に含み、前記紙基材の質量は、前記蓋体用積層シートに含まれる他の何れの層の質量よりも大きい請求項1に記載の蓋体用積層シート。
  3. 前記紙基材と前記支持層との間に介在したガスバリア層を更に含んだ請求項2に記載の蓋体用積層シート。
  4. 前記支持層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの1以上を含んだ請求項2に記載の蓋体用積層シート。
  5. 前記支持層の質量に占める、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの合計質量の割合は50質量%以上である請求項4に記載の蓋体用積層シート。
  6. 前記蓋体用積層シートに含まれる、前記紙基材以外の層を、プラスチックからなる層と、その他の層とに分類した場合に、前記紙基材の質量は、前記プラスチックからなる層の合計質量及び前記その他の層の合計質量と比較してより大きい請求項1に記載の蓋体用積層シート。
  7. 前記ヒートシール層は、ヒートシールニスからなる層の硬化物である請求項1に記載の蓋体用積層シート。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の蓋体用積層シートからなる蓋体。
  9. 開口が設けられ、前記開口の周りにフランジを有している容器本体と、前記開口を覆う請求項8に記載の蓋体とを備えた食品用包装容器。
  10. 請求項9に記載の食品用包装容器と、前記食品用包装容器に収容された食品とを備え、前記蓋体は前記ヒートシール層を介して前記フランジにヒートシールされている包装食品。
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