JP2023018679A - 蓋体用積層シート、蓋体、食品用包装容器及び包装食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 食品用包装容器に用いられ、紙基材を含み、突き刺し強さに優れた蓋体を提供する。【解決手段】 本発明の実施形態に係る蓋体用積層シート10は、開口が設けられている容器本体と上記開口を覆う蓋体とを備える食品用包装容器の上記蓋体に用いられる蓋体用積層シートである。蓋体用積層シート10は、耐水性を有する機能層6と、印刷層5と、ガスバリア性を有するガスバリア層4と、紙基材3と、支持層2と、ヒートシール層1とをこの順序で含み、上記紙基材3の質量は、蓋体用積層シート10に含まれる他の何れの層の質量よりも大きく、上記支持層2は、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの少なくとも一方を含んでいる。【選択図】 図1
Description
本発明は、蓋体用積層シート、蓋体、食品用包装容器及び包装食品に関する。
近年の核家族化による世帯構成の変化やライフスタイルの変化に加えて、流通及び冷凍・冷蔵技術の進歩に支えられて、コンビニエンスストアやスーパマーケットなどで販売されている調理又は加工済みチルド食品及び冷凍食品の需要が伸びている。それと同時にチルド食品及び冷凍食品を収容する包装容器の需要も伸びている。
一方、プラスチックごみの削減が進められている中、環境負荷が小さく、再生可能な資源である紙を基材に使用した食品用包装容器の需要が高まっている。チルド食品を収容する包装容器にも、基材として紙を使用した紙製の包装容器を使用することが求められている。
例えば、特許文献1には、紙基材上にエチレン変性ポリビニルアルコール樹脂を使用した2層のガスバリア層を積層してなる食品用包装材料が開示されている。
本発明は、食品用包装容器に用いられ、紙基材を含み、突き刺し強さに優れた蓋体を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、開口が設けられている容器本体と上記開口を覆う蓋体とを備える食品用包装容器の上記蓋体に用いられる蓋体用積層シートであって、耐水性を有する機能層と、印刷層と、ガスバリア性を有するガスバリア層と、紙基材と、支持層と、ヒートシール層とをこの順序で含み、上記紙基材の質量は、上記蓋体用積層シートに含まれる他の何れの層の質量よりも大きく、上記支持層は、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの少なくとも一方を含んだ蓋体用積層シートが提供される。
本発明の他の側面によると、上記支持層の破断強度は、上記蓋体と上記容器本体との間のヒートシール強さより大きい上記側面に係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記支持層は延伸フィルムである上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記支持層の厚さは3乃至60μmの範囲内にある上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記ガスバリア層は、無機酸化物層及び樹脂含有層の少なくとも一方からなる上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記紙基材は、一方の面に上記ガスバリア層を有するバリア紙である上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記蓋体用積層シートに含まれる、上記紙基材以外の層を、プラスチックからなる層と、その他の層とに分類した場合に、上記紙基材の質量は、上記プラスチックからなる層の合計質量及び上記その他の層の合計質量と比較してより大きい上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記紙基材は、一方の面にコート層を有する塗工紙であり、上記ガスバリア層は上記コート層上に設けられている上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
或いは、本発明の更に他の側面によると、上記紙基材は、両面にコート層を有する塗工紙である上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記紙基材は坪量が40乃至100g/m2の範囲内にある上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記ヒートシール層はイージーピール性を有するシーラント
である上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
である上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記ヒートシール層がヒートシールニスにより形成されている上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記機能層は、面積当たりの質量が0.2g/m2以上である上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートが提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る蓋体用積層シートからなる蓋体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、開口が設けられている容器本体と、上記開口を覆う上記側面に係る蓋体とを備えた食品用包装容器であって、上記支持層が上記紙基材と上記食品用包装容器の内部空間との間に配置されている食品用包装容器が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記容器本体は上記開口の周りにフランジを有し、上記蓋体は上記ヒートシール層を介して上記フランジにヒートシールされている上記側面に係る食品用包装容器が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記食品用包装容器の上記内部空間は、酸素ガス、窒素ガス及び炭酸ガスを含む混合ガスで充填されている上記側面の何れかに係る食品用包装容器が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記食品用包装容器はチルド食品用包装容器又は冷凍食品用包装容器である上記側面の何れかに係る食品用包装容器が提供される。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る食品用包装容器と、上記食品用包装容器に収容された食品とを備えた包装食品が提供される。
本発明によれば、食品用包装容器に用いられ、紙基材を含み、突き刺し強さに優れた蓋体が提供される。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る蓋体用積層シートの一例を概略的に示す断面図である。
図1に示す蓋体用積層シート10は、開口が設けられている容器本体と、その開口を覆う蓋体とを備えた食品用包装容器において、蓋体に用いられるものである。即ち、蓋体用積層シート10は、それ自体が蓋体として使用されるか、又は、それから切り出された部分が蓋体として使用される蓋材である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る蓋体用積層シートの一例を概略的に示す断面図である。
図1に示す蓋体用積層シート10は、開口が設けられている容器本体と、その開口を覆う蓋体とを備えた食品用包装容器において、蓋体に用いられるものである。即ち、蓋体用積層シート10は、それ自体が蓋体として使用されるか、又は、それから切り出された部分が蓋体として使用される蓋材である。
蓋体用積層シート10は、ヒートシール層1と、支持層2と、紙基材3と、ガスバリア層4と、印刷層5と、耐水性を有する機能層(耐水性層)6とをこの順序で含んでいる。 蓋体用積層シート10が含んでいる各層について、以下に説明する。
(紙基材)
蓋体用積層シート10は、紙基材3を含んでいる。紙基材3の質量は、蓋体用積層シート10が含んでいる他の何れの層の質量よりも大きい。蓋体用積層シート10の質量に占める紙基材3の質量の割合は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、50%超であることが更に好ましい。この割合は、一例によれば80%以下であり、他の例によれば70%以下であり、更に他の例によれば65%以下である。
蓋体用積層シート10は、紙基材3を含んでいる。紙基材3の質量は、蓋体用積層シート10が含んでいる他の何れの層の質量よりも大きい。蓋体用積層シート10の質量に占める紙基材3の質量の割合は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、50%超であることが更に好ましい。この割合は、一例によれば80%以下であり、他の例によれば70%以下であり、更に他の例によれば65%以下である。
蓋体用積層シート10が含んでいる紙基材3以外の層を、プラスチックからなる層とその他の層とに分類した場合に、紙基材3の質量は、プラスチックからなる層の合計質量及びその他の層の合計質量と比較してより大きいことが好ましい。この場合、日本国では、蓋体用積層シート10を、容器包装リサイクル法上の紙として扱うことができる。
ここで、上記の分類は、「容器包装リサイクル法 説明資料」に従う。即ち、「プラスチック」は、高分子を必須成分として含み、加工時に流動性を利用して賦形及び製品化した材料である。塗料及び接着剤は、「賦形」の概念と無関係であるため、プラスチックには含まれない。従って、図1に示す例では、支持層2及びこれに貼り合わされたヒートシール層1は、「プラスチックからなる層」である。また、図1に示す例では、インキから形成された印刷層5、塗工によって形成された機能層6、及び接着剤からなる接着層(図示せず)は、「その他の層」である。
一方、ガスバリア層4については以下のように場合分けして分類する。すなわち、図1に示す例において、ガスバリア層4が紙基材3上に塗工や蒸着によって形成された層である場合、上記説明資料に沿えば「紙基材」として扱うことも可能であるが、ここでは「その他の層」として扱う。例えば、紙基材3が、その一方の面にガスバリア層4が塗工や蒸着されたバリア紙である場合、ガスバリア層4は「その他の層」である。また、ガスバリア層4に少なくとも押出加工等の溶融成型により作製された高分子フィルムを使用した場合は、「プラスチックからなる層」である。
紙基材3の坪量、即ち、面積当たりの質量は、一例によれば20乃至500g/m2の範囲内にあり、他の例によれば40乃至100g/m2の範囲内にある。紙基材3の坪量を大きくすると、蓋体が硬くなり、開封性が低下する。坪量を小さくすると、蓋体の強度が低下する。
なお、紙基材3の坪量を大きくすると、蓋体用積層シート10の質量に占める紙基材3の質量の割合も大きくなる。しかしながら、紙基材3の坪量を大きくすると、紙基材3の製造や蓋体用積層シート10の廃棄に伴う二酸化炭素の排出量が増加する。
紙基材3は、植物由来のパルプを主成分とするものであれば特に制限はない。紙基材3としては、例えば、上質紙、中質紙、微塗工紙などの塗工紙、片艶紙、晒及び未晒クラフト紙(酸性紙又は中性紙)が挙げられる。
紙基材3は、少なくとも一方の面にコート層を有する塗工紙であることが好ましい。即ち、紙基材3は、片面塗工紙であるか又は両面塗工紙であることが好ましい。塗工紙のコート層が設けられた面は、コート層が設けられていない紙の表面と比較して、平滑性に優れている。
紙基材3が一方の面にコート層を有する塗工紙である場合、支持層2は、例えば、コート層上に設けることができる。この場合、紙基材3と支持層2との間で優れた密着性を実現することができる。また、コート層の平滑性により接着剤を含む接着層を均一に形成し易くなるため、紙基材3に対する支持層2の接着性が向上し、かつ接着剤の使用量を低減できる。
紙基材3が一方の面にコート層を有する塗工紙である場合、ガスバリア層4は、例えば、コート層上に設けることができる。こうすることにより、紙基材3に対するガスバリア層4の密着性が向上する。また、バリア性の発現に必要なガスバリア層4の厚みを低減できる。
紙基材3として、両面にコート層を有する塗工紙を使用すると、紙基材3と支持層2との間で優れた密着性を実現することができる。また、紙基材3とガスバリア層4との間で優れた密着性を実現することが容易になる。
コート層は、樹脂を含んでいる。コート層が含む樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合させたエチレン-α-オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、及びフマル酸等の不飽和カルボン酸で変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、及びスチレン-ブタジエンゴム等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、2以上を組み合わせて使用してもよく、2以上を共重合させて使用してもよい。コート層は、添加剤、例えば、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、及び酸化チタン等の充填材を更に含有していてもよい。
コート層の厚さは、0.5乃至50μmの範囲内にあることが好ましく、1乃至15μmの範囲内にあることがより好ましい。
(支持層)
支持層2は、蓋体用積層シート10の強度を向上させる。
支持層2は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリアミドの少なくとも一方を含んでいる。支持層2は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、支持層2は、ポリブチレンテレフタレートからなる層であるか、ポリアミドからなる層であるか、又は、それらの少なくとも一方を含んだ積層体である。ここでは、一例として、支持層2は、ポリブチレンテレフタレート又はポリアミドからなる層であるとする。
支持層2は、蓋体用積層シート10の強度を向上させる。
支持層2は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリアミドの少なくとも一方を含んでいる。支持層2は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、支持層2は、ポリブチレンテレフタレートからなる層であるか、ポリアミドからなる層であるか、又は、それらの少なくとも一方を含んだ積層体である。ここでは、一例として、支持層2は、ポリブチレンテレフタレート又はポリアミドからなる層であるとする。
ポリアミドは、例えば、脂肪族骨格を含んでいる。ポリアミドは、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、及びナイロン46 などのナイロンである。
支持層2は、無延伸フィルムであってもよく、2軸延伸フィルムなどの延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムである場合、二軸延伸フィルムを利用することが好ましい。二軸延伸により、フィルム面内の方向に対する破断強度等の諸物性の変動が1軸延伸に比べて小さくなるためである。
支持層2は、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミド以外の材料を更に含むことができる。例えば、支持層2は、硬化剤、フィラー、アンチブロッキング剤、及び帯電防止剤などの添加剤を更に含むことができる。また、支持層2の材料として、紫外線及び電子線などの活性エネルギー線の照射による硬化するものを使用することもできる。
支持層2の質量に占める、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの合計質量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。支持層2の厚さを一定とした場合、この割合を大きくすると、蓋体の突き刺し強さが高くなる。
支持層2の厚さは、3乃至60μmの範囲内にあることが好ましく、10乃至30μmの範囲内にあることがより好ましい。支持層2を厚くすると、蓋体の突き刺し強さを高めることが容易になるが、蓋体用積層シート10の質量に占める紙基材3の質量の割合を大きくすることが難しくなる。
支持層2の破断強度は、蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きいことが好ましい。ここで、支持層2の破断強度が蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きいことは、MD(Machine Direction)において、支持層の破断強度が蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きく、且つ、TD(Transverse Direction)において、支持層の破断強度が蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きいことを意味している。
支持層2の破断強度は、JIS Z1707:2019「食品包装用プラスチックフィルム通則」に規定された測定方法で得られる引張力である。なお、この引張力(N/15mm)は、試験片が破壊した時の最大力を、試験片の幅15mm相当の力(N/15mm)に換算した値である。蓋体と容器本体との間のヒートシール強さについては後述する。
支持層2の破断強度が、蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きい場合、蓋体を容器本体から剥離する際に、紙剥けを生じ難い。例えば、支持層2の破断強度が30N/15mmより大きい場合、ヒートシール強さが30N/15mm程度までは紙剥け発生を抑制できる。ここで、「紙剥け」とは、蓋体を容器本体から剥離した場合に、紙基材の凝集破壊が生じて、蓋体の一部が容器本体に残留することである。紙剥けを生じると、容器本体に収容された内容物を取り出し難くなることがある。
ヒートシール強さは、包装容器の用途や目的に応じて調整される。例えば、易開封性を付与するために、ヒートシール強さを小さくする場合がある。それ故、支持層2の破断強度は、30N/15mm超である必要はない。支持層2の破断強度は、特に限定されないが、10乃至100N/15mmの範囲内にあることが好ましく、25乃至85N/15mmの範囲内にあることがより好ましい。上述の破断強度を大きくすると、紙剥けを抑制するために積層体を補強する効果が大きくなる。但し、破断強度を大きくするべく支持層2を厚くすると、支持層2の製造や蓋体用積層シート10の廃棄に伴う二酸化炭素の排出量及びコストが増加する。
(ガスバリア層)
ガスバリア層4は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性などのガスバリア性を有している。ガスバリア層4は、後述する包装食品において、容器外部の酸素、水蒸気、及び香気成分等のガスが容器内へ侵入するのを抑制する。これにより、ガスバリア層4は、包装食品において、内容物である食品の劣化を抑制する。また、ガスバリア層4は、包装食品において、内容物の臭気成分等が容器外部へ拡散するのを抑制する。ガスバリア層4は、一例によれば、温度30℃、相対湿度70%の雰囲気下における酸素透過度が0.1乃至100cc/m2/day/atmである。
ガスバリア層4は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性などのガスバリア性を有している。ガスバリア層4は、後述する包装食品において、容器外部の酸素、水蒸気、及び香気成分等のガスが容器内へ侵入するのを抑制する。これにより、ガスバリア層4は、包装食品において、内容物である食品の劣化を抑制する。また、ガスバリア層4は、包装食品において、内容物の臭気成分等が容器外部へ拡散するのを抑制する。ガスバリア層4は、一例によれば、温度30℃、相対湿度70%の雰囲気下における酸素透過度が0.1乃至100cc/m2/day/atmである。
ガスバリア層4は、例えば、金属層、無機酸化物層、樹脂含有層、又は、それらの2以上の組み合わせである。電子レンジによるマイクロ波加熱が想定される場合、ガスバリア層4は、無機酸化物層、樹脂含有層、又は、それらの組み合わせであることが好ましい。
ガスバリア層4は、塗工によって形成したものであってもよく、溶融成形によって形成したものであってもよく、無機酸化物を蒸着したものであってもよい。或いは、ガスバリア層4は、アルミニウム箔などの金属箔であってもよく、アルミニウムなどの金属を蒸着したものであってもよい。
無機酸化物としては、例えば、酸化珪素、酸化ホウ素、又は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、及び酸化イットリウムなどの金属酸化物を使用できる。
樹脂含有層は、例えば、塗工で形成することができる。この場合、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、及びエポキシ樹脂などの樹脂を含んだ塗液を使用することができる。この塗液には、有機又は無機粒子、層状化合物、及び硬化剤などの添加剤を添加してもよい。
樹脂含有層を溶融成形によって形成する場合、例えば、Tダイやインフレーションなどの押出成形技術を利用することができる。溶融成形では、例えば、上記樹脂又は上記樹脂と添加剤との混合物を加熱溶融し、Tダイやインフレーション等によりガスバリア層4をフィルムやシートに加工する。このフィルム又はシートを紙基材3と貼り合わせる。
ガスバリア層4は、一方の面にガスバリア層4を有する紙基材3からなるバリア紙を使用することにより、蓋体用積層シート10の紙基材3と印刷層5との間に介在させてもよい。バリア紙を構成する紙基材3は、少なくとも一方の面にコート層を有する塗工紙であってもよい。バリア紙を構成する紙基材3が一方の面のみにコート層を有する場合、ガスバリア層4はコート層上に設けられていてもよいし、コート層が形成されていない紙基材3の面上に設けられていてもよい。
ガスバリア層4の厚さは、一例によれば0.01乃至30μmの範囲内にあり、他の例によれば0.1μm乃至12μmの範囲内にある。
(印刷層)
印刷層5は、蓋体用積層シート10又は蓋体を商業製品として実用に供するために形成される層である。印刷層5は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、及び塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダ樹脂に各種顔料、体質顔料、可塑剤、乾燥剤、及び安定剤等の添加剤が添加されているインキにより構成される層であって、文字及び絵柄等のパターンを表示している。印刷層5の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、及びシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、及びグラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。
印刷層5は、蓋体用積層シート10又は蓋体を商業製品として実用に供するために形成される層である。印刷層5は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、及び塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダ樹脂に各種顔料、体質顔料、可塑剤、乾燥剤、及び安定剤等の添加剤が添加されているインキにより構成される層であって、文字及び絵柄等のパターンを表示している。印刷層5の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、及びシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、及びグラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。
印刷層5の厚さは、特に限定されるものではなく、一例によれば0.1乃至5μmの範囲内にあり、他の例によれば0.2乃至1μmの範囲内にある。
(耐水性を有する機能層)
耐水性を有する機能層(耐水性層)6は、後述する包装食品において、結露等による水分や油等の容器外部の液体が蓋体に浸透するのを抑制して、この液体が印刷層5、ガスバリア層4及び紙基材3等の層に到達することを抑制する層である。機能層6は、容器外部の液体が印刷層5、ガスバリア層4及び紙基材3等の層に到達するのを抑制することで、例えば、これらの層の劣化、破壊又は密着性の低下を防ぐ。
耐水性を有する機能層(耐水性層)6は、後述する包装食品において、結露等による水分や油等の容器外部の液体が蓋体に浸透するのを抑制して、この液体が印刷層5、ガスバリア層4及び紙基材3等の層に到達することを抑制する層である。機能層6は、容器外部の液体が印刷層5、ガスバリア層4及び紙基材3等の層に到達するのを抑制することで、例えば、これらの層の劣化、破壊又は密着性の低下を防ぐ。
一例によれば、機能層6は、印刷層5の上に形成されることにより、蓋体用積層シート10のうち機能層6から紙基材3までの部分である部分積層シートの吸水度を制御する。機能層6は、以下に記載するコッブ法による蓋体用積層シートの吸水度を、20g/m2以下にする耐水性を有していることが好ましい。
ここで、吸水度とは、JIS P8140:1998「紙及び板紙-吸水度試験方法-コッブ法」に規定された方法において、測定面を機能層6の表面とし、試験片と水との接触時間300秒とした場合に得られる吸水度である。この吸水度は、上記の通り20g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以下であることがより好ましく、5g/m2以下であることが更に好ましい。この吸水度の下限値は、理想的には0g/m2である。一例によれば、この吸水度は1g/m2以上である。
機能層6は、オーバープリントニス層(以下において、「OPニス層」という。)であることが好ましい。
機能層6は、一例によれば、耐水性樹脂を含有する。耐水性樹脂としては、上述した吸水度を実現可能な樹脂であれば、制限なく使用することができる。耐水性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、又はウレタン系樹脂を使用することができる。機能層6は、例えば、耐水性樹脂を含有する塗料を、印刷層5が形成されたガスバリア層4上に公知の方法で塗工することにより得ることができる。上記塗料は、耐水性樹脂に加え、顔料、染料、硬化剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、及び易滑剤等の添加剤や溶剤等を更に含有することができる。
機能層6は、一例によれば、耐水性樹脂を含有する。耐水性樹脂としては、上述した吸水度を実現可能な樹脂であれば、制限なく使用することができる。耐水性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、又はウレタン系樹脂を使用することができる。機能層6は、例えば、耐水性樹脂を含有する塗料を、印刷層5が形成されたガスバリア層4上に公知の方法で塗工することにより得ることができる。上記塗料は、耐水性樹脂に加え、顔料、染料、硬化剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、及び易滑剤等の添加剤や溶剤等を更に含有することができる。
機能層6は、十分な耐水性を維持できるように、高い耐磨耗性及び耐擦傷性を有していることが好ましい。このような観点から、機能層6の厚さ及びその材料である塗料の塗布量は、通常のOPニス層の厚さ及び通常のOPニスの塗布量より大きいことが好ましい。ここで、「塗布量」は、面積当たりの固形分質量である。
例えば、図1に示す蓋体用積層シート10において、機能層6を形成するための塗料は、その塗布量が0.2g/m2以上となるように塗工することが好ましく、2.0g/m2以上となるように塗工することがより好ましい。この塗料は、その塗布量が、例えば、10g/m2以下となるように塗工する。機能層6の厚さは、0.2μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。機能層6の厚さは、例えば、10μm以下である。なお、機能層6は、ラミネートによって印刷層5上に設けてもよい。
(ヒートシール層)
ヒートシール層1は、後述する図2に示す食品用包装容器20の容器本体22への蓋体21のヒートシールを可能とし、これにより容器を密封できるものであればよい。ヒートシール層1としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(Ethylene-vinyl acetate;EVA)、アイオノマー樹脂、又は、その他のポリオレフィン類からなるフィルムが使用される。ヒートシール層1は、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene;LLDPE)、超低密度直鎖状ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene;VLDPE)、又はポリプロピレンのいずれかを少なくとも含む層である。
ヒートシール層1は、後述する図2に示す食品用包装容器20の容器本体22への蓋体21のヒートシールを可能とし、これにより容器を密封できるものであればよい。ヒートシール層1としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(Ethylene-vinyl acetate;EVA)、アイオノマー樹脂、又は、その他のポリオレフィン類からなるフィルムが使用される。ヒートシール層1は、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene;LLDPE)、超低密度直鎖状ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene;VLDPE)、又はポリプロピレンのいずれかを少なくとも含む層である。
ヒートシール層1として、イージーピール機能(簡易剥離機能)をもったシーラント層も使用することができる。イージーピール性とは、再剥離性及び易開封性に優れることを示す。ヒートシール層1をラミネート等により貼り合わせる手段としては、溶剤系接着剤を用いるドライラミネート法、無溶剤系接着剤を用いるノンソルラミネート法、及び溶融樹脂を接着剤として用いるサンドラミネート法などがある。また、ヒートシール層を溶融樹脂で押出し成形する場合には、押出しラミネート法を用いることもできる。
ヒートシール層1は、例えば、ラミネートによって支持層2上に設ける。ヒートシール層1は、ヒートシールニスを支持層2上に塗布して形成することもできる。塗工手段として、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、バーコート法などの各種コート法を用いることができる。
ヒートシール層1の厚さは、特に限定されるものではない。ヒートシール層1の厚さは、一例によれば0.5乃至60μmの範囲内にあってよく、他の例によれば1乃至30μmの範囲内にあってよい。
(接着層)
蓋体用積層シート10は、1以上の接着層を更に含むことができる。
例えば、蓋体用積層シート10は、ヒートシール層1と支持層2との間に、それらを接着する接着層を含んでいてもよい。或いは、蓋体用積層シート10は、支持層2と紙基材3との間に、それらを接着する接着層を含んでいてもよい。或いは、蓋体用積層シート10は、紙基材3とガスバリア層4との間に、それらを接着する接着層を含んでいてもよい。或いは、蓋体用積層シート10は、上述した接着層の2層以上を含んでいてもよい。
蓋体用積層シート10は、1以上の接着層を更に含むことができる。
例えば、蓋体用積層シート10は、ヒートシール層1と支持層2との間に、それらを接着する接着層を含んでいてもよい。或いは、蓋体用積層シート10は、支持層2と紙基材3との間に、それらを接着する接着層を含んでいてもよい。或いは、蓋体用積層シート10は、紙基材3とガスバリア層4との間に、それらを接着する接着層を含んでいてもよい。或いは、蓋体用積層シート10は、上述した接着層の2層以上を含んでいてもよい。
接着層の材料には、これを介して接着する層の材料に応じて、必要な接着強度が得られる接着樹脂や接着剤を適宜選択して用いる。
接着樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及びメタロセン触媒を利用して重合したエチレン-αオレフィンとの共重合体などのポリエチレン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、及びエチレン-マレイン酸共重合体などのエチレン-不飽和カルボン酸共重合体;及びアイオノマー樹脂から選択される1種又は2種以上の樹脂を使用することができる。
接着剤は、例えば、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を含む第2組成物とを混合してなる接着剤組成物である。この接着剤から得られる接着層は、接着剤組成物中の主剤と硬化剤とが反応して生成された硬化物を含む。
主剤の例としては、ポリオールを挙げることができる。硬化剤の例としては、イソシアネート化合物を挙げることができる。接着剤の例としては、エーテル系の二液反応型接着剤又はエステル系の二液反応型接着剤を挙げることができる。
エーテル系の二液反応型接着剤の硬化物は、例えば、ポリエーテルポリウレタンである。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成する。
エステル系の二液反応型接着剤の硬化物は、例えば、ポリエステルポリウレタン及びポリエステルである。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成する。
二液反応型接着剤では、主剤としてアクリルポリオールを用いてもよい。また、上記の接着剤組成物は、加熱による溶融や低粘度化を生じるものであれば、溶剤を含んでいなくてもよい。塗工手段として、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、バーコート法などの各種コート法を用いることができる。
この蓋体用積層シート10は、面積当たりの質量が、50乃至160g/m2の範囲内にあることが好ましく、60乃至140g/m2の範囲内にあることがより好ましく、90乃至130g/m2の範囲内にあることがより好ましい。この値を小さくすると、蓋体の強度が低下する。この値を大きくすると、蓋体が硬くなり、開封性が低下する。また、この値を大きくすると、コストが高くなるのに加え、製造及び排気に伴う二酸化炭素の排出量が増加する。
上記の通り、この蓋体用積層シート10は、食品用包装容器の蓋材として用いられるものであって、紙基材3を含んでいる。紙基材を使用した場合、高い突き刺し強さを達成することは難しいが、上記の構造と材料との組み合わせによれば、突き刺し強さに優れた蓋体を実現することができる。
ここで、蓋体用積層シート又は蓋体の「突き刺し強さ」は、JIS Z1707:2019「食品包装用プラスチックフィルム通則」に規定される方法において、蓋体用積層シート又は蓋体に対して機能層6側から突き刺した場合によって得られる値である。具体的には、直径が1mmであり、先端部が半円形の針を、蓋体用積層シート又は蓋体に対して機能層6側から50mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大力を測定する。この測定を複数回行い、最大力の算術平均を突き刺し強さとして得る。なお、断り書きがない限り、「突き刺し強さ」は、蓋体用積層シート又は蓋体に対して機能層側から突き刺した場合によって得られる値を意味する。
蓋体用積層シート10又は蓋体の突き刺し強さは、5.5N以上であることが好ましく、7.5N以上であることがより好ましい。この突き刺し強さは、例えば、25N以下である。
なお、食品用包装容器において使用する蓋体用積層シート又は蓋体には、針をヒートシール層側から突き刺した場合に得られる突き刺し強さは、一般に、針を機能層側から突き刺した場合に得られる突き刺し強さほど高い値である必要はない。また、通常、針をヒートシール層側から突き刺した場合に得られる突き刺し強さは、針を機能層側から突き刺した場合に得られる突き刺し強さよりも高い。
この蓋体用積層シート10は、突き刺し強さに優れていることに加え、高いガスバリア性を有している。更に、この蓋体用積層シート10は、ガスバリア性、特には酸素バリア性の低下を生じ難い。これについて、以下に説明する。
食品用包装容器には、充填された食品の酸化を抑えるため、外部からの酸素の侵入を防ぐ酸素バリア性に優れていることが望まれることがある。そのような食品用包装容器では、その蓋体にも酸素バリア性が求められる。
紙を基材とする蓋体への酸素等に対するガスバリア性の付与には、例えば紙基材上に、ガスバリア層として、アルミニウム等の金属からなる金属箔や金属蒸着フィルムを設けることが多い。しかしながら、蓋体が金属層を含んだ食品用包装容器には、内容物充填後の金属探知機による金属異物の混入検査ができない、金属を含むため紙として焼却処理できず、古紙としても再利用できない、電子レンジにより加熱調理されることが想定されるチルド食品等の包装容器には使用できない、といった問題がある。
上記の通り、ガスバリア層には、金属層を含まないものもある。そのようなガスバリア層としては、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンMXD-6などのポリアミド、及び、ポリアクリロニトリル等の樹脂を含んだものが使用されることが多い。金属層レスの蓋体は、上記の問題を回避し得る。
チルド食品の流通及び保管温度は、食品別に最適な温度帯が設定されるが、一般には0乃至10℃の範囲内である。食品用包装容器にチルド食品を収容してなる包装食品は、その製造後、様々な流通経路を通って消費者の手に渡る。この過程において、例えば、消費者が店舗で包装食品を購入してから自宅の冷蔵庫に保管するまでの間や、消費者が包装食品を冷蔵庫から出してから調理を開始するまでの間、包装食品は常温環境下に置かれる。
本発明者らは、蓋体が紙基材とガスバリア層とを含んだ食品用包装容器にチルド食品を収容してなる包装食品、特にはガスバリア層が樹脂含有層からなる包装食品は、冷蔵状態から常温環境下に晒された最初の数時間の間に、蓋体のガスバリア性、特には酸素バリア性が大きく低下することを見出した。これは、蓋体の質量に占める紙基材の質量の割合が大きい場合に顕著である。
本発明者らは、上記の問題は、蓋体表面に生じる結露に起因するものであることをつきとめている。即ち、冷蔵環境下にあった包装物品が常温環境に晒されることにより、蓋体の外側表面に結露が生じ、その水分がガスバリア層に到達してガスバリア層が損傷を受ける。その結果、蓋体の酸素バリア性が低下する。
上記の蓋体用積層シート10は、耐水性を有している機能層6を含んでいる。それ故、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、結露によって蓋体の外側表面に生じた水分はガスバリア層4に到達し難い。従って、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、蓋体の外側表面での結露に起因したガスバリア層4の損傷は生じ難く、酸素バリア性の低下を生じ難い。
また、上記の蓋体用積層シート10は、印刷層5と紙基材3との間にガスバリア層4を含んでいる。それ故、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、結露によって蓋体の外側表面に生じた水分は紙基材3に到達し難い。従って、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、例えば、紙基材3の吸水によって生じる、蓋体の強度の低下が生じ難い。
また、上記の蓋体用積層シート10は、印刷層5と紙基材3との間にガスバリア層4を含んでいる。それ故、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、結露によって蓋体の外側表面に生じた水分は紙基材3に到達し難い。従って、この蓋体用積層シート10を蓋材として使用した包装食品では、例えば、紙基材3の吸水によって生じる、蓋体の強度の低下が生じ難い。
本発明者らは、特に、食品用包装容器にチルド食品を収容してなる包装食品は、蓋体が紙基材を含んでいる場合、蓋体を容器本体から剥離する際に紙剥けを生じ易いことを更に見出している。上記の通り、支持層2の破断強度を、蓋体と容器本体との間のヒートシール強さよりも大きくすることにより、紙剥けを生じ難くすることができる。
なお、内容物がチルド食品である場合について上述した問題は、内容物が冷凍食品である場合にも生じ得る。ここで説明した構成は、内容物が冷凍食品である場合であっても、内容物がチルド食品である場合について上述したのと同様の効果を奏し得る。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る蓋体は、上述した第1実施形態又は変形例に係る蓋体用積層シートから得られる蓋体である。第2実施形態に係る蓋体の一例は、後で図2を参照しながら説明する蓋体21である。本実施形態に係る蓋体は、蓋体用積層シート10及び11に関連して説明した通り、突き刺し強さに優れている。
本発明の第2実施形態に係る蓋体は、上述した第1実施形態又は変形例に係る蓋体用積層シートから得られる蓋体である。第2実施形態に係る蓋体の一例は、後で図2を参照しながら説明する蓋体21である。本実施形態に係る蓋体は、蓋体用積層シート10及び11に関連して説明した通り、突き刺し強さに優れている。
[第3実施形態]
図2は、本発明の第3実施形態に係る食品用包装容器を概略的に示す断面図である。図2に示す食品用包装容器20は、開口が設けられている容器本体22と、上記開口を覆う蓋体21とを備えている。
図2は、本発明の第3実施形態に係る食品用包装容器を概略的に示す断面図である。図2に示す食品用包装容器20は、開口が設けられている容器本体22と、上記開口を覆う蓋体21とを備えている。
容器本体22は、例えば、有底筒状である。容器本体22は、ここでは、底部と胴部(又は側壁部)とフランジ22aとを備えている。フランジ22aは、胴部の上方開口の位置で外側へ向けて広がっている。
容器本体22は、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を含む。容器本体22は、そのガスバリア性を高めるために、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の成分を更に含んでいてもよい。また、容器本体22は、添加剤、例えば、加工性、意匠性、及び化学的耐久性の向上を目的とした添加剤を更に含んでいてもよい。
容器本体22は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。この多層構造は、二層構造であってもよく、3以上の層を含むものであってもよい。後者の場合、多層構造は、ガスバリア層、例えば上述したエチレン-ビニルアルコール共重合体等の成分を含んだ層を中間層として含んでいてもよい。
容器本体22には、紙を用いることもできる。内容物が液状物を含む場合、容器本体22には、紙基材と、これに液状物が浸み込むのを防止するべく、その内容物側の面に設けられた、樹脂等からなる層とを含んだ多層構造を採用することができる。紙基材を含んだ容器本体22の材料としては、例えば、紙葉、紙粉、パルプ、又は古紙を使用することができる。容器本体22への成形には、紙パックの製造において行うような紙葉を含むシートの折り曲げや貼り付けによる方法、金型を使用したシートのプレス成型、及びパルプモールドなどの汎用技術を利用可能である。容器本体22に紙を用いることで、食品用包装容器20の全体で、その製造及び廃棄に伴う二酸化炭素の排出量の低減を図ることが可能となり、それ故、環境への負荷が小さくなる。
蓋体21は、蓋体用積層シート10、又は、これを切り出したものである。蓋体21は、容器本体22内への内容物を収容後に、ヒートシール層1を介してフランジ22aにヒートシールされる。このヒートシールにおいて、シール温度、シール圧力、及びシール時間は、適宜設定することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る包装食品は、上述した第3実施形態に係る食品用包装容器に食品を収容してなるものである。収容される食品は、特に限定されるものではないが、チルド食品又は冷凍食品であることが好ましい。チルド食品及び冷凍食品は、例えば、調理又は加工済みの食品である。チルド食品及び冷凍食品は、例えば、焼き魚、煮魚、又は総菜である。
本発明の第4実施形態に係る包装食品は、上述した第3実施形態に係る食品用包装容器に食品を収容してなるものである。収容される食品は、特に限定されるものではないが、チルド食品又は冷凍食品であることが好ましい。チルド食品及び冷凍食品は、例えば、調理又は加工済みの食品である。チルド食品及び冷凍食品は、例えば、焼き魚、煮魚、又は総菜である。
この包装食品では、上記の通り、蓋体21と容器本体22との間のヒートシール強さは、蓋体21に含まれる支持層2の破断強度よりも小さいことが好ましい。このヒートシール強さは、5N/15mm乃至60N/15mmの範囲内にあることが好ましく、10N/15mm乃至50N/15mmの範囲内にあることがより好ましい。支持層2の破断強度と、蓋体21と容器本体22との間のヒートシール強さとの差は、5乃至60N/15mmの範囲内にあることが好ましく、10乃至40N/15mmの範囲内にあることがより好ましい。ここで、ヒートシール強さは、JIS Z0238:1998「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法」に規定される方法で得られる値である。
この包装食品の製造においては、蓋体21を容器本体22へヒートシールする前に、例えば、容器本体22内へ内容物を収容した後であって、蓋体21を容器本体22へヒートシールする前に、容器本体22内のガスを公知の方法で置換してもよい。例えば、容器本体22内に不活性ガスを充填してもよい。容器内のガス組成を適切に変更することで、細菌の増殖を抑えて品質保持期間を長くしたり、酸化防止により食品の風味や色彩等を長く維持したり、ビタミンの損失を防止したりすることができる。置換ガスは、内容物である食品の種類に応じて適宜選択する。置換ガスとしては、酸素ガス、窒素ガス及び炭酸ガスの混合ガスが好適に用いられる。
この包装食品が含んでいる蓋体は、突き刺し強さに優れている。それ故、この包装食品は、蓋体のピンホール、穴開き等の欠陥を生じ難く、それ故、これに伴う内容物の劣化を生じ難い。
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
<1>試験1
<1.1>蓋体用積層シートの製造
(例1)
図1に示す蓋体用積層シート10を、以下の方法により製造した。
先ず、紙基材3として、坪量が52.3g/m2の片面塗工紙を準備した。この紙基材3のコート層が形成されていない面に、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として含有し、無機酸化物として層状化合物の合成雲母を添加した塗液を塗工することにより、ガスバリア層4を形成した。これによりガスバリア層4と片面塗工紙の紙基材3とからなり、面積当たりの質量が67.3g/m2のバリア紙を得た。このバリア紙のガスバリア層4上に、グラビア多色印刷機を使用して、印刷層5及び機能層6を順次形成した。印刷層5は、通常の印刷インキを使用して形成した。印刷インキの塗布量は1.0g/m2とした。機能層6は、ニトロセルロース系樹脂とポリエチレン系の粒状ワックスとを主成分とするOPニス剤を使用して形成した。OPニス剤の塗布量は0.6g/m2とした。
<1>試験1
<1.1>蓋体用積層シートの製造
(例1)
図1に示す蓋体用積層シート10を、以下の方法により製造した。
先ず、紙基材3として、坪量が52.3g/m2の片面塗工紙を準備した。この紙基材3のコート層が形成されていない面に、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として含有し、無機酸化物として層状化合物の合成雲母を添加した塗液を塗工することにより、ガスバリア層4を形成した。これによりガスバリア層4と片面塗工紙の紙基材3とからなり、面積当たりの質量が67.3g/m2のバリア紙を得た。このバリア紙のガスバリア層4上に、グラビア多色印刷機を使用して、印刷層5及び機能層6を順次形成した。印刷層5は、通常の印刷インキを使用して形成した。印刷インキの塗布量は1.0g/m2とした。機能層6は、ニトロセルロース系樹脂とポリエチレン系の粒状ワックスとを主成分とするOPニス剤を使用して形成した。OPニス剤の塗布量は0.6g/m2とした。
次に、紙基材3とガスバリア層4と印刷層5と機能層6とからなる積層体に、ドライラミネートによって支持層2を貼り合わせた。支持層2としては、厚さが15μmであり、面積当たりの質量が20.9g/m2であり、両面にコロナ処理が施された二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用した。ドライラミネートに当たっては、先ず、支持層2の一方の面に、グラビアコータを使用してドライラミネート剤を塗布して、接着層を形成した。ドライラミネート剤としては、エステル系ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含む二液反応型の接着剤を使用した。ドライラミネート剤の塗布量は3.0g/m2とした。次いで、この接着層を間に挟んで、支持層2が紙基材3と向き合うように、上記積層体と支持層2とを貼り合わせた。
その後、支持層2と紙基材3とガスバリア層4と印刷層5と機能層6とを含んだ積層体に、ドライラミネートによってヒートシール層1を貼り合わせた。ヒートシール層1としては、サポート層とイージーピール層とを含み、面積当たりの質量が26.0g/m2であり、イージーピール層とは逆の面にコロナ処理が施されたイージーピール性を有するフィルム(シーラント層)を使用した。ドライラミネートに当たっては、先ず、支持層2の面に、グラビアコータを使用してドライラミネート剤を塗布して、接着層を形成した。ドライラミネート剤としては、エステル系ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを含む二液反応型の接着剤を使用した。ドライラミネート剤の塗布量は3.0g/m2とした。次いで、この接着層を間に挟んでヒートシール層1のサポート層と向き合うように、上記積層体とヒートシール層1とを貼り合わせた。
その後、これを40℃でエージングした。以上のようにして、図1に示す蓋体用積層シート10を得た。
(例2)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、支持層2として、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さが15μmであり、面積当たりの質量が17.4g/m2であり、一方の面に易接着処理が施されるとともに、両面にコロナ処理が施された二軸延伸ナイロン(Ny)フィルムを使用した。支持層2は、易接着処理が施された面がヒートシール層1と向き合うようにした。
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、支持層2として、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さが15μmであり、面積当たりの質量が17.4g/m2であり、一方の面に易接着処理が施されるとともに、両面にコロナ処理が施された二軸延伸ナイロン(Ny)フィルムを使用した。支持層2は、易接着処理が施された面がヒートシール層1と向き合うようにした。
(比較例1)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本比較例では、支持層2として、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さが12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本比較例では、支持層2として、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さが12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。
(比較例2)
支持層を省略したこと以外は例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。
支持層を省略したこと以外は例1と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。
<1.2>評価
(破断強度の測定)
例1及び2並びに比較例1で使用した支持層の破断強度を、上述した方法によって測定した。
(破断強度の測定)
例1及び2並びに比較例1で使用した支持層の破断強度を、上述した方法によって測定した。
ここでは、各支持層から、長さ方向がMDに平行な3つの試験片と、長さ方向がTDに平行な3つの試験片とを切り出した。各試験片は、幅が15mmであり、長さが100mmである短冊形状とした。
標線間距離は50mmとし、試験速度は1000mm/分とした。破断強度の測定は、テンシロン万能試験機を用いて行った。
長さ方向がMDに平行な試験片を用いて得られた測定値を算術平均することによって、MDにおける破断強度を得た。また、長さ方向がTDに平行な試験片を用いて得られた測定値を算術平均することによって、TDにおける破断強度を得た。
(ヒートシール強さの測定)
例1及び2並びに比較例1及び2に係る蓋体用積層シートについて、上述した方法により、樹脂シートに対するヒートシール(HS)強さを測定した。
例1及び2並びに比較例1及び2に係る蓋体用積層シートについて、上述した方法により、樹脂シートに対するヒートシール(HS)強さを測定した。
ここでは、樹脂シートとして、一対のポリプロピレン層と、それらの間に介在した、ポリプロピレンと4質量%のエチレン-ビニルアルコール共重合体との混合物からなる層とを含んだ三層構造のシートを使用した。
各蓋体用積層シートと樹脂シートとは、テスター産業社製TP-701-Bヒートシールテスターを使用してヒートシールした。ここで使用したヒートシールテスターは、シールバーの幅が5mmであった。シールバーの長さ方向は、MDに対して垂直にした。ヒートシールは、各ヒートシール位置で、蓋体用積層シートと樹脂シートとの積層体へ、190℃の温度及び0.2MPaの圧力を2秒間加えることにより行った。このようにして部分的にヒートシールした各積層体から、幅が15mmの短冊形状を有し、長さ方向がMDに平行であり、一端側ではヒートシールされておらず、他端側で30乃至50mmの長さに亘ってヒートシールされた3つの試験片を切り出した。
また、これとは別に、各蓋体用積層シートと樹脂シートとを、シールバーの長さ方向をTDに対して垂直にしたこと以外は上記と同様の方法によりヒートシールした。このようにして部分的にヒートシールした各積層体から、幅が15mmの短冊形状を有し、長さ方向がTDに平行であり、一端側ではヒートシールされておらず、他端側で30乃至50mmの長さに亘ってヒートシールされた3つの試験片を切り出した。
次に、各試験片のヒートシール強さを、上述した方法により測定した。具体的には、ヒートシール強さの測定には、テンシロン万能試験機を使用した。各試験片のヒートシールされていない蓋体用積層シート部及び樹脂シート部を試験機の掴み具に掴ませ、それら掴み具を互いから離れる方向へ移動させた。それら掴み具の相対移動速度、即ち、剥離速度は1000mm/分とした。各試験片について、その破断を生じるまでの間に加えた引張荷重の最大値を記録した。
蓋体用積層シート毎に、長さ方向がMDに平行な3つの試験片について得られた引張荷重の最大値を算術平均することによって、MDにおけるヒートシール強さを得た。また、蓋体用積層シート毎に、長さ方向がTDに平行な3つの試験片について得られた引張荷重の最大値を算術平均することによって、TDにおけるヒートシール強さを得た。
(突き刺し強さの測定)
例1及び2並びに比較例1及び2に係る蓋体用積層シートの突き刺し強さを、上述した方法によって測定した。ここでは、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合の突き刺し強さと、針を蓋体用積層シートに対してヒートシール層側から突き刺した場合の突き刺し強さとを求めた。各突き刺し強さは、3回の測定によって得られた値を算術平均することによって得た。また、同様の方法により、これら蓋体用積層シートが含んでいる支持層の突き刺し強さを測定した。
例1及び2並びに比較例1及び2に係る蓋体用積層シートの突き刺し強さを、上述した方法によって測定した。ここでは、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合の突き刺し強さと、針を蓋体用積層シートに対してヒートシール層側から突き刺した場合の突き刺し強さとを求めた。各突き刺し強さは、3回の測定によって得られた値を算術平均することによって得た。また、同様の方法により、これら蓋体用積層シートが含んでいる支持層の突き刺し強さを測定した。
(カップシール試験)
例1及び2並びに比較例1及び2に係る蓋体用積層シートから、蓋体を切り出した。これら蓋体を用いて、図2に示す食品用包装容器20を製造した。ここでは、容器本体22として、ヒートシール強さの測定に使用した樹脂シートをトレイ形状へ成形してなるものを使用した。容器本体22は、長辺方向の寸法が120mmであり、短辺方向の寸法が90mmである略長方形状の開口を有しており、高さが30mmであった。蓋体21のフランジ22aへのヒートシールは、フランジ22aの形状に沿うように作製した、幅が5mmのシールバーを使用し、160℃の温度及び0.2MPaの圧力を1.5秒間加えることにより行った。
例1及び2並びに比較例1及び2に係る蓋体用積層シートから、蓋体を切り出した。これら蓋体を用いて、図2に示す食品用包装容器20を製造した。ここでは、容器本体22として、ヒートシール強さの測定に使用した樹脂シートをトレイ形状へ成形してなるものを使用した。容器本体22は、長辺方向の寸法が120mmであり、短辺方向の寸法が90mmである略長方形状の開口を有しており、高さが30mmであった。蓋体21のフランジ22aへのヒートシールは、フランジ22aの形状に沿うように作製した、幅が5mmのシールバーを使用し、160℃の温度及び0.2MPaの圧力を1.5秒間加えることにより行った。
次に、各食品用包装容器20について、容器本体22の角から蓋体21を手で剥離した。その後、紙剥けが生じたか確認した。
上記の蓋体用積層シートが含んでいる支持層の物性値等を、以下の表1に記載する。また、上記の測定及び試験の結果を、以下の表2に纏める。
表1及び表2において、「質量」は、面積当たりの質量である。表2において、「質量割合」と表記された欄における、「紙」、「プラスチック」及び「その他」の分類は、「容器包装リサイクル法 説明資料」に従うものであり、上掲で説明した通りである。「差分」と表記された欄には、支持層の破断強度から蓋体用積層シートと樹脂シートとの間のヒートシール強さを引いた値を記載している。
表2の「紙剥け」と表記された欄において、「A」は、ヒートシール層において凝集破壊を生じ、紙剥けを生じなかったことを示している。「B」は、紙剥けを生じたものの、シール部分又はその周りにのみ蓋材の一部が容器本体に残留したことを示している。「B」の場合、容器本体から内容物を取り出し可能である。「C」は、紙剥けを生じ、シール部分及びその周り以外の部分にも蓋材が容器本体に残留したことを示している。具体的には、「C」の場合、二重蓋を生じたか又は蓋体が裂けたことを示している。ここで、二重蓋とは、紙基材の凝集破壊が生じたことにより、主に紙基材とヒートシール層とを含んだ蓋体の一部が容器本体の開口部全体を又は殆どを覆うように容器本体に残留することである。「C」の場合、容器本体からの内容物の取り出し及び蓋体と容器本体との分別に手間がかかる。
表2の「突き刺し強さ」と表記された欄において、「上面」は、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合の突き刺し強さを表し、「下面」は、針を蓋体用積層シートに対してヒートシール層側から突き刺した場合の突き刺し強さを表している。「上面」又は「下面」と表記された欄において、「A」は、比較例2に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して2倍以上の突き刺し強さを有していたことを示している。「B」は、比較例2に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.5倍超2倍未満の突き刺し強さを有していたことを示している。「C」は、比較例2に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.5倍以下の突き刺し強さを有していたことを示している。
表2に示すように、例1及び2に係る蓋体用積層シートは、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合及びヒートシール層側から突き刺した場合の何れにおいても、高い突き刺し強さを有していた。これに対し、比較例2に係る蓋体用積層シートは、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合及びヒートシール層側から突き刺した場合の何れにおいても、低い突き刺し強さを有していた。比較例1に係る蓋体用積層シートは、針を蓋体用積層シートに対してヒートシール層側から突き刺した場合における突き刺し強さは高かったものの、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合における突き刺し強さは低かった。
また、表2に示すように、例1及び2並びに比較例1に係る蓋体用積層シートを使用した場合、紙剥けは生じなかった。一方、比較例2に係る蓋体用積層シートを使用した場合、紙剥けを生じた。
<2>試験2
<2.1>蓋体用積層シートの製造
(例3)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材3に対するガスバリア層4の塗工量を変更してバリア紙の面積当たりの質量を65.0g/m2とし、ヒートシール層1として面積当たりの質量が27.6g/m2であるシーラント層を使用した。
<2.1>蓋体用積層シートの製造
(例3)
以下の点を除き、例1と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材3に対するガスバリア層4の塗工量を変更してバリア紙の面積当たりの質量を65.0g/m2とし、ヒートシール層1として面積当たりの質量が27.6g/m2であるシーラント層を使用した。
(例4)
以下の点を除き、例2と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材3に対するガスバリア層4の塗工量を変更してバリア紙の面積当たりの質量を65.0g/m2とし、ヒートシール層1として面積当たりの質量が27.6g/m2であるシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例2と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、紙基材3に対するガスバリア層4の塗工量を変更してバリア紙の面積当たりの質量を65.0g/m2とし、ヒートシール層1として面積当たりの質量が27.6g/m2であるシーラント層を使用した。
(例5)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ヒートシール層1として、シーラント層を、ドライラミネート剤を介して支持層2へ貼り合わせる代わりに、支持層2へヒートシールニスを塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成した。ヒートシールニスとしては、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主成分として含み、溶媒又は分散媒として水とイソプロパノールとを含んだ水系エマルジョンを使用した。このヒートシールニスは、ガラス転移温度が35℃であり、融点が70乃至100℃であった。このヒートシールニスを、グラビア印刷法により、面積当たりの乾燥質量が3.0g/m2となるように塗布した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ヒートシール層1として、シーラント層を、ドライラミネート剤を介して支持層2へ貼り合わせる代わりに、支持層2へヒートシールニスを塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成した。ヒートシールニスとしては、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主成分として含み、溶媒又は分散媒として水とイソプロパノールとを含んだ水系エマルジョンを使用した。このヒートシールニスは、ガラス転移温度が35℃であり、融点が70乃至100℃であった。このヒートシールニスを、グラビア印刷法により、面積当たりの乾燥質量が3.0g/m2となるように塗布した。
(例6)
以下の点を除き、例4と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ヒートシール層1として、シーラント層を、ドライラミネート剤を介して支持層2へ貼り合わせる代わりに、支持層2へヒートシールニスを塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成した。ヒートシールニスとしては、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主成分として含み、溶媒又は分散媒として水とイソプロパノールとを含んだ水系エマルジョンを使用した。このヒートシールニスは、ガラス転移温度が35℃であり、融点が70乃至100℃であった。このヒートシールニスを、グラビア印刷法により、面積当たりの乾燥質量が3.0g/m2となるように塗布した。
以下の点を除き、例4と同様の方法により、蓋体用積層シート10を製造した。即ち、本例では、ヒートシール層1として、シーラント層を、ドライラミネート剤を介して支持層2へ貼り合わせる代わりに、支持層2へヒートシールニスを塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成した。ヒートシールニスとしては、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主成分として含み、溶媒又は分散媒として水とイソプロパノールとを含んだ水系エマルジョンを使用した。このヒートシールニスは、ガラス転移温度が35℃であり、融点が70乃至100℃であった。このヒートシールニスを、グラビア印刷法により、面積当たりの乾燥質量が3.0g/m2となるように塗布した。
(比較例3)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本比較例では、支持層2として、厚さ15μmの二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本比較例では、支持層2として、厚さ15μmの二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。
(比較例4)
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本比較例では、支持層2として、厚さ15μmの二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本比較例では、支持層2として、厚さ15μmの二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムを使用する代わりに、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。
(比較例5)
支持層2を省略したこと以外は例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。
支持層2を省略したこと以外は例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。
<2.2>評価
(ヒートシール強さの測定)
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートについて、<1.2>評価において行ったのと同様の方法により、樹脂シートに対するヒートシール強さを測定した。
(ヒートシール強さの測定)
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートについて、<1.2>評価において行ったのと同様の方法により、樹脂シートに対するヒートシール強さを測定した。
但し、ヒートシール層がシーラント層であるものについては、ヒートシールは、各ヒートシール位置で、蓋体用積層シートと樹脂シートとの積層体へ、190℃の温度及び0.2MPaの圧力を2秒間加えることにより行った。他方、ヒートシール層がヒートシールニスからなるものについては、ヒートシールは、各ヒートシール位置で、蓋体用積層シートと樹脂シートとの積層体へ、210℃の温度及び0.1MPaの圧力を5秒間加えることにより行った。
(突き刺し強さの測定)
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートの突き刺し強さを、<1.2>評価において行ったのと同様の方法により測定した。
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートの突き刺し強さを、<1.2>評価において行ったのと同様の方法により測定した。
(カップシール試験)
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートについて、<1.2>評価において行ったのと同様のカップシール試験を行った。
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートについて、<1.2>評価において行ったのと同様のカップシール試験を行った。
但し、ヒートシール層がシーラント層であるものについては、蓋体21のフランジ22aへのヒートシールは、160℃の温度及び0.2MPaの圧力を1.5秒間加えることにより行った。他方、ヒートシール層がヒートシールニスからなるものについては、蓋体21のフランジ22aへのヒートシールは、210℃の温度及び0.2MPaの圧力を1.5秒間加えることにより行った。
(吸水度)
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートについて、上述した方法により吸水度を測定した。
例3乃至6及び比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートについて、上述した方法により吸水度を測定した。
表3における略号及び項目名の意味は、表2における略号及び項目名の意味と同様である。
表3の「吸水度」と表記された欄において、「A」は吸水度が20g/m2以下であったことを示している。吸水度が20g/m2超の例はなかった。
表3の「紙剥け」と表記された欄において、「A」は、ヒートシール層において凝集破壊を生じ、紙剥けを生じなかったことを示している。「B」は、紙剥けを生じたものの、シール部分又はその周りにのみ蓋材の一部が容器本体に残留したことを示している。「B」の場合、容器本体から内容物を取り出し可能である。「C」は、紙剥けを生じ、シール部分及びその周り以外の部分にも蓋材が容器本体に残留したことを示している。具体的には、「C」の場合、二重蓋を生じたか又は蓋体が裂けたことを示している。
表3の「突き刺し強さ」と表記された欄において、「上面」は、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合の突き刺し強さを表し、「下面」は、針を蓋体用積層シートに対してヒートシール層側から突き刺した場合の突き刺し強さを表している。「上面」又は「下面」と表記された欄において、ヒートシール層がシーラント層からなるものについては、「A」は、比較例3に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.5倍以上の突き刺し強さを有していたことを示し、「B」は、比較例3に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.0倍超1.5倍未満の突き刺し強さを有していたことを示し、「C」は、比較例3に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.0倍以下の突き刺し強さを有していたことを示している。また、「上面」又は「下面」と表記された欄において、ヒートシール層がヒートシールニスからなるものについては、「A」は、比較例4に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.5倍以上の突き刺し強さを有していたことを示し、「B」は、比較例4に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.0倍超1.5倍未満の突き刺し強さを有していたことを示し、「C」は、比較例4に係る蓋体用積層シートについて得られた突き刺し強さに対して1.0倍以下の突き刺し強さを有していたことを示している。
表3に示すように、例3乃至6に係る蓋体用積層シートは、針を蓋体用積層シートに対して機能層側から突き刺した場合及びヒートシール層側から突き刺した場合の何れにおいても、比較例3乃至5に係る蓋体用積層シートに比べ、より高い突き刺し強さを有していた。
また、表3に示すように、例3乃至6並びに比較例3及び4に係る蓋体用積層シートを使用した場合、紙剥けは生じなかった。一方、比較例5に係る蓋体用積層シートを使用した場合、紙剥けを生じた。
<3>参考例
<3.1>蓋体用積層シートの製造
(参考例1)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
<3.1>蓋体用積層シートの製造
(参考例1)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例2)
以下の点を除き、例4と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例4と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例3)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層としてガスバリア性のナイロンフィルム(B Ny、厚さ15μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層としてガスバリア性のナイロンフィルム(B Ny、厚さ15μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例4)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例5)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ20μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ20μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例6)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、厚さ30μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、厚さ30μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例7)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量65.0g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量65.0g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例8)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量65.0g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ30μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量65.0g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ30μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例9)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量73.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量73.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例10)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量73.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ30μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量73.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ30μm)を使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例11)
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量81.1g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
以下の点を除き、例3と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量81.1g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用し、ヒートシール層として厚さ30μmのシーラント層を使用した。
(参考例12)
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用した。
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として厚さ12μmのセラミック蒸着ナイロンフィルムを使用した。
(参考例13)
以下の点を除き、例6と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用した。
以下の点を除き、例6と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用した。
(参考例14)
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層としてガスバリア性のナイロンフィルム(B Ny、厚さ15μm)を使用した。
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層としてガスバリア性のナイロンフィルム(B Ny、厚さ15μm)を使用した。
(参考例15)
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用した。
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用した。
(参考例16)
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ20μm)を使用した。
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、厚さ20μm)を使用した。
(参考例17)
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、厚さ30μm)を使用した。
以下の点を除き、例5と同様の方法により、蓋体用積層シートを製造した。即ち、本例では、上記バリア紙に替えて秤量52.3g/m2の片面塗工紙を使用し、支持層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、厚さ30μm)を使用した。
<3.2>評価
(ヒートシール強さの測定)
参考例1乃至17に係る蓋体用積層シートについて、<1.2>評価において行ったのと同様の方法により、樹脂シートに対するヒートシール強さを測定した。ヒートシール条件及び結果を表4に纏める。
(ヒートシール強さの測定)
参考例1乃至17に係る蓋体用積層シートについて、<1.2>評価において行ったのと同様の方法により、樹脂シートに対するヒートシール強さを測定した。ヒートシール条件及び結果を表4に纏める。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…ヒートシール層、2…支持層、3…紙基材、4…ガスバリア層、5…印刷層、6…耐水性を有する機能層、10…蓋体用積層シート、20…食品用包装容器、21…蓋体、22…容器本体、22a…フランジ。
Claims (19)
- 開口が設けられている容器本体と前記開口を覆う蓋体とを備える食品用包装容器の前記蓋体に用いられる蓋体用積層シートであって、耐水性を有する機能層と、印刷層と、ガスバリア性を有するガスバリア層と、紙基材と、支持層と、ヒートシール層とをこの順序で含み、前記紙基材の質量は、前記蓋体用積層シートに含まれる他の何れの層の質量よりも大きく、前記支持層は、ポリブチレンテレフタレート及びポリアミドの少なくとも一方を含んだ蓋体用積層シート。
- 前記支持層の破断強度は、前記蓋体と前記容器本体との間のヒートシール強さより大きい請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記支持層は延伸フィルムである請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記支持層の厚さは3乃至60μmの範囲内にある請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記ガスバリア層は、無機酸化物層及び樹脂含有層の少なくとも一方からなる請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記紙基材は、一方の面に前記ガスバリア層を有するバリア紙である請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記蓋体用積層シートに含まれる、前記紙基材以外の層を、プラスチックからなる層と、その他の層とに分類した場合に、前記紙基材の質量は、前記プラスチックからなる層の合計質量及び前記その他の層の合計質量と比較してより大きい請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記紙基材は、一方の面にコート層を有する塗工紙であり、前記ガスバリア層は前記コート層上に設けられている請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記紙基材は、両面にコート層を有する塗工紙である請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記紙基材は坪量が40乃至100g/m2の範囲内にある請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記ヒートシール層はイージーピール性を有するシーラントである請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記ヒートシール層がヒートシールニスにより形成されている請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 前記機能層は、面積当たりの質量が0.2g/m2以上である請求項1に記載の蓋体用積層シート。
- 請求項1乃至13の何れか1項に記載の蓋体用積層シートからなる蓋体。
- 開口が設けられている容器本体と、前記開口を覆う請求項14に記載の蓋体とを備えた食品用包装容器であって、前記支持層が前記紙基材と前記食品用包装容器の内部空間との間に配置されている食品用包装容器。
- 前記容器本体は前記開口の周りにフランジを有し、前記蓋体は前記ヒートシール層を介して前記フランジにヒートシールされている請求項15に記載の食品用包装容器。
- 前記食品用包装容器の前記内部空間は、酸素ガス、窒素ガス及び炭酸ガスを含む混合ガスで充填されている請求項15に記載の食品用包装容器。
- 前記食品用包装容器はチルド食品用包装容器又は冷凍食品用包装容器である請求項15に記載の食品用包装容器。
- 請求項15に記載の食品用包装容器と、前記食品用包装容器に収容された食品とを備えた包装食品。
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