JP2024035753A - デジタル露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 空間光変調器を使用したデジタル露光装置において、高分解能化と生産性向上を両立させる。【解決手段】 第一第二の空間光変調器21,22が形成したパターンの光が照射される露光作業エリアEを通して基板Wが移動する。第一の空間光変調器21と第二の空間光変調器22の各画素は、変調器制御系8によりオンオフ周期を単位としてオンオフが切り替えられ、第一の空間光変調器21と第二の空間光変調器22とはオンオフ周期の周期長が一致し位相がずれた状態とされる。第一の照射系31は、パルス光の周期が第一の空間光変調器21のオンオフ周期に一致しパルス幅がオンオフ周期のオンの時間帯の半分であるパルス光を第一の空間光変調器21に照射し、第二の照射系32は、パルス光の周期が第二の空間光変調器22のオンオフ周期に一致しパルス幅がオンオフ周期のオンの時間帯の半分であるパルス光を第二の空間光変調器22に照射する。【選択図】 図3

Description

この出願の発明は、空間的に変調された光を基板に照射して基板において所望のパターンの露光済み領域を得るデジタル露光装置に関するものである。
フォトリソグラフィ工程等で用いられる露光装置として、デジタル露光装置が知られている。デジタル露光装置は、マスクレスの露光装置であり、DMD(Digital Mirror Device)のような空間光変調器により光を空間的に変調することでマスクなしで直接パターンを描いて露光する装置である。尚、デジタル露光装置は、マスクレス露光装置、直描式露光装置等の名称で呼ばれることもあるが、この明細書では、デジタル露光装置の名称を採用する。
デジタル露光装置は、照射される光のパターンを必要に応じて適宜変更することが極めて容易で、多品種少量生産に適している。このため、各種製品の回路基板製作用や各種微細部品の製作用(MEMS)等に盛んに使用されている。露光の対象物は、多くの場合、板状(基板)であるが、板状でない場合もある。
特開2004-284236号公報 特開平6-220313号公報
デジタル露光装置は、空間光変調器により形成した光のパターンの照射エリア(以下、露光作業エリアという。)を通して基板を移動させながら露光を行う方式の装置であるため、マスクを使用する投影露光装置等に比べるとスループットが悪く、生産性が低いという欠点がある。このため、生産性を高くすることが継続的に要求されている。
その一方、製品の高機能化、多機能化を背景として、デジタル露光装置においても露光の高分解能化の要請が顕著となってきている。しなしながら、発明者の検討によると、高分解能化の要請と生産性向上の要請とはトレードオフの関係にあり、両立させることが難しい。以下、この点について図11~図13を参照して説明する。図11は、デジタル露光装置における露光作業エリアについて示した斜視概略図、図12は空間光変調器の一例としてのDMDにおけるオンオフ周期について示した概略図、図13は高分解能化と生産性向上のトレードオフ的な関係について示した概略図である。
デジタル露光装置は、通常、光源及び空間光変調器を収容した露光ヘッド1を複数備えている。1個の露光ヘッド1の下方の領域が露光作業エリアであり、図11において方形の線Eで示されている。
露光は、空間光変調器が形成する光のパターンが露光作業エリアEに照射され、そこを基板が通過することで行われる。空間光変調器は、多数の微小な画素のオンオフにより光を空間的に変調する素子であり、例えばDMDであれば、多数の微細なミラーが画素である。液晶表示素子を空間光変調器として使用する場合、各セルが画素となる。
露光作業エリアEには、オン状態である各画素により光照射される。したがって、露光作業エリアEに照射される光のパターンは、図11中に拡大して示すように、多数の小さな照射パターン(以下、微小パターンという。)Mの集まりである。図11に示すように、オフ状態の画素が対応する位置には微小パターンMは照射されない。理解のため、オン状態であれば微小パターンMの照射がされるであろう領域を白丸(ハッチング無し)で示す。基板Wが移動していく際に、各画素のオン状態とオフ状態とを適宜切り替えることで、所望の微細パターンMの集まりがその時々に露光作業エリアEに形成され、現像後に所望のパターンを基板W上に得ることができる。以下、その時々での微小パターンMの集まりを瞬時パターンという。
図11に示すように、各微小パターンMは、互いに離間してはいるものの、X方向に基板Wが移動していくと隙間無く露光される配置となっている。即ち、X方向に垂直な水平方向(以下、Y方向という。)における各微小パターンMの列は、隣りのY方向の列に対してずれて配置されており、いわゆる千鳥状配置となっている。そして、各微小パターンMのY方向での配置間隔Lは、各微小パターンMの直径φより小さくなっている。このため、基板がX方向に移動して各微小パターンMにより露光が行われると、隙間無く露光がされることになる。尚、「隙間無く露光」とは、オン状態の画素により隙間無くという意味である。
各画素のオンオフの切り替えは、所定の周期を単位として行われる。以下、この周期をオンオフ周期と呼ぶ。オンオフ周期について、図12を参照して説明する。
空間光変調器は、上述したように、露光作業エリアに光照射する状態であるオン状態と光照射しない状態であるオフ状態と取り得る多数の画素を有して光を空間的に変調する素子である。この場合、オンオフの切り替えについては、素子の性能上、可能な範囲で最も短いオン状態の時間長と、可能な範囲で最も短いオフ状態の短い時間長とが存在する。これらを加えた時間長は、最も短い時間でオンオフであり、この時間以上の時間を単位としてオンオフの制御が行われる。
DMDを例にして説明すると、図12(1)に示すように、DMD100の各画素ミラー10は、オン状態では露光作業エリアに光が向かう姿勢となり、オフ状態では露光作業エリアに光が向かわない姿勢となる。この場合、オン状態とする制御信号が入力されてもすぐにオン状態の姿勢が取れる訳ではなく、短い時間ではあるものの、ある程度の時間を要してオン状態となる。即ち、光が完全に露光作業エリアに向かう状態となる。また、オン状態を取っている際にオフ状態とする制御信号が入力されてもすぐにオフ状態の姿勢が取れる訳ではなく、短い時間ではあるものの、ある程度の時間を要してオフ状態となる。
仮に、可能な範囲で最も短い時間幅でオンオフを交互に繰り返すようDMDに制御信号を送った場合、画素ミラー10の姿勢は、概念的には、図12(2)に示すように切り替えられる。即ち、角度θの姿勢を取って光が完全に露光作業エリアに向かう状態と完全オンとし、角度0度の姿勢を取って光が完全に露光作業エリアに向かわない状態と完全オフとした場合、画素ミラー10は、ほぼ三角波状に完全オンと完全オフとを交互に繰り返す。この場合、三角波におけるある時間領域が実質的にオン(光が露光作業エリアに向かう状態)であり、それ以外の時間領域が実質的にオフ(光が露光作業エリアに向かわない状態)である。したがって、オンとオフとを切り分けると、図12(3)に破線で示すような矩形波状となる。一つのオンとオフの周期においてオンの時間とオフの時間とは同じ長さである。尚、完全オンの姿勢(角度θ)となってからすぐに角度を変える動作に移れず、また完全オフの姿勢(角度0度)からすぐに角度を変える動作に移れない場合もある。この場合には、三角波の山と底には少し平坦な時間帯が存在することになり、オンとオフの時間はその分だけ長くなる。
このような最小単位のオンオフの周期(最も短いオンの時間と最も短いオフの時間とを加えた長さ)は、DMDにおいてパターンレートと呼ばれる。パターンレートは、DMDのグレードや用途等によって変わるが、概ね4000Hz~9000Hz程度であり、周期はその逆数である。このような空間光変調器の各画素のオンオフの最小単位を、この明細書においてはオンオフ周期と呼ぶ。
尚、オンオフ周期は、パターンレートの逆数より短くなることはないが、パターンレートの逆数より長くすることはあり得る。パターンレートの逆数は、DMDの性能を示すもので、最も短い時間でオンオフを行った場合の周期であるが、限界性能でDMDを使用せず、それより低いレート(長い周期)で使用する場合もあり、その場合にはその低いレートの逆数がオンオフ周期である。
また、透過型の空間光変調器として液晶表示素子を転用したものも知られているが、液晶表示素子においても、上記のようなオンオフ周期が存在する。液晶の配列構造の切り替えには最小限の時間を要し、この時間のため、同様に、オンオフ周期として把握される切り替えの最小時間単位が存在する。
このようなデジタル露光装置において、生産性の向上は露光時間の短縮を意味し、それはステージを速く移動させることに他ならない。しかしながら、ステージを高速移動させただけでは露光処理の高速化は実現できず、空間光変調器もステージの高速化に合わせて高速でオンオフさせる必要がある。
しかしながら、DMDのような空間光変調器において、パターンレートの向上には限界があり、ステージの高速化に追いついていくことは現実には難しい。ステージの移動については、より高出力のモータ等を使用することで実現はできるが、空間光変調器についてはパターンレートの限界があり、分解能の低下を招くことなく高速化させることは困難である。
上記の点を、図13を参照してより具体的に説明する。説明を簡単にするため、露光により基板W上に二本の直線状のパターンの露光済み領域を得る場合を例にする。基板Wには、設計上の点として、要露光点が設定される。要露光点はA、A,A,・・・であり、B,B,B,・・・である。図13(1)に示すように、A、A,A,・・・は一直線上に並んでおり、B,B,B,・・・も一直線上に並んでいる。説明を簡単にするため、A、A,A,・・・、B,B,B,・・・ともに、ステージ(基板W)の移動方向に対して垂直な方向に並んでいるとする。以下、基板Wの移動方向をX方向とし、X方向に垂直な水平方向をY方向とする。基板Wは水平な姿勢である。
一方、露光作業エリアEには、上述したように微小パターンの集まりより成る瞬時パターンの光が照射される。図13(1)には、各微小パターンの光が照射され得る領域形状(以下、微小パターン領域という。)が白抜きの円形パターンで示されている。対応する画素がオンにされると、この円形の微小パターン領域の形状で光が照射される。
要露光点A、A,A,・・・,B,B,B,・・・が設定されている基板Wが移動して露光作業エリアEを通過する際、適切なタイミングで空間光変調器の各画素をオンオフさせると、図13(2)に示すような露光済み領域のパターンが各要露光点A、A,A,・・・、B,B,B,・・・を通して得られる。各微小パターンMは円形であるものの、基板Wが移動しながら照射されるので、1個の微小パターンMで露光される領域は、X方向に少し長いほぼ楕円形(二つの半円とその間の方形とから成る形状)となり、露光済み領域はほぼ楕円形のパターンをY方向の直線上に連ねたパターンとなる。
図13(2)に示す露光済み領域のパターンは、空間光変調器の各画素オンオフの切り替え時間を最も短い時間とした場合の例である。つまり、例えば要露光点Aが微小パターン領域mの照射位置に達したタイミングで当該領域に対応する画素を最も短い時間長でオンにした場合のパターンである。他の要露光点についても同様である。尚、「最も短い時間」とは、前述したオンオフ周期の1単位におけるオン時間である。
図13(2)に示すような露光済み領域のパターンが得られると、現像後のパターンは、概略的には、図13(3)に示すような直線状の線状パターン(例えば配線パターン)となる。基板W上に形成された感光層の感度や露光量(微小パターンの照度、同一箇所への照射回数)等を適宜選定することで、図13(3)のようなパターンが得られる。
尚、説明の都合上、要露光点A、A,A,・・・を通して形成される線状パターンLと、要露光点B,B,B,・・・を通して形成される線状パターンLとの間隔は、可能な範囲で最も狭い間隔であるとする。即ち、線状パターンL,Lの間隔は、オンオフ周期の1単位におけるオフ時間に対応している。
同様の例で、生産性向上のためにステージの移動速度を速くした場合にどうなるかが、図13(2’)に示されている。各画素のオン時間は可能な範囲の最も短い時間となっており、それ以上は短くできない。つまり、各画素のオン時間は変わらない状態で、基板Wの移動速度のみが速くなった状態である。この状態では、図13(2’)に示すように、各微小パターンによる露光済み領域の形状はX方向(ステージの移動方向)に長いほぼ楕円状にならざるを得ない。この結果、図13(3’)に示すように、現像後の線状パターンL,Lの線幅は太くなってしまう(線膨れ)。
また、各画素がオンからオフになった後に再びオンになるまでの時間は最短時間で変わらずに基板Wの移動速度のみが速くなっているから、線状パターン線状パターンL,Lの間隔は長くなってしまう(間延び)。つまり、狭い領域に微細な線を集積していくことができなくなる。
このように、空間光変調器のパターンレートに限界がある現状では、ステージの移動速度を速くして生産性向上を図ろうとすると、線膨れや間延びが生じ、分解能が低下してしまう。言い換えれば、分解能を低下させずに生産性向上を達成することはできず、両者はトレードオフの関係になっている。このような事情は、液晶表示素子を空間光変調器として使用する場合も、程度の差こそあれ、同様である。
このような問題を解決するため、特許文献1では、空間光変調器のパターンレートにおけるオン時間よりも短い時間で点灯するパルス光源を採用することが提案されている。また、特許文献2では、二つの空間光変調器を採用し、一方にp偏光の光を照射して変調させ、他方にs偏光の光を照射して偏光させながら、各空間変調された光を基板上でずらして照射することが提案されている。
しかしながら、特許文献1の構成では、「線膨れ」は解消するものの、空間光変調器のパターンレートの限界が存在するために「間延び」は解消できない。また、特許文献2の構成では、二つの空間的に変調された光のパターンを空間的にずらして基板に照射することを必須とするため、マイクロレンズアレイ(以下、MLAと略称する。)を使用することができない。
本願の発明は、これら従来技術の課題を解決するために為されたものであり、空間光変調器を使用したデジタル露光装置において、高分解能化と生産性向上を両立させることを目的とし、且つその際に「線膨れ」のみならず「間延び」も解決できるようにし、さらに二つの空間的に変調された光のパターンを空間的にずらして基板に照射する必要のない解決手段を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、この明細書において開示された発明に係るデジタル露光装置は、空間的に変調された光を基板に照射して基板において所望のパターンの露光済み領域を得るデジタル露光装置であって、
基板が載置されるステージと、
ステージを移動させ、空間光変調器が形成したパターンの光が照射されるエリアである露光作業エリアを基板が通過するようにするステージ移動機構と、
第一の空間光変調器と、
第二の空間光変調器と、
を備えている。
各空間光変調器は、露光作業エリアに光照射する状態であるオン状態と光照射しない状態であるオフ状態と取り得る多数の画素を有し、最も短いオン状態の時間長と最も短いオフ状態の短い時間長とを加えた時間長であるオンオフ周期を単位としてオン状態とオフ状態とを切り替えることが可能な変調器である。
このデジタル露光装置は、さらに、
各空間光変調器を制御する変調器制御系と、
第一の空間光変調器に対してパルス光を照射する第一の照射系と、
第二の空間光変調器に対してパルス光を照射する第二の照射系と
備えている。
変調器制御系は、所望のパターンの露光済み領域を得るべく設定されたシーケンスに従って第一の空間光変調器の各画素をオンオフ周期を単位としてオンオフさせ、所望のパターンの露光済み領域を得るべく設定されたシーケンスに従って第二の空間光変調器の各画素をオンオフ周期を単位としてオンオフさせる制御を行う系であって、第一の空間光変調器の各画素についてのオンオフ周期と第二の空間光変調器の各画素についてのオンオフ周期の周期長が一致し且つ位相がずれた状態となるように制御する系である。
第一の照射系は、パルス光の周期が第一の空間光変調器におけるオンオフ周期に一致し且つパルス幅が第一の空間光変調器のオンオフ周期におけるオンの時間帯の半分以下になるようにパルス光を照射する系である。
第二の照射系は、パルス光の周期が第二の空間光変調器におけるオンオフ周期に一致し且つパルス幅が第二の空間光変調器のオンオフ周期におけるオンの時間帯の半分以下になるようにパルス光を照射する系である。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係るデジタル露光装置は、
変調器制御系が、第一の空間光変調器におけるオンオフの周期と第二の空間光変調器におけるオンオフの周期とが互いに半周期ずれた状態とする系であり、
第一の照射系は第一の空間光変調器のオンオフ周期における前半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を第一の空間光変調器に照射する系であって第二の照射系は第二の空間光変調器のオンオフ周期の前半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を第二の空間光変調器に照射する系であるか、又は第一の照射系は第一の空間光変調器のオンオフ周期における後半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を第一の空間光変調器に照射する系であって第二の照射系は第二の空間光変調器のオンオフ周期における後半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を第二の空間光変調器に照射する系である
という構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係るデジタル露光装置において、第一の空間光変調器及び第二の空間光変調器は、第一の空間光変調器のオン状態のある画素からの光によるパターンと第二の空間光変調器のオン状態のある画素からの光にあるパターンとが露光作業エリアにおいて同じ位置に照射されるよう配置され得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係るデジタル露光装置は、第一の空間光変調器の各画素の像を露光作業エリアに投影するとともに第二の空間光変調器の各画素の像を露光作業エリアに投影するマイクロレンズアレイを備え得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係るデジタル露光装置において、第一の空間光変調器及び第二の空間光変調器は、第一の空間光変調器のオン状態のある画素からの光によるパターンと第二の空間光変調器のオン状態のある画素からの光にあるパターンとが露光作業エリアにおいてずれた位置に照射されるよう配置され得る。
以下に説明する通り、開示された発明に係るデジタル露光装置によれば、二つの空間光変調器が搭載され、各空間光変調器におけるオンオフ周期を同一の長さであって位相がずれた状態とする変調器制御系を備えており、それぞれの空間光変調器に光照射する照射系は、照射対象の空間光変調器のオンオフ周期に同期したパルス周期であって且つオンオフ周期におけるオン時間の半分以下のパルス幅のパルス光を照射するので、時間的に細密化させたシーケンスで微小パターンの照射が可能である。このため、ステージの移動速度を速くして生産性を向上させても露光の分解能が低下することはなく、逆にステージの移動速度をそのままとした場合には高分解能の露光を実現することができる。
また、第一の空間光変調器におけるオンオフ周期と第二の空間光変調器におけるオンオフ周期のずれが半周期分であり、パルス光がともに周期の前半において照射されるか又は後半において照射される構成であると、制御系全体としてシンプルになるという効果が得られる。
また、第一の空間光変調器のオン状態のある画素からの光によるパターンと第二の空間光変調器のオン状態のある画素からの光にあるパターンとが露光作業エリアにおいて同じ位置に照射される構成であると、共通の投影光学系中にマイクロレンズアレイを使用することができるので、各画素による微小パターンの間隔の調整から独立して各微小パターンの大きさの調整を行うことができる。このため、所望の大きさの微小パターンの投影による露光が容易に行える。この場合にも、共通の投影光学系とすることができるので、全体の構造が大掛かりにならない。
また、第一の空間光変調器のオン状態のある画素からの光によるパターンと第二の空間光変調器のオン状態のある画素からの光にあるパターンとが露光作業エリアにおいてずれた位置に照射される構成であると、ステージの移動速度の増加を少なくして駆動源の負荷を抑えたり、線幅をより細かく変更できる線状パターンを得たりすることができるという効果が得られる。
第一の実施形態のデジタル露光装置の正面概略図である。 第一の実施形態のデジタル露光装置の平面概略図である。 露光ヘッドの内部構造を示した概略図である。 変調器制御系による二つの空間光変調器の各画素の制御について示した概略図である。 微小パターン照射の時間的な細密化による効果について示した概略図である。 オンオフ周期のずれが半周期でない場合の制御例について示した概略図である。 第二の実施形態の主要部を示した正面概略図であり、第二の実施形態における露光ヘッド内の構成の概略図である。 二つの空間光変調器のX方向へのオフアクシス配置の効果について示した概略図である。 二つの空間光変調器のY方向へのオフアクシス配置の効果について示した概略図である。 第三の実施形態のデジタル露光装置の主要部の概略図であり、第三の実施形態における露光ヘッド内の構成の概略図である。 デジタル露光装置における露光作業エリアについて示した斜視概略図である。 空間光変調器の一例としてのDMDにおけるオンオフ周期について示した概略図である。 高分解能化と生産性向上のトレードオフ的な関係について示した概略図である。
以下、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、第一の実施形態のデジタル露光装置の正面概略図であり、図2は図1に示すデジタル露光装置の平面概略図である。図1及び図2に示すように、デジタル露光装置は、複数の露光ヘッド1と、基板Wが載置されるステージ6と、ステージ移動機構61とを備えている。
ステージ6は、水平な上面に基板Wが載置される部材である。上面には、基板Wを真空吸着する不図示の真空吸着孔が設けられている。ステージ移動機構61は、基板Wが載置されたステージ6を露光作業エリアEを通して移動させる機構である。ステージ6の移動方向は、水平方向である。前述したようにこの方向がX方向であり、X方向に垂直な水平方向がY方向である。
ステージ移動機構61は、X方向に沿って露光作業エリアEを通して配設されたリニアガイド611と、リニアガイド611上に設けられたベース612と、ベース612をリニアガイド611に沿って移動させる不図示の駆動源とを含んでいる。駆動源としては例えばリニアモータが使用され、リニアモータステージの構成が採用され得る。
この実施形態では、複数の露光ヘッド1が配設されている。各露光ヘッド1は、全体としては円筒形であり、垂直に立てた状態で配置されており、下方に向けて光を出射するものとなっている。この例では、図2に示すように露光ヘッド1はY方向に二列に設けられている。各露光ヘッド1はX方向ではずれて配置されており、互い違いの配置となっている。
図3は、露光ヘッドの内部構造を示した概略図である。図3に示すように、露光ヘッド1は、不図示の筐体内に、第一第二の二つの空間光変調器21,22と、第二の空間光変調器21に対して光を照射して変調させる第一の照射系31と、第二の空間光変調器22に対して光を照射して変調させる第二の照射系32とを収容した構造となっている。
この実施形態では、第一第二の二つの空間光変調器21,22により形成された光のパターンを露光作業エリアEに照射する際、それぞれの画素の像を露光作業エリアEに投影する構成が採用されている。この実施形態では、二つの空間光変調器21,22は、投影系を共用する構成となっている。また、投影系は、二つの投影光学系41,42より成っている。即ち、二つの空間光変調器21,22の各画素の像は、二つの投影光学系41,42によって露光作業エリアEに投影される構成となっている。
図3に示すように、二つの投影光学系41,42の上下に並んでおり垂直な共通の光軸Aを有している。以下、上側(露光作業エリアEから遠い側)の投影光学系41を前段投影光学系とし、下側(露光作業エリアEに近い側)の投影光学系42を後段投影光学系とする。
第一の空間光変調器21は、上方に延びる光軸A上に配置されている。即ち、上側の前段投影光学系41のさらに上側に第一の空間光変調器21が配置されている。前段投影光学系41と第一の空間光変調器21との間には、偏光ビームスプリッタ52が配置されている。偏光ビームスプリッタ52により光軸Aは90度に分岐して一方が水平に延びており、その水平に延びた光軸A上に第二の空間光変調器22が配置されている。この例では、水平に分岐した光軸AはX方向に延びているが、Y方向であっても良く、Y方向の延びた光軸上に第二の空間光変調器22が配置されても良い。この偏光ビームスプリッタ52は、第一第二の二つの空間光変調器21,22からの光を重ね合わせる合成素子として使用されている。
尚、第一の空間光変調器21は、水平な姿勢で配置されており、上方に延びる光軸Aに対して直角に交差する姿勢である。第二の空間光変調器22は、垂直な姿勢で配置されており、水平に延びる光軸Aに対して直角に交差する姿勢である。第一の空間光変調器21において、各画素は、光を垂直下方に向けて(偏光ビームスプリッタ52に向けて)反射する姿勢がオン状態であり、斜め下方に反射させて偏光ビームスプリッタに達しないようにする姿勢がオフ状態である。第二の空間光変調器22については、各画素が光を水平に反射させて(180度反射させて戻して)偏光ビームスプリッタ52に達するようにする姿勢がオン状態であり、斜め上方又は斜め下方に反射させて偏光ビームスプリッタ52に達しないようにする状態がオフ状態である。
このような位置及び姿勢で配置されている第一第二の空間光変調器21,22に対して光照射する系として、前述したように第一第二の照射系31,32が設けられている。この実施形態では、第一第二の照射系31,32は、幾つかの素子を共用した系となっている。前述した偏光ビームスプリッタ52もその一つである。これ以外に、共用される素子として、別の偏光ビームスプリッタ51が配置されている。別の偏光ビームスプリッタ51は、前段投影光学系41と第一の空間光変調器21との間の偏光ビームスプリッタ52の入射側に配置されている。以下、入射側に配置された偏光ビームスプリッタ51を第一の偏光ビームスプリッタとし、前段投影光学系41と後段投影光学系42との間の偏光ビームスプリッタ52を第二の偏光ビームスプリッタとする。
この実施形態では、第一の照射系31と第二の照射系32とは偏光状態の異なる光を照射する系となっている。例えば、第一の照射系31はs偏光の光を照射する系であり、第二の照射系32はp偏光の光を照射する系である。
図3に示すように、第一の照射系31は、s偏光光を第一の偏光ビームスプリッタ51で反射させて第二の偏光ビームスプリッタ52に到達させる系である。第二の照射系32は、p偏光光を第一の偏光ビームスプリッタ51を透過させて第二の偏光ビームスプリッタ52に到達させる系である。即ち、第一の偏光ビームスプリッタ51の分割面は、s偏光反射でp偏光透過の分割面となっている。図3において、s偏光光をsで示し、p偏光光をpで示している。
また、第二の偏光ビームスプリッタ52は、分割面が第一の偏光ビームスプリッタ51の分割面に対して90度異なる角度となっており、且つs偏光反射、p偏光透過の分割面となっている。このため、第一の偏光ビームスプリッタ51から第二の偏光ビームスプリッタ52に到達したs偏光光は分割面で反射して第一の空間光変調器21に向かい、第一の偏光ビームスプリッタ51から第二の偏光ビームスプリッタ52に到達したp偏光光は分割面を透過して第二の空間光変調器22に向かう。
この実施形態では、第一の照射系31と第二の照射系32とはそれぞれ光源を備えた系となっている。即ち、第一の照射系31は、第一の光源311と、第一の光源311からの光をs偏光光とする第一の偏光素子312とを含んでいる。また、第二の照射系32は、第二の光源321と、第二の光源321からの光をp偏光光とする第二の偏光素子322とを含んでいる。
第一の光源311及び第二の光源321としては、この実施形態では、同一波長の半導体レーザが使用されている。例えば、波長405nmの半導体レーザが第一第二の光源321として使用できる。半値幅は、3~5nm程度である。
尚、実際には、露光作業エリアEにおける照度を高めるために複数の光源からの光を集積する構成が採用される。具体的には、例えば特開2016-035509号公報に開示されているように、各光源からの光をファイバで導き、各ファイバの出射端をバンドルして出射光を重ね合わせる構成が採用される。したがって、第一の光源311は、複数の第一の光源と各第一の光源からの光を導く第一のファイバ群から成る光源系であり、第二の光源321は複数の第二の光源と各第二の光源から光を導く第二のファイバ群から成る光源系とされ得る。
また、第一の照射系31を構成するものとして、第二の偏光ビームスプリッタ52と第一の空間光変調器21との間には、第一のλ/4波長板313が配置されている。また、第二の照射系32を構成するものとして、第二の偏光ビームスプリッタ52と第二の空間光変調器22の間には、第二のλ/4波長板323が配置されている。
第一のλ/4波長板313は、第一の空間光変調器21に向かうs偏光光を円偏光にし、第一の空間光変調器21のオン状態の各画素に反射して戻ってくる円偏光光をp偏光光にする。第二のλ/4波長板323は、第二の空間光変調器22に向かうp偏光光を円偏光にし、第二の空間光変調器22のオン状態の各画素に反射して戻ってくる円偏光光をs偏光光にする。したがって、厳密には、第一の照射系31は第一のλ/4波長板313に対してs偏光光を照射する系であり、第二の照射系32は第二のλ/4波長板323に対してp偏光光を照射する系である。
一方、この実施形態では、前段投影光学系41と後段投影光学系42との間には、MLA43が配置されている。MLA43は、空間光変調器の各画素に1対1で対応する微小なレンズセグメント(マイクロレンズ)を形成したプレート状の光学素子である。
前述したように、空間光変調器を使用したデジタル露光装置では、オン状態の各画素により微小パターンが投影され、各微小パターンから成る瞬時パターンで露光が行われる。MLAは、瞬時パターンにおいて、各微小パターン領域の大きさと微小パターン領域同士の間隔とを相互に独立して調整できるようにしたものである。尚、間隔は、微小パターン領域の中心点同士の間隔である。
各微小パターン領域の大きさは、空間光変調器の各画素を投影する投影光学系における投影倍率を適宜変更することで調整が可能である。しかしながら、この場合、微小パターン領域同士の間隔も同時に変わってしまう。つまり、大きさと間隔とを相互に独立して調整することができない。
MLA43を使用すると、MLA43における各マイクロレンズは、各画素の像を投影するから、図11に示す微小パターン領域の大きさφと間隔Lとを個別に調整することができる。具体的には、まず、間隔Lを投影光学系の倍率により調整する。その上で、各マイクロレンズの倍率により大きさφを調整する。大きさφは、実際には投影光学系の倍率の影響を受けるから、投影光学系の倍率と各マイクロレンズの倍率とを掛け算したものが所望の大きさφになるように各マイクロレンズの倍率を選定する。
この実施形態では、MLA43は、上述した機能を第一の空間光変調器21と第二の空間光変調器22との双方に対して発揮するものとなっている。即ち、第一の空間光変調器21及び第二の空間光変調器22としては同じ仕様のDMDが使用されており、光軸に対して垂直な姿勢で配置され、MLA43までの光路長は同じである。したがって、第一の空間光変調器21の各画素と第二の空間光変調器22の各画素は、MLA43の各マイクロレンズに対して同様の共役関係にある。
より具体的に説明すると、第一の空間光変調器21の各画素から出た光はMLA43の各マイクロレンズに結び、第二の空間光変調器22の各画素から出た光はMLA43の各マイクロレンズアレイに同様に結ぶ。空間光変調器内で同様の位置にある画素からの光は、同じマイクロレンズに結ぶ。「同様の位置」とは、同じアドレスにある画素という意味であり、縦横で同じ番目の位置にあるアドレスということである。例えば1行目の1列目の画素から出た光は、マイクロレンズアレイにおける1行目の1列目のマイクロレンズに結ぶ。これは双方の空間光変調器において同様であって、第一の空間光変調器21の1行目の1列目の画素から出た光は、マイクロレンズアレイにおける1行目の1列目のマイクロレンズに結び、第二の空間光変調器22の1行目の1列目の画素から出た光も1行目の1列目のマイクロレンズに結ぶ。空間光変調器の各画素から光が出射する際の光軸を画素光軸と呼ぶと、二つの空間光変調器21,22は互いの各画素光軸が同軸上となるように配置され、その同軸である各画素光軸上に各マイクロレンズが位置するようにMLA43が配置されている。
尚、前段投影光学系41は、上記のように二つの空間光変調器21,22の各画素を同様の共役関係にてMLA43の各マイクロレンズに投影する光学系である。後段投影光学系42は、MLA43の各マイクロレンズの像を露光作業エリアEに投影する光学系である。前述した微小パターン領域同士の間隔Lは、これら投影光学系全体の投影倍率により調整される。また、微小パターン領域の大きさφについては、各空間光変調器21,22の各画素よりも小さくなるようにMLA43の各マイクロレンズの倍率が選定される場合もあるし、大きくなるように倍率が選定される場合もある。
図3に示すように、この実施形態では、MLA43の出射側にはアパーチャ44が配置されている。アパーチャ44は、MLA43の各マイクロレンズと同軸に各ピンホールを設けたものである。各ピンホールの位置は、各マイクロレンズの焦点の位置となっている。アパーチャ44は、回折光や迷光等を遮断し、各マイクロレンズによる微小パターンMの投影を鮮明にする機能を有している。
また、実施形態のデジタル露光装置は、前後段投影光学系41,42による投影を最適化するため、図3に示すようにオートフォーカス系7を備えている。オートフォーカス系7は、露光作業エリアEの手間の移動ライン上に設けられた距離センサ71、距離センサ71からの信号に応じて制御されるオートフォーカス素子72等から構成されている。この例では、オートフォーカス素子72は、後段投影光学系42の出射側において光路長を変更する素子となっており、プリズムペアをピエゾ駆動源のような駆動手段73で駆動して光路長を変更する素子となっている。
尚、デジタル露光装置は、距離センサ71は、露光作業エリアEに基板が達するタイミングを検出するための基板到来センサを備えている。この基板到来センサとしては、この実施形態では、オートフォーカス系7の距離センサ71が兼用されている。ステージ上の基板の前縁(進行方法の前の縁)が距離センサ71の直下の位置に達すると、これを距離センサ71が検出する。
このようにして二つの投影光学系41,42及びMLA43により各瞬時パターンを露光作業エリアEに投影する第一第二の空間光変調器21,22の各画素を制御する系として、変調器制御系8が設けられている。変調器制御系8は、各露光ユニット1の鏡筒内に設けられている場合もあるし、鏡筒外(例えばメインコントローラ200内)に設けられている場合もある。
実施形態のデジタル露光装置は、上記二つの空間光変調器21,22や二つの照射系41,42に加え、変調器制御系8の構成によっても特徴づけられる。以下、変調器制御系8について説明する。
図4は、変調器制御系による二つの空間光変調器の各画素の制御について示した概略図である。
図3に示すように、変調器制御系8は、第一の空間光変調器21に対して各画素のオンオフのシーケンス制御信号を出力する第一のオンオフ信号出力部81と、第一の空間光変調器21に出力するオンオフのシーケンスを記憶した第一の記憶部82と、第二の空間光変調器22に対して各画素のオンオフのシーケンス制御信号を出力する第二のオンオフ信号出力部83と、第二の空間光変調器22に出力するオンオフのシーケンスを記憶した第二の記憶部84と、第一のオンオフ信号出力部81及び第二のオンオフ信号出力部83に対してクロックを供給するクロック供給部等から構成されている。各記憶部82,84は、RAMのようなメモリである。
第一第二の記憶部82,84には、一枚の基板Wにおいて露光・現像により得ようとしている全体の露光済み領域のパターン(以下、全体パターン)に基づき、個々の露光ヘッドにおいて瞬時パターンの変化のシーケンスが予め決定され、第一第二の記憶部84に記憶される。これらシーケンスは、ステージ6の移動速度に応じたシーケンスであるとともに、各空間光変調器21,22のパターンレートに応じたシーケンスである。ある露光ヘッド1内の第一第二の空間光変調器21,22についての各シーケンスは、他の露光ヘッド1内の第一第二の空間光変調器21,22についての各シーケンスと通常は異なる。つまり、得ようとする全体パターンに基づき、各露光ヘッド1内の第一第二の空間光変調器21,22の各シーケンスが予め決定され、各第一第二の記憶部82,84に記憶される。尚、記憶部82,84は一つの記憶部であり、その中に第一の空間光変調器21用のシーケンスファイルと第二の空間光変調器22用のシーケンスファイルとが記憶されている場合もある。
また、基板到来センサに兼用されている距離センサ71の出力は、各オンオフ信号出力部81,83に入力されるようになっている。このため、各オンオフ信号出力部81,83には、露光作業エリアEに対して所定の位置にある距離センサ71の直下の位置を基板の前縁が通過したタイミングを示す信号が入力される。
このような変調器制御系8は、クロック供給部85を含んでいる。クロック供給部85は、第一第二のオンオフ信号出力部83を所定の位相ずれで動作させるためのクロック信号を供給する回路であり、例えばクロックパルスを各オンオフ信号出力部81,83に入力するよう構成されている。
第一のオンオフ信号出力部81は、第一の記憶部82からシーケンスを読み出して当該シーケンスにてオンオフ信号を第一の空間光変調器21に出力する。第二のオンオフ信号を第二の空間光変調器22に出力する。この際、第一のオンオフ信号出力部81は、第二のオンオフ信号出力部83と同一の周期長でオンオフ信号を出力するとともにクロック供給部85からのクロック信号に従い、半周期ずれたタイミングで同期してオンオフ信号を出力するものとなっている。
図4には、この様子が示されている。図4(1)には、クロック信号としてクロックパルスが示されている。図4(1)には、第一のオンオフ信号出力部81が出力するオンオフ信号が示され、図4(3)には、第二のオンオフ信号出力部83が出力するオンオフ信号が示されている。
図4(2)(3)では、一例として、オンオフが交互に繰り返されるシーケンスが示されている。これは、理解を容易にするために単純化したものである。実際には、所望の全体パターンを得るべく、オンが複数回続いたり、オフが複数回続いたりする。いずれにしても1回のオンとその後の1回のオフからなる周期がオンオフ周期であり、この周期の長さは、図4(2)(3)に示すように第一のオンオフ信号出力部81と第二のオンオフ信号出力部83とで一致している。
そして、図4の(2)と(3)とを比べると解るように、第一のオンオフ信号出力部81から出力されるオンオフ信号と第二のオンオフ信号出力部83から出力されるオンオフ信号とは、互いに半周期ずれたものとなっている。この例では、いずれもオンとオフが交互に続く信号であるため、第一のオンオフ信号出力部81からオン信号が出力されている半周期に第二のオンオフ信号出力部83からはオフ信号が出力され、第一のオンオフ信号出力部81からオフ信号が出力されている半周期に第二のオンオフ信号出力部83からはオン信号が出力される。
尚、実際には、オンオフ信号は、空間光変調器21,22の各画素の駆動信号であり、画素ごとの信号である。したがって、図4(2)(3)は、ある1個の画素に対してオンオフを行わせるための信号を示していると理解されるべきものである。
図4(4)は第一の空間光変調器21の上記1個の画素のオンオフ状態を示しており、(5)は第二の空間光変調器22の上記1個の画素のオンオフ状態を示している。この実施形態では各空間光変調器21,22はDMDであり、各画素は画素ミラーである。各画素ミラーは、オン状態の姿勢とオフ状態の姿勢とを交互に取ることになるが、オンオフ信号と比べると瞬時に切り替えることは困難であり、図4(4)(5)に示すように、ある程度の時間がかかってオンになり、ある程度の時間がかかってオフになる。図4(4)(5)に、画素ミラーの角度を破線で概念的に一部に示す。そして、画素ミラーの実質的なオンオフを実線で示す。
図4(4)(5)に示すように、第一の空間光変調器21の画素は、第一のオンオフ信号出力部81からのオンオフ信号に対して少し遅れてオンオフとなり、第二の空間光変調器22の画素は、第二のオンオフ信号出力部81からのオンオフ信号に対して少し遅れてオンオフとなる。この例では、オンオフ周期の1/4の時間だけずれてオンオフする状態となる。そして、図4(2)(3)に示すように、第一のオンオフ信号出力部81と第二のオンオフ信号出力部83とは、同じ長さのオンオフ周期であって互いに半周期ずれた状態でオンオフ信号を出力するよう構成されている。例えば、第二のオンオフ信号出力部83には、クロック信号の入力があってから半周期分だけずれた状態でオンオフ信号を出力するよう遅延回路を含む構成とされる。このため、図4(4)(5)に示すように、第二の空間光変調器22の画素は、第一の空間光変調器21の画素に対して半周期遅れてオンオフされる。
一方、このような変調器制御系8の構成に対して、実施形態のデジタル露光装置は、第一第二の照射系32による光照射のタイミングも最適化している。以下、この点について説明する。
図1に示すように、第一の照射系31が備える第一の光源311と第二の照射系32が備える第二の光源321とに対してこれら光源の点灯を制御する光源制御系33が設けられている。光源制御系33は、第一の光源311をパルス点灯させる第一のパルス点灯回路331と、第二の光源321をパルス点灯させる第二のパルス点灯回路332と、第一のパルス点灯回路331におけるパルス点灯の周期を設定する第一のパルス周期設定回路333と、第二のパルス点灯回路332におけるパルス点灯の周期を設定する第二のパルス周期設定回路334と、第一のパルス点灯回路331によるパルス点灯におけるパルス幅を設定する第一のパルス幅設定回路335と、第二のパルス点灯回路332によるパル点灯におけるパルス幅を設定する第二のパルス幅設定回路336と、第一パルス点灯回路331と第二のパルス点灯回路332とを同期させる同期回路337とを含んでいる。
第一のパルス周期設定回路333と第二のパルス周期設定回路334は、同一の長さのパルス周期が設定される回路であり、同一の長さのパルス周期で各光源311,321が点灯するようにする回路である。したがって、1個のみのパルス周期設定回路を共用しても良い。いずれにしても、パルス周期設定回路333,334は、変調器制御系8におけるオンオフ周期の長さと同じ長さのパルス周期を設定する回路となっている。
尚、パルス点灯では、1回のパルス点灯があり、その次の回のパルス点灯が開始されるまでのタイムラグがある。パルス周期は、点灯時間とタイムラグの時間とを加えた長さの時間である。
同期回路337は、第一の光源311が第一の空間光変調器21の各画素に同期して点灯するようにするとともに、第二の光源321が第二の空間光変調器22の各画素に同期して点灯するようにする回路である。図1に示すように、変調器制御系8におけるクロック供給部85は、同期回路337にも接続されており、同じクロック信号が入力されるようになっている。
この実施形態では、第一の空間光変調器21の各画素は、第一のオンオフ信号に対して1/4周期遅れてオンオフし、第二の空間光変調器21の各画素は、第二のオンオフ信号に対して1/4周期遅れてオンオフする。したがって、同期回路は、クロック信号に対して1/4周期遅れて第一のパルス点灯回路331が動作するように遅延させ、3/4周期遅れて第二のパルス点灯回路332が動作するよう遅延させる回路を含んでいる。
尚、各パルス点灯回路331,332におけるパルス点灯のタイミングは、同期回路337によって制御されるが、パルス幅は各パルス幅設定回路335,336で設定された幅である。
図4には、このような光源制御系33による各光源のパルス点灯の制御についても示されている。図4(6)は第一のパルス点灯回路331による第一の光源311のパルス点灯を示し、(7)は第一のパルス点灯回路332における第二の光源321のパルス点灯を示す。各パルス点灯回路によるパルス点灯は、点灯(オン)と消灯(オフ)とが交互に繰り返されるパターンである。各オンオフ信号出力部81,83と異なり、これは定型のパターンであり、各空間光変調器21,22の各画素のオンオフシーケンスによらず一定である。また、各画素に対しても同じ定型のパターンである。図4(6)(7)の例では、パルス点灯の時間(パルス幅)は画素のオン時間の幅に対して半分となっているが、これは一例であり、必ずしも半分でなくとも良く、各パルス幅設定回路で適宜設定される。
図4(8)には、二つの空間光変調器21,22による微小パターンのシーケンスが示されている。第一の空間光変調器21の上記1個の画素と第二の空間光変調器22の上記1個の画素は、同じアドレスであり、同じ画素光軸上にあるから、図4(8)は、基板が移動しないと仮定した場合の基板上の1点に対する微小パターンの照射シーケンスを示している。
図4(8)から解るように、実施形態の構成では、第一の空間光変調器21の1回のオンオフにおいて、そのオン時間帯に第一の光源311からのパルス光による微小パターンの照射がされるのに加え、そのオフ時間帯に第二の光源321からのパルス光による微小パターンが第二の空間光変調器22の同軸画素により照射される。同様に、第二の空間光変調器22の1回のオンオフにおいて、そのオン時間帯に第二の光源321からのパルス光による微小パターンの照射がされるのに加え、そのオフ時間帯に第一の光源311からのパルス光による微小パターンが第一の空間光変調器21の同軸画素により照射される。このため、見かけ上、全体のオンオフ周期(第一の空間光変調器21のオンオフと第二の空間光変調器22のオンオフを重ね合わせたオンオフの周期)は、半分になる。つまり、従来に比べて半分の細かさで微小パターンの照射のオンオフの制御が可能となっている。
図4(8)に示すような時間的に細密化させた微小パターンの照射シーケンスの効果について、図5を使用して説明する。図5は、微小パターン照射の時間的な細密化による効果について示した概略図である。
図13と同様、図5(1)に示すように、基板W上には要露光点A、A,A,・・・と要露光点B,B,B,・・・が設定されており、微小パターンの集まりである瞬時パターンが照射される露光作業エリアEを通して基板Wが移動する。これにより、要露光点A、A,A,・・・を通して線状パターンを形成し、要露光点B,B,B,・・・を通して別の線状パターンを形成するとする。
この場合、従来に比べて2倍の速度で基板Wを移動させると、図13(2’)(3’)に示すように、「線膨れ」と「間延び」が生じる。図5(2’)(3’)には、比較を容易にするため、図13(2’)(3’)と同じ図が示されている。
一方、実施形態の構成によれば、各微小パターンのオンオフ周期が半分になっているため、図5(2)(3)に示すように「線膨れ」や「間延び」は生じない。即ち、オンの時間帯が従来に比べて半分であるため、移動速度を2倍にした場合、1個の微小パターンが照射される領域の大きさ(特にその基板移動方向の長さ)は、2倍にする前の速度の場合と変わらない。したがって、「線膨れ」は生じない。また、同軸上に位置する二つの画素によって交互に微小パターンが照射され、その間のタイムラグは従来に比べて1/2になっているから、移動速度を2倍にした場合、「間延び」は生じない。
移動速度を倍にしても「線膨れ」や「間延び」が生じないということは、移動速度を倍にしなければ、分解能を倍にできることを意味する。図5(4)(5)には、移動速度を従来と同じにした場合の露光済み領域と線状パターンが示されている。図5(3)と図5(5)とを比較すると解るように、移動速度を上げない場合、従来に比べて分解能を2倍にすることができる。
尚、図1に示すデジタル露光装置は、装置全体を制御するメインコントローラ200を備えている。メインコントローラ200は、装置の各部(各露光ヘッド1やステージ移動機構61等)に制御信号を送る他、1枚の基板Wについて得ようとしている全体パターンを記憶したメイン記憶部を備えている。メイン記憶部に記憶された全体パターンに従い、各露光ヘッド1内の第一第二の記憶部82,84にシーケンス制御データが送られて記憶される。
このような実施形態のデジタル露光装置の動作について、以下にまとめて説明する。 図1に示すデジタル露光装置において、基板Wはロード位置において不図示の移載機構によりステージ6に載置される。ステージ6は基板Wを真空吸着し、ステージ移動機構61によりX方向に露光作業エリアEに向けて移動する。
そして、ステージ6上の基板Wの前縁が距離センサ71の直下を通過する際、基板到来が検出されてメインコントローラ200に送られる。また、基板Wとの距離が計測されて各露光ヘッド1内のオートフォーカス系7が動作し、合焦状態を確保する。そして、ステージ6がそのまま移動して基板Wが露光作業エリアEに達すると、各露光ヘッド1では、光源制御系33が動作して各光源311,321がパルス点灯するとともに、予め記憶されているシーケンスにて変調器制御系8が動作する。これにより、第一の空間光変調器21は各画素を第一の記憶部82のシーケンスにてオンオフし、第二の空間光変調器22は各画素の第二の記憶部84に記憶されているシーケンスにてオンオフする。この際のオンオフ周期は、同一同期長で且つ半周期分ずれた状態である。なお且つ、光源制御系33による第一の光源311のパルス周期は第一の空間光変調器21のオンオフ周期に一致し、第二の光源321のパルス周期は第二の空間光変調器22に一致する。これにより、図4(8)~(10)に示すように時間的に細密化された状態で各微小パターンMが照射され、移動する基板Wは各微小パターンMによって露光される。
このようにして露光作業エリアEを通過する際に露光が行われた基板Wは、その後にアンロード位置に達し、不図示の移載機構により移載されて次の工程に回される。尚、装置のタイプによってはステージが往復移動し、往路と復路とで露光作業位置を通過する際に露光が行われる場合もある。この構成の場合、X方向に加えてY方向に多少移動できるようにY方向移動機構がステージに実装され、往路と復路とで異なるライン上を基板Wが移動するよう構成される場合もある。また、往路と復路とで異なるライン上を基板Wが移動する構成では、各微小パターン領域の大きさφはY方向の微小パターン領域同士の距離Lよりも小さくなるようMLA43が設計される場合もある。
このような実施形態のデジタル露光装置によれば、二つの空間光変調器21,22が搭載され、各空間光変調器21,22におけるオンオフ周期を同一の長さであって半周期分ずれた状態とする変調器制御系8を備えており、それぞれの空間光変調器に光照射する照射系は、照射対象の空間光変調器のオンオフ周期に同期したパルス周期であって且つオンオフ周期におけるオン時間の半分のパルス幅のパルス光を照射するので、時間的に細密化させたシーケンスで微小パターンの照射が可能である。このため、ステージの移動速度を速くして生産性を向上させても露光の分解能が低下することはなく、逆にステージの移動速度をそのままとした場合には高分解能の露光を実現することができる。
上記実施形態では、二つの空間光変調器21,22におけるオンオフ周期のずれはちょうど半周期であったが、半周期でなくとも良い。この点について、図6を参照して説明する。図6は、オンオフ周期のずれが半周期でない場合の制御例について示した概略図である。
二つの空間光変調器21,22のオンオフ周期のずれが半周期でない場合の例として、図6には、1/4周期の場合が示されている。即ち、第一のオンオフ信号出力部81からのオンオフ出力(図6(1))に対して、第二のオンオフ信号出力部83からのオンオフ信号が1/4周期ずれている(図6(2))。この場合、第二の空間光変調器22の画素のオンオフも、第一の空間光変調器21の画素のオンオフに対して1/4周期ずれる(図6(3)(4))。
この場合、第一の照射系31が例えば第一の空間光変調器21の画素のオンオフ周期の前半の半周期においてパルス光を照射するとすると(図6(5))、第二の照射系32は、第二の空間光変調器22の画素のオンオフの1/4周期から1/2周期においてパルス光を照射するようにする(図6(6))。このようにすれば、図6(7)に示すように、オンオフ周期が切れ目なく連続した状態となり、同様に倍速状態での分解能の維持又は速度不変状態での高分解能化の効果が得られる。但し、半周期分のずれとした方が、第一のオンオフ信号出力部81からのオンオフ信号の周期における第一の光源311からパルス光の位相と、第二のオンオフ信号出力部82からのオンオフ信号の周期における第二の光源321からのパルス光の位相が同じになり、対称な制御となるので、制御系全体としてシンプルになるというメリットがある。
また、上記実施形態において、第一の照射系31によるパルス光のパルス幅、第二の照射系32によるパルス幅は、各空間光変調器21,22の半周期よりも短くても良い。より細い線幅の線状パターンを得るために、より短い時間のみオンオフ状態とすることがあり、半周期よりもパルス幅が短い場合もあり得る。
次に、第二の実施形態のデジタル露光装置について説明する。
図7は、第二の実施形態の主要部を示した正面概略図であり、第二の実施形態における露光ヘッド1内の構成の概略図である。
図7中に概略的に示すように、第二の実施形態では、第一の実施形態と異なり、第一の空間光変調器21の各画素は、第二の空間光変調器22の各画素と同軸に設けられておらず、軸をずらして(オフアクシスで)配置されている。図7には、代表的な画素光軸として、第一の空間光変調器21の中央に位置する画素の画素光軸aと、第二の空間光変調器22の中央に位置する画素の画素光軸a’が概略的に示されている。そして、投影光学系4には、MLAやアパーチャは設けられていない。MLAが設けられていないので、投影光学系4は、第一の実施形態における前段投影光学系41に相当する構成である。
第一の空間光変調器21と第二の空間光変調器22とをオフアクシスで配置することのメリットは、幾つか考えられる。例えば、オフアクシスの方向をX方向にしておくと、上記時間的なずれと空間的なずれとの双方で分解能を確保できるので、ステージの移動速度を倍速まで高速化させる必要がないという効果が得られる。この点について、図8を参照して説明する。図8は、二つの空間光変調器のX方向へのオフアクシス配置の効果について示した概略図である。
図8(1)には、第一の空間光変調器21のある画素による微小パターン領域m1と、第二の空間光変調器22において同じアドレスにある画素による微小パターン領域m2とが示されている。オフアクシスであるので、m1とm2はずれている。そして、空間光変調器21,22同士は位相がずれて動作するので、m1とm2は同じタイミングでは微小パターンは照射されない。図8(2)には、m1に微小パターンM1が照射されたタイミングが示されており、m2にはずれ時間t秒後に微小パターンが照射される。尚、理解を容易にするため、各微小パターン領域m1,m2のY方向の間の位置の各微小パターン領域は図示が省略されている。
この場合、ステージが従来に比べて高速で移動するものの、倍速より遅いある速度で移動する場合、速度を適切に選定すると、同軸配置で倍速移動させたのと等価な結果が得られる。即ち、第一の空間光変調器21の画素が微小パターンM1を要露光点A,A,A,・・・照射する(図8(2))。その後、当該画素が次にオンになるまでのタイムラグの間(t秒後)に隣りの要露光点B,B,B,・・・が通り過ぎてしまうが、この場合でも、第二の空間光変調器22のオフアクシスの各画素が微小パターンM2を要露光点B,B,B,・・・に照射する(図8(3))。このため、従来と同様の分解能が達成できる。つまり、ステージの速度が倍速より低い分だけ画素をずらして配置しておくことで、倍速より低い速度の高速化に対応することができる。この構成は、倍速にするにはモータ等の駆動源や駆動機構に負荷がかかり過ぎるといった課題がある場合に特に好適である。
また、Y方向にオフアクシスにすると、Y方向での線幅の調整の分解能が向上するという効果が得られる。この点について、図9を参照して説明する。図9は、二つの空間光変調器のY方向へのオフアクシス配置の効果について示した概略図である。
図9(1)には、同様に、第一の空間光変調器21のある画素による微小パターン領域m1と第二の空間光変調器22の同一アドレスの画素による微小パターン領域m2とが示されている。空間光変調器21,22の画素同士の位相ずれのため、m2はm1に対してずれ時間t秒後に微小パターンが照射される。
この場合、微小パターン領域m1を微小パターンを照射する画素を多数回のオンオフ周期に亘って継続してオンの状態とし、微小パターン領域m2に微小パターンを照射する画素を同じ回数のオンオフ周期に亘ってオンの状態を継続する。このようにすると、図9(2)に示すように、X方向に延びる線状のパターンが得られる。この際、図9から明らかなように、オフアクシスにおけるずれ量を調整することで、線幅の調整が可能となる。投影光学系4における拡大率を調整して微小パターン領域を小さくしておき、Y方向のオフアクシス量を調整することで、細かな線幅の調整が可能となる。この場合も、Y方向に延びる線状パターンを形成する場合には、図8に示す効果(ステージ移動機構の負荷軽減)が得られる。
このような各効果を適宜得るため、少なくも一方の空間光変調器21,31には、ずれ量を調整するための位置調節機構を設けると好適である。例えば、ピエゾ素子を用いた駆動源で位置調節する機構を採用することができる。位置調節機構は、X方向に画素光軸をずらす機構とY方向に画素光軸をずらす機構との双方が設けられることが好ましい。
次に、第三の実施形態のデジタル露光装置について説明する。
図10は、第三の実施形態のデジタル露光装置の主要部の概略図であり、第三の実施形態における露光ヘッド1内の構成の概略図である。
第三の実施形態では、第二の実施形態と同様、第一第二の空間光変調器21,22がオフアクシスの配置となっているが、MLAを採用した構成となっている。具体的には、図10に示すように、第一の空間光変調器21の各画素の像を投影する第一の投影光学系91と、第二の空間光変調器22の各画素の像を投影する第二の投影光学系92とを備えている。第一第二の各投影光学系91,92は、第一実施形態と同様の構成であり、それぞれ前段投影光学系911,921と後段投影光学系912,922を含み、その間にMLA913,923とアパーチャ914,924とを配置している。
そして、第一の投影投影光学系91による像と第二の投影光学系91による像とを露光作業エリアEで重ね合わせるための合成素子として統合用偏光ビームスプリッタ93が設けられている。この例では、統合用偏光ビームスプリッタ93は、s偏光透過、p偏光反射の偏光ビームスプリッタである。
第一の照射系31は、同様にs偏光光を得る第一の偏光素子312を備えており、第二の照射系32はp偏光光を得る第二の偏光素子322を備えている。第一の空間光変調器21により空間変調されたs偏光光は、MLA913を含む第一の投影光学系91を介して統合用偏光ビームスプリッタ93に達し、統合用偏光ビームスプリッタ93を透過して露光作業エリアEに達する。第二の空間光変調器22により空間変調されたp偏光光は、MLA923を含む第二の投影光学系92を介して統合用偏光ビームスプリッタ93に達し、統合用偏光ビームスプリッタ93で反射して露光作業エリアEに達する。このため、オフアクシスの構成としつつも、MLA913,923により各微小パターンの大きさの独立調整が可能となっている。
以上説明した各実施形態において、第一第二の照射系32は、別々の光源(光源群)を用いた系であったが、光源(光源群)を共用する構成であっても良い。即ち、同一の光源(又は光源群)を偏光ビームスプリッタでs偏光とp偏光とに分け、一方を第一の空間光変調器21に照射し、他方を第二の空間光変調器22に照射する構成であっても良い。
また、s偏光とp偏光に分ける構成は、干渉による光照射の不安定化や露光作業エリアEによる照度のばらつき等を防止するためのものであるが、第一の空間光変調器21の各画素による光照射の時間帯(オン時間帯)と第二の空間光変調器22の各画素による光照射の時間帯とが重ならない構成においては、干渉はないので、特にs偏光とp偏光に分ける必要はない。例えば、第一の空間光変調器21と第二の空間光変調器22とのオンオフ周期の位相ずれがちょうど半周期であり、各照射系によるパルス光照射がその半周期以下のパルス幅であれば、重なる時間帯は実質的にないので、s偏光とp偏光に分けなくても良い。
偏光制御を行わない場合には、通常の(無偏光の)ビームスプリッタで光を分離したり重ね合わせたりすれば良い。場合によっては、第一の照射系31と第二の照射系32とが完全に分離した系とされる場合もあり得る。
上記各実施形態では、空間光変調器21,22としてDMDが使用されたが、透過型の空間光変調器として液晶表示素子が使用される場合もある。この場合には、オン状態の画素とは、透過状態にある画素(液晶の配列が光を透過する状態にある画素)であり、オフ状態の画素とは光を遮断する状態にある画素(液晶の配列が光を遮断する状態にある画素)である。各照射系は、各液晶表示素子の背後から光を照射し、オン状態の画素を通して光を透過させることで光が変調され、露光作業エリアEに各微小パターンの像が投影される。
1 露光ヘッド
21 第一の空間光変調器
22 第二の空間光変調器
31 第一の照射系
32 第二の照射系
33 光源制御系
331 第一のパルス点灯回路
332 第二のパルス点灯回路
333 第一のパルス周期設定回路
334 第二のパルス周期設定回路
335 第一のパルス幅設定回路
336 第二のパルス幅設定回路
337 同期回路
41 前段投影光学系
42 後段投影光学系
43 MLA
51 第一の偏光ビームスプリッタ
52 第二の偏光ビームスプリッタ
6 ステージ
61 ステージ移動機構
7 オートフォーカス系
8 変調器制御系
81 第一のオンオフ信号出力部
82 第一の記憶部
83 第二のオンオフ信号出力部
84 第二の記憶部
85 クロック供給部
W 基板
E 露光作業エリア
M 微小パターン

Claims (5)

  1. 空間的に変調された光を基板に照射して基板において所望のパターンの露光済み領域を得るデジタル露光装置であって、
    基板が載置されるステージと、
    ステージを移動させ、空間光変調器が形成したパターンの光が照射されるエリアである露光作業エリアを基板が通過するようにするステージ移動機構と、
    第一の空間光変調器と、
    第二の空間光変調器と、
    を備えており、
    各空間光変調器は、露光作業エリアに光照射する状態であるオン状態と光照射しない状態であるオフ状態と取り得る多数の画素を有し、最も短いオン状態の時間長と最も短いオフ状態の短い時間長とを加えた時間長であるオンオフ周期を単位としてオン状態とオフ状態とを切り替えることが可能な変調器であり、
    さらに、
    各空間光変調器を制御する変調器制御系と、
    第一の空間光変調器に対してパルス光を照射する第一の照射系と、
    第二の空間光変調器に対してパルス光を照射する第二の照射系と
    備えており、
    変調器制御系は、所望のパターンの露光済み領域を得るべく設定されたシーケンスに従って第一の空間光変調器の各画素をオンオフ周期を単位としてオンオフさせ、所望のパターンの露光済み領域を得るべく設定されたシーケンスに従って第二の空間光変調器の各画素をオンオフ周期を単位としてオンオフさせる制御を行う系であって、第一の空間光変調器の各画素についてのオンオフ周期と第二の空間光変調器の各画素についてのオンオフ周期の周期長が一致し且つ位相がずれた状態となるように制御する系であり、
    第一の照射系は、パルス光の周期が第一の空間光変調器におけるオンオフ周期に一致し且つパルス幅が第一の空間光変調器のオンオフ周期におけるオンの時間帯の半分以下であるパルス光を照射する系であり、
    第二の照射系は、パルス光の周期が第二の空間光変調器におけるオンオフ周期に一致し且つパルス幅が第二の空間光変調器のオンオフ周期におけるオンの時間帯の半分以下であるパルス光を照射する系であることを特徴とするデジタル露光装置。
  2. 前記変調器制御系は、前記第一の空間光変調器におけるオンオフの周期と前記第二の空間光変調器におけるオンオフの周期とが互いに半周期ずれた状態とする系であり、
    前記第一の照射系は前記第一の空間光変調器のオンオフ周期における前半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を前記第一の空間光変調器に照射する系であって前記第二の照射系は前記第二の空間光変調器のオンオフ周期における前半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を前記第二の空間光変調器に照射する系であるか、又は前記第一の照射系は前記第一の空間光変調器のオンオフ周期における後半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を前記第一の空間光変調器に照射する系であって前記第二の照射系は前記第二の空間光変調器のオンオフ周期における後半の半周期のオンの時間帯においてパルス光を前記第二の空間光変調器に照射する系であることを特徴とする請求項1記載のデジタル露光装置。
  3. 前記第一の空間光変調器及び前記第二の空間光変調器は、前記第一の空間光変調器のオン状態のある画素からの光によるパターンと前記第二の空間光変調器のオン状態のある画素からの光にあるパターンとが前記露光作業エリアにおいて同じ位置に照射されるよう配置されていることを特徴とする請求項1記載のデジタル露光装置。
  4. 前記第一の空間光変調器の各画素の像を前記露光作業エリアに投影するとともに前記第二の空間光変調器の各画素の像を前記露光作業エリアに投影するマイクロレンズアレイを備えていることを特徴とする請求項3記載のデジタル露光装置。
  5. 前記第一の空間光変調器及び前記第二の空間光変調器は、前記第一の空間光変調器のオン状態のある画素からの光によるパターンと前記第二の空間光変調器のオン状態のある画素からの光にあるパターンとが前記露光作業エリアにおいてずれた位置に照射されるよう配置されていることを特徴とする請求項1記載のデジタル露光装置。
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