JP2024035312A - 抗菌性に優れた室温硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

抗菌性に優れた室温硬化性樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】外観や硬化性、硬化後の物性を損なうことなく、持続性のある抗菌性を硬化物表面に効率的に付与することができる室温硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)1分子中に少なくとも1個の反応性シリル基を有する23℃における粘度が10~10,000,000mPa・sの有機樹脂ポリマー:100質量部、(B)下記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩シラン:0.01~10質量部、【化1】JPEG2024035312000011.jpg20132(式中、R1及びR2は炭素数1~10のアルキル基等、R3は炭素数12~24のアルキル基、R4及びR5は炭素数1~6のアルキル基、Xはハロゲン原子である。)、(C)無機充填剤:1~300質量部、及び(D)1分子中に少なくとも3個の加水分解性基を有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:1~30質量部、を含有してなる室温硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は抗菌性に優れた室温硬化性樹脂組成物及びその硬化物に関する。
液状、ペースト状で防湿性の包装容器に充填密閉されて保管され、使用時に容器から吐出され、大気中の湿気と反応して硬化し、硬化後にはゴム弾性体となる室温硬化性樹脂組成物は建築、土木、電気電子用などの工業用途、日曜大工などの一般消費者用途でシーリング材、コーティング材として幅広く使用されている。室温硬化性樹脂組成物としては、ポリオルガノシロキサンを主成分とするもの(室温硬化性シリコーンゴム組成物、室温硬化性シリコーンゲル組成物等の室温硬化性シリコーン系樹脂組成物)、ポリオキシアルキレンを主成分とするもの(室温硬化性ポリエーテル樹脂組成物等の室温硬化性変成シリコーン系樹脂組成物)、アクリルポリマーを主成分とするもの(室温硬化性シリル化アクリレート系樹脂組成物)、ポリイソブチレンを主成分とするもの(室温硬化性ポリイソブチレン系樹脂組成物)など、架橋サイトとして分子内に少なくとも1つの反応性シリル基を有する各種の有機樹脂ポリマーが好適に用いられている。
建築、土木用のシーリング材、コーティング材に供される室温硬化性樹脂組成物は使用環境によっては硬化後の組成物表面(硬化物表面)にカビや菌が発生、繁殖しやすいために、防カビ性、抗菌性能が付与されることは以前からしばしば行われており、その方法としては室温硬化性樹脂組成物への防カビ剤、抗菌剤の配合が一般的である。防カビ性の付与に関しては、カルベンダジムなどのベンゾイミダゾール化合物系、テブコナゾール、プロピコナゾールなどのトリアゾール化合物系、オクチルイソチアゾリノンなどのイソチアゾリノン化合物系防カビ剤などが古くから用いられており、安全性や黄変の抑制が優先されるために添加量がごく少量に制限されているが、制限された添加量での弱い防カビ効果のみでも好適に使用されている。これはカビが繁殖しやすい箇所が屋外では外壁などの雨にさらされる場所、室内では台所、洗面所、浴室といった水回りであり、清掃が容易であるため、防カビ剤の効果がそれほど強くなくとも、定期的な清掃や換気によりカビの発生、繁殖の抑制を図ることができるといった事情が背景にある。
一方で、近年、病原性大腸菌O157による食中毒の問題や、抗菌性を付与した床材、衛生陶器等の抗菌仕様商品のニーズが高く、これらの周辺で使用するシーリング材やコーティング材にも抗菌仕様が必要となってきている。しかし、従来の防カビ性を主目的としたシーリング材では抗菌性は考慮されていないため、防カビ性とは別に抗菌性を有するシーリング材が必要となってきている。抗菌性の付与のために用いられる抗菌剤としては大きく2種に分けられ、有機系、無機系がある。有機系は殺菌作用の即効性が高く、抗菌効果も強いが熱に弱く、効果の持続性も短く、また、人体に対しても有害な物質であるため、使用に細心の注意を要する。有機系の中で天然物由来のものは比較的安全性が高いものが多いが持続性において十分でなく、また、配合するポリマーとの適合性がある組合せが限定される。無機系は銀系、銅系、亜鉛系の抗菌剤が代表的であり、金属の発生するイオンによって抗菌効果をもたらす。無機系は金属イオンをゼオライトや粘土鉱物などに担持させたものが使用される。熱に強く、効果も長い一方で、使用環境から来る様々な有機化合物と錯体を形成して強い変色を示す性質があることから、硬化後の組成物表面(硬化物表面)の意匠性が重視される用途においては添加量を少量に絞る必要があり、また、厚みのある抗菌製品の場合には、表面に存在する抗菌剤しか抗菌性に寄与できず、配合した高価な抗菌剤の殆どが内部に存在することから無駄になり経済的に不利益を生じる。
特許文献1によれば、防カビ・抗菌性に優れ、安全性、耐候性に優れ変色発生もなく、特に水回りで使用しても高い防カビ・抗菌性が持続できるシリコーン系のシーリング材が提案されている。しかし、必須成分の八ホウ酸二ナトリウム四水和物を配合すると、加水分解性シランの安定性が損なわれてしまい、組成物自体の貯蔵安定性が懸念されるものであった。
特許文献2によれば、2-メチル-N-1,3-チアゾール-2-アクリルアミドをモノマーとする重合体を無機粒子にグラフト結合したことを特徴とする抗菌防かび剤を用いることで溶出し難く、気化し難く、分散性にも優れ高い耐久性が得られる。しかし、有効成分が無機粒子に接合されているため、組成物表面で効率的に効果を発揮する働きはなく、シーリング材などの厚みのある用途形態では依然としてコスト的な不利益を抱えるものであった。
特開2013-127044号公報 特開2014-169229号公報
本発明は、外観や硬化性、硬化後の物性を損なうことなく、持続性のある抗菌性を硬化物表面に効率的に付与することができる、室温硬化性シリコーン系樹脂組成物(室温硬化性シリコーンゴム組成物、室温硬化性シリコーンゲル組成物)や室温硬化性変成シリコーン系樹脂組成物(反応性シリル基を架橋点とする室温硬化性ポリエーテル樹脂組成物)などの室温硬化性樹脂組成物を簡便に提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、1分子中に少なくとも1個の反応性シリル基を有する23℃における粘度が10~10,000,000mPa・sの有機樹脂ポリマーに、下記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩シラン
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であり、R3は炭素数12~24のアルキル基であり、R4及R5は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、Xはハロゲン原子であり、mは1~20の整数であり、nは1~3の整数である。)、無機充填剤及び架橋剤(硬化剤)をそれぞれ特定の配合比率で組み合わせて配合することにより、抗菌性能に優れた室温硬化性樹脂組成物が得られること、特に、室温硬化性シリコーン系樹脂組成物(室温硬化性シリコーンゴム組成物、室温硬化性シリコーンゲル組成物)が優れた抗菌性能を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の室温硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供する。
[1]
(A)1分子中に少なくとも1個の反応性シリル基を有する23℃における粘度が10~10,000,000mPa・sの有機樹脂ポリマー: 100質量部、
(B)下記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩シラン: 0.01~10質量部、
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であり、R3は炭素数12~24のアルキル基であり、R4及びR5は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、Xはハロゲン原子であり、mは1~20の整数であり、nは1~3の整数である。)、
(C)無機充填剤: 1~300質量部、及び
(D)1分子中に少なくとも3個の加水分解性基を有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物: 1~30質量部、
を含有してなる室温硬化性樹脂組成物。
[2]
(A)成分が下記一般式(2-1)及び(2-2)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種である[1]に記載の室温硬化性樹脂組成物。
(式中、R6は同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、pは10以上の数である。R7は炭素数1~6の同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、Yは酸素原子又は炭素数1~6の非置換もしくは置換の2価炭化水素基であり、qは1~3の整数である。)
[3]
[1]又は[2]に記載の室温硬化性樹脂組成物の硬化物。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、外観や硬化性、硬化後の物性を損なうことなく、持続性のある抗菌性を硬化物表面に効率的に付与することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)成分の1分子中に少なくとも1個の反応性シリル基を有する23℃における粘度が10~10,000,000mPa・sの有機樹脂ポリマーは、本発明の室温硬化性樹脂組成物の主成分(ベースポリマー)である。
(A)成分の1分子中に少なくとも1個存在する架橋サイトである反応性シリル基としては、代表的なものにシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)やアルコキシシリル基等の加水分解性シリル基などが挙げられる。
ポリマー主鎖は、オルガノポリシロキサンの他、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンをウレタン結合で延長したもの、ポリイソブチレン、アクリル重合体などの有機重合体であってもよく、または部分的にオルガノシロキサンを含む共重合ポリマーであってもよい。
(A)成分に用いる有機樹脂ポリマーの種類は、1分子中に少なくとも1個の反応性シリル基を有し、かつ、前記の粘度範囲であれば、本発明の主目的である抗菌性の付与に大きく影響するものではない。
(A)成分の23℃における粘度は、10~10,000,000mPa・sであり、好ましくは100~1,000,000mPa・s、より好ましくは1,000~100,000mPa・sである。(A)成分の粘度が低すぎると硬化物が硬くなり過ぎて追従性に劣るものとなり、粘度が高すぎると製造時の混練りが困難になるばかりか使用時の作業性を損なう。なお、上記粘度は、通常、回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定することができる。
(A)成分の1分子中における反応性シリル基の数は少なくとも1個であればよいが、硬化性や硬化物の硬さの観点から、好ましくは平均1.1~4個、より好ましくは平均1.5~3個、更に好ましくは平均2~3個である。
(A)成分の有機樹脂ポリマーとしては、下記一般式(2-1)及び(2-2)で示される直鎖状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種であることが好適であり、シーリング材、コーティング材として好適な外観、性状、硬化性を確保したままでの抗菌性付与の効果を発揮しやすい。
(式中、R6は同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、pは10以上の数である。R7は炭素数1~6の同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、Yは酸素原子又は炭素数1~6の非置換もしくは置換の2価炭化水素基であり、qは1~3の整数である。)
ここで、前記一般式(2-1)及び(2-2)において、R6の非置換もしくは置換の1価炭化水素基としては、炭素数1~12、特には炭素数1~8のものが好ましく、該非置換もしくは置換の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、アルケニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基を除くものであることが好ましく、メチル基、エチル基等のアルキル基やフェニル基等のアリール基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記一般式(2-2)において、R7の炭素数1~6、好ましくは炭素数1~4の非置換もしくは置換の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~3の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
前記一般式(2-1)及び(2-2)において、Yは酸素原子又は炭素数1~6の非置換もしくは置換の2価炭化水素基であり、該炭素数1~6の非置換もしくは置換の2価炭化水素基としては、式:-(CH2j-又は-(CH=CH)k-(ここで、jは1~6の整数、好ましくは1~3の整数であり、kは1~3の整数、好ましくは1又は2である。)等で示されるアルキレン基、アルケニレン基が好ましい。これらの中でも酸素原子、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH=CH-が好ましい。
前記一般式(2-1)及び(2-2)において、pは10以上の数であるが、通常、平均値として50~2,000が好ましく、100~1,000がより好ましい。
本発明において、前記一般式(2-1)及び(2-2)で示される直鎖状ジオルガノポリシロキサンのような有機樹脂ポリマーの重合度は、通常、トルエン、THF(テトラヒドロフラン)等を展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均分子量(又は数平均重合度)等として求めることができる。
(A)成分の有機樹脂ポリマーの配合量は、本発明の室温硬化性樹脂組成物の全量に対して30~95質量%であることが好ましく、50~90質量%がより好ましい。
(B)成分の下記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩シランは本発明の室温硬化性樹脂組成物に抗菌性能を付与するために必須の最も重要な成分である。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であり、R3は炭素数12~24のアルキル基であり、R4及びR5は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、Xはハロゲン原子であり、mは1~20の整数であり、nは1~3の整数である。)
1のアルキル基は、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~6である。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
1のアリール基は、炭素数6~10、好ましくは炭素数6~8である。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1は、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
2の炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基としては、それぞれR1と同じものが挙げられ、それらの中でもメチル基がより好ましい。
3のアルキル基は、炭素数12~24、好ましくは炭素数12~20、より好ましくは12~18である。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、n-ドデシル基、2-メチルウンデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、シクロドデシル基等が挙げられる。これらの中でも、R3は、炭素数14~18のものが好ましく、原料の入手性や使用時の環境負荷の観点から、n-オクタデシル基がより好ましい。
4及びR5の炭素数1~6のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-へキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、R4及びR5は、いずれも炭素数1~3のアルキル基が好ましく、原料の入手性や使用時の環境負荷の観点からメチル基がより好ましい。
mは、1~20の整数であり、3~12の整数が好ましい。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
(B)成分の具体例としては、オクタデシルジメチル(1-トリメトキシシリルメチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(1-トリエトキシシリルメチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(4-トリメトキシシリルブチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(4-トリエトキシシリルブチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(6-トリメトキシシリルヘキシル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(6-トリエトキシシリルヘキシル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(8-トリメトキシシリルオクチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(8-トリエトキシシリルオクチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(8-ジメトキシメチルシリルオクチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(8-ジエトキシメチルシリルオクチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(10-トリメトキシシリルデシル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(10-トリエトキシシリルデシル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(11-トリメトキシシリルウンデシル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(11-トリエトキシシリルウンデシル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(12-トリメトキシシリルドデシル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(12-トリエトキシシリルドデシル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(8-トリエトキシシリルオクチル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(8-ジメトキシメチルシリルオクチル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(8-トリエトキシシリルオクチル) アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(8-ジメトキシメチルシリルオクチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(8-トリエトキシシリルオクチル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(8-ジメトキシメチルシリルオクチル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩シランは、下記一般式(a)で示される有機ケイ素化合物と、下記一般式(b)で示される3級アミンとを、大気雰囲気下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で反応させることにより得られる。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、m及びnは上記と同じである。)
上記一般式(a)で示される化合物としては、例えば、1-クロロメチルトリメトキシシラン、1-クロロメチルトリエトキシシラン、1-ブロモメチルトリメトキシシラン、1-ブロモメチルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-ブロモプロピルトリメトキシシラン、3-ブロモプロピルトリエトキシシラン、4-クロロブチルトリメトキシシラン、4-クロロブチルトリエトキシシラン、4-ブロモブチルトリメトキシシラン、4-ブロモブチルトリエトキシシラン、6-クロロヘキシルトリメトキシシラン、6-クロロヘキシルトリエトキシシラン、6-ブロモヘキシルトリメトキシシラン、6-ブロモヘキシルトリエトキシシラン、8-クロロオクチルトリメトキシシラン、8-クロロオクチルトリエトキシシラン、8-クロロオクチルジメトキシメチルシラン、8-クロロオクチルジエトキシメチルシラン、8-ブロモオクチルトリメトキシシラン、8-ブロモオクチルトリエトキシシラン、8-ブロモオクチルジメトキシメチルシラン、8-ブロモオクチルジエトキシメチルシラン、10-クロロデシルトリメトキシシラン、10-クロロデシルトリエトキシシラン、10-ブロモデシルトリメトキシシラン、10-ブロモデシルトリエトキシシラン、11-クロロウンデシルトリメトキシシラン、11-クロロウンデシルトリエトキシシラン、11-ブロモウンデシルトリメトキシシラン、11-ブロモウンデシルトリエトキシシラン、12-クロロドデシルトリメトキシシラン、12-クロロドデシルトリエトキシシラン、12-ブロモドデシルトリメトキシシラン、12-ブロモドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記一般式(b)で示される3級アミンとしては、例えば、ドデシルジメチルアミン、ドデシルジエチルアミン、トリデシルジメチルアミン、トリデシルジエチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、テトラデシルジエチルアミン、ペンタデシルジメチルアミン、ペンタデシルジエチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジエチルアミン、ヘプタデシルジメチルアミン、ヘプタデシルジエチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、オクタデシルジエチルアミン、ノナデシルジメチルアミン、ノナデシルジエチルアミン、エイコシルジメチルアミン、エイコシルジエチルアミン、ヘンエイコシルジメチルアミン、ヘンエイコシルジエチルアミン、ドコシルジメチルアミン、ドコシルジエチルアミン、トリコシルジメチルアミン、トリコシルジエチルアミン、テトラコシルジメチルアミン、テトラコシルジエチルアミン等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、オクタデシルジメチルアミン、オクタデシルジエチルアミンが好ましく、オクタデシルジメチルアミンがより好ましい。
上記反応は、無溶媒で行うこともできるが、反応を阻害しない範囲で必要に応じて、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒中で行うことができる。
反応温度としては80~150℃が好ましく、100~130℃がより好ましい。反応時間は、1~30時間が好ましく、5~25時間がより好ましい。
反応の際の上記一般式(a)で示される有機ケイ素化合物と、上記一般式(b)で示される3級アミンとの使用比率は、3級アミン(b)1モルに対して有機ケイ素化合物(a)が0.7~1.3モルが好ましい。
(B)成分を配合するときには、本発明の目的を損なわない範囲でメタノール、エタノール等のアルコール、その他の添加剤等を含んだ溶液、分散液の形態で用いてもよい。その他の添加剤としては、クエン酸等の有機酸、界面活性剤等が挙げられ、これらを添加することにより安定性の高い溶液状態とすることで本発明の室温硬化性樹脂組成物中に均一に分散し、使用(硬化)前の組成物に液相分離や凝集物の析出が発生せず、外観の優れた組成物となると共に、外観(意匠性)の優れた硬化物表面を得ることができるため好ましい。
(B)成分の配合量は上記(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部、好ましくは0.1~5質量部である。0.01質量部より少ないと効果が無く、10質量部より多いと経済的に不利なだけでなく、性状、外観、硬化性などが悪化する。
(C)成分の無機充填剤は、無機材料からなる粒子である。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フェライト、マグネシア、シリカチタニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、珪藻土、ベントナイト、パーライト等が挙げられる。これらのうち、シリカ、炭酸カルシウムが好ましい。(C)成分の無機充填剤は、表面特性を改質する処理剤、例えばシラン化合物等で表面処理されていてもよい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
無機粒子の大きさは、特に制限されないが、ポリマーへの配合、分散を考慮すると、平均粒径が、好ましくは1nm~1000μm、より好ましくは3nm~500μmである。無機粒子の形状は不定形でもよいし、球状、立方体形状、板状、棒状などでもよいが、分散性等を考慮すると球状、立方体形状が好ましい。また、芯に空洞を有する粒子でもよいし、多孔質の粒子でもよい。なお、平均粒径の測定は、レーザ回折・散乱法により質量平均値D50として測定した値である。なお、無機粒子がシリカである場合には、ポリマーへの配合、分散性の観点から、BET吸着法による比表面積が50~400m2/g、特に90~200m2/gであるものが好ましい。
(C)成分の配合量は上記(A)成分100質量部に対して1~300質量部、好ましくは2~200質量部である。上記の粒子の大きさの範囲で、比較的細かな粒子の際には少なくてよいが、大きな粒子の場合には多く必要となる。適量を超えると本発明の室温硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、作業性を損なう。不足量では上記(B)成分を組成物中に均一に分散させることが困難となり、抗菌性能の低下や外観悪化につながる。
(D)成分の1分子中に少なくとも3個の加水分解性基を有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物は、本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化剤(架橋剤)、保存安定剤、及び脱水剤として作用するものであり、該加水分解性基としては、例えば、ケトオキシム基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルケノキシ基等が挙げられ、なかでもケトオキシム基、アルコキシ基が好ましい。なお、本発明において、部分加水分解縮合物とは、加水分解性シラン化合物同士が部分的に加水分解・縮合して生成する、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上の残存加水分解性基を有するオルガノシロキサンオリゴマーを意味する。
このような1分子中に少なくとも3個の加水分解性基を有する加水分解性オルガノシラン化合物としては、下記一般式(3)で表される加水分解性オルガノシラン化合物が好ましい。
(式中、R8は独立に非置換の炭素数1~12の一価炭化水素基であり、Zは独立に加水分解性基であり、rは0又は1、好ましくは1である。)
上記一般式(3)中、R8の非置換の炭素数1~12の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、ビニル基が好ましい。
また、Zの加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基;ビニロキシ基、アリロキシ基、プロペノキシ基、イソプロペノキシ基、シクロペンテノキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、メチルイソブチルケトオキシム基等のケトオキシム基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;ノルマルブチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基等のアルキルアミノ基など、通常、炭素数1~8、好ましくは炭素数1~5程度の一価の基を例示することができる。これらの中でも、ケトオキシム基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルケノキシ基が好ましく、より好ましくはケトオキシム基、アルコキシ基、アルケノキシ基である。
(D)成分の具体例としては、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン等のケトオキシム基含有シラン;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルトリス(シクロペンテノキシ)シラン、ビニルトリス(シクロペンテノキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン等のアルケノキシシラン;並びにこれらのシランの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(D)成分の配合量は上記(A)成分100質量部に対して1~30質量部、好ましくは2~15質量部である。1質量部より少ないと本発明の室温硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を損ない、包装容器の中で増粘、ゲル化を生じる。30質量部より多いと硬化性、硬化後の機械的物性に悪影響を生じるばかりか、経済的にも不利となる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物には、上記(A)~(D)成分以外に、発明の効果を損なわない範囲内において、(E)硬化触媒、(F)可塑剤、(G)接着性付与剤などの各種の添加剤を任意成分として配合することができる。
(E)成分の硬化触媒は、本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させるために必要に応じて配合できる任意成分であり、この(E)成分の硬化触媒としては、例えば、錫、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉄、アンチモン、ビスマス、マンガン等の金属の有機カルボン酸塩、アルコキサイド、キレート化合物などが例示され、より具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートエステル、ジメチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジメトキサイド、ジオクチル錫ジネオデカノエート、スタナスオクトエート等の錫化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、トリエトキシアルミニウムなどの有機アルミニウム;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムアセチルアセトナート、トリブトキシジルコニウムステアレートなどの有機ジルコニウム化合物;テトラノルマルブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、テトライソプロポキシチタン、テトラターシャリーブトキシチタンなどのアルコキシチタン化合物;ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジブトキシビス(メチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物、ジブチルアミン、ラウリルアミン、テトラメチルグアニジン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等のアミン化合物及びその塩等が例示される。上記の例示化合物のうち、硬化性がよく、硬化後の外観の変化が少ない点から、スズ化合物、ビスマス化合物、チタン化合物であることが好ましく、中でも、アルキルスズ、ビスマスのカルボン酸塩、アルコキシチタン、チタンキレート化合物であることが好ましい。
(E)成分の硬化触媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。(E)成分の配合量は、室温硬化性樹脂組成物を基準として10質量%以下(0~10質量%)、特には3質量%以下(0~3質量%)であることが好ましく、また(E)成分を配合する場合には、配合量の下限は室温硬化性樹脂組成物を基準として0.01質量%以上、特には0.1質量%以上とすることができる。
(F)成分の可塑剤は、本発明の室温硬化性樹脂組成物の粘度を調整して作業性を向上させるために必要に応じて配合できる任意成分であり、この(F)成分の可塑剤としては、例えば、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン等のいわゆる無官能性オルガノポリシロキサン(シリコーンオイル)、イソパラフィン等のパラフィン油、ジアルキルフタレート等の芳香族エステル化合物、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体等のポリエーテル化合物などが挙げられる。
(F)成分の可塑剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。(F)成分の配合量は、室温硬化性樹脂組成物を基準として50質量%以下(0~50質量%)、特には30質量%以下(0~30質量%)であることが好ましく、また(F)成分を配合する場合には、配合量の下限は室温硬化性樹脂組成物を基準として0.1質量%以上、特には1質量%以上とすることができる。
(G)成分の接着性付与剤は、各種基材に対する本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化物の接着性を向上させるために必要に応じて配合できる任意成分であり、この(G)成分の接着性付与剤としては、例えば、シランカップリング剤(即ち、分子中に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含む官能性基で置換した一価炭化水素基(炭素官能性基)とケイ素原子に結合したアルコキシ基等の加水分解性基とを有する、いわゆる炭素官能性加水分解性シラン又はカーボンファンクショナルシラン)などを好適に使用することができる。このシランカップリング剤としては、加水分解性基としてアルコキシシリル基を有するアミン系のシランカップリング剤であることが好ましく、例えば、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-アミノメチルベンジルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N-アミノメチルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
(G)成分の接着性付与剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。(G)成分の配合量は、室温硬化性樹脂組成物を基準として10質量%以下(0~10質量%)、特には3質量%以下(0~3質量%)であることが好ましく、また(G)成分を配合する場合には、配合量の下限は室温硬化性樹脂組成物を基準として0.1質量%以上、特には0.5質量%以上とすることができる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、例えば次のようにして調製することができる。(A)成分、(B)成分、(C)成分を室温(23℃±15℃)で常圧(1気圧)又は減圧下の容器に仕込み、均一になるまで混合し、次いで(D)成分を配合し乾燥窒素などの不活性ガスを通気することで水分を極力減らした環境下において均一になるまで減圧脱泡・混合操作を施して均一な液状もしくはペースト状の室温硬化性樹脂組成物を調製した後、ポリカートリッジやチューブなどの包装容器に充填して保管することができる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、容器から吐出された後は、室温において空気中の湿気(水分)と加水分解縮合反応により架橋し、空気に触れた組成物の表面から硬化が進行することにより硬化物とすることができる。室温で硬化する際には、容器から吐出後、指触乾燥時間(タックフリータイム)以内にツーリングを実施し、組成物の硬化が完了するまでに形状を整えることができる。硬化物は、弾性を有するゴム状硬化物(エラストマー弾性体)となる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、未使用時には、例えば、液状もしくはペースト状で防湿性の包装容器に充填密閉されて保管され、使用時には、容器から吐出され、大気中の湿気と反応して硬化し、硬化物となる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、抗菌性能を有する4級アンモニウム塩シランが無機充填剤に担持されて分散しているため、密閉保管中に分離、析出し難く均一な分散状態を維持し、容器から出して、大気中の湿気と反応すると硬化反応の進行とともに4級アンモニウム塩シランは硬化物表面に移行、局在化し、抗菌性能を発揮する。さらに、4級アンモニウム塩シランはシリル基を介してポリマー中のシリル基と化学結合して固定化されるため、硬化後に溶出、抽出されて消失し難く、抗菌性能の持続が期待できる。特にシリコーン組成物とすることで、外観や硬化性、硬化物性を低下させることなく、抗菌性を付与することができるため、建築、土木、電気電子用途のシーリング材、コーティング材として幅広く展開することができる。
以下、合成例、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に制限されるものではない。
<4級アンモニウム塩シランの合成>
[合成例1]
窒素置換した300mL加圧反応容器に、3-クロロプロピルトリメトキシシラン39.7g、オクタデシルジメチルアミン59.6g、メタノール99.3gを入れ、120℃で20時間反応させた。反応後、濾過することにより、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドのメタノール溶液190g(固形分濃度50質量%)を得た(4級アンモニウム塩シラン溶液1)。
[合成例2]
窒素置換した300mL加圧反応容器に、8-クロロオクチルトリエトキシシラン62.2g、オクタデシルジメチルアミン59.6g、エタノール122gを入れ、120℃で20時間反応させた。反応後、濾過することにより、オクタデシルジメチル(8-トリエトキシシリルオクチル)アンモニウムクロライドのエタノール溶液235g(固形分濃度50質量%)を得た(4級アンモニウム塩シラン溶液2)。
<室温硬化性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(23℃における粘度50,000mPa・s、前記式(2-1)において、R6=メチル基、p=約850)100質量部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(23℃における粘度100mPa・s)38質量部、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン7質量部、ジメチルジクロロシランで表面処理された煙霧質シリカ(BET比表面積115m2/g)14質量部を均一になるまで混合し、ジオクチルスズジラウレート0.75質量部、及び3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン0.75質量部、[合成例1]で調製した「4級アンモニウム塩シラン溶液1」0.75質量部を加え、減圧下で気泡を取り除きながら均一に混合して室温硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例2]
「4級アンモニウム塩シラン溶液1」0.75質量部を1.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様に室温硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例3]
「4級アンモニウム塩シラン溶液1」0.75質量部を[合成例2]で調製した「4級アンモニウム塩シラン溶液2」0.75質量部に変更した以外は、実施例1と同様に室温硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例1]
ジメチルジクロロシランで表面処理された煙霧質シリカ(BET比表面積115m2/g)14質量部を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様に室温硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例2]
[合成例1]で調製した「4級アンモニウム塩シラン溶液1」0.75質量部を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様に室温硬化性樹脂組成物を調製した。
上記実施例1~3、比較例1~2で得られた室温硬化性樹脂組成物について下記に示す性能を評価した。これらの結果を表1に示す。
[外観]
上記実施例、比較例で得られた各組成物の外観を調製後、湿気を遮断した状態で24時間経過後に目視で観察した。均一状態を保っている場合は合格と判定し「〇」を、液相分離(オイルブリード)や凝集物の析出などがあり不均一な状態の場合には不合格と判定し「×」を記録した。
なお、(C)無機充填剤である煙霧質シリカを配合しなかった比較例1は、組成物の外観が不均一な状態のため不合格と判定し、以下の評価は実施しなかった。
[指触乾燥時間]
上記実施例、比較例で得られた各組成物を用いて、JIS A 1439に準拠した指触乾燥時間試験を実施し、結果を記録した。
[硬さ]
上記実施例、比較例で得られた各組成物を2mm厚のシート状に成型し、23℃、50%RHの恒温恒湿室内で静置し7日間養生後、シート片を3枚重ねて合計厚さを6mmとし、JIS K 6253に準拠したタイプAデュロメーターでの硬さを測定して結果を記録した。
<抗菌性の評価>
上記2mm厚のシートを用いて、JIS Z 2801(抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果)に準拠して黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)に対する抗菌性試験を実施し、抗菌活性値を算出した。判定については独自の基準で、抗菌活性値が2.5以上あったものを合格とし「〇」と記録した。抗菌活性値が2.5未満であった場合は不合格とし「×」と記録した(一般的には抗菌活性値が2.0以上で抗菌性があると言われている)。
Figure 2024035312000008

Claims (3)

  1. (A)1分子中に少なくとも1個の反応性シリル基を有する23℃における粘度が10~10,000,000mPa・sの有機樹脂ポリマー: 100質量部、
    (B)下記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩シラン: 0.01~10質量部、
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10のアリール基であり、R3は炭素数12~24のアルキル基であり、R4及びR5は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基であり、Xはハロゲン原子であり、mは1~20の整数であり、nは1~3の整数である。)、
    (C)無機充填剤: 1~300質量部、及び
    (D)1分子中に少なくとも3個の加水分解性基を有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物: 1~30質量部、
    を含有してなる室温硬化性樹脂組成物。
  2. (A)成分が下記一般式(2-1)及び(2-2)で示される直鎖状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の室温硬化性樹脂組成物。
    (式中、R6は同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、pは10以上の数である。R7は炭素数1~6の同一又は異種の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、Yは酸素原子又は炭素数1~6の非置換もしくは置換の2価炭化水素基であり、qは1~3の整数である。)
  3. 請求項1又は2に記載の室温硬化性樹脂組成物の硬化物。
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