JP2024033316A - 筆記芯及び繰出し式筆記具 - Google Patents

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海斗 塚田
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Abstract

【課題】筆記荷重の低下と筆記角度を立てる傾向にあることに基づいて、筆記芯の黒鉛の配向を提案し、筆記芯の弱点を補う芯折れ対策を施した繰出し式筆記具を提供する。【解決手段】直線状に成形された筆記芯Lにおける黒鉛の配向方向が、筆記芯の軸線に対して傾斜もしくは直交している筆記芯が利用される。この筆記芯を装填する筆記具は、軸筒1,2と口先部材4との間に、口先部材に加わる軸筒径外方向の力により、口先部材を軸筒及び筆記芯に対して前進させる運動方向変換機構9が備えられ、当該運動方向変換機構による口先部材の前進運動によって、口先部材からの筆記芯の突出量を少なく制御する芯折れ対策が備えられる。【選択図】図6

Description

この発明は、黒鉛の配向について考慮した筆記芯及びこの筆記芯を好適に利用することができる繰出し式筆記具に関する。
従来の木軸鉛筆芯やシャープペンシル用の筆記芯は、その多くは黒鉛、カーボンブラックなどに、粘土、天然高分子、合成高分子、ピッチ、アスファルトなどの結合材を加え、さらに必要に応じて所要の溶剤及び可塑材を添加してなる配合塑性物を混練し、この混練物を線状に押出成形した後、900~1200℃の温度で焼成し、得られた焼結体の気孔中に油脂類を含浸させたものが提供されている。
前記筆記芯においては、芯の強度を向上させること、また濃い描線と滑らかな筆記感を得るための種々の提案がなされており、本出願人においても、その用途等に応じた幾つかの提案をしており、その例が特許文献1~4に開示されている。
特許文献1に開示された筆記芯は、筆記圧によって筆記芯を一方向に除々に回転させるシャープペンシルに適するものとして、黒鉛結晶の軸面について考慮している。この発明によると押出成形機により、黒鉛の配向は筆記芯の軸線方向になされるものの、筆記芯の先端が尖りやすい特性を有することで、前記シャープペンシルの機能を最大限に生かすことが可能となる。
特許文献2に開示された筆記芯は、配合組成物を押出成形する際の押出ノズルに工夫を施すことで、例えば鱗片状の黒鉛等を芯の外周表層部に螺旋状に配向させた焼成鉛筆芯に関するものである。また、特許文献3に開示された筆記芯は、同様の押出ノズルを用いて、例えば色鉛筆等を対象とした非焼成鉛筆芯に適用したものである。
特許文献2及び3に記載の筆記芯によると、筆記濃度を低下させることなく曲げ強度などの機械的強度を向上させて、強度と濃度のバランスに優れた筆記芯を提供できるものとなる。
特許文献4に開示された筆記芯は、芯の配合組成物としての混練物を押出成形する焼成色鉛筆芯に関するものである。これは、混練物が押出ノズルを通過する時のせん断速度を特定な値に設定することで、押出軸方向の配向度を高めた筆記芯を得るものである。これによると、曲げ弾性率に優れて折れにくく、筆記描線が濃く、良好な書き味を有する焼成色鉛筆を得ることができる。
特開2013-142099号公報 特開平6-157973号公報 特開平6-157974号公報 特開2001-131459号公報
ところで、昨今における例えば就学児童を含む生徒などにおいては、鉛筆による筆記圧(筆記荷重)が低下する傾向にある。これによると、従来において標準とされていた鉛筆芯の硬度“HB”により書かれた筆記文字は描線がうすくなるために、現状においては芯がより柔らかい硬度“2B”を用いるのが主流であるといわれている。
一方、鉛筆の持ち方にも変化の傾向があり、従来よりも鉛筆をより立てて、筆記をする傾向にあるといわれている。
この発明は、前記した鉛筆の筆記感に関する最近の傾向に応えてなされたものであり、筆記荷重の低下並びに筆記角度を立てて筆記する傾向にあることに基づいて、筆記芯における黒鉛の好ましい配向について提案をすると共に、提案する筆記芯の弱点を補うことができる繰出し式筆記具を提供しようとするものである。
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る筆記芯は、直線状に成形された筆記芯における黒鉛の配向方向が、筆記芯の軸線に対して傾斜もしくは直交していることを特徴とする。
この場合、前記筆記芯の表面には、コーティング層が形成されていることが望ましい。
そして、前記した筆記芯を利用するこの発明に係る筆記具は、繰出し操作に基づいて前記筆記芯を把持するチャックを前進移動させることで、前記筆記芯を軸筒先端部の口先部材から繰出す繰出し式筆記具であって、前記筆記芯の軸線方向に対して筆記圧以上の荷重が加わった際に、筆記芯と共に前記チャックが後退することで、筆記芯の先端部が前記軸筒の前端部に配置された口先部材内に向かって、移動可能に構成する第1の芯折れ対策が備えられる。
また、前記した筆記芯を利用するこの発明に係る筆記具は、繰出し操作に基づいて前記筆記芯を把持するチャックを前進移動させることで、前記筆記芯を軸筒先端部の口先部材から繰出す繰出し式筆記具であって、前記軸筒と口先部材との間に、前記口先部材に加わる軸筒径外方向の力により、前記口先部材を軸筒及び前記筆記芯に対して前進させる運動方向変換機構が備えられ、当該運動方向変換機構による口先部材の前進運動によって、口先部材からの筆記芯の突出量を少なく制御する第2の芯折れ対策が備えられる。
この発明に係る筆記芯によると、黒鉛の配向方向が、筆記芯の軸線に対して傾斜もしくは直交しているので、特に木軸鉛筆又は繰出し式筆記具を立てて筆記する場合において、筆記芯の例えば鱗片状の天然黒鉛は劈開しやすくなり、これにより滑らかに濃く筆記をすることができる。
一方、前記筆記芯によると黒鉛が劈開しやすいことから芯折れが生じやすく、筆記芯の表面にコーティング層を形成することで、筆記芯の強度を補強することができ、芯折れの度合いを低減させた筆記芯の提供が可能となる。
また、前記筆記芯を替え芯として用いる第1の芯折れ対策を備えた繰出し式筆記具によると、筆記芯の軸方向に対して筆記圧以上の荷重が加わった際に、筆記芯の先端部が軸筒の前端部に配置された口先部材内に向かって、移動可能に構成されるので、筆記芯に対して特に座屈折れを与える度合いを低くすることができる。
さらに、前記筆記芯を替え芯として用いる第2の芯折れ対策を備えた繰出し式筆記具によると、運動方向変換機構による口先部材の前進運動によって、口先部材からの筆記芯の突出量が制御されるので、筆記芯の芯折れの発生度合いを低くすることができる。
筆記芯の黒鉛の配向方向を示した模式図であり、(A)~(C)は芯の軸線に対する配向方向が45度、70度、90度であるこの発明に係る筆記芯を、(D)は芯の軸線に対する配向方向が0度(軸線方向)である従来の筆記芯の例を示す。 この発明に係る筆記芯の成形方法の一例を示した工程図である。 筆記芯の軸に直交した方向(横断面)における黒鉛の配向方向を示す顕微鏡写真であり、(A),(B)はこの発明に係る筆記芯の例を示し、(C),(D)は黒鉛の配向を軸線方向にした従来の例を示した写真である。 筆記芯の軸方向(縦断面)における黒鉛の配向方向を示す顕微鏡写真であり、(A),(B)はこの発明に係る筆記芯の例を示し、(C),(D)は黒鉛の配向を軸線方向にした従来の例を示した写真である。 この発明に係る繰出し式筆記具の外観構成を示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。 同じく軸方向の断面図であり、(A)は全体断面図、(B)は口先部材付近の拡大断面図である。 筆記芯に筆記圧以上の荷重が加わった場合の断面図であり、(A)は全体断面図、(B)は口先部材付近の拡大断面図である。 口先部材に曲げ作用を与えた状態を示し、(A)は外観構成を示した正面図、(B)は軸方向の全体断面図である。 図8に示した状態の口先部材付近の拡大断面図である。 筆記芯の繰り出しユニットと筆記芯の回転駆動機構を示す外観構成を示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。 同じく軸方向の断面図であり、(A)は全体断面図、(B)は口先部材付近の拡大断面図である。 筆記芯の回転駆動機構を示した拡大断面図である。 口先部材の部品図であり、(A)は先端部側から見た斜視図、(B)は後端部側から見た斜視図、(C)は正面図、(D)は軸方向の断面図である。 筆記芯を把持するチャックを示し、(A)は開き加工後の外観を示す斜視図、(B)は先端部分の分解斜視図、(C)は別の例における先端部分の分解斜視図、(D)は(C)に示した先端部分を軸心側から示した正面図である。 繰出し式筆記具による筆記状態の例を示した部分拡大断面図である。
この発明に係る筆記芯及び繰出し式筆記具について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
先ず図1は、この発明に係る筆記芯と従来の筆記芯における黒鉛の配向方向を示した模式図であり、(A)~(C)で示す筆記芯L1,L2,L3は、芯の軸線に対する黒鉛の配向方向が45度、70度、90度であるこの発明に係る筆記芯の例を示しており、(D)で示す筆記芯L9は、芯の軸線に対する黒鉛の配向方向が0度(軸線方向)である従来の筆記芯の例を示している。
筆記芯L9として示す従来の筆記芯〔図1(D)〕においては、体質材としての黒鉛(鱗片状天然黒鉛)の配向方向は、芯の素材の押出し成形によって、芯の軸線方向に向いて配向される。したがって、筆記角度が90度近くに立たせた状態で筆記を行なう場合には、筆記による黒鉛の劈開が進まずに、描線がうすく、書き味に滑らかさが不足するという問題が残される。
これに対して、黒鉛の配向方向が芯の軸線に対して傾斜もしくは直交している図1(A)~(C)に示す筆記芯L1,L2,L3においては、筆記角度が90度近くに立たせた状態で筆記を行なう場合には、筆記により黒鉛の劈開が進むために、書き味が滑らかで描線も濃い状態となる。
以下、前記した筆記芯L1,L2,L3に示すように黒鉛が配向される筆記芯についての好ましい主材の一例と、黒鉛の配向方向を一定にそろえる筆記芯の成形方法の一例について説明する。
この発明の筆記芯に用いられる体質材は、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、カーボンブラック、コークス粉末、雲母、タルク、窒化ほう素などの一種または二種以上を選択し、平均粒径50μm以下、好ましくは1~10μmの粒子径のものを用いると良い。
粒子径が50μm超の場合は強度が発現せず、又粒子径が1μm未満の場合は体質材の配向性が劣り、強度が発現しないばかりでなく硬度だけが硬くなる傾向を有するので好ましくない。
また、この筆記芯に用いられる粘結材としては、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、ベントナイトなどの粘土鉱物、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、リグニン、セルロース、トランガントガムなどの天然高分子物質、石油アスファルト、コールタールピッチ、ナフサ分解ピッチ、合成樹脂の乾留ピッチなどのピッチ類から選択される一種または二種以上を用いると良い。
さらには、主材の混練時の特性向上及び押出成形の特性向上の目的で、水、DOP、DBP、TCP、DOA、DAP、プロピレンカーボネート、アルコール類、ケトン類、エステル類などの可塑剤又は溶剤の一種又は二種以上を、必要に応じて添加しても良い。
前記した観点から、この発明に係る筆記芯に用いられる好ましい主材の組み合わせ例として、次に示すものを選択することができる。
黒鉛(鱗片状天然黒鉛) 50重量部
ポリ塩化ビニル(粘結材) 50重量部
ステアリン酸塩(界面活性剤) 1重量部
ジオクチルフタレート(DOP) 20重量部
前記主材をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練した後、押出用ダイスを用いて薄いシート状に押出成形する。これにより筆記芯の体質材となる鱗片状天然黒鉛は、シートの面の長手方向に沿って配向される。
図2は前記した押出成形したシート状素材を用いて、筆記芯Lを成形する成形方法の一例を示している。
すなわち、ステッブS1は、前記した押出成形したシート状素材を示しており、このシート状素材はステッブS2において、薄辺状にカットされる。薄辺状にカットされた素材はステッブS3においてプレス圧着される。このプレス圧着においては、カットされた素材を受ける受皿体61とプレス体62の組み合わせにより前記素材は圧着され、ステッブS4に示すように面状に延伸される。
さらに、薄辺状にカットされた素材が、受皿体61に継ぎ足されてプレス体62によってプレス圧着が繰り返され、ステップS5に示すように面状に延伸された素材が積層される。所定の高さまで素材が積層されたステップS6において、積層された素材に対して引き抜きパイプ63が通され、引き抜きパイプ63から素材を取り出すステップS7において、筆記芯の成形体Laを得ることができる。
この場合、前記ステップS6において、積層された素材に対して引抜きパイプ63を通す角度を選定することによって、図1(A)~(C)に示したように、黒鉛の配向方向が例えば45度、70度、90度である筆記芯L1,L2,L3を選択的に得ることができる。
前記ステップS7において得られた筆記芯の成形体Laは、この成形体Laにおいて残留する可塑剤を除去すべく、空気中で180℃にて10時間熱処理して固化して、しかるのち窒素雰囲気中にて300℃迄は10℃/hr、300℃から1000℃迄は30℃/hrで昇温させ、1000℃にて1時間焼成し、最後にアルファーオレフィンオリゴマー(ライオン(株)製、リポルーブ20)中に浸漬して油浸させて、繰出式鉛筆用筆記芯Lが得られる。なお筆記芯Lは任意の形状に形成することができるが、筆記用として外径0.5mm~6mmの円柱状に形成することが好ましい。
図3は、筆記芯Lの軸線に直交した方向(横断面)における黒鉛の配向方向を示す顕微鏡写真であり、(A),(B)はこの発明に係る筆記芯の例を示し、(C),(D)は黒鉛の配向を軸線方向にした従来の例を示した写真である。
また図4は、筆記芯の軸線方向(縦断面)における黒鉛の配向方向を示す顕微鏡写真であり、(A),(B)はこの発明に係る筆記芯の例を示し、(C),(D)は黒鉛の配向を軸線方向にした従来の例を示した写真である。
得られた筆記芯の断面組織は、図3及び図4の各(A),(B)に現れているように、図3及び図4の各(C),(D)に比較して、体質材としての黒鉛が筆記芯の軸線に直行する方向に配向されていることが確認できる。
なお、前記した筆記芯は黒鉛の配向方向が、芯の軸線に対して傾斜もしくは直交していることから、筆記芯が折れやすいという弱点を有する。そこで、筆記芯の表面にコーティング層を形成することが望まれる。
このコーティング層としては、好ましくは樹脂による被覆層が用いられ、前記樹脂は、有機無機ハイブリッド樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、及びフッ素樹脂から成る群から選ばれることが望ましい。
ここで、「有機無機ハイブリッド樹脂」とは、「無機材料と有機材料の組み合わせ」をいい、「特にその混ざり合いがナノオーダー、時には分子オーダーのもの」をいう。このような有機無機ハイブリッド材は、「プラスチックのようにフレキシブルでありながら機械的強度や耐熱性に優れている」との特徴がある。このような有機無機ハイブリッド樹脂の種類は特に限定されるものではないが、シリカ・有機ハイブリッド樹脂を用いることが望ましい。
前記した「シリカ・有機ハイブリッド樹脂」とは、無機材料としてのシリカ及び有機材料としての有機合成樹脂を材料とするハイブリッド樹脂をいう。具体的には、シリカ・エポキシハイブリッド樹脂、シリカ・フェノールハイブリッド樹脂、シリカ・ポリアミック酸ハイブリッド樹脂、シリカ・ポリアミドハイブリッド樹脂又はシリカ・アクリルハイブリッド樹脂等、一般に市販されているものを使用可能である。ただし、被覆後の鉛筆芯の強度の観点から、シリカ・エポキシハイブリッド樹脂を用いることが特に望ましい。
そして、前記した筆記芯を、有機無機ハイブリッド樹脂と有機溶剤とを混合した液体中に所定時間浸漬し、その後乾燥させて有機溶剤を除去することで、筆記芯の表面には膜厚が1μm程度の樹脂によるコーティングが施される。
以上のとおり、焼成工程を経て製造されるこの種の鉛筆芯において、樹脂をその表面にコーティングすることにより、鉛筆芯の機械的強度をより増大させることが可能となる。
以上のようにして得られた筆記芯について、筆記角度が70度に設定された治具を用い、後述する繰出し式筆記具から筆記芯を一定量繰出した状態で、筆記を行った。この筆記操作における発明者による官能評価は次のとおりである。
なお、筆記角度が70度に設定された治具を用いる理由は、JIS規格に定められる筆記具の筆記試験において標準的に用いられる筆記角度によるものである
官能評価においては、図1に示した筆記芯L1,L2,L3を、実施例1,2,3とし、図1に示した筆記芯L9を比較例1として評価しており、評価A~Cは次に示す基準にしたがうものとなる。
評価A:滑らかに筆記できた。
評価B:少しひっかかりが感じられた。
評価C:滑らかに筆記できなかった。
実施例1(黒鉛の配向が軸線に対して45度):評価B
実施例2(黒鉛の配向が軸線に対して70度):評価A
実施例3(黒鉛の配向が軸線に対して90度):評価A
比較例1(黒鉛の配向が軸線に対して 0度):評価C
前記官能評価により明らかなとおり、黒鉛の配向が軸線に対して特に70度及び90度になされた実施例2及び3において、筆記が滑らかであるとの評価であり、黒鉛の配向が軸線に対して45度である実施例1においても、比較例1に対して改善がなされていることが確認できる。
そして、黒鉛の配向が軸線に対して直交する度合いが高まるほど、筆記による黒鉛の劈開が進むことになり、これにより筆記の描線も濃くすることができる。
一方、この発明に係る筆記芯によると、筆記により黒鉛が劈開しやすいために、芯折れが生じやすいという問題を抱えることになる。そこで、前記したこの発明に係る筆記芯の弱点を補うことができるノック式の芯繰出し機構を備えた繰出式鉛筆に基づいて説明する。
なお、以下に説明する繰出式鉛筆について記載した各図においては、同一部分を同一符号で示しているが、紙面の都合により、一部の図面においては代表的な部分に符号を付けて、その詳細な構成は要部の拡大断面図もしくは単品構成で示した部品図に付けた符号を引用して説明する場合もある。
図5に示されているように、この繰出式鉛筆の外郭を構成する軸筒は、それぞれ円筒状に成形された先軸1と後軸2により構成されており、前記先軸1と後軸2は中央の連結パイプ3を介して直線状に連結されている。
先軸1の前端部には口先部材4が配置されており、口先部材4の先端部に取り付けられた先端パイプ5によって筆記芯Lの先端部が支持されている。
また、後軸2の後端部にはノックカバー6が配置され、このノックカバー6の側壁面には円盤状の突起部6aが一体に形成されている。この円盤状突起部6aは、飾りの機能を果たすと共に繰出式鉛筆の転がり止めとしての機能も果たすものとなる。
なお、前記後軸2の後端部には軸方向に切欠き溝2aが形成されており、前記円盤状突起部6aが前記切欠き溝2aに沿って配置されることで、前記ノックカバー6のノック操作が可能となるように構成されている。
図6に示すように、先軸1の前端部に配置された口先部材4は、前記した先端パイプ5を取り付けた摺動コマ4Aと、この摺動コマ4Aを先軸1側に引き込む方向に作用させる圧縮コイルばね7を受けるばね受け部材4Bとにより構成されている。
そして、摺動コマ4Aは先軸1の前端部に突出して配置され、摺動コマ4Aに連結したばね受け部材4Bと圧縮コイルばね7は、先軸1の前端部内に収容されている。
図13に口先部材4を単品構成で示したように、口先部材4の摺動コマ4Aには、その中央部に軸方向の断面形状が菱形の大径部4aが形成され、この大径部4aの背面側には環状のカム斜面8が形成されている。この環状のカム斜面8が、図6に示す先軸1の前側開口部1aに全周にわたって接触することで、摺動コマ4Aは先軸1の前側開口部1aに、嵌まり込んだ状態で装着されている。
図13に示すように、口先部材4を構成するばね受け部材4Bは、円筒状に形成されてその後端部には円筒の外側に広がる鍔部4bが形成されている。この鍔部4bと先軸1の前側開口部1aの背面側との間に、前記した圧縮コイルばね7が装着されおり、これにより摺動コマ4Aに対して先軸1側に引き込む作用を与え、摺動コマ4Aのカム斜面8を、先軸1の前側開口部1aに接触させる付勢力を与えている。
なお、この実施の形態においては、摺動コマ4Aの環状のカム斜面8と、先軸1の前側開口部1aとの間で、口先部材4に加わる軸筒径外方向(軸筒中心から離れる方向)の力を利用して、口先部材4の摺動コマ4Aを、軸筒(先軸1)及び筆記芯Lに対して前進させる運動方向変換機構9を構成している。この運動方向変換機構9の作用については、図8及び図9に基づいて後で説明する。
図6に示すように、前記先軸1及び後軸2の軸心に沿って筒状の芯ケース11が収容されており、この芯ケース11の先端部には、例えば真ちゅう製のチャック12が連結されている。このチャック12内には、その軸心に沿って筆記芯Lの芯挿通孔が形成され、また先端部が軸回りに複数(例えば3つ)に分割されて、分割された先端部が真ちゅうによりリング状に形成された締め具13内に遊嵌されている。またリング状の前記締め具13は、前記チャック12の周囲を覆うようにして配置された中継パイプ14の先端部内面に装着されている。なお、この中継パイプ14の後端部は、筆記圧を利用して筆記芯(替え芯)Lを回転させる後述する回転駆動機構25に連結されている。
前記中継パイプ14の前端部には、前記した口先部材4内に収容された円筒状のスライダー15が、中継パイプ14に対して嵌合により取り付けられている。さらにスライダー15の内周面における前記した先端パイプ5の直後には、軸心部分に通孔を形成したゴム製の保持チャック16が収容されている。
この構成により、芯ケース11に続くチャック12内に形成された芯挿通孔、及び前記保持チャック16の軸心に形成された通孔を介して、先端パイプ5に至る芯挿通孔が形成されており、この芯挿通孔内に筆記芯Lが挿通される。そして、前記した中継パイプ14と芯ケース11との間には、コイル状のチャックスプリング17が配置されている。
前記チャックスプリング17は、その前端部が中継パイプ14の内周面に形成された環状の段部に当接し、チャックスプリング17の後端部は、芯ケース11の前端面に当接した状態で収容されている。したがって、前記チャックスプリング17の作用により、前記チャック12は中継パイプ7内を後退して、その先端部がリング状の締め具13内に収容される方向に付勢され、これによりチャック12は筆記芯Lを把持するように作用する。
図6(A)に示す後軸2の前半部分には、ユニット化された筆記芯の回転駆動機構25が収容されている。
この回転駆動機構25には前記したとおり中継パイプ14の後端部が接続されており、この中継パイプ14は筆記動作に基づく筆記芯の僅かな後退動作及び筆記圧が解かれた状態において回転駆動機構25に収容された後述する回転子26の自重による前進動作(これを、クッション動作ともいう。)によって生ずる前記回転駆動機構25による回転運動を、前記中継パイプ14を介して前記チャック12に伝達させるように作用する。
これにより、チャック12に把持された筆記芯Lは、筆記動作に伴い前記回転駆動機構25による回転運動を受けることになる。
図6に示すようにユニット化された前記回転駆動機構25は、その前端部において前記連結パイプ3との間に介在された軸スプリング19によって後方に付勢されている。また回転駆動機構25の後端部は、後軸2内の縮径により形成された段部2bに、前記軸スプリング19の付勢力により当接している。
すなわち、この実施の形態においては、前記回転駆動機構25は後軸2内の段部2bに当接することにより、後軸2内において摩擦により支持され、前記したクッション動作によって生ずる前記回転駆動機構25による回転運動を、前記中継パイプ14を介して前記チャック12側に伝達させるように作用する。
図12は、ユニット化された前記回転駆動機構25の構成を拡大して示している。
この回転駆動機構25には円筒状に形成された回転子26が具備されており、前記した中継パイプ14は、回転駆動機構25の前端部において、前記回転子26の軸心に形成された軸孔内に接合することで連結されている。
前記回転子26は、その前端部付近が若干径を太くした太径部になされ、その太径部の一端面(後端面)には第1のカム面26aが形成されており、太径部の他端面(前端面)には第2のカム面26bが形成されている。
一方、前記回転子26の後端部側を覆うようにして円筒状の上カム形成部材27が、前記回転子26を軸支するように配置されており、前記上カム形成部材27の前端部外周には、円筒状の下カム形成部材28が嵌合されて取り付けられている。
そして、前記回転子26における第1のカム面26aに対峙する上カム形成部材27の前端面に、第1の固定カム面27aが形成されている。また、前記回転子26における第2のカム面26bに対峙する下カム形成部材28の前端部内面に、第2の固定カム面28aが形成されている。
前記した上カム形成部材27の後端部側には、シリンダー部材29が嵌め込まれており、このシリンダー部材29の後端部には芯ケース11が挿通できる挿通孔29aが形成されている。そして、この実施の形態においては前記シリンダー部材29内には円筒状に形成され、芯ケース11の軸方向に沿って移動可能な重り30が配置されている。
前記回転子26は、筆記圧が解かれた状態においては、回転子26の重力(自重)により前進移動が可能に構成されている。
なお、この実施の形態においては、筆記圧が解かれた状態においては、前記した重り30による荷重も回転子26の自重に加わって、前記回転子26に前方に向かう付勢力を与えている。
以上のとおり前記した回転駆動機構25は、その中央部が芯ケース11を通す空間部になされて芯ケース11とは隔離されており、回転駆動機構25は前記した符号26~30で示す各部材により形成されてユニット化されている。
なお、前記した第1のカム面26a及び第1の固定カム面27aは、軸方向に対峙してそれぞれ周方向に沿って連続的に鋸歯状に配列されており、鋸歯状に配列された各カム面は、そのピッチが互いにほぼ同一となるように形成されている。
また、前記した第2のカム面26b及び第2の固定カム面28aは、軸方向に対峙してそれぞれ周方向に沿って連続的に鋸歯状に配列されており、鋸歯状に配列された各カム面は、そのピッチが互いにほぼ同一となるように形成されている。
前記した回転駆動機構25の構成によると、チャック12が筆記芯Lを把持した状態で、前記回転子26は中継パイプ14を介してチャック12と共に軸心を中心にして回転可能になされている。そして、繰出式鉛筆を把持して筆記をしようとした場合には、前記した回転子26の重力(自重)により、回転子26は前方に向かって位置している。
この繰出式鉛筆によって筆記をした場合、すなわち先端パイプ5から突出している筆記芯Lに筆記圧が加わった場合には、前記チャック12は前記回転子26の重力(自重)に抗して軸方向に僅かに後退する。したがって、図12に示す回転子26に形成された第1のカム面26aは前記第1の固定カム面27aに接合して噛み合い状態になされる。
この場合、対峙した状態の上側の第1カム面26aと第1固定カム27aは、軸方向においてカムの一歯に対して半位相(半ピッチ)ずれた関係となるように設定されており、前記したように上側の第1カム面26aが第1固定カム27aに接合して噛み合い状態になされることによって、回転カム26は上側カム27aの一歯の半位相(半ピッチ)に相当する回転駆動を受ける。
そして、前記したように上側の第1カム面26aが第1固定カム27aに接合して噛み合い状態になされた状態においては、対峙した状態の下側の第2カム26bと第2固定カム28aは、軸方向においてカムの一歯に対して半位相(半ピッチ)ずれた関係となるように設定されている。
したがって、一画の筆記が終わり筆記芯Lに対する筆記圧が解かれた場合には、前記回転カム23は自重により前進し、回転カム26に形成された下側の第2カム面26bが、第2固定カム28aに噛み合う。これにより回転カム26は下側カム26bの一歯の半位相(半ピッチ)に相当する同方向の回転駆動を再び受ける。
以上のとおり、この実施の形態に係る繰出式鉛筆によると、筆記圧を受けることによる回転カム26の軸方向への往復運動(クッション動作)に伴って、回転カム26は上側カム27a及び下側カム28aの一歯(1ピッチ)に相当する回転駆動を受け、前記した中継パイプ14及びチャック12を介して、これに把持された筆記芯Lも同様に一方向に回転駆動される。
したがって、筆記芯Lは自身が受ける回転運動と筆記による摩耗とにより、先端部が常に円錐形状になされる。それ故、書き進むにしたがって筆記芯Lが偏摩耗するのを防止させることができ、安定した線幅による筆記が可能となる。
図6に戻り、前記した回転駆動機構25の後部側にはノック棒21が、後軸2の軸方向に摺動可能に装着されている。このノック棒21の前端部は円環状の楔形突出部21aになされており、この楔形突出部21aが後軸2内に形成された環状突起2cを乗り越えて取り付けられている。
そして、環状突起2cとノック棒21との間にはコイル状のノック棒スプリング22が配置され、このスプリング22によって、前記ノック棒21を後軸2の後端部側に向けて付勢するように構成されている。
また、ノック棒21の中央よりも若干後端部寄りには、筆記芯の補給孔21cを備えた当接部21bが形成されており、さらにこのノック棒21の後端部には、消しゴム23が着脱可能に装着されると共に、消しゴム23を覆うように前記したノック部材としてのノックカバー6が、ノック棒21の後端部の周面に着脱可能に取り付けられている。
なお、前記ノック棒21の当接部21bと、前記した芯ケース11の後端部とは所定の間隔をもって対峙した構成にされている。この構成によると、筆記による前記チャック12及び芯ケース11が若干後退しても、芯ケース11の後端部が前記ノック棒21の当接部21bに衝突することはなく、前記回転駆動機構25による回転動作に障害を与えるのを防止することができる。
以上の構成において、前記ノックカバー6をノック操作することで、ノック棒21の当接部21bが芯ケース11を前方に押し出し、中継パイプ14に取り付けられたスライダー15の一部が口先部材4の摺動コマ4A内に当接して、その前進が阻まれる。このために、チャック12の先端部が締め具13から相対的に突出して、チャック12による筆記芯Lの把持状態が解除される。そして、前記ノック操作の解除により、チャックスプリング17の作用により芯ケース11及びチャック12は軸筒内において後退する。
この時、筆記芯Lは保持チャック16に形成された通孔内において摩擦により一時的に保持され、この状態でチャック12が後退してその先端部が前記締め具13内に収容されることで、筆記芯Lを再び把持状態にする。すなわち、ノックカバー6のノック操作の繰り返しによりチャック12が前後に移動し、これにより筆記芯Lの解除と把持が行われ、筆記芯Lはチャック12から順次前方に繰り出されるように作用する。
次に図7は、筆記芯Lの軸方向に筆記圧以上の荷重が加わった場合において、筆記芯Lの第1の芯折れ対策について示している。
この繰出式鉛筆においては、前記したチャック12と回転駆動機構25とを連結する中継パイプ14は、樹脂素材により成形されており、この中継パイプ14の略中央部には、図10及び図11に示すように、軸方向に収縮するコイル状のスプリング体14aが、中継パイプ14と一体に成形されている。
中継パイプ14は、前記したとおり筆記動作に基づく筆記芯Lの僅かな後退動作と、筆記圧が解かれた状態において回転子26の自重による前進動作によって、軸方向に前後動する。しかし、この時の筆記圧程度の荷重(第1の荷重)においては、コイル状のスプリング体14aは軸方向に収縮することなく、中継パイプ14の両端部の距離は略一定に保たれる。
一方、筆記芯Lの軸方向に筆記圧以上の荷重(第2の荷重)が加わった場合においては、この荷重を受けてコイル状のスプリング体14aは、軸方向に収縮する。
図7は、前記第2の荷重を受けてスプリング体14aが軸方向に収縮した状態を示しており、チャック12と共に先端パイプ5から突出する筆記芯Lが後退する。これにより、口先部材4の先端パイプ5内に向かって、筆記芯Lの先端部が移動して、先端パイプ5からの筆記芯の突出量が減少する。
したがって、筆記芯Lの先端部は先端パイプ5によってガードされ、筆記芯Lに対して、例えば座屈折れを与える度合いを低くすることができる。なお、筆記芯Lに対する前記した第2の荷重が解かれれば、スプリング体14aの復帰作用により、筆記芯Lは図6に示す状態に戻される。
次に図8及び図9は、筆記芯Lに対して斜めに荷重が加わった場合における筆記芯Lの第2の芯折れ対策について示している。
すでに説明したとおり、口先部材4を構成する摺動コマ4Aのカム斜面8は、先軸1の前側開口部1aに対して、嵌まり込んだ状態で装着されている。すなわち、先軸1の前側開口部1aは、前方に向かって内径を拡大するテーパー状に形成されており、このテーパー状の開口部1aに、口先部材4を構成する摺動コマ4Aの環状のカム斜面8が当接して運動方向変換機構9が形成されている。
この運動方向変換機構9によると、筆記芯Lに対して斜めに荷重が加わった場合において、筆記芯Lの先端部を支持する口先部材4の摺動コマ4Aには、軸筒径外方向(軸筒中心から離れる方向)の力が加わる。これにより、先軸1の軸心と口先部材4を構成する摺動コマ4Aの軸心との間で軸ズレが生じ、摺動コマ4Aのカム斜面8が、先軸1のテーパー状の開口部1aに沿って移動することで、摺動コマ4Aは先軸1に対して前進する(押し出される)ことになる。
したがって、摺動コマ4Aの前進運動によって、摺動コマ4Aに取り付けられた先端パイプ5からの筆記芯Lの突出量は少なくなり、筆記芯Lの芯折れを防止することが可能となる。
この場合、図8(B)及び図9に示すように中継パイプ14と芯ケース11は、可撓性の樹脂素材により成形されて、先軸1内において大きく湾曲する。これにより、運動方向変換機構9の動作に障害を与えないように構成されている。
なお、図8及び図9においては、先軸1の前側開口部1aに対して、摺動コマ4Aが離れて示されているが、現実には口先部材4を構成するばね受け部材4Bに装着された圧縮コイルばね7の作用によって、摺動コマ4Aのカム斜面8は先軸1の前側開口部1aに当接した状態を保つことになる。
図14は、以上説明した芯折れ対策を施した繰出式鉛筆に好適に採用し得るチャック12の形態を示しており、これは筆記芯Lの把持力を確保することができると共に、筆記芯Lを把持することによって筆記芯Lに与える傷を少なくして、チャックによる芯折れの発生を防止させようとするものである。
筆記芯Lを把持する前記チャック12は、すでに説明したとおり真ちゅう等の金属素材により構成されており、チャック12の軸心部分には芯挿通孔41が形成され、チャック12の先端部には、芯把持部42となる貫通孔43に向かって、スリ割り44が施されている。これによりチャック12の先端部は、例えば三分割されている。
そして円錐状の開きツール(図示せず)を用いて、ツール先端を貫通孔43に挿入してから、周方向に回転させつつチャック12の後方に向かってチャック12の先端部を三方に広げる開き加工が行われる。この開き加工によって、図14(A)に示すようにチャック12の先端部分を塑性変形させる。なお、図14(A)に示す符号45はスリ割り44によって形成されたスリ割り面を示す。
この場合、前記開き加工の際に、開きツールの回転により、スリ割り面45と貫通孔43との間に形成される稜線部分が削られて、所謂「面ダラシ」されることで、図14(B)に示すようにダラシ面46が形成される。
また、開き加工に先立ち、貫通孔43の芯把持部42を荒らす、荒らし加工を施してもよい。この荒らし加工を施した場合には、図14(C)に示すように、芯把持部42が荒らされた状態、すなわち微細な凹凸が形成されたものとなる。
図14(D)は、図14(C)に示すチャック先端部を、軸心側から示した正面図であり、図14(D)に示すようにダラシ面46の幅は、中間部分47よりも先端部分48及び後端部分49の方が大きくなっている。
これは、開きツールが貫通孔43に挿入される際、先端部分48が形成される最初の段階では押し広げる力により接触度合いが比較的大きく、中間部分47が形成される途中の段階では、先端部分48に近い方が外方へ逃げていくため、抵抗が小さくなり接触度合いは比較的小さく、そして、後端部分49が形成される最後の段階では、外方への逃げがほとんどないために接触度合いが再び大きくなるためである。
図14に示したチャック12によると、芯把持部42に荒らし加工による微細な凹凸が形成されることで、筆記芯Lの十分な把持力を確保することができる。
また、チャック12の先端部にスリ割り44が施されることにより、スリ割り面45と貫通孔43との間に形成される稜線部分は、所謂「面ダラシ」によってダラシ面46として加工される。したがって、筆記芯Lを把持することによって筆記芯Lに与える傷を少なくすることができるので、チャック12による芯折れの発生度合いを減少させることができる。
なお、前記した繰出式鉛筆の実施の形態においては、筆記圧によって筆記芯Lを回転駆動させる回転駆動機構25において、筆記圧が解かれた状態において回転子26を前進運動させるために、重り30による荷重も回転子26の自重に加わるように構成されている。
図15は、以上のように構成した繰出式鉛筆に、この発明に係る筆記芯を装填して、筆記面50に筆記を行う状態を示している。
なお、この発明に係る筆記芯を用いるに際して、前記した繰出式鉛筆における筆記芯の回転駆動機構25は必ずしも必要ではないが、この繰出式鉛筆に備えた前記した筆記芯の第1芯折れ対策、及び第2芯折れ対策は、この発明に係る筆記芯の保護に効果的に作用するものとなる。
図15に示す例は、筆記芯Lとして黒鉛の配向が軸線に対して70度にされた図1(B)に示した筆記芯L2が用いられ、筆記面50に対する筆記角度が70度に設定した状態を示している。
これによると、筆記芯Lの黒鉛の配向方向が筆記面50と同方向になされるので、筆記により黒鉛の劈開が進むため、筆記面50に対して滑らかに濃く筆記をすることができる。
そして、筆記芯Lの軸線方向に対して筆記圧以上の荷重が加わった際には、前記した第1の芯折れ対策によって、筆記芯Lの先端部が軸筒(先軸1)の前端部に配置された口先部材4内に向かって、移動するので、筆記芯Lに対して座屈折れを与える度合いを少なくすることができる。
また、筆記芯Lに対して斜めの荷重が加わった場合には、前記した第2の芯折れ対策によって、運動方向変換機構9による口先部材4の前進運動によって、口先部材4からの筆記芯Lの突出量が制御されるので、筆記芯Lの芯折れの発生度合いを低くすることができる。
以上は、この出願の発明について、繰出式鉛筆とこれに装填される筆記芯との関係に基づいて説明したが、この発明に係る筆記芯は、前記した繰出式鉛筆に装填する利用形態だけでなく、例えば木軸等の繰り出さない鉛筆などにも採用することができる。
これにより、書き味が滑らかで描線も濃くなされる固形芯タイプの筆記具を提供することができる。
1 先軸(軸筒)
2 後軸(軸筒)
4 口先部材
4A 摺動コマ
4B ばね受け部材
5 先端パイプ
6 ノックカバー
8 カム斜面
9 運動方向変換機構
11 芯ケース
12 チャック
13 締め具
14 中継パイプ
14a スプリング体
15 スライダー
16 保持チャック
22 ノック棒スプリング
50 筆記面
61 受皿体
62 プレス体
63 引抜きパイプ
La 筆記芯成形体
L,L1~L3,L9 筆記芯

Claims (4)

  1. 直線状に成形された筆記芯における黒鉛の配向方向が、筆記芯の軸線に対して傾斜もしくは直交していることを特徴とする筆記芯。
  2. 表面にコーティング層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の筆記芯。
  3. 請求項1又は2に記載の筆記芯を収容し、繰出し操作に基づいて前記筆記芯を把持するチャックを前進移動させることで、前記筆記芯を軸筒先端部の口先部材から繰出す繰出し式筆記具であって、
    前記筆記芯の軸方向に対して前記筆記圧以上の荷重が加わった際に、筆記芯と共に前記チャックが後退することで、筆記芯の先端部が前記軸筒の前端部に配置された口先部材内に向かって、移動可能に構成したことを特徴とする繰出し式筆記具。
  4. 請求項1又は2に記載の筆記芯を収容し、繰出し操作に基づいて前記筆記芯を把持するチャックを前進移動させることで、前記筆記芯を軸筒先端部の口先部材から繰出す繰出し式筆記具であって、
    前記軸筒と口先部材との間に、前記口先部材に加わる軸筒径外方向の力により、前記口先部材を軸筒及び前記筆記芯に対して前進させる運動方向変換機構が備えられ、当該運動方向変換機構による口先部材の前進運動によって、口先部材からの筆記芯の突出量を少なく制御することを特徴とする繰出し式筆記具。
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