JP2024033101A - 放射線計測器支持装置、放射線計測装置および放射線計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】照射ポートの位置が変化する粒子線治療システムにおいて、照射ポートの位置に応じて放射線計測器を設置する作業を簡便に行うことができる放射線計測技術を提供する。【解決手段】放射線計測器支持装置30は、ファントム40および放射線計測器41を内部に収容して円柱状を成す円柱ケース31と、円柱軸が水平方向を向いた状態で円柱ケース31を円周方向に回転可能に支持し、かつ円柱ケース31を円周方向の任意の回転角度で固定する土台32と、回転角度を表示する角度表示部38,39とを備える。【選択図】図5
Description
本発明の実施形態は、放射線計測技術に関する。
回転ガントリーを有する粒子線治療システムでは、患者を中心として照射ポートが回転し、患者の治療部位に合わせて任意の方向から粒子線(放射線)が照射される。このような粒子線治療システムでは、治療開始前に、粒子線のエネルギー、ビームサイズ、照射位置の精度、線量分布などの品質に関する確認を行うために、照射ポートの位置に応じた放射線計測が必要になる。
従来、照射ポートにファントムおよび放射線計測器をアタッチメントで固定し、照射ポートから出射される粒子線(放射線)を計測する技術が知られている。しかし、ファントムおよび放射線計測器を照射ポートに固定する作業に手間が掛かる。
本発明が解決しようとする課題は、照射ポートの位置が変化する粒子線治療システムにおいて、照射ポートの位置に応じて放射線計測器を設置する作業を簡便に行うことができる放射線計測技術を提供することである。
本発明の実施形態に係る放射線計測器支持装置は、ファントムおよび放射線計測器を内部に収容して円柱状を成す円柱ケースと、円柱軸が水平方向を向いた状態で前記円柱ケースを円周方向に回転可能に支持し、かつ前記円柱ケースを前記円周方向の任意の回転角度で固定する土台と、前記回転角度を表示する角度表示部と、を備える。
本発明の実施形態により、照射ポートの位置が変化する粒子線治療システムにおいて、照射ポートの位置に応じて放射線計測器を設置する作業を簡便に行うことができる放射線計測技術が提供される。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、放射線計測器支持装置、放射線計測装置および放射線計測方法の実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図11を用いて説明する。
以下、図面を参照しながら、放射線計測器支持装置、放射線計測装置および放射線計測方法の実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図11を用いて説明する。
図1の符号1は、粒子線治療システムである。この粒子線治療システム1は、回転ガントリー5を備える。粒子線治療システム1は、真空ダクト6を介して輸送された炭素イオンなどの粒子線7(治療用放射線)を、被検体としての患者8の病巣組織(がん)に照射して治療を行うものである。
粒子線治療システム1を用いた放射線治療技術は、重粒子線がん治療技術などとも称される。この技術は、がん病巣(患部)を炭素イオンがピンポイントで狙い撃ちし、がん病巣にダメージを与えながら、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能とされる。なお、粒子線7とは、放射線のなかでも電子より重いものと定義され、陽子線、重粒子線などが含まれる。このうち重粒子線は、ヘリウム原子より重いものと定義される。
重粒子線を用いるがん治療では、従来のエックス線、ガンマ線、陽子線を用いたがん治療と比較してがん病巣を殺傷する能力が高く、患者8の体の表面では放射線量が弱く、がん病巣において放射線量がピークになる特性を有している。そのため、照射回数と副作用を少なくすることができ、治療期間をより短くすることができる。
粒子線治療システム1は、ビーム発生器(図示略)と円形加速器(図示略)とビーム輸送ライン(図示略)とを備える。
ビーム発生器は、荷電粒子である炭素イオンのイオン源を有し、この炭素イオンによって粒子線7を生成する。円形加速器は、平面視でリング状を成し、ビーム発生器で生成された粒子線7を加速する。ビーム輸送ラインは、円形加速器で加速された粒子線7を回転ガントリー5に輸送する。回転ガントリー5には、粒子線7が照射される患者8が配置される。
この粒子線治療システム1では、まず、ビーム発生器で生成された炭素イオンの粒子線7が、ビーム発生器から円形加速器に入射される。この粒子線7は、円形加速器を約百万回周回する間に光速の約70%まで加速される。そして、この粒子線7がビーム輸送ラインを介して回転ガントリー5まで導かれる。
ビーム発生器と円形加速器とビーム輸送ラインは、内部が真空にされる真空ダクト6(ビームパイプ)を備える。この真空ダクト6の内部を粒子線7が進行する。ビーム発生器と円形加速器とビーム輸送ラインが有する真空ダクト6が一体となり、粒子線7を回転ガントリー5まで導く輸送経路が形成される。つまり、真空ダクト6は、粒子線7を通過させるために、充分な真空度を有する密閉された連続空間である。
図1の断面図に示すように、回転ガントリー5は、円筒形状を成す装置である。この回転ガントリー5は、その円筒の軸(水平軸9)が水平方向を向くように設けられている。この水平軸9を中心として回転ガントリー5が回転可能となっている。
回転ガントリー5は、粒子線治療システム1が設けられている治療施設を構成する建屋の躯体10に支持されている。例えば、この回転ガントリー5の本体胴19の前部と後部には、エンドリング11が固定されている。これらのエンドリング11の下方位置には、エンドリング11を回転可能な状態で支持し、かつ駆動モータを備える回転駆動部12が設けられている。これらの回転駆動部12は、躯体10に支持されている。回転駆動部12の駆動力は、エンドリング11を介して回転ガントリー5に与えられ、回転ガントリー5が水平軸9周りに回転される。
回転ガントリー5には、ビーム輸送ラインから延びる真空ダクト6が設けられている。真空ダクト6は、まず、回転ガントリー5の後方側からその水平軸9に沿って内部に導かれる。そして、真空ダクト6は、回転ガントリー5の外周面よりも外側に向けて一旦延びた後、再び回転ガントリー5の内側に向けて延びる。この真空ダクト6の先端部は、患者8に近接する位置まで延びる。
なお、特に図示はしないが、真空ダクト6において、回転ガントリー5の水平軸9に沿う部分には、所定の回転機構が設けられている。真空ダクト6は、この回転機構よりも外側の部分が静止した状態であり、この回転機構よりも内側の部分が回転ガントリー5の回転とともに回転するようになっている。
また、回転ガントリー5には、粒子線7を患者8に向けて照射する照射ポート13と、この照射ポート13に粒子線7を輸送する輸送部14とが設けられている。つまり、照射ポート13と輸送部14は、回転ガントリー5に支持されている。
さらに、輸送部14は、粒子線7を輸送する経路を形成する磁場を発生させる超電導電磁石15を備えている。これらの超電導電磁石15は、例えば、真空ダクト6に沿って粒子線7の進行方向を変更する偏向電磁石、または、粒子線7の収束および発散を制御する四極電磁石などである。
照射ポート13は、真空ダクト6の先端部に設けられ、輸送部14により導かれた粒子線7を患者8に向けて照射する。この照射ポート13は、回転ガントリー5の内周面に固定されている。なお、粒子線7は、照射ポート13から水平軸9に対して直交する方向に照射される。
回転ガントリー5の内部には、粒子線治療を行う治療空間16が設けられている。患者8は、この治療空間16に設けられた治療台17に載置される。この治療台17は、患者8を載置した状態で移動可能となっている。この治療台17の移動によって患者8を粒子線7の照射位置に移動させて位置合わせを行うことができる。そのため、患者8の病巣組織など、適切な部位に粒子線7を照射することができる。
患者8は水平軸9の位置に配置され、回転ガントリー5を回転させることで、静止している患者8を中心として照射ポート13を回転させることができる。例えば、患者8(水平軸9)を中心として照射ポート13を、正面視で時計回り(右回り)または反時計回り(左回り)に180度ずつ回転させることができる(図2から図3)。そして、患者8の周囲のいずれの方向からも粒子線7を照射させることができる。つまり、回転ガントリー5は、ビーム輸送ラインにより導かれた粒子線7の患者8に対する照射方向を変更可能な装置である。そのため、患者8の負担を軽減しつつ、適切な方向から粒子線7をより高い精度で患部に照射することができる。
粒子線7は、患者8の体内を通過する際に運動エネルギーを失って速度が低下するとともに、速度の二乗にほぼ反比例する抵抗を受け、ある一定の速度まで低下すると急激に停止する。この粒子線7の停止点はブラッグピークと呼ばれ、高エネルギーが患部に付与される。粒子線治療システム1は、このブラッグピークを患者8の病巣組織の位置に合わせることにより、正常組織のダメージを抑えつつ、病巣組織のみを死滅させることができる。
図1に示すように、治療空間16には、粒子線7が最も集中する位置である仮想点が設定されている。この仮想点は、アイソセンター28と呼ばれている。治療を行う際には、このアイソセンター28に患者8の患部が配置される。アイソセンター28は、例えば、回転ガントリー5の水平軸9の位置に設けられている。回転ガントリー5が回転してもアイソセンター28の位置は変化しないようになっている。
回転ガントリー5の内部に設けられた治療空間16は、回転ガントリー5の正面側にある治療室18と一体を成すように形成されている。治療室18の床と天井と壁は、建屋の躯体10に支持されている建屋側構造物25により構成されている。なお、治療台17は、この建屋側構造物25に支持されている。つまり、回転ガントリー5および照射ポート13が回転されても、治療台17の位置は変化しないようになっている。
回転ガントリー5の内部には、化粧板としての内壁部20が設けられている。この内壁部20は、円盤状を成し、その周縁が、回転ガントリー5の内周面の全周に亘って設けられた支持レール21に支持されている。この内壁部20は、支持レール21により周方向に回転自在に支持されている。
内壁部20において、治療空間16と反対側の中央部には、逆回転同期モータ23が接続されている。この逆回転同期モータ23は、支持棒24を介して回転ガントリー5の内周面に固定されている。回転ガントリー5が回転したときに、逆回転同期モータ23を駆動させることで、その駆動力により、内壁部20が回転ガントリー5の回転方向とは逆方向に回転するようになる。
例えば、回転ガントリー5が正面視で右回りに回転するときに、内壁部20を左回りに回転させる。このとき、回転ガントリー5の回転速度と内壁部20の回転速度とが同一となるように制御される。つまり、内壁部20は、回転ガントリー5が回転されても、見かけ上、静止しているようになる。
内壁部20において、治療空間16に向く側には、軌道レール22が固定されている。また、建屋側構造物25において、治療空間16に向く側にも、軌道レール22が固定されている。回転ガントリー5および照射ポート13が回転されても、これらの軌道レール22の位置は変化しないようになっている。これらの軌道レール22の間には、複数枚の移動床26が保持されている。それぞれの移動床26は、長方形の板状を成す部材である。それぞれの移動床26は、回転ガントリー5の内周面に沿って並んで設けられ、それぞれの両端部が、軌道レール22に保持されている。
図2から図3に示すように、複数枚の移動床26により治療空間16の床と壁と天井とが形成される。これらの移動床26は、回転ガントリー5および照射ポート13が回転されたときに、照射ポート13とともに移動する。そして、照射ポート13がいずれの位置に移動されても、移動床26により治療空間16の床と壁と天井とが維持される。
移動床26において床に相当する部分は、治療室18の床と面一となるように設けられている。治療の準備をするときには、この移動床26により構成された床面上を、患者8および技師が歩行することができる。移動床26が常に治療空間16の床と壁と天井を形成しているので、回転ガントリー5の内周面が患者8から見えないように隠蔽される。
次に、第1実施形態の放射線計測器支持装置30について説明する。粒子線治療システム1では、治療開始前に、粒子線7のエネルギー、ビームサイズ、照射位置の精度、線量分布などの品質に関する確認を行うために、照射ポート13の位置に応じた放射線計測が行われる。例えば、照射ポート13を、正面視で時計回り(右回り)または反時計回り(左回り)に所定の角度度ずつ回転させて、それぞれの位置で放射線計測が行われる。このような放射線計測を行うために、放射線計測器支持装置30が用いられる。
この放射線計測器支持装置30は、治療台17または架台29の上面に設置される。この放射線計測器支持装置30は、約2名の作業者で持ち運びができるサイズと重量となっている。例えば、放射線計測器支持装置30の全体重量は、30kg以内となるように設計されている。
第1実施形態における放射線計測装置は、少なくとも放射線計測器支持装置30と水等価ファントム40と放射線計測器41とで構成される。
図4から図5に示すように、第1実施形態の放射線計測器支持装置30は、円柱ケース31と土台32と備える。
円柱ケース31は、円柱状を成す。この円柱ケース31の円柱周面(正面)の一部には、放射線(粒子線7)が入射される入射窓33が開口されている。また、円柱ケース31の円柱底面(側面)の一部には、放射線計測器41(図9)の位置を外部から確認するためのスリット34が開口されている。また、円柱ケース31の表面には、複数本の基準線35が描かれている。この円柱ケース31は、その円柱軸が水平方向を向いた状態で、土台32に支持されている。
土台32は、円柱ケース31を円周方向に回転可能に支持し、かつ円柱ケース31を円周方向の任意の回転角度で固定する。土台32の上部には、円柱ケース31が上方から嵌まり込み、かつ円柱ケース31の円周の一部に沿って湾曲されたラウンド部36(図9)が形成されている。このようにすれば、円柱ケース31を回転可能な状態で支持することができる。また、土台32は、その一部が切り欠かれた底面視でコ字形状を成している(図6)。なお、作業者は、円柱ケース31を手動で回転させ、任意の回転角度で固定させることができる。
土台32は、治療台17または架台29の上面に設置可能である(図2から図3)。この土台32の底面の四隅のそれぞれには、アジャスタ37が設けられている。なお、アジャスタ37は、土台32の底面の少なくとも3箇所に設けられていれば良い。これらのアジャスタ37により高さの微調整を行うことができる。このようにすれば、土台32を治療台17または架台29の上面に安定的に載置することができる。
架台29は、治療台17を治療空間16から退避させた状態で、移動床26の床の部分に設置されるものである。この架台29によって、任意の高さ位置に、放射線計測器支持装置30を設置することができる。
また、放射線計測器支持装置30は、円柱ケース31の回転角度を表示する角度表示部を備える。第1実施形態の角度表示部は、円柱ケース31の円柱底面(側面)の周縁に設けられた目盛り38と、土台32に設けられ、目盛り38を読み取るときの基準となる読取部39とから成る。このようにすれば、作業者が、目盛り38により円柱ケース31の回転角度を確認することができる。例えば、目盛り38は、0.5度刻みに設けられている。その精度は±0.5度以内となっている。
読取部39は、例えば、矢印または三角形のマークとなっている。読取部39の位置に在る目盛り38の数字が円柱ケース31の回転角度となっている。
円柱ケース31の内部には、水等価ファントム40および放射線計測器41が収容される(図9)。
第1実施形態の放射線計測器41は、複数の検出素子が2次元的に配列されて板状を成す2次元検出器から成る。このようにすれば、2次元的に広がる範囲で放射線の計測を行うことができる。
第1実施形態では、ファントムとして固体の板状を成す水等価ファントム40(図7)が用いられている。水等価ファントム40は、例えば、アクリル樹脂で形成されている。複数枚の水等価ファントム40が重ねられ、これら水等価ファントム40と放射線計測器41とが並べられ、円柱ケース31の内部に収容されている。
それそれの水等価ファントム40の厚みは同一でなくても良く、例えば、複数種類の厚みの水等価ファントム40が用いられる。これらの水等価ファントム40を組み合わせて全体で目的とする厚みのファントムが構成されている。例えば、複数の水等価ファントム40の合計の厚みを、2mm~300mmの範囲で調整することができる。なお、水等価ファントム40同士の間に隙間が生じないように重ねる。
円柱ケース31の内部には、複数枚の水等価ファントム40と放射線計測器41を保持する保持部44が形成されている。このようにすれば、水等価ファントム40の枚数の調整により、その合計の厚みを調整し、放射線(粒子線7)の透過率を任意に調整することができる。つまり、予め決められた任意の計測条件により放射線を計測することができる。
また、円柱ケース31の内部には、保持部44から入射窓33に向かって延びる溝部43が形成されている。この溝部43に沿って、放射線計測器41から延びるケーブル42が円柱ケース31の外部に導出される。
図7に示すように、第1実施形態の放射線計測器支持装置30は、水等価ファントム40および放射線計測器41を一体化した状態で円柱ケース31に着脱させるためのフレームユニット50を備える。このようにすれば、水等価ファントム40および放射線計測器41を円柱ケース31に着脱する作業を簡便に行うことができる。
フレームユニット50は、複数のフレームが直方体の形状になるように組み合わせれたものである。例えば、フレームユニット50の上方から内部へ、水等価ファントム40と放射線計測器41が挿入される。
第1実施形態の放射線計測器支持装置30(図2から図3)は、放射線計測器41を回転ガントリー5の水平軸9(図1)と一致する位置に設けるために用いられる。例えば、円柱ケース31の円柱軸は、回転ガントリー5の水平軸9と一致する位置に設けられる。そして、円柱ケース31を回転させることで、放射線計測器41を水平軸9に一致させた状態を維持しつつ、任意の向きに放射線計測器41を向けることができる。なお、放射線計測器41は、必ずしも回転ガントリー5の水平軸9と一致する位置に設けられる必要はなく、粒子線7の入射方向に対して若干ずれて配置されても良い。
図9に示すように、円柱ケース31の保持部44には、このフレームユニット50が嵌まるようになっている。例えば、円柱ケース31は、本体部45と蓋部46とが蝶番部47により連結されたものとなっている。蓋部46を揺動させて、本体部45を開放させると、保持部44が露呈される。作業者は、この保持部44にフレームユニット50を嵌め込み、再び蓋部46を閉めることで、円柱ケース31の内部に、水等価ファントム40および放射線計測器41が収容される。
水等価ファントム40および放射線計測器41は、フレームユニット50内で入射窓33側(放射線の入射方向側)に寄せられる。例えば、入射窓33に面する側を放射線計測器41の前方側としたときに、放射線計測器41の後方側に空間が設けられている。なお、最も後方側の水等価ファントム40の後面と放射線計測器41の前面との間の隙間は1mm以下とする。
図5に示すように、作業者は、円柱ケース31の円柱底面(側面)に開口されたスリット34から、内部の放射線計測器41の位置を確認することができる。このようにすれば、放射線が照射される位置である仮想点であるアイソセンター28(図1)に放射線計測器41の位置を合わせることができる。
例えば、作業者は、放射線計測を行うときに、スリット34を覗いて放射線計測器41の位置を確認する。そして、作業者は、スリット34から見える放射線計測器41の位置を、アイソセンター28(図1)の位置に合わせるように、治療台17または架台29の位置を調整し、土台32の向きを調整し、円柱ケース31の回転角度を調整する。
この位置合わせを行う際には、治療空間16内に可視光のレーザーが照射される。例えば、3次元方向(鉛直の一方向、水平の二方向)のそれぞれからレーザーが照射される。これらのレーザーが交わる位置が、アイソセンター28として示される。作業者は、このレーザーで示されるアイソセンター28の位置に、放射線計測器41を合わせる。なお、放射線計測器支持装置30の水平状態を確認するために、水準器が用いられても良い。
また、作業者は、円柱ケース31の表面に描かれた複数本の基準線35が、レーザーの照射位置と一致するように、治療台17または架台29の位置を調整し、土台32の向きを調整し、円柱ケース31の回転角度を調整するようにしても良い。
例えば、照射ポート13がアイソセンター28の直上に在る場合、つまり、照射ポート13が0度の位置にある場合には、図8に示すように、作業者は、入射窓33が直上の位置、つまり、0度の回転角度となるように円柱ケース31を回転させる。そして、この回転角度で放射線(粒子線7)の計測が行われる。
また、回転ガントリー5が回転して照射ポート13が90度の位置にある場合には、図9に示すように、作業者は、90度の回転角度となるように円柱ケース31を回転させる。そして、この回転角度で放射線(粒子線7)の計測が行われる。なお、回転ガントリー5が回転して照射ポート13が270度の位置にある場合には、円柱ケース31の回転角度が90度の状態で、土台32を水平方向に180度向きを変える。すると、入射窓33が照射ポート13に向くようになる。
また、回転ガントリー5が回転して照射ポート13が135度の位置にある場合には、図10に示すように、作業者は、135度の回転角度となるように円柱ケース31を回転させる。土台32は、底面視でコ字形状を成しているため、この回転角度でも、入射窓33が照射ポート13に向くようになる。そして、この回転角度で放射線(粒子線7)の計測が行われる。
また、回転ガントリー5が回転して照射ポート13が180度の位置にある場合には、図11に示すように、作業者は、180度の回転角度となるように円柱ケース31を回転させる。土台32は、底面視でコ字形状を成し、真下側が開口されているため、この回転角度でも、入射窓33が照射ポート13に向くようになる。そして、この回転角度で放射線(粒子線7)の計測が行われる。
第1実施形態の放射線計測方法では、まず、作業者は、回転ガントリー5を回転させて、計測したい任意の位置に照射ポート13を移動させる。次に、作業者は、放射線計測器支持装置30を粒子線治療システム1の回転ガントリー5の内部に設置する。次に、作業者は、回転ガントリー5の回転に合わせて円柱ケース31を回転させて放射線計測器41の向きを調整する。そして、回転ガントリー5の照射ポート13から出射される放射線(粒子線7)が放射線計測器41で計測される。なお、これらの工程は、放射線計測方法に含まれる少なくとも一部であり、他の工程が放射線計測方法に含まれていても良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図12を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第2実施形態について図12を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
第2実施形態の放射線計測器支持装置30A(放射線計測装置)では、円柱ケース31において、入射窓33に面する側を放射線計測器41の前方側としたときに、放射線計測器41の前方側と後方側の両方に水等価ファントム40が設けられている。このようにすれば、前方から放射線計測器41に入射される放射線(粒子線7)の評価のみならず、後方から放射線計測器41に入射される放射線、つまり、後方散乱の寄与を含めた評価を行うことができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図13を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第3実施形態について図13を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
第3実施形態の放射線計測器支持装置30B(放射線計測装置)では、ファントムとして液体の水が用いられる。ここで、放射線計測器支持装置30Bは、放射線計測器41と並べて水を収容する容器51を備える。例えば、フレームユニット50内で、放射線計測器41の表面側と裏面側のそれぞれに、水が充填された容器51が設けられている。このようにすれば、ファントムとして水を用いるため、安価にファントムを構成することができる。なお、放射線計測器41の表面側のみに、水が充填された容器51を設けても良い。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図14を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第4実施形態について図14を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
第4実施形態の放射線計測器支持装置30C(放射線計測装置)は、前述の2次元検出器から成る放射線計測器41の替わりに、イオンチェンバ52を備える。イオンチェンバ52は、ガスが満たされたチェンバ(図示略)と、ガスの電離を検出する電極(図示略)を有する機器である。このようにすれば、安価に放射線を計測する機器を構成することができる。なお、イオンチェンバ52は、所定の治具(図示略)によりフレームユニット50の内部の所定位置で水等価ファントム40と固定される。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図15から図16を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第5実施形態について図15から図16を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
図15に示すように、第5実施形態の放射線計測器支持装置30D(放射線計測装置)は、角度検出センサ53と駆動部54と制御用コンピュータ55とを備える。
角度検出センサ53は、土台32に設けられ、円柱ケース31の回転角度を検出する。また、駆動部54は、円柱ケース31の外周面に接触するローラとこのローラを回転させるモータとを備える。この駆動部54は、制御用コンピュータ55により制御されている。このようにすれば、円柱ケース31を自動的に回転させて放射線計測器41の向きを調整することができる。
制御用コンピュータ55は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。
図16に示すように、制御用コンピュータ55は、少なくとも処理回路56と記憶部57とディスプレイ58とを備える。なお、制御用コンピュータ55が、これらの構成以外のものを備えていても良い。
処理回路56は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、専用または汎用のプロセッサを備える回路である。このプロセッサは、記憶部57に記憶した各種のプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。また、処理回路56は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアで構成しても良い。これらのハードウェアによっても各種の機能を実現することができる。また、処理回路56は、プロセッサとプログラムによるソフトウェア処理と、ハードウェア処理とを組み合わせて、各種の機能を実現することもできる。
また、制御用コンピュータ55の記憶部57には、放射線計測方法を行うときに必要な各種情報が記憶される。さらに、ディスプレイ58は、所定の情報の出力を行う。このディスプレイ58は、円柱ケース31の回転角度を表示する。
なお、ディスプレイ58はコンピュータ本体と別体でも良いし、一体でも良い。追加的または代替的に、ネットワークを介して接続される他のコンピュータが備えるディスプレイ58に表示される画像の制御を制御用コンピュータ55が行っても良い。
第5実施形態の角度表示部は、角度検出センサ53と制御用コンピュータ55のディスプレイ58とから成る。制御用コンピュータ55は、角度検出センサ53が出力する信号に基づいて円柱ケース31の回転角度を取得する。そして、制御用コンピュータ55は、この回転角度をディスプレイ58に表示する制御を行う。このようにすれば、作業者が、ディスプレイ58により円柱ケース31の回転角度を確認することができる。
なお、制御用コンピュータ55は、角度検出センサ53を用いずに、駆動部54の制御信号に基づいて円柱ケース31の回転角度を取得するようにしても良い。
また、制御用コンピュータ55は、角度検出センサ53により取得した円柱ケース31の回転角度に基づいて、円柱ケース31が予め設定された目標の回転角度となるように、駆動部54を制御し、円柱ケース31を回転させるようにしても良い。
制御用コンピュータ55は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)および専用のチップなどのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイ58などの表示装置と、マウスおよびキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。この制御用コンピュータ55は、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、制御用コンピュータ55で実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。追加的または代替的に、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記憶されて提供される。
また、この制御用コンピュータ55で実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータに格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、この制御用コンピュータ55は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用回線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
放射線計測器支持装置、放射線計測装置および放射線計測方法が第1実施形態から第5実施形態に基づいて説明されているが、いずれかの実施形態において適用された構成が他の実施形態に適用されても良いし、各実施形態において適用された構成が組み合わされても良い。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、円柱軸が水平方向を向いた状態で円柱ケース31を円周方向に回転可能に支持し、かつ円柱ケース31を円周方向の任意の回転角度で固定する土台32を備えることにより、照射ポート13の位置が変化する粒子線治療システム1において、照射ポート13の位置に応じて放射線計測器41を設置する作業を簡便に行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…粒子線治療システム、5…回転ガントリー、6…真空ダクト、7…粒子線、8…患者、9…水平軸、10…躯体、11…エンドリング、12…回転駆動部、13…照射ポート、14…輸送部、15…超電導電磁石、16…治療空間、17…治療台、18…治療室、19…本体胴、20…内壁部、21…支持レール、22…軌道レール、23…逆回転同期モータ、24…支持棒、25…建屋側構造物、26…移動床、28…アイソセンター、29…架台、30(30A,30B,30C,30D)…放射線計測器支持装置、31…円柱ケース、32…土台、33…入射窓、34…スリット、35…基準線、36…ラウンド部、37…アジャスタ、38…目盛り、39…読取部、40…水等価ファントム、41…放射線計測器、42…ケーブル、43…溝部、44…保持部、45…本体部、46…蓋部、47…蝶番部、50…フレームユニット、51…容器、52…イオンチェンバ、53…角度検出センサ、54…駆動部、55…制御用コンピュータ、56…処理回路、57…記憶部、58…ディスプレイ。
Claims (13)
- ファントムおよび放射線計測器を内部に収容して円柱状を成す円柱ケースと、
円柱軸が水平方向を向いた状態で前記円柱ケースを円周方向に回転可能に支持し、かつ前記円柱ケースを前記円周方向の任意の回転角度で固定する土台と、
前記回転角度を表示する角度表示部と、
を備える、
放射線計測器支持装置。 - 前記ファントムおよび前記放射線計測器を一体化した状態で前記円柱ケースに着脱させるためのフレームユニットを備える、
請求項1に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記円柱ケースの円柱周面の一部に放射線が入射される入射窓が開口されており、
前記円柱ケースの内部に前記ファントムおよび前記放射線計測器を保持する保持部が形成されており、
前記入射窓に面する側を前記放射線計測器の前方側としたときに、前記放射線計測器の前方側と後方側の両方に前記ファントムが設けられている、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記円柱ケースの円柱底面の一部に前記放射線計測器の位置を外部から確認するためのスリットが開口されている、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記角度表示部は、
前記円柱ケースの円柱底面の周縁に設けられた目盛りと、
前記土台に設けられ、前記目盛りを読み取るときの基準となる読取部と、
を含む、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記角度表示部は、
前記回転角度を検出するセンサと、
前記センサが出力する信号に基づいて前記回転角度を表示するコンピュータのディスプレイと、
を含む、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記円柱ケースを回転させる駆動部と、
前記駆動部を制御するコンピュータと、
を備える、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記ファントムが固体の水等価ファントムであり、
板状を成す複数の前記水等価ファントムが重ねられ、これら前記水等価ファントムと前記放射線計測器を並べて保持する保持部が前記円柱ケースの内部に形成されている、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記ファントムが水であり、
前記放射線計測器と並べて前記水を収容する容器を備える、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 前記土台は、架台の上面に設置可能であり、前記土台の底面の少なくとも3箇所にアジャスタが設けられている、
請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置。 - 請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置と、
複数の検出素子が2次元的に配列されて板状を成す2次元検出器から成る前記放射線計測器と、
を備える、
放射線計測装置。 - 請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置と、
ガスが満たされたチェンバと前記ガスの電離を検出する電極を有するイオンチェンバから成る前記放射線計測器と、
を備える、
放射線計測装置。 - 請求項1または請求項2に記載の放射線計測器支持装置を用いて行う方法であり、
前記放射線計測器支持装置を粒子線治療システムの回転ガントリーの内部に設置し、
前記回転ガントリーの回転に合わせて前記円柱ケースを回転させて前記放射線計測器の向きを調整し、
前記回転ガントリーの照射ポートから出射される放射線を前記放射線計測器で計測する、
放射線計測方法。
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