JP7494331B1 - 粒子線照射システムおよびx線撮影装置移動方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態は、粒子線照射技術に関する。
従来、照射ノズルの照射方向を変更するための回転ガントリに、X線撮影装置が支持され、回転ガントリの回転方向とともにX線撮影装置が回転し、X線画像の撮影方向を変更する技術が知られている。回転ガントリにX線撮影装置が支持されることで、任意の撮影方向から患者のX線画像が撮影可能であるが、回転ガントリは、大型な装置であり、配置場所が限られるばかりか、建設コストが嵩んでしまう。そこで、粒子線照射システムの小型化が求められている。
また、回転ガントリが360度の全周に亘って回転せずに、その回転範囲が225度以下の所謂ハーフ回転ガントリが知られている。しかし、このようなハーフ回転ガントリは、X線撮影装置を支持する構成が無く、X線管およびフラットパネルディテクタが床面および天井に固定されている。
本発明が解決しようとする課題は、ユーザが希望する撮影方向から被写体のX線画像を撮影可能であり、X線撮影装置を含めた粒子線照射システム全体の小型化を図ることである。
本発明の実施形態に係る粒子線照射システムは、アイソセンタを中心として前記アイソセンタから等距離の位置を周方向に移動し、前記周方向に移動する範囲が240度以下であり、前記アイソセンタに対する荷電粒子ビームの照射方向を変更可能な照射ノズルと、前記照射ノズルを前記周方向に移動可能に支持するノズル支持装置と、前記周方向に移動し、前記アイソセンタに配置された被写体のX線画像の撮影方向を変更可能なX線撮影装置と、を備え、前記ノズル支持装置は、前記周方向に沿ってC字形状に延びるC字レールと、前記照射ノズルを支持して前記C字レールに沿って移動するノズル基部と、前記ノズル基部から前記周方向に沿って延びる少なくとも1本の支持アームと、を備え、前記X線撮影装置の少なくとも一部が、前記ノズル支持装置に支持され、前記照射ノズルとともに前記周方向に移動するものであり、前記X線撮影装置は、少なくとも1つのX線管を備え、前記支持アームの先端側および基端側の少なくとも一方に前記X線管が設けられており、前記アイソセンタを通る軸であって前記照射ノズルの前記周方向の移動の中心軸に対して、前記C字レールの外部から、かつ前記C字レールの開いている部分から前記被写体が前記アイソセンタに向けて進入可能である。
本発明の実施形態により、ユーザが希望する撮影方向から被写体のX線画像を撮影可能であり、X線撮影装置を含めた粒子線照射システム全体の小型化を図ることができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、粒子線照射システムおよびX線撮影装置移動方法の実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図5を用いて説明する。
以下、図面を参照しながら、粒子線照射システムおよびX線撮影装置移動方法の実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図5を用いて説明する。
図1の符号1は、第1実施形態の粒子線照射システムである。この粒子線照射システム1は、治療用放射線としての炭素イオンなどの荷電粒子ビームB(図3)を患者Pの病巣組織(がん)に照射して治療を行う所謂粒子線がん治療装置である。
粒子線照射システム1を用いた放射線治療技術は、重粒子線がん治療技術などとも称される。この技術は、がん病巣(患部)を炭素イオンがピンポイントで狙い撃ちし、がん病巣にダメージを与えながら、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能とされる。なお、荷電粒子ビームBは、ヘリウム原子より重い重粒子線と定義される。
重粒子線を用いるがん治療では、従来のエックス線、ガンマ線、陽子線を用いたがん治療と比較してがん病巣を殺傷する能力が高く、患者P(図3)の体の表面では放射線量が弱く、がん病巣において放射線量がピークになる特性を有している。そのため、照射回数と副作用を少なくすることができ、治療期間をより短くすることができる。
例えば、荷電粒子ビームB(図3)は、患者Pの体内を通過する際に運動エネルギーを失って速度が低下するとともに、速度の二乗にほぼ反比例する抵抗を受け、ある一定の速度まで低下すると急激に停止する。この荷電粒子ビームBの停止点はブラッグピークと呼ばれ、高エネルギーが放出される。粒子線照射システム1は、このブラッグピークを患者Pの病巣組織(患部)の位置に合わせることにより、正常組織のダメージを抑えつつ、病巣組織のみを死滅させることができる。
図1に示すように、粒子線照射システム1は、ビーム照射装置2とノズル支持装置3とX線撮影装置4と制御装置5とを備える。
ビーム照射装置2は、イオン発生器とビーム輸送ラインとハーフ回転ガントリとを備える。これらは陽子線照射装置などで用いられるイオン発生器とビーム輸送ラインとハーフ回転ガントリと同様の構成であり、従来公知のものであるため図示を省略する。なお、イオン発生器には、イオン源と線形加速器と円形加速器などが含まれることがある。
例えば、イオン発生器(図示略)は、荷電粒子である炭素イオンのイオン源を有し、この炭素イオンによって荷電粒子ビームBが生成される。線形加速器(図示略)は、平面視で直線状を成し、イオン源で発生させたイオンを加速して荷電粒子ビームBとする。そして、線形加速器は、この荷電粒子ビームBを円形加速器(図示略)に導入する。
円形加速器は、シンクロトロンまたはシンクロサイクロトロンであり、平面視でリング状を成し、荷電粒子ビームBをさらに加速する。ここで、荷電粒子ビームBは、円形加速器を約百万回周回する間に光速の約70%まで加速される。そして、円形加速器で加速された荷電粒子ビームBが、ビーム輸送ライン(図示略)によりハーフ回転ガントリ(図示略)まで輸送される。なお、円形加速器は、サイクロトロンの場合もある。
粒子線照射システム1には、イオン発生器からハーフ回転ガントリまで一体的に延びる真空ダクト(図示略)が設けられている。この真空ダクトの内部が真空にされ、荷電粒子ビームBを導く輸送経路が形成されている。
ハーフ回転ガントリは、その回転の軸が水平方向を向くように設けられ、この水平軸を中心として回転するものである。ハーフ回転ガントリは、ビーム輸送ラインから続く真空ダクトの一部と、輸送経路を形成する偏向電磁石および収束電磁石を回転可能に支持する。
このハーフ回転ガントリは、全周回転型の回転ガントリと比較して小型の装置である。一般的な全周回転型の回転ガントリは、360度の全周に亘って回転するものであるが、ハーフ回転ガントリは、その回転範囲が全周の3分の2以下(240度以下)の装置を示す。本実施形態のハーフ回転ガントリは、その回転範囲が180度の装置となっている。
真空ダクトは、まず、ハーフ回転ガントリの端部からその水平軸に沿って導かれる。そして、真空ダクトは、ハーフ回転ガントリの水平軸から一旦離れた後、水平軸に対して垂直な方向に向けられる。この真空ダクトの先端部が配置される照射ノズル10(図2)は、患者Pに近接する位置に設けられている。
図3に示すように、ノズル支持装置3は、照射ノズル10を周方向に移動可能に支持する装置である。X線撮影装置4は、撮影用放射線としてのX線を用いて、被写体としての患者PのX線画像を撮影する装置である。X線撮影装置4により取得したX線画像は、荷電粒子ビームBの照射前に行われる患者Pの位置決めに用いられる。また、X線画像は、荷電粒子ビームBの照射時に患部(内臓)の動き(動体)を追跡することに用いられる。なお、X線画像は、患者PのCT(Computed Tomography)画像を取得するために用いられてもよい。
図1に示すように、制御装置5は、ビーム照射装置2とノズル支持装置3とX線撮影装置4とを制御する。この制御装置5の各構成は、必ずしも1つのコンピュータに設ける必要はない。例えば、1つの制御装置5が、ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータで実現されてもよい。さらに、ビーム照射装置2とノズル支持装置3とX線撮影装置4とがそれぞれ別個のコンピュータで制御されてもよい。
本実施形態の制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)などのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態のX線撮影装置移動方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
制御装置5の処理回路は、例えば、CPU、GPU、専用または汎用のプロセッサを備える回路である。このプロセッサは、制御装置5の記憶部に記憶した各種のプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。また、処理回路は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアで構成されてもよい。これらのハードウェアによっても各種の機能を実現することができる。また、処理回路は、プロセッサとプログラムによるソフトウェア処理と、ハードウェア処理とを組み合わせて、各種の機能を実現することもできる。
なお、本実施形態では、制御装置5が自動的に各種の装置を制御する態様を例示するが、その他の態様でもよい。例えば、制御装置5は、粒子線照射システム1のユーザ(管理者)の入力操作を受け付けて各種の装置を制御するようにしてもよい。つまり、制御装置5は、ユーザの手動操作により各種の装置を制御するための遠隔操作装置でもよい。
次に、ノズル支持装置3とX線撮影装置4について図2から図5を用いて説明する。なお、図3から図5の紙面右側を正面側として説明する。
図2に示すように、照射ノズル10は、ハーフ回転ガントリ(図示略)に支持された真空ダクト(図示略)の先端側に設けられている。この照射ノズル10は、荷電粒子ビームBを患者Pに向けて出射する部分である。
照射ノズル10には、スキャニング電磁石(図示略)が設けられている。スキャニング電磁石は、荷電粒子ビームBの進行方向をZ方向とした場合に、この荷電粒子ビームBを、X方向に偏向走査するX偏向走査磁石とY方向に偏向走査するY偏向走査磁石とを有している。そして、スキャニング電磁石は、荷電粒子ビームBを制御することで、細い荷電粒子ビームBを患者Pの患部の形状に合致させて走査することができる。つまり、照射ノズル10から照射される荷電粒子ビームBは、進行方向に対して直交する2方向(X方向およびY方向)の所定の走査範囲に亘って走査される。また、照射ノズル10には、線量モニタ、位置モニタ、レンジシフタ、リッジフィルタなどが設けられてもよい。
患者Pが配置される治療室には、荷電粒子ビームBが最も集中して照射される位置であるアイソセンタCが設定されている。治療開始前には、X線撮影装置4で撮影したX線画像などで患者Pの患部の位置を確認しつつ、患部がアイソセンタCに配置される。
照射ノズル10は、アイソセンタCを中心としてアイソセンタCから等距離の位置を周方向に移動する。なお、アイソセンタCを通る軸であって照射ノズル10の周方向の移動の中心軸Hを規定した場合、この中心軸Hは、ハーフ回転ガントリの回転の中心である水平軸と一致している。なお、荷電粒子ビームBは、照射ノズル10から中心軸Hに対して直交する方向に照射される。
図3に示すように、照射ノズル10は、アイソセンタCを中心として、その周方向に移動する範囲が180度に設定されている。例えば、荷電粒子ビームBを水平方向に照射するときの照射ノズル10の位置を0度とした場合、+90度から-90度の範囲に亘って照射ノズル10が移動可能となっている。
照射ノズル10が移動する範囲内であれば、アイソセンタCに対する荷電粒子ビームBの照射方向が変更可能となっている。例えば、図4に示すように、照射ノズル10が+90度の位置にあるときに、荷電粒子ビームBが患者Pの直上から照射される。また、図5に示すように、照射ノズル10が-90度の位置にあるときに、荷電粒子ビームBが患者Pの直下から照射される。
被写体としての患者Pは、治療室に設けられた移動載置台11に載置される。この移動載置台11は、移動アーム12により支持され、患者Pを載置した状態で移動し、患者Pの患部をアイソセンタCに配置する。この移動載置台11の移動によって患者Pを荷電粒子ビームBの照射位置に移動させて位置合わせを行うことができる。そのため、患者Pの病巣組織に最適な精度で荷電粒子ビームBを照射することができる。なお、移動載置台11と移動アーム12は、制御装置5(図1)により制御されている。
患者Pは、アイソセンタCの位置に配置され、ハーフ回転ガントリ(図示略)を回転させることで、静止している患者Pを中心として照射ノズル10を回転させることができる。また、患者Pの向きを変更し、かつ照射ノズル10を回転させることで、患者Pの周囲のいずれの方向からも荷電粒子ビームBを照射させることができる。そのため、患者Pの負担を軽減しつつ、最適な方向から荷電粒子ビームBを正確に患部に照射することができる。
また、第1実施形態のX線撮影装置4は、ノズル支持装置3に支持され、照射ノズル10とともに周方向に移動し、アイソセンタCに配置された患者PのX線画像の撮影方向を変更可能となっている。このようにすれば、照射ノズル10を支持するノズル支持装置3を、X線撮影装置4を支持する装置として兼用することができる。
なお、ノズル支持装置3は、ハーフ回転ガントリ(図示略)の先端側の一部を支持する装置である。このようにすれば、ハーフ回転ガントリの先端側に在る照射ノズル10が、ノズル支持装置3に案内され、周方向に移動可能な状態で安定的に支持される。
図2から図3に示すように、X線撮影装置4は、2つのX線管20と2つのフラットパネルディテクタ21とを備える。例えば、一方のX線管20Aから出射されたX線は、一方のフラットパネルディテクタ21Aで検出される。他方のX線管20Bから出射されたX線は、他方のフラットパネルディテクタ21Bで検出される。
ここで、一方のX線管20Aと一方のフラットパネルディテクタ21Aとを結ぶ線を第1仮想線L1と規定する。他方のX線管20Bと他方のフラットパネルディテクタ21Bとを結ぶ線を第2仮想線L2と規定する。この場合、第1仮想線L1および第2仮想線L2がアイソセンタCで交差している。なお、本実施形態では、第1仮想線L1および第2仮想線L2が交差する角度が、10度以上、170度以下の範囲となっている。
ノズル支持装置3は、固定フレーム30と可動フレーム31とC字レール32とノズル基部33と支持アーム34とを備える。
固定フレーム30は、C字レール32を床面Fに固定する部材である。例えば、固定フレーム30は、正面視で矩形状を成し、側面視でC字形状(U字形状)に切り欠かれた開口を有する部材である。この開口に患者Pが配置される。この固定フレーム30には、両側部に1本ずつ、合計で2本のC字レール32が固定されている。つまり、2本のC字レール32が固定フレーム30に支持されている。
C字レール32は、側面視でC字形状(U字形状)を成し、周方向に沿って延びる部材である。可動フレーム31は、C字レール32を介して固定フレーム30に支持され、ノズル基部33および支持アーム34とともに可動する部材である。ノズル基部33は、照射ノズル10を支持している部材である。このノズル基部33は、可動フレーム31を介してC字レール32に沿って移動する部材である。
なお、ノズル支持装置3は、可動フレーム31を可動させるための駆動モータ(図示略)を備える。この駆動モータは、制御装置5により制御される。
支持アーム34は、ノズル基部33から周方向に沿って延びる部材である。図3に示すように、ノズル基部33から上方と下方に延びる2本の支持アーム34が設けられている。これら2本の支持アーム34が側面視でC字形状(U字形状)を成している。ノズル基部33および支持アーム34が周方向に移動するときに、C字レール32によりその移動が案内される。
ここで、可動フレーム31ついて詳述する。図2に示すように、可動フレーム31には、C字レール32に案内され、側面視(図3)でC字形状(U字形状)を成す、左右2つの第1部材41が設けられている。これら第1部材41の端部同士が、軸方向に延びる上下2本の第2部材42で互いに連結されている。これら第2部材42の中央部には、周方向に延びる左右2本の第3部材43が連結されている。これら第3部材43は、軸方向に延びる複数本の第4部材44で互いに連結されている。
ノズル基部33および支持アーム34は、第3部材43および第4部材44に連結されている。このようにすれば、固定フレーム30により床面Fに安定的に固定しつつ、可動フレーム31によりノズル基部33および支持アーム34を安定的に可動させることができる。
なお、固定フレーム30および可動フレーム31が、治療室の床、壁、天井と一体的なデザイン(色彩)にされ、かつ化粧板で覆われてもよい。このようにすれば、ノズル支持装置3を構成する部材が患者Pから見えないようになる。つまり、ノズル支持装置3が目隠しの機能を有してもよい。
図3に示すように、それぞれの支持アーム34の先端側にX線管20が設けられている。そして、支持アーム34の基端側に在るノズル基部33に固定された照射ノズル10に、フラットパネルディテクタ21が設けられている。このようにすれば、照射ノズル10とX線管20とフラットパネルディテクタ21を周方向に移動させる構成を実現することができる。
また、照射ノズル10と2つのフラットパネルディテクタ21とが周方向に並んで配置されている。このようにすれば、フラットパネルディテクタ21を周方向に移動させつつX線画像の撮影が行われることで、患者PのX線画像の撮影を行うことできる。さらに、CT画像の撮影も行うことができる。
移動載置台11は、C字レール32の開いている部分から患者P(被写体)を進入させてアイソセンタCに配置することができる。例えば、図3の矢印Dの方向から、患者Pを載せた移動載置台11を進入させることができる。このようにすれば、患者Pを適切な方向から進入させてアイソセンタCに配置することができる。
なお、患者Pは、その身長の方向に沿って延びる体軸が中心軸Hの向きと一致するように配置される。また、患者Pの体軸は、中心軸Hの向きと一致しなくてもよい。例えば、患者Pの頭頂部が照射ノズル10に向けられた状態で配置されてもよい。さらに、患者Pの配置は、頭と足の位置が図示した向きと逆向きであってもよい。荷電粒子ビームBが照射される患部の位置に応じて、患者Pの配置が適宜変更されてもよい。
移動載置台11の近接を検出する近接センサ35が、それぞれの支持アーム34の先端側に設けられている。支持アーム34および移動載置台11の動作を制御する制御装置5は、近接センサ35により移動載置台11の近接を検出したときに、支持アーム34および移動載置台11の動作を停止する制御を行う。このようにすれば、支持アーム34と移動載置台11の衝突を防ぐことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図6から図10を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。図8から図10の紙面右側を正面側として説明する。
次に、第2実施形態について図6から図10を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。図8から図10の紙面右側を正面側として説明する。
図6に示すように、第2実施形態の粒子線照射システム1Aは、ビーム照射装置2とノズル支持装置3AとX線撮影装置4と制御装置5と撮影支持装置50とを備える。
図7および図9に示すように、第2実施形態のノズル支持装置3Aは、照射ノズル10のみを周方向に移動可能に支持する装置である。このノズル支持装置3Aは、側面視でC字形状を成す1本のC字レール36を備える。このC字レール36に照射ノズル10が支持されている。また、理解を助けるために図示を簡略化しているが、C字レール36は、荷電粒子ビームBの通過経路を確保したまま、照射ノズル10を移動させる構造を有している。
なお、ノズル支持装置3Aは、ノズル基部33および照射ノズル10をC字レール36に沿って移動させるための駆動モータ(図示略)を備える。この駆動モータは、制御装置5により制御される。また、照射ノズル10が周方向に移動する範囲は180度以下となっている。
図7に示すように、撮影支持装置50は、X線撮影装置4を周方向に移動可能に支持する装置である。第2実施形態のX線撮影装置4は、照射ノズル10とは別個に周方向に移動する。
この撮影支持装置50は、2つフラットパネルディテクタ21を周方向に移動可能に支持する第1撮影支持ユニット50A(図8)と、2つX線管20を周方向に移動可能に支持する第2撮影支持ユニット50B(図10)とを備える。
第1撮影支持ユニット50Aは、側面視でC字形状を成す1本のC字レール51Aと1本の支持アーム52Aとを備える。この支持アーム52Aの中央部に、2つフラットパネルディテクタ21が支持されている。C字レール51Aに案内されて支持アーム52Aが可動することで、2つフラットパネルディテクタ21が周方向に移動する。
第2撮影支持ユニット50Bは、側面視でC字形状を成す1本のC字レール51Bと1本の支持アーム52Bを備える。この支持アーム52Bの両先端部のそれぞれにX線管20が支持されている。C字レール51Bに案内されて支持アーム52Bが可動することで、2つX線管20が周方向に移動する。
また、近接センサ35が、それぞれの支持アーム52A,52Bの先端側に設けられている。制御装置5は、近接センサ35により移動載置台11の近接を検出したときに、支持アーム52A,52Bおよび移動載置台11の動作を停止する制御を行う。このようにすれば、支持アーム52A,52Bと移動載置台11の衝突を防ぐことができる。
なお、第1撮影支持ユニット50Aおよび第2撮影支持ユニット50Bは、支持アーム52A,52BをC字レール51A,51Bに沿って移動させるための駆動モータ(図示略)を備える。この駆動モータは、制御装置5により制御される。また、それぞれの支持アーム52A,52Bが周方向に移動する範囲は180度以下となっている。
このようにすれば、照射ノズル10の位置と関係なく、X線撮影装置4のX線管20およびフラットパネルディテクタ21を周方向の任意の位置に移動させて撮影を行うことができる。
以上、粒子線照射システム1およびX線撮影装置移動方法が第1実施形態から第2実施形態に基づいて説明されているが、いずれかの実施形態において適用された構成が他の実施形態に適用されてもよいし、各実施形態において適用された構成が組み合わされてもよい。
前述の実施形態の制御装置5は、FPGA、GPU、CPUおよび専用のチップなどのプロセッサを高集積化させた回路装置と、ROMおよびRAMなどの記憶装置と、HDDおよびSSDなどの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスおよびキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。この制御装置5は、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、前述の実施形態の制御装置5で実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。追加的または代替的に、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記憶されて提供される。
また、この制御装置5で実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータに格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。また、この制御装置5は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用回線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
なお、前述の実施形態は、X線撮影の被写体として、人間である患者Pを例示しているが、その他の態様でもよい。例えば、犬、猫などの動物が被写体でもよい。これらの動物に対して放射線治療を施す際に粒子線照射システム1が用いられてもよい。また、被写体の体軸は、人間の場合は身長方向に延びる軸であり、犬、猫などの動物の場合は体長方向に延びる軸である。
なお、前述の実施形態は、2つのX線管20と2つのフラットパネルディテクタ21が設けられる態様を例示したが、その他の態様でもよい。例えば、1つのX線管20と1つのフラットパネルディテクタ21が設けられる態様でもよい。この場合は、支持アーム34が一本でもよい。さらに、3つ以上のX線管20と3つ以上のフラットパネルディテクタ21が設けられる態様でもよい。
なお、前述の実施形態は、支持アーム34の先端側にX線管20が設けられ、支持アーム34の基端側にフラットパネルディテクタ21が設けられているが、その他の態様でもよい。例えば、支持アーム34の基端側にX線管20が設けられ、支持アーム34の先端側にフラットパネルディテクタ21が設けられてもよい。さらに、支持アーム34の先端側に一方のX線管20Aと他方のフラットパネルディテクタ21Bが設けられ、かつ支持アーム34の基端側に他方のX線管20Bと一方のフラットパネルディテクタ21Aが設けられてもよい。
なお、前述の実施形態は、固定フレーム30に2本のC字レール32が固定されているが、その他の態様でもよい。例えば、固定フレーム30の両側部と中央部のそれぞれに、合計で3本以上のC字レール32が固定されてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、アイソセンタCに配置された被写体のX線画像の撮影方向を変更可能なX線撮影装置4を備えることにより、ユーザが希望する撮影方向から被写体のX線画像を撮影可能であり、X線撮影装置4を含めた粒子線照射システム全体の小型化を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1,1A…粒子線照射システム、2…ビーム照射装置、3,3A…ノズル支持装置、4…X線撮影装置、5…制御装置、10…照射ノズル、11…移動載置台、12…移動アーム、20,20A,20B…X線管、21,21A,21B…フラットパネルディテクタ、30…固定フレーム、31…可動フレーム、32…C字レール、33…ノズル基部、34…支持アーム、35…近接センサ、36…C字レール、41…第1部材、42…第2部材、43…第3部材、44…第4部材、50…撮影支持装置、50A…第1撮影支持ユニット、50B…第2撮影支持ユニット、51A,51B…C字レール、52A,52B…支持アーム、B…荷電粒子ビーム、C…アイソセンタ、D…矢印、F…床面、H…中心軸、L1…第1仮想線、L2…第2仮想線、P…患者。
Claims (6)
- アイソセンタを中心として前記アイソセンタから等距離の位置を周方向に移動し、前記周方向に移動する範囲が240度以下であり、前記アイソセンタに対する荷電粒子ビームの照射方向を変更可能な照射ノズルと、
前記照射ノズルを前記周方向に移動可能に支持するノズル支持装置と、
前記周方向に移動し、前記アイソセンタに配置された被写体のX線画像の撮影方向を変更可能なX線撮影装置と、
を備え、
前記ノズル支持装置は、
前記周方向に沿ってC字形状に延びるC字レールと、
前記照射ノズルを支持して前記C字レールに沿って移動するノズル基部と、
前記ノズル基部から前記周方向に沿って延びる少なくとも1本の支持アームと、
を備え、
前記X線撮影装置の少なくとも一部が、前記ノズル支持装置に支持され、前記照射ノズルとともに前記周方向に移動するものであり、
前記X線撮影装置は、少なくとも1つのX線管を備え、
前記支持アームの先端側および基端側の少なくとも一方に前記X線管が設けられており、
前記アイソセンタを通る軸であって前記照射ノズルの前記周方向の移動の中心軸に対して、前記C字レールの外部から、かつ前記C字レールの開いている部分から前記被写体が前記アイソセンタに向けて進入可能である、
粒子線照射システム。 - 前記X線撮影装置は、少なくとも1つのフラットパネルディテクタをさらに備え、
前記支持アームの先端側および基端側の少なくとも他方に前記フラットパネルディテクタが設けられている、
請求項1に記載の粒子線照射システム。 - 前記ノズル支持装置は、
前記C字レールを床面に固定する固定フレームと、
前記固定フレームに支持され、前記ノズル基部および前記支持アームとともに可動する可動フレームと、
を備える、
請求項2に記載の粒子線照射システム。 - 前記被写体を載置した状態で移動し、前記C字レールの開いている部分から前記被写体を進入させて前記アイソセンタに配置する移動載置台と、
前記支持アームの先端側に設けられ、前記移動載置台の近接を検出する近接センサと、
前記支持アームおよび前記移動載置台の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記近接センサにより前記移動載置台の近接を検出したときに、前記支持アームおよび前記移動載置台の動作を停止する、
請求項2または請求項3に記載の粒子線照射システム。 - 前記照射ノズルと少なくとも2つの前記フラットパネルディテクタとが前記周方向に並んで配置されている、
請求項2または請求項3に記載の粒子線照射システム。 - アイソセンタを中心として前記アイソセンタから等距離の位置を周方向に移動し、前記周方向に移動する範囲が240度以下であり、前記アイソセンタに対する荷電粒子ビームの照射方向を変更可能な照射ノズルと、
前記照射ノズルを前記周方向に移動可能に支持するノズル支持装置と、
前記周方向に移動し、前記アイソセンタに配置された被写体のX線画像の撮影方向を変更可能なX線撮影装置と、
を用いて行う方法であり、
前記ノズル支持装置は、
前記周方向に沿ってC字形状に延びるC字レールと、
前記照射ノズルを支持して前記C字レールに沿って移動するノズル基部と、
前記ノズル基部から前記周方向に沿って延びる少なくとも1本の支持アームと、
を備え、
前記X線撮影装置の少なくとも一部が、前記ノズル支持装置に支持され、前記照射ノズルとともに前記周方向に移動するものであり、
前記X線撮影装置は、少なくとも1つのX線管を備え、
前記支持アームの先端側および基端側の少なくとも一方に前記X線管が設けられており、
前記アイソセンタを通る軸であって前記照射ノズルの前記周方向の移動の中心軸に対して、前記C字レールの外部から、かつ前記C字レールの開いている部分から前記被写体が前記アイソセンタに向けて進入可能である、
X線撮影装置移動方法。
Publications (1)
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