JP2024033052A - シイタケ容器栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】筒状の栽培容器によるシイタケ等のきのこ栽培において、生産効率や発生率(収量)の向上を実現し、且つ、商品規格をも満たす栽培方法を実現する。【解決手段】透光性と保形性を備え、上面に開口部を配して一定量の培地が充填可能な筒状の容器本体と、透光性、通気性、保形性を備えた蓋体とを備えた栽培容器を用い、a)殺菌処理した培地を充填、又は、培地を充填した後に封して殺菌処理する、培地製造工程と、b)蓋体を外し、該培地表面にシイタケ種菌を散布した後に、容器本体を再び蓋体で封する種菌接種工程と、c)酸素を供給し、かつ、暗条件の環境下で、接種した菌糸を培地に蔓延させる菌糸培養前期工程と、d)酸素を供給し、かつ、明条件の環境下で、原基形成を促す菌糸培養後期工程と、e)原基形成が完了したら、容器本体から蓋体を外し、子実体の成長を促す子実体生育工程と、f)成熟した子実体を採取する採取工程と、で構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、主としてシイタケを対象とし、栽培室空間を効率よく活用でき、かつ菌床1世代に対し1回の発生を促して収穫する、自動化や機械化が容易な容器栽培方法に関する。
一般に、食用きのこの栽培は、ポリプロピレンやポリエチレン製の袋によるものと、ポリプロピレン製ビン等の容器によるものの2つに大別される。エノキタケ、ブナシメジ、ナメコ等、多くの食用きのこ類は、設備等に必要な初期投資額は大きいが作業性・効率性が非常に高い特徴を有する容器栽培(ビン栽培)によって行なわれている。
一方、日本を代表する食用きのこであるシイタケは、過去に専用容器の開発やそれを用いた栽培が試行されたが、培養中に子実体の元となる「原基」が培地全体に形成されること、培地の全体から子実体が発生すること(子実体発生部位やタイミングのコントロールが技術的に難しい)などから、培養完了時点までの使用に限られている。また、様々な試行により容器栽培開発は進められており、条件によっては容器内の培地上部から発生させることは実現できているが、常時安定的かつ斉一に子実体を発生させる水準には達していない。これらから、現在においても培地製造、培養、発生、収穫までの全工程を一貫して行なうことができる商業的な容器栽培は実現しておらず、依然として袋栽培が主流となっている。
袋栽培では、上部に原基形成および子実体の成長を促す空間を設けることができ、良好な発生条件を備えるが、一方で、その袋の上部に配する発生用の空間が室内(栽培棚)収容の妨げとなり、作業性や収容密度の低下等が欠点となっている。
また、袋栽培では、菌床1世代に対して3~10回程度の複数回発生を行なって菌床重量の20~30%程度のきのこを収穫することが一般的であった。それは、培養完了時で菌床全体がある程度熟成している必要があり、その菌床から一定量のシイタケを収穫するためには、1回ではなく複数回収穫することが、より効率的な栽培方法と判断していたことによる。しかしながら、このことは子実体が得られるまでに長時間を要すること、栽培管理に多大な労力が掛かること、施設回転効率が低いこと等が欠点となっていた。
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、茸類の栽培容器およびそれを用いる栽培方法(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、きのこ培養基をビン容器内において培養して菌糸を蔓延させるきのこ培養方法とこれに用いるきのこ培養容器について記載されている。
しかしながら、培養中からきのこの原基形成がなされ、培地全面から子実体が発生するシイタケ菌の特徴から、培養完了後はビンから培地を取り出す必要があるため、ビンによる省力化のメリットが培養段階までに留まっており、上記問題の解決には至っていない。
また、既存の栽培施設を活用した菌床シイタケビン栽培技術の開発(非特許文献1参照)について提案され、公知技術となっている。より詳しくは、既存の栽培施設や資材を利活用した菌床シイタケビン栽培技術の開発に言及しており、本発明と類似の条件等も散見されるが、従来の袋栽培比較で未収穫培地割合(不発生率)が高いことや収率(ビンあたり発生重量)が低いことから発生安定度が低いことが大きな課題であることを指摘している。
結果的に、前述した特許文献1の培養工程までに限られたビン利用技術(特許文献1)同様、菌床シイタケの商業的なビン栽培化は現在においても成功には至っておらず、上記問題の解決には至っていない。
本発明は、培地充填以降子実体育成に至るまでの工程についての条件を最適化した結果、発生率と収率等の生産効率が高く商業的なビン栽培化が可能な水準に達している点で異なる。
特開平06-205611号公報
長野県林試報第33号(2019)
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、シイタケ等のきのこ栽培の効率化を実現するにあたって、一貫して保形性、透光性、通気性のある栽培容器を用いることで収容密度の向上、機械化・自動化による生産効率の向上や発生率(収量)の向上を具現化するとともに、菌床1世代に対して1回の収穫とし、発生面を培地底面や側面を閉ざした上面のみ開放とすることで、短縮された期間内に十分な菌床の熟成と子実体の発生が見込め、求める商品規格を満たすことができる栽培方法を具現化することを課題とするものである。
上記課題を達成するため、本発明に係るシイタケ栽培方法は、透光性と保形性を備え、上面に開口部を配して一定量の培地が充填可能な筒状の容器本体と、該容器本体上面の開口部を封する透光性、通気性、保形性を備えた蓋体とを備えた栽培容器を用い、
a)殺菌処理した培地を容器本体に充填し、蓋体で封する、又は、培地を充填した後に容器本体を蓋体で封して殺菌処理する、培地製造工程と、
b)蓋体を外し、該培地表面にシイタケ種菌を散布した後に、容器本体を再び蓋体で封する種菌接種工程と、
c)酸素透過性があり、かつ、暗条件の環境下で、接種した菌糸を培地に蔓延させる菌糸培養前期工程と、
d)酸素透過性があり、かつ、明条件の環境下で、原基形成を促す菌糸培養後期工程と、
e)原基形成が完了したら、容器本体から蓋体を外し、子実体の成長を促す子実体生育工程と、
f)成熟した子実体を採取する採取工程と、
から構成される手段を採る。
また、本発明は、前記容器本体が、円筒状、四角筒状、多角筒状のいずれかで、開口部の胴部に対する径率が、70%以上であり、開口部直径の容器の高さに対する比率が50%以上とした手段を採る。
さらに、本発明は、前記容器蓋体が、フィルタを用いず、嵌合部の隙間を通してのみ酸素供給および二酸化炭素排出が行なわれる手段を採る。
またさらに、本発明は、前記培地製造工程において、前記培地を、培地頂点と容器天端の距離が5~20mmになるように充填した手段を採る。
さらにまた、本発明は、前記培地製造工程において、前記培地の上面の形状を平型、台形型、饅頭型、円錐形、すり鉢型のいずれかとし、その高低差が20mm以内である手段を採る。
さらにまた、本発明は、前記培地製造工程において、接種孔が
a)前記培地上面の中央部の一箇所
b)前記培地上面の外縁部の複数箇所
c)前記培地上面の中央部から略等距離の位置の複数箇所
の少なくとも1つに当てはまる位置に開けられている手段を採る。
またさらに、本発明は、前記菌糸培養前期工程が、0.5ルクス未満の暗条件とした手段を採る。
さらにまた、本発明は、前記菌糸培養後期工程が、100ルクス以上の明るさで、常時点灯もしくは間欠点灯とした手段を採る。
またさらに、本発明は、前記種菌接種工程で用いる菌株が、子実体発生面に菌糸塊を形成する菌糸培養後期工程において褐変被膜が形成しにくい菌株である手段を採る。
さらにまた、本発明は、前記子実体生育工程において、培養完了し蓋体を除去したタイミングで、
a)前記培地上面部に少なくとも一箇所の穴あけを行なう
b)前記培地上面部の一部を菌糸ごと除去する
c)前記栽培容器に刺激を加える
のうち、少なくとも1つを行う手段を採る。
そしてまた、本発明は、前記蓋体が、嵌込式であり、前記嵌合部の隙間は、前記蓋体の内周の軸方向に形成された溝と、前記容器の首部とによって、形成されている手段を採る。
本発明に係るシイタケ容器栽培方法によれば、透光性、保形性を有する容器本体と、透光性、保形性、通気性を有する蓋体を用いることで、菌糸培養工程で必要な酸素と光を適切に供給することができ、培地開口部から高品質のきのこを安定的に発生させることが可能で、1回発生のみで一定量の子実体を短期間で得ることができ、きのこ栽培の効率化を図ることが可能となる。
また、本発明に係るシイタケ容器栽培方法によれば、保形性のある容器本体を用いることによって、容器を栽培室の専用棚に重ねて積む、または、棚の高さを短寸とすることができ、栽培室内に多くの数を設置して収容密度を高めることが可能となる。さらに、容器を用いて、栽培全工程を行なうため、専用機械導入による自動化が可能となり、労力、コスト等を削減でき、シイタケ生産原価が安定することで消費者に適正価格で供給することができる。
また、従来3~10回程度収穫を繰り返すシイタケ生産を1回とすることで、施設等の回転効率を著しく向上させることができる。
さらに、本発明に係るシイタケ容器栽培方法によれば、本容器本体及び蓋体を用いることで、培養前期工程ならびに培養後期工程において、必要量の酸素を供給することができ、また、培養後期工程において、必要量の光を必要な部位に照射することができる。
さらに、本発明に係るシイタケ容器栽培方法によれば、栽培容器における発生面積はできるだけ広くとることができ、栽培に必要な量の酸素ならびに光の供給のバランスが取れ、また、容器上端から5~20mmの空間を設けることで、「光」と「酸素」を培地上面部に対して効果的に供給できる。
さらに、本発明に係るシイタケ容器栽培方法によれば、培地上面部を、平型、台形型、饅頭(山)型、円錐型、すり鉢型にすることで、特に培地水分量に相違が生じた場合、子実体育成工程において発生するシイタケ子実体の個数や発生するタイミングを調整することができる。
また、本発明に係るシイタケ容器栽培方法によれば、容器ならびに蓋体が透光性を持っており、かつ培地面を容器天端から5~20mmとすることで、菌糸伸長に必要な酸素を効率的に供給すると同時に、原基形成が行なわれる培地上面部に対して必要な光と酸素を効率的に供給できる。
さらに、本発明に係るシイタケ容器栽培方法によれば、供試菌株にあって、これを本願明細書記載の各種条件下において環境を整えることによって、培地の該部位から斉一かつ安定的に子実体を発生することができる。
本発明に係るシイタケ容器栽培方法で用いられる栽培容器の実施形態を示す正面図である。 本発明に係るシイタケ容器栽培方法で用いられる栽培容器の容器本体と蓋体の嵌合を示す説明図である。 本発明に係るシイタケ容器栽培方法で用いられる栽培容器の蓋体の他の形状を示す説明図である。 本発明に係るシイタケ容器栽培方法での接種孔の配置についての説明図である。
本発明に係るシイタケ容器栽培方法は、保形性の容器で一貫して、シイタケを栽培できることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係るシイタケ容器栽培方法の実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、以下に示されるシイタケ容器栽培方法の全体態様及び各部の態様は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で変更することができるものである。
また、本発明における透光性とは、半透光性を含む光の全部若しくは一部を透過する性質のことであって、光を量的に透過する場合のほか、光を波長成分的に透過する場合を含む概念である。
図1から図3にて、栽培容器の形状を示しつつ、本発明を説明する。
図1(a)は、栽培容器の正面の外観を示す図である。図1(b)は、容器本体に蓋体を嵌め込んだ状態での正面の外観を示す図である。図2(a)は、蓋体を下方から見た斜視図であり、図2(b)は、蓋体の底面図である。図2(c)は、栽培容器を上面から見た図であり、断面図のための切断線A-Aを含む。図2(d)は、切断線A-Aによる栽培容器、蓋体の断面図である。図3は、蓋体の他の形状を示す説明図である。図4は、栽培容器を上部から見た形であり、接種孔の配置についての説明図であり、図4(a)から(e)は、そのバリエーションである。
本シイタケ容器栽培方法は、シイタケの収穫まで一貫して、保形性のある容器を用いるシイタケ栽培方法である。
シイタケ容器栽培方法は、大まかには、広口の容器に培地を充填し、培地に種菌を接種し、培地に菌糸を蔓延させ、原基を形成し、子実体を成長させ、成熟した子実体であるシイタケを収穫するものである。
(培地)
培地30は、広葉樹オガコ(コナラ、シイ)に栄養体(株式会社北研製「シイタケ短期栽培用ニューバイデル」)を最終濃度8%(重量比)になるよう添加して混合した後に、水を加えて含水率を58%(重量比)程度に調整したものである。
なお、培地基材は、広葉樹オガコのほか、コーンコブ、綿実カス、針葉樹、きのこ栽培廃菌床が使用できる。また、栄養体は、ふすま、米ぬか等一般的な飼料や農産物残渣が使用できる。
(栽培容器)
栽培容器1は、容器本体10と蓋体20から成る。
容器本体10は、保形性を備えると共に、首部13及び胴部11に透光性を備え、上面に開口部12を配した筒状であり、一定量の培地30が充填可能な容器である(図1、図2(d))。
容器の形状は、円筒状、四角筒状、多角筒状のいずれでも良い、
容器本体10は、首部13及び胴部11に透光性を持つので、きのこの栽培時に光量が必要な際に、十分な光量を与えることができる。
容器本体10は、保形性を持つ筒状の容器であることから、容器を栽培室の専用棚に重ねて積む、または、棚の高さを短寸とすることができ、栽培室内に多くの数を設置して収容密度を高めることができる。
このような特性が必要であることから、容器本体10の素材は、ある程度の硬度があり、透明または半透明など透光性を有することが望ましく、樹脂製が適当であり、例えばポリプロピレンが好適である。
容器本体10の寸法は、開口部12の径が胴部11の径に対して70%以上85%以下が適当である。開口部の面積が胴部の面積の50%以上70%以下であることが望ましい。このような比率とすることにより、きのこ原基形成部位、すなわち培地上面部に菌糸伸長やきのこ原基形成のために、必要な酸素と光の供給と、二酸化炭素の排出を行うことができるからである。
形状的には、胴部11の寸法と開口部12の径の寸法が近いので、広口のビン構造である。
また、開口部の径の寸法が、容器の高さの寸法に対して、50%以上が好適ある。50%以上することで、培地上面部31の面積に対する培土の厚さを薄くすることができるので、培地全体に酸素を供給しやすくなる。従って、高品質のきのこを斉一かつ安定的に発生させることができる。
容器本体10としては、広口ビンが有効であり、例えば、ナメコ用800cc広口ビン(信越農材製800SB)を用いることができる。容器本体10は、これに限定されず、上述の条件にあるものであれば、さまざまな大きさや形態のものを用いることができる。
接種した菌糸を培地に蔓延させる培養前期工程ならびに原基形成が進む培養後期工程において酸素の供給が必要となるが、胴部と口部に寸法の差を作ることによって空気が通る空間を設けることができるため、必要量の酸素の供給と、適切な二酸化炭素の排出がなされる。また、培養後期工程において原基形成のための光照射が必要になるが、同様に光が通る空間を設けることができるため、必要量の光を必要な部位に照射することができる。一方で、シイタケは、その他のきのこ類に多い「群生」ではなく「単生」のきのこ種であり、生産者ならびに消費者も個々の子実体を商品として認識していることや、限られた発生面積に適当な間隔で生育しないと、きのこ同士の干渉(ぶつかり)が起きやすく商品価値が下がることから、栽培容器の発生面積はできるだけ広いことが求められるが、それと前述したような栽培に必要な量の酸素ならびに光の供給のバランスが取れることが重要な要件となる。
(蓋体)
蓋体20は、容器本体10上面の開口部12を封するものである。嵌込み式であり、透光性、通気性、保形性を備えており、全体として、容器本体10の首部13を覆う形である。円筒状の枠部21と、円盤状の天面部22から成る(図1、図2)。
枠部21の内周の軸方向に形成された通気用窪み23を複数持つ。通気用窪み23は、例えば、周方向に10mm、軸方向に10mm、径方向に0.2mm程度であり、少量の空気を流通させるのに適当な大きさである。
天面部22の内側には、十字の形の突起24が配置されている。突起24の高さは、例えば、0.9mm程度である。蓋体20を容器本体10に固定する際、容器本体10の天端部14(以下容器上端部とも言う)の一部が、突起24と当接する構造である。突起24と当接することにより、突起24以外の位置で、容器本体10の天端部14と蓋体20の天面部の内側との間に隙間を設けることができる。尚、突起24の配置形状については、容器本体10の天端部14と蓋体20の天面部の内側との間で隙間を形成し得るものであれば、特に十字の形に限定するものではない。
図2(d)に示すように、容器本体10と蓋体20は、枠部21の通気用窪み23と首部外周とによって、側面に隙間が形成される。通気用窪み23以外の部分は、枠部21と首部外周が密着し、通気性は無い。
また、天面部22において、天端部14と突起24によって上面に隙間が形成される。側面の隙間と上面の隙間によって、外部と容器内との間で、空気が流通する。また、空気の流通量は、開口部の面積に比べて、小さいため、空気の流通量を制限することができる。
このように、容器本体10に蓋体20を封しても、容器本体10と蓋体20とによる嵌合部における隙間を通してのみ、酸素供給および二酸化炭素排出が行われ、一定の制限量の通気性が保たれる。
また、図3(a),(b),(c)に示すように、嵌込用溝の数、大きさを変えることで、空気の流通量を調整することができる。菌糸の培養においては、酸素の供給量及び二酸化炭素の排出量を制御することが重要である。嵌込用溝の数、大きさを変えることで酸素の供給量及び二酸化炭素の排出量を制御することができる。
また、図3(d)に示すように、スペーサ(突起24)の形状を変えることで、流通する空気に対するスペーサの影響を少なくすることもできる。
透光性、保形性については、容器本体10と同様の素材を用いると好適である。従って、透明または半透明など透光性を有する樹脂製が適当であり、例えばポリプロピレンが好適である。
また、通気性を得るために、不織布やウレタン等のフィルタを備えた蓋を用いることも考えられる。フィルタを用いた蓋体の一例としては、蓋体内外に開けられた通気孔(外側:9.5mm×2.4mmのスリット×4ヶ所,内側:3mm口径の穴×4ヶ所)から出入した空気が蓋体内蔵のフィルタを介して通気が行なわれる形状がある。
しかし、内蔵されたフィルタ部分の透光性が低下してしまい、蓋体全体として十分な透光性を得ることができないので、本願発明のための蓋としては適していない。
また、フィルタ形状によっては、通気量を調整できず、必要以上に酸素が供給されてしまい、キノコの品質を低下させることも考えられ、適当でない。
本シイタケ容器栽培方法の各工程について説明する。工程は、培地製造工程と、種菌接種工程と、菌糸培養前期工程と、菌糸培養後期工程と、子実体生育工程と、採取工程と、から成る。
全体として、培地の生成からシイタケの収穫までの工程である。
(培地製造工程)
培地製造工程では、栽培容器1に、調整された培地30を適量充填する。
培地充填の際の培地上面部31の形状は、平型のほか、台形型、山(饅頭)型、すり鉢型、円錐型のいずれでも良い。また、平型については、全体として、多少の高低差があった方が良い。
このような形状をとることで、シイタケ菌糸蔓延後の培地上面部31の環境、特に培地水分量に相違が生じた結果、子実体育成工程において発生するシイタケ子実体の個数や発生するタイミングを調整することができる。
培地上面部31の上端部と下端部の高低差は20mm以内であると、好適である。
また、容器上端部(容器天端)と、きのこの発生面である培地頂点との距離は、5~20mmの範囲であると、シイタケの収穫の際、培地が深くならず、好適である。
また、このような範囲を取ることで、シイタケ菌糸蔓延後のきのこの原基形成に不可欠な「光」と「酸素」を培地上面部に対して効果的に供給できる。また、シイタケは培養中にきのこ原基形成を行うという特性を持っているが、空間を設けることで原基形成の場所を確保でき、それが物理的圧迫によって妨げられることを防止できる。
殺菌処理は、常圧殺菌でも可能であるが、効率性と確実性を向上させるために高圧殺菌で行うことが望ましい。培地温度118~120℃で40~50分程の殺菌処理である。
工程としては、培地を容器本体に充填し、その後、容器本体10を蓋体20で封して、殺菌処理を行う方法でもいいし、予め、殺菌処理を行った培地を容器本体10に充填し、蓋体20で封する方法でもよい。
蓋体20で封することで、培地の殺菌状態を保つことができる。
封した後、冷却し、保管される。
(種菌接種工程)
種菌接種工程では、培地製造工程にて殺菌し、冷却された後の栽培容器1について、蓋体20を外し、培地上面部31にシイタケ種菌を散布し接種した後、容器本体10を再び蓋体20で封する。
種菌は一般的なオガコ培地に菌糸を蔓延させたもの(オガコ種菌)のほか、液体培地での培養菌体や前述のオガコ種菌を無菌水等で希釈したもの(希釈種菌)等が使用できる。
ただし、オガコ種菌の場合は、該種菌接種によりきのこ原基形成空間が狭くなったり、発酵熱発生が顕著であったり、通気および光供給を減少させたりといったことが起こりやすく、きのこ発生には注意が必要である。したがって、液体培地での培養菌体もしくはオガコ種菌を無菌水で希釈した希釈種菌を使用することが望ましい。このことにより、きのこ原基形成部位、すなわち培地上面部の菌糸皮膜形成の抑制や接種面の菌糸熟度が優先的に高まり、きのこ原基形成を促進することができる。
また、シイタケ種菌を培地表面にのみ散布するのではなく、種菌を接種する場所として、接種孔32を設けることもできる。
実施例5に示すように、接種孔32を開けることで、種菌接種後の菌糸伸長や培地分解腐朽に伴う子実体原基形成を効率的に行なうことができる。接種孔32は培地上面中央部に一箇所あけることが通常であるが、それに加えて培地上面外縁部に複数箇所あけることで、隣り合う接種孔の子実体との接触を最小限にすることが出来、さらに菌糸伸長や分解腐朽を促進できるとともに子実体生育工程において発生個数や発生部位を調整することができる。
また、培地上面の中央部から略等距離の位置の複数箇所に接種孔32を開けることで、隣り合う接種孔32の子実体との接触を最小限にすることが出来、発生個数や発生部位を調整することができる。
各接種孔32は、子実体が生育する過程で、隣接する接種孔の子実体や容器の開口部12と接触しない程度の間隔があると好適である。
尚、接種孔32の形状については、常法に従えば足り、特に限定するものではないが、例えば穴径が20mm程度で、深さが培地底より0~30mm程度の上方高さ位置まで掘り進めた形状が想定し得る。
また、本工程で用いる種菌は、子実体発生面に菌糸塊を形成する前記菌糸培養後期工程において、褐変被膜が形成しにくいシイタケ菌株を用いると好適である。培養完了時に発生面の褐変化が多い品種は、発生率が低いことが確認されている。
(菌糸培養前期工程)
菌糸培養前期工程は、概要としては、酸素透過性があり、0.5ルックス未満の暗条件の環境下で、接種した菌糸を培地に蔓延させる工程である。酸素の供給は、容器本体10と蓋体20との嵌合部の隙間によって行われる。二酸化炭素の排出も嵌合部の隙間によって行われる。
種菌接種工程で接種した後、容器本体10の開口部12を蓋体20で封じ、20~25℃程度で所定期間培養する。望ましくは、暗黒下、0.1ルクス以下で管理する。なお、暗条件にすることが難しい場合は適時遮光する、あるいは、培地表面が0.5ルクス未満となるような遮光性、透光性を有する蓋体を適時使用することも効果的である。
この環境で、菌糸を培地全体に蔓延させる。
(菌糸培養後期工程)
菌糸培養後期工程は、酸素透過性があり、明条件の環境下で、原基形成を促す工程である。酸素の供給は、容器本体10と蓋体20との嵌合部の隙間によって行われる。二酸化炭素の排出も嵌合部の隙間によって行われる。
容器本体10及び蓋体20が透光性を持っており、かつ、培地面を容器の天端部14から5~20mmとすることで、菌糸伸長に必要な酸素を効率的に供給すると同時に、原基形成が行なわれる培地上面部に対して必要な光と酸素を効率的に供給できる。
前工程で、菌糸が培地全体に活着伸長しているので、照明を点灯させる。この際の光照射は、常時点灯でもいいし、間欠点灯でもいい。100ルクス以上が望ましいが、光量が多すぎると発生成績(発生率等)が低下する傾向があるので、大幅に光量を上げる必要は無い。
間欠点灯の場合は、例えば、2時間に15分程度の点灯や、1日のうち、午前8時~午後6時の点灯でも良い。点灯する際は、可能な限り斉一でばらつきなく点灯させる。均一な点灯とすることで、きのこ発生を斉一かつ安定的に行うことができる。均一な点灯の方法としては、LEDを用いることが有効である。例えば、LED(青色、白色等)等の照明を適時設定してもいいし、容器を棒積で培養する場合は、間にスペーサを設置したりしても良い。
容器本体10の透光性について実施例2に沿って、説明する。
培養完了後、蓋体20除去によりビン開口部12の培地上面部から子実体発生を誘導するためには、原理的には、培養工程で該部位のみに光照射があれば、原基形成から発芽至る際に光照射されることで、事足りると思われる。そうであれば、容器本体10のうち首部13を除いた胴11部は透光性が無くても良い。例として、胴部11を黒色のビンとする、あるいは胴部を黒色基材被覆で遮光することが考えられる。
しかし、実際には子実体発生部位ではない部分にも光照射を行なうことで、菌糸活力増大、培地分解腐朽、子実体発生部位への原基形成~発芽~生育誘導がより効率的に進むことが実施例2によって、裏付けられている。
従って、容器本体10の首部13及び胴部11の透光性が必要である。
(子実体生育工程)
子実体生育工程は、容器本体10から蓋体20を外し、子実体を発生させたい部位を開放し、特別の処理なく該部位から子実体の成長を促す工程である。
培養工程完了後、使用している品種に適した温度にした状態で、蓋体を除去する。適した温度とは、多くの場合、16~18℃である。
このとき、一般的な容器栽培きのこでは、何らかの発茸処理(例:菌掻きや覆土等)を行う。きのこ原基形成を誘導する必要があるためである。
子実体生育調整(発生個数、発生部位)、あるいは不定形子実体発生抑制のため、培養完了し、蓋体20を除去したタイミングで、
a)前記培地上面部に少なくとも一箇所の穴あけ処理を行なう。
b)前記培地上面部の一部を菌糸ごと除去する。
c)前記栽培容器に刺激を加える。
のうち少なくとも1つを行うことが考えられる。
穴あけ処理にあっては、培養工程完了後に子実体原基が形成されている培地上面部31のうち、商品価値が低い不定形子実体につながる接種孔およびその周辺あるいは容器口部周辺部に対して穴をあけることによって原基を減失させることができ、結果的に不定形子実体を除去したり子実体本数を調整したりすることができる。また、培地上面部31の菌糸の一部を除去する菌掻き処理も同様の理由で有効である。
さらに、刺激処理にあっては、栽培容器に打撃や振動等の刺激を加えることによって、培養工程完了後に形成されている子実体原基の子実体への分化を促すことができ、結果的に子実体本数を調整することができる。
きのこ生育まで数週間を要するが、シイタケの場合は培養完了時点で培地上面部にはきのこ発生のための原基がすでに準備されていることから、蓋体20を除去することによりきのこ生育が始まる。
(採取工程)
採取工程は、成熟した子実体を採取する工程である。子実体生育工程が、7~10日程度経過することで、きのこが成長し収穫できるようになる。
収穫は、栽培容器単位で行うことができるので、収穫作業を規格化しやすく、自動機の採用も容易に行うことができる。
以上、本発明に係るシイタケ容器栽培方法の各工程における基本的構成態様について説明したが、本発明は、上記構成態様に限定するものではない。
例えば、培地製造工程において、透光性を有する遮蔽物によって培地上面部31の任意の部分を覆うと共に、子実体生育工程における蓋体20を外したタイミングで、培地上面部31から該遮蔽物を除去する手段を採用することも可能であって、かかる構成態様を採用することで、子実体発芽を積極的に誘導することができる。
(実施例1)
本実施例では、栽培に適した容器の種類を確認した。
培地組成は、広葉樹オガコとチップを容量比1:1で混合したものに栄養体としてシイタケ短期栽培用ニューバイデル(株式会社北研)を培地仕上がり重量比8%添加、含水率を60%に調整後、栽培容器に規定量充填して高圧殺菌(118℃・60分)を行なった。放冷後、種菌としてHS911(株式会社北研)の液体培養菌体を接種して、20℃・100日間培養した。発生は、蓋体を除去して17℃で行なった。
上記条件の下、実際にビン栽培きのこで広く用いられている、なめこ用広口ビン(信越農材製800SB)、ぶなしめじ用ブロービン(同850)、エノキタケ用ブロービン2種類(同850SI-65と1100-70L)の試験区を設定し、発生率(発生容器数/全容器数)、きのこ発生個数・生重量・一個重を測定した(個数と生重量は発生容器のみで算出した)。
その結果を表1に示す。
蓋体の通気は、なめこ用容器では、蓋と容器本体嵌合部隙間の出入で行い、ぶなしめじ用とエノキタケ用容器では、蓋体内蔵の不織布フィルタを通じた出入で行った。
きのこ発生率(%)(発生容器数/供試容器数)、容器当たりのきのこ発生個数と生重は、エノキタケ用ブロービン2種類とぶなしめじ用ブロービンと比較して、なめこ用広口ビンで高値となった。
本願明細書記載のしいたけの容器栽培において、きのこを斉一かつ効率的に発生させるためには、第一にきのこが発生する面すなわち容器口部径が大きいことが必要である。また、容器に充填されている培地をしいたけ菌が効率的に利用するためには、第二に容器口部径と胴部径の差が小さいこと、すなわち容器口部径/容器胴部径率(%)が大きいことが必要である。さらに、培地内のしいたけ菌糸の伸長と原基形成に必要な酸素を効率的に供給できるように、酸素が供給される容器口部径が大きいとともに培地量が過剰ではない(培地高さが高くない)、すなわち容器口部径/容器高さ率(%)が大きいことが必要である。
以上の結果から、以降の実施例では容器標準系として、上記3要件を満たすことのできるなめこ広口ビンを用いることとした。なお、本願明細書記載のしいたけの容器栽培に用いる系は、この3要件を満たしていれば、なめこ広口ビンに限られるわけではない。
(実施例2)
本実施例では、菌糸培養工程の光条件を確認した。
方法は実施例1と同様で、栽培容器はなめこ用広口ビンを用いた。
菌糸培養前期ならびに後期工程における光の影響を検討するために、光照射期間による発生率へ影響を調査した。暗培養条件は1ルクス未満、明培養条件は5~100ルクスの光量で8時間点灯とした。また、培地側面部である胴部10(すなわち子実体発生部位以外の部分)への光の影響を確認するためにビン側面に100%遮光のため黒フィルムを被覆した区も設定した。
その結果、光照射は必要であること、必要な期間は、培養中後期である菌糸培養後期であることが分かった。すなわち本実施例で使用した専用品種HS911では、容器全体に菌糸が蔓延するタイミング、具体的には種菌接種後、菌糸培養前期である3週間ないし4週間までは暗培養とし、それ以降の菌糸培養後期は光照射を行う明培養とすることが最も適していることが分かった。
光照射部位については、子実体発生部位である培地上面部31のみならず培地側面部である胴部11にも光照射を行なうことで発生率が高くなる傾向があった。このことは、子実体発生部位でない部分、すなわち培地側面分である胴部11にも光照射を行なうことで菌糸活力の増大、培地分解腐朽、子実体発生部位への原基形成が促進されていることを示唆している。
(実施例3)
本実施例では、培地製造工程における培地上面形状を確認した。
方法は実施例1と同様で、栽培容器はなめこ用広口ビンを用い、菌糸培養前期工程は遮光条件とした。
培地上面部形状は、対照区(平型)、山(饅頭)型、すり鉢型、円錐型の試験区を設定し、発生率(発生容器数/全容器数)、きのこ発生個数・生重量・一個重を測定した(個数と生重量は発生容器のみで算出した)。
その結果を表3に示す。
対照区(平型)と比較して、山(饅頭)型は、発生率の向上、きのこ発生個数の増加とそれに伴う生重と一個重の低下傾向が認められた。一方ですり鉢型と円錐型は発生率では大きな違いはなかったが、きのこ発生個数の減少傾向が認められた。以上から、培地上面部形状を変化させることで、きのこ発生状態が調整できることが分かった。このことから、実生産では目的に応じた培地形状を採用すれば良いと考えられる。
(実施例4)
本実施例では、容器高さによる発生へ及ぼす影響を確認した。
方法は実施例1と同様で、栽培容器はなめこ用広口ビンとそれに基づいた試作ビンを用いた。
容器高さは対照区(容器高さ140mm)、試験区(120mm、100mm、70mm)を設定し、発生率(発生容器数/全容器数)、きのこ発生個数・生重量・一個重を測定した(個数と生重量は発生容器のみで算出した)。
その結果を表4に示す。
試験区に関係なく、ビン口部、首長、胴部は同一であり、それぞれ72Φ、20mm、95Φである。
対照区と比較して、試験区1~3ではきのこ発生率で大きな違いは認められなかったが、高さに比例してきのこ発生個数、生重、一個重が増加した。以上の結果から、今回供試した容器高さの範囲で実用上問題は無いと考えられたが、培地利用率やコストの観点からは、試験区1~2が優れていると判断した。
(実施例5)
本実施例では、接種孔32が発生に与える影響を確認した。
方法は実施例1と同様で、栽培容器はなめこ用広口ビンを用いた。
接種孔なしの場合は、菌糸伸長が遅くなるとともに発生率、子実体発生個数、生重が低下することが分かった。一方、接種孔あり(中央1箇所ならびに中央1箇所+外縁4箇所)は、菌糸伸長が接種孔なしと比較して早く、特に中央1箇所+外縁4箇所区は顕著に早かった。
この2区間では、発生率では違いが認められなかったが、中央1箇所+外縁4箇所区では顕著に芽数が多くきのこサイズが低下した。また、区に関係なく芽数が多くなると子実体間、接種孔や容器口部と物理的に干渉することによって商品価値の低い不定形子実体発生が認められた。以上のことから、接種孔有無は発生率に大きく影響すること、接種孔数と部位は子実体発生芽数やサイズに影響することが分かった。実栽培においては、希望するきのこの品質等を勘案して接種孔の数や部位を設定する必要がある。
(実施例6)
本実施例では、子実体生育工程において、培養工程完了時の物理的な発茸処理による影響を確認した。
栽培方法は、実施例1と同様で、栽培容器はなめこ用広口ビンを用い、培地成形は平型、培養前期工程は遮光条件とした。
物理的な発茸処理は、対照区として、なし(蓋体除去のみ)、あり(穴あけ)、あり(菌掻き)、あり(栽培容器に打撃一回)区を設定し、発生率(発生容器数/全容器数)、きのこ発生個数・生重量・一個重を測定した(個数と生重量は発生容器のみで算出した)。その結果を表6に示す。
対照区の処理なし(蓋体除去のみ)と比較して、あり(穴あけ)およびあり(菌掻き)区では子実体発生部位や子実体原基が減失したことに伴い、きのこ発生率の低下、きのこ発生個数および生重の減少、商品価値の低い不定形子実体発生個数の減少が認められ、子実体本数やきのこ品質が調整できることが確認された。
一方、栽培容器に打撃等の物理的処理を加えることで、きのこ発生率の向上、きのこ発生個数および生重の増加とそれに伴うきのこ一個重の低下傾向が認められた。
以上のことから、実栽培ではこれらの物理的処理に掛かる労力を勘案した上で希望するきのこ品質の誘導を行うことができる。
(実施例7)
本実施例では、品種による発生へ及ぼす影響を確認した。
方法は実施例1と同様で、品種別に発生率(発生容器数/全容器数)、きのこ発生個数・生重量・一個重を測定した(個数と生重量は発生容器のみで算出した)。
対照は、本発明の標準系として供試しているHS911(株式会社北研)とし、試験区に従来栽培系(栽培容器として袋体を使用)で多く用いられている、北研600号、HS607、HS705、HS715、CA901、CA902、HS903、HS905(いずれも株式会社北研)を供試した。なお、HS911は請求項8に示したとおり、菌糸培養後期工程で培地上面(発生時に露出される部位)に菌糸塊は形成されるが、褐変被膜は形成しにくい特徴を有している(試験区として供試した他の品種はいずれも菌糸塊ならびに褐変被膜を良好に形成する)。
その結果を表7に示す。
培養完了時に発生面の褐変化が弱い対照(HS911)では、発生率100%、子実体発生個数、生重、一個重の結果から商品価値がある子実体が斉一に発生したが、培養完了時に発生面の褐変化が良好である試験品種すべてで発生率が低水準であった。このことから、本願発明の栽培には、対照(HS911)が最も適合していると考えられた。
本発明により、全工程において容器を用いた栽培方法を提供できる。それによって、従来の袋栽培方法で掛かっていた多大な労力、コストを削減できるため生産者が適正な利益を確保できる。また、消費者も安定的かつ適正な価格でシイタケを購入できる。本発明栽培方法は、主としてシイタケに対する栽培を対象とする。
1 栽培容器
10 容器本体
11 胴部
12 開口部
13 首部
14 天端部(容器上端部)
20 蓋体
21 枠部
22 天面部
23 通気用窪み
24 突起
30 培地
31 培地上面部
32 接種孔

Claims (11)

  1. 透光性と保形性を備え、上面に開口部を配して一定量の培地が充填可能な筒状の容器本体と、該容器本体上面の開口部を封する透光性、通気性、保形性を備えた蓋体とを備えた栽培容器を用い、
    a)殺菌処理した培地を該容器本体に充填し、該蓋体で封する、又は、該培地を充填した後に該容器本体を該蓋体で封して殺菌処理する、培地製造工程と、
    b)該蓋体を外し、該培地表面にシイタケ種菌を散布した後に、該容器本体を再び該蓋体で封する種菌接種工程と、
    c)酸素透過性があり、かつ、暗条件の環境下で、接種した菌糸を培地に蔓延させる菌糸培養前期工程と、
    d)酸素透過性があり、かつ、明条件の環境下で、原基形成を促す菌糸培養後期工程と、
    e)該原基形成が完了したら、該容器本体から該蓋体を外し、子実体の成長を促す子実体生育工程と、
    f)成熟した該子実体を採取する採取工程と、
    から構成されることを特徴とするシイタケ容器栽培方法。
  2. 前記容器本体は、円筒状、四角筒状、多角筒状のいずれかであり、前記開口部の胴部に対する径率が、70%以上であり、前記開口部直径の前記容器本体の高さに対する比率が50%以上としたことを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  3. 前記容器蓋体は、フィルタを用いず、嵌合部の隙間を通してのみ酸素供給および二酸化炭素排出が行なわれることを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  4. 前記培地製造工程において、前記培地を、培地頂点と容器天端の距離が5~20mmになるように充填したことを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  5. 前記培地製造工程において、前記培地の上面の形状を平型、台形型、饅頭型、円錐形、すり鉢型のいずれかとし、その高低差が20mm以内であることを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  6. 前記培地製造工程において、接種孔が
    a)前記培地上面の中央部の一箇所
    b)前記培地上面の外縁部の複数箇所
    c)前記培地上面の中央部から略等距離の位置の複数箇所
    の少なくとも1つに当てはまる位置に開けられていることを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  7. 前記菌糸培養前期工程は、0.5ルクス未満の暗条件としたことを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  8. 前記菌糸培養後期工程は、100ルクス以上の明るさで、常時点灯もしくは間欠点灯としたことを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  9. 前記種菌接種工程で用いる前記シイタケ種菌は、子実体発生面に菌糸塊を形成する前記菌糸培養後期工程において褐変被膜が形成しにくいシイタケ菌株であることを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  10. 前記子実体生育工程において、培養完了し前記蓋体を除去したタイミングで、
    a)前記培地上面部に少なくとも一箇所の穴あけを行なう
    b)前記培地上面部の一部を菌糸ごと除去する
    c)前記栽培容器に刺激を加える
    のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項1に記載のシイタケ容器栽培方法。
  11. 前記蓋体は、嵌込み式であり、
    前記嵌合部の隙間は、前記蓋体の内周の軸方向に形成された溝と、前記容器の首部とによって、形成されていることを特徴とする請求項3に記載のシイタケ容器栽培方法。

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