JP2024032676A - イムノクロマトアッセイ用メンブレン - Google Patents

イムノクロマトアッセイ用メンブレン Download PDF

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Abstract

【課題】優れた吸水性能、タンパク質結合性能を有し、かつ、生産性および検査精度にも優れたイムノクロマトアッセイ用メンブレンを提供することを課題とする。【解決手段】少なくともセルロースパルプ、ナイロンナノファイバーを含む湿式不織布からなるイムノクロマト用メンブレンであって、前記湿式不織布の平均流量孔径が0.5μm以上10.0μm以下であり、空隙率が50%以上90%以下であることを特徴とするイムノクロマトアッセイ用メンブレンである。【選択図】図1

Description

本発明は、イムノクロマトアッセイ用メンブレンに関する。
従来から、ウイルスや細菌等の病原体への感染、妊娠、食品中の有害物質(特定原材料、残留農薬等)等の有無を検査する診断キットとしてラテラルフロー式のイムノクロマトアッセイが使用されている。また、近年では新型コロナウイルスの流行に伴う在宅医療の増加や医療機関におけるPOCT(PointOfCareTesting)の普及に伴い、簡易、迅速、安価に検査が可能なイムノクロマトアッセイの需要が増加している。
一般的なイムノクロマトアッセイは、被検出物質を含んだ検液を滴下するサンプルパッド、金コロイド標識抗体を含有するコンジュゲートパッド、補足抗体がライン状に固定されたテストライン/コントロールラインを有する多孔質メンブレン(以下、メンブレン)、メンブレン展開後の検液を吸収する吸収パッドから構成される。サンプルパッドに滴下された検液中の被検出物質がコンジュゲートパッド中の金コロイド標識抗体と結合した状態でメンブレン内を毛細管現象により流れ、メンブレンに固定されたテストライン(補足抗体)で補足され発色することにより陽性と判断され(被検出物質が含まれていない場合は発色しない)、コントロールラインの発色で検査が完了したことが示される。
これらイムノクロマトアッセイ用部材のうち、メンブレンは検査時間/検査精度を決定する重要部材であり、毛細管現象により検液を展開するための吸水性能、タンパク質である補足抗体を固定するためのタンパク質結合性能が必要となる。
ここで特許文献1には、吸水性能とタンパク質結合性能に優れたメンブレンとして、ニトロセルロース多孔質膜を界面活性剤で処理したメンブレンが提案されている。本メンブレンは、タンパク質結合性能に優れるニトロセルロース多孔質膜を界面活性剤で処理することにより吸水性能を発現させた構成であり、イムノクロマトアッセイに好適に使用することができる。
また、特許文献2には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のポリマーからなるナノ繊維を含む不織繊維膜が提案されている。本不織繊維膜は、前記ポリマーを電界紡糸法、電気ブロー法等で製布した後、界面活性剤で処理し吸水性能を発現させた構成であり、上述したニトロセルロース多孔質膜同様に吸水性能とタンパク質結合性能を有し、イムノクロマトアッセイに使用することができる。
特許第6008670号公報 特表2021-9065号公報
上述した特許文献1に開示されたイムノクロマトアッセイ用メンブレンにおいては、吸水性能とタンパク質結合性能を有するものの、ニトロセルロース多孔質膜の脆性が高く、引張、曲げ等の応力が加わった際、欠け、割れ、折れ、破れ等が発生し易く生産性に劣るという課題がある。また、ニトロセルロース多孔質膜は、化学的な安定性に劣り可燃性を有するため、生産時、使用時の取り扱いに注意が必要である。さらに、疎水性であるニトロセルロース膜多孔質膜を界面活性剤で処理し吸水性能を発現させる必要があるため、使用する界面活性剤によっては被検出物質の移動を阻害する等して検査精度が低下する可能性がある。
一方、上述した特許文献2に開示されたイムノクロマトアッセイ用メンブレンにおいては、ナノ繊維不織繊維膜からなるメンブレンであるため脆性が低く、欠け、割れは発生し難いものの、数平均繊維直径が細いナノ繊維のみで構成されているため、折れ、破れが発生し易い傾向にあり、生産性が劣るという課題がある。また、電界紡糸法、電気ブロー法により製造した場合、生産性が劣るという課題がある。さらに、PMMA、PVDF等の樹脂を用いた場合、ニトロセルロース多孔質膜同様に界面活性剤で処理し、吸水性能を発現させる必要があるため検査精度が低下する可能性がある。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑み、優れた吸水性能、タンパク質結合性能を有し、かつ、生産性および検査精度にも優れたイムノクロマトアッセイ用メンブレンを提供せんとするものである。

本発明は、かかる課題を解決するため、次のような構成を採用したイムノクロマトアッセイ用メンブレンである。すなわち、
(1)少なくともセルロースパルプ、ナイロンナノファイバーを含む湿式不織布からなるイムノクロマト用メンブレンであって、前記湿式不織布の平均流量孔径が0.5μm以上10.0μm以下であり、空隙率が50%以上90%以下であるイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(2)前記セルロースパルプのカナダ標準ろ水度が500mL以上800mL以下である(1)のイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(3)前記ナイロンナノファイバーの数平均繊維直径が100nm以上500nm以下であり、含有量が5質量%以上30質量%以下である(1)および(2)のイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(4)さらに、芯鞘型複合短繊維を含む(1)~(3)のいずれかのイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(5)さらに、表面に8個以上のスリットを有するスリット断面短繊維を含み、前記スリット断面短繊維の繊維径が5.0~50.0μmである、(1)~(4)いずれかのイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(6)バイレック法で測定した展開速度(CFT)が70sec/40mm以上500sec/40mm以下であり、かつBCA法で測定したタンパク質結合量が10μg/cm以上35μg/cmである(1)~(5)のいずれかのイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(7)界面活性剤の含有量が0.01質量%以下である(1)~(6)のいずれかのイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(8)引張強度が5N/15mm以上である(1)~(7)のいずれかに記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレン、
(9)表面粗さRaが8μm以下である(1)~(8)のいずれかに記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレンである。
本発明によれば、優れた吸水性能、タンパク質結合性能を有し、かつ、生産性および検査精度にも優れたイムノクロマトアッセイ用メンブレンを提供することができる。
本発明のスリット断面短繊維の横断面構造の一例の概略図である。
本発明のイムノクロマトアッセイ用メンブレンは、少なくともセルロースパルプおよびナイロンナノファイバーを含む湿式不織布からなるイムノクロマト用メンブレンであって、前記湿式不織布の平均流量孔径が0.5μm以上10.0μm以下であり、空隙率が50%以上90%以下である。
本発明のイムノクロマトアッセイ用メンブレン(以下、単にメンブレンと称することがある)は、少なくともセルロースパルプおよびナイロンナノファイバーを含むスラリーを抄紙法により製布した湿式不織布から構成される。そして、セルロースパルプとナイロンナノファイバーを含む湿式不織布は、脆性が低いため、引張、曲げ等の応力が加わった際、欠け、折れ、破れ等の破損が生じ難く生産性に優れる。
また、セルロースパルプ、ナイロンナノファイバーともに親水性を示すため、得られた湿式不織布も親水性を示し、平均流量孔径と空隙率を上述した範囲に調整することにより、湿式不織布の吸水性能が優れたものとなり、湿式不織布からなるメンブレンも吸水性能も優れたものとなる。また、タンパク質結合性能を有するナイロンをナノファイバーとしたナイロンナノファイバーを使用することにより、湿式不織布のタンパク質結合性能が優れたものとなり、湿式不織布からなるメンブレンもタンパク質結合性能に優れたものとなる。
以下、本発明の詳細について順に説明する。
<セルロースパルプ>
本発明のセルロースパルプについて説明する。本発明のセルロースパルプはセルロースを主成分とするパルプであり、木材繊維からなるNパルプ(針葉樹パルプ)、Lパルプ(広葉樹パルプ)、木材以外の植物繊維からなる麻パルプ、バガスパルプ、ケナフパルプ、バンブーパルプ等を挙げることができ、これらパルプを1種、または2種以上含むものである。これらセルロースパルプを叩解しフィブリル化させた状態で使用することにより、水素結合によるセルロース分子間の相互作用により脆性が低い湿式不織布となり、湿式不織布からなるメンブレンも脆性が低いものとなる。本発明で用いるセルロースパルプは特に限定されないが、より強固な湿式不織布を得るとの観点から木材繊維からなるNパルプ(針葉樹パルプ)、Lパルプ(広葉樹パルプ)をそれぞれ単独、あるいは併用することが好ましい。
上述したフィブリル化はセルロースパルプを毛羽立たせ結合を促す操作であり、叩解が少なければパルプ間の結合が進まず、結果として、平均流量孔径が大きく、空隙が多い湿式不織布となる。一方で、叩解が進むとパルプ間の結合が進み、結果として、平均流量孔径が小さく、空隙が少ない湿式不織布となる。フィブリル化の指標として、JIS P8121:1995で規定されるカナダ標準ろ水度(以下、ろ水度)が500mL以上であることが好ましく、600mL以上であることがより好ましく、700mL以上であることがさらに好ましい。ろ水度の下限を上述した範囲としたパルプを使用することで、メンブレンとした場合に毛細管現象が促進され、より吸水性能に優れたものとなる。一方、ろ水度の上限に特に限定はないが、800mL以下のパルプを使用することが好ましく、750mL以下のパルプを使用することがより好ましい。ろ水度の上限を上述した範囲としたパルプを使用することで、メンブレンとした場合に、より金コロイドの発色性に優れたものとなる。一般的に、平均流量孔径が大きく、空隙が多いほど検液の展開速度が速く、テストライン/コントロールラインが滲み易く、発色が淡いメンブレンとなる。一方で、平均流量孔径が小さく、空隙が少ないほど、検液の展開速度が遅く、テストライン/コントロールラインが滲み難く、発色が濃いメンブレンとなる。以上のことにより、平均流量孔径は、目標とする展開速度と発色性に合わせて適宜選定すれば良い。
<ナイロンナノファイバー>
次に本発明のナイロンナノファイバーについて説明する。本発明のナイロンナノファイバーは、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)などのポリアミドからなる繊維直径がナノメートル(nm)レベル、すなわち1~1000nmの繊維である。なお、繊維断面が円形でない異形断面の場合は同面積の円形に換算したときの繊維直径に基づくものとする。
ナイロンナノファイバーは、湿式不織布にタンパク質結合性能を付与し、湿式不織布からなるメンブレンのタンパク質結合性能を優れたものとするため必須の部材である。タンパク質結合性能を有するナイロンをナノファイバーとして用いることにより、表面積が増大しタンパク質結合性能に優れた湿式不織布となる。また、親水性を示すナイロンナノファイバーを用いることにより、湿式不織布の吸水性能と発色性のバランスを高いレベルで両立することができる。つまり、ナイロンナノファイバーにより毛細管現象が促進され、セルロースパルプ単独からなる湿式不織布と比較し、より小さい平均流量孔径で同等の吸水性能を発現させることが可能となるため、テストライン/コントロールラインが滲み難く、発色に優れたものとなる。
上述した観点から、ナイロンナノファイバーの数平均繊維直径の上限は750nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。一方、下限は生産性とのバランスから10nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
次にナイロンナノファイバーの含有量について説明する。湿式不織布全体に対するナイロンナノファイバーの含有量の増加に伴いタンパク質結合性能は増加するが、平均流量孔径が小さくなり、空隙も少なるため吸水性能が低下する傾向にある。よって、ナイロンナノファインバーの湿式不織布全体に対する含有量の下限は1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。一方、上限は35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。ナイロンナノファイバーの含有量を上述した範囲とすることによりタンパク質結合性能と吸水性能を両立することができる。
また、本発明のメンブレンにおいては、湿式不織布は、数平均繊維直径が100nm以上500nm以下のナイロンナノファイバーを湿式不織布の全体に対し5質量%以上30質量%以下含有することが好ましい。このような湿式不織布を備えるメンブレンはタンパク質結合性能と吸水性能をより高いレベルで両立することができる。
<芯鞘型複合短繊維>
本発明のイムノクロマトアッセイ用メンブレンは、セルロースパルプおよびナイロンナノファイバーに加えて、さらに芯鞘型複合短繊維を含むことが好ましい。この芯鞘型複合短繊維は、鞘部を構成する樹脂が芯部を構成する樹脂対比で融点が低い樹脂の組み合わせであれば特に限定されることはない。芯部/鞘部を構成する樹脂の組み合わせとして、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエステル/ポリエチレン、ポリエステル/ポリエステル共重合体などの組み合わせを挙げることができる。
本発明の芯鞘型複合短繊維は、熱風や加熱プレス等の熱エネルギーにより融点が低い鞘部の樹脂が溶融する。従って芯鞘型複合短繊維を併用した湿式不織布は、芯鞘型複合繊維によりセルロースパルプとナイロンナノファイバーが部分的に熱接着されたものとなり、本湿式不織布を用いたイムノクロマトアッセイ用メンブレンは、水分を含んだ際、厚みや表面粗さ等の形状が変化し難いものとなる。非特異反応抑制を目的としたブロッキング処理を実施する場合でも同様の効果が得られるため芯鞘型複合短繊維を用いることが好ましい。
次に、芯鞘型複合短繊維の含有量について説明する。湿式不織布全体に対する芯鞘型複合短繊維の含有量の増加に伴い、芯鞘型複合短繊維とセルロースパルプ、およびナイロンナノファイバーの接着点が増加し、吸水した際に厚みや表面粗さ等の形状が変化し難いものとなる。本効果がより顕著になるとの観点から芯鞘型複合短繊維の湿式不織布全体に対する含有量の下限は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。一方で、芯鞘型複合短繊維の含有量が増加すると溶融した芯鞘型複合短繊維により空隙が小さくなり吸水性能が低下する傾向にある。よって。上限は50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。芯鞘型複合短繊維の含有量を上述した範囲とすることにより水分を含んだ際の形状安定性と吸水性能を両立することができる。
<スリット断面短繊維>
本発明のイムノクロマトアッセイ用メンブレンは、セルロースパルプおよびナイロンナノファイバーに加えて、さらにスリット断面短繊維を含むことが好ましい。このスリット断面短繊維は、表面に8個以上のスリットを有するものである(図1参照)。表面に8個以上のスリットを有することで、繊維間の空隙を十分に確保することが可能となり、吸水性能を向上させることが可能となる。さらに、セルロースパルプ、ナイロンナノファイバーに加えて、上記の芯鞘型複合短繊維およびスリット断面短繊維を併用した構成の湿式不織布とし、それをイムノクロマトアッセイ用メンブレンに用いることも好ましい。この場合、溶融した芯鞘型複合短繊維により小さくなった繊維間の空隙を大きくすることが可能となり吸水性能の向上に寄与する。
スリット断面短繊維のスリットは、8個以上あれば繊維間の空隙を十分に確保することが可能となるが、繊維間の空隙を確保し吸水性能に優れた湿式不織布を得るとの観点からスリットは16個以上であることが好ましく、24個以上であることがより好ましい。なお、スリットの個数の実質的な上限は、繊維製造用の紡糸口金の加工精度を考慮すると100個以下であることが好ましい。
また、スリット断面短繊維の繊維径が、5.0~50.0μmであることにより、湿式不織布の均一性を維持した上で十分な強度を付与することが可能となる。一般的に繊維径が細いほど湿式不織布の均一性が高まり、繊維径が太いほど湿式不織布の強度が向上する傾向にある。上述した観点から、スリット断面短繊維の繊維径は、7.0~40.0μmであることが好ましく、9.0~35.0μmであることがより好ましい。ここで、湿式不織布の均一性が維持されいているとは、無作為に選定した湿式不織布の表面の一部において、特定の密度でスリット断面短繊維が存在しており、さらに、特定の密度でスリット断面短繊維の表面にあるスリットが存在していることを意味する。
本発明に用いるスリット断面短繊維の樹脂は、ポリオレフィン、ポリエステル、およびナイロン等の合成樹脂から適宜選定すればよく特に限定されるものではないが、タンパク質の吸着量が増大するとの観点からナイロンを用いることが好ましい。
次に、スリット断面短繊維の含有量について説明する。湿式不織布全体に対するスリット断面短繊維の含有量の増加に伴い、空隙率が高い湿式不織布となり吸水速度が向上する傾向にあるが、湿式不織布の表面に露出するスリット断面短繊維が増加し、湿式不織布の表面粗さが低下する傾向にある。よって、スリット断面短繊維の湿式不織布全体に対する含有量の下限は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。一方、上限は40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。スリット断面短繊維の含有量を上述した範囲とすることにより吸水性能と表面粗さを両立することができる。
<湿式不織布>
次に本発明のメンブレンが備える湿式不織布について説明する。本発明のメンブレンが備える湿式不織布は少なくともセルロースパルプおよびナイロンナノファイバーを含むものであり、これらに加えて、さらに、芯鞘型複合短繊維、および/またはスリット断面短繊維を含むことが好ましいものである。これら成分に加え、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂など他の熱可塑性樹脂単成分からなる繊維を含んでいてもよい。 なお、吸水性能をより向上させるためアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤を1種または2種以上組み合わせて使用しても良いが、界面活性剤が検液に含まれる被検出物質の移動を阻害する等して検査精度が低下する可能性があるため、界面活性剤の含有量は、湿式不織布全体に対し0.5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。なお、界面活性剤の含有量については、液体クロマトグラフ質量分析計等の既知の装置・方法で検出することができる。
本発明のメンブレンが備える湿式不織布は、優れた吸水性能とタンパク質結合性能を有するメンブレンを得るため、吸水性能とタンパク質結合性能に優れたものである。以下、順に説明する。
(1)吸水性能
湿式不織布の吸水性能は、メンブレンとした場合の検液の展開速度に影響を与える性能である。イムノクロマトアッセイは、抗原抗体反応を応用した診断キットであり、被検出物質(抗原)と補足抗体の種類によって抗原抗体反応に要する時間が異なる。よって、メンブレンの展開速度を一定の範囲で制御する必要があり、展開速度の指標であるCFT(キャピラリーフロータイム)で30秒/40mm以上であることが好ましく、70秒/40mm以上であることがより好ましい。CFTの下限を30秒/40mmとすることにより、被検出物質(抗原)と補足抗体との結合が充分なものとなり、テストライン/コントロールラインの発色に優れ、検査精度の高いメンブレンとなる。CFTの下限を70秒/40mmとすることによりこの効果はより高いものとなる。
一方、CFTの上限は500秒/40mm以下であることが好ましく、300秒であることが好ましい。CFTの上限を500秒/40mm以下とすることで検査時間の短縮が可能となる。CFTの上限を300秒/40mm以下とすることでこの効果は顕著なものとなる。
(2)タンパク質結合性能
湿式不織布のタンパク質結合吸水性能は、メンブレンとした場合のテストライン/コントロールラインの発色の濃淡に寄与するため、検査精度に影響を与える性能である。イムノクロマトアッセイは、金コロイド標識抗体と結合した被検出物質がテストラインに固定された補足抗体(タンパク質)に補足されることにより金コロイドが凝集し発色するため、補足抗体の量が多いほど濃く発色し検査精度が向上する。
タンパク質結合性能の指標として、BCA法(詳細は後述)で測定したタンパク質吸着量が10μg/cm以上であることが好ましく、13μg/cm
以上であることがより好ましい。タンパク質吸着量を10μg/cm以上とすることで補足抗体の量が充分なものとなり濃く発色するため、検査精度の高いメンブレンとなる。13μg/cmとすることによりこの効果は顕著なものとなる。一方、タンパク質吸着量の上限に特に限定はないが35μg/cm以下であることが好ましく、30μg/cmであることがより好ましい。タンパク質である補足抗体は高価であるため35μg/cmを超えて吸着させても経済的に好ましくない。
上述した吸水性能とタンパク質結合性能を上記の範囲内とするためには、セルロースパルプの叩解度(ろ水度)とナイロンナノファイバーの数平均繊維直径およびナノファイバーの含有量等を上述した好適な範囲内とし、後述する平均流量孔径と空隙率の好適な範囲内とすることが重要である。
本発明のメンブレンが備える湿式不織布の平均流量孔径は、メンブレンとした場合の検液の展開速度を制御しつつ、テストライン/コントロールラインの発色を良好なものとするとの観点から、0.5μm以上、10.0μm以下であることが必須であり、1.0μm以上、5.0μm以下であることが好ましい。平均流量孔径の下限が0.5μmを下回ると毛細管現象による吸水が不十分となり、メンブレンとした場合の検液の展開速度が低下する。そして、平均流量孔径を1.0μm以上とすることで毛細管現象を促進でき、検液の展開速度がより優れたものとなる。一方、上限が10.0μmを超えると展開速度に優れるもののメンブレンとした場合のテストライン/コントロールラインの滲みが大きくなり発色が劣るものとなる。そして、平均流量孔径を5.0μm以下とすることでメンブレンとした場合のテストライン/コントロールラインの滲みを抑制でき発色に優れたものとなる。
次に本発明のメンブレンが備える湿式不織布の空隙率は、メンブレンとした場合の検液の展開速度を制御しつつ、テストライン/コントロールラインの発色を良好なものとするとの観点から、50%以上、90%以下であることが必須であり、55%以上、85%以下であることが好ましい。空隙率が50%を下回ると毛細管現象による吸水が不十分となり、メンブレンとした場合の検液の展開速度が低下する。また、テストライン/コントロールラインを構成する補足抗体の保持量が低下し、メンブレンとした場合の発色に劣るものとなり、結果として検査精度に劣ったものとなる。そして、空隙率を55%以上とすることでより抗体の保持量が充分なものとなりテストライン/コントロールライン発色に優れたものとなり、結果として、メンブレンの検査精度は優れたものとなる。一方、空隙率が90%を超えると、引張、曲げ等の応力が加わった際、欠け、割れ、折れ、破れ等の破損が発生し易いメンブレンとなり生産性に劣る。そして、空隙率を85%以下とすることでより生産性に優れたものとなる。
本発明のメンブレンが備える湿式不織布の坪量は20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることがより好ましい。坪量の下限を20g/mとすることにより、破損し難い湿式不織布となり生産性が向上する。また、厚み方向にナイロンナノファイバーが積み重なり、タンパク質結合性能が充分なものとなる。坪量の下限を30g/mとすることでこの効果は顕著なものとなる。一方、坪量の上限は100g/m以下であることが好ましく、80g/m以下であることがより好ましい。坪量の上限が100g/mあればメンブレンとした場合に充分な性能を有するため、100g/mを超えて坪量を上げても経済的に好ましくない。
本発明のメンブレンが備える湿式不織布の厚みは50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。厚みを50μm以上とすることで、湿式不織布単体でも自立性があり、湿式不織布が破損し難くなり、結果として、メンブレンの生産性が向上する。湿式不織布の厚みを100μm以上とすることでこの効果は顕著となる。一方、湿式不織布の厚みは200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。厚みが増すほどメンブレンとした場合の補足抗体の量が増加するため経済的に好ましくない。
上述した坪量、厚みとすることにより、本発明のメンブレンが備える湿式不織布の引張強度は優れたものとなり、応力が加わった際、欠け、割れ、折れ、破れ等が発生し易く生産性に優れたものとなる。本発明のメンブレンが備える湿式不織布の引張強度は5N/15mm以上であることが好ましい。引張強度を5N/15mm以上とすることで、機械特性に優れ、破損し難い湿式不織布となり生産性が向上する。
また、本発明のメンブレンの引張強度は5N/15mm以上であることが好ましい。引張強度を5N/15mm以上とすることで、機械特性に優れ、破損し難いメンブレンとなり生産性が向上する。また、メンブレンの引張強度を上記の範囲とするための手段としては、本発明のメンブレンが備える湿式不織布の引張強度を5N/15mm以上とすることが挙げられる。
また、本発明のメンブレンが備える湿式不織布の表面粗さRaは8μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましい。表面粗さを8μm以下とすることで、湿式不織布の平滑性が向上し、メンブレンとした場合のテストライン/コントロールラインの発色が良好なものとなり、視認し易くなるため好ましい。表面粗さRaを7μm以下、6μm以下とすることでこの効果は顕著なものとなる。
表面粗さRaを小さくし、平滑性を向上する手法について特に限定するものではないが、回転する一対のロール、または複数本のロール間に押圧させるカレンダー装置やプレス装置により圧密化することが好ましい。この際、温度をかけ、ナイロンナノファイバーまたは他の熱可塑性繊維を融着させても良い。
本発明のメンブレンの表面粗さRaは8μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましい。表面粗さを8μm以下とすることで、メンブレンのテストライン/コントロールラインの発色が良好なものとなり、視認し易くなり検査精度が向上するため好ましい。表面粗さRaを7μm以下、6μm以下とすることでこの効果は顕著なものとなる。なお、メンブレンの表面粗さRaを上記の範囲とするための手段としては、本発明のメンブレンが備える湿式不織布の表面粗さRaを上記の好適な範囲とすることが挙げられる。
<湿式不織布の製造方法>
本発明のメンブレンが備える湿式不織布の製造方法について説明する。本発明の湿式不織布の製造方法は、まず、ビーター、ディスクリファイナー、デラックスファイナー等で叩解し、フィブリル化させ叩解度(ろ水度)を調整したセルロースパルプとナイロンナノファイバーを水中に分散させ、丸網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機で抄紙する。この際、ナイロンナノファイバーのアスペクト比が大きく繊維同士が絡みやすいため、セルロースパルプとナイロンナノファイバーを個別に分散させ、抄紙直前で混ぜ合わせ抄紙することが好ましい。また、メンブレンとした場合の検査精度に影響を与えない範囲で分散剤、浸透剤等を添加し、分散性を向上させても良い。
本発明で用いることができる抄紙法は、組成の異なる繊維同士、数平均繊維直径の異なる繊維同士等を複合した不織布を生産することが可能であり、面内の性能バラツキが少なく品質にも優れ、メンブレンの生産に適している。また、得られる不織布の単糸繊度のバラツキが大きく、高電圧を必要とし、生産性にも劣る電界紡糸法、電気ブロー法等と比較してナノレベルの繊維を不織布化するために好ましい製造方法である。
以下に本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本実施例中に示すメンブレンの特性値等の測定方法は次のとおりである。また、H項の発色性の評価を除く試験に用いる試験片は、JIS P8111に準じて前処置したものを使用した。
A.坪量(1)引用規格
JIS P8124:1998
(2)測定方法
質量(g)を測定し、1mあたりの質量(g/m)に換算した。
(3)測定条件
・サイズ : 100mm×100mm
・n数 : 5 。
B.厚み
(1)測定方法
デジタルシックネスゲージ「SMD-565J-L(株式会社テクロック社製)を用い測定した。
(2)測定条件
・測定子 : φ10mmセラミック
・n数 : 5 。
C.空隙率
(1)測定方法
質量(g)、体積(cm)を測定し、次式により見かけ密度(g/cm)、を算出した後、空隙率(%)を算出した。なお、セルロースパルプの真密度は1.5g/cm、ナイロンの真密度は1.13g/cmを用いた。
(2)測定式
見かけ密度=質量(g)/体積(cm
空隙率(%)=(1-見かけ密度/真密度)×100 。
D.平均流量孔径
(1)引用規格
ASTM E1294-89:1999
(2)測定方法
パームポロメーター「CFP-1500(PMI社製)を用いて測定した。
(3)測定条件
・サイズ : φ25mm
・加圧法 : Wet加圧/Dry加圧
・濡れ試薬 : Galwick(表面張力15.9mN/m)、3mL
・算出法 : ハーフドライ法
・n数 : 3 。
E.湿式不織布の組成
(1)セルロースパルプ
湿式不織布の近赤外吸収スペクトルを近赤外吸収スペクトル法(NIR)で測定し、セルロース由来の吸収ピークの有無を分析した。
(2)ナイロンナノファイバー
湿式不織布の赤外吸収スペクトル(FT-IR法)、融点(DSC法)を測定し、ナイロンの有無を分析した。
F.展開速度
(1)測定方法
垂直に設置した試験片の片端から、フェノールレッド水溶液(0.4g/L)を吸水させ、40mmに到達する時間を測定した。タテ方向、ヨコ方向の平均値を「バイレック法で測定した展開速度(CFT)」(秒/40mm)とした。
(2)測定条件
・サイズ : 100mm×6mm
・n数 : タテ2、ヨコ2 。
G.タンパク質吸着量
(1)測定方法
BCA(BicinChoninicAcid)法を適用した。抗体溶液(タンパク質溶液)に試験体を3h浸漬した後に取り出し、PBST500μLで3回洗浄し、試験体表面、空隙に含まれる抗体溶液を除去した。洗浄後の試験体にPBS25μLを添加した後、BCAassay溶液200μLを加え、37℃×0.5h攪拌した。上清200μLを採取し、吸光度を測定し、別途作成した検量線からタンパク質量を求め、「BCA法で測定したタンパク質吸着量」とした。
(2)測定条件
・試験片 : 5mm角
・抗体溶液 : Normal MouseIgG溶液(1mg/mL)
希釈溶媒PBS
・PBST : 0.05%Tween20/PBS 。
H.引張強度
(1)引用規格
JIS P8113:2006
(2)測定方法
試験体の引張強さを「オートグラフAGS-J(株式会社島津製作所製)」を用い測定した。
(3)測定条件
・サイズ : 150mm×15mm
・つかみ間隔: 50mm
・引張速度 : 20mm/min
・n数 : タテ5、ヨコ5 。
I.表面平滑性(表面粗さ(Ra))
(1)測定方法
試験体の表面平滑性として、表面粗さ(Ra)を「レーザーマイクロスコープVK-X100(株式会社キーエンス社製)」を用い測定した。
(2)測定条件
・対物レンズ: 10倍
・n数 : 3 。
J.発色性評価
(1)イムノクロマトテストストリップの作製
バッキングシート上にコントロールライン(補足抗体)を形成したメンブレンを接着し、一端に金コロイド標識抗体を含有するコンジュゲートパッド、サンプルパッドを接着し、他方の一端に吸収パッドを接着しイムノクロマトテストストリップを得た。
(2)部材
・金コロイド : φ40nm
・標識抗体 : Normal MouseIgG
・コンジュゲートパッド: MILLIPORE#GFDX083000
・サンプルパッド : MILLIPORE#GFDX203000
・吸収パッド : MILLIPORE#CFS001700
・補足抗体 : Anti MouseIgG
(3)評価方法・判定基準
サンプルパッド上にPBS100μLを滴下し、20分後のコントロールラインの発色を目視で評価した。
<判定基準>
A : 鮮明なラインとして判定できる
B : 薄いラインとして判定できる
C : 反応はあるがラインとして判定できない
次に本実施例で使用するセルロースパルプ、およびナイロンナノファイバーの製造方法について説明する。
<セルロースパルプ>
Nパルプ(針葉樹パルプ)を水10Lあたり10gの濃度で試験用ナイヤガラビーター(熊谷理機工業(株)製)に仕込み、叩解し、セルロースパルプを得た。なお、パルプのフィブリル化は叩解時間で適宜調整し、ろ水度試験機(テスター産業(株)製)を用いJIS P8121(1995)に準拠して測定した。
<ナイロンナノファイバー>
1.ポリマーアロイチップ
融点220℃のナイロン6:40質量%と、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上):60質量%を2軸型の押出混錬機を用いて220℃で溶融混錬し、ポリマーアロイチップを得た。
2.ポリマーアロイ繊維のトウ
上記ポリマーアロイチップを、1軸型の押出機を備えたステープル用の溶融紡糸装置に投入し、235℃で溶融し、スピンブロックに導いた。そして、ポリマーアロイ溶融体を限界濾過径15μmの金属不織布に濾過させ、紡糸温度235℃で、孔径0.3mmの吐出孔を有し口金面温度215℃とした口金から吐出させた。吐出された線状の溶融ポリマーを冷却風で冷却固化し、油剤を付与し、紡糸速度1350m/分で引き取った。
得られた未延伸糸を合糸した後、延伸温度90℃、延伸倍率3.04倍、熱セット温度130℃で延伸熱処理し、単繊維繊度3.0dtex、総繊度50万dtexのポリマーアロイ繊維のトウを得た。得られたポリマーアロイ繊維は、強度3.4cN/dtex、伸度45%であった。
3.脱海・切断
上記ポリマーアロイ繊維のトウを、95℃に保った5%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬し、ポリマーアロイ繊維中のポリL乳酸成分を加水分解除去(脱海)した。次いで酢酸で中和し、水洗、乾燥し、ナノファイバーの繊維束を得た後、この繊維束を5mm長にカットした。
4.ナノファイバーの数平均繊維直径
走査型電子顕微鏡で撮影したナノファイバーの集合体の写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて5mm角のサンプル内で無作為抽出した30本の単繊維直径をnm単位で小数の1桁目まで測定して少数の1桁目を四捨五入する。サンプリングは合計10回行って各30本の単繊維直径のデータを取り、合計300本の単繊維直径のデータを積算後、全数で除して単純平均値を求め
たものを数平均繊維直径とした。上記脱海・切断後のナノファイバーの繊維直径は110~180nmで、その数平均繊維直径は150nmであった。
[実施例1]
セルロースパルプ(ろ水度:700mL)97.5質量%とナイロンナノファイバー2.5質量%をそれぞれ水中で攪拌し、抄紙した後、150℃で乾燥し、坪量:40g/m、厚み:160μmの湿式不織布を得た。
[実施例2]
セルロースパルプ95質量%、ナイロンナノファイバー5質量%としたことを除き、実施例1と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:148μmの湿式不織布を得た。
[実施例3]
セルロースパルプ90質量%、ナイロンナノファイバー10質量%としたことを除き、実施例1と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:142μmの湿式不織布を得た。
[実施例4]
セルロースパルプ85質量%、ナイロンナノファイバー15質量%としたことを除き、実施例1と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:130μmの湿式不織布を得た。
[実施例5]
セルロースパルプ75質量%、ナイロンナノファイバー25質量%としたことを除き、実施例1と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:120μmの湿式不織布を得た。
[実施例6]
セルロースパルプ70質量%、ナイロンナノファイバー30質量%としたことを除き、実施例1と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:115μmの湿式不織布を得た。
[実施例7]
セルロースパルプのろ水度を740mLに変更したことを除き、実施例2と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:145μmの湿式不織布を得た。
[実施例8]
セルロースパルプのろ水度を740mLに変更したことを除き、実施例4と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:128μmの湿式不織布を得た。
[実施例9]
セルロースパルプのろ水度を600mLに変更したことを除き、実施例4と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:125μmの湿式不織布を得た。
[実施例10]
セルロースパルプのろ水度を740mLに変更したことを除き、実施例4と同一の方法で作製した坪量:40g/m、厚み:130μmの湿式不織布を線圧80kgで常温カレンダー加工し、厚み:70μmの湿式不織布を得た。
[実施例11]
セルロースパルプのろ水度を740mLに変更したことを除き、実施例4と同一の方法で作製した坪量:80g/m、厚み:250μmの湿式不織布を線圧80kgで常温カレンダー加工し、厚み:120μmの湿式不織布を得た。
[実施例12]
ろ水度740mLのセルロースパルプを85質量%、ナイロンナノファイバーを5質量%、ポリエステル/ポリエステル共重合体からなる芯鞘型複合繊維10質量%をそれぞれ水中で攪拌し、抄紙した後、100℃で乾燥し、さらに温度80℃、線圧80kg/cmでカレンダー加工を実施し、坪量:80g/m、厚み:105μmの湿式不織布を得た。
[実施例13]
セルロースパルプを65質量%、ナイロンナノファイバーを5質量%、ポリエステル/ポリエステル共重合体からなる芯鞘型複合短繊維を30質量%としたことを除き実施例12と同一の方法で、坪量:80g/m、厚み:112μmの湿式不織布を得た。
[実施例14]
セルロースパルプを55質量%、ナイロンナノファイバーを5質量%、ポリエステル/ポリエステル共重合体からなる芯鞘型複合短繊維を30質量%、スリット断面短繊維(8スリット、繊維径14.5μm)を10質量%としたことを除き実施例12と同一の方法で、坪量:80g/m、厚み:126μmの湿式不織布を得た。
[実施例15]
セルロースパルプを35質量%、ナイロンナノファイバーを5質量%、ポリエステル/ポリエステル共重合体からなる芯鞘型複合短繊維を30質量%、スリット断面短繊維(8スリット、繊維径14.5μm)を30質量%としたことを除き実施例12と同一の方法で、坪量:80g/m、厚み:151μmの湿式不織布を得た。
[比較例1]
イムノクロマトメンブレンとして販売されている「IAB75(東洋濾紙株式会社製)」を比較例1に用いた。本製品はPETフィルム(約100μm)上にニトロセルロースを製膜したものであり、ニトロセルロース多孔質膜の坪量:約26g/m2、厚み:約116μmであった。
[比較例2]
セルロースパルプ(ろ水度:700mL)100質量%を水中で攪拌し、抄紙した後、150℃で乾燥し、坪量:40g/m、厚み:180μmの湿式不織布を得た。
[比較例3]
セルロースパルプ(ろ水度:200mL)100質量%を水中で攪拌し、抄紙した後、150℃で乾燥し、坪量:40g/m、厚み:100μmの湿式不織布を得た。
[比較例4]
セルロースパルプ65質量%、ナイロンナノファイバー35質量%としたことを除き、実施例1と同一の方法で坪量:40g/m、厚み:112μmの湿式不織布を得た。
実施例1~15、および比較例1~4の各湿式不織布について、上述した測定方法を用い、各特性値を評価した結果を表1、表2および表3に示す。合わせて各湿式不織布をイムノクロマトテストストリップとし発色性評価を表1、表2および表3に示す。
セルロースパルプにろ水度:700mLのNパルプ(針葉樹パルプ)とナイロン(N6)ナノファイバーを用い、ナイロンナノファイバーの含有量を2.5、5、10、15、25、30質量%とした実施例1~6の平均流量孔径は0.5~8.2μm、空隙率は77~83%であった。吸水性能の指標である展開速度は、63~825sec/40mmであり、平均流量孔径と空隙率を調整することにより、展開速度を制御できた。一方、タンパク質吸着量は8~26μg/cmであり、いずれもセルロースパルプ100質量%の比較例2、3と比較し優れており、実施例4~6(ナイロンナノファイバー15質量%以上)でニトロセルロース多孔質膜の比較例1と同等以上であった。一方、ナイロンナノファイバーの含有量を35質量%とした比較例4は、平均流量孔径が0.3μmであり、展開速度も>1200sec/40mmであった。 なお、イムノクロマトテストストリップとした場合の発色性については、実施例1~3が「B」判定、実施例4~6が「A」判定であり、タンパク質吸着量の増加に伴い発色性が向上する結果であった。
次に、セルロースパルプのろ水度を740mLに変更した実施例7、8は、ろ水度:700mLの実施例2、4と比較し、展開速度が速い湿式不織布であり、ろ水度を600mLとした実施例9は、実施例4と比較し、展開速度が遅い不織布となり、パルプのろ水度によって展開速度が制御可能であった。
さらに表面平滑性について、実施例1~6の比較により、ナイロンナノファイバーの含有量増加に伴い表面が平滑となっている。また、カレンダー加工を実施した実施例10、11は、いずれも表面平滑性が向上(Raが低下)しており、カレンダー加工を実施していない実施例8と比較し、発色性が向上した。
なお、引張強度については、いずれの実施例も5N/15mm以上の値を示しており、応力に対し充分な強度を有していた。一方、比較例1のニトロセルロース膜については、脆性が高く、破損し易く、PETフィルムから引き剥がすことが困難なほど引張強度が低い結果であった。
また、ポリエステル/ポリエステル共重合体からなる芯鞘型複合繊維を10質量%、30質量%用いた実施例12、13は、空隙率が小さく、展開速度が遅い傾向にあるものの水に1時間浸漬し、乾燥した後の表面平滑性(Ra)は、それぞれ8.2μm(初期6.0μm)、6.8μm(初期5.3μm)であり、芯鞘型複合短繊維を用いていない実施例10の13.4μm(初期5.8μm)と比較して形状安定性に優れていた。
さらにスリット断面短繊維を10質量%、30質量%用いた実施例13、14は、スリット断面短繊維を含まない実施例12と比較し、空隙率が大きくなり展開速度が194、93sec/40mmまで向上した。
Figure 2024032676000002
Figure 2024032676000003
Figure 2024032676000004
本発明の湿式不織布は、優れた吸水性能とタンパク質結合性能を有し、かつ、生産性にも優れているため、イムノクロマトアッセイ用メンブレンに好適に使用することができる。
A:スリット断面短繊維
B:スリット部

Claims (9)

  1. 少なくともセルロースパルプ、ナイロンナノファイバーを含む湿式不織布からなるイムノクロマト用メンブレンであって、前記湿式不織布の平均流量孔径が0.5μm以上10.0μm以下であり、空隙率が50%以上90%以下であることを特徴とするイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  2. 前記セルロースパルプのカナダ標準ろ水度が500mL以上800mL以下であることを特徴とする請求項1に記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  3. 前記ナイロンナノファイバーの数平均繊維直径が100nm以上500nm以下であり、含有量が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  4. さらに、芯鞘型複合短繊維を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかのイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  5. さらに、表面に8個以上のスリットを有するスリット断面短繊維を含み、前記スリット断面短繊維の繊維径が5.0~50.0μmであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  6. バイレック法で測定した展開速度(CFT)が70sec/40mm以上500sec/40mm以下であり、かつBCA法で測定したタンパク質結合量が10μg/cm以上35μg/cm以下である請求項1~5のいずれかのイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  7. 界面活性剤の含有量が0.01質量%以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  8. 引張強度が5N/15mm以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
  9. 表面粗さRaが8μm以下であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のイムノクロマトアッセイ用メンブレン。
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