JP2024031636A - 濃度推定方法、濃度制御方法、連続晶析プロセス、及び濃度推定装置 - Google Patents

濃度推定方法、濃度制御方法、連続晶析プロセス、及び濃度推定装置 Download PDF

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Yusuke Doi
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Tetsuyuki Takayama
雅紀 田中
Masaki Tanaka
泰輔 加藤
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Abstract

【課題】析出を伴う連続プロセスの濃度を精度良く推定する技術を提供すること。【解決手段】本開示の一態様による濃度推定方法は、原料液の蒸発による析出を伴う連続プロセスにおける所定の物理量を計測した計測値を取得する取得手順と、前記原料液中の原料の濃度を推定するモデルを用いて、前記計測値から前記濃度の推定値を算出する推定手順と、をコンピュータが実行する。【選択図】図1

Description

本開示は、濃度推定方法、濃度制御方法、連続晶析プロセス、及び濃度推定装置に関する。
蒸発や冷却等によって原料液を過飽和状態や過冷却状態にして、目的とする結晶を作成する手法として、晶析プロセスが従来から知られている。例えば、特許文献1には、バッチ冷却晶析プロセスが記載されている。
一般に、晶析プロセスでは、原料液中の原料濃度を適切に制御することが重要となる。これは、例えば、原料液中の原料濃度が低すぎると十分な析出が行えない一方で、原料濃度が上昇し過ぎると過剰析出等が発生し、プロセスの継続運転が困難になる場合があるためである。
特開2015-87781号公報
しかしながら、原料液が投入される装置内に濃度センサを取り付けたとしても、晶析プロセスが連続プロセスである場合、原料濃度を精度良く計測できないことがある。これは、濃度センサに結晶が付着すると正確な濃度が計測できず、また連続プロセスは原料液が連続的に投入・処理されるため、プロセスを止めない限りは濃度センサに付着している結晶を除去することができないためである。なお、これに対して、バッチプロセスであれば原料液が間欠的に投入・処理されるため、或る間隔で濃度センサに付着している結晶の除去が可能である。
本開示は、上記の点に鑑みてなされたもので、析出を伴う連続プロセスの濃度を精度良く推定する技術を提供する。
本開示の一態様による濃度推定方法は、原料液の蒸発による析出を伴う連続プロセスにおける所定の物理量を計測した計測値を取得する取得手順と、前記原料液中の原料の濃度を推定するモデルを用いて、前記計測値から前記濃度の推定値を算出する推定手順と、をコンピュータが実行する。
析出を伴う連続プロセスの濃度を精度良く推定する技術が提供される。
本実施形態に係る濃度推定システムの全体構成の一例を示す図である。 蒸発による析出を伴う連続プラントの一例を模式的に示す図である。 本実施形態に係る濃度推定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る濃度推定装置の機能構成の一例を示す図である。 本実施形態に係るオフライン処理の一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係るオンライン処理の一例を示すフローチャートである。 濃度推定結果の一例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。以下では、析出を伴う連続プロセス(特に、原料液の加熱・蒸発による析出を伴う連続プロセス)を対象として、その連続プロセスで計測された各種物理量から原料濃度を精度良く推定することができる濃度推定装置10が含まれる濃度推定システム1について説明する。
<濃度推定システム1の全体構成例>
本実施形態に係る濃度推定システム1の全体構成例を図1に示す。図1に示すように、本実施形態に係る濃度推定システム1には、濃度推定装置10と、プラント20と、制御装置30と、センサ群40と、濃度計測機器50と、データベース60と、監視装置70とが含まれる。また、濃度推定装置10、制御装置30、データベース60、及び監視装置70は、例えば、LAN(Local Area Network)等を含む通信ネットワーク80を介して通信可能に接続される。
プラント20は、蒸発による析出を伴う連続プロセスを実行する各種プラントである。すなわち、プラント20は、連続的に投入された原料液を加熱することで、蒸発及び析出を伴いながら、目的とする物質(例えば、原料が過飽和状態となった濃縮液等)を作成するプラント設備又は装置等である。なお、このような連続プロセスを実行するプラント20(蒸発による析出を伴う連続プラント)の具体例については後述する。ただし、本実施形態は、蒸発による析出を伴う連続プロセスであれば任意のプロセスを対象とすることが可能である。蒸発による析出を伴う連続プロセスの典型例としては、原料液を連続的に投入し、その原料液の加熱・蒸発によって目的とする結晶を得る晶析プロセス等が挙げられる。
センサ群40は、プラント20によって実行されるプロセス(蒸発による析出を伴う連続プロセス)の各種物理量を計測するセンサの集合である。以下、センサ群40に含まれるセンサの総数をnとして、各センサの各々を「センサ40」、「センサ40」、・・・、「センサ40」と表す。なお、センサ群40によって計測される物理量としては、例えば、温度、圧力、流量、外気温等が挙げられる。ただし、これらは一例であって、センサ群40によって計測可能な物理量はこれらに限られるものではない。
以下、センサ40(i=1,・・・,n)が計測対象としている物理量を表す変数をx、時刻tにおけるその物理量の計測値をx(t)と書くことにする。また、以下では、簡単のため、各センサ40(i=1,・・・,n)の計測間隔(センシング周期)は同一であるものとして、ΔTと書くことにする。ΔTは、一般に、例えば、数秒~数分程度である。
なお、tは時刻を表すものとしているが、時刻は時分秒に限られるものではなく、例えば、年、月、日が含まれていてもよい。また、tは時刻そのものではなく、時刻を表すインデックス(つまり、0以上の整数値を取る時刻インデックス)を表すものであってもよい。
制御装置30は、各時刻tの計測値x(t),x(t),・・・,x(t)をセンサ群40から収集し、それらの計測値x(t),x(t),・・・,x(t)をデータベース60に格納する装置又は機器である。なお、制御装置30としては、例えば、分散制御システム(DCS:Distributed Control System)やプログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)等を用いることができる。
濃度計測機器50は、プラント20の運転員等が利用する濃度計等といった機器である。プラント20の運転員等は、必要に応じてプラント20から原料液をサンプリングし、その濃度を計測することができる。以下、濃度を表す変数をy、濃度計測機器50によって計測された時刻tの濃度(つまり、時刻tにおける濃度実測値)をy(t)と書くことにする。また、以下では、簡単のため、運転員等は定期的にプラント20から原料液をサンプリングし、その濃度を計測するものとし、このサンプリング間隔をΔTと書くことにする。ΔTは、プラント20の運転員等によって任意に決定され、数時間~数日程度であってもよいし、数週間程度であってもよい。各時刻tで濃度計測機器50によって計測された濃度y(t)はデータベース60に格納される。
データベース60は、各時刻tの計測値x(t),x(t),・・・,x(t)と、各時刻tの濃度実測値y(t)とが格納される。すなわち、データベース60は、例えば、{(x(t),x(t),・・・,x(t))|t=t+ΔT,t+2ΔT,t+3ΔT,・・・,t+NΔT}と、{y(t)|t=t+ΔT,t+2ΔT,t+3ΔT,・・・,t+NΔT}とを格納している。ただし、tはセンサ群40の計測開始時刻、Nはセンサ群40の計測回数、tは濃度計測機器50による計測開始時刻、Nは濃度計測機器50による計測回数である。
なお、上述したように、ΔT<ΔT(例えば、ΔTは数秒~数分程度、ΔTは数時間~数日程度、数週間程度)である。このため、t=t、t+NΔT=t+NΔTとしたときN>Nであり、データベース60には、濃度実測値y(t)と比べて、センサ群40の計測値x(t),x(t),・・・,x(t)が非常に多く格納されている。
濃度推定装置10は、データベース60に格納されている過去時刻の濃度実測値y(t)とそのときの計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))とを用いて、任意の時刻の濃度を推定するためのモデルf(以下、濃度推定モデルと呼ぶ。)を作成する。濃度推定モデルfは、パラメータを持つ何等かの関数で表現される。
以下、過去時刻の濃度実測値y(t)とそのときの計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))とを対応付けたもの(x(t),x(t),・・・,x(t),y(t))を実績データと呼び、その集合を{(x(t),x(t),・・・,x(t),y(t))|t∈T}とする。ここで、Tは濃度実測値y(t)が得られた過去時刻の集合である。
なお、過去時刻の濃度実測値y(t)に対して、同一時刻の計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))が存在しないこともあり得る。この場合、濃度実測値y(t)と同一時刻と見做せる時刻(例えば、或る誤差範囲内の時刻)の計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))をその濃度実測値y(t)と対応付ければよい。
また、濃度推定装置10は、データベース60に格納されている現在時刻の計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))と、濃度推定モデルfとを用いて、現在時刻の濃度
Figure 2024031636000002
を推定する。以下、この推定された濃度を濃度推定値とも呼ぶ。また、以下、明細書のテキスト中では、推定値であることを表す記号ハット「^」をyの直後に記載し、時刻tにおける濃度推定値を「y^(t)」と書くことにする。
すなわち、濃度推定装置10は、濃度の推定対象となる各時刻tにおいて、その時刻tの計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))から当該時刻tの濃度推定値y^(t)を算出するソフトセンサとして機能する。
なお、濃度推定モデルfはオフラインで作成される。一方で、濃度推定値y^(t)はオンラインでリアルタイムに算出される。ここで、オンラインとはプラント20が運転中であることを表し、オフラインとはプラント20の運転状態とは関係がないことを表す。このため、濃度推定モデルfは、例えば、プラント20が運転していないときに作成されてもよいし、プラント20の運転中に作成されてもよい。
監視装置70は、濃度推定装置10で算出された濃度推定値y^(t)をリアルタイムに可視化(表示)する。これにより、プラント20の運転員等は、そのプラント20の運転中の原料濃度(の推定値)をリアルタイムに確認することができる。
なお、図1に示す濃度推定システム1の全体構成は一例であって、これに限られるものではない。例えば、濃度推定装置10と監視装置70とが一体で構成されていてもよい。また、例えば、図示しない種々の設備、機器、装置等が含まれていてもよい。
<蒸発による析出を伴う連続プラント>
蒸発による析出を伴う連続プラントの一例を図2に示す。図2に示す連続プラントでは、バルブ22によって原料液が連続的に蒸発缶21に投入される。蒸発缶21内に投入された原料液23は、撹拌機25によって撹拌されると共に、ジャケット24によって加熱され、その蒸気が凝縮器26に送られる。凝縮器26では蒸気が凝縮・液化され、留出液として排出される。一方で、一定の加熱・蒸発によって濃縮され、目的とする原料濃度となった原料液23は、濃縮液(例えば、過飽和状態の原料液、析出によってスラリーとなった原料液等)として排出される。このような連続プラントでは、原料液23の加熱・蒸発によってその原料液23中の原料の析出が発生し得る。なお、濃縮液は晶析液等と呼ばれてもよい。
図2に示す連続プラントでは、原料液23の温度を計測するための温度センサ40と、原料液23の加熱によって生じた蒸気の圧力を計測するための圧力センサ40とが設置されている。
なお、図2に示す連続プラントは、蒸発による析出を伴う連続プロセスを実行するプラント20の一例を模式的に示したものであり、これに限られるものではない。例えば、蒸発缶21、バルブ22、ジャケット24、撹拌機25、凝縮器26等といった設備、装置、機器は複数存在してもよいし、これら以外にも、カランドリアや外部循環熱交換器等といった様々な設備、装置、機器が存在してもよい。また、図2に示す例では、1つの温度センサ40と1つの圧力センサ40とが設置されているが、複数の温度センサ40が設置されていてもよいし、複数の圧力センサ40が設置されていてもよい。また、温度センサ40及び圧力センサ40以外の様々なセンサが設置されていてもよい。
<濃度推定装置10のハードウェア構成例>
本実施形態に係る濃度推定装置10のハードウェア構成例を図3に示す。図3に示すように、本実施形態に係る濃度推定装置10は、入力装置101と、表示装置102と、外部I/F103と、通信I/F104と、RAM(Random Access Memory)105と、ROM(Read Only Memory)106と、補助記憶装置107と、プロセッサ108とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバス109を介して通信可能に接続されている。
入力装置101は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、物理ボタン等である。表示装置102は、例えば、ディスプレイ、表示パネル等である。なお、濃度推定装置10は、例えば、入力装置101及び表示装置102のうちの少なくとも一方を有していなくてもよい。
外部I/F103は、記録媒体103a等の外部装置とのインタフェースである。記録媒体103aとしては、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(Secure Digital memory card)、USB(Universal Serial Bus)メモリカード等が挙げられる。
通信I/F104は、濃度推定装置10が通信ネットワーク80に接続するためのインタフェースである。RAM105は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM106は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。補助記憶装置107は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等のストレージ装置(記憶装置)である。プロセッサ108は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置である。
本実施形態に係る濃度推定装置10は、図3に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。なお、図3に示すハードウェア構成は一例であって、濃度推定装置10のハードウェア構成はこれに限られるものではない。例えば、濃度推定装置10は、複数の補助記憶装置107や複数のプロセッサ108を有していてもよいし、図示したハードウェアの一部を有していなくてもよいし、図示したハードウェア以外の様々なハードウェアを有していてもよい。
<濃度推定装置10の機能構成例>
本実施形態に係る濃度推定装置10の機能構成例を図4に示す。図4に示すように、本実施形態に係る濃度推定装置10は、オフライン処理部201と、オンライン処理部202とを有する。これら各部は、例えば、濃度推定装置10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ108に実行させる処理により実現される。
オフライン処理部201は、オフライン中において、濃度推定モデルfを作成するための処理を実行する。ここで、オフライン処理部201には、データ取得部211と、モデル作成部212とが含まれる。データ取得部211は、モデル作成用の実績データ集合X={(x(t),x(t),・・・,x(t),y(t))|t∈T'⊆T}をデータベース60から取得する。モデル作成部212は、データ取得部211によって取得された実績データ集合Xを用いて、濃度推定モデルfを作成する。
オンライン処理部202は、オンライン中において、濃度推定値y^(t)を算出すると共に監視装置70上に可視化するための処理を実行する。ここで、オンライン処理部202には、データ取得部221と、濃度推定部222と、可視化部223とが含まれる。データ取得部221は、オンライン中の時刻t毎に、その時刻t(つまり、現在時刻t)における計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))をデータベース60から取得する。濃度推定部222は、データ取得部221によって取得された計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))と、濃度推定モデルfとを用いて、現在時刻tにおける濃度推定値y^(t)を算出する。可視化部223は、例えば、濃度推定部222によって濃度推定値y^(t)が算出される毎(又は、後述する移動平均値が算出される毎)に、監視装置70が備えるディスプレイ上にその濃度推定値y^(t)(又は、その移動平均値)を可視化(表示)する。
なお、図4に示す例では、オフライン処理部201とオンライン処理部202とを同一の濃度推定装置10が有しているが、これは一例であって、オフライン処理部201とオンライン処理部202とを別々の装置が有していてもよい。例えば、オフライン処理部201を第1の装置が有しており、オンライン処理部202を第2の装置が有していてもよい。このとき、例えば、第1の装置を「モデル作成装置」、第2の装置を「濃度推定装置」等と呼んでもよい。
<オフライン処理>
以下、本実施形態に係るオフライン処理について、図5を参照しながら説明する。
オフライン処理部201のデータ取得部211は、モデル作成用の実績データ集合Xをデータベース60から取得する(ステップS101)。すなわち、データ取得部211は、実績データ集合Xを学習用データ集合としてデータベース60から取得する。
オフライン処理部201のモデル作成部212は、上記のステップS101で取得された実績データ集合Xを用いて、濃度推定モデルfを作成する(ステップS102)。モデル作成部212によって作成された濃度推定モデルfは、例えば、補助記憶装置107等の記憶領域に格納される。
ここで、モデル作成部212は、例えば、x,x,・・・,xの中から説明変数とする変数を選択した上で、濃度を目的変数としたときに、濃度測定値y(t)を精度良く推定する濃度推定モデルfを作成すればよい。なお、濃度推定モデルfを作成するためのモデル作成手法としては、例えば、部分的最小二乗回帰(PLS:Partial Least Squares Regression)、サポートベクター回帰(SVR:Support Vector Regression)、ランダムフォレスト(Random Forest)等を用いればよい。
より具体的には、モデル作成部212は、以下の手順1~手順2により濃度推定モデルfを作成すればよい。
手順1:まず、モデル作成部212は、x,x,・・・,xの中から説明変数とする変数を選択する。以下、この手順1で選択された変数をxi_1,xi_2,・・・,xi_mとする。ただし、i_1,i_2,・・・,i_m∈{1,・・・,n}、かつ、1≦m≦nである。なお、説明変数とする変数の選択手法としては既知の手法を用いればよく、例えば、LASSO(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)、モデル作成手法としてPLSを採用する場合はVIP(Variable Importance in Projection)等を用いればよい。
手順2:そして、モデル作成部212は、xi_1,xi_2,・・・,xi_mを説明変数、yを目的変数として、既知のモデル作成手法(部分的最小二乗回帰、サポートベクター回帰、ランダムフォレスト)により、f(xi_1(t),xi_2(t),・・・,xi_m(t))がy(t)を精度良く推定するように濃度推定モデルfのパラメータを決定(言い換えれば、濃度推定モデルfの学習対象パラメータを学習)する。これにより、濃度推定モデルf(つまり、学習済みパラメータを持つ何等かの関数で表現される濃度推定モデルf)が作成される。
なお、上記の手順2において、例えば、複数のモデル作成手法の各々により複数の濃度推定モデルをそれぞれ作成した上で、これら複数の濃度推定モデルのうち最も精度が良いものを最終的な濃度推定モデルfとしてもよい。
また、モデル作成手法として部分的最小二乗回帰、サポートベクター回帰、ランダムフォレストを用いることは一例であって、これら以外にも、機械学習モデルや統計モデルを作成可能な任意のモデル作成手法を用いることも可能である。
<オンライン処理>
以下、本実施形態に係るオンライン処理について、図6を参照しながら説明する。ここで、図6のステップS201~ステップS203は、オンライン中の時刻t毎に繰り返し実行される。なお、オンライン中の時刻tは、例えば、センシング周期ΔTが経過する毎に、t←t+ΔTと更新される。以下では、或る時刻tにおけるステップS201~ステップS203について説明する。
オンライン処理部202のデータ取得部221は、当該時刻t(現在時刻t)における計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))をデータベース60から取得する(ステップS201)。なお、データ取得部221は、(x(t),x(t),・・・,x(t))をデータベース60から取得するのではなく、制御装置30から受信してもよい。また、データ取得部221は、(x(t),x(t),・・・,x(t))を取得するのではなく、その一部である(xi_1(t),xi_2(t),・・・,xi_m(t))を取得してもよい。
オンライン処理部202の濃度推定部222は、上記のステップS201で取得された計測値(x(t),x(t),・・・,x(t))と、濃度推定モデルfとを用いて、当該時刻tにおける濃度推定値y^(t)を算出する(ステップS202)。すなわち、濃度推定部222は、y^(t)=f(xi_1(t),xi_2(t),・・・,xi_m(t))により濃度推定値y^(t)を算出する。
オンライン処理部202の可視化部223は、上記のステップS202で算出された濃度推定値y^(t)を、監視装置70が備えるディスプレイ上に可視化(表示)する(ステップS203)。このとき、可視化部223は、濃度推定値y^(t)そのものではなく、例えば、プラント20における原料液の平均滞留時間を考慮した移動平均を適用し、その移動平均値を可視化してもよい。例えば、プラント20に原料液を投入後、その原料液に対応する濃縮液が排出されるまでの平均時間(これが平均滞留時間である。)がμ時間である場合、可視化部223は、μ時間分の濃度推定値y^(t)を考慮した移動平均値を算出し、それらの移動平均値を可視化してもよい。なお、可視化部223が移動平均値を算出してもよいが、濃度推定値y^(t)を受信した監視装置70が移動平均値を算出及び可視化してもよい。
オンライン中の時刻t毎に上記のステップS201~ステップS203が繰り返されることで、監視装置70が備えるディスプレイ上には、オンライン中の各時刻tにおける濃度推定値y^(t)の時系列グラフがリアルタイムに表示される。これにより、プラント20の運転員等は、オンライン中の各時刻tにおける濃度推定値y^(t)を確認することが可能となり、プラント20内で処理されている原料液の原料濃度(つまり、例えば、図2の例では原料液23の原料濃度)が適切であるか否かを知ることができる。このため、原料濃度が適切でない場合には、運転員等は、プラント20に対して原料濃度を適切にするための何等かの操作(例えば、原料濃度が高すぎる場合には原料液の温度を下げるための操作、原料濃度が低すぎる場合には原料液の温度を上げるための操作)を行うことができる。
<濃度推定結果>
原料液の加熱・蒸発による析出を伴う連続プロセスを対象に、モデル作成手法として部分的最小二乗回帰を用いて、本実施形態に係る濃度推定装置10によって濃度推定値y^(t)を算出した結果を図7に示す。図7では、濃度実測値y(t)と、濃度推定値y^(t)と、濃度推定値y^(t)の移動平均値とを示している。なお、移動平均値は、プラント20における原料液の平均滞留時間を考慮した移動平均値である。
図7に示すように、濃度推定値y^(t)は、濃度実測値y(t)を或る程度の精度で推定できていることがわかる、また、特に、濃度推定値y^(t)の移動平均値は、濃度実測値y(t)を精度良く推定できていることがわかる。
したがって、プラント20における原料液の平均滞留時間を考慮した移動平均を濃度推定値y^(t)に適用することで、精度の良い濃度推定結果が得られていることがわかる。また、部分的最小二乗回帰という線形なモデル作成手法によって精度の良い濃度推定モデルfが得られており、監視性の良い推定結果が得られているともいえる。
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
・変形例1
本実施形態に係る濃度推定装置10は、濃度推定値y^(t)又はその移動平均値を監視装置70上に可視化するだけなく、濃度推定値y^(t)又はその移動平均値に応じてプラント20を制御してもよい。すなわち、本実施形態に係る濃度推定装置10は、例えば、濃度推定値y^(t)又はその移動平均値と、予め設定された濃度上限閾値th及び濃度下限閾値thとを用いて、濃度推定値y^(t)又はその移動平均値が濃度上限閾値thを超えている場合は原料液の温度を下げるための操作を行い、濃度推定値y^(t)又はその移動平均値が濃度下限閾値thを下回っている場合は原料液の温度を上げるための操作を行うようにしてもよい。これにより、本実施形態に係る濃度推定装置10は、濃度推定値y^(t)又はその移動平均値に応じてプラント20における原料液の原料濃度を制御することができる。
なお、原料液の温度を上げる又は下げるための操作としては、例えば、図2に示す例ではジャケット24に供給される熱媒(例えば、高温のスチーム等)の供給量を調整するバルブの開操作又は閉操作等が挙げられる。
・変形例2
濃度推定モデルfを作成した後であっても、或る程度の時間が経過すると、何等かの原因(例えば、プラント20内の設備の経年劣化等)により、濃度推定値y^(t)が実際の濃度と乖離する事態が生じ得る。このため、そのような事態が生じた場合、本実施形態に係る濃度推定装置10は、濃度推定モデルfの再作成を行ってもよい。
例えば、濃度実測値y(t)とそのときの濃度推定値y^(t)又はその移動平均値との差の絶対値が予め設定された許容誤差を超えた場合、本実施形態に係る濃度推定装置10は、図5に示すオフライン処理を再度実行し、濃度推定モデルfを再作成してもよい。これにより、濃度推定値y^(t)の精度が一定以下になることを防止することが可能となる。
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る濃度推定装置10は、原料液の加熱・蒸発による析出を伴う連続プロセスを対象として、その連続プロセスで計測された各種物理量(例えば、温度、圧力、流量等)から原料濃度を精度良く推定することができる。また、本実施形態に係る濃度推定装置10は、その推定結果である濃度推定値y^(t)又はその移動平均値を監視装置70に可視化する。これにより、プラント20の運転員等は、当該連続プロセスで処理されている原料液の原料濃度が適切であるか否かをリアルタイムに知ることが可能となる。このため、例えば、原料液の原料濃度が高すぎたり、逆に低すぎたりするような場合に、原料濃度を適切な値とするための操作を行うことが可能となる。
本実施形態に係る濃度推定装置10を用いることで、上記に加えて、以下の(1)及び(2)の事態にも対応することが可能となる。
(1)濃度計測機器50により濃度実測値y(t)を得るためには、連続プロセスで処理されている原料液をサンプリングする必要があるが、このサンプリングは、一般に、サンプリングノズル等と呼ばれるノズルから原料液をサンプリングすることが多い。一方で、析出を伴うプロセスでは、このサンプリングノズルが析出により閉塞する可能性があり、原料液のサンプリングが行えない場合がある。これに対して、本実施形態に係る濃度推定装置10を用いることで、サンプリングノズルが閉塞している場合であっても、精度の良い濃度推定値y^(t)又はその移動平均値を得ることが可能となる。
(2)連続プロセスでは、一般に、その開始時(スタートアップ時)に急激なプロセス変動(つまり、各種物理量の変動・ばらつき)が生じる。これに対して、本実施形態に係る濃度推定装置10では、スタートアップ時の濃度実測値とそのときの計測値から濃度推定モデルfを作成すれば、このようなスタートアップ時の急激なプロセス変動にも対応可能に濃度を推定することができる。このため、本実施形態に係る濃度推定装置10を用いることで、特に、プラント20の事故等が発生し易いスタートアップ時の安全・安定的な運転を実現することが可能となる。なお、スタートアップ時に限られず、例えば、連続プロセスの終了時(シャットダウン時)であっても、本実施形態に係る濃度推定装置10を同様に適用することができる。
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
1 濃度推定システム
10 濃度推定装置
20 プラント
21 蒸発缶
22 バルブ
23 原料液
24 ジャケット
25 撹拌機
26 凝縮器
30 制御装置
40 センサ群
50 濃度計測機器
60 データベース
70 監視装置
80 通信ネットワーク
101 入力装置
102 表示装置
103 外部I/F
103a 記録媒体
104 通信I/F
105 RAM
106 ROM
107 補助記憶装置
108 プロセッサ
109 バス
201 オフライン処理部
202 オンライン処理部
211 データ取得部
212 モデル作成部
221 データ取得部
222 濃度推定部
223 可視化部

Claims (7)

  1. 原料液の蒸発による析出を伴う連続プロセスにおける所定の物理量を計測した計測値を取得する取得手順と、
    前記原料液中の原料の濃度を推定するモデルを用いて、前記計測値から前記濃度の推定値を算出する推定手順と、
    をコンピュータが実行する濃度推定方法。
  2. 前記連続プロセスの滞留時間に基づいて、前記濃度の推定値の移動平均を可視化する可視化手順、を前記コンピュータが更に実行する請求項1に記載の濃度推定方法。
  3. 前記モデルは、学習対象のパラメータを持つ統計モデル又は機械学習モデルであり、
    過去の所定の期間における前記計測値と、前記期間における前記濃度の実測値とを学習用データとして、前記モデルのパラメータを学習するモデル作成手順、を前記コンピュータが更に実行し、
    前記推定手順は、
    学習済みの前記パラメータを持つ前記モデルを用いて、前記計測値から前記濃度の推定値を算出する請求項2に記載の濃度推定方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の濃度推定方法で推定された濃度の推定値と、予め設定された閾値とに基づいて、前記物理量の少なくとも1つを制御するための操作を実行する制御手順、をコンピュータが実行する濃度制御方法。
  5. 前記連続プロセスは、前記原料液の蒸発により目的とする原料濃度の濃縮液を作成する処理を含む晶析プロセスである、請求項4に記載の濃度制御方法。
  6. 請求項5に記載の濃度制御方法によって制御される設備が所定の濃度の濃縮液を作成する連続晶析プロセス。
  7. 原料液の蒸発による析出を伴う連続プロセスにおける所定の物理量を計測した計測値を取得するように構成されている取得部と、
    前記原料液中の原料の濃度を推定するモデルを用いて、前記計測値から前記濃度の推定値を算出するように構成されている推定部と、
    を有する濃度推定装置。
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