JP2024030851A - タイヤ用ゴム組成物、及び、冬用タイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物、及び、冬用タイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】優れたモジュラス、破断伸び、氷上性能を示すタイヤ用ゴム組成物、上記タイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供する。【解決手段】ガラス転移温度が-50℃以下のジエン系ゴム100質量部と、特定の充填剤30~100質量部と、ポリウレタン発泡微粒子0.1~30質量部とを含有する、タイヤ用ゴム組成物であって、上記ポリウレタン発泡微粒子が、液状物に、水と、特定ポリオールとを分散させることで、分散系を得る、分散工程と、活性水素基に対するイソシアネート基のモル比が1.5~6.0となるように分散系にポリイソシアネートを混合することで、ポリオールとポリイソシアネートとを重合させるとともに二酸化炭素を発生させて、液状物中に分散した見かけ密度が1.00g/cm3以下のポリウレタン発泡微粒子を得る、重合工程とを備える、製造方法によって得られたポリウレタン発泡微粒子である、タイヤ用ゴム組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及び、冬用タイヤに関する。
タイヤの性能を向上させる観点から、タイヤ用ゴム組成物に添加する種々の配合剤が検討されている。
例えば、特許文献1では、氷上性能及びウェット性能を向上させる観点から、タイヤ用ゴム組成物に架橋ポリウレタンビーズを添加することが提案されている。
特許第6883060号公報
昨今、タイヤ(特にトレッド)に使用されるゴム組成物に対して、安全性等の観点から、加硫後のモジュラス(特に100%モジュラス)及び破断伸びや、タイヤにしたときの氷上性能のさらなる向上が求められている。
このようななか、本発明者らが特許文献1のタイヤ用ゴム組成物について検討したところ、将来のさらなる要求まで考慮した場合、加硫後のモジュラス及び破断伸びや、タイヤにしたときの氷上性能のさらなる向上が望ましいことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、加硫後に優れたモジュラス及び破断伸びを示し、且つ、タイヤにしたときに優れた氷上性能を示す、タイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定の方法で製造したポリウレタン発泡微粒子を配合することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ガラス転移温度が-50℃以下のジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤30~100質量部と、ポリウレタン発泡微粒子0.1~30質量部とを含有する、タイヤ用ゴム組成物であって、
上記ポリウレタン発泡微粒子が、
液状物に、水と、水酸基価が40~350mgKOH/gのポリオールとを分散させることで、分散系を得る、分散工程と、
活性水素基に対するイソシアネート基のモル比が1.5~6.0となるように上記分散系にポリイソシアネートを混合することで、上記ポリオールと上記ポリイソシアネートとを重合させるとともに二酸化炭素を発生させて、上記液状物中に分散した見かけ密度が1.00g/cm以下のポリウレタン発泡微粒子を得る、重合工程とを備える、ポリウレタン発泡微粒子の製造方法によって得られたポリウレタン発泡微粒子である、タイヤ用ゴム組成物。
(2) 上記ポリウレタン発泡微粒子の平均粒子径が、1~300μmである、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 上記ポリオールが、植物由来のポリオールである、上記(1)又は(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 上記分散工程において、上記液状物にさらに鎖延長剤を分散させる、上記(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(5) 上記分散工程において、上記液状物にさらに触媒としてヒドロキシ基を有する3級アミンを分散させる、上記(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(6) 上記植物由来のポリオールが、ヒマシ油系ポリオール及びセバシン酸系ポリエステルポリオールの少なくとも一方を含む、上記(3)~(5)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(7) 上記(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造された、冬用タイヤ。
以下に示すように、本発明によれば、加硫後に優れたモジュラス及び破断伸びを示し、且つ、タイヤにしたときに優れた氷上性能を示す、タイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤの実施態様の一例を表す部分断面概略図である。
以下に、本発明のタイヤ用ゴム組成物、及び、本発明のタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、タイヤ用ゴム組成物について、加硫後の100%モジュラスを単に「100%モジュラス」又は「M100」とも言い、加硫後の破断伸びを単に「破断伸び」とも言い、タイヤにしたときの氷上性能を単に「氷上性能」とも言う。
また、M100が優れる(M100が大きい)こと、破断伸びが優れる(破断伸びが大きい)こと、氷上性能が優れることをまとめて「本発明の効果が優れる」とも言う。
また、本明細書において、水のヒドロキシ基(水酸基)は、活性水素基に含まれない。
[1]タイヤ用ゴム組成物
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、
ガラス転移温度が-50℃以下のジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤30~100質量部と、ポリウレタン発泡微粒子0.1~30質量部とを含有する、タイヤ用ゴム組成物である。
ここで、上記ポリウレタン発泡微粒子は、
液状物に、水と、水酸基価が40~350mgKOH/gのポリオール(以下、「特定ポリオール」とも言う)とを分散させることで、分散系を得る、分散工程と、
活性水素基に対するイソシアネート基のモル比が1.5~6.0となるように上記分散系にポリイソシアネートを混合することで、上記ポリオールと上記ポリイソシアネートとを重合させるとともに二酸化炭素を発生させて、上記液状物中に分散した見かけ密度が1.00g/cm以下のポリウレタン発泡微粒子を得る、重合工程とを備える、ポリウレタン発泡微粒子の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも言う)によって得られたポリウレタン発泡微粒子(以下、「本発明の微粒子」とも言う)である。
本発明の組成物は、このような構成をとるために上述した課題を解決できるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと考えられる。
本発明の組成物は、特定の方法(本発明の製造方法)で製造されたポリウレタン発泡微粒子(本発明の微粒子)を含有する。
本発明の製造方法において、重合工程では、ポリオールのヒドロキシ基とポリイソシアネートのイソシアネート基とが反応して、ウレタン結合(-NH-COO-)を形成する。また、分散工程で得られた分散系には水が含まれるため、水とイソシアネート基が反応して、アミノ基を生成する。このとき二酸化炭素が発生する。さらに、生成したアミノ基はイソシアネート基と反応して、ウレア結合(-NH-CO-NH-)を形成する。
結果として、上記重合工程では、ポリオールとポリイソシアネートとが重合して、ウレタン結合及びウレア結合を有するポリウレタンが生成する。このとき、液状物に分散した分散系で上記重合が進み、また、上述のとおり二酸化炭素が発生するため、生成するポリウレタンは、空洞構造を有する微粒子(ポリウレタン発泡微粒子)となる。
ここで、ポリオールの水酸基が40~350mgKOH/gであり、また、活性水素基に対するイソシアネート基のモル比が1.5~6.0であるため、得られるポリウレタン発泡微粒子の見かけ密度は1.00g/cm以下になるものと考えられる。
このような本発明の微粒子をタイヤ用ゴム組成物に配合した場合、得られるタイヤは本発明の微粒子に由来する空洞構造を有するため、これがタイヤ表面の凹凸を形成し、摩擦力及び水吸収性を向上させ、優れた氷上性能に繋がるものと考えられる。
また、上述のとおり、本発明の微粒子はウレタン結合及びウレア結合を有する。このような本発明の微粒子をタイヤ用ゴム組成物に配合した場合、ウレタン結合及びウレア結合の水素結合によって強靭な三次元構造が形成されて、優れたM100及び破断伸びを示すものと考えられる。
以下、本発明の組成物が含有する各成分について説明する。
[ジエン系ゴム]
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは、ガラス転位温度が-50℃以下のジエン系ゴムであれば特に限定されない。なお、上記ジエン系ゴムは固体状である。
本発明の組成物は1種のジエン系ゴムを含有するのでも2種以上のジエン系ゴムを含有するのでもよい。
〔具体例〕
ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル-共役ジエン共重合ゴム、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br-IIR、Cl-IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレン共重合ゴムなどが挙げられる。
ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、ブタジエンゴム、イソプレンゴム及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むのが好ましく、ブタジエンゴム及び天然ゴムを含むのがより好ましい。
上記ジエン系ゴムがブタジエンゴム及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含む場合、ジエン系ゴム全体に対するブタジエンゴム及び天然ゴムの合計の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されず、100質量%である。
〔分子量〕
ジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50,000~2,500,000であることが好ましく、100,000~1,500,000であることがより好ましく、150,000~1,000,000であることがさらに好ましい。
上記ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100,000~5,000,000であることが好ましく、200,000~3,000,000であることがより好ましく、300,000~2,000,000であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
〔ガラス転移温度〕
ジエン系ゴムのガラス転移温度(Tg)は、-50℃以下である。
なお、本明細書において、ジエン系ゴムのガラス転移温度とは、タイヤ用ゴム組成物が1種のジエン系ゴムを含有する場合、そのジエン系ゴムのガラス転移温度(Tg)を意味し、タイヤ用ゴム組成物が2種以上のジエン系ゴムを含有する場合、各ジエン系ゴムのガラス転移温度(Tg)に各ジエン系ゴムの質量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の加重平均値)を意味する。例えば、後述する実施例1の場合、ジエン系ゴムとして、天然ゴム(Tg:-65℃)50質量部とブタジエンゴム(Tg:-110℃)50質量部とを含有するため、ジエン系ゴムのTgは-87.5℃(=(-65℃)×(50/(50+50))+(-110℃)×(50/(50+50))である。
ジエン系ゴムのTgは、本発明の効果がより優れる理由から、-60℃以下であることが好ましく、-70℃以下であることがより好ましく、-80℃以下であることがさらに好ましい。上記Tgの上限は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、-150℃以上であることが好ましく、-100℃以上であることがより好ましい。
本発明の組成物が2種以上のジエン系ゴムを含有する場合、本発明の効果がより優れる理由から、全てのジエン系ゴムのTgが-50℃以下であることが好ましい。
[充填剤]
本発明の組成物は、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有する。本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラック及び白色充填剤(特にシリカ)の両方を含有するのがより好ましい。
〔カーボンブラック〕
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50~200m/gであることが好ましく、70~150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
〔白色充填剤〕
上記白色充填剤は特に限定されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、シリカが好ましい。
上記シリカは特に限定されないが、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、湿式シリカであることが好ましい。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100~400m/gであることが好ましく、150~300m/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
〔含有量〕
本発明の組成物において、充填剤の含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、30~100質量部である。
本発明の組成物において、充填剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、40~90質量部であることが好ましく、50~80質量部であることがより好ましい。
本発明の組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、5~50質量部であることがより好ましく、10~30質量部であることがさらに好ましい。
本発明の組成物が白色充填剤(特に、シリカ)を含有する場合、白色充填剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、10~90質量部であることがより好ましく、20~80質量部であることがさらに好ましく、30~70質量部であることが特に好ましい。
[ポリウレタン発泡微粒子]
本発明のポリウレタン発泡微粒子(本発明の微粒子)は、下記分散工程と下記重合工程とを備える、本発明のポリウレタン発泡微粒子の製造方法(本発明の製造方法)によって得られたポリウレタン発泡微粒子である。
(1)分散工程
液状物に、水と、水酸基価が40~350mgKOH/gのポリオールとを分散させることで、分散系を得る工程
(2)重合工程
活性水素基に対するイソシアネート基のモル比が1.5~6.0となるように上記分散系にポリイソシアネートを混合することで、上記ポリオールと上記ポリイソシアネートとを重合させるとともに二酸化炭素を発生させて、上記液状物中に分散した見かけ密度が1.00g/cm以下のポリウレタン発泡微粒子を得る工程
なお、本発明の微粒子に関し、以下のとおり、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが」が不可能又はおよそ非実際的である事情が存在する。
〔不可能・非実際的事情〕
本発明の製造方法の重合工程においては、ポリオールのヒドロキシ基とポリイソシアネートのイソシアネート基との反応(ウレタン結合の形成)、ポリイソシアネートのイソシアネート基と水との反応(アミノ基の生成)、水との反応によって生成したアミノ基とポリイソシアネートのイソシアネート基との反応(ウレア結合の形成)が競合する。すなわち、上記重合工程においては、ポリイソシアネートとして、水と反応して一部のイソシアネート基がアミノ基になったもの、水と反応して全てのイソシアネート基がアミノ基になったもの、水と反応せずに全てのイソシアネート基がそのまま残ったものが混在し、これらがポリオール又はポリイソシアネートと反応する。そのため、本発明の微粒子の構造は極めて複雑なものとなり一般式で表すことは到底できない。このことは当業者の技術常識である。そして、構造が特定されなければそれに応じて決まるその物質の特性も容易には分からないこと、及び、異なる複数のモノマーを反応させるにあたっては、それらの配合比、反応条件を変化させれば、得られるポリウレタン発泡微粒子の特性が大きく変化することから、特性で表現することも到底できない。すなわち、本発明の微粒子は、その構造又は特性により直接特定することが不可能であり、ポリウレタン発泡微粒子を得るためのプロセスによって初めて特定することが可能なものである。
以下、各工程について説明する。
〔分散工程〕
分散工程は、未変性の液状ジエン系重合体、液状物に、水と、水酸基価が40~350mgKOH/gのポリオール(特定ポリオール)とを分散させることで、分散系を得る工程である。
以下、分散工程で使用される各成分について説明する。
<液状物>
液状物は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、未変性の液状ジエン系重合体、鉱物油及び植物油からなる群より選択される少なくとも1種を含む液状物(以下、「特定液状物」とも言う)であることが好ましい。
特定液状物は、未変性の液状ジエン系重合体、鉱物油及び植物油以外の液状物を含んでもよいが、本発明の効果がより優れる理由から、未変性の液状ジエン系重合体、鉱物油及び植物油からなる群より選択される少なくとも1種を、50質量%以上含むのが好ましく、70質量%以上含むのがより好ましく、90質量%以上含むのがさらに好ましく、100質量%含む(すなわち、未変性の液状ジエン系重合体、鉱物油及び植物油からなる群より選択される少なくとも1種からなる)のが特に好ましい。
特定液状物は、本発明の効果がより優れる理由から、未変性の液状ジエン系重合体を含む液状物であるのが好ましい。
(未変性の液状ジエン系重合体)
未変性の液状ジエン系重合体は、特に制限されず、その具体例としては、液状ブタジエン重合体、液状芳香族ビニル-共役ジエン共重合体(例えば、液状スチレンブタジエン重合体)、液状イソプレン重合体が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、液状イソプレン重合体が好ましい。
未変性の液状ジエン系重合体の数平均分子量(Mn)は、本発明の効果がより優れる理由から、1,000~100,000であることが好ましく、10,000以上50,000未満であることがより好ましく20,000~40,000であることがさらに好ましい。
(鉱物油)
鉱物油は特に制限されず、その具体例としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等が挙げられる。
(植物油)
植物油は特に制限されず、その具体例としては、大豆油、ナタネ油、ヤシ油、アマニ油油等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、大豆油が好ましい。
(使用量)
分散工程で使用される特定液状物の量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、後述する特定ポリオール100質量部に対して、100~1000質量部であることが好ましく、200~800質量部であることがより好ましく、300~600質量部であることがさらに好ましい。
<水>
上述のとおり、分散工程では、液状物に、水を分散させる。
(使用量)
分散工程で使用される水の量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、後述する特定ポリオール100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましく、7~13質量部であることがさらに好ましい。
(水/イソシアネート基)
後述するポリイソシアネートのイソシアネート基に対する水のモル比(以下、「水/イソシアネート基」とも言う)は、本発明の効果がより優れる理由から、0.1~0.6であることが好ましく、0.2~0.5であることがより好ましい。
<特定整泡剤>
分散工程では、本発明の効果がより優れる理由から、液状物に、さらに、非イオン系界面活性剤及びシリコーン系整泡剤の少なくとも一方(特定整泡剤)を分散させるのが好ましい。
(非イオン系界面活性剤)
非イオン性界面活性剤は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。具体例としては、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン-プロピレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレン脂肪族炭化水素アミン(例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキレンアミン)、ポリオキシエチレン脂肪族炭化水素アミド(例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキレンアミド)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
(シリコーン系整泡剤)
シリコーン系整泡剤は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。
シリコーン系整泡剤は、ポリシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖を有し、主鎖であるポリシロキサン鎖に、ポリオキシアルキレン鎖が変性されたものであることが好ましい。
上記ポリシロキサン鎖は、オルガノポリシロキサン鎖であることが好ましい。オルガノポリシロキサン鎖の具体例としては、ポリジメチルシロキサン鎖が挙げられる。
上記ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等の1種のオキシアルキレン基から構成されたポリオキシアルキレン鎖、及び、オキシエチレンオキシプロピレンブロック鎖、オキシエチレンオキシプロピレンランダム鎖等の2種以上のオキシアルキレン基から構成されたポリオキシアルキレン鎖が挙げられる。
(使用量)
分散工程で使用される特定整泡剤の量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、後述する特定ポリオール100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましく、7~13質量部であることがさらに好ましい。
<特定ポリオール>
分散工程で使用されるポリオールは、水酸基価が40~350mgKOH/gのポリオールである。ここで、ポリオールとは、ヒドロキシ基(水酸基)を2個以上有する化合物である。
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール;ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヒマシ油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ヒマシ油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等のヒマシ油系ポリオール;ポリエステルポリオール(特にセバシン酸系ポリエステルポリオール);アクリルポリオール、ポリブタジエンジオール、水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素-炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;低分子多価アルコール類;これらの混合ポリオールが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、植物由来のポリオールであることが好ましく、ヒマシ油系ポリオール、セバシン酸系ポリエステルポリオール(セバシン酸とポリオールとのエステル化反応によって得られるポリオール)がより好ましい。
ポリオールは、本発明の効果がより優れる理由から、ヒマシ油系ポリオール及びセバシン酸系ポリエステルポリオールの少なくとも一方を含むのが好ましい。
(水酸基価)
上述のとおり、ポリオールの水酸基価は、40~350mgKOH/gである。
ポリオールの水酸基価は、本発明の効果がより優れる理由から、50~300mgKOH/gであることが好ましく、100~250mgKOH/gであることがより好ましく、150~200mgKOH/gであることがさらに好ましい。
なお、水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に記載の水酸基価であり、試料1g中の水酸基と当量の水酸化カリウムのmg数である。
(活性基水素基の合計に対する割合)
活性水素基の合計に対するポリオールのヒドロキシ基(水酸基)の割合(モル比)は、本発明の効果がより優れる理由から、0.1~1.0であることが好ましく、0.2~0.8であることがより好ましく、0.3~0.7であることがさらに好ましい。
<触媒>
分散工程では、本発明の効果がより優れる理由から、液状物にさらに触媒を分散させるのが好ましい。
触媒は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応、又は、ポリイソシアネートと水との反応を促進する触媒であれば特に制限されない。
触媒は、本発明の効果がより優れる理由から、アミン、ヒドロキシ基を有する化合物であることが好ましく、ヒドロキシ基を有するアミン(特に、ヒドロキシ基を有する3級アミン)であることがより好ましく、アルコール基(-ROH、R:アルキレン基)を3個有する3級アミンであることがさらに好ましく、トリエタノールアミンであることが特に好ましい。
(使用量)
分散工程で使用される触媒の量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した特定ポリオール100質量部に対して、0.01~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
(活性基水素基の合計に対する割合)
活性水素基の合計に対する触媒の活性水素基(アミノ基、ヒドロキシ基)の割合(モル比)は、本発明の効果がより優れる理由から、0.1~0.8であることが好ましく、0.2~0.6であることがより好ましく、0.3~0.5であることがさらに好ましい。
<鎖延長剤>
分散工程では、本発明の効果がより優れる理由から、液状物にさらに鎖延長剤を分散させるのが好ましい。
鎖延長剤は、本発明の効果がより優れる理由から、アミノ基(-NH)を2個以上有する化合物(ポリアミン)であることが好ましい。
鎖延長剤としてポリアミンを用いた場合、鎖延長剤は後述するポリイソシアネートと反応して、ウレア結合を形成する。
ポリアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD、デュポン・ジャパン社製)などの脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン(MXDA)、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジエチルメチルベンゼンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン(ハートキュア30、クミアイ化学社製)、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、トリメチレンビス(4-アミノベンゾアート)、ビス(4-アミノ-2,3-ジクロロフェニル)メタンなどの芳香族ポリアミン;N-アミノエチルピペラジン;サンテクノケミカル社製のジェファーミンEDR148に代表されるポリエーテル骨格のジアミン;イソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC、三菱ガス化学社製)、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、3-アミノメチル-3,3,5-トリメチル-シクロヘキシルアミンなどの脂環式ポリアミン;ノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学社製)などのノルボルナン骨格のジアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミン;2,5-ジメチル-2,5-ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジン、ポリプロピレングリコール(PPG)を骨格に持つサンテクノケミカル社製のジェファーミンD230、ジェファーミンD400;等が挙げられる。
ポリアミンは、アミノ基を2個有する化合物(ジアミン)であることがより好ましく、アミノ基を2個有する芳香族化合物(芳香族ジアミン)であることがさらに好ましく、ジメチルチオトルエンジアミンであることが特に好ましい。
(使用量)
分散工程で使用される鎖延長剤の量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した特定ポリオール100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましく、7~13質量部であることがさらに好ましい。
(活性水素基の合計に対する割合)
鎖延長剤がポリアミンである場合、活性水素基の合計に対するポリアミンのアミノ基の割合(モル比)は、本発明の効果がより優れる理由から、0~0.3であることが好ましく、0.1~0.2であることがより好ましい。
<分散工程の手順>
分散工程の手順としては、例えば、上述した各成分を混合してから、攪拌機等で撹拌する方法が挙げられる。
<分散系>
分散工程によって、液状物に上述した各成分が分散した混合物(分散系)が得られる。
〔重合工程〕
重合工程は、活性水素基に対するイソシアネート基のモル比が1.5~6.0となるように分散工程によって得られた分散系にポリイソシアネートを混合することで、分散系に含まれるポリオールと上記ポリイソシアネートとを重合させるとともに二酸化炭素を発生させて、液状物中に分散した見かけ密度が1.00g/cm以下のポリウレタン発泡微粒子を得る工程である。
なお、分散工程によって得られた分散系に鎖延長剤(ジアミン等)が含まれる場合には、重合工程において、鎖延長剤もポリイソシアネートと反応し得る。
<ポリイソシアネート>
特定オリゴマーの製造に使用されるポリイソシアネートは、イソシアネート基(-NCO)を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
ポリイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI;例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような、脂肪族ポリイソシアネート(脂環式ポリイソシアネートを含む);
これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;
これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネートは、本発明の効果がより優れる理由から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、MDIがより好ましい。
上記MDIとしては、モノメリックMDI、ポリメリックMDI、変性MDI(例えば、カルボジイミド変性MDI)等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ポリメリックMDIが好ましい。
(平均官能基数)
ポリイソシアネートの平均官能基数は、本発明の効果がより優れる理由から、2.1以上であることが好ましく、2.3以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、2.7以上であることが特に好ましく、2.9以上であることが最も好ましい。
ポリイソシアネートの平均官能基数の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、4以下であることがさらに好ましい。
なお、平均官能基数は、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の平均の数を表す。
(NCO%)
ポリイソシアネートのNCO%は、本発明の効果がより優れる理由から、5~80%であることが好ましく、10~50%であることがより好ましく、20~40%であることがさらに好ましい。
なお、NCO%は、ポリイソシアネート全体に対してイソシアネート基が占める割合(質量%)を表す。
<イソシアネート基/活性水素基>
上述のとおり、重合工程では、活性水素基に対するイソシアネート基のモル比(以下、「イソシアネート基/活性水素基」とも言う)が1.5~6.0となるように分散工程によって得られた分散系にポリイソシアネートを混合する。
ここで、活性水素基とは、分散系に含まれる特定ポリオールのヒドロキシ基を指し、分散系に鎖延長剤であるポリアミンが含まれる場合には、特定ポリオールのヒドロキシ基に加えて、上記ポリアミンのアミノ基を指し、分散系に触媒であるアミンやヒドロキシ基を有する化合物が含まれる場合には、特定ポリオールのヒドロキシ基に加えて、上記アミンのアミノ基や上記ヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基を指す。
イソシアネート基/活性水素基は、本発明の効果がより優れる理由から、1.6~5.0であることが好ましく、1.7~4.0であることがより好ましく、1.8~3.0であることがさらに好ましい。
<重合工程の手順>
重合工程の手順としては、例えば、分散工程によって得られた分散系にポリイソシアネートを混合してから、攪拌機等で撹拌する方法が挙げられる。
<ポリウレタン発泡微粒子>
重合工程によって、液状物中に分散した見かけ密度が見かけ密度が1.00g/cm以下のポリウレタン発泡微粒子(本発明の微粒子)が得られる。
(見かけ密度)
上述のとおり、ポリウレタン発泡微粒子の見かけ密度は1.00g/cm以下である。上述のとおり、ポリウレタン発泡微粒子は二酸化炭素の発生によって空洞構造を有する。そのため、見かけ密度が小さい。
本発明の製造方法によって製造することで、得られるポリウレタン発泡微粒子の見かけ密度は1.00g/cm以下になる。
ポリウレタン発泡微粒子の見かけ密度は、本発明の効果がより優れる理由から、0.95g/cm以下であることが好ましく、0.90g/cm以下であることがより好ましく、0.85g/cm以下であることがさらに好ましい。
ポリウレタン発泡微粒子の見かけ密度の下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.50g/cm以上であることが好ましく、0.60g/cm以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、ポリウレタン発泡微粒子の見かけ密度は、JIS K7112に準拠して、水中置換法によって求めるものとする。
(平均粒子径)
ポリウレタン発泡微粒子の平均粒子径は、本発明の効果がより優れる理由から、1~300μmであることが好ましく、3~200μmであることがより好ましく、5~100μmであることがさらに好ましく、7~50μmであることが特に好ましく、9~30μmであることが最も好ましい。
なお、本明細書において、ポリウレタン発泡微粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定した体積平均径である。
(分散体中の微粒子の含有率)
上述のとおり、重合工程によって、液状物中に分散したポリウレタン発泡微粒子(本発明の微粒子)が得られる。
以下、液状物と液状物中に分散した微粒子とを合わせて「分散体」とも言い、液状物と液状物中に分散した本発明の微粒子とを合わせて「本発明の分散体」とも言う。
分散体中のポリウレタン発泡微粒子の含有率(分散体全体に対してポリウレタン発泡微粒子が占める割合)(以下、「分散体中の微粒子の含有率」とも言う)は、本発明の効果がより優れる理由から、10~60質量%であることが好ましい。
〔含有量〕
本発明の組成物において、本発明の微粒子の含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、0.1~30質量部である。
本発明の組成物にといて、本発明の微粒子の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、5~15質量部であることがより好ましい。以下、ジエン系ゴム100質量部に対するポリウレタン発泡微粒子の含有量(質量部)を「微粒子量」とも言う。
本発明の組成物において、本発明の分散体の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、2~60質量部であることが好ましく、10~30質量部であることがより好ましい。
[任意成分]
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに他の成分(任意成分)を含有することができる。
上記任意成分としては、例えば、シランカップリング剤、テルペン樹脂(例えば、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
〔シランカップリング剤〕
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。シランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に限定されない。
上記加水分解性基は特に限定されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果がより優れる理由から、1~16であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記有機官能基は特に限定されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、スルフィド基(特に、ポリスルフィド基(-S-:nは2以上の整数))、メルカプト基、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、スルフィド基(特に、ジスルフィド基、テトラスルフィド基)、メルカプト基、ブロックメルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましい。
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル-メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル-メタクリレート-モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は特に限定されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した充填剤(特にシリカ)の含有量に対して2~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
[タイヤ用ゴム組成物の製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄又は加硫促進剤を含有する場合は、硫黄及び加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100~155℃)で混合し、冷却してから、硫黄又は加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
[2]タイヤ
本発明のタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造されたタイヤである。本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッド(キャップトレッド)に用いた(配置した)空気入りタイヤであることが好ましい。
本発明のタイヤは、氷上性能に優れるため、冬用タイヤに好適である。
図1に、本発明のタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明のタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[微粒子の製造]
以下のとおり、各微粒子を製造した。
なお、微粒子1~8は上述した本発明の微粒子に該当し、比較微粒子2~3は上述した本発明の微粒子に該当しない。
〔微粒子1〕
<分散工程>
ヒマシ油ポリオール(伊藤製油社製URIC AC-009、水酸基価が223mgKOH/g)100gと、水10gと、液状イソプレン重合体(クラレ社製LIR-30、数平均分子量28000)345gとを、ジメチルチオトルエンジアミン(クミアイ化学社製ハートキュア30)10gと、トリエタノールアミン(東京化成工業製)15gと、シリコーン系整泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク社製Niax silicone L-5111)10gの存在下、自転公転攪拌機で3分間攪拌した。このようにして、液状イソプレン重合体(特定液状物)に、水と、シリコーン系整泡剤と、ヒマシ油ポリオール(特定ポリオール)と、トリエタノールアミン(触媒)と、ジメチルチオトルエンジアミン(鎖延長剤)とを分散させることで、分散系を得た。
<重合工程>
得られた分散系に、ポリメリックMDI(東ソー社製ミリオネートMR-400、NCO%が30%、平均官能基数3.0)200gを投入し、3分間攪拌することで、ヒマシ油ポリオールとポリメリックMDIとジメチルチオトルエンジアミンとを重合させるとともに二酸化炭素を発生させて、液状イソプレン重合体(特定液状物)中に分散したポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子1とも言い、液状物と液状物中に分散した微粒子1とを合わせた分散体を微粒子分散体1とも言う。
得られた微粒子1について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が2μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.89g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔微粒子2〕
上記URIC AC-009の代わりにセバシン酸系ポリエステルポリオール(伊藤製油社製、URIC SE-2013C、水酸基価が55.3mgKOH/g)を使用し、上記シリコーン系整泡剤の代わりに、非イオン系界面活性剤(トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、花王社製TW-O320V)を使用し、上記液状イソプレン重合体の量を445gに変更し、上記ポリメリックMDIの量を300gへ変更した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子2とも言い、液状物と液状物中に分散した微粒子2とを合わせた分散体を微粒子分散体2とも言う。
得られた微粒子2について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が30μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.70g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔微粒子3〕
上記URIC AC-009の代わりにヒマシ油ポリオール(伊藤製油社製URIC H-30、水酸基価が160.0mgKOH/g)を使用した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子3とも言い、液状物と液状物中に分散した微粒子3とを合わせた分散体を微粒子分散体3とも言う。
得られた微粒子3について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が10μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.82g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔微粒子4〕
上記URIC AC-009の代わりにヒマシ油ポリオール(伊藤製油社製URIC H-30 、水酸基価が160.0mgKOH/g)を使用し、上記ジメチルチオトルエンジアミンを使用せず、上記トリエタノールアミンの代わりにN-メチルジエタノールアミンを使用した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子4とも言い、液状物と液状物中に分散した微粒子4とを合わせた分散体を微粒子分散体4とも言う。
得られた微粒子4について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が100μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.75g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔微粒子5〕
上記液状イソプレン重合体の代わりに鉱物油(昭和シェル石油社製エキストラクト4号S)を使用した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子5とも言い、液状物と液状物中に分散した微粒子5とを合わせた分散体を微粒子分散体5とも言う。
得られた微粒子5について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が5μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.95g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔微粒子6〕
上記液状イソプレン重合体の代わりに植物油(理研農産化工社製大豆油)を使用した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子6とも言い、液状物と液状イソプレン重合体中に分散した微粒子6とを合わせた分散体を微粒子分散体6とも言う。
得られた微粒子6について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が7μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.94g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔微粒子7〕
上記液状イソプレン重合体の量を330gに変更し、上記トリエタノールアミン15gの代わりに、DABCO(東京化成工業社製、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタントリエチレンジアミン)0.05gに変更した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子7とも言い、液状物と液状物中に分散した微粒子7とを合わせた分散体を微粒子分散体7とも言う。
得られた微粒子7について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が2μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.97g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔微粒子8〕
上記ポリメリックMDIの代わりに、モノメリックMDI(東ソー社製ミリオネートMT、NCO%が33%、平均官能基数2.0)に変更した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を微粒子8とも言い、液状物と液状物中に分散した微粒子8とを合わせた分散体を微粒子分散体8とも言う。
得られた微粒子8について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が5μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ0.98g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔比較微粒子2〕
<分散工程>
ヒマシ油ポリオール(伊藤製油社製URIC AC-009、水酸基価が223mgKOH/g)100gと、液状イソプレン重合体(クラレ社製LIR-30、数平均分子量28000)375gとを、ジメチルチオトルエンジアミン(クミアイ化学社製ハートキュア30)50gと、トリエタノールアミン15gと、シリコーン系整泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク社製Niax silicone L-5111)10gの存在下、自転公転攪拌機で3分間攪拌した。なお、水は配合しなかった。このようにして、液状イソプレン重合体(特定液状物)に、シリコーン系整泡剤と、ヒマシ油ポリオール(特定ポリオール)と、トリエタノールアミン(触媒)と、ジメチルチオトルエンジアミン(鎖延長剤)とを分散させることで、分散系を得た。
<重合工程>
得られた分散系に、ポリメリックMDI(東ソー社製ミリオネートMR-400、NCO%が30%、平均官能基数3.0)200gを投入し、3分間攪拌することで、ヒマシ油ポリオールとポリメリックMDIとジメチルチオトルエンジアミンとを重合させて、液状イソプレン重合体(特定液状物)中に分散したポリウレタン微粒子を得た。なお、分散工程で水を配合しなかったため、二酸化炭素は発生しなかった。得られたポリウレタン微粒子を比較微粒子2とも言い、液状物と液状物中に分散した比較微粒子2とを合わせた分散体を比較微粒子分散体2とも言う。
得られた比較微粒子2について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が1μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ1.18g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
〔比較微粒子3〕
液状イソプレン重合体の量を295gに変更し、ポリメリックMDIの量を150gに変更した以外は微粒子1と同様の手順に従ってポリウレタン発泡微粒子を得た。得られたポリウレタン発泡微粒子を比較微粒子3とも言い、液状物と液状物中に分散した比較微粒子3とを合わせた分散体を比較微粒子分散体3とも言う。
得られた比較微粒子3について、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定したところ、平均粒子径が2μmの粒子が生成していることが確認された。水中置換法を用いて、微粒子の見かけ密度を算出したところ1.04g/cmであった。また、分散体中の微粒子の含有率は50質量%であった。
[タイヤ用ゴム組成物の調製]
下記表1に示す成分を、同表に示す割合(質量部)で配合した。具体的には、まず硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、150℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。次に、得られたマスターバッチに硫黄及び加硫促進剤をオープンロールで混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
[評価]
得られたタイヤ用ゴム組成物について、以下の評価を行った。
〔M100及び破断伸び〕
得られたタイヤ用ゴム組成物を所定形状の金型(内寸:長さ150mm、幅150mm、厚さ2mm)を用いて170℃、15分間加硫し、加硫ゴムシートを作製した。
得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6251:2017に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度23℃、引張り速度500mm/分の条件で、100%伸長時の応力(100%モジュラス)(M100)及び破断伸びを測定した。
結果を表1に示す。結果は標準例1を100とする指数で示した。指数が大きいほど強靭性に優れることを意味する。指数は、100超であることが好ましい。
〔氷上性能〕
得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を作製した。
得られた加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて、測定温度:-1.5℃、荷重:5.5kg/cm3、ドラム回転速度:25km/時間の条件で、氷上摩擦係数を測定した。
結果を表1に示す。結果は標準例1を100とする指数で表した。指数が大きいほどゴムと氷との摩擦力が大きく、タイヤにしたときに氷上性能に優れることを意味する。指数は、100超であることが好ましい。
表1に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム(STR20、ガラス転移温度:-65℃、ボンバンディット社製)
・BR:ポリブタジエンゴム(Nipol BR1220、ガラス転移温度:-110℃、日本ゼオン社製)
・シリカ:ULTRASIL VN3(エボニック・デグッサ社製)
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シランカップリング剤:シランカップリング剤(Si69、エボニック・デグッサ社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸YR(日本油脂社製)
・老化防止剤:アミン系老化防止剤(サントフレックス 6PPD、フレクシス社製)
・ワックス:パラフィンワックス(大内新興化学社製)
・オイル:アロマオイル(エクストラクト4号S、昭和シェル石油社製)
・硫黄:油処理硫黄(細井化学社製)
・加硫促進剤:スルフェンアミド系加硫促進剤(サンセラーCM-G、三新化学社製)
・微粒子分散体1~8:上述のとり製造した微粒子分散体1~8
・比較微粒子1:根上工業社製 アートパールC-80T(ウレタンビーズ、見かけ密度:1.16g/cm、平均粒子径:75μm)
・比較微粒子分散体2~3:上述のとおり製造した比較微粒子分散体2~3
・液状イソプレン重合体:クラレ社製LIR-30、数平均分子量28000
なお、表1中、「微粒子量」は、微粒子分散体のうち液状物を除いた正味の微粒子の量(質量部)を表す。
また、表1中、「イソシアネート基/活性水素基」、「水/イソシアネート基」、「見かけ密度」、「平均粒子径」及び「分散体中の微粒子の含有率」は、それぞれ、各例で使用された微粒子のイソシアネート基/活性水素基、水/イソシアネート基、見かけ密度、平均粒子径、及び、分散体中の微粒子の含有率を表す。
また、実施例で使用された微粒子の処方を表2にまとめて示す。表2中、数値は各成分の使用量(質量部)を表す。
表1から分かるように、本発明の微粒子を含有するタイヤ用ゴム組成物である実施例1~11は、優れた、M100、破断伸び及び氷上性能を示した。
実施例2~8の対比(微粒子量が10質量部であり、ポリイソシアネートがポリメリックMDIである態様同士の対比)から、本発明の微粒子について、分散工程において液状物にさらに、触媒としてヒドロキシ基を有する3級アミン、及び、鎖延長剤を分散させた実施例2~4及び実施例6~7は、より優れたM100を示した。なかでも、液状物が未変性のジエン系重合体である実施例2~4は、さらに優れたM100を示した。そのなかでも、ポリオールの水酸基価が200mgKOH/g以下である実施例3~4は、さらに優れたM100を示した。そのなかでも、ポリオールがヒマシ油系ポリオールである実施例4は、さらに優れたM100を示した。
また、実施例1~2と実施例10と実施例11との対比(微粒子量のみが異なる態様同士の対比)から、微粒子量が1質量部以上である実施例1~2及び実施例11は、より優れた、M100及び氷上性能を示した。なかでも、微粒子量が7質量部以上である実施例2及び実施例11は、さらに優れた、M100及び氷上性能を示した。そのなかでも、微粒子量が13質量部以下である実施例2は、さらに優れた破断伸びを示した。
一方、本発明の微粒子を含有しない標準例1、及び、本発明の微粒子の代わりに本発明の微粒子以外の微粒子を含有する比較例1~3は、M100、破断伸び及び氷上性能のうち少なくとも1つが不十分であった。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (7)

  1. ガラス転移温度が-50℃以下のジエン系ゴム100質量部と、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤30~100質量部と、ポリウレタン発泡微粒子0.1~30質量部とを含有する、タイヤ用ゴム組成物であって、
    前記ポリウレタン発泡微粒子が、
    液状物に、水と、水酸基価が40~350mgKOH/gのポリオールとを分散させることで、分散系を得る、分散工程と、
    活性水素基に対するイソシアネート基のモル比が1.5~6.0となるように前記分散系にポリイソシアネートを混合することで、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを重合させるとともに二酸化炭素を発生させて、前記液状物中に分散した見かけ密度が1.00g/cm以下のポリウレタン発泡微粒子を得る、重合工程とを備える、ポリウレタン発泡微粒子の製造方法によって得られたポリウレタン発泡微粒子である、タイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記ポリウレタン発泡微粒子の平均粒子径が、1~300μmである、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ポリオールが、植物由来のポリオールである、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記分散工程において、前記液状物にさらに鎖延長剤を分散させる、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記分散工程において、前記液状物にさらに触媒としてヒドロキシ基を有する3級アミンを分散させる、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記植物由来のポリオールが、ヒマシ油系ポリオール及びセバシン酸系ポリエステルポリオールの少なくとも一方を含む、請求項3に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造された、冬用タイヤ。
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