JP2024030113A - 二軸混練押出機およびスクリュエレメント - Google Patents

二軸混練押出機およびスクリュエレメント Download PDF

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Abstract

【課題】混練が不十分な部分がゲルとして残ることがより抑制され、より分散性が向上する二軸混練押出機およびスクリュエレメントを提供すること。【解決手段】二軸混練押出機は、シリンダと、一対のスクリュと、を備える。一対のスクリュのそれぞれは、フライトを有し、フライトは、順方向に巻回する順ねじれのフライトと、当該順ねじれのフライトに対して軸方向に隣接して配置され且つ順方向の逆方向に巻回する逆ねじれのフライトと、を含む。順ねじれのフライトと逆ねじれのフライトとの境界部には、中心軸との径方向距離が、順ねじれのフライトの稜線と中心軸との径方向距離および逆ねじれのフライトの稜線と中心軸との径方向距離よりも小さい凹部が設けられる。【選択図】図2

Description

本発明は、二軸混練押出機およびスクリュエレメントに関する。
樹脂ペレットや粉末状の樹脂材料を連続的に溶融混練する際に、例えば二軸混練押出機などの混練設備が用いられる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る二軸混練押出機は、シリンダと、シリンダの内側に収容される一対のスクリュと、を備える。一対のスクリュは、平行な2つの中心軸のそれぞれの軸回りに回転する。
スクリュは、シャフトと、当該シャフトが挿入および嵌合される筒状のスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられるフライトと、を有する。また、フライトには、径方向内側に凹む切欠きが設けられる。中心軸の軸方向から見て、切欠きの底面と中心軸との径方向距離は、回転する軸回り方向に向かうに従って小さくなるように傾斜する。即ち、フライトの切欠きの深さは、回転する軸回り方向に向かうに従って大きくなる。これにより、スクリュが回転して樹脂が混練される際に、切欠きに流れ込んだ材料が引き延ばされて材料に伸長流れが起こり、混練が不十分な部分がゲルとして残ることを抑制している。
特開2011-131543号公報
近年、混練が不十分な部分がゲルとして残ることを更に抑制するとともに材料がより分散することが望まれる。
本発明の目的は、混練が不十分な部分がゲルとして残ることがより抑制され、材料の分散性がより向上する二軸混練押出機およびスクリュエレメントを提供することにある。
本発明の一態様に係る二軸混練押出機は、シリンダと、前記シリンダの内側に収容され、2本の中心軸のそれぞれの軸回りに回転する一対のスクリュと、を備え、前記2本の中心軸においては、一方の中心軸が他方の中心軸に沿って延び、前記一対のスクリュのそれぞれは、前記中心軸の軸方向に延びるスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられるフライトと、を有し、前記フライトは、順方向に巻回する順ねじれのフライトと、当該順ねじれのフライトに対して前記軸方向に隣接して配置され且つ前記順方向の逆方向に巻回する逆ねじれのフライトと、を含み、前記順ねじれのフライトと前記逆ねじれのフライトとの境界部には、前記中心軸との径方向距離が、前記順ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離および前記逆ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい凹部が設けられる。また、本発明の一態様に係るスクリュは、他のスクリュと一対で使用される、スクリュであって、中心軸の軸回り方向に回転するスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられるフライトと、を備え、前記フライトは、順方向に巻回する順ねじれのフライトと、当該順ねじれのフライトに対して前記中心軸の軸方向に隣接して配置され且つ前記順方向の逆方向に巻回する逆ねじれのフライトと、を含み、前記順ねじれのフライトと前記逆ねじれのフライトとの境界部には、前記中心軸との径方向距離が、前記順ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離および前記逆ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい凹部が設けられる。
前述のように、特許文献1のスクリュでは、中心軸の軸方向から見て、フライトの切欠きの底面と中心軸との径方向距離は、回転する軸回り方向に向かうに従って小さくなるように傾斜する。これにより、スクリュが回転して樹脂が混練される際に、切欠きに流れ込んだ材料が引き延ばされて材料に伸長流れが起こる。
これに対して本発明では、順ねじれのフライトと逆ねじれのフライトとの境界部に凹部を設けている。即ち、スクリュにおける凹部に向けて、軸方向の一方側および他方側から順ねじれのフライトおよび逆ねじれのフライトの稜線が湾曲しつつ近づくように延びている。これにより、順ねじれのフライトと逆ねじれのフライトとの間に位置する材料が、スクリュの回転に伴い軸方向の中央側に寄せ集められて凹部に流れ込む。換言すると、樹脂材料は、軸方向に広い部位(順ねじれのフライトと逆ねじれのフライトとの間)から狭い部位(凹部)に向けた流れに絞られる。こののち、狭い部位(凹部)を抜けた材料は、軸方向に広がる流れとなる。
即ち、本発明によれば、材料の流れが、軸方向に広い部位(順ねじれのフライトと逆ねじれのフライトとの間)から狭い部位(凹部)に向けた流れに絞られ、凹部を通過した後に、再度、広い部位に材料の流れが広がる。このように、スクリュの回転に伴って、凹部に強制的に材料を流れ込ませたのち材料の流れが広がるため、特許文献1よりも、材料がより引き延ばされて伸長流れが更に大きくなる。以上より、本発明によれば、混練が不十分な部分がゲルとして残ることを更に抑制することが可能となる。加えて、材料の分散性も向上する。
本発明の一態様に係る二軸混練押出機は、シリンダと、前記シリンダの内側に収容され、2本の中心軸のそれぞれの軸回りに回転する一対のスクリュと、を備え、前記2本の中心軸においては、一方の中心軸が他方の中心軸に沿って延び、前記一対のスクリュのそれぞれは、前記中心軸の軸方向に延びるスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられ且つ前記中心軸を挟んだ両側にそれぞれ配置される2つのフライトと、を有し、前記2つのフライトのそれぞれは、前記フライトの稜線の一部が径方向内側に凹んだ凹部であって、且つ、前記フライトの前記稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい径方向距離を有する凹部を有し、前記2つのフライトのうちの一方のフライトの前記凹部は、前記2つのフライトのうちの他方のフライトの前記凹部に対して、前記中心軸を挟んだ反対側に位置する。また、本発明の一態様に係るスクリュは、他のスクリュと一対で使用される、スクリュであって、中心軸の軸回り方向に回転するスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられるフライトと、を備え、前記フライトは、前記中心軸を挟んだ両側に1つずつ配置された2つのフライトを含み、前記2つのフライトのそれぞれは、前記フライトの稜線の一部が径方向内側に凹んだ凹部であって、且つ、前記フライトの前記稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい径方向距離を有する凹部を有し、前記2つのフライトのうちの一方のフライトの前記凹部は、前記2つのフライトのうちの他方のフライトの前記凹部に対して、前記中心軸を挟んだ反対側に位置する。
前述の特許文献1では、1つのスクリュに切欠きが1つ設けられる。スクリュが1回転すると、切欠きへの材料の流れ込みが2回生じる。これに対して、本発明では、1つのスクリュに対して凹部が2つ設けられる。従って、本発明では、スクリュが1回転すると、凹部への材料の流れ込みが2回生じる。また、本発明では、2つの凹部は、中心軸を挟んで互いに反対側に位置するため、スクリュが1回転すると、2回の凹部への材料の流れ込みが均等に生じる。以上より、本発明によれば、混練が不十分な部分がゲルとして残ることを更に抑制することが可能となる。加えて、材料の分散性も向上する。
前記一対のスクリュのそれぞれには、前記凹部に嵌まる凸部が設けられる。従って、凹部に溜まる材料を凸部で掻き出すことができるため、凹部への材料の滞留が低減される。
前記中心軸を含む断面において、前記凸部の縁および前記凹部の縁は、円弧状である。従って、凸部の縁および凹部の縁が例えば矩形状の場合よりも、凹部の隅部に溜まる材料がより少なくなる。また、凸部の縁および凹部の縁が例えば矩形状の場合は、凸部と凹部とが干渉したときに破損しやすくなるが、本発明では、凸部および凹部が干渉しても破損しにくい。
前記中心軸に直交し且つ前記凹部を通る断面において、前記中心軸と前記凹部とを通る第1線分の最小長さを第1長さとし、前記中心軸を通り且つ前記第1線分に直交する第2線分の最小長さを第2長さとし、前記中心軸と前記稜線との径方向距離の2倍を第3長さとしたとき、前記第2長さよりも前記第1長さが長く、且つ、前記第1長さよりも前記第3長さが長い。
本発明においては、適切な凹部の流路断面積を設定することで伸長流れが大きくなり、材料がより引き延ばされることが可能となる。従って、前記第2長さよりも前記第1長さが長く、且つ、前記第1長さよりも前記第3長さを長くすることにより、適切な凹部の流路断面積となり伸長流れを大きくすることが可能となる。
本発明によれば、混練が不十分な部分がゲルとして残ることがより抑制され、材料成分の分散性がより向上する二軸混練押出機およびスクリュエレメントを提供することができる。
図1は、実施形態に係る二軸混練押出機の全体を示す模式図である。 図2は、実施形態に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。 図3は、実施形態に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。 図4は、実施形態に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。 図5は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。 図6は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す平面図である。 図7は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸とフライトの稜線との径方向距離を示すグラフである。 図8は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。 図9は、変形例1に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。 図10は、変形例1に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。 図11は、変形例1に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。 図12は、変形例1に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す平面図である。 図13は、変形例2に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。 図14は、変形例2に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。 図15は、変形例2に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。 図16は、変形例2に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す平面図である。 図17は、変形例3に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。 図18は、変形例3に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。 図19は、変形例3に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を含む斜視図である。 図20は、変形例3に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。 図21Aは、変形例3に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。 図21Bは、変形例3に係るスクリュを用いて混練した樹脂組成物の分散状態を示すSEM画像である。 図22Aは、従来のスクリュを模式的に示す斜視図である。 図22Bは、従来のスクリュを用いて混練した樹脂組成物の分散状態を示すSEM画像である。 図23Aは、変形例3に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。 図23Bは、変形例3に係るスクリュを用いて混練した場合について、スクリュに充満する樹脂を示す写真である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る二軸混練押出機の全体を示す模式図である。図2は、実施形態に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。図3は、実施形態に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。図4は、実施形態に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図5は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。図6は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す平面図である。図7は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸とフライトの稜線との径方向距離を示すグラフである。図8は、実施形態に係るスクリュについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
まず、実施形態に係る二軸混練押出機100の構成を説明する。図1に示すように、二軸混練押出機100は、シリンダ110と、スクリュ120と、を備える。シリンダ110は、内側が空洞になっており、複数の筒状部材101が連結されて構成される。シリンダ110の一端部には、材料供給口102が設けられ、他端部には、材料排出口(図示せず)が設けられる。スクリュ120は、シリンダ110の内側に収容される。スクリュ120は、一対に設けられ、平行な2本の中心軸AX1、AX2のそれぞれの軸回りに回転する。スクリュ120は、混練用のスクリュ1(例えば図2等参照)を含む。
また、図1に示すように、二軸混練押出機100は、予熱部103、第1混練部104および第2混練部105を有する。なお、材料としては、例えば2種類の樹脂混合物(例えば樹脂ペレット混合物)が適用可能である。具体的には、PP(polypropylene、ポリプロピレン)樹脂やPLA(Poly-Lactic Acid、ポリ乳酸)樹脂混合物などである。以上の構成を有する二軸混練押出機100では、材料供給口102から材料を投入し、シリンダ110の内部に材料を供給する。その後、スクリュ120の回転により、押出方向Aの矢印の方向に向けて材料が移動する。予熱部103において、材料が所定温度に加熱される。第1混練部104においては、所定温度に加熱された材料に対して1回目の混練を施す。そして、第2混練部105においては、1回目の混練を終えた材料に対して、2回目の混練を施す。第2混練部105には、前述の混練用のスクリュ1が設けられる。以下、混練用のスクリュ1について詳細に説明する。
図2に示すように、混練用のスクリュ1は、スクリュ2と、スクリュ3と、を一対に含む。図1に示すように、第2混練部105においては、図2に示すスクリュ1が3つ連結されている。スクリュ2は、中心軸AX1の軸回り方向に回転する。スクリュ3は、中心軸AX2の軸回り方向に回転する。中心軸AX1と中心軸AX2とは略平行である。換言すると、中心軸AX2は、中心軸AX1に沿って延びている。
ここで、中心軸AX1、AX2の軸方向をY方向とし、軸方向の一方側をY1側、軸方向の他方側をY2側とする。また、Y1側から見て、回転方向B、Cは、反時計回り方向(左回り方向)である。スクリュ2およびスクリュ3はともに、Y1側から見て、同一の回転方向B、Cに回転する。
スクリュ2とスクリュ3とは同一の構成を有する。図2から図6を参照して、以下にスクリュ2の構成を説明する。図2および図3に示すように、スクリュ2およびスクリュ3のそれぞれは、スクリュエレメント20とシャフト25とを備える。スクリュエレメント20は、フライト5とスクリュ軸本体4とを備える。フライト5とスクリュ軸本体4とは、一つの部材になっている。換言すると、フライト5とスクリュ軸本体4とは、単一部材である。例えば、鋳造や金属母材の切削加工などでフライト5とスクリュ軸本体4とを同時に作製する。
スクリュ軸本体4は、中心軸AX1、AX2それぞれの軸回りの周方向に延びる筒状の形状を有する。スクリュ軸本体4の径方向中央部には、中心軸AX1、AX2の軸方向(Y方向)に沿って延びる嵌合孔41が設けられる。嵌合孔41は、軸方向(Y方向)から見て、例えば正六角形である。スクリュ軸本体4の外周は、二点鎖線で示す円形である。嵌合孔41には、シャフト25が嵌合する。シャフト25は、中心軸AX1、AX2に直交する断面形状が例えば正六角形の軸部材である。シャフト25は、図示しないモータに接続されているため、モータの回転駆動によってシャフト25を含むスクリュ2、3が図2の矢印で示す方向B、Cに回転する。
図2に示すように、フライト5は、スクリュ軸本体4の外周に設けられる。フライト5は、径方向外側へ向けて突出し且つ軸方向に沿って延びる。フライト5は、側面55と、稜線56と、を備える。稜線56は、側面55における径方向外側の端に位置する。図2に示すように、フライト5は、順ねじれのフライト51と、逆ねじれのフライト52と、を含む。順ねじれのフライト51は、順方向に巻回する。具体的には、スクリュ2をY1側から見た場合に、順ねじれのフライト51は、Y1側からY2側に行くに従って、時計回り方向(右方向)に沿って延びる。逆ねじれのフライト52は、順ねじれのフライト51に対して軸方向(Y方向)に隣接して配置される。即ち、Y方向において、順ねじれのフライト51はY1側に配置され、逆ねじれのフライト52は、Y2側に配置される。逆ねじれのフライト52は、順方向とは反対の逆方向に巻回する。具体的には、スクリュ2をY1側から見た場合に、逆ねじれのフライト52は、Y1側からY2側に行くに従って、反時計回り方向(左方向)に沿って延びる。
順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部には、凹部6が設けられる。凹部6は、フライト5の稜線56の一部が径方向内側に凹んだ部位である。ここで、図7に示すように、順ねじれのフライト51および逆ねじれのフライト52において、中心軸AX1と稜線56との径方向距離は、径方向距離L2である。中心軸AX1と凹部6との径方向距離の最小(中心軸AX1と凹部6の底部60との径方向距離)は、径方向距離L1である。径方向距離L1は、径方向距離L2よりも小さい。即ち、図2および図7を参照すると、順ねじれのフライト51の稜線56は、中心軸AX1から一定の径方向距離L2を保ちながらY1側からY2側に向かう。そして、順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部に配置された凹部6において、中心軸AX1からの径方向距離が径方向距離L1に局所的に減少する。さらに、逆ねじれのフライト52の稜線56は、中心軸AX1から一定の径方向距離L2を保ちながらY1側からY2側に向かう。
また、1つのスクリュ2には、2つのフライト5が設けられる。具体的には、図2、図3および図4に示すように、フライト5は、第1フライト53と、第2フライト54と、を含む。Y1側から見て、第1フライト53は、中心軸AX1を挟んで第2フライト54の反対側に位置する。1つのフライト5には1つの凹部6が設けられるため、1つのスクリュ2には2つの凹部6が設けられる。そして、2つの凹部6の一方は、当該凹部6の他方に対して、中心軸AX1を挟んだ反対側に位置する。具体的には、図6に示すように、凹部61は、凹部62に対して、中心軸AX1を挟んだ反対側に位置する。なお、図6に示す凹部6の幅W1(凹部6の軸方向距離の最大)は、図4に示すシリンダ110のチャンバ111の内径の距離D1の1/4倍よりも小さい。
また、図2、図3、図5および図6に示すように、スクリュ軸本体4の外周には、径方向外側に突出する凸部7が設けられる。凸部7は、凹部6に嵌合する。凸部7の軸方向位置は、凹部6の軸方向位置と同じである。また、図3に示すように、凸部7は端71から端72まで周方向に延びる。凸部7の端71は、凹部6の端と一致する。即ち、スクリュ2の外周面を周方向に辿った場合に、凸部7と凹部6とが連続して交互に配置される。なお、図6に示すように、凹部6の縁および凸部7の縁は、中心軸AX1、AX2を含む断面において、円弧状である。なお、換言すると、凸部7は、スクリュ軸本体4の外周において、中心軸AX1の軸回りの周方向に沿って延び且つ凹部6を通る環状領域のうち凹部6以外の領域に設けられる。
なお、図6に示すように、スクリュ2の凹部6にスクリュ3の凸部7が嵌まっている。具体的には、スクリュ2には、凹部61と凹部62とが設けられ、スクリュ3には、凸部73と凸部74とが設けられる。スクリュ2の凹部62にスクリュ3の凸部73が嵌まっている。換言すると、スクリュ2、3のそれぞれには、中心軸AX1、AX2の軸方向から見て、スクリュ軸本体4の外周のうち一方のフライト(第1フライト53)の凹部6から時計回り方向に沿って他方のフライト(第2フライト54)の凹部6までの第1領域と、スクリュ軸本体4の外周のうち他方のフライト(第2フライト54)の凹部6から時計回り方向に沿って一方のフライト(第1フライト53)の凹部6までの第2領域とのそれぞれの領域に、スクリュ軸本体4の外周から径方向外側に突出する凸部7が設けられる。スクリュ2の凹部6とスクリュ3の凸部7との径方向距離は、距離D2である。距離D2は、例えば0.31mmである。また、スクリュ2の軸方向距離は、例えば39mmである。なお、前述のように、スクリュ1は、シリンダ110のチャンバ111に収容される。図4に示すように、チャンバ111について、中心軸AX1、AX2に直交する断面の形状は、2つの円の一部を重ねた形状を有する。シリンダ110のチャンバ111の内径は、距離D1を有する。距離D1は、例えば26mmである。シリンダ110の内面112は円筒面の一部である。
図8に示すように、中心軸AX1に直交し且つ凹部6を通る断面において、中心軸AX1と凹部6とを通る第1線分310の最小長さを第1長さLaとする。中心軸AX1を通り且つ第1線分310に直交する第2線分320の長さを第2長さLbとする。2つの稜線56同士の距離を第3長さLcとする。このとき、第2長さLbよりも第1長さLaが長く、且つ、第1長さLaよりも第3長さLcが長い。
以上説明したように、本実施形態に係る二軸混練押出機100は、シリンダ110と、一対の混練用のスクリュ1と、を備える。一対のスクリュであるスクリュ2、3は、スクリュエレメント20を備える。スクリュエレメント20は、中心軸AX1、AX2の軸方向に延びる筒状のスクリュ軸本体4と、スクリュ軸本体4の外周に設けられるフライト5と、を有する。フライト5は、順方向に巻回する順ねじれのフライト51と、順ねじれのフライト51に対して軸方向に隣接して配置され且つ順方向の逆方向に巻回する逆ねじれのフライト52と、を含む。順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部には、中心軸との径方向距離が、順ねじれのフライト51の稜線56と中心軸との径方向距離および逆ねじれのフライト52の稜線56と中心軸との径方向距離よりも小さい凹部6が設けられる。
前述のように、特許文献1のスクリュでは、中心軸の軸方向から見て、フライトの切欠きの底面と中心軸との径方向距離は、回転する軸回り方向に向かうに従って小さくなるように傾斜する。即ち、フライトの切欠きの深さは、回転する軸回り方向に向かうに従って大きくなる。これにより、スクリュが回転して樹脂が混練される際に、切欠きに流れ込んだ材料が引き延ばされて材料に伸長流れが起こる。
これに対して本実施形態では、スクリュの回転によるけん引流れと、樹脂圧力による圧力流れと、の合算で材料の流動が変化する。なお、説明を分かりやすくするために、図2では、凹部6における周方向流れのみを矢印で示している。まず、図2を参照して、スクリュの回転によるけん引流れを説明する。
図2に示すように、順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部に凹部6を設けている。スクリュ2における凹部6に向けて、軸方向の一方側および他方側から順ねじれのフライト51および逆ねじれのフライト52の稜線56が湾曲しつつ近づくように延びている。これにより、順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との間に位置する材料が、スクリュ2の回転に伴い軸方向の中央側に寄せ集められて凹部6に流れ込む。換言すると、図2に示す樹脂流れP1は、軸方向に広い部位(順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との間)から狭い部位(凹部6)に向けた流れである樹脂流れP2に絞られる。こののち、狭い部位(凹部6)を抜けた材料は、軸方向に広がり樹脂流れP3となる。
そして、樹脂流れP3のあと、スクリュ2を通った材料は、スクリュ3の凸部7の両側を通って樹脂流れP4となり、凹部6に流れ込んで樹脂流れP5となる。その後、凹部6を通過した後、軸方向に広がって樹脂流れP6となる。そして、前述したけん引流れに対して、軸方向に沿った樹脂圧力による圧力流れが加わる。即ち、例えばベクトルに例えると、スクリュ2、3の周方向に延びる第1ベクトルに対して、軸方向に延びる第2ベクトルを加えて第3ベクトルになるような流れとなる。従って、前述した樹脂流れP1からP6の全体または一部が、軸方向(例えばY2側からY1側へ向かう方向)へ向けて流れが変化する。例えば、樹脂流れP3は、スクリュ2からスクリュ3へ周方向に進むのではなく、図2の矢印よりもY1側へ押し戻される流れとなる。
このように、本実施形態によれば、特許文献1よりも、材料がより引き延ばされて伸長流れが更に大きくなる。以上より、本実施形態によれば、混練が不十分な部分がゲルとして残ることを更に抑制し、材料の分散性をより向上させることが可能となる。よって、本実施形態は、ゲルの抑制は異物の低減に繋がりやすく、分散性が向上して、得られる製品品質の均質化にもつながりやすくなるといった利点がある。
本実施形態に係る二軸混練押出機100は、シリンダ110と、一対の混練用のスクリュ1と、を備える。一対のスクリュであるスクリュ2、3は、中心軸AX1、AX2の軸方向に延びるスクリュ軸本体4と、スクリュ軸本体4の外周に設けられ且つ中心軸AX1、AX2を挟んだ両側にそれぞれ配置される2つのフライト5と、を有する。2つのフライト5のそれぞれは、フライトの稜線56の一部が径方向内側に凹んだ凹部6であって、且つ、フライトの稜線56と中心軸AX1、AX2との径方向距離よりも小さい径方向距離を有する凹部6を有する。第1フライト(2つのフライトのうちの一方のフライト)53の凹部6は、第2フライト(2つのフライトのうちの他方のフライト)54の凹部6に対して、中心軸AX1、AX2を挟んだ反対側に位置する。
前述の特許文献1では、1つのスクリュに切欠きが1つ設けられる。スクリュが1回転すると、切欠きへの材料の流れ込みが2回生じる。これに対して、本実施形態では、1つのスクリュ1に対して凹部6が2つ設けられる。従って、本実施形態では、スクリュ1が1回転すると、凹部6への材料の流れ込みが2回生じる。また、本実施形態では、2つの凹部6は、中心軸を挟んで互いに反対側に位置するため、スクリュが1回転すると、2回の凹部6への材料の流れ込みが均等に生じるので、混練が不十分な部分がゲルとして残ることを更に抑制することが可能となる。
一対のスクリュ1のそれぞれには、凹部6に嵌まる凸部7が設けられる。従って、凹部6に溜まる材料を凸部7で掻き出すことができるため、凹部6への材料の滞留が低減される。
中心軸AX1、AX2を含む断面において、凸部7の縁および凹部6の縁は、円弧状である。従って、凸部の縁および凹部の縁が例えば矩形状の場合よりも、凹部6の隅部に溜まる材料がより少なくなる。また、凸部の縁および凹部の縁が例えば矩形状の場合は、凸部と凹部とが干渉したときに破損しやすくなるが、本実施形態では、凸部7および凹部6が干渉しても破損しにくい。
中心軸AX1、AX2に直交し且つ凹部6を通る断面において、中心軸と凹部6とを通る第1線分310の最小長さを第1長さLaとし、中心軸を通り且つ第1線分310に直交する第2線分320の最小長さを第2長さLbとし、中心軸と稜線56との径方向距離の2倍を第3長さLcとする。第2長さLbよりも第1長さLaが長く、且つ、第1長さLaよりも第3長さLcが長い。本実施形態においては、適切な凹部6の流路断面積を設定することにより、材料がより引き延ばされて伸長流れを大きくすることが可能となる。従って、第2長さLbよりも第1長さLaが長く、且つ、第1長さLaよりも第3長さLcを長くすることにより、適切な凹部6の流路断面積となり伸長流れを大きくすることが可能となる。
[変形例1]
次に、変形例1について説明するが、実施形態と同一構成の部位には同一符号を付けて説明を省略する。図9は、変形例1に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。図10は、変形例1に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図11は、変形例1に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。図12は、変形例1に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す平面図である。
図9から図12に示すように、変形例1に係るスクリュ2A、3Aは、実施形態に係るスクリュ2、3に対して、フライト5のリードが短い。換言すると、スクリュについて同一の軸方向長さを比較した場合に、フライト5の稜線56の長さの合計が、変形例1のフライトの方が長い。更に換言すると、実施形態と変形例1とについて、径方向から見た場合における中心軸とフライトとの交差角度を比較すると、変形例1のフライト5の方が実施形態よりも大きい。即ち、変形例1のフライト5の方が、中心軸に直交する方向により近い。なお、これ以外の構成(例えば、順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52の数、凹部6の数など)は、実施形態と略同じである。
以上説明したように、変形例1においても、実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、変形例1では、スクリュについて同一の軸方向長さを比較した場合に、フライト5の稜線56の長さの合計が、変形例1のフライトの方が長いため、中心軸の軸方向への流れが弱まる傾向となりスクリュの周方向への流れが促進される傾向となる。これにより凹部6を材料が通過する機会が増え、混練が不十分な部分がゲルとして残りにくくなる。
[変形例2]
次に、変形例2について説明するが、実施形態および変形例1と同一構成の部位には同一符号を付けて説明を省略する。図13は、変形例2に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。図14は、変形例2に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図15は、変形例2に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。図16は、変形例2に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す平面図である。
図13から図16に示すように、変形例2に係るスクリュ2B、3Bは、実施形態に係るスクリュ2とスクリュ3に対して、凹部6と凸部7の数が多い。実施形態では、スクリュ2とスクリュ3のそれぞれに、凹部6を2つずつ、凸部7を2つずつ設けた。これに対して、変形例2に係るスクリュ2B、3Bのそれぞれには、凹部6を6つずつ、凸部7を6つずつ設けた。以下、簡単に説明する。
まず、実施形態と同様に、順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部には、凹部6が設けられる。変形例2においても、スクリュ2Bとスクリュ3Bのそれぞれに、フライト5が2つずつ設けられるため、順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部の凹部6は、合計4つである。また、変形例2では、順ねじれのフライト51の稜線56の中間部にも凹部6を設けているため、当該順ねじれのフライト51に設ける凹部6は、合計で4つである。逆ねじれのフライト52の稜線56の中間部にも凹部6を設けているため、当該逆ねじれのフライト52に設ける凹部6は、合計で4つである。以上より、変形例2では、スクリュ2B、3Bに設ける凹部6の合計は12である。
また、スクリュ2Bにおける順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部に設けた凹部6には、スクリュ3Bにおける順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部に設けた凸部7が嵌合する。スクリュ2Bにおける順ねじれのフライト51の中間部に設けた凹部6には、スクリュ3Bにおける順ねじれのフライト51の中間部に設けた凸部7が嵌合する。スクリュ2Bにおける逆ねじれのフライト52の中間部に設けた凹部6には、スクリュ3Bにおける逆ねじれのフライト52の中間部に設けた凸部7が嵌合する。
なお、スクリュの外周面を周方向に辿った場合に、凸部7と凹部6とが連続して設けられる。従って、例えば、スクリュ2Bにおける順ねじれのフライト51の凹部6に、スクリュ3Bにおける逆ねじれのフライト52の凸部7が嵌合する。スクリュ2Bにおける逆ねじれのフライト52の凹部6に、スクリュ3Bにおける順ねじれのフライト51の凸部7が嵌合する。以上より、スクリュ2B、3Bに設ける凸部7の合計は12である。
なお、これ以外の構成(例えば、凹部6の縁および凸部7の縁は、中心軸AX1、AX2を含む断面において、全て円弧状であることなど)は、実施形態と同じである。
以上説明したように、変形例2においても、実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、変形例2では、スクリュ2B、3Bに設ける凹部6の数が実施形態よりも多いため、材料が流れ込む箇所が多くなり、混練をより十分に行うことができる。
[変形例3]
次に、変形例3について説明するが、変形例1および変形例2と同一構成の部位には同一符号を付けて説明を省略する。図17は、変形例3に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。図18は、変形例3に係るスクリュおよびシリンダについて、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図19は、変形例3に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を含む斜視図である。図20は、変形例3に係るスクリュについて、中心軸を含む断面を示す一部断面斜視図である。
図17から図20に示すように、変形例3に係るスクリュ2C、3Cは、変形例1に係るスクリュ2A、3Aと変形例2に係るスクリュ2B、3Bとを組み合わせた形状を有する。即ち、変形例3に係るスクリュ2C、3Cは、実施形態のスクリュ2、3に対してフライト5のリードが短く、且つ、凹部6と凸部7の数が多くなる。従って、スクリュ2Cにおける順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部に設けた凹部6には、スクリュ3Cにおける順ねじれのフライト51と逆ねじれのフライト52との境界部に設けた凸部7が嵌合する。スクリュ2Cにおける順ねじれのフライト51の中間部に設けた凹部6には、スクリュ3Cにおける順ねじれのフライト51の中間部に設けた凸部7が嵌合する。スクリュ2Cにおける逆ねじれのフライト52の中間部に設けた凹部6には、スクリュ3Cにおける逆ねじれのフライト52の中間部に設けた凸部7が嵌合する。
なお、これ以外の構成(例えば、凹部6の縁および凸部7の縁は、中心軸AX1、AX2を含む断面において、全て円弧状であることなど)は、実施形態と同じである。
以上説明したように、変形例3に係るスクリュ2C、3Cは、実施形態のスクリュ2、3に対してフライト5のリードが短く、且つ、凹部6と凸部7の数が多くなる。従って、実施形態よりも中心軸の軸方向への流れが弱まる傾向となりスクリュの周方向への流れが促進される傾向となる。従って、凹部6を材料が通過する機会が増えるとともに且つ材料が流れ込む箇所が多くなり、混練をより十分に行うことができる。
[実施例]
次に、実施例を通して、本実施形態をさらに具体的に説明する。
(混練後の樹脂の分散状態)
混練後の樹脂の分散状態について説明する。図21Aは、変形例3に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。図21Bは、変形例3に係るスクリュを用いて混練した樹脂組成物の分散状態を示すSEM画像である。図22Aは、従来のスクリュを模式的に示す斜視図である。図22Bは、従来のスクリュを用いて混練した樹脂組成物の分散状態を示すSEM画像である。
樹脂の種類は、前述したPP樹脂90質量%とPLA樹脂10質量%との混合樹脂である。即ち、PP樹脂とPLA樹脂との混合樹脂を加熱した状態で、変形例3に係るスクリュ2C、3Cおよび従来のスクリュを用いて200rpmの回転数にて混練し、それぞれのスクリュを急停止させて樹脂を急冷した後に、スクリュの下流側の樹脂を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によってSEM画像を撮影した。従来のスクリュは、汎用ニーディング用スクリュを用いた。なお、図22Aにおいて押出方向は矢印で示すように右から左方向である。また、図22Aにおいて、右側から、搬送用の第1フルフライトスクリュ410と、第1のニーディングディスク420と、第2のニーディングディスク430と、搬送用の第2フルフライトスクリュ440と、が並んで配置される。汎用ニーディング用スクリュは、第1のニーディングディスク420および第2のニーディングディスク430である。第1フルフライトスクリュ410は、順ねじれの連続したフライトを有する。第2フルフライトスクリュ440は、逆ねじれの連続したフライトを有する。また、第1のニーディングディスク42は、左右方向に6枚のディスクが順ねじれに連続して並ぶ。第2のニーディングディスク43は、左右方向に合計10枚のディスクが直行して連続して並ぶ。
図21Bに示すように、実施形態では、所定の倍率のSEM画像でPLA樹脂の島成分がほぼ確認できなかった。所定倍率のSEM画像で確認できない程度にPLA樹脂の島成分が微分散したためと推定される。一方、図22Bに示すように、従来のスクリュを用いて樹脂の混練を行うと、PP樹脂200の分散性が実施形態よりも低いため、同倍率のSEM画像で数多くのPLA樹脂210の島成分が確認できた。これにより、本実施形態の方が樹脂の分散性が高いことが判明した。この理由として、例えば、本実施形態のスクリュはフライトに凹部があるため、従来例のスクリュよりも、混練中における凹部を通過する樹脂の量が増加し、多くの量の樹脂が伸長変形を受けたためと考えられる。
(伸長速度およびせん断速度の比較)
伸長速度およびせん断速度について説明する。表1は、実施形態に係るスクリュと変形例3に係るスクリュとについて、伸長速度およびせん断速度の平均値を比較した表である。
[表1]
Figure 2024030113000002
表1に示すように、実施形態に係るスクリュを用いて樹脂を混練した場合、粒子の最大伸長速度の平均値は、66.4(1/sec)であり、変形例3に係るスクリュを用いて樹脂を混練した場合、粒子の最大伸長速度の平均値は、84.1(1/sec)である。また、実施形態に係るスクリュを用いて樹脂を混練した場合、粒子の最大せん断速度の平均値は、203(1/sec)であり、変形例3に係るスクリュを用いて樹脂を混練した場合、粒子の最大せん断速度の平均値は、200(1/sec)である。
このように、最大せん断速度については、実施形態に係るスクリュと変形例3に係るスクリュとで同等の値となったが、最大伸長速度については、変形例3に係るスクリュの方が実施態様に係るスクリュよりも大きくなった。この理由として、例えば、変形例3に係るスクリュが実施形態に係るスクリュよりも凹部の数が多いため、当該凹部を通過する樹脂の量が増えて、より多くの量の樹脂が伸長変形をうけることが考えられる。また、変形例3に係るスクリュの方が実施形態に係るスクリュよりも応力履歴の均一化が図られ、より多くの量の樹脂に分散力を負荷することが可能となることが考えられる。
(スクリュに充満する樹脂の量について)
図23Aは、変形例3に係るスクリュを模式的に示す斜視図である。図23Bは、変形例3に係るスクリュを用いて混練した場合について、スクリュに充満する樹脂を示す写真である。
図23Bに示すように、本実施形態のスクリュには、多くの量の樹脂が充満することが判明した。特に、変形例3に係るスクリュのように、リードがより小さく且つ凹部の数が多いスクリュを用いて樹脂を混練すると、より多くの量の樹脂が混練スクリュ部に充満することが判明した。混練スクリュ部への樹脂充満率が高いと滞留時間が長くなり、樹脂が凹部6を通過する回数が増えるため、伸長変形を多く受け、材料の分散性が向上すると考えられる。
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した発明を基にして当業者が適宜設計変更して実施しうる全ての発明も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の技術的範囲に属する。
1 スクリュ
2、2A、2B、2C スクリュ
20 スクリュエレメント
25 シャフト
3、3A、3B、3C スクリュ
4 スクリュ軸本体
41 嵌合孔
5 フライト
51 順ねじれのフライト
52 逆ねじれのフライト
53 第1フライト
54 第2フライト
55 側面
56 稜線
6 凹部
60 底部
61、62 凹部
7 凸部
71、72 端
73、74 凸部
100 二軸混練押出機
101 筒状部材
102 材料供給口
103 予熱部
104 第1混練部
105 第2混練部
110 シリンダ
111 チャンバ
112 内面
120 スクリュ
200 PP樹脂
210 PLA樹脂
310 第1線分
320 第2線分
410 第1フルフライトスクリュ
420 第1のニーディングディスク
430 第2のニーディングディスク
440 第2フルフライトスクリュ
A 押出方向
AX1、AX2 中心軸
B、C 回転方向
D1、D2 距離
La 第1長さ
Lb 第2長さ
Lc 第3長さ
L1、L2 径方向距離
P1、P3、P4、P5、P6 樹脂流れ
W1 幅

Claims (10)

  1. シリンダと、
    前記シリンダの内側に収容され、2本の中心軸のそれぞれの軸回りに回転する一対のスクリュと、
    を備え、
    前記2本の中心軸においては、一方の中心軸が他方の中心軸に沿って延び、
    前記一対のスクリュのそれぞれは、
    前記中心軸の軸方向に延びるスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられるフライトと、を有し、
    前記フライトは、順方向に巻回する順ねじれのフライトと、当該順ねじれのフライトに対して前記軸方向に隣接して配置され且つ前記順方向の逆方向に巻回する逆ねじれのフライトと、を含み、
    前記順ねじれのフライトと前記逆ねじれのフライトとの境界部には、
    前記中心軸との径方向距離が、前記順ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離および前記逆ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい凹部が設けられる、
    二軸混練押出機。
  2. シリンダと、
    前記シリンダの内側に収容され、2本の中心軸のそれぞれの軸回りに回転する一対のスクリュと、
    を備え、
    前記2本の中心軸においては、一方の中心軸が他方の中心軸に沿って延び、
    前記一対のスクリュのそれぞれは、
    前記中心軸の軸方向に延びるスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられ且つ前記中心軸を挟んだ両側にそれぞれ配置される2つのフライトと、を有し、
    前記2つのフライトのそれぞれは、
    前記フライトの稜線の一部が径方向内側に凹んだ凹部であって、且つ、前記フライトの前記稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい径方向距離を有する凹部を有し、
    前記2つのフライトのうちの一方のフライトの前記凹部は、前記2つのフライトのうちの他方のフライトの前記凹部に対して、前記中心軸を挟んだ反対側に位置する、
    二軸混練押出機。
  3. 前記一対のスクリュのそれぞれには、
    前記凹部に嵌まる凸部が設けられる、
    請求項1または2に記載の二軸混練押出機。
  4. 前記中心軸を含む断面において、
    前記凸部の縁および前記凹部の縁は、円弧状である、
    請求項3に記載の二軸混練押出機。
  5. 前記中心軸に直交し且つ前記凹部を通る断面において、前記中心軸と前記凹部とを通る第1線分の最小長さを第1長さとし、前記中心軸を通り且つ前記第1線分に直交する第2線分の最小長さを第2長さとし、
    前記中心軸と前記稜線との径方向距離の2倍を第3長さとしたとき、
    前記第2長さよりも前記第1長さが長く、且つ、前記第1長さよりも前記第3長さが長い、
    請求項3に記載の二軸混練押出機。
  6. 他のスクリュエレメントと一対で使用されるスクリュエレメントであって、
    中心軸の軸回り方向に回転するスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられるフライトと、を備え、
    前記フライトは、順方向に巻回する順ねじれのフライトと、当該順ねじれのフライトに対して前記中心軸の軸方向に隣接して配置され且つ前記順方向の逆方向に巻回する逆ねじれのフライトと、を含み、
    前記順ねじれのフライトと前記逆ねじれのフライトとの境界部には、
    前記中心軸との径方向距離が、前記順ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離および前記逆ねじれのフライトの稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい凹部が設けられる、
    スクリュエレメント。
  7. 他のスクリュエレメントと一対で使用されるスクリュエレメントであって、
    中心軸の軸回り方向に回転するスクリュ軸本体と、当該スクリュ軸本体の外周に設けられるフライトと、を備え、
    前記フライトは、前記中心軸を挟んだ両側に1つずつ配置された2つのフライトを含み、
    前記2つのフライトのそれぞれは、
    前記フライトの稜線の一部が径方向内側に凹んだ凹部であって、且つ、前記フライトの前記稜線と前記中心軸との径方向距離よりも小さい径方向距離を有する凹部を有し、
    前記2つのフライトのうちの一方のフライトの前記凹部は、前記2つのフライトのうちの他方のフライトの前記凹部に対して、前記中心軸を挟んだ反対側に位置する、
    スクリュエレメント。
  8. 前記スクリュ軸本体の前記外周において、前記中心軸の軸回りの周方向に沿って延び且つ前記凹部を通る環状領域のうち前記凹部以外の領域に、前記外周から径方向外側に突出する凸部が設けられる、
    請求項6に記載のスクリュエレメント。
  9. 前記中心軸の軸方向から見て、
    前記スクリュ軸本体の外周のうち前記一方のフライトの前記凹部から時計回り方向に沿って前記他方のフライトの前記凹部までの第1領域と、前記スクリュ軸本体の外周のうち前記他方のフライトの前記凹部から時計回り方向に沿って前記一方のフライトの前記凹部までの第2領域とのそれぞれの領域に、前記スクリュ軸本体の前記外周から径方向外側に突出する凸部が設けられる、
    請求項7に記載のスクリュエレメント。
  10. 前記中心軸を含む断面において、
    前記凸部の縁および前記凹部の縁は、円弧状である、
    請求項8または9に記載のスクリュエレメント。
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