JP2024029802A - 工具駆動装置及び被穿孔品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドリルへの切粉詰まりとドリルの破損を防止しつつ、安定的にワークを穿孔できるようにすることである。【解決手段】実施形態に係る工具駆動装置は、ドリルを保持するドリルチャックと、前記ドリルチャックを回転させるモータと、前記モータを収納する筐体と、前記ドリルチャックの回転中に前記筐体に対して前記ドリルチャックを工具軸方向に周期的に往復移動させる振動機構であって、前記ドリルチャックを前記筐体に接近させる速度よりも小さい速度で前記ドリルチャックを前記筐体から引離す振動機構とを有するものである。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、工具駆動装置及び被穿孔品の製造方法に関する。
ドリルで穿孔を行う際には、切粉がドリルの溝に詰まらないように、切粉を分断して排出することが重要である。そこで、従来、ドリルを工具軸方向に意図的に振動させることによって切粉を寸断する機構が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
具体的には、リテーナで保持された複数のボールをスピンドルとともに回転する凹部に出し入れすることによってスピンドルを回転軸方向に振動させることができる。すなわち、各ボールが凹部に入る際に、スピンドルとともにドリルが穿孔対象(ワーク)から離れる方向に移動し、各ボールが凹部から出る際に、スピンドルとともにドリルがワークに向かう方向に移動する。これにより、スピンドル及びドリルを工具軸方向に一定の振幅で周期的に往復移動させることができる。
ドリルを振動させるための他の機構の例としては、スピンドルにカムを固定して摺動させることによってスピンドルを振動させる機構や、超音波で振動を発生させる機構も提案されている(例えば特許文献4及び特許文献5参照)。
特開2003-117852号公報 特開2003-266426号公報 特開平10-000505号公報 特公平06-098579号公報 特開2019-214079号公報
しかしながら、ボールを転動させてドリルを振動させる従来の振動機構では、各ボールが凹部に入る時にドリルがワークから一瞬離れた後、各ボールが凹部から出る時には、ドリルが突然ワークに向かって押し出される。このため、ユーザが手持ち式の工具駆動装置を用いて穿孔を行う場合において力を緩めて工具駆動装置を保持すれば穿孔反力によって押し返されてしまう。従って、各ボールが凹部から出た後、速やかに穿孔を再開することができない。
逆にユーザが手持ち式の工具駆動装置を力を込めて保持すれば、各ボールが凹部から出る際にドリルがワークに衝突することになる。このため、ワークがドリルの強度に対して大きな強度を有する場合には、ドリルが破損する恐れがある。具体例として、チタンは典型的なドリルの素材と比較して強度が大きいため、チタンを穿孔する場合に従来の振動機構を採用するとドリルが破損する可能性がある。
従って、チタン等の難削材が穿孔対象となり得る場合には、従来の振動機構を採用することができない。その結果、振動機構が無い工具駆動装置でチタン等の難削材のみならずアルミニウム等の金属の穿孔を行うと、繋がって排出される金属の切粉を分断することができず、ドリルの溝に切粉が詰まる恐れがある。ドリルの溝に切粉が詰まると、ドリルの回転が止まってしまったり、ワークを損傷させてしまったりする不具合が生じ得る。
特に、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の複合材とも呼ばれる繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)と金属の重ね合わせ材をFRP側から穿孔する場合には、FRP側の穿孔が終わった後、金属側の穿孔が始まると、ドリルに金属の切粉が詰まって継続的な穿孔が困難となる不具合や金属の切粉が詰まったドリルでFRPの内面が削られてしまう結果、FRPの孔径が過大となる不具合が発生する場合がある。
一方、凹凸を有するカムを摺動させることによってスピンドルを振動させる機構を採用すると、カムの摩耗が著しく、ボールを転動させることによってスピンドルを振動させる機構と比較すると、振動が不安定になったり、部品の交換頻度が増加したりするという問題がある。このため、長期間安定的にドリルを振動させるためには、摩擦及び摩耗が少ないボール等の回転体を転動させることによってスピンドルを振動させる機構を採用することが現実的である。
そこで本発明は、ドリルへの切粉詰まりとドリルの破損を防止しつつ、安定的にワークを穿孔できるようにすることを目的とする。
本発明の実施形態に係る工具駆動装置は、ドリルを保持するドリルチャックと、前記ドリルチャックを回転させるモータと、前記モータを収納する筐体と、前記ドリルチャックの回転中に前記筐体に対して前記ドリルチャックを工具軸方向に周期的に往復移動させる振動機構であって、前記ドリルチャックを前記筐体に接近させる速度よりも小さい速度で前記ドリルチャックを前記筐体から引離す振動機構とを有するものである。
また、本発明の実施形態に係る被穿孔品の製造方法は、上述した工具駆動装置でドリルを保持し、前記工具駆動装置で回転させた前記ドリルで穿孔対象を穿孔することによって被穿孔品を製造するものである。
本発明の第1の実施形態に係る工具駆動装置の構成を示す部分断面図。 図1に示す振動機構の拡大部分縦断面図。 図2に示す振動機構が有する固定リングにボールを収納した状態における左側面図。 図2に示す振動機構が有する回転リングの右側面図。 図4に示す回転リングの位置A-Aにおける断面を平面に展開した図。 図5に示す回転リングの展開断面図を回転リングの厚さ方向にのみ拡大することによって凹凸を強調した図。 図2に示す回転リングに設けられる溝の底面が傾斜する範囲を各段差の谷側近傍に限定した例を示す右側面図。 図7に示す回転リングの位置B-Bにおける断面を平面に展開した図。 図8に示す回転リングの展開断面図を回転リングの厚さ方向にのみ拡大することによって凹凸を強調した図。 本発明の第2の実施形態に係る工具駆動装置の構成を示す部分断面図。 図10に示す振動機構の拡大部分縦断面図。 図11に示すボールリテーナで複数のボールを保持した状態における左側面図。 図11に示す回転リングの右側面図。 本発明の第3の実施形態に係る工具駆動装置に設けられる振動機構の構成を示す縦断面図。 図14に示す固定リングの左側面図。 図14に示すボールリテーナで複数のボールを保持した状態における左側面図。 図14に示す回転リングの右側面図。 図14に示す振動機構で発生させるドリル及びドリルチャックの振動の振幅を表す目盛りを振った例を示す図。 本発明の第3の実施形態に係る工具駆動装置に設けられる振動機構の第1の変形例の構成を示す縦断面図。 本発明の第3の実施形態に係る工具駆動装置に設けられる振動機構の第2の変形例の構成を示す正面図。
本発明の実施形態に係る工具駆動装置及び被穿孔品の製造方法について添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
(構成及び機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係る工具駆動装置の構成を示す部分断面図である。
工具駆動装置1は、穿孔対象となるワークWを穿孔するためにドリルTを保持して回転駆動させる装置である。尚、工具駆動装置1で保持される穿孔工具をドリルビットと呼び、ドリルビットを回転させる工具駆動装置1自体をドリルと称する場合もある。
工具駆動装置1には、ドリルTの回転機構のみならず送り機構を設けても良い。すなわち、工具駆動装置1自体をユーザが押し出すことによってワークWに向けてドリルTを送り出しても良いし、工具送り機構で全自動又は半自動でワークWに向けてドリルTを送り出しても良い。
工具駆動装置1は、ドリルTを保持するドリルチャック2、ドリルチャック2を回転させるモータ3、モータ3を収納する筐体4で構成することができる。モータ3は、電動式、油圧式、空気圧式或いはその他の方式のいずれであっても良い。モータ3の出力軸はドリルTとともにドリルチャック2を回転させるスピンドル5として機能させることができる。換言すれば、モータ3の出力軸をスピンドル5と一体化することができる。もちろん、モータ3の出力軸とスピンドル5を平行又は同一直線上に配置してギア等でトルクを伝達するようにしても良い。
工具駆動装置1を手持ち式とする場合には、筐体4にユーザが握るためのグリップ6が設けられる。グリップ6又はグリップ6の近傍にはモータ3を操作するためのスイッチ7を設けることができる。
また、工具駆動装置1には、ドリルT、ドリルチャック2及びスピンドル5の回転中に筐体4に対してドリルT、ドリルチャック2及びスピンドル5を工具軸AX方向に周期的に往復移動させる振動機構8が設けられる。スピンドル5を工具軸AX方向に往復移動させる場合、典型的なモータ3であればモータ3も工具軸AX方向に往復移動することになる。このため、例えば、本来モータケース3Aに隙間なく収納されるモータ3とモータケース3Aとの間に隙間を設け、モータ3が工具軸AX方向に往復移動できるようにすることができる。
振動機構8でドリルT及びドリルチャック2を送り量と比較して僅かな距離、具体的には0.01mm以上0.15mm以下の距離だけ工具軸AX方向に周期的に往復移動させると、金属の切粉のように繋がって排出される切粉を分断することができる。換言すれば、0.01mm以上0.15mm以下の振幅でドリルT及びドリルチャック2を振動させると、切粉を分断することができる。その結果、ドリルTへの切粉詰まりを防止することができる。
これは、ドリルT及びドリルチャック2が筐体4に接近する方向に移動すると、切削中のドリルTがワークWから一旦離れて穿孔が中断されるためである。その後、ドリルT及びドリルチャック2に送りを与えれば、切削を再開することができる。このような切削と中断を交互に繰り返すことによって切粉を排出しながら断続的に穿孔を行う加工はペック加工、ペックドリリング加工又はステップ加工とも呼ばれる。
尚、振動の振幅が小さ過ぎると、具体的には振動の振幅が0.01mm未満となると切粉の分断効果が不十分となり、振動の振幅が大き過ぎると、具体的には振動の振幅が0.15mmを超えるとユーザが手で工具駆動装置1を持つことが困難となる。
特に、振動機構8はドリルT及びドリルチャック2を筐体4に接近させる速度よりも小さい速度でドリルT及びドリルチャック2を筐体4から引離すように構成されている。すなわち、ドリルTは往路と復路との間で異なる速度で振動する。より具体的には、切削中のドリルTをワークWから一旦引離して穿孔を中断するための、ドリルT及びドリルチャック2の筐体4に接近させる方向への移動は瞬時に行われる一方、一旦引離したドリルT及びドリルチャック2を再びワークWに近付けるための、ドリルT及びドリルチャック2の筐体4から引離す方向への移動は、できるだけ低速で行われる。
そうすると、ドリルTがワークWから瞬時に引離されるため、穿孔の中断によって確実に切粉を分断できる一方、穿孔を再開する際にはドリルTが低速でワークWに向かって移動するため、ドリルTがワークWに衝突して破損する不具合を防止することができる。また、穿孔の再開直後にドリルTが低速でワークWに向かって移動することから、穿孔反力の増加率も低減され、ユーザが急峻な穿孔反力の増加によって押し返されてしまう不都合も回避することができる。
振動機構8は、ドリルT及びドリルチャック2の移動速度に対応する凹凸を有する摺動面9と、ドリルチャック2の回転中に摺動面9上において転がる複数のボール10で構成することができる。尚、ボール10の代わりに回転シャフトを有するローラ、コロ或いは潤滑性を付与した滑らかな凸部を有する円板状の部材等の回転体を、凹凸を有する摺動面9上で摺動させるようにしても振動機構8を構成することができるが、以降では最も実用的なボール10を用いる場合を例に説明する。
図2は図1に示す振動機構8の拡大部分縦断面図、図3は図2に示す振動機構8が有する固定リング11にボール10を収納した状態における左側面図、図4は図2に示す振動機構8が有する回転リング12の右側面図、図5は図4に示す回転リング12の位置A-Aにおける断面を平面に展開した図、図6は図5に示す回転リング12の展開断面図を回転リング12の厚さ方向にのみ拡大することによって凹凸を強調した図である。
複数のボール10は、ドリルチャック2と筐体4との間において同一円上に等間隔で転動可能に離間配置される。ドリルチャック2の回転中に複数のボール10が転動しながら接触する摺動面9は、ドリルチャック2及び筐体4の一方に直接又は間接的に設けることができる。
そのために、図示された例では、スピンドル5を通すための貫通孔を中心に設けた固定リング11が筐体4に、スピンドル5を通すための貫通孔を中心に設けた回転リング12がドリルチャック2に、それぞれ互いに接触しないように隙間を空けて固定されている。尚、回転リング12の貫通孔の内面に雌ねじを形成する一方、スピンドル5の表面に雄ねじを形成し、回転リング12をスピンドル5にも固定するようにしても良い。従って、固定リング11は筐体4に対して回転しないが、回転リング12はドリルチャック2及びスピンドル5とともに筐体4及び固定リング11に対して回転する。
そして、固定リング11に同一円上に等間隔で設けられた球面状の複数の凹みにそれぞれ複数のボール10の一部が転動可能に収納されている。このため、複数のボール10はそれぞれ固定リング11が固定される筐体4に対して相対的に定位置で転動することになる。また、固定リング11は、複数のボール10の一部を転動可能に保持するリング状のボールリテーナとして機能する。
他方、回転リング12には、凹凸を有する摺動面9が形成されている。摺動面9の凹凸の形状は、ドリルチャック2の正回転中に複数のボール10が同時に落ちるように等間隔で複数の段差9Aを有し、かつ各段差9Aから隣接する段差9Aに向かって滑らかに変化することによってドリルチャック2の正回転中に複数のボール10が登る段差が生じないような形状とされる。つまり、モータ3の正回転によってドリルT及びドリルチャック2を正回転させた場合には、図5及び図6に例示されるように、複数のボール10が摺動面9の段差9Aを同時に落ちるだけで登るべき段差は無く、次の段差9Aに向かって滑らかな傾斜面を転がりながら登るように摺動面9の凹凸の形状が決定される。
そうすると、ドリルT及びドリルチャック2を正回転させて穿孔を行っている最中にドリルチャック2に固定された回転リング12の摺動面9が複数のボール10に対して相対的に回転移動するので、ワークWからの穿孔反力によって複数のボール10が同時に摺動面9の段差9Aから落ちる。その結果、ドリルT及びドリルチャック2が瞬間的かつ一時的にワークWから引離されて筐体4に接近する。これにより、穿孔が中断され、切粉を分断することができる。
逆に、複数のボール10が段差9Aの高い位置から低い位置に落ちた後は、ドリルT及びドリルチャック2に送りが与えられて再びワークWからの穿孔反力が生じることから、各ボール10が、滑らかに位置が変化する摺動面9上を接触しながら転がって隣接する段差9Aの高い位置に到達する。このため、ドリルT及びドリルチャック2がワークWに高速で衝突することは無く、ワークWからの穿孔反力が局所的に増加することも無い。その結果、ドリルTの破損を回避しつつ、ユーザはワークWからの穿孔反力によって押し返されることもなく、安定的に穿孔を続行することができる。
摺動面9は、図示されるようにドリルチャック2の正回転方向及び逆回転方向を含む回転方向を長さ方向とする溝9Bの内面として形成することができる。その場合には、溝9Bの内面に形成される各段差9Aから隣接する段差9Aに向かって深さが徐々に浅くなるスロープ付きの溝9Bとなる。
通常、正回転は時計回りであるため、ドリルチャック2とともに回転リング12の溝9Bは、各ボール10に対して時計回りに回転する。従って、各ボール10は、回転リング12の溝9Bに対して相対的に反時計回りに回転移動する。このため、図4乃至図6に例示されるように、各段差9Aは、各ボール10が環状の溝9Bに対して相対的に半時計回りに回転移動した場合に落ちる向きで溝9Bに設けられる。換言すれば、各ボール10が環状の溝9Bに対して相対的に半時計回りに回転移動した場合(図5及び図6の展開図では各ボール10が溝9Bに対して相対的に右方向に移動した場合)に稜線を超えて落ちる段差9Aは存在するが稜線を登ることになる段差は溝9Bには存在しない。尚、ドリルTを反時計回りに回転させて加工する特殊な穿孔を行う場合には、段差9Aとスロープの向きを逆転させれば良い。
また、溝9Bの内面としてではなく、ドリルチャック2の回転方向に同じ向きで複数の段差9Aを有するテーパ面やドリルチャック2の回転方向に同じ向きで複数の段差9Aを有する波形の面で摺動面9を形成しても良い。
摺動面9として溝9Bを形成する場合には、溝9Bの横断面の形状がV字型となるV溝や、底面の形状が平坦な溝を形成しても良い。但し、図示されるように溝9Bの底面の一部に各ボール10がフィットするように、溝9Bの横断面の少なくとも一部の形状をボール10の半径と同じ半径を有する円弧とすれば、ボール10が溝9Bと点接触ではなく線接触となることから、ボール10の摩耗の進行を遅らせることができる。溝9Bの横断面の形状を円弧とする場合には、ボールエンドミルを用いた溝加工によって溝9Bが形成される場合が多い。このため、各段差9Aの谷側にはR面取りを施しても良い。
また、図5及び図6に示す例では、溝9Bの底面が隣接する段差9A間の全体に亘って傾斜しているが、ボール10が登る段差の縁を無くすことができれば、底面が傾斜する範囲を各段差9Aの谷側から始まる一部とし、隣接する各段差9Aの山側に向かう残りの部分については底面を傾斜させなくても良い。
図7は、図2に示す回転リング12に設けられる溝9Bの底面が傾斜する範囲を各段差9Aの谷側近傍に限定した例を示す右側面図、図8は図7に示す回転リング12の位置B-Bにおける断面を平面に展開した図、図9は図8に示す回転リング12の展開断面図を回転リング12の厚さ方向にのみ拡大することによって凹凸を強調した図である。
図7乃至図9に例示されるように、ボール10が登る段差の縁を除去できれば溝9Bの底面が傾斜する範囲を各段差9Aの谷側近傍に限定しても良い。この場合、各段差9Aの山側における溝9Bの底面が傾斜しないため、回転リング12の形状を簡易にすることができる。このため、回転リング12の製造も簡易にすることが可能となる。特に、各段差9Aの落差が僅かである程、溝9Bの底面を傾斜させる範囲を短くしてもボール10が登る段差の縁を無視できる程度に除去することができる。
このようなスロープ付きの溝9Bの内面等で形成される摺動面9には、等間隔で複数の段差9Aがあるため、ドリルT及びドリルチャック2を所定の回転数で正回転させれば、ドリルT及びドリルチャック2には段差9Aの落差を振幅とする周期的な振動が生じる。すなわち、複数のボール10が段差9Aの稜線を超える度にドリルT及びドリルチャック2の移動方向が逆転し、穿孔が中断される。
従って、ボール10が落ちる段差9Aの落差は、ユーザが工具駆動装置1を手で持つことが可能であり、かつ切粉の分断効果を得る観点から望ましい振動の振幅となるように、具体的には上述したように0.01mm以上0.15mm以下となるように決定することができる。また、ボール10のサイズは重要ではなく、工具軸AX方向へのボール10の移動量、すなわち段差9Aの落差が重要となる。但し、ボール10のサイズを小さくすれば、振動機構8のコンパクト化を図れるメリットがあり、逆に、ボール10のサイズを大きくすれば、ボール10の摩耗の進行を遅らせることができるというメリットがある。
ボール10の数は、ワークWから穿孔反力がかかってもドリルT及びドリルチャック2の振れ量が増加しないように3つ以上とすることが適切である。ボール10の数が増えると、ボール10の数に対応して段差9Aの数が増えるため、隣接する段差9A間の間隔が短くなる。従って、ボール10の数が増加すると、ドリルT及びドリルチャック2の振動数が増加することになる。
ドリルT及びドリルチャック2の振動数が増加すると、穿孔の中断頻度が増加するため切粉をより微細化する効果が得られる反面、単位時間当たりの切削時間が短くなる。このため、ボール10の数は、ドリルTへの切粉詰まりを十分に回避できる程度まで切粉を微細化するために必要な数に止めることが、切削時間を増加させない観点から望ましい。尚、アルミニウム等の典型的な金属材料を典型的な孔径、深さ、ドリルTの回転数、ドリルTの刃数等の穿孔条件で穿孔する場合であれば、ボール10の数は3つで十分と考えられる。
また、摺動面9に設けられる段差9Aの数をボール10の数と一致させずにボール10の数の倍数としてもドリルT及びドリルチャック2を所定の振動数で振動させることが可能である。但し、段差9Aの数を増やせば、ボール10の数を増やした場合と同様に単位時間当たりの切削時間が短くなるため、段差9Aの数についても切粉の分断効果を得るために必要最小限とすることが適切である。
ボール10と摺動面9の形状についての条件は、摺動面9をドリルチャック2に固定される回転リング12ではなく、筐体4に固定される固定リング11に形成する場合においても同様である。摺動面9を筐体4に固定される固定リング11に形成する場合には、ドリルチャック2に固定される回転リング12に球面状の凹みを設けてボールリテーナとすることができる。その場合には、回転リング12が固定されるドリルチャック2に対して相対的に定位置で複数のボール10が転動することになる。従って、ドリルT及びドリルチャック2を正回転させると、複数のボール10も正回転しながら摺動面9上を転がることになる。
以上のような工具駆動装置1は、適切な凹凸形状を有する摺動面9上を転動する複数のボール10等で構成される振動機構8によって、ドリルT及びドリルチャック2を瞬時にワークWから引離す一方、ゆっくりとワークW側に接近させる周期的な振動を発生させるようにしたものである。
(効果)
工具駆動装置1によれば、ドリルTがワークWから断続的かつ周期的に引離される結果、切粉を細かく分断して排出しやすくすることができる。このため、ドリルTの溝への切粉詰まりを原因とするFRPの孔径過大など孔の品質の低下を防止することができる。従って、工具駆動装置1でドリルTを保持し、工具駆動装置1で回転させたドリルTでワークWを穿孔すれば、良好な品質の孔を有する被穿孔品を製造することができる。例えば、図1に例示されるようにCFRP等のFRPとアルミニウム又はチタン等の金属を重ね合わせたワークWを穿孔する場合であっても、金属の切粉が分断されてドリルTの溝に詰まらないため、良好な品質の孔を有する被穿孔品を製造することができる。
また、ボールを転動させてドリルを振動させる従来の振動機構を採用する場合には、凹部にボールが入る時のみならず、ボールが凹部から出る時にも振動方向に急峻な変化が生じる結果、ドリルがワークに衝突したり、穿孔反力が瞬間的に増加することからユーザが押し返されてしまう不具合が生じる場合があったが、工具駆動装置1の振動機構8の場合には、ドリルTがワークWに接近する際の速度が小さく、穿孔反力の変化も小さいことから、ドリルTがワークWに衝突してドリルTが破損する不具合やユーザが工具駆動装置1を手で保持する場合に穿孔反力で押し返されてしまう不都合を回避することができる。
加えて、従来の振動機構のようにボールを凹部に出し入れする場合には、ボールが凹部から出る際に凹部の縁に繰返し接触する結果、ボールや凹部の縁が摩耗するという問題があったが、工具駆動装置1の振動機構8の場合には、摺動面9にボール10が登る段差が存在しないため、ボール10が段差の縁に繰返し衝突することを原因とするボール10の摩耗を回避することができる。
(第2の実施形態)
図10は本発明の第2の実施形態に係る工具駆動装置の構成を示す部分断面図である。
図10に示された第2の実施形態における工具駆動装置1Aでは、振動機構8Aを構成する複数のボール10をドリルチャック2及び筐体4の双方に対して回転移動させながら転がすようにした構成が第1の実施形態における工具駆動装置1と相違する。第2の実施形態における工具駆動装置1Aの他の構成及び作用については第1の実施形態における工具駆動装置1と実質的に異ならないため、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
複数のボール10の位置をドリルチャック2及び筐体4の双方に対して固定せずに回転移動させる場合には、複数のボール10の一部を転動可能に保持するリング状のボールリテーナ20を、ドリルチャック2及び筐体4のいずれにも固定せずに、ドリルチャック2の正回転方向と逆回転方向を含む回転方向に、すなわち工具軸AXを中心として、回転可能に設ければ良い。ボールリテーナ20は、例えば、図10に例示されるように筐体4に固定される固定リング11とドリルチャック2に固定される回転リング12との間に形成される空間に回転自在に配置することができる。
図11は図10に示す振動機構8Aの拡大部分縦断面図、図12は図11に示すボールリテーナ20で複数のボール10を保持した状態における左側面図、図13は図11に示す回転リング12の右側面図である。
図10及び図12に例示されるようにリング状の板材にボール10の数だけ貫通孔を形成したボールリテーナ20で複数のボール10を保持し、固定リング11と回転リング12との間に配置することができる。尚、図10及び図12に示す例では、固定リング11に回転リング12の外径よりも大きい内径を有する円筒状の縁が設けられているため、ボールリテーナ20を固定リング11と回転リング12との間に収納することができる。
回転リング12には、図13に例示されるように、第1の実施形態と同様なスロープ付きの溝9Bの内面等として形成される段差9A付きの摺動面9が設けられる。もちろん、回転リング12にスロープ付きの溝9Bを形成する場合には、図7乃至図8に例示されるように溝9Bの底面を局所的又は部分的に傾斜させるようにしても良い。
図示されるようにボールリテーナ20が固定リング11及び回転リング12の双方に対して回転可能な場合、ボール10と回転リング12との間と、ボール10と固定リング11との間の双方に穿孔反力が作用することから、ボール10と回転リング12との間と、ボール10と固定リング11との間の各摩擦力によって各ボール10は固定リング11及び回転リング12の双方に対して転がりながら回転移動することになる。すなわち、各ボール10は、ドリルチャック2及び筐体4に対して相対的に回転移動しながら転動することになる。
このため、図10に例示されるように固定リング11にも各ボール10を転がすための深さが一定の溝11Aを形成しても良い。そして、溝11Aの内面と各ボール10がフィットするように溝11Aの横断面の形状を円弧とすれば、各ボール10が溝11Aの内面と線接触しながら転動することから、各ボール10の摩耗の進行速度を遅くすることができる。もちろん、スロープ付きの溝9Bの内面等として形成される段差9A付きの摺動面9を、固定リング11側に形成しても良い。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果に加え、各ボール10と固定リング11及び回転リング12との間における摩擦力を飛躍的に低減できるという効果が得られる。すなわち、第1の実施形態のように球面状の凹みを設けた固定リング11をボールリテーナとして複数のボール10を保持すると、各ボール10は必然的に固定リング11及び回転リング12のいずれかに対して滑りながら転がることになる。このため、ドリルT及びドリルチャック2の回転数が大きい場合には、各ボール10と固定リング11及び回転リング12との間における摩擦力が大きくなり、各ボール10が短時間で摩耗する恐れがある。
特に、工具径が3mmから10mm程度の小径のドリルTで穿孔を行う場合におけるドリルTの回転数は、2000rpmから6000rpmとなることが多い。該当する穿孔条件で実際に試作試験を行った結果、ボール10が摩擦で100℃以上まで加熱されて摩耗し、ボール10の直径が減少してしまう場合があることが確認された。従って、小径のドリルTを用いて穿孔を行う場合には、各ボール10と固定リング11及び回転リング12との間における摩擦力を無視できる程度に低減できる第2の実施形態を採用することが、工具寿命を確保する観点から好ましい。
(第3の実施形態)
図14は本発明の第3の実施形態に係る工具駆動装置に設けられる振動機構の構成を示す縦断面図である。
図14に示された第3の実施形態における工具駆動装置1Bでは、ドリルT及びドリルチャック2に発生させる振動の振幅を調整する機能と、振動を発生させずにオフに切換える機能を振動機構8Bに設けた点が第1及び第2の実施形態における工具駆動装置1、1Aと相違する。第3の実施形態における工具駆動装置1Bの他の構成及び作用については第1及び第2の実施形態における工具駆動装置1、1Aと実質的に異ならないため振動機構8Bのみ図示し、同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
第3の実施形態における振動機構8Bは、ドリルT及びドリルチャック2に発生させる工具軸AX方向における振動、すなわちドリルT及びドリルチャック2の工具軸AX方向への往復移動の振幅を、振幅調整ねじ30で調整できるように構成される。
この場合、ドリルT及びドリルチャック2の工具軸AX方向における振幅をゼロに調整できるように振幅調整ねじ30の長さを決定すれば、ドリルT及びドリルチャック2の往復移動の振幅のON/OFF切換も可能となる。すなわち、ドリルT及びドリルチャック2を工具軸AX方向に往復移動させる振動モードと、ドリルT及びドリルチャック2を工具軸AX方向に往復移動させない非振動モードとの間で切換えることが可能となる。
図14は、第2の実施形態と同様に、複数のボール10を保持するボールリテーナ20を、筐体4に固定される固定リング11とドリルチャック2に固定される回転リング12との間に回転自在に配置することによって振動機構8Bを構成した例を示している。このため、振幅調整ねじ30で固定リング11と回転リング12の間隔を調整することによって、ドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅を調整することができる。
図15は図14に示す固定リング11の左側面図、図16は図14に示すボールリテーナ20で複数のボール10を保持した状態における左側面図、図17は図14に示す回転リング12の右側面図である。
第2の実施形態と同様に、図14及び図16に示すような複数のボール10を保持するボールリテーナ20を、筐体4に固定される固定リング11とドリルチャック2に固定される回転リング12との間に回転自在に配置することができる。その場合には、図14及び図15に示すように固定リング11に深さが一定の溝11Aを形成する一方、図14及び図17に示すように回転リング12に摺動面9として0.01mm~0.15mmの段差9Aを有するスロープ付きの溝9Bを形成することができる。もちろん、図13に示すように回転リング12の溝9Bの深さを段差9A間において緩やかに減少させても良い。また、固定リング11の溝11Aについては省略しても良い。
そして、固定リング11の溝11Aと、回転リング12の溝9Bとの間を各ボール10が固定リング11及び回転リング12に対して相対移動するための経路とすることができる。この場合、回転リング12がドリルチャック2及びスピンドル5とともに筐体4及び固定リング11に対して回転すると、ドリルT及びドリルチャック2とともにワークWからの穿孔反力を受けた回転リング12の段差9Aをボール10が通るため、ドリルT及びドリルチャック2に工具軸AX方向の振動を発生させることができる。
但し、固定リング11と回転リング12の間隔を広げていくと、回転リング12の段差9Aをボール10が通過しても回転リング12の工具軸AX方向への移動量は徐々に減少していく。つまり、固定リング11と回転リング12の間隔を広げると、ドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅が減少し、固定リング11と回転リング12の間隔が一定の距離に達すると振幅がゼロとなって振動が止まる。
これは、ドリルチャック2に固定された回転リング12にワークWからの穿孔反力がかかっている場合において、固定リング11の溝11Aと回転リング12の溝9Bとの間にボール10の直径相当の隙間があれば、原理的にボール10は穿孔反力に逆らわずに固定リング11の溝11Aと回転リング12の溝9Bとの間に形成される隙間を通るためである。
そこで、図14及び図15に示すように固定リング11と筐体4を振幅調整ねじ30で連結し、固定リング11を筐体4に対して工具軸AX方向にスライド可能に構成することができる。そうすると、回転リング12はドリルチャック2に固定されていることから、固定リング11を工具軸AX方向にスライドさせることによって固定リング11と回転リング12の間隔を微調整することができる。
図14に示す例では固定リング11の円筒状の構造を有する部分の内面に雌ねじが形成されており、筐体4の円筒状の構造を有する部分の外面に雄ねじが形成されているが、雄ねじと雌ねじは逆でも良い。すなわち、固定リング11の内側に筐体4の先端を挿入せずに、筐体4の内側に固定リング11を挿入するようにしても良い。
固定リング11を筐体4に対して工具軸AX方向にスライドできるようにするためには、固定リング11と筐体4との間に間隔が僅かに変化する隙間を空けることが必要となる。そこで、固定リング11と筐体4との間にゴム等の弾性を有するOリング31を設けることができる。これにより、固定リング11を0.01mmオーダから0,1mmオーダの範囲で工具軸AX方向に移動させても、Oリング31が固定リング11の移動量だけ潰れるので、固定リング11をOリング31で工具軸AX方向に支持することができる。
一方、固定リング11には、図14及び図15に示すように固定リング11の半径方向を深さ方向とする雌ねじを形成し、固定ねじ32を締付けることができる。これにより、固定ねじ32を締付けて固定ねじ32の先端を筐体4に押し当てることによって固定リング11の筐体4に対する回転を抑止することができる。つまり、固定リング11の筐体4に対する回転移動と工具軸AX方向へのスライドを抑止するストッパとして固定ねじ32を設けることができる。
固定ねじ32は、マイナスドライバで締付けるマイナスねじの他、蝶ボルトやローレットビス等のつまみねじとしても良い。また、固定ねじ32で固定リング11の工具軸AX方向へのスライドを抑止できることからOリング31を省略しても良いが、固定リング11を工具軸AX方向に支持することが可能なOリング31と、固定リング11に半径方向の圧力をかける固定ねじ32との双方で固定リング11を支持すれば固定リング11の安定化に繋がる。
振幅調整ねじ30の締付量として固定リング11の工具軸AX方向における位置を微調整すると、ドリルT及びドリルチャック2の工具軸AX方向における往復移動の振幅を無段階で連続的に調整することが可能となる。また、振幅調整ねじ30のストロークを十分に確保することによって、ドリルT及びドリルチャック2の工具軸AX方向における往復移動の振幅をゼロに調整できるようにすれば、ドリルT及びドリルチャック2の往復移動を停止させた状態でドリルT及びドリルチャック2を回転させることも可能となる。
このため、ドリルTのサイズ、ワークWの材料及びドリルTの回転数等の穿孔条件に合わせて切粉が適切なサイズで分断されるようドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅を調整することができる。ドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅は、上述したように固定リング11の工具軸AX方向におけるスライド量に応じて変化し、固定リング11の工具軸AX方向におけるスライド量は、振幅調整ねじ30の締付量に相当する固定リング11の筐体4に対する回転量に応じて変化する。そこで、ドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅をユーザが手作業で容易に微調整できるように、固定リング11の回転量を確認するための目盛りを表示させるようにしても良い。
図18は図14に示す振動機構8Bで発生させるドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅の程度を表す目盛りを振った例を示す図である。
例えば、図18に示すように固定ねじ32の位置を基準位置として筐体4に目盛りを振ることができる。図18に示す例では、振動の振幅の目安が大(LARGE)、中(MIDDLE)、小(SMALL)の3通りとなっており、振動をOFFとして発生させない場合の合わせ位置も表示されている。
このため、ユーザは目盛りを参考に穿孔条件に合わせて容易に振動の振幅を微調整することができる。すなわち、ユーザは目盛りを参考に固定リング11を回転させ、所望の回転位置において固定ねじ32を締付けることによって、固定リング11の工具軸AX方向における位置を固定することができる。
以上の第3の実施形態はドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅を可変調整するための振幅調整ねじ30を振幅調整機構として振動機構8Bに設け、穿孔条件に応じてドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅を調整できるようにしたものである。
(効果)
このため、第3の実施形態によれば、使用するドリルTの工具径、ワークWの材料及びドリルTの回転数等の穿孔条件に応じて、切粉のサイズが適切なサイズとなるように、ドリルT及びドリルチャック2に発生させる振動の振幅を調整することができる。その結果、切粉詰まりの回避による穿孔品質の向上と、穿孔の安定化を図ることができる。
実用的な例として、ドリルTが小径であり高速回転させる場合には切削量が小さいことから振幅を小さくして振動による切削の中断時間を低減する一方、ドリルTが大径であり低速回転させる場合には切削量が大きいことから振幅を大きくして確実に切粉を分断できるようにすることができる。
また、別の例として、金属とFRPの重ね合わせ材を金属側から穿孔する場合には、金属の切粉を分断することによって、樹脂の孔が過大となる不具合を防止できるが、単一の材料からなるワークWを穿孔する場合には、振動を発生させない方が加工時間を短縮させる観点から好ましい場合がある。すなわち、切粉がそもそも繋がった状態で排出されない場合や切粉が分断されないことが穿孔品質上問題とならない場合において、ドリルT及びドリルチャック2を振動させると加工の中断が生じて加工時間が長くなる。
そのような場合には、ドリルT及びドリルチャック2の振動をOFFに切換えて加工時間の増加を回避することができる。つまり、穿孔品質と加工時間のバランスが最適となるように、振動の振幅の調整のみならず、ONとOFFの切換えも行うことができる。
尚、第1及び第2の実施形態においても、回転リング12を溝9Bの深さが異なる別の回転リング12に交換したり、固定リング11を溝11Aの深さが異なる別の固定リング11に交換したりすることによって、ドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅を変化させることができる。
これに対して、第3の実施形態の場合には、振動機構8Bの構成部品の交換が不要となるため、ユーザの作業時間を低減できるのみならず、複数の構成部品を製作することも不要となる。また、第3の実施形態の場合には、振動の振幅を連続的に変更できるため、穿孔時の推力を変化させるなど、振動の振幅に合わせて穿孔条件を変えることも不要となる。つまり、設定可能な振動の振幅に合わせて穿孔条件を決定するのではなく、穿孔条件に合わせて振動の振幅を調整することができる。
(第3の実施形態の第1の変形例)
図19は本発明の第3の実施形態に係る工具駆動装置に設けられる振動機構の第1の変形例の構成を示す縦断面図である。
第1及び第2の実施形態でも説明した通り、段差9Aを有するスロープ付きの溝9Bは、回転リング12に形成する代わりに図19に示すように固定リング11に形成しても良い。その場合には、回転リング12に深さが一定の溝12Aを形成すれば、各ボール10と回転リング12が線接触するため、ボール10の摩耗の進行を遅らせることができる。
また、振幅調整ねじ30は、図14に示すように固定リング11に形成しても良いが、図19に示すように回転リング12に形成しても良い。すなわち、振幅調整ねじ30は、固定リング11及び回転リング12の少なくとも一方に形成することができる。
図19に示す例では、回転リング12のドリルチャック2側に円筒状の部分を形成し、内面に振幅調整ねじ30の雌ねじが形成されている。一方、ドリルチャック2の外面に振幅調整ねじ30の雄ねじが形成されている。このため、振幅調整ねじ30の締付量を調整することによって、回転リング12をドリルチャック2に対して相対的に工具軸AX方向にスライドさせることができる。その結果、固定リング11と回転リング12の間隔を変化させることができる。
回転リング12をドリルチャック2に対して相対移動させる場合には、回転リング12とドリルチャック2との間における隙間を変化させることが必要となる。このため、回転リング12とドリルチャック2との間にOリング31を配置することができる。また、回転リング12を固定ねじ32でドリルチャック2に固定することができる。
尚、振幅調整ねじ30は、スピンドル5と回転リング12との間に形成しても良い。すなわち、スピンドル5の外面に雄ねじを形成し、回転リング12の内面に雌ねじを形成しても良い。その場合においても、回転リング12のドリルチャック2側に円筒状の部分を形成すれば、回転リング12を外部から固定ねじ32でドリルチャック2に固定することができる。
(第3の実施形態の第2の変形例)
図20は本発明の第3の実施形態に係る工具駆動装置に設けられる振動機構の第2の変形例の構成を示す正面図である。
上述した例では、固定リング11と回転リング12の間隔を変化させることによってドリルT及びドリルチャック2の振動の振幅を調整する振幅調整機構として振幅調整ねじ30を振動機構8Bに設ける場合について説明したが、キー40とキー溝41によっても振幅調整機構を構成することができる。
具体例として、図20に示すように固定リング11の円筒状の部分に挿入される筐体4の先端部分から固定リング11の半径方向を長さ方向とする円柱状のキー40を突出させることができる。一方、キー40を長さ方向にスライドさせることが可能なキー溝41を固定リング11に形成することができる。
そして、筐体4に対して相対的に固定リング11を回転させることによってキー溝41に沿ってキー40をスライドさせた場合に、固定リング11が工具軸AX方向にスライドするようにキー溝41の経路を決定することができる。そうすると、固定リング11の回転量に応じて固定リング11を筐体4に対して相対的に工具軸AX方向にスライドさせることができる。
図20に示す例では、長さ方向を固定リング11の円周方向とする平行な3本のキー溝41を端部において連結した形状を有する階段状のキー溝41が固定リング11に形成されている。従って、固定リング11を回転させると、キー溝41内の段差に対応する距離だけ、段階的に固定リング11を工具軸AX方向にスライドさせることができる。
このため、キー溝41の位置を、調整目標となる固定リング11と回転リング12の間隔に合わせて決定すれば、固定リング11と回転リング12の間隔を目標とする間隔にすることができる。キー溝41内の段差は、固定リング11のスライド量に相当するため、0.01mmオーダから0,1mmオーダの段差となる。
図20に示す例では、固定リング11と回転リング12の間隔が十分に大きくなり振動がOFFとなる位置に固定リング11をスライドさせるためのキー溝41、固定リング11と回転リング12の間隔を中程度として小さい振幅の振動が発生する位置に固定リング11をスライドさせるためのキー溝41、固定リング11と回転リング12の間隔を最小として大きい振幅の振動が発生する位置に固定リング11をスライドさせるためのキー溝41が固定リング11に形成されている。
尚、長さ方向が螺旋状となっているキー溝41を固定リング11に形成し、固定ねじ32で固定リング11を筐体4に固定できるようにしても良い。その場合には、固定リング11を工具軸AX方向に連続的にスライドさせることができる。
また、キー溝41を貫通するスリットとせずに底面を有する溝としたり、キー40を固定リング11の内面から筐体4に向かって突出させ、筐体4にキー溝41を形成したりしても良い。但し、貫通するキー溝41を固定リング11に形成すれば、キー40の位置を外部から確認することができる。
キー40とキー溝41からなる振幅調整機構は、回転リング12とドリルチャック2との間に設けることもできる。すなわち、図19に示す振幅調整ねじ30を、キー40とキー溝41からなる振幅調整機構に置換えることもできる。
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
1、1A、1B 工具駆動装置
2 ドリルチャック
3 モータ
3A モータケース
4 筐体
5 スピンドル
6 グリップ
7 スイッチ
8、8A、8B 振動機構
9 摺動面
9A 段差
9B 溝
10 ボール
11 固定リング
11A 溝
12 回転リング
12A 溝
20 ボールリテーナ
30 振幅調整ねじ
31 Oリング
32 固定ねじ
40 キー
41 キー溝
AX 工具軸
T ドリル
W ワーク

Claims (5)

  1. ドリルを保持するドリルチャックと、
    前記ドリルチャックを回転させるモータと、
    前記モータを収納する筐体と、
    前記ドリルチャックの回転中に前記筐体に対して前記ドリルチャックを工具軸方向に周期的に往復移動させる振動機構であって、前記ドリルチャックを前記筐体に接近させる速度よりも小さい速度で前記ドリルチャックを前記筐体から引離す振動機構と、
    を有する工具駆動装置。
  2. 前記振動機構に、前記往復移動の振幅を調整する振幅調整機構を設けた請求項1記載の工具駆動装置。
  3. 前記振幅調整機構で前記往復移動の振幅をゼロに調整することによって前記往復移動を停止させた状態で前記ドリルチャックを回転できるようにした請求項2記載の工具駆動装置。
  4. 前記振動機構は、
    前記ドリルチャックと前記筐体との間において同一円上に等間隔で転動可能に離間配置された複数のボールと、
    前記ドリルチャック及び前記筐体の一方に直接又は間接的に設けられ、前記ドリルチャックの回転中に前記複数のボールが転動しながら接触する摺動面であって、前記ドリルチャックの正回転中に前記複数のボールが同時に落ちるように等間隔で複数の段差を有し、かつ前記各段差から隣接する段差に向かって滑らかに変化することによって前記ドリルチャックの正回転中に前記複数のボールが登る段差が生じないようにした摺動面と、
    を有する請求項2記載の工具駆動装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の工具駆動装置でドリルを保持し、前記工具駆動装置で回転させた前記ドリルで穿孔対象を穿孔することによって被穿孔品を製造する被穿孔品の製造方法。
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